その日は休日だった｜あにまん掲示板

1二次元好きの匿名さん24/06/09(日) 17:08:52

　仕事が一通り終わり、原稿を編集に提出をした後、私は外の空気を吸いたくなり街をぶらついていた時のことだ。
　普段の散歩とは違う道を歩いてみるかと、少し道を外れて裏路地を歩くことにした。
大通りから少し逸れるだけで、普段見るような建物も少し薄暗く見えるような光景を眺めながら歩いていると、ふと、とある看板が目についた。
　黒猫のシルエットがやけに目を引く看板。文字を見るからにどうやら喫茶店のようだった。
そういえば喫茶店なんてここ数年行ってなかったな、と思い立ち、扉を開けて入ってみることにした。
　カランカラン、と言う心地よい鈴の音に歓迎され、店内に立ち入る。
やはり裏路地の喫茶店だからか、客の影は少ない。しかし、掃除が行き届いているのか、店内は綺麗だった。

「いらっしゃいませ･･･お席はこちらになります」

　奥の方からやってきた黒髪の少女に席に案内される。
はて、どこかで見たことがあるような･･･そんなことを思っていると、とあることに気づいた。
頭部に生えた耳と、腰あたりから生えた尻尾。
うん、間違いない、彼女はウマ娘だ。
なるほど、見たことがあると思ったのは、おそらくテレビで見たことがあるのだろう。
ひょっとしたら重賞レースなんかで走っていたのだろう。
　彼女に案内された席に座る。木のテーブルは私に安心感を与え、適度に柔らかいソファは仕事に疲れた私の体を優しく包んでくれる。
メニューに目を通すと、どうやら珈琲が売りのようだ。
疲れていたこともあって、甘い物が欲しくなった私は、パンケーキと珈琲を頼むことにした。
　注文を受けた少女はカウンターの奥にいる男性に声をかける。
おそらくは彼女と彼だけでこの喫茶店を回しているのだろう。
もしかしたら夫婦で喫茶店を営んでいるのかもしれない。そう考えると私の創作意欲が刺激された。
　しばらく珈琲の淹れられる香りを堪能していると、少女が珈琲とパンケーキを運んできた。

「ごゆっくりどうぞ」

　そう言って机に置かれた珈琲は、カウンターの方から香ってきた匂いと違わず、インスタントばかりだった私にはいっそ新鮮とも言っても良かった。
一口、珈琲を口に運ぶと、カフェインの苦みと、しかしその中にある柔らかな甘さが私の体に染みこんだ。
　美味しい、とつい呟くと、少女は嬉しそうな顔をする。
　その時、私のお気に入りの喫茶店が決まったのだった。