- 1キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 01:54:59
- 2キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 01:55:32
- 3キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 01:56:02
- 4キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 01:56:35
- 5キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 01:57:52
あーもうバカバカバカバカバカバカバカ!
落としてんじゃねぇよ大バカ野郎!!
規制されなければ今日お出しします!本当にお待たせしました - 6キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 01:58:33
それと決意新たにトリップ付けました ちゃんと出来てるかな?
- 7キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 01:59:09
怒りの保守
- 8キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 01:59:23
憎しみの保守
- 9キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 01:59:53
悲しみの保守
- 10キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 02:00:20
嘆きの保守
- 11二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 17:54:10
懐かしいスレが細々とやってて驚いたぜ……
- 12編集初心者マン◆bvw/mWLSaA24/05/21(火) 20:46:34
落として申し訳ない……
- 13キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 20:51:11
それはこちらのセリフ……
日付と日数感覚が狂った阿呆で申し訳ない
見捨てられないだけで本当にありがたい
それはそれとして新節はCMの後! - 14二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 22:28:40
9
「何とか撒けたようだな……」
「えぇ」
アリュメイアからの追走を振り切ったクウェンサーとアドレイドは、『アンナマリー』を観察できる位置に佇むビルの影に再び身を潜めていた。
道中でチェイスを繰り広げた『キャロライン』達に関しては挟み撃ちを仕掛けようとした個体同士をギリギリで躱して同士討ちの誘発、配電盤に突っ込ませて高圧電流によりショートさせる、ミキサー車に積載されていた生コンクリートを浴びせて固めるといった方法で動きを妨害し無力化してきた。
決定打を与えられる矢の温存を優先していたが故に、本体に撃ち込めた個体は少ない。そのため本当に活動停止に追い込んでいたかについては正直なところあまり確証は持てていない。
それに加えて逃げる中で幾つかの違和感を覚えていた。
「結局やり合ったのはのは最初の一機を無力化した後に差し向けられた奴らだけだったな。もっと数を呼び寄せたり、俺達の進路上に待ち構えるように配備されていたらチェックメイトだったろうに。そういった『粗』でさえ、あのエリートにとっては『遊びだから』という理由だけで説明出来ちゃうかもしれないんだけどさ」
「それでも『アンナマリー』はじぶんたちにとって本丸であることはさすがにりかいできてはいるでしょう。たとえあそびの範疇でもとりにがすなんてわざわざじぶんの評価をさげるような失態をさらすかしら?」
「…………………………誘い込まれたって言いたいのか?」
「そうね。あるいは……」
ズッ……、ズズズ……。
アドレイドが何かを告げようとしたが、その前に近くから発せられた何か重たい物が引き摺られるような音によって阻まれた。 - 15二次元好きの匿名さん24/05/21(火) 22:29:34
「「っ!」」
音源の正体は突如内側からズラされたマンホールの蓋。
先程『キャロライン』のキューブが湧き出たスポットであったことを思い出して二人はそれぞれの持つ武装を構えようとしたが、奥から這い出て来たのは彼らが危惧していたものではなかった。
「おっしゃドンピシャ!安全にお膝元まで辿り着けたぜ!やっぱり俺様の読みに間違いは無かったってこった!」
「エリートの空間認識能力を駆使してここまでみちびいてやったのはだれなのかわすれんなこのやろー」
久々に耳にする聞き慣れた声。
騒ぎに際して逸れてしまったヘイヴィア=ウィンチェルとノエル=メリーウィドウのペアであった。
懐かしい面子の出現に安堵の息を吐いて、ドラゴンスレイヤーコンビの片割れはいつも通りの軽口を穴から頭を覗かせた相棒に浴びせかける。
「お、生きていたか不良貴族。相変わらず悪運が強いようで何よりだ」
「それはこっちのセリフだぜもやし野郎。てめぇのことだ。どうせそっちの女狐におんぶにだっこだったんだろ」
お馴染みのやり取りにニヤリとした笑みを交えつつ、ヘイヴィアは地上へと這い出ると穴の底に待機しているノエルに向かって声を送る。
「ヘイ、地上の安全は確認したぜ。おまけに逸れた連中共もいやがった。昇って来ても構わねぇぞ」
「りょーかーい!んしょ、んしょ……」
「何だか見てておっかないな。ほら、引っ張り上げてやるから掴んで」
合図に従って取り付けられた梯子を上がるノエルだったが、視界が暗いせいかどうにも覚束ない様子であった。今にも手か足を滑らせそうでどうにも危なっかしい。
その様子を覗いていたクウェンサーが手を伸ばして補助しようと試みたが、そこで悪友に止められた。
「おっと、そこのアホ眼鏡とは握手を交わさない方がいいぜ。機械仕掛けだから一歩間違えるとグチャグチャにされんぞ」
「えっ、何それ。怖っ」 - 16キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 22:30:45
衝撃のカミングアウトにより咄嗟に手を引っ込める意気地無しに対し、あんまりなあだ名(自業自得)で呼ばれた少女は頬を膨らませて抗議する。
「ちからの加減くらいちゃんとできるわい!……多分。それと『アホ眼鏡』ってよぶなし!」
「はいはい、インテリジェンスガール。というかさっきから通って来た場所のせいか変な匂いがするんだけど。具体的に言うとちょっと臭い」
「ガーン!キサマ、オンナノコにむかってそんなセリフをよくも……!」
紆余曲折を経て改めて四人が揃った。
別行動を取っていたヘイヴィアとノエルの調子を見るに目立った負傷は無さそうだ。こうして敵の本拠地を前に誰一人欠けずに合流を果たせたのは僥倖と言っても過言ではない。
ならば突入する前にまず最初にするべきは情報の交換と共有といったところか。
特に『キャロライン』の存在は作戦を遂行するにあたって大きな障害となる。知らせておいて然るべきだろう。
「─────というわけなんだけど」
「クソッタレが……。オブジェクトがもう一機いやがるだと?」
「わたしたちは地下にいたから会わなかったけどラッキーだったんだね」
「その地下についてだけれど、これいじょうはもぐりながら『アンナマリー』にちかづくことはできなかったのかしら?」
「あぁ、無理だな。一通りぐるりと回ってはみたが、生憎どの方角からも人間が通れそうな通路は見当たらなかったぜ」
「じゃあやっぱり地上から攻めるしか無いってことか」
時間は有限かつ新たな敵がいつ襲って来るのかわかったものではない。そのためさっさと内部に突入してしまいたいのだが。
「さて、どうするか……」
そう素直に即決して実行するには些か躊躇われているのが現状であった。
その原因。
全員の視線が『アンナマリー』の足元に構えられた正面ゲート。正確にはその手前に設けられている広場へと向けられる。
観光パンフレットによると敢えて建造物を置かないことで、様々なイベントなどの興行に利用できる多目的スペースとして開放されていると書かれていた。
平時ならば表向きの顔である憩いの場として市民や観光客らで賑わっていたであろう石畳が敷き詰められたそこは、今や深夜の学校のグラウンドのようにガランとしている。 - 17キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 22:31:27
無。
動くものが一切存在しない地平。
埋め尽くさんばかりに待ち構えていると予想していた無人兵器達は一機たりとも見当たらない。
「……こいつは流石に不自然すぎるよな」
「どうする?ふみこんじゃう?」
「早まんじゃねぇ。完っ璧に罠に決まってんだろ。地雷やセントリーガンが仕込まれてるかもしれねぇし、擬態が出来る例の『キャロライン』っつうオブジェクトが控えてやがったら遮蔽物も無しに太刀打ちできねぇぞ」
「ついでに『アンナマリー』は『ネバー』のなかで大差をつけていちばんたかい建造物だから、引き返してほかのビルからパラシュートやウィングスーツで屋上にとびうつるといったアプローチもつかえないときたわね」
最終防衛ラインがノーガード。
通常の戦略に則るならばまずありえない白々しい無防備さは、「来れるものなら来てみろ」という黒幕からの傲慢な挑発なのだろうか。
真意は測りかねるが少なくとも何も用意されていないと汲んで迂闊に踏み込むのは間違いなく危険すぎるということだけは理解できる。
しかしながら、こうして足踏みしている間にも時間が削れていくこともまた確かであるが故、いつまでも代わり映えのしない景色を眺めて様子を伺っているわけにもいかない。
そんなある種の膠着状態に陥っている最中、事態は突如破られた。
「っ!ねぇ、あれ……!」
クウェンサー達が何かをしたわけではない。
変化を齎したのはノエルが指を差す『アンナマリー』正面ゲートの自動ドア。
思考を雁字搦めにして侵入を阻んでいた城門が開かれて、内側から何者かが登場した。
「おいおい、あいつは……!」
「自らおでましってワケね」
その正体は高級そうなスーツを纏った茶髪オールバックの男。
ドミニーク=G=ラスティネイル。
この街の王にして、此度の作戦における最重要ターゲット。世界を牛耳ろうとするクソ野郎は貼り付けたような笑みを浮かべて、いかにも「友愛を讃えています」といった感じの作り物めいた明るい声音でこちらに呼びかけてきた。 - 18キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 22:32:32
「やぁ諸君!ここに来るのを待っていたよ!歓迎しよう!そんなところに隠れていないで姿を見せたまえ!武装解除は結構だから!私の目的は文明人に相応しい理知的な対話だ!少しばかり話をしようじゃないか!」
「野郎……っ、俺達が潜んでいることを把握してやがるのか……!?」
「おもいっきりこっちのほうを見ているわね。どうやら位置までわれてるみたい」
「無視するか?」
「そんなマネをしたら、無人兵器なり『キャロライン』なりをけしかけられるでしょうね」
アドレイドがうんざり気味に溜息を吐いているのを知ってか知らずか、『ネバー』の王は政治家らしく言葉をもって四人の命運を掌の上で弄ぶ。
「私としては特別ゲストである君達を野良犬のように追い立てたくはない。30秒程時間を与える。何が自分達にとって懸命な選択か考えてほしい」
そう言って指を鳴らすと、黒い球体が正面ゲートの奥からゾロゾロと姿を現す。
『キャロライン』の本体がざっと十数機。
要求に応じなければ命令を下して一斉に襲わせるという意思を示すようにそれらはズラリと整列させられる。
「ほらね」
「ど、どどど、どうすんのさぁ!?このままここにいてもすりつぶされるだけだけど、だからといってバカしょうじきに出ていっていいワケっ!?」
「こうなってはしかたないわね。いっそのことここは乗っかってしまいしょう。かれは内心じぶんの庭があらされてはらわたがにえくりかえっているだろうから、その下手人をつまらないほうほうなんかで始末しないはず。そういうおとこよ」
「それってつまりは鬱憤を晴らすためジワジワと惨たらしく殺されるってことじゃねぇかよ」
「打開策は?」
「………………。あるにはあるけれど……」
いずれにせよ向こうにこちらの位置が知られている時点でどちらが不利なのかは明白だった。
一先ずの生を得るために十分な警戒を挟みつつ四人は姿を晒し、ドミニークの言に従って広場を横切っていく。 - 19キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 22:33:29
「絞首台に送られている気分だぜ」
「実際その認識で間違ってないでしょ」
アドレイドの推測通り、途中で奇襲や騙し討ちを受けることは無かった。
それでも破裂してしまいそうな緊張感を携えて一行は『アンナマリー』の正面ゲート前へと辿り着く。ターゲットまで目と鼻の先だというのにそれを阻む『キャロライン』達のおかげで、直ぐ近くにいるのに余りにも遠く感じられる。
「ふむ、よく出て来てくれたね。改めて歓迎しよう」
クウェンサー達と対面するとドミニークは客人でももてなすかのように朗らかな笑顔を向けてきた。しかしながら、やはり目だけが笑っていないので作り物臭さが拭えない。
「アドレイド!こうして直接顔を合わせるのは久々だね。ロズウェルで君の生体反応が消えた時は心配していたんだ。生きていて実に喜ばしいよ」
「あらそう、私はできればあいたくなかったわね」
「ははっ!これはこれは相変わらず手厳しい!しかし本当だとも。過去のことはお互いに水に流そう。こう見えて私は数々の危機を打破し、こうして喉元に迫りつつある君達を高く評価しているのだから。つまり、だ」
一拍置いてドミニークは一つの提案を告げた。
「どうだね、私の下で働かないか?報酬なr
「「「「お断りだ。クソ野郎」」」」
当然の即答と同時にアドレイドの拳銃とヘイヴィアのアサルトライフルが同時に火を吹いた。
二つの銃口から放たれた弾丸によって、それなりの体格を誇るはずのドミニークが着弾の衝撃で後方へと吹き飛ばされる。
有り体に言えば奇襲・不意打ちだった。
「卑怯」と指摘されれば全く持って仰る通りだが、戦場では「正々堂々」や「騎士道」を掲げる輩から先に死んでいく。良し悪しに関わらず、生き残れる手段こそが「正解」で「正義」だ。
そもそもゲス野郎の戯言に耳を貸す義理なんて彼ら四人にとっては最初から持ち合わせてなどいない代物であったのだから。
- 20キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 22:35:08
「御大層な演説なら地面にでも披露してろ政治家野郎。そのまま起き上がってくんなよ」
「あ、やっぱりふつうに撃っちゃうんだ……」
「態々最後まで律儀に聞く理由が無いからな。先手必勝だ先手必勝。それよりちゃんと急所は外したんだろうな。まだ殺しちゃダメじゃなかったっけ?」
「銃を携行する資格すら持ってねぇシロウトがうるせぇよ。勿論念頭にゃ入れてたから心配すんな」
地味に窮地であったがターゲットがこちらを舐め腐ってくれていたおかげで、ノコノコ顔を合わせたところで無力化を果たせた。
主の危機に反応して『キャロライン』達が動き出すケースを懸念していたが、幸いなことにそういった気配はない。
あとはこのまま何も起きなければ、予定通りドミニークを締め上げて必要な情報を吐き出させて作戦は9割方完了だ。
「ふ、フフフ……」
そう思っていた矢先。
銃弾を浴びて地面に仰向けで横たわっている男が不意に笑みを溢した。
それは徐々に膨らんでいき、直ぐ様呵々大笑となって広場を貫いていく。
「フフフ、フフフフフフフフフフフ……!ハッハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッッ!!」
「ッ!」
確かに違和感は存在していた。
仮にスーツの下に防弾ベストを着込んでいたとして、銃創は防げても衝撃までは殺し切れない。
命中した箇所は金属バットで殴られたような激痛が走っているはず。部位によっては骨が滅茶苦茶に折れていても不思議ではない。
訓練を受けていないただのビジネスマンであったならば悶絶して呻き声を上げるくらいが精一杯で、とてもあのようににけたたましく笑っていられるわけがないのだ。
得体の知れない黒幕の様子に一行は再び警戒度を一気に引き上げて銃口を向け直す。
「何がおかしい?自暴自棄か?」
「いやぁ、決してそんなことは無いとも。こんな単純なトリックに騙されてくれるとは思わなかったのでね」
「もしかしておかねにまかせて超高級最新式の防弾ベストでもきこんでいたとか?」
「少なくとも俺の持ってる知識の中には、銃弾の雨をほぼノーダメージで抑える程高性能なブランドは無かったと思うけど」
「えぇ、そもそもこのおとこが迂闊n
『あぁ、その通りだとも』 - 21キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 22:38:19
アドレイドが最後まで言い切るよりも前に、横合いから発せられた声が遮る。
目を向けるとそこには先程銃撃した相手と同じ顔と同じ格好と同じ声を持った人物、ドミニーク=G=ラスティネイルがそっくりそのままもう一人佇んでいた。
『まったく、死んでしまったらどうするんだ。酷いじゃあないか。人の話は最後まで聴くものだと親や学校の教師から習わなかったのかね?』
「……偽物か」
「そんなことだろうと思ってたぜ。人形を介した腹話術でしか他人と話せねぇチキン野郎が」
ボゴ、ボゴゴゴゴッ!
硬い物体が泡立つような音と共に銃撃されて倒れていた方のドミニークの形をしていたカタマリが無数の立方体となって崩れていく。
『キャロライン』のキューブ装甲。
それらは地面に散らばると独りでに蠢き、地面を転がって本体へと吸い込まれていく。
立方体を寄せ集めて表面の色彩を整えれば一人の人間がその場で動き、喋っているように錯覚させるなど造作も無いということか。
つまるところ最初からドミニーク本人は自分達の前に立ってなどいなかったのだ。
『短気で頭に血の登りやすい君達の引き金が軽いであろうことは容易に想像できたのでね。「島国」には「備えあれば憂いなし」という格言があるそうだ。それに倣ったが懸念通りとなったようだね。そもそも臆病な私が無策に姿を現すわけがないだろう?あぁそうそう、君達に話しかけている「これ」も本物の私ではないから銃撃しても無駄だと先に言っておこう』
確保すべきターゲットはここにはおらず、自分達は両手の指の本数よりも多くの『キャロライン』達による包囲網。
僅かな間だけ形勢逆転したかに見えたが、結果的に敵の術中にまんまと嵌って事態は不利な状態へとリセットされてしまった。
勝利を確信したドミニークは余裕たっぷりの態度で侵入者達にチェックメイトを突き付ける。 - 22キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 22:40:29
『さて、君達が必死に張り巡らせた「策」とやらがただのつまらない不意打ちというのなら結果はご覧の通りだ。まだやるかね?』
「いいえ、てづまりよ。さいしょから奇襲なんてつうようするとはおもってもいなかったのだし」
それ対してアドレイドは肩を竦めて俯きながらホールドアップのポーズを取る。端からその姿勢を眺めれば全てを諦めた者のように見て取れただろう。
『おや?用意周到な君らしくない。ならばここが君達の終着点だ』
「あら、ほんとうにそうかしら?」
だがしかし、女スパイの口元だけは負け犬に似つかわしく無い獰猛さを伴って不敵に歪んでいた。
その様子を見てドミニークの眉が怪訝そうに動くと同時だった。
前触れも、警告も、予兆もなく事態が急変する。
『待ちたまえ。何がおかs
今度は彼が言葉を遮られる番だった。
突如並べられていた『キャロライン』のうちの一機に携行ミサイルが突き刺さり、槍のような爆発物はその装甲を貫通しめくれ上がらせたのだ。
それが合図となった。
ワァアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!という歓声にも似た雄叫びを上げながら、武装した人々が『アンナマリー』を目指して雪崩込む。クウェンサーから見えているだけでもざっと百人以上は数えられた。
軍服に身を包む者もいれば、中には潜入時の自分達のような観光客らしいラフな格好のまま銃火器を振り回している者もいた。
更に銃声にかき消されて微かにではあるがよく耳を澄ますと自分達のいるエリアから幾つか離れた先のブロックからズズンッ……!とくぐもった腹に響く重低音と鼓膜を刺激する甲高い破裂音が聴こえてくる。おまけに音源であろう箇所からは環境に悪そうな黒煙が数条立ち昇っていた。
ここだけではなく『ネバー』のあちこちで戦闘が勃発している証だ。
『ッ………………やれやれ、アリュメイアはしくじったようだな。些か騒がしくなりそうだ』
- 23キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 22:41:16
ドミニークはあくまでも冷静な態度を崩さなかったが、小さく含まれた舌打ちをクウェンサーは聞き逃さなかった。
「ざまぁみろ」と舌を出して煽ってやりたかったが、何が起きているのか理解できていないのでどうにも憚られた。
果たしてドミニークと敵対する所属が定かでない集団が突然湧いて出て来たことは自分達にとって吉なのか凶なのか。
それが判明しない限り、安易に次の行動を興すのは得策ではない。
というか情報を処理し切れず軽くパニックに陥っていた。
「はわわわっ!?ナニコレェ!?」
「一体どこの誰なんだよこいつらっ!?」
「知るかよ!俺達を巻き込むことに躊躇しねぇことから鑑みるに、ピンチに颯爽と現れた助っ人ってわけじゃなさそうなのは確定だクソッタレ!」
事態を上手く飲み込めていない三人へ唯一一行の中で事情を把握していると思われるアドレイドが漸く説明を行う。
「どうやら間にあってくれてたようね。私たちを追いかけた『キャロライン』。どうにも数がすくないと思っていたのよ。アリュメイア=キングスバレイが手をぬいていた可能性もこうりょしたけれど。こたえは単純。いたのよ。私たちいがいにもこの街のほうかい、あるいは機密情報のだっかんをかくさくしていた勢力が」
「これだけのスパイと潜入部隊が既に『ネバー』に潜り込んでいたのか……。よく見ると『正統王国』の兵士もいるぞ」
「それはそれとして毎度のことながら分の悪い他力本願100%の賭けでサラッと俺達の命を差し出してんじゃねぇよ!あと10秒何も起こらなかったらどうするつもりだったんだこの野郎!」
元々亡命者を無秩序に受け入れているおかげで、各勢力からの反感を買いやすかった土壌があったのだろう。
それぞれの上層部は『ネバー』を内部から崩壊させる部隊を密かに送り込み、『キャロライン』の監視を掻い潜りつつその機会を伺っていた。
そんな折、自分達が「最初のペンギン」となってトリガーを引いたタイミングを好機と判断して同時に動き出したという筋書きだろうか。 - 24キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 22:42:40
『ふぅむ、仕方がない。ここは一旦退かせてもらおう。非力な私にとって荒事は専門外なのでね。なのでこの場はかわいい『キャロライン」達に任せるとしよう』
多くの兵士達が眼前に迫りつつある状況下で、溜息を吐きつつドミニークの代弁役を担っていたキューブ人形は下半身から地面に沈むようにその形を崩していく。最後まで残っていた頭部は無機質な瞳でこちらを見据えていた。
『交渉が決裂したのなら仕方あるまい。何よりも興が冷めてしまった。執務室で待つとするよ。全ての決着を付けたいのならそこまで昇って来るといい。優秀な君達のことだ。どうせこの状況も切り抜けて来るのだろう?健闘を祈るよ諸君』
そう勝手な約束を言い残すと偽物のシルエットは完全にバラバラとなって『キャロライン』達に吸収されていった。
それを皮切りに押し寄せる敵を迎撃するために『キャロライン』達は躍り出るように広場の各地へ散らばっていく。
全てを巻き込んだ正真正銘の「戦争」の火蓋が切って落とされる。
「ひ、ヒィィィィィィッ!」
「とりあえず危ねぇから伏せてろド素人!」
「ここじゃおちついてはなしもできないわね。アレに身をかくすとしましょう」
とりあえず四人は間抜けなヘッドショットを貰うことを避けるために地面に這いつくばり、破壊された『キャロライン』の残骸の影へと匍匐前進で辿り着く。
今のところは小銃程度の弾丸は防げているが携行ミサイルに不意に遮蔽物を飛び越えてくる手榴弾、多角的な十字砲火を防ぐには余りにも心許ない。いつ致命の流れ弾が飛んで来るかわからないピリピリとした緊張感がクウェンサーの背筋を炙っていく。
そんな中、所持していた無線機が不意に通信を拾った。タイミングから考えて、目の前で繰り広げられている乱戦と無関係でないのは確実だろう。
案の定発信元はベースゾーンに待機しているはずである上官からであった。 - 25キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 22:45:01
『クウェンサー、ヘイヴィア。聞こえているならどちらでも構わん。直ぐに応答しろ』
現場で満足に支援を与えられないため、作戦が完了した時まで聞くことはないだろうと思っていた声。つまりは傍受される危険性の無視や想定していたタイミングを逸脱してまで伝えなければならない事態が発生した証だ。
「こちらクウェンサー。現在『アンナマリー』付近にいます。それと色々ありましたがこの場に全員揃ってます」
『そうか、よかった。無事だったか』
通信機越しに上官が安堵の息を漏らす音が聞こえたが、今はいつも厳しい彼女の意外にも部下想いな一面に感涙で咽び泣いている場合ではない。
何故ならこの瞬間も現在進行形で命の危機に晒され続けているのだから。
「そんなことよりもさっきから街中で俺達以外の誰かがドンパチしているんですけどっ!?何ですかこれ!?」
『遅かったか……。いいか、よく聞け。簡潔に述べるとその街に潜入していたのはお前達だけじゃない』
「それは何となくわかりますが具体的には一体どこの……!?」
『わかりやすく言うなら四大勢力雁首揃えて、だ。どこかの馬鹿が全勢力に「宝探し」の景品がそこにあるとリークしやがった。今暴れているのは元からスパイとして潜伏していた連中だろう』
「……っ、どうします?同じ『正統王国』軍に合流して協力を促しますか!?」
『いや、友軍に説明する時間すら惜しい。人間と無人兵器でじゃれ合っている間はまだいいが、これから更にヤバイ奴らが控えている』
「時間が惜しいってまたタイムリミットが縮まったってことですか!?それに『ヤバイ奴ら』ってまさか……!?」
対人における脅威である無人兵器よりも更に上。クウェンサーの脳裏に次世代戦車で編成された車両部隊や爆撃機などの航空戦力を浮かべたが直ぐに振り払われる。
年若いながらも歴戦の将校であるフローレイティアが今更そんなありふれた兵器を「ヤバい」などと形容するはずがない。
だとするならば、更に更にもっと上の想像しうる限り最悪のパターンに決まっている。
- 26キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 22:46:33
『既に察しているようだな。おそらくお前の予想通りだ。あと一時間程で四大勢力のオブジェクト多数が「ネバー」にやって来る。確実にな』
「オブ……ジェクト……」
「マジかよ……」
「そんな……!」
「……………………」
その場に居た全員の顔が凍り付く。
たった一機でも同じオブジェクト以外にはオーバーキルだというのに、それらが複数並んで一つの標的を集中砲火したらどうなるか。
少なくとも一都市程度ならば比喩抜きで地図上から物理的に消し去ることなど容易いのは確実だろう。
『お姫様には時間を稼ぐように頼んではいるがおそらく長くは保たない。だから、私からの命令はただ一つ。白々しくもドス黒い正義を掲げる馬鹿共が取り返しのつかない破壊と蹂躙を撒き散らすその前に片を付けろ。以上だ』
上官との通信が切れると再び闘争による騒音がクウェンサーの鼓膜を震わせる。
それでも思考はクリアだった。
(お姫様……)
こうしている間にもよく見知った操縦士エリートの少女は、たった一人で万全とは言い難い『ベイビーマグナム』を引き摺って怪物達と対峙しようとしている。
無論、フローレイティアが言ったように勝ち目などあるはずがない。
それでも逃げずに立ち向かわんとする彼女の為に自分達ができることは何か。
- 27キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 22:48:16
決まっている。
安全圏から高みの見物を決め込んでいる黒幕野郎をぶっ飛ばして、連合軍のオブジェクトが到達するか目論見が達成される前にこの事件を終わらせることだ。
「行くぞ。この混乱に乗じて『アンナマリー』に乗り込む」
他の三人からは返事の代わりに賛成を意味しているであろう無言の頷きが返ってきた。
ヘイヴィアとノエルの顔は青白かったが、それぞれ闘志はまだ燃え尽きていないようだ。
この場にいる自分達だけでなく第37機動整備大隊が一丸となって事に当たっていることを改めて意識し直し、辛うじてではあるが己を奮い立たせているのだろう。
修羅場に関しては経験豊富なアドレイドについては言わずもがな。
死地にこそ活路が開かれている。
走り続けなければ勝てない。
否、走り続ければ勝てる。
勝たなければ生き残れない。
否、勝てば生き残れる。
決意を新たに、一行は虚栄の銀塔を踏破すべくを更なる危険地帯へと踏み出していく。 - 28キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/21(火) 22:49:22
一旦ここまで
もう二度と落としてたまるかこの野郎
欲しがりません 完結させるまでは - 29キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/23(木) 21:55:06
こいついつもタイムリミット縮めてんな
- 30編集初心者マン◆bvw/mWLSaA24/05/25(土) 22:12:57
ほしーゅる
- 31キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/27(月) 21:15:10
あれ?おほほの喋り方ってどんなだっけ?
原作原作…… - 32キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/29(水) 21:29:41
干しゅ
- 33キャラシート◆BP2qeK/ddM24/05/31(金) 20:48:54
ほ し ゅ
- 34キャラシート◆BP2qeK/ddM24/06/02(日) 19:46:53
絶望だ……
明日から数週間にわたって朝4時起きから夕方まで仕事……
とりあえず体力振り絞って少しずつ書いていく所存 - 35編集初心者マン◆bvw/mWLSaA24/06/02(日) 22:03:02
おぉん……身体大事に
こちらも保守とかしていける時はやっていこう - 36キャラシート◆BP2qeK/ddM24/06/04(火) 19:30:22
職場燃えろ♥
- 37キャラシート◆BP2qeK/ddM24/06/07(金) 01:01:19
徹夜覚悟の保守
- 38キャラシート◆BP2qeK/ddM24/06/08(土) 21:27:33
土曜も仕事とか労基案件か?
- 39キャラシート◆BP2qeK/ddM24/06/10(月) 19:16:01
HOSHU
- 40キャラシート◆BP2qeK/ddM24/06/12(水) 19:45:45
ぬん
- 41編集初心者マン◆bvw/mWLSaA24/06/14(金) 21:29:03
ほしーし
- 42キャラシート◆BP2qeK/ddM24/06/16(日) 20:49:32
憤りの保守
- 43キャラシート◆BP2qeK/ddM24/06/18(火) 20:40:15
ゲロ吐きそうなくらい忙しい すまんぬ
- 44キャラシート◆BP2qeK/ddM24/06/21(金) 14:37:34
規制怖い……
ゅしほ