- 1読み手24/06/06(木) 21:36:11
- 2読み手24/06/06(木) 21:40:56
- 3二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 21:44:29
7冠と6冠だから圧がすごい
- 4読み手24/06/06(木) 21:48:03
「急いで歩いていた小柄な男がですね、曲がり角から走って来た8〜9歳ぐらいの小さい女の子と出会い頭にぶつかってしまったのを見まして。女の子は尻もちをついてその場で泣いてしまいました。」
「続けてくれ。」
「ところがですよ?そのぶつかった男はあろうことか女の子が最初から居なかったかのように無視し、果てには女の子の身体を踏みつけてそのまま立ち去ろうとしたのですよ…!」
「ひどい男だな…。」
「あたしが流石に男を呼び止めると、男はゆっくり振り返りながらあたしをギロッと睨みつけたのです…。背筋が凍るかと思うほど冷たい目をしていました…。また後で聞いたのですけれど、その男の名前は『ハイド』というそうです。」
「ハイド…この辺ではあまり聞かない名前だな…。」
「誰でも覚えているアタスンさんでも知らないのなら、無理はないでしょう!」
ハイド dice1d114=51 (51)
- 5二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 21:48:57
ヤミノフラワー…
- 6二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 21:49:44
このフラワーは
あかん - 7二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 21:51:49
まあ小柄だけども役割逆じゃない……?
- 8読み手24/06/06(木) 21:53:41
- 9二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 21:55:27
新作ありがとう
実は原作あんまり知らんから楽しみ - 10読み手24/06/06(木) 22:02:51
『何をすればいいのですか?謝罪ですか?それともお金?お金ならたくさんありますよ。待っていてください。』
「話している間、まばたきもしない本当に怖い男でした。しばらくしてあたしが指差したこの建物に入っていったんです。」
『これでよろしいですか?』
「ハイドはこの不気味な建物からとても眩い光を放つ金貨と、署名の入った小切手を持って来たのです。一応それで事は済みましたけど…。」
「署名入りの小切手と?それは珍しい。」
「小切手に署名を書いてしまっていた紳士はきっとハイドに騙されているのでしょう。」
「その紳士の名は覚えているかな?」
「えっと…『ヘンリー・ジキル』という方だったかと…。」
「ジキル…!?…………ハイド…!そうだ!思い出したぞ!」
アタスンは友人 ヘンリー・ジキルの遺言状に書かれていた『エドワード・ハイド』という人間の名前を思い出しました。
ジキル dice1d114=60 (60)
- 11二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 22:07:52
ここでネイチャさんかあ...
- 12読み手24/06/06(木) 22:15:23
自宅に戻ったアタスンはジキルの遺言状を広げた。
ジキルは実際に今日まで死ぬことは無かったが、最近は用事で屋敷をよく留守にする事が増えていた。万が一に備えて用意しているのだろう。
あの後散策して分かったことだが、ハイドが入っていったあの建物はジキルの屋敷にある実験室の裏口であった。後で行ってみなければとアタスンは決意した。
ジキルの遺言状を広げると、次のように書かれていた。
『アタシが死ぬか、"3ヶ月以上失踪"した時、財産の全部を友達の「エドワード・ハイド」に相続します。』
「やはり書かれていた…。ハイド…奸佞邪智を極めたような男だ。ジキルから貰った金を手切れ金に使うなど…。」
友が悪人に騙されていると知ると、アタスンは許せない思いだった。なんとしてでもハイドを問い詰めねばならないと思い立ち、あの裏口の監視を始めたのだった。 - 13読み手24/06/06(木) 22:22:36
数日経ってアタスンは報われた。
ハイドがあの裏口へ入って行こうとするところに出くわしたのだ。
ハイドはまるで我が家のように裏口の鍵をポケットから出し、中に入ろうとしていた。
「ハイドさん、ですね?」
「はい、なんでしょう?」
振り返ったハイドを見て、アタスンは思わずギョッとした。
エンフィールドの言った通り、ハイドの目はこの世の底にでも繋がっているのではないかと思えるほどの暗い紫色の瞳をしていた。
「私はアタスン。弁護士をしていてね、ジキル博士とは友人でもあるんだ。中に入れさせてもらえないかい?」
「はぁ…でもごめんなさい。博士は留守なのです。」
まばたきもせずにそう言うと、ハイドは扉を勢いよく閉めた。
「………屋敷側から尋ねてみるか。」 - 14読み手24/06/06(木) 22:24:32
- 15読み手24/06/06(木) 22:31:20
- 16読み手24/06/06(木) 22:44:25
2週間ほど後、アタスンはジキル主催の晩餐会に招かれた。
会が終わった後、アタスンは1人居残ってジキルと会話を交わした。
「おいっす〜。アタスンさんが飲み足りないなんて珍しいね〜。どうしたの?新作のダジャレでも思いついた?アハハ…。」
「…突然だが、ジキル。私はあの遺言状に賛成出来ないな。」
「…………!」
「…遺言状に書かれていた『エドワード・ハイド』という男の人となりが多少分かってきた。」
そう言うと、ジキルの顔は急に青ざめ、目の周りは険しくなり、身体は震え始めた。
アタスンはその様子から、ジキルがハイドによっぽど酷いことをされているのだと感じた。
「大丈夫かいジキル?……もう、打ち明けてほしい。私ならきっと、君の力になれる。」
「あ、ありがとうアタスンさん。でも、大丈夫だよ!ホントに大丈夫!ハイドとはね、うん、そうだ。切ろうと思えばすぐに縁を切れるんだ!…うん。そうなんだ…。」
アタスンは青ざめ、震える友人を見捨てることなど出来なかった。 - 17読み手24/06/06(木) 22:50:49
- 18読み手24/06/06(木) 22:55:55
- 19読み手24/06/06(木) 22:59:26
- 20読み手24/06/06(木) 23:01:57
- 21読み手24/06/06(木) 23:06:49
- 22読み手24/06/06(木) 23:09:08
- 23読み手24/06/06(木) 23:15:26
- 24読み手24/06/06(木) 23:23:04
書斎というのは、あの実験室のあるみずぼらしい建物の中だった。
アタスンが心配そうに扉を叩く。
「誰ですか!?」
おや?ジキルの声はするが、喋り方が変だ。
アタスンはそう思った。
プールが口を開く。
「旦那様、アタスンさんが旦那様の様子を見に来られましたよ…!」
「アタシは誰とも会わないって伝えて…!」
今度は喋りはジキルっぽかったが、ジキルっぽくない声が聞こえて来た。
耳をすませてみると普段のジキルの足音とは違った軽い足音が書斎には響いていた。
「や、やっぱり…旦那様はもう…!?」
「…プール、私たちは真相究明のためにも今、動かなければいけない!」
アタスンはクワを持って書斎の扉の前に立ちました。扉を破るつもりのようです。 - 25読み手24/06/06(木) 23:26:38
- 26読み手24/06/06(木) 23:29:20
- 27二次元好きの匿名さん24/06/06(木) 23:31:56
火サスのテーマが聞こえる……
- 28読み手24/06/06(木) 23:42:07
- 29二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 00:44:06
なぜお亡くなりになってしまったのか
- 30二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 01:45:17
普通に文学の勉強になるから好き 完走待ってます
- 31読み手24/06/07(金) 07:53:48
- 32読み手24/06/07(金) 08:01:19
- 33読み手24/06/07(金) 08:09:00
4日前だったかな。ジキルから手紙が来た。
『ラニョンさん、ごめん。アタシの屋敷の書斎に入って、棚の上から4番目にある引き出しをそのまま引き抜いて持ち帰ってほしいんだ。深夜にアタシの友達が受け取りに来るから、渡してあげて。』
ウチは言いつけ通り引き出しをそのまま持って帰った。引き出しの中はよく分からない薬品と、調合するための器具とかが入ってた。
その日の夜12時。ビッグベンの大きな鐘の音が聞こえた頃にソイツは来た。
小柄で、一見礼儀正しそうだけどまばたき一つしない、絵の具で塗りつぶしたみたいな紫の目をした不思議な男だった。
事件の影響で指名手配されていたから、顔は知ってた。間違いなくエドワード・ハイドだった。 - 34読み手24/06/07(金) 08:15:11
- 35読み手24/06/07(金) 08:23:50
「薬はちゃんと手に入ったと、ジキルに伝えます。」
「あぁ…そうしてくれよ。ジキルからのお礼は明日の夕方とかかな?」
「………?いえ、"今ここで"聞かせてあげますよ。」
「……………は?」
そう言うとハイドは更にニタっと笑って、持っていた薬を天井に掲げたんだ。
「世の中にはですね!不思議なことが沢山あるんだよ!アタシみたいにね!ラニョン!」
ハイドはそう言うと薬をゴクっと飲み込んだ。
「ゴホッ!ゴホゴホッ!」
「だ、大丈夫か…?ハイド…。」
ウチが心配してハイドの背中をさすってたその時だった。
ハイドの背中が突然ボコボコ盛り上がって、がっしりして行くのを感じたんだ。
背は明らかに伸びて、髪の毛も伸びて色が変わっていって、顔の周りがまるで焼け爛れたみたいにドロドロ溶けていってた。
ウチは、ハイドの紫色の不気味な目が見る見るうちに黄金みたいに綺麗な黄色い目に変わって行くのが見えたんだ。
そして…さっきまでハイドがニタニタ不気味に笑っていたところには、紛うことなきウチの友達『ヘンリー・ジキル』が居たんだ。 - 36二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 08:30:33
このレスは削除されています
- 37読み手24/06/07(金) 13:14:08
- 38読み手24/06/07(金) 13:21:56
- 39読み手24/06/07(金) 13:31:48
- 40読み手24/06/07(金) 13:48:16
これじゃダメだと待ったをかけたのは、他でもないアタシ自身だった。善のアタシとでも呼ぼう。
善のアタシは悪のアタシを良しとはしなかったけど、時に快楽に溺れることも必要だと感じて完全に消す判断はしなかった。
善と悪、二つが共存するのがダメなんだ。
善は善、悪は悪。別の人間として生きていくといいんじゃないかと考えたアタシは、頑張って薬を作った。
結果生まれたのが、元の善良なアタシ『ヘンリー・ジキル』。
そして快楽を求める私『エドワード・ハイド』。
アタシと私は、どちらかが動きたい時に薬を飲んで、名前も身体さえも変えて生活するようになりました。
ああ、笑いが止まりませんでしたよ。’’私’’がどんなに悪いことをしても、’’アタシ’’は無関係なんだから。 - 41読み手24/06/07(金) 13:57:41
- 42読み手24/06/07(金) 14:09:53
- 43読み手24/06/07(金) 14:18:42
- 44読み手24/06/07(金) 14:39:26
- 45読み手24/06/07(金) 15:01:06
薬を取りに帰ろうにも公園から屋敷までは距離がありましたし、仮に帰るにしてもこのハイドは指名手配犯でしたから、人目を避けて向かわなければいけませんでした。
私の中にいた善の私は、考えに考えた結果、お友達のラニョンに協力してもらうことになり、無事にジキルに変身することが出来ました。
でも、その日から私はことあるごとにハイドの姿に戻るようになりました。昼でも夜でも、うたた寝1つすればハイドに戻ってしまいます。その度に薬を飲みました。ですが、いつしか薬も残り少なくなってしまいました。
また薬の材料を揃えて調合しても、今度は何も起こりませんでした。どうやら最初に買った薬には不純物が混ざっていて、それが作用して私はジキルの人格を生み出せたようなのです。
私は一生ハイドなのでしょう。でも、それでいいのかもしれません。
だって...’’私’’が’’本来の私’’なのですから。そう察してしまったのですから。
ジキルなんて最初にはいなくて、私は最初から『エドワード・ハイド』だったのです。 - 46読み手24/06/07(金) 15:10:19
- 47読み手24/06/07(金) 15:19:15
- 48読み手24/06/07(金) 15:20:16
- 49二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 15:34:16
途中から明確にハイドが主人格になってって鳥肌
- 50二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 15:45:13
原作は名作だしそれを上手い事生かしたスレ主もすげえや…
- 51二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 15:50:06
- 52二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 17:01:18
お疲れ様でした!次回も楽しみにしてます!
- 53二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 20:19:56
一人称の使い方が上手。ゾワっとした