- 1二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 21:09:32
拝啓◯◯さんへ
貴方が天国に旅だってから、早いもので七年の月日が経ちました。あの頃の私は毎晩泣きはらしてばかりで、貴方にはとても見せられない顔をしていたと思います。鉄が火に当てられて柔らかくなるように、私も貴方という火に長く当てられ、すっかり弱くなってしまったようです。『君がため 惜しからざりし 命さへ ながくもがなと 思ひけるかな』 今になってこの歌の本当の意味がわかったように、私は思います。
貴方がいなくなった日は、夏の盛り。雲一つない澄み切った青空が今も私の頭の中に残っています。病院のベッドで横たわる貴方は、安らかな顔をして、私がついと触れると、ふと目を覚ますのではないかと思うくらい綺麗な顔をしていました。今でもその時の事は鮮明に思い起こされます。
それから七年。私は貴方の思い出を胸に、こうして生きて来ました。心に残るのは貴方の笑顔と童女のような拙い思慕。貴方と共に歩んだ足跡は、私の胸に今も残り続けております。この七年間私は一時として、貴方を忘れる事は出来ませんでした。
きっと天国で貴方に会ったら、貴方はこんな滑稽な私をお笑いになるかと思います。どうかその日まで、あと五年、いえ七年程お待ち下さいませ。これが六十年間貴方に連れ添った妻としての最後のお願いです。
グラスワンダー - 2二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 21:10:34
六十年間……
六十年間!? - 3二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 21:10:36
グラスちゃん長生きやなあ
- 4二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 21:12:37
めちゃくちゃよかった
死別ものかと思ったら いや死別ではあるんだけど - 5二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 21:18:52
こういうのに俺は弱い……
- 6二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 21:21:01
グラスちゃんて普段芯が強い分、手紙とかだと気持ちが先行してめちゃくちゃ甘くなりそうよね
- 7二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 21:37:21
…ちょっと泣く