【SS】男手一つで娘を育てたトレーナーが、授業参観で娘の作文を聞く話

  • 1#モングレス24/06/07(金) 01:19:00

    「はい、それでは皆さん! 今日はせっかくなので、おうちの人についての作文を聞いてもらいましょうね!」

    「「「「「はーい!!!!」」」」」

    パチパチパチパチ

    「うぅ……」

     今日は小学生の娘の授業参観だ。

     妻が命を懸けて産み、住む場所の関係でお互いの両親にも頼ることができず、その後男手一つで育てここまで大きくなってくれた。

     トレーナー業と育児の両立は難しく、時に担当のウマ娘たちに助けてもらいながらも頑張ってきた。

     そんなわが子がこうやって授業参観で作文を読み上げる。その時点でもう涙が出そうだ。

  • 2◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:20:27

    「はい、それでは□□さん」

    「はい! ボクのお父さんとお母さんは……」

     さっそく、一人一人の作文が読み上げられていく。

     どこの子たちも両親のことが大好きで、暖かな家庭であることがよくわかる、素敵な作文ばかりであった。

     そういえば、娘が俺に今日の参観は絶対に来るようにお願いしていたな。

     もちろん、そんなことを言われなくても絶対に来るつもりであった。そのために今日は有休を使ったし、担当の子たちの練習も今日が休みになるように調整しておいた。

    それはともかく、俺にばれないようにこっそりと作文を一生懸命書いている姿は微笑ましくて、とてもうれしかったなぁ。

  • 3◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:21:39

    「……だから、わたしはお父さんとお母さんが大スキです!」

     パチパチパチパチ

    「はい、△△さん。素敵な作文でしたね! それに上手にお話できていましたし……」

     おっと、どうやら席順に発表していたようで、もう娘の順番がきてしまった。

     正直、うれしいと思うと同時に少し怖くもある。

     なんせトレーナー業の忙しさにかまけて、あまりかまってやることができず、寂しい思いをさせてしまうことも多かったからだ。

     もちろん、娘のためにできることは何でもしてきた。

     それでも、周りの子たちの作文を聞いて、母がいないこと、父が仕事で忙しくしていることに寂しい思いをしているのではないかと、考えてしまう。

    「……はい、それでは次は、☆☆さん」

    「はーい! ボクのおうちでは……」

    「……えっ?」

     あれ、次はうちの娘の番のはずだったのに、一つ飛ばされてしまった。

     もしかして気づいていないのだろうか? しかし、娘も特に変わった様子もない。

     いったい、どうなってるんだ?

  • 4◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:23:04

    「おいおい、いったいどういうことだ?」

    「なんで娘ちゃんの番が飛んでんだよ?」

    「落ち着け二人とも何かの手違いかも……」

    「そうよそうよ、ちょっち落ち着いて」

    「~~♪」

    「まったく、あなたたちは静かにもできないのかしら……」

     周りの保護者達も、少しざわついているようだ。

     いったいどうして……

     まさか、俺のせいでうまく書けなかったのだろうか?

     もしそうなら、俺はひどい父親だ……

  • 5◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:24:00

    「……はい、それでは♡♡さん、とても素敵な作文でした」

     あぁ、ついに最後の子の作文が終わってしまった。

     結局、我が子の作文は最後までなかった……

    「嘘だろ、結局最後まで……」

    「おい……様よ、ここまでコケにされて、まだ黙ってろって?」

    「どうする……、声をかけたほうがいいんじゃない?」

    「……さすがにこれは」

    「そうね、ちょっとまいっちんぐよね」

    「……つまらないわ」

     先生が気が付かなかっただけなのだろうか?

     それとも、娘が作文を書くことができなかったのだろうか……

  • 6◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:24:51

    「それでは、最後に娘さん!」

    「はい!」

    「っ!?」

    「「「「「「っ!?」」」」」」

    「娘さんはクラスで一番長い作文を作ったんですよね?」

    「えへへっ」

    「とっても素敵な作文なので、一番最後にお願いしたのよね?」

    「うんっ!」

    「むっ、娘……!!」

    「「「「「「娘(ちゃん)っ……!!」」」」」」

     思いがけないサプライズに、目柱が熱くなる。

     そんな風に言ってもらえるような作文を作ってくれた娘に、思わず気持ちがあふれそうになる。

     だが、今は堪えて、娘の話をしっかりと聞かなければ……

  • 7◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:26:17

    「それでは娘さん、よろしくお願いします」

    「はいっ!」

     娘は元気に挨拶をして、立ち上がる。

     その立派な背中を見て、もうすでに涙がこぼれそうになってしまった。

    「わたしのお父さんは、トレセン学園でトレーナーをしています」

    「とってもユーシューで、ジーワンウマ娘も何人もハイシュツしています!」

    「何人もウマ娘をタントーしているからとってもいそがしそうだけど、それでもお父さんは毎日おしごとをがんばっています!」

    「それなのに、わたしのために毎日早くしごとをおわらせてくれて、わたしとあそんだり、お家のこともがんばってくれています!」

    「お休みの日も、本当はねていたいのにわたしとお出かけをしてくれる、とってもやさしくてカッコイイお父さんが、ダイスキです!」

    「娘……!!」

     娘の素敵な作文に、思わず涙を流してしまう。

     今までちゃんと父親をやれていたか不安であったが、そんなものは吹き飛んでしまった。

  • 8◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:27:11

    「わたしのママは、わたしが生まれた時にお星さまになってわたしをみまもってくれています」

    「ママがいなくてかなしいけれど、さみしく思ったことはありません」

    「なぜなら、お父さんが毎日ねるまえにママのことをいっぱい教えてくれるからです!」

    「ママがどんな人で、どんなことがスキで、どれだけわたしのことがダイスキだったかをいっぱいい~っぱいお話してくれます!」

    「だから、ママがいつもわたしのそばでみまもってくれてるって知っています!」

    「娘……」グスッ

     この子の母親のことも、娘はちゃんとわかってくれていた。もうそれだけで十分だった。

     妻よ、娘はここまで大きくなったぞ。

  • 9◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:28:20

    「それに、お父さんのタントーのお姉ちゃんたちも、いっぱいわたしとあそんでくれるので、ぜんぜんさみしくありません!」

    「「「「「「っ!?」」」」」」

    「お姉ちゃんたちは、お父さんがいそがしいときに、いつもおうちにあそびにきてくれます」

    「いっしょにあそびに行ってくれたり、お家のことをいっしょにてつだってくれたり、おべんきょうを教えてくれたり、毎日楽しくてさみしくなるヒマがありません!」

    「「「あははっ!」」」

    「「「「「「ふふっ」」」」」」

    「娘ぇ……」ホロリ

  • 10◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:29:01

     寂しい思いをさせてしまっているのではないかと思ったが、娘が俺の担当ウマ娘たちと仲良く楽しんでいるとわかり、心底ホッとしたよ。

     あの子たちには、感謝してもしきれないな。

    「お姉ちゃんたちは、とってもやさしくて、かっこよくて、キレイで、みんなダイスキです!」

    「「「「「「娘(ちゃん)……」」」」」」

    「だから、お母さんが5人になるのが今からたのしみです!」

    「えっ?」

    「「「「「「えっ?」」」」」」

  • 11◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:29:49

     ヒソヒソ

    「五人のお母さんって、もしかして5股ってこと?」

     ヒソヒソ

    「やっぱりトレセン学園は爛れているわ」

    ヒソヒソ

    「トレセン学園は婚活会場やないでぇ」

    「「「「「「……」」」」」」ギロッ

    「うっ」

     どうしよう、周囲からの視線が痛い。

     娘よ、どうしてこんなことを……

     やっぱり、母親がいなくて寂しかったのだろうか?

     だとしても、あいつらでなくても……

  • 12◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:31:29

    「さいしょは、お姉ちゃんたちがトレセン学園をそつぎょうしたら、もう会えなくてさみしいってかなしくなったけど、お姉さんたちがそつぎょうしたらお母さんになってくれるってやくそくしてくれて、うれしかったです!」

    「「「「「娘(ちゃん)……」」」」」

    「なっ、そんな方法が……」

    「むすめぇ……」

     どうしよう、確かに彼女たちの卒業後は会う機会も少なくなるだろうが、だとしても全員と結婚なんてできるわけない。

     そもそもなぜ5人と結婚できるだなんて思ったんだ? 娘も一夫一妻制は知っているはずなのに……

  • 13◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:32:40

    「さいしょは、お母さんが5人もいていいのかなって思ったのですが、ヤ〇―ちえぶくろでそうだんしたら、『お父さんがトレーナーだからカイショーがあってジューショーウマ娘を何人もハイシュツしてたら大丈夫、ジーワンウマ娘がいればラクショウだ』って言ってたのであんしんしました。なぜならお父さんは、いっぱいジーワンウマ娘をハイシュツしているからです!」

    「なんてこった……」

     何をしてくれているんだ名も知らぬネットユーザーよ、おかげで娘が大変なことに……

     それに娘もなんでそんな顔も知らない奴の話を信じているんだ、安心するな!

    「でも、♡♡ちゃんに話を聞いたら、お姉ちゃんたちはとってもユーフクなお家だから、もしかしたらカケオチしないといけないかもって言ってました」

    「……」

     まぁ、確かに彼女たちは裕福なんて言葉で表せないような家柄の子ばかりだが、もし仮に娘の言うように全員と結婚なんてことになったら、駆け落ちするしかないだろうな。

     ……そもそも、そんな大所帯で駆け落ちができるのだろうか?

  • 14◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:34:03

    「カケオチはぼうけんみたいでとってもたのしそうだけど、先生やみんなに会えなくなるのは、とっても、かなしいです」

    「娘……」

    「だから、もしカケオチに、なっても、みんな、こっそりあそびに、きて、ね……」ポロポロ

    「「「「「「娘(ちゃん)……」」」」」」

     そんなに泣いてしまうほど仲がいいんだな。

     でも娘よ、安心してくれ。そもそもそんなことになる可能性が0だからな。

    「娘ちゃんダイジョウブ?」

    「もしカケオチになっても、ぜったいあそびにいくからね!」

    「だからなかないで……!」

     クラスのみんなが娘のことを心配して慰めてくれている。

     それだけでこのクラスがとても仲がいいことがわかる。娘がこれほど思われていて、とてもうれしい限りだ。

     ……せめて、こんな状況でなければなぁ。

  • 15◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:34:34

    「大丈夫よ娘さん、もし駆け落ちになってもみんなで会いに行くからね? それに、そうならないようにお父さんの甲斐性に期待しましょう?」

     そういってちらっとこっちを見てくる担当の教師、ちょっと期待の目で見てきているけど、お前もしかしてこの状況をちょっと楽しんでるな?

    「さぁ娘さん、続きはいけるかしら?」

    「はい!」

     涙をぬぐって元気に答える娘、良かった、どうやらもう大丈夫そうだ。

     ……いや、もしかしたらここで終わってくれた方がよかったのかもしれないけど。

  • 16◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:35:37

    「ルドルフお姉ちゃんは、とっても頭がよくて、かっこよくて、きれいなお姉ちゃんです!」

    「娘ちゃん……」

     そんなことを考えていたら、娘が続きを言い始めた。というか、もしかして一人ひとり言うつもりか!?

    「ルドルフお姉ちゃんはいつもわたしのおべんきょうをおしえてくれて、むずかしいことばもいっぱい知っていてすごい人です」

    「それに、まだお姉さんなのに学校でいっぱいおしごとをしていて、すっごいがんばっていてとってもえらいです!」

    「ふふっ」

    「でも、おしごとがいそがしいから、たまにルナちゃんになってお父さんにいっぱいあまえていて、ライオンの赤ちゃんみたいでとってもかわいいです!」

    「なっ!?」

    「むすめぇ!?」

  • 17◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:36:19

     確かにルドルフはルナちゃんモードになると甘えん坊になるが、誰もいないところでやっているはず。なぜ娘がそれを知っている!?

     というか、そもそも秘密にしているのだからこんなところで公開しないで上げてくれ!

    「だから、お父さんがいなくてルドルフおねえちゃんがつかれているときは、おままごとでわたしがママになってルドルフおねえちゃんの頭をよしよししてあげています!」

    「あっ、あれはそういうことだったのか……」

    「へぇ、皇帝様も可愛いところがあるんだな?」

    「くっ……////」プルプル

     そ、そんなことがあったのか……

     娘が優しい子に育ってくれてうれしいが、正直複雑な気分だ。

  • 18◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:37:15

    「だから、そんなルドルフお姉ちゃんが『私は、君のお父さんのことが好きだ。正直、結婚したいとも思っている。もし娘ちゃんがよかったら、私が卒業したら、君のお母さんになってもいいかい?』と言ってくれたときは、とってもうれししかったです!」

    「っむ、娘ちゃん……!」

     ……そうか、ルドルフは俺のことを、そんな風に思ってくれていたのか。確かに甘えてくれるし、一緒にダジャレの研究したり、俺の趣味を理解して一緒に楽しんでくれるし、たまにご飯を作ってくれるし、一緒にいろんなパーティーに連れ出されたり、信頼されてるなとは思っていたが、まさかそれほどとは。

     でも、それならせめて娘よりも先に俺のほうに思いを伝えてくれよ。頼むから……

  • 19◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:38:09

    「でも、ダジャレはお父さんのよりもおもしろくないので、しっかりシュギョウしたほうがいいと思いました」

    「娘ちゃん!?」

     上げて落とす手法、なんて恐ろしいことをするんだ娘よ……

     というか、もしかして俺のダジャレって、評価低い? しかもそれより低いって、ルドルフが聞いたら泣くぞ?

    「ぷっ、くくっ……」

    「ちょっと、笑ったら可哀そうだよ…… くくっ」

    「いや、これを笑うなって、無理だよ…… ぷぷっ」

    「……こほんっ////」

    「次は、シリウスおねえちゃんです!」

    「おっ?」

  • 20◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:38:42

    「シリウスお姉ちゃんは、かっこよくて、ちょっとこわいけど、とってもやさしいおねえちゃんです!」

     次はシリウスか、もしかして彼女も俺を想ってくれているのか?

    でもまぁ、シリウスはいつも俺をからかってくるだけだから、さすがに娘の勘違いだろう。

    「シリウスお姉ちゃんは、ちょっといじわるで、いっつもゲームでかたせてくれません」

    「けど、いつもいろんなゲームを教えてくれて、ちょっぴりわるいことも教えてくれます」

    「なっ!?」

    「……シリウス」

     あいつ、今度会ったらきっちりこの話を聞かなければならないな。

     いったい娘に何を吹き込んでくれているんだ?

  • 21◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:39:43

    「お父さんがおとまりでおしごとの時にお家にきてくれて、こっそりいっしょによふかししたり、お父さんにいたずらするときにてつだってくれたりしてくれます」

     おいシリウス、よくもうちの娘を悪い子にしてくれたな。あとでお仕置きしてやるから、覚悟しておけよ。

    「ひっ❤」

    「でも、ほんとうにダメなことはちゃんとダメだっておこってくれます」

    「そんなシリウスおねえちゃんにおわかれするのがいやだっていったら、『お前さえよければ、私がお前の母親になってやる。お前の父親のことも、その、好きだしな。……それとも、私が母親じゃ、いやか?』と聞いてきたので、『シリウスおねえちゃんがいい』って言ったらギュってして『ありがとう』って言ってくれました」

    「シリウスお姉ちゃんがないちゃってビックリしたけど、うれしくてないてたみたいでよかったです!」

    「なっ」

    「だからわたしは、いつもはワルぶってるけど、とってもやさしいシリウスお姉ちゃんがダイスキです!」

  • 22◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:40:55

    「娘、シリウス……」

     まさかシリウスが、涙を流すほど俺を想ってくれているとは……

     正直、いつもからかわれているから、そんな気持ちないと思っていた。

     確かに今思えば、プレゼントしたチョーカーはいつもつけてくれてるし(なぜか見えるところに俺のイニシャルが書かれているが)、一緒に行きつけのビリアード場に連れていってくれたり、気づいたら俺と一緒の香水つけてたり、二人きりの時はちょっとベタベタしてきたりしてたけど……

    でもそれならせめて、ちゃんと俺に気持ちを伝えてくれよ。ルドルフもだけどさ。

     あと娘よ、そういうことはこんなところで言うもんじゃないんだぞ。さすがにシリウスが可哀そうだ。

    「ふふっ、シリウスも可愛いところがあるじゃないか」

    「や、やめろ////」

    「ふふっ、そういいながらも、お顔が真っ赤っかよ?」

    「でも、いっしょにお父さんにおこられてるときは、うれしそうにしないでちゃんと聞いたほうがいいと思います」

    「なっ!?」

    「シリウス、まさか君は、怒られたくてわざと……」

    「いやっ、ちがっ」

    「シリウス、さすがにそれはちょっと……」

  • 23◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:41:44

    「えーっと、つぎは、マルゼンお姉ちゃんです!」

    「まぁ!」

    「マルゼンお姉ちゃんは、キレイで、スタイルがよくて、いっしょにいるととっても楽しいです」

    「そうか……」

     確かに、他の子たちもだが、マルゼンはその中でも一番ノリノリで相手をしてくれていたな。

     娘も一番懐いていたみたいだし、彼女とは一緒にいて楽しく、少し好意のようなものも感じていた。だから少しだけ、納得してしまう自分がいた。

  • 24◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:42:16

    「マルゼンお姉ちゃんは、いつもえがおで、わたしとあそぶときもノリノリで楽しんでくれています」

    「それにとってもキレイでわたしにおしゃれを教えてくれるし、おりょうりも上手であこがれてしまいます」

    「ふふっ♪」

    「この前もかっこいい車にのせてくれて、ジェットコースターみたいでとっても楽しかったです!」

    「そんなマルゼンお姉ちゃんが、『ねぇ娘ちゃん。娘ちゃんは、お母さん、欲しい?』って聞いてきたので、『マルゼンおねえちゃんがお母さんだとうれしいな』って言ったら、びっくりした顔をしてたけど、すぐに『もちろん、バッチグーよ! 任せてね!』って言ってくれました」

    「そんないつも明るくて、やさしくて、キレイなマルゼンお姉ちゃんがダイスキです!」

    「マルゼン……」

    そうか、それで最近ちょっと距離が近いというか、アプローチを、してくれていたんだな。

     最近俺のために弁当を作ってくれるし、よく娘もつれて3人でお出かけに行くし、物理的にも距離が近かったし、ボディタッチ多かったし、ドライブに強制連行されたし、お出かけの終わりとか何かを期待するような目でこちらを見てきていたし……

     あれ、もしかしてかなり積極的にアプローチしてた?

     それじゃあそれに気づかなかった俺って、かなり鈍い?

     いや、そんなことは……

  • 25◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:42:58

    「でも、たまに何を言っているのか分からないので、ちゃんと分かるようにお話してほしいです」

    「そんなぁ~」

     ……それはまぁ、俺でもたまにわからないし、娘の気持ちもよくわかるよ。

    「うぅ、娘ちゃんそんなことを想っていただなんてぇ~」グスン

    「それは、まぁ……」

    「「……」」メソラシ

    「つぎは、シービーお姉ちゃんです!」

    「おっ」

     次はシービーか、彼女はどこか捉えどころはないけれど、なんだかんだで娘も懐いている。

     でも彼女は自由奔放で、縛られることを苦手とする子だ。

     結婚なんてそんな、ある意味大きな縛りであることを彼女が受け入れるだろうか?

  • 26◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:43:47

    「シービーお姉ちゃんは、とってもかっこいいのに、ネコさんみたいにフラフラしてなんかかわいいふしぎなお姉ちゃんです!」

    「いつもいっしょにおさんぽしてくれたり、わたしの知らないいろいろなところにつれていってくれます」

    「でも、いつのまにかふら~って会いにきてくれたり、気づいたらどこかに行っちゃったりで、ちょっとこまっちゃいます」

    「だけど、わたしがかなしいときにはいつも会いにきてくれて、わたしがかなしくないようにいろんなところにつれていってくれます」

    「そんなシービーお姉ちゃんがそつぎょうしちゃうと、もう会えなくなっちゃう気がして、『ずっといっしょにいてくれる?』ってきいたら『そうだね、もしも私が娘ちゃんのお母さんになったら、ずっと一緒にいられるかもね』って言ってくれたので、『お母さんになってくれるの?』って聞いたら、『娘ちゃんと君のお父さんがいいよって言ってくれたら、私も嬉しいよ』っていってくれたので、わたしはすぐに『いいよ!』って言ってあげました!」

    「シービーお姉ちゃんもうれしそうにしてたし、わたしもうれしかったです!」

    「だから、そんなかっこよくてかわいくて、やさしいシービーおねえちゃんがダイスキです!」

    「シービー……」

  • 27◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:44:17

     そうか、気が付いてあげれなかったが、彼女も俺のことを好いてくれていたのか。

     確かに、今思えばよく俺に抱き着いてきたり、匂いを嗅いだり、添い寝してきたり、一緒にお散歩したり、実家に連れられて両親とお話したこともあったし、気づいたらシービーの私物が家に多いし、ちょくちょく家に泊まりに来るし、料理作ってくれたり、出先にふらりと現れたり……

    あれ、結構きわどいな、これ。

    「へぇ、結構やるじゃねぇか、シービー」

    「なんだかちょっと恥ずかしいね……」

    「でも、おふろに入ったあとにすっぽんぽんでお父さんのベッドにもぐりこむのはだめだと思います。それにベッドでギシギシしてあそぶのはダメなのでやめましょう!」

    「なっ、なっ……////」

    「おっ、おう……」

    「シービー、さすがにそれは……」

     む、娘よ、それは人前で言っちゃダメなことだぞ!?

     いや、そもそも担任が止めろよ! こんな大勢の保護者の前で…… あっ、先生もあわあわしてる。

     ってことは、これは娘のアドリブということか!?

     これは、あとでお話しないといけないよなぁ、どうお話したものか……

  • 28◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:45:02

    「つぎは、ラモーヌお姉ちゃんです!」

    「あらっ♪」

    「ラモーヌお姉ちゃんは、ちょっとかわってて、おっちょこちょいだけど、絵がとっても上手で、〇ィズニーの女王さまみたいにきれいな、すてきなお姉ちゃんです!」

     次はラモーヌか……

     彼女はレースにしか興味ないし、彼女に言い寄ってくる相手なんていくらでもいる。正直、俺よりもいい男なんていっぱいいるのだから、俺なんかにそんな感情を抱いているとは思えないな。

     しかし、彼女がおっちょこちょいとは、いったいどういうことだろうか?

    「ラモーヌお姉ちゃんはとってもキレイで、いつもあいとはなにかをおはなししてくれます」

    「言っていることはむずかしくて分からないときもあるけど、たぶんとってもスキで一生ケンメイなことなんだと思います」

    「ふふっ」

    「ラモーヌお姉ちゃんはとっても絵が上手で、よくいっしょに絵をかいてくれます」

    「わたしの絵はラモーヌお姉ちゃんとちがってあんまり上手じゃないけど、ラモーヌお姉ちゃんは『とても愛を感じる、素敵な絵ね』ってほめてくれました!」

    「そうか……」

     ラモーヌがそんな風に……

     娘もラモーヌに懐いているが、もしかしたら彼女も娘のことを気に入ってくれているのかもしれないな。

  • 29◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:46:14

    「それにびじゅつかんにつれていってくれたり、とってもすごいホテルにつれていってくれたり、いろいろなキレイなところに連れていってくれます」

    「それに、わたしのお話をいつもニコニコ聞いてくれて、うれしいです!」

    「そんなラモーヌお姉ちゃんに、『ねぇ娘、私、貴女のお父さんのことを愛してるの。貴女、メジロの子になるつもりはない?』と聞かれたときはびっくりしちゃったけど、『わたしがメジロになるより、ラモーヌお姉ちゃんがお母さんになってくれたらうれしいな』って言ったら、『なら、貴女のお父さんに頑張ってもらわないとね』ってえがおで頭をナデナデしてくれました!」

    「そんなやさしくて、キレイなラモーヌお姉ちゃんがダイスキです!」

    「ラモーヌ……」

     ラモーヌはレースにしか興味がないと思っていたが、俺のことも愛してくれていたのか。

     確かに、最近は仕事してる俺の横で微笑みながら見つめてきたり、一緒にレースを見に行ったり、俺の好きなものとか趣味の話を聞いてきたりするし、メジロのいろいろなパーティーに連れていかれたりしたり、メジロ家のお茶会に何度もお呼ばれしてたし、メジロ家のおばあ様とも何度も面会させられてたし……

     も、もしかして、外堀を埋めに来ていたのか……(戦慄)

  • 30◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:47:25

    「でも、おもちゃのほうせきがほしいって言ったのに、ほんもののほうせきをもってくるのは、さすがにおっちょこちょいだと思います!」

    「きっとわるい男の人につかまったらだまされちゃうとおもうので、そうなる前にお父さんがつかまえてくれてよかったです!」

    「ラモーヌ、君……」

    「さすがに子どもに本物の宝石はダメだろう……」

    「……」メソラシ

    「おい、目をそらすな」

     ラモーヌ、いくら宝石に頓着がないからって子どもに渡そうとするなよ……

     まったく、娘がしっかりしていたからよかったものの、小さい時からそんな高価なものを与えられたら価値観が狂ってしまうだろうが。

    「お姉ちゃんたちはみんなステキな人たちで、みんながお母さんになってくれるのがまちどおしいです!」

    「\\パチパチパチパチ//」

    「えぇ……」

     いやいや、なんでみんなこれに拍手をしているんだよ。おかしいだろ!?

     確かに子どもらしい可愛い夢かもしれないけど、当事者にとってはとんでもないことだぞ!?

     それに、娘伝いとはいえ彼女たちの好意を知ってしまったわけなのだから、これからどうやってあの子たちに顔を合わせればいいんだ……

  • 31◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:48:44

    「いやはや、まさかこんなことになろうとは……」

    「それで、皇帝様はどうするつもりなんだ?」

    「そうだね、もちろん彼女の言うことが理想かもしれないけれど、女としてはな」

    「まぁ、そうだよな」

    「でもさ、みんなで一緒のほうが、面白そうじゃない?」

    「そうね! 彼を独り占めできないのは残念だけど、そっちの方がきっと楽しいわよ!」

    「それに、彼の愛は一人ではあふれてしまうほどに大きい…… 貴女達もそれは分かっているでしょう?」

    「それは、確かにそうだな」フッ

    「……チッ だが勘違いするなよ、あの子の為だからな」

  • 32◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:49:10

    「……はぁ」

    「どうしたんだいエース?」

    「いや、なんでもねぇよ」

    「もしかして、一人だけ仲間外れなのが寂しい?」

    「いや、そういうわけじゃねぇけど…… あの時、ちゃんと答えていれば」

    「そして、さいごはエースお姉ちゃんです!」

    「!?」

    「エースお姉ちゃんは、かっこよくて、元気いっぱいで、すっごい優しいお姉ちゃんです!」

    「娘ぇ……!」

     エースか。

     確かに彼女からは好意のようなものを感じていたが、まさか彼女も?

     しかし、娘は5人のお母さんと言っていたし……

  • 33◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:49:42

    「エースお姉ちゃんは、とっても元気で、いつもわたしといっしょにあそんでくれたり、はたけのおてつだいをさせてくれたり、いっしょにいるととってもたのしいです!」

    「わたしがお絵かきとかおべんきょうが上手にできると、えがおで頭をなでてくれます!」

    「それに、エースお姉ちゃんといっしょにおやさいをそだてたおかげで、にがてなおやさいもおいしく食べられるようになりました!」

    「娘……」

    「そんなエースお姉ちゃんに『お母さんになってほしい』って言ったら、『な、なにいってるんだよ!? それってつまり、私がトレーナーさんと結婚するってことか!? アタシとあいつはそんな関係じゃねぇし、その、あたしはす、スキダケド…… トレーナーさん、は俺のことなんてどうとも思ってないだろうし……』って顔を真っ赤にして言ってました。『でも、お父さんもエースお姉ちゃんのこと好きだって言ってたよ?』って教えてあげたら、『そ、それはそっちの意味じゃなくて…… と、とにかく、この話は終わり!』って言って、お顔を真っ赤にしてどっかに行っちゃいました」

    「う、うぅ……」プシュ~

    「でも、どうせお父さんいがいみんなエースお姉ちゃんがお父さんのことスキだって知ってるので、にげなくてもいいのになぁっておもいました」

    「む、むすめぇ!?」

  • 34◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:51:09

     まさかとは思っていたが、本当にエースも俺のことを好いてくれているとは……

     正直、一緒に畑を耕してるときに『トレーナーさんとは、こうしてずっと一緒に畑を耕していきたいな』って言われたり、お弁当には俺の好きなものをいっぱい詰めてくれたし、俺が好きだなって思わずこぼしてしまった髪型を聞いていたのか次の日に同じ髪型にしてたし、おじいさんからは『あの子を頼む』って言われてたし、もしかしたらとは思っていたが……

    「エースお姉ちゃんはあとひとおしで行けそうなので、もしかしたらお母さんが6人になるかもしれません」

    「だからわたしは、お父さんと、ママと、6人のお母さんと、いつまでもいっしょにしあわせにくらしていきたいとおもいます!」

    「\\パチパチパチパチ//」

     さっきよりも大きな拍手に、頭が痛くなってくる。

     担任の教師も俺のことをニヤニヤしてみてくるし、いったい俺にどうしろと……

  • 35◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:51:31

    キーンコーンカーンコーン

    「さて、それではこれで授業参観はおしまいです! 皆さん立ちましょう!」

    「「「「「ありがとうございました!!」」」」」

    「\\パチパチパチパチ//」

    「こ、こういう時はどうするべきだろうか?」

    「ど、どうって……」

    「私はせっかくだし……」

    「そうね、きっと……」

    「そもそも、貴女達……」

    「あ、あたしも……」

    「「「「「「ゴニョゴニョ……」」」」」」

  • 36◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:51:53

     地獄のような授業参観が終わり、娘がこちらに駆け寄ってくる。

     娘は俺に笑顔で抱き着いてくると、楽しそうに口を開いた。

    「ねぇお父さん、さっきの作文、ちゃんと聞いてくれた?」

    「あ、あぁ、ちゃんと聞いてたよ?」

    「それじゃあさ、わたしのおねがいもわかるよね?」

    「それは、わかるが……」

    「じゃあ、わたしのおねがい、聞いてくれる?」

     願いというのは、もちろん俺の担当たち全員と結婚してほしいということだろう。

     しかしそれは、法律的にも倫理的にもいけないことだ。

     それをどうやって説明しようかと悩んでいると、後ろから肩を叩かれた。

    「そうだね、それは私も気になるので、ぜひ聞かせてほしい」

    「ルドルフ!?」

     な、なぜ俺の担当であるルドルフがここに!?

     ここは娘の小学校だぞ!?

  • 37◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:52:29

    「すまない、娘ちゃんにご招待されてね。まさか他のみんなも来ているとは思わなかったが……」

    「それで、さっきの答えはどうなんだい?」

     ゆっくりと後ろを振り向くと、そこにいたのはルドルフだけではなく、他に5つの人影が存在していた。

    「あぁ、それは私も気になるぜパピーちゃん」

    「シ、シリウス……」

    「そうだね、私たちのうちの誰かから一人を選ぶのか……」

    「シービー……」

    「それとも、誰も選ばないのか」

    「ラモーヌ……」

    「それとも、娘ちゃんの言うように私たち全員を娶っちゃう?」

    「マルゼン……」

     そこには俺の担当たちが勢ぞろいしていた。

     娘の言うことが正しければ、彼女たちは俺のことを男として愛しているということになる。

     正直まだ半信半疑であった俺は、彼女たちの眼光を受けて、それが事実であることを悟った。

  • 38◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:53:12

    「お、俺は君たちの中から一人を選ぶなんてことはしないぞ?」

    「それじゃあ全員を娶るということか?」

    「そ、そういうわけでは……」

    「でもよ、あんたの娘はそれをお望みらしいぜ?」

    「うっ」

     確かに、娘はそれを望んでいる。

    だが、それがおかしなことということは、彼女たちも分かっているはずだ。

    「そ、そうは言うが、そもそも全員を娶るだなんて、君たちの気持ちはどうなるんだ? 娘は全員に母になってほしいと言っていたが、夫が自分以外の女にも愛を囁くんだぞ? そんなの……」

    「まぁ、確かにどこの誰とも知れない女にそんなことをされたら許せないけどな」

    「だ、だよなシリウス!?」

  • 39◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:53:55

    「だが、ここにいるみんなは知らない仲ではないしね」

    「えっ、ルドルフ?」

    「それに、意外とみんなで一緒にいるのも楽しそうだし」

    「シービー?」

    「あなたみたいなイケイケな男を独り占めしちゃうのも、申し訳ないでしょ?」

    「マルゼン?」

    「そもそも、貴方の娘の愛に、私たちも応えたいと思っているのよ」

    「ラモーヌ?」

     ど、どうしたらいいだ?

     まさか、一人どころか全員乗り気だとは……

     い、いかん! ここで流されては、きっと彼女たちも後悔する。

     この子たちも一時の感情に流されているだけだろうし……

  • 40◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:54:35

    「な、なぁ……」

    「エース……」

     そ、そうだ、俺にはまだエースがいるじゃないか。

     さすがに良識を持った彼女なら、現状にNoを突き付けてくれるはず……

    「あ、アタシもその中に入ってもいいか?」

    「……Why?」

    「だ、だから、アタシも、トレーナーさんのお嫁さんに、なりたいです……」

    「エ、エース」

     ……これは、もう腹をくくるしかないのだろうか。

  • 41◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:54:57

    「……みんな、本当にそれでいいのか?」

    「もちろん、みんなで決めたことだからね」

    「きっと、生半可な覚悟では耐え切れない修羅の道だぞ?」

    「もちろん、そっちの方が燃えるだろ?」

    「きっと周りから後ろ指をさされるし、いろんなところに迷惑がかかるぞ?」

    「ふふっ、それでも君となら、きっと乗り越えられるよ」

    「俺は不器用だから、全員を平等には愛せないかもしれない」

    「なら、いっぱい愛してもらうために、私たちも頑張らないとね!」

    「君たちに、亡き妻を重ねるかもしれない」

    「なら、その人ごと貴方のことを愛するわ」

    「君たちを、幸せにしてあげれないかもしれない」

    「でも、トレーナーさんと娘と、こいつらと一緒なら、アタシは幸せだぜ」

    「……なら」

  • 42◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:55:37

     彼女たちがこれほど俺のことを想ってくれるのならば、俺も覚悟を決めることにするよ。

    「少しだけ、時間をくれないか?」

    「……トレーナー君、それは」

    「別に、時間を稼ごうとしているわけじゃないよ?」

    「ただ、やるならいろいろと準備が必要だろ?」

    「「「「「「……!?」」」」」」

    「そ、それじゃあ……」

    「あぁ、俺も覚悟を決めるよ」

    「へっ、そう来なくっちゃな」

    「本当にいいのかい? もう引き返せないよ?」

    「もちろんだ、お前たちのほうこそ、もう逃がさないぞ?」

    「まぁ、まいっちんぐね♪」

    「ふふっ、面白い人」

    「あぁ、よろしくな!」

  • 43◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:56:14

     彼女たちが全員俺に抱き着いてくると、周囲から拍手が鳴り響いた。

     ……そうだ、ここは学校だった。

     気が付けば保護者どころか生徒の子たちまで俺たちに拍手を送ってくれている。

     ふと、担任のほうに目を向けると、いつの間にか抜け出していた娘とハイタッチをしていた。

    「せんせーやったよ!」

    「作戦通りね!」

     お前たち、グルだったのか……

    「……まぁ、いっか」

     これからのことを思えば胃は痛いが、それでもなんだかんだで俺も、うれしい気持ちには違いなかった。





     まぁ、騒がしくしすぎて教室の全員が校長先生に注意されたのは、ご愛敬だ。

  • 44◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 01:57:35

    これで終わり。

    ぶっちゃけ娘に外堀を埋められるトレーナーをかきたかっただけです、はい。

  • 45二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 02:00:12

    1で思いっきりトリばれしてるけどそれはええんか?

  • 46◆/am3gFNd8Y24/06/07(金) 02:01:35

    別のに変えたので大丈夫でしゅ

  • 47二次元好きの匿名さん24/06/07(金) 02:59:30

    応援スレに推薦しておいたゾ

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