ウマ娘名作文学『赤毛連盟』

  • 1読み手24/06/02(日) 10:20:37

    このお話は地の文が「ワトソン」の視点で描かれているお話です。ワトソン役のウマ娘をダイスで決めてからお話が始まります。

    少し長いお話なので23〜24時頃のホスト規制などで書き込めなくなり、日を跨ぐ可能性もあります。数時間書き込みが何も無かった場合は定期的な保守をお願いしたいです。

    では、お話を始めていきましょう。


    ワトソン dice1d114=109 (109)

  • 2二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 10:22:29

    ずっとついてきそうなワトソン来たな…

  • 3二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 10:23:39

    赤毛クラブや赤毛組合なら見たことあるけど赤毛連盟という訳は初めて見た

  • 4読み手24/06/02(日) 10:25:13

    19世紀の末。

    イギリスはロンドンのベイカー街221B。

    私の友、シャーロック・ホームズが開いている探偵事務所がある住所。


    昨年秋に尋ねた時も彼は事件を楽しそうに解いておりましたわ。


    シャーロック・ホームズ dice1d114=16 (16)

  • 5二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 10:26:54

    咥えている葉っぱ付きの枝みたいなのがホームズのパイプに見えなくもないかな…?

  • 6二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 10:27:33

    ビワハヤヒデが出不精な英国政府になってまう

  • 7二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 10:27:43

    偶然だけど三冠コンビになったわね

  • 8二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 10:28:25

    >>3

    名探偵コナンの作中で紹介されたときは赤毛連盟だったような気がする


    マイクロフトハヤヒデは草

  • 9二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 10:29:38

    まさかのチョイス楽しみ

  • 10二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 10:31:48

    >>3

    ワシは「連盟」しか知らんわ 年寄りだからか?

  • 11読み手24/06/02(日) 10:32:42

    「よぉワトソン。いいところに来たな。」

    彼はシャーロック・ホームズ。
    常に口に咥えたパイプがトレードマークの私の友人。
    彼と私はこれまで数々の難事件を共に解決して来たんですの。あぁ、私ったらついつい申し訳ありません。他の事件の話はまたいつかの機会に…。

    彼は私が来ると顔をパァッとさせて、陽気に私の肩に手を回してきたのです。

    「紹介する、私の友人であるワトソンだ。コイツにも話を聞かせてくれないか?もう一度喋ることになるのはすまないがな。」

    どうやらホームズは来客対応中だったようでした。

  • 12二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 10:33:43

    ぱぁ、と顔を明るくするぶーちゃんだと?

  • 13二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 10:34:55

    そうかワトソンということはこのスティルインラブは軍医として従軍した重い過去があるのか

  • 14読み手24/06/02(日) 10:35:39

    来ていたのはこれはこれは見事な赤毛を生やした年配の男性でした。

    名前はジェイベス・ウィルスンさん。

    ホームズに依頼があって来たようです。


    ウィルスン dice1d114=35 (35)

  • 15二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 10:36:53

    赤毛(黒鹿毛)

  • 16読み手24/06/02(日) 10:44:07

    「こんにちはワトソンさん!じゃあ最初から話すね!」

    声の大きい方ですわね…。
    お年を召されても元気なのは良いことですけれど。
    ウィルスンさんはハキハキとホームズへの相談事を喋り始めました。

  • 17二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 10:46:27

    赤毛チケゾー!?こんなのデータにないぞ!?

  • 18二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 10:47:47

    このシリーズだとチケゾーはやたら赤くなるな

  • 19読み手24/06/02(日) 10:54:32

    「アタシが相談しに来たのはこの広告の件なんだ!」

    そう言ってウィルスンさんは持って来た新聞の広告欄を広げて、そこの中ほどを指差しました。
    そこにはこう書かれていましたわ。

    『赤毛連盟 連盟員募集中!
    当連盟に一名の欠員が生じました。
    心身共に健全な21歳以上の赤毛を持った男性は全員応募出来ます。
    詳しい詳細は月曜日の11時にフリート街 ポープス・コート7番地にある連盟事務所に居る『ダンカン・ロス』までお尋ね下さい。
    必ず本人が出向いて申し込んで下さい。』

    「赤毛連盟…?なんでしょうかこれは…。」
    「話を聞く前に…ドクター。新聞の名前と日付を控えといてくれ。」

    ホームズは私のことを「ドクター」と呼びますの。

    「ちょうど2ヶ月前、新聞の名前は『モーニング・クロニクル』ですわ。」

  • 20読み手24/06/02(日) 10:57:49

    「アタシはコバーグの辺りで質屋をやってるんだ!店主のアタシと、ヴィンセント・スポルティングっていう子の2人でやってるんだよ!スポルティングくんはアタシに気を遣って普段の半分の給料で働いてくれるとっても良い子なんだ!!!」


    スポルティング dice1d114=19 (19)

  • 21二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 11:00:07

    このレスは削除されています

  • 22読み手24/06/02(日) 11:00:46

    「欠点と言えばえっと…なんだろう…アタシはよく分からないんだけど、推し活?っていうの好きすぎて、暇があったらその為にお店の地下室にこもっちゃうことぐらいかな…。」

  • 23二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 11:01:32

    🐴が出てきて芦毛連盟やるのかとおもったらまっとうな赤毛連盟やってる…

  • 24二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 11:04:32

    赤毛のチケゾー面白いな

  • 25読み手24/06/02(日) 11:10:51

    「そしてね、ちょうど8週間前ぐらいにスポルティングくんがこの新聞持って来たんだ!」

    8週間前…

    『ウィルソンさん、いつもあたしの為にお給料を支払っていただきありがとうございます…!』
    『いいよいいよ!スポルティングくんはいっぱい働いてくれてるし!』
    『でも、夕方はともかくお昼は暇でしょう?あたしはそんな時は推し活に励んでおりますけれど、ウィルソンさんはいつもお客さんを待っているだけでしょう?』
    『そうだねー。確かにお昼は暇になっちゃうかなぁ。』
    『そんなウィルソンさんに!この今朝新聞で見かけた広告を布教したいのですが!』
    『ふんふん…赤毛連盟?』
    『ええ!ウィルソンさんのその心の情熱のように赤い髪の毛を見て、あたしはピピーンと来たのでございますよ!どうやら1年で200ポンドも貰えるらしいですし、どうです?副業として検討してみる価値はあると思うのですが!』
    『そうだなぁ。じゃあ行ってみよっか!』

  • 26読み手24/06/02(日) 11:13:50

    「広告の場所に行ってみたら赤毛の人がいっぱい居てね。うわぁすごいなぁって思ってたんだ。しばらくしてなんとか事務所のところに行ったら広告にも名前が載ってるロスさんが対応してくれたんだ。」


    ロス dice1d114=10 (10)

  • 27二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 11:15:20

    シャトル…つっかえそうだな…

  • 28読み手24/06/02(日) 11:25:48

    『Wow!あなたベリーベリーグッドな赤毛デース!おめでとうございマース!あなたを採用しマース!』
    『ええっ!?アタシ!?や、やったー!!!』
    『よかったですねウィルスンさん!』

  • 29読み手24/06/02(日) 11:30:24

    「それから、お仕事の概要を教えてくれたんだ。」

    業務内容は以下の通りでした。
    ・大英百科事典の書き写しの仕事
    ・昼10時〜2時までの4時間
    ・報酬は週4ポンド
    ・ただし、勤務時間内はいかなる理由でも外出禁止

    「アタシはその次の日から毎日スポルティングくんにお店を任せて連盟の事務所に通ってたんだ。」

  • 30読み手24/06/02(日) 11:38:17

    「でも…今朝いつものように出勤したら事務所の扉は鍵がしてあって、扉にはこんな張り紙が貼ってあったんだ…!」

    ウィルスンさんは一片の白いボール紙を取り出して、私たちに見せてくれました。
    そこにはこう書かれておりましたの。

    『赤毛連盟は解散した。』

    「これはこれは…災難でしたね。」
    「ドクターは相変わらずのお人よしだな。私は思わずその短文に吹き出しそうになったぞ。」

  • 31読み手24/06/02(日) 11:45:44

    「アタシはもちろんびっくり仰天!たまげてその事務所の大家さんのところに行ったんだ!…でも、『赤毛連盟なんて知らない』って言われて…。ロスさんの事を言っても『上の階を借りた人はそんな名前じゃない。弁護士をしていて、この前引っ越したばかりだ』って言われて…。じゃあその引っ越し先の住所を教えてもらって尋ねたら、そこには膝当ての工場しか無くて…。もちろんそこの人たちは誰も何も知らなかったんだ…!」
    「ほう…。その後は?」
    「どうしようもないから、お店に戻ってスポルティングくんに話を聞いてもらったんだ。スポルティングくんは『いつか手紙でも来ますよ!』って楽観的だったけど…。」
    「なるほど…。」

  • 32読み手24/06/02(日) 11:50:14

    「どうしようもないから、何でも屋さんのホームズさんの噂を聞いてここに来たんだ!ホームズさんならどうにかしてくれるかも!って思って…!」
    「何でも屋ではないのだが…。私だって選ぶ事件ぐらいある。」
    「まぁまぁそう言わず…。」
    「でも、あんたの持って来た事件は面白そうだ。私が責任を持って解決してみせる。安心しな。」
    「あ、あ゛り゛か゛と゛ーーー!!!」
    「…おい、泣くな。」

  • 33二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 11:55:13

    このナリタブライアンがいきなり壁に向かって拳銃ぶっ放したりするのか...
    でも今のところどのウマ娘も違和感ないな すげー

  • 34読み手24/06/02(日) 11:56:26

    「ウィルスンさん、二、三つほど質問をしていいか?」
    「いいよ!なんでもどうぞ!」
    「あんたの店の店員…えっと…スポルティングだったか…?そいつが店に来たのはいつだ?」
    「3ヶ月ぐらい前だね。赤毛連盟の広告を見せてくれた時はまだ1ヶ月ぐらいだったかな?」
    「どうやって来たんだ?求人か?」
    「うん!求人広告を出したら来たんだ!12人くらい応募があったけど、半額でもいいから雇ってくれって言ってくれたのはスポルティングくんだけだったからそれならと思って採用したんだ!」

  • 35読み手24/06/02(日) 12:03:21

    「そいつはどんな見た目か聞いても良いか?一応聞きたくてな。」
    「うーん…背は低いけど身体はとっても頑丈で、脚が早くて、頭にはおっきなリボンが付いてるんだ。」

    その特徴を聞いたホームズは椅子からガバッと身を乗り出しました。
    どうやらその店員さんにとても興味があるようです。

    「耳には真珠のようなイヤリングを付けているな?しかも両耳に。」
    「え!?なんで分かったの!?もしかして知り合い?」
    「まぁそんなところだな。」

    ホームズの交友関係はサッパリ分からないので、私もウィルスンさんも「へぇ」と答えるしかなかったのでした。

  • 36読み手24/06/02(日) 12:06:37

    「お店を任せて来たから、まだお店に居ると思うよ。お話を聞きたいなら尋ねてみたらいいよ!」
    「ありがとう、大体の目処はついた。今日は…土曜日か。月曜日には結論を出そう。それまで待ってくれないか?」
    「もちろん!解決するならいつまでも!楽しみにしてるね!」

    ウィルスンさんは元気に事務所を後にして行った。

  • 37読み手24/06/02(日) 12:11:39

    「ドクター、どう思う?今回の事件は。」
    「サッパリですわ…。単なるイタズラな気もしますけれど…。」
    「イタズラで何ポンドも使うバカは居ないさ。確実に何か裏がある。」

    そう言いながらホームズはいそいそと椅子に座ってパイプをふかし始めました。

    「おや、いつものですわね?」
    「あぁ、この謎はパイプでたっぷり三服と言ったところかな。しばらく喋りかけないでくれよ。」
    「分かっておりますよ。あ、机の上のお菓子、食べてもよろしくて?」

    私がそう尋ねるころにはホームズは目を閉じて推理をしておりました。
    こうなると椅子から勢いよく立ち上がるまでテコでも動きませんの。

    「………勝手にいただいちゃいましょうか。」

  • 38読み手24/06/02(日) 12:13:08

    ホームズが推理中ですので、自分もお昼を食べて来ます。
    ホームズが椅子から立ち上がったら再開いたします。

  • 39二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 14:01:34

    これ見てたら作りたくなったので貼っとく 
    赤毛タイキ

  • 40読み手24/06/02(日) 14:05:38

    戻りました。

    ホームズも閃いたようですのでお話の続きと行きましょう。


    >>39

    ありがとうございます!後ほど使わせてもらってもよろしいでしょうか?

  • 41読み手24/06/02(日) 14:11:23

    私が6袋目のビスコを食べ終わった頃、ホームズはバッと椅子から立ち上がりました。
    どうやら結論が出たようです。

    「ドクター、行こう。」
    「行こうって…どこへ?」
    「依頼人の店だ。雇ってる店員に会う。」
    「そういえば、ホームズはその方を気になっていましたものね。ちょっと待ってくださいね片付けますから…。」

    私は机を綺麗に片付けると、ホームズと一緒にお店のあるコバーグに向かいました。

  • 42二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 14:11:35

    >>40

    もちろんです!

    よければこちらもどうぞ

  • 43読み手24/06/02(日) 14:18:14

    サックス・コバーグ・スクエア

    「はぁ…空気の悪い街だ。」
    「今のイギリスなんてどこもそうですよ。」
    「それもそうか…。手短に行くぞ。」

    しばらく歩いて、私たちはウィルスンさんのお店の前に着きました。
    ホームズはお店のドアをノックするでもなく、ジロジロと観察を始めました。

    「両横には店があるな…。」

    そう呟くと、今度はお店の前の床をステッキで二、三回ほど強く叩きました。

    「……。」
    「あの…変な人に見られますよ?」
    「見られ慣れてる。大丈夫だ。」
    「そう言う問題じゃないのですけど…。」

  • 44二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 14:47:58

    このレスは削除されています

  • 45読み手24/06/02(日) 14:48:44

    ようやくホームズがお店のドアをノックしました。
    すると、すぐに気の良さそうな男性が出て来たのです。彼がスポルティングさんなのでしょう。
    衣服は少し汚れていて、髪の毛には汗が滲んでいるのが分かりました。忙しかったのですかね。

    「はいはい、何でしょう?売り物ですか?」
    「いや、すまないが聞きたいことがあってな。ここからストランド通りへはどう出たら良いのか分かるか?」
    「えーっと…そこの三つ目の角を右に行って、更にそこから四つ目の角を左に行ったら行けますよ!」
    「助かる。忙しそうだったのに悪いな。」
    「いえいえ!お気になさらず!ではでは〜。」

    スポルティングさんはそう言うと、にこやかにドアをパタンと閉めたのでした。

    「お知り合いなのでしょう?なんだか他人行儀でしたけれど。」
    「あぁ、知らんヤツだ。私もアイツも。」
    「えぇ…?」
    「ただ、アイツは抜け目のなさがロンドンで4番目、大胆さにおいては3番目だと思っていい。」
    「はぁ…。」 

  • 46読み手24/06/02(日) 15:13:32

    (安田記念を考えるので夕方まで書き込みストップします…!)

  • 47読み手24/06/02(日) 17:38:32

    「ストランド通りに用があったんですか?」
    「無いぞ。」
    「えっ?では先ほどの会話…あっ、スポルティングさんの顔が見たかったんですね?」
    「違うぞ。」
    「えぇ…?では何故?」
    「働いた証が見たかったんだ。」
    「はぁ…。」

    ホームズはたまに勿体ぶって真実に届いていない私をこうしてからかうのです。
    全く、何が楽しいのやら。

  • 48読み手24/06/02(日) 17:52:45

    「では、道を強く叩いたのも意味が?」
    「…ドクター。私たちはわざわざお喋りしに来たわけじゃないんだ。言うなら敵の城に来てるようなもんだ。口を動かすなら目を使って周りを観察してくれ。いいか?」
    「はぁい。」

    何ですかもう。それなら私にも早く言ってくださればいいのに。
    観察…観察…。ここの通りは左から空き地、レンガ造りの家、ウィルスンさんの店、小汚い飲食店、空き地、レストランと言った感じで軒を連ねていますわね。煙まみれの空気も合間って寂れた印象を与えます。
    …ふとホームズの方を見てみるとじっと見るでも無く、辺りをキョロキョロしているだけでした。
    私がむすっと機嫌を損ねつつも渋々観察を続けていると、ホームズが突然反対側の通りへ向かおうと言うのでついて行くことにしました。

  • 49読み手24/06/02(日) 18:29:46

    先ほどの通りの裏側は、一転して綺麗な印象を与える通りでした。

    「…モーティマー商店、煙草屋、新聞の小売店、シティ&サバーバン銀行コバーグ支店、菜食料理店に…マクファーレン馬車製作会社の倉庫…。」

    ホームズは通りの店をブツブツ言いながら確認しています。…アレでは本当に不審者です。

    「……ドクター、仕事は終わりだ。どこかでサンドウィッチとコーヒーでも食おう。」
    「え…?終わったんですか?」
    「もちろん、サンドウィッチはハムエッグのレタス抜きで頼む。」
    「はいはい…。」

  • 50読み手24/06/02(日) 20:02:51

    カフェテリアで食事をしていると、ホームズがサンドウィッチを食べ終わった辺りで席を立ちました。

    「ドクター、私は少し出かける。金なら出しておくから安心しろ。」
    「また突然ですわね…どこへ?」
    「いいだろう、別に。それより今日の夜10時ごろに事務所に来てくれないか?もちろん都合が悪かったらそれでいい。」
    「別に構いませんわよ。元から予定は無かったのですし。夜10時に事務所ですわね?」
    「あぁ、それと軍医時代に使ってた拳銃があるだろ?あれを持って来てくれ。必要になる。」
    「えぇ…?危ないことですか?それならそうだと先に言って下されば心構えも違ったんですのに…。」
    「と言う訳で今夜10時、な。」
    「あ、ちょっと…!ホームズ!」

    お代を置いたホームズはいそいそと歩いて行きました。
    1人残された私は私なりに今回の事件を整理しようと頑張ってみたのですけれど、どうもやはり難しくて…途中でほっぽりだしてしまいました。
    ホームズの推理力には日々驚かされるばかり…。
    頭の中でぐしゃぐしゃになったパズルをぐしゃぐしゃのまま箱にしまって、私は夜を待つことにしました。

  • 51二次元好きの匿名さん24/06/02(日) 20:15:25

    ほう銀行ですか

  • 52読み手24/06/02(日) 20:17:18

    夜9時半頃、ホームズの事務所に到着すると2階でホームズと誰かが談笑する声が聞こえて来ましたの。

    上がってみると、そこには私とホームズの顔見知りでもある警視庁のジョーンズ警部と、光沢のあるシルクハットを被り、高そうなコートを来た男性でした。


    ジョーンズ警部 dice1d114=43 (43)

    シルクハットの男 dice1d114=15 (15)

  • 53読み手24/06/02(日) 20:30:37

    「よぉワトソン。これで役者は揃ったな。」
    「ホ、ホームズ…!あのお方は…?」
    「犬歯の尖ったヤツか?」
    「それはジョーンズ警部でしょう、バカにしないで下さいませ。シルクハットの彼ですよ。」
    「あぁ、この人はメリウェザーと言ってな…「ハーッハッハッハ!よろしくねワトソンくん!ご紹介に預かったように私はメリウェザーと言う者さ!今日は嗚呼、冒険の予感がするよ!であればこのソワレ、存分に盛り上げようじゃないか!!!」

    ウィルスンさんとは別の意味でうるさい人だと私は思った。

  • 54読み手24/06/02(日) 20:39:47

    「ホームズ、このジョーンズちゃんを呼び出したと言うことは、それなりの根拠があるってことなのだ?」
    「あぁ、今回捕まえるのはジョン・クレイだ。」
    「ジョン・クレイ!?あの大悪党の!?尻尾に噛みついたのだ!?」
    「それを言うなら「尻尾を掴んだ」だろう。まぁでもそういうことだ。今回相手するのはジョン・クレイ。殺人、窃盗、貨幣偽造…悪事に手を染めまくった大犯罪者だ。」

    そういえば覚えていますわ。ジョーンズ警部がジョン・クレイの事件を専門に追っていた事。
    なるほど、だから警部を呼んだんですわね。

    「ぐぬぬ…今日という今日は、絶対に逮捕してやるのだ!」
    「そろそろ10時だ。行くぞ。」

    メリウェザーさんとジョーンズ警部、私たち2人はそれぞれ2人ずつで馬車に乗り込みました。

  • 55読み手24/06/02(日) 20:47:21

    ホームズは馬車の中で私に色々と喋ってくれました。
    メリウェザーさんが銀行の重役であること、ジョーンズ警部のまるで犬のような犯人を逮捕するために喰らい付く執念を買って今回呼んだこと…。

    そうこう話していると馬車が止まりました。
    そういえばこの馬車がどこへ向かっているのか聞いていませんでしたねと思い出すのは降りる直前のことでした。

    「着いたな、降りるか。」
    「はい…。」

    馬車が着いたのは朝に行った綺麗な通りでした。

    「では、頼む。」
    「あぁ!任せたまえ!進むべき道を照らそうではないか!」

    私たちはメリウェザーさんの案内で路地裏の中へと入って行ったのでした。

  • 56読み手24/06/02(日) 20:54:49

    「着いたよ!」

    固く施錠された鋼の扉をいくつか超えた先にあったのは木箱が部屋を埋め尽くすシティ&サバーバン銀行コバーグ支店の金庫室でした。
    ホームズの話によると何段にも積み重ねられた木箱には金貨がびっしり入っているとのことで、私は急に身動きが取りにくくなってしまいました。
    そう、ホームズの言う大悪人ジョン・クレイの狙いはこの金貨たちなのだと言うのです。

  • 57読み手24/06/02(日) 21:01:21

    「あと1時間はある。寝静まった頃がヤツらの狙い目だ。メリウェザー、ランタンの灯りを消してくれ。」
    「構わないよ!ランタンの灯りなど無くとも、ボクは輝いているのだから!」
    「皆で各々木箱に身を隠せ。ヤツらが来たらまずは私がヤツらにライトを当てる。ワトソン、ヤツらがもし撃ってくるようなら、構わず撃ってくれ。」
    「なるほど、そう言うことですね。分かりました!」

    私は拳銃の激鉄をおこし、今か今かと息を殺して待ったのでした。
    もしかしたらこの待った1時間が人生で1番長い1時間だったのではと思い返してしまいます。

  • 58読み手24/06/02(日) 21:06:55

    私たちが息を殺していると、突然部屋の床が一筋パァッと明るくなりました。

    思わず息を飲んでいると、床を突き破って手が現れ、そのまま朝に見たあの顔が、ニュッと出て来たのでした。



    「……!」


    スポルティングさん…!?

  • 59読み手24/06/02(日) 21:09:00

    その後、全身を地下から出したスポルティングは「誰も居ませんよ…。」と言いながらもう1人の誰かに手を差し伸べました。
    引っ張り出されたその人影はそれはそれは真っ赤な髪をしておりました。

  • 60読み手24/06/02(日) 21:14:33

    「パーフェクトデース…!よりどりみどり、ですネ!」
    「工具と袋はありますよね?」
    「オーケーデース!」
    「ムフフ…では、いただいていきましょうか…!」
    「そこまでだ!」

    ホームズがカッとライトでスポルティングとロスの2人を照らしました。

    「なっ…!?アーチーさんは逃げてください!」
    「Oh!No!」

    ロスは1人、床の穴の中に飛び込んでいきました。

    「こうなったら…!」

    スポルティングは拳銃を取り出して激鉄を上げ、その銃口をホームズに向けたのです。

  • 61読み手24/06/02(日) 21:21:04

    「させません!」

    私はスポルティングの拳銃に向かって発砲し、手に弾丸が直撃したスポルティングはたまらずそれを地面に落としました。
    そしてホームズは日本武術 バリツを使ってスポルティングを迅速に拘束しました。

    「無駄だ、ジョン・クレイ。」
    「…そのようですね。でも、あたしの盟友は上手く逃げおおせたようですよ…!?」
    「フン…穴の先には警察官を数名配置させている。時間の問題だ。」
    「…………フフフ。流石、素晴らしいですね。」

  • 62読み手24/06/02(日) 21:24:58

    「すぐ盟友に会わせてやるのだ。」

    ジョーンズ警部が手錠を差し出す。

    「砂だけの汚れた手で触らないでくれませんか?せめて少しぐらい芝の匂いがしてほしいです。」
    「文句言うななのだ。ほら。」
    「………。」

    カチャン!

    スポルティング改め、大罪人ジョン・クレイはこれにてお縄となったのでした。

  • 63読み手24/06/02(日) 21:28:28

    「嗚呼ホームズくん!金庫破りを察知した上に捕まえてしまうとは!この金貨の1枚…いや、5枚ほど差し上げたい気分になっているよ!!!」
    「謝礼は結構。スリルと、赤毛連盟という話だけで十分だ。」

    名探偵はそう呟くと帽子を深く被ってパイプを咥え直したのでした。

  • 64読み手24/06/02(日) 22:31:26

    「いいか、ワトソン。」

    次の日の朝早く、ホームズは自慢げに私に話しかけてきました。
    「いいか、ワトソン。」という語り口は、私に真実を話す時の常套句です。

    「初めから明白だった。赤毛連盟の採用条件とあの広告。百科事典を筆写させるという仕事。この二つの目的はウィルスンさんを毎日何時間か店を留守にさせるためだ。おそらくだが、共犯者ロスの髪の色を見てクレイが思い付いたんだろう。」 

    ホームズはそう嬉しそうに喋りながら私の周りをくるくると回る。

    「ウィルスンさんをおびき出すのに1週間で4ポンド必要だったわけだが、この後に何千ポンドと手に入れる賭けをしてたんだ、そのくらい造作もない。そうやって広告を出し、ロスは仮事務所を借りて、もう一人は質屋の店員に応募して、二人して毎朝確実に店を留守にさせた。私はクレイが半額で働いているという話を聞いてすぐに分かった。ウィルスンさんにその立場を得なければならない強い動機がある、とな。」
    「しかし…その動機が何故分かったのですか?」

  • 65読み手24/06/02(日) 23:38:13

    「その店に女でもいればつまらん色恋沙汰とでも疑っただろう。だが問題外だ。あの質屋は小さい。あんな手の込んだ準備をしたり、それだけの金を出すほどじゃない。そうすると狙いは店の外にあるものに違いない。じゃあ何だ?ふと私は思い出した。クレイは推し活とやらをしていて、その度に地下室に姿を消している。そう、地下室だ!」

    ホームズは声のボリュームを上げた。

    「これで、もつれた事件の糸口はほどけた。カフェテリアでドクターと別れた後、私はあの店員の身辺を探ってみた。そうしたら相手はロンドン1冷静沈着で大胆な悪党であるジョン・クレイで、しかもそいつが地下室で何かしている。何ヶ月も、一日何時間も何かをしている。何が出来るのか、ともう一度考えてみた。そして私は一つの結論に行き着いた。ヤツは他の建物に向かってトンネルを掘っている、ってな。」
    「ト、トンネル…?」

  • 66二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 00:20:19

    顔見ただけで悪党だってわかっちゃうのはズルいっすよホームズさんw

  • 67読み手24/06/03(月) 01:07:23

    「二人で現場に行ったとき、私はここまで考えた。あの時、私がステッキで店の前の歩道を叩いて、あんたを驚かせただろ?地下室から伸びたトンネルが店の前か後ろ、そのどっちかに掘られてるのか確かめたかった。」

    家の前を叩いても響く音なんてしなかったから、クレイは店の後ろの方向に穴を掘っていると確定させたということなんですね。

    「次に扉をノックしたら望み通りクレイが出てきた。私とヤツは実は何度かやりあったことがあるんだが、互いに顔を合わせたのは一度も無い。だから顔なんて見なかった。というか、見ても分からん。見たかったのはヤツの衣服の汚れ、特にひざ小僧だ。あんたも覚えてるだろ?ヤツのひざはすり切れ、しわだらけで、汚れていた。何度も何度も穴を掘っていた証拠だ。これで残る疑問点は『何のために穴を掘っているのか』のただ一つだ。私は街角を回ってみて、理解した。あいつらが盗みに入ったシティ&サバーバン銀行があの質屋と背中合わせになっていた事実にな。」
    「なるほど…そこまで考えつくなんて…ホームズはすごいですね。でも、何故その襲撃が昨夜に起きるのも見抜いたのですか?」
    「簡単なことだ。ヤツらが連盟の事務所を閉めた時点で分かっていた。閉めたと言うことは、ウィルスンさんをそこまで行かさなくてもよくなったってことだ。つまりトンネルが完成したことが分かる。そして、昨日は土曜日で、今日は日曜日だろ?日曜日に銀行はやってないからもちろん誰も来ないし、その分金貨が盗まれたことも店の人間や警察に早めに気付かれにくい。事件の発覚が月曜日になるから逃げることにも2日猶予が出来る。そういうことだ。」

    名探偵はそう言い終わると、満足そうに椅子に座ったのでした。

  • 68読み手24/06/03(月) 01:15:06

    「お陰でいい退屈しのぎが出来た。」

    そう言いながら名探偵は大あくびをする。

    「…もう、来てしまったようだな。たまにこうやってささやかで人も死なないような事件が来ると無性に渇きが満たされる。ずっとこんな事件ばかり起きてほしいと思ってしまう自分が憎いな。」
    「でも、あなたは赤毛の人だけでなく色んな人を今回も救いましたよ?」

    私がそう言うと、名探偵は目を点にして驚いた様子でした。

    「…それもそうなのかもしれないな。『本人などどうでもいい────やったことがすべてなのだ。』と、ギュスターヴ・フロウベールがジョルジュ・サンドに書き送っているように、な。」

    名探偵はパイプをふうっと吹いて苦笑いするのでした。

    おしまい

  • 69読み手24/06/03(月) 01:19:30

    お疲れ様でした。今回はシャーロック・ホームズシリーズから『赤毛連盟』をお送りしました。
    今回初めてのシリーズタイトルへの挑戦でしたがいかがだったでしょうか?この2人の次なる事件はまたいつかの機会があれば書くかもしれませんね。
    ということで、夜分遅くに申し訳ないですが今回はここで改めてお疲れ様でした。
    また次のお話でお会い致しましょう。

  • 70二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 01:26:03

    この2人で続くのか...銃を使うスティル結構怖い
    ところで安田記念の戦果は?

  • 71読み手24/06/03(月) 01:31:53

    >>70

    1500円負けでした。ダイスみたいに上手くは行きませんね。

  • 72二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 07:01:22

    ぶっきらぼうなブライアンと淑やかなスティルがはまり役で良かったよ

  • 73二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 11:15:24

    今回も面白かったです!

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