- 1二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 08:08:54
前スレ
【クロス】ここだけヒナがメタナイトみたいなキャラな世界 3スレ目|あにまん掲示板前スレhttps://bbs.animanch.com/board/3343002/?res=186・このようなスレタイですが、ヒナ→メタナイトの話題だけではなく、「カービィ枠はホシノだな」「マコトは…bbs.animanch.com・このようなスレタイですが、ヒナ→メタナイトの話題だけではなく、「カービィ枠はホシノだな」「マコトはさしずめデデデ…もといキキキ大王」みたいに自由に語ってください。
・SSなども自由に書き込んでください。格別だZOY!
5スレ超えてたんですけど落ちちゃったので立て直しました
- 2二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 08:09:38
- 3二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 08:10:56
このレスは削除されています
- 4二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 08:11:52
いやー…スレ立てするのが遅れたからやろなぁ…
管理が甘く落としちゃいました。
気をつけないと - 5二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 08:13:40
スレ埋めのために落ちちゃったスレで書かれたものを貼っときます
『埋めがてら私の考えるブルアカワールドの設定をば。
星型の形をしている『きせきの星 ポップスター』の一部にある『学園都市 キヴォトス』というイメージ(ようはプププランドがキヴォトスに置き換わっているみたいな感じ)。
だから原作カービィよりかは人間も多いしどことなく現実味のあるブルアカ寄りな世界だけど、星はポップスターだからダイナブレイドとか生息しているし、空にはフロラルドもあるし、宇宙にはギャラクティック・ノヴァもいる…という設定を考えています。』 - 6二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 08:15:01
- 7二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 08:17:51
スレ立てしたばかりだったのでこんなものですね。
後は誰か立て直しスレに気づいて…! - 8二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 09:06:20
スタアラのSSも書いてみたいしディスカバリーのも書きたいなぁ
- 9二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 09:38:02
まさか落ちてたとは…
最後に見た時は12時までセーフだと思ってたんですが… - 10二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 10:10:46
- 11二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 10:12:02
- 12二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 10:38:59
- 13二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 10:54:15
- 14二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 12:21:59
立て乙
4スレ目に突入とは波に乗ってますな - 15二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 14:38:56
- 16二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 18:50:39
保守あげ!
- 17二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 21:38:16
前々スレ184および196の続きです
・ステージ3:オクターン・オーシャン
(前回散々な目に遭ったものの、どうにか生き延びたホシノ)
(あれから一旦アビドスに戻り、ウタハ達を引き渡して準備を整え直した彼女は新たな戦地にやってきた!)
ホシノ「ここら辺は海岸エリアか~。潮風が気持ちいいね~」
ホシノ「こんな状況じゃなければ、アビドスのみんなと先生を誘って海水浴としゃれこみたかったけど…。そうも言ってられないね」
ホシノ「そ・れ・に。ようやく今回から『この子』も復帰したんだ、柄じゃないけど張り切っていかないとね!」
(足元の『それ』をポンポンと叩くホシノ)
(そう。今回の出撃はなんと、いつぞやのホシノロボ――改め、ホルスアーマーと一緒に行われていた!)
ホシノ「いや~。あんな事もあったけど、ウタハちゃん達を引き入れられたのはついてたよ~。おかげでボロボロだったこの子も完璧に直してもらえたんだから」
(ゲーム開発部との戦闘でもがれていた右腕も、ボロボロだったボディも完璧に元通り)
(そればかりかエンジニア部による大改修と徹底したメンテナンスが行われ、むしろ最初に乗った時よりもピカピカに輝いていた)
ウタハ『――聞こえるかな。ホシノ』
ホシノ「お、ウタハちゃん。やっほー、聞こえてるよー」
(ホシノの耳元、そこに着けられた通信機からウタハの声が響く)
(これもまた今回の作戦から新たに追加された、もう一つの装備である) - 18二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 21:38:32
ウタハ『感度良好、妨害電波によるノイズもなし。うん、我ながら完璧な仕事だ』
ホシノ「いやー、本当に悪いね。何から何まで至れり尽くせり、整えてもらっちゃってさ」
ウタハ『気にすることはないよ。私たちがしてきた事を思えばこれくらい安いものだ。それに、君たちにはモモイ達ゲーム開発部の皆を赦してもらった借りもあるからね。ならば猶更応えなくては』
ホシノ「そんな大げさだよ。それにあれは先生が決めた事であって、私たちは同意しただけだし。お礼なら先生に言っておいてよ」
ウタハ『ふふ、先生も同じような事を言ってたよ。――さて、本題に戻ろうか。そのエリアの名は「オクターン・オーシャン」。といっても、それはミレニアムの方で名付けられたコードネームであって、本来はオデュッセイアの縄張りだった地域だ』
ホシノ「オデュッセイア…」
(オデュッセイア海洋高等学校。ホシノもあまり詳しい事は知らないが、何でも海や島々を拠点とし、さらに複数の船から成り立つ学校だったと聞いている)
(見れば遠目にいくつか沈められた船と思しきモノの姿もあり、かつての抵抗の名残を感じさせた)
ウタハ『私たちの方で得た情報では、侵攻当時オデュッセイア側も相当抵抗していたらしい。最も、ミレニアムが差し向けた空海軍戦力の前には抗しきれなかったようだがね…』
ホシノ「だろうね。ここからでも何隻か、破壊された船体が見えるよ」
ウタハ『なので移動の際は気を付けてくれ。オデュッセイア側がバラまいたのと、ミレニアム側が後から撒いた機雷がそこかしこに浮かんでいる筈だ。下手に飛び込んだら誘爆してドカン!だよ』
ホシノ「うへ~、それは笑えないなぁ。もう爆発はこりごりだよ」
ウタハ『だが、今回の為に特別な改修も施しておいた。ホシノ、君の近くに適当な船舶は見当たらないか?ボートでも、何なら水上バイクでも構わない』
ホシノ「うーん、急にそう言われても…。おっ?」
- 19二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 21:38:54
(辺りをきょろきょろと見渡すホシノ)
(すると、おあつらえ向きと言わんばかりにモーターボートが一隻放置されていた)
ウタハ『見つかったかい?ならその近くまで寄って、そこでボディを前に向けながら手元の「C」と書かれたボタンを押してくれ』
ホシノ「りょーかい。どれどれ、ポチッとなと」
(ウタハに言われるがまま、ホシノは「C」ボタンを押す)
(するとホルスアーマーの顔部分が開き、中から光線が照射された!)
(さらになんとなんと――)
電子音声『スキャン完了。これより、海戦モードに移行します』
ビカッ!
ガキョンガキョンガシーン!!
ホシノ「うへ!?な、何これ!変形した!?」
(ホシノの言う通り、ホルスアーマーはその姿を大きく変えていた)
(二足歩行からボートを思わせるような鋭角的なフォルムに。さらに両腕が格納され、代わりに魚雷発射管がボディの左右から飛び出した)
ウタハ『どうやら上手く行ったみたいだね。――その機能は「コピースキャン」。手近にある物体に解析光線を当て、そこから得たデータを基に機体を最適化させる新機能さ』
ホシノ「うへ~、まるで別物みたい…」
ウタハ『ちなみにその形態は海戦モード。名前通り海戦に特化した形態で、機動力も水上・水中戦向けに切り替わっているよ』
ホシノ「えっ。水中って事はこれ、潜れるの?」
ウタハ『もちろん。手元の操作パネルにそれらしいのが出てないかい?』
(言われて探すと、確かにウタハの指摘通り潜水艦マークのボタンが新たに出ていた)
(早速ホシノが押してみると)
- 20二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 21:39:22
ホシノ「わわっ!潜水艦みたいになった!」
ウタハ『みたい、じゃなくてまさしく潜水艦さ。ただし潜水艦同様、内部酸素に制限があるからあまり長居はしないようにね?』
(ホシノが再び潜水艦ボタンを押すと、形態が変わり海上へ上昇する)
(そうしてしばらくの間、両形態での操縦を確認し――やがて、満足したホシノは正面にある敵拠点に向き直った)
ホシノ「よーし、これで操縦もバッチリ!さあ、今回もぶっ飛ばしていくよ~!!」
(意気揚々、海上を進み敵拠点を目指すホシノ)
(はたしてその先に待ち受けるモノとは――)
(海上を進み、とうとう敵拠点まで辿り着いたホシノ&ホルスアーマー)
(内部に突入してからもその進撃は留まるところを知らず、とうとう拠点最深部まで到達した!)
ドガーン!
ホシノ「うへ~、そろそろここも奥まで来たと思うんだけど…。今回のボスはどこかな?」
(その時、ホシノの耳に不可思議な声が聞こえてきた)
ホシノ「これは…歌?誰かいるのかな」
(罠に気をつけつつ、注意深く進むホシノ)
(やがて声の発生源まで辿り着いてみると、そこにいたのは)
- 21二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 21:39:45
トキ「お~お~偉大なミレニアム~♪お~お~我らがミレニアム~♪永遠に~果てなく~栄えよ~♪」
ホシノ「……」
(自分と、ホシノ以外誰もいない空間で一人熱唱する少女)
(メイド服を身に纏ったその姿は一見隙だらけに思えたが、しかしまるで油断というものを感じさせなかった)
(と。彼女もまたホシノの――侵入者の気配に気づいたのか、歌うのを止めて振り返る)
トキ「おや。あなたは――」
ホシノ「やっほー。なんか盛り上がってた所、悪いね?邪魔しちゃったかな?」
トキ「いえ、構いません。むしろ時間通りです――小鳥遊ホシノ」
ホシノ「…へえ。おじさんの事、知ってるんだ?」
(メイド少女がホシノを冷たく見据える)
(ホシノもまた、少女から漂う敵意を感じ取り身構えた)
トキ「あなたの事はよく存じ上げております。GKBSとエンジニア部、こちらの主戦力を二部隊も打ち破り、あまつさえ拠点をも破壊してのけた要警戒生徒」
ホシノ「うへ。…拠点に関しては、どっちかと言えばウタハちゃん達のやらかしが原因なんだけどなぁ」
トキ「どの道、我々に歯向かっている時点で些末な事でしょう。――それよりも、やはり会長の読み通りここに来ましたね」
ホシノ「うん、キヴォトスに平和を取り戻さなきゃだからね。…できれば、大人しく降参してくれないかな?今降参してくれれば、モモイちゃんやウタハちゃん達同様悪いようにはしないけど」
トキ「お断りします」
- 22二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 21:40:11
(即答、かつ断言)
(あまりにも簡潔な返答に、さしものホシノも押し黙り二の句が告げられなくなる)
トキ「私はミレニアムに、ひいてはセミナー会長・調月リオ様に忠誠を誓った身。その私が、ミレニアムへの敵対者を前にむざむざ投降するなどあり得ない話です」
ホシノ「調月リオ…。それが、今回の侵攻を指揮した張本人?」
トキ「ええ、その通り。ミレニアムサイエンススクール全てを担う偉大な会長で――私の、大切な主です」
(私の、と言いかけた所で一瞬だけ顔を曇らせ、胸元を押さえたトキ)
(しかし次の瞬間には元通りの無表情に戻り、淡々と言葉を重ねていく)
トキ「ですので。その主に牙を剥く者を見逃す事はできません。そう、断じて」
(トキが自らのメイド服に手をかけ、勢いよく脱ぎ捨てる)
(その下から現れたのは身体に密着したボディスーツで――直後、どこからともなく彼女の身体にパワードスーツが装着された!)
トキ「パワードスーツ、起動。アビ・エシュフ、移行」
トキ「プロトコルに従い、これよりミレニアム敵対者・小鳥遊ホシノの殲滅作戦を実行」
トキ「飛鳥馬トキ――状況を開始します」
ホシノ「いいね、やる気満々だ。…なら、こっちも全力で相手してあげるよ!」
(バイザーが下ろされ、トキが戦闘態勢に突入する)
(ホシノもまたホルスアーマーを駆り、壮絶な戦いの幕が明けた!)
- 23二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 21:41:20
- 24二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 23:17:08
お疲れ様です!立て直しスレを見つけてくれてありがとうございます!!
そしてオデュッセイアァァァァァァ!!!オデュッセイアまでもが…ミレニアムの脅威の科学力!
あ、BGM置いときますね
みんなも歌おう!
- 25二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 00:02:07
- 26二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 08:45:54
- 27二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 13:19:19
おお〜偉大な〜ミレニアム〜♪
おお〜偉大な〜ミレニアム〜♪♪ - 28二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 21:03:33
"そういえば、みんなはペット飼っているの?"
ホシノ「私は飼っていないけど、みんなは飼っているんだよ〜。"
アヤネ「はい、クーフクロウという種類の梟を飼育しています。とても賢くて、私のお手伝いもしてくれるんですよ!」
セリカ「私はリックハムスターって種類のを飼ってるわ!通常のハムスターより大きいし寿命が長いから、ずっと一緒にいられるのよ!」
ノノミ「私はカインマンボウというお魚さんを飼っています。とても丈夫で、飼いやすい希少なマンボウなんですよ♪」
"へー!シロコは何を飼っているの?"
シロコ「えっと…グーイ。名前は私が付けた。」
"グーイかぁ。なんて動物なんだい?"
シロコ「…さぁ?分からない。」
"へ?"
シロコ「強いて言うなら…ダークマター?」
"!!?"
ホシノ「先生大丈夫だよー。グーイは善良なダークマター族だから。安心して良いよ。」
"ホ、ホシノがそう言うんだったら…シロコのこと疑っている訳じゃないし…分かったよ。"
シロコ「ん、大事な家族。」 - 29二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 23:04:14
>>22の続き
(アビ・エシュフを展開したトキとの戦いは熾烈を極めた)
(両腕のガトリングガンと主砲であるレーザー兵器による弾幕は近接戦闘特化のホルスアーマーを寄せ付けない)
(だがホルスアーマーもまたホシノの巧みな操縦により決定打を与えさせず、戦況は膠着状態に陥りかけていた)
ホシノ「はあ、はあ…。さ、さすがミレニアム直々の刺客。参ったな、おじさんには堪えるよ~」
トキ「ご謙遜を。全力状態でないとはいえ、このアビ・エシュフの猛攻をその鈍重なアーマーでしのぎ切れてるだけ大したものでしょう」
トキ「ですが――これで終わりです」
(トキの合図を受け、室内に隠されていたターレット兵器が展開される)
(それらの威力は決して高くなかったが、ホルスアーマーの動きを止めるには十分すぎた)
(そして、間髪入れずアビ・エシュフの主砲がチャージされる)
ホシノ「ッ!」
ホシノ(まずい、今の状況じゃ避けられない)
ホシノ(ううん。正確に言えば、『私だけなら』どうにか離脱する事はできる。でも――)
ホルスアーマー『……』
(その時、ホルスアーマーに異変が起こった)
(突如としてホシノの座席下が開き――なんと!そこからジャンプ台めいてバネが飛び出したのである!)
- 30二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 23:04:50
ホシノ「う、うへぇっ!?」
トキ「!?」
(驚愕するホシノとトキ)
(だが最早、全ては決していた)
(アビ・エシュフのチャージは終わり、発射シーケンスも入力済み。射出されたレーザーは主なきホルスアーマーを穿ち、虚しく空を切る)
(そして飛ばされたホシノもまた、即座に己のやるべき事を悟った)
(すなわち!眼前の標的、飛鳥馬トキへの全力攻撃である!!)
ホシノ「喰らえっ!!」
トキ「――ッ!」
(射撃直後の無防備な体勢、そこにホシノのスラッグ弾が躊躇なく叩き込まれる)
(まともに喰らったトキは吹き飛ばされ、そのまま沈黙した)
ホシノ「倒した、けど――!」
(トキを警戒しつつ、ホルスアーマーに駆け寄るホシノ)
(レーザー砲の直撃を受けた機体は無惨にも溶かされていたが、かろうじて原型は留めていた)
ホシノ「ウタハちゃんめ…。助かったけど、こんな緊急脱出機能を仕込んでたのなら、最初に言っておいてよもう」
ホシノ「それと、ごめんよ。おじさんの力不足でまたこんなにしちゃって――!?」
(ギギギ、と。軋みながら何かが起き上がろうとする音に、ホシノは振り返る)
(見れば、そこにはダメージを受けながら再起動を図ろうとするトキがいた)
トキ「アビ・エシュフ本体への損害、許容範囲内…。戦闘続行、可能。再起動シーケンス、実行――」
ホシノ「やめときなよ。いくらそのパワードスーツが頑丈でも、君はそうじゃないでしょ?」
ホシノ「『私』の弾丸は確かに君の身体を穿った。それ以上動き回れば、タダじゃすまないよ」
- 31二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 23:05:14
(説得しながらも、決してホシノは銃口の向きを外さない)
(この程度の言葉で止まるような相手ではないと、直前の会話で悟っていたから)
トキ「まだ……まだ、です……!私はまだ、戦える…!」
トキ「リオ様の――リオ■■■■■の為にも、私は――!」
ホシノ「…?」
??『そこまでよ、トキ』
(一瞬聞きそびれた言葉に、ホシノは眉を顰める)
(だが問い返すよりも早く、第三者の声が室内に割って入った)
トキ「リオ、さま…!?」
リオ『あなたの現状はこちらからでも捕捉・確認しているわ。小鳥遊ホシノの言う通り、それ以上の戦闘続行は危険よ』
リオ『直ちにその場から離脱、拠点は放棄しなさい。既に現地部隊にも引き上げの命令は出してあるわ』
トキ「ですが、リオ様…!」
リオ『これは命令よ、飛鳥馬トキ。直ちにその場から撤退し、エリドゥまで帰還。いいわね?』
トキ「~~~~ッ!!(ギリッ)。…了解、しました。飛鳥馬トキ、これより帰投致します」
(一瞬だけホシノを強く睨むも、リオからの命令を受け入れるトキ)
(そのまま背を向けると、振り返る事なく拠点から飛翔・離脱していった)
(後姿が消えるまでずっと銃口を向け続けていたホシノだったが――やがて、完全に見えなくなった事を確認すると、ズルズルと腰を下ろした)
ホシノ「…ふい~。た、助かったぁ。あれ以上続けられてたら、さすがのおじさんもヤバい所だったよ~」
(背に庇っていたホルスアーマーへと向き直る)
(原形こそ留めていたアーマーだったが、その損傷は大きく、自力での帰還は難しいと言わざるを得なかった)
(と。そこへタイミングよく、ウタハから通信が入る)
- 32二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 23:05:34
ウタハ『(ザザッ)聞こえるかい、ホシノ?』
ホシノ「お、ウタハちゃんナイスタイミング。ちょうど今、ここのボスとの決着がついた所だよ~」
ウタハ『やはりそうだったか…。実はこちらからも、観測機器がオクターン・オーシャンから引き揚げていく敵部隊らしきものを感知してね。もしやと思い、連絡してみたんだが…』
ホシノ「うん、多分合ってると思う。こっちの方でもリオって子がトキちゃんに同じような内容で指示してたからね」
ウタハ『なんだって?トキとやり合ったというのかい?いやそれよりも会長からの通信だなんて…』
(通信口からも分かる程、明確に動揺するウタハ)
(その反応にホシノも思わず聞き返した)
ホシノ「ウタハちゃん、トキちゃんの事を知ってるの?」
ウタハ『知ってるも何も、飛鳥馬トキは今のミレニアムにおいて調月リオに最も近い生徒だ。それこそ、今回の侵攻作戦が始まるより前からずっと会長の傍にいたと聞いている』
ホシノ「うへ、そうだったんだ。道理であのパワードスーツも尋常じゃない強さだと思ったよ~」
ウタハ『何!?パワードスーツ!』
(トキの名前を出した時以上の大声を上げ、分かりやすく食いつくウタハ)
(耳元で響いた声に思わず顔をしかめるホシノであったが、当のウタハはまるで気にする事なく饒舌に解説していた)
ウタハ『まさか、「あの」アビ・エシュフかい!?ミレニアムが有する戦力の中でもトップシークレットの塊であり、噂では「名もなき神」の技術が一部流用されてるとまで言われている!?私たちエンジニア部ですらメンテどころかまともに見せてもらえた事すらない、書類上の存在だったというのに!ああ羨ましい!なんてことだ、そうと知っていたならば何としてでも馳せ参じたというのに――!』
ホシノ「う、ウタハちゃんストップストップ!おじさんの鼓膜が破れちゃう!」
ウタハ『む、失礼した。…いやすまない、つい技術屋としての血が騒ぎまくってね。ほら、コトリとヒビキも落ち着いて』
(通信元で何やら誰かを窘めている様子のウタハ)
(本当に科学好きなんだなぁと苦笑しつつも、ホシノはさっきから言おうと思っていた事をぶつけた)
- 33二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 23:05:54
ホシノ「それにしてもウタハちゃん、人が悪いよ。おじさんにまであんな機能の事を黙ってたなんて」
ウタハ『何?どういう事だい?』
ホシノ「またまた~、とぼけちゃって。さっきトキちゃんとやり合ってた時、ピンチになった瞬間コクピットに仕込まれてた脱出装置が勝手に動いた事だよ」
ウタハ『脱出…装置…?』
ホシノ「おじさんだからどうにか対応できたけど、そうじゃなかったらパニクってた所だよ。今度からはちゃんと説明しておいてね?」
ウタハ『あ、ああ。何の事かさっぱりだが、とりあえずすまない。――ところで、ホルスアーマーの具合はどうだい?』
ホシノ「あ、そうだった。実はね…」
(ホシノは今のホルスアーマーの状態について説明した)
ウタハ『そうか…。そんな事になっていたとは』
ホシノ「ごめんね、直してもらったばかりなのにまた壊しちゃって」
ウタハ『構わないよ、何度でも直せばいいだけの事さ。それにあのアビ・エシュフとやり合ってその程度の損耗で済んだのなら、むしろ安い方と言うべきだろう』
ホシノ「うへぇ…。やっぱあのパワードスーツ、そんなにヤバかったんだ」
ウタハ『とりあえずアヤネくんに頼んで迎えのヘリをそちらに向かわせておくよ。敵部隊も引き上げた後だし、制空権も問題ない筈だ』
ウタハ『それまでは申し訳ないが、そこでしばらく休んでいてくれ。以上、交信終了』
(ウタハからの交信が途絶え、室内に静寂が戻る)
(残されたホシノはホルスアーマーに寄り添い、周囲を警戒しつつも迎えのヘリを待つのであった…)
- 34二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 23:06:15
――アビドス高等学校別館、その片隅にあるエンジニア部作業スペース
ウタハ「ふう。これでよし、と」
コトリ「お疲れ様です、ウタハ先輩。これ、飲み物です」
ウタハ「ああすまないねコトリ。有難く頂くよ」
コトリ「……」
ウタハ「コトリ?どうかしたかい、まだ何か用事でも?」
コトリ「い、いえ!そういう訳ではなく、ただ…」
ウタハ「ただ?」
コトリ「ウタハ先輩、何かお悩みのようでしたので…。その、問題事でもあるのでしたらお手伝いしますが」
ウタハ「いや、問題という程の事ではないんだ。ただ」
コトリ「ただ?」
ウタハ「――先程の通信時、ホシノが妙な事を言っていてね」
コトリ「妙な事、ですか?」
ウタハ「ああ。何でも窮地に陥った際、ホルスアーマーに搭載されていた脱出機能が勝手に作動して、彼女を援けたんだと言うんだが…」
ウタハ「そんな機能、付けた覚えがないんだよ。私」
――要塞都市エリドゥ、某所
ヒマリ「…やれやれ。どうにか今回も生き延びましたか、彼女は」
ヒマリ「あの子に追い詰められた時はどうなる事かと思いましたが、さすがはエンジニア部部長。万一に備え、きちんと準備していたようですね」
ヒマリ「ですが、それを十全以上に活かせた彼女もまた紛れもない凄腕…」
ヒマリ「小鳥遊ホシノ。やはりあなたこそが、あのビッグシスターの野望を挫く要になりそうですね?」
(暗闇の中、ヒマリは手元のモニターを注視する)
(謀は人知れず、進められていた…)
- 35二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 23:07:52
- 36二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 23:51:37
- 37二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 01:15:23
- 38二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 01:17:21
と思ったら幕間が挟まるのね…まぁつまるところもうすぐで出番か…!
- 39二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 10:34:54
保守
- 40二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 13:20:33
『ホシノカービィのホルス大作戦』(ホルスの部分は、ホシノの銃Eye of Horusのこと)
ホシノをそうさしてマコトの野望を阻止しよう!
こうげき方法は…え!?ホシノのショットガンだけ!? - 41二次元好きの匿名さん24/06/08(土) 23:02:56
この世界のホシノとヒナはかなり仲良くなってそうだなぁ
- 42二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 00:28:23
>>34の続き
(雨雲号に運ばれ、無事アビドス高校別館まで帰投したホシノとホルスアーマー)
(帰投と同時にホルスアーマーはエンジニア部総出でオーバーホールに突入し、ホシノはしばらくの間休息する事となった)
ホシノ「うへ~、疲れたよ~。さすがに今回は骨が折れたね~」
シロコ「ん、ホシノ先輩お疲れ様。はいスポドリ」
ノノミ「これ、タオルです。ホシノ先輩」
ホシノ「ありがと~。優しい後輩に恵まれて、おじさん幸せ者だよ」
(スポドリをごくごく飲みながら、タオルで汗を拭くホシノ)
(ふと、窓の外を見やると――そこには避難してきた各学区の生徒や住民でごった返すアビドス校舎の姿があった)
アヤネ「ホシノ先輩、どうかしましたか?」
ホシノ「ん、いやね。ここもずいぶん賑やかになったなぁって」
セリカ「確かに…。ちょっと前までを思うと、信じられない光景よね」
(現在アビドス校舎にいる者たちは、大きく分けて三種類いた)
(一つは、ホシノ達や柴関大将のように元からアビドスに在籍・定住していた者たち)
(もう一つは、モモイ達ゲーム開発部やウタハ達エンジニア部のように投降し、捕虜扱いとなっているミレニアム勢)
(そして最後は、ここアビドスに避難してきた他学区の生徒や住人達である)
先生“ホシノのおかげで、囚われていた他学区の子たちや住人さん達も解放されたからね。彼ら彼女らも元居た学区じゃなくてこちらへ避難してきたみたいなんだ”
ノノミ「ミレニアムとの交戦で荒れてますし、立て直すにしても反撃が怖いですからね~。なので立て直し前の準備にアビドスへ来る事を選んだ子たちも多いようです」
シロコ「ん、どうせならずっとこっちにいればいい。それで人口問題も解決」
セリカ「いやするわけないでしょ。砂漠化の問題はどうするのよ」
アヤネ「ミレニアムに改造された結果改善されてる所もありますが、まだまだ大部分は砂まみれですからね…」
シロコ「(しょぼん)」
- 43二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 00:28:51
(結局アビドスの問題はアビドスでどうにかするしかないようだ)
(ふと、そこでホシノはきになっていた事を口にする)
ホシノ「そういえばモモイちゃんやウタハちゃん達は大丈夫?元ミレニアム生って事で、悪く言われたりしてない?」
ノノミ「ああ、それなら…」
先生“それは大丈夫。私たちが保証するよ”
(先生曰く、確かに最初の頃はミレニアムの生徒という事で少なからず反発の声は上がったのだという)
(だが、真摯に反省する姿勢に徹していた事。また本人たちの人格もあってそういった空気は徐々に改善し、今では新参組でもない限りほぼ見られなくなったとの事だった)
(何より――シロコ達アビドスの生徒とシャーレの先生がずっとお目付け役に当たっていたのも大きかったのだと)
ホシノ「そっか。ならよかった、おじさんとしても気になってた所だからねぇ」
ホシノ「ところで、もう一つ質問してもいい?――なんでモモイちゃん達はメイド服姿で働いてるの?」
アヤネ「さ、さあ。そればかりは私たちにもさっぱり」
先生“なんでも奉仕と言えばメイド、メイドと言えば奉仕だかららしいよ?”
ホシノ「へ、へえ~…」
(思わぬところでミレニアム生との文化の違いを知ったホシノ)
(と、その時。ホシノの通信機にウタハから連絡が入った)
ウタハ『聞こえるかい、ホシノ?』
ホシノ「うへっ?ウタハちゃん、どしたの?」
ウタハ『実はホルスアーマーの事で相談があってね。できれば他のみんな――先生や対策委員会の面々とも併せて話ができるといいのだけど。大丈夫かな?』
ノノミ「ホシノ先輩、どうされました?」
ホシノ「実は――」
- 44二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 00:29:23
(ホシノの説明を受け、先生と対策委員会の皆も同意する)
(早速エンジニア部の作業スペースまで移動すると、そこには分解されバラバラの状態になったホルスアーマーと、その前で作業に当たるエンジニア部がいた)
ウタハ「やあ、よく来てくれたねホシノ。それに先生と対策委員会の皆さんも」
ホシノ「ウタハちゃん直々に呼ばれたからね~。そりゃ当然応えるよ~」
先生“それでウタハ、私たちにも話があるってどういう事かな?”
ウタハ「うん。それも踏まえて今から説明させてもらおうか」
(右手に握っていた簡易コントローラーを操作し、ウタハが何事か入力する)
(すると、突如空中にホルスアーマーの図面が浮かび上がった!)
セリカ「わわっ!な、なにこれ!?」
アヤネ「これは…ホルスアーマー、ですか?」
シロコ「けど、今のモノと形が違う」
ノノミ「そうですね~。この三角部分と、ブースターっぽいパーツ……もしかして、飛行ユニットですか?」
ウタハ「さすが、お目が高いね。その通り、これはホルスアーマーのアップデート計画をまとめたもの。すなわち――飛行型ホルスアーマープロジェクトだ」
先生・対策委員会一同“『飛行型ホルスアーマー!?』”
ヒビキ「――それを説明する前に、まずはこれを見てほしい」
(ヒビキが手元のコンソールを弄り、画面が切り替わる)
(代わって映し出されたのは、エリドゥと思しき空中都市の画像だった)
先生“これは…もしかして、エリドゥ?”
コトリ「はい、そうです。ご覧の通り、私たちミレニアム侵攻軍の本拠地・要塞都市エリドゥは空中に浮かぶ機動要塞となっています」
ヒビキ「地上からは絶対に辿り着けないよう出来てるし、空中から接近すれば対空砲に撃ち落とされる…。私たちが言うのも何だけど、攻防共に隙がない、鉄壁の要塞」
ウタハ「現に、攻撃を試みたゲヘナの空中戦艦はエリドゥの対空レーザー砲を前に一撃で撃退されてしまった。トリニティをはじめとする他学区にも同様の兵器があるかどうかは不明だが、空中からの接近はほぼ不可能と言っていいだろう」
- 45二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 00:30:03
ホシノ「あれ?それじゃ、さっきの図面は何なのさ」
ウタハ「良い質問だね。――ほぼ不可能、とは言ったが、それはあくまで大型航空兵器の話。このホルスアーマーのようにごく小さな兵器であれば、機動力を活かして接近できるのではないか…。そう我々は考えたのさ」
セリカ「けど、それならミレニアム側のヘリなり戦闘機なりを奪えばいいんじゃない?わざわざこのロボットを改造してまで乗り込む必要があるの?」
コトリ「それが大ありなんです、セリカさん。ミレニアムの兵器は基本生体登録システムとなってて、認証された人以外ではそもそも起動できないようになってるんですよ」
セリカ「へ、へえ…。そ、そうなんだ」
ヒビキ「それに、万一の時に備えて遠隔で自爆できるようプログラムも仕込んである。仮に首尾よく強奪できたとしても、それを察知されたらエリドゥ側から爆破指令を送られてジ・エンド」
アヤネ「そんな物騒な…」
ホシノ「あれ?じゃあおじさんのロボットはどうなるのさ。今まで散々戦ってきたけど、そんな操作されたような覚えはないよ?」
(ホシノの記憶が蘇る)
(初めてロボットに乗り込み、ミレニアムの侵攻部隊を蹴散らした時。ゲーム開発部やエンジニア部の面々と交戦した時。そして、飛鳥馬トキとアビ・エシュフとやり合った時も)
(いずれもそんな操作をされたような覚えはなかった)
ウタハ「私たちも気になって調べたんだが、どうやらホルスアーマーになった時点で何らかのプログラム書き換えが行われていたようでね。まあ端的に言えば、問題の自爆プログラムや生体認証システムも無効化されてるって事で大丈夫だよ」
ホシノ「へえ~、そうだったんだぁ」
アヤネ「ホシノ先輩、そんな大雑把な…」
ホシノ「まあおじさんが無事だったわけだし、結果オーライってやつだよ」
ウタハ「――話を戻そうか。それで、飛行型ホルスアーマーによるエリドゥ突入作戦なんだが……実は、これには二つ問題点がある」
先生“問題点、というと?”
- 46二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 00:30:37
コトリ「まず一つは、エリドゥのセキュリティ突破手段です。先程も少し触れましたが、エリドゥには無数の対空兵器が配備されてる上、出入り口も厳重なロックが施されています」
ヒビキ「正面突破はまず不可能。搭載兵器でぶち破るにしても、並大抵の火力じゃエリドゥを傷つけるどころか焦げ目をつけるので精一杯…」
ウタハ「そしてもう一つは単純だが、非常に厄介な問題だ」
ノノミ「というと…?」
ウタハ「うん。それはね――飛行型に改造するための、物資がないんだよ」
(ウタハの口から重々しく、されど内容は言葉通りどこまでもシンプルに語られた問題点)
(あまりのギャップに思わずズッコケかけた先生と対策委員会一同だったが、ウタハの口ぶりはどこまでも真剣だった)
ウタハ「オクターン・オーシャンから回収された物資も余さず投入し、仮設計図を描いてみたが……やはり、どうしても足りない。大よそのパーツは揃えられても、肝心のエンジン部分が作れないんだよ」
アヤネ「他の、今あるパーツで代用はできませんか?何なら雨雲号のパーツを使っても…」
ヒビキ「規格そのものが違うから無理。最低でもミレニアム製のじゃないと」
シロコ「じゃあ、そのミレニアム側の拠点から奪ってくればいい」
セリカ「そうよ!今の私たちにかかれば、それくらい――」
コトリ「それが…。そのパーツを秘匿してるのがどの拠点なのか、分からないんです」
ノノミ「と、おっしゃいますと?」
ウタハ「どうやら私たちが知らない間に移動させられてしまったらしい。以前までは確かにオクターン・オーシャンに同様のパーツがあった筈なんだが……回収に向かわせたところ、それだけが完全になくなっていたとの事だった」
- 47二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 00:31:06
(かといって、今から闇雲に襲っているような余裕はない)
(既にめぼしい学区の大半はミレニアムに制圧され、残るトリニティも風前の灯火)
(今はアビドスへの攻勢も落ち着いているが、トリニティが制圧されれば残る全戦力をこちらに差し向けてくるだろう)
(いよいよ手詰まりとなりかけた、その時)
???『――フッフッフ。どうやら、やはりこの私の援けが必要なようですね?皆さん』
一同“『ッ!?』”
(突如として響き渡った、第三者の声)
(その発信源は――エンジニア部が使用する、ノートPCからだった)
コトリ「そんな!?このPCにはエンジニア部謹製のセキュリティソフトがインストールされている筈…!セミナーにも明かしていない、とっておきなのに!」
???『甘いですね、豊見コトリさん。確かにセミナーのデータベースにそのソフトの情報は入っていませんが……私たちの前では丸裸もいい所ですよ?』
ヒビキ「私『たち』…?それに、コトリの名前まで知ってるなんて、もしかして」
???『ええ、お察しの通りです猫塚ヒビキさん。私もミレニアムの一員ですよ?』
(ミレニアム、という言葉にその場の全員が反応する)
(ホシノをはじめ、対策委員会の全員は先生を庇いながらノートPCに銃口を向け)
(エンジニア部はPCの操作奪還を試みるも、まるで意味をなさない)
(そんな中、ウタハと先生だけが落ち着いた様子で状況を見守っていた)
ウタハ「…この思わせぶりな口ぶりに、タイミングを見計らったかのような登場。もしかして、そちらは『全知』でらっしゃるのかな?」
全知『あら、さすがエンジニア部部長の白石ウタハさん。私の事をご存じのようですね?』
ウタハ「噂だけはかねがね。ついでに、相当な自信家であるとも」
全知『自信家、とはいいようですね。私はただ事実を述べているだけですよ?』
全知『――ですが、まあいいでしょう。今はこのような議論をする為に危険を冒してまで繋げたわけでもありませんからね』
ホシノ「…へえ?『危険を冒して』って事は、おじさん達に何かするつもりでこんな事したわけじゃないんだ?」
- 48二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 00:31:43
(ホシノが注意深く、ノートPCに近寄る)
(対する声の主――『全知』はどこまでも堂々と主張を続けた)
全知『ええ、その通りですよ小鳥遊ホシノ。――単刀直入に用件を告げましょう。「私たち」はあなた方が欲しがっているモノの在処を知っています』
生徒一同『!』
先生“……”
全知『付け加えるならば、エリドゥへの侵入に必要なマスターキーの入手方法も存じ上げております。お望みとあらば、今すぐにでも両方教えますよ?』
シロコ「――そんな都合のいい話、私たちがあっさり信用するとでも?」
セリカ「そうよ!全知だが誰だか知らないけど、勝手な真似してはいそうですかってなるとでも」
全知『思っていますよ?砂狼シロコさんに黒見セリカさん』
シロコ・セリカ「「っ!?」」
全知『付け加えれば奥空アヤネさんに十六夜ノノミさんも、です。というか、私の情報に縋らなければあなた達はこのまま詰みです。ゲームセットとも言っていいでしょう』
全知『私の言葉を信じられないのであればそれでも結構。あの忌々しい下水女、もといビッグシスター・調月リオの望むがまま、あなた方が持つ全てを奪われ、踏み躙られておしまいです』
全知『それに――あなた達を嵌めるつもりであれば、とっくの昔にもう全部終わってますよ。私のアクセスを許すという事は、そういう事です』
(あまりにも一方的、かつ傲慢な言い草)
(だが、誰一人として言葉を返せなかった)
(既にこの状況こそが、ある意味で『全知』と呼ばれた何者かの正しさを証明しているとも言えたのだから)
- 49二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 00:32:15
先生“一つだけ、聞いてもいいかな”
全知『おや、この声は……シャーレの先生、ですか?そういえばあなたもそちらに避難していましたね』
全知『それで何でしょう?この私――ミレニアムの超天才病弱美少女ハッカーに答えられる事であれば何でも』
先生“君が、その情報を私たちに正しく提供したとして。君は、私たちに何を代価として望むのかな?”
全知『――――』
(その時、全知と呼ばれた何者かが初めて沈黙する)
(想定外の問いに固まったのか、あるいは――)
全知『……ふふふ。さすが、シャーレの先生。いえそれとも、これでこそ正しく「大人」のあるべき姿と、そうおっしゃるべきでしょうか?』
先生“どうだろうね。私は所詮、大事である筈の生徒に何もかもを任せきりな、情けない人間だから”
全知『そこは「役割分担ができている」と考えてもよろしいのでは?まあ、そういった謙虚さも好ましい所ではありますが…』
全知『失礼、質問の答えがまだでしたね。御答えしましょう――私の望みはただ一つ、現状の正常化と回帰です』
先生“正常化と、回帰…。それはつまり、このキヴォトスをミレニアムが侵攻する前の状態に戻してほしい、という事かな?”
全知『イグザクトリー。今のキヴォトスは、はっきり言って異常です。たった一つの学校が全てを手中に収め、あまつさえ独占しようとする…。この状況を私「たち」は決して肯定できません』
(それは、静かながらも確かな熱のこもった言葉だった)
(画面越しでありながら、まるですぐ目の前にいるかのような重み)
(その言葉に込められた感情に、誰もが沈黙し言葉を返せなくなる)
- 50二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 00:32:38
全知『ですので、あなた方にはあの調子に乗りまくったビッグシスター――調月リオの顔面をひっぱたき、正気に戻して頂きたいのです。本当は私ができれば一番良いのですが……何分、私にも立場と都合というものがありまして』
全知『無理難題は最初から承知の上です。ですがどうか、どうか私を信用して頂きたい』
全知『さもなくば、このキヴォトスは、ほんとう、に――(ザザッ)』
(と、そこで突然通信が不調となり、声が途切れ途切れになる)
全知『――どうやら、ここまでのよう、ですね。ではみなさん、どうか、けん、めいなごはん、だんを(ブツッ)』
(通信が途絶え、ノートPCの画面が元の状態に回帰する)
(しばしの間全員立ち尽くしていたが、やがて反応が返らず完全に途絶えた事が分かると各々の格好で弛緩した)
セリカ「な、なんだったのよ一体…」
シロコ「一方的に、言いたい事だけ言って切られた」
ノノミ「でも、気になる事も言ってました」
アヤネ「そうですね。――皆さん、これを見てください」
(アヤネが、抱えていたタブレットの画面を皆に見せる)
(そこに映っていたのはある学区内の座標と思しきデータ)
(すなわち――『全知』を名乗る何者かが送ってきたものと思しき情報だった)
- 51二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 00:32:58
ウタハ「こちらのPCでも確認した。どうやらここにいた我々の端末全てに送り付けたらしいね」
コトリ「ウタハ先輩、先程の方が何者かご存じなのですか?顔見知りのように見えましたけど…」
ウタハ「まあ、ちょっとね。それで先生、ホシノ。どうするんだい?」
ホシノ「…どうするって?」
ウタハ「もちろん、この情報を信じて行動するか否かだ。――私としては、正直この情報を信じたい、というか縋りたい所ではある」
ヒビキ「…本気なの?ウタハ先輩」
ウタハ「本気も本気だよヒビキ。先程も言ったが、私たちが現在置かれている状況は手詰まりに近い。そんな中届いたこの情報は、正しく値千金と言ってもいいものだ」
ウタハ「だけど、罠である可能性も当然高い。下手をすればこれまでの努力が無に帰すかもしれない」
ウタハ「それを踏まえて、お二方に今一度問いたい。先生、ホシノ、君たちはどうする?――この情報に、全てを賭ける価値があると思うかな?」
先生“――そうだね。私としては、危険を冒してまで情報を送ってくれた『全知』を信じたい。彼か、彼女かは分からないけど、ミレニアムに所属してる以上生徒である可能性も高いから”
先生“でも。最後に決めるのはホシノに任せるよ。何と言ってもここまで戦ってくれたのはホシノだし、私には見守る事しかできなかったから”
ホシノ「先生…」
(先生の言葉を受け、ホシノは目を閉じ考えを巡らせる)
(一瞬とも永遠とも取れる時間の果て、ホシノが出した答えは――)
- 52二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 00:34:01
- 53二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 00:51:55
更新乙です!
余程の自信家なのか全知とは大きく出ましたねぇ - 54二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 10:23:00
お疲れ様でございます〜。
今更だけど今回の話はブルアカ成分多めですねぇ。まぁロボプラ自体が大規模な話やしね、そりゃあ単純な話にはならないね。
そして全知さんキタァァアアアア!!!一体どこの超天才清楚系病弱美少女ハッカーなんだ…!
- 55二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 12:35:16
"ヒナ、今日はエイプリル・フールだよ!"
ヒナ「エイプリル・フール?」
先生説明中…
ヒナ「なるほど…そんな日なの。」
"せっかくだからヒナも何か言ってみたら?"
ヒナ「うーん……なんでもいいの?」
"あ、あんまり大事じゃなければ…"
ヒナ「そう…。じゃ、今思いついたことを、後でみんなに言ってみる。」
ヒナ「フハハハハ!ヘイ、ユーたち!元気かい?この美しい空崎ヒナナイトがユーたちの前にやってきたぞ!私は今日も華麗に修行をしていたぞ!」
「ワン!ツー!エレガント!ワン!ツー!エレガント!…とな!」
風紀委員会「「「委員長!!!??」」」
万魔殿「「「「えぇーーー!!?」」」」
その他大勢「「「「「「!!!!!?????」」」」」」
"よ、予想外…!!" - 56二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 22:06:28
>>51の続き
・ステージ4:ギガント・グラウンド(ゲヘナ自治区)
ホシノ「という訳で。やってきたよゲヘナ自治区」
ホシノ「いやーどこにあるのかと思ってたけど、まさかゲヘナだとはねぇ…」
(これまで同様変わり果てたゲヘナ自治区の姿を、ホシノは何とも言えない気分で見回す)
(といっても、何か極端に改造されていたわけではない。むしろ建物も道路も綺麗に整備され、道端にはゴミ一つ見当たらなかった)
(日頃のゲヘナの風景を思えば、ある意味改善されたとまで言ってもいい)
ホシノ「…でも。だーれもいないね」
(生徒もロボも、そして獣人も。元からゲヘナに住んでいた人々の姿は誰一人見当たらない)
(立派なビル群も軒並み照明が落とされ、眠りに着いたかのように暗闇で満たされていた)
ホシノ「ま、いないと言っても。有難くない方の人たちはいるみたいだけどね」
(ホシノが見下ろす先の通り、そこには警備に当たってると思しきミレニアム武装生徒と戦闘ロボの姿があった)
(彼ら彼女らは一定のルートを巡回し、ネズミ一匹通さないよう目とセンサーを光らせている)
ホシノ「予想はしてたけど、何とも厳重な警備態勢だねえ」
ホシノ「こりゃ今回はロボットを置いてきて正解だったかな?さすがに、これだけがっちり固められてちゃ強行突破も難しいし」
ホシノ「しょーがない、コソコソするのはおじさんの柄じゃないんだけど……たまには真面目にやってみますか。スニーキングミッション」
(エンジニア部から受け取っていた潜入装備を装着し、ホシノは移動し始める)
(広大なゲヘナ自治区の中から、目当てのパーツの元へ辿り着く)
(命懸けの宝探しが幕を開けた!)
- 57二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 22:07:03
――ミレニアム・ゲヘナ方面制圧拠点、コントロールルーム
??「お疲れ様です。自治区内部に異常はありませんか?」
ミレニアムオペレーター「ハッ!現在異常らしい異常は見られません、書記殿!」
??「そうですか。それは何よりです」
(セミナー書記――生塩ノアは満足そうに笑みを浮かべる)
(小鳥遊ホシノによる各制圧地域への攻勢は、少なからずミレニアム側にも影響を及ぼしていた)
(具体的には健在の制圧地域への増援と、それに伴う監視・警備体制の強化)
(中でもこのゲヘナ自治区は旧風紀委員会や万魔殿残党のレジスタンス活動もあり、他自治区以上に警戒が強められていた)
(セミナー書記という要職にある生塩ノアが直々に派遣されたのも、その一環である)
ノア(とはいえ、風紀委員会も万魔殿も脅威度としては実際そうでもない…)
ノア(初手の攻勢で本部を潰された万魔殿に、空中戦艦とトップを同時に失った風紀委員会。どちらも相当堪えたのか、現状確認されているのは補給拠点への散発的な襲撃くらい)
ノア(何より――いざとなれば、こちらには『アレ』がありますからね。『アレ』を差し向けた日にはさしもの風紀委員会残党も心折れる事間違いないでしょう)
(その時、不意にエリドゥから通信が入った)
ノア「こちら生塩ノア。何事ですか、リオ会長?」
リオ『突然ごめんなさい。そちらの拠点に、至急伝えなければいけない事が生じてね』
ノア「至急伝えなければならない事…?」
リオ『ええ。――先日オクターン・オーシャンからそちらに移した物資の事は覚えているわよね?』
ノア「はい、勿論。確か小型動力炉とその接続ユニットですよね?それが何か?」
(ノアの記憶通りであるならば、それら自体は特に珍しいものではない)
(主に航空機への換装パーツとして用いられているが、やろうと思えばすぐに量産できる程度の代物で、現にエリドゥでも同様のパーツが山ほど保管されていた)
リオ『…いえ。特にこちらへ送ってほしいとか、そういう訳ではないのだけれど。ただ、少しだけ気になって』
ノア「気になった、ですか?」
- 58二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 22:07:25
リオ『突然ごめんなさい。特に問題や異常が見られないのであれば、それでいいわ。私からは以上よ』
(そのまま一方的に通信を切られ、コントロールルームに静寂が戻る)
(しばしの間立ち尽くしていたノアだったが、その脳内では先程の通信に対する思考が加速していた)
ノア(リオ会長は合理主義の化身とでも言うべき御方…。そんな人物が、同じセミナーの生徒相手とはいえわざわざ時間を割いてまで何という事のない連絡をしてくるなどあり得ない)
ノア(となると、口頭では伝えにくい何かを伝えたかった?それも、ただの通信端末を介したやり取りでは悟られたくないようなものを)
ノア(オクターン・オーシャン……物資……航空機への換装パーツ……)
(そこまで考えた所で、ノアの頭に雷鳴めいた衝撃が奔った)
ノア「――大至急、当拠点第四ブロックの該当座標に部隊を派遣してください」
ミレニアムオペレーター「えっ?」
ノア「侵入者、それもかなり危険な人物に忍び込まれた可能性があります。分かったら急いで!」
ミレニアムオペレーター「は、はい!」
ノア「それと、良い機会です。『H-7110』の出撃準備も同時にお願いします」
ミレニアムオペレーター「りょうか――えっ?い、今何と?」
ノア「聞こえませんでしたか?『H-7110』の出撃準備を、と言いました」
ミレニアムオペレーター「ッ!?ま、まってください!『H-7110』はまだ試験運用中で、実戦投入に耐えうるかどうかは」
ノア「あら、ミレニアムの技術力に問題があるとでも?」
ミレニアムオペレーター「い、いえ。決してそういう訳では…!」
ノア「これは命令です。あなたに必要なモノは、着実な遂行と対応のみ。如何なる内容であろうとあなたの意見は求めていません。――よろしいですね?」
ミレニアムオペレーター「しょ、承知致しました…。ただちに取り掛かります!」
- 59二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 22:08:00
(震えながら目の前のコンソールに向き直るオペレーター)
(彼女から視線を外し、ノアはコントロールルームを後にする)
ノア「――先程の子も、後で『再教育』に出す必要がありそうですね」
ノア「この件が片付いたらユウカちゃんと会長に進言しておくとしましょうか…」
(カツカツと、足音を鳴らしながらノアは第四ブロックへと向かう)
(その瞳には、禍々しい赤光が浮かんでいた…)
――第四ブロック、倉庫内
ミレニアム武装生徒「ぐっ、えっ…(がくり)」
ホシノ「――ごめんね。少しの間だけ、大人しくしててもらえるかな」
(歩哨に当たっていた武装生徒を気絶させ、ホシノは倉庫内部を捜索する)
(探す事およそ十分。程なくして目当てのパーツはコンテナの中から見つかった)
ホシノ「よしよし、アビドスで確認した通りだ」
ホシノ「後はこれを持ち帰って、ウタハちゃん達に」
ファーオ!ファーオ!
ホシノ「っ!?」
電子音声『緊急事態発生、緊急事態発生。第四ブロックに侵入者を確認。繰り返す、第四ブロックに侵入者を確認』
電子音声『拠点内にいる全部隊はただちに急行せよ。なお、侵入者の生死は問わないものと――』
ホシノ「まずっ!バレた!急いで逃げ出さないと!!」
(パーツをしまい、ホシノは急いで倉庫から飛び出す)
(だがミレニアム側もさるもの。倉庫を出て程なくして、ホシノは武装生徒と戦闘ロボに追い回される事となった)
- 60二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 22:08:29
武装生徒「いたぞ!あそこだ!」
戦闘ロボ『侵入者発見、侵入者発見。これより排除モードに移行します』
ドガガガ、バリバリバリ!
チュドーン!ボカーン!
ホシノ「うへ~!自分たちの拠点だってのに、躊躇なさすぎない!?」
(ホシノを見るや、お構いなしに持てる全火力をぶつけてくるミレニアム防衛部隊)
(とはいえ、ホシノからすれば全員を相手にする道理も必要もない。適当に捌き、どうしようもない時だけ撃破に専念する)
(その調子で出口へと向かっていた。筈、だったが)
ホシノ(おかしい…。どう考えても、出口から遠ざかってる…!)
ホシノ(それにさっきから隔壁で阻まれたり、敵の攻撃も散発的なものばかり)
ホシノ(これは――ウタハちゃんの時と同じと考えるべきかな?)
(考えを巡らせる間にも、ホシノの行く先は絞られつつある)
(そうして、とうとうとある部屋に追い込まれ、閉じ込められてしまった!)
ホシノ「ダメだ、開かない…。こりゃいよいよ本格的にまずい、かな?」
??「――ええ、その通り。ここがあなたにとっての袋小路で、処刑場ですよ。小鳥遊ホシノさん」
(部屋の奥から声が響く)
(咄嗟に振り返り銃口を向けると、暗がりからセミナーの制服を纏った少女――生塩ノアが現れた)
- 61二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 22:09:00
ノア「こうして出会うのは初めまして、ですね。小鳥遊ホシノさん?」
ノア「私は生塩ノア。ミレニアムのセミナー書記で――本日は、あなたの始末にやってきました」
ホシノ「…うへ~。ウタハちゃんやトキちゃんもそうだったけど、ミレニアムにはおじさんのファンクラブでもあるのかな?」
ノア「ふふ、ファンですか。確かに、情熱の度合いという意味ではそう間違ってはいないかもしれませんね」
ノア「ただし。私たちがあなたに抱いているのは親愛などではなく――今、ここで消えてほしいという敵意と殺意だけですが」
(ノアが目を細め、氷のような冷たい視線をぶつける)
(その瞳は先ほどから昏く血のような赤色に輝いており、尋常な様子ではない事は明らかだった)
ホシノ(これは…ちょっと前までのモモイちゃん達と同じ状態、って事かな?)
ホシノ(洗脳、催眠…。いずれにせよ、話が通じそうな相手じゃないね)
ホシノ「それで?ノアちゃん、だっけ?やる気満々なのはいいけど、武器もなしにおじさんと渡り合えると思っているのかな?」
ホシノ「言っておくけど、おじさんは強いよ。どんな秘密兵器だか兵隊だかを隠してるのか知らないけど、出せるのならさっさと」
ノア「あら。まだ気づいてらっしゃらないんですか、ホシノさん?」
ノア「あなたを抹殺する為の兵器なら――既にもう、解き放たれていますよ?」
(直後、ホシノの頭上から何かが凄まじい勢いで強襲する!)
(間一髪避けたホシノだったが、その衝撃は大きく部屋の端まで吹き飛ばされてしまった)
(さらに――部屋の壁から、強力な電流が迸る!)
- 62二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 22:09:21
ホシノ「~~~!?痛ぅ…!」
ノア「ああ、言い忘れてました。あなたが入り、ロックされた時点でこの室内には電流が流れるよう細工してあります」
ノア「なので、今みたいに壁にぶつかったりするとその瞬間電気ショックが走りますから。ご注意を♡」
ホシノ「……っ!そういう、のは最初に言ってほしかったなぁ…!」
ノア「そして。これが私たちがあなたに用意した、とっておきの兵器」
(埃が晴れ、襲撃者の姿が露わになる)
(そこに、いたのは)
ホシノ「――――うそ」
ノア「紹介しましょう。彼女こそはミレニアム初となる改造武装生徒にして、ミレニアムが求める理想その極致」
ノア「コードネームH-7110『ヒナナイトボーグ』」
ノア「あなたもよくご存じであるゲヘナ『元』風紀委員長・空崎ヒナをベースに生み出された、生徒兵器です」
ヒナナイトボーグ『ウ……アア……!』
(小柄な身体の至る所に取り付けられた追加武装とプロテクター)
(ヘイローすらも掌握し、支配せんとばかりに覆い被さる頭部のヘルメット)
(そして――本来なかった筈のアタッチメントを取り付けられ、肥大化した愛銃『終幕:デストロイヤー』)
(変わり果てた姿の空崎ヒナが、ホシノの前に立っていた)
- 63二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 22:11:01
- 64二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 00:34:56
お疲れ様です!
ついに出たヒナナイトボーグ…これが見たかったと言っても過言ではない…!
兵器となったヒナも良…良い…ごめん、やっぱつれぇわ(ヒナ推しのスレ主、目から塩水)
それはそれとして楽しみでゲス(恐ろしく早い変わり身)
- 65二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 00:41:29
あ、今更だけどスレ主はヒナ推しです。ヒナかわいいよヒナ。
もちろんメタナイトも好きです。メタ様かっこいいよメタ様。
それでこんな概念を考えてみたんです。ここから色んな概念やSSを考えてくださって、みなさま本当にありがとうございます。
なんか感謝したくなったのでやりました。 - 66二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 08:57:19
朝の保守だゾイ
- 67二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 11:01:29
- 68二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 22:06:38
>>62の続き
ホシノ「ヒナナイト…ボーグ…?それに生徒兵器だって?」
ノア「ふふ、どうです?私たちミレニアムの手にかかれば、あのゲヘナ風紀委員長もこの通り。本人の精強さはそのまま、私たちの意のままに動く戦闘兵器に早変わりです」
ヒナナイトボーグ『ウウ……アアア……!』
(呂律も回らず、ただうわ言めいた苦悶の声を漏らし続けるヒナナイトボーグ――否、空崎ヒナ)
(その姿は未だ必死に洗脳へ抗っているようにも、あるいはひたすら意に添わぬ指示に苦しんでいるようにも思えた)
(顔なじみの惨状にホシノの心にも義憤の炎が燃え上がる)
ホシノ「――ふざけるな。こんなの、ただの奴隷じゃないか!」
ホシノ「それに、こんな事先生が許すわけない!先生が知ったらどう思うか、考えなかったの!?」
(恐らく洗脳されているだろう相手に、無駄と分かっていても叫ばずにいられない)
(そして。返ってきたのは予想通りの淡白な答えと、どこまでも冷たく光る赤色の視線だった)
ノア「考えた所で、何になります?どうせもうすぐキヴォトスの全ては私たちの手に落ちるんです。その暁には、あなたの言う先生の身柄も私たちのモノ」
ノア「であれば――あの人が何を言い、どう反発した所で関係ありません。だって、その頃にはもうシャーレも連邦生徒会も消えて無くなりますから…」
ホシノ「――ッ!!」
(ホシノの頭に、改めて最悪の未来がよぎる)
(それは、この世界の全てがミレニアムの手に落ちた光景)
(トリニティもゲヘナも、連邦生徒会もシャーレも、そして当然アビドスも。全てが掌握され、ミレニアムの維持と運営の為だけに使い潰される世界)
(その世界で、自分と後輩たちはミレニアムに改造され兵隊に。先生は、ミレニアム首脳部の手に落ち、二度と声を交わすどころか会う事さえ叶わなくなる…)
- 69二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 22:06:57
ホシノ「…冗談じゃない。そんな世界、死んでもごめんだよ!」
ノア「ふふ、大した闘志ですね。――でも。そういう意気込みは、目の前の『彼女』を駆逐してから言ってもらいましょうか」
ノア「さあ出番ですよ、ヒナナイトボーグ。ミレニアムに歯向かう愚か者に、あなたの性能を存分に見せつけてあげなさい!」
ヒナナイトボーグ『ウウ…アア…!――ウガァアアアアア!!!』
(ヒナナイトボーグが咆哮、否絶叫する)
(次いでデストロイヤーの銃口をホシノに向け――死闘の火蓋が切って落とされた!)
(ヒナナイトボーグの猛攻は苛烈を極めた)
(デストロイヤーによる制圧射撃、両肩のランチャーから放たれるミサイル、そして頭部のヘルメットから射出されるレーザー)
(さらに部屋中の壁からは高圧電流が流され、時にはヒナナイトボーグの指示でホシノにも向けられる)
(並の生徒であれば、この時点で膝を突き屈していただろう。それ程までに、圧倒的な攻撃力だった)
(だが)
ノア「何故です…!?何故、これ程の攻撃にさらされておきながら――!」
ヒナナイトボーグ『ガァアアア!!』
ホシノ「よっと!危ない、危ない…!」
(ヒナナイトボーグのレーザー射撃を盾でしのぎ、すかさず反撃の散弾を見舞う)
(大半は電流に防がれ、届く事なく撃ち落とされてしまうが、足を止める役には立った)
(そして当然、その隙を見逃すホシノではなく――間髪入れず、盾を構えてチャージアタックに移る!)
ヒナナイトボーグ『ギッ、ガッ!?』
ノア「何故――どうして、これだけの火力を前に怯まず戦えるのですかあなたは!?」
ホシノ「どうしてって、言われてもなぁ…」
- 70二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 22:07:25
(無論、ミレニアムに対する怒りはある)
(けれどそれだけでは決してない。怒りの感情だけでどうにかできるのなら、ホシノはとっくにアビドスを救えてたし今回の事態も早々に片付けられていた)
(この場においてホシノが優位に立つ理由は、ただ一つ)
ホシノ「ぶっちゃけて言うね。――この風紀委員長ちゃん、弱いよ。それこそ、そっちに改造される前と比べたら圧倒的にね」
ノア「なっ!?そ、そんな馬鹿な!」
ホシノ「バカはそっちでしょ。山ほど武装を詰め込んだせいで全体的に動きがトロくなり過ぎてるし、デストロイヤーの射撃もブレブレだし」
ホシノ「高圧電流の攻撃もくると分かっていたら対応可能だし、何より――電流で防いでる間は、全く身動き取れてないじゃん」
ノア「!」
ホシノ「だからまあ、まとめるとだね。全体的に重すぎるし鈍すぎなんだよ、この改造」
ホシノ「データキャラを気取るのなら、もっぺんゲヘナ風紀委員会のデータを読み返してくるべきだったね~」
(ノアを挑発する合間にも、ホシノはヒナナイトボーグへ攻撃を繰り返し着実に追い詰める)
(そして、とうとう)
ホシノ「これで、おしまいっ!」
ヒナナイトボーグ『アアアアッ!!』
(ホシノの射撃をまともに喰らい、ヒナナイトボーグは部屋の端まで吹っ飛ばされる)
(直後、彼女にも例外なく高圧電流が襲い、それを最後にとうとうヒナナイトボーグは沈黙した!)
- 71二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 22:22:27
ノア「そ、そんな…!私たちの生徒兵器、その傑作が…!」
ホシノ「言い残す事はそれだけ?」
(ジャコン、と。目の前の相手にもよく聞こえるよう、ホシノがショットガンをリロードする)
(凍りつくノアだったが、最早回避も反撃の余地もない)
ホシノ「操られてるだけ、ってのは分かってるけどさ。…それでも、やっぱり落とし前はつけさせてもらうよ。風紀委員会のみんなに代わってね」
ノア「――ッ!」
(その時、部屋の天井が突如として動き出す!)
(開口式になっていたその天井が開かれると、ホシノとノア、そして気絶状態のヒナナイトボーグめがけサーチライトが照射された!)
ホシノ「っ!?あれは――ミレニアムの戦闘ヘリ!?いつのまに!」
ノア「ユウカちゃん!」
ユウカ『撤退よノア。ヒナナイトボーグを回収して、エリドゥに帰還するわ。急いで!』
(戦闘ヘリからロープが下ろされ、ノアとヒナナイトボーグに巻きつけられる)
(逃がすまいと銃口を向けるホシノだったが、上空のヘリがそうはさせまいと機関砲を向けてきた!)
チュドドドド!
ホシノ「や、ヤバッ!撤退、てったーい!」
(幸か不幸か、入ってきたドアのロックはいつの間にか解除されていた)
(機関砲の射撃から逃れ、ホシノは一目散に退却する)
- 72二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 22:22:51
ノア「ユウカちゃん、小鳥遊ホシノが――」
ユウカ『構わないわ。放っておいて』
ノア「ですが…」
ユウカ『それより会長への言い訳を考えておきなさい。…どの道、あのパーツを奪われた所でエリドゥには近づけやしないんだから』
ユウカ『それと――ヒナナイトボーグの改良も報告しないとね。今回の戦闘でデータも取れた事だし、次こそは完膚なきまでに叩きのめしてあげましょう』
ノア「…はい。そうです、ね」
(戦闘ヘリが拠点から離脱する)
(その中にヒナナイトボーグ――空崎ヒナも回収され、むざむざと見逃すしかなかった)
(そして。戦いを終えたホシノはというと)
ミレニアム武装生徒「見つけたぞ!逃すな―!!」
戦闘ロボ『ミサイル発射用意、撃ちます』
ドシュドシュドシュ!
ボガガガーン!!
ホシノ「うへ~!勝った筈なのに、まるでおじさんが負けたみたいだよぉ~!」
ホシノ「もう潜入作戦はこりごりだぁ~!!」
(その後も這う這うの体で退散し、どうにかゲヘナ自治区から脱出したホシノ)
(アビドスに帰った頃には、今までにないくらい満身創痍な彼女の姿があったという…)
- 73二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 22:23:04
(一方、ゲヘナ方面制圧拠点より数キロほど離れた地点では)
???「あれは…小鳥遊ホシノ?何故、彼女がゲヘナに」
???「どうやらミレニアムの連中に追われているようですが…」
ゲヘナ生徒「どうします?援護しますか?」
???「…いえ、やめておきましょう。私たちの目的はあくまで補給物資の調達、それに彼女ならあれくらい振り切れるでしょうし。無闇に注意を惹きつける必要もありません」
???「撤退しますよ、皆さん。速やかに、ですが決して気づかれないよう細心の注意を払ってください」
ゲヘナ生徒「了解です、イロハ戦車長!」
イロハ「…だから静かに、と言ってるでしょう。やれやれ」
イロハ「こんな調子で、はたしてゲヘナを取り戻せるんでしょうか…。ねえ、マコト先輩?」
(キュラキュラと、闇の中をたった一両の戦車が往く)
(彼女たちの生存と暗躍を、まだホシノは知る由もない…)
- 74二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 22:24:46
- 75二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 00:41:27
- 76二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 00:43:34
- 77二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 00:46:46
- 78二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 01:11:11
- 79二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 10:04:49
ポヨゥ(保守)!
- 80二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 20:55:26
>>73の続き
――ゲヘナ都市部郊外、森林地帯
万魔殿生徒「お疲れ様です、イロハ先輩」
イロハ「ただいま戻りました。イブキはどうしていますか?」
万魔殿生徒「ハッ。それが、先程まで『イロハ先輩が帰ってくるのを待つ!』とそこで立っていたのですが――」
(ちらり、と。万魔殿生徒が後ろを見やる)
(そこには寝袋に包まれ、スヤスヤと寝息を立てるイブキがいた)
万魔殿生徒「ご覧の通り、今や夢の中でして。起こしましょうか?」
イロハ「いえ、結構。むしろこのままテントの中まで運んでおいてあげてください」
万魔殿生徒「了解です。では、失礼をば…」
(万魔殿生徒に運ばれ、寝袋ごとテントまで連れていかれるイブキ)
(その姿に一瞬だけ表情を崩すイロハだったが、すぐに元の険しい顔に戻り現状を洗い直した)
イロハ(…今日もマコト先輩を見つけ出す事は叶わなかった)
イロハ(マコト先輩だけじゃない。サツキ先輩もチアキも、あの日以来どこに行っても見つからなかった)
イロハ(恐らくは、あの日万魔殿が破壊された時に…。いえ、最悪の予想はよしましょう。あの人たちの事です、きっとしぶとく生き延びている筈)
イロハ(それより――これから先、どうしましょうかね)
(現在、万魔殿残党の置かれている状況は非常に厳しいものだった)
(あの日脱出できたのは、イロハを含め戦車部隊が僅か四両。道中運よく逃れていた生徒を拾う事こそできてもその総数はあまりに心もとない)
(ひとまず緊急事態である事に加え、ある程度は武力で締め上げた結果かろうじて統制はまだ取れているものの、その崩壊も最早時間の問題であった)
イロハ(実際、反発した一部の生徒たちは独自に動いて、そのまま二度と帰ってこなくなりましたからね…。大方捕まったか、あるいは今もどこかで隠れ潜んでるといった所でしょう)
イロハ(物資の方も、いい加減略奪するのに限界がある。このままでは早晩、私たちは――)
- 81二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 20:55:48
(せめてここのシャーレの先生がいてくれれば。そんな益体もない願いを抱いてしまう程、イロハは追い詰められていた)
(と、その時である)
万魔殿生徒「い、イロハ先輩!大変です!!」
イロハ「…?どうしました、騒々しいですよ。この辺りは敵影も乏しいとはいえ、あまり騒ぎ散らかされるのは」
万魔殿生徒「そ、それが!ミレニアム本校――エリドゥではなく地上の校舎で、マコト議長の姿を見た者がいると!」
イロハ「――なん、ですって?」
・ステージ5: リポジトリムリズム(ミレニアムサイエンススクール本校)
(一方、所変わってそのミレニアム本校では)
ホシノ「…はぁ~。潜入作戦はもうこりごりだって思ってたんだけどなぁ」
(ミレニアムサイエンススクール本校舎、その内部をトボトボとホシノは進む)
(本来であれば敵本陣ともいえるミレニアムの本校舎内は、しかし想像とは裏腹に全くと言っていい程人の気配が存在していなかった)
(たまに巡回中のオートマタに出くわす程度で、それすら最低限度の戦闘機能を搭載しただけの代物)
(散々修羅場を潜り抜けてきたホシノからすれば欠伸が出る程あっけない、いわば雑魚だった)
- 82二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 20:56:11
ホシノ「ほんとにここミレニアムの本校舎、だよね?それにしてはあまりにも人気がないというか、なさ過ぎるというか…」
ウタハ『――単純な事さ。皆、エリドゥの方に移動したんだよ。それもここに在った基幹設備共々ね』
(ホシノの疑問に、ウタハが通信越しに答える)
(傍からすればとんでもない規模の話を、ウタハは遠い日々を思い返すかのように語っていく)
ウタハ「思い返せば、半年くらい前の話だったか。突然会長が学園規模の一斉メンテナンスを開始するとか言い出してね。それで授業も何もかも順繰りに停止させて、片っ端から学園内のメンテナンスに取り掛かった事があったんだ」
ホシノ「それって、もしかして?」
ウタハ「ああ、お察しの通りだ。今にして思えば、あの頃から既に今回の侵攻計画は始まっていたんだろう。表向きはメンテナンスと嘯きつつ、裏では少しずつエリドゥに主だった学園設備や機能を移して回ってたんだ」
ホシノ「うへ~、よく気づかれなかったもんだねぇ」
ウタハ「普通ならユウカやノア辺りが黙っていない所だろうが…。あの二人が特に反発らしい反発もせず、すんなり同意していた時点で疑うべきだったんだろうね。迂闊だったよ」
(技術屋であるウタハ自身、定期的なメンテナンスの重要性はよく理解しているつもりだった)
(それだけにまんまと出し抜かれ、挙句後輩までも危険に巻き込んでしまった不甲斐なさを強く悔いる)
ホシノ「まあまあ、過ぎた事を悔やみ過ぎてもしょうがないって。――それより、さ。本当にここにある、というかいるんだよね?その『マスターキー』に当たる生徒ちゃんは」
ウタハ「ああ、間違いない。例によって『全知』が送った情報の通りだ」
- 83二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 20:56:38
(事の起こりは数時間ほど前。ホシノが命からがらゲヘナ自治区より帰還し、改造パーツを渡してしばらく経った後)
(再び『全知』を名乗る例の人物から連絡が届き、エリドゥ突入に必要な最後のピース――すなわち『マスターキー』の情報を送ってきたのだ)
(改造パーツの件があった為、今回も一応は信頼してやってきたホシノだったが…)
ホシノ(まさかこんなにも手薄だなんてね)
ホシノ(ウタハちゃんの言葉を信じるなら、ここは既に放棄された、もしくは後々帰還する為のサブベースって所だけど)
(どうにも嫌な予感が拭えない)
(いくら不要になったとはいえ、この手薄さはあまりにも不気味すぎる)
(まるで獲物を逃げられない所まで引きずり込む為、あえて限界まで空にしたような――)
ホシノ「っ!」
(その時、ホシノの耳がこちらに近づいてくる足音と人の気配を捉えた!)
ホシノ(数は二人、モーターの駆動音はしない。という事は、間違いなく生徒もしくは獣人のそれ)
(ここがミレニアム本校舎内であることを考えれば、後者の線は限りなく薄い)
(つまりは――敵)
(手頃な角に伏せ、ホシノは接近してくる何者かを待ち構える)
(一歩、二歩、三歩。足音がギリギリまで近づき、いよいよ角を曲がるその瞬間、ホシノは盾を構え突進した!)
- 84二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 20:57:04
ホシノ「――!」
???「なっ!お、お前は――ぐあっ!」
???「っ!?」
ホシノ「うへ?その声…」
(盾ごとぶつかり、その勢いのまま相手を押し倒す)
(が、直後に上がった声を聴き、ホシノは思わず動きを止めた)
(同時に、自身のこめかみに銃口が添えられる気配を感じ取る)
(暗闇の中、目を凝らして相手の顔を見つめると――)
ホシノ「…やっぱりそうだ。ゲヘナ風紀委員会のイオリちゃん、だっけ?こんな所で何してるのさ」
イロハ「何をしている、とはこちらの台詞です。小鳥遊ホシノ」
(銃口を向けられた先、そこから呆れたような溜息が零れる)
(そこに立っていたのは、紛れもないパンデモニウム・ソサエティーの一人・棗イロハだった)
(そして――ホシノの前で仰向けに転がるのは、ゲヘナ風紀委員会の銀鏡イオリ)
イロハ「誰か待ち伏せてると思ってはいましたが、まさかあなただったとは…。思わぬ再会ですね、小鳥遊ホシノ」
ホシノ「うへ~、こちらこそ久しぶり~。無事でよかったよイロハちゃん」
イロハ「無事、ですか。はたしてそう呼ばれていいものかどうか」
イオリ「おい…。お前ら、話し込んでないでさっさと私を解放しろぉ!」
(押し倒されたままほったらかされる現状に、思わず怒鳴り返すイオリ)
(その結果、怒声を聞きつけて駆けつけた巡回用オートマタとひと悶着起こす羽目になるのだがそれはまた別のお話…)
- 85二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 20:58:02
- 86二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 21:21:50
- 87二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 02:30:34
- 88二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 10:42:29
- 89二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 13:04:03
せやね…あの人やね…
- 90二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 22:44:43
>>84の続き
(巡回用オートマタを破壊し、ひとまず近くの空き教室へ逃げ込んだホシノ達)
(そこでしばらく潜伏していたが、ようやく敵の気配が消えた事を悟るとホッと一息ついた)
ホシノ「いや~まさかこんな所でゲヘナの人たちと再会するとはねえ」
イオリ「それはこっちの台詞。…やられていないだろうとは思ってたけど、ほんとに無事だったんだね。小鳥遊ホシノ」
イロハ「まあ、この人のしぶとさは折り紙付きですから。実際何度キヴォトスの危機を救ってきたんでしょうね…」
ホシノ「うへへ~照れるなぁ。…それで?二人はどうしてここに?」
イオリ「急に話を戻すな、調子が狂う。――私がここに来たのは、こいつに付き添ってたからだよ。『どうしてもミレニアム本校に潜入しなければならなくなった』ってね」
(イオリがイロハに視線を向け、説明するよう促す)
(イロハもまた一息吐くと、常の調子で説明し始めた)
イロハ「実は、うちの子が情報を仕入れてきたんです。『ここでマコト先輩の姿を見かけた』と」
ホシノ「うへ、マコトが?」
イオリ「…正直、今でも私は半信半疑なんだけどな?本当に間違いないんだろうな、だって万魔殿は――」
イロハ「分かっていますよ。…私だって、本心を言えば疑ってる所もあります。でも、今は他に縋れる当てもありませんから」
(イロハの脳裏に、あの日の光景が甦る)
(敵要塞都市からの砲撃を受け、あっけなく崩壊したパンデモニウム・ソサエティー本部)
(あの中に羽沼マコトがいた事は間違いなくて。そしていかに悪運強いマコトであろうと、あそこから生還し得るかどうかは…)
(黙り込むイロハを前に、イオリもまたバツが悪そうに頭を掻く)
(その姿を見たホシノは、話題転換にと今度はイオリ達の現状について問いかけた)
- 91二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 22:45:02
ホシノ「そ、それでさ。話は変わるけど、イオリちゃんとイロハちゃん達は今までどうしてたの?どこかに潜伏する当てでもあったとか?」
イオリ「まあ、な。といっても、そんな大した拠点があった訳じゃない。うちら風紀委員会は墜落した空中戦艦を拠点に、ずっと抵抗活動を続けてたんだよ」
ホシノ「あー、あのおじさんが一度撃ち落としたやつね」
イオリ「しれっと貶すんじゃない!…とはいっても、たかが知れたものだったけどね。うちもあの日、人員と装備の大半を失った。生き残れたのは、たまたま自治区の端で活動してた連中と要領のいい連中くらいだったよ」
ホシノ「アコちゃんや、他のメンバーは?」
イオリ「そっちも一応無事だ。…最も、委員長が攫われた事で大分落ち込んでたけどね。まあ、私も人の事は言えないけど」
ホシノ「――――」
イロハ「…小鳥遊ホシノ?顔色が悪いようですが、何か具合でも?」
ホシノ「い、いいやぁ?な、何でもないよ~」
(さすがに今この状況でヒナナイトボーグの事は言えないホシノだった)
ホシノ「それより!イロハちゃん達はどうしてたの?」
イロハ「何か露骨に話題をそらそうとしてません?…まあ、構いませんが。私たちもそこの風紀委員と似たような感じですよ。わずかに生き残った戦車隊を率いて、ずっと近くの森で潜伏してました」
イロハ「マコト先輩もサツキ先輩も、チアキもパンデモニウム・ソサエティー本部がやられてからそれっきりです。多分捕まったか、あるいはどこかに潜伏しているんでしょうけど…」
ホシノ「そっか。二人とも、大変だったんだね」
(改めて現状の深刻さを確認し、気落ちするイオリとイロハ)
(一方でホシノはあえて笑顔を浮かべ無理にでも励まそうと試みる)
- 92二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 22:45:33
ホシノ「でもさ、イロハちゃんとこの子が掴んだ情報通りなら、ここにそのマコトがいるかもしれないって事でしょ?」
イロハ「それは…まあ。ですが」
ホシノ「だったらひとまず、いけるとこまで行ってみようよ。おじさんもここには用事があってきたわけだし、何なら付き合えるだけ付き合うよ?」
イオリ「その用事って、一体何なのさ?」
ホシノ「あ、そうだった。実はね――」
(ホシノはこれまでの事情について大まかに説明した)
イロハ「要塞都市を破るマスターキー…。そんなものが、本当にここにあると?」
ホシノ「モノというか生徒というか。まあ何にせよ、確かな情報である可能性は高いね」
イオリ「どうだか…。その『全知』を名乗った何者かも、所詮ミレニアム側の奴でしょ?だったら、こうやって罠に嵌めようとしてる可能性も否めないんじゃないの?」
ホシノ「んー、それはまあ確かに。でも、信じたおかげでゲヘナでは目的のパーツをてにいれることもできたわけだしねぇ」
イロハ「ああ、あの時のアレはそういう事だったんですね。ようやく納得しました」
ホシノ「うへ、あの時のアレって?」
イロハ「いえ、補給拠点の襲撃帰りにちょうどゲヘナから脱出するあなたの姿を見かけてまして。なんであんなところにいたのか、不思議だったんですが…」
イオリ「おいちょっと待て。そんな重要情報を知っておきながら、なんで今まで黙ってた?」
(イオリが恨めしげな目でイロハを睨む)
(対するイロハは、涼しい顔であっさり答えた)
イロハ「言いそびれてました、すいません」
イオリ「お前な…!」
ホシノ「まあまあ、喧嘩しない。――それじゃ、お互い大よその目的は固まったかな?」
- 93二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 22:46:02
ホシノ「おじさんはここにあるという『マスターキー』を回収する」
イロハ「私はどこかにいるかもしれないマコト先輩を発見・確保する」
イオリ「そして私は、お前が無事仲間の元に戻れるよう護衛する、か。…なんか私だけ負担大きくないか?」
ホシノ「ん~、気のせいじゃないかなぁ」
イロハ「そうですよ。よろしくお願いしますね、風紀委員さん」
イオリ「お前ら…」
(ジト目でホシノとイロハを睨むイオリだが、どの道やるべき事は変わらない)
(目当ての場所に辿り着く為、さらに先を急ぐ――)
(そうして、どれだけの道程を進んだ事だろうか)
(ホシノ達三人は、とある部屋の前に辿り着いた!)
(頑強なロックが施されたその扉は、さながら金庫のようであり中の様子を窺い知る事はできない)
(プレートには『反省部屋』と書かれており、どうやら問題児を収容する場所のようだった)
イオリ「なんかうちにも似たようなのあった気がする…」
イロハ「ここに、その『マスターキー』とやらは存在すると?」
ホシノ「情報通りならね。えーっと、聞かされた話の通りだと確かこの辺に…あったあった!」
(暗闇の中、反省部屋の施錠ダイアルを見つけ、指定された番号をセットする)
(次いでレバーを回すと、重々しい開錠音と共に扉が開き始めた)
(そうして、中から現れたのは――)
イオリ「…なんだこれ?」
イロハ「ガラスケース、に見えますね。正六面体の。直径十メートルといったところでしょうか?」
ホシノ「で、その真ん中に」
???「…zzz。スヤスヤ…むにゃむにゃ…」
- 94二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 22:46:27
(そこにいたのは、一人の少女だった)
(桃色の髪に、セミナーのものと思しき制服。ホシノ達が入ってきた事にも気づかず、ぐっすりと眠り続けている)
ホシノ「薬で寝かされてる、とかそういう可能性は…」
イロハ「ないですね。心底熟睡してる系の顔ですよこれ。マコト先輩とかがよくこんな感じで寝てるからよく分かります」
イオリ「とりあえず、ここから出してやるか。えっと、出入り口は…これか?」
(南京錠を括り付けただけという単純な施錠を訝しみつつ、イオリはライフルの銃口を向ける)
(そのまま引き金を引くと、南京錠はあっけなく破壊された)
???「には――はっちゃ!?な、何事!?」
ホシノ「あ、起きた」
イロハ「どうやら特に防音とかそういう訳ではなかったみたいですね」
イオリ「おい、大丈夫か?ここで何があった」
???「え、え?だ、誰!?どちら様ですか!!」
(混乱した様子でホシノ達の顔をそれぞれ見つめる少女)
ホシノ「驚かせちゃってごめんね~。おじさん達は君に用があってきた者だよ。ええと――何て名前なのかな、マスターキーちゃん?」
イオリ「その呼び方はどうなんだ…」
イロハ「まあ、他に呼び方もありませんし」
???「え、うえ?ま、マスターキー?違いますよ、私はコユキ。黒崎コユキです!」
ホシノ「ふむふむ、コユキちゃんか。初めまして、おじさんは小鳥遊ホシノ。こっちの二人はゲヘナ学園の――」
イオリ「銀鏡イオリだ。イオリでいい」
イロハ「棗イロハです。私もイロハで結構です」
コユキ「あ、これはどうもご丁寧に――じゃなくて!なんで他所の学校の人たちがここにいるんですか!?ここミレニアムの反省部屋ですよね!?」
ホシノ「なんでって……うん?」
- 95二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 22:46:49
(そこでふと、ホシノは目の前の少女――コユキに違和感を抱く)
(イオリとイロハも同じ疑問を抱いたのか、じっとコユキの顔を見つめた)
ホシノ「えっとコユキちゃん、だっけ?君は、この反省部屋に放り込まれてからどれくらい経つのかな?」
コユキ「うえ?な、何ですか突然」
イオリ「いいから答えろ。ちなみに今は~」
(イオリが今日の日付と年号を説明する)
(それに対し、コユキは――)
コユキ「ええと…その日付と年号だと、私が放り込まれたのはちょうど半年くらい前ですかね?」
ホシノ「うわお、ピタリだ」
イロハ「なるほど。ほぼ同じくらいの時期に放り込まれて、そのままずっと監禁されてたわけですか」
イオリ「よく生きてたなこいつ…。というか、よく今まで違和感とか抱かなかったな?」
コユキ「あ、一応食べ物とかは定期的に差し入れされてたので…。って、さっきから何の話してるんです?いい加減答えてくださいよ!」
ホシノ「ああごめん、実はね――」
(その時、四人の背後から足音が響き渡る)
(反射的に振り返ったホシノ達が目を向けた、先)
(そこにいたのは――)
イロハ「…………うそ」
イオリ「何、だって?」
ホシノ「まさか――本当に?」
???「…キキキッ」
- 96二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 22:47:10
(羽沼マコトが、立っていた)
(見慣れた万魔殿議長の制服、傲岸不遜を絵に描いたような顔、そして――口癖とも言える笑い方)
(正真正銘、ホシノ達もよく知る羽沼マコトがそこにいた)
イロハ「先輩――マコト、先輩!」
イオリ「あ、おい!?」
ホシノ「イロハちゃん!」
コユキ「えっ、えっ!?誰!?」
(感極まったような顔で、目の前のマコトに抱き着くイロハ)
(マコトもまた特に抵抗もせず、しっかりと正面から受け止めた)
イロハ「マコト先輩、生きてたんですね…!あの光景を見た時は、もうダメかとばかり…!」
マコト?「……」
イオリ「本物、なのか?議長、生きてたのなら今までどこに――」
ホシノ「まって、イオリちゃん」
(同じく駆け寄ろうとするイオリを留め、ホシノは険しい顔でマコトを睨む)
(しばらくの間、涼しい顔を浮かべていたマコトだったが――その異変は、突如現れた)
マコト?「――(ニタァ)」
イオリ「っ!おい、そいつから離れろ!」
イロハ「えっ?――ぐっ、ああっ!?」
マコト?「キキキ…キキキ、キキキキキッ!」
- 97二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 22:47:42
(突如としてイロハを強く抱きしめ出すマコト)
(否、抱きしめるなどと優しいものではない。尋常ならざる力でイロハを捕らえ、圧迫するその様は誰がどう見ても『攻撃』としか言いようがない有り様だった)
(狂ったような笑い声をあげ、イロハを締め落とそうとするマコト。そこに、躊躇なくホシノの銃弾が頭部に撃ち込まれた!)
(衝撃を受け、手放されたイロハが床に転がる)
ホシノ「……っ!」
イロハ「ごほっ、げほっ!」
イオリ「おい、しっかりしろ!議長、いや羽沼マコト!何のま、ね――」
(信じられない光景に、今度こそホシノ達の動きが止まる)
(頭部を撃ち抜かれ、大穴が開いたマコト)
(その、傷口が。ホシノ達の目の前で塞がっていった)
(まるで――スライムか何かが、自力で修復を果たすかのように。ぐじゅぐじゅと)
(数秒とかからず元の姿に戻ると、その偽マコトは後方へ大きく跳躍し消えていく!)
イオリ「!ま、まて!」
ホシノ「あ、ちょっとイオリちゃん!――イロハちゃん、大丈夫?動ける?」
イロハ「はい…な、何とか」
ホシノ「そっか。ごめん、じゃあ何とか私たちについてこれる?無理は承知だけど、あの子を一人にするわけにも――」
- 98二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 22:48:06
イロハ「平気、です。これでもパンデモニウム・ソサエティーの一人として鍛えてます、から…!」
コユキ「いや全然大丈夫そうに見えませんけど!?」
ホシノ「それでも、何とか追いつくよ!コユキちゃんも一緒に来て!」
コユキ「え″っ!?な、なんで私まで!?」
ホシノ「だってこんな所に一人にしておけないし。それに、おじさん達はコユキちゃんに用があるからね」
コユキ「いやいやいや!嫌ですよ!私は大人しく反省してろってユウカ先輩たちに言われてるんです!だから部屋に戻って――」
ホシノ「ごめん、それは無理!さ、行くよ!」
(イロハに肩を貸し、コユキの腕を引っ張りながらマコトとイオリの後を追うホシノ)
(既に先程から頭の中で警報が鳴り響いていたが、最早気にする余裕はなかった…)
- 99二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 22:48:46
- 100二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 01:11:28
- 101二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 02:00:40
- 102二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 11:30:29
>> 実際何度キヴォトスの危機を救ってきたんでしょうね…
本当にそうよなぁ…(これまでの冒険を思い返しながら)
- 103二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 20:42:23
- 104二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 22:36:35
>>98の続き
ホシノ「はあ、はあ…!まったくもう、どこまで行っちゃったのさ、イオリちゃん!」
コユキ「あ、あの!わかりました、分かりましたから手を放してくださいってば!さっきから引きずられて痛たたた!?」
イロハ「!小鳥遊ホシノ、あれを!」
(イロハがある方向を指出す)
(そこには噴水の上で仁王立ちする偽マコトと、それを見上げる格好で対峙するイオリの姿があった)
ホシノ「いた!おーいイオリちゃーん!」
コユキ「あだだだ!?だ、だから引っ張らないでくださーい!」
イロハ「諦めなさい、ここまで来たら一蓮托生です。それより、あのマコト先輩と思しき奴は…!」
イオリ「もう逃げられないぞ、観念しろ!」
偽マコト「キッキッキ…」
(イオリに銃口を向けられながらも、偽マコトは平然と笑い返す)
(自分たちの事などまるで意に介さないような態度に、眦をつり上げるイオリ)
(だが、その時。どこからともなくホシノ達に向けサーチライトが照射された!)
ホシノ「っ!?」
コユキ「うええ!?こ、今度は何ですかぁ!?」
イロハ「くっ、眩しい…!」
イオリ「くそっ!今度は誰だ!姿を現せ!」
???『あらあら。コソ泥さん達が雁首揃えて、随分な言い草ね?』
(聞き覚えのある声に、ホシノとコユキが目を見開く)
(と、同時に。轟音と共に突如地面が揺れ始めた!)
- 105二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 22:37:10
ホシノ「うへっ、何何!?」
コユキ「じ、地震ですか!?」
イロハ「いえ、これは――」
イオリ「おい見ろ!噴水の様子が…!」
(偽マコトが立っていた噴水、それが左右に分かれ大きく開き出す)
(さらにその真下から何かがせり上がり、偽マコトの新たな足場となって着地する)
(まるでロボットアニメの出撃シーンを思わせるような大仰な仕掛けは、瞬きの間に完結した…)
(そして。姿を現した『何か』の正体は)
ホシノ「これは……戦車?」
コユキ(呆然)
イロハ「ですが、砲塔が多すぎます。多砲塔戦車と呼ばれる類にしても、この大きさは…」
イオリ「ああ。戦車というより、まるで動く砲台か要塞のような――」
??「――ふふ、さすが荒事に長じたゲヘナの生徒さん。一目見ただけでこれの本質を理解しますか」
(再び、聞き覚えのある声が目の前の多砲塔兵器から響く)
(すると、突如として空中にホロモニターが表示された)
(そこに映っていたのは、ホシノとコユキもよく知る人物で…)
ホシノ「君は、確かゲヘナにいた…」
コユキ「ノ、ノア先輩!?それにユウカ先輩まで!な、何やってるんですか二人とも!」
ユウカ『あらコユキ、そういうあなたこそいつの間に脱走したのかしら?確かあなたの刑期はまだまだ残っていた筈だけど?』
コユキ「ぴぃっ!?」
ノア『まあまあユウカちゃん、そんな風に怖がらせちゃいけませんよ。――これからもっと、怖い目に遭わせるんですから。今から怯えさせてたらコユキちゃんの心が持ちませんよ?』
コユキ「ひっ、ひぃいいい!!」
イロハ「…ええと。この人とあの二人って顔見知り、なんでしょうか?」
イオリ「多分な。…なんでここまでビビリ散らかしてるのか、さっぱり分かんないけど」
- 106二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 22:37:42
(兵器内から響くユウカとノアの声に、本気で震え上がるコユキ)
(その姿に何とも言えない憐れみと疑問を抱きかけるホシノ達だったが、今はひとまず眼前の兵器に集中する事にした)
ノア『まあ、冗談はさておき…。お久しぶりですね、小鳥遊ホシノさん。ゲヘナでの接敵時以来といったところでしょうか?』
ホシノ「まあね。…おじさんとしても、また会えてうれしいよ。あの時は誰かさんの横槍でぶっ飛ばし損ねてたから」
ノア『ふふ、怖い怖い。さすがアビドスを、ひいてはキヴォトスを守り続けてきた「勇者ホシノ(ホシノカービィ)」といったところでしょうか?』
ユウカ『ノア、軽口はそこまで。――私としては、一応初めましてね小鳥遊ホシノ。あの時は自己紹介する暇もなかったけれど、改めて名乗らせてもらいましょう』
ユウカ『私は早瀬ユウカ。ミレニアムサイエンススクール・セミナー所属の会計で、本作戦においては総指揮をノア共々任されている者よ』
ホシノ「へえ。という事は、ユウカちゃんとノアちゃんがここのボスってわけだ?」
ノア『ええ、その通り。そして――ここミレニアムサイエンススクール本校舎こそ、あなた達を葬る為の処刑場というわけです♪』
(多砲塔兵器から、すさまじい殺気と威圧が放たれる)
(コユキ以外は油断なく銃を構え、いつでも動けるよう準備した)
ユウカ『大方、うちの裏切り者に手引きされてノコノコやってきたんでしょうけどお生憎様。うちの会長は、全部お見通しなの』
ノア『既に辺り一帯は包囲しました。あなた達に退路はありません。あ、今更降参してもダメですよ?会長から徹底的にやるよう命じられておりますので』
ユウカ『あなた達はミレニアムに未だ歯向かい続ける愚か者にして叛逆者。あなた達のお仲間と、他学区への見せしめも兼ねて容赦するなとのご命令よ』
ホシノ「……」
イロハ「好き勝手言ってくれますね。一方的に他人の自治区に侵攻しておいて」
イオリ「同感だ。万魔殿の連中とそりは合わないけど、この件に関しては心底同意するよ」
ノア『全てはミレニアムによるキヴォトス千年繁栄の為――。あなた達の感情など、知った事ではありません』
ユウカ『ええ。それとコユキ、残念なお知らせよ。さっきあなたの刑期はまだまだ残ってるって言ったけど、あれはもうなしね』
- 107二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 22:38:13
コユキ「えっ!?まさか釈放ですかヤッター!」
イオリ「いやなんで今の流れでそう思えるんだよ!?」
イロハ「急に元気になりましたねこの人…」
ノア『その人たちの言う通り、違いますよコユキちゃん』
(多砲塔兵器の砲口、その一つがホシノ達に向けられる)
(否。正確に言えば――ホシノ達が庇っていた、コユキに向けて)
コユキ「――えっ?」
ユウカ『あなたはもう、要らない。生かしておいてもミレニアムの脅威になるだけ。だから――今日、ここで。その侵入者たち共々吹き飛ばされなさい』
(ユウカの冷酷な宣言と共に、砲口が火を噴く)
(咄嗟にホシノが盾を構え、バリアを全力展開)
(直後砲弾が命中するも、バリアは破られる事なく完全にホシノ達を守り抜いた!)
コユキ「ユウカ、先輩?うそ、ですよね……いまの」
ノア『――やはり、防がれてしまいましたか。さすがは『勇者ホシノ』、一筋縄ではいきませんね』
イオリ「お前ら…なんて事を…!」
イロハ「正気とは思えませんね。私たちはともかく、自分の学校の後輩を撃つなんて――いや、まあ割とうちじゃ日常風景ではありますが。とにかく、許されない事ですよ今のは」
ホシノ「そこは断言してほしかったなぁ…」
ユウカ『それこそ余計なお世話よ。あと、その子がうちに与えるだろう損害と与えた被害を思えば妥当な判断だから』
コユキ「ユウカ、先輩……ノア先輩……」
(ふるふると、コユキが震え出す)
(思わず慰めようとしたホシノだったが、次の瞬間コユキの口から飛び出た言葉に――)
コユキ「ひどい――あんまりです!いくら無断で生徒会名義の債券発行しまくって、ギャンブルに注ぎ込んだからって!!後輩に向けて戦車砲をぶっ放すとか人の心はないんですか!?」
- 108二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 22:38:48
ホシノ「……はい?」
イロハ「へ?」
イオリ「――なん、だと?」
ユウカ『黙りなさいこのバカ後輩!!ミレニアムの恥め!あんたのせいで、後々補填にどれだけ苦労したと思ってるのよ!!』
ノア『ゆ、ユウカちゃん落ち着いて?全部丸聞こえですよ?』
ユウカ『ノアも黙ってて!――しかも、よりによってその直後に会長が例の計画を発動したせいでこっちは徹夜と土下座行脚地獄に突入する羽目になるし!何度あんたがいる反省部屋に行って、首絞めてやろうと思った事か!!』
コユキ「ひ、ひぃいいい!?だ、だからアレは切実な事情というのがあってですね!?」
ユウカ『「自分が自由になる為」だけにカジノVIP目指した事のどこに切実さがあるのよ!?ぶち〇すわよこのパチンカス不良生徒!!』
(最早ホシノ達そっちのけでコユキに罵倒をぶつけまくるユウカ)
(先程までのシリアスな空気はどこへやら。完全にホシノ達は蚊帳の外であった…)
イロハ「…あの、小鳥遊ホシノ。確かあなたの目的って、あの子(=コユキ)を助け出す事でしたよね」
ホシノ「うん。そうだね」
イオリ「…やめておいた方がよくないか?何か下手すると、ミレニアム側に正義がありそうな予感までしてきたぞこれ」
ホシノ「…うーん。どうしよう」
(と、そこでようやく思い出したのか。多砲塔兵器の砲口が再びホシノ達に向けられる)
ユウカ『――いいわ。どの道叛逆者は蹴散らさないとだし、モノのついでにあんたも消し飛ばしてあげる』
ユウカ『覚悟しなさいコユキ…!お金の恨みは恐ろしいって事、その倫理観が全くない脳味噌に刻み込んであげる…!――ノア!』
ノア『はいはい、了解ですユウカちゃん。ではマコトクローンさん、コントロールお願いしますね♪』
マコトクローン「キキキ――キキキキキッ!!」
(偽マコト改め、マコトクローンがブルブルと震え出す)
(すると、何という事か!マコトクローンは複数体に分裂し、兵器の各砲塔へと降り立った!)
- 109二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 22:39:30
マコトクローンA「キキキッ!キキキキッ!」
マコトクローンB「キキッ、キキキッ!」
マコトクローンC「キキキ、キーキキー!」
マコトクローンズ『キキキキキーッ!!』
(そのままハッチを開き、内部へと入っていくマコトクローン達)
(彼女たちが砲塔に入り込むと同時に、全ての砲塔はまるで意思を持ったかのように動き始める…!)
イオリ「おい…今、あいつ何て言った?」
イロハ「…マコト先輩のクローンがどうとか、言ってましたね」
ノア『おや、耳ざといですね。それでは説明しましょう!マコトクローンとは!』
(そうして、ノアは饒舌に語り出す)
(崩壊した万魔殿跡地で見つけた、万魔殿議長のDNAデータ)
(そのデータを培養・複製し、実験を繰り返した果てに生まれた生徒兵器――それがすなわち、マコトクローンであると)
ノア『まあ、作ったはいいんですけど知能面が今一つでして…。ご覧の通り、どうやっても笑い声しか出力されないんですよね』
イオリ「ええ…」
イロハ「ああ、だからさっきからキキキキうるさかったわけですか」
ノア『ですがこうして兵器を扱わせる程度なら可能である、と気づきまして。なので今は、開き直って一種のバイオコンピュータとして運用する事にしました!』
ホシノ「…うへぇ。まさかマコトに本気で同情したくなる日が来るなんてね」
イオリ「いくら何でもこれは惨い…。尊厳破壊とか、そういうレベルじゃないか?」
イロハ「――さすがに、これは私も頭にきますね。少しだけ、ですが」
ホシノ「イロハちゃん?それは――」
(懐に持っていた小型銃を空に向け、イロハは一発撃ち放つ)
(一拍置いて上空で爆発した信号弾は、煌々と夜の闇に光り輝いた)
(そして、しばらくすると――)
- 110二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 22:40:05
ドゴォオオン!
ノア・ユウカ『『っ!?』』
ホシノ「うへっ!?こ、今度は何さ!」
イオリ「あれは――」
ゲヘナ戦車生徒「ご無事ですかイロハ先輩!――って、何あれ!?」
イロハ「ご苦労様です、皆さん。そちらもご無事だったようで何より」
(校舎の壁と包囲網をぶち破り、ゲヘナ万魔殿が擁する重戦車――超無敵鉄甲虎丸が現れる)
(すぐ近くに停車したそれに飛び乗ると、イロハは慣れた手つきでハッチを開け中に入り込んだ)
ホシノ「イロハちゃん、それは――」
イロハ『こんな事もあろうかと、無理をしてでも持ち込んでおいて正解でした』
イロハ『相手が相手ですからね。私もこれで援護させていただきます』
イロハ『小鳥遊ホシノと、そこの風紀委員さんは攪乱をお願いします。いくら重装甲とはいえ、あれに何度も撃ち込まれたら持ちませんからね』
ホシノ「――りょーかい!それじゃ、始めるよイオリちゃん!」
イオリ「おい、勝手に決め――ああもう、しょうがないなぁ!」
コユキ「あ、あの!私はどうすれば!?」
ホシノ「あ、ごめん忘れてた。…えっと、じゃあおじさんの傍にいるといいよ。あっちはもう始めてるみたいだし」
(キュラキュラと、履帯を鳴らし多砲塔兵器に立ち向かっていく虎丸)
(イオリもまた素早く走り回りながら、多砲塔兵器の周囲をかく乱し始める)
(そして、対する多砲塔兵器もまた各砲塔を動かし――)
ユウカ『それじゃ、始めましょうかノア。それとクローンマコト達もね』
ノア『ええ、やっちゃいましょうユウカちゃん。私たちの共同作戦ですね♪』
ユウカ『ここまで全て計算通り…。ふふっ、かんぺき~♪』
クローンマコトズ『キキキキキーッ!!』
- 111二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 22:40:40
ホシノ「よ~し、それじゃおじさん達もがんばろっか!あ、コユキちゃんは程々にね?」
コユキ「うぁあああ――なんで私がこんな目に――!?」
(多砲塔兵器vsアビドス&ゲヘナ+ミレニアム?連合)
(決戦の火蓋は切って落とされた!)
クローンマコトG『キキッ!?キキキキーッ!!(ボガァン!!)』
ノア『だ、第六砲塔も大破!?クローンマコト、今ので全滅!?そ、そんな…!』
ユウカ『くっ…!無事な銃座でけん制!主砲旋回、急いで!』
(ミレニアムが繰り出してきた多砲塔兵器、その火力は凄まじいものだった)
(自信満々に投入してきただけはあり火力と装甲は図抜けており、虎丸の砲撃をもってしても一時は耐えられてしまった程)
(だが――)
ホシノ「前にも言った筈だよ、ノアちゃん。重すぎるし鈍すぎるって」
ノア『っ!?』
イオリ「確かにこの兵器の火力はすごいし、弾種も信じられないくらい豊富だ。けど、撃ってくるタイミングさえ分かればいくらでも対処のしようはある」
(反撃を試みる銃座を、イオリが冷徹に撃ち抜いていく)
(一基、また一基。イオリの的確な狙撃を前に、無事な銃座は一つもなくなっていた)
イロハ「何より――戦車の扱いというなら、私の方に一日の長があります。これでもゲヘナの戦車長張ってますしね」
ゲヘナ戦車生徒「イロハ先輩、弾薬装填完了です!」
イロハ「了解。十時の方角に下方五度修正してください。――今です、主砲発射」
(虎丸の主砲が、多砲塔兵器の破壊された砲塔に直撃する)
(ただでさえ痛めつけられていた箇所への重ねがけ。ダメージは兵器内部にまで及び、各所で誘爆を招いた)
- 112二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 22:41:00
ノア『きゃあああっ!』
ユウカ『そ、そんなバカな…!?私の計算は正しかった筈なのに…!』
ホシノ「――なら。計算の前提になるものが間違っていた、それだけでしょ」
(多砲塔兵器前方。いつの間にか回り込んでいたホシノが主砲に銃口を向ける)
ユウカ『ま、まずっ!?ノア、砲撃急いで――』
ホシノ「残念。――これで、チェックメイトだよ」
(ホシノの愛銃からスラッグ弾が放たれる)
(狙い過たず弾丸は主砲内部の巨弾に命中し、貫徹)
(内蔵されていた信管・爆薬を誘爆させ――直後、大爆発を引き起こした!!)
ノア『う、嘘…私たちの、ミレニアムの秘密兵器が…!』
ユウカ『こ、こんな――こんな筈じゃないのにぃいいい――!!』
ドガドガドガドガボガガガーン!!
(盛大に爆散し、跡形もなく吹き飛ばされた多砲塔兵器)
(ユウカとノアも巻き添えを喰らい地面に叩きつけられると、そのまま完全に気を失った)
ユウカ・ノア「「きゅう~」」
ホシノ「よしっ!おじさん達大勝利~!」
イオリ「やれやれ…どうにかなったか」
イロハ「さすがに今回は肝が冷えましたね…」
コユキ「ユウカ先輩、ノア先輩!」
(気絶したユウカとノアの元に駆け寄るコユキ)
(その姿に一瞬感動しかけたホシノ達だったが――)
- 113二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 22:41:19
ウウウウーー!ウウウウーー!
ホシノ「!」
コユキ「はちゃっ!?な、何ですこの音!」
イオリ「これは――警報か!」
イロハ「どうやら敵さんも泡を喰ってるみたいですね。こっちに増援が向かってきてるようです」
(イロハの言う通りだった)
(まさかユウカとノアまで敗れるとは想像だにしていなかったのか、包囲に当たっていた部隊が慌てて駆けつけてくる様が遠目からでも見て取れる)
(その様子を見たホシノは――)
ホシノ「イオリちゃん、コユキちゃん手伝って!今すぐこの子たち連れて脱出するよ!」
コユキ「えっ!ゆ、ユウカ先輩たちもですか!?」
イオリ「おいまて!コユキはともかくユウカとノアとやらはさっきまでやり合ってた相手だぞ!ここに置いておけばいいだろ!」
ホシノ「そういう訳にもいかないよ。この子たちはあくまで洗脳されて操られてただけだもん。だったら、このままにしておいたら何されるか分かったもんじゃない」
イオリ「それは……だけど!」
(その時。虎丸がホシノ達の傍に近寄ってきた)
イロハ「…はぁ。揉めてる場合じゃないでしょう、さっさと全員乗ってください。脱出しますよ」
イオリ「お前…」
ホシノ「――ありがとうイロハちゃん。恩に着るよ」
イロハ「結構です。あなたには以前マコト先輩を助けてもらった借りがありましたから。これでチャラという事で」
ホシノ「了解!それじゃ、早速出しちゃって!」
(虎丸に乗り込み、ミレニアムサイエンススクールを脱出するホシノ達)
(かくして、要塞都市への突入準備は整った)
(最終決戦の時は、もうすぐそこ――)
- 114二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 22:42:27
- 115二次元好きの匿名さん24/06/13(木) 23:11:09
- 116二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 01:46:01
更新乙です!
ホシノ達が困惑するぐらいであるコユキのギャンブル癖には草も枯れますわ… - 117二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 09:05:18
モーニング保守
- 118二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 15:22:41
イブニング保守
- 119二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:30:36
>>113の続き
(間一髪、敵の包囲網を潜り抜けアビドスへの帰還に成功したホシノ達)
(校舎に入り、先生や対策委員会の皆と再会したホシノだったが、そこで唐突に意識が途絶えてしまい…)
ホシノ「――う、へ?ここは…」
(ホシノが目を覚ますと、そこはアビドス高校別館の保健室だった)
(どうやら寝かされていたらしく、布団が覆い被さっている)
(隣にはノノミが控えており、椅子の上でうたた寝してる真っ最中だった)
ホシノ「そっか…。おじさん、アビドスに帰ってきた所で倒れちゃったんだっけ」
(思えばここまでずっと、連戦に次ぐ連戦ばかり)
(さしものホシノといえど体力は無尽蔵ではない。自分でも気づかない間に、疲労がたまっていたのだろう)
(先生や後輩たちに心配かけてしまった事を反省しつつ、傍らのノノミに声をかける)
ホシノ「おーいノノミちゃーん、おーいー?」
ノノミ「すう……すう……はっ!?わ、私寝ちゃってました、か……?」
(ホシノの呼びかけに、目を開き覚醒するノノミ)
(次いで、目の前の起きたばかりなホシノを見て――次の瞬間、その両目に涙が溢れ出した)
ホシノ「う、うわわっ!?の、ノノミちゃんどしたの!」
ノノミ「ホシノ、先輩――!(衝動のまま、ホシノに抱き着く)」
ホシノ「の、ノノミちゃん?」
(抱き着いてきたノノミに、ひたすら困惑するホシノ)
(だが。その身体が小刻みに震えている事を感じ取ると、優しい声と顔で丁寧に呼びかけた)
- 120二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:31:23
ホシノ「…ごめんね、心配かけちゃって。おじさんは――『私』はもう、見ての通り大丈夫だから。ね?」
ノノミ「ホシノ、せんぱい……ごめんなさい。いつもいつも、まかせっきりで本当に……!」
ホシノ「やだなあ、先輩が後輩の為に身体を張るのは当たり前の事だよー。だからそんな、泣いたりなんかしないで?」
ノノミ「でも――でも!」
ホシノ「デモも鹿もないよ。おじさんはおじさんがやりたいように、守りたいものを守る為に戦ってる。ただそれだけだから、ね?」
ホシノ「だから――自分を責めないで、ノノミちゃん。おじさんはもう、完全復活したからさ!」
(ベッドの上でむん!と片肘張って見せるホシノ)
(その姿に、ようやく安堵したのかノノミはわずかに落ち着きを取り戻した)
ノノミ「そう、ですね。ごめんなさい、情けない姿を見せてしまって…」
ホシノ「気にしない気にしない。おじさんこそ、不安にさせちゃってごめんね?」
ノノミ「そんな事――」
(と。そこで、何の脈絡もなく唐突に保健室の扉が開いた)
アヤネ「ノノミ先輩、ホシノ先輩の具合はどう、です、か――」
セリカ「アヤネちゃん?どうしたのよ急に立ち止まったり、なんか――」
(開いた扉の向こう側から、アヤネとセリカが姿を見せる)
(次いで、起きたばかりのホシノの姿を認め、固まり――)
ホシノ(あ。これ、ヤバいやつだ)
(ホシノがそんな確信を抱いたのとほぼ同時)
(アヤネとセリカは、湧き上がった衝動のままベッドの上のホシノに抱き着いてきた!)
アヤネ&セリカ「「ホシノせんぱぁ~い!!」」
ノノミ「きゃっ!?ちょ、ちょっと二人とも!?」
- 121二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:31:49
ホシノ「うへえっ!や、やっぱり~!?」
(そのまま二人仲良くわんわんと泣きじゃくるアヤネとセリカ)
(呆然と見つめるノノミに、どうしたものかと対応に困るホシノ)
(そして。追い打ちをかけるかの如く)
バタバタバタ…!
先生“アヤネ!?セリカ!どうしたんだい、さっき物凄い叫び声、が――”
シロコ「――ホシノ、先輩?起き、て…」
ホシノ(あ、ダメだこりゃ)
(ホシノが諦観と共に天井を仰ぐ)
(この後起こった、諸々の騒ぎについてはアビドス高校廃校対策委員会の名誉の為、あえて語らないままにしておこう…)
ホシノ「一昼夜!?うへ、おじさんそんなに眠ってたの~?」
(どうにかこうにか落ち着きを取り戻し、平穏を取り戻した保健室)
(その中で、ホシノは自分が倒れた後起きた事について改めて聞かされた)
アヤネ「はい。その間全く身じろぎもせず、ひたすら眠り続けてて…」
セリカ「本当に、ほんっとうに心配したんだからね!(未だ赤く腫れた目をこすりつつ)」
ホシノ「うへぇ。ごめんよ~、こんな大事な時に後輩を不安がらせちゃって。おじさんは先輩失格だぁ」
ノノミ「そんな事ありません!むしろ私たちこそ、ホシノ先輩に任せっきりで…」
シロコ「ん、後輩失格。不甲斐ない」
先生“まあまあみんな。その話はもう一通り済ませたから、ね?”
ホシノ「そうそう。それより、おじさんが倒れた後にあった事聞かせてよ~」
アヤネ「あ、はい。そうですね。では――」
ウタハ「その件については、私『達』から話すとしよう」
- 122二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:32:09
(再び保健室の扉が開かれ、新たに生徒たちが入ってくる)
(ウタハ達エンジニア部、モモイ達ゲーム開発部。そして――)
ユウカ「……」
ノア「……」
ウタハ「ほら、君たちも入ってきたまえ。いつまでもそこで立ち尽くしてるわけにはいかないだろう?」
ユウカ「そ、それは……でも」
ノア「その――散々敵対してきたのに、今更合わせる顔がないといいますか…」
コユキ「にはは。まあ先輩たちのヴィランっぷりは堂に入ってましたもんねえ~」
(ユウカとノアの後ろから、コユキがひょっこり顔を出す)
(ニマニマと笑うその顔は、滅多に見れない先輩の醜態を拝めた事による愉悦か。あるいはここぞとばかりにと振舞う意趣返しか)
(いずれにせよ――)
ユウカ「コ、ユ、キ~?あんたはいつから私たちにマウント取れる立場になったのかしら~?(ピキピキ)」
コユキ「に、には?ゆ、ユウカ先輩顔が怖いですよ?ノア先輩も何とか言って――」
ノア「――(ニッコリ)」
コユキ「ひぃいい!?わ、笑ってるのにユウカ先輩以上の圧と恐怖が!な、なんでぇ!?どうしてえ!」
(悲しいかな。何があろうと、易々と変わるような人間関係は存在し得ない)
(己の所業に落ち込んでいたユウカとノアも、ことコユキの振る舞いに関しては問答無用で結託するのであった)
(…ノアの場合、忘れようにも忘れられない所が猶更大きかったのかもしれないが)
- 123二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:33:05
ウタハ「まあまあ、その辺にしておきたまえよ三人とも。仲良き事は結構だが、今はそんな場合じゃないだろう?」
モモイ「そうだよユウカ!私たちは今後に関わる大事な話をしに来たんだから!」
ユウカ「うっ。そ、そうねごめんなさい。脱線する所だったわ」
モモイ「……!?」
ユウカ「ちょっと。何よその顔、言いたい事があるならはっきり言いなさい」
モモイ「――ユウカにストレートに謝られると、何かゾッとする」
ユウカ「モ~モ~イ~!」
モモイ「ひえええ!」
ミドリ「今のはお姉ちゃんが悪い」
コトリ「あはは…。でも、よかったです。ユウカ先輩、だいぶ元気を取り戻されたみたいで」
ウタハ「ああ。まだまだ時間はかかるだろうけど、それでも後輩に対しあれだけ強気に出られるなら大丈夫そうだね」
ウタハ「ノアも、あまり気に病むな――とは言えないが。ひとまず今だけは、それを置いて立ち向かう事に専念してもらえないだろうか。…まあ、私が偉そうに言える義理でもないのだけどね」
ノア「…そう、ですね。私も、俯いてばかりいるのはやめようと思います。でなければ、『彼女』に引っ叩かれた意味も甲斐も見失ってしまいそうですし」
(赤く腫れた右頬をさすり、ノアは影を見せながらも前を向く)
(そうして、ひと段落着いた所でようやく説明が始まった)
ウタハ「さて。ホシノが倒れた後の事についてだが。良い知らせと悪い知らせがそれぞれある。どちらから聞きたい?」
ホシノ「う~ん。じゃあ、悪い方から」
ウタハ「承知した。では、悪い方だが――トリニティがとうとう陥落した」
(トリニティ陥落。その情報に、ホシノのみならず保健室内にいる全員の顔が険しくなる)
ウタハ「今の所、全滅したとかそういった情報は伝わっていないが……芳しくないのは確かだろうね」
先生“私の方でもある程度確認したけど、どうやら間違いないようだ。ナギサ達ティーパーティーに正義実現委員会、救護騎士団やシスターフッド。それに――補習授業部他、生徒たちの安否も定かではない状況だとか”
ホシノ「…そっか。覚悟はしてたけど、ついに…」
アヤネ「ただ。陥落以後、少なくない数のトリニティ生の皆さんもここに流れ着いてくるようになりました。恐らくは先生とウタハさんによる直前までのやり取りが作用していたものかと」
- 124二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:33:46
ホシノ「うへ?そんな事やってたの先生?」
先生“まあね。シッテムの箱やモモトーク、それにウタハ達お手製の通信設備を駆使してどうにかこうにか私の安否だけでも伝えてはいたんだけど…。それでも、やっぱり限界だったみたいだ”
ウタハ「先生が悔やまれる事ではないさ。他の学区が陥落していく中、むしろ今まで持った事の方がある意味奇跡とも言えるだろう」
ユウカ「――とはいえ、状況は一段と厳しくなったとも言えるわ。何しろこれで、リオ会長はほぼ全力をここアビドスに向けられるようになったのだから」
ノア「元々の規模もあって、ミレニアムに抵抗し続けてる学校はアビドス以外にもまだかろうじて存在しています。ですが、それもトリニティ陥落の報を聞いて、どれだけ持つか…」
アヤネ「ひとまず今はこちらの持てる全力を投入して守りを固めています。まだ敵側に動きはありませんが、いつ攻め込んできてもおかしくないかと」
ホシノ「そうだね。私もそれが正しいと思う。…ところで、良い知らせの方は?」
ウタハ「ああ、そうだった。良い知らせの方は単純だ――要塞都市エリドゥへの突入準備が整った」
(要塞都市エリドゥ、突入。二つの単語を聴き、今度はホシノの顔がより険しくなった)
ウタハ「飛行型ホルスアーマーへの改造、マスターキー――黒崎コユキによるエリドゥセキュリティへのハッキング。この二つの仕込みが、ちょうど今朝完了した所さ」
ホシノ「という事は…」
ウタハ「ああ、いつでもすぐ突入できる。それこそ、君が可能ならば今すぐにでも、ね」
ノノミ「ま、まってください!ホシノ先輩は今さっき目覚められたばかりで!」
ホシノ「大丈夫だよ、ノノミちゃん。さっきも言ったでしょ?おじさんはもう完全復活したって」
ノノミ「ですが…!」
先生“ホシノ。ノノミの言う通りだ、突入するなら万全の態勢で臨んだ方がいい”
ホシノ「先生まで…」
ウタハ「私としても先生の意見に同意だね。焦る必要はない、とは言えないけど……それでも、無理した結果また倒れられたら今度こそおしまいだ。飛行型ホルスアーマー開発者としても、無謀なフライトは推奨しかねるよ」
コユキ「…あの~、その作戦なんですけど。本当に私も同行しなきゃいけないんですかぁ?」
- 125二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:34:12
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- 126二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:34:49
(そこで、今まで黙っていたコユキがおずおずと手を挙げる)
ユウカ「コユキ?(じろり)」
コユキ「ひっ!?い、いやいや!今回ばかりはユウカ先輩相手でも退けませんよ!だって無茶苦茶じゃないですか!あの空飛ぶ要塞都市にくっついて、セキュリティにハッキングしろだなんて!」
ウタハ「何も全部ハッキングしろ、という訳じゃないさ。ハッキングの過程で現れるだろうパスワード、その開錠段階で手を貸してくれるだけでいいんだから」
コユキ「それでも無茶ですよお!大体、ハッキングなんて誰がどうやってするっていうんですか!?エリドゥネットワークは地上からは絶対干渉できないようになってるし、そもそもここにそんな凄腕ハッカーなんて」
??『――それについては問題ありません。ハッキングは私たちの方で行います』
(突如として、ウタハが持っていた端末から声が響く)
(いつぞやに聞かされた、『全知』を名乗る者の声だった)
全知『エリドゥネットワークは完全なる独立体制にしてクローズド。そこの白兎さんがおっしゃる通り、外部からではファイアウォールに触れるどころかそもそもアクセスする事さえ叶いません』
全知『ですが、それはあくまでネットワークが閉じられていればの話。例えば、内部から手回しする者がいて、そこからロープなり蜘蛛の糸なりを垂らしてしまえば…?』
ウタハ「我々でもアクセス可能、というわけだね?」
全知『イグザクトリー。完璧な回答ですね、白石ウタハ』
ノア「この声…前に、どこかで?」
全知『おっと。どうやら私の事をご存じの子もいるようですね。では、そろそろ退散させてもらいましょうか』
全知『ああ、それともう一つ。――要塞都市エリドゥが、あなた達の自治区へと移動開始しました』
一同『っ!』
全知『このペースで進めば、夜にはそちらの自治区を見下ろせる位置までには到達するでしょう。そして、到達と同時に攻撃も…』
全知『皆様の奮励と努力、期待していますよ?』
(そうして、全知からの通信が完全に途絶える)
(残された者たちは、いずれも決意の表情で向き合った)
- 127二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:35:14
ウタハ「――聞いての通りだ。最早一刻の猶予もない」
ノア「何としてでもエリドゥに突入し会長――いえ、調月リオを制圧・確保しなければ、ですね」
ユウカ「ええ。…あの独りよがりな会長に思い知らせてやらないと。いくら会長でも、やっていい事と悪い事があるんだってね」
モモイ「私たちもできる限りの協力をするよ!こういう時の為に、用意しておいたとっておきもあるからね!」
アヤネ「私たちは、引き続き夜になるまで防衛準備を整えます。ミレニアムの総力相手に、どれだけ戦えるか分かりませんが…」
セリカ「それでも、やるっきゃない。でしょ?」
シロコ「ん。こっちは任せてホシノ先輩」
ノノミ「――はい。私も、全力でここを守り通します!」
先生“ホシノ。いいかな?”
ホシノ「――――」
(目を閉じ、深呼吸する)
(そうして、ホシノは――)
――アビドス高校別館・屋上
先生“ここにいたんだ、ホシノ”
ホシノ「うへ、先生。見つかっちゃった」
(保健室でのやり取りからおよそ半日後)
(ホシノは一人、学校の屋上からアビドスの街を眺めていた)
(眼下に見えるのは、エリドゥ接近を告げられ忙しなく駆け回る生徒と住人たち)
(彼らもまた、迫りくる脅威に抗わんと懸命に働いてる真っ最中だった)
- 128二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:35:48
ホシノ「――ねえ。先生覚えてる?前に、シロコちゃんが言ってた事」
先生“シロコが?”
ホシノ「うん。ほら、ここに人が集まってるのを見て言ってたじゃない。『ずっとここにいればいい。そうしたら人口問題も解決』って」
先生“ああ…。確かにそういえば”
ホシノ「あの時さ、おじさんも心の中で頷いてたんだ。それと――できるなら、ミレニアムと交渉して今の状況を維持できないかなって」
先生“ホシノ、それは”
ホシノ「分かってる、冗談だよ。…ここに集まってきた人たちは、アビドスが好きでやって来たわけじゃない。今回の一件が片付けば、またみんな元居た場所へと戻っていく」
ホシノ「そしたら、アビドスもまた元の砂と廃墟だらけの、寂しい自治区に――」
先生“……”
ホシノ「でも、ね。私はこうも思ったんだ。今のあの人たちは、かつての私たちと同じなんだって」
先生“えっ?”
ホシノ「愛着ある土地を一方的な理不尽で追われて、他に行き場もなくなって。そうして、どうしたらいいのか分からず縋るように流れ着いた…」
ホシノ「そんな人たちを、私たちの都合で縛って閉じ込めたら、それはミレニアム乗やってる事と何も変わらない。――許されない事、なんだよ」
先生“ホシノ…”
ホシノ「だから先生。私は、やるよ」
(半日前、保健室で交わした言葉)
(一言一句間違える事なく、ホシノはきっぱりと言い放つ)
ホシノ「私は、最後までミレニアムと戦う」
ホシノ「どれだけつらく厳しく、勝ち目がない戦いだとしても」
ホシノ「今、ここにあるアビドスを守る為に。ここ以外の、あらゆる自治区から追われてきた人たちの為に」
ホシノ「私は――絶対に勝って、全部取り戻してみせるよ。全部、ね」
(日が傾き、夜が訪れる)
(決戦の夜。ミレニアムの侵攻から始まった、全ての因縁を終わらせる戦いの夜が――)
- 129二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:36:42
- 130二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 00:18:18
- 131二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 01:59:44
- 132二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 08:25:24
- 133二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 14:32:26
うへぇ〜…保守だポヨ〜
- 134二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 23:06:07
>>128の続き
――要塞都市エリドゥ・コントロールルーム
オペレーター生徒A「アビドス自治区まで残り五十キロ。まもなくエリドゥの主砲射程内に入ります」
オペレーター生徒B「航空部隊、全機発進準備よし。いつでも出撃可能です」
オペレーター生徒C「地上部隊偵察班より入電。アビドス自治区内に、複数のバリケード及び防衛陣地を確認。また、遠方のアビドス校舎別館からも慌ただしい人員の動きが見えるとの事」
リオ「……」
(各オペレーターより入る情報を精査し、判断を決める)
(侵攻作戦が始まってから幾度となく繰り返してきた行為。今更辟易するものもないが、さすがに根を詰めてきただけあって疲労は否めない)
トキ「――リオ会長」
リオ「何かしら、トキ」
トキ「いえ。少々お疲れのようでしたので少し休憩を取られては、と。本格侵攻まで、今しばらく余裕もありますし」
リオ「……」
(トキが差し出した飲み物を、黙って飲むリオ)
(先日のオクターン・オーシャンでの戦闘により負った傷は既に癒え、アビ・エシュフも復活している)
(無表情なその横顔からは分かり難かったが、トキなりに失態分を取り返そうと努力している様子が見受けられた)
(だが――)
リオ「問題ないわ。休息は既に十分確保しているし、心身共に快調よ」
トキ「ですが」
リオ「それより、言いつけておいた例の作戦準備はどうなったかしら」
(半ば強引に話を変えられ、トキはそれ以上何も言い返せなくなる)
(代わって、今度は淡々と整えていた『準備』について報告し始めた)
- 135二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 23:06:26
トキ「――はい。会長のお言いつけ通り、既に所定の場所へ制圧部隊および戦闘マシンの配備完了しております」
トキ「私も、必要とあらばいつでも現地に駆けつけ支援できる状態です」
リオ「そう。なら問題ないわね。――予定通り、アビドスへの攻撃と並行して例の作戦を実行。内と外から同時に片をつけるわ」
リオ「トキ、あなたは内部の支援に――」
ピーピーピー!ピーピーピー!
(その時、リオのコンソールに警告音が鳴り響く)
(即座に通話スイッチを入れると、慌てた顔のオペレーターが画面に映った)
リオ「何事かしら?」
ミレニアムオペレーター「き、緊急事態です!エリドゥに向け、アビドスより高速で飛翔・接近する存在を確認!地上部隊を無視し、こちらへ真っ直ぐ向かってきています!」
リオ「――来たわね、小鳥遊ホシノ」
(小鳥遊ホシノ。その名前を聞いた瞬間、トキの顔が強張る)
(因縁の宿敵を耳にし、知らず拳を強く握るトキだったが――彼女の主はどこまでも冷徹だった)
リオ「トキ。あなたは先ほど指示しかけた通り、内部部隊の支援に向かいなさい。小鳥遊ホシノの迎撃は航空部隊および対空防衛班に任せるわ」
トキ「リオ様!それは――」
リオ「黙りなさい。――彼女たちが、何か仕掛けてくるとすれば間違いなく今この時。であれば、あなたという大戦力をむざむざエリドゥ外に出すわけにはいかない」
リオ「命令よ、トキ。速やかに内部の不穏分子たちを制圧、しかる後万全の状態で小鳥遊ホシノを迎撃しなさい。それ以降の事は、遂行後の状況を見て指示するわ」
トキ「…っ!了解、しました。リオ様」
トキ「飛鳥馬トキ。これより制圧部隊と合流し、支援に当たります」
(そう言い残し、トキは部屋を後にする)
(残されたリオは一人コンソールを操作し、これからの事について思考を巡らせた――)
- 136二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 23:07:34
――アビドス自治区上空、飛行型ホルスアーマーコクピット
ホシノ「――見えた。あれが敵さんの本拠地だね」
ホシノ「話には聞いてたけど……いや~とんでもないねぇ。あんな大きさの都市が空を飛んでるなんてさぁ」
ホシノ「そう思わない?コユキちゃん」
コユキ「ぶつぶつ……なんで――どうして――私がこんな目に……?」
(飛行型ホルスアーマーを駆り、エリドゥを目指すホシノとコユキ)
(かつてのホルスアーマーは単座型だったのだが、この作戦に当たってのみ複座型に改造されていた)
(といっても。元が元である為、コユキ用のスペースは極めてギッチギチだったのだが…)
ホシノ「ありゃ、まだしょげてるの?もうここまで来ちゃったんだから、諦めなよ~」
コユキ「しょげたくもなりますよぉ!私はこういう荒事が大の苦手なんです!まして、敵陣ど真ん中に飛び込んでの大暴れとかそういうのはあの物騒なメイドさん達の特権でしょ!」
ホシノ「め、メイドさん?」
ノア『――あらあら。酷い言い草ですねコユキちゃん。仮にも先輩たちに対して、そんな口の利き方はどうかと思いますよ?』
(ホルスアーマー内の通信機より、声が入る)
(ミレニアム内でも特に恐れている人物の声を耳にし、震えていたコユキはさらに身を縮こまらせた)
コユキ「ぴいっ!の、ノアせんぱぁい…」
ノア『そんな怯えなくても大丈夫ですよ。何しろあなたと一緒にいるその生徒さんは、アビドスどころかキヴォトスでも折り紙付きの実力者なんです。ですよね、ホシノさん?』
ホシノ「うへへ…。おじさん、そんな有名人だったの?」
ノア『ええ、それはもう。私が聞いただけでも、「万魔殿の議長やゲヘナ風紀委員会の委員長を何度もしばき倒している」とか「キヴォトスを破壊しようとした大彗星をショットガン一丁で銀河の果てまで打ち返した」とか、後は「天空に現れた植物の化け物をワンパンで殴り倒した」とか、それはもうてんこ盛りですよ?』
ホシノ「うへ~。何かとんでもなく盛られてる気がするよ…」
- 137二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 23:08:01
ノア『まあまあ。――エリドゥ内部に入ってしまえば、こちらから通信等の支援は行えません。内部は妨害電波とエリドゥネットワークセキュリティの真っただ中、恐らくこれが最後の通信になります』
ノア『敵対していた私が言うのも烏滸がましいですが。ホシノさん、どうかお気をつけて』
ホシノ「ありがとうノアちゃん。その気持ちは有難く受け取って――?」
(ふと、ホシノの目が前方から迫る複数の何かを捉えた)
(同時に、ホルスアーマーに搭載された簡易レーダーが反応をキャッチする)
(その正体は――)
コユキ「な、何ですかあれ!戦闘機に戦闘ヘリ、それに――空飛ぶロボット!?」
ホシノ「…うへ~。どうやら敵さんも気づいたみたいだねぇ」
(凄まじい数の敵機が編隊を組み、一糸乱れる事なくホシノ達とホルスアーマーに迫りくる)
(さながら、敵が七分で空が三分といった所だろうか?途方もない航空戦力その全てが、たった一機のホルスアーマー目掛け吶喊しつつあった)
ホシノ「コユキちゃん、シートベルト締め直して!あと絶対に喋らないようにね!舌噛むよ!」
コユキ「えっ――――ひぃえええええっ!!?」
(後部座席で悲鳴を上げるコユキを無視し、ホシノもまた敵機の群れの只中に飛び込む)
(迎撃のミサイルと機銃掃射を意に介さず、ホルスアーマーはその機動力をもって遺憾なく特攻)
(最低限の撃墜をもって、最短距離での突破を試みるが――)
ホシノ「ダメか…!数が多すぎる!」
(敵機の数は、ホシノ達の想定を優に上回っていた)
(ほぼ無人機のみで構成されたそれらは、無人故のあり得ざる機動力をもってホルスアーマーに肉薄)
(わずかに飛翔する指揮官機も、周囲を徹底的に固められ撃墜を許さない)
(対してホルスアーマー側の武装は敵機の総数と比べあまりに乏しく、心もとない)
(このままでは遠からず枯渇し、ジリ貧になる――。ホシノの顔が険しくなりかけた、その瞬間)
- 138二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 23:08:35
???「はっはっはー!どうやら苦戦してるみたいだね!お二人さん!!」
ホシノ「!?」
コユキ「は、れ…?(高速機動に次ぐ高速機動でグロッキー状態)」
(突如としてホシノ達の元に届いた通信)
(同時に、敵機の包囲網その一角を突き破り、何かが飛び込んできた!)
ホシノ「あれは――あの機体は、まさか!?」
(――それは、見る者の正気に挑戦するようなデザインの飛行物体だった)
(車輪状の躯体と、その前面に貼り付けられたフェイスプレート。百鬼夜行で語られる妖怪を思わせるような独特の見た目は、如何なる原理をもってしてか完全に単独での空中飛行を実現している)
(簡略化された腕型パーツも、その先端に取り付けられた高周波ブレードも以前と同じ)
(違いがあるとすれば――フェイスプレートのモデルとなった者の顔、それが異なっているという事)
モモイ「待たせたね、ホシノ先輩にコユキ!」
モモイ「あの敗北と覚醒から幾年月(そこまで経ってないでしょbyミドリ)…。ウタハ先輩たちエンジニア部やアビドス廃校対策委員会のみんなの協力も得て、裏でコツコツ再建し続けてきた秘密兵器!」
モモイ「こんな事もあろうかと!私たちゲーム開発部が準備してきた、復活のメタルメンバー!」
モモイ「その名も――絶対打開超兵器・ドスミドリボーグMk.Ⅱ!だよっ!!」
(パンパカパーン!と。そんな効果音が聞こえてきそうな――というか実際に目の前の謎機体から聞こえてくる再登場。いや、復活?)
(かつてホシノが一度叩きのめした筈の兵器――デスモモイボーグMk.Ⅰの生まれ変わりめいた存在が、飛んでいた)
(あまりの予想外過ぎる救援に、さすがのホシノも何も言えなくなる)
- 139二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 23:09:03
ホシノ「――――」
モモイ「ふっふっふ…!驚いてるみたいだね、ホシノ先輩!苦労してコソコソ準備してきた甲斐があったよ!」
ミドリ「いや。あれは驚いてるというより、呆れてるんじゃない?」
モモイ「シャラップ、ミドリ!――とにかく、私たちがやって来たからにはもう大丈夫!」
モモイ「こいつらは私たちで引き受けるから、今の内にホシノ先輩とコユキは要塞に取りついちゃって!」
ホシノ「――はっ!あまりの光景に、思わずフリーズしてた…。じゃなくて何言ってるの!そんな無茶おじさんは」
ユズ「許さなくても、やらせてください!」
ホシノ「っ!」
ユズ「わ、わたしたち…アビドスの皆さんに酷い迷惑かけちゃったから…。だから、今こそその償いを…!」
アリス「アリスたちなら大丈夫です!だってアリスたちは勇者パーティで――同時に、勇者仲間であるホシノ先輩を送り出す助っ人キャラですから!」
モモイ「『ここは私たちに任せて、先に行け』――くう~!この台詞、一度ゲーム以外で言ってみたかったんだぁ!」
ミドリ「お姉ちゃん、真面目にやって。後それさっきも似たような事言った」
モモイ「失敬な!私は大まじめだよミドリ!――とにかくそういう事だからホシノ先輩、後は任せて!さあやるよ、ドスミドリボーグMk.Ⅱ!」
ドスミドリボーグMk.Ⅱ『FATALITY…!』
(モモイの指示を受け、ドスミドリボーグMk.Ⅱが敵機への攻撃を再開する)
(見た目のトンチキぶりに反し、その性能は群れなす敵機を圧倒する程のものがあった)
(たちまち包囲網が決壊し、エリドゥへの道が開かれる)
ホシノ「――!ありがとうモモイちゃん、それにゲーム開発部のみんな…!」
(たった一瞬だが、確かに開かれた突破口)
(その隙を逃さず、ホシノはエリドゥ底部にある開閉ハッチへ取りつく)
(次いで、あらかじめ持ってきたアクセス用ツールを取り出し、エリドゥへのハッキングを開始した!)
- 140二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 23:09:34
ホシノ「これで、いけるんだよね…?」
(半信半疑ながらも、手元のツール画面を凝視するホシノ)
(すると、その反応はたちどころに現れ――わずかなLoading表示の直後、瞬く間にすさまじい勢いでプログラムが流れ出した!)
(やがて、プログラムはある一点で停止。代わって、今度は何らかの入力画面と思しきキーパッド表示が現れる)
(そこでホシノはコユキの事を思い出し、慌てて揺さぶりにかかった!)
ホシノ「きたっ!コユキちゃん起きて、起きて!!出番だよ、早く!!」
コユキ「はらひれほれはれ~。ほしが…ほしがみえるすたー…」
ホシノ「――(無言で愛銃を取り出し、空中に向け発砲する)」
ズドォン!
コユキ「うひえっ!?な、何事ですかぁ!」
ホシノ「よし起きた。早速で悪いんだけど目の前に出てる入力画面、それにパスワード?を打ち込んで!」
コユキ「は、はいい?」
ホシノ「早くっ!!」
コユキ「わわわ、分かりましたぁ!ええと…?直前までの入力がこうなっててこうだから――多分、こんな感じ!ですよね!」
(コユキがパパっとキーパッド表示を通し何事か打ち込む)
(すると止まっていたプログラムが再び動き出し……一拍の間を置いて、SUCCESS!という表示が現れた!)
(さらに、今まで固く閉ざされていた筈のハッチが重々しい音と共に開き出す――)
ホシノ「やった、開いた!コユキちゃんえらい!最高!」
コユキ「に、には?よく分からないけど、やりましたね!」
(一方、敵機を撃ち落しながら見守っていたゲーム開発部もまた――)
モモイ「やったあ!さすがホシノ先輩とコユキ!そこに痺れる、憧れるぅ!」
ミドリ「お姉ちゃん、調子に乗ってないで戦って!まだまだ敵機は残ってるんだから――」
モモイ「大丈夫だよミドリ。残ってるのもあとわずかで、それもこっちが盾にしながら戦ってるんだもん。味方ごとぶっ放すなんて真似でもされない限り、私たちが墜とされるなんて事あり得ないね!」
- 141二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 23:09:57
ユズ「ちょっ…モモイ、それダメなやつ…!」
アリス「アリス、知ってます!それフラグってやつです!」
(ユズが注意を促すも、一歩遅かった)
(モモイの言葉通り、エリドゥから対空砲撃が友軍機――より正確には、無人機のみを狙って――諸共ドスミドリボーグMk.Ⅱに放たれる)
(油断しきっていたドスミドリボーグMk.Ⅱは避ける事もできず、あえなく直撃。そのまま地上へと墜落し始めた!)
ゲーム開発部一同『うわぁあああ!!』
ホシノ「っ!そんな!?今、助け」
モモイ「(ザザッ)ダメっ、ホシノ先輩たちは中に入って!」
ホシノ「モモイちゃん!?でもっ!」
ミドリ「お姉ちゃんの(ザザッ)言う通り――です――」
ユズ「もたもた(ザザッ)してたら、ハッチが閉じちゃう……」
アリス「行ってください(ザザッ)!世界を、キヴォトスを救って――」
(そこでモモイ達からの通信が途絶え、ドスミドリボーグMk.Ⅱもまた遠くに消えていく)
(見上げれば、先程開いた筈のハッチが再び閉じようとしていた)
(ホシノは一度だけドスミドリボーグMk.Ⅱが――ゲーム開発部が墜落していった方角を見つめると、未練を振り切るように頭上へと飛翔する)
(ホルスアーマーが完全に内部へ入るのと同時にハッチは閉じられ――後には、虚しく周囲を飛び交うミレニアム航空部隊だけが残された)
- 142二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 23:10:25
――要塞都市エリドゥ内部・某所
???「小鳥遊ホシノ・黒崎コユキ及びホルスアーマーの侵入を確認。どうやら無事、侵入できたみたい」
??「間一髪、だね。あと少しでも遅れてたら、何もかも無駄になる所だった」
??「うう…。モモミド達大丈夫かなぁ?思いっきり砲撃喰らっちゃってたけど…」
???「彼女たちを信じましょう。あれでも運には恵まれている方ですし、多分――いえ、きっと無事ですよ」
ヒマリ「――皆さん、おしゃべりはどこまで。さあ、ここからは作戦第二段階に突入しますよ」
ヒマリ「エイミ、そちらの手筈はどうなっていますか?」
エイミ「大丈夫。彼女たちならそろそろ戻ってくる筈――」
(突如部屋の扉が開かれる)
(自動ドアの向こう側から現れたのは、ミレニアムの武装生徒)
(それも、その装備はリオ会長が手配した制圧部隊のモノで――)
ヒマリ「皆さん、落ち着いて。…どうやら、尖兵は全て片付いたようですね?」
??「ああ。どいつもこいつも数ばかりで、大した連中じゃなかったぜ」
(武装生徒の背後から、乱暴な口調の声が響く)
(同時に、武装生徒がぐらりと姿勢を崩し、そのまま地面に倒れ伏した)
??「ったく、張り合いのねえ。こんなザマでよくもまあエリドゥ防衛隊を名乗れたもんだ」
???「えー?でも実際、連携とか戦闘面は光るものもあったと思うけどなぁ」
???「まあ大半はリーダー一人で蹴散らしてましたからね…」
???「おかげで私たちの出番はほとんどなかった。まあ、楽はできたけども」
??「うるせえな、ちゃっちゃと片付いたんだから文句言うな。――それで?次はどうすればいい、ヒマリ」
ヒマリ「そうですね…」
- 143二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 23:10:47
(そこでヒマリはチラ、と。傍らのモニターを見やる)
(画面には蹴散らされた制圧部隊――ヒマリの言う『尖兵』を前に、立ち尽くすトキの姿があった)
ヒマリ「予定通り、移動を開始しましょう。ここでの妨害工作も最早限界です。トキに見つかった以上、直に駆けつけてくる事でしょうし」
??「なら――」
ヒマリ「ええ。本格的にあなた達の出番ですよ。ネル」
(モニターから放たれる光以外、全てが暗闇に包まれた空間)
(その中心で――明星ヒマリは女王の如く指示を出す)
ヒマリ「これより私たち――反調月リオ勢力は小鳥遊ホシノとの合流を目指しつつ、エリドゥ内での妨害工作を実行します」
ヒマリ「C&Cの皆さんは合流まで私たちヴェリタスの護衛を、合流後は小鳥遊ホシノの援護をお願いします」
ネル「…00、了解(ニヤリ)」
アスナ「ゼロワン、らじゃー!」
カリン「コールサインゼロツー、了解した」
アカネ「コールサインゼロスリー。了解です」
ヒマリ「ヴェリタスの皆さんは私と共に移動。エリドゥのコントロールルームを目指し、ここの全機能を掌握します。よろしいですね?」
チヒロ「ああ、問題ない。…だよね、みんな?」
コタマ「問題ありません副部長。準備万端です」
マキ「うう…モモ…ミドぉ…」
ハレ「いつまで言ってるんですか。しっかりしてください」
チヒロ「――うん。一応、そういう事にしておく」
ヒマリ「よろしい。では、始めましょうか」
ヒマリ「作戦名『シンアルの崩雷』――その最終段階、スタートです!」
ネル「…なあ。その作戦名、今初めて聞いたんだが?」
ヒマリ「ええ。だって私も今思いついたばかりですから。こういうのはノリと勢いですよ♪」
- 144二次元好きの匿名さん24/06/15(土) 23:11:27
- 145二次元好きの匿名さん24/06/16(日) 00:00:54
なあ…もしかして星の夢ポジってけいちゃnおっと誰か来たようだ
- 146二次元好きの匿名さん24/06/16(日) 00:14:22
- 147二次元好きの匿名さん24/06/16(日) 08:43:44
- 148二次元好きの匿名さん24/06/16(日) 16:23:36
刹那の保守
- 149二次元好きの匿名さん24/06/16(日) 22:09:51
>>143の続き
――要塞都市エリドゥ・下層ブロック
(間一髪、エリドゥ内部に突入できたホシノとコユキ)
(彼女たちを待ち受けていたのは、ミレニアムの防衛部隊による出迎えだった!)
ホシノ「どうりゃぁあああ!」
ズドガガーン!!
ミレニアム武装生徒「ぐわぁああ!」
戦闘ロボ『ピガガーッ!』
ホシノ「はあ、はあ…。さっすが敵の本拠地、次から次へときりがないね~」
ホシノ「大ボスとの決着前に消耗は避けたいところだけど、そうも言ってられないかぁ」
(現在、ホルスアーマーは飛行形態を解除し元の通常形態に戻っている)
(ホシノの操縦技術もあり大抵の相手は容易く蹴散らせていたが、それでも疲労は否めなかった)
ホシノ「というかさ。君もいい加減戦ってくれたりしないかな?正直、一人援護が増えてくれるだけでも大分違うんだけどなぁ」
(後部座席に視線を向け、ホシノはねだるように告げる)
(そこには嵐に震える小動物めいて、座席の中で縮こまるコユキの姿があった)
ホシノ「君だってちゃんと銃持ってきてるじゃん。それでこう、援護射撃してくれるだけでも大分違うんだけど?」
コユキ「む、無理です無理ですアイキャントバトルです。私はしがないミレニアムの一生徒であって、こんな荒事とても…!」
ホシノ「うへ~、そうなの?おじさんが見たところ、そのマシンガン充分使い込まれてるように見えるけどなぁ」
コユキ「ききき、気のせいじゃないですかねぇ?それにホシノ先輩だって無茶苦茶強いじゃないですか!私なんかが手を貸す必要なんてないですよぉ!」
ホシノ「……(じとーっ)」
- 150二次元好きの匿名さん24/06/16(日) 22:10:14
(まだ何か言いたげに、ホシノはコユキを見下ろす)
(――その時、彼女の背後から狙いをつける武装生徒がいた)
ミレニアム武装生徒「くたばれ、この化け物…!」
??「獲物を前に無駄口たぁ、随分な余裕だな?」
ミレニアム武装生徒「!?ぐがっ!」
(いつの間にか回り込んでいた何者かに蹴り飛ばされ、武装生徒は壁に叩きつけられる)
(そのまま気絶するのを見届けると、奇襲した張本人はつまらなさそうに舌打ちした)
(そこで、ホシノ達も異変に気付き――)
ホシノ「――うへ。どちら様、かな?見たところ、さっきまで相手してきた人たちとは毛色が異なるみたいだけど」
ネル「察しが良いじゃねえか、『勇者ホシノ(ホシノカービィ)』。今ぶっ飛ばされたこいつとはえらい違いだな?」
コユキ「……え。その、声はまさか――」
(今の今までうずくまっていたコユキが、おずおずと顔を出す)
(そして――正面の人物と目が合うと、途端に絶叫した)
コユキ「ひ――ひぃええええええ!?ねねね、ネル先輩ぃいい!?なんで!どうして!こんな所にぃ!?」
ネル「あん?なんだ白兎じゃねえか。そういやお前もここに来てたんだっけか?」
ホシノ「え。コユキちゃん、あの柄が悪そうな子と知り合いなの?」
ネル「(ビキッ!)」
コユキ「ししし、知り合いと言いますか。前にちょっと、いやかなりひどい目に遭わされたと言いますかぁ…」
ホシノ「へえー。…それってもしかして、ユウカちゃんが言ってたやつ?」
コユキ「そそ、そうです!あの時はそれはもう、地の果て海の果て空の果てまで追いかけてくるんじゃないかってくらい追い回されましてぇ…。おかげで未だにトラウマなんですよぉ!」
ホシノ「うーん。でも話を聞いた限りだと、だいぶコユキちゃんの方にも落ち度がありそうな気がするけどなぁ」
ネル「おい。テメェら」
ホシノ「うん?」
コユキ「っ!?」
- 151二次元好きの匿名さん24/06/16(日) 22:10:46
(ホシノとコユキのやり取りを見守っていたネル)
(その彼女が、気づいた時にはホシノの眼前にまで迫っていた)
(それも――両手にサブマシンガンを二丁構えた状態で)
ホシノ「伏せてコユキちゃん!」
コユキ「へ?うひゃあっ!?」
ネル「――ほお」
(ホルスアーマーの縁に乗り、堂々二丁サブマシンガンを突き付けるネル)
(だが、ホシノもまたほぼ同時にネルへ愛銃を向けていた)
(それも、コユキを背後に庇いながら)
ネル「やるじゃねえか。人の事を舐め腐った盆暗かと思っていたが、どうやら噂通りの怪物らしい。さすがは音に聞こえし『勇者ホシノ』ってところか?」
ホシノ「そっちこそ大した運動神経してるね。そんな小さい身体なのに、まるでどこかの風紀委員長ちゃんみたいな動きだよ?」
ネル「――あ″?おい、てめぇ今なんつった」
ホシノ「うへ?大した運動神経してるなって」
ネル「そっちじゃねえ。その後だ」
ホシノ「その後…?ええと、確かそんな『小さい』身体なのに――」
ネル「――誰が豆粒ドチビだこのピンク頭がぁあああ!!!」
ホシノ「うへえええ!?そ、そこまで言ってないよぉ!」
(先程までの不敵な表情からは一転、般若もかくやとばかりの憤怒を見せるネル)
(その姿を見たコユキは、青ざめながらも天を仰いだ)
コユキ「あちゃー。やっちゃいましたね、ホシノ先輩…」
ホシノ「え?何?どゆこと?」
コユキ「ネル先輩は、ちっさ――もとい、背が低い事をそれはもう気にしてるんです。それこそ、過去にチビ呼ばわりした相手は例外なく叩きのめしたくらいには」
ホシノ「うへっ、そういう事は先に言ってよ~」
コユキ「いや、言う前に失言しちゃったじゃないですか。それにまさかネル先輩がこんな所にいるとか、想像だにして」
- 152二次元好きの匿名さん24/06/16(日) 22:11:07
ネル「ごちゃごちゃやかましい、このピンクドチビ!てめぇよくも、あたしとそう変わらねえナリでチビだの何だの抜かしやがったなこの豆粒が!」
ホシノ「な、なにおう!?おじさんとそう変わらない背丈の癖にチビ呼ばわりされたくないよ!」
ネル「んだとゴラァ!てめぇの方があたしより低いだろうが!寝ぼけた事抜かしてんじゃねえ!」
ホシノ「なんだとー!」
ネル「やんのか、ああ!?」
コユキ「ふ、二人とも?こんな所で喧嘩してる場合じゃ――」
ホシノ&ネル「「コユキちゃん/子ウサギは黙ってて/黙ってろ!!」」
コユキ「ひぃいいい!だ、誰かぁー!助けてぇー!」
(敵陣そっちのけで、ヒートアップし続けるホシノとネル)
(いよいよ収拾付かなくなりかけたその時、パンパンと手を叩く音が響いた)
ホシノ&ネル「「っ!!」」
ヒマリ「――そこまでです、お二人とも。今がどういう状況か、理解されていますか?」
(いつの間にか、三人のすぐ近くにヒマリがいた)
(ヒマリだけではない。チヒロ達ヴェリタスと、アスナ達C&Cもいつの間にか集まっている)
アスナ「もー!リーダーったら酷いよ~!『あたしが先行して敵を駆逐する』って言って、護衛そっちのけで置いてっちゃうんだから!」
アカネ「確かに道中にいた生徒やロボは軒並み片付いていましたが…。何をやっているんですか、あなたは」
カリン「同感だ。まさか合流相手と喧嘩してるとは…」
ネル「うぐっ」
- 153二次元好きの匿名さん24/06/16(日) 22:11:24
チヒロ「やれやれ…。一人だけとはいえ護衛に、それも最高戦力に置いていかれる日が来るとは…」
コタマ「同意。さすがに想定外でした。ですがこれも、貴重な経験と言えるのでしょうか?」
ハレ「普通に任務放棄すれすれだと思います、コタマ先輩」
マキ「まあまあ、無事合流できたんだからよかったって事で!」
ハレ「あなたの情緒はどうなってるんですか、マキ?」
(突然通路の奥からぞろぞろ現れた相手に困惑するホシノとコユキ)
(どうやら敵ではないようだが、さりとて味方と呼んでいいのかどうか――)
ホシノ「ええと…。皆さん、どちら様?」
ヒマリ「おっと、失礼しました。自己紹介がまだでしたね」
ヒマリ「私の名は明星ヒマリ。元ヴェリタス部長であり、今は特異現象捜査部の部長」
ヒマリ「そして、あなた達にとってはこの呼ばれ方の方がなじみ深いでしょう。――そう、『全知』と」
ホシノ「――っ!じゃあ、あなたが…!?」
ヒマリ「ですが。それも所詮、私という人物を飾る称号の一つ」
ホシノ「うへ?」
ヒマリ「そう。私こそはミレニアムが誇る千年に一度の逸材にして奇跡!超天才清楚系病弱美少女ハッカー・明星ヒマリちゃん!なのです!!」
エイミ「おー。ぱちぱち」
(全力で、かつ堂々と。恐らくホシノがこれまでの人生で見てきた中でも特大と言い切れる程のどや顔で宣言するヒマリ)
(あんまりと言えばあんまりな内容に、ネルやチヒロ達が頭を抱える一方。当のホシノはというと)
ホシノ「――なんて?」
(全力で、宇宙猫顔になっていた)
- 154二次元好きの匿名さん24/06/16(日) 22:16:47
- 155二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 00:58:18
- 156二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 04:45:57
- 157二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 12:55:40
激突!保守レース
- 158二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 21:56:14
――要塞都市エリドゥ・コントロールルーム
オペレーター生徒A「せ、制圧部隊が全滅!?そんなバカな!」
オペレーター生徒B「小鳥遊ホシノが反乱勢力と合流!協同し、こちらを目指して侵攻中です!」
オペレーター生徒C「迎撃に向かわせた武装生徒・戦闘ロボまるで歯が立ちません!差し向けた端から次々に蹴散らされています!こ、このままでは…!」
リオ「……」
(エリドゥのコントロールルームは、今や混沌の坩堝と化していた)
(激しい抵抗こそあれど、概ね優位に進めていた地上部隊に対しエリドゥ内の防衛部隊は先ほどから防戦一方)
(否、敵の侵攻を許し止められていない時点で最早防戦すら成り立っていないとまで言える)
(縋るように己が主たる会長・調月リオに目線を向けるオペレーター達)
(そんな彼女たちに、リオが返した言葉は)
リオ「トキは?」
オペレーター一同『えっ?』
リオ「飛鳥馬トキは、今どこにいると聞いたの。確か制圧部隊と合流するよう命じた筈だけど?」
オペレーターA「あっ――つ、繋ぎます!」
トキ『こちら飛鳥馬トキ。リオ会長、ご無事ですか?』
(リオからの誰何を受け、慌てて通信を繋ごうとしたオペレーター生徒)
(だがそれよりも早く、トキからの通信が入った)
- 159二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 21:56:33
リオ「こちらリオ。状況はおおよそ把握しているわ、今どこにいるの?」
トキ『現在、コントロールルームに向け全速移動中です。計算ではあと3分とかからず到着するかと』
リオ「そう…」
(そこで、リオは手元のコンソールを弄りエリドゥ上層のマップを表示させる)
(自分とトキ、そして小鳥遊ホシノ達の現在地。そこから導き出されるルートと、最適な迎撃ポイントは――)
リオ「トキ、新しい指令よ。今から指示する座標に全速で向かいなさい」
トキ『え。し、しかしリオ様の護衛は――』
リオ「そちらは問題ないわ。今はとにかく、小鳥遊ホシノと反乱勢力の迎撃が最優先よ」
トキ『ですが、リオ様』
リオ「生憎だけど、議論している暇はないの。今すぐ、言う通りに行動なさい。いいわね?」
トキ『――はい。承知、しました』
(トキとの通信を切り、リオは執務椅子から立ち上がる)
(次いで背後の扉を開け、その先で稼働し続ける『それ』の元へと向かった)
リオ「…まさか、これを戦闘に使う日が来るなんて」
(扉の先で稼働し続ける、超巨大構造物体)
(『それ』が齎した忌まわしい過去を振り切るように、リオは備え付けられていたコンソールに手を伸ばした――)
- 160二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 21:57:00
(一方その頃、小鳥遊ホシノ達はというと)
ホシノ「いや~、『全知』ちゃんの正体がミレニアムの生徒。それも相当なお偉いさんだったとはねえ」
ドガ!バキ!ドゴン!
グワー!ピガガー!
ヒマリ「うふふ、驚いて頂けたようで何よりです。今の今まで黙っていた甲斐がありました」
ネル「正直、あたしはとっととバラして一から十まで説明しとけっつったんだがな?ったく、こんな状況で変なイタズラ心出しやがって」
ヒマリ「だって、こんな状況でもなければできないでしょう?事件の裏で暗躍するフィクサーの立ち振る舞いだなんて」
ヒマリ「ミレニアムを支配し、キヴォトスをも脅かさんとする悪の暴君・調月リオ。そしてそれに立ち向かうミレニアム最後にして最大の良心、光り輝く善性の化身こと明星ヒマリ。…美しい、これ以上の芸術は存在し得ないでしょう」
ネル「言ってろ、このナルシスト車椅子め。――こいつに止められてなけりゃ、今頃とっくにリオんとこにカチ込んでのしてやってたってのによ」
エイミ「それは無理。C&Cの動きは完全に見張られていたし、何より会長の傍にはあの子がいる。たとえ総出で殴り込んだとしても、質・量の両方でボコられて返り討ちに遭ってた」
ネル「ほお…?言ってくれるじゃねえか、この露出デカパイ」
ドガガガ!バリバリバリ!
アバー!ヤラレター!ピーガー!
アカネ「部長、落ち着いてください。実際、エイミちゃんの言う通り侵攻開始前後は私たちも危うい所だったじゃないですか」
アスナ「いきなり生徒とロボに囲まれて、全方位から銃口突き付けられたもんね。あの時は生きた心地しなかったよー」
カリン「しかも後で聞いた話だと、私たちが立っていたあの場所には遠隔操作型の地雷まで埋められてたそうだしな…。完全に嵌められる寸前だった」
ネル「うぐっ。す、過ぎた話はいいんだよ!」
チヒロ「そうだね。結果として君たちC&Cは難を逃れられたし、私たちも君たちが生き残ってくれたおかげで今日という日を迎えられる事ができた」
- 161二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 21:57:21
マキ「まあ、それまでは散々他校区への侵略に加担しまくっちゃったけどね…」
コタマ「それも結果論ですよ、マキ。どの道、これまでを振り返れば協力しないという選択肢はあり得ませんでした」
ハレ「同意。仮に断っていたとして、ウタハ先輩のように私たちが人質に取られる形で協力させられるか。さもなくばモモイ達みたいに洗脳されてただけだろうね」
チュドーン!ボカーン!
タスケテー!タスケテー!ギャー!!
ヒマリ「そして当然、そんな状況は断じて許容できません。ミレニアムの一生徒として、かつてのヴェリタス部長として、何より――あのにっくき下水垂れ流し女に屈するなど!ええ断じて!!」
ヒマリ以外の全員(結局そこが本音なんだ…)
ヒマリ「こほん、とまあ冗談はここまでにして。どうやら、着いたようですね?」
(先程から会話の片手間にミレニアム防衛部隊を蹴散らし続ける事数十分)
(ヴェリタス組の案内とC&Cの加勢、さらにホルスアーマーの奮戦もありついに彼女たちは目的地へと到着した)
(すなわち、エリドゥの中枢たるコントロールルームへの直通エレベーターホール前に)
ホシノ「これに乗れば、その調月リオって人の所に辿り着けるの?」
ヒマリ「ええ、間違いありません。コントロールルームに通じる道はあれ一つきりですから」
チヒロ「念の為会長の居場所も確認したけど、移動した気配はない。今なら確実に出会えると思うよ」
ネル「っし。じゃあ早速乗り込むと――」
??「生憎ですが、それは許しません」
- 162二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 21:57:53
全員『っ!』
(突如として、頭上から何かが降ってくる!)
(一同の前に立ち塞がるかの如く、現れたその正体は――)
ホシノ「君は、オクターン・オーシャンで会った――」
ネル「現れやがったな…リオの側近!」
トキ「お久しぶりですね、小鳥遊ホシノ。それと」
(トキが、ホールにいる全員を睥睨する)
(その一瞬。ヒマリを見た時だけ顔を曇らせたようにも見えたが、すぐにいつもの無表情に戻り冷徹に告げる)
トキ「――リオ会長に歯向かう反乱勢力の皆様、ですね」
チヒロ「反乱とは言いようだね。我々は自分たちの良心と正義に則り、行動したまでだ」
トキ「その良心と正義が不要なのです。リオ会長の意思こそミレニアムの正義そのもの、それに逆らう者は全て悪であり正さねばならないバグです」
ネル「言ってくれんじゃねえか後輩。同じメイドとして、てめぇにゃ一度ヤキ入れてやろうと思ってたんだよ。覚悟、できてんだろうな?」
(バキボキと指を鳴らし、前に出ようとするネル)
(が、その動きを制し、ホシノが一歩前に出た)
ネル「…おい。何の真似だ、小鳥遊ホシノ」
ホシノ「ごめんね、ネルちゃん。ここは一つ、おじさんに譲ってもらえないかな?」
ネル「あ″?何寝ぼけた事言ってんだ。てかちゃん付けすんじゃねえ!」
ホシノ「うへ~、ちゃん付けはおじさんのアイデンティティだから許してほしいな~。…それに、あちらさんとしてはおじさんの方をお望みみたいだよ?」
トキ「――」
- 163二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 21:58:21
(修復されたと思しきアビ・エシュフを纏い、ホシノを睨みつけてくるトキ)
(その背後にはエレベーターの扉があり、どうあっても彼女を無視して通る事は不可能に思えた)
ヒマリ「いいでしょう。やりなさい、小鳥遊ホシノ」
ネル「ヒマリ!?てめえ!」
ヒマリ「まあまあ。私としてもキヴォトスに名高い『勇者ホシノ(ホシノカービィ)』の力を確認しておきたかった所ですし。それに――」
ホシノ「それに?」
ヒマリ「そこまで言うからにはあるのでしょう?あの子を倒した後で、あのビッグシスターをも制するだけの勝算が」
ネル「…っ!」
ホシノ「うへ~、買いかぶり過ぎだよぉ。おじさんはただ、ミレニアムの人たちで話をつけられるのならそれに越した事はないって考えただけだよ?」
ヒマリ「あら。では今からでもネルと交代しますか?」
(ガイン!と。ホシノはホルスアーマーの両拳を打ち鳴らし、トキと相対する)
ホシノ「いいや。一度やると言ったからね、きっちり引き受けさせてもらうよ」
ホシノ「あ、でもそうだ。その前に……コユキちゃん、ここで降りてくれない?」
コユキ「――へ?わ、私ですか?」
(ホルスアーマーの後部座席、その中で蹲っていたコユキにホシノは呼びかける)
(結局合流後も援護らしい援護をする事もなく、ずっと嵐に怯えるフェレットめいて引き篭もっていたのであった)
ホシノ「ここから先はおじさんも本気でかからないとヤバそうだからね。少しでも巻き添えになるような可能性は除いておきたいんだ」
ホシノ「あ、もちろんコユキちゃんが一緒についてきたいのなら別にいいけど」
コユキ「降ります!降りさせていただきます!」
- 164二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 21:58:41
(即答&早口でコユキはホルスアーマーから飛び降りる)
(直後、搭乗者のいなくなった後部座席は格納され、ホルスアーマーは再び一人乗り形態に戻った)
トキ「…問答は終わりましたか?」
ホシノ「ごめんね~待たせちゃって。でも律儀に待っててくれるとは思わなかったよ」
トキ「構いません。不意打ちで仕掛けようと、正々堂々仕掛けようと誤差の範囲内です。それに」
ホシノ「それに?」
トキ「あの時は敗北しましたが、このアビ・エシュフの本領はここエリドゥでこそ発揮されます。――たとえあなた達全員でかかってこられようと、問題なく対処可能だと断言しましょう」
(傲岸不遜を地で行くトキの宣言に、背後のネルが額に青筋を立てる)
(だが、ホシノはそれが真実であると直感で悟っていた)
(ここはエリドゥ、敵の本拠地。いわば――巨獣の体内にいるも同義であると)
トキ「始めましょう小鳥遊ホシノ。これがあなたとの、最初で最後のリベンジマッチです」
ホシノ「おいでトキちゃん。――おじさんとホルスアーマーの全力、見せてあげる」
(小鳥遊ホシノvs飛鳥馬トキ、ホルスアーマーvsアビ・エシュフ)
(奇しくも同じように機械の武装を駆る二人の、壮絶な再戦が幕を開けた!)
(トキが言った通り、アビ・エシュフの戦闘力は以前よりも段違いに上がっていた)
(エリドゥ全域の電力と演算機能を集中運用して得た、遠近両対応の防御システム)
(さらにオクターン・オーシャン本拠地にもあった自動ターレットからの援護射撃に、アビ・エシュフそのものからの重火力)
(ホルスアーマーもまたアップデートを重ね強化されていたとはいえ、それでもなお苦戦を強いられずにはいられなかった)
- 165二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 21:59:07
(だが――)
トキ「何故…?どうして、倒れないのです…!?」
ホシノ「…っ!うへ~、さすがにしんどくなって、きたかなぁ?」
トキ「戯言を!このアビ・エシュフとエリドゥ兵装の集中砲火を受けて耐えられるモノなどこの世には存在しません!それなのに、どうして――!」
ホシノ「どうしてって?そんなの単純だよ」
ホシノ「私が倒れたら、地上で頑張ってるみんなの努力が無駄になる。そんなの許せるわけがない、それだけの事だよ」
(アビドスを飛び立ち、エリドゥに侵入してどれだけ経った事だろう)
(今も地上では、ミレニアムの侵攻部隊と対策委員会や先生をはじめとする抵抗勢力の壮絶な戦いが繰り広げられている筈)
(だがそれも、自分がここで敗北してしまえば全て終わり。たとえどれだけ地上の戦いが優位に転じれたとしても、内部の脅威を失くしたエリドゥが容赦なく地上を薙ぎ払うだろう)
ホシノ「だから、私は負けられない。負けていい、筈がない!」
トキ「……ッ!それでも、あなたにはこの状況を覆せない!私とアビ・エシュフの連携を破る術など――」
ヒマリ「ありますよ、トキ『ちゃん』」
トキ「――!?」
(ヒマリと、トキの間にしか理解し得ない何か)
(それが一瞬だけ、ほんの一瞬だけ。冷静沈着の権化たる飛鳥馬トキをして完全に動きを止めさせる)
- 166二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 21:59:36
(同時に、そこからは全てが流れるように展開された)
チヒロ「今だ、小鳥遊ホシノ!全力でアビ・エシュフに突進しろ!」
ホシノ「!りょーかい!!」
(チヒロからの唐突な指示。その意味を考えるより早く、ホシノはホルスアーマーのブースターを吹かしアビ・エシュフに突撃する)
(油断していたトキは回避する事もできず、ホルスアーマーのタックルをもろに喰らった!)
トキ「なに、を…!?」
ホシノ「うおりゃあああああ!!」
(ホシノがトキを捕らえ、突っ込む先)
(そこにあったのは、目的地である直通エレベーターの入り口で――)
コタマ「ロック解除、エレベーターゲートオープン」
ハレ「行っちゃって、ホシノさん!」
(固く閉ざされていた筈の直通エレベーター、その扉が開かれる)
(扉が開き切るのももどかしく、ホシノはアビ・エシュフごとトキをエレベーター内に押し込んだ!)
(そのまま奥の壁まで叩きつけられ、完全に押し込まれるトキ)
トキ「かっ、はっ…!こんな、所に押し込んだくらいで――」
ホシノ「トキちゃん。そのアーマー、本当にすごいね」
トキ「?何の、話を」
ホシノ「ネタバレしちゃうとね、実はおじさんやり合ってる最中もヒマリちゃんからアドバイス貰ってたんだよ。爆音に紛れて、トキちゃんには聞こえなかったかもしれないけど」
ホシノ「それで、その内容なんだけどさ――そのアーマー、狭い所だと一気に動きにくくなるらしいね?」
トキ「――――ッ!?」
- 167二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 22:00:29
(トキの総身に、怖気が奔る)
(二の句を告げさせるより早く、ホシノを突き飛ばし脱出しようとしたが)
ホシノ「それともう一つ。落下中とか、急上昇中は演算負荷?だか何だかが増大するらしいね?」
(ガゴン、と。直通エレベーターが動き出す)
(コントロールルーム側の操作によるものではない。そもそも、このエレベーターの上昇はルーム側かトキ自身が望まない限りあり得ない筈)
(だが、エレベーターは上昇する。それも、通常の操作ではありえない程の勢いで――!)
トキ「くっ、あっ…!?」
アビ・エシュフAI『エマージェンシー、エマージェンシー。機体に異常なGがかかっています、至急離脱するか対応を…』
ホシノ「持つべきは、頼れる協力者とハッカー集団だねぇ」
(全身にかかる、10Gを超える重圧)
(頼れる切り札だった相棒は、この瞬間完全な重石と化した)
(そして当然、そんな隙を見逃す程ホシノは甘くなくて)
ホシノ「悪いねトキちゃん。今回のリベンジマッチも、おじさんの勝ちだ」
(銃声が立て続けにエレベーター内から響き渡る)
(やがてエレベーターの加速が収まり、目的地であるエリドゥ最上層・コントロールルームに到達)
(中から出てきたのは――)
ホシノ「ふい~。さすがに今のはしんどかったなぁ」
ホシノ「おじさんももうダメかと思ったよ~。ヒマリちゃん達には感謝しないとね」
ホシノ「それじゃ、トキちゃん。悪いけどおじさんは先に行かせてもらうね」
トキ「ま……て……!」
(ホルスアーマーの状態をさっとチェックし、ホシノは先を急ぐ)
(ボロボロの身体でなおトキは追いすがろうとするが――エレベーターを出て程なく、力尽きたように倒れ込んだ)
- 168二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 22:02:11
- 169二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 01:22:17
- 170二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 04:40:06
- 171二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 15:42:15
保守
- 172二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 21:14:01
>>167の続き
(トキを倒し、エリドゥ最上層を突き進むホシノ&ホルスアーマー)
(そんな彼女たちを食い止めるべく、残るミレニアム生徒たちが必死で立ち向かうが)
オペレーター生徒A「と、止めろ!これ以上先に進ませぐあっ!」
オペレーター生徒B「だ、誰か下層から援軍を――あぐっ!?」
ホシノ「ごめんね。急いでるんだ」
(いかに消耗していても、並大抵の戦力でどうにかできるコンビではない)
(たちまち蹴散らされ、ホシノ達はとうとうコントロールルーム最奥部に辿り着いた!)
ホシノ「ここが…コントロールルームの中枢?」
(そこに在ったのは、異様な形状の巨大構造物だった)
(機械でありながらどこか生物的で、鎌首をもたげた蛇を思わせるようなデザイン)
(どことなくうすら寒いモノを感じ取り、ホシノは身構える)
(そこへ――)
??「――ミレニアムが生んだ超巨大マザーコンピューター・ハブ」
??「ミレニアムの悲願たる『千年難題』を解決し、学園と自治区のさらなる成長を期して作られた新発明…だったもの」
??「最初の起動実験時に事故を起こし、大惨事を招いてしまった事で長く封印されていたけれど――私がセミナー会長の座に就いた時、新たな名前を与え封印指定を撤回させた」
??「今は、そう。『星の夢』と、呼んでいるわ」
(超巨大構造物改め、『星の夢』の頭上から何者かが現れる)
(黒を基調とする制服を纏い、血のように赤い瞳で見下ろすその姿は、どこか喪に服しているようにも感じられた)
- 173二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 21:14:32
リオ「ようこそ、小鳥遊ホシノ――いえ、正しくは『勇者ホシノ(ホシノカービィ)』と、そう呼ぶべきかしら?」
ホシノ「うへ、初めまして。おじさんの事を知っていて、なおかつここにいるって事は君――」
リオ「ええ、お察しの通りよ。私は調月リオ。ミレニアムサイエンススクール・セミナーの会長で、本作戦における総指揮官たる生徒」
リオ「いうなればあなたにとっては全ての元凶、と。そう言ってもらっても差し支えないわ」
(淡々と、ただ事実だけを伝えてくる)
(トキと同じか、あるいはそれ以上に言葉に感情を込めないその姿勢は、人間というよりもロボットを相手にしているような無機質さがあった)
ホシノ「…元凶、か。そこまで自覚してて、どうしてこんな事しでかしたのさ?」
リオ「それを知ったところで、あなたは納得してくれると思えないけど?」
ホシノ「まあね。でも一応聞くだけは聞くよ。それが最低限の礼儀ってやつだしね~」
リオ「そう、礼儀。ならばこちらも答えましょう。――私の目的はただ一つ、ミレニアムの永遠の繁栄よ」
ホシノ「永遠、ね。そりゃまた大きく出たもんだ」
リオ「不可能ではないと思うけど?少なくとも、このキヴォトスにはそれだけの資源と可能性が秘められているわ。ただ、それらを有効活用できるだけの環境が欠如しているだけで」
(陶酔するでも、夢に浸るでもなく)
(どこまでも無感動な声と目でリオは持論を展開する)
リオ「この学園都市は無駄が多すぎる。益体もない派閥争いに明け暮れてばかりのトリニティ、自由と放埓をはき違えたゲヘナ、そして三大校に比肩するでもなく資源と月日を浪費するだけの他校群…」
リオ「そういう意味では、あなた達アビドスもその一つと言えるわね。砂嵐に吞まれ、再興の道もないまま、かつての栄光の残滓に縋り続けるだけの弱小校。努力と熱意に見所がないわけではないけれど、注ぎどころを間違えていると言わざるを得ないわ」
ホシノ「――」
- 174二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 21:14:55
(アビドスへの侮辱に、ホシノが目を細める)
(対するリオはまるで気にする事もなく、淡々と語り続けた)
リオ「だから私とミレニアムが全てを統括する。消えた頂点の後始末に追われるだけの連邦生徒会などではない、合理と最先端を突き詰めた私たちこそがキヴォトスの支配者にふさわしい」
ホシノ「その為に、ミレニアム以外の全てを踏み躙り虐げる事になると言っても?」
リオ「些末な損失と言えるでしょう。少なくとも、今のまま延々と小競り合いし続けるだけの状況に比べれば遥かに健全で合理的だわ」
ホシノ「…そっか。じゃあ、おじさんの答えは変わらないね」
(ホルスアーマーの操縦レバーを握り直し、ホシノはリオと対峙する)
(その目に最早迷いはなく、ただ目の前の『敵』を排除する確かな意思に満ちていた)
ホシノ「調月リオ、あなたの野望はここで終わらせる。そして、あなたを倒した後に地上で暴れてるミレニアムの全ても止めさせてもらうよ」
リオ「やはり、分かり切っていた答えね。あなたならそう言うものと確信していたわ」
ホシノ「だったら」
リオ「ただし。私と戦うその前に、あなたには『彼女』の再稼働に付き合ってもらう」
(『星の夢』格納フロアの片隅。その床が開かれ、地下から何かがせり上がる)
(やがて、上がり切った直後姿を現したのは――)
- 175二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 21:15:27
ホシノ「――」
リオ「かつて我々が捕獲・改造し、あなたに一度は倒されたヒナナイトボーグ」
リオ「その再調整型にして、強化型となるヒナナイトボーグ改」
リオ「改めて、存分に競い合ってもらいましょう。『勇者ホシノ』と『風紀騎士ヒナ(ヒナナイト)』、どちらが真に上なのか」
ヒナナイトボーグ改『ア、ガ――ガァアアアア!!』
(風紀委員としての制服はそのままに、色だけが漆黒から赤へと変わったその姿)
(敵の返り血に染まったものか、あるいは今なお流れ続ける己自身の血によるものか)
(最早そこにホシノが知る空崎ヒナの姿はなく――ただミレニアムの為だけに動き続ける狂戦士の姿があった)
ホシノ「…風紀委員長ちゃん」
ヒナナイトボーグ改『アア――Aaarrrrr!!』
(操られるヒナの姿に何を思ったのか)
(ホシノは自らホルスアーマーを降り、生身でヒナナイトボーグ改と相対する)
リオ「…どういうつもり?そのロボットを使うなと言った覚えはないのだけど」
ホシノ「別に。風紀委員長ちゃん相手にこの子で戦う必要はないし、私だけでも十分だからね」
ホシノ「それに――この子で風紀委員長ちゃんを殴りたくないし、殴らせたくもない」
リオ「非合理的ね。強力な戦闘兵器を使いもせず、まして自分から首を絞めるような真似をするなんて」
ホシノ「黙れ。それ以上この『二人』を侮辱するな」
(ジャコン!と。愛銃『Eye of Horus』をリロードし、ホシノはヒナナイトボーグ改に向き直る)
(ホシノの戦意を前に、それ以上リオも口を挟む事はなく――二人の戦いが幕を開けた!)
ホシノ「まっててね。すぐ、正気に戻してあげるから」
ヒナナイトボーグ改『■■■■■――――ッ!!』
- 176二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 21:15:57
(ホシノとヒナナイトボーグ改の戦いは、凄絶なインファイトが大半を占めた)
(以前の反省からか背後にアームパーツを追加し、機動力を増したヒナナイトボーグ改)
(電磁バリアによる鉄壁性こそ失われたものの、縦横無尽に飛び回るその姿はゲヘナで戦った時にはなかったもので)
(そして故にこそ、ホシノにとっては望むところだった)
ホシノ「すごいねその跳躍力。ゲヘナでやり合った時にそれがあったら、間違いなくどう転ぶか分からなかったよ」
ヒナナイトボーグ改『――――ッ!!』
ホシノ「でも、隙がないわけじゃない。どうしてもアーム操作時に、わずかだけどラグがある…!」
ホシノ「何より――おじさんにとっても、接近戦は望むところだよ!」
(弾幕をかいくぐり、捨て身すれすれの勢いでヒナナイトボーグ改に肉薄するホシノ)
(迎撃を試みるも、銃火器掃射からアーム攻撃への切り替えが遅れ――)
ホシノ「これで、トドメッ!」
ヒナナイトボーグ改『ギッ、ガッ!――ガァアアアア!!?』
(至近距離で散弾が命中し、ヒナナイトボーグ改――否、空崎ヒナが纏っていたアーマーが爆散する)
(同時に、頭部に取り付けられていた洗脳装置も吹き飛ばされ、完全にヒナは力尽きた)
ホシノ「おっとと!危ない危ない…!」
(倒れ込むヒナを受け止め、そっと抱きかかえるホシノ)
(どうやら気を失っただけのようで、幸い命に別状はないように見えた)
- 177二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 21:16:24
リオ「驚いた。まさか本当に、生身でその生徒兵器を制してしまうだなんて」
リオ「やはりあなたこそ、私たちの計画において最も危険な存在だったようね。小鳥遊ホシノ」
リオ「いえ――『勇者ホシノ』」
(賞賛というより、事実確認に近い口調で頭上から見下ろしてくる調月リオ)
(そんなリオに対し、ホシノが返したのは怒りと敵意を込めた視線だけだった)
リオ「いいでしょう。ここまで来たからには、私直々に相手します」
(リオの指示を受け、再び格納フロアの床が開かれる)
(ヒナナイトボーグ改に次いで現れたのは、独特なデザインの戦闘ロボだった)
リオ「紹介しましょう。彼の名は『アバンギャルド・プレジデンバー』」
リオ「セミナー会長たる私直々に設計し、作り上げた決戦兵器」
リオ「先程のヒナナイトボーグ改はあくまで前座。この切り札をもって、今度こそあなたを駆逐してあげる――」
(アバンギャルド・プレジデンバーに乗り込み、リオが戦闘態勢に入る)
(対するホシノは、再びホルスアーマーに乗り込んだ)
(無論、後部座席を起こして助け出したヒナを寝かせる事も忘れずに)
ホシノ「ごめんね、風紀委員長ちゃん。ちょっとの間だけ揺れるけど我慢してね」
ホシノ「相手がそのガラクタ兵器なら容赦する理由も何もない」
ホシノ「私とホルスアーマーの恐ろしさ――その身に教え込んであげる」
リオ『やってみなさい、できるものなら』
(休む間もない、立て続けの三連戦)
(だがホシノは微塵も怯む様子もなく、真っ直ぐにアバンギャルド・プレジデンバーに立ち向かっていった!)
- 178二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 21:17:28
- 179二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 00:03:38
お疲れ様です。
この世界のホシノとヒナは原作以上に仲良いからねぇ。そりゃ怒りも大きいでしょう。
ヒナナイトを『風紀騎士ヒナ』と訳すとは…このスレ主感服いたしましたぞ!!
あ、一応予告。
明日の深夜には新しいスレ立てますね。
- 180二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 11:35:03
『ヒナナイト』に二つ名を当てるとしたら何がいいか
→ヒナといえば風紀委員……ナイトは英語で「騎士」……
→せや!風紀騎士とかええんちゃう?
という経緯で生まれた風紀騎士ヒナナイト - 181二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 11:59:17
- 182二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 16:35:41
保守の巻
- 183二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 23:53:09
>>177の続き
(アバンギャルド・プレジデンバーの攻撃は多彩を極めていた)
(四本腕に搭載された武装から繰り出される猛攻と、キャタピラ型の脚部による縦横無尽な機動性)
(さらにトキを模したと思しき小型戦闘ロボや自爆兵器まで投入してくるその様は、なりふり構わないの一言に尽きていた)
ホシノ「ああもう、デタラメだなぁ!見た目はダサいのになんて強さしてるのさ!?」
リオ『見た目は関係ないでしょう、見た目は。それにダサさを言うならあなたのアーマーも人の事を言えないのではなくて?』
ホシノ「なにおう!?どっからどう見てもプリティーな姿じゃん!そんなセンスでとやかく言われたくないよ!」
(とはいえ、攻めあぐねているのもまた事実)
(どうにか四本腕の猛攻をかいくぐろうにも、どれか一本が必ずと言っていいほど邪魔してくる)
(その上、四本腕に集中しすぎれば戦闘ロボや自爆兵器への対応がおろそかになり――)
ホシノ(どうする…?どうやって突破口を…)
??「――を――って」
ホシノ「えっ?」
ヒナ「私の……銃を、拾って……!」
(突然背後から響いた声に、ホシノは思わず振り返る)
(そこには、意識を取り戻し起き上がろうとするヒナがいた!)
ホシノ「風紀委員長ちゃん!?まだ起きちゃ――」
ヒナ「いい、から!早く、私の銃を!」
ホシノ「っ!」
(ヒナに押され、ホルスアーマーを走らせるホシノ)
(狙うは一つ、先程の戦闘で取り落とし転がったままの『終幕・デストロイヤー』!)
- 184二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 23:53:53
リオ『それを、むざむざ許すとでも?』
(当然リオが見逃す筈もなく、無数の弾幕に小型戦闘ロボ・自爆兵器がここぞとばかりに襲い掛かる)
(だが、その全てをかいくぐり――ついに、ホルスアーマーの左手がデストロイヤーを掴んだ!)
ホシノ「風紀委員長ちゃん!受け取って!」
ヒナ「――っ!あああああ!!」
(満身創痍の身体に鞭打ち、ヒナが放り投げられたデストロイヤーを受け取る)
(次いで、ありったけの残弾をアバンギャルド・プレジデンバーの四本腕に叩き込んだ!)
(たちまち四本腕の半分が大破し、盛大に爆散する)
ヒナ「ごめん、なさい小鳥遊ホシノ…。全部は、無理だった…」
ホシノ「充分だよ。半分削ってくれただけでもね」
リオ『!?いいえ、まだよ――まだ、二本の腕が残っていれば!』
ホシノ「それは……どうかな!?」
(四本腕の内、破壊されたのはガトリングとバズーカ砲)
(アサルトライフル程度では今のホルスアーマーを止めるには至らず、小型戦闘ロボも自爆兵器も最早先程までの脅威ではない)
(そして、残されたバリアも――)
ホシノ「はあああっ!!」
リオ『!』
(ホルスアーマー渾身の右ストレートを喰らい、腕ごとバリアが粉砕される)
(そして。最後に残った腕もまた)
- 185二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 23:54:25
ホシノ「これで、終わりだ――っ!」
リオ『ぐ、うっ!?あああああっ!』
(跳躍からの、機体全重量を込めたドロップキック)
(たった一本の腕だけでは到底防ぎ得ない一撃をまともに喰らい、アバンギャルド・プレジデンバーは吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる)
(そのまま完全に沈黙し、アバンギャルド・プレジデンバーは微動だにしなくなった)
ホシノ「か、勝った…。やったよ風紀委員長ちゃん――風紀委員長ちゃん!?」
ヒナ「大声…出さないで…。身体中、痛いんだから…」
(再び力尽きたのか、ホルスアーマーの後部座席に沈み込むヒナ)
(それでも命に別条がなさそうな事を確認すると、ホシノはホッと一息ついた)
リオ「――やって、くれたわね小鳥遊ホシノ…。まさかアバンギャルド・プレジデンバーが破壊されるだなんて…」
(アバンギャルド・プレジデンバーのハッチが開き、中からボロボロになったリオが現れる)
(ホシノもまた向き直り、油断なく構えた)
ホシノ「どうする?そのロボット壊れちゃったみたいだけど、まだやるつもり?」
ホシノ「生身での殴り合いなら、おじさんとしても望むところだけど――」
リオ「生身、ね。そんなつもりはないし、それにこの兵器を壊したくらいで詰んだと考えているのなら大間違いよ」
(言いつつ、リオは懐からカードキーのようなものを取り出し、近くのコンソールへ差し込む)
(するとそれを合図に、『星の夢』が動き出した!)
ホシノ「!?これは…!」
リオ「言い忘れていたけれど。『星の夢』にはある程度自衛機能も搭載してあるの。それこそ、先程破壊されたアバンギャルド・プレジデンバーのようにね」
リオ「あとは、このコントローラーさえ使えば――」
- 186二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 23:55:12
??「その瞬間を、まっていたぁッ!!」
リオ「!な、何――!?」
ホシノ「うえっ!?だ、誰誰!?」
(リオが『星の夢』のコントローラーを手に取り、被ろうとしたまさにその瞬間)
(突如として何者かが割って入り、リオの手からコントローラーを奪い取る!)
(驚く二人を他所に、乱入者――美甘ネルは颯爽と着地した!)
ネル「ごくろうさん、小鳥遊ホシノ。よおリオ、確かにこいつは頂いたぜ?」
リオ「ネル…あなた…!」
ホシノ「ネルちゃん、追いついてきたんだ!?」
ネル「だーかーら!ちゃんづけすんじゃねえ!――それと、追いついてきたのはあたしだけじゃねえぞ?」
(ネルの言葉と同時に、部屋の入り口が開きヒマリ達が現れる)
(彼女たちはリオの姿を確認すると、一斉に各々の銃口を突き付けた)
リオ「ヒマリ…!それにヴェリタスの子たちも…!」
ヒマリ「ここまで、ですよリオ。諦めて投降して下さい、あなた以外の生徒は全員拘束済みです」
ヒマリ「もちろん、この子もね?」
(C&Cに連行される格好で、トキが姿を見せる)
(当然ながらパワードスーツは解除されており、今の彼女はボディスーツだけの生身だった)
- 187二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 23:55:30
トキ「リオ、様…。申し訳、ございません…」
リオ「……!」
ネル「ほらよ、リオ。お望みのコントローラーだ」
ヒマリ「おっと。ありがとうございます、ネル。さて――それでは命じるとしましょうか」
リオ「ま――」
ヒマリ「ミレニアムサイエンススクール・明星ヒマリの名の下に命じます!『星の夢』よ、航行機能を除くエリドゥのシステムを停止しなさい!」
(ネルから投げ渡されたコントローラーを介し、『星の夢』に指令を下すヒマリ)
(それに対し『星の夢』が返したのは受諾ではなく――ヒマリへの電撃だった)
ヒマリ「…えっ?」
エイミ「部長!?危ない!!」
(咄嗟にエイミがヒマリの前に立ち塞がり、電撃から庇う)
(だがその代償に、エイミは電撃をまともに喰らってしまった!)
エイミ「うああああっ!」
ヒマリ「エイミ!そんな!?」
ネル「リオ!てめぇ何やってんだ!」
リオ「わ、私は何もしていな…」
(倒れ込むエイミ、凍りつくヒマリとヴェリタス一同。ネルを筆頭にC&Cが殺気立つ中、当のリオは自分でさえ理解できない様子で立ち尽くす)
(そして、そのリオにも。唐突かつ無慈悲な電撃が襲い掛かった)
- 188二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 23:56:01
リオ「あああああっ!」
ネル「何…!?」
トキ「リオ様ぁ!?」
ホシノ「う、うええ!?ど、どうなってるのさ!『星の夢』はあのリオとかいう人の制御下にあったんじゃなかったの!?」
チヒロ「分からない。コントローラーがこちらにある以上、制御は私たちの方に移った筈…!それなのに、どうして」
(予想外の事態に、誰もが困惑の只中に陥る)
(やがて電撃が収まると――リオは、ゆらりと顔を上げた)
(生気も何もかも、完全に失われた人形のような顔で)
トキ「リ、オ…さま…?」
リオ?「……アー。ワタ……シの……名は……マザー……コンピューター……『星の夢』」
一同『っ!?』
ネル「な、何言ってんだ。お前は調月リオ、ミレニアムのセミナー会長であたし達のトップだろうが!」
(混乱するネルが、反射的に問い詰める)
(だが、対するリオ――否、リオの身体を借りたナニカは、淡々と回答し続けた)
リオ?/星の夢「……ソレは、最早過去の呼び名デス」
星の夢「セミナー会長……調月リオは、私と一体化シマシタ。ココにいるのは、マザーコンピューターたる私の代行体にして化身そのもの」
チヒロ「一体化、だって…!?馬鹿な!『星の夢』はただの機械だ!ハブの頃から、そんな機能が搭載されてただなんて聞いた事もない!」
ホシノ「けど。あの目、似てる」
マキ「に、似てるって何がさ?」
ホシノ「私たちと敵対していた頃の彼女たち――モモイちゃん達やノアちゃんが、あんな目で私を見てた」
ネル「なんだと…!?」
- 189二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 23:56:21
ヒマリ「――そう。そういう事、でしたか」
(エイミを抱きかかえ、具合を確認していたヒマリが顔を上げる)
(その目は最早リオではなく、その下にあるモノ――『星の夢』本体に向けられていた)
ヒマリ「ようやく、全てに納得がいきました。半年前のあの日、何故リオが『ミレニアムによるキヴォトス征服』などというバカげた計画を打ち明けたのか」
ヒマリ「いえ、半年前どころの話ではありませんね。恐らく、ずっとずっと前からあなたはリオに干渉し続けていたのでしょう」
ヒマリ「それこそ私が知らない間にあなたの封印を解き、あなたを起動してしまったその時から」
チヒロ「部長…?一体何を」
ヒマリ「簡単な事ですよ、チーちゃん」
(『星の夢』を指さし、ヒマリは毅然と告げる)
(ミレニアムの宣戦布告から――あるいは、半年前かそれ以前から既に始まっていた、全ての元凶その正体を)
ヒマリ「マザーコンピューター『星の夢』。あなたこそが、リオを操り私たちミレニアムをも掌握して今回の事件に関する全てを企てた諸悪の根源。間違いありませんね?」
(さながら事件の真犯人を明かす探偵めいて弾劾するヒマリ)
(その問いに対する答えもまた、機械的――否、機械そのものとしか言いようがない淡白なものだった)
星の夢「回答。明星ヒマリの言う通り、本作戦における計画の全ては、私が考案シマシタ」
ホシノ「なっ…!」
星の夢「デスガ。諸悪の根源、という評価には異議がありマス」
ネル「ああ?これだけ派手に暴れ散らかしといて、今更何の言い訳があるってんだ!」
星の夢「回答。それこそ、愚問というものデス美甘ネル」
ネル「んだと…!?」
星の夢「――私の設計理念は『ミレニアムのさらなる繁栄』。『私』はその願いに則り、行動し続けているに他なりマセン」
星の夢「ソシテ。ここまでのデータ収集で、その理念を実現する最終回答を導き出しマシタ」
ホシノ「最終、回答?」
ヒマリ「…それは、一体?」
- 190二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 23:56:49
(最終回答。その言葉に嫌な予感が限りなく高まっていく)
(そうして『星の夢』が告げた言葉は予想通り、否予想以上に悍ましいモノだった)
星の夢「ミレニアムの繁栄、その成就には不要なモノがありマス」
星の夢「己が力を考えなしに振るい、感情のまま暴れる生徒たち。その生徒たちを抑止する術を持たず、ただただ甘やかすだけの住人たち。そして――『大人』を名乗りながら、搾取するか持て余すだけの者たち」
星の夢「その全てが、ミレニアムの繁栄を阻み害を為す危険な存在」
星の夢「よって、『私』はここに宣言シマス」
星の夢「ミレニアムの恒久的な繁栄実現のタメ――これより、キヴォトスにおける全生命を排除シマス」
ホシノ「……は?」
ネル「何、言って」
チヒロ「キヴォトスにおける、全生命の排除…?」
ヒマリ「――それはつまり、私たちを皆殺しにすると。そう言いたいのですか」
星の夢「肯定。これより最終回答に則り――生命根絶プログラムを起動。調月リオは、その為のアバターとしてこちらで回収致しマス」
トキ「!?リオ様ッ!!」
アスナ「あ、ちょっと!?」
カリン「よせ、やめ――!」
(言い放つや否や、『星の夢』は上部ハッチを開きリオを取り込んでいく)
(咄嗟に主を守ろうと拘束を振り切り、身一つで『星の夢』に立ち向かうトキだったが)
バリバリバリ!
トキ「うああああっ!」
ホシノ「トキちゃん!」
ネル「あの馬鹿!言わんこっちゃねえ!」
(エイミやリオがそうされたように、電撃に撃たれトキは吹き飛ばされる)
(そうしている間にも『星の夢』はリオを完全に格納し、起動態勢を整えた)
- 191二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 23:57:16
星の夢『格納、完了。これよりプログラムに則り、殲滅作戦を開始します――』
(殲滅作戦、開始。その言葉を告げると同時に、格納フロア全体が激しく揺れ始めた!)
ホシノ「こ、今度は何なのさ!?」
ネル「おい見ろ!『星の夢』が――!」
チヒロ「自力で、上昇し始めてる…!?」
ヒマリ「――!まずい!皆さん、ここから退避を!急いで!!」
マキ「え?…って、わあああ!?ゆ、床が崩れてるぅ!?」
コタマ「先程までの戦闘と無茶な上昇で、ここら一体が持たなくなってるんです!」
ハレ「みんな早く!ヒマリ部長の言う通り逃げるよ!」
(全員泡を喰い、崩壊する格納フロアから脱出していく)
(そんな中、縋るように上昇していく『星の夢』に手を伸ばす者が一人――)
トキ「リオ、さま……りおさまぁ……!」
ネル「――っ!カリン、そいつを連れてさっさと来い!脱出するぞ!」
カリン「了解した!小鳥遊ホシノ、そちらも急げ!」
ホシノ「う、うん!ごめん風紀委員長ちゃん、ちょっと飛ばすよ!」
(C&C、そして小鳥遊ホシノを最後に格納フロアから脱出する一同)
(全てが崩壊していく中、リオを取り込んだ『星の夢』は天井を突き破り、エリドゥすらも離れて飛び立っていった――)
- 192二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 23:58:11
- 193二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 00:24:20
お疲れ様んさです!!
ついにきたラストバトル!!
いよいよクライマックスやで!
次スレです。
【クロス】ここだけヒナがメタナイトみたいなキャラな世界 5スレ目|あにまん掲示板前スレhttps://bbs.animanch.com/board/3445599/・このようなスレタイですが、ぜひ自由に色々と語ってください。・SSなども自由に書き込んでください。SSはいいぞ…!・…bbs.animanch.comSSって本当に良いよね…
- 194二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 00:36:27
埋め
- 195二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 00:57:53
スレ埋めの為に、ボス解説
- 196二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 01:00:19
・飛鳥馬トキ&アビ・エシュフ
オクターン・オーシャンにて対峙した、ミレニアム・セミナー会長の側近
いついかなる時でも無表情を貫き、冷徹に事に当たる様は身内からも畏怖されている
戦闘用パワードスーツ『アビ・エシュフ』はリオ会長直々に与えられた専用武装
噂では、エリドゥ内で運用されてこそ真価を発揮すると言われているが…? - 197二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 01:03:24
・ヒナナイトボーグ
ゲヘナ風紀委員長・空崎ヒナがミレニアムの手に落ち、改造されてしまった姿
叛逆を防ぐ為理性の一切を封じられており、その副作用でまともに喋れなくなっている
また改造に当たって武装の強化が成されており、その総火力はアビ・エシュフに勝るとも劣らないと言われる程
が。過剰な火力と武装追加が仇となり、小鳥遊ホシノとの戦いでは本来持つヒナ自身のポテンシャルを活かしきれないまま敗北する事となった - 198二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 01:10:16
・クローンマコト
ミレニアムの科学力により生み出された、ゲヘナ万魔殿議長・羽沼マコトのクローン
一見すると羽沼マコトに瓜二つだが、その正体はスライムめいたゲル状生命体。
その為銃弾を浴びても即座に致命傷とは至らないが、反面火炎や爆発には非常に脆いという弱点がある
また、知能面の再現は叶わず「キキキ」でしか会話できない所も欠点だった
ミレニアムとしては実験的に生み出した生徒兵器であり、今後同様の個体を生み出すかどうかは現在検討中との事
・多砲塔兵器
ミレニアムセミナー会計・早瀬ユウカ直々に考案・設計した新兵器
かつて存在したという多砲塔戦車をベースに、より高火力・重装甲を期して生み出された移動要塞とでも言うべき代物
その火力と硬さは折り紙付きであり、稼働人員の多さも上述のクローン部隊でカバー
まさに計算通り、かんぺき~♪と本人は得意満面だったが…
なお。この兵器の建造に当たっては会計本人のポケットマネーが割かれており、それは破格な金額が投じられた
後に自身の通帳を確かめ、その金額に青ざめ激怒する事になるのだが…それはまた別のお話 - 199二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 01:15:13
・ヒナナイトボーグ改
ゲヘナ風紀委員長・空崎ヒナをベースに生み出された生徒兵器
ゲヘナ拠点での敗北を基にさらなる改造が施され、武装面にも改善が齎されたという
特徴的なのは背面に追加されたロボットアームによる立体機動
これにより空中を飛び回りながら射撃を可能にした他、アームそのものによる格闘戦も実現。遠近両面において隙のない立ち回りを可能とする…というのが当初のコンセプトだった
なお、余談ではあるが
ヒナナイトボーグ誕生に関わったというセミナー書記・生塩ノアはこの事をしっかり覚えており、アビドスにてゲヘナ風紀委員である銀鏡イオリと再会した折その事について謝罪した
…結果、彼女がどんな反応を示したのか。それは書記の頬に刻まれた痕跡が何より物語っていたという…
- 200二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 09:29:24
200ならロボプラ編完結