【閲覧注意】アドマイヤベガの布団の話【SSスレ】

1二次元好きの匿名さん24/05/26(日) 19:32:18

夏のじっとりとした暑さとは裏腹に、この肌は白く、さらりとした感触を保っている。
我ながら素晴らしい触り心地……そう、例えるなら美しく羽撃く鳥の純白なる翼のような……

……おっと済まない、自己紹介が遅れたな。

そう、私はアドマイヤベガの布団……
アドマイヤフトーン！！
私の使命。
それは、日々厳しいトレーニングに耐え、勉学にも励む努力家な彼女の肢体を、
この柔らかく温かい羽毛で包み込み、癒やし尽くすことに他ならないッ！！

あぁ……思えば私達は、あの街角のデパートで出会った時から、熱い想いで結ばれた運命共同体であったのかもしれない……
初めて彼女と肌で触れ合った時に感じたのだ。
あぁ、この人と温まり合いたい、この人の身体を包み込み、絡み合いたい……と。
初めて彼女の部屋に連れ込まれた時の胸の高鳴りと緊張、そしてはち切れんばかりの高揚感は今でも忘れられない……

2二次元好きの匿名さん24/05/26(日) 19:32:59

彼女が布団乾燥機を掛ける度、真っ更に磨かれるようなあの感触。
焦らされるようなあの甘美な響きが、暫くはシーツに焼き付いて離れてくれなかった。
そして身嗜みを整え、いよいよ彼女が布団に入ったその瞬間、私の昂ぶりはヒートアップし、羽毛の湿りを抑えるので精一杯だった。
彼女が寝返りを打つ度、私の肌に絡みつくあの淫らな一体感……
じっとりと汗ばむ彼女の身体、あのシャンプーの心地の良い香り……私は悟った。
そう、これこそが"一心同体になる"という事なのだと。
こんな多幸感を感じたのは、ミシンで縫い付けられ、この世に生まれ落ちたあの瞬間以来だった。
そう。そして私は改めて実感した。

彼女こそが、私の運命共同体だとッ……！！

あぁッ！！アヤベッ！！アヤベェーッ！！！！！！

……済まない、つい取り乱してしまった。
そこからの三年間は最早語るに及ばないだろう。

妹への贖罪の為に祈りを捧げる彼女や、涙で枕を濡らす彼女、遅くまでノートを取り、疲れたように布団に倒れ込む彼女。
彼女の強い所も弱い所も、全てを見届け……そして愛した。
彼女が夏合宿で長い間部屋を空けていた時は、柄にもなくジェラシーを感じシーツが焼け付くような熱に包まれた。
菊花賞を終え、憑き物が落ちたような表情で眠りに落ちる彼女を感じた時は、思わず私の枕カバーも涙で湿ってしまう所だった……

同室のあの女の子と初めて同衾し、緊張で中々寝付けなかった彼女を見た時は、つい微笑ましくて笑みが漏れてしまったのを覚えている。
最早私にとって彼女は一心同体だけでなく、大切な家族、若しくはそれ以上の存在になっていたのだ……

「ただいま」
そんな回想に浸っていると、ドアノブを捻る音と共にアヤベが帰ってきた。
部屋に入るこの瞬間も凛々しい表情を崩さない彼女はとても美しく、輝いている。
だが、そんな頑張り屋な彼女がきつく縛った糸を解き、ほんの少しでも安らげるよう、私はふわふわであり続ける。
我が天寿を全うする最後の瞬間まで……私は彼女に寄り添いたい。
彼女が安心して、眠れるように……