- 11◆aU3r55gz/Y24/06/12(水) 08:52:30
「由来はどこだったっけ」
「ブラジル・サンパウロ地方では、女性の守護神で縁結びの神でもある聖人アントニウスの命日の前日をこの日としたそうですよ」
「……詳しいね」
「あなたとの日にピッタリなのですから」
マーチャンの細くしなやかな指がトレーナーの大きな手にそっと重ねられる。2人の距離はこれ以上ないくらい近い。
「アストンマーチャン」
「ふふ、マーちゃんで良いのですよ?」
「いや…今日はちゃんと呼びたくて」
いつもの砕けた呼び方、改まった呼び方、どちらの後にも紡ぐ言葉は決まっていて───
「アストンマーチャン」
「はい」
顔を近づけて、ひとつ。
「愛してる」
「マーちゃんもです」
吐息と、唇の温かさと、切なさを噛み締めて彼女は"らしくなく"言う。
「……いつか、こんなことは」
「いや、そうじゃない」
「………?」
「この瞬間は"永遠"なんだ」
「…グスッ そう、ですね」
いつまでも、愛する。そうするって言える。
彼の瞳の奥の想いを受け取ってまた彼女はその温もりを味わうのだった。 - 21◆aU3r55gz/Y24/06/12(水) 08:53:20
おわり
栗原ァァァァァ!!
恋人の日だぞォォォォ!!
SSには最適だぞォォオォォ!!!
(※パニック) - 3二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 09:22:31
色々書けそうな題材やね
ワシは書けんから皆頼むゾ - 4二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 09:41:06
マーチャンSS最近見るけど
文体的に同じ人みたいね ガンバレ - 5124/06/12(水) 10:14:45
ちょっと次書くまで保守
- 6二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 10:37:56
神概念助かるの保守
- 71◆aU3r55gz/Y24/06/12(水) 11:55:00
「恋人の日ですか」
トレーナー室のソファにゆるりと寝そべる芦毛の少女は、日そのものよりも由来に気が向いたようだ。
「それにしてもなぜ前日なんですかね?」
「なぜってそりゃ…」
正直なところ意味は全く知らないけど、単純に命日と記念日が重なるのはなんかこう縁起が悪いのではないか?とは思う。
「命日だから縁起が悪いとか?」
「んー、やっぱりそうなんですかね」
すっくとソファから立ち上がるとこちらに近づいてくる。
「でもヒトによっては命日と記念日……結婚式なんかを一緒にすることで、悲しみを喜びで上書きすることもあるらしいですよ!」
「まあ、要はその人の気持ち次第だな」
「んー…」
まあそうですねぇ、とフツーな結論に落ち着いた2人はしばし見つめ合う。
「…あの、トレーナーさん」
「…なんだい」
ふわり、芦毛からいい匂いがするくらいに近づいてミラクルは言う。
「せっかくそんな日なんですから…普通で終わらないようにしませんか?」
どくん、どくん。
「そう、だね」
「ですよね?でしたらその……」
手を握られる。彼はすべすべした手の感触にまた胸を高鳴らせる。
「ん………」
「…ミラクル」
普通に可愛い、その顔に手を添えて。
普通の関係じゃ出来ないひと時を。
─── - 8二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 12:01:26
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- 91◆aU3r55gz/Y24/06/12(水) 12:02:19
やがて、扉を叩く音で2人は慌てて離れる。
「◯◯トレーナー、そろそろ会議のお時間です」
「あ、ああはい!今行きます」
「わ、私も戻りますね」
たづなさんの呼びかけに各々は部屋を出て、日常に戻るのだった。
「ああそうだ、◯◯トレーナーさん?」
「なんですか?」
笑顔を崩さないまま彼に近づくたづなは囁くように言う。
「学生の間はキスまででお願いしますね?」
「………は、はい」
あのまま一線を越えたら、今日が命日だったかもな……なんて思うトレーナーだった。
まあたづなはそんなことしないのだが。
ちゃんちゃん。 - 10二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 12:02:41
応援スレに推薦しておいたゾ
- 11二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 12:03:07
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- 121◆aU3r55gz/Y24/06/12(水) 12:06:43
- 13二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 12:07:31
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- 14二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 18:51:56
凄く良かったです…