作中１位くらいのヒロインと…

しゃあっ

「とうまは色々おかしい」
「ハイいきなりきましたね。家主さんに対する異常者発言ありがとうございます」
「私の水着に対する描写が少ないでしょ！　圧倒的に‼︎ なんだどうした興味がないのかななんだよ⁉︎」
　だっていうのにインデックスはこのインターバルに差し込んできた。これが国際試合ならフーリガン達が観客席を乗り越えてフィールドに傾れ込むほどの暴挙である。
「やっぱりムンって腹に力込めて六つに割れる人はすげーよな。どうやったってあんな風にはならん。腕に力こぶくらいならちょっとは筋肉を感じるんだけども」
「そこなんだよ。ついに目の前の女の子から自分の筋肉に意識を移し始めたねこいつ！」
　頭の中の小さな人達を押し留めるバイト警備員の気持ちでクールに努める上条に、インデックスは濡れた銀髪を片手で払ってこう提案してきた。
「常に新鮮な感覚でいて。驚きなさい、あなたの隣には無条件で可愛い女の子が立っているのですなんだよ。当たり前とか思わない！」
「ついに自分で可愛いっつったなコイツ。そして良いのな！　ズルムケ思春期上条当麻が本気で意識とやらをしてもだ‼︎ 気持ち悪くなるぞ、お風呂の順番が先か後かで脳細胞が沸騰するまで煩悶する上条さんであなたは良いんですね⁉︎ それも毎日飽きもせず延々とだ！　自分から言い出したんだからクーリングオフとか効きませんよ‼︎」
「んー？？？」
　おっと、小首を傾げられてしまった。
　上条は深夜〇時前にはまだ出しちゃいけない小さな上条当麻を慌てて意識の底へと押し戻す。こそこそ。
　ちなみに流れていくのに飽きたのか、途中の格子状タラップを半分登りながらインデックスが首をひねっていた。そこで立ち止まられるとツンツン頭の目の高さに濡れた水着に包まれたお尻がやってくるのには気づいてなさそう。おかげで意識の底へと封印したはずのズルムケ（暴走機能付き試作実験式上条当麻）が危うく鳩時計みたいに再び飛び出そうとする始末。選ばれし思春期のツンツン頭は意識の中の魔王を徹底封印するために怒涛の脳内ビッグバンを決行。シナプスを走り回る電気信号があたかも特殊な印を組むように連続展開され、そして無の境地を獲得した学生賢者上条当麻は平常時の心拍数を維持したまま目の前の尻へ緩やかに説いた。