- 1二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 18:04:58
- 2二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 18:05:37
「そういやオグリ、あんたって好きな人とかいるん?」
きっかけは些細なことや。カフェテリアでオグリと一緒に飯食べてたらたまたま後ろの席から年相応のかわいらしーい恋バナが聞こえてきて。そんで隣で口いっぱいにコロッケ詰めてるオグリを年頃の乙女にさせてしまうようなやつがいるか気になった。まぁきっといないんやろうけど…
「好きな人?タマのことは好きだぞ?」
「あー、ちゃうちゃう。そーゆー好きやちゃう。恋愛的な意味や」
「むっ、恋愛的…か?」
「せやせや。…あんた、一応聞くが恋愛的な好きってどういうんか分かるか?」
「…タマにむかって思う好きとは違うんだな?」
あー、こりゃ分かっとらんな
まぁ1に走ること、ほんでもってほぼ同列に飯のこと、っちゅうオグリやし納得の結果やな。せやけど、なんとなくここで話を打ち切るのも惜しい
「誰かいないん?こー、この人のためなら何でもしてあげたくなるー!みたいな感じの」
半分やけっぱちで言った言葉。まぁそれでもよくわからんって顔されるのがオチやろ… - 3二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 18:06:08
北オグを補充しにきた
- 4二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 18:06:14
「あぁ、それなら北原だな」
と思ってたら予想外に誰とも知れん名前が告げられた
「ちょっ、ちょちょちょい!あんたいるんか!好きな人いるんか!なんやラブラブなんか!?えぇ!?」
思わずでっかい声が出るがこりゃしゃーない。あのオグリが、あのオグリに好きな人なんて理解が全く追いつかん
「恋愛的…?というかは分からないが。でも北原のためなら、確かになんだってしてやりたくなるな」
「てゆーか、そもそもそのキタハラ?って誰や!」
「あぁ、そうか。タマは知らないのか、私が笠松にいた時のトレーナーだ」
「トレーナー?ちゅーことはそこそこ年の差ないか?」
「確か今年で37とかだったか?」
「さっ、37!?あんたの倍以上年言っとるやんけ!?」
「?そうだな」
「ってそーんな年の差で恋人だのなんだのそーとー厳しいで?やめといた方がいいんちゃう?」
「恋人?恋人になるのか?私と北原が?」
「そりゃあんたが言ったんやろ?アタシは北原さんのこと何でもしてあげたくなるくらい大好きやー!って」
「むっ?私は確かに北原のことは大好きだが恋人になりたいとは言ってないぞ?」
「…?え?あーまぁそうか?」
言われてみれば確かにオグリは《何でもしてあげたくなる人》を答えただけで《恋人になりたい人》を言ったわけやない。
まぁせやけどオグリにここまで言わせる北原という人に興味がわかんわけがない。
「なぁ、その北原さんってどないな人なんや?」
ここはいっちょ掘り下げてみるのが筋なもんやな!
「北原か?北原はすごいぞ!私に初めて正しい走り方を教えてくれたんだ!ただただ走れれば良かった私に、《レースで走る》ということを教えてくれた人だな」 - 5二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 18:06:51
さっきまでコロッケにがっついてた手をピタリと止めて嬉々として喋り出す姿は随分可愛らしいもんで。よっぽどその北原さんが大好きなんが伺える
「ほーん。よっぽどゾッコンみたいやなぁ。でも確か今のあんたのトレーナーって六平さんやろ?なんで北原さんやないん?」
「…それは」
さっきまでの嬉しそうな姿から一転、随分しおらしい態度に変わる。こりゃ、聞いちゃいかんやつやったか?
「…元々私は、中央に来るつもりなんてなかったんだ。それに私は元々そのまま笠松に残って、北原の夢である東海ダービーに出るはずだったんだが…」
「だが…?」
「ルドルフが私の走りを見て、中央にスカウトしたいと。北原にそう言ったらしい」
「あぁ、会長があんたを直々にスカウトしたんやってな。有名な話やな」
「そうなのか?まぁ、それで北原に中央にスカウトされたことを伝えられたんだ。最初は行くつもりがないと断ったんだがな」
「?断ったんか?あんたが」
「あぁ」
こりゃ意外。1に走ることのオグリが中央行きを拒むなんてな、走ることが大好きなオグリなら喜んで受けそうなもんやけど
「にしてもなんで断ったん?中央の方がレベル高いやつと走れるんやぞ?」
「北原が中央のトレーナー資格を持っていないから私が中央に行ったら北原とは離れ離れになってしまうんだ。だから、北原と一緒に東海ダービーに出るなんて不可能になってしまう。
私は北原に見つけて貰えたから、まともに走れるようになったんだ。だから…だから私は北原の夢を叶えてやりたかった。私と北原で東海ダービーに出たかったんだ…勝ちたかったんだ」
「……そうか。そないな事があったんやな」
「…あぁ」 - 6二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 18:07:33
オグリのすこし悲しそうな声に、どれだけそのトレーナーに入れ込んでいたかいたいほど伝わってくる。せやけどそないなら
「それなら、なんであんたは今ここにいるんや?」
そんなに言うくらいなら、なんで笠松に残らんかったんか。中央で走れなくてもいまの話を聞いてる限りなら北原さんと二人三脚で東海ダービーに出るのも悪ないと思える
「ゴールドジュニアを控えた私に北原が言ったんだ。《このレースに勝ったら中央へ、負けたら笠松に残って東海ダービーを目指す》って」
「!?それってつまりあんたのこと《レースで負けるかもしれないウマ娘》って思とることやん!どないなんよそれは」
「そっそう言うな!北原はずっとずっと東海ダービーという夢を追い続けていたんだ!それにあの時は間違いなく私も東海ダービーに北原と出るのが夢だったんだ。だからいきなり中央なんて話がでて混乱していたんだ、きっと」
「せやけどなぁ」
身振り手振りで必死に北原さんを擁護するオグリ。こりゃ随分、予想よりずっとご執心らしいな
「まぁええわ。そんならじゃあゴールドジュニアに勝ったから今ここにいるっちゅうことやな?」
「そうなるな。まぁ正直に言うとゴールドジュニアでは勝てるかどうか分からなかったんだが」
「ほー?オグリが実力で地方のヤツらに負けるとは思えんし…故郷の人と別れるのが辛くて上手いこと走れなかったんか?」
「すごいなタマ。タマはエスパーなのか…??」
「エスパーちゃうわ。まぁええ、そんなことより続き話してくれや。気になるやんか」
「あぁ、それで。皆と離れるのが嫌で足に重りがついたように動かなくてな。きっとそのまま走っていたら負けていたと思う」
「んなら、なんで急に走る気になったんや?」
「それはな…」 - 7二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 18:08:13
オグリはかなり地元への愛が強い。1日に1度は笠松のことを話したりするくらいには。
せやから、笠松大好きなオグリを中央へ行かせる気にさせた、走らせる気にさせたことはなんなんか、純粋に気になって聞いてみて…
「北原…私のトレーナーが言ってくれたんだ。《走れ》と」
そったら、いつもあんまし表情が出ないオグリが今まで見たこともない満面の笑みで嬉しそうに言った。
「だから私はあの時走れたんだ。勝てたんだ。ずっとずっと中央に行くか迷っていた私の背中を北原が押してくれたんだ。」
「ほーん。ずーいぶんその北原さんにお熱やが、中央来た後はどないしてんねん?北原さん中央のライセンス持ってないんやろ?そしたら結局離れ離れになってしまわんか?」
「一時的に離れ離れなだけだ。今現在北原は私と一緒に中央で活躍するという、東海ダービーに変わってできた新しい夢のためにためにライセンス取得で猛勉強中だからな」
「ほーん。となると中央に来れたら六平さんに代わって北原さんがあんたのトレーナーになるってことやな?」
「あぁ、そうだと思う。早く北原と一緒にトレーニングしたい」
なるほど。今までの出来のいいドラマみたいな経緯を聞いて、オグリが北原さんに執着する理由がよーく分かった。せやけどなぁ…
「うーんせやけど、いきなり地方上がりの人がオグリのトレーナーなんて相当反感買うんとちゃうか?その上今の担当の六平さんって超ベテランやろ?」
真っ先に思た疑問が思わず口に出た
「……どういうことだ?どうして私と北原が組むことが皆に嫌がられるんだ?」 - 8二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 18:08:55
珍しく耳を後ろに倒して随分不服そうな顔をするオグリ。まぁそう思うやろなぁ
「まぁ言いたいことは分かるで。いちいち外野に色々言われる筋合いは無いって言いたいんやろ?でもな、オグリは今をときめくアイドルホースや。あんたのファンは全国に数え切れんくらいいてな、その人達はあんたの笠松での北原さんとの話を知らん。その人達は北原さんのことを
《超強いオグリと何故か組んだ地方上がりの冴えないトレーナー》
って思うやろなぁ。おまけに元々敏腕の六平さんがあんたを担当してたからなぁ。余計そう思うやろ…」
「北原は冴えないトレーナーなんかじゃない、私の大切な、大切なトレーナーだ」
そうは言うけど、今度は耳を前に垂らしてしょぼんとしている。まぁ大切だからこそ、北原さんがそんな扱いを受けるかもしれん思たらショックやろなぁ
「まぁ、あくまで予想やけどな。中央で何人か他のウマ娘担当して結果が出たら納得するんやろが…」
そんなオグリを慰めよう思て、解決策を言うてみる。だがしかし、それにオグリはまたまた耳を後ろに倒して過剰に反応する。
「なんで北原が私以外のウマ娘と組まなくてはいけないんだ?」
「まぁ言ってしまえば実績作りやな。これが1番反感買わんと思うわ」
「でもわざわざ実績を作るために1度別のウマ娘を担当したら私と組む時間が少なくならないか?」
「せやな。まぁそりゃそうか」
「それに第一…」
「第一?」
「北原は私のトレーナーなんだ。他のウマ娘と北原が組むなんておかしいだろう」
不服そうな顔にまさかオグリから出るとは思わなかった言葉に思わずケラケラ笑てまう。
「な、なんだ?なんでタマは笑ってるんだ?」
「いやぁまさかあんたがこない分かりやすーく嫉妬すると思わんでなぁ。独占欲出しまくりやんけ、かわいーとこあるやん」
「??タマよく分からない私が何に嫉妬しているんだ????」
「なんやそないな事も分からんのか。まだまだオグリはお子ちゃまやのぉ」
「そんなことない。それにタマの方が身長小さいじゃないか」
「じゃかしい!それは言わん約束やろがい!」 - 9二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 18:09:46
それでもなお未だにオロオロ困惑するオグリにまた笑てまう
夢の為に一緒に走ることを約束するくらい、思わず独占欲が出てしまうくらい執着する、そんな相手がまさかオグリにいるとは思わんかった。
まぁこれが恋愛に転ぶかはビミョーもいいところやけど。どないな形でも2人は上手くいくやろな。何せ2人は…
「っにしても出会い方といいなんといい、オグリと北原さんってまるで『運命の人』やな!お互いがお互いを見つけたんや!」
素直に思たことを口に出す。
途端、オロオロしていたオグリの顔が一気に晴れやかな笑顔に変わる
「あぁそうだな!私と北原は『運命の人』だ!」
将来現れるであろう運命のタッグに、ウチは胸を踊らせた
いつかくるその日が楽しみや! - 10二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 18:11:19
終わり
とうとつにおもいついたからかきなぐった
個人的には北オグはこれくらいの無糖に近い感じが好き - 11二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 18:14:32
足さずに引かない感じがとても良い……感謝
- 12二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 18:14:59
乙
北オグは二人の信頼関係が尊いから北オグなのであって恋愛感情有る無しは野暮だと思ってる