ミレニアムの超天才ロリ天羽サイカちゃん妄想スレ

  • 1二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 20:07:40
  • 2二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 20:10:57

    立て乙。そんじゃちょっと書いてくるか…

  • 3>>14724/06/01(土) 20:46:14

    立て乙です
    明後日休みだから明日から続き書きたいと思います

  • 4二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 21:13:51

    そういえば銃って何使ってたっけ?

  • 5二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 23:03:47

    まあやろうと思えば腕にガトリングやサイコガンとか付けられるしね……
    特にこだわりもないだろうし

  • 6二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 23:04:48

    >>5

    >>4

    初代スレでロケットパンチしてたはず

  • 7二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 23:15:48

    保守

  • 8二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 23:16:18

    >>4

    個人情報全然わかんないんだよなサイカちゃん…

  • 9二次元好きの匿名さん24/06/01(土) 23:30:14

    自分を改造するのに一切躊躇いがないし生まれとかには微塵も興味もなさそう
    多分この子はトリニティの超名家の娘でも便所で出産されたとしても特定の誰かに言われたら自己改造に手をかけるような精神性なんだろうな

  • 10二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 00:27:30

    流石にそこそこ育ちはいいと思うけどね。少なくとも興味を持ったことをすぐに学べる環境にはいたはず。倫理観が育たなかった理由はわからん

  • 11二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 10:46:32

    ほしゅ

  • 12>>14724/06/02(日) 17:16:44

     ユウカちゃんに最近可愛がっている後輩が居ることは知っていました。
    あれだけの目立つ成果をあげ、さらに目立つ容姿をしている注目の新入生、
    セミナーの一人として知らない筈がありません。
    ユウカちゃんは可愛い子が好きで、問題を起こさない人が好きで、
    なにより向上心に溢れ常に挑戦し続ける人が好きでしたから、
    小さくて可愛らしくて大した問題を起こさず常に様々なチャレンジをし続け研究を重ねる彼女は
    それはもうユウカちゃんにとってお気に入りだったことでしょう。

     けれどとある日。ユウカちゃんがその後輩の研究室に行ったある日から
    彼女の様子がおかしくなりました。
    頭を抱えたり、手で顔を覆って何事か呟いたり、天を仰いでため息を繰り返したり。
    理由を聞いても『ごめんノア、なんでもないの』と繰り返されるだけ。
    なんでもない筈がないのは誰が見ても一目瞭然、つまりは言うつもりがないという意思表示。
    ならば仕方ありません。もう一人の事情を知っている人間に接触するしかないでしょう。
    あの子がもしもユウカちゃんになにかしたのであれば、然るべき対応を。

  • 13>>14724/06/02(日) 18:18:46

    「あっ、ノア先輩」

     果たして私の思惑を知ってか知らずか彼女は私を見てのほほんと笑っていました。
    とてとてと小さな歩幅で寄ってきて、笑顔で。

    「ユウカ先輩は大丈夫ですか? あれから全然会いに来てくれなくて……」

     寂しそうに眉を曲げながら私に不安げに聞く彼女に毒気を抜かれるとはこのことかと思うばかりで。
    そういえばユウカちゃんが最初に彼女を”偵察„しに行って帰ってきた時も
    似たようなことを言っていたっけ。

    「ユウカちゃんは、お仕事が忙しいのだけですよ。
     それより最後に会った時、どんなやりとりをしたか教えていただけますか?」

     なるべく角が立たないように、穏やかな調子で聞いてみる。

    「いつも通りの実験をしてたんですけど……ユウカ先輩に怒られちゃって」
    「怒られた?」
    「はい、なんで怒ったのかいまでもわからなくて……。
     あっ! でもその際に新しい知見も頂いて! いまはそっちの研究に取り掛かったんです。
     流石ユウカ先輩です。盲点だったところを指摘して頂いて、もうすぐ成果も見せられそうなんです!」

     なんで怒られたのかわからない。
    なんで研究や実験の邪魔をされるのかわからない。
    それはまぁセミナーとしての職務を遂行する上でよく言われる事。
    『確かに沢山お金を使ってるけど成果出してるんだからいいじゃないか』とか
    『副作用あるけど確かに効くの! だから許して!』とか『自爆装置はロマンだから外せるわけない!』などなど。
    エトセトラエトセトラ……。
    なるほど、この子もまた根っこのところではミレニアム生の多分に漏れず厄介なところがあって、
    猫かわいがりしてたユウカちゃんからすればそれがショックだったのだろうか。

  • 14二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 18:28:40

    こっからノアが壊れていくのね……

  • 15>>14724/06/02(日) 18:38:35

     少なくともこの子がユウカちゃんに悪意をもってなにかした、という可能性は薄そうで安堵の息をついて。
    それから少しだけ新しい研究とそれに伴う新規開発について話を聞きました。

     曰く高性能で遠隔操作可能なマニピュレーターや
    対象の硬さや形状に合わせて的確に切れ味が変わり滑らかな切断を可能にする高周波カッター。
    そして脳波信号を拾い自分の身体のように動かせる次世代の義肢。
    プランや基本構想を軽く聞いただけでこの子が本当に前代未聞の天才であると改めて感じる。
    きっと多くの人の役に立ち、多くの人が喜ぶ発明だろう。

    「なるほどわかりました。では、いい結果をユウカちゃんとお待ちしてますね」
    「はい! 任せてください!」

     そういって鼻息荒く意気込んでこちらに手を振りながら自分の研究室に戻る彼女を
    その日はただ見送った。一応念のためそれから数日彼女を遠巻きに観察しては見たものの、
    自身が言っていた通りの研究を進めているようで問題があるようには見えなかった。
    特にエンジニア部は彼女の開発しようとしていたツールに大喜びで協力していたし、
    短い期間で瞬く間に仕上がっていくそれを眺めているのは遠巻きに見ても見事の一言で。

  • 16>>14724/06/02(日) 18:50:16

     ……そう、見事の一言だった。繰り返しになるけれど、本当に天才だと感じた。
    そして天才の手から緻密な計算の元産みだされるツールの数々は芸術と言っても過言でないとすら感じた。

     だから全く想像していなかった。
    それらのツール全てが、芸術と感じた多くの機器が、
    彼女にとって一つの目的の為に作られたただの通過点でしかないのだと。
    取るに足らない過程の一つでしかないのだと、想像できやしなかったのです。

    「……以上が、ユウカちゃんの代わりにここ数日彼女を観察した内容です」

     だから私は深く考えずにそう報告した。
    彼女はいまこんな研究をしてこんな感じで他人と協力して成果を出してますよ。
    貴女が怒ったことは聞きましたけどとりあえず私から見た彼女に問題はないですよ。
    なのでそろそろ元気出してください。なんて、そんな気分で。

    「……切断機、義肢。……遠隔操作のロボットハンド……まさか!?」

     私の報告を聞いたユウカちゃんはしばらく考え込んだあと、顔を真っ青にして勢いよく立ち上がり
    駆けだして行きました。書類をばらまいて、途中机にぶつかってひっくり返って。
    それでも止まらない鬼気迫る様子で。

    「ユウカちゃん!?」

     何がきっかけかわからず、それでも私も慌てて後を追いました。
    余りになりふり構わない彼女の全力疾走を必死で追いかけること数分。
    辿り着いたのはあの子の研究室。

  • 17>>14724/06/02(日) 20:03:59

    「すぅ……はぁ…………入るわよ」

     やっと追いついて息を整えるも間もなく、
    扉の前で私を待つためではなくまるで覚悟を決めるかのように立ち止まっていたユウカちゃんが扉を開く。
    そして、その中に広がっていた光景は、きっと私でなくても忘れることはできないだろう。

    「あっ、ユウカ先輩。丁度いいタイミングです! 見てくださいこれ! 格好いいでしょ!」

     トレードマークの白衣を脱ぎすて、上半身に肌着のみをつけた姿。
    なんでそんな恰好を? なんて疑問はでませんでした。
    だって、見ればわかる。なぜそんな恰好をしているのか、その必要を。

    「な……なんで、そんな」

     彼女利き腕が、肩から先丸ごと機械の物にすげ変わっていた。
    切断した際に飛び散った血を浴びたのか金属光沢に淡い朱色が混ざりどこか幻想的な、
    妖しい雰囲気を醸しだしていた。

  • 18>>14724/06/02(日) 20:04:09

    「ユウカ先輩の言った通りでした!
     自分の身体でやる方が具体的な改善点がわかりやすいですね!
     動物で実験したときは何故転倒するのか、動作がぎこちないのかわからなかったんですけど、
     これタイムラグが発生してるみたいです。脳から動かす命令がでて実際に身体が動くには0.1秒の誤差がある
     訳ですけどそれが微妙に延長されちゃってるんですよ。だから連続して動かし続けると誤差が大きくなって
     脳がズレを処理できなくて転倒したりするみたいです、だから―――」

     朗々と自分の実験結果を語る彼女。
    ようやく私はユウカちゃんがあの日ここで何を見て、何を抱えていたのかを理解した。

    「なんでそんなことを……しちゃったのよ。なんで!?」

     目に涙を浮かべながらユウカちゃんが演説を遮って彼女の肩を掴む。
    叫んだ声が部屋に反響してわんわんと鼓膜を揺らしていて、
    でも私はただ茫然とそれを眺めることしかできませんでした。

    「だって、ユウカ先輩が自分の身体でやれって言ったんじゃないですか」

     きょとんとした顔で答える彼女。
    私はそれに心から恐怖しました。

  • 19二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 21:11:49

    これ地味にウタハたちも曇る奴じゃん
    後輩が素晴らしい設計を持ち込んできてウキウキで作ったんだろうな

    使用用途もそこまで深く聞いてなさそう

  • 20二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 21:13:22

    なんなら聞かなくても設計図とか見てどういう物か理解しちゃって聞かない可能性ある
    医療用のかなぁぐらいで流しちゃうかもしれん

  • 21>>14724/06/02(日) 21:25:16

    ―――

    「だって、ユウカ先輩が自分の身体でやれって言ったんじゃないですか」

     あっけらかんとした言葉。
    それはあまりにも無垢で、あまりにもいつも通りで。
    私にとってあまりにも重たい台詞だった。

    「ち、違うの……そうじゃ」

     喉がきゅっと締まった。言葉がでなかった。
    私の軽率な一言で彼女は自分の腕を失った。
    あの日、あの時。余りにも純粋無垢な彼女の思考回路は私達と一線を画しているのはわかっていたのに。
    怒りと衝動のままに放った言葉、それがこんな結果を招くなんて思ってなかった。

  • 22>>14724/06/02(日) 21:25:51

    「なんで……なんでよ。そんな、自分の腕を落とすようなことを……なんで」

     掴んだ肩。片方は温かい女の子の身体。
    けど反対側は固くて冷たい金属の感触。
    私が、私の軽率な発言がこの結果を招いた。
    こんな小さな女の子の、腕を、私が奪ったんだ。

    「違うの……そうじゃないの、そんなつもりじゃ……なかったのよ……」

     視界が滲む、涙が止まらなかった。
    あの日どうすればよかったのか、もっと他に方法があったはず。
    少なくともこんな結果にならないやり方があったはずなのに、感情に任せてしまった。

    「ごめんなさい……ごめん、なさい」
    「ユウカ先輩、そんなに私の腕が大切ですか?」

     謝る私に彼女は相変わらず困惑したそぶりを見せた後そう聞いた。

    「当たり前でしょ!」

     細くしなやかな指で次から次へと未知を既知へと誰かの理想を現実に産みだす
    天才の指先。それが今は武骨な機械になってしまっている。
    それが悲劇でなくてなんなのか。けれど私がそう答えると彼女は満面の笑みでこう続けた。

    「じゃあ私の腕あげます。もう私はいらないですから」

     そういって、切り落とされ乱雑に転がっていた力無い腕を、私に差し出した。

     ―――私の意識は、そこで途切れた。

  • 23二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 04:14:20

    美しい…

  • 24二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 08:00:42

    >>22

    腕をユウカに渡す展開って1スレ目の時に既に考案されてたのか…(見返してて気付いた)

  • 25二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 11:52:18

    (ユウカの心とノアの正気が)死んだな…

  • 26二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 13:31:28

    ※ここはまだ共通ルートです

  • 27二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 13:34:29

    >>26

    そ、そうか?ユウカの言うこと聞いてるからもうユウカルートだと思ってたんだけど

  • 28二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 20:32:00

    ―――

    「こちらお願いします」
    「はい、確かに受理しました」

     一人きりの執務室で書類を受け取る。
    一人きり。ユウカちゃんは……いない。

    「……ふぅ」

     溜息を吐きながら思い出すのは失神したユウカちゃんの青白い顔と
    それを見て半泣きで呼びかけてこちらに助けを求めるあの子。
    結局彼女を宥めて、ユウカちゃんを保健室まで一人で運んだのが昨日の事、
    未だにユウカちゃんは目覚めていない。このところずっと悩んでいて寝不足気味だったのもあり
    多分今日の放課後くらいまでは寝ているでしょう。

    「本当に、あの子は人の心がわからないんですね」

     ユウカちゃんを好ましく思ってるのは確かだと思う。
    全身の力が抜け膝からすっと頽れるユウカちゃんに駆け寄ったその姿も、
    何度も名前を呼ぶ声も、心配そうな表情も、揺れる瞳も、全て真実に見えた。
    ……勿論、彼女の本質を昨日のあの瞬間まで見破れていなかった私が真実だのと宣ったところで
    その信憑性は幾許もないでしょうけれど。それでも、慕っているのは本当だと思う。思いたい。

  • 29二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 20:34:10

     けれどそれだけ。ユウカちゃんがこれまで悩んでいたことも、その理由も、
    昨日の言葉も、なぜ声を荒げたのか、何故あれほどのショックを受けたのか、
    その一切合切を彼女は最後まで理解できていないように見受けられた。
    いや、こっちに関しては断言できる。
    彼女は欠片もユウカちゃんの気持ちを理解できてはいないだろう。

     もし一割でも理解できていたなら。
    いえ、理解できずともユウカちゃんの言葉が少しでも心に響いていたのなら。
    こんな『報告書』が昨日の今日であがってくるはずがないのだから。

    「……これは」

     第二次義肢換装実験と題されたその報告書には、
    まるでプラモデルの様な気軽さで自身の足を切り落とし
    飛行機能の付いた機械義肢と取り換えた実験の一部始終が簡素に、それでいて詳細に記されていた。

    「うぐっ……」

     途中まで読んで、昨日の光景がフラッシュバックして吐き気が込み上げて
    最後まで読むのを諦めそれを引き出しの奥深くにしまう。

    「……はぁ。これは、ユウカちゃんには見せられませんね」

  • 30二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:23:08

    「やるぞ!」から「できた!」までが早すぎるんや・・・

  • 31二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 10:38:33

    保守

  • 32二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 11:28:25

    サイカちゃんは動物の非人道的な改造を平気でやる科学者の顔と倒れたユウカ先輩を心配する愛らしい後輩の顔を併せ持つ……♡

  • 33二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 13:58:02

    この子の神秘の元ネタなんだろう?
    個人的には聖杯とかの願望器かなと思った

  • 34二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 13:59:22

    >>33

    前スレでパンドラの箱とかアスクレピオスとかは言われてたな

  • 35二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 14:19:28

    読んでて背筋に悪寒が走るぜ
    素晴らしい

  • 36二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 14:21:07

    研究の為に自身を改造する、後輩としてユウカを慕う、どちらも本当で嘘偽り無いのがなぁ。

  • 37二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 14:37:29

    持ち主(一番好きな人)の願望を最優先するならあの倫理観の低さにも納得できるし
    最終的には願望器じゃなくて人になったって考えるとかなりエモイなと思った

  • 38二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 18:32:55

    ―――

     ツンと鼻につく消毒液の臭い。
    白いシーツに白いカーテンに白い壁紙の白い部屋。
    私が寝ているベッドを囲む独特なアコーディオンカーテン。

    「……保健室?」

     目が覚めたばかりのぼんやりした頭ではここがどこかはわかっても
    何故ここに居るのかがすぐには思い出せなかった。

    「えぇっと……」

     順序だてて一つ一つ思い出していく。
    ノアとの会話、焦って研究室に向かったこと、そして見たもの、交わした言葉。
    無残に切り落とされもう動くことのない、細く嫋やかな腕。

    「っ!」

     そこまで思い出して慌てて立ち上がろうとする。
    またあの子の所に行ったところでなにができるわけでもない、
    なにを言えるわけでもない。それでもじっとしてられなくて。
    けど、布団を捲ってベッドを降りるより先に静止の声が届いて私の目論見は未遂になった。

    「おはようございます。ユウカちゃん」

     少しやつれたノアが真剣な面持ちで立ってこちらを見下ろしていた。

    「さぁ、ディベートの時間です」

  • 39二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 19:03:00

     なにを言ってるの? 今はそんな場合じゃない。
    そう口にしようとして、できなかった。
    ノアの雰囲気の所為かもしれないし、その直前までしていた思考の所為かも知れない。
    どれだけ私がここで慌てて急いで押っ取り刀であの子の元に戻ったところで腕は治らないし
    彼女の価値観や優先順位等が変わるわけでもない。れっきとした事実として
    私はあの子の良き先輩として導くことなんてできやしないのだから。
    唯一あの子に与えられた影響は後悔してもしきれないあの言葉だけ。

    「……」

     だから私はノアの言葉になにも返せずただベッドに座ったまま動くことができなかった。
    ただ黙ってノアの意図を、真意を探るように見上げるだけ。

  • 40二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 19:30:33

    「アンドリュー、という映画が昔ありましたね」

     そうして少しの間見つめあい、ノアは唐突にそう言って私の横に腰かけた。

    「家庭用のお手伝いロボットのアンドリューは人に恋をして、
     ロボット故に共に歩めず、人になろうとしました。
     何十年もかけてアンドリューは”老い„と”死„を手に入れ、死にゆく間際に人として認められますよね」
    「そうね。でもねノア、それは言ってしまえばどこからロボットでどこから人間かのボーダーがあるという話よ。
     逆説的に人間が機械に身体を交換していけばやがて人間扱いされなくなるってことじゃないかしら」
    「そうでしょうか? 奇しくもミレニアムには一名いますよね。
     まだ出会って間もないからその事実を意識していませんが、
     アンドリューのように”老い„や“死„を手に入れていないにも関わらず一生徒として受け入れられている子が」

     アリスちゃん。人ならざるモノ。世界を滅ぼしかけた存在。
    それでも今はゲーム開発部の一員で、友達で、ミレニアムの生徒。

    「ペースメーカーの様な生命維持の補助装置や機械義肢はこれまでもありました。
     どこからが人間でどこまで機械化したらサイボーグになるんでしょうね?
     そしてその先にロボットのようになったとしてそれはあの子じゃなくなるとユウカちゃんは思うんですか?」
    「ノア……」
    「少なくとも彼女の行いを止める正当性を私は持っていません。
     なにせ施術者と被験者が同一人物ですからね、ここまで完璧にインフォームドコンセントが取れている事例も
     過去にないでしょう。となればあとはユウカちゃんが抱いているのはピアスを開けたり
     タトゥーを入れたりすることに対する忌避感や嫌悪感の同類ではないでしょうか」
    「でも、腕よ!? 腕を切り落とすなんてそんなの……」
    「腕であっても、です。それでもなにか言う権利は私達にないんじゃないでしょうか」

     わかっている。権利をいいだしたらその通りだ。
    私が言っているのは『病でもない身体にメスを入れるなんて』みたいなまるでブラックジャックの信念染みた感情論。

  • 41二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 19:32:41

    「怖いのよ……このままじゃあの子が全くの別物になってしまうんじゃないかって、
     テセウスの船みたいに」
    「コギト・エルゴ・スムですよユウカちゃん」
    「……我思う故に我ありの原語だったかしら」
    「はい。私は自己を確立するのは記憶の連続性だと思ってます。
     ですからテセウスの船で言うと入れ替わり続けた方が正しく船だと思う派ですね。
     入れ替わり捨てられたパーツでもう一度組み上げられた船は新しい記憶が積み重ならないので」
    「記憶の連続性……そういえばノアは昔五億年ボタンの話を凄く怖がっていたわね」
    「そうですね。だって五億年過ごした地続きの自分は最後は死んでるも同然ですから」
    「でも、その連続性も機械で取って代わられたら?
     あの子は既に内臓だけでなく脳まで作ろうとしているのよ?
     その時あの子はあの子にしか見えないでもあの子じゃないただのプログラムになっちゃうんじゃないかって」
    「それはもう哲学的ゾンビみたいな話になってしまいますよ。
     我思う故に我あり、自分は自分であって自分でしかない。みたいな一種のトートロジーの様な考えも
     アイデンティティの確立には重要なファクターでしょう? あの子があの子であるかどうかはあの子が決めるのでは?」
    「……ノアは、私が間違ってるっていうの?」
    「いいえ。違いますよユウカちゃん、貴方が抱いているものは人が人として生きてく中で
     自然と獲得する価値観に根差すものです。私だってユウカちゃんと同じ様なものを抱いています。
     でもそういった感情論であの子は止まらないでしょう。だからユウカちゃん、私に勝ってください。
     あれからユウカちゃんが寝ていた一日半、たったそれだけの時間でくみ上げた私の理論武装程度撃ち抜けなければ
     あの子になにも届きませんよ」

  • 42二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 21:30:12

    これ多分勝ったらダメなやつでは…?

  • 43二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 21:35:22

    本気で止めたなら実験止めてくれるかもだけど倫理観が普通じゃないから同じあるいはもっと悪い実験する可能性があるんだよね今のままだと

  • 44二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 21:45:49

    ここまで来るともう哲学の領域なんだなぁ

  • 45二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 22:02:10

    超天才設定がめっちゃ悪く働いてるんだ…

  • 46二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 22:21:00

    これノア的には説得できないと諦めてサイカにこれ以上関わらせないようにユウカを論破しようとしてるのかな?

  • 47二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 00:46:33

    >>46

    逆かと思う

    ただ、ノアは自分じゃ止められないとも思っていて、だからこそ付き合いの深いユウカに説得して欲しいんだろうね

    「勝ってください〜あの子に何も届きませんよ」だから

    でも、サイカ相手だとその思考回路のせいで一般論は通らない。だから変なこと言って悪化させないようにってのと、思考の整理・感情の言語化のために、ノアはあえて敵役になって「ディベート」に持ち込んだじゃないかな

  • 48二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 01:40:18

    >>47なるほど勝って欲しいのかぁ……

  • 49二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 02:46:13

    哲学的ゾンビだのインフォームドコンセントだの映画の例えとか
    知らない単語いっぱいで賢そうな人同士の会話うまいなあーって思った

  • 50二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 10:44:19

    保守

  • 51二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 17:27:17

    そう言えばサイカちゃんが本編軸で救われたのはユウカが「自分も改造してほしい」って言いだしてサイカちゃん自身が「大切なユウカさんが別の何かに代わるのは嫌だ」って言う人間性に気づけたからだしそれを考えると動物に改造を施してるときにそれを見たユウカがサイカを叱ってサイカ自身が行っていた改造実験の対象をサイカ自身に向けさせるのは必須行動なんだよね
    改めて見てもサイカがハッピーエンドになるための難易度が高すぎる……

  • 52二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 20:35:38

    ―――

    「っ……」

     なにかを言おうとして、けど声にならないままに口を噤む。
    そんなことを何度も繰り返すユウカちゃんをただ黙って見つめていました。
    仕方ありません。たった一日半とは言いましたが、けれどそれで充分。
    考えれば考えるほど、感情を排し冷静に客観的に見た時。
    余りにもあの子のやっていることは非難することも否定することも難しいという事実に突き当たります。
    法にも規則にも道理にも悖らない。

     実際問題彼女の研究が完成すれば今後多くの人に希望を与えるでしょう。
    先天性後天性問わずあらゆる障害・傷病から救われる。
    いつかどこかで誰かが抱える嘆きを、苦しみを、痛みも、諦めを、絶望を。
    その全てを掬い、救う。そしてその過程で使われるのは彼女自身の身体のみ、
    産みだされるものと失われるものを天秤にかけた時、その重さの比は比べるべくもない。

    「まぁ勿論。方法がないわけじゃありません。
     あの子の理解も納得もその一切を諦めてユウカちゃんが慕われている先輩として、
     セミナーの会計として、その立場の優位性を使って問答無用で研究を停止させることもできるでしょうけど」
    「それは……ダメ。私は自分や人を傷つけたり弄ぶような真似をして欲しくないだけ。
     あの子の生きがいや目標や夢を奪いたいわけじゃないの。
     そもそも、それら全てを失って生きるのなんて、機械化と同じくらいあの子という個を殺す行為じゃない」
    「ユウカちゃんならそういうと思ってました」

     ゲーム開発部の存続がかかった賞の発表。
    まるで我が事のように飛び上がって喜んでいたユウカちゃんですから。
    セミナーの会計としてキツいことをいう事は多くとも誰よりもミレニアムの生徒一人一人を見て
    大切に思い愛してやまないユウカちゃんがそんな選択を良しとするとは思えない。

  • 53二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 20:51:54

     しかし”自分や人を傷つけ弄ぶ真似„ですか。
    気絶したユウカちゃんを運ぶ際、奇妙な動物と機械の合いの子のような存在が視界に入ったのを覚えている。
    あれは、つまりはそういう事なのでしょう。あくまで想像、だけれどほぼ核心をついた確信がある。
    わざわざ聞くような真似は、するつもりはない。ユウカちゃんの為にも、私の為にも。

    「ふぅ……」

     溜息のような深呼吸のような。
    肺の下の方に溜まった澱の様なものを虚空に向かって吐き出す。

    「一度落ち着いてくださいユウカちゃん。
     このままではあの子の前に貴女が壊れちゃいます」

     何かを言わなくては、けれど何も言い返せない。
    そんな陰鬱そうな空気を纏っているユウカちゃんに優しく諭すように声をかける。
    正直に言いましょう。あの子が私の事を『大好きな先輩と仲のいい人』程度に思っているのと同様、
    私もあの子の事を『ユウカちゃんが目をかけている子』という風に認識しています。
    あの子の行い、功罪、倫理や道徳的な問題。
    ユウカちゃんが壊れるくらいなら、無視しても構わないと思っています。

  • 54二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 20:52:59

    「繰り返しになりますが結局のところあの子の行いを止めることはできません。
     感情的に、道徳的に、倫理的にユウカちゃんが間違っていないのと同じくらい、
     合理的に、法律的に、社会的にあの子もまた間違っていないんですから」

     さらに正直に言いましょう。ユウカちゃんにも言えない本音を、
    あの子の本性を見てから考えて辿り着いた私の本音を。
    人間は理性と本能で生きています。積み重ねた知識や経験から導き出す理屈や計算、
    そしてそれと相反する衝動と感情。どちらも持ち合わせていて、振り回されることもある。
    感情はつまり心であり、理屈からずれた一貫性のない機嫌や好き嫌いで行動原理が変わる不完全さが人らしさ。

     ――だとすれば、それら一切合切を持ち合わせていないあの子は、
    わざわざ機械化するまでもなく、電脳化しプログラムで再現するまでもなく。
    とっくにロボットなんじゃないでしょうか? ……私はそう思ってしまうのです。

  • 55二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 21:33:05

     人の言葉を理解できない。
    感情を理解できない。
    道徳も倫理もなく合理性と効率を最優先に目的へ最速で最短に進んでいく。
    あんなものは人間として間違っている。存在そのものがバグ。
    こうなってくるとユウカちゃんが好きだという言葉すら疑わしい。
    自分自身を大切にできないモノが誰かを大切に思えるのだろうか?

    「かける言葉も見つからないまま、どうすればいいのかもわからないまま。
     お互いに交わらない価値観でぶつかりあっても傷つくだけですよ」
    「それは……」

     問題はユウカちゃんとあの子を引き離せば済む問題ではないこと。
    法っておけば必ずあの子は研究開発を進める。それがユウカちゃんの耳に入らない筈がない。
    既に瞬く間の行動力で脚を切り落とした彼女は今後も短いスパンで次々に実験を重ねていくだろう。
    それを止めなければユウカちゃんの苦悩は消えない。
    具体的なやりとりはわからないけれど先程確信を得たアイボもどきと
    あの子が口にした『ユウカ先輩が自分の身体でやれって言った』という台詞。
    情景はまざまざと浮かぶ。ユウカちゃんの心を守るためにはあの子をどうにかしなければ。


     だからあの子には変わってもらわないといけない。
    確かにあの子は突出している。けれどそれは外側ではなく内側に向かってる。
    つまるところ欠けているのだ。外ではなく内向きに尖っている。
    その鋭さが未来を切り開くのかもしれないけれど、同時に私の大好きな人を傷つけるのなら
    刃を潰さなくてはいけない。丸くなってもらわなくてはいけない。
    そしてそれができるのはユウカちゃんだけ。……とんだダブルバインド。

  • 56二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 07:42:07

    続き待つために保守

  • 57二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 08:23:20

    本編以外のやりかたでサイカを真っ当にする方法ってある?
    このままだとユウカ普通に説得しに行きそうだけど……

  • 58二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 14:48:01

    >>57

    そもそも自分がSS書こうと思った理由が前スレ>>147なんで、真っ当にする方法とか上手く説得する方法とか

    丸く収める方法とかその辺は全く思いつかないし考えてもいないのだ

  • 59二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 22:32:13

  • 60二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 08:51:14

    保守

  • 61二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 12:27:44

    別に妄想スレというか完走スレみたいなものなんだから
    SSなくても保守じゃなくて雑談してええんちゃうの

  • 62二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 19:21:06

    なんか流れ切るのも悪いかなぁ、と思っちゃって。
    ハッピーエンド√ではサイカとノアは互いのことどう思ってるんだろうな。基本的にサイカの感情がユウカ以外に傾かないからよくわかんない

  • 63二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 22:37:09

    サイカとノアはユウカちゃん(先輩)好き仲間になって語り合って欲しい。ユウカはそれをたまたま聞いて赤面しながら怒って欲しい。

  • 64二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 10:15:35

    自己改造方面に興味向いたからよかった(?)けど世界線によっては神秘そのものに興味向いた世界線とかもあったりするのかな

  • 65二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 18:50:45

    ―――

     結局、ノアの言う所の”ディベート„を通してわかったのは今の私にはなにもできないという事だった。

    「……前向きに考えましょう」

     そう、前向きに。
    考えようによっては一歩前進したともいえる。
    あの日の私はなにもできないという事実もあの子との価値観や倫理観の違いも理解せず
    ただ『自分の持つ価値観こそが正しい』という考えの上で言葉をぶつけた挙句
    取り返しのつかない結果を導き出してしまった。

    『ユウカちゃんの考えが纏まるまでは私が出来る限りフォローします』

     そういったノアの言葉を信じて今は自分を律するべき。
    私にはセミナーとしての立場がある。 
    あの子一人に持ちうる時間の全てを使う事が許されはしない。
    考えよう、あの子を止めるための言葉を。
    あの子に自分の価値観を押し付けるのではなく、それこそノアとしたように
    正面から腹を割ってお互いの考え、物の見方、道徳的見地、それらをぶつけあい擦り合わせ
    お互いが納得できる妥協点を見つけないといけない。

  • 66更新遅れて申し訳ない24/06/08(土) 18:51:04

    「こういう時、先生ならどうするんだろう」

     先生に助けを求めることは一番に思いついた。
    けど先生は先生だから。生徒の夢や、信念や、願いや、目標を否定することはない。
    それは七囚人への接し方を見ればわかる。
    あの人は絶対に“その考えは間違ってるから改めるべき„みたいなことは言わない。
    なら先生に余計な負荷はかけたくない、きっとあの人は私の罪も背負おうとしてしまうから。
    それに先生に助けを求めることはあの子と向き合うことを諦めてしまうのと同義な気がする。
    もう少しだけ、頑張らせて欲しい。そう思うのはきっと我儘なのだろう。


     ……本当に、我儘だったのだろう。

  • 67二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 19:27:52

    ―――

     ユウカちゃんとの”ディベート„から10日ほど経った。
    『私が出来る限りフォローします』と言った手前、自由に使える時間のうちほとんどを
    あの子の監督・監視を行いました。私にできる限りの言葉を駆使しました、
    ユウカちゃんの考えを自分なりに伝えたつもりでした。
    どうか一旦その研究を一時中断して欲しいと、ユウカちゃんが再び貴女の前に
    しっかりと自分の足で立てる時まで待って欲しいと、そんな気持ちを込めて全力で代打の役に取り組んだつもりです。

    「うぐっ……おぇ…………はぁっ、はぁ……」

     結論として、彼女は私の言葉をまるで聞き入れませんでした。
    いえ、聞き入れないというと語弊があります。
    より正確に言うであれば理解してもらえませんでした。
    あの子はどこまでも一途で、どこまで純粋で。

    『ユウカ先輩の言っている事がわからなかったのは自信が未熟だから、
     だからもっと重ねよう、もっと続けよう、そうして先に進めばきっと真意がわかるはず』

     そう信じていました。
    私がユウカちゃんの意図を伝えようとすればする程、
    彼女が意図を汲めていないと言えばいう程、彼女は研究にのめり込んでいきました。
    結果として彼女の研究は加速の一途を辿り、観察していた私はその過程を多く見る羽目になりました。

  • 68二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 19:37:28

     たった10日。
    そう、たったの10日です。
    その間に彼女は自身を改造し改良し改善しつくしました。
    自分が開発したロボットアームを駆使し腹部を開き、臓器を掻き分け、摘出し、入れ替える。
    心臓を、肺を、膵臓を、肝臓を、腎臓を、胃を、腸を。
    研究し、実験し、開発した金属のソレへと入れ替えていきました。

     普通に生きていれば見ることのない人間の中身。
    引きずり出される内臓と代わりに捻じ込まれる機器。
    血飛沫、肉の切り開かれる音、匂い、湧き上がる吐き気。

     たったの10日、それだけで私は限界に達しようとしていました。

  • 69二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 19:57:15

    >>67

    「あの子はロボットじゃない」ってことも分かっちゃったんだろうな……

  • 70二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 20:42:32

     どうすればよかったのかわからない。
    元より私にできることが少ないのはわかっていた。
    繰り返しになりますがあの子が私を『ユウカちゃんと仲の良い人』程度にしか思ってないのはわかっていて、
    だから私が言う事なんて大した影響を与える事なんてできないだろうとは思っていました。
    けれど”ユウカちゃんと仲が良い人„だからこそ私が言うユウカちゃんの代弁はそれなりに効果があるのでは
    なんて楽観的に思っていました。

    「おぐぅ……げほっ! ……うぇ」

     その余りにも自分にとって都合のいい考えが齎したのは
    ユウカちゃんに伝えることのできない研究の数々と、悪夢で眠れなくなった夜だけ。

  • 71二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 20:50:10

     悪夢。悪夢。悪夢。
    消え失せない記憶が、鮮明に残る経験が、毎夜毎晩私を苛む。
    それでも私は歩みを止めることができませんでした。
    この光景をユウカちゃんが見れば確実に壊れてしまうことがわかっていたから。
    この光景をユウカちゃんに伝えれば確実に暴走してしまうことがわかっていたから。

     耐えなければ。
    何はともあれ耐えなければいけない。
    それが私にできる唯一の大事な大切な友人に対する最大の献身だと思って、
    とにかく痛む頭を、軋む身体を無理やり動かして彼女に接し続けました。

     ―――そうしてさらに数日が経ちました。

  • 72二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 20:57:07

    怖いのは「作り替える」「すげ替える」ことが根幹に思う
    アリスはいいんだ、最初からロボットだから

  • 73二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 21:19:27

    ―――

     その日も彼女の研究室に向かいました。いつもの彼女の研究室。
    ここ数日、開けるのが怖くてならない一枚の戸。
    開けたくない、もう許して欲しい。そう思いながらもこれをユウカちゃんに見せるよりは、と
    足を踏み入れてきた空間。けれどその日はいつもと異なる様相を呈していて。

    「―――」

     今までなかった分厚い強化ガラスの向こうに横たわるあの子。
    機械のアームがいくつも伸びて、その先端には高速で回転する刃。
    切り開かれる頭蓋。

    「え、……は?」

     理解は遠く、淡々と進行する作業に思考は追いつきませんでした。

  • 74二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 21:23:46

     だって、脳が。

     そう、脳が。

     おかしい、なんで?

     なんでこんなことを。

     理解できない、普通じゃない。

     人、人はだって首を切ったりしたら。

     頭が割れたりしたら、死んでしまう。

     死んじゃうんですよ、そんなことをしたら。

     ぬめった音、くちゃくちゃと、ぴちゃぴちゃと。

     朱色の世界、切り開かれた頭、それでもこちらに気づいて動く瞳。

     むき出しの脳。

     脳。脳。脳。





    「あぁぁぁぁあぁぁ!!!!!!!」

  • 75二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 21:27:10

    脳みそぱっかーんを直に見たらそりゃあまぁ

  • 76二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 00:56:05

    えっユウカよりダメージ残りそうなノアにこれ見せてんの??ノアの精神壊れない?大丈夫?

  • 77二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 03:33:09

    これで全く失敗しないマジの天才だからなぁ…
    失敗から学ぶ事が一切ない

  • 78二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 09:07:48

    優れた化学は魔法と見分けがつかないと言うがここまで来るともう神の領域に手をかけてるんじゃないか

  • 79二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 13:15:00

    「う”ぇ……ごほっ……ぁぐ」

     以前あの子が言っていました。
    身体を弄る以上衛生面に気を遣っている、と。
    研究室内は徹底的に清潔に。そう言っていたピカピカの床に
    込み上げてきたものをぶちまけてしまった。

     ユウカちゃんの代わりにとこの子に深く関わり続けて、
    多くのものを吞み込んできました。
    これまでだって色々見てきました。
    『部分麻酔してるので大丈夫ですよ?』なんて的外れな発言をしながら
    自分の身体を自分で弄る様だって、なんとか呑み込んできました。

    「がっ……えほっ」

     でも、これは無理。
    もう無理でした。今まで黙って呑み込んできた全部があふれ出たかのように
    止め処なく吐瀉物が込み上げて、口だけでは脱出口が足りず鼻にまで逆流する。
    胃が痙攣して呼吸がままならず涙で滲んだ視界。
    けれどいくら視界が滲んでも、目を背けても、瞼を閉じた暗闇の中であっても、
    既にはっきりと見てしまった私の頭の中にはその光景が鮮明に映って消えてくれない。

  • 80二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 13:21:44

    「―――」

     あの子が何かを言おうとして口を動かしている。
    けれどその口から声がでることはありませんでした。
    当たり前です、だってあの子の頭は胴体からすでに分離している。
    いくつもの管は繋がっていても、その首は胴体と繋がっていない。
    当然話せるはずがありません。でもその表情でこちらを気遣っているのがわかる。

    「なんでですか……?」

     なんでそんな風に人を気遣えるのに、私が酷く辛い思いをしてるとわかるのに。
    そのような行いを平然と行えてしまうのですか?
    こんな光景を見せつけられて、私はどうすればいいの?
    私は今後一生これを抱えていかないといけないの?
    風化することもなく、忘却することもなく、今後一生この悍ましい景色を
    恐ろしい光景を、鮮明に鮮明に抱え続けないといけないの?

    「そんなの嫌だ……嫌だよぉ、ユウカちゃん」

     もう私は限界でした。

  • 81二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 13:39:32

    ノアはもうダメだな……
    下手したら今後肉食一切受け付けないとかありそう

  • 82二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 15:03:50

    ユウカが本編ルートや封印ルートどちらも選べなかったから関係ないはずだった親友が壊れちゃった。
    あーあ、ユウカ貴女のせいです。

  • 83二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 15:10:19

     憔悴したまま呆然と彼女の手術を眺め続けどれくらい時間が経ったのでしょう。
    無機質なビープ音が鳴り改造手術が終わったことを告げ、それと同時にぱたぱたと
    小さな足音がこちらに近づいてきました。

    「大丈夫ですかノア先輩!?」

     小さな身体で、小さな歩幅で、汚れた床にへたり込んだ私に寄ってくる。
    その姿は私が知っているものと何一つ変わりなく、先程見た光景がまるで嘘かのように
    いつも通りの小柄で可愛らしい後輩でした。

    「すみません、やっぱりノア先輩こういうの苦手だったんですね。施錠しておくべきでした」

     顔を覗き込む彼女の瞳に映る私の顔は口の端を吐瀉物で汚し
    涙と鼻水でぐしゃぐしゃのそれはもう酷いモノでした。
    でも私はそんなことに構う余裕もなく、自分より小さな後輩の手を握り助けを求める事しかできませんでした。

     こういうのもストックホルム症候群と言っていいのでしょうか?
    わからない。わからないですが今の半ば錯乱した私には彼女以外頼れる人が居ないと何故か思ってしまったのです。

  • 84二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 15:11:03

    「えぇっと……そっか、先輩の体質……。
     私の所為で嫌なモノを見てしまいましたねノア先輩、
     もしよろしければ、ですが。責任としてその体質、私に治させてもらえないでしょうか?」

     ぎゅっと握った小さな手が強く私の手を握り返してくる。
    汚れた床を気にした様子も見せず膝を付き私の目を正面から見て、彼女はそう言いました。

    「なお……す?」
    「はい。嫌な事を忘れられるように、けれど大事な事は決して忘れず色褪せないように」

     片方の手で強く強く私の手を握って。
    もう片方の手で自分の頭を指差して。

    「私とお揃いになりませんか?」

  • 85二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 15:34:05

    そうきちゃったか

  • 86二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 16:06:29

    ああ ユウカ以外を飲み込む厄災なのか・・・

  • 87二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 16:22:35

    ―――

     ノアが私の代わりにあの子の面倒を見てくれるといった日から一ヶ月近くが経った。

    「ユウカちゃんが気を失っちゃったのが効いたんじゃないでしょうか、
     あれから大人しくしてますよ」

     最初は心配していたけれどノアはのほほんとそう言っていた。
    事実あれからあの子からの報告書はあがってきていないし
    私としてもじっくりと腰を据えて考えを巡らすことができた。

    「けど、時間をかけすぎたな~」

     ノアは私との約束を果たすためにその時間の多くをあの子に使ってくれている。
    その分セミナーの仕事はできる限り私が請け負うようにしていた、
    作業をしながらの方がフラットな感情で考えを纏めることができるから。

  • 88二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 16:22:46

    「……」

     ノアが出した”宿題„の答えは未だに見つかってない。
    というよりそれでいい、というのが考えた末の私の結論だ。
    結局理屈や道理ではなく感情の問題なのだから、
    もうひたすらにぶつかるしかないんだろうと思う。
    けどそう思い至ってもなお行動に起こせないのは最後に会話したのがアレだから
    どんな顔をして会いにいけばいいのかがわからなかった所為。
    大した解決策もないまま、あんなやりとりを最後の思い出のまま、
    無為無策の徒手空拳で逢いに行くのが憚られたから。

    「……寂しがってるかな?」

     出会ったばかりのころにプレゼントされた私用にカスタマイズされた計算機。
    それを見つめて独り言ちる。

    「……よし。行こう!」

     じっと眺めて数秒。今まで散々尻込みしていた癖に
    何故か今日は強く『行かなくちゃ』って気持ちが湧いてきて私は一ヶ月ぶりにあの子の研究室に向かった。

  • 89二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 16:35:16

    これはパンドラの箱ですわ

  • 90二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 17:18:10

     あの子の顔を見たらまず最初にごめんなさいと言おう。
    そう思ってた。私が間違ってたとは思ってない、
    でも貴女が間違ってると一方的に言えるわけじゃない。
    だからごめんなさいって言おう。
    貴女の事が好きだから、それは変わってないから
    だからもう一度お話をしましょうって。

    「ノ……ア?」

     でも、あの子の顔が視界に入った時私の口から出てきたのはそんな呟きだった。
    掠れた声で絞り出すように親友の名前を口にした。
    だってそうでしょ? あの子の研究室に広がっていた景色は
    あの子の真実を知ったあの日よりも、
    私の言葉が招いた結果のあの日よりも、
    ずっとずっと酷い有様だったんだから。

  • 91二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 17:19:02

    「な……なんでノアが……」

     向かい合うように二人並んで座っていて、
    あの子の頭からケーブルが伸びていた。
    そしてそれがノアの胴体と頭部に伸びていた。

     そう、胴体と頭部。
    わけて呼ばなくてはいけない状態。
    一緒の状態じゃないってこと、バラバラってこと、
    あの子の開いた頭の中から銀色の、自然の動物にはないなにかがあって
    そこから延びた管が、ノアの、生首にそれが……それが。

     なんで? どうしてこうなったの?
    どうしてそんな姿に? なにをしようとしているの?
    わたしのしんゆうを、ばらばらにして、そののうみそに、なにを。

    「サイカァァァァァ!!!!!」

  • 92二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 17:26:04

    他人を断りもなく改造しちゃダメって言われたから経緯はともかくちゃんとノアの許可を得てやってるんですよね……

    ノアのためでもあるから余計にタチが悪い

  • 93二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 17:38:41

     いつの間にこんなものを作ったのか、
    私の知っているこの場所にはなかったガラスなのかアクリルなのか
    透明の板で囲われた手術室の様な空間。
    中に入ろうとして鍵がかかっていて入れず、
    力任せにその透明な壁を殴りつけた。

     ガツンッ ガツンッ

     鈍い音が響くだけでまるでビクともしない透明な壁。
    私と二人を隔てる壁、そこに見えているのに触れることができないその壁は
    物理的なだけでなくもっと決定的な隔たりに感じられた。

    「……これは?」

     また私はなにもできないのか、そう思った時小さなタブレットが視界に映った。
    あの子が良く持っていたタブレット。その画面には今まさに眼前で繰り広げられている
    作業の進捗を表すのであろう画面が写っていて、そのすみっこに
    強制終了と書かれたボタンも存在した。

     止めなくちゃ。一も二もなくそう思って即座にそのボタンを押した。
    いまならまだ間に合うと、ノアがノアでなくなってしまうのを防げるとそう思って
    私はその画面上のボタンに人差し指を乗せた。

  • 94二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 17:47:55

     ビー! ビー! ビー!

    「えっ、え?」

     瞬間、研究室内に甲高い警告音が鳴り響き室内が赤く点滅した。

    『強制終了シークエンスが作動しました、
     被験者の生命維持に支障が出る可能性があります』

     どこにあるのかわからないスピーカーから合成音声が警告する。
    困惑して視線を彷徨わせているとあの子と目が合った。

    「―――」

     目を見張って、こちらに手を伸ばそうとして、なにかを言おうとして、
    そしてゆっくりと瞼が閉じ、上げかけた手が力無く下がっていった。
    それと同時にノアの頭になにかを施していたいくつかのロボットアームも動きを止めて――。

    『繰り返します開頭手術作業中に強制終了シークエンスが作動しました。
     被験者の生命維持に支障が出る可能性があります』

     無機質に警告をする合成音声が『またお前は間違えた』と罵っているように聞こえた。
    『お前の所為で2人は死ぬことになるんだぞ』と明に暗に訴えかけている。

    「ち、違うの……わたしは……」

     そんなつもりじゃなかった。
    なんて言い訳を私は何度繰り替えすのだろうか?

  • 95二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 17:57:42

    うわぁ

  • 96二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 17:57:44

     ―――結局私は、自らの手で親友を終わらせる手術を再開させるボタンを押した。

     私の知らないところで変わり果ててしまった後輩が
    私の親友を同じように変えていく様を見せつけられた。

    「なんで……なんで……なんでよ……」

     結局間違っていたのは私だったのだろうか。
    ノアもずっとそう思ってたのだろうか。
    だからあの子がこんなにも変わってしまっているのに私に
    『あの子はなにも問題ありませんよユウカちゃん』なんて言い続けていたのだろうか。

    「なんで……なんで……なんで……」

     わからないわからないわからない。
    もうなにもわからない。
    どうしたらわかるの? どうしたらいい?
    ぐちゃぐちゃになった思考の果てに一つ思いついたことがあった。

    「……そっか、私も一緒になればいいんだ」

  • 97二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 23:03:38

    これ本編ルート無理でしょ……もしユウカを改造しなかったらサイカとユウカの関係終わるじゃん……でも改造しないルート以外ではサイカの体100%人工物になるやん……詰みか

  • 98二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 00:11:17

    バッドIFだぞ

  • 99二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 10:21:37

     ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ

     湿った音だけがやたらと耳に届く。
    耳から入って私の頭の中にまで侵入して心までを侵す音。

    「わからないなら、知らなくちゃ」

     そう、きっとそう。それが正解。
    ずっと見つからなかった正解。
    昔誰かが言っていた、怖いと知らないはイコールだって。
    人は知らないことに恐怖するって、
    そして知らな恐怖への対処は大きく二つ知って克服するか逃げるか。

     ふっと胸が軽くなった気がした。
    真っ暗でなにもないと思ってたところに現れた道筋、
    行先が定まって安心感が湧いてくる。
    だってノアもやってるんだもの、そこには理由があるはず。
    冷静になってみればわかる、二人向き合って手を繋いで沢山の機械に繋がれて。
    ノアの意思を無視してあの子が勝手にやったようには見えなかった。
    そこにどんなやりとりがあったのかわからないし何を思っていたのかもわからない。
    でもだからだってきっともしかしたらそう。間違いない。
     

  • 100二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 12:10:36

    「お待たせしましたユウカちゃん」

     小一時間程経って二人が出てきた。
    制服に血が付着してる以外は前と変わらない。
    動きも、声も、表情も、台詞も、所作も、私が知ってる二人。
    全くの異物になってしまう、生まれ持った身体を作り替え別物にする。
    そんな私の危惧も不安も恐怖も杞憂であったと言うように。

    「先輩が緊急停止ボタン押しちゃった時はびっくりしましたよ。
     もちろん停電や発電施設のトラブルなど万が一の時の備えはしてますが
     一番大事なタイミングだったので流石にあのままだったら危なかったですよ」
    「それはごめんなさい、ちょっと……私もびっくりして」
    「ふふふ、そうですね。ユウカちゃんからしたらびっくりしますよね。
     でも、私がお願いしたことですから。私の方こそユウカちゃんになにも言わずにすみません」
    「そう……だったのね」

     ノアが自分で望んだこと、望んで臨んだ。
    なんで? とは聞かなかった。もうどうでもよかった。
    手術を終えて目の前に2人が立っていてもまだ私と2人の間には
    見えない透明で分厚い壁が立ちはだかっているから。
    会話を交わすには一方的じゃダメだと今の私は気づいたから、
    お互いに歩み寄らないとだめだから。だから先輩の私があの子に歩み寄らないと。
    そうして壁を取り除いてから、沢山お話すればいい。

     だから。
          
    「ねえ、私も改造してくれる?」

     一瞬の逡巡のあと、笑顔で肯定が帰ってきた。

  • 101二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 12:27:20

    もうどうしようもない

  • 102二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 12:30:01

    ―――

     さあお仕事をしましょう。お仕事を。
    大好きな先輩達と一緒にお仕事しましょう。
    昨日は病弱で自分の足で歩けない先輩を健康な身体と交換してあげました、
    今日は体温調節が苦手な同級生の神経節をまるごと入れ替える手術。
    仕事が忙しくて徹夜続きの生徒には睡眠を必要としない身体を、
    誰かを失って辛い思い出に縛られた人には記憶の取捨選択を自由にできるように。

     どうしても更生できない人に迷惑をかけることしかできない悪い生徒は
    根本的に人格をかえてしまいましょう
    どなたもどなたも、全ての人は幸せになる権利があるのです。
    病に負けず、怪我を恐れず、辛い思い出は忘却の彼方。
    痛い辛い怖い悲しい悔しい寂しい恨めしい。そんなものと無縁の暖かな世界の為に。

    『そんなものを救護とは呼ばせない』

     なんて事を言って襲撃してきた方たちも居ましたがいまでは素敵な理解者です。
    多くの支援者と多くの理解者に恵まれ研究室も大きくなりました。
    新しい研究、新しい開発、日夜欠かさず頑張るのが私の使命。
    この世界の遍く人々がこの幸せを享受できるように。


     だって私は超天才なのですから。

  • 103>>14724/06/10(月) 12:36:12

     最初にユウカを対象にすると『ヤダッ』ってなってしまうのは本編で確定しているので
    じゃあ『ヤダッ』ってならない、でも確かにこの子にとって親しい二番目の子で
    他人を改造するって経験と前例を作ってあげようと思いました。
    そしてユウカの親友のノアが最適だと思ったんだけどノアが自分から『やって』って言う状況にするには
    やっぱりノアの精神をぐちゃぐちゃにしてあげないといけないよなぁってなって。

    「そういや足をぶった切ってから脳の手術まで一ヶ月開いてるなぁ
     この一ヶ月間ユウカの代わりに奮闘してみたくないものを沢山見せれば壊れるかなぁ?」

     と思ってこんな展開になりました。
    ただそれだとユウカのダメージが少なくなりそうだったので最後の方のダイスであった
    自分の手で終わりのボタンを押すって展開をもらって後押ししてみました。

     以上、既に奇跡的なダイスの連続で伸びたスレを勝手にお借りして書いた物に
    長々とお付き合いいただきありがとうございました。

  • 104二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 12:38:42

    おつ!
    う〜ん、地獄!w

  • 105二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 12:40:14

    しれっと他校も巻き込んで悪夢生み出してる……

  • 106二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 14:01:19

    あの、あの最後の洗脳……

  • 107二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 19:59:24

    ノアで成功しちゃったからユウカも出来ちゃうってなる訳だ
    ほへぇ、上手いなぁ

  • 108二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 20:11:35

    人格を変えるのは記憶の取捨選択と同じように衝動の取捨選択をしただけじゃない?
    団長に対しては返り討ちにしてから懇切丁寧に技術説明したんでしょう
    ユウカを作り替えてしまったからこそ「嫌がる相手に強要しない」の一線は守り続けてると思うよ
    「こんな私が嫌だ」と思ってるような子こそ改造しちゃってそうだけど

  • 109二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 20:20:52

    何かが良くない方向に行ってる気がするけど具体的に何がどうなのかは分からない
    それが天羽サイカが迎えた結末だと思う

  • 110二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 20:29:40

    最後のタイトル回収が見事だった(小並感)

    まさかブルアカで人とは何かを考えさせられるとは思わなかったな
    周りの人間がどんどん生身の体を捨て去ってアリスはどんなことを考えるのかな単なるフォームチェンジ程度に考えるのかはたまた

  • 111二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 21:52:51

    勇者として自分の考えで世界を支配しようとする魔王を討伐しに来るかもしれない

  • 112二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 08:58:03

    人類を次のステージへと上げる救世主なのかはたまた甘い毒で停滞させる魔王なのか

    なんとも言えない気持ち悪さを感じる

  • 113二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 11:01:22

    名前のない怪物……

  • 114二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 19:29:08

    >>113

    フランケンシュタイン博士(サイカ)と名前のない怪物(キヴォトスの生徒達)ってことか

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています