ウェーイwwオタクくん見ってる〜！？

1二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 23:38:48

オタクくん……◯◯が死んだ。
最後の最後で、爆発に巻き込まれた俺を助ける為に。
その在り方は、最期まで無碍で、無害で、無駄で、無益で……本当に腹が立った。
あいつの大切な彼女ちゃんたちに手を出した恨むべき俺の為に、誰よりも望まれてる自分を犠牲にするだなんて。お人好しの考えなしにも程がある。

何もやる気が起きなくて、しばらく家に篭った。
葬式でもやれればまだ違ったんだろうが、生憎あいつは骨すら残っていない。
ちゃんとした別れなんて許されない。あいつの命を踏み躙ったんだから、せめてそのくらいは背負わないと帳尻が合わない……………。
そう思っていたころ、彼女ちゃんがあの報せを持ってきた。

2二次元好きの匿名さん21/09/06(月) 23:39:05

「………よぉ」

秋晴れの下、もの言わぬ墓石と対面する。
遺骨が完全に消失していたというのはどうやら俺の勘違いで、実際は彼女ちゃんが指の先だけを回収していたらしい。
いつものように、水をぶっかけてやる。いつもなら響く抗議の声が、今は川のせせらぎにかき消された。

……むなしい。今更だが、本当にオタクくんは死んだのだと実感させられる。

「なぁ、オタクくんさぁ………どうして俺を助けたんだ？自分を優先すりゃよかったのに、本当に…………」

……声は聞こえない。誰も、俺の声に応じない。

あついものが滴るのを感じて、慌てて乾いた空を仰いだ。弱いところを、オタクくんに晒したくなかったから。
でも、そんなことで逃げられはしない。オタクくんが守った群青色の空が、否応なしに降り注ぐ。
そのうち耐えられなくなって、俺は叫んだ。

「ウェェェェェェェーイ！！！！オタクくん、見ってるぅぅー！？！？オタクくんが護った世界は……オタクくんがいない世界は、俺が貰ったから！！安心してっ……ぐっすり寝て！！こっち見とけよー！！」