- 1二次元好きの匿名さん22/02/06(日) 21:04:20
「ねむい……しんどい……」
「なんやトレーナー、シャキッとせんかい」
「昨日の夜はずっとレースの研究しててな……」
トレーニング後、激しい眠気と疲労感で机の上でダウンする。
次の対戦相手のレース傾向の洗い出しをしていたら、もう一人、あともう一人とレースを振り返っているうちに、あっという間に朝を迎えてしまっていたのだ。
「すまん今日は自主トレ見られそうにない……ぼちぼち怪我しない程度にやって門限までには帰るんだぞ……」
「いや、この状態で放置してトレーニングしとったらウチめっちゃ薄情なやつみたいやん」
タマは溜め息をついてこちらに歩み寄ると、小さな手で肩を揉みほぐそうとする。
「かった!岩かっちゅーねん!!若いうちからこんなんやとハゲるで」
「あ゛ぁ~……効く……」
力加減が絶妙でとても気持ちいい。小さい頃から親にも忙しなく世話を焼いてあげていた彼女の姿が目に浮かぶようだ。
「トレーナー業は激務やしな。忙しいのにウチの自主トレから何から世話しとるせいでそないなっとるんやろ。なんかしてほしいことあったら言うてみ、ん。」
肩口からタマが顔を出して覗き込んでくる。……こう見ると、タマって結構大人っぽい顔してるよな。 - 2二次元好きの匿名さん22/02/06(日) 21:04:42
「大人のお姉さんっぽく甘やかしてくれ……」
「は?」
「大人のお姉さんっぽく甘やかしてくれ……」
「えぇ……」
タマはドン引きしている。
「アンタ、十も年下の小娘相手に何せがんどんねん……」
「だってクリークのところはしょっちゅうやってる……」
「あんな特殊性癖のとこと一緒にすなや!ウチはノーマルや!」
「なんでもしてくれるって言ったのに……」
いい加減眠気が限界で、気落ちしたまま入眠しようとしたところで、大きく溜め息をついた彼女が俺をソファの方に引き寄せた。 - 3二次元好きの匿名さん22/02/06(日) 21:05:05
「……しゃーないな。家族のお願いやし」
そのまま膝の上に頭が乗せられ、目がタマの手で塞がれる。
「トレーナーは頑張りやさんやね。いつもウチのために頑張ってくれて、本当にありがとう。いいこ、いいこ」
もう片方の手で、幼子をあやすように頭が撫でられる。
……なんというか、もはや大人のお姉さんを通り越して、母性を感じてものすごく落ち着いてしまった。
疲れ目を覆う小さな手も、頭を撫でる優しい手も、日々の疲れを取り去り、癒してくれる。
「タマの手はしっとりしてて気持ちいいな……」
「はいはい、せやね」
「タマの手は小さいな……」
「はいはい、せやね」
「タマの胸は小さいな……」
「しばき回すぞ」
好き勝手に放言しているうちに、本格的に身体の力が抜けて、意識が闇のなかに落ちていく。
眠りにつく前、ふわりと抱き締められる感覚があった気がした。
翌日からのタマは三日ぐらい目を合わせてくれなかった。 - 4二次元好きの匿名さん22/02/06(日) 21:05:54
以上
タマって甘やかすの上手そうだよね、という話 - 5二次元好きの匿名さん22/02/06(日) 21:07:34
いいね
- 6二次元好きの匿名さん22/02/06(日) 21:08:17
タマお母さんいい…