- 1二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 12:53:39
「あーーあ、今日は一日中雨かあ……」
ウオッカは教室の席に頬杖をついて座りながら残念そうに窓の向こう側の景色を眺めていた。どんよりとした雲が広がる空に雨粒が容赦なく落ちて来る。それに風も強い。
「今日は何してすごそ。並走も出来ねえし、体育館は先輩方で埋まってるだろうしなあ……」
(トレーニングルームもいっぱいだろうなあ、高等部の先輩方押しのけてトレーニング器具使う勇気はないや)
「ウオッカーー」
そこへアストンマーチャンがやってきた。ちなみに今日、このクラスはダイワスカーレットなど3名が体調不良により欠席している。その為この教室もいつもより静かな雰囲気となっている。
「おっ、マーチャン」
「今日は雨ですねえ。ウオッカはトレーニングメニューとかどうするんです?」
「ああ……考え中。体育館もトレルームもいっぱいだろ? 俺ら中等部はどうせ高等部の先輩方に押しのけられるって。しかも今大事な時期だしさ」
「ですね。実はいい考えがあるんですけど」
「何?」
「ジェンティルさんのお部屋にいってみてはいかがです?」 - 2二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 12:58:26
「失礼しますーー……」
まだ雨が強く滴る夕方。ウオッカが尋ねたのは栗東寮にあるジェンティルドンナの部屋だった。アストンマーチャンに部屋番号を教えてもらったウオッカは1人、彼女のいる部屋にやって来た。
「どうぞ、お入りください」
彼女の返事を聞いてから、ウオッカはおそるおそる扉を開ける。するとそこにはジェンティルドンナだけがいたのだが彼女はピンクのダンベルを両手に持ち交互に動かしていた。それもタブレットでレース映像を見ながら。
ちなみにダンベルにはそれぞれ50キロと刻印がなされている。
「し、失礼します。中等部2年のウオッカです」
「ウオッカさんね。あなたの事はトレーナーなどからよく聞いているわ。で、この部屋に何の用かしら?」
「いいトレーニングないかなって。それでマーチャンに案内してもらって」
「なるほど。話は分かったわ。じゃあ私についてこれるかしら?」
ジェンティルドンナはダンベルを床の下に置いて、ベッドから立ち上がりウオッカと向かい合った。
- 3二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 13:02:17
「はい! あなたならもっと出来る!」
「こ、こっすか……」
「そう、体勢は間違ってないわ。その状態をキープするの」
まずは動画を流しながらの筋トレが始まった。それを30ほど行うと次は器具を使ったトレーニングに移行する。
「これお持ちなさい」
「おっ……!」
(結構重い)
「それが50キロよ。そこから70キロ、100キロ……と負荷をかけていくの。まずはそれでスクワットしてごらんなさい」
「こうすか……ぐっ……」
「もっと腰割って」
「はっ、はい!」
筋トレが1通り終わったのは夜の事だった。
「はあ……はあ」
「まずはこんな感じね。クールダウンも欠かしてはダメよ?」
「はい……!」
「良い返事ね。それと純粋な瞳……素晴らしいわ」 - 4二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 13:07:43
ウオッカはスキットルで水分補給を行いながらクールダウンを行い、更にジェンティルドンナが普段使っている筋トレの器具を眺めていた。
「先輩、これは……」
「ああ、これはおもりでしてよ。これを足首に巻いて走る事で効果が発揮されるという訳」
「なるほど……ってかこれ俺も持ってます。しかも同じカラーリングのやつ」
「あら、そうなの? 奇遇ね」
「こないだネット通販で買ったのが届いたんです。最初は筋肉痛がしたんですけどおとといくらいから慣れてきました」
「そう、慣れは良い事だわ。あなたも強くなりたいのね」
「はい!強くて速くなりたいです!」
「ふふっ。純粋に強さを追い求める姿はとても良くってよ。そうだ。あなた明日もここに来ない?」
「いいんですか?」
「ええ、雨じゃない日も筋トレを続けないと効果がでなくてよ。毎日コツコツ地道に積み重ねていくものだから」
「……それで先輩の身体もそうなったって訳ですか」
「そうね。ご名答」
(この子、勘も鋭い。これはいずれ間違いなく強者の側に立つウマ娘だわ。私も負けてはいられない)
ウオッカはそれから、彼女の部屋に筋トレしに足しげく通うようになったのだった。
- 5二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 13:08:08
以上です
ありがとうございました - 6二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 13:16:28
おつです
- 7二次元好きの匿名さん24/05/28(火) 14:30:09
良かった