【存在しない記憶SS】次は何する?

  • 1二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 21:55:29

    とん、とん、とん
    古びた小屋のドアを叩く
    ぎぃぃぃ、ばん
    立て付けの悪いドアが勢い良く開いた
    開いたのに姿が見えない。何度とされた恒例の悪戯
    「トラねえー、あそぼー」
    大きな声でドアに向かって叫ぶ
    「ココダヨー」
    部屋の中から声が聞こえた
    今日の悪戯はこれ?
    そう思いながら中に足を運ぶ

  • 2二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 21:55:52

    「…わ!」
    「ひぐぅぅぅ?!」
    耳元で囁かれて尻尾が跳ね上がる
    その尻尾をぎゅっと掴まれてまた飛び上がる
    不思議な感覚で涙目になってしまった
    「今日もウチの勝ち!だね」
    りんご色になったほっぺで得意そうに笑う
    悔しい。けど、楽しい
    笑うトラ姉の顔が大好きで、つられて僕も笑う
    「また負けたぁ…!」
    トラ姉はふふっと笑って僕の頭を撫でる
    「もっかい!トラねえ、もっかい!」
    「いいよん。何して遊ぼっか」
    手招きをされて小屋に入る
    作戦会議、と言う意味だ

  • 3二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 21:56:37

    みーんみんみんみん
    風が吹いて、6月なのに蝉が鳴く
    前に作った紙コップと割り箸の蝉
    ここでは一年中ないていた
    大きな水筒から紙コップに麦茶を注いで
    寝っ転がりながら作戦会議をした
    ぽつり、ぽつり
    雨が降ってきた
    雨が降ってきたなら、作戦なんて関係ない
    「行こっか」
    ニヤリ、と楽しそうに笑って僕の手を引く
    先にドアを出た方が逃げる
    鬼ごっこではない、距離がない無限のレース
    トラ姉はいっつも逃げている
    僕は追い込み。少しずつ、少しずつ近づいてく
    雨の日は追い込みの僕が有利
    逃げは山道を切り拓かなきゃいけない
    薄暗い雲の下で
    トラ姉が雨の日に『レース』をするのは、僕が有利だから
    そうじゃないと、僕が追いつけないから
    それを言うような付き合いのながさじゃない
    今はただ背中を追う
    だんだんバテて、僕が追い付く

  • 4二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 21:57:05

    「負けちゃったなぁ」
    あちゃーと言いながらも、その目はワクワクに溢れてる
    そんな目に憧れた
    2人とも泥まみれ
    泥まみれでも遊びは続く
    泥まみれなら雨で流せばいいんだよん
    そう言って木の下から出た
    思いっきって浴びる雨は気持ちよかった
    次は何する?
    何しよっか
    なんでもいいや
    ウチも。
    そう言う時は木のえだとか、空き缶とかを拾って小屋に戻る
    さ、作戦会議だよん
    またごろり、いっしょに寝転んだ

  • 5二次元好きの匿名さん24/06/10(月) 21:59:52

    おしまい。
    幼少期のトランとその幼なじみの幻覚SSです
    秘密基地ってロマンがあるよね、トランは多分秘密基地が各地にあった
    ここまでお読みくださりありがとうございました

  • 6124/06/10(月) 22:35:45

    鯖落ちしてた…書き終わった後でよかった…あとがきはブツ切れになっちゃった
    小屋のイメージはトランのお出かけ連続イベに出てくるやつ
    あの電波はこの時再生してた「ココダヨー」が発していたのかもしれない…なんて考えて書きました
    補足
    主人公はウマ娘でトランの1こ下です。幼なじみなのかもしれない

  • 7二次元好きの匿名さん24/06/11(火) 00:13:00

    はて…ワシトラ姉とこんな風に遊んだ事あるような…

  • 8124/06/11(火) 06:24:04

    >>7

    偶然ですね、自分もその記憶があるのです

    ……ん?

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