アグネスタキオンの憂鬱【ダンポケ+α・SS】

  • 1二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 01:08:02

     やあ、諸君。今日もウマ娘の秘めたる可能性の探求に大忙しのアグネスタキオンだ。早速だが、君達は感情が走りにもたらす影響についてどう思う?
     まあ、トレセン学園に在籍する諸君ならば聞くまでもあるまい。誰よりも強い君に、憧れの貴方に、頂点を目指して、"勝ちたい"。その感情がもたらすモノは単純な言葉では説明できない領域にある。それは時に、本来の限界など軽く飛び越え、否、突き破る程の凄まじいエネルギーを生み出す。
     無論、この私も例外ではない。鋭い感情、視線、心の臓に突き立てられたソレは一瞬で全身を駆け巡り、次の瞬間脊髄反射のように脚が動く……我ながら、なんという感情の発露だろう!
     
     と、まあ至極当然当たり前の事を言っても面白くはない。折角なので、もう少し別のベクトルから感情のもたらす影響というものを考えてみようじゃないか。
     例えば、今私の後ろに二人のウマ娘が居る。態々聞き耳を立てるまでもないが、まずは二人の会話を聞いてみたまえ。

    「ポーッケちゃん」
    「なんだ?」
    「んー、呼んだだけ♪」
    「はは、なんだよソレ……な、ダンツ」
    「なあに?」
    「呼んだだけだよ」
    「そっか……えへへ♪」

     如何かな? 私の言う別のベクトルの感情が何を差しているか、まあ言うまでもないだろう。友人という関係を越え、更に深く強く結びついていく二人の関係……まあ早い話が"恋"だ。
     私が思うに、二人は互いに想い合っているんじゃないかと思うのだよ。と言うか、断言しても良いかもしれない。
     何故かって? 二人が私の研究室で駄弁るようになってもうしばらく経つのだが、今ではこうして私に簡単な挨拶をしたらすぐに二人でソファを占拠してやれ肩寄せ合ったりだのやれ膝枕だのと随分と見せつけてくれるからだよ。
     今日に至ってはどうだ? 横になったポッケ君に覆い被さるようにダンツ君が横になって二人して見つめ合ったり頬をむにむに揉んだり身体を抱き寄せたりさっきのような何の意味があるのか分からない会話をしたりと、私は一体何を見せられているんだい?
     全く、カフェの淹れたコーヒーやこっそり調達した厳選スイーツに舌鼓を打っていた頃が随分と懐かしいよ。

    「なあ、タキオン。今日はカフェは来ねーのか?」
    「今日は野暮用があって遅くなるそうだ。ティータイムステークスは発走遅延といった所だねぇ」
    「そうなんだ……忙しいんだね」

  • 2二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 01:09:31

    続きを全力待機

  • 3二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 01:12:32

    「ま、カフェ人もそういう日があるだろ。んじゃ、もうちょっとダンツとこうしてられんな」
    「あっ、もう、ポッケちゃんってば」
    「へへ……」
    「ふふっ……♪」
    「……」

     そうだねぇ……例えば、レースの直前にダンツ君が両手を取って優しくも力強い励ましの言葉を贈ったらポッケ君の走りはどう変化するのだろう、とか、同じようにポッケ君がダンツ君に脳髄が溶けそうな台詞を言って抱きしめるなどしたらそのポテンシャルは如何様に開花して更なる可能性を見せてくれるのか、とか。
     そんな事を考えなかったかと言われれば散々考えたし、今すぐにでも色々実験したりしてみたいのだが、それ以上に今言いたい事はただ一つだ。

     "カフェ、頼むから早く来てくれ"

     これに尽きる。こうして一人誰かに講義でもするかのようにアレコレ考えていないと保たないのだよ、色々と。
     トレーニングにでも出て行けば良いって? そうしたら当然のように二人も付いてくるんだよ。分かるだろう?
     流石に人前で抱き合ったりはしないが、ターフに出た所で二人が私の後ろで見せつけてくるのは変わらないのだよ。
     と言うか、カフェが来たらすぐにそういった行動をやめる辺り、人前にカウントされない私は一体どういう扱いなんだろうね? まあ、二人の事だからティータイムにスイッチしているだけなのかもしれないが。定番の"あーん"というのもあるコトだしね。

    「ダーンツ」
    「なーに?」
    「へへ、呼んだだけ」
    「もう、ポッケちゃんてば……えへへ……♪」

     私はここで思い切り背筋を伸ばし、すっくと立ち上がる。そして、爽やかな風がそよ吹く窓の外へ向かい、溜め息を一つ。

    「嗚呼、カフェ。早く来てくれたまえ。今は君のコーヒーが恋しくて堪らないよ」

     まるで叙事詩でも詠むかのように空に語り掛けてみるが、それでカフェが颯爽と現れる訳でも無い。
     今の私に出来る事は、後ろから聞こえてくる"タキオンはホントカフェのこと好きな"、"うん、すごく仲良しだよね"という微笑ましい会話を右耳から左耳へと流し、遠い目で空を見つめることだけだ。

     それでは諸君、今日はこの辺で暇乞いとしよう。次に諸君と会った時、ポッケ君達がどんなイチャイ……可能性を見せてくれるか、楽しみだねぇ。

  • 4二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 01:15:09

    以上です。ありがとうございました。
    ダンポケ沼に嵌ってココで色んなスレを渡り歩いた結果、タキオンの研究室で四六時中イチャイチャしてるダンポケとそんなダンポケが放つ糖分に少しカフェのコーヒーが恋しくなるタキオンという概念が降ってきたので取り急ぎ形にしました。
    イチャつくダンポケは健康に良い、この尊さはDNAに素早く届く。

  • 5二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 01:18:58

    ずっと死んだ目をしながら脳内モノローグ垂れ流してると思われるタキオンで笑ったwww
    良いSS読ませてもらった!ありがとう!

  • 6二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 01:19:36

    良い物を見せて頂きました…
    タキオンエミュが上手いのとダンポケのイチャイチャが可愛すぎたのが…
    頬をむにむにからの流れが悪魔的…良すぎます…

  • 7二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 01:29:25

    人前扱いされてないっぽいタキオンで思わず芝2000m
    ダンポケは良いぞ……

  • 8二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 01:49:57

    これはカフェから見たダンポケの印象も気になるところ

  • 9二次元好きの匿名さん24/05/31(金) 07:10:04

    朝から摂取するイチャイチャダンポケが金曜日の活力になる

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