- 1スレ主◆zUC3rhx2JU24/06/12(水) 19:10:37
- 2スレ主◆zUC3rhx2JU24/06/12(水) 19:11:16
- 3スレ主◆zUC3rhx2JU24/06/12(水) 19:12:48
身長:138cm 髪色:赤 髪はふくらはぎ辺りまで伸びている 右目が赤、左目が橙のオッドアイ 視力:2.0 聴力:地獄耳(88)
体型 胸:虚無 腹:ガリガリ 尻:小さめ
え?なんでヴァルキューレ所属でRL使いなのにTシャツ短パンにサンダルなのかって?そもそも身を守る必要がないからな(耐久100)。
関係性 左が各人からシエンへの評価(好感度) 右がシエンから各人への評価(好感度) 数字が小さい程悪い 大きい程良い 中間は40
ヴァルキューレ カンナ:8,2→2+dice2d20=2 1 (3) キリノ:44,61 フブキ:93,59 ヴァルキューレモブ生徒:6,96 防衛室:75,25
フブキからの評価が高い理由:シエンのことを気に入ったから ヴァルモブからの評価が低い理由:いつも爆発に巻き込まれるから ヴァルモブへの好感度が高い理由:爆発に巻き込んでも結局現場復帰してくるくらい頑丈で、巻き込むことに抵抗がないから 防衛室からの評価が高い理由:シエンの検挙数しか見ていないから
シャーレ 先生:99,75 ユウカ:48,72
アビドス ホシノ:99,70 シロコ:86,118 ノノミ:48,97 セリカ:63,43→70 アヤネ:10,66
- 4◆zUC3rhx2JU24/06/12(水) 19:15:43
前回のあらすじ
先生の護衛としてシャーレに配属されたシエン。先生の計画性のない行動に振り回されるものの、どうにかアビドス高校の廃校対策委員会の面々に受け入れられ、共にカタカタヘルメット団の前哨基地を破壊した。
私たちがアビドスに出張に来てから2日が経った。今日は自由登校日らしく、まだ誰も登校してきていないのをいいことに、私は先生と共に高校を出てアビドスの住宅街を散歩していた。そこで、見知った顔と出会うことになったのだが…
セリカ「うっ…な、何っ…⁉」
"おはよう"
『よぉ』
セリカ「な、なにが「おはよう」よ!なれなれしくしないでくれる?シエンのことならまだしも、私、まだ先生のこと、認めてないから!全く、朝っぱらからのんびりうろついちゃって。いいご身分だこと。」
『しょうがないだろ、私は一応先生の護衛なんだからくっつき虫にならなきゃいけないんだよ』
セリカ「え、えぇ…?そ、そうなの…?それは、ドンマイね」
朝一発目から先生に対してはトゲ全開のセリカ。そんなセリカを試そうと、私は若干愚痴を漏らしてみたところ、直ぐに同情してくるセリカ。…、こいつ本当に騙されやすいな…
"セリカちゃんは、これから学校?"
セリカ「な、何よ!何でちゃん付けで呼んでんのよ!私が何をしようと、別に先生とは関係ないでしょ?朝っぱらからこんなところをうろちょろしてたら、ダメな大人の見本みたいに思われるわよ?じゃあね!せいぜいのんびりしてれば?私は忙しいの。」
傍から聞くと100%不審者な発言を繰り出す先生に対し、関わりを持ちたくないと言わんばかりに早口で捲し立てるセリカ。
"今から学校に登校するの?それなら一緒に行こうよ"
『おい先生、その発言は流石にマズイぞ?』
そう言って私がポケットから手錠を取り出し、先生に見せ付けるような素振りをすると、先生は一歩後ずさった。
セリカ「シエンの言う通りよ。そもそもなんで私があんたと仲良く学校に行かなきゃならないわけ?それに悪いけど今日は自由登校日だから、学校に行かなくてもいいんだけど?」
…、じゃあなんで制服着てるんだよ…という台詞は言わないでおく。火に油を注ぐことになるだけだからな。
"それじゃあ今日はどこに行くの?"
セリカ「そんなの教えるわけがないじゃない、じゃあね、ばいばい」
そう吐き捨て、セリカは砂埃を立てながら走り去っていった。
"追いかけるよ" - 5◆zUC3rhx2JU24/06/12(水) 19:16:13
『おい待て先生。それ以上は普通にストーカーでガッツリ違法だ。これ以上行くと私は本当にこれを使わなければならなくなるんだが…、どうする?』
セリカを追いかけようとした先生の腕を掴んで引き止め、その腕に手錠を掛けようとする。
"わかったよ。それじゃ、学校に戻ろうか"
『賛成だ。もう8時過ぎだからな』
そうして一悶着終えて私達はアビドス高校に戻った。
高校に戻った時には、セリカを除く対策委員会の面々が揃っていた。うん、これならば私が昼過ぎに少し離脱しても大丈夫だろう。
『先生、ちょっと昼過ぎに出掛けてきてもいいか?今日ならセリカ以外の対策委員会がいるから安全だろう。』
"ああ、うん。大丈夫だよ。"
そうして約束を取り付けた私は午後に外出する権利と自由時間を得た。そして12時を過ぎた頃、私は高校を出、とある場所に向かった。それは…柴関ラーメンだ。
セリカ「いらっしゃいませ!柴関ラーメンです!」
「何名様ですか?空いてる席にご案内いたしますね!」
「少々お待ち下さい!3番テーブル、替え玉追加です!」
「いらっしゃいませ!柴関ラーメンで…、シ、シエン!?なんでここに!?」
『いや、普通にラーメンを食べに来たんだが…見る限りバイト中のようだな。他意はないし、何か問題でもあったか?』
セリカ「いえ、ないわ。席はどこがいい?」
『じゃあカウンター席で頼む』
私が柴関ラーメンに食事に行くと、まさかのセリカがいた。しかもエプロンを着ているため、恐らくバイト中なのだろう。だがここでセリカを刺激することはない。他人の業務を妨害するのは好きではないからな。
柴大将『お、嬢ちゃん初めて見る顔だね、何にする?』
『それならば…、大将のイチオシを大盛りで頼む。』
カウンター席の奥にある厨房にかかっている暖簾の隙間から顔を覗かせた柴大将に問いかけられ、私は注文を全て大将に任せることにした。これだけ繁盛してるんだ、これで間違いはないだろう。 - 6二次元好きの匿名さん24/06/12(水) 19:25:37
バーサーカーに正当防衛の拡大解釈まで与えた結果がこれである
- 7◆zUC3rhx2JU24/06/12(水) 21:13:32
柴大将「あいよ、うちの看板メニュー、柴関ラーメン特盛一丁!」
そう言って柴大将が暖簾を押し上げて私に差し出した器には、コーンやチャーシュー、メンマ、煮玉子などがこれでもかと敷き詰められており、その表面からは麺が見えなかった。
『おお、最高じゃないか。それじゃ、いただきます!』
カウンターの奥に備え付けられた箸立てから箸を一膳手に取り、私はラーメンに箸をつけた。
(飯テロ回避+文才不足のためカット!)
私がラーメンに舌鼓を打っている間にも客足が途絶えぬ店内。そんななか、どこからか聞き馴染みのある声が聞こえた気がした私はふと顔を上げた。その直後、ガララッという物音をたてて開かれた扉の奥から見慣れた5人組が入店してきた。
セリカ「いらっしゃいませ!柴関ラーメンで…って、わわっ!?」
ノノミ「あの〜☆5人なんですけど〜!」
アヤネ「あ、あはは…セリカちゃん、お疲れ…」
シロコ「お疲れ。」
セリカ「み、みんな…、どうしてココを…!?」
ホシノ「うへ〜やっぱここだと思った。」
"どうも。"
その台詞と共に対策委員会の面々の後ろからスッと現れた先生をみた私は、セリカが次に言うであろう言葉を予想し、先生に見せびらかすように手錠を少し掲げた。
セリカ「せっ、先生まで…やっぱストーカー!?」
"ス、ストーカーなんてとんでもない!?"
セリカの発言を強く否定する先生と一瞬目が合ったような気がするが、ま勘違いだろう。どうやら先生は多少は反省してるみたいだし、良きかなよきかな
ホシノ「うへ、先生は悪くないよー。セリカちゃんのバイト先といえば、やっぱここしかないじゃん?だから来てみたの。」
セリカ「ホシノ先輩かっ…!!ううっ…!」
先生を援護するように放たれたホシノの言葉に、迂闊だったとくずおれかけるセリカ。その状況に口を挟んだのは、厨房にいた柴大将だった。
柴大将「アビドスの生徒さんか。セリカちゃん、おしゃべりはそれぐらいにして、注文受けてくれな。」
セリカ「あ、うう…はい、大将。それでは、広い席にご案内します…こちらへどうぞ…」
厨房からラーメンを持って出てきた柴大将に念を押され、諦めたと言わんばかりに先程までの元気が無くなるセリカ。そんなセリカに連れられた5人組は私がいたカウンター席の後ろのテーブル席に通された。 - 8◆zUC3rhx2JU24/06/12(水) 21:26:00
テーブル席に通され、左側の席の奥にホシノ、手前にシロコが座り、右側の席の奥にアヤネ、手前にノノミが座り、先生はまだ座っていない状況で
ノノミ「はい、先生はこちらへ!私の隣、空いてます!」
シロコ「…ん、私の隣も空いてる。」
と、二人から声を掛けられる先生。正直この状況は傍観者である私からしたらなかなか面白かった。
そうして、悩みに悩んだ末に先生が選んだ席はdice1d3=1 (1) 1,ノノミの隣 2,シロコの隣 3,私の隣 だった。
- 9魂◆zUC3rhx2JU24/06/12(水) 22:14:21
すいません、今日若干体調悪いので10まで書いて寝ます。明日は上手く行けば便利屋まで出せそう…
- 10◆zUC3rhx2JU24/06/12(水) 22:30:21
ノノミ「ん、ちょっと狭いですけど、大丈夫ですよね?あら、窮屈ですか?それなら、私の膝の上にでもどうぞ?」
"いや、それは流石に大丈夫だよ"
若干声が上ずっている先生の声を聞き、やはり先生といえども人間なんだなと、少し笑ってしまった。
『あ、大将。特盛替え玉追加で一つお願いするぞ』
柴大将「…、嬢ちゃんその体で良く入るな…。」
『最初に特盛を出してきた大将がそれを言うのか?』
柴大将「ハハッ、それもそうか。替え玉ね、了解」
…、この大将。思ってたよりノリいいな。頼りになる
私が1人でそう考えていると、後ろから先生らの会話が聞こえてきた。
セリカ「何してんのよ!人の店で!」
セリカから文句が飛来するが…
ノノミ「あはは、冗談ですよ、セリカちゃん☆」
それを軽く受け流すノノミ。完全に扱いを理解しているんだな…
…、なんか後輩のバイトエプロンユニフォーム姿を勝手に写真に収めて一儲けしようと画策する3年生の声が聞こえた気がするんだが…。ま、まぁ流石に勘違いであろう。そうだと思いたい。おい待て、先生に売ろうとするな、というか先生も満更じゃないのなんなんだ…。私が言うのもなんだが、治安というか常識が終わってないか?ここ - 111スレ目の>>14024/06/13(木) 07:28:07
スレ立て乙
…廃校対策委員会(黒見セリカ以外)と先生、いつカウンター席に霧切シエンがいると気付くんだろう… - 12魂◆zUC3rhx2JU24/06/13(木) 09:36:13
普通に気付いてますが、ホシノ→いつも通り、シロコ&ノノミ→先生争奪戦、アヤネ→好感度10なので…
- 13◆zUC3rhx2JU24/06/13(木) 09:36:37
セリカ「…ところで、みんなお金は大丈夫なの?もしかして、またノノミ先輩に奢ってもらうつもり?」
ノノミ「はい、私はそれでも大丈夫ですよ☆このカードなら、限度額までまだ余裕ありますし。」
そう言って黄金色に輝くカードを取り出すノノミ。
『…あれ、キヴォトスゴールドエクスプレスカードじゃないか…?聞いたことはあったが、現物を見るのは初めてだな。』
なるほど、確かノノミは大企業セイントネフティス社のご令嬢だったな。というか皆いつもノノミに奢ってもらってるのか…
ホシノ「いやいや、またご馳走になるわけにはいかないよー。きっと先生が奢ってくれるはず。だよね、先生?…え?初耳だって?あはは、今聞いたからいいでしょ!」
あ、先生が逃げた。んじゃ捕獲っと
"わわっ、シエン!?ちょっと手を離してくれないかな!?"
『よっと、ほれ先生、こっち来な。食事処に来て何も頼まずに帰るのは失礼が過ぎるぞ』
ホシノ「ありゃ、シエンちゃんに先に取られちゃったかー。」
私の後ろを通って店の入口に向かおうとした先生の腕を捕まえ、隣のカウンターに座らせる。
『ちゃんと何か食べるまで逃さんぞ、先生。』
"うん、わかったよ。それじゃ、シエンのと同じのを頼もうかな。大将!"
その呼び声に反応した柴大将の返事が厨房から返ってくる。
柴大将「あいよ、注文は?」
『私に出してくれたラーメンをもう一つ先生に頼む』
替え玉を持ってきた柴大将に、先生の代わりにそう注文し、柴大将から替え玉を受け取ってスープに投入した。
『…そういえば、私先生と連絡先交換してなかったな。今交換しないか?』
私は先生にスマホを差し出した。なんか背中に視線が突き刺さってきてるような気がするが…まぁ無視でいいだろう。個人的なものなら兎も角、これは業務上必要なことなんだ。
『ふぅ、ご馳走様でした。』
先生と連絡先を交換し、再びラーメンに箸を伸ばした私は替え玉を完食した後、器に残ったスープを飲み干し空になった器をカウンターに置いて席を立った。その横では、先生が特盛柴関ラーメンに舌鼓を打っていた。私は周囲を見渡し、丁度テーブル席の片付けをしていたセリカに声をかけた。 - 14◆zUC3rhx2JU24/06/13(木) 09:36:50
『セリカ、会計いいか?』
セリカ「ちょっと待って、はい。いいよ…って、多くない!?」
レジに着いたセリカに、私は本来の会計額の10倍近い金額を差し出す。
『いいからいいから。…ちょっと耳貸して。…先生はまだ赴任してきたばかりで給料を貰っていない可能性がある。それにあの雰囲気だと先生が奢ることになるだろうから、代わりにこれで支払ってくれ。』
そうして私は6人分のラーメン代としてPG-7V2発分にも満たない程度の金額をセリカに支払い、そのまま店を出た。
『さて、これからどうしようかな?』 dice1d3=3 (3) 1,そのまま学校に戻る 2,暇だから周辺の廃墟でも探索する 3,一昨日設置したまま放置していた設置物を回収しに行く
- 15◆zUC3rhx2JU24/06/13(木) 12:37:08
『…やることないし、この前仕掛けた小道具でも回収しに行くか』
そうして暇を持て余した私は以前ヘルメット団のリーダーに「質問」させてもらったあの線路沿いの廃墟に向かった。
移動すること約20分、目的地であるアビドス郊外に到着した私が見たのは…高射砲であるFlaK41に似た何かを装着した戦車だった。そこで私は違和感を覚えたのだが、その違和感はとある人物の声により、一瞬で塗り替えられた。
リーダー「ようし…、カイザーから最後のチャンスとして大量に兵器を受け取ったからには、もう負けることは出来ないんだ…」
声の主はあの赤ヘルメット不良だった。しかもその先には数十人程のヘルメット団がおり、各々があまり…というよりほぼ見かけないであろう銃を装備していた。
『ふむ、やはり懲りてなかったか。ついでに協力者もカイザーで確定っと。それに…』
私はヴァルキューレの資料室で見た資料を思い出した。
『…確か、FlaK41はキヴォトスでの使用が禁止されていたハズだが…』
あのカイザーだ。それぐらいやっていてもおかしくはないだろう。となると、ヘルメット団が持っている銃のほとんどがFlaK41と同様に使用が禁止されている物品なのだろう。
『…、やはりこれは私一人でどうにかできる案件じゃないようだな。』
この状況をどう楽しんでやろうかと私が1人で考えていると、またあの赤ヘルメットのリーダーの声が聞こえてきた。
リーダー「今回の最優先目標は対策委員会1年、黒見セリカの捕縛。次いで最近アビドスに来たシャーレの先生及びその護衛だ!」
『ほぅ?』
どうやら目の前で喧嘩を売られたらしい。昂る闘争心を抑え、私はカンナ局長に通報しようとスマホを取り出した。しかしリーダーの発言はまだ続く。
リーダー「黒見セリカはアビドス高校からの退去と引き換えにするため、殺すことは許されない。が、先生と護衛は別だ。見つけ次第攻撃せよ。作戦決行は今夜、各自装備品と車両の調整を怠るなよ!いいな?」
ヘルメット団「「「「はい!」」」」
廃墟一帯に響く返答。しかしここ一帯は砂漠化の進行するアビドスの郊外であるので、部外者でその声を聞くものはいない。 - 16◆zUC3rhx2JU24/06/13(木) 12:37:24
『ほうほう、つまりこれは…「先生及び私を目標とするテロ行為」というわけだな?』
私は現時点でコイツらが犯した罪と、これから起こすであろう罪状を並べてみた。
『現時点で違法銃火器所持、凶器準備集合、襲撃未遂に加え、不法侵入、教唆及び扇動か。もう役満だな。』
私は録音していた音声データを纏めて、応援要請と共に上司に送信した。
返答はdice1d2=1 (1) であった。 1,是 2,非
- 17◆zUC3rhx2JU24/06/13(木) 16:13:07
さて、現状を再確認してみよう。まずこちらは1人で、所持品は警棒程度。RLも装甲車もない代わりに、カタカタヘルメット団が根城としているここ一帯に爆弾を設置している。対して向こうは違法物品で完全武装した不良生徒がdice10d10=1 1 7 3 1 2 4 9 7 7 (42) (最低値30)人に、FlaK41をはじめとした大型兵器や戦車等が多数。この状況ではdice1d4=4 (4)
1,『流石の私でも突撃は躊躇するなぁ。一度撤退するか』
2,『とりあえず、嫌がらせで車両を破壊してから公安局の応援を待つか』
3,『いっそ変装して忍び込むかな』
4,『むしろ一網打尽にしたくなるよなぁ!突撃じゃあ!』
- 18◆zUC3rhx2JU24/06/13(木) 16:31:27
『見る限り、相手は30人前後か…。戦車の中にいるであろう人数分も含めると、40は下らないってところか?』
人数と周辺環境の確認を終え、ある程度の目星を付ける。
『変装は…しなくてもいいか。』
そう呟く私の右手には、画面に「起動」と書かれたボタンを表示しているスマホが握られていた。
『さぁ、第2回戦開幕だ』
直後、私のスマホからの信号を受け取った爆弾が次々と起爆し、元々廃墟と化していた辺り一面を閃光と爆発音、悲鳴が飛び交う阿鼻叫喚の更地に塗り替える。
勿論ここは砂漠であるため、爆発によって地上の砂が大きく巻き上げられ、視界が砂一色になる。が、私にはこの耳がある。人工砂嵐のなかを耳だけを頼りに駆け抜け、手当たり次第に警棒を振り下ろし続けた。飛び交う悲鳴、恐怖からか銃を乱射するものも現れるが、視界が良くない状況でそんなことをすると、被害が大きくなるだけだ。
そうして砂嵐が収まった時、その場に立っていたのはdice2d10=6 6 (12) 人だけだった。
- 19◆zUC3rhx2JU24/06/14(金) 00:05:09
リーダー「ばっ、バケモノ…」
『ア゙?なにか文句でもあるのか?』
私の襲撃と連続爆発を受けてまだ意識を手放していなかった11人に対し、私は殺意を乗せた視線で威圧した。殺気にあてられた、ただそれだけでdice1d11=11 (11) 人(最大9)が気絶した。腑抜けた奴らだ、全く。
リーダー「お、お前は本当に人間なのか!?」
汗を滝のようにかきながら、私に非常に失礼な問いかけを行うヘルメット団のリーダー。そんなリーダーの胸倉を掴んで持ち上げた私は告げた。
『失礼な、ちゃんと人間だよ。そんな失礼なことを言うもんじゃない、ぞっ!』
私は持ち上げたリーダーを地面に叩き付け、暫くおねんねしてしてもらうことにした。勿論地面は砂なので命の危険はない。その後、私は後ろに振り向き、完全に心が折れていた残り全員に向けて告げた。
『さぁて、他に1人でおねんね出来ない悪い子はいないか?』
カンナ「おいシエン、これはどういう状況だ?」
『さぁな、私は戦うことしか能がないバカだからな。後処理頼むぜ、カンナ局長?』
カンナ「どの口が言うんだ、全く…。証拠はまだ挙げないほうがいいんだろう?」
『ああ、私の予想だとまだ裏がある。それに防衛室の癒着の証拠がない。まだ時期尚早だろうな』
2時間後、部下の公安局員十数名を連れてやって来た局長に、私は事の詳細を伝えた。結局逮捕者は合計41人に昇り、押収された銃火器からカイザーとの関係が表に出る程の証拠が山程出た。勿論大手柄であった。そして私は正当防衛が適用されるので無罪だ。…過剰防衛?死人が出ていないからセーフだ。
- 20◆zUC3rhx2JU24/06/14(金) 00:07:46
カイザーPMC理事「…。格下のチンピラごときでは、あの護衛には傷一つ付けられないのか。違法銃器や主力戦車まで送り出したというのに、このザマとは。ふむ…となると、目には目を、生徒には生徒を…か。…専門家に依頼するとしよう。」
(プルルル、プルルル) (ガチャ)
???「はい、どんなことでも解決します。便利屋68です。」
カイザーPMC理事「仕事を頼みたい、便利屋。」
ヘルメット団B「はぁ…はぁ…。せっかくあのバケモノから逃げ切ったところなのに…って、うわああっ!?」
タタタタタタタタンッ!!
ヘルメット団B「ぐうっ!!、!?」バタッ
ムツキ「あーあー、こっちは終わったよー。」
カヨコ「こっちも制圧完了だ、ボス。」
ヘルメット団A「う、うう…何者だ、貴様らは…。」
アル「…ふふふ。」グリッ
ヘルメット団A「うあああっ!!ま、まさか、アビドスの!?よくも我々を…」
アル「はぁ、こんな不潔で焦げ臭い匂いのする焼け野原がアジトだなんて。あなたたちも冴えないわね。…いいわ。あなたたちを、労働から解放してあげる。」
ヘルメット団A「なっ、何だって!?」
アル「要するにクビってこと。現時刻をもって、アビドスは私達が引き受けるわ。」
ヘルメット団A「ふっ、ふざけた真似を!貴様らは一体…。」ガツッ!!
ヘルメット団A「うわああっ!!」
アル「…、私達は便利屋68。金さえ貰えれば、何でもする…、何でも屋よ。」
『ふうむ、便利屋68、ねぇ。一応指名手配になっていたんだが…、まぁ面白いからいいか』
ビシッと決めた登場の仕方をしたその集団を、私は隣の廃ビルの上から見定めていた。カタカタヘルメット団の残党の処理は本来私の担当だったので、手間が省けて助かったというべきか?
『前情報からすると、キヴォトス有数の実力を持つ狙撃手の陸八魔アルを社長に、便利屋で参謀を務める課長の鬼方カヨコ、相手を翻弄し、情報戦を得意とする係長の浅黄ムツキ、それにいきなり理由のわからないことを言い出して暴れ出す社員の伊草ハルカの4人…だったか?まぁいいだろう』
蹲踞の姿勢から立ち上がり、持っていたプロブレムソルバーから弾頭を外して筒を背負った私は1人呟く。
『ここにいる私からの奇襲を警戒していないあたり、その程度のやつらだろうし、独立変数にはなりえないな』 - 21魂◆zUC3rhx2JU24/06/14(金) 00:11:39
予定的な問題で今日明日ここに触れられない可能性があるので、どなたかできれば保守お願いします。
- 22◆zUC3rhx2JU24/06/14(金) 09:25:25
翌朝、私達はアビドス高校廃校対策委員会の部室に集められた。
アヤネ「それでは、アビドス対策委員会の定例会議を始めます。本日は先生とシエンちゃんにもお越しいただいてるので、いつもより真面目な議論ができると思うのですが…。」
ノノミ「は〜い☆」
シロコ「もちろん」
セリカ「何よ、いつもは不真面目みたいじゃない…。」
ホシノ「うへ、よろしくねー、先生、シエンちゃん」
"よろしく。"
『ああ』
この場にいるのは対策委員会の面々と、先生、そして私だ。会議の進行役はアヤネが務めるとのこと。まぁ、私が口を出す事案でもないし、今回は傍観者にでもなりますか。
アヤネ「それでは早速議題に入ります。本日は、私達にとって非常に重要な問題…「学校の負債をどう返済するか」について、具体的な方法を議論します。ご意見のある方は、挙手をお願いします!」
セリカ「はい!はい!」
最初に手を上げたのはセリカだった。そんな明確な手段を持っているのであれば何故今まで実行しなかったんだとは思ったが、よくよく考えたらこいつの場合速攻で頓挫するな…。
アヤネ「はい、1年の黒見さん。お願いします。」
セリカ「…あのさ、まず名字で呼ぶの、やめない?ぎこちないんだけど。」
自信満々に手を上げたセリカが投下した意見は、ただのクレームだった。いや別にいいだろ、慣れろよその程度…
アヤネ「せ、セリカちゃん…でも、せっかく会議だし…。」
ホシノ「いいじゃーん。おカタ〜い感じで。それに今日は珍しく、先生とシエンちゃんがいるんだし。」
シロコ「珍しくというより、初めて。」
ノノミ「ですよね!なんだか委員長っぽくてイイと思いま〜す☆」
セリカ「はぁ…ま、先輩達がそう言うなら…。…とにかく!対策委員会の会計担当としては、現在我が校の財政状況は破産の寸前としか言いようがないわっ!このままじゃ廃校だよ!みんな、わかってるよね?」
いやなんでお前が会計担当なんだという言葉を飲み込む。実際ノノミのほうが適任だと思うんだがな…。
ホシノ「うん、まあねー。」
セリカ「毎月の返済額は、利息だけで788万!私達も頑張って稼いではいるけど、正直利息の返済も追いつかない。これまで通り、指名手配犯を捕まえたり、苦情を解決したり、ボランティアするだけじゃ限界があるわ。このままじゃ、埒が明かないってこと!何かこう、でっかく一発狙わないと!」 - 23◆zUC3rhx2JU24/06/14(金) 16:50:11
ん?なんか話の雲行きが怪しくなってきてないか?
アヤネ「でっかく…って、例えば?」
セリカ(ピラッ)「これこれ!街で配ってたチラシ!」
アヤネ「これは…!?」
ホシノ「どれどれ…。「ゲルマニウム麦飯石ブレスレットであなたも一攫千金」…ねぇ…?」
セリカ「そうっ!これでガッポガッポ稼ごうよ!」
そう、セリカが胸を張って私達に見せつけたチラシは明らかにマルチ商法のものだった。…、ダメだこいつ。
アヤネ「…。」
セリカ「この間、街で声を掛けられて、説明会に連れて行ってもらったの。運気を上げるゲルマニウムブレスレットってのを売ってるんだって!」
シロコ「…。」
『まさかこれほどだったとは…、ハァ』
"ううむ、これは…、どうしようかなぁ"
「私、天才!」と言わんばかりにドヤ顔をするセリカとは対称的に、絶句するアヤネ、無言で首を横に振るシロコ、頭を抱える先生、残念な生き物を見るような視線をセリカに送るホシノ。場の雰囲気が凍りついてもなおセリカは続ける。
セリカ「これね、身に着けるだけで運気が上がるんだって!で、これを周りの3人に売れば…、みんな、どうしたの?」
ホシノ「却下ー。」
セリカ「えーっ!?何で?どうして!」
アヤネ「セリカちゃん…それ、マルチ商法だから…」
シロコ「儲かるわけない。」
『お前それでも会計担当なのか?』
"これは、ねぇ…"
セリカ「へっ!?嘘!?」
全員からの指摘を受け、先程までのドヤ顔がどんどん崩れていくセリカ。
アヤネ「そもそもゲルマニウムと運気アップって関係あるのかな…?
『いや、以前ミレニアムのエンジニア部から聞いた話によると、ゲルマニウムは半導体やダイオードに使われるくらいで、運気などとは全く関連性を持たないらしいぞ』
というかなんならその半導体の素材という立場も今ではケイ素が主流になって、廃れてきてるんだがな… - 24◆zUC3rhx2JU24/06/14(金) 16:50:51
アヤネ「うん、そうだよね。…というか、こんな怪しいところで、まともなビジネスを提案してくれるはずなんてないよ…」
セリカ「そっ、そうなの?私、2個も買っちゃったんだけど!?」
ノノミ「セリカちゃん、騙されちゃいましたね。可愛いです☆」
セリカ「…!?」
ノノミの一言で泣きそうな顔になるセリカ
ホシノ「まったく、セリカちゃんは世間知らずだねー。気を付けないと、悪い大人に騙されて、人生取り返しのつかない事になっちゃうよー?」
"うん、これで勉強になったね…。これ以降気を付ければいいと思うよ"
セリカ「そ、そんなあ…そんな風には見えなかったのに…せっかくお昼抜いて貯めたお金で買ったのに…。」
『そもそも一目みていかにも詐欺だと分かるようなスタイルで詐欺を実行するバカはいないだろ…』
ノノミ「大丈夫ですよセリカちゃん。お昼、一緒に食べましょう?私がご馳走しますから。」
セリカ「ぐすっ…ノノミせんぱぁい…。」
あ、セリカが陥落してノノミの胸に顔を埋めた。
"…いいなぁ、って痛っ!?"
私の隣でボソッと呟いた変態の脛を足の親指と人差指でしっかりと摘む。一瞬で脱ぐことができるサンダルだからこそできる芸当だ。
『独り言でも私には普通に聞こえるからな?不用意な発言は控えたほうがいいぞ』
"…、ハイ"
アヤネ「えっと…それでは、黒見さんからの意見はこの辺で…他にご意見のある方…。」
ホシノ「はい!はい!」
お、どうやら会議に進展があったらしい。今までに見たことがないほど生き生きとしているホシノが手を上げた。
アヤネ「えっと…はい、3年の小鳥遊委員長。ちょっと嫌な予感がしますが…。」
ホシノ「うむうむ、えっへん!我が校の一番の問題は、全校生徒がここにいる数人だけってことなんだよねー。生徒の数イコール学校の力。トリニティやゲヘナみたいに、生徒数を桁違いに増やせば、毎月のお金だけでもかなりの金額になるはずー。」
アヤネ「え…そ、そうなんですか?」
"確かにね。生徒が増えたらその分だけ集まる学費も増えるからね。間違っていないと思うよ"
ホシノ「先生の言う通り、そういうことー!だからまずは生徒の数を増やさないとねー、まずはそこからかなー。そうすればアビドスから連邦生徒会に議員も輩出できるし、連邦生徒会での発言権も与えられるしね。」 - 25◆zUC3rhx2JU24/06/14(金) 16:51:49
『合法的に事を進めるには実際それが一番良い手段だろうな。だがどうやって生徒を集めるんだ?まさか誘拐とは言わないよな?』
チャッ、と軽い金属音を出す手錠に手を掛ける。
アヤネ「かなり鋭いご指摘ですが…でもシエンちゃんの言う通り、どうやって…?」
ホシノ「簡単だよー、他校のスクールバスを拉致ればオッケー!」
アヤネ「はい!?」
『…私は今誘拐はするなと暗に伝えたつもりだが…』
ホシノ「大丈夫、誘拐はしないよー。ただ単に登校中のスクールバスをジャックして、うちの学校への転入学書類にハンコを押さないとバスから降りられないようにするのー。うへ〜、これで生徒数がグンと増えること間違いなーし!」
あー、いや、うん。確かに「誘拐」はダメだと言ったが、「半強制的な転校」には言及してなかったな。いやどっちにしろダメなんだが
シロコ「それ、興味深いね。ターゲットはトリニティ?それともゲヘナ?ミレニアム?狙いをどこに定めるかによって、戦略を変える必要があるかも。」
"シロコ!?"
ホシノ「お?…えーっと、うーん…そうだなあ、トリニティ?いや、ゲヘナにしよーっと!」
おい待てシロコ。それはやめて差し上げろ。まさか賛成されると思ってなかったみたいな表情して言葉に詰まった先輩の姿が見えないのか?
『…、このメンバーでゲヘナのバスを強襲は流石に無理じゃないか?確かにホシノが本気を出せばあの風紀委員長相手に有利に立ち回れるかもしれないが…、他の風紀委員メンバーはどうするんだ?』
アヤネ「そ、そうですよ!そんなことしたら他校の風紀委員が黙っていないだろうし、そもそもその方法でどうにかなるほどゲヘナ生は基本マトモじゃありません!」
ホシノ「うへ〜、やっぱそうだよねー?」
うん、やはりゲヘナ生が基本捻くれ者なのは共通認識だよな。
アヤネ「やっぱそうだよねー、じゃありませんよ、ホシノ先輩…もっと真面目に会議に臨んでいただかないと…。」
シロコ「いい考えがある。」
次に手を上げたのはシロコ。私に近い人種なので、どんな爆弾発言が飛び出るかと思ったが
アヤネ「…はい、2年の砂狼シロコさん…。」
シロコ「銀行を襲うの。」
"!?"
アヤネ「はいっ!?」
『…、お前正気か?』
予想の斜め上に飛んで消えていった。 - 26◆zUC3rhx2JU24/06/14(金) 16:52:34
シロコ「確実かつ簡単な方法。ターゲットも選定済み。市街地にある第一中央銀行。金庫の位置、警備員の動線、現金輸送車の走行ルートは事前に把握しておいたから。」
アヤネ「さっきから一生懸命見てたのは、それですか!?」
道理で静かだったのか…
シロコ「5分で1億は稼げる。はい、覆面も準備しておいた。」
そう言って紙袋から取り出した青い何かを被るシロコ。その被ったものは
『おいそれ目出し帽じゃねぇか!』
どうやら計画性は◎のようだ。だが倫理感と常識は✕らしい。私の言えたことじゃないのだが…
アヤネ「いつの間にこんなものまで…」
ホシノ「うわー、これ、シロコちゃんの手作りー?」
ノノミ「わあ、見てください!レスラーみたいです!」
アヤネ「…。」
"…"
キャッキャキャッキャとはしゃぐ高学年3人組に対して、呆れ返って呆然とするアヤネ、どこぞの司令官のようなポーズで両肘をついて手を組み、ため息を吐く先生、そして正気に戻ったのか、プルプルと震えているセリカがいた。見てて非常に滑稽だ。
ホシノ「いやー、いいねぇ。人生一発でキメないと。ねぇ、セリカちゃん?」
セリカ「そんなわけあるか!却下!却下ー!!」
アヤネ「そっ、そうですっ!犯罪はいけませんっ!」
ホシノの一言で復活して声を荒らげるセリカ、それに続いて現実に意識を引き戻したアヤネの反対の声が続く。
シロコ「…。」
少しの間を置き、無言で目出し帽を脱ぐシロコ。その表情は不貞腐れた子供そっくりであった。
アヤネ「そんなふくれっ面してもダメなものはダメです、シロコ先輩ッ!」
ツッコミ疲れたのか、シロコへの文句を吐き出した後に肩で呼吸するアヤネ。
アヤネ「はぁ…みなさん、もうちょっとマトモな提案をしていただかないと…。」
ノノミ「あのー!はい!次は私が!」
アヤネ「はい…2年の十六夜ノノミさん。犯罪と詐欺は抜きでご意見をお願いします…。」 - 27◆zUC3rhx2JU24/06/14(金) 16:53:28
まだまだ元気なノノミの挙手に対し、疲れ果てたような小さな声で応えるアヤネ。うーむ、流れ的にまた犯罪関連なのだろうか…。
ノノミ「はい!犯罪でもマルチ商法でもない、とってもクリーンかつ確実な方法があります!アイドルです!スクールアイドル!」
アヤネ「ア、アイドル…!?」
ノノミ「そうです!アニメでみたんですけど、学校を復興する定番の方法はアイドルです!私達全員がアイドルとしてデビューすれば…。」
"却下"
『却下だ』
ホシノ「却下」
ノノミの意見に同時に反対する私とホシノに先生。
ノノミ「あら…これもダメなんですか…」
セリカ「なんで?ホシノ先輩なら、特定のマニアに大ウケしそうなのに」
非常に危険な発言を繰り出すセリカ。
ホシノ「うへーこんな貧相な体が好きとか言っちゃう輩なんて、人間としてダメっしょー。ないわー、ないない。」
ホシノのその発言が刺さったのか、何故か小さな声で"うぐっ"と零した先生。その声に反応し、またも即座に変態の脛を摘む私。
ノノミ「決めポーズも考えておいたのに…。」
そう言っていきなりポーズを取るノノミ。
ノノミ「水着少女団のクリスティーナで〜す♧」
セリカ「どういうことよ…、何が「で〜す♧」よ!それに「水着少女団」って!だっさい!」
"スクールアイドルをやるにしても、どうして水着ってワードが入ってくるんだい?"
…、これは摘まなくてもいいか。
ノノミ「えー、徹夜で考えたのに…」
分かりやすく残念がるノノミ。いやそれ徹夜で考えることじゃないだろ。もうちょっと時間を有効活用しろよ…。
アヤネ「あのう…議論がなかなか進まないんですけど、そろそろ結論を…」
この収拾のつかない状況の中、おずおずと手を上げ、アヤネが尋ねる。
ホシノ「それは先生に任せちゃおうー。先生、これまでの意見で、やるならどれがいい?」 - 28◆zUC3rhx2JU24/06/14(金) 16:56:15
…、これ正解ないだろ…。先生頑張れ
アヤネ「えっ!?これまでの意見から選ぶんですか!?も、もう少しマトモな意見を出してからの方がいいのでは!?」
ホシノ「大丈夫だよー。先生が選んだものなら、間違いないって。」
アヤネ「ちょ、ちょっと待ってください!何でそう言い切れるんですか!?」
アヤネの放った至極真っ当な意見を一蹴し、先生に全責任を負わせようとするホシノ。
セリカ「まさかアイドルをやれなんて言わないよね?」
ノノミ「アイドルで☆お願いします♧」
シロコ「…(スッ)」
おいシロコ、一度脱いだ目出し帽をまた被って先生に期待の視線を向けるんじゃない。
そんななか、先生が取った選択肢はdice1d4=3 (3) だった。
1,銀行強盗 2,スクールアイドル 3,バスジャック 4,「ごめん、シエン。後のこと全部お願い」とだけ言って気絶する
- 29二次元好きの匿名さん24/06/14(金) 23:59:15
えぇ…
- 30魂◆zUC3rhx2JU24/06/15(土) 00:52:12
ちょっと一気に上げすぎて間に合いそうにないので適当にキャラのイメージ練ってた時に生まれた設定(というかやらかし)を3つほど投下しときます
シエンの武勇伝(一般的には黒歴史)
カンナ「お前さっきからうるさいぞ!状況がわからないなら黙っててくれ!」
シエン「じゃあなんで現場に呼んだんだ?」
立て籠もり犯「手を上げろ!この人質がどうなってもいいのか!」
シエン 両中指スッ
犯人「お前ふざけれるのか!?」
シエン「上げる手の部位の指定は無かったぞ」
犯人「こ、これで見逃してくれ」賄賂スッ
シエン「そうか、ありがとな」受け取って犯人逮捕
犯人「は?お前今賄賂受け取っただろ!?」
シエン「ああ、善意の第三者から寄付を受けたな。私は賄賂なんて受け取ってないぞ?」 - 31◆zUC3rhx2JU24/06/15(土) 08:21:13
『…、ハァ( ´Д`)=3』
先生のその決定に対し私は大きなため息を吐いた。正直仕事が増えただけなので、本当に手錠を掛けてやろうかとも思ったが、今の私にはそれすらできる気力がなかった。全部先生の決定へのリアクションに持ってかれたのだ。
アヤネ「ええっ!?本気ですか!?」
ホシノ「あはははー!よし、決まりー!それじゃ出発だー!」
ノノミ「きゃあ〜☆楽しそうです!」
セリカ「ほ、ホントに?これでいいの?」
私と同様驚き呆れるアヤネ、めっちゃノリノリで折り畳み式の盾を取り出すホシノ、大興奮なノノミ、あんなに騙されてた割にはまだマトモな反応を示すセリカ。
ホシノ「うへ〜いいんじゃなーい?」
シロコ「計画は大胆なほどいい。でしょ、アヤネ?」
いや、うん。確かに間違ってないんだろうが、前提がおかしくないか?これでも私は一応警官だぞ?
アヤネ「…い…。」
セリカ「い…?」
アヤネ「いいわけないじゃないですかぁ!!!!」
あ、常識人が壊れた。おお怖い怖い
ホシノ「出たー!アヤネちゃんのちゃぶ台返しー!」
シロコ「…。」
ノノミ「きゃあ、アヤネちゃんが怒りました!非常事態です!」
ホシノ「うへ〜キレのある返しができる子に育ってくれたねぇ。ママは嬉しいよーん。」
アヤネ「誰がママですか!もうっ、ちゃんと真面目にやってください!いつもふざけてばっかり!銀行強盗とかマルチ商法とかそんなことばっかり言って!」
セリカ(ギクッ)
シロコ「…。」
あ、これ日常茶飯事なのね…。そりゃあアヤネもブチギレるわな…。この前のお詫びも兼ねて後でミレニアム製ドローンあげよ…
その後、めちゃくちゃ説教された。なお私は比較的マシだったらしく、私だけその説教を回避することができた。
小一時間程説教を続けたアヤネは、私が渡したミレニアム製高性能ドローンで機嫌を直したようだった。 - 32◆zUC3rhx2JU24/06/15(土) 15:56:13
ホシノ「いやぁー、悪かったってば、アヤネちゃーん。ラーメン奢ってあげるからさ、怒らないで、ねっ?」
アヤネ「怒ってません…。」
ノノミ「はい、お口拭いて。はい、よくできましたねー☆」
アヤネ「赤ちゃんじゃありませんからっ。」
結局アヤネの説教が終わった後、私達はまた柴関ラーメンに来ていた。それにしてもかなり疲れたな。まだ午前中だぞ…。ただ、今日だけでなんで対策委員会の皆が私に一瞬で適応できたのかが分かった気がした。恐らくだが対策委員会の大半が私よりぶっ飛んだ思考の持ち主であるからだ。
セリカ「…何でもいいけどさ。何でまたウチに来たの?」
シロコ「アヤネ、チャーシューもっと食べる?」
アヤネ「(モゴモゴ)ふぁい。」
口にチャーシューを詰め込んだままシロコの提案を飲むアヤネ。見てて面白かった。
『!?』
店の外から聞こえてきた声を察知した私は腰の警官バッチを一瞬で外す。
"?どうしたの、シエン?"
『いや、いいから』
ガタッ、ガラララッ
直後柴関ラーメンの扉が開かれ、そこから今日未明頃見た顔が現れる。それは便利屋68の伊草ハルカだった。
ハルカ「…、あ…あのう…。」
セリカ「いらっしゃいませ!何名様ですか?」
ハルカ「…こ、ここで一番安いメニューって、お、おいくらですか?」
セリカ「一番安いのは…580円の柴関ラーメンです!看板メニューなんで、美味しいですよ!」
オドオドしているハルカの問いかけに、威勢良く返事するセリカ。セールストークも忘れないあたり、かなり手慣れているらしい。
ハルカ「あ、ありがとうございます!」
その返答を受け取ったハルカは即座に店を出た。
セリカ「ん?」
セリカが疑問符を浮かべる中、再度柴関の戸が開かれた。
ムツキ「えへへっ、やっと見つかった、600円以下のメニュー!」
アル「ふふふ。ほら、何事にも解決策はあるのよ。全部想定内だわ。」
ハルカ「そ、そうでしたか、さすが社長、何でもご存知ですね…。」
カヨコ「はぁ…。」
やはり便利屋4人組か。バッチ外してて良かったな。 - 331スレ目の>>14024/06/15(土) 22:51:40
バッチじゃなくてバッジ(badge)です。
- 34魂◆zUC3rhx2JU24/06/16(日) 01:13:28
- 351スレ目の>>14024/06/16(日) 08:58:21
- 36魂◆zUC3rhx2JU24/06/16(日) 09:35:42
- 37二次元好きの匿名さん24/06/16(日) 10:28:13
このレスは削除されています
- 381スレ目の>>14024/06/16(日) 10:28:59
爆煙も硝煙の匂いも原作の段階から既にプンプン漂っているし、ミリタリーオタクの端くれとしては今シリーズ並みに濃い目でも大歓迎です。
- 39霧切シエン◆zUC3rhx2JU24/06/16(日) 11:54:21
セリカ「4名様ですか?お席にご案内しますね。」
入店してきた便利屋4人組に、セリカが改めて声をかけ、席に案内しようとするが…、
ムツキ「んーん、どうせ1杯しか頼まないし大丈夫。」
妙なことを口走るムツキ。いや物を食べるなら席座れよ…。
セリカ「一杯だけ…?でも…どうせならごゆっくりお席へどうぞ。今は暇な時間なので、空いてる席も多いですし。」
ムツキ「おー、親切な店員さんだね!ありがとう、それじゃあお言葉に甘えて。あ、わがままのついでに、箸は4膳でよろしく。優しいバイトちゃん。」
セリカ「えっ?4膳ですか?ま、まさか一杯を4人で分け合うつもり?」
ハルカ「ご、ご、ごめんなさいっ。貧乏ですみません!!お金が無くてすみません!!」
『ん?便利屋って結構現場で見かけるよな?…なんで金欠なんだ?』
純粋な疑問が頭を横切るが、今は警戒するに越したことはないな。…、というかよくそんな大声で金欠宣言できるな…。
セリカ「あ、い、いや…!その、別にそう謝らなくても…」
ハルカ「いいえ!お金がないのは首がないのも同じ!生きる資格なんてないんです!虫けらにも劣る存在なのです!虫けら以下ですみません…!」
…これはなかなかのものだな。自己肯定感の低い子はこれまで何度か遭遇してきたが、ここまでヒドイのは初めてだ。…報告書で挙がってた「訳のわからないことを叫びだす」ってこのことか?もしかして。いやまあ今の私にはどうだっていいんだが…
カヨコ「はぁ…ちょっと声デカイよ、ハルカ。周りに迷惑…」
セリカ「そんな!お金がないのは罪じゃないよ!胸を張って!」
ハルカ「へ?…はい!?」
セリカ「お金は天下の回りもの、ってね。そもそもまだ学生だし!それでも、小銭をかき集めて食べに来てくれたんでしょ?そういうのが大事なんだよ!もう少し待っててね。すぐ持ってくるから。」
"…、なんかセリカ妙なところであの子と共鳴してない?"
『…だよな?私の見間違いじゃないのか…』
顔を合わせて状況の再確認を行う私達二人。どうやら目の前で繰り広げられているものはしっかりと現実の案件のようだ。
(この後に関わる🎲 シエンとゲヘナ風紀委員会の関係 dice1d3=2 (2) 1,普通 2,険悪 3,無関係)
- 401スレ目の>>14024/06/16(日) 22:39:11
…手柄の争奪戦でもあったのか…?
- 41霧切シエン(魂)◆zUC3rhx2JU24/06/16(日) 23:09:45
閑話での美食研との一件で揉めたことにしましょう。戦闘描写増えて嬉しい。
- 42◆zUC3rhx2JU24/06/16(日) 23:14:49
カヨコ「…なんか妙な勘違いをされてるみたいだけど?」
ムツキ「まぁ、私達もいつもはそんなに貧乏ってわけじゃないんだけどね。強いて言えば、金遣いの荒いアルちゃんのせいだし。」
ああ、なるほど。リーダーの金遣いが荒いのか、そりゃ金欠になるか。
"…今あるお金を渡すと生活が厳しくなるが…"
『おい待て先生、考え直せ。アイツラは生徒だが一応犯罪者集団だぞ?まさかそんな奴ら相手に金銭的援助とか考えてないよな?』
ふざけたことを零した先生の肩に手をおいて諭す。
アル「「アルちゃん」じゃなくて社長でしょ?ムツキ室長、肩書はちゃんと付けてよ。」
ムツキ「ん?だってもう仕事終わった後じゃん?ところで、社長のクセに社員にラーメン一杯奢れないなんて。」
アル「…。」
カヨコ「今日の襲撃任務に投入する人員を雇うために、ほぼ全財産使っちゃったし…。」
おっとこれは聞き捨てならない単語が出てきたぞ?今日の襲撃?こりゃあ対象はほぼ確実にウチだな。
アル「ふふふ。でもこうして実際ラーメンは口にできるわけでしょ?それぐらい想定内よ。」
カヨコ「たったの一杯分じゃん。せめて4杯分のお金は確保しておこうよ…」
ムツキ「ぶっちゃけ、忘れたんでしょ?ねぇ、アルちゃん。夕飯代取っておくの、忘れたんでしょ?」
アル「…ふふふ。」
前言撤回。ただ単に手玉に取られてるだけかもしれないな。
カヨコ「はぁ。ま、リスクは減らしたほうがいいし。今回のターゲットは、ヘルメット団みたいなザコみたいには扱えないってことには同意する。でも全財産をはたいて人を雇わなきゃいけないほど、アビドスは危険な連中なの?」
うん、今の発言でこいつらの今日の襲撃の対象がアビドスで確定したな。これはチャンスだ。
アル「それは…」
ムツキ「多分アルちゃんも良く分かってないと思うよ。だからビビっていっぱい雇ってるんだよ。」
アル「誰がビビってるって!?全部私の想定内!失敗は許されない。あらゆるリソースを総動員して臨むわ。それが我が便利屋68のモットーよ!」
『…、爆発物を使う私の前では、烏合の衆は寧ろ邪魔になると思うんだが…』
まぁ、いい。今回は私は戦闘に出ずに、アヤネに渡したドローンの試験運用と行こう - 43二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 07:51:41
このレスは削除されています
- 44◆zUC3rhx2JU24/06/17(月) 10:54:31
上げる部分間違えましたわ
カヨコ「初耳だね、そんなモットー…。」
ムツキ「今思いついたに決まってるよ。」
アル「うるさい!じゃあ今回の依頼を成功させて報酬が手に入ったら、すき焼きにするわ!だから気合入れなさい、みんな!」
ハルカ「すっ…すき焼きとはっ…!?それは一体!?」
カヨコ「大人の食べ物だね、すごく高価な…。」
ハルカ「う、うわぁ…私なんかが食べていいものなんでしょうか?食べた後はハラキリですか…?」
いや、怖。高級料理食った後にハラキリとか、死刑囚じゃあるまいし。
アル「ふふふ。うちみたいなスゴイ会社の社員なら、それぐらいの贅沢はしないとね。」
ムツキ「へえ〜やる気満々じゃん、アルちゃん。」
アル「「アルちゃん」じゃなくて、社・長!!」
セリカ「はいお待たせしました!お熱いのでお気をつけて!」ダンッ!
そんな話を続けていた便利屋のテーブルに、山のように盛り付けられた一杯を置くセリカ。
"ええ…?"
『流石の私でもアレは無理だな…』
その一杯のインパクトを受け、揃ってドン引きする私と先生。以前私が食べた特盛の3倍ほどの物量に誰もが気圧されていた。
ムツキ「ひぇっ、何これ!?ラーメン超大盛りじゃん!」
カヨコ「ざっと、10人前はあるね…。」
ハルカ「こ、これはオーダーミスなのでは?こんなの食べるお金、ありませんよう…。」
セリカ「いやいや、これで合ってますって。580円の柴関ラーメン並!ですよね、大将?」
柴大将「ああ、ちょっと手元が狂って量が増えちまったんだ。気にしないでくれ。」
セリカ「大将もああ言ってるんだから、遠慮しないで!それじゃ、ごゆっくりどうぞ~!」
…最高だな、柴大将。
ハルカ「う、うわあ…。」
ムツキ「よくわかんないけど、ラッキー!!いっただっきまーす!」
アル「…ふふふ、流石にこれは想定外だったけど、厚意に甘えて、ありがたく頂かないとね。」
ムツキ「食べよっ!」
- 45◆zUC3rhx2JU24/06/17(月) 11:46:45
便利屋68「いただきます!」
ムツキのその一言に同意し、手を合わせる便利屋一同。4膳の箸が器に伸び、掴んだ麺を各々の口元へと運び込む。
ズズズズズーッ
一同「!!」
ラーメンをすすった便利屋たちは柴関ラーメンの美味しさに驚き、その目をカッと開いた。
ハルカ「お、おいしいっ!」
店内に響くその反応を聞き、スッと席を立つ対策委員会の面々。あ、柴大将がドヤ顔で頷いてる。
ムツキ「なかなかイケるじゃん?こんな辺鄙な場所なのに、このクオリティなんて。」
ノノミ「(スッ)でしょう、でしょう?美味しいでしょう?」
あ、ノノミが絡みに行った。
ムツキ「あれ…?隣の席の…。」
ノノミ「うんうん、ここのラーメンは本当に最高なんです。遠くからわざわざ来るお客さんもいるんですよ。」
アル「ええ、分かるわ。色んな所で色んなのを食べてきたけど、このレベルのラーメンはなかなかお目にかかれないもの。」
アヤネ「えへへ…私達、ここの常連なんです。他の学校のみなさんに食べていただけるなんて、なんか嬉しいです…。」
シロコ「その制服、ゲヘナ?遠くから来たんだね。」
ノノミ「私、こういう光景を見たことがあります。一杯のラーメン、でしたっけ…。」
それは掛け蕎麦だ。ラーメンじゃない。
ホシノ「うへ〜、それは一杯のかけそばじゃなかったっけ?」
あ、ちゃんと訂正されてら。
カヨコ「…。(連中の制服…)」
ムツキ「(あれ、ホントだ)」
アル「うふふふっ!いいわ、こんなところで気の合う人たちに出会えるなんて。これは想定外だけど、こういう予測できない出来事こそ人生の醍醐味じゃないかしら。」
ムツキ「(アルちゃんは気付いてないみたいだけど?)」
カヨコ「(…、言うべき?)」
ムツキ「(…面白いから放っておこ)」
カヨコ「…。」
…普通に聞こえてるんだよなぁ。いや、別にいいんだが…。
結局その会話をしっかりと聞いた後、私は柴関ラーメンの美味さに共鳴した対策委員会と便利屋社長の話が終わるのを待つ羽目になった。 - 46◆zUC3rhx2JU24/06/17(月) 15:05:02
セリカ「それじゃ、気を付けてね!」
ノノミ「お仕事、上手く行きますように!」
アル「あははっ!了解!あなた達も学校の復興、頑張ってね!私も応援してるから!じゃあね!」
柴関ラーメンの布教を終えた対策委員会と共に、私は便利屋らに見送られながら帰路についた。
…後方からどこぞの社長が「なななな、なっ、何ですってーーーーーー!!!???」っと叫んだような声が聞こえた気がするが…まぁ勘違いだろう。
アビドス高校に帰ってきた私達は、部室で各々自由時間を過ごしていた。
アヤネ「校舎より南15km地点付近で大規模な兵力を確認!」
上空に待機させていたドローンから得た情報を全体に共有するアヤネ。
『…流石だな。もうドローンを有効活用してやがる…』
シロコ「まさか、ヘルメット団が?」
軽く驚く私を横目に武装する対策委員会。そこにアヤネが追加で情報を落とす。
アヤネ「ち、違います!ヘルメット団ではありません!…傭兵です!おそらく日雇いの傭兵!」
『…来たか。今回私は出ないぞ、お前たちの戦力を確認したいからな。』
ホシノ「おー、分かったよ。…それにしても、傭兵かぁ。結構高いはずだけど。」
アヤネ「どっちにしろこれ以上接近されるのは危険です!先生、出動命令を!」
"出動だー!"
アヤネ「前方に傭兵を率いている集団を確認!」
アヤネからの情報を受け取り、校門前で待ち構えていた私たちの前に現れたのは、予想通り便利屋の面々であった。その姿を視認した対策委員会らが口々に驚きの声を漏らす。
ノノミ「あれ…ラーメン屋さんの…?」
アル「ぐ、ぐぐ…。」
何故か苦悶の表情を浮かべる社長。…あ、こいつ罪悪感に苛まれてるタイプの典型的な善人だな。 - 47◆zUC3rhx2JU24/06/17(月) 15:05:52
セリカ「誰かと思えばあんた達だったのね!!ラーメンも無料で特盛にしてあげたのに、この恩知らず!!」
ムツキ「あははは、その件はありがと。それはそれ、これはこれ。こっちも仕事でさ。」
カヨコ「残念だけど、公私はハッキリ区別しないと。受けた仕事はきっちりこなす。」
シロコ「…なるほど。その仕事っていうのが、便利屋だったんだ。」
ノノミ「もうっ!学生なら、他にもっと健全なアルバイトがあるでしょう?それなのに便利屋だなんて!」
アル「ちょっ、アルバイトじゃないわ!れっきとしたビジネスなの!肩書だってあるんだから!」
ムスッとした表情のノノミの放った一言に過剰反応する社長。何故かムキになっていた
アル「私は社長!あっちが室長で、こっちが課長…。」
カヨコ「はあ…社長。ここでそういう風に言っちゃうと、余計薄っぺらさが際立つ…。」
シロコ「誰の差し金?…いや、答えるわけないか。(カチャッ)力尽くで口を割らせるしか。」
アル「ふふふ、それは勿論企業秘密よ?総員!攻撃!」
その号令と共に傭兵らが一斉に行動を開始した。
傭兵の人数 dice10d10=1 1 3 7 10 5 4 6 5 10 (52) 人
『ッチ、煩いなぁ。』
適当に威圧だけしておくか
シエンの威圧 dice3d39=6 37 7 (50) %の精神的ダメージ(100以上で即撤退)
- 48◆zUC3rhx2JU24/06/17(月) 18:36:01
傭兵バイト「ヒッ!」
アル「こらー!!ちょっ、どういうことよ!?ちょっと!帰っちゃダメ!!」
…若干強めに睨みつけただけで傭兵達の約半数が逃げ出したんだが…、しかも良く見たら戦意喪失してるやつもいるし…流石に失礼過ぎやしないか?
アヤネ「…何故かは分かりませんが、敵勢力の約半数の撤退を確認、今が攻め時です!」
アヤネの号令で一斉に校庭に展開し、攻撃を開始する対策委員会の面々。対して未だに動きがない便利屋軍。
ホシノ「ほらほらー、遅いよー!」
そう口にしたホシノの初撃を受け、ようやく動き出す傭兵たち。そうして便利屋側が態勢を整えた時には、更にdice3d3=1 3 3 (7) 人の傭兵がダウンしていた。
依然として倍以上の人数差はあるものの、対策委員会側には指揮官としてあの先生がついている。これならば万に一つも負けることはないだろ…
『…はぁ!?』
驚く私の視線の先には、いつも持ち歩いているタブレット片手に、遮蔽物が存在しない玄関に仁王立ちしたまま指揮を執る先生の姿があった。勿論そんな状態であるため、相手からしたら格好の的である。が、そんな先生を狙った弾丸はただの一つも命中することはなかった。
『…一体何がどうなってやがる…』
私が混乱しているうちにも、状況は動いていた。
堅実に守りつつ最前線で散弾をばら撒くホシノ。遮蔽物を上手く使い、正確に1人ずつ撃ち抜いていくシロコ。笑顔いっぱいで弾幕を張るノノミ。恩を仇で返した便利屋への怒りからか、装填速度が恐ろしく速いセリカ。そして適宜ドローンを用いた上空からの攻撃と支援を行うアヤネ。
結果は火を見るより明らかだった。
傭兵バイト「…、こりゃ無理だな。逃げるか」
アル「こらー!!ちょっ、どういうことよ!?ちょっと!帰っちゃダメ!!」
カヨコ「…。」
ムツキ「こりゃヤバいね。まさかここまでアビドスの連中が強いなんて…アルちゃん?どうする?逃げる?」
アル「あ…うう…。こ、これで終わったと思わないことね!アビドス!!」
ムツキ「あはは、アルちゃん、完全に三流悪役のセリフじゃんそれ。」
アル「うるさい!逃げ…じゃなくて、退却するわよ!」
ノノミ「待って!…あ、行っちゃいましたね。」
ホシノ「うへ〜逃げ足早いね。あの子達。」
- 49◆zUC3rhx2JU24/06/17(月) 18:37:59
アヤネ「…敵勢力の退却を確認。困りましたね…妙な便利屋にまで狙われるとは、先が思いやられます…。一体何が起きているのでしょうか…。」
ホシノ「まぁ、少しずつ調べるとしよう。まずは社長のアルって子の身元から洗ってみたら。何か出てくるよ、きっと。」
アヤネ「はい。皆さん、お疲れ様でした。一旦、帰還してください。」
なお、この戦闘でドローンの性能に驚いたアヤネから結構感謝された。余り物だから別に良かったんだが…
アヤネからの好感度上昇 dice3d10=1 2 5 (8)
『…』
便利屋の襲撃を退けた日の夜、私はずっと先生のあの行動の理由を推察し続けていた。何度も仮説を立てては棄却し、また仮説を立てては棄却するを何度も繰り返した。そうして私がたどり着いた仮説は2つ。一つは先生がそういうタイプの人間であるという可能性。もう一つは、先生が肌見放さず持っていたあのタブレットの干渉。はっきり言って恐らく後者である説が濃厚だろうか。
『…あー、わからん。なんか腹立ってきたし、適当にふらついてくるか。』
外に出て頭を冷やせばいい考えが浮かぶだろうと、そう考えた私は、行く宛もなく夜のアビドスに歩みを進めた。
ガラの悪い生徒崩れがガンを飛ばし、そこら中に開かれた露天の前には明らかに違法な物品が多数並ぶ場所。私が辿り着いたのはそう、ブラックマーケットだった。
『あったな、アイス屋コラボ限定ペロログッズ。限定100個とは聞いていたが、まさか2個もオークションにかかっているとは…』
そう呟く私の視線の先には、ペロロぬいぐるみの腹部にアイスクリームがくっついたぬいぐるみがあった。以前見かけた際は任務中であったため、購入を控えたのだが、お魔となってはその判断を猛烈に後悔した私がいた。
『絶対に捕る。』
個人的にモモフレンズファンであった私は絶対に競り落とす覚悟を決め、スマホ片手にオークション会場に踏み込んだ。
その後、夜が明けてきた頃にアビドス高校に帰着した私の手には、2つのぬいぐるみがあった。
- 501スレ目の>>14024/06/18(火) 00:50:06
「お魔」?
──1スレ目の>>200( https://bbs.animanch.com/board/3429712/?res=200 )で言われたネタがさっそく回収されたのは喜ばしい(提案者は僕じゃない)けど……これ大丈夫? 新たな厄介事の呼び水になっちゃうのでは?
- 51二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 01:08:50
ペロロファンになったか
- 52魂◆zUC3rhx2JU24/06/18(火) 01:13:31
- 53魂◆zUC3rhx2JU24/06/18(火) 06:40:52
なんか面白そうなネタがあったら、シナリオに大きく影響するものでなければ積極的に取り入れてこうかなとは思ってます。キャラ崩壊とかは勘弁してください。エアプなんです
- 54◆zUC3rhx2JU24/06/18(火) 10:25:43
翌日、私と先生の日課の散歩の途中、偶然アヤネと出会った。
アヤネ「あ、先生にシエンちゃん。おはようございます。」
"おはよう、アヤネ"
『よう。んで、こんな朝っぱらからどこ行くんだ?アビドスってこんなに登校早くないと思うんだが…』
なんせ現在時刻午前7:00である。どう考えても早すぎないか?
アヤネ「えっと、今日は利息を返済する日でして…色々と準備があるんです。早めに登校して返済の準備もしないとですし、今後の計画も見直さないとなので…。」
『あー、なるほど。そっかあの額だとかなり時間かかるもんな』
若干やつれた表情のアヤネの説明を受け、ようやく納得できた
アヤネ「あ、そういえば昨日の方々の情報が見つかりました。シエンちゃんも一緒に、後ほど学校で詳細をご確認いただけますか?ゲヘナ学園の生徒だったのですが…」
ムツキ「あっ、先生じゃん!おっはよー!」
『噂をすればなんとやら…。』
アヤネの発言を遮るようにどこからともなく聞こえてきた声の主は、件の便利屋の一人、浅黄ムツキだった。
アヤネ「な、ななっ!?」
ムツキ「じゃじゃーん!どもどもー!こんなところで会うなんて、偶然だね!
驚いたあまり、その場で硬直するアヤネを横目にサッと先生に近付き、先生の腕に絡み付いて全身でスリスリするムツキ。
"え!?ちょっ、何して!?"
ムツキ「あははー!ちょっとだけガマンだよー、先生。」
アヤネ「な、何してるんですか!離れてください!」
先生はと言えば、こちらも驚きのあまり硬直しており、ムツキに好きにされている。そんなムツキを引き剥がそうとするアヤネ。全く、朝から騒がしい…
ムツキ「おっと、引っ張らないでよー。…誰かと思いきや、アビドスのメガネっ娘ちゃんじゃーん?おっはよー、昨日ラーメン屋で会ったよね?」
アヤネ「その後の学校の襲撃でもお会いしました!どういうことですか?いきなり馴れ馴れしく振る舞って…。それに、メガネっ娘じゃなくて、アヤネです!」
ムツキのメガネっ娘発言を訂正するアヤネ。罵倒されているわけでもなければ、間違ってないから別にいいとは思うんだが… - 55二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 15:08:12
ムツキとかいうメガネフェチ
- 56◆zUC3rhx2JU24/06/18(火) 18:45:52
ムツキ「ん?だって私達、別にメガネっ娘ちゃんのことが嫌いなわけじゃないし。ただ、部活で請け負ってる仕事だからさ。仕事以外の時は仲良くしたっていいじゃん?」
アヤネ「いっ、今更公私を区別しようということですか!?」
ムツキ「別にいいじゃん。それに「シャーレ」の先生は、あんたたちだけのモンじゃないでしょ?だよね、先生?」
"ケンカしないで仲良くしてくれると嬉しいな。"
『…どちらかというと痴話喧嘩じゃないのか?』
あ、またアヤネの顔が真っ赤になった。
ムツキ「あはは、それはムリかなー。こっちも仕事だからね。アルちゃんがモチベ高くてさ、適当にやると怒られちゃうから。ま、いつかうちの便利屋に遊びにおいでよ、先生。アルちゃんもみんなも、きっと喜ぶからさ。…んで、」
そこまで言ってこちらに振り向くムツキ。
ムツキ「君は誰かな?もしかして先生の連れ子?」
『…広義でいうとそうなのかもしれないな』
舐めている、というより見定めるような視線を私に向けてくるムツキ。ただ私も一応警官の端くれである。「ご挨拶」くらいはちゃんとしなきゃな。
一瞬で屈み、ムツキの背後に回ってその手を縛り上げ、手錠を使って拘束する。
ムツキ「え!?ちょっ!?何々!?」
『…私はヴァルキューレ警察学校公安局所属の1年、霧切シエンだ。諸事情で今は先生の護衛を務めている。』
ムツキ「う、うわあ。ガチなやつじゃん…。と、とりあえず、これ外してくれない?」
『ん?ああ、いいぞ』
結構引いているムツキの希望を聞き、拘束を解く。
ムツキ「ありがとう。そ、そんじゃ、バイバ〜イ。アヤネちゃんもまた今度ね。」
そう言って逃げるように去っていくムツキ。
アヤネ「また今度なんてありません!!今度会ったらその場で撃ちます!」
ムツキ「はいはーい。」
『次は無いぞ』
ムツキ「それは勘弁してほしいかなー。」
アヤネ「はぁ…はぁ…。何ですか、あの人は…!」
"…朝からかなり疲れたね"
『それには同意だ』 - 571スレ目の>>14024/06/18(火) 23:39:41
- 58二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 07:49:08
保守
- 59魂◆zUC3rhx2JU24/06/19(水) 07:58:35
- 60◆zUC3rhx2JU24/06/19(水) 08:00:03
銀行員「…お待たせしました。変動金利等を諸々適用し、利息は788万3250円ですね。全て現金でお支払いいただきました、以上となります。カイザーローンとお取引いただき、毎度ありがとうございます。来月もよろしくお願いいたします。」
そう言って現金輸送車に乗り込む銀行員。
『…とりあえずセットしとこ』
とりあえず発信機セット。証拠集めは大事だからな。
アヤネ「…。」
ノノミ「…。」
ホシノ「はぁ、今月も何とか乗り切ったねー。」
シロコ「…完済まであとどれくらい?」
アヤネ「309年返済なので…今までの分を入れると…。」
セリカ「言わなくていいわよ、正確な数字で言われると更にストレス溜まりそう…。どうせ死ぬまで完済できないんだし!計算してもムダでしょ!!」
アヤネ「…。」
ノノミ「ところで、カイザーローンは何故現金でしか受け付けないのでしょうね?わざわざ現金輸送車まで用意して…。」
シロコ「…。」
セリカ「シロコ先輩、あの車は襲っちゃダメだよ。」
シロコ「うん、分かってる。」
セリカ「計画もしちゃダメ!」
シロコ「うん…。」
ホシノ「ま、とりあえず先に解決すべきは、目の前の問題の方でしょ。とにかく教室に戻ろうー。」
…これは私の領分じゃないな。
部室には、今月分の返済を済ませた対策委員会たちと先生、そして私がいた。
アヤネ「全員揃ったようなので始めます。まずは、2つの事案についてお話ししたいと思います。最初に、先日の襲撃の件です。私たちを襲ったのは「便利屋68」という部活です。ゲヘナでは、かなり危険で素行の悪い生徒たちとして知られています。便利屋とは頼まれたことは何でもこなすサービス業者で、部活のリーダーの名前はアルさん。自らを「社長」と称しているようです。彼女の下には3人の部員がいて、それぞれ室長、課長、平社員の肩書があるとのことです。」
『…追加の情報、いるか?』
そう言って私は以前カンナ局長に共有してもらったデータの入ったスマホを掲げた。
アヤネ「是非お願いします!」
『了解』
私は持っている情報の大半を対策委員会に共有した。
情報提供による好感度上昇 dice5d10=2 2 2 2 1 (9) 左からホシノ、シロコ、ノノミ、セリカ、アヤネ。
- 61◆zUC3rhx2JU24/06/19(水) 09:27:05
ホシノ「いやぁー、本格的だねー。」
ノノミ「社長さんだったんですね☆すごいです!」
アヤネ「いえ、あくまでも「自称」なので…」
私の補足情報を得た各々から、それぞれの反応が返ってくる。
アヤネ「それで今はアビドスのどこかのエリアに入り込んでいるようです。今朝も会いましたし…。」
そう言ったアヤネの顔が一瞬般若のようになったのを私は見逃さなかった。怖いなー
シロコ「ゲヘナ学園では、起業が許可されているの?」
アヤネ「それはないと思いますが…勝手に起業したのではないでしょうか。」
『確か無かったハズだぞ』
ノノミ「あら…ってことは校則違反ってことですね。悪い子たちには見えませんでしたが…」
うん、多分社長は根っからの善人だろうな。まぁやってることは犯罪なんだが
アヤネ「いえ、それが今までかなり非行の限りを尽くしたようで、ゲヘナでも問題児扱いされているようです。」
『…あいつら一応指名手配だ。』
シロコ「…。」
無言ですくっと立ち上がるシロコ。その進む先には何時ぞやの目出し帽があった。
"…シロコ?なんでそんな武装を…?"
シロコ「ん、あいつら指名手配。捕まえたらオイシイ」
やっぱりか。言うと思った
アヤネ「なんにしろ、そんな危険な組織が私達の学校を狙っているのです!もっと気を引き締めないといけません!」
ホシノ「次は取っ捕まえて取り調べでもするかー。」
アヤネ「はい、機会があればぜひ…。」
セリカ「ところでアヤネちゃん、何かあったの?並々ならぬ恨みを感じるんだけど…」
セリカのその質問を受け、一瞬ピクリと反応するアヤネ。だが即座に持ち直して続ける。
アヤネ「…いえ、特に何も。続きまして、以前シエンちゃんがほぼ単独で制圧したヘルメット団の黒幕についてです!カタカタヘルメット団の前哨基地跡地で手に入れた戦略兵器の破片を分析した結果…現在は取引されていない型番だということが判明しました。」
前哨基地跡地って…。いや、うん。間違ってはないんだけども… - 62◆zUC3rhx2JU24/06/19(水) 18:33:49
ホシノ「もう生産してないってこと?」
セリカ「それをどうやって手に入れたのかしら」
アヤネ「生産が中止された型番を手に入れる方法は…キヴォトスでは「ブラックマーケット」しかありません。」
ノノミ「ブラックマーケット…とっても危ない場所じゃないですか。」
『…。』
その危険な場所、何時間か前に私、行ってるんだよなぁ。
アヤネ「そうです。あそこでは中退、休学、退学…様々な理由で学校を辞めた生徒たちが集団を形成しており、連邦生徒会の許可を得ていない非認可の部活もたくさん活動していると聞きました。」
シロコ「便利屋68みたいに?」
アヤネ「はい。それから便利屋68も、ブラックマーケットで何度か騒ぎを起こしていると聞きました。」
そう言ってこちらに視線を向けてくるアヤネ。その視線にのった意思を私は理解した。
『いくら私がヴァルキューレ所属といえど、流石にそこまでの情報は持ってきてないぞ』
アヤネ「…そうですか。」
わかりやすく落胆するアヤネ。無いものは無いのだ。
ノノミ「では、そこが重要なポイントですね!」
アヤネ「…はい。この二つの出来事の関連性を現地で探すのも、一つの方法かもしれません。」
ホシノ「よし、じゃあ決まりだねー。ブラックマーケットを調べてみよう。意外な手がかりがあるかもしれないしね。」
そうして私は何時間か振りにまたもブラックマーケットへと赴くこととなった。 - 63◆zUC3rhx2JU24/06/19(水) 22:09:05
会議終了後、準備を済ませたアヤネ以外の対策委員会と先生を乗せて、私は装甲車のハンドルを握っていた。
『…一つ聞いておいてほしいことがある。』
ホシノ「ん?なぁに〜?」
私は車内の全員に向けて口を開く。
『ブラックマーケットには、警察とは異なる治安維持部隊がある。もし騒動を起こして奴らに目を付けられると面倒だ。十分気を付けてくれ』
ノノミ「はあい☆分かりましたー!」
シロコ「ん、全部倒せば問題ない」
…こりゃぁ無理そうだな。うん。
私は若干の諦めと共に現場に向かった。
『こちらシエン。現着した』
無線で連絡を取る私達の先には、昨夜と異なり不良生徒や如何にもな悪人たちで賑わう"街"があった。
セリカ「ここがブラックマーケット…。」
ノノミ「わあ☆すっごい賑わってますね?」
シロコ「本当に。小さな市場を想像していたけど、街一つぐらいの規模だなんて。連邦生徒会の手が及ばないエリアが、ここまで巨大化してるとは思わなかった。」
ホシノ「うへ〜普段私達はアビドスにばっかりいるからねー。学区外は結構変な場所が多いんだよー。ねぇ、シエンちゃん?」
『…否定はしない。ただここは活気があるだけまだマシだ。犯罪件数でいえば私の出身地を軽く凌ぐだろうが…』
あの場所は空気も淀んでたからな。
シロコ「ホシノ先輩、ここに来たことあるの?」
ホシノ「いんやー、私も初めてだねー。でも他の学区には、へんちくりんなものがたくさんあるんだってさー。ちょーデカい水族館もあるんだって。アクアリウムっていうの!今度行ってみたいなー。うへ、魚…お刺身…。」
『おい待て、水族館は水生生物を展示しているのであって食事処じゃないぞ。』
ホシノ「うへぇ、それぐらい分かってるよ〜。でも一回くらいお魚食べてみたいなー。」
『…友人の好だ。今度一緒に食べに行こう。奢ってやる』
ホシノ「お、太っ腹だねぇ。約束だよ?」
…勝手に約束を取り付けられた気もするが、今は調査優先だ。…一応録音データを保存しておくか - 64二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 22:10:22
このレスは削除されています
- 65魂◆zUC3rhx2JU24/06/19(水) 22:12:13
- 66◆zUC3rhx2JU24/06/20(木) 06:30:26
チンピラ1「待て!!」
ヒフミ「う、うわああ!まずっ、まずいですー!!つ、ついてこないでくださいー!!」
チンピラ1「そうは行くか!」
アヤネ「あれ…あの制服は…」
警戒態勢に入った私達の前に現れたのは、大きめのペロロ鞄を背負ったトリニティの生徒と、それを追いかけ銃を乱射するチンピラ2名だった。
ヒフミ「わわわっ、そこどいてくださいー!!」
逃げることに集中していたのか、こちらに気付かずシロコに激突したトリニティ生。二人はその場で倒れ込んだ。
ヒフミ「い、いたた…ご、ごめんなさい!」
シロコ「大丈夫?なわけないか、追われてるみたいだし。」
ヒフミ「そ…それが…」
先に起き上がったシロコが差し出した手を取って立ち上がるトリニティ生…ヒフミというらしい。そんなヒフミが事情を説明しようとし、
チンピラ2「何だお前らは。どけ!アタシたちはそこのトリニティの生徒に用がある。」
ヒフミ「あ、あうう…わ、私の方は特に用はないのですけど…」
口を挟んできたチンピラによって会話は中断される。
アヤネ「…!思い出しました、その制服…キヴォトス一のマンモス校の一つ、トリニティ総合学園です!」
チンピラ1「そう、そしてキヴォトスで一番金を持っている学校でもある!だから拉致って身代金をたんまり頂こうってわけさ!」
『…ほう?』
警棒を握っている右手に若干力が入る。
チンピラ2「拉致って交渉!なかなかの財テクだろう?くくくくっ。どうだ、お前らも興味があるなら計画に乗るか?身代金の分け前は…ん?」
こちらの雰囲気が変化したのを察知したのか、疑問符を浮かべるチンピラ。私達の前では、その一瞬すら命取りだ。
地を蹴って気持ち高めに跳躍し、チンピラの後ろを取る。これで私、シロコ、ノノミの3人で即座にクロスを組み
チンピラ2「うぎゃあっ!?」
ノノミ「悪人は懲らしめないとです☆」
シロコ「うん。」
『現行犯処刑だ。』
チンピラを一瞬で鎮圧した。
ヒフミ「あ…えっ?えっ?」
…どうやら助けられた当人であるヒフミは状況を全く理解できてないらしい。 - 67魂◆zUC3rhx2JU24/06/20(木) 06:33:15
- 68魂◆zUC3rhx2JU24/06/20(木) 06:39:58
更に追記
ここまで予め書いておいた分のシナリオストックを解放してたんですが、今回分でそのストックが切れたので、これ以降投下のペースが不安定になりそうです。ついでにシークレットダイス dice2d2=2 1 (3)
- 69◆zUC3rhx2JU24/06/20(木) 15:42:08
ヒフミ「あ、ありがとうございました。みなさんがいなかったら、学園に迷惑をかけちゃうところでした…。それに、こっそり抜け出してきたので、何か問題を起こしたら…あうう…想像しただけでも…。」
チンピラ2人を制圧したあと、私達は状況をようやく理解したヒフミに感謝されていた。
ホシノ「えっとー、ヒフミちゃんだっけ?それにしても、トリニティのお嬢様が何でこんな危ない場所に来たの?」
ヒフミ「あ、あはは…それはですね…実は、探し物がありまして…。もう販売されていないので買うこともできない物なのですが、ブラックマーケットでは密かに取引されているらしくて…」
『そのお目当てのものが欲しいあまり、ろくに準備もせずここに来たと』
ヒフミ「はい…。」
『全く、次からはちゃんと準備してからにしろよ?』
歯切れの悪い返事をするヒフミ。そんなヒフミに私は注意不足への反省を促し、
"いやそもそも生徒はここ来ちゃダメでしょ…"
しっかりと先生にツッコミを入れられるのであった。
"それで…そのお目当てのものって何かな?"
シロコ「もしかして…戦車?」
ホシノ「もしくは違法な銃火器?」
ノノミ「化学武器とかですか?」
『それだけは無いだろう、SRTじゃあるまいし…』
無論ヘイローがあるとは言え、所詮人間は人間なのだ。そのため、化学兵器は命の危険があるとして連邦生徒会より一部例外を除き、使用及び保有は原則禁止されている。
ヒフミ「えっ!?い、いいえ…えっとですね、ペロロ様の限定グッズなんです。」
セリカ「ペロロ?」
『…ほう?』
モモフレンズ、とな?
シロコ「限定グッズ?」
ヒフミ「はい!これです。ペロロ様とアイス屋さんがコラボした、限定のぬいぐるみ!限定生産で100体しか作られていないグッズなんですよ。ね?可愛いでしょう?」
そう言って若干興奮しながらこちらにスマホの画面を提示するヒフミ。その画面に映っていたのは…"昨夜私が競り落としたぬいぐるみ"だった。 - 70◆zUC3rhx2JU24/06/20(木) 19:54:03
シロコ「…。」
ノノミ「わあ☆モモフレンズですね!私も大好きです!ペロロちゃん可愛いですよねぇ!私はミスター・ニコライが好きなんです。」
『まさかこんなところで思いが通じ合う者がいるとはな…』
ヒフミ「分かります!ニコライさんも哲学的なところがカッコ良くて。最近出たニコライさんの本『善悪の彼方』も買いましたよ!それも初版で!」
ヒフミの会話にしっかりとついていくノノミ。なるほど…初対面のとき何故か感じた親近感はこれだったのか。
ホシノ「…いやぁー何の話だか、おじさんにはさっぱりだなー。」
セリカ「ホシノ先輩にはこういうファンタジー系にまったく興味ないでしょ。」
ホシノ「ふむ、最近の若いやつにはついていけん。」
"ははは…それは私のセリフだよ、ホシノ"
セリカ「先生ならまだしも、ホシノ先輩は歳の差、ほぼ無いじゃん…。」
そこには、モモフレンズ関連で盛り上がる私達とは対称的に、完全に蚊帳の外状態の先生達がいた。
ヒフミ「というわけで、ここで限定ぬいぐるみがオークションで2個だけ売りに出されると聞いて買いに来たのですが、既に売り切れていた上に、帰り際に先程の人たちに絡まれて…みなさんがいなかったら今頃どうなっていたことやら。
あ…すまんそれどっちも私が競り落としたわ。いや、これは後で交渉材料として使えるな。まだ黙っておくか
…ところで、アビドスの皆さんは、何故こちらへ?」
ホシノ「私達も似たようなもんだよ。探し物があるんだー。」
シロコ「そう。今は生産されていなくて手に入れにくい物なんだけど、ここにあるって話を聞いて。」
ヒフミ「そうなんですか、似たような感じなんですね。」
アヤネ「皆さん、大変です!四方から武装した人たちが向かってきています!」
アヤネのその発言で会話が中断されたことで、私は多くの足音がかなり近くまで接近していることにようやく気付いた。
セリカ「何っ!?」
『ッチ、油断したか』
私が独り言を呟いてから間髪を入れずに、足音の主である武装チンピラ集団がその姿を現した。 - 71◆zUC3rhx2JU24/06/21(金) 00:19:53
チンピラ1「あいつらだ!!」
チンピラ3「よくもやってくれたな!痛い目にあわせてやるぜ!」
啖呵を切りながら現れた不良集団。あのあと仲間を呼んだのか、2人だったその軍勢は20人程まで増加していた。
アヤネ「先程撃退したチンピラの仲間のようです!完全に敵対モードです!」
シロコ「望むところ」
セリカ「まったく、なんでこんなのばっかり絡んでくるんだろうね?私達、何か悪いことした?」
『…未遂だがな』
先日の会議という雑念を振り払い、警棒を強く握り締める。
アヤネ「愚痴は後にして…応戦しましょう、皆さん!」
"戦闘開始!"
無線からの激励と同時に先生のその一言が発せられる。それを受け取った私が地を蹴ると同時に対策委員会が弾幕を展開した。
場の状況は対等、相手までの距離は約15m。若干狭い路地での戦闘であるため、爆発物は使えない。相手は多いが、それぞれの戦力は皆無。かといってここで騒ぎを起こしてマーケットガードに見つかるのは避けたい。となると…
『銃声を立てずに、できるだけ早く直接攻撃で制圧…か』
私は一瞬で結論を出し、不良集団の先頭に陣取っている一番うるさいチンピラに肉薄し、初速から減速しないまま体当たりを食らわせた。相手の貧弱な肉体のことも考慮して、かなり力を抑えて激突したのだが、衝撃を殺しきれなかったチンピラは後続の味方を巻き込みながら吹っ飛び、背中から倒れ込んだ。
チンピラ3「…、は?」
チンピラ4「…え?」
突然横にいたはずの仲間達が吹っ飛んでいったという事実を即座に処理出来なかったのか、その場に立ち尽くすチンピラたち。その姿はまさに、弾幕を展開していた対策委員会にとって格好の的だった。
直後、チンピラたちに弾幕が到達し、次々とその身体に激突していく。そんななか銃弾の雨霰を浴びつつもなんとか遮蔽物に身を隠した者もいたが、そういった場所では私の攻撃を避けることは出来ない。勿論、全員の意識を刈り取らせてもらった。そうして…
『制圧完了。1分も持たないとは…所詮烏合の衆だったか』
たった30秒足らずでチンピラ全員がその意識を手放すこととなった。 - 72◆zUC3rhx2JU24/06/21(金) 07:58:40
アヤネ「敵全員の気絶を確認!…これこのまま放置しててもいいんでしょうか…?」
シロコ「ん、修練が足らない。出直してきて」
意識が無いチンピラ相手にもしっかり毒舌なシロコ。
ヒフミ「さ、30秒もかからないなんて…と、とりあえず逃げましょう!」
シロコ「ん?どうして?」
ようやく現実に帰ってきたヒフミが焦ったように逃走を提案し、それに疑問符を浮かべるシロコ。
『…お前、私の話を聞いていなかったのか?ここで騒ぎを起こしてマーケットガードに見つかったら面倒だと言っただろう?』
ヒフミ「そ、そうです!シエンさんの言う通りですよ!あうう…もし目をつけられたら本当に大事です…まずはこの場から離れましょう!」
『同意だ。今朝も言ったが、奴らに見つかると面倒だ。この私があの状況を爆発物で片付けることと、奴らに目をつけられることを天秤にかけた上で、理性的な判断を下す程の忌み嫌っている面倒事を負いたいのなら好きにしろ。』
実際マーケットガードは私の敵ではないのだが、この場で私の存在が露見すると後々処理が大変になる。
ホシノ「ふむ…わかったよ。ここのことはヒフミちゃんとシエンちゃんのほうが詳しいだろうから、従おう。」
『!?』
ほ、ホシノが真面目な口調をしている…!?…いや、うん。まぁいい。
セリカ「ちぇっ、運のいいやつらめ!」
ヒフミ「こっちです!」
『…一度離脱する。これ以降は車の回収が難しくなりそうだからな。』
シロコ「ん、気を付けて」
"怪我しないようにね?"
『ああ、わかってる』
それだけ言って私は単独行動に移った。 - 73魂◆zUC3rhx2JU24/06/21(金) 10:22:22
もうこれ先に説明しないと矛盾が生まれそうなので、ステの設定とキャラの過去、あとシークレットダイスの内容公開します。原作設定ガン無視します
霧切シエン 出身地 アリウス ベアおばの元で育ったが、我が強すぎてなにかと反発していた。
具体例 「全ては虚しいのです」「その考え方と教育方針自体が虚しいぞ」「このガキっ…」
そのため他のアリウス生のような装備が一切与えられず、それに対抗するべく修練を重ねた。
しかしそれ以外が優秀であったため、厄介払いのような形で他のゲマトリア(ここでは黒服、マエストロのみ)のもとに訪れたこともある。
ステータス(設定)
戦闘 修練の結果
耐久 修練の結果+銃無しで戦う際、至近距離で銃撃を受けまくったため
近接戦闘 間接攻撃手段を持たなかったため必然的に強化
奇襲 アリウス式ゲリラ戦術をとことん改良した結果
知性 典型的な悪い「大人」と常に対立していた間に伸びた
威圧 野生児+RL+明らかにヤバい奴のオーラ
慈悲,倫理 ベアおばアンチの結果
政治,交渉 性格的に難しい
- 74魂◆zUC3rhx2JU24/06/21(金) 10:35:49
続き
シークレットダイス1 色彩との接触 1,あり 2,なし シークレットダイス2 ベアおば以外のゲマトリアとの関係 1,あり 2,なし
なお、「成長したらもう完全に手に負えない」というベアおばの判断で追い出され、ここからトリニティ、ゲヘナ、アリウス一帯で賞金首を狩り始めた。そのためシエンはその3地域では結構有名である。またマエストロを訪れた際にマエストロに気に入られ、RL、警棒、誘導灯の前身となるものを渡される。これを改造した結果今の装備に至る。
若干伏線 1スレでの閑話で「業務中」にトリニティ近辺を見回ってるとあるが、そもそもシエンが好感度2の上司の指示を聞くわけが無い。つまり、この時シエンは普通にヴァルキューレ所属前と同じように徘徊していただけに過ぎない。
って感じですね。
ちなみに、契約や会話で狡猾な手段を用いる黒服にとって、それら全てに気付いて指摘するどころか逆に悪用してくるシエンは天敵で、マエストロは「芸術は爆発だ!」とのことです(シエンが普通に理解があるだけ)。
- 75二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 11:27:37
このレスは削除されています
- 76◆zUC3rhx2JU24/06/21(金) 20:28:42
ヒフミ「…ここまで来れば大丈夫でしょう」
あの後無事に車を回収した私は、同じく無事に逃げ切った面々と合流し、全員を乗車させて状況の整理をしていた。。
シロコ「ふむ…ここをかなり危険な場所だって認識してるんだね」
ヒフミ「えっ?と、当然です。連邦生徒会の手が及ばない場所の一つですから…。ブラックマーケットだけでも、学園数個分の規模に匹敵しますし、決して無視はできないかと…。それに様々な「企業」が、この場所で違法な事柄を巡って権利争いをしていると聞きました。それだけじゃありません。ここ専用の金融機関や治安機関があるほどですから…。」
『…そこまで調べられる能力があるなら何でろくに身を守る術を持たずにここに来たんだよ…』
ヒフミ「いえ、実は最初はそのつもりだったんですけど、ペロロ様が売りに出たと聞くと居ても立ってもいられなくて…」
そう言って頬をかきながら「えへへ…つい…」と零すヒフミ。
あー、こりゃ同類だな。うん。その証拠に比較的マトモな分類の先生が目元に手を当てて天を仰いでいるもの。全部片付けなきゃ先生の監督責任がすんごいことになりそうだ。
セリカ「っていうかここにも銀行や警察があるってこと…!?そ、それってもちろん、認可されていない違法な団体だよね!?」
ヒフミ「はい…そうです。」
『勿論だ。』
というかここに警官がいたとしても、真っ当なワケがないだろう。もし居たとしても、大抵は袖の下を受け取っているだろうしな。
ノノミ「スケールが桁違いですね…。」
装甲車の窓から外に広がるブラックマーケットを見つつ、驚きと感嘆の入り混じった声を零すノノミ。実際このブラックマーケットの規模は並大抵のものじゃない。なんなら完全な等速が取れていないという項目を無視すると、その総戦力は私抜きの公安局をも凌ぐであろう。
ヒフミ「中でも特に治安機関は、とにかく避けるのが一番です…。騒ぎを起こしたら、まずは身を潜めるべきです…。」
ホシノ「ふ〜ん、ヒフミちゃん、ここのことに意外と詳しいんだねー。」
ヒフミ「えっ?そうですか?危険な場所なので、事前調査をしっかりしたせいでしょうか…。」
うん、やはり同類だな。事前調査を念入りにした上で衝動に駆られて全てが行き当たりばったりになりやすいところとか特に。
ホシノ「よっし、決めたー。」
ヒフミ「…?」 - 77二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 22:24:18
普通なところとおかしいところが混在して?
- 78魂◆zUC3rhx2JU24/06/22(土) 00:12:32
何か矛盾だったり、こうしたほうがいいだとか、ここはちょっと解釈が違うなどあれば教えてください。出来る限り修正重ねて行きます。これからお楽しみの警官式銀行強盗です。
- 79◆zUC3rhx2JU24/06/22(土) 07:46:30
先程までのヒフミの話を聞き、何かを考えるような仕草をしていたホシノが顔を上げ、その双眸にヒフミが映る。直後、ホシノは笑みを浮かべ、
ホシノ「助けてあげたお礼に、私達の探し物が手に入るまで一緒に行動してもらうねー♪」
見返りとして内容、期間が共に不確定という、悪魔のような提案を出した。
ヒフミ「え?ええっ?」
ノノミ「わあ☆いいアイデアですね!」
シロコ「なるほど、誘拐だね。」
ヒフミ「はいっ!?ゆ、誘拐!?」
その提案に賛成するアビドス2年生組。ただその手段と解釈がそれぞれ異なるのが面白い。
ヒフミ「ちょっ、し、シエンさん!なんとか言ってください!」
シロコの誘拐という単語を聞いたからか、焦った表情でこちらに顔を向けるヒフミ。しかし、
『…すまないな、今回私は口を挟める立場にないんだ』
ホシノ「うへぇ、理解が早くて助かるよー。」
そう、先程の戦闘で私は先生を守るという責務を放棄してチンピラ相手に高速悪質タックルを食らわせた。あの時ホシノがわざわざ後方で待機し、その盾で先生を守るように動いていたのだ。
ヒフミ「そ、そんなぁ…。せ、先生も何か言ってください!」
"…、ごめん。この子達は動き出すと止められないんだ"
何か諦めたかのような表情の先生の言葉を受け、こちらも諦めたかのような表情になるヒフミ。そんななか、ヒフミに手を差し伸べたのは
セリカ「誘拐じゃなくて、案内をお願いしたいだけでしょ?勿論、ヒフミさんが良ければ、だけど。」
まさかのセリカだった。いやまぁ、言い方を優しく変えただけなんだが…
ヒフミ「あ、あうう…私なんかでお薬に立てるか分かりませんが…、アビドスのみなさんにはお世話になりましたし、喜んで引き受けます。」
ホシノ「よーし。それじゃあ、ちょっとだけ同行頼むねー。」
そしてヒフミは陥落した。 - 80二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 15:00:21
いざというときはペロロを交渉材料に…と思ったけど、2体競り落としたのは1体は保存用にするためか?
- 81◆zUC3rhx2JU24/06/22(土) 15:49:49
セリカ「はあ…しんど」
ノノミ「もう数時間は歩きましたよね…。」
ホシノ「これはさすがに、おじさんも参ったなー。腰も膝も悲鳴を上げてるよー。」
ヒフミ「えっ…ホシノさんはおいくつなのですか…?」
セリカ「ほぼ同年代っ!」
ホシノの謎発言に誰かが反応し、そこにセリカがツッコミを入れるといういつもの流れを横目に見つつ、私はブラックマーケットの中心よりのエリアで手がかりを探していた。だが目立つのを避けるために装甲車を降りてから数時間が経っても、探せど探せどやはり情報は出てこない。それもそうだろう、あの不良ヘルメット達が持っていた銃は恐らくカイザーPMCがブラックマーケットを通さず直接渡したであろう物品だ。だったらブラックマーケットから情報が落ちるわけがない。
『はぁ、この程度で膝が痛いとは…本当におじさんになったんじゃないか?』
ヘラヘラと笑う顔からは全く疲れが見えないホシノに向けて私が飛ばした言葉は
"それが事実なのかもね…ハァ…言い返せないよ…"
進行方向を大きく変更して先生の心に直撃していた。
『ただ、まあ。流石に今日はここまでにしておくか?』
というかこれ以上やると直ぐに先生が限界を迎えるのは目に見えている。一度休憩するのが得策だろう。
ノノミ「そうですね…、あら!あそこにたい焼き屋さんが!」
ホシノ「あれ、ホントだー。こんなところに屋台があるなんてね。」
ノノミ「シエンちゃんもこう言っていますし、あそこでちょっとひと休みしましょう!たい焼き、私がご馳走します!」
そう言って輝かしいカードを取り出すノノミ。
セリカ「えっ!?ノノミ先輩、またカード使うの!?」
ホシノ「先生の「大人のカード」もあるよ〜。」
しれっと恐ろしい発言を繰り出すホシノ。あれ寿命が対価らしいからそんなポンポン使っていい代物じゃないんだがなぁ。
ノノミ「ううん、私が食べたいからいいんですよ☆みんなで食べましょう、ねっ?」
そう言ってたい焼き屋の屋台に駆け出すノノミ。その姿を見つつ、私達は近場の日陰に移動して腰を下ろした。 - 82二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 21:59:26
流れ弾が先生を襲う
- 83魂◆zUC3rhx2JU24/06/22(土) 23:07:17
- 84魂◆zUC3rhx2JU24/06/22(土) 23:11:23
あー、こうなるか…だったら、渡し先(アビドス終了後)
dice1d4=2 (2) 1,ヒフミ→ティーパーティーと接触 2,団長→強化版救護波習得 3,ノノミ→超強力な後ろ盾 4,アズサ→アリウス及びベアおば関連の内部情報入手
- 85二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 00:09:25
攻撃力に特化していく
- 861スレ目の>>14024/06/23(日) 09:03:18
保守の必要が無さそうだからと放置してたら結構進展していた…
>その通り
やはり。
>実際にプレイして読み終わった
……一旦整理しよう。貴殿にとっての「エアプ」の定義とは?
>原作のアレンジ
原作にあんな場面あったのか……大多数のニ次創作で無視されてる…?
>手に入れた戦略兵器の破片
サーモバリック爆弾でもあったん? それとも原作の段階からこう書かれてたん?
>今度一緒に食べに行こう。
そういや、キヴォトスには回転寿司もあったな。
>私、シロコ、ノノミの3人で即座にクロスを組み
どういう動作? よもやインペリアルクロスの「クロス」を「陣形」という意味だと思い込んでらっしゃる?
>(略)KOすることです。
まさにダーティーヒーロー。
>なお、(略)
さらっととんでもねぇ事が書かれてる…
>『銃声を立てずに、できるだけ早く直接攻撃で制圧…か』
…待て待て、もう援護射撃で銃声出てるじゃねぇか。
- 87魂◆zUC3rhx2JU24/06/23(日) 10:12:13
上から順に
エアプの定義 持っているキャラ全員のキャラスト読み終わってないのに真っ当な二次創作とは言い切れない
原作のアレンジ オリキャラと先生のセリフ、あとナレーション的な何か以外は9割原作通り
戦略兵器 これも原作通り。まぁ弾薬庫爆散を耐えるのは戦略兵器くらいしかなさそう
今度一緒に食べに行こう これ一応伏線のつもりでした(過去形)
クロス 純粋なミス クロス→Y字の陣形で挟み込んで
なお、(略) まぁそれが超法規的権限ですので。やってることは独裁と一緒です
銃声を立てずに→相手にできるだけ銃声を立てさせずに
まぁ銃声鳴らしたところで砂漠を100km/hで走行できるよう改造された車両に追いつけるわけないんですが…
- 88◆zUC3rhx2JU24/06/23(日) 19:48:05
たい焼き屋店主「まいどー!」
店主の声でかいな…。ここまで響いてるぞ…
セリカ「(もぐもぐ)おいしい!」
ホシノ「いやぁ、丁度甘いモノが欲しかったところだったんだー。」
ヒフミ「(ガサッ)あはは…いただきます。」
シロコ「(ぱくっ)ほら…、先生も。」
"いただきます"
ノノミ「はい、シエンちゃんもどうぞ☆」
『助かる』
そう言ってノノミから差し出されたたい焼きを受け取り、口に運ぶ。あ、ウマい
ノノミ「アヤネちゃんには、戻ったらちゃんとご馳走しますね。私達だけでごめんなさい…。」
アヤネ「あはは。大丈夫ですよ、ノノミ先輩。私はここでお菓子とかつまんでますし…」
ホシノ「しばしブレイクタイムだねー。」
そうして少し休憩をとったところで、全員で今一度状況の再確認を行ったのだが、やはり有力な情報が一切出てこない。
ヒフミ「ここまで情報がないなんてありえません…妙ですね。お探しの戦車の情報…。絶対どこかにあるはずなのに、探しても探しても出てきませんね…。販売ルート、保管記録…すべて何者かが意図的に隠しているような、そんな気がします。いくらここを牛耳っている企業でも、ここまで徹底してブラックマーケットを統制することは不可能なはず…。」
ぶつぶつと何かを唱えるように言葉を零し続けるヒフミ。いや考察するの速いな⁉こいつ普通に頭良いだろ…
シロコ「そんなに異常なことなの?」
ヒフミ「異常と言うよりかは…普通ここまでやりますか?という感じですね…。ここに集まっている企業は、ある意味開き直って悪さをしてますから、逆に変に隠したりしないんです。例えば、あそこのビル。あれがブラックマーケットに名を馳せる闇銀行です。」
おい待て。今しれっととんでもない情報落とさなかったか?
セリカ「闇銀行?」
ヒフミ「ブラックマーケットで最も大きな銀行の一つです。聞いた話だと、キヴォトスで行われる犯罪の15%の盗品があそこに流されているそうです…。横領、強盗、誘拐などなど、様々な犯罪によって獲得した財貨が、違法な武器や兵器に変えられてまた他の犯罪に使われる…。そんな悪循環が続いているのです。」
ノノミ「…そんなの、銀行が犯罪を煽っているようなものじゃないですか」
ヒフミ「その通りです。まさに銀行も犯罪組織なのです…。」
そこまで情報を掴んでおいてなんで武力不携帯のままここを訪れたんだ…一体何者だよ? - 89二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 20:36:50
トリニティにいる以上ヒフミもお嬢様なはずなんだが、あんまそんな感じはしない
- 90◆zUC3rhx2JU24/06/24(月) 01:05:42
シロコ「…。」
セリカ「ひどい!連邦生徒会とヴァルキューレは一体何やってんの?」
『何も出来てないんだよ。』
ホシノ「理由は色々あるんだろうけどねー、どこもそれなりの事情があるだろうからさ。」
『…言っていいのかどうかわからないが、恐らく防衛室とそういった企業がズブズブなんだよな。』
シロコ「現実は、思った以上に汚れているんだね。私達はアビドスばかりに気を取られすぎて、外のことをあまりにも知らな過ぎたかも…。」
アヤネ「お取り込み中失礼します!そちらに武装した集団が接近中!」
日陰でたい焼きを食していた私達の胸元の無線機から突然アヤネの警告が届き、皆の身体が若干跳ねる。
シロコ「!!」
アヤネ「気付かれた様子はありませんが…まずは身を潜めたほうが良いと思います…」
ヒフミ「う、うわあっ!?あれは、マーケットガードです!」
ノノミ「マーケットガード?」
『その通りだ。早く装甲車に戻るぞ』
ヒフミ「急ぎましょう!」
そうして私達は即座に装甲車まで戻り、素早く乗り込んだ。 - 91◆zUC3rhx2JU24/06/24(月) 10:39:07
装甲車の小窓から外を覗くヒフミ達。その視線の先には、今日の午前中にアビドスの借金を乗せて走り去っていったあの現金輸送車と、それを守るように取り巻くマーケットガードの姿があった。
ヒフミ「…パトロール?護衛中のようですが…。」
シロコ「トラックを輸送してる…現金輸送車だね。」
ノノミ「あれ…あっちは…」
そしてその一団は、先程ヒフミが指し示した闇銀行の正面入口に向かっていった。
ノノミ「闇銀行に入りましたね?」
『ああ、確定黒だな。』
運転席にいるにも関わらず、後部座席の空気が剣呑なものになっていくのが身に染みて分かる。こりゃぁ、やりそうだな。
銀行員「今月の集金です。」
闇銀行の行員「ご苦労様、早かったな。では、こちらの集金確認書類にサインを。」
銀行員「はい。(サラサラ)」
闇銀行の行員「いいでしょう。」
銀行員「では、失礼します。」
闇銀行の行員「さあ、開けてくれ。今月分の現金だ。」
ノノミ「見てください…あの人…。」
セリカ「あれ…?な、何で!?あいつは毎月うちに来て利息を受け取っているあの銀行員…?」
ホシノ「あれ?ほんとだ」
ヒフミ「えっ!?ええっ…?」
シロコ「…どういうこと?」
正面入口のガラス戸越しに、今朝の銀行員と闇銀行行員が会話しているのが見て取れる。
アヤネ「ほ、本当ですね!車もカイザーローンのものです!今日の午前中に、利息を支払った時のあの車と同じようですが…なぜそれがブラックマーケットに…!?」
ヒフミ「か、カイザーローンですか!?」 - 92◆zUC3rhx2JU24/06/24(月) 16:34:36
ホシノ「ヒフミちゃん、知ってるの?」
ヒフミ「カイザーローンと言えば、かの有名なカイザーコーポレーションが運営する高利金融業者です…。」
シロコ「有名な…?マズいところなの?」
ヒフミ「あ、いえ…カイザーグループ自体は犯罪を起こしてはいません…。しかし合法と違法の間のグレーゾーンで上手く振る舞っている多角化企業で…。カイザーは私達トリニティの区域にもかなり進出しているのですが、生徒たちへの悪影響を考慮し、「ティーパーティー」でも目を光らせています。」
ホシノ「「ティーパーティー」…、あのトリニティの生徒会が、ね。」
いや相変わらず情報網スゴイな。何者だよ。
パシャッ
"ん?カメラ?"
突然のフラッシュに驚いたのか、カメラを構えている私に問いかけてくる先生。
『ああ、勿論だ。これでもかなりの証拠になるんでな。あとはあれに仕掛けた発信機のデータを調べて、もう少し証拠が出れば、チェックメイトだ。』
"おお、ええ?仕事速いね。"
『当然だ。責務はちゃんと全うする、趣味も全力でやる。だから悪人に手加減はしない。』
そう言って私は再びカメラのシャッターボタンを押し込む。
ヒフミ「ところでみなさんの借金とはもしかして…アビドスはカイザーローンから融資を…?」
ノノミ「借りたのは私達じゃないんですけどね…。」
ホシノ「話すと長くなるんだよねー。アヤネちゃん、さっき入ってった現金輸送車の走行ルート、調べられる?」
アヤネ「少々お待ち下さい。…ダメですね。全てのデータをオフラインで管理しているようです。全然ヒットしません。」
ホシノ「だろうねー。」
ノノミ「そういえば、いつも返済は現金だけでしたよね。それはつまり…。」
シロコ「私達が支払った現金が、ブラックマーケットの闇銀行に流れていた…?」
セリカ「じゃあ何?私達はブラックマーケットに、犯罪資金を提供してたってこと!?」
アヤネ「…。」
シロコ「…。」
ホシノ「…。」
ノノミ「…。」
セリカの一言で場が沈黙に包まれる。
アヤネ「ま、まだそうハッキリとは…証拠も足りませんし。あの輸送車の動線を把握するまでは…。」 - 93◆zUC3rhx2JU24/06/24(月) 18:43:24
『ん?なにかあったか?』
運転席でカメラを構え、しばらく証拠写真を押さえて続けていた私は、ようやく後部座席の剣呑な雰囲気に気付いた。
アヤネ「いえ、あの現金輸送車と我が校の借金の動きが読めれば良いという話なんですが…」
ヒフミ「…あ!さっきサインしてた集金確認の書類…。それを見れば証拠になりませんか?」
はっと閃いたような仕草をして、案を口に出すヒフミ。
シロコ「さすが。」
ホシノ「おお、そりゃナイスアイデアだねー、ヒフミちゃん。」
ヒフミのその提案に呼応するように次々と賛成する対策委員会。しかし、その流れに私は待ったをかける。
『いや、それは厳しくないか?』
私はその案には否定的だった。なんせもう銀行員は既に銀行内に戻っている。ここから合法的に強奪する手段はほぼ無いに等しいだろう。
ヒフミ「あはは…でも考えてみたら、書類はもう銀行の中ですし…無理ですね。ブラックマーケットでも最も強固なセキュリティを誇る銀行の中となると…。それにあれだけの数のマーケットガードが目を光らせてますし…、それ以外に輸送車の集金ルートを確認する方法は…。ええっと…うーん…。」
『…、あるにはあるぞ?現金輸送車の動きを調べる方法』
ヒフミ「えっ?」
私のその一言に反応するヒフミ。そのまま私は続ける。
『今朝の借金返済の際、もしかしたら役立つかもしれないと思ってあの車両に発信機を取り付けておいた。これで奴らの動線が分かる』
ホシノ「お〜!やるねぇ、シエンちゃん。」
ノノミ「流石公安局の特攻兵ですね☆」
『…なんだそれは?…いや、まぁいい。動線の確認するぞ』
なんだか凄く厨二感漂う異名を呼ぶノノミを差し置いて、私は発信機の履歴を確認した。のだが…
『チッ、ダメだな。剥がされてる。』
発信機はとある建物にて剥がされていた。つまり、あの車両と闇銀行が繋がっているという証拠としてはこの情報は不十分であるということだ。 - 94◆zUC3rhx2JU24/06/24(月) 22:10:56
『すまん、証拠として上げるにはこれは不十分だった』
シロコ「そう。ホシノ先輩、ここは例の方法しか」
ホシノ「なるほど、あれかー。あれなのかあー。」
ヒフミ「…ええっ?」
ノノミ「あ…!!そうですね、あの方法なら!」
セリカ「何?どういうこと?…まさか、あれ?まさか、私が思ってるあの方法じゃないよね?」
シロコ「…。(目をキラキラと輝かせて頷く)」
セリカ「う、嘘っ!?本気で!?」
ヒフミ「…あ、あのう。全然話が見えないんですけど…「あの方法」って何ですか?」
頭に疑問符を浮かべ続けているヒフミに対し、この流れの行き着く先を理解した私は予めヒフミに警告をする。
『はぁ…結局こうなるのか…。ヒフミ、降りるなら今だぞ?』
シロコ「残された方法はたった一つ…」
そう言ってシロコはどこからともなく取り出した紙袋から見覚えのある青い布を取り出し、スッと被った。
シロコ「銀行を襲う。」
ヒフミ「はいっ!?」
ホシノ「だよねー、そういう展開になるよねー。」
『言うと思った…』
"うん、やっぱりそうなるよね…"
運転席と助手席で共に頭を抱える私と先生。そして、この展開になると…
ヒフミ「はいいいっ!?」
ノノミ「わあ☆そしたら悪い銀行をやっつけるとしましょう!」
ヒフミ「えええっ!!??ちょ、ちょっと待ってください!」
セリカ「はあ…マジで?マジなんだよね…?ふぅ、それなら…とことんまでやるしかないか!!」
ヒフミ「あ、うあ…?あわわ…?」
驚くヒフミ一人を除いて、全員がノリノリになってしまう。こりゃ止めようがないな…
アヤネ「…、はぁ、了解です。こうなったら止めても聞く耳持たないでしょうし…どうにかなる、はず…。」
アヤネまでもが銀行強盗に賛成するという悪夢のような現実ではどんどん話が進んでいく。 - 95◆zUC3rhx2JU24/06/24(月) 22:13:18
ヒフミ「…。」
あ、ヒフミがフリーズした。
シロコ「ごめん、ヒフミ。あなたの分の覆面は準備が無い。」
『というかいつの間に私の車にそれ持ち込んだんだよ…別に良いけど』
ホシノ「うへー、でもまぁないものは仕方がないし、バレたら全部トリニティのせいだって言うしかないねー。」
ヒフミ「ええっ!?そ、そんな…覆面…何で…えっと、だから…あ、あう…。」
ノノミ「それは可哀想過ぎます。ヒフミちゃん、とりあえずこれでもどうぞ☆」
そう言ってノノミがヒフミに差し出したのは、先程ノノミが購入したたい焼きが入っていた紙袋だった。
ホシノ「たい焼きの紙袋?おお!それなら大丈夫そうー!」
ヒフミ「え?ちょ、ちょっと待ってください、みなさん…、あ、あうう…」
若干の抵抗を見せるも、あっさりノノミに力負けして紙袋を被せられるヒフミ。傍から見たらただのいじめである。
ヒフミ「あううっ…。」
シロコ「ん、完璧。」
『いやどこがだよ…全く』
そう呟いて私は装甲車の後部座席に移動する。なんだか横から物凄く大きなため息が聞こえてきた気がしたが、聞かなかったことにしておこう。
『ヒフミ、ちょっとこっち来てくれ』
ヒフミ「え?は、はい。」
私に言われるがまま近寄ってくるヒフミ。流石にトリニティの制服のままかつ紙袋装備だとバレかねないからな。変装を手伝ってやろう。
シエンの変装技術 dice1d100=20 (20) 40以上で成功、80以上で大成功
- 96◆zUC3rhx2JU24/06/24(月) 22:15:22
『んあ?なんだかいつもみたいに上手く行かないぞ?何でだ?』
ヒフミ「あの…シエンちゃん。私、身長158cmでシエンちゃんと20cmぐらい違うんですよ?」
『…、忘れてた。』
結局ヒフミの変装計画は頓挫するのだった。
- 97◆zUC3rhx2JU24/06/25(火) 06:32:21
ノノミ「番号も振っておきました。ヒフミちゃんは5番です☆」
ホシノ「見た目はラスボス級じゃない?悪の根源だねー、親分だねー。」
ヒフミ「わ、私もご一緒するんですか?闇銀行の襲撃に…?」
ホシノ「さっき約束したじゃーん?ヒフミちゃん、今日は私達と一緒に行動するって。」
ヒフミ「う、うああ…わ、私、もう生徒会の人たちに合わせる顔がありません…。」
セリカ「問題ないよ!私等は悪くないし!悪いのはあっち!だから襲うの!」
『とりあえず作戦を再確認するぞ?目標はあの現金輸送車の集金記録。相手にはマーケットガードがいるため、停電を起こして視界を奪った隙に速攻で制圧する。これでいいな?』
シロコ「ん、問題ない」
ホシノ「うへぇ、本当にやることになるとはねぇ」
シロコ「それじゃあ先生。例のセリフを。」
"銀行を襲うよ!"
あ、先生が吹っ切れた。…こりゃあ、やるしかないかぁ。
ノノミ「はいっ!出発です☆」
ヒフミ「あ、あうう…」
アヤネ「ふぅ…では、覆面水着団、(スッ 目出し帽着用)出撃しましょうか!」
『まずは私だな。全員所定の位置についたな?行くぞ!』
そう言って私は銀行上空に特製EMP弾頭を打ち上げ、同時に配電盤にセットしたジャミング装置のタイマーをスタートさせる。
数秒後上空でEMP弾頭が爆ぜ、一帯に妨害電波を撒き散らして通信を妨害しはじめる。直後、私が先程設置した装置が起動、電力関連の操作権を失った銀行が一気に闇に飲まれていく。それを皮切りに、銀行入口から銀行内に侵入していく5人の学生と1人の大人。中では今頃シロコ達が常駐しているであろうマーケットガードらを制圧しているところだろうか。
『私も、少し遅れて合流するとしよう』
そう呟く私の手には若干変形した警棒がしっかりと握りしめられていた。 - 98◆zUC3rhx2JU24/06/25(火) 14:01:10
ダダダダダダダッ!ダダダダダダダッ!!
マーケットガード1「うわっ!ああああっ!」
マーケットガード2「うわああっ!」
マーケットガード3「なっ、何が起きて…うああっ!!」
私が銀行内部に侵入した直後、私の耳にはけたたましく鳴り響く銃声と聞き馴染みのない悲鳴が多数届いた。
『…こんだけ騒がしくなるんなら、私がわざわざEMP使って通信障害起こす意味無くないか?』
私のその小さな愚痴は今も続く銃声にかき消されていく。
シロコ「全員その場に伏せなさい!持ってる武器は捨てて!」
ノノミ「言う事聞かないと、痛い目にあいますよ☆」
ヒフミ「あ、あはは…みなさん、怪我しちゃいけないので…伏せてくださいね…。」
私が戦場に踏み込んだ時には、もう対策委員会が場を完全に制圧していた。あ、どうやら私は必要無かったらしい。
アル「ぎ、銀行強盗!?」
銀行審査官「非常事態発生!非常事態発生!」
先程までアルの相手をしていたのであろう銀行員が無線機片手に懸命に叫びかけるが、それはもうただの徒労である。
ホシノ「うへ〜無駄無駄ー。外部に通報されるシステムはここら一帯ごとゼロちゃんに落としてもらったからねー。」
銀行審査官「ひ、ひいっ!」
銀行員にショットガンの銃口とともに、救援の見込みが無いという現実を銀行員に突きつけるホシノ。ちなみに「ゼロちゃん」とは私のことだ。…何故ゼロなんだろうか。
セリカ「ほら、そこ!!伏せてってば!下手に動くとあの世行きだよ!?」
セリカが声を張り上げ、他の銀行員らに警告する。
ヒフミ「みなさん、お願いだからジッとしててください…あうう…。」
ホシノ「うへ〜ここまでは計画通り!次のステップに進もうー!リーダーのファウストさん!指示を願う!」
ヒフミ「えっ!?えっ!?ファウストって、わ、私ですか?リーダーですか?私が!?」
ノノミ「リーダーです!ボスです!」
いきなりリーダーにされて困惑するヒフミにそう断言するノノミ。銀行強盗と比べたらそんなアワアワするほどのことじゃないだろう。
ノノミ「ちなみに私は…覆面水着団のクリスティーナだお♧」
いやだから「だお♧」ってなんだよ…どうやって発音してるんだそれ…あと真面目(?)な犯罪の途中に決めポーズを取るなっての
セリカ「うわ、何それ!いつから覆面水着団なんて名前になったの!それにダサすぎだし!」
ノノミ「…。」 - 99二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 21:23:31
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- 1001スレ目の>>14024/06/25(火) 21:30:51
>>63の出身地云々で「もしや…」と思ったんだけど、やっぱり現アリウス自治区出身者だったか…
>しかしそれ以外が優秀であったため、(略)
「それ以外」は「ベアおばに反抗的である事以外」って意味?
>ステータス(設定)(略)
理由付けが上手い…
正直、貴殿を見縊ってました…
>トリニティ、ゲヘナ、アリウス一帯で賞金首を狩り始めた。そのためシエンはその3地域では結構有名である。
賞金稼ぎ(バウンティハンター)上がりだったって話は言及済みでしたっけ?
あと、現アリウス自治区にも賞金首が出現するモンなんですかね?
>ちなみに、(略)
デカルコマニー達はどう思ってるんだろう…(面識無さそうだけど)
>等速が取れていない
「統率が取れていない」の誤記?
>事前調査を念入りにした上で衝動に駆られて全てが行き当たりばったりになりやすいところ
ほう ダイススレの不安定さをこう落とし込みますか… たいしたものですね
>お薬に立てる
「お役に立てる」の誤記?(「薬」を「やく」ではなく「くすり」から変換させれば防止可能)
>あれ寿命が対価らしいからそんなポンポン使っていい代物じゃないんだがなぁ。
ゲマトリアメンバーから聞いたんだろうね。(「クレジットカード(によるキャッシュレス決済手段)として使う分には安全」ってのは非公式設定だっけ?)
>団長→強化版救護波習得
蒼森ミネはウェーブキャット派だそうですが…
- 101二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 21:32:46
- 102◆zUC3rhx2JU24/06/25(火) 21:33:55
タグ忘れてましたわ
あ、こっちも黙り込んじゃった。まぁ当然の帰結か
ホシノ「うへ、ファウストさんは怒ると怖いんだよー?言うこと聞かないと怒られるぞー?」
ヒフミ「あう…リーダーになっちゃいました…これじゃあ、ティーパーティーの名に泥を塗る羽目に…。」
『今更そこを心配したって遅いんじゃないのか?』
ヒフミ「あうう…それもそうですね…」
あ、ようやく開き直った
ムツキ「あれ…あいつら…。」
カヨコ「あ…アビドス…?」
ムツキ「だよね、アビドスの子たちじゃん。知らない顔もいるけど。…ここで何やってるんだろ?それも覆面なんかしちゃって。」
ハルカ「ねっ、狙いは私達でしょうかっ!?それなら返り討ちにしちゃいましょうか!?」
カヨコ「いや、ターゲットは私達じゃないみたい…あの子たち、どういうつもり?まさか、ここを…?」
ムツキ「もー、アルちゃんは何してるのさ。」
シロコ「監視カメラの死角、警備員の動線、銀行内の構造、全て頭に入ってる。有線機器も全部ゼロに通信を落として貰った。無駄な抵抗はしないこと。さあ、そこのあなた、このバッグに入れて。少し前に到着した現金輸送車の…」
銀行審査官「わっ、わかりました!何でも差し上げます!現金でも、債権でも、金塊でも、いくらでも持ってってくださいっ!!」
シロコ「そ、そうじゃなくて…集金記録を…」
銀行審査官「どっ、どうぞ!これでもかと詰めました!どうか命だけは!!」
シロコ「あ…う、うーん…。」
どうすればよいかわからなくなったのか、その場で立ち尽くすシロコ。計画は完璧でもやっぱり慣れてないんだな。全く…
『ああ、分かったよ。命までは取らねぇよ。ただ…』
シロコの側まで移動した私はそう言って、警棒で銀行員を殴りつけ、気絶させる。
『証拠と意識は貰っていくぜ』
アル「…。」
アル「(や、ヤバーい!!この人たち何なの!?ブラックマーケットの銀行を襲うなんて!どう逃げるつもりかしら?いや、それ以前に、こんな大胆な計画を立てちゃうアウトローが、未だに存在するなんて!!めちゃくちゃ手際いいし、超プロフェッショナル。まるでこのためだけに生まれてきたみたい。ものの5分足らずでやってのけたわ!かっ、カッコイイ…!シビれるっ!これぞまさに真のアウトロー!うわぁ…涙出そう!)」
- 103魂◆zUC3rhx2JU24/06/25(火) 21:51:17
一応振っておくか
シエンのウェーブキャットへの興味 dice1d100=72 (72) 最低30,100ほど興味を持っている
- 104◆zUC3rhx2JU24/06/26(水) 06:42:48
カヨコ「全然気付いてないみたいだけど…」
ムツキ「むしろ目なんか輝かせちゃって。」
カヨコ「はぁ…。」
ハルカ「わ、私達はここで待機でしょうか?」
カヨコ「…あの子たちを手助けする理由も、銀行に助太刀する理由もない。それに社長が今あんな状態だから…とりあえず隠れていよう。」
ハルカ「は、はい…。」
セリカ「あの、シロ…い、いや、ブルー先輩!ブツは手に入った?」
シロコ「あ、う、うん。確保した。」
『ちゃんと持ってるぞ』
そう言って私はそのカバンをセリカに見せつける。
ホシノ「それじゃ逃げるよー!全員撤収!」
ノノミ「アディオ〜ス☆」
ヒフミ「け、ケガ人はいないようですし…すみませんでした、さよならっ!!」
そうして私達は素早く装甲車に乗り込み、全員が集合したのを確認した私はアクセルをベタ踏みした。所要時間、まさかの4分58秒であった。 - 105◆zUC3rhx2JU24/06/26(水) 08:50:11
装甲車を発進させた直後、銀行の非常ベルがけたたましく鳴り響く。同時に
アヤネ「通信、復活しました!道路が封鎖される前に封鎖されるエリアから離脱してください!」
無線機からアヤネの警告が届く。こりゃマズイな
『うーむ、ここまで早いとなると、正面突破は難しいな』
セリカ「ちょっと!?ここまで来てそれで捕まるなんて止めてよね!?」
『ああ、やるだけやってみる!』
封鎖範囲外への離脱 dice1d100=79 (79) 38以下で離脱成功
- 106二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 08:51:32
だめだったか
- 107◆zUC3rhx2JU24/06/26(水) 09:14:54
アクセル全開で人気のない大通りを突っ切ったが、やはりこの手段は悪手だったようだ。
『ッチ、やっぱりもう閉鎖されてるか』
私の視線の先には、道全体に障害物を設置してバリケードを展開する武装した集団がいた。
ホシノ「うへぇ〜、これは失敗かなー。」
セリカ「ホシノ先輩!?ま、まだどうにかなるでしょ!」
シロコ「それは難しい。右は廃墟、左は砂漠。道は無い」
アヤネ「聞いて下さい!皆さんの現在地の後方にもバリケードが展開され始めました!」
"…これはもう、ダメだね。私が責任を…"
『あ』
全員の間に絶望感が蓄積していたこの時、私は一つ大事なことを忘れていたことを思い出した。
『アヤネ、この道は前も後ろも封鎖されてるんだよな?』
アヤネ「え?は、はい。かなり堅牢なので突破は難しいかと…」
『シロコ、右は廃墟、左は砂漠なんだよな?』
シロコ「ん、だからもうこの車では…あ」
ホシノ「うへぇ、なるほどね〜。ここに来てくれたのがシエンちゃんで助かったよ」
どうやら二人は私の思惑に気付いたらしい。
『全員、しっかり車の何処かを掴んでおけよ?』
口角が自然と釣り上がるのを感じながら、私はアクセルをベタ踏みし…
『行くぞオラァ!!』
ハンドルを左に切った。
砂漠、地面が砂地のため通常の車両は砂上を移動することは非常に難しい。
が、こいつは別だ。私の装甲車、ブッシュマスターは奇襲がメインの私に合わせてどんな地理的要因の元でも運用可能に改造してあるのだ。つまり、
『オラァ進め進めぇ!』
砂漠でも問題なく高速で移動可能である。
ホシノ「うへぇ、まさか本当に砂漠を走れるなんてね。おじさん驚いたよー。」
『いやブラックマーケットに来る途中で普通に砂の上走ってたろ…』 - 108◆zUC3rhx2JU24/06/26(水) 19:03:05
その後私達はどうにかアビドス高校まで帰ってくることができた。
セリカ「はひー、あー緊張した。もう脱いでいいよね?」
そう言いつつ息苦しそうに目出し帽を脱ぐセリカ。
『ああ、どうにかなったな。なんでもやってみるものだな』
ホシノ「のんびりしてらんないよー、急げ急げ。この証拠が隠蔽される前にやっちゃうよー。」
"ふう、疲れたね…。あとはこれの確認だけかな?"
そう言ってパンパンに膨らんだバッグを見つめる先生。その目には光が宿っていなかった。
『…、先生。寝ろ。』
社会の闇を表に出しかけた先生の首元に一撃食らわせ、その意識を刈り取る。
ホシノ「うへぇ、シエンちゃんは優しいねぇ〜。」
『傍から見たらただの暴力行為なんだがな…』
シロコ「こっち、保健室でなら先生を寝かせられる。」
いつまでも覆面を脱がないシロコが先生を抱えた私を保健室まで先導する。
セリカ「あの、シロコ先輩…覆面脱がないの?邪魔じゃない?」
セリカからの問いかけに軽く首を左右に振って否定の旨を示すシロコ。
ホシノ「天職を感じちゃったって言うか、もう魂の一部みたいなものになっちゃって、脱ぎたくないんじゃなーい?」
セリカ「シロコ先輩はアビドスに来て正解だわ…他の学校だったら、ものすごい事をやらかしてたかも…。」
シロコ「そ、そうかな…?」
『間違いないな。』
セリカの発言を受け、流石に目出し帽を脱ぐシロコ。
そうして先生を保健室に運び込んだ私達は対策委員会の部室に戻る。そこには…
アヤネ「…!?」
目出し帽を被ったままのアヤネがいた。
その後何も言わずに目出し帽を脱いだアヤネの顔は赤く紅潮していた。 - 109二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:33:12
通信妨害も入念に…
これが(不良)警官式銀行強盗…
>数秒後上空でEMP弾頭が爆ぜ、一帯に妨害電波を撒き散らして通信を妨害しはじめる。
EMPは「ElectroMagnetic Pulse」の頭文字であり、読んで字の如くパルス状の電磁波(*)です。一時的な電波妨害を行う物ではなく、電子回路を過負荷で破損させて使用不能にする物です(『スターウォーズ』でもEMPグレネードがドロイドに対する必殺武器でした)。
──あれ? これロボ市民やオートマタにとっては致命傷じゃね?
(*)
電磁パルス - Wikipediaja.wikipedia.org電磁パルスとは?HEMPなど電磁パルスによる被害の仕組み・原理と対策 | 地球の未来を宇宙から考えるメディア Beyond Our Planet電磁パルス(EMP)とは、電子機器を損傷・破壊する、強力なパルス状の電磁波です。大規模な太陽フレアにより発生するほか、電磁パルス爆弾や、上空30km~400kmの高高度での核爆発による発生が現実的な脅威となっています。この記事では、電磁パルスによる被害の仕組みや原理、技術的な対策などを解説します。www.rd.ntt - 110◆zUC3rhx2JU24/06/26(水) 22:49:19
- 111◆zUC3rhx2JU24/06/26(水) 22:52:03
実際これそのまんま「妨害電波を撒き散らす」でも良かったんですけど、そうするとなんだが呪◯廻戦の帳みたいになりそうだったので控えてます。
- 112◆zUC3rhx2JU24/06/27(木) 07:52:24
アヤネ「おかえりなさい。もう安全ですよ。」
若干恥ずかしがりながらそう伝えるアヤネ。
セリカ「やった!大成功!」
アヤネ「本当にブラックマーケットの闇銀行を襲っちゃうなんて…ふぅ…。」
ホシノ「シロコちゃん、集金記録の書類はちゃんと持ってるよね?」
シロコ「う、うん…バッグの中に。」
ホシノの質問を受け、ホシノにバッグを渡すシロコ。そしてホシノが開けたそのバッグに詰まっていたのは
ホシノ「…へ?なんじゃこりゃ!?カバンの中に…札束が…!?」
セリカ「うえええええっ!?シロコ先輩、現金を盗んじゃったの!?」
シロコ「ち、違う…目当ての書類はちゃんとある。このお金は、銀行の人が勝手に勘違いして入れただけで…」
はちきれんばかりに札束がギッチリと詰まっていた。
ホシノ「どれどれ…うへ、軽く1億はあるね。本当に5分で1億稼いじゃったよー。」
セリカ「やったぁ!!何ぼーっとしてるの!運ぶわよ!」
ホシノの言葉を聞き、気分が昂ったのか両手を上げて喜ぶセリカ。しかし、そんなセリカとは対称的に他のメンバーの反応は微妙だった。
シロコ「…。」
アヤネ「ちょ、ちょっと待ってください!そのお金、使うつもりですか!?」
セリカのその発言に待ったをかけるアヤネ。
セリカ「アヤネちゃん、なんで?借金を返さなきゃ!」
アヤネ「そんなことしたら…本当に犯罪だよ、セリカちゃん!!」
セリカ「は、犯罪だから何!?このお金はそもそも、私達が汗水流して稼いだお金なんだよ!それがあの闇銀行に流れてったんだよ!それに、そのままにしておいたら、犯罪者の武器や兵器に変えられてたかもしれない!悪人のお金を盗んで、何が悪いの!?」 - 1131スレ目の>>14024/06/27(木) 08:11:07
- 114魂◆zUC3rhx2JU24/06/27(木) 08:17:28
- 115魂◆zUC3rhx2JU24/06/27(木) 08:26:51
- 116◆zUC3rhx2JU24/06/27(木) 13:05:40
ヒフミ「…。」
ノノミ「私はセリカちゃんの意見に賛成です。犯罪者の資金ですし、私達が正しい使い方をした方がいいと思います。」
そう言いつつセリカの隣に移動し、セリカの味方をするノノミ。
セリカ「ほらね!これさえあれば、学校の借金をかなり減らせるんだよ!?」
そんなノノミに同意を求めるセリカ。
ホシノ「んむ…それはそうなんだけど…シロコちゃんはどう思う?」
シロコ「…自分の意見を述べるまでもない、ホシノ先輩が反対するだろうから。」
セリカ「へ!?」
ホシノ「流石はシロコちゃん。私のこと、わかってるねー。私達に必要なのは書類だけ。お金じゃない。今回のは悪人の犯罪資金だからいいとして、次はどうする?その次は?」
セリカ「…。」
ホシノ「こんな方法に慣れちゃうと…ゆくゆくは、きっと平気で同じことをするようになるよ。」
『ああ、確かにな。セリカの言いたいことは十分分かるんだが、ここでその泡銭を借金返済に充てるとこの先ズルズルと引きずることになるし、犯罪への抵抗が無くなって私のお世話になるかもしれないぞ?そもそも、本来であれば警官としてこの現状を見逃すことはできないぞ。』
シロコ「…。」
ホシノ「シエンちゃんの言う通りだよ。これを「しょうがないもの」とみなしてしまうと、この先またピンチになった時にも「仕方ないよね」とか言いながら、やっちゃいけないことに手を出すと思う。うへ〜、このおじさんとしては、カワイイ後輩がシエンちゃんのロケランの餌食になっちゃうのはイヤだなー。」
そこまで言ったホシノは若干声を低くして続ける。
ホシノ「そうやって学校を守ったって、何の意味があるのさ。」 - 117◆zUC3rhx2JU24/06/27(木) 13:06:26
アヤネ「…。」
ホシノ「こんな方法を使うくらいなら、最初からノノミちゃんが持ってる燦然(さんぜん)と輝くゴールドカードに頼ってたはずー。」
ノノミ「…私もそう提案しましたが、ホシノ先輩が反対されて…。先輩の気持ち、わかります。いくら頑張ったって、きちんとした方法で返済をしない限り、アビドスはアビドスじゃなくなってしまう…。」
ホシノ「うへ、そういうこと。だから、このバッグはあの証拠書類以外はシエンちゃんに処分してもらうよ。頂くのは必要な書類だけね。これは委員長としての命令だよー。」
…なんか知らんうちにあの大金の処理任されてるんだが。
セリカ「うわああっ!!もどかしい!意味わかんない!こんな大金を捨てる!?変なところで真面目なんだから!!」
シロコ「うん。委員長としての命令なら。」
ヒフミ「私はアビドスさんの事情をよく知りませんが…このお金を持っていると、何か他のトラブルに巻き込まれるかもしれません。災いの種、みたいなものでしょうから…。」
ノノミ「あは…仕方ないですよね。」
『そうだな。…この金は私が責任を持って処分するとしよう』
ホシノ「ほい、頼んだよー。」
『さて、と…この金、どうすっかなぁ…。』
最終的に私を最も悩ませたのはあの大金の処理だった。 - 118◆zUC3rhx2JU24/06/27(木) 19:05:26
(バン!!)
セリカ「なっ、何これ!?一体どういうことなのっ!?」
ノノミ「…!!」
シロコ「現金輸送車の集金記録にはアビドスで788万円集金したと記されてる。私達の学校に来たあのトラックで間違いない。…でも、その後すぐにカタカタヘルメット団に対して「任務補助金500万円提供」って記録がある…。」
ノノミ「ということは…それって…。」
セリカ「私たちのお金を受け取った後に、ヘルメット団のアジトに直行して任務補助金を渡したってことだよね!?」
アヤネ「任務だなんて…?カタカタヘルメット団に…?ヘルメット団の背後にいるのは、まさか…カイザーローン?」
(これはもうあの情報を伝えるべきだな)
『…一つ話がある。聞いてくれ』
そうして私は事の詳細を対策委員会の面々に伝えた。
シロコ「…。」
セリカ「…。」
ヒフミ「…。」
ノノミ「ど、どういうことでしょう!?理解できません!学校が破産したら、貸し付けたお金も回収できないでしょうに…どうしてそのようなことを…?」
ホシノ「ふーむ…、ここまで真っ黒だとは…。」
『ああ、だからできればこの書類を証拠として提出してほしい。頼む』
ヒフミ「みなさん、色々とありがとうございました。」
アビドスの校門前でペコリと頭を下げるヒフミ。あのあとどうにか集金記録を証拠として提出してもらうことができた。
ノノミ「変なことに巻き込んでごめんなさい、ヒフミさん。」
ヒフミ「あ、あはは…。」
ホシノ「今度遊びに行くから、その時はよろしくー。」
ヒフミ「はいっ、勿論です。まだ詳しい関係性は明らかになっていませんが…これはカイザーコーポレーションが、闇銀行だけではなく、他の犯罪者や反社会勢力と何かしら関連があるという事実上の証拠になり得ます。なので、戻ったらこの事実をティーパーティーに報告します!それと、アビドスさんの現在の状況についても…。」
ホシノ「…。まー、ティーパーティーはもう知ってると思うけどねー。」
『あー、だろうな、うん。』
ヒフミ「は、はいっ!?」
ホシノ「あれほどの規模を持つ学園の首脳部なら、それぐらいはもうとっくに把握してると思うんだよー、みんな、遊んでばかりじゃないだろうしさ。」
ヒフミ「そ、そんな…知っているのに、みなさんのことを…。」
なんだこの可愛い生き物。純粋過ぎないか?…まあいい。とりあえず私は出発の準備だ。 - 119◆zUC3rhx2JU24/06/27(木) 19:06:35
ホシノ「うん、ヒフミちゃんは純真で良い子だねー。でも世の中、そんなに甘くないからさ。」
ヒフミ「…。」
ホシノ「ヒフミちゃんの気持ちはありがたいけど、そっちに知らせたところで、これといった打開策が出るわけじゃないし、かえって私達がパニくることになりそうな気がするんだよねー。」
ヒフミ「そ、そうですか…?」
ホシノ「ほら、今のアビドスって廃校寸前じゃん?トリニティとかゲヘナみたいなマンモス校からのアクションをコントロールできる力がないんだよー。言ってる意味、わかるよね?」
ヒフミ「…サポートするという名目で悪さをされても、それを阻止できない…ってことですよね。…そうですね、その可能性もなくはありません。あうう…政治って難しいです。」
ノノミ「でも…ホシノ先輩、悲観的に考え過ぎなのではないでしょうか?本当に助けてくれるかもしれませんし…。」
ホシノ「うへ〜私は他人の厚意を素直に受け取れない、汚れたおじさんになっちゃってねー。「万が一」ってことをスルーしたから、アビドスはこの有様になっちゃったんだよー。」
『ホシノも、もう少し人からの厚意を受け入れても良いんじゃないか?』
ホシノ「そうかもねー。」
シロコ「…。」
ヒフミ「…。では…、えっと…本当に…一日で色んな出来事がありましたね。」
シロコ「そうだね、すごく楽しかった。」
セリカ「…楽しかったのはシロコ先輩だけじゃないの?」
ヒフミ「あ、あははは…私も楽しかったです。」
ホシノ「いやぁー、ファウストちゃん、お世話になったね。」
ヒフミ「そ、その呼び方はやめてください!」
ノノミ「よっ、覆面水着団のリーダーさん!」
突然の囃し立てにアワアワとするヒフミ。うん、本当に傍から見ると喜劇なんだな…。
アヤネ「みなさん…ヒフミさんが困ってるじゃないですか。」
ヒフミ「と、とにかく…これからも大変だとは思いますが、頑張ってくださいね。応援してます。それでは…みなさん、またお会いしましょう。」
装甲車の扉に手を掛けたヒフミがそう締めくくったことで、この話は終了した。あとは私がヒフミをトリニティまで送り届けて、この集金記録を局長に提出すれば今日のやることは終わりだ。…、あ!
『先生、明日私は有給を取らせてくれ。頼んだぞ?』
それだけ言って私はアクセルを踏んだ。
"私の返事聞く前に発進されても、なぁ…" - 120◆zUC3rhx2JU24/06/28(金) 00:54:01
『よぉ、元気か?局長。』
カンナ「はぁ、またお前か。カイザー関連で何か進展でもあったのか?」
ヒフミをトリニティまで送り届けた後、私は車内からカンナ局長に電話を掛けていた。
『ああ、カイザーとブラックマーケットの明確な癒着と、アビドスへの法外な貸付の証拠を掴んだ。今のところ一回限りだが、これを足がかりにカイザー本社にガサ入れできるチャンスができた。』
カンナ「…お前そういうところだけは無駄に優秀だよな。」
『おい、ため息聞こえてんぞ。』
電話の奥で吐かれた小さなため息をしっかりと聞き取る。
『他も優秀だろう?傷一つしかない傑作じゃないか。』
カンナ「そのたった一つの傷が致命的なんだよ…、まあいい。一旦その証拠とやらをこっちに送ってくれ。」
『ああ、分かった。だが、明日は忙しくなるぞ?』
そう言って私は電話を繋いだまま局長に向けてデータを送信する。
カンナ「あのカイザーがそんな簡単に尻尾を出すとは思えないんだが…お、来たな。どれ?…、は?」
電話口から返ってきたのはそんな素っ頓狂な声だった。
カンナ「シエン、局長命令だ。明日の午前中だけお前を公安局に異動させる。これは大捕物だ、良くやってくれた。助かる」
これまでとは打って変わってガチトーンとなったその声に若干驚いた。
『おお、そうか。いや、アンタから素直な感謝が聞ける日が来るとはな。いいだろう、ただし私は自由行動を取らせてもらう。異論はあるか?』
カンナ「…いや、ない。本当は真っ向から否定したいんだが、こういうのはお前が一番強いからな。先陣を切ってくれ。」
『ああ、了解した。』
その後の展開を予想した私の口角は自然と釣り上がっていった。
『…ああ、それと一つ頼みたいことがあってだな…』
カンナ「…いつもは断るところだが、今回ばかりは聞いてやろう。どうした?」
『一つ準備してもらいたいものがあってだな…』
そうして私は局長にとある物を用意してもらうよう申請した。
『さぁ、明日が楽しみだな』 - 121◆zUC3rhx2JU24/06/28(金) 09:14:09
翌日、お楽しみの一日である。
主要な面子が会議室に揃ったのを確認し、局長が口を開く。
カンナ「全員集まったな?それでは、今から今回の作戦を説明する。」
そう、局長指揮のもと、公安局総動員でカイザーに対してガサ入れを行うのだ。今回の作戦の概略は
1,ブラックマーケットでの銀行強盗の捜査という名目で闇銀行に立ち入り、確実な癒着の証拠を掴む。
2,証拠を押さえ次第、局長の判断を受けた私達でカイザー本社にガサ入れを強行。
3,ここで一気に責任者であるカイザーPMCの理事を適当な疑いをかけて拘束、その隙に相互の癒着を示す証拠、あわよくば防衛局との癒着の証拠まで押さえる。
という流れだ。実際途中途中に違法行為は多数あるが、こちらもカイザーと同様に隠滅してしまえば良い。
カンナ「今回私は通報があったブラックマーケットの闇銀行に向かう。よって、本社側の指揮を行う者が必要になるのだが、これをシエンにやってもらう。異論は認めない。いいな?」
公安局員ら「「「「「はい!」」」」
カンナ「よし、会議は以上だ。詳細は後に話す。それでは準備を済ませた者から移動せよ!」
『局長、アンタなんかイキイキしてないか?』
カンナ「…、そうだろうか?…いやまぁ。それもそうだろうな。…頼まれてた物は用意した。1発分しかないから十分状況を見てから使えよ?」
『ああ、わかってる』
そう言って私は会議室を後にした。 - 122◆zUC3rhx2JU24/06/28(金) 18:52:29
公安局員A「…それにしても、なんであんな爆弾魔がここの指揮を執ることになったんだ?」
公安局員B「さぁな、ただ最近あいつがいなくて平和だし、カンナ局長としても久々に暴れさせてガス抜きさせたいんじゃないか?」
『おいそこ、しっかり聞こえてんぞ。』
あの後私たちはカイザー本社ビル周辺に移動し、物陰で待機していた。ここからであれば何かがあっても十分対応できる。
公安局員A「つうか、直接聞いたほうが早いか。んで、なんでお前が指揮執るんだ?シエン」
『ああ、それはちゃんと理由があるから安心しろ。今回のガサ入れはかなりアウト寄りな捜査なんだが、これはとある問題と深い関連性が見込める事案でな、んでその問題ってのにシャーレが関わってるんだよ。』
公安局員A「それがどうしたんだ?」
『話は最後まで聞け。今回は今回の捜査で私が指揮を執って最初に突撃した場合、これの全責任は私に来るんだが、実は私は形式上は先生の護衛になってるから、シャーレの持つ超法規的権限が適応されるんだよ。』
公安局員A「あー…、つまり?」
『何しても合法』
公安局員A「やってんなぁ、お前…」
『ああ、それに…』
そして私はこれから起こるであろう事態を再度予測し、その上で告げる。
『今回の一件、私の予想が正しければ、先生もこちらに付かざるを得ない事態へと進展する。』
公安局員A「なるほどなぁ、お前をあれほど忌み嫌っていたあのカンナ局長がお前に任せるわけだ。」
『納得したなら待機場所に戻ってくれ。そろそろだぞ?』
私がそう告げると同時、無線に連絡が入る。
カンナ「証拠が出た。シエン、突撃だ!」
『…ああ、了解!』
そのセリフと共に、私は構えた筒のトリガーを引いた。 - 123二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 04:53:44
保守
- 124魂◆zUC3rhx2JU24/06/29(土) 08:44:41
保守ありがとうございます。以降気を付けます
- 125◆zUC3rhx2JU24/06/29(土) 08:44:51
ホシノ「…。」
黒服「これはこれは。お待ちしておりましたよ、暁のホル…いや、ホシノさんでしたね。これは失礼。いやいや、キヴォトスにはまだ馴染めていなくて。こちらへどうぞ、ホシノさん。」
ホシノ「…黒服の人、今度は何の用なのさ?」
黒服「…ふふ、状況が変わりましてね。今回は再度、アビドス最高の神秘をお持ちのホシノさんにご提案をしようと思いまして。」
ホシノ「提案?ふざけるな!!!それはもう…!!」
黒服「まあまあ、落ち着いてください。」
ホシノ「…!?」
黒服「お気に入りの映画の台詞がありましてね。今回はそれを引用してみましょう。」
(トサッ)
黒服「あなたに、決して拒めないであろう提案を一つ。興味深い提案だと思いますので、どうかご清聴下さい。ククッ、クックックックッ…」
『ああ、もう。うるせぇなぁ!』
ドアを蹴破り、盗聴器から聞こえ続けていたその会話を妨害する。
黒服「おやおや、どなたさ…は?爆弾魔!?なんでここに!?」
慌てる黒服。そんなに慌てるほど恐れているなら最初からこんなことしなければいいのになぁ…
『よぅ、久し振りだなぁ、黒服ゥ?』
嘲るように言い放つ。
黒服「ううむ、この絶好のタイミングでよりにもよってあなたに出会ってしまうとは…」
『ハッ、そんな悲観すんなって。あくまで私は約束を破ろうとした友人を連れ戻しに着ただけだ。なぁ、ホシノ?』
ホシノ「約束?そんなもの、いつ…」
『お前、昨日ブラックマーケットで言ったよな?「一緒にお魚食べる」って。』
ホシノ「ああ、そういう…」
『それで、黒服。お前はどうするんだ?』
黒服「クックックッ…そう来ますか。確かにこの状況は圧倒的不利ですね…。」
『はぁ、お前その変な笑い方辞めろよ…気持ち悪い。んで、なんだって?ホシノの身柄を提供する見返りにアビドスの借金を肩代わりするって?甘えてんのか?』
ホシノ「え!?ちょ、シエンちゃ…」
『約束を自分から破ろうとした奴は黙っとけ!!』
ホシノ「ハイ(こっわぁ…)」 - 126◆zUC3rhx2JU24/06/29(土) 17:29:24
『全く手のかかる…んで、黒服。まずはアビドスの借用書見せてくれや。』
黒服「いえ、それは私とホシノさんのm…」
『文句あるか?私は後先考えずに権力を振りかざすタイプの警察だぞ?』
黒服「クックックッ…あなたらしい力技ですね。それはもはや国家ギャングですよ…良いでしょう、これがアビドス高校の借金の借用書です。」
そう言って一枚の書類を取り出す黒服。私はそれを受け取り、内容を吟味した。
『…クッソ、余罪の追及は難しいな、まぁいい。ホシノ』
ホシノ「ん?どしたのー?」
『何も言わずにこれにサインしろ』
一通り書類を確認し終えた私はホシノに声を掛け、一枚の書類とペンを手渡す。
ホシノ「これは…借用書?貸主は…え、シエンちゃん!?」
黒服「クックックッ…なるほど、そう来ましたか。流石ですね、あなたの準備の良さには参りましたね、クックックッ…」
何かを察したような様子の黒服に対し、書類の内容に驚いたのかその場で立ち尽くすホシノ。
『良いからサインしな?』
黒服「クックックッ…爆弾魔、いえ、シエン。そのような契約は未成年では結べませんよ?」
『ああ、勿論それは知っている。だから…』
そこまで言ってから私は追加で一枚の書類を取り出し、それを見せ付ける。
黒服「これは…なるほど、法定代理人制度と来ましたか。それに、代理人となるのは先生、と。シャーレまで巻き込んで確実にカイザーを潰すつもりですか。…ですが、ここキヴォトスでは代理人になれ…というか、何故この書類は承認されているんですか?これはヴァルキューレが管理しt…、ああ、なるほど。あなた、データを改竄したんですか?」
『何のことだかさっぱりわからんな。私はちゃんとデータどおりに条件を満たしているのを確認したぞ?』
黒服「クックックッ…。ここまでやられると、私の負けですね。」
『ああ、良くわかったな。勿論先生には許可を取っているし、私も"データ上は"貸主の条件を満たしているぞ?』
黒服「クックックッ…、ですが、アビドスの抱えている借金は約10億ですよ?数年前まで彼女のもとにいたあなたが支払える額だとは思えませんが?」
『ん?何を言っているんだ?10億程度なら普通に持ってるぞ?お前、私が良く使う改造弾頭の価格知らねぇのか?』
黒服「ああ、そういえばあれの元は8.4kgタンデム成形炸薬弾頭でしたか…。なるほど、これは一本取られました。」 - 127◆zUC3rhx2JU24/06/29(土) 17:29:54
『つうわけで、ホシノ。はよサインしてくれ』
ホシノ「…本当に良いの?」
『ああ?気にすんなそんな金1ヶ月ありゃ稼げるぞ?』
ホシノ「うへぇ、流石シエンちゃん、色々とぶっ飛んでるねぇー。」
そう言って借用書にサインをするホシノ。
『よし、準備完了か。そんじゃ送るぞ』
スマホを取り出し、ホシノの講座を選択して送金する。
ホシノ「…なんか多くない?」
『面倒だったから切り上げて送っただけだ。何も問題はなかろう』
ホシノ「いや、うん。そ、そう。それなら喜んで…」
黒服「クックックッ…話がついたようですね。それではお支払いお願いします。」
『あ、そうだ、黒服。一つ話がある。』
黒服「あなたからとは、珍しいですね。どうしたんですか?」
『お前、カイザー辞めてシャーレ来い。確かお前、神秘の研究がメインだったろ?それならシャーレに鞍替えして、先生の助手として動くほうが後々有利じゃないか?』
黒服「…それもそうですね、ですが私としてはここも捨てがたく…いえ、決めました。私は以降dice1d2=1 (1) 1,シャーレ 2,カイザー に務めます。」
『そうか、わかった。』
- 128◆zUC3rhx2JU24/06/29(土) 22:51:09
こうしてアビドス高校が抱えていたカイザーへの借金は無くなった。なお、ヴァルキューレ内に内通者がいたのか、防衛局との癒着の証拠以外を押さえることは出来なかったが、一先ず安心できるだろう。
ホシノ「それにしても、シエンちゃんはあれで良かったの?利率0%は流石に破格すぎておじさんちゃんと返さないかもよー?」
『ん?ああ、そんなこと気にしてたのか。それなら問題ないぞ、ちょっと見てくれ』
そう言って私はその場で借用書を取り出し、それをホシノに見せ付ける。
ホシノ「んー、どこか変な内容書かれてた!?」
『友人相手にそんなことしねぇよ』ビリッ
ホシノ「…へっ!?な、なにやってるの!?」
『困った時はお互い様ってな。これで貸し一つだ。』
ホシノ「もう、シエンちゃんらしいなー。」
『そんじゃ、帰るぞ。』 - 129二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 22:52:52
粋だな
- 1301スレ目の>>14024/06/30(日) 10:23:02
>持っているキャラ全員のキャラスト読み終わってないのに真っ当な二次創作とは言い切れない
…その心構えはご立派ですが、原作をプレイもダウンロードもしてない輩(例えば僕)をこそ「エアプ」と言うのでは?
>これも原作通り。(略)
うーん…アニメ版の描写が変なのかなぁ☆(節穴(うつけ)風に)
>これ一応伏線のつもりでした(過去形)
廃校対策委員会編の後日譚で回転寿司屋へ行く、とかじゃないの?
……第3章? 知らんな。
>Y字の陣形で挟み込んで
「前後から挟み込んで──」じゃダメなんですか?
>やってることは独裁と一緒です
先生は不本意だろうな…
>(略)追いつけるわけないんですが…
入り組んだ場所だと流石に分が悪いのでは?
>お探しの戦車の情報
キヴォトスだと戦車は戦略兵器扱いでしたっけ?
>武力不携帯
嘘つけアサルトライフル持ってるゾ
それ、僕も原作の段階から不思議に思っているんですよね。
>>90で「接近中」だった「武装した集団」=「アビドスの借金(*)を乗せて走り去っていったあの現金輸送車」の護衛?
(*)
正確には「アビドス高校から回収した現金」。
- 1311スレ目の>>14024/06/30(日) 10:41:58
>突然のフラッシュに驚いたのか、
何で白昼堂々(しかも遠巻きに)フラッシュ撮影してるんだよ。
>証拠写真を押さえて続けていた
「証拠写真を撮り続けていた」の誤記?
>ちなみに「ゼロちゃん」とは私のことだ。…何故ゼロなんだろうか。
僕もそう思った。奥空アヤネの覆面の番号が「0」なのになぜ?
ここで「38以下」を出せたら、一手早く「離脱成功」できたのでしょうか?
承りました。僕含め読者達には当該部分を
「そう言って私は銀行上空に特製EMP弾頭を打ち上げ、同時に配電盤にセットしたジャミング装置のタイマーをスタートさせる。」→「そう言って私は通信妨害装置を起動させ、裏口からピッキングで侵入する。」
「数秒後上空でEMP弾頭が爆ぜ、一帯に妨害電波を撒き散らして通信を妨害しはじめる。直後、私が先程設置した装置が起動、電力関連の操作権を失った銀行が一気に闇に飲まれていく。」→「見取り図を思い返しながら非常用電源を探し当てて断線させ、同じく配電盤のスイッチを切る。手筈通りなら、今頃皆は正面の自動ドアをくぐっているだろう。」
「私がわざわざEMP使って通信障害起こす意味無くないか?」→「私がわざわざ通信妨害した意味無くないか?」
と脳内変換させる事にします。
バンカーバスターは地面などを「掘る」というより「穿つ」物だけど、先端にドリルでも付いてるんですかね?
>セリカ「まったく、なんでこんなのばっかり絡んでくるんだろうね?私達、何か悪いことした?」 (>>71)
>セリカ「ちぇっ、運のいいやつらめ!」 (>>72)
……黒見セリカってこんな口調だっけ?
- 132魂◆zUC3rhx2JU24/06/30(日) 10:46:48
- 133魂◆zUC3rhx2JU24/06/30(日) 22:28:33
- 134魂◆zUC3rhx2JU24/06/30(日) 22:30:22
あ、ちなみにセリカ、というかアビドス組全員の台詞は削除はすれど、付け足し、改変はほとんどやってません。つまりそれがセリカが切れた時の本来の口調というわけです。
- 135二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 10:12:59
保守
- 136◆zUC3rhx2JU24/07/01(月) 16:05:22
『…。何故柴関ラーメンが更地になっているんだ?』
ホシノ「…。」プルプル
午後になり、カンナ局長がカイザーガサ入れ部隊に合流したので、指揮権の引き継ぎの後私はホシノと共にアビドス高校の近くまで戻ってきていた。道中で柴関ラーメンに寄っていくことに決まったのだが、そこで私達を迎えたのは何らかの原因によって跡形もなく消し飛んだ柴関ラーメン、憤慨したセリカを始めとしたアヤネを除く対策委員会の面々と先生、愕然としている便利屋、負傷した柴大将がいた。
『…。先生、一つ聞かせてくれ。』
警棒を握っている右手に無意識に力が入る。ふつふつと怒りの感情が湧いてくる。
『誰がやった?』
"それは…"
先生が私の問いかけに答えようとした刹那、私の耳が何かが飛来してくるような音を聞き取り、私の意識はその音のした方向に向けられる。そこには、いかにもこちらに飛んできている何かがあった。
『榴弾じゃねぇか馬鹿野郎!!』
現在の状況から飛来物が榴弾であると断定した私はそう叫ぶと同時にすぐさま地を蹴り、跳び上がる。目の前には目標物、周辺は市街地であり、先生がいるこの場で爆破させて破片を撒き散らすのはマズイ。だったら…
『フッ!!』ガシッ!ズガァン!
『よっと、ふぅ。危ねぇなぁ!』スタッ
"し、シエン…今の…何?"
『んあ?ただ先生を守っただけだが?』
着地直後の私に投げかける質問がそれなのかよ…。ってなんでそんな頭に疑問符を浮かべてんだ。
『ああ、こういうことか?飛んでくる砲弾らしきものが見えたから撃ち落としてきた。これでいいか?』
"ええ?うん…、ええ?"
『おいなんだそのバケモノを見るような目は』
簡単な話だ。榴弾が爆発して破片を撒き散らすのを防ぎたければ、榴弾を包みこんで全部受け止めればいい。
ホシノ「うへぇ、流石シエンちゃんは規格外だねぇー。」
『まぁいい。それより先に報復してきてもいいか?』
実はさっき飛び上がった時についでに周辺の確認をしたのだが、榴弾が飛来してきた方角に数百人規模の軍勢が見えたのだ。
"くれぐれもやりすぎないようにね?"
ホシノ「先生の安全は任せろー。」
『ああ、んじゃ行ってくる。』 - 137◆zUC3rhx2JU24/07/01(月) 17:06:18
擲弾兵「ほ、砲弾が空中分解しました!」
イオリ「はぁ?お前何言ってるんだ?そんなことあるわけがないだろうが。」
擲弾兵「い、いえ…ですが実際にこちらで発射した砲弾が着弾前に花火と化しておりまして…」
イオリ「…、理由はわからんが、砲撃は難しいようだな。それならば、歩兵、第2小隊まで突入。」
チナツ「…イオリ、あの方たちはどうします?」
イオリ「ん?ああ、向こう側の生徒?なんだっけ…アビドス?そんなの当然、公務の執行を妨害する輩は全員敵だ。」
チナツ「ならば、おとなしくしていてもらいたいものですね…しかしこちらの事情を説明するのが先かと…。」
イオリ「説明?必要か、それ?」
チナツ「…。」
イオリ「うちの厄介者どもを取っ捕まえるための労力が惜しい。もし邪魔するなら、部外者とは言え問答無用でまとめて叩きのめす。」
チナツ「…。」
『そうかそうか、それならお互い様だなぁ?』
イオリ「!?」ゴスッ
話し合う二人の後ろを取り、先程まで過激な思想を振り回していた褐色にそのまま警棒を振り下ろす。
イオリ「うぐっ…だ、誰だ!?ってお前かぁ!💢」
殴られた部位を両手で押さえながらヨロヨロと立ち上がるイオリ。その目には明確な敵意が宿っていた。
イオリ「お前…」
『おいおいそんなにキレるなって。大体先に手を出してきたのはそっちだろう?』
明確な悪意を持って煽る。コイツは短気で動きがわかりやすい典型的な脳筋だからな。こうやって軽ーく煽ってやれば…
イオリ「私の仕事のっ、邪魔をするなぁ!」
ほれみろ、ボルトアクション式のライフル片手に馬鹿みたいに一直線に突っ込んでくる。これだから…
『全く、面白味がねぇなァ』キィンキィン
依然こちらに発砲しながら接近してくるイオリを見ながら、私は警棒を持った右手で飛来する銃弾を全て弾き、弾道を反らし続ける。何故走りながらここまで正確に銃を撃てるのかは理解できないが、所詮その程度である。
イオリ「ッチ、避けるなぁ!」
『感情的になったら負けだぞ?』
私の目前まで到達し、その銃口を私の胸元に突き付けようとしてくるイオリ。そんなもの勿論避けるに決まっている。
『ほら、足元がお留守ですよっ!』
そう言ってイオリの足首の上辺りをサンダルを履いたままの足で蹴りつける。
イオリ「うぐっ!?」ドサッ
あ、コイツ顔から行きやがった…。 - 138二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 22:25:39
ホッシュ
- 139二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 22:33:55
イオリもポテンシャルは負けてないけど、頭がね…
- 140◆zUC3rhx2JU24/07/02(火) 06:36:41
うっわぁ、この体勢めっちゃ恥ずかしいな…。顔面から地面に突っ込んでうつ伏せで股開くってなかなかだぞ…。まぁ同情等無いがな
『この程度なのかぁ?風紀委員ってのはよぉ!』
イオリ「お前からしたら誰だってそうだろうが!」
『ハッハッハ、否定はしない。』
イオリ「こ、こいつ…」
風紀委員A「大丈夫ですか、イオリ先輩!」
風紀委員B「誰だお前は!そこをどけぇ!」
風紀委員C「言うだけ無駄だ、やれ!」
…なんか騒がしくなってきたなぁ、面倒臭ぇ。
『お前ら五月蝿えぞ、小者は黙っとけ!』威圧 自動成功
風紀委員A「ヒッ、お、お前はあの爆弾魔!?」
風紀委員B「ひ、怯むな!撃て!」バァン!
イオリ「あ、待て、撃つなっ!」
お?私を見ても即座に立て直せる奴がいるとは珍しい。ただ発砲は悪手じゃないか?
『イオリ、残念だが…もう遅いぞ』
そう言って私は背中にある筒に手をかけ、引き寄せてそのまま構え、トリガーに指をかける。
イオリ「っ!?全員伏せっ!」ズガァーン!
誰だっていきなり敵陣のど真ん中に現れた敵が、何の躊躇いもなく足元にいきなりロケランを撃ち込んで相手諸共巻き添えにするだなんて普通は想像できない。だが、予想外というのは予測できないからこそ引き起こされるのであり、その結果というのが、私の目の前に広がる死屍累々な風紀委員たちである。ん?躊躇無く自爆を選択した私はどうなったのかって?勿論無傷だとも。
『よし、一件落着っと』
イオリ「どこがだよ!」
お、こいつ私のロケランの爆風をモロに食らっても意識保ってやがる…。前遭った時よりも成長してるな。が、敗者であることに変わりはない。
『なんだ、負け犬の遠吠えか?』
イオリ「違うわ!」 - 141◆zUC3rhx2JU24/07/02(火) 14:48:31
チナツ「イオリ、そこまでで止めておきましょう。霧切さんと敵対しているこの状況ではこちらに勝ち目はありません。」
"お〜い、シエン。ってこれは…何をしたの?"
ホシノ「うへぇ、これは大惨事だねぇー。」
シロコ「ん、まさに破壊王」
『面倒だったから(爆風で)一発殴った。これは悪質な越権行為に対するれっきとした正当防衛の範囲内だ。』
"…どこが?というか殴っただけでここまでなるかな?"
柴関ラーメン前からここまで対策委員会の面々を連れて先生がやってきた。どうしてこの素人はここまで生徒のために戦場に出たがるんだろうか…
『あー、邪魔だったから障害物(弾丸)をどかそうとしたところに風紀委員が乱入してきた。それに痛みを感じるより早く意識は落ちてるだろうから問題はない。違うか?』
"やっぱり話は通じないか…。"
『聞こえてるぞ。発言には気を付けな?』
"君にだけは言われたくないかな…"
そう言って先生は風紀委員の方へと歩いていく。
チナツ「…。」
"久し振り、チナツ。"
チナツ「先生…こんな形でお目にかかるとは…。先生がそこにいらっしゃることを知った瞬間、勝ち目はないと判断して後退すべきでした…私達の失策です。」
アヤネ「アビドス対策委員会の奥空アヤネです。所属をお願いします。」
イオリ「それは…。」
アコ「それは私から答えさせていただきます。」
アヤネ「通信…?」
イオリ「アコちゃん…?」
チナツ「アコ行政官…?」
アコ「こんにちは、アビドスの皆様。私はゲヘナ学園所属の行政官、アコと申します。今の状況について少し説明させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか?」
イオリ「アコちゃん…その…。」
アコ「イオリ。反省文のテンプレートは私の机の、左の引き出しにあります。ご存知ですよね?」
イオリ「…。」
お、カモ(アコ)がネギ(罪)を背負って来たな。これが本当のカモネギってか。 - 142二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 23:05:30
ほ
- 143◆zUC3rhx2JU24/07/02(火) 23:44:46
ノノミ「…。」
シロコ「…。」
セリカ「…。」
アヤネ「行政官ということは…風紀委員会のナンバー2…。」
アコ「あら、実際はそんな大したものではありません。あくまで風紀委員長を補佐する秘書みたいなものでして…」
いやお前いつも独断専行で動いてヒナの仕事増やしまくってる厄介者だろ…。
シロコ「本当にそうなら、そこの風紀委員達がそんなに緊張するとは思えない。」
イオリ「だ、誰が緊張してるって!?」
アコ「…。なるほど、素晴らしい洞察力です。確か…砂狼シロコさん、でしたか?」
シロコ「…。」
アコ「アビドスに生徒会の面々だけが残っていると聞きましたが、みなさんのことのようですね。アビドスの生徒会は5名と聞いていましたが…どうやらそれ以外に犯罪者が1人混じっているようですね。」
(ザッザッザッザッ…)
お、増援か?…ホシノも先生もいる今それは愚策じゃないだろうか…。てか相変わらず多いな風紀委員。
『おい、言われてるぞ、先生。まぁ私の可能性も無きにしも非ずだが』
アヤネ「その二択なら確実にシエンちゃんのことだと思うんですが…。それと私達は生徒会ではなく対策委員会です、行政官。」
アコ「奥空さん…でしたよね?それでは、生徒会の方はいらっしゃらないということでしょうか?私は、生徒会の方と話がしたいのですが。」
セリカ「アビドスの生徒会はずっと前に解散したの!事実上私達が生徒会の代理みたいなものだから、言いたいことがあるなら私らに言いなさい!」
ノノミ「こんなに包囲して銃を向けられたまま「お話をしましょうか〜」なんていうのは、お話の態度としてはどうかと思いますけどね?」
アコ「ふふ、それもそうですね…。失礼しました。全員、武器を下ろしてください。」
(スッ)
(スッ…)
ノノミ「あら…。」
セリカ「本当に武器を下ろした…?」
シロコ「…。」
アコ「先程までの愚行は、私の方から謝罪させていただきます。」
イオリ「なっ、私は命令通りにやったんだけど!?アコちゃん!?」
アコ「命令に、「あの犯罪者相手に制圧を試みろ」なんて言葉が含まれてましたか?」 - 144二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 10:09:19
さてどう動くかな
- 145◆zUC3rhx2JU24/07/03(水) 11:28:32
『おい誰が犯罪者だって?この公然猥褻現行犯。』
アコ「そ、それはしょうがないじゃないですか!ゲヘナの制服では入り切らないんですよ。でも無いよりはマシですね。」
『おーい、ホシノ。お前喧嘩売られてるぞ?』
ホシノ「確実にシエンちゃんのほうが喧嘩売って来てると思うんだけど…。」
『いやだってあんなの隠密行動する時邪魔だろ?私はそういった方向にしか興味がないからな。』
アコ「相変わらず貴女はブレませんね…。それで、イオリ。先程の私の質問の返答はどうなったんですか?」
イオリ「い、いや…状況を鑑みて必要な範囲で火力支援、その後に歩兵の投入…戦術の基本通りにって…。」
アコ「そもそもあの犯罪者は単独で簡単に美食研究会を捕縛するほどの実力を有しているんですよ。そんなバケモノ相手に戦術の基本が通用するわけが無いでしょう。ましてや他の学園自治区の付近なのだから、きちんとその辺りは注意するのが当然でしょう?」
アヤネ(…?)
アコ「失礼しました、対策委員会の皆さん。私たちゲヘナの風紀委員はあくまで、私達の学園の校則違反をした方々を逮捕するために来ました。あまり望ましくない出来事もありましたが、まだ違反行為とは言い切れないでしょうし…やむを得なかったということでご理解いただけますと幸いです。風紀委員会としての活動に、ご協力をお願いできませんか?」
アヤネ「先程も言いましたが…そうはいきまs…」
『断る。』
アコ「あらっ…?」
アヤネ「えっ…?」
『他の学校が他校の自治区内で無許可で戦闘行為を行うことは自治権、及び条例のどちらの観点においても明確な違反だ。よってアビドス自治区内で悪事を働いた便利屋への処罰はこちらで行う。異論はあるか?なぁ、行政官さんよォ』
アコ「ま、待ってください!こちらが掴んでいる情報によれば、アビドスは莫大な借金を抱えてい…」
『完済したが何か?』
アコ「はぁ?またそんな戯言を…その程度、騙されませんよ?」
『いっつも手玉に取られてるお前がそれを言うのか?』
アコ「っ!で、ですが…!」
シエンの行動 dice1d4=2 (2) 1,更に煽る 2,とことん追い詰める 3,挑発して戦闘させる 4,面倒になって退く
- 146◆zUC3rhx2JU24/07/03(水) 16:02:31
『口論でも勝てず簡単にボロを出し、不確定な情報をもとに独断行動した上で学校に甚大な被害をもたらし、イカサマを仕組んだ賭け事さえイカサマを逆利用されて完敗する。そんなお前に横から口を挟む権利があるとでも?』
アコ「うぐ、で、ですが…ここまで来たのであればもう進むしかないです!」
『…お前、本当に学ばないな…。自分の行動と言動を少しくらい見返せよ…そのほうが身のためだぞ?だいだい、お前さっき自分で「私相手に戦闘するな」とかなんとか言ったろ?"戦術の基本"ってのを多少学習したほうがいいんじゃないか?』
アコ「ああ、うるさい!そもそも貴女は部外者なんですから黙っていてください!」
『ヤダ』
アコ「ノータイムで拒否しないでください!ああもう、私の見立てではこんなハズでは…」
『そりゃお前がまだまだ未熟者のあまちゃんだったってことの証拠なんじゃねぇのか?』
アコ「ああああぁっ!もう良いです、法も自治権も知りません!このまま数で押せばあのバケモノもどうにかなるでしょう!第一中隊から第三中隊まで戦闘の準備をしてくださいッ!」
『あ、言ったな?言質取ったぞ。』
アコ「はぁ!?なんでそんなっ…!そう言えば貴女、ヴァルキューレじゃないですかぁ!」
『いや忘れてたのかよ…』
自分のミスで頭を抱えるのはよくあることなのだろうが、普通それをこの場でやるか?まぁいい、今は後ろで怒りのボルテージが爆発してる対策委員会のストレス発散に付き合ってもらうとしよう。
シロコ「…。」
ノノミ「…。」
セリカ「…。」
アヤネ「まさか、ゲヘナほどの大きな学園がこんな暴挙に出るとは思ってもみませんでしたが、ここは譲れません。」
『いや、それはちょっと違うぞ、多分。ありゃアコの独断専行だな。まぁどちらにしろ指揮官のトップがあんな情緒不安定なら処罰対象が増えるだけなんだが。』
アコ「…なるほど。そちらの方々も、同じ考えのようですね。ふぅ、そこの犯罪者ならまだしも、他の生徒さえこの兵力を前にしても怯まないだなんて…。これだけ自信に満ちているのは…やはり、信頼できる大人の方がいるからでしょうか?…ねぇ、先生?」
"…。どちらかというとシエンの存在が大きいと思うよ"
『いや確実に先生だろ。私はちょっとだけ賢くてちょっとだけ強いだけのただの脳筋だぞ?』
セリカ「いやどの口が言ってるの!?」 - 147◆zUC3rhx2JU24/07/03(水) 16:03:35
ホシノ「流石にその発言にはおじさんも賛同出来ないなぁ。」
"というか、この状況でよくそんなに相手を挑発出来るね…"
『そうか?いやまぁ反論はしないが…』
アコ「お話は終わりましたか?」
『ん?ああ、終わったぞ。んで、どうするんだ?さっきまでのお前を見る限り戦闘あるのみみたいな姿勢だったが、少しは頭冷やしたか?今のアビドスにはお前お得意の謀略も言葉遊びも、ゲヘナお得意の物量でのゴリ押しも効かないぞ?』
アコ「はぁ、そうですか。それならば、シャーレの先生。あなたも、そこの犯罪者と同じご意見ですか?」
"そうだね。シエンがアビドスの借金を完済してくれたお陰で、今回の皆の不満を解消するいい機会になりそうだし、便利屋の子たちだって、ちょっとバカかもだけど、バカな子ほど可愛いって言うからね。"
セリカ「いやいやいや!悪人に決まってるでしょ!ラーメン屋を爆発させ…ムグ!?」
『お前ちょっと黙っとけ。』
シロコ「多分だけど…あれは、間違って爆発させちゃって、そのまま言い出せずに見栄を張ったんだと思う。だから…このまま全責任をあの変態に押し付ける。」
『お前流石だな…だが賛成だ。行くぞ!』
ホシノ「いんや、シエンちゃんは今回は戦いにでてほしくないかなぁ。これはアビドスだけでどうにかできる問題だし、これ以上シエンちゃんに頼ってたらそれこそ堕落しちゃうよー。」
『あー、確かにそれもそうか。分かった、今回私は緊急時のみ介入することにする。』
"それじゃ、行くよ!"
そうして先生の指揮下のアビドス生と、ヒステリック無能指揮官指揮下のゲヘナ風紀委員会との戦いの火蓋が切って落とされた。 - 148◆zUC3rhx2JU24/07/03(水) 23:56:37
風紀委員の部隊長B「第三中隊、これ以上の続行は不可能!補給のため、一時撤退します!」
アコ「…、なるほど、だいたい把握できました。シャーレの力、必要となるであろう兵力…。予想を遥かに上回っています…素晴らしいですね。決して甘く見ていたわけではないのですが、もっと慎重に進めるべきだったかもしれません。それでも…決して無敵というわけでもありません。弱点も見えましたし…おおよその戦況は読めました。この辺りをもう少し押していけば…折れるのは、時間の問題ですね。第八中隊。後方待機をやめて、突入してください。」
アヤネ「風紀委員会、第三陣を展開してきました!」
セリカ「はあ…はあ…まだいるの!?」
カヨコ「この状況でさらに投入…!?」
『…そろそろ介入すべきか?』
アル「い、いや!大したことないわよ!まだ戦えるんだから!」
カヨコ「それはそうだとしても…これはもう、アコの権限で動かせる兵力を超えてる。ということはこの襲撃、アコの独断じゃなくて、まさか…。」
ムツキ「…風紀委員長が?」
アル「えっ、ヒナが来るの!?無理無理無理!?逃げるわよ、早く!!」
カヨコ「いや、そうは言ってない…落ち着いて、社長…。」
(ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ…)
アコ「ふふっ…これ以上は流石に…。委員長に知られてしまったら、イオリと仲良く反省文ですね…。さあ、では…三度目の正直と行きましょうか。風紀委員会、攻撃を…」
(ザザッ)
ヒナ「アコ。」
アコ「…え?ひ、ひ、ヒナ委員長!?」
シロコ「委員長?」
セリカ「あ、あの通話相手が…?委員長ってことは、風紀委員会のトップ…?」
『お、タイミングいいな』
アコ「い、い、委員長がどうしてこんな時間に…?」
ヒナ「アコ、今どこ?」
アコ「わ、私ですか?私は…そ、その…えっと…げ、ゲヘナ近郊の市内の辺りです!風紀委員のメンバーとパトロールを…。」
セリカ「思いっきり嘘じゃん!」
ノノミ「やっぱりシエンちゃんの言う通り、行政官の独断行動だったみたいですね…。」
『予想的中ってな。』 - 149二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 10:14:24
保守
- 150◆zUC3rhx2JU24/07/04(木) 11:33:10
アコ「そ、それより委員長はどうしてこんな時間に…出張中だったのでは?」
ヒナ「さっき帰ってきた。」
アコ「そ、そうでしたか…!その、私、今すぐ迅速に処理しなくてはいけない用事がありまして…後ほどまたご連絡いたします!い、今はちょっと立て込んでまして…!」
ヒナ「立て込んでる…?パトロール中なのに珍しい、何かあったの?」
アコ「え?そ、その…それは…。」
ヒナ「他の学園の自治区で、委員会のメンバーを独断で運用しないといけないようなことが?」
その言葉とともに私達の前にその姿を現したヒナ。あ、やっぱりここまで来てたか。
アコ「…え?…えっ?」
シロコ「っ!?」
セリカ「え、あれっ!?」
ノノミ「!?」
イオリ「い、い、い、委員長!?い、一体いつから!?」
『結構前から居たと思うぞ』
チナツ「!!」
アコ「…え、ええええっ!?」
ヒナ「…。…アコ。この状況、きちんと説明してもらう。」
さぁて、面白くなって参りましたよっと。 - 151◆zUC3rhx2JU24/07/04(木) 21:23:16
アヤネ「ゲヘナの風紀委員長…空崎ヒナ。外見情報も一致します、間違いなく本人のようです。ですが、ゲヘナ風紀委員長ということは…ゲヘナにおいてトップの戦闘力…この状況でそんな人物まで…。」
んー、一応戦闘準備しとくか。持ってくのは…まぁヒナ以外には通る89バズーカでいいかな。
ヒナ「…。」
アコ「そ、その…これは、素行の悪い生徒たちを捕まえようと…。」
ヒナ「便利屋68のこと?どこにいるの?今はシャーレとアビドスと、対峙してるように見えるけど。」
アコ「え、便利屋ならそこに…いない!?い、いつの間に逃げたのですか!?さ、さっきまでそこにいたはず…!」
ヒナ「…。」
アコ「え、えっと…委員長、全て説明いたします。」
ヒナ「…。いや、もういい。だいたい把握した。察するに、ゲヘナにとっての不安要素の確認及び排除。そういう政治的な活動の一環ってところね。」
おい待て、ヒナお前なんで今こっち向いた?
アコ「…。」
ヒナ「でもアコ、私達は風紀委員会であって、生徒会じゃない。シエン関連の案件ならまだしも、シャーレ、ティーパーティー、それに連邦生徒会長辺りは「万魔殿」のタヌキたちにでも任せておけば良い。詳しい話は帰ってから。通信を切って校舎で謹慎してなさい、アコ。」
アコ「…はい。」
ヒナ「…。」
アヤネ「…。」
シロコ「…。」
ノノミ「…。」
セリカ「…。」
"…。"
…いやなんで全員黙り込むんだよ…、私はシリアスシーンが苦手なんだ。こうなったらこっちから話しかけるとすっかな。
『よぉ、久し振りだな。ヒナ委員長。仕事はどうだ?』
ヒナ「はぁ、よりにもよってあなたがいる状況でタイミング悪くアコが突っ込んだせいで山積みになりそうよ…。それにしても、よくここまで風紀委員を1人で追い詰めたわね。」
『ん?いんや、今回私はまだ一個中隊しか壊滅させてないぞ。他の奴らに関しては私は一切手を出されてないから正当防衛が認められないからな。』
"明らか過剰防衛だと思うんだけど…"
『障害も死者も出てないんだからこれは過剰防衛には当たらないぞ』
"やっぱり間違った法の使い方してない??"
『間違ってないだろ。これ以上に法律を活用する方法があるなら是非教えてほしいぞ。悪用できるからな。』 - 152二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 07:28:49
保守
- 153◆zUC3rhx2JU24/07/05(金) 07:58:50
ヒナ「あなたは相変わらずね…そんなあなた相手に戦いを挑んでこれほどの甚大な被害を被ったというべきか、それともこの程度で済んで幸運だったか…難しいわ。」
『まぁいいだろ。後でゲヘナで個人的に取り締まりしてやるから我慢してくれ。んで…だ。今回の一件は10:0でそっちが悪いんだが、落とし所をどうするか問題があってな…』
そうして珍しく私が口頭での交渉メインで話を進めようとした直後
シロコ「じゃあ、あらためてやろうか。」
『おい待て今の流れでその返答はおかしいだろ』
これまでの私の努力をぶっ壊す様な血気盛んな者が約一名…。
アヤネ「ま、待ってください!ゲヘナの風紀委員長と言ったら、キヴォトスでも匹敵する人物を見つけるのが難しいほどの、強者の中の強者ですよ!ここは下手に動かず、一旦交渉するのが吉です!どうしてそんなに戦うのが好きなんですかっ!」
シロコ「…ご、ごめん。」
『流石の私とはいえ、ヒナ相手にゃ周りに被害が出ちまうからな。』
アヤネ「ヒナさん相手にその程度で済むシエンちゃんも十分おかしいと思いますが…。こちらアビドスの対策委員会です。ゲヘナの風紀委員会ですね、初めまして。この状況については理解されてますでしょうか?」
ヒナ「…。勿論。事前通告無しでの他校自治区における無断兵力運用、及び他校生徒たちとの衝突。…けれど、そちらが風紀委員会の公務を妨害したのも事実。違う?」
『違うな。…というかお前にゃ知らせてなかったな。アビドスが抱えていた借金は先生名義で全て私のポケットマネーで支払った。だから今アビドスは先生の手中にあるぞ。』
"え!?それ私も聞いてないんだけど!?"
『いやそりゃ言ってねぇからな。話を戻すと、これによってアビドス高校は廃校を免れたため自治権が有効化、すると今回の一件は「不確定な情報を根拠にゲヘナ風紀委員会が他校の自治区内で無許可で大規模な軍勢を率いて破壊行為を働いた」となるわけだ。これのどこが"公務"と言えるんだ?』
アヤネ「…っ!?」
シロコ「それはそうかも。」
セリカ「それで?」
ノノミ「私達の意見は変わりませんよ?」
おい待てなんか血気盛んな若者が増えてる気がするんだが - 154二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 11:16:27
サンクトゥムタワーに続きまたしても知らない内に全権をゆだねられる先生
- 155◆zUC3rhx2JU24/07/05(金) 22:12:10
アヤネ「ちょっと待ってください…!シエンちゃんが味方になってくれるとしても、あっちの兵力は変わってないどころかむしろ増えてますし、それにあの風紀委員長までいる…どういうわけか味方を止めるのも大変だし…!あうぅ…」
『…なぁ、アヤネ。お前私を過小評価してないか?私は意外と強いんだぞ?』
ヒナ「そうね、実際この場でシエンと私が戦ったとしても、恐らく互いに有効打に欠ける状況になるわ。」
アヤネ「そこまでですか!?」
ホシノ「うん、多分私も本気で怒ったシエンちゃんには敵わないかもねぇ。」
アヤネ「ほ、ホシノ先輩まで…」
ヒナ「え、アビドスのホシノって…もしかして、小鳥遊ホシノ…?」
アヤネ「はい?」
ホシノ「そうだよー。でもおじさんそんなに有名じゃないのに良く知ってるね。それで、私は事情は良くわからないけど対策委員会が勢揃いしてるこの状況で改めてやり合ってみる?風紀委員長ちゃん。」
ヒナ「…。1年生の時とはずいぶん変わった、人違いじゃないかと思うくらいに。」
ホシノ「…ん?私のこと知ってるの?」
ヒナ「情報部にいた頃、各自治区の要注意生徒たちをある程度把握してたから。特に小鳥遊ホシノ…あなたのことを忘れるはずがない。あの事件の後、アビドスを去ったと思ってたけど。」
ホシノ「…。」
『ヒナ、それ以上はダメだ。』
ヒナ「シエン?…ああ、そうか、そういうことね…だからシャーレが…。まあいい、私も戦うためにここに来たわけじゃないから。…イオリ、チナツ」
イオリ「…委員長。」
チナツ「…はい。」
ヒナ「撤収準備、帰るよ。」
イオリ「えっ!?」
アヤネ「帰るんですか!?」
そこで突然ヒナがこちらを振り返り、深く頭を下げた。
ホシノ「えっ?」
ノノミ「頭を下げました…!?」
ヒナ「事前通達なしでの無断兵力運用、そして他校の自治区で騒ぎを起こしたこと。このことについては私、空崎ヒナより、ゲヘナの風紀委員会の委員長として、アビドスの対策委員会に対して公式に謝罪する。」
シロコ「!」
セリカ「!?」
ノノミ「!!」 - 156◆zUC3rhx2JU24/07/06(土) 08:00:41
ヒナのその言葉と態度に驚く対策委員会たち。
ヒナ「今後、ゲヘナの風紀委員会がここに無断で侵入することは無いと約束する。どうか許して欲しい。」
チナツ「委員長…。」
イオリ「ま、待って委員長!あの校則違反者たち…!便利屋はどうするんだ!?」
そこまで言ったイオリをヒナの鋭い眼光が貫く。
イオリ「あ、う…。」
『そこまで威圧することもないだろうよ。そいつは今日既に真正面から私の一撃をモロに受けてるんだからその程度で勘弁してやってくれ』
ヒナ「そう…ほら、帰るよ。全軍、撤退準備!」
ヒナのその一言が鶴の一声のように響き渡り、即座に風紀委員会が撤収を開始する。
アヤネ「風紀委員会の全兵力…すごい速さでアビドスの郊外へと消えて行きました…。あれほど大規模な兵力を、一糸乱れずに…風紀委員長、すごい方ですね。」
シロコ「もったいない、強い人と戦えるチャンスだったのに。」
『お、それなら私とやるか?』
シロコ「ん、シエンちゃんとはやめとく。」
『えー?やろうぜ?私も最近体がなまってきているように感じてるんだ。ここは一つ、互いに技術を磨き合うとしないか?』
シロコ「ん、多分私がいい瞬で負けるから大丈夫。」
セリカ「シロコ先輩もシエンも、どこかの戦闘民族みたいだね…まあ私だって、勿論喧嘩を売られたら逃げるようなことはしないけど。」 - 157◆zUC3rhx2JU24/07/06(土) 14:15:35
あの後、学校に戻った私とホシノは、カイザーでの出来事と借金が返済できたことを皆に伝えた。
ノノミ「ええっ!?あれだけ私のカードを使うことは拒んでいたのにシエンちゃんに全部払ってもらったんですか!?」
ホシノ「いやぁ、それは…うん。」
『それは全て私が独断で行ったことだ。ホシノに非はない。よって今回の責任は全て私にある』
セリカ「で、でもっ…それってカイザーへの借金が丸々シエンちゃんに移っただけじゃ…」
『ん?何を言っているんだ?そんなことを取り決めた契約書は存在しないぞ?』
セリカ「え?」
シロコ「どういうこと?」
"…、まさかね…"
ノノミ「ふふっ」
アヤネ「も、もしかして…」
ホシノ「うへぇ、おじさんも驚いちゃったよ。まさかカイザーを出てすぐに契約書を破って借金を無かったことにするなんてねぇ」
そのホシノの一言を聞いた一同の反応は
セリカ「…、は?。」
何言ってるんだこいつと言わんばかりに現実を受け止めきれてないセリカ。
シロコ「ん、流石シエンちゃん。やることが豪快。」
素直に現実を受け止め、こちらを褒めるシロコ。
ノノミ「私のやりったかったことをしてくれたんですね☆」
何故か感動しているノノミ。
"9億円…?一体どうやってそんなお金を…?まさか…。"
俯いてブツブツと何かを考察している先生。
アヤネ「ああ、やっぱりですか…」
案の定と言わんばかりに顔に手を当ててため息を吐くアヤネ。うん、この反応が見たかった。 - 158◆zUC3rhx2JU24/07/06(土) 14:35:07
『ま、終わりよければ全て良しって言うし問題ないだろ?』
"それ私が後で補填しなくちゃいけないこと忘れてないよね…?"
『あ、そりゃいらねぇ。そも私基本趣味(経費で悪人爆破)にしか金使わねぇから補填も要らんぞ?っておい、なんで全員呆れたような視線を向けてるんだ止めてくれ。むず痒い。』
ホシノ「うへぇ、シエンちゃんはブレないねぇ。」
セリカ「私達のためだとは言え、9億円を簡単に捨てるなんてもったいない…。」
シロコ「ん、でも自治権は先生にあるってのはなんで?」
ノノミ「そういえばそう言っていましたね。あれはどういうことなんですか?」
『ああ、それは…先生。この前書類に何枚かサインしてもらったよな?』
"ああ、あったね、でもあれって全部業務関連の書類じゃなかったの?"
『残念。何枚かすり替えておいたんだ。それで、今ホシノと私、そして先生は法定代理人の関係にあるからホシノと私の間で借金の契約が成立し、それで完済して帰ってきた権利が法定代理人である先生に渡ったってわけだ。こうすればこの一件は私、先生、ホシノが巻き込まれる一件となり、特ダネとなるわけだ。これをキヴォトス中に知られたら損害程度じゃすまないだろうからな。これが今回の一連の流れだ。』
アヤネ「そ、そこまで…末恐ろしいですね…。」
『ま、アビドスの問題は全部片付いたろ?それだったら気にすることはねぇぞ。ここからは私達公安局の仕事だからな。』
私は翻り、対策委員会の部室のドアノブに手をかける。
『あとひとつ、やることが残ってるから私はこの辺で失礼する。何かあったらこの番号まで連絡してくれ。』
そう言って名刺をホシノに渡した後、学校を出た私は装甲車に乗り込み、お隣の学園に向けてハンドルを切った。
"あの、私はどうすれば…?"
…アビドスに先生を残して。 - 159◆zUC3rhx2JU24/07/06(土) 23:55:48
ゲヘナ生「や、ヤバイ!爆弾魔だ、逃げっ!?」ガシッ
『もう遅いぞ。』
直後、私の右手の警棒が暴れていたゲヘナ生徒に炸裂する。
ゲヘナ生「ぐへっ」
『はぁ、これで23人目か。少し前まではこんなに活発じゃなかった気がするんだがなぁ…。』
私に首元を掴まれたまま意識を手放したゲヘナ生徒を装甲車の後方スペースに詰め込み、少しため息を吐く。恐らくヒナの出張と昨日今日の戦闘のためゲヘナに留まる風紀委員会が減少したからだと思うんだが、流石に多すぎないか?
『確かにこれに加えてあのバカ議長の嫌がらせか…。そりゃあのヒナがあそこまでシナシナになるわけだ。』
全く、あのバカは何度痛い目を見ればマトモになるんだろうか…私の鉄拳制裁を食らってもへこたれない精神は見事なんだがなぁ…。
『よっす、手伝いに来たぞ、ヒナ。』
ヒナ「来るのが早すぎない?私達たった今戻ってきたところなんだけど…」
『そりゃ私だからよ。とりあえず約束通りゲヘナの治安維持には貢献したぞ。』
そう言って私は親指で後方を指差す。その先には、文字通り山のように積み重なったゲヘナ生とどこぞのバカ議長の姿があった。
ヒナ「相変わらず常識が通用しないわね…。まぁ、ありがとう。」
『おう、今回の一件はほぼあの公然猥褻罪が原因だが、私がそっちの部隊に結構な被害を出したのも事実だからな。これで罪滅ぼしってことにしてくれ』
ヒナ「そう、わかった。あのマコトも成敗してくれたのは感謝してる。」
『おう、とりあえずここはゲヘナ自治区だから、あいつらの後処理は頼むぞ。』
よし、残業終了。シャーレに帰るか - 1601スレ目の>>14024/07/07(日) 08:22:50
- 161魂◆zUC3rhx2JU24/07/07(日) 11:50:24
- 162魂◆zUC3rhx2JU24/07/07(日) 12:43:23
さて、次はパヴァーヌ、といきたいところだが、流石に受験対策で勉強しなきゃいけなくなってきたから一回スレ落とさせてもらいたい。受かったら必ず帰ってくるから、待っててもらえるなら嬉しい。
- 1631スレ目の>>14024/07/07(日) 23:14:56
- 164魂◆zUC3rhx2JU24/07/07(日) 23:33:20
- 1651スレ目の>>14024/07/08(月) 01:15:02
- 166魂◆zUC3rhx2JU24/07/08(月) 01:56:28
- 167二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 10:47:17
このレスは削除されています
- 168魂◆zUC3rhx2JU24/07/08(月) 10:55:46
保守ついでに🎲 料理 dice1d100=74 (74)
- 169二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 10:59:58
こいつ細かい作業と対人関係以外なんでもできるな
- 170魂◆zUC3rhx2JU24/07/08(月) 11:51:05
まぁ初期設定の時点でメアリー・スー化覚悟の上で狂気をありったけ詰め込みましたからね。
- 171◆zUC3rhx2JU24/07/08(月) 21:33:22
ホシノ「ねぇ、シエンちゃん…どうして私は今砂漠を爆走する装甲車の中でゲヘナの知らない子の隣に座ってるのかな?」
『ああ、細かいことは気にするな。』
ホシノ「うへぇ、少しも説明してくれないだなんて、おじさん、困っちゃうなぁー。」
『おう、好きなだけ困っとけ。』
ホシノ「ええ…?」
先程からぶつぶつと何か言っているホシノを軽くあしらい、私は目的地に向けてアクセルを踏み込む。
アビドスの問題が解決してから数日がたった今日の日、ホシノとの約束を果たすために私は色んな方面に手を回した。先生に休暇をもらい、ホシノとセリカ以外の対策委員会メンバあーに協力を要請し…
ハルナ「爆弾魔と呼ばれたあの貴女がまさかたった一つの口約束を守るためだけにここまでの対価を支払うことも厭わないとは…」
後部座席でそうぼやくのは、かの美食研究会の黒舘ハルナ、名の知れた事実上のテロリストであり、過去数十回私に捕縛されては脱獄してを繰り返している。どうしてそんなに脱獄を繰り返すのかを聞いてみたところ、旬の最も美味しい状態の物を食しないのは失礼に当たるので、何が何でも脱獄して味わいに行くとのことだった。なお、今回は今後一週間私が美食研究会の悪事を目撃しても一切介入しないという契約で良い食事処の情報を直接貰っているというわけだ。
今回目指しているのはdice1d2=2 (2) 1,料亭 2,寿司屋 である。
- 172二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 08:02:25
美食研かぁ
- 173魂◆zUC3rhx2JU24/07/09(火) 08:22:33
協力要請(断ったら以降尽く妨害するぞ)の旨
- 174魂◆zUC3rhx2JU24/07/09(火) 18:46:40
やっべぇ、全然筆が進まねぇ。飯テロの描写ってこんなにムズいのか…
- 175二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 18:49:33
飯テロ(物理)
- 176魂◆zUC3rhx2JU24/07/09(火) 19:10:54
それしたらもう美食研(TORMENT)になるぞ…
- 1771スレ目の>>14024/07/09(火) 21:50:58
>互いの弾丸を避けれる位置にいたほうが良いかと…
…そっか、「チンピラを一瞬で鎮圧した。」と言っても格闘戦でとは限らないんだな。
>描写的にこの戦闘した場所確かブラックマーケットの入口辺りだったハズなので開けてます
>他は全て原作通りです。
へぇー…
>とりあえず誤表記とか打ち間違えとかあったらそいううもんなんだなって自動で脳内変換してください。
承りました。ですが、どうか貴殿も誤字脱字衍字を無くすための努力を疎かになさらないでください。
>未だにPC慣れてないんですよね…。
スマートフォンならまだしもパソコンに慣れてないとは珍しい…
>0の理由 (略)
なるほど。しかし奥空アヤネの覆面云々(写真参照)についてはどう摺り合わせを?
>成功の場合、(略)
今回の場合、理由付けは「マーケットガードの動きが予想以上に早く、バリケードも強固になっていたから」でしょうか?
へぇー…
- 178魂◆zUC3rhx2JU24/07/09(火) 23:52:25
- 1791スレ目の>>14024/07/10(水) 08:12:00
- 180魂◆zUC3rhx2JU24/07/10(水) 10:18:55
あー、説明が面倒になるので情報開示します。🎲で不安定だけど、柴関ラーメンの時の設定ではシエンの神秘は爆発関連を司るものだったんですよね。なので高速で飛来する砲弾の判別が出来たし、信管の起動による爆発も不発に出来たんですよね。
それで、空中分解なんですが、シエン側では爆発は不発でも榴弾自体はかなりの速度で飛来してるんですよ。その状態では流石のシエンでも物体を掴むのは難しいんです。そのためシエンは結構な力で榴弾を両手で挟むと思うんです。ですが、(設定として公開してたかは忘れたけど)シエンの膂力ってミカと同等かそれ以上なんですよね…。そんな人間(?)の結構力のこもった一撃、普通の榴弾が耐えられるわけもなく、衝撃で破裂するんです。ですがシエンの神秘で爆発は起こらなかったってのが真相です。ちなみに効果音はシエンの両手が榴弾を掴んだ音と、その時の衝撃に耐えられなかった榴弾が破裂する音です。
それで、この時の状況は柴石から約3km離れてた風紀委員会からはこの状況理解できるわけがないんです。何故なら榴弾を破裂させたシエンは榴弾を覆うような体勢なので、相当な量の破片を受け、同時に運動エネルギーを受け取るため、榴弾の破片並の速度で即座にふっ飛ばされるんです。するとこの状況は風紀委員会からしたら榴弾が突然空中で爆発したようにしか見えないんですが、何故か閃光も爆煙も見えない。となると空中分解したと考えるのが妥当ではないかと思ったんですよ。 - 181◆zUC3rhx2JU24/07/10(水) 18:53:16
ということでそのまま車を走らせることdice1d4=1 (1) 時間、私は厳かな雰囲気漂う老舗の寿司屋に到着した。
『ここであってる…な、確実に。他の建造物とは明らかに年季が違う。』
ハルナ「ええ、こちらのお店ですわ。」
『ホシノ、着いたぞ。』
ホシノ「うへぇ、凄く高そうなお店だね。お金足りるかな…?」
おい待て財布を取り出すな。
『はぁ、今回は私の奢りだ。そういう約束だったろ?』
ホシノ「へ?…あ、あー、そういうことなんだ…。それじゃ、お言葉に甘えて、ご馳走してもらおうかなー」
『おう、好きなだけ食え。金ならある。』
ホシノ「うへぇ、シエンちゃん太っ腹だねぇ。どれだけ懐が深いのかなぁ?」
『少なくともお前にゃ言われたくねぇよ。ほら、私の気が変わらないうちに行くぞ。』
ホシノ「おー!」
ハルナ「…。(あ、私本当にカーナビ役だけだったのですね…)」
板長「…いらっしゃい。ハルナの嬢ちゃんがいるってことは、予約してた3人だな。そこの席に座りな?」
『ああ、わかった。』
ホシノ「おおー、いいねぇ。渋い。」
ハルナ「この店は私の行きつけなんです。多少値は張りますが、この店は私が知る限りキヴォトス一の寿司屋です。」
そうしてカウンター席に座った私達3人の前に、綺麗な寿司下駄と湯気の立つお茶が用意された。
『なるほどな、だが今日は私が全て払う。好きなだけ味わってくれ。』
ホシノ「おおー、でも私今までお寿司を食べたことないから、どれが良いか分かんないよ?」
ハルナ「それなら板長さんにお任せして良いと思いますわ。私もいつもそうしてますもの。」
板長「…注文は決まったかい?」
ホシノ「それじゃ私はハルナちゃんの言うお任せってのにするよー。」
『私もそれを頼もう。』
ハルナ「ええ、それでは…板長さん。お任せで三人前、お願いしますわ。」
板長「まいど。少し待っててくれな。」
- 182二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 18:54:41
時価なんだな
- 183二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 23:32:13
このレスは削除されています
- 1841スレ目の>>14024/07/11(木) 00:10:00
>ホシノの講座
「ホシノの口座」の誤記?
同じ契約書ビリビリでも、利己目的と利他目的でこんなにも印象が違うんですね。見習え鉄屑共。
>処分というか押収のほうが正しいかもしれませんね。シエンとしてはとりあえずこのまま局長に丸ごとポイするつもりです。
…つまり、闇銀行摘発の時の押収品に紛れ込ませて、保管庫に収める現金の総額を約1億キヴォトス円分多く計上するんでしょうか?
>メンバあー
「メンバー」の誤記?
>旬の最も美味しい状態の物を食しないのは失礼に当たるので、何が何でも脱獄して味わいに行く
…うわー、言いそう……本編で言ってたりします?
>今回目指しているのはdice1d2=2 (2) 1,料亭 2,寿司屋 である。
回らない寿司、ダイス結果とはいえ順当ですね。
>よくよく考えたらシエンの場合弾丸あたっても無傷だから位置取り気にしなくても問題ないのか…。
今更ですけど、『原作通り砂狼シロコ&十六夜ノノミが掃射で仕留める様を見て霧切シエンが感心半分呆れ半分で「行動が早い」と評する』って展開を思いつきました。これなら原作キャラにも花を持たせられて一石二鳥じゃありませんか?
>それと0の擦り合わせどうしましょうか…。
何の因果か覆面水着団メンバーの偽名は(判明しているだけでも)覆面の数字と全く関係無いのが、不幸中の幸いでしたね。
- 185魂◆zUC3rhx2JU24/07/11(木) 00:23:17
えー、台詞まんまは言ってなかった気がするけど、似たことは確か言ってましたね(ハルナ未所持)。他のご指摘なんですが、全て仰るとおりです。なお現在私は行ったこともない高級寿司屋の描写を、食べたこともない寿司ネタで書いてます。入念に下調べはしたから問題無いはず…
- 1861スレ目の>>14024/07/11(木) 08:14:02
- 187魂◆zUC3rhx2JU24/07/11(木) 12:48:03
- 188魂◆zUC3rhx2JU24/07/11(木) 20:51:23
体調不良にて原稿仕上がってないので保守
- 1891スレ目の>>14024/07/12(金) 00:04:48
- 190魂◆zUC3rhx2JU24/07/12(金) 07:49:44
いいじゃないかぁ、その選択肢。そうさせてもらおうか!と言うわけで今日体調悪いので食レポ部分以外を書き上げて寝ます
- 191◆zUC3rhx2JU24/07/12(金) 08:39:30
『ふぅ、たらふく食ったな。私は満足だ。』
ホシノ「うへぇ、おなかがぱんぱんだよー。」
ハルナ「二人共よくあれだけ食べた後に追加で行きましたね…うちのアカリより胃袋が大きいのでは?」
『いや、うまいもんは食える時に食っとかないと後悔するからな。』
そう言って私は爆破された柴関ラーメンを思い出す。結局あの後分かったことなのだが、カイザーはアビドス高校だけではなく柴関ラーメンの土地を含めたアビドス自治区全域の土地をせしめようとしていたことが分かった。流石の私でも広大なアビドス砂漠全域を買い取るのは不可能なのだが、そこはどうやら黒服がカイザーのトップと話を付けてきたらしい。アビドスから手を引くことを対価に、これ以上の情報流出と騒ぎの拡大を止めることを条件に話が着いたと連絡が来た。流石交渉術と処世術で生きてきただけはある。
『さて、次にやらなければいけないことは…』
ホシノ「うへぇ、さっきからずっと何を考えてるのさ?」
『ああ、人事的な問題の解消だな。…とりあえず先にハルナをゲヘナに送るか。』
ハルナ「あ、ありがとうございますわ。」
ハルナ送迎後
『ホシノ、お前に一つ聞いておかなきゃいけないことがある』
そう言って私はホシノの目をみつめる。
ホシノ「へ?ど、どうしたのさシエンちゃん、そんな怖い顔しちゃって…。も、もしかしておじさんのこと好きに…?」
『ああそれはないから安心しろ。私は性欲が戦闘欲に置き換わってる狂人だからな』
ホシノ「…、そう。」
『そっぽを向いても現実は変わらねぇぞ。まぁいい、本題は黒服に関して、だ。ハッキリ言うと私はあいつと面識があるもんでな…』
そこまで私が説明したところでいきなりホシノから圧のようなものが放たれる。おお、怖い怖い。
ホシノ「どういうこと?」 - 192◆zUC3rhx2JU24/07/12(金) 08:39:45
『とりあえずそのショットガンを降ろせ。あと私は面識があるだけで今回の件とは無関係だ。』
ホシノ「…あの男とはどういう関係なの?」
『あー、あんま言いたくないんだが…』
結局私は自らの生い立ちと歩んできた人生をかいつまんで説明した。
ホシノ「なるほど…つまり、全てを考慮した上であの男をシャーレに取り込みたい、ってこと?」
『ああ、その通りだ。アイツの目的は全て事が終わった後にでも成し得ることが出来る内容だからな。だったらいっそ取り込んで味方に付けたほうが私の目的の達成に一歩近づけるんだ。ただそうすると予めお前には事情を話しておく必要があったから、な。』
ホシノ「正直なところ、かなり抵抗があるけど…でもまあシエンちゃんにも助けられたし、私としては何も文句は無いよ。」
『そうか、その一言が聞きたかった。』
その返事を聞いて私は安心し、再びハンドルを握る。
『今日はありがとな。このままどこか行きたい所とかあるか?』
ホシノ「うーん、それなら…水族館に行きたいかな?」
『断る』
ホシノ「うへぇ、断るまでが早すぎるよー。」
『あそこは私にゃ合わねぇ。ああいう場所はカップルとか子供連れが一番似合うんだ。外見以外ガキじゃない私と行くより、お前にとって初めて信用できる大人と一緒に初めての水族館の感動を共有するほうがいいぞ。』
ホシノ「へ?な、何を言って?」
『とりあえず、私は水族館には行かねぇ。これは確定事項だ。』
ホシノ「そ、そう…。」
『ほれ、着いたぞ。』
ホシノ「うん、今日一日ありがとう。おじさん、楽しかったよー。」
『そうか、そりゃ良かった。お前はまだ未来あるガキなんだから、全てを背負う必要はないんだ。まだ若いんだから周りを気にすることなく好きに生きろ。』
ホシノ「が、ガキって…シエンちゃんが言えたことじゃないでしょ!」
『そうか、それなら私のことをガキって言えるくらいまで人生を謳歌するんだな。そんじゃ』
ホシノ「…、ありがとう。」 - 193魂◆zUC3rhx2JU24/07/12(金) 08:40:29
よし、雑だがなんとかあげきったぞ。(食レポはカット!)
とりあえず来年度まで休止します!