うへへ、セリカちゃん、おじさんとイケナイことしよっか?

  • 1二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:21:32

    「ホシノ先輩……こんな事するのはまずいんじゃ……。」

    私、アビドス高等学校一年生黒見セリカは、同じく三年の小鳥遊ホシノ先輩が『イケナイこと』をする様子を眺めていた。
    ここは連邦捜査部S.C.H.A.L.Eのオフィス。
    時刻は正午過ぎ、なんてことない静かな昼下がりのはずだった。

    「嫌ならセリカちゃんは何もしなくていいよ。おじさんはおじさんで勝手にやるからさ。」
    「うっ……もう!私だってやるわよ!どうなっても知らないから!」
    なんでこんな事になっちゃったのよ……。

  • 2二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:23:04

    俺のカンが正しければ絶対しょーもない事だぞ

  • 3二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:23:22

    時間は少しさかのぼって……。

    「おじさんまだ眠いよぉセリカちゃ~ん。」
    静かなシャーレの廊下に気の抜けた声が響いていた。

    「ここまで来てなに言ってるの!第一もうお昼過ぎよホシノ先輩!」
    「うへ~セリカちゃん先輩の扱いが少し雑なんじゃない?」
    「もう!先生に会えるからって頑張って起きたんでしょ?ほら!ちゃんと歩いて!」

    そう、今日は先生と会う約束の日。
    怠惰な先輩の手を引っ張り、引きずりながらオフィスに入っていく。

    「先生!ちょっと時間貰うわ……よ?」
    最近は見慣れてきたシャーレのオフィスに声を響かせる。しかし、見慣れた先生の姿はそこになかった。

  • 4二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:25:26

    ksk

  • 5二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:27:01

    「うへ~それは言わないおやくそ……どしたの?あれ?先生留守?」
    「うん、そうみたい……。せんせー?来たわよー!」

    先生の仕事場はいつも通り散らかりつつも、どこかガランとしていた。

    「どうしたんだろうね?お昼休憩かな?」
    「えぇ!?ちゃんとアポだって取ったのに……。ちょっと他の部屋も見てくる!」
    そう言って、ホシノ先輩を置いてオフィスを飛び出す。
    フロア内を軽く見て回るが、どこにも人の気配は無い。結局すぐにオフィスに戻る事になった。

    「もう!先生ったらどこ行ったのよ!こっちはせっかく砂漠の向こうから会いに来てあげたってのに!」
    オフィスに戻り悪態をつきながら先生のデスクに寄りかかる。スマホを取り出しモモトークを見てみても先生からのメッセージは来ていなかった。

  • 6二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:28:42

    「セリカちゃん先生に会えるからってウキウキだったもんねー。相変らずツンデレだ。おじさんには目に毒だよ~。」
    「ちょっと!?そんなんじゃないから!」
    「まあまあ、先生が来るまでゆっくりしてようよー。」
    そう言いつつ、すでにホシノ先輩はソファでくつろいでいる。傍らにはショットガンと防弾盾が置かれている。
    溜息をつきつつ、私も肩から銃を下ろそうとスリングを外していると、先生のデスクのモニターが突然点灯したことに気がついた。

    「あれ……?先生、パソコンつけっぱなしで出かけたのかな?」
    「ん?そうなの?」
    「なんか、いきなりPCの画面がついたのよね。」
    「ふーん?マウスとかが動いてスリープから復帰したとかかな?変わりにおじさんはスリープしてようかな~。」

  • 7二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:30:06

    銃をデスクに置いてモニターを覗き込む、画面には青を基調とした壁紙のデスクトップが映されている。
    「おじさんにも見せてごらーん。」などと言いながら、先輩もフラフラとやってきた。スリープするんじゃなかったの?

    「うへ、不用心だねー、ロックもかけないで出かけちゃうなんて。せめておじさんみたいに机に付箋貼ってパスワード管理するぐらいはしなくちゃね。」
    「いや。それも十分不用心だから。というか、ホシノ先輩そんな事してないでしょ……。」
    先輩の冗談を流しながら、自然とマウスに手が伸びていた。

    「せ、セリカちゃん?流石に勝手にいじると先生に怒られるんじゃ……。」
    「先生が遅刻するのが悪いんじゃない。先生が来るまでのちょっとした時間つぶしよ。ホシノ先輩は先生のパソコンの中、気にならないの?」
    「うへへ、そりゃ気になるよ~。じゃあセリカちゃん、おじさんとイケナイことしよっか?」
    「うっ……その言い方。なんかぞわぞわするんだけど……。」

  • 8二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:32:44

    ……このシチュエーションを見て真っ先によぎったのが遺書概念でした、毒されすぎですね()

  • 9二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:34:20

    たぶんAVサイト

  • 10二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:37:46

    さて、どこから見てみよう……。軽くデスクトップのフォルダを覗いてみたが見たことのある書式の書類ばかりだ。
    画像フォルダには少し期待をしたが(変な期待ではない)ほぼ空だった。

    「うーん……なにも面白いものはないわね……。」
    立ちながら操作する体勢に疲れ、勢いよくデスクチェアに腰掛けながら不満をこぼす。
    「宝探しみたいでこうしてるだけでも面白いけどねー。まあ、大したものが入ってないからユルユル~なセキュリティだったんじゃない?」
    たしかに。建物自体がセキュリティで守られたシャーレ内とはいえ、いくら先生でも見られてまずい物を不用心に放置しないか……。
    「インターネットとかはどう?」
    「インターネット?」
    「そうそう、履歴とかにさ、何かないかな?」

  • 11二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:41:07

    ああ、それがあった。ブラウザソフトを探しだし、さっそく履歴を見て回る。

    「楽器 上達 短期間 - MoMogle 検索?ねえ、ホシノ先輩。先生ってなにか楽器やるの?」
    「いや~、私も初耳だね。」
    「パーティー参加時の注意点。ドレスコードの種類まとめ……?パーティって何?何のパーティ?先生ってそんなのにも参加する職業なの?」
    「いや~おじさんに聞かれてもさっぱり……。ノノミちゃんとかに聞いたら何か知ってるかもね。詳しそうだし。」
    「趣味 見つけ方 - MoMogle 検索……。」
    「前にフィギュア収集とかスマホゲームとかやるって先生言ってたけど。それだけじゃ不満なのかね。」
    「わかんないけど……。そもそも、趣味に使う時間そんなにあるのかな?いつも忙しそうだけど……。」
    「たしかにねー。大人って大変そうだよね~。」

  • 12二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:44:25

    一つ一つ見ていても時間が掛かるし、何か興味の惹かれるものはないかと流し見ながらスクロールしていく。

    ……
    『実は深い!?ファンが語るキモいだけじゃないモモフレンズの魅力とは? - クロノスニュースオンライン』
    『距離が近い人の心理とは?本当は寂しがりや?対処法も解説 - Hundred✿Flowers』
    『Momozon | アビドススナヤマ(ABDOS SUNYAMA)高機能除湿機 ブラック SLEY-625ka』
    『温泉 水着可 ゲヘナ - MoMogle 検索』
    『【神回】最強の忍術開発してみた結果!!の巻 - MomoTube』
    『盗聴器の見つけ方を5つ解説!見つけた際の対応はヴァルキューレ?治安維持組織?プロによる徹底解説‐millennium.com』
    『映画チケット プレゼント 嬉しくない - MoMogle 検索』
    『料理に獣毛が!?クレームを入れる?入れない?意外なアンケート結果とその傾向 - クロノスニュースオンライン』
    『「救護(きゅうご)」の意味や使い方 わかりやすく解説 millennio辞書』
    『身近にいるこんな人には要注意! 依存体質な人への上手な対処法 - リリーガーデンナビ』
    『意外とバレている?大きくて有名な副委員長に聞く、視線に気がづく瞬間とは? - news.trinity.co.kv』
    『調理 完成 軟体動物 - MoMogle 検索』
    『【楽園市場】 百鬼夜行産 高級和牛焼肉セット4人前 800g』
    ……

  • 13二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:44:28

    シュガーラッシュにゲヘナパーティー、趣味はイチカかな…?

  • 14二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:46:02

    >『盗聴器の見つけ方を5つ解説!見つけた際の対応はヴァルキューレ?治安維持組織?プロによる徹底解説‐millennium.com』

    …マッチポンプ!

  • 15二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:53:38

    「なんか思ってたのと違うわね……。」
    「おじさんは結構見てて楽しいけどね。」
    「まあ、先生もこんなことを気にしてるのかなって考えたらちょっとは楽しいけど……。」

    遅刻した先生を懲らしめられるような、なんかこう……弱味握った!!というような情報を求めていたのに……。
    先生はいつになったら帰ってくるだろうか。半ば興味を失い眠くなってきた。頬杖をついてぼんやりとモニター眺めながら画面のスクロール続けていると、不意に現れた文字列に私の意識は引き戻された。


    『遺書 書き方 注意点 - MoMogle 検索』

  • 16二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:54:37

    あにまん民気軽に遺書ネタ使うのやめよう?

  • 17二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:55:25

    お前に、「頑なにシークレットモードを使わない先生」の名を、与える。

  • 18二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:55:35

    スクロールする手が止まる。
    遺書……?書き方?それってどういう……?誰が……遺書って誰の?
    履歴には他にも、遺書や遺言から始まる検索ワードがいくつか並んでいた。
    先生が自分が亡くなることを予見して遺書を書こうとした?
    私の脳裏には、もう一人のシロコ先輩の姿が思い浮かんでいた。

    「ホシノ先輩、これって……。」
    後ろを振り返ると、ホシノ先輩からは先ほどまでの緩やかな空気が消えていた。

  • 19二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:57:47

    「セリカちゃんはどう思う?」
    「……え?」
    いつもと同じようでいて、どこか鋭さを感じさせる声で先輩は私に問いかけた。

    「この履歴。どうしてこんな事を調べたのかな?」
    「……普通に考えたら、先生が遺書を書くために調べたって……ことよね。」
    「そうだよね。……セリカちゃんちょっと席変わってくれない?」
    「え?う、うん。いいけど……。」
    私が席を立つと、ホシノ先輩は素早く椅子に座り、PCを操作し始める。

  • 20二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 22:59:53

    >>16

    ホシノが絡む話を盛り上げるのに便利だからしょうがない

  • 21二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:00:37

    「ほ、ホシノ先輩……?」

    私の声に反応を返さないまま、ホシノ先輩は画面とマウスの操作に没頭している。
    どうやら履歴の中から何かを調べているようだ。突然雰囲気を変えた先輩に気おされ、私はその様子を黙ってみていた。
    静寂に包まれたオフィスにPCのファンとクリックの小さな音がやけに大きく響いていた。

  • 22二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:05:00

    >>20

    ホシノじゃなくても遺書を使うじゃんかもっと引き出しは無いのかね

  • 23二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:05:24

    「ほ、ホシノ先輩、いったい何を調べてるの?」
    沈黙に耐え切れず問いかける私に先輩は返答にならない言葉を返した。
    「……紙だね。」
    「え?」
    「たぶん先生が遺言を残すなら紙。たぶん直筆で遺してそうだ。PCの中とかじゃないね。」
    「え?なんでそんな事わかるの?」
    「履歴をみたうえでのただの推測だけどねー。しかも、まだ金庫とかにも入れてないかもしれない。」
    「どうして?」
    「頑丈な金庫を探していたみたいだけど、購入はまだしてないみたいだから。」
    そう言うとホシノ先輩は椅子から立ち上がり

    「じゃあ、セリカちゃん。おじさんともっとイケナイことする?」
    「え?な、なにを?」
    「シャーレで宝探し……。探すのはお宝じゃなくて遺書だけどね。」

    とんでもない事を言うのだった。

  • 24二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:06:57

    >>22

    もともと遺書概念のリクエストに応えて書きだしたものだったからこれに関しては許して

  • 25二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:08:03

    救護の意味を調べてるの笑った

    救護ってなんなんだろうね……

  • 26二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:16:08

    しばらくして……。


    「ほ、本当にあった……。」
    遺書は意外にも簡単にみつかった。と言うのもさっきまで座っていたデスクの引き出しの中、何十枚かのコピー紙に書かれ無造作に収められていた。

    「ふーん。書きかけ……というより完全に下書きって感じだね。だからこんなわかりやすい所にしまってたのかな……。個人宛じゃなくて部活毎に宛てるつもりみたいだね。」
    「ホシノ先輩!やっぱりまずいよ!人の遺書を勝手に見るのは……!」
    「ほら、対策委員会宛てもあったよ。」
    「聞いてます!?ホシノ先輩!!」
    完全に聞いていないらしい……。ホシノ先輩は手元の紙に視線を落とし、そこに書いてあるであろう文字を追っているようだ。
    文字を追う為に伏せられた目は、影の落ちた瞳は、静かに揺れているように見えた。

  • 27二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:17:00

    「……ホシノ先輩?大丈夫?」
    「うん?うん。どうしたの?セリカちゃん。」
    「いや……ううん。その……先生からは何て書いてあった?」
    「……うーん、何も。」
    「え?」
    「ほら、最初の方だけ書いてあって私たちに向けては何も……。」

    紙を受け取り目を通してみると確かに用紙の大半は空白で、自身がいなくなった事やアビドスの復興や借金返済に力になれなかった事への謝罪などが綴られている。
    私たち一人ひとりに残す言葉はないという事か、それとも単に書きかけなのかはわからない。しかし、短い文章ながら、先生がある日突然いなくなってしまうかもしれない。そんな想像と不安を肌で感じさせられるには十分だった。

    私も先輩も、何も言葉に出来ず、ただただ重苦しい沈黙がシャーレのオフィスを包んでいた。

  • 28二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:18:44

    最近気軽に昼行燈モード剥がされがちおじさん

  • 29二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:22:24

    「先生帰ってこないね。」
    沈黙の中、ポツリとホシノ先輩の声が響く。
    「いつまでも帰ってこないのって……偶然かな?」
    「……え?」

    「もしかして、遺書を残して。後は何も言わずにどこかにいちゃったんじゃないかな?あの時の……。」
    何かを言いかけて、それ以上言葉を続けなかった。

    「ホシノ先輩……考えすぎだよ……。」
    「そうかな?でも今日は違くても、そのうち先生もどこかに行っちゃうような、そんな気がするんだよね……。」
    目は伏せていないのにさっき以上に深い影が先輩の瞳を覆っているようなそんな気がした。
    いつも穏やかなホシノ先輩がこんな表情をする事に私は困惑し、先輩がどこかに消えて行ってしまいそうな漠然とした不安を感じていた。

  • 30二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:23:48

    そんな私を尻目に先輩はデスクを離れて歩き出した。
    「どうしたの?ホシノ先輩。」
    「先生の事、探しに行ってくる。」
    そう言って先輩はソファに立てかけていた自身のショットガンを拾い上げる。

    「探しにってどこへ!?」
    「とりあえず、先生の行きそうな場所を探してみるよ。」
    「えっと……それならせめて、まずはここで何か手掛かりを探した方がいいんじゃ……。それに先生もすぐ帰ってくるかもしれないし。」
    「セリカちゃんはここで待ってて。おじさんは行ってくるから。」
    ショットガンを肩にかけながら、こちらには一瞥もくれずに言い放つホシノ先輩に、私の胸の奥のモヤモヤが沸き立ってくる。
    募る不安感とほんの少しの苛立ちに、私の体は自然と動いていた。

  • 31二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:25:15

    完全にトラウマを抉られてる…

  • 32二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:33:14

    「ホシノ先輩!!」
    盾を拾おうとしていた先輩の手を勢いよく掴む。私に突然掴まれた驚きによって見開かれた大きな目と、やっと視線が合った。
    「ホシノ先輩……なんなのよ……さっきからずっと変だし……。」
    「セリカちゃん……?」
    「何にも話してくれないし、勝手に一人で決めてちゃって、勝手に一人で行こうとして!私だっているんだから……ホシノ先輩が行くなら私だって行くし!力になるわよ!!それとも私じゃ頼りないって言いたいの!?」
    「セ、セリカちゃん……な、なんで怒ってるの……?」
    「怒ってないわよッ!!!」
    「うへぇ!」

  • 33二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:38:07

    「それに……ホシノ先輩はそんなに先生の事が信用できないの?」
    「……え?」
    「先生と今日会う約束したわよね!先生は約束を簡単に破る人じゃないし!弱いけど頼りになるし!変な人だけどやる時はやる人だし。その……信頼できる大人だと思う!!私は……。」
    「……。」
    「簡単にやられちゃったり、私たちの事を放り出してどこかに行っちゃうような人じゃないから、そう思うから……だから……ちょっとは冷静になりなさいよ。」

    言う事を言って頭が冷えてくるに連れて強く掴んでいた手は自然と緩み、気が付くとただ包み込むようにホシノ先輩の手を握っていた。
    ホシノ先輩は私から視線を外し、私に握られた手を見つめているようだった。いや、それともその先に置かれた盾を眺めているのだろうか。私の視点からはわからなかった。

  • 34二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:43:21

    「とにかく探しに行くなら私も行くからね!!でも行く前にやっぱり手がかりは探してみるわよ。二人で探せばすぐ何か見つかるかもだし。」

    「セリカちゃん……。」
    しばらく間黙っていた先輩が口を開いた。私は再び不安に唾を飲み込みながら、先輩の次の言葉を促す。

    「……何よ?」
    「やっぱりセリカちゃんはツンデレだよね~。」
    「へ?」
    突然のふにゃふにゃボイス(いつもの先輩)に驚くあまり変な声が出てしまった。

  • 35二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:44:58

    「うへ、そっかあ、セリカちゃんは先生の事そんなに信頼して、そんな風に思ってるんだね~。」
    「はっ!?い、いやっ……ぺ、別にホシノ先輩を説得するために言っただけでッ!私が日頃からそんな事思ってるとかじゃないから!!」
    「うんうん!そっかそっかぁ。大丈夫!おじさんはセリカちゃんの事わかってるからね~。」
    「ああぁ!!もう!何なのよ!いきなり!!あーもう。それもこれも先生が変なもの用意するからよ!先生に会ったら思いっきり文句言ってやるんだから!」

    「だね~。それじゃあ先生の行方がわかりそうな物、二人で探そっか。やっぱ心配だし一応ね~」
    「はあ……了解。ええっと、じゃあ……。」
    「ねえ、セリカちゃん。」
    「何?ホシノ先輩。」

  • 36二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:47:57

    "いや~参っちゃったよ……。"
    ホシノ先輩が何か言いかけると同時に聞きなじみのある声がシャーレに響く。
    声のする方向、オフィスの入り口を振り返ると見慣れた人影、いや、正確にいうとずぶ濡れの見慣れた人影が聞き慣れた声で「二人ともお疲れー」と呑気に声をかけてきた。

    「先生……!」
    「な、なんでずぶ濡れなの……?」

    "遅れてごめんね。いやー午前中出張だったんだけど、帰り道で赤い洗面器を頭に乗せた生徒に遭遇してね。
    これがまた驚きなんだけどその洗面器の中にさあ、たっぷりの……"
    は?何?赤い洗面器を頭に??

  • 37二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:49:32

    古畑じゃねーかぁ!
    …でも探せば普通にいそう。赤い洗面器を乗せた生徒

  • 38二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:49:44

    「うへ、先生。無事に帰ってこれたなら遅刻の理由はどうでもいいんだけどさー。」
    あ、どうでもいいんだ……。

    「これは何?先生。」
    手に持った紙をヒラヒラ見せつけながらホシノ先輩が問いかける。

    "ん?それは……?"

    「えっと、勝手に漁ったのは悪いと思うけど、デスクの引き出しにあったわよ。」

    "あー……。"

  • 39二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:54:15

    「先生にもさー何か考えあるんだと思うけどね。こんな風に遺す物だけ残して行っちゃうの、おじさん一番嫌いなんだよねー。」
    声色はいつも通りだったが、ホシノ先輩からはさっきまでの冷たいじっとりした空気をどこか感じさせた。先生は観念したようにホシノ先輩の言葉に耳を傾けている。

    「こういうさ、伝えたいことは伝えられるうちに直接言うのが一番だとおじさん思うんだよね。顔を合わせられるうちに……ね。セリカちゃんもそう思わない?」
    「えっ!わたし!?まあ、確かに言いたいことはちゃんと言えた方がいいとは思うけど……。」
    「うへ、だよねー。じゃあせんせ!私たちに伝えたい事、のこさず全部聴かせてくれるかな?時間あるよね?」
    「そうね。こっちからも色々と言いたい事あるし……」


    「「先生、ちょっと時間貰う(わ)よ(~)」」

  • 40二次元好きの匿名さん24/06/03(月) 23:57:52

    時間はあっという間に過ぎて 放課後 帰り道にて

    「うへ~、おじさん今日は疲れちゃったよ~。セリカちゃ~んだっこー」
    「しないわよ!だっこなんて!抱っこが許されるのは赤ちゃんとか子供でしょ!おじさんならちゃんと歩きなさいよね。」
    「うへーおじさんだって、年下女子に甘えて赤ちゃんになりたい時だってあるよ~」
    「な、なに言ってんの……ホシノ先輩……。そもそも年下って言ってもほとんど歳変わらないでしょ……。」
    「うへへ、でも本当に……ふぁ……眠いし疲れちゃったよ……。」
    「もう……。ほら!手繋いであげるから頑張って歩いて、ホシノ先輩!」
    「うへ、やっぱセリカちゃんはなんだかんだ言って優しいねー。」

    夕日が差し込む帰り道。人気が少ないアビドスの街中。まばらに散った砂を踏みしめる感触と、先輩の手の平から伝わる体温を感じながら歩く。

    「セリカちゃん。先生の『遺言』はどうだった?」
    「え?あー……うーん、そうね……。」

  • 41二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 00:01:04

    無理やり聞き出した先生からの遺言。いや、遺言というよりは、ただ普通に言いたい事を言ってもらっただけで……

    「なんか……ただの説教みたいだった。」
    「うへへっ!おじさんも同じこと思ったよ。」
    「うん。バイトは頑張っても頑張りすぎるなーとか。体を大事にしろーとか」
    「上手い話はまず疑えーとかね~」
    「う”っ……。」
    「後はもう少し素直になりなさい。とかも言われてたねー。」
    「う、うるさいわね!!ホシノ先輩だって周りを信頼して頼れーとか、一人で抱え込むなとか色々言われてたでしょ!」
    「うへ~おじさんこの歳になって生き方変えるのはつらいよ~」
    「だからほとんど歳変わらないでしょ!!」

    ホシノ先輩は相変わらずゆらゆらと掴みどころがなくて、いつもはそんな態度にヤキモキする事もあるが、今はそんな先輩とのやり取りが心地よかった。

  • 42二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 00:03:41

    「うへへ……。ねえ、セリカちゃん。」
    「なによ?言っとくけど、だっこもおんぶもしないからね。」
    「今日はありがとね。」
    「……なに?突然どうしたの?ホシノ先輩。」
    「いやね、セリカちゃんがいて良かったなって。きっとセリカちゃんがいなかったら私、今日は冷静でいられなかったよ。」
    「……もう。本当よ!ホシノ先輩、すっごく!暗い顔してて心配したんだから!!」
    「ごめんねー。おじさん若かりし頃の血が騒いじゃって……。」
    「若かりし頃って……はあ……。」

    正面に沈む夕日を眺めながて歩きながら、今日の出来事に思いを巡らせる。

  • 43二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 00:05:37

    「今日のいつもと違うホシノ先輩を見て、先生だけじゃなくてホシノ先輩までどこかに行ってしまうんじゃないかって思って……無性に不安なった……。」
    「……うん。」
    「きっと対策委員のみんなもあの場所にいたら同じ気持ちになったと思う。みんなホシノ先輩の事大好きだし、私だって……その…………好き……だし……。」

    顔が熱い。先生が素直になれなんて言うから……。ああもう!こんな恥ずかしい台詞はもう今日限り二度と言わない!!

    「…………セリカちゃん。」

  • 44二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 00:07:35

    「……なんて?」
    え?
    「最後、声が小さくてよく聞こえなかったから。もう一回言ってくれない?」
    は?
    「ねえ、もう一回だけ!ちゃんと聞こえなかったからもう一回!」
    ……

    「ねえ!お願いだよ~セリカちゃ」
    「ああ!もう!うっさい!!言えばいいんでしょ!?好き!!大好き!!!!大好きって言ったの!ホシノ先輩の事!!!」
    あああああーー。もう、なんなのよ。恥ずかしいいいいいいい。

  • 45二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 00:12:18

    「とにかく!!だから、何かあったらもっと私の事頼りにしなさいよね!先生はどうか知らないけど、私はホシノ先輩の前から突然消える気なんか更々ないから!!」
    「うへ!それに関してはセリカちゃんが真っ先にホイホイどこかに行っちゃいそうでおじさん心配なんだけどね。」
    「え……?はあ!?」

    「私もセリカちゃんの事大好きだよ!!」
    「うわあっ!ちょっとホシノ先輩……!」

  • 46二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 00:14:21

    突然抱き着いてきたホシノ先輩をよろめきながら受け止める。

    「えへへ、セリカちゃん温かーい。温かくて寝ちゃいそ~。」
    「……もう。ちょっとホシノ先輩!こんな所で寝ちゃだめだからね!」
    「わかってるよ~。うへ、なんだかんだいって今日の宝探しは大成功だったみたいだ。」
    「何よそれ、どういう意味?」
    「んー?べつにー?なんでもないよー。それにしてもセリカちゃん、頬っぺが真っ赤だね。」
    「えっ?!なっ……!こ、これは……!夕日が赤いからでしょ!」

  • 47二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 00:15:17

    …え、何この絵!?

  • 48二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 00:16:12

    「うへへ、じゃあそう言うことにしとくね。よーし、じゃあ紫関ラーメンにでも行こうか?元気出てきたら腹すいて来ちゃったよ。」
    「まあ、そうね。私もお腹すいてきたし……。」
    「よーし!おじさん今日はおごっちゃうぞー!!」
    「ちょっ、ホシノ先輩!別にそんなに急がなくていいでしょ!?というか、眠かったんじゃないの!?」
    「うへへ、夕日に向かってダッシュだー!セリカちゃーん、こっちよー!捕まえてごらーん!」
    「またキャラおかしくなってない!?ちょっと!?ホシノ先輩!待ちなさいったらー!!」


    おわり

  • 49二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 00:18:37

    いいSSを読ませてもらった…
    ホシノとセリカの解像度が上がるお話でした。乙!

  • 50二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 10:35:56

    乙!

    タイトル回収の所「そう来たか!」と思いました…


    >>47

    俺も気になる…

    公式絵の引用かな? 手描き絵かな? AI絵かな?

  • 51二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 18:10:50

    >>47 >>50

    ただの自前のコラです。青空差分+引きでみるとこんな感じ


    幸せそうな対策委員の6人

  • 52二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 18:27:08

    それでこんな感じに邪魔なシロコ先輩には消えてもらいました。

  • 53二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 20:40:37

    >>52

    何かがおかしい

  • 54二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 20:57:46

    >>53

    (∵)うーん・・・何がおかしいんだろう・・・

  • 55>>5024/06/04(火) 21:03:08

    なるほど…

    ……推測するに、廃校対策委員会の公式絵を加工して小鳥遊ホシノを2人に増やしたのが>>51で、空を橙色に変えて隣の砂狼シロコを消して黒見セリカ&小鳥遊ホシノの上半身にズームインしたのが>>45で、そこからさらに表情を描き換えたのが>>46>>52…ってコト!?

  • 56二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 21:04:18

    小説も書けてコラも作れるとか最強かよ!

  • 57二次元好きの匿名さん24/06/04(火) 21:10:20

    >>52

    怪異かな?

  • 58二次元好きの匿名さん24/06/05(水) 00:25:03

    >>55

    だいたいそう。後は馴染むように色を乗算したり薄く光を足したりって感じ。君もコラ職人になろう!

    好きなキャラの色んな表情を作れる。それって最高じゃん!


    誤字が目立つ駄文でしたが呼んでくれた人はありがとうございました。わっぴー

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