トレーナーさん!!!!【SS】

  • 1二次元好きの匿名さん22/02/02(水) 22:19:10

    URAファイナルズを終えて数ヶ月
    いつも通りバクシンオーと練習を終えミーティングルームで2人のんびり過ごしてた時におもむろにバクシンオーが言った言葉は僕の背筋を凍らす

  • 2二次元好きの匿名さん22/02/02(水) 22:20:24

    「以前貴方が言った1200Mを×3回走れば3600Mで長距離って嘘ですよね?」

  • 3二次元好きの匿名さん22/02/02(水) 22:23:49

    普段と変わらない表情に何の無しに言った彼女の言葉に僕は息が止まる
    「トレーナーさん!私だって小さな子供じゃないんですよ!!別日に走るレースを3回走っても長距離を走ってるなんて思うわけ無いじゃないですか!!」
    彼女は表情を変えずに淡々と続ける、その表情が悲しみなのか怒りなのかも解らず僕は頭が真っ白になるのを感じていく

  • 4二次元好きの匿名さん22/02/02(水) 22:28:38

    少し考えれば当然だろう...
    彼女は答えを急ぎすぎるだけで頭は悪くない、いや...むしろ聡明な部類だろう
    以前彼女が偵察と評してブルボンとライスを見続け分析したデータは極めて的確でトレーナーの自分でも感心する程だった
    そんな彼女が子供にするような苦し紛れな嘘など1日有れば見破るのなんて当然の事だろう

  • 5二次元好きの匿名さん22/02/02(水) 22:34:18

    「トレーナーさんは私にまだ長い距離は無理だから何としてでも短距離を走ってほしくってあの様な嘘をつ吐き続けた...そうですよね?」
    時間は無情だ...僕が何か考える前にバクシンオーは極めて冷静かつ的確に僕の考えを読み取り話を進めてしまった
    終わった...と思った。彼女が中距離以上のレースを走る事を夢見ていながらそれを騙し口八丁で誤魔化し続けた自分を許しはしないだろう...
    3年間も騙したのだ、彼女から罵詈雑言を浴びても仕方ないと僕は覚悟を決めた

  • 6二次元好きの匿名さん22/02/02(水) 22:35:14

    「...私の為に嘘をつき続けたんですよね?」

  • 7二次元好きの匿名さん22/02/02(水) 22:40:22

    そう言った瞬間に自分の目は見開くのを感じ思わず顔を上げてしまった
    そしてバクシンオーと目が合う、彼女からは殺気だった様子も無ければ失望の色も見えなかった...ただ彼女の桜の瞳が何かを耐えるように揺れ続けていた
    「本当は解ってたんですよ?自分が中距離以上を走る才能が無いって事も...自分がスピード以外に何の取り柄が無いと言う事も」
    淡々と表情を変えずに彼女は話す。しかし...瞳の揺れはどんどんと大きく震える

  • 8二次元好きの匿名さん22/02/02(水) 22:46:19

    「でも...あの日、貴方に言われて...だから私でももしかしたら...長い距離...を...はし..れる...と...思...っ」
    耐えきれなくなったのか遂に彼女の目から大粒の涙が溢れだす
    「でも...あの日の...トレーナーさんの言葉が...嘘だと...思いたく...なくて」
    普段のバクシンオーからは想像出来ない消え入りそうで絞り出す声が聞こえた
    その瞬間、思わず僕はバクシンオーを抱きしめていた

  • 9二次元好きの匿名さん22/02/02(水) 22:49:23

    「ト...トレーナーさん?」
    〈嘘じゃないから!!!〉
    あの日、君のスピードを見た時に魅了された!例え3600M有っても20馬身開いて最後の直線を駆け抜ければ彼女は無敵だ!!そう思ったから僕は君をスカウトしたんだ!!

  • 10二次元好きの匿名さん22/02/02(水) 22:53:59

    「...私は夢を見て良いんですか?」
    〈当たり前だよ!〉
    「レース配分なんて出来ない全速力で走る事しか出来ないんですよ?」
    〈そんな君だからこそスカウトしたんだ〉
    「コレからも貴方に迷惑をかけるんですよ?」
    〈気にしないでよ!迷惑だなんて思ってない!〉
    「...貴方が願えば私は絶対的な短距離の王者の道を選ぶんですよ?」
    〈委員長は全ての距離で模範を示すんだろう?〉
    「...ズルいですよ」

  • 11二次元好きの匿名さん22/02/02(水) 22:57:15

    それからどれだけ時間が経ったのだろう...
    バクシンオーは声を出さずに僕の肩に体を埋め声を殺して泣いていた
    きっと彼女は不安だったのだろう、何度も僕を疑っただろうし怖くもあったんだろう
    だからこそ僕はもう彼女を不安にさせてはいけないと思う

  • 12二次元好きの匿名さん22/02/02(水) 23:04:20

    「トレーナーさん?」
    〈なんだい?〉
    「お願いが有るのですが...さっきまでの1時間の出来事を忘れてくれませんか?」
    〈どうしようかな?〉
    「ちょわっ!?お願いです!皆を導く委員長が不安に押しつぶされて号泣してたのを知られたら私は恥ずかしくて生きてられません!!!」
    〈僕の前では良いの?〉
    「それは...貴方は特別な...!!!!!いいえ!駄目!駄目です!!弱々な委員長なんて前代未聞です!忘れて下さい!!」

  • 13二次元好きの匿名さん22/02/02(水) 23:09:29

    〈じゃあ次のレースは中山記念かな?〉
    「えぇ〜またマイル...ん?中山記念って事は!」
    〈次は1800Mに乗り込むぞ!!〉
    「ほ...本当ですか!?3年間で200M増やすのに苦労したのにもう200M追加!?やりますよ!!!そして最強の委員長を皆に見せますよハッハッハッハッハ〜!」
    ゆっくりでも良い...一歩一歩しっかり歩んでいこう!彼女の期待を裏切ってはいけないと改めて僕は心に決めた...!
    終わり

  • 14二次元好きの匿名さん22/02/02(水) 23:14:33

    サクラバクシンオーは絶対にトレーナーの嘘に気付いてるけどトレーナーの琴を信じてる
    それでも心の中では不安な気持ちが有ると思うんだ!

  • 15二次元好きの匿名さん22/02/02(水) 23:15:18

    >>14

    琴→事

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