ネリネさんへの変わらない愛をスレ主がSSにしたためるスレ

  • 1二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 13:33:46

    新興のこの学校で教鞭を取るようになってからどのくらい経つだろうか。両手の指で収まらないほどではあるまい。
    今まで数多くの生徒たちが巣立っていくのを見守ってきた。自ら問い、自ら答え、また問う。もちろん私もその手助けをしてきたし、彼らの成長は私の人生のかけがえのない宝物でもある。

    生徒たちはみな等しく美しい。
    強い者もいれば、己の無力に歯を食いしばる者もいる。その葛藤と克服を踏み越えていく日々それそのものが、老境に入ったこの身にはこの上なく眩しく見えるのだ。

    丁度二月の寒さが堪える時期だったか。ソウリュウシティの出である私は寒さには一家言あるのだが、寄る年波はヒトの身から抵抗力を奪うらしい。薄い防寒着を内に、分厚いコートを外に着込みはじめたあの時期だったか。

    キタカミの里から彼らが入学してきたのは。

  • 2二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 13:34:10

    あ、スレ画は自作ね。

  • 3二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 13:35:06

    帰ってきた!?!?

  • 4二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 13:39:43

    アメスパ2のラスト並みに俺が盛り上がってる

  • 5二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 13:40:31

    あの姉弟は不思議なバランスで成り立っていた。最初は私も強気な姉が引っ込み思案の弟を守っているように見えたが、竹を割ったような・・・いや、竹どころか岩でも割ったような姉を弟の繊細さが支えているとこの老人が気づくのに、そう時間はかからなかった。

    この日記は懺悔である。

    私は彼らの葛藤を汲み取ってやれなかった。生徒自治を題目にして彼らの肩にのしかかった重荷を分かつことができなかった。指導者の端くれである私が適切に導いてやることができたなら、彼らはもっと朗らかにこの学園で暮らすことができたのだろう。教育者としての私の罪は重い。

    だが、そんな自分の罪を忘れさせてくれるほどに、今の彼らの笑顔は眩く輝いている。

  • 6二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 13:44:38

    例のマルチクリエイター主か…!保守

  • 7二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 13:48:10

    いつの世も若人は老人の予想など簡単に覆してしまう。私のちっぽけな罪悪感が影を落とすような空隙はまるで見つからない。私は教師としていかに幸せなのだろうか、きっと余人には言い尽くせまい。
    幸せとは足りるを知ることだと聞く。若い時分より何度も聞いてきた摂理だが、今日この頃になってこの老人は心より感じている。私は満たされていると。

    生徒たちの成長を見守ることが幸せなのは間違いない。
    だが、ヒトが幸せを感じるのに、満ち足りていると感じるのに大きな役割を担うものは"感謝"ではないかと思う。

    感謝することができる。感謝を向ける相手がいる。それだけでヒトはいとも簡単に幸せを感じることができるのだろう。その意味で私は真に幸せである。大切な可愛い生徒たちの苦しみを救ってくれたのもまた、同じく大切な生徒だったのだから。

    私はあの留学生に感謝している。

  • 8二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 13:52:18

    この一連のスレのためにネリネさんのテーマが作られるべきである

  • 9二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 13:57:01

    私は彼らにとってはあくまで学園の一教師に過ぎないがそれでも教師としてキタカミの姉弟を取り巻く事情の一端を把握はしている。長らく恋焦がれた存在に手が届くかと思えば、砂を掴むようにこぼれていってしまったその苦しみ・・・彼らより長く生きてはいるこの身だが、私がその苦しみを推しはかることはきっとできないのだろう。

    彼らが自らの葛藤と煩悶を自らの力で断ち切って明るい今を生きている。教育者としてどれほどの僥倖であろうか。自身の無力と不徳を恥じると同時に、彼らの救済のきっかけとなった留学生の彼に深い感謝を覚える、が・・・。
    改めて書かねばなるまい。

    この日記は懺悔である。
    私は罪深い。老醜と悪辣という言葉は私のためにあるようなものなのだろう。なにしろ私はここ数日・・・、


    留学生の顔の曇りにほの甘い快感を感じているのだから。

  • 10二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 13:58:11

    ハッさんでありコルさんでありシキミさんでもあるイッチギャルド

  • 11二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 13:59:19

    昼休み終わったから仕事してくるね、続きはまた夜に。
    ネリネさん万歳

  • 12二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 13:59:36

    >>9

    !?

  • 13二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 14:59:05

    イッチギャルドだ!待ってた!

  • 14二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 20:22:08

    彼らがエリアゼロへの調査から帰って来てからしばらく経った頃だろうか。

    キタカミの姉弟の関係は以前のように微笑ましく、いや、むしろ以前よりもさらに健やかなものになっていった。それは私の目にも明らかであった。弟のスグリは自らの過ちをしっかりと見つめ、自分の力でその償いをしようとしていたのも印象深い。

    若人の過ちに罪など無いのだが、彼らを導くどころか救済の一助にすらなれなかった無力な教師にそれを諭す資格などあるはずもない。ただただ彼らの目にあたたかなものが戻って来たことを喜ばしく思っていた矢先であった。

  • 15二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 20:32:03

    ブルーベリー学園は広大とはいえそれでも閉鎖空間である。
    我々教師陣がいるとはいえ、学生たちは学生寮に常駐している以上そこには人間関係の構築が独特になされることは想像に難くない。ときにはぶつかり合い、助け合うそのすべてがかけがえのない青春の一ページである。老境の身にはいささか羨ましくすらある。

    若い光がひとつ所に集まれば、恋の花が咲くのも然り。

    事実、学園には多くのアベックが存在していた。いや、今風に言うのならカップルというべきか。いつの時代も強い光は多くを引き付けるもの。キタカミのスグリもまた少なからず生徒たちの懸想の的となっていた。
    姉のゼイユはといえば、器量よく面倒見のいいところから高嶺の花のような位置に居たのだろうか、色恋のような噂は聞いたことがない。

    スグリは良い子である。
    したがって彼が心を惹き付ける魅力を持っていることはごく自然なことであった。そしてその魅力は年上の先輩たちにも届いていたのだろう。彼を見守る者たちの中でひときわ近い位置にいたのはゼイユだが、彼女と同様に近しくスグリを見守っていた者がいた。それがこのブルーベリー学園の生徒会長ネリネである。

  • 16二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 21:04:40

    キャニオンエリアの空気は薄い。老人には堪えるが、若者たちにはなんの障壁にもならないようで、ネリネもまたキャニオンエリアの中腹に滞在し四天王としての辣腕を振るっていた。

    その彼女もスグリに心を奪われたのだろう。本人が自覚しているかはともかく、昨今の若者としては珍しいきりりとした表情が普段の彼女だが、わずかに揺らめいているように感じるのは私のような老人の目だからこそ。しかし、私は生徒の顔色を見ることに関しては自信を持っているのだ。あれはまさしく恋の色であった。

    そして、そんな彼女を影ながら見つめる者がいた。彼こそがスグリのキタカミでの一件に関わる重要人物であり、その事件を解決したくだんの留学生・・・、


    イッチである。

  • 17二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 21:12:49

    「イッチである。」

    これを見に来たと言っても過言ではない

  • 18二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 05:53:06

    ほしゅしゅ

  • 19二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 08:12:40

    私は分かっていた。彼がスグリと確かな友情を育んでいたその日々の裏で、恋焦がれる熱い魂の行き場を持て余していることを。決して訪れぬ幸福のひとときを腹の底から渇望していたことを。

    おそらくは彼も分かっていたのだろう、自らの想いは届くことなどなく、その願いは果たされることなどないのだということを。

    自室で煙草をくゆらしている今この瞬間にも私の脳裏に浮かぶのは、青春の一ページを刻んでいる生徒たちの姿である。イッチもまた例外ではない。

    友を取るか、恋を取るか。
    この問いは古来より使い古されてきた議題であるが、いまの彼にはどうもそぐわない気がする。

  • 20二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 08:17:21

    なにしろ、彼の思い人は迷ってなどいないのだ。イッチは最初から選択肢など持ち合わせていなかったのである。
    ただただ自分の目の前で想い人が自分ではない誰かと幸せになっていくのを見届けるしかない。
    その苦悩は若者の脳を揺さぶり魂を焼きあぶるのだろう。恨みともつらみともつかない煩悶の表情がそれを示している。

    そして、私は彼のその表情を見ることに得も言われぬ喜びを見出してしまった。

    本当に脳を焼かれたのは私の方だったのかもしれない。

  • 21二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 08:30:34

    イッチBSSの流れ弾で脳を焼かれる老年教師のSSは業が深すぎて草テラスタル

  • 22二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 09:31:13

    脳焼かれる老教師に笑った
    ありがとう、イッチギャルド見てると何か色んな元気出てくる

  • 23二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 12:19:51

    文章力も獲得したのか

  • 24二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 21:11:26

    ネリネさんとイッチ自身の恋物語を描くんじゃなくて第三者視点の描写をするあたりなんか恐ろしく才能を感じる

  • 25二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 21:24:35

    画力もぐんぐん成長して砂でも墨でも絵が描けて3Dでゲーム作ろうとしててアニメも描けてマンガも描けて作曲もしようとしてて文章も行けるとかさすがに鬼才すぎる 数ヵ月後にはネリネ非公式イメソン手描きアニメがYouTubeにあがってそうな勢い すごすぎて怖い

  • 26二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 21:37:47

    久しぶりイッチギャルド

    あいもからわず、文豪だね
    怪奇文書時代からすげぇとはおもってたが

  • 27二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 03:38:40

    ほしゅー

  • 28二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 10:59:22

    人生はうたかたの夢。

    果ての見えない無限を揺蕩うひとひらの雲が我々生命なのである。ときには船を乗り換えつつも私たちは無限の果てを目指して旅をしている。老年に入った私もその道ではいまだ初心者というべきだろう。

    いま私の机の傍らには長年連れ添った相棒のハカドッグが寝息を立てている。常夜灯のオレンジ色の光は私に遠い過去のことを思い起こさせる。他ならぬ私にも青春の時代があったのだ。しかしそれもまたうたかた。

    本来、一度きりしか味わえぬはずの青春のきらめきを何度も見ることができる教職というのはなんと幸福な職業であろうか。

  • 29二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 11:05:39

    人生は泡沫の夢。

    常に移ろい続ける幻の連続。それはつまり、いかに若人たちであろうとその一瞬は二度と帰らない大切なひとときなのである。いまの感情はいまにしか味わえず、いまの表情はいまにしか作れない。

    そう、いまにしか作れないのである。

    私の後ろ暗い邪な享楽を満たしてくれるイッチの表情・・・、その煩悶の表情もいまにしか見れはしないものなのだ。恋を得られぬ苦しみの表情は至上の甘みを伴っていることを、誰に見られることもないこの日記に綴ろう。

    パルデアアカデミーのクラベル校長は以前生徒たちは宝探しをしていると言っていた。その生徒たち自身が宝物なのだとも言っていた。研究者時代に何度かお会いしたことはあるものの、ついぞ個人的な親交はないままだが、いまなら分かる。

    いや、今だからこそ分かる。


    生徒たちは宝物なのだ。

  • 30二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 22:31:41

    苦しみが伝わってくるいい文章だ

  • 31二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 07:10:56

    保守

オススメ

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