もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たら

  • 1二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:19:54

    アグネスが士官学校卒業ザフトアカデミー、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSを書く予定です。お付き合い頂ければ。

  • 2二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:24:56

    ルナマリアがミネルバに来てた本編時空でも割とハードモードだったシンちゃんシナリオの難易度がエライことになってしまう
    難易度ルナティックとかシンマストダイぐらいに

  • 3二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:29:15

    ルナマリアの月艦隊勤務生活の日々はみたい。

  • 4二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:32:08

    アスランのストレスが

  • 5二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:32:49

    ミーアに加えてアグネスまで、ねちねち狙ってくるのかぁ…うわっ

  • 6二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:34:07

    アスランが脱走時にシンも首根っこ捕まえて連れてくるレベル
    当然メイリンも着いてくるのでグフのコクピットはギッチギチ

  • 7二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:34:51

    メイリンはアグネスと同室になるのかな?
    それだとメイリンもストレスヤバそう

  • 8二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:38:39

    アグネス「お父様お願い。前線で武功を挙げたいの!」
    アグネス父「またその話か…」

    パパの少しうんざりした視線を敢えて無視しながら話を続ける。

    アグネス「新型モビルスーツのテストパイロット選考に漏れたときは我慢したでしょう。あの時だって私必死に…」
    アグネス父「我慢も何も…。だいたい条約が締結されて当分世界は平和だ。前線も武功も無いだろうに」

    よし。言質が取れた。

    アグネス「じゃあ前線でも安全ってことね。安全なら新鋭艦に乗りたい」
    アグネス父「…」
    アグネス「ミネルバも配備先は月軌道艦隊と聞いてるわ。なら同じでしょ。月軌道艦隊に着任するか、ミネルバに着任してから艦隊本体に合流するか」
    アグネス父「…。今日、軍本部に確認した。もう名簿は決まっているそうだ」
    アグネス「その名簿見せて!!」

    何処かに自分をねじ込めないものか。後方に居たら手柄も挙げられない。パパは何も分かっていない。
    たとえ訓練でも演習でも、手柄をあげるなら最前線。同じ最前線なら主力部隊が良いに決まっている。

  • 9二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:39:24

    逆にレイが早々にDPに疑問を持つことになって、アスランと一緒に議長をシバき倒すルートになるかもしれん
    てかそうでもしないとシンが廃人になって終わるでしょ

  • 10二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:39:42

    乗機はザク?

  • 11二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:40:37

    逆にシンちゃんに脳やかれてデレるアグネスもありかも

  • 12二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:40:58

    アグネスがルナマリアの代わりになってシンとくっつくルートはまあありえんだろうなという信頼はある

  • 13二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:42:41

    >>11

    やだ!それならルナマリアでいいじゃん!そんなアグネスはアグネスじゃない!アグネスのガワをかぶったツインテ美少女ヒロインよ!

    (アグネス過激派並感)

  • 14二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:44:15

    >>13

    難儀な

    分かるけど

  • 15二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:45:02

    (胃が痛いわ…はぁ)

  • 16二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:46:10

    というかシンがどんどん戦果を挙げていくのにアグネスはイマイチとかプライドがズタズタになるんじゃないかな
    それにザクの次に乗るのがシンのお下がりのインパルスとかアグネスは拒否しそう

  • 17二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:46:59

    アグネスがマーレみたいなことをしないことを願う

  • 18二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:48:05

    まず最序盤はカガリからアスランを寝取ろうとするのかしらね

  • 19二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:49:18

    最初からアスランからの好感度地に落ちてそうだなアグネス

  • 20二次元好きの匿名さん24/06/17(月) 23:59:39

    パパから受け取った名簿を目を皿にしながら読み込む。

    パイロット
    シン・アスカ 士官学校の落ちこぼれ、もとい赤服の落ちこぼれ。
    レイ・ザ・バレル ホモ。
    ルナマリア・ホーク まあまあの友達…

    アグネス「ルナマリア・ホーク…。確かさっき…」

    名簿を読み返す。やっぱり艦橋オペレーター メイリン・ホーク…。

    アグネス「パパ…ゴホン。お父様。見て、ホーク姉妹。同じ艦に乗っている!」
    アグネス父「うん…。うむ。それで?」
    アグネス「サリヴァン兄弟の故事よ。姉妹が一度に亡くなるようなことが万一あれば。ご両親の悲しみどれほどのものか」

    大昔、第二次世界大戦と呼ばれる戦争で軽巡洋艦ジュノーと共に沈んだ5人の兄弟の故事。
    本来、同じ船に姉妹を乗せるのは理想的なことではない。

    アグネス父「私に軍本部にそう言えと言いたいのか?」
    アグネス「お願い。物は試しに言ってみるだけで良いから」

    上目使いでパパを見上げる。パパは少し考え一つ頷いて
    アグネス父「良いだろう。軍本部に伝えておく」
    アグネス「お父様ありがとう!!」

    我ながら、なんて私は優しいのだろう。友達を姉妹全滅の危機から救うとは。
    軍本部の配慮不足を正した自分の心意気を褒めてあげたい!
    ルナマリアもホーク家も私に足を向けて寝ることは出来ないだろう。

  • 21二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 00:02:01

    レイに対する評価…

  • 22二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 00:03:25

    そこは割と本編アグネスだからしゃーない
    アグネスはレイの事を自分に惚れないからホモだと疑ってたからな

  • 23二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 00:05:02

    >>16

    アスカ・ラングレー族か……

  • 24二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 00:31:31

    アーモリーワンにて

    アグネス「ついにきたわ」
    いよいよ就役が迫るミネルバ。明日の式典に向けアーモリーワンは大変騒がしく、忙しい。
    そんな私はと云うと―

    ヴィーノ「うわっ!」
    アグネス「あっ!」

    危うく、式典準備中のモビルスーツに踏みつぶされそうになった。運転手の不注意のせいで!
    私の伝説が始まる前に終わるところだった!

    ヴィーノ「はぁ…なんかもうごっちゃごちゃだね」
    こちらの機嫌を窺うように運転手ことヴィーノ・ディプレが声をかける。

    大丈夫。私は下には鷹揚な人間。怒らない怒らない。優しく甘く。
    士官学校時代は歯牙にもかけなかったが、今はこいつ等の機嫌を損ねたらモビルスーツは動かない。

    アグネス「仕方ないわよ。こういうことには慣れていない方も多いんでしょうし」
    ヴィーノ「アグネスは慣れてるの?」
    アグネス「ほどほどよ。でもこれで、ミネルバもいよいよ就役ね。月まで良い旅になるといいわね」

    式典やパーティーには練れを通り越して、うんざりするほどだけど。
    だけど、あんまりお嬢様ぶるのも印象が悪い。感心したようなヴィーノの横顔を見つつ。
    アグネス(このへたくそ。さっき私が死んだら、あんたパパに飛ばされてたわよ。やっぱり運転は自分に限るわ。もしくは、さっさと出世すれば専属のドライバーが付くじゃない!)

    そんなことをこの時まではのんきに考えていた。

  • 25二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 01:03:05

    アグネス「どうもありがとう」
    ヴィーノ「ううん。またいつでも」

    楽しいとは言えないドライブを楽しそうな顔をして終え、一旦ミネルバに帰還する。
    特にすることもないし、メイリンをおちょくりに行くか。
    メイリン・ホーク、ルナマリアの妹。私と同室の子。小動物みたいで面白いのよね。怖がりだけど、確かアカデミーでも得意分野は結構できる子だったわね。
    まあ、そういうのは士官に向いてるとは言えないんだけど。下士官ぐらいなら適任ってやつ。
    艦内をデッキを歩いていたところ―アーモリーワン全体に特大の警報音が鳴り始めた。

    アグネス「どこの無能が!」誤報を鳴らしたのか。式典準備で忙しいからといって。

    ともあれ様子を確認してみよう。私はコーディネーターの中でも選ばれし者。その視力をもって遠方を見渡すと―

    アグネス「本当に爆発している!!」
    連続で、ハンガーが吹き飛んでいる。テロかそれとも反乱か。条約反対派が議長を狙っているのか。

    ―インパルス発信スタンバイ。パイロットはコアスプレンダーへ―
    艦内放送が流れるのを危機ながら、胸が高鳴る。

    戦争だ!戦争がやって来てくれた!条約が結ばれて当分、武功をあげる機会はないと思っていたのに!
    アグネス「落ちこぼれに遅れてたまるか!」
    確か私のザクもミネルバにあったはず―

  • 26二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 02:18:16

    ミネルバのモビルスーツ格納庫に到着

    アグネス「ゲイツR…」
    粗大ごみが鎮座していた…。よく考えたらザクは艦から降ろしていた。愛機は無事だろうか。
    アグネス「まあそれはそれとしてっと」
    整備兵も混乱している中、他人のゲイツRにちゃっかり乗り込む。
    まあ、ゲイツでもジンでも最悪ザウートでも今は何でもいいわ。どれでも他の人よりずっとうまく乗れるんだし。
    アグネス「ブリッジ。発進の許可を。インパルスの援護に向かいます」
    アーサー「アグネス、どうして」
    直属の上司にして副長のアーサー・トラインは困惑している。勝手に機体に乗っているからだろう。
    アグネス「他人の機体をお借りして申し訳ありません。しかし今は非常時です」
    タリア「アグネス。相手は最新機よ。理解している?」
    タリア・グラディス艦長の声。ディランダル議長の愛人で体で艦長の座を手に入れた―この人正直苦手
    アグネス「理解しています。しかし今は一刻を争います」
    早く初陣がしたいのよ。急いでよ。なんか考え込んでるし。
    タリア「発進を許可します」
    よし。
    アグネス「アグネス・ギーベンラート。ゲイツRいきます」

  • 27二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 02:19:46

    ゲイツR飛行中
    アグネス「よし。やってるやってる」
    インパルスとガイアが戦闘している。援護するべきか。でも、ガイアの動きがかなり早い。万一誤射しても面倒だ。
    アグネス「それよりも!」
    なんか意味不明に棒立ちになっているカオスに背後からビームライフルをお見舞いする。カオスも慌てて振り向こうとするが遅い。
    爆発音と共に機動兵装ポッドが一つ吹き飛ぶ。バカじゃないの!ナチュラルにガンダムが乗れるもんか。ざまあみろ。

    まあ、それはそれとして―
    アグネス「ヒットアンドアウェイってことで」
    カオスの隣のアビスのビームを全力で回避しながら一旦距離を開ける。味方の機体がボコボコ落ちてるけどまあ運が無かったということで。

    アビスと私が小破させたカオスがガイアと合流しに行く。インパルスが…。

    アグネス「さよなら落ちこぼれ。あんたほんと最後まで使えなかったわ」
    インパルスも私が乗ってたらもっと上手く使えたのに。うん?
    ザクが突然割り込んできた。インパルスを庇い、片腕を失いながら撤退。

    やるわね。この隙に。

    ポコポコ豆鉄砲を撃ちながら突っ込んでくる友軍機にさりげなく加わり、アビスに攻撃を敢行、アビスが攻撃を盾で防いで、盾を開いて攻撃、味方が吹き飛び撃墜されていく―
    今!ビームライフル発射。
    爆発音
    アビスが開いた盾を片側吹き飛ばしてやった!大手柄ね。急いで逃げ、じゃなくて撤退しなきゃ。

    じゃあね。落ちこぼれ。あんたのこと忘れるまでは忘れないわ。

  • 28二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 09:24:41

    撤退しようと距離を開け始めた途端。背後に殺気を感じる。
    新手か?

    白いザク・ウォーリア! レイ・ザ・バレル!!

    通信がコクピットに響く
    レイ「アグネス。そのままアビスを抑えるぞ。シンの援護を」
    同時にレイのザクがアビスに向けビームライフルを撃ちこむ。

    結構狙いが正確ね。これはチャンス。

    アグネス「言われなくても!」
    ゲイツのビームライフル、レールガンをアビスに全力照射する。肩盾を一つ失ってるアビスは防御と回避で手一杯だ。
    これは鹵獲までいけるかも。
    初陣で勲章ゲットね!

  • 29二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 10:12:13

    アビスが私とレイに追い込まれている中、インパルスにも注意を向ける。
    向こうはガイアとカオス相手に奮闘中。シンもそれなりには出来るわね。アカデミーとは違って。
    少し評価を改めてあげるか。

    うん?ガイアが突然棒立ちになった。故障か?

    ステラ「死ぬのはいやぁぁぁ」
    こっちに突っ込んできた!ビームライフルでは間に合わない!シールドからビームクロー出す。
    ステラ「あぁぁぁ」
    あれは無理だ、この機体では。悪いわね。ショーンだかデイルのどっちか。
    ガイアのビームサーベルがこちらのシールドを切り裂く。片手が落ちた。ここらが潮時か。

    アグネス「ミネルバへ。力及ばず申し訳ありません」
    交信するやコクピットを開き飛び降りる。

    背後でガイアに切り裂かれたゲイツRが爆発する音を聞きながら、地上に向け降下していく。
    セカンドシリーズ相手ならまあまあの功績だろう。取り合えず下りたら自分のザクを拾ってミネルバに帰還しよう。

  • 30二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 11:20:18

    整備兵達「アグネス。よく無事で…。良かった」
    私を格納庫の人達が迎える。

    あの後、私は本来の乗機―赤色のザクーに乗って帰還した。小破してたけど。

    ヨウラン「死んだかと思った。本当に良かった」
    ヨウラン・ケント。そう仲がいいわけではないが、今度ばかりは嬉しそうだ。

    こちらとアビス・カオス・ガイアの戦いは続いている。どうやら3機はアーモリーワンからの脱出を図っているようだ。ザクが健在なら再戦したかったけど仕方ない。今後の対応を考えなきゃ。
    アカデミーの座学がこんなに早く生きるとは!良い作戦が浮かんだら、副長に上申する。採用されて成功すれば勲功ゲットよ。

    そんなことを考えていたら、カタパルトに友軍機が着艦してきた。
    大破したザク。さっき3機相手に大立ち振る舞いした奴じゃない。どうして…。
    コクピットから二人降りてくる。片方はオーブの首長服を着ている。もう一人の黒服はその護衛だろう。あっちが操縦していたのか。
    警備兵が銃を構える。
    アグネス「待って。このお二方は!!」
    2人を庇うように両腕を広げて警備兵の前に立ちふさがる。オーバーなくらいが丁度いい。私の見立てが正しければ…

  • 31二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 11:23:14

    ???「銃を下ろせ。こちらはオーブ連合首長国代表カガリ・ユラ・アスハ氏だ。俺は随員のアレックス・ディノ」
    私の行動に些か驚きつつ、護衛官が正体を明かす。
    やっぱりね!やった!今の行動で私の評価は鰻登り。他国の国家元首を守るために銃口に身をさらすとは。
    私の伝記の一エピソードに相応しい。
    でも、この護衛官。アスラン先輩に顔がそっくりね。パパと一緒に行ったパーティーで何度もお見掛けしているから、間違いでは無い筈なんだけど。

    アレックス「デュランダル議長との会見中騒ぎに巻き込まれ、避難もままならないままこの機体を借りた。代表は怪我もされている。議長はこちらに入られたのだろ?お目にかかりたい」
    ディランダル議長がこの艦に居るの?何で!意味が分からない。
    警備兵が銃を下ろしたのを確認して私も両腕を下ろす。
    そんな中、艦内放送が鳴り響く。
    「本艦はこれより発進します。各員所定の作業に就いて下さい。繰り返します。本艦はこれより発進します。各員所定の作業に就いて下さい」
    発進。出港するの。なんで!シンやレイはどうなったの?状況が分からない。ともかく。
    アグネス「アスハ代表閣下、ディノ護衛官どうぞこちらへ。ブリッジにご案内します」
    連合首長国代表の称号って閣下で良いわよね。首長の称号は殿下だと思うけど。今回は閣下の方で来ているんだし。

    2人をお連れして通路を歩く。ご無礼が無いように姿勢を正す。
    カガリ「避難するのか?この艦。プラントの損傷はそんなに酷いのか…」
    アグネス「ご安心ください。あくまで念のため。そのように本官は理解しています」
    私にも分からないことを聞かないでよ…。

    メイリン「ミネルバ発進。コンディションレッド発令、コンディションレッド発令。パイロットは直ちにブリーフィングルームへ集合して下さい」
    はっ!?この艦、議長が乗ってるってさっき言ってたじゃない。ディノ護衛官の見間違えだったの?!

    アレックス「戦闘に出るのか?この艦は!」
    だから、私に聞かないでよ。
    アグネス「どうか落ち着いてください。本官が状況を確認…」
    カガリ「アスラン!」
    アレックス「ぁ…」

    アスラン…。私の見立ては正しかった。やっぱりこの人、アレックス・ディノは先の大戦の英雄アスラン・ザラ!!

  • 32二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 18:59:04

    私達は医務室に移動、アスハ代表の手当てを行っている。

    アスラン「では、ザフトは今回の事態を予測していなかったのだな?」
    アグネス「はい。本官達も現状を把握しきれているとは言いかねます」
    移動中もアレックスことアスラン・ザラは根掘り葉掘りこっちに聞いてきた。

    私が知るわけないでしょう。
    国家元首の側にいるあなたの方が知れる立場でしょう!
    今私に言えることはミネルバが出港して激しい戦闘を行っているということだけだ。命令通りブリーフィングルームに行ければもっと戦況は理解できるはずだが、あんたたちの対応でそれも出来ないでしょう!まあそれはそれとして。

    アグネス「アスハ代表閣下。無作法の数々、どうかご容赦ください」
    カガリ「いや。いい。ありがとう」
    コミュニケーション、コミュニケーション。目上には全力で丁寧に丁寧に。

    アスラン・ザラに向き直る。
    アグネス「不躾ながら、アスラン・ザラ先輩で間違いありませんか?」
    アスラン「…」
    アグネス「その沈黙は肯定と受け取ります」
    アスラン「どうして…。君は?」
    アグネス「申し遅れました。私はアグネス・ギーベンラート。先輩とは何度かパーティーでお会いしましたよね」
    アスラン「ギーベンラート…ギーベンラート…。ああ…確かに」
    しまった、と頭を抱えるアスラン先輩に少しイライラする。
    私は自分で云うのもなんだけど自分はかなりの美人だ。それを見忘れる?!
    というか貴方全然変装していないじゃない。赤の他人なら『そっくりさんです』で通っても、直接会ったことのある人には無意味でしょう!

    そんなやり取りをしているとき艦に凄まじい衝撃が襲う。
    アスラン「うぉ!」
    アグネス「何!くらったの!!」
    艦に損傷が出たのか。ダメージコントロールを。いや、その前に状況の確認を。医務室では何もわかんないじゃない。

  • 33二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 20:39:37

    アーサー「全艦に通達する。本艦はこれより更なるボギーワンの追撃戦を開始する。突然の状況から思いもかけぬ初陣となったが、これは非常に重大な任務である。各員、日ごろの訓練の成果を十分に発揮できるよう努めよ」

    副長の艦内放送の声。へえ、こんな声も出せるのね。知らなかった。なかなか面白くなってきた!私に運が向いてきた。死にぞこないどもを今度こそ地獄に落としてあげる。

    軍医長からモニターを借りてブリッジに。

    アグネス「艦長」
    タリア「どうしたの」
    モニター越しに艦長の顔が映る。
    アグネス「戦闘中のこともありご報告が遅れました。本艦発進時に格納庫にてザクに搭乗した2名の来賓者、オーブ連合首長国代表カガリ・ユラ・アスハ様と護衛官アレックス・ディノ様を保護いたしました」
    タリア「えっ?」
    アグネス「代表はお怪我をされていたため、医務室にお越しいただき、現在応急処置が終わったところです。代表はディランダル議長との面会をご希望されています。当艦に議長が乗船しているのは本当ですか?」
    タリア「…。議長が乗艦しているのは本当よ」
    アグネス「ではどのように?」
    モニターの向こうで艦長とディランダル議長が顔を見合わせている。
    やっぱり、議長が乗っているのは本当だったのね。
    タリア「士官室にお通しして」
    流石にブリッジではなかったか。突然連れて行かなくてよかった。

    しかし―

    議長は何しに来たのかしら。艦長も普通、議長を乗せて戦闘する??愛人同士燃えるシチュエーションってこと?
    まあ、そう言うのが許される風紀なら、そのほうが過ごしやすいかもだけど。
    一国の代表が余りにも軽率な。何か理由があるのかしら。

  • 34二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 22:45:09

    士官室にお二人をご案内し、一先ずお暇する。
    アグネス「こちらでお待ちください。本官は任務に戻りますので…」
    カガリ「どうもありがとう。ギーベンラート隊員」

    やった!国家元首に名前を覚えてもらった。アグネスポイント100点。
    アグネス「いえ。このような事態を招いてしまったこと。ザフト軍人として心苦しく思います」
    敬礼したら二人とも敬礼で返してくれた。当たり前の事だけどちょっと嬉しい。

    部屋から出たところで、議長と艦長に出くわす。
    もう一度、二人に敬礼。艦長は黙礼で、議長は笑みで返す。
    2人が部屋に入るのを確認して、今度こそ格納庫に向かう。

    しかし、議長のファッションセンスはまじでないわ。あのみょうちきりんな議長服。全く似合っていない。
    普通に紫の高級武官服か最高評議会議員の青服をキッチリ着こなしている方が絶対に良い。『研究者上がりの自分』に拘りがあるなら、いっそ白衣でいればいいのに。あの二チャットした笑み。最高にキモイ。
    いい年して、合法結婚せず、未亡人に手を出しているだけある。愛人仲良くご面会とか絵図らがきつい。

    アグネス「(まあ、所詮クライン派の陪臣 カナーバの出汁よ)」
    今に私達の時代が来るわ。プラント不利な条約もおさらばよ。

  • 35二次元好きの匿名さん24/06/18(火) 23:45:03

    シン「オーブのアスハ!?」
    アグネス「ちょっと!大声上げないでよ!」

    相変わらず、教養のかけらもない。それでも、今はこいつとコミュニケーションをとらなければいけない。
    同じ艦のパイロットだし、敵のMSやMAの戦闘力がどれだけ残っているかも気になる。
    だから、久しぶりに、ほーんとうに久しぶりに話しかけた途端こう!

    アグネス「それで、あのザクが何?!」
    シン 「あっいや…。ミネルバ配備の機体じゃないから誰が乗ってたのかなって」
    ルナマリア「あれはアスハ代表の護衛官アレックス・ディノが緊急避難的に操縦してたの!状況的に分かるでしょそんなこと!」

    ちょっと考えればわかることを大声でホント鬱陶しい。
    何か事情があるといけないからアレックスがアスランであることは一応伏せておく。

  • 36二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 00:08:43

    うん?。何か上の方から聞いたことのある声がする。
    視線を上げるとデッキのテラスにレイ、議長、アスハ代表、アスラン4人がいる?!なんか話してる。何で?!

    オーブは中立国だけど同盟国ではない。どうして軍事機密を解説しながら見学させてるの?
    何かの外交パフォーマンス?

    アグネス「(秘儀 優秀なコーディネーターの聴力)」耳をダンボのようにして注意を集中させる。
    う~~ん。私は今の潜水艦だ!!

    デュランダル「嬉しい、というわけではありませんがね。あの混乱の中からみんなで懸命に頑張り、ようやくここまで
    の力を持つことが出来たというのは、やはり…」

    アグネス「(じゃあ、ささっとユニウス条約破棄しなさいよ。連合有利の軍事制限なんて屈辱よ)」

    カガリ「力か。争いが無くならぬから力が必要だとおっしゃったな。議長は」
    デュランダル「ええ」
    カガリ「だが!ではこのたびの事はどうお考えになる!あのたった3機の新型モビルスーツのために、貴国が被ったあの被害のことは!」
    アスラン「代表…」

    随分、古典的な議論をしてるわね。こたびのことの被害…、どうもこうも力が足りなかったから被ったんでしょう。
    情報部が無能だから!もしくは情報部が上げた情報を軍上層部や評議会やもしくは…。
    議長がちゃんとキャッチしないから!さっさと政権交代しろワカメ頭。

    デュランダル「だから、力など持つべきではないのだと?」
    カガリ「そもそも何故必要なのだ!そんなものが今更!」

    不味い。アスハ代表がヒートアップしてる。もう耳を澄まさなくても会話は丸聞こえよ。
    周囲の空気がやばい。シンは何か代表を睨んでる。

  • 37二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 00:25:07

    SSとしてだいぶ堅実な作りをして進んでるので期待代わりの保守

  • 38二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 00:32:59

    カガリ「我々は誓ったはずだ!もう悲劇は繰り返さない!互いに手を取って歩む道を選ぶと!」
    デュランダル「それは…しかし姫…」

    モビルスーツデッキに困惑といらだちに似た感情が漂い出すまか、私のすぐ近くから別の音源が!

    シン「さすが綺麗事はアスハの御家芸だな!」
    カガリ「あ…」
    アスラン「…」
    ヴィーノ「シン!?」
    レイ「シン!」

    アグネス「この山猿が!!」
    他国の代表になんてことを…。シンに体当たりするように身を躍らせる。
    アグネス「アスハ代表閣下に謝罪しなさい!!」

    公衆の面前でこの山猿を罵倒するチャンスが来た!こぶしを振り上げる。
    これまでの積年の恨み、インパルスを私から奪った恨み、全てを込めて―脳天に鉄槌を振り下ろす。

  • 39二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 00:55:19

    鈍い音が拳に伝わり、シンが頭を抱えてうずくまる。
    よし、見たか、勝った!落ちこぼれがボロを出した。後はこいつが処分を受けて私がインパルスのパイロットに。

    レイ「…」
    殺気のこもった視線を感じる。レイね、手すりから飛び降りて来た。
    レイが親の仇のように私を睨む。あんたも掴み掛りに来たんでしょう。
    アグネス「(代わりにやってあげたわよ。後で、おホモ達とせいぜい仲好しごっこすればぁ!)」

    メイリン「敵艦捕捉、距離8000。コンディションレッド発令。パイロットは搭乗機にて待機せよ」

    不穏で気まずいモビルスーツデッキの空気がメイリンの放送で一変する。
    私の脳内が急速に戦闘員モードに切り替わり、今の今まで痛そうに頭を押さえていたシンも身を翻す。
    レイ 「シン!」

    今は落ちこぼれのことは二の次だ。今日はここまで。私も―とその前に。

    アグネス「申し訳ありませんアスハ代表。この処分は後ほど必ず!」
    カガリ「…」

    言ってやった!言ってやった!後の処分が楽しみだ。
    さて、私も急いでザクに乗らなきゃ。後ろから、なおも議長とアスハ代表の話し声が聞こえる。

    デュランダル「本当に申し訳ない姫。彼はオーブからの移住者なので」
    カガリ「えぇ…!」
    デュランダル「よもやあんなことを言うとは思いもしなかったのですが」
    カガリ「あぁ…」

    また、その話か…。皆馬鹿じゃない、ここは戦場よ。お涙頂戴はいい加減うんざりだわ。

  • 40二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 09:29:43

    整備兵達に笑顔を振りまきながら、ザクに駆けこむ。

    メイリン「ルナマリア・ホーク、ザクウォーリア発進スタンバイ。全システムオンライン。発進シークエンスを開始します。インパルス発進スタンバイ。モジュールはブラストをセット。シルエットハンガー3号を開放します―」

    議長の事、アスハ代表の事、アスランの事。全部気になるが頭から追い出す。
    ブリッジの様子は?気にするな!
    それよりも敵は?作戦は?

    タリア「ザク。インパルス。発進!」

    メイリン「ガナーザクウォーリア、カタパルトエンゲージ」
    アグネス「アグネス・ギーベンラート。ザク出ます!」

    メイリン「続いてインパルス、どうぞ」
    シン「シン・アスカ、コアスプレイダー、行きます!」

    ブリーフィングを開く間もなく戦いが始まる。まあ、前線ではよくあることなのだろう。
    議長と他国の元首の前で良いところ見せれば、出世間違いなしね。

  • 41二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 11:41:33

    ルナってミネルバ乗ってるの?名前でてくるんだけど

  • 42二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 11:49:45

    強奪のドサマギでルナが緊急避難してミネルバにいるんだと思ってた
    ルナとアグネス入れ替わり人事なのはそうだから

  • 43二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 12:04:43

    そこでシンの発言止めちゃうと後々カガリやアスランの行動に影響出る気がするけど…
    カガリは奇麗事じゃ民守れないからってセイランに迎合しちゃったわけで…アスランもあの言葉でシンに興味持ったわけで…
    大丈夫なのかこの流れ…

    それに顎殴られて吹っ飛んで壁にぶち当たって止まるならともかく、脳天に一発くらいならこの場面の激昂してるシンが止まるとは思えないが…

  • 44二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 17:26:26

    >>41>>42

    すみません。ルナマリアをアグネスに言い換えるのを忘れていました。

    書き直します。ルナミリアは今、月軌道艦隊に着任しています。


    >>43

    このSSはアマプラで運命を再視聴しながら書いてます。シンの綺麗ごと発言と戦闘用意の艦内放送の間はかなり短いので、全力拳骨で行けると思いました。このままの流れで行きます。

  • 45二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 17:28:13

    >>40を訂正

    整備兵達に笑顔を振りまきながら、ザクに駆けこむ。


    メイリン「アグネス・ギーベンラート、ザクウォーリア発進スタンバイ。全システムオンライン。発進シークエンスを開始します。インパルス発進スタンバイ。モジュールはブラストをセット。シルエットハンガー3号を開放します―」


    議長の事、アスハ代表の事、アスランの事。全部気になるが頭から追い出す。

    ブリッジの様子は?気にするな!

    それよりも敵は?作戦は?


    タリア「ザク。インパルス。発進!」


    メイリン「ガナーザクウォーリア、カタパルトエンゲージ」

    アグネス「アグネス・ギーベンラート。ザク出ます!」


    メイリン「続いてインパルス、どうぞ」

    シン「シン・アスカ、コアスプレイダー、行きます!」


    ブリーフィングを開く間もなく戦いが始まる。まあ、前線ではよくあることなのだろう。

    議長と他国の元首の前で良いところ見せれば、出世間違いなしね。

  • 46二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 17:30:53

    出撃後、私達ミネルバ隊は3機で小隊を組み前進している。目標はボギーワン。
    先頭は私-赤ザク、その後ろ両脇にインパルスとゲイツR。各1機。ゲイツRにはショーンとか言う冴えない緑服男が乗っている。もう1機のゲイツRは、私が乗っている時に撃墜されたので、デイルとか言う緑服男はお留守番。

    取り合えずシンに通信を入れる。思いっきり殴ったけど頭は大丈夫かしら。

    アグネス「シン。あんたデブリ戦、成績ダメダメだったわね」
    シン「…」

    無言。すねてるのか。やっぱりガキね。

    アグネス「向こうは、もうこっちを捉えてるはずよ。油断しないで。足を引っ張らないで!」
    シン「…。わかってるよ」
    アグネス「どうだか」

    シンにはそう言ったものの、私はさほどこの戦いを悲観視していない。アーモリーワンの戦いでカオスとアビスは小破している。カオスの機動戦闘ポッド、アビスの肩シールドそれぞれ私が破壊した。私が、破壊した、これ重要!

    その上で、奴らには盗んだガンダムを解析する時間はなかった。当然、機体の部品もない。満足にメンテもできず、破損した状態のまま攻撃に来る。ボギーワンとか言うミラージュコロイド搭載艦も予備燃料を自分で捨てている。再侵攻どころか満足にゲリラ戦をする余裕すらない。その証拠にさっきから、ずっと停船したままだ。

  • 47二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 17:36:24

    アグネス「(つまり楽勝ってこと。私の勲章の錆になりなさい)」
    シン「(何でだ。何でまだ何も)」

    スティング「よーし、行くぜ!」
    アウル「オーケー!」
    ステラ「うん!」

    『ピピー ピピー』 コクピット内に警報音が響く。敵機来襲!
    アグネス「あ…」
    シン「うお!」

    宇宙空間を漂うデブリ。砕け散ったコロニーの陰から3機のガンダムが飛び立ちこちらに向かってくる!
    アビスの攻撃で隊列が乱れた瞬間、反応が遅れたゲイツRの後ろにカオスの機動戦闘ポッドが回り込む。

    アグネス「いま!!」
    ビームライフル発射。次の瞬間には機動戦闘ポットは爆散している。
    アグネス「ショーン!!いい加減にして!足を引っ張らないで」
    ショーン「すまん。恩に着る」
    ダメな奴はどこまで行ってもダメね。最悪囮にするつもりだけど。

    シン「散開して各個に応せ…」
    アグネス「ちーがーうー!!小隊を組直して各自の背中を守り合うの!私達、罠にはめられたのよ。まずはここでしのぐ。『散開して各個に』って、機体性能差がある私とショーンを殺す気!?」
    シン「わかった。じゃあそれで!」
    アグネス「あんた、いまブラストシルエットでしょ。思いっきり弾幕張って。ショーンは特にアビスに注意。ガイアは絶対に勝てないから突進して来たら機体を囮にして脱失しなさい。後で拾いに行く!」

    まったくこいつ等。どこまで使えないの!!特にー
    アグネス「(シン…。アカデミーのシュミレーション訓練ではこいつのせいで何度も『死んだ』。現実ではごめんよ!)」

    機動戦闘ポッドを2つとも失ったカオスの脅威度は低下。
    私はビームライフルでアビスの損傷した方の半身を狙い続けつつ、ガイアを牽制しなければ。

  • 48二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 20:08:22

    オーブ沖やインド洋を目の当たりにするのが楽しみすぎるけどそれまで長いなぁ…

  • 49二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 22:21:45

    目前の激しい閃光。
    ブラストインパルスの全力斉射。火力だけなら前大戦の英雄機、フリーダムに匹敵するという光の暴風雨。怖気づいたように盗人どもが飛び退く。
    アグネス「ショーン。わかってるわね」
    ショーン「おう」
    奴らが飛び退いた隙に、母艦ミネルバに向け全速力を出す。1、2、
    アグネス「三!」
    合図と共に今度はザクとゲイツRが振り向きざまに弾幕を張る。
    交代にインパルス全速で下がり、こちらに向かってくる。1,2,
    アグネス「三!」
    インパルスの斉射を横目に私とショーンはまた下がる。
    シンの存在をこんなに心強く思う日が来ようとは。いやー
    私が頼りにしているのはインパルス。シンじゃない!私ならもっと上手くやれたはず!!

    シン「アグネス!最初の会敵地点からどんどん下がってるぞ」
    アグネス「下がっているの!当たり前でしょう」1,2,
    アグネス「三!」
    シン「まだ戦えるのに!さっきの所で粘るんじゃ…」
    アグネス「潮目が変わってるでしょう!わからないの?!」1,2、

    あの状況で3分粘った。もう良いでしょう。これ以上だとゲイツRが墜ちる。そう判断して下がっているの。それぐらいわかりなさいよ。僚機が撃墜されたら人事査定に響くじゃない!
    アグネス「三!」

    それに、どうせもう直ぐ…。

    チチチチチチチ…。耳障りな音と共にミネルバから帰還命令が届く

    シン「ミネルバが!?俺達まんまとハマったってことかよ!」
    アグネス「あんたホント情けないわね。さっきからそう言ってるでしょ。だから戻ってるの…。三!!」
    高エネルギー長射程ビーム砲M1500オルトロス。ずっと狙っていたアビスの盾を失った半身に狙いをつけ撃ちこむ。

  • 50二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 22:23:26

    アウル「なにッ!」
    閃光がアビスを包む。

    惜しい!!寸前に機体を旋回させて、残った方の盾で受け止められた!まあでも、あれだけもろに食らったら、今頃コクピットの中は大変だろう。機体の損傷も免れまい。
    衝撃で舞っているアビスの脅威度判定を下げる。

    インパルスの弾幕がガイアとカオスを追い散らす中、ショーンと共に私はさらに後退する。
    今の自分をみすぼらしいとは思わない。なぜならー
    アグネス「(私は勝ち馬に乗りたいのよ。今回、このレース会場は具合が悪い)」

    ミネルバはどうなっているのだろう?危機的状況だということは察せられるけど。
    1、2
    アグネス「三!」
    高エネルギー長射程ビーム砲がガイアの盾に直撃する。
    アグネス「(でも、ビームコーティングされてるから)」
    ガイアが衝撃で姿勢を崩しているのを片目に捕らえつつ、後退を継続する。
    1,2
    私は自分がチェスのプレイヤーだと心の何処かでは思っていた。
    アグネス「三!」
    1、2
    でも少し、ほんの少しだけ認識をあらためなくては。私はー
    アグネス「三!」
    …。目前の敵に集中しよう。

  • 51二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 22:39:05

    やがて

    鮮やかな三色の信号弾が宙を照らす。

    レイ「はッ!」

    スティング「うッ!」
    アウル「えッ!」
    ステラ「はッ!」

    シン「あ…」
    アグネス「…」

    永遠のように感じられた戦闘が終わったサイン。
    私のこの宙域での戦果は大したものではない。
    アグネス「機動戦闘ポッド1機か…。我ながらパッとしない」
    早く、5機は敵を撃墜してエースになりたい。達成出来たら、次はスーパーエース!

    帰ってみたら、ミネルバがボロボロになっていた。う~~ん。中波に限りなく近い小破か?
    だが、そんなことより、降り立ったモビルスーツデッキで聞いた知らせに心が乱れる。

    アグネス「レイがダガーを2機撃墜した?!」
    ヴィーノ「うん。すごいよね!」
    先を越された…。あのいけ好かない秀才に。落ち着け、人の目があるスマイルスマイル。

    アグネス「レイ、おめでとう」
    レイに近寄り、一応声をかける。整備兵達の前だから優しく振舞わないと。
    レイ「…。つまらない些事だ」

    むき――!そうね。そうよね。作戦、戦略、戦術。たった2機の撃墜何てどうでも良いわよね。そんなこと中等部生でも知ってるわよ。でもそれにパイロットは命を懸けてるの!大体褒められたら、礼ぐらい言いなさいよ。

  • 52二次元好きの匿名さん24/06/19(水) 22:39:56

    ショーン「あの…」
    アグネス「うん…。どうしたの?」
    おずおずと冴えない緑服男が声をかけてくる。今、こっちは笑顔が憤怒に変わりそうで大変なのよ!
    ショーン「あの…。助けて頂きありがとうございました」
    姿勢をこれでもかと正して私にお礼をしてくる。うん?あーあ、さっきの戦闘の事かー。

    そういえばこいつ最後まで足を引っ張てたわね。正直才能ないよ。
    アグネス「そんなお礼なんて!戦友同士助け合うのは当然よ。私の方こそ、あなたのお陰で生還できたわ」
    ショーン「そんな…。自分なんて」

    いっぱいいっぱい褒めてあげる。どうせこいつは競争相手にならない。
    そして、出世には下からの推しが欠かせない。
    何より、自分より年齢が上の男が頭を下げてくるのは何と心地よいことか!

  • 53二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 07:42:15

    アグネスが周囲の人間からの評価上げつつ頑張ってる姿は可愛らしいですね
    あとレイが露骨にイラついてるのがわかって面白いな

  • 54二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 09:10:58

    その後、何となくシン、レイ、私の赤服三人で艦内エレベーターを上がる。
    こいつ等と仲良くなりたいわけでは微塵もないが、方向が同じだし。
    というか二人とも最低限のコミュニケーションぐらいとりなさいよ。

    エレベーターから下りて通路に出るや、鈴を転がしたようなメイリンの呼び声が聞こえる。
    メイリン「あ。シン、アグネスさん、レイ!お疲れ様。大丈夫?」
    アグネス「メイリン。貴女こそお疲れ様。ブリッジも大変だったわね」
    挨拶を交わす奥から、独特の粘着質な声がする。

    デュランダル「本国ともようやく連絡が取れました」
    タリア「既にアーモリーワンへの救援、調査隊が出ているとのことですので、うち一隻をこちらへ皆様のお迎えとして回すよう要請してあります」
    カガリ「ありがとう」
    議長と艦長、アスハ代表とアスラン。代表を部屋まで送りに来たのね。
    シン「…」
    アグネス「(また、代表を睨んでるわ。一々うざいことこの上ない)」

    デュランダル「しかし先ほどは彼のおかげで助かったな、艦長」
    タリア「え…はぁ…」
    アスハ代表が入室されたタイミングで議長が妙なことを口にする。

    デュランダル「さすがだね、数多の激戦を潜り抜けてきた者の力は」
    アスラン「いえ……出過ぎたことをして申し訳ありませんでした」
    タリア「判断は正しかったわ。ありがとう」

    うっそ!?お二人をブリッジに入れたの?
    しかもアスランから戦闘のアドバイスを受けたの?
    なんで?臨時の観戦武官みたいなもの?しかし、それにしても。

    アグネス「(議長は本当に常識が無い。中立国の元首と護衛を巻き込むとは!)」
    余裕が出来次第、本国のパパと、パパを通じてエザリアおば様に報告してやろう。これだけでこいつが失脚することはないが、ちょっとしたネタにはなる。

  • 55二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 09:12:23

    メイリンと世間話をしながらレクリエーションルームまで来ると、アスランがソファーに座り込んで何やら物思いにふけっている。今回の事態を頭の中で整理しているのか。

    取り合えず敬礼。それを見たレイ、メイリン、少し遅れてシンも続く。

    アスランも立ち上がって敬礼を返し、そのまま部屋を出ていく。お邪魔したかしら。

    アスラン・ザラか…。かつては狙っていたアカデミーのOB先輩。赤服のエースパイロット。外見・能力申し分なく、何より議長の御曹司というステータス。前大戦、滅亡の縁に立って居た人類を救った英雄の一人。

    アグネス「(でも、今は偽名を使わなければいけない立場まで落ちぶれているのよね)」
    到底、私に釣り合うとはおもえないけど。とは言え、国家元首の側仕えなら、一発逆転もあり得る。

    アグネス「(取り合えず、機嫌を損ねないようには振舞っておこう)」

  • 56二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 14:54:06

    しれっとショーンとデイル生還してて草

    アグネスならカガリにも「こんな娘があのアスラン・ザラを囲ってオーブの代表ねぇ…とりたてて美人でもないし、せっかく女なのにそれを武器にして交渉しようって感じもない。これなら私の方がそれっぽくやれそうなくらいじゃない?」的な見下しとか「これでアスラン・ザラを口説けたら私はアスハ代表の男を奪った女か…」とかをしそうなものだが、徹頭徹尾男しか見てねえのはなんだかんだで余裕ないってことだろうか
    いやユウナと会った頃にやるかも?武力こそ無いけどユウナってアグネス的にはアリのスペックだよな

  • 57二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 18:34:22

    副長へ戦闘詳報を提出し、レイとも互いの戦闘結果を相互報告して今日、私がするべきことは終わった。
    しっかり寝て、明日起きたらモビルスーツの整備を手伝おう。
    整備兵達の歓心をかえるし、自分の機体の最終調整は自分でやっておきたい。

    アグネス「メイリン。お休み」
    メイリン「お休みなさい。アグネスさん」

    同室の女の子同士挨拶をしてベッドに倒れ込む。
    ボギーワンの追撃は取り合えず打切り。明日、この艦は月に向かうーいや、アスハ代表の迎えの船を待たないといけないか―次手柄をあげる機会はいつ来るだろうか。
    眠りにーつく

    メイリンのパタパタした身支度の音で目を覚ます。
    アグネス「メイリン…」
    メイリン「アグネスさん。起こしちゃった。ごめんなさい」
    アグネス「いいけど…。何かあったの」
    少し緊張したような彼女の表情が気にかかる。
    メイリン「私も呼ばれただけだから。分かり次第、皆に伝えるから」
    部屋から出ていくメイリンを気だるく見送る。皆に伝えるってことは私も着替えてレクリエーションルームに行かないといけないのか。

    アグネス「(今日はモビルスーツ整備チェックに、合同シュミレーター訓練、その後、戦史研究etc。予定が全部吹き飛んだかも。いや、まさかまた実戦の機会到来!?)」

    慌てて自分も身支度する。パリッと制服を着こなし、顔は適度に緊張させる。だらけても緊張しすぎても、ニヤニヤしても深刻過ぎてもいけない。
    イベント到来の予感でウキウキした気持ちがばれないよう気を付けねば!

  • 58二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 18:37:28

    レクリエーションルームで皆と待つこと暫し、メイリンが駆け足で入室し、身振り手振りも交えながら、事態を知らせてくれる。ヨウラン!座っていなさい。鬱陶しい。

    アグネス「ユニウスセブンが動いてる?!」
    メイリン「そう。地球への衝突コースだって。バートさんが」

    100年安定軌道にあったはずのユニウスセブン。それが何故か高速かつ最悪のコースで地球に向かっているという。

    アグネス「(この天と地の狭間には、私達が思いもかけないことが起こるものね。まあ、私達は天の上にいるわけだけど)」
    ヴィーノ「ふーん。けど何であれが?」
    ヨウラン「隕石でも当たったか、何かの影響で軌道がずれたか」
    アグネス「それはないわね」

    皆の視線が私に集まる。く~~これこれ。問題集の答えが分からず困り顔のクラス全員に答えを教えてあげる気分。久しぶりね。

    アグネス「軌道計算は何度もして答えを出したはず、私達優秀なコーディネーターの中の更に選ばれた専門家たちが、何度も。その結果が100年安定軌道なら、絶対に正しい。限りなく!」

    『私達優秀なコーディネーター』という言葉にレイがピックとする。何で?

    アグネス「そして隕石もあり得ない。そういったことが無いよう24時間監視しているわけだし、仮に衝突しても、こんな軌道で地球に向かうはずがない。数学を少し勉強したことのある人なら分かるでしょう」
    ヴィーノ「でもそれじゃあ…」
    シン「…」
    レイ「…」
    アグネス「多分、皆が思っていることと私の考えは一緒よ」

    テロだ。今のユニウスセブンはテロリストが動かしている。多分フレアモーターでも使って。
    きっと監視員に犯人が紛れていたか、さもなくばもっと上の立場の者が手引きしたのだろう。
    ユニウスセブンは私達プラント国民の云わば最重要国立墓地。厳重にも厳重に守護されている。
    偶然とは思えない、偶然が原因でないなら人為によるとしか考えられない。

  • 59二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 18:39:38

    アグネス「(これは責任問題ね。まず議長は首。軍上層部も大勢飛ばされる。『クライン派』の現政権は吹き飛ぶ。そうしたらー今度はザラ派復権よ!)」

    勝った!ついに雌伏の時は終わった。ディランダル政権が総辞職したら、今度はエザリアおば様が議長に。
    少し露骨すぎるか。
    ルイーズ・ライトナ―最高評議会議員なんてどうだろう。ライトナ―評議員はザラ夫人ノレアの親友でユニウス市選出議員。先の大戦では強硬派でザラ派と歩調を合わせていた。中継ぎになってもらおう。その次にエザリアおば様。そして将来は…。ふふふ。

    シン「で、今度はそのユニウス7をどうするんだ?」
    ヨウラン「ええ?」
    ヴィーノ「えっ?ああ…」

    私が最高に盛り上がってるときに!マヌケ共が!邪魔しないでよ!

    アグネス「砕くしかないじゃない」
    レイ「砕くしかない」

    シン「砕くって?」
    ヨウラン「あれを?」
    レイ「軌道の変更など不可能だ。衝突を回避したいのなら、砕くしかない」
    ヨウラン「でもデカいぜあれ?ほぼ半分くらいに割れてるって言っても最長部8㎞は…」
    ヴィーノ「そんなもんどうやって砕くの?」
    アグネス「メテオブレイカーを使えばいいでしょう。『不確定要素』を排除してから」
    そしてこの艦にはタンホイザーがある。砕いた後の『掃除』の手伝いは出来る。

    アグネス「メイリン。副長に会えるかしら。『不確定要素』のこと。早くお伝えしなきゃ」
    メイリン「わかった。ついて来てアグネスさん」

  • 60二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 18:45:43

    取り次いでもらえるかどうか不安だったけど、メイリンも頑張ってくれそう。

    これはちょっと賭けだ。
    テロリストがこの騒動に関与しているというのは、まだ根拠のない私の推測。
    まともに取り合ってもらえないかも知れない。でも、かまわない。上申する価値はある。
    そうすることで私に十分な知力があることが上官の記憶に残り、公的な記録に残る。
    それが後から効いてくることもあるでしょう。
    外れても痛くもかゆくもない。これは『可能性の指摘』に過ぎないのだから。

    それにー残念だけど可能性としてなら『上の人達』は同じことを考えているはず。
    でも、私もそのうちの一人になりたい。

    メイリンと通路を歩く途中で深刻そうなアスハ代表とアスランにすれ違う。
    敬礼 返礼を受けて二人とすれ違う。地球に国がある人は全く大変ね。

  • 61二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 21:32:28

    メイリンと士官室へ。彼女にブリッジに繋いでもらう。

    メイリン「艦長失礼します」

    モニター越しに艦長の顔が映る

    タリア「メイリン。どうしたの。休憩時間でしょう?」
    メイリン「アグネスが副長に急ぎ上申したいことが有ると、士官室で待機しています」
    タリア「悪いけど、今、副長は手が離せない。貴女が彼女の発言をメモして持って来なさい。休憩中に悪いけど」

    メイリンが私に目配せをする。まばたきを一度して返事をする。悪くない。
    メモと云う形なら文章として残る。回覧することも可能だ。

    メイリン「わかりました。書き止め、直ぐにお持ちします」

    メイリンを目前に考えを短くまとめ、口述する。

    アグネス「では、改めて言うわ。ユニウスセブンの急激な軌道変更は自然現象で説明することは極めて難しく、何者かがプラント落下を故意に誘発したテロ行為である可能性も考慮しなければならない。
    もし、この事変がテロ行為であるなら、テロリストたちが離脱限界点までユニウスセブンに潜伏し、こちらの落下阻止行動の妨害を企図している可能性もまた考慮するべきである。
    調査・対処に向かう各部隊は予めその点を考慮して事前準備と部隊編成を行うべきである―メイリンOK?」
    メイリン「OKです。副長にお見せしてきますね」
    アグネス「ではお願いね。

  • 62二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 21:38:56

    しばらく、士官室で時間が過ぎる。暇ね。
    私は人生の時間を一瞬たりとも無駄にはしたくないの。だってコスパが悪いし。
    目を瞑って戦闘シュミレーションを開始。
    あの奪われた3機。カオスとアビスは2回小破させた。でも、ガイアは無傷だ。
    自分の体をイメージする。コクピットの中、私は今ザクに乗っている。ウィザードは前回と同じ。
    コクピット内の各ボタン、操縦桿。細かく精密にイメージしていく。精密にイメージできればできるほど良い。

    次にガイア。奴の動作を脳内に浮かべる。先ずは四足獣形態。動きはバクゥやラゴォに似ている。バクゥならアカデミーでも乗ったことが有る。頭の中にに相手を投影し此方を攻撃させてみる。パイロットは授業時のシンを想定。

    アグネス「はい。死んだ!」私の勝ちだ。楽勝だ!
    では次、ラゴォ。アカデミーの授業中紹介された伝説的パイロットにして指揮官アンドリュー・バルドフェルド隊長の動きを脳内で再現してみる。
    此方を攻撃させる。回避、防御、こっちが攻撃…。
    アグネス「はい。死んだ。私が」
    ガイア攻略の糸口が見えた気がする。バクゥ、ラゴォを相手にしたシュミレーター訓練をひたすらやり込む。
    無論、パイロットはバルトフェルド隊長を想定。まずは5:1で勝てるようにならないと。勿論、私は1の方。
    そこまで行けたら、私もザク1機でガイアと対峙できるはず。

    タリア「アグネス。そこにいる?」
    モニターに艦長の顔が映る。
    アグネス「はい。士官室に」
    タリア「直ぐにブリッジに来なさい」
    アグネス「はい!!」

  • 63二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 00:09:40

    ブリッジのドアが開く。
    アグネス「失礼します」

    タリア「ボルテールとルソーがメテオブレーカーを持って既に先行しています」
    デュランダル「ああ、こちらも急ごう」
    アーラー「地球軍側には何か動きはないのですか?」

    お取込み中ね。当然か。一応艦長は黙礼を返してくれる。

    デュランダル「何をしているのか。まだ何も連絡は受けていないが…。だが月からでは艦を出しても間に合わないな。あとは地表からミサイルで撃破を狙うしかないだろうな。だがそれでは表面を焼くばかりでさしたる成果は上げられないだろうな。ともあれ、地球は我等にとっても母なる大地だ。その未曾有の危機に我々もできるだけのことをせねばならん。この艦の装備ではできることもそう多くはないかもしれないが、全力で事態に当たってくれ」

    ミネルバブリッジ一同「はッ!」
    アグネス「はい!」

    ディランダル「やあ、よく来てくれたね。アグネス」
    議長が私に声をてくれる。シートを微調整して私に合わせ、体の向きを変え微笑を湛えながら。
    とても甘く優しい笑みを。

    ゾクゾクっとする。
    この挙措は、私が男を落とそうとする時に良くするやつだ。
    普通の男性は目下の者に対し、良くも悪くも(だいたい悪くも)ぶっきらぼうなものなのに。
    ブリッジに入った瞬間から、ここまでで、議長はずっと演技している。男女身分の高低係わらず人間はだれしも演技をするものだが、議長のそれはちょっと度が過ぎる不気味さがある。

  • 64二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 00:13:46

    ディランダル「メモの内容。君の口から直接聞きたくてね」

    直接も何もあれで全てだ。大体、上層部はテロも想定に入れて動いていると思っていたのだけれど。
    分かり切ったことを賢しら気に言って来たことを詰りたいわけでもあるまいに。

    アグネス「わかりました。小官の愚考するにー」

    ディランダル「なるほど。グラディス艦長どう思うかね」

    説明が終わるや、議長は艦長問いかける。愛人兼腹心に。昨日はお楽しみだったのかしら。

    アグネス「私もテロの可能性を考慮するべきかと」
    アグネス「(勝った!進言が取り上げられた。アグネスポイント10000点。出世の道へ一歩)」

    アーサー「ユニウスセブンまで1200」
    メイリン「光学映像出ます」
    タリア「ボルテールとの回線開ける?テロの疑いがあること、念のため伝えたい」
    メイリン「いえ、通常回線はまだ…」
    もう。回線がつながらないとせっかくの進言も意味がないじゃない!

    後ろのドアの開閉音とともにアスランが入って来た。アスハ代表は一緒ではないの?

    デュランダル「どうしたのかねアスラン、いや、アレックス君か」

    ほう。やはりブリッジの中では周知の事実になっていたか。整形ぐらいしなさいよ。いや、どうせばれるから無駄か?整形で身分が偽れたのは西暦の昔話ね。

    アスラン「無理を承知でお願い致します。私にもモビルスーツをお貸し下さい」
    タリア「確かに無理な話ね。今は他国の民間人である貴方に、そんな許可が出せると思って?カナーバ前議長のせっかくの計らいを無駄にでもしたいの?」

    カナーバ!その名前を聞くだけでムカムカする。そう言えばディランダル政権がカナーバ政権の出涸らしなら、この艦長はその出がらしの愛人だった。クライン派の陪臣の愛人が率いる艦に乗っているんだ私は。腹立つ~!

  • 65二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 00:16:21

    アスラン「解っています。でも、この状況をただ見ていることなど出来ません。使える機体があるならどうか」
    タリア「気持ちは解るけど…。本件は事故や災害ではなくテロの可能性も」
    アスラン「え…」
    デュランダル「いいだろう。私が許可しよう。議長権限の特例として」
    タリア「議長!」
    アグネス「(は?!)」
    タリア「ですが議長…」
    デュランダル「テロはあくまで可能性だよ。厳重に注意しなければいけない可能性だが。
    しかし、艦長、出せる機体は一機でも多い方がいい。腕が確かなのは君だって知っているだろう?」

    議長は『厳重な注意をしなければいけない』のところで軽く目配せしてきた。
    『君の意見を軽視しているわけではないよ』のサイン。
    それはいい、最高評議会議長閣下に顔と名前を憶えて頂き光栄ですとも。でも
    アグネス「(ちょっとこれどうなの?!アスハ代表に話は通してあるの?国際法、戦争法上大丈夫なの)」

    アスラン「ありがとうございます」

    え、返事しちゃうの。オーブへの義務は?忠誠義務に反しないの?国際問題にならない?
    落ち着け、関係ない関係ない、私には。いや、聞いてしまったら『知らなかった』が通らない!

    アグネス「愚見ですが、一応アスハ代表にも…」
    ディランダル議長「ではよろしく頼むよ。艦長」
    タリア「副長」
    アーサー「では、アグネス、アレックスさん。モビルスーツデッキに!」
    アグネス「はい」
    アスラン「はい」

    アグネス「(命令出ちゃった。でも大丈夫。一応、私は止めようとした。ちゃんと記録にも証言にも!後で問題になっても私は大丈夫)」

  • 66二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 00:24:28

    メイリン「モビルスーツ発進3分前。各パイロットは搭乗機にて待機せよ。繰り返す、発進3分前。各パイロットは搭乗機にて待機せよ」
    シン「対モビルスーツ戦闘用装備換装。やっぱり、アグネスの言うようにテロリストと戦闘になるかもってことか」
    アグネス「そう云うこと!わ・た・し・の進言が採用されたのよ」
    レイ「…。本来の任務は粉砕作業の支援だ。可能性は可能性に過ぎない」

    シン「うん…?」
    シンが緑のザクに視線を向けている。
    アグネス「アレックス護衛官も事態解決の為、お力をお貸しくださるのよ」
    シン「え…、あの人が?」
    変な声色だ。私が空けている時に何か面白いことがあったの?!
    メイリン「モビルスーツ発進1分前…、状況変化。ユニウスセブンにてジュール隊がアンノウンと交戦中!」

    シン「う…」
    レイ「…」
    うおーやったー!!予想的中!賭けに勝った。これで面目がつぶれずにすむわ。アンノウン。何機いるだろう。いっぱいいると良いな。一度に5機落とせれば一気にエースよ。
    左右に目を遣る

    アグネス「(予め、伝わっていたせいか、皆あまり動揺が無いわね)」

    メイリン「さらにボギーワンを確認」

    はっ?!ボギーワンが何で?向こうの疲労もかなり蓄積しているはずなのに。
    損傷を修理することもできないモビルスーツで何をする気?まさかグルってことはないわよね?

  • 67二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 00:25:13

    メイリン「本艦の任務はジュール隊の支援であることに変わりなし。各機発進願います。
    中央カタパルトオンライン。発進区画、減圧シークエンスを開始します。非常要員は待機して下さい。コアスプレイダー全システムオンライン。発進シークエンスを開始します」
    シン「…。ボギーまでとはね」

    アスラン機に通信を入れる。ここは媚を売っておくところね。

    アグネス「状況が変わりました。危険です。アスハ代表に確認しなくて本当によろしいのですか?」
    私は国際関係まで配慮できる女。貴方の難しい立場まで心配できる人間。主従関係も形式的には重んじてあげるわ。
    一応ね。どう?!

    アスラン「ありがとう。だが俺は…!」
    シン「シン・アスカ、コアスプレイダー、行きます!」
    レイ「レイ・ザ・バレル、ザク、発進する!」
    私の番か。
    アグネス「アグネス・ギーベンラート、ザク、でます」
    私に続き、デイルのゲイツRも発進。あの棺桶もう捨てたら。
    メイリン「針路クリアー、発進どうぞ」
    アスラン「アスラン・ザラ、出る!」

  • 68二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 00:49:50

    アグネス、おもしれー女すぎる
    保守

  • 69二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 11:00:26

    アスラン「アスラン・ザラ、出る!」
    迷いを打ち消すような、静かだけど決意がこもった声が聞こえる。やっぱり、大戦時の英雄は格が違うわね。

    シン「え…。アスラン・ザラ!?なんで?」

    しまった!シンは『アレックス・ディノ=アスラン・ザラ』を知らなかった!
    ブリッジに出入りする役職でなないし、私もわざわざ伝えてはいなかった。最悪のタイミングよ!

    シン「どういうことだよ」

    どういうこともそういうことよ!
    というか…、私達パイロット同士、現在の指揮命令権ってどうなってるの?
    アーモリーワンから成り行きでここまで成り行きで来てしまった。
    一応、最新鋭機に乗っているシンが何とは無しにリーダー面していたけど、それもしっかり決まったものではない。
    お荷物のゲイツRまで出撃している。これも墜とさせるわけにはいかない。他国のオブザーバーであるアスランも。
    万一の事が有れば国際問題よ。

    頭が変になりそう。私ってこんなキャラだった?
    アカデミーでは委員長気質のルナマリアが厄介ごとは気を回してくれたのに!

  • 70二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 11:15:37

    ミネルバから通信。

    メイリン「アンノウンの正体を確認。ジンハイマニューバ2型です。正確な数は不明ですが、激しい戦闘が発生しています」
    アグネス「(やっぱりテロね。でもハイマニューバ2型?あれはダガー系統のモビルスーツと互角に戦える機体。そこらのテロリストが手に入れられるものなの?)」

    ジン自体は作業用機体も含め民間にも多数で回っている。国防本部も全数を把握出来ているとは思えない。でも少数生産のハイマニューバ2型は別。テロリストの手に渡っていたとすれば。
    アグネス「(ほとんど、故意ある過失、あるいは未必の故意ね)」

    なんにしろ、雑魚ではない。思っていたよりもずっと危機的状況に私は身を置いている。

    うん?レーダーに感あり。これは…カオス、ガイア、アビス!
    ジュール地と交戦中。しつこいわね。

    シン「あの三機、今日こそ!」
    アスラン「目的は戦闘じゃないぞ!」
    シン「解ってます。けど撃ってくるなら!あれをやらなきゃ作業もできないでしょう?!」
    アスラン「くッ…」
    アグネス「ミネルバ。自衛戦闘の許可を」

    許可が間に合わないことを承知で言ってみる。
    こう言っとけば後で何かあっても『命令を受ける努力はしました』と主張できるから。
    さて、さっさと武功を上げてしまおう!

  • 71二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 21:34:33

    アグネス「そこ!」
    高エネルギー長射程ビーム砲 M1500オルトロスを撃ち放つ。当然許可は出ていない。
    でも『将は外にあって、君命をも受けざるところあり』って言うでしょ。
    私達はジュール隊の支援に出撃し、その自衛戦闘に加わるだけだから、命令違反はしていない!

    スティング「くっ…」

    せっかく直撃したけど、カオスに巡航機動防盾で防がれた。まあいいわ。心理的な圧はかけた。

    レイ「アグネス!勝手に!」
    アグネス「私達は援護!命令でしょ!もう一撃!」

    今度はアビスに向けオルトロスを放つ。機体の調子が悪いままなのだろう。大げさに飛びまわって回避している。まあ、これは、当たらなくてもいいわ。

    今ので、メテオブレイカー1基とその操作をしていたゲイツR2機が生存。
    起動したメテオブレイカーのドリルがユニウスセブンを穿っていく。
    というかあの盗人たちは何でメテオブレイカーごと撃とうとしてきたの。共犯者なの?単なるバカなの?

    メテオブレイカー起動と共にジュール隊のゲイツR2機が離脱。
    あんた達、帰投したら『アグネス・ギーベンラート隊員のお陰で生還出来ました。メテオブレイカーが破壊されず起動したのも彼女のお陰です』ってジュール隊長に報告しなさいよ。

    シン「くっ…」
    ステラ「はっはぁっ!」

    レイ「くッ!」
    スティング「ぐ…。おぉ…」

    シンはガイアと、レイはカオスと戦端を開いている。
    ほうら!やっぱりね。
    結局戦うことになるんだから。それを一々グズグズと!

  • 72二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 21:40:09

    あれ、アスランは?デイルのゲイツRはどこ?カバーしないと!

    横目に閃光が走る。アビスのビーム砲が粉砕作業中のジュール隊の間近に着弾している!

    アグネス「(バカ。何で粉砕作業の邪魔してくるの?!脳みそ煮えちゃってるの?!)」

    オルトロスを乱れ撃ちして追い払う。この武器、本当は弾幕を張るより、必中を狙う武器なのだろうけど。
    あの盗人3機をメテオブレイカーに近づけてはいけない。
    無事起動したドリルをチラ見して、気合を入れ直しながら通信でデイルを呼び戻す。

    アグネス「デイル。分散しないで。私の背後について。協力!」
    デイル「わかった!」
    アグネス「ショーンにも言ったけど、ゲイツRは、機体性能は明らかに不利よ。無理だと、ヒヤリとしたら、迷わず脱出して。拾うから。諦めないこと!」
    デイル「わかった」

    最悪よ。バクゥの戦隊の中に第二次大戦期の戦車が混じっているようなものだわ。ジュール隊のように作業機として連れて来たなら兎も角。とは言えこいつを死なすと私の評価が…。

    アスラン「ふん…!」
    アウル「くっそぉ!」

    アビスの目標はアスランに移った。外国人の彼を戦死させるわけにはいかない。

    アグネス「デイル。アスラン先輩の下へ」
    デイル「おう!」

    コクピットに通信!

    アスラン「俺のことは良い。早くイザークの下へ。ジンを何とかするんだ」
    アグネス「でも…」
    どうする…。というかこの状況に頭が追いつかない。

  • 73二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 21:41:43

    アグネス「デイル。聞こえた?」
    デイル「おう!」

    こいつ…、おうしか言えないのか?というかハイマニューバ2型との戦いにゲイツRを随伴するのは頭おかしいのか?
    こんなことなら出撃前に上申しておけば…。いや。

    アグネス「デイル。ジンとの直接交戦は出来るだけ避けて、ジュール隊のメテオブレイカー操作の補助に注力して!さっきの指示は継続、背中にヒヤリとした感覚が走ったら迷わず飛び降りて」
    デイル「わかった!」

    アグネス「じゃあ、ジュール隊長の下へ!」

  • 74二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 00:58:17

    アグネス「うん?」

    ジュール隊長の下へ急ぎ飛行するなか、ユニウスセブンに巨大な亀裂が走り始める。建物が崩れ、縫いぐるみが舞い、巨大な質量を持つ人口の天体が2つに割れていく。

    ディアッカ「グゥレイト!!やったぜ!」

    オープン回線でディアッカ先輩のグレイトいただきました!本人ももうすぐ視認できるわ。
    この大作戦の鍵となったメテオブレーカー。そのうち、少なくとも2基は私が守ったのよ!私がいなかったら、もっとジュール隊に戦死者が出て、粉砕にも時間がかかったの!
    私のこの働き、史書に刻まれるに相応しいわ。

    得意の絶頂で気持ちよくなっているところに今度はジュール隊長…イザーク先輩のオープン通信が。私あの人苦手。怖いし、ホモっていう噂もあるし。

    イザーク「だがまだまだだ!もっと細かく砕かないと!」

    青のザクファントムとグレーのザクウォーリアを視認!グレーのザク、ディアッカ先輩がメテオブレイカーを運んでいる。

    アグネス「ジュール隊長、ディアッカ先輩。アグネス・ギーベンラート他1機。破砕作業の支援にまいりました」
    イザーク「ミネルバ隊の!ご苦労。他は?」
    アグネス「インパルス、ザクファントム並びにザクウォーリア各1機はそれぞれアーモリーワンから奪われたアビス、カオス、ガイアと交戦中。ジンの横やりもあり得る状況です。しかし、今はユニウスセブン破砕のため、ジュール隊をジンから守るよう命令が…」

    いや、命令権はアスランにはないか。どうする?どこまで説明すればいい。いや、戦闘中よ。端的に!

    アグネス「ジュール隊をジンから守るようアスラン・ザラ氏より要請が」
    ディアッカ「アスラン!?」
    イザーク「あいつ!こんなところで何をやっている!」
    アグネス「オーブ連合首長国代表カガリ・ユラ・アスハ閣下の護衛官としてプラントへ。その後、アーモリーワン事変に巻き込まれ…」
    ディアッカ「イザーク!そんなことは今話すことじゃないだろう?!作業を急ごう!アグネスも」
    アグネス「はい!」
    イザーク「解っている!」

  • 75二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 01:07:04

    アグネス「ジュール隊長!メテオブレイカーの運搬はデイルに代わるべきと愚考します」
    イザーク「よし」

    手が空いたディアッカ機が護衛に加わる。心強い!

    前方からジン2機。ディアッカ先輩と共に高エネルギー長射程ビーム砲を発射。
    2機爆散。2機爆散!!2機のうち1機を撃墜したのは…つまり私!

    ディアッカ「グゥレイト!!アグネス、もしかして初撃墜か?」
    アグネス「はい!」
    ディアッカ「やったな」
    イザーク「ふん。気を抜くなよ」

    ディアッカ先輩…いい人ね。人間として。
    これがホモでイザーク先輩と付き合ってさえいなければ!あくまで噂だけど。

    うん?
    アグネス「デイル!回避!」
    デイル「おう!」

    アウル「あいつら!」

    アビスの放ったビームの閃光を寸前で避ける。この状況で後ろをお留守にする?
    デイル、アカデミーからやり直して!私が校長なら卒業させないけど。

    アグネス「(とはいえ、そろそろ我慢の限界ね)」
    アビスを潰す!
    イザーク「アグネス!アビスの対応は俺とディアッカで足りる!お前はデイルとメテオブレイカーを!」
    アグネス「はい!デイル。一緒に回避運動をしながら突っ込むわよ」
    デイル「おう!」

  • 76二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 01:10:39

    アビスは、それでもしつこくこちらを狙ってくる。
    母親の胎内に知性を置いてきたのか。
    ナチュラルの脳みそでもここでメテオブレイカーを破壊すれば地球がどうなるかくらいわかるでしょうに。
    その後ろから緑のザク、アスラン。
    アビスは追いつかれて、今度は奴が狙われる側に転落している。ざまあみろ。

    オープン回線で先輩達の会話が聞こえてくる。場違いな同窓会ね。

    アスラン「相変わらずだなイザーク」
    イザーク「貴様もだ!」
    ディアッカ「…やれやれ」
    アスラン「イザーク!」
    イザーク「五月蠅い!今は俺が隊長だ!命令するな!民間人がぁぁ!」

    三人そろってアビスと意外と近くにいたカオスに立て続けにダメージを与えていく。この戦いが始まる前からこの2体はダメージを累積させている。もう中破だ。

    アグネス「(これは鹵獲まで行けるか。いや、回収する余裕はないわね)」

    アウル「うぅ!」
    スティング「アウル!」

    アグネス「デイル!この位置」
    デイル「わかった!」
    設置したメテオブレイカーのドリルが深くユニウスセブンを砕いていく。

    宙に三色の信号弾。盗人どもの帰還命令。

    アグネス「ここまで来て(逃がす物か)」

  • 77二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 01:13:13

    デイル「うぉ…」
    アグネス「うん?!」
    足場が震える!ユニウスセブンが割れ始めた。2回目成功!別地点のジュール隊とタイミングがあったのね。

    アグネス「デイル。破片に巻き込まれるわ!離れるわよ」
    デイル「おぉ」

    砕けた破片が舞う中、アビス、カオスそしてガイアが撤収する光が見える。
    レイとシンはガイアと戦っていたのかしら。全体のことが分からない。ともあれ…。

    やった!いや、まだ大きい。もう少し、何とか、もう一回メテオブレイカーで砕けば。任務はほぼ完遂。
    この功績。もしやネビュラ勲章?!多分、ジュール隊と共同受賞になるでしょうけども。

    合流したアスラン、ジュール隊長、ディアッカ先輩、私、デイル五人で戦隊を組み最後に残ったメテオブレイカーを運搬、護衛する。本当は数にもっと余裕があったはずなのに、バカどものせいで。これしかなかった。探したんだけど、おかげで時間は相当切迫している。急がないと。

  • 78二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 01:15:27

    ミネルバから閃光。撤収の信号弾!!

    アグネス「(あと少し、あと少しなのに。これじゃあ画龍点睛を欠く。しかし…)」
    ディアッカ「ちっ!限界高度か!」
    イザーク「ミネルバが艦主砲を撃ちながら、共に降下する!?」
    アグネス「えっ…」

    『掃除』をはじめるのか。まあ、ミネルバは惑星強襲揚陸艦。やれるでしょう。私も今回はここらが潮時か。
    どうか破片がカーペンタリアやジブラルタル、プラント進駐軍基地に墜落しませんように。
    中立国や友好国にもできれば墜ちませんように。

    駐留軍や基地が一つなくなるたびに私が将来就くであろう、軍司令官、基地司令官のポストが減っちゃう。
    カーペンタリアやジブラルタルで大規模閲兵式や観艦式やりたいのに。
    友好国に墜ちたら特別親善大使や高等弁務官の席がなくなっちゃう。
    どうせ落ちるなら潜在敵国の首都や重要都市を吹っ飛ばしてくださいますように。
    神様、信じてないけどお願いします。

    ユニウスセブンに―そこで散ったあまたの同胞に敬礼しながら、ジュール隊は撤収していく。
    救えた命と救えなかった命。散って行った戦友の無念。
    私達プラント国民の悲しみと独立の標がこれから、燃え尽きようとしている。

  • 79二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 01:25:10

    万感の思いを胸に、私達も撤収…。あれ、アスランは?柄にもなく感傷に浸っていたせいで見失ったわ。さっきメテオブレイカーを放棄した地点までは一緒だったのに!
    ゾゾゾォォォォォと嫌な予感。

    アグネス「デイル、アスラン先輩は?あの人、外国人だから、何かあったら国際問題なんだけど…」
    デイル「わ…分からん。ついしんみりしてしまって」
    はぁー。任務中でしょ!私達軍人でしょ!たるんどる、私が。
    アグネス「探してくる」
    デイル「よせ。もう無理だ」
    アグネス「あんたは早く帰りなさいよ。死ぬわよ。私は、ザクはカタログスペック上、大気圏突破にたえられるはずだし」
    デイル「カタログスペックって…」
    アグネス「行って、じゃあね!」

    デイルを半ば無理やり帰還させ、ユニウスセブンに逆戻り。これ、ちょっとオーブからも勲章貰わないと割に合わないわよ。名誉勲章が良い。外国人に与えられる最高ランクの!

  • 80二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 10:41:09

    アグネス「オープン回線の通信を受信!なになに」

    シン「何をやってるんです!帰還命令が出たでしょう。通信も入ったはずだ」
    アスラン「ああ、解ってる。君は早く戻れ」
    シン「一緒に吹っ飛ばされますよ?いいんですか?」
    アスラン「ミネルバの艦主砲と言っても外からの攻撃では確実とは言えない。これだけでも…」

    小破したインパルスとアスランのザク!
    アスランが、さっき放棄したメテオブレイカーでなんかやってる。
    あそこから、設置予定地点まで一人で持ってったの?護衛も補助も無しに正気!?勇敢を通りこして蛮勇よ。
    その上、シンも手伝い始めた…。バカか!そこは引きはがすところでしょうが!!

    シン「貴方みたいな人がなんでオーブになんか…」
    アグネス「アスランさん、いえアレックス・ディノ護衛官。ご自分の本職を思い出して!離脱を…」

    二人の下へ駆けつける。どうする?いっそ私も手伝うべきか?

    サトー「うおぉぉ!」
    アグネス「わっ!!」
    何かオープン回線全開にしてジンが3機突撃してきた!!まだ残っていたの?!
    ジンパイロット達「これ以上はやらせん!」

    アグネス「うっざ!」
    高エネルギー長射程ビーム砲を構える。1機でも2機でも落として勲功値を稼がなくちゃ。

  • 81二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 10:47:33

    シン「こいつらまだ!」
    アスラン「ええぃ!」
    ジンパイロット「我が娘のこの墓標、落として焼かねば世界は変わらぬ!」

    シン「娘…?」
    アスラン「なにを!」

    アグネス「しつこい!」
    オルトロス発射。なんか叫んでたジンが1機爆散。キルスコア2機目ね!
    アスランとシンも参戦してきた。ハイゲームセット。あいつらお終いね!

    うん?何となく二人の動きが精彩を欠く?
    アスランと接近戦を始めたリーダー格のジンが叫ぶ。

    サトー「此処で無惨に散った命の嘆き忘れ、討った者等と何故偽りの世界で笑うか!貴様等は!
    軟弱なクラインの後継者どもに騙されて、ザフトは変わってしまった!」
    アスラン「…!」
    アグネス「(えっ!!こいつ等ザラ派過激グループなの?ワンチャン、連合の偽旗作戦かもと思ってたのに!)」

    まるで気押されたかのような緑ザクの右腕をジンが切り飛ばす!
    アスラン「う…!」

    アグネス「このクズが!私達の、私の足を引っ張るな!!」
    リダー格ジンの背後から、思いっきりビームトマホークで切りかかる。

    ホントしつこい!いい加減にして!!せっかく、エザリアおば様やパパ達がクーデター後も雌伏し、クライン派の目もある中、ここまで来たのに!!
    あんたと同じような境遇の人、この世界にごまんといるでしょう!
    生き残った者達は皆、日銭を稼ぎながら生きている。どうしてあんたたちはそうしない?!

  • 82二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 10:53:39

    サトー「何故気付かぬか!我等コーディネーターにとってパトリック・ザラの執った道こそが唯一正しきものと!」
    振り向きざまのジンの攻撃で今度は私のザクの両足が破断。かまわない!肉を切らせて骨を断つ。
    アカデミーの実習通り、スラスターを全開にして体当たりするようにビームトマホークを振り下ろす。

    アグネス「ザラ派の本流が…!私が可哀想だとは思わないのか!!!」

    閃光とともにジンを撃破。でも、近すぎる!強い衝撃で機体が吹き飛ぶ…。

    アグネス「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
    アスラン「アグネス!」

    リーダー格ジンの撃破と引き換えに機体各部にダメージ。これで大気圏を抜けられる?どうだ、いけるか??

    アスラン「アグネス!早くこっちに移るんだ!」
    緑ザクがコックピットを開き機体を横付けして、アスランが手を伸ばす。
    迷わず赤ザクを乗り捨て彼の手を取る。何が映画のワンシーンみたいで感動的!!

    コクピットに入れてもらうとモニターにインパルスとジンの戦闘が見える。おそらくあのジンが最後の1機。
    あ、ジンがインパルスに組み付くや自爆した。衝撃でインパルスが吹き飛んでる。相変わらずトロくさいわね!

    アスラン「シーン!」

    アグネス「(うん!?爆散したジンの破片がメテオブレーカーに…)」
    破片が激突した拍子にドリルが誤作動。不十分な設置姿勢のままユニウスセブンを砕こうとするが…。失敗!

  • 83二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 11:35:45

    アグネス「アスラン先輩、それとシン!もう私達の任務は終了しました!ミネルバへ。タンホイザーに巻き込まれます」

    アスラン「…ああ」
    シン「くっ…」
    緑ザクとインパルスがスラスターを全開にしてユニウスセブンと地球の重力から離脱を図る。すでに周囲の風景は熱で真っ赤に染まり始めている。

    スラスターの利きが悪い。当たり前か。長居し過ぎだ。二人とも。
    損切りできない人間はこれだからダメだ、ってそんなことを思っている場合じゃない。
    シン「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
    アスラン「…」
    インパルス、ザク転落。地球へ。うっそ、マジ!待て慌てるな。

    タンホイザーの発射を視認!もはや巨大な隕石と化したユニウスセブンの一部を吹き飛ばす。幾つも大きな破片が宙を舞いながら大地に向かっていく。

    アスラン「突入角度調整。排熱システムオールグリーン。自動姿勢制御システムオン。ECSニュートラルへ」

    大丈夫だ。ザクは大気圏を突破できる。この機体は小破しているがパイロットは伝説のエース。
    コクピットの後ろに私を押し込み、アスランはコマンド操作を一心不乱に行っている。ここまで来ると私の出る幕は終わっている。彼の操縦技術なら大丈夫。
    ヤキン・ドゥーエの戦いはアカデミーで詳しく取り上げられ、テストにも出た。私もそれとは別に、何度もザフト・連合両軍の戦史を読み込んだ。ここで死ぬような人間ならヤキンで10回は死んでいたはず!

  • 84二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 11:38:09

    タンホイザーの第2射を確認。よくやっている。ジュール隊と、わ・た・し達ミネルバ隊、そして戦艦ミネルバは。
    その尽力で、かつて恐竜達に訪れたあの大絶滅の再現は免れたと言って良い。

    しかし、砕かれた大小の破片はまるで彗星のシャワーのように地上に降り注いでいく。
    燃え尽き、あるいは燃え上がりながら悲しみと怒りを洗い流すかのように。

    アグネス「(綺麗…。こんな光景二度と見ることは出来ないわね)」

    滅びの日を、黙示録の日を特等席で実況見分できている。
    今回の作戦で、この壮大な叙事詩の1ページに、その端の方であっても間違いなく私の名前は載ったのよ。この幸運にあずかれるのは感無量ね。
    決して口に出すわけにはいかないが、完全に滅びない程度に世界が無茶苦茶になって欲しい。自分は安全圏からそれを眺めて―そのあとの秩序で勝ち組になりたい!誰しも願うことでしょう、一度ならず!

    まあ、今の私は安全とは程遠いけど。特等席の乗り心地は最悪で真っ赤に燃え上がっている。振動と衝撃、あちこちから鳴り響く警報音。良くも悪くも臨場感満点!

  • 85二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 12:02:01

    アグネスはギャンの武装構成もあってスラッシュ装備好むかなと思ったけど、特に拘りなく支援でガナー選ぶのも普通にやるわなと思えた
    元の成績や家柄がいいのと出世のために仮面を被るのが上手いのとで今のところルナがいた正史よりいい感じに話が進んでるの草

  • 86二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 12:08:16

    まあここから先だよ
    戦争始まった挙げ句オーブ関連で荒れてるシンにアグネスがどうなるかだ

  • 87二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 12:08:18

    映画でアグネスの心証悪い原因って結局DESTINY時代のシンルナとの経験の差(精神的にもパイロットの腕的にも)がほとんどだし、このまま行ったらシンレイのこともパイロット仲間として信頼するくらいにはなれるかな

    一方で月光のワルキューレと化すルナマリアがどうなるかというと…
    少なくとも初期の価値観はアグネス寄りだったし

  • 88二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 12:13:36

    このアグネスは時期的に毛先ピンクに染めてないだろうし同室のメイリンと見分けつかなくなってそうw

  • 89二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 19:40:28

    アスラン「く…やはりブースターがなければ大気圏は!」
    アグネス「(大丈夫。もう成層圏は抜け対流圏に入っている)」

    雲間を抜け、さらにザクは落ちていく。
    アスランは深刻そうだが、まだザクのスラスターは生きている。

    アグネス「(どうせこのザクはもう使い物にならない。全力で、でも焼き切ることが無いように慎重にスラスターを噴射つづける、高度10000メートルまで可能な限り速度をおとす。何とか最後は焼き切っても良いから落下エネルギーをころして。10000まで下りたら、後は潔く自然落下。次は耐衝撃姿勢をとって海面へ!)」

    西暦の昔、セルビアの客室乗務員に出来たことがコーディネーターの私に出来ないはずがない!
    しかもこっちはノーマルスーツを着ているのよ。生存して見せるわ。着水したら次は遠泳ね!

    シン「アスランさん!」
    アスラン「うん?」
    インパルスを視認。
    流石、最新鋭機ね。私もああ言うのが欲しい!

    アグネス「シン。悪運が強いわねアンタ!」
    シン「アグネス?!アスランさん!待ってて下さい、今…!」
    アスラン「よせ!いくらインパルスのスラスターでも2機分の落下エネルギーは…!」
    アグネス「シン。何とか10000メートルまではお願い!極力、落下エネルギーを殺して」
    シン「えっ10000!?いや、落とすもんか!!」

  • 90二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 19:44:49

    インパルスはザクを抱きかかえ、スラスターを目一杯噴射し続ける。
    私は目を凝らして空を探す。まだか…。
    距離400ミネルバを視認!!
    ミネルバから発光信号

    アスラン「はっ…」
    アグネス「ふぅ…」
    シン「はぁ…」
    安堵の息が出たのは3人ほぼ同時だった。

    メイリン「インパルス、ザク着艦」
    ふぅ、さすがに疲れたわね。
    ザクから先に下りてきたところにアスハ代表が駆け寄ってくる。今日はずいぶんと子供っぽいわね。

    カガリ「アスラ~ン!」
    アグネス「アスハ代表。ご無事で何より!」
    ビシッと敬礼。自室から一歩外は戦場。ベッドに倒れ込むまでは気を抜かないようにしないと。

    カガリ「ギーベンラート隊員。任務ご苦労」
    ハッと代表の顔に戻り、返礼を返してくれる。
    そのやり取りをなんだか嬉しそうに見守りながら、今度はアスランがザクから下りてきた。

    ミネルバに激しい衝撃!

    ヴィーノ「なに?まだ何か!?」
    レイ「地球を一周してきた最初の落下の衝撃波だ。おそらくな」
    アグネス「多分、地球を一周してきた最初の落下の衝撃波よ」

    ほぼ同時に、同じことを言ったレイと視線がかち合う。
    アグネス「(こいつアカデミーにいた時からいつもこうね。同じ答え言わないでよ!)」

  • 91二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 21:53:01

    タリア「警報。総員着水の衝撃に備えよ」
    レクリエーションルームにシン、レイ、アスラン、アスハ代表で休んでいるといよいよお楽しみタイムが来た!

    アグネス「(キター!これよこれ!これこそ惑星強襲揚陸艦の醍醐味だわ。着水!着水よ!)」

    艦に衝撃と振動が走る。ここからでは見えないけれど、着水時の巨大な水しぶきが高く高く上がっていることだろう!
    アーサー「着水完了。警報を解除。現在全区画浸水は認められないが今後も警戒を要する。ダメージコントロール要員は下部区画へ」

    メイリン「ふぅ…」
    小休止が与えられたクルー達と何とはなしに甲板に向かう途中、お疲れ顔のメイリンと出会う。ブリッジ要員の一部にも休憩の許可が出たのか。
    アグネス「メイリン。お疲れさま」
    メイリン「アグネスさん。良かった怪我が無くて…。本当に良かった」
    眼をウルウルさせて可愛いわ、この子。

    アグネス「地球の被害は?何か本国から指示はあった?」
    メイリン「本国からはまだ何も…。地球の被害は本当に世界各地に…」
    アグネス「特に主だった都市や地方は?」

    メイリン「上海、北京、ゴビ砂漠、ケベック、フィラデルフィア、大西洋北部地域には破片が落下し、壊滅的な被害が…、赤道付近にも。それと大津波で、サウスカロライナからメイン州一帯が水没。特に北京と上海の惨状が酷く、ほとんど地図からなくなってしまったほどだと…」

    アグネス「(ふんふん。プラント領のカーペンタリアとジブラルタル、親プラント国の大洋州連合と汎ムスリム会議は、ほぼ無傷ね。良かった。頑張った甲斐があった。中立を保とうとしてくれた赤道連合に被害が及んだのは残念だけど…)」

    でも、その他は素晴らしい!!
    東アジア共和国は今後の世界覇権レースから脱落ね。カーペンタリア・大洋州への軍事的脅威の西半分が消滅したわ。大西洋連邦もこれだけ打撃を受ければ再建は容易じゃない。欲を言えばユーラシア連邦にもっと落ちて欲しかったな。モスクワとかサンクトペテルブルクとか吹き飛ばしてくれたらパーフェクトだったのに!!

    アグネス「(でもエルミタージュ美術館には行ってみたいと思ってたから、それはよかったのか…)」
    考え込む私を心配したようにメイリンが覗き込む。

  • 92二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 21:57:21

    メイリン「アグネスさん…。どうか自分を責めないで。ジュール隊とミネルバの働きが無ければ、ローマ、アテネ、フォルタレザ、サルヴァドール、そしてスリランカも危なかったと解析結果が…。本当にお疲れさまでした」
    アグネス「ありがとう、メイリン!」

    ローマとアテネにはいつか観光に行きたいと思っていたのよ。観光で食いつないでいるホームレスとスリだらけの都市だけど、あそこには人類の遺産がいっぱいある。

    男子の話し声がデッキから聞こえてくる。

    ヨウラン「けど地球か」
    ヴィーノ「太平洋って海に降りたんだろ?俺達。うっはは、でけー」
    ヨウラン「そんな呑気なこと言ってられる場合かよ。どうしてそうなんだ、お前は」
    今回に限ってはヴィーノに賛成。こんな天候じゃなく晴天だったらもっとよかったのに。

  • 93二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 23:45:53

    メイリンと一緒にヴィーノとヨウランの方に歩いていく。げっ!レイがいる…。
    ということは、あれ、シンは?大抵こいつら何時もつるんでるのに。
    上部デッキから声が聞こえる。アスハ代表とアスランね。
    行儀が悪い事だけど、いや、この世界を勝ち抜くため、当然のこととして聞き耳を立てるわ。

    カガリ「大丈夫か?アスラン」
    アスラン「ああ、大丈夫だ」
    カガリ「けどほんと驚いた。心配したぞ。モビルスーツで出るなんて聞いてなかったから」

    アグネス「(話を通してなかった…。やっぱり。もしものことが有ったらどうするつもりだったの!どれだけ私が気をもんだことか)」

    アスラン「すまなかった、勝手に」
    カガリ「いや、そんなことはいいんだ。お前の腕は知ってるし。私はむしろ、お前が出てくれて良かったと思ってる」
    アスラン「…?」
    カガリ「ほんとにとんでもないことになったが、ミネルバやイザーク達のおかげで被害の規模は格段に小さくなった。そのことは地球の人達も…」

    アグネス「(オーブ連合首長国代表もこちらの努力を評価してくれているのね!セーフ。首の皮一枚つながったわ。後は彼女が帰国後、各首長と議会を説得…)」

    シン「やめろよこの馬鹿!」
    アグネス「はっ?」
    カガリ「えぇ?」
    ヨウラン「えぇ?」
    ヴィーノ「えぇまたぁ?」

    上部デッキの後ろからシンが出てきて怒鳴り出した。
    シン「あんただってブリッジに居たんだ!ならこれがどういうことだったか解ってるはずだろ!?」
    カガリ「えぇ…」

    アグネス「シン!!黙りなさい!!あんたプラントとオーブの国交を無茶苦茶にしたいの??!!」
    下から全力で!声の限りを尽くして叫ぶ。ここからじゃ駆けつけて殴り倒せない!

  • 94二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 23:49:44

    シン「ユニウスセブンの落下は自然現象じゃなかった。犯人が居るんだ!落としたのはコーディネーターさ!」
    カガリ「あぁ…」

    アグネス「アスハ代表閣下、申し訳ありません。この者の言うことは、一切プラントは関知しておりません。後で厳しく…」
    今度はアスハ代表に叫ぶ。なんで私がこんなに必死にならないといけないの?!

    シン「あそこで家族を殺されてそのことをまだ恨んでる連中が、ナチュラルなんか滅びろって落としたんだぞ!?」
    カガリ「ぁ…わ、解ってるそれは…でも!」

    アグネス「犯人の正体と目的は現在鋭意捜査中です。後ほど公式見解を…」

    シン「でもなんだよ!」

    アグネス「誰か銃を持ってない?!友好国の国家元首に危害を加えようとしているわ」
    アグネス「(バカかこいつは!私は別に無私無欲の聖人君子でない。それでも言って良いことと悪いことがあることは知っている。知った上で、計算づくで言うことは有るけど…。でも、今、この世界情勢、ザフト軍人の身分立場で明らかにアウトであることを口にしていることぐらいわかるでしょう)」

    カガリ「お前達はそれを必死に止めようとしてくれたじゃないか!」

    私が下で叫んでいるせいか、アスハ代表も下まで聞こえるように全力で声を張り上げている。

    シン「当たり前だ!」
    カガリ「ええ?」

    アグネス「そ…、そうです!アスハ代表。プラントはオーブの…地球諸国家の永遠の友好国です。今回の行動はまさにザフト軍人としての本分を…」
    シン、頼むから消えて、お願い!!

  • 95二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 23:52:34

    アスラン「だが…それでも破片は落ちた。俺達は…止めきれなかった…」

    アグネス「(今度はアスラン…。もう本当にいい加減にして。どうしても、やりたいなら人目につかないところでして)」

    カガリ「アスラン…」
    アスラン「一部の者達のやったことだと言っても、俺達、コーディネーターのしたことに変わりない。許してくれるのかな…それでも…」

    アグネス「当然です!!そもそも人は己のなしたことのみに責を負うべきです。今回の犯人が大変遺憾ながらもし仮にコーディネーターであったとしても、それは…」

    発声法のトレーニングをしていて良かった。喉を傷めず絶叫できる。頼むからもう何も言わないで…

    カガリ「うぅ…」
    シン「自爆した奴等のリーダーが最期に言ったんだ」

    何でシンが知って…あのクズがオープン回線でがなり立てていたせいか!

    アグネス「彼が言っている情報は精査されていません!!どうか公式発表を…」

    カガリ「え?」
    シン「俺達コーディネーターにとって、パトリック・ザラの執った道こそが唯一正しいものだってさ!」
    ヨウラン「え?」
    ヴィーノ「え?」
    レイ「…」

    アグネス「耳を貸してはいけません。アスハ代表!この声が届いている戦友諸君諸姉!
    シン、テロリストの言説を流布するな!!!反逆罪に問われたいか??!!」

  • 96二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 23:54:12

    カガリ「ぁ!…アスラン…」
    シン「あんたってほんと、何も解ってないよな」

    アグネス「アスハ代表!彼の発言は全て彼の見解、ザフトの見解とは全く異なります!後で必ず厳重な…」

    カガリ「…」
    シン「あの人が可哀相だよ」

    可哀想なのは私よ。謝罪しろ!全裸で土下座しろ!頼むから消えて。お願い!

  • 97二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 00:40:55

    初期のシンが狂犬すぎてアグネスが苦労人と化している…

  • 98二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 01:29:12

    アスランが居たたまれずドアの向こうに引き返すのとほぼ同時に、私は艦内に駆けこむ。
    今すぐあそこに駆け上がってシンを取り押さえる!
    もうインパルスどうこうという話のレベルではないわ。
    嫉妬とかアカデミー時代のあれこれではなく、もう完全に無理よ。あいつ!殺してやる。
    私が勝つためにもプラントのためにも銃殺刑にしてやる。今日ここで…

    レイ「頭を冷やせアグネス」

    後ろから私を羽交い絞めしようとするレイを体術で投げ飛ばす。
    即座に受け身を取るやレイは私に正対し直す。体術の成績、ほぼ互角だったわね。私達!
    ルナマリアには押されていたけど。

    アグネス「何!一緒に軍法会議に出たいの?!おホモ達は大変ね!」
    レイ「…。シンを不問にしろと言っているわけではない。だが私刑も軍法違反だ」
    アグネス「私刑になんてしないわ。拘束して保安兵に引き渡す。今回の事、証言者はいっぱいよ。もう看過できないわ」
    レイ「なら、俺とお前でシンに出頭するよう説得しよう。それが手順としては正しい」
    アグネス「抵抗したら?」
    レイ「あいつはしない」
    アグネス「へ~~。信頼してるのね?男同士の絆ってやつ?ホント無理。うんざり!」
    レイ「反対するのか?」

    一瞬間を置き、考えを纏める。確かに出頭しろと言われれば出頭するかもね。
    あいつくだらない正義感だけは強いタイプだし。

    アグネス「わかったわ」

  • 99二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 01:31:38

    レイと通路をぐんぐん進んでいくと、アスハ代表とばったり出会う。
    アスランはどこ行ったの?護衛官でしょう!別行動しないでよ。
    敬礼 返礼が終わるや必死に弁明を図る。

    アグネス「アスハ代表。この度のアスカ隊員の非礼どうかどうか平にご容赦を」
    レイ「ギーベンラート隊員とともに彼を出頭させ、刑に服させます」
    アグネス「どうか彼の言動のみをもって本艦全クルーの意思と見なすことだけは…」

    アスハ代表が静かに私達の謝罪を止める所作をする。

    カガリ「二人とも、特にギーベンラート隊員。ありがとう。さっきから、ずっと心配してくれているな」
    アグネス「はい」
    カガリ「今回の件。私から特に問題視することはしない。難しい任務の後で彼も精神的に疲労し、思いもかけないことを言ってしまった。『そういうこと』なんだろう?」
    アグネス「はい。はい!そういうことです。ありがとうございます」

    あいつ一人ならいくらでも蹴落とすが、あのレベルの失言は私にも類が及びかねない。
    水に流してくれるなんて、この人は女神様?

    レイ「ありがとうございます。今回の非礼本来許されるものではありません。こちらで厳正な対処を」
    カガリ「あいつはオーブの国民だったんだよな」
    レイ「はい」
    カガリ「あまり重い物にはしないでくれ」
    レイ「ありがとうございます」
    アグネス「ありがとうございます」

    セーフ。セーフ。ザクからやっとの思いで帰って来たのに、落ちこぼれのせいで、経歴に傷がついたらどうするのよ。あの場にいただけで、アイツの口を塞がなかっただけで同罪扱いされたかも知れないのよ。もう本当に嫌。

  • 100二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 01:34:30

    メイリン「それで…。シンはどうなりそう?」
    部屋に帰るやメイリンが尋ねてくる。この子もあの場にいたわね。心配そうにしている。

    アグネス「営倉入りプラス譴責処分で済みそうよ」
    メイリン「良かった、んだよね?」

    罪刑相場が分からないという意味か。

    アグネス「アスハ代表のご宥恕もあり、副長が何とか軍歴に跡が残らない形に出来ないか、必死に考えているみたい。パイロット降格はなさそうね。まあ、大作戦の功労者ですもの。一応ね」

    インパルスが棚ぼたで手に入るかとも思ったが、残念。まあ欲をかきすぎるのもダメね。

    アグネス「メイリン。報告書の提出までして私もうへとへとよ。寝るわ」
    メイリン「うん…。おやすみなさい」
    アグネス「おやすみ」
    アグネス「(ああ…。ニュース、最低でも4か国分は一つのトピックにつき見ないといけないのに…。うーーーーーん。だめね。体が動かない)」ベッドに横になるのと意識が落ちるのはほぼ同時だった。

  • 101二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 09:52:05

    めちゃくちゃ好感持てて笑う

  • 102二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 12:12:33

    アグネス「メイリン。おはよう」
    メイリン「おはようございます。アグネスさん」

    二人で身支度をしてレクリエーションルームへ。ニュースを確認しなければ。
    入室すると何時もの面々、ヴィーノ、ヨウラン、レイがいる。シンは今頃、営倉。

    ざまあみろ。仮に軍歴に『見かけ上』痕が残らなくても、これは明らかなマイナス点よ。
    アーモリーワンからの武勲もプラスマイナスゼロね。いや、流石にまだ幾分かのプラスは残るか?
    でも、武勲は私も立てたし、アビス・カオスを小破。ジンハイマニューバ2型3機撃墜。
    しかもそのうち1つはリーダー機!そしてユニウスセブン破砕作業に多大なる貢献!

    アグネス「(キルスコア3ね!ああでも、リーダー機はアスランとの共同撃破扱いか。それだとキルスコアは2.5ね。あと3機墜とせば私はエース!)」

    部屋のモニターにニュースが流れる。

    デュランダル「この未曾有の出来事を、我々プラントもまた沈痛な思いで受け止めております。信じがたいこの各地の惨状に、私もまた言葉もありません。受けた傷は深く、また悲しみは果てないものと思いますが、でもどうか地球の友人達よ、この絶望の今日から立ち上がって下さい。皆さんの想像を絶する苦難を前に我等もまた援助の手を惜しみません」

  • 103二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 12:15:31

    アグネス「悪手ね。あんなんでもプラントの議長になれるのか…」

    驚いたようにメイリン、ヴィーノ、ヨウランが私を見る。
    レイが殺気のこもった目で睨みながら私の方につかつか迫ってくる。

    レイ「どういう意味だ、アグネス。議長は俺たちの最高司令官だぞ。ことと次第によったら副長に…」
    アグネス「告げ口しちゃいますか~?そう言えばあんたの親代わりだっけ。アカデミーに来ていたわね」
    その時は知らなかったけど、後から確認した。ピアノ聞いてもらってご満悦でしたわね。

    アグネス「じゃあ言わせてもらうけど。何でテロのことに触れないの?」

    一同がハッとした顔で私を見る。う~ん。気分が良い。

    アグネス「ユニウスセブンの管理責任者として道義的な意味で謝罪。テロに自国民が関与したことへの遺憾の意。
    真相究明の努力と結果報告の約束。まずそこから始めるべき。勿論、お見舞いの言葉と支援…というか補償は絶体にするべきだけど」

    レイの激おこ視線も無視して話し続ける。こういうのは先にビビった方が負けなのよ。

    アグネス「テロの事、隠しきれるわけないでしょう。だって、ボギーワンは地球連合軍ないしはそれに準じた武装組織の疑いが濃厚なのよ。地球連合軍上層部は、あいつらにとって最高の私達にとって最悪のカードを手に入れている。
    なら、相手がカードを使う前にこちらから真相を明らかにし、ダメージコントロールを図るべき」

    メイリンとヴィーノ、ヨウランの納得したような感心したような顔!気分が良いわね。

  • 104二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 12:19:54

    アグネス「逆にこちらはアーモリーワン事変の被害者というカードがある。
    ボーギーワンがユニウスセブン破砕の妨害をした証拠映像もある。
    『こちらも被害者だ。そもそもユニウスセブン落下を阻止できなかったのはオタクたちにも責任がある』
    というメッセージを送れる。このカードは相手がカードを切っていない今使うしかない。それを…」

    ニュースでいけしゃあしゃあとしたり顔でしゃべり続ける議長に視線を向ける。

    アグネス「これで戦争になったらこいつのせいよ!」

    戦争という言葉にその場の空気が凍りつく。戦争になる、素晴らしい、武勲立て放題ね!
    議長がド低能のバカアホであることを感謝する日が来ようとは。

    レイ「…。議長には議長のお考えがある。仮にお前の言うことに一理があったとしても皆の前で」
    アグネス「じゃあ、あんたは脳死状態で地獄の先まで行けばいいわぁ!!私は嫌。
    士官学校卒業者としての責任がある。仮にも赤服に袖を通す者として、任務の遂行と同時にプラントの未来を考え…」

    メイリン、ヴィーノ、ヨウランに視線を送る。よく聞きなさいよ。今からの私の言葉!

    アグネス「この艦の浮沈を担う責任が。大勢の戦友が乗る艦を守るパイロットとして、思考を止めるわけにはいかないわ!!」
    レイ「…」

    言ったー!アグネスポイント1000点。3人とも自分の持ち場に戻ったらこの言葉を周囲に伝えるのよ。
    私がどれだけ戦友思いで、艦の将来を憂いているか。こんな健気な私を評価して!!!

  • 105二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 12:23:13

    ここまで頭回るならシンを月面に送ってインパルス搭乗で良かったんじゃなかろうかって思ってきちゃうな

  • 106二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 12:24:16

    私に敵意を向け続けるレイを置いてきぼりにしてメイリンとデッキの射撃訓練へ。

    パンパンパンパン
    腕は鈍ってないわね。良かった。少し忙しかったから内心心配だったのよ。
    標的の頭、脳みそ、内臓、心臓をハチの巣にする。

    隣のメイリンを見ると。
    パンパンパンパン
    この子、結構やるわね。まあ私達赤服ほどじゃないけど。
    ああ、そう言えば。ルナマリアは妹をお手本にすれば?

    アスラン「訓練規定か」
    後ろから、アスランが現れる。また単独行動している…。
    この人、護衛官の仕事やる気あるの?

    メイリン「ええ、どうせなら外の方が気持ちいいって」
    アスラン「ん…」
    アグネス「一緒にやります?実は私あんまり上手くないんです。先輩、お手本お願いしますぅ?」
    媚を、媚を売るのよ。上目づかいで。
    アスラン「…。全弾命中していたが?」

    しまった!来ると分かっていたら!
    いや、というか今のはコミュニケーションの一環でしょ。気づきなさいよ。
    『よし、先輩のお手本をよく見ろよ』とかなんとか返すところでしょ?!
    そんでパンパンパン全弾命中。『流石アスラン先輩。すっご~い』って流れになるでしょ。
    気を使っているの。分かってよ!

  • 107二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 12:24:33

    >>105

    下手に頭回ると邪魔と判断して殺しにくるし

  • 108二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 12:28:16

    アスランが空気読めるわけないだろ!

  • 109二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 12:29:45

    高スペックで親のやらかしさえなければ家柄も満点なのに、こうも空気が読めないとは。
    いや、『何処か抜けた旦那を兼気に支える妻』というのも在りか、いやそれだと私の足を引っ張りそう。
    第一、誰かのアシスト役で人生を終えるなんて耐えきれない!内助の功だの糟糠の妻だの虫唾が走る!

    メイリン「私達みんな、アスランさんのこと知っています」

    微妙にポンコツなことが判明したアスランにメイリンがおずおずと声をかける。

    アスラン「え?」
    メイリン「元ザフトレッド、クルーゼ隊。戦争中盤では最強と言われたストライクを討ち、その後、国防委員会直属特務隊フェイス所属。ZGMF-X09A、ジャスティスのパイロット」

    そうそう、経歴だけならすごいのよ。
    私もエースパイロット、ネビュラ勲章、フェイスとキャリアを進めたいわ。

    アグネス「(でも、今フェイスになると、あのうさん臭い議長の直属になるのか。直接、会ったことが無ければ大喜びしたんでしょうけど。本人を目の当たりにしちゃうとねぇ…)」

    メイリン「お父さん…ザラ前議長のこと。私達、ぜんぜん気にしません。親と子供は別ですから。ヤキン・ドゥーエ戦でプラントと地球を救ってくれたアスランさんは私達の間では英雄なんです」

    アスラン「えぇ…ああいやぁ…」
    メイリン「射撃の腕もかなりものと聞いてます!!」
    アグネス「一度、御拝見させてください」

    アスランが銃を構える。
    パンパンパン
    う…動く標的に全弾当ててる…。しかも全部急所に。信じられない…。レイや私でもここまでは無理だ。

  • 110二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 12:36:20

    アグネス「(流石、大戦期の英雄は違うわね)」

    アスラン「こんなことばかり得意でもどうしようもないけどな」
    そして、謙遜。パーフェクト!よし、それに答えて最高の返しを。

    アグネス「そんなことありません。敵から自分や仲間を守るためには必要です」
    アスラン「敵って…誰だよ…」
    アグネス「?前大戦では連合軍、今は…」
    今も仮想敵国は連合だが、オーブ国民になっているアスラン相手に口にするのは憚られるわね。

    少し気まずい空気。年長者で先輩で男でしょう。後輩の女の子を困らせないでよ!

    メイリンがあたふた助け舟を出す。

    メイリン「ミネルバはオーブに向かうそうですね」
    アスラン「ああ」

    メイリン!よくやった。少なくともオーブにつくまでは好意を持ってもらわないといけないのよ。

  • 111二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 12:37:12

    カガリ「アスラン…」

    上の窓からアスハ代表!敬礼 メイリンもそれに続く。返礼を受けなおる。

    なんで護衛対象を一人にしておくの。コーディネーターのナチュラルに対するテロに立ち会ったばかりでしょ。
    彼女、ナチュラルなのよ。ライオンの群れの中にいるウサギちゃん状態なのよ。
    いやヤキンの事を考えると犬やオオカミくらいはあるか。なんにしろ、放置したらダメ。
    この艦でまさかのことが有れば私の経歴に特大の汚点が…。

    アグネス「アスラン先輩。代表が彼方にそろそろ休憩時間がおすみなのでは?」
    休憩時間でここに来たのよね。そうじゃなくてもそうだという顔をして。貴方の職務怠慢の共犯者にしないで!

    アスラン「ああ…。ありがとう」
    こちらの意図をようやく理解してくれたのか…。それとも良く分かっていないのか?
    速足でアスハ代表のもとに向かうアスランをメイリンと敬礼で送り出した。

  • 112二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 12:40:30

    なんか、カガリへのアグネスの態度がおもしろいな

  • 113二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 12:50:13

    保身のためなんだが保身のためだからこそ周りの状況に気を使いまくり必死でカガリの身の安全を図ろうとしてるのがまた…

  • 114二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 13:01:06

    本編でのラクスへの対応や寝返り経緯考えたら、色恋的な擬態は出来ても政治的なところに考えが及ぶタイプじゃないから違和感しかないなこのアグネス

  • 115二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 14:51:14

    何だろう、ここのアグネス頑張ってるし、政治面でもアレコレ考えて行動していい感じなんだけど、
    失敗しそうな雰囲気が抜けない……
    あと、アグネスの言い方に噛みつきそうなシンが大人しいのに違和感を覚えてしまう
    シンの動きの一部がアグネスに振り分けられてるからかなぁ

  • 116二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 15:03:39

    戦艦にVipが乗らざる得ないとか胃がきりきりすることばっかりで表面から見ればアグネスは外交の失点にならないよう頑張ってるんだがなんか全部失敗する気がする
    普通のVipじゃないせいで

  • 117二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 15:08:25

    作品が違えばここのアグネスの対応はいい対応なのかもしれないけど、ここは残念ながらコズミックイラなんだ・・・

  • 118二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 15:58:37

    アグネス「また…。また負けた…」
    シュミレーターの中の自機がラゴゥ(バルトフェルト パイロット設定)相手に爆散されている。自分がもう、87回目だ。87回自分は死んでいる!
    これではガイアに勝てない…。死にぞこないのナチュラル風情に…。

    余裕だと思ったのだ。実際、初めの成績は良かった。10回やって3対7。
    3が自分だが、伝説の存在相手なら、なかなかじゃない。

    生存ザフト兵の持ち帰ったデータのお陰で、ストライクとラゴゥの戦闘経過は、かなり詳細に追うことが出来る。
    要は自分が『ストライク役』をすればいい。
    コーディネーターの中でも選ばれし自分がいくら名門フラガ家とは言え、ナチュラルのムウとかいう男の真似事をしなければいけないのは癪だが…。

    途中までは上手く行っていたのよ。しかし…気づいてしまったわ。

    アグネス「(戦闘詳報をよく読む解くと。あの戦闘でバルドフェルト隊長はパイロットと部隊司令官を兼任していた。だから、不利に傾く戦況に意識が散漫にならざるを得ず、ストライクからの一撃目を受けた。最後のストライクとの一騎打ちまでにラゴゥは損傷。戦闘力を大幅に減じていた)」

    その変数を除去して、『パイロットに専念したバルドフェルト機』を再現して訓練を始めると…。積み上げた自信がみるみる瓦解していく。

  • 119二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 16:03:32

    軽く涙が出てくる。こんなに弱いのは私じゃない。何かの間違いよ。何かの間違いなら勝つまでやる。
    私は勝つべくして、勝つ側の人間としてこの世に生を受けたのだから。
    凡百の愚民どもを率いるべきトップクラスの人間に!!

    アグネス「世界は貴女のもの、そしてまた、貴女は世界のもの。生まれ出て、この世界にあるからには!!!道を開けろ。劣等種族どもが!!」

    渾身の気合でビームトマホークをラゴォの頭部に直撃させる。でもまだだ、相手のコクピットは。
    突っ込んで来る!よけきれない…。緊急脱出!、機体は爆散…。

    アグネス「88連敗…。大丈夫、まだ負けてない。負けたと思わない限り、私は負けない」
    もう一戦、今度は頭と最低でも四肢のうち1つ以上は捥ぐ。

    メイリン「アグネスさん!大丈夫…。酷い顔」
    アグネス「酷い顔…。何言ってるの(私の美貌はラクス・クラインに勝るわ)?」
    メイリン「そういう意味じゃなくて…」
    ふらふらしながら、ベッドに倒れ込む。
    メイリン「医務室に…」

    ああ、健康の心配をしてくれたのか?脳みそが半分焼き切れていてわからなかった。まあ、明日には全快するけど。

    アグネス「なんたって私は選ばれし者。コーディネーターの中でも…!」
    メイリン「わっ…」
    アグネス「あっと、ごめんね。メイリン。私は大丈夫。むしろ最高に今、気分が良いの。やっと一勝できたから」

    アスランとのしょうもないやり取りの後、申請して許可を得、消灯時間もぶっちぎり10時間連続で訓練した成果がようやく出たんだ。正直、いま最高にハイな気分よ。

    アグネス「メイリン。さっきからごめん。もし変なことを言ってしまったなら、私の本意ではないから。訓練で出た脳内物質のせい。就寝を邪魔してごめんね」
    メイリン「変なことなんて何も…。アグネスさん無理しないでね」
    アグネス「私はこれまでの人生で無理をしたことは一度もないわ。でも、気を付ける。ありがとう。おやすみ」
    メイリン「うん。おやすみなさい」

  • 120二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 17:31:32

    オーブ領、オノゴロ島
    オノゴロ管制官「オノゴロ、オートコントロール1より全ステーションに伝達。ズールアルファ、アライバルを確認。以後ズールアルファは誘導チャンネル―」

    レクリエーションルームで何時もの面々と時間を過ごす。メイリンはブリッジで忙しそうだ。
    シンは今日、営倉から出てくる。故郷に上陸できるようにと副長が気を配ったのだろう。ともあれ

    アグネス「ついに来たわね。オーブ領オノゴロ島!」
    ヨウラン「俺らはともかく、アグネスも初めてか」
    ヴィーノ「お父さんと来たことは?」
    アグネス「私は初めて…。父は」
    パパはどうだろう。対オーブ外交にそこまでかかわったことはないと思うけど。役職柄家族に話せないこともいっぱいある。
    アグネス「私はプラントでの知識以上は持ち合わせていないわ」
    ヴィーノ「そうなんだ。オーブか…。どんな国なんだろう」
    ヨウラン「招かれざる客…。なんて思われてなきゃいいけど」
    レイ「…」

    シンとアスハ代表の一件以降、クルーの『オーブ観』は微妙なものだ。

    ユウナ「カガリ!」
    カガリ「ユウナ!あ!」
    ユウナ「おお、よく無事で。はぁ、ほんとにもう君は心配したよ」
    カガリ「あぁ。いや…あの…すまなかった」

    アグネス「(気持ち悪い!怖気が走るわ。なにあれ、ああいう挨拶の風習なの?)」

    艦窓に立ち、退艦なされるアスハ代表を敬礼しながらお見送りしていると、突然、20代後半から30歳頃の首長服を着た男が代表に抱き着く。

    アグネス「(きもすぎ。他の出迎えの首長高官が同じ挨拶をしていないところを見ると、アイツが特に変なんだわ)」
    シンのことがあってとやかく言えないが、外交上しっかりしなければいけない場でこれとは。
    オーブという国の底は見えたかも。

  • 121二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 17:36:01

    中年の首長-あの人はウナト・エマ・セイラン宰相か―に窘められ、やっとアスハ代表を開放する。
    ということは、配置的に言うとキモ男はユウナ・ロマ・セイラン氏か。

    不敬なやつ。

    内心、主君を侮る分には構わない。身内しかいない場で鞘当て陰口、大いに結構。
    私だって黒判定されない、ギリ、グレーラインではこれまでの人生いろいろして来た。
    これからも、明確にアウトにならない範囲で好きにやるつもり。勝ち取るために。勝ち馬に乗るために。

    でも、こういった場でああいう振る舞いをするのは違う。

    ウナト宰相や艦長、副長のご挨拶が終わるや、ユウナは今度はアスランになんか言っている。
    こいつ脳みそに下半身が入っているの?それともそれで自分の優位性を示せているつもりなの?

    下半身で物を考えるのと脳みそまで下半身なのは違うわ。
    マイナスにしかならない、何ら自分の勝ちに貢献しない振る舞いを衆目の前で恥ずかしげもなく行うとは。きもすぎる。

    王配的存在を狙っているなら、なおのこと他国の前ではしっかりしないと。国家元首は国民の象徴なのに。
    まあ、うちの議長は愛人を最新鋭戦艦の艦長にしているんだけど。
    何にしても。

    アグネス「(さっさとボロを出して、失脚してくれないかしら。セイランは元々大西洋連邦よりだし。それがプラントのためになるわ!)」

  • 122二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 22:51:41

    姿勢を直してレクリエーションルームに向かう。アスハ代表を送り届け、アーモリーワン事変から始まる珍道中に一旦幕が引かれたことになる。

    アグネス「(少し気が抜けたかも。安堵感、達成感、脱力感。そして、寂しさ?人生の初の大ミッションが終わったため?)」

    それともあの二人、特にアスハ代表と離れることに寂寥感を覚えているのか。

    ナチュラルとコーディネーターの違いこそあれども、いや、その違いがワンクッション入ったことにより、『名家の娘同士』として彼女にある種の同情心を感じていたのか。ままならぬことも多い身の上を。

    アグネス「(詰まらない感傷。くだらない、らしくない、こんなキャラじゃない私は…)」

    アグネス・ギーベンラートは、家の都合に振り回されたりしない!自分の都合のために家を利用する。
    アグネス・ギーベンラートは父親の遺志に―仮にそれがどんなに高潔なものであったとしても―縛られたりしない。
    自分の意志のために父親をだしにする。

    アグネス・ギーベンラートは―アスハ代表の肩に手を回したユウナの嫌なにやけ面がチラつく。周囲の男達に自分のトロフィーを誇示するようなあのしぐさが―

    私は『自分が』政治家や財界人になり上がりたいの。誰かの政治の玩具になりたいわけじゃない!私は、『強く美しいアグネス・ギーベンラートが寵愛するに足る男(トロフィー)』が欲しいんだ。誰かを飾る女(トロフィー)になりたいわけじゃない!!!

    駆けこむ様にレクリエーションルームに入室した私を見て何時もの面々が驚く。
    シン、もう営倉出てたの?
    落ち着けマインドフルネス、マインドフルネス。笑顔笑顔

    アグネス「喉が渇いちゃったなあ~。ミネラルウォーターっと」
    ヴィーノ「あ~待って、おごるよ」
    アグネス「そんな~悪いわよ(いちいち言わんでいいから。自販機で買ってから持って来なさい。ジュース代1本くらいで恩着せがましい)」
    ヴィーノ「いいよ―。何時も作業手伝ってくれてるんだし」

    ヴィーノにおごらせたミネラルウォーター片手にニュースをつける。

    皆はニュースより久々の上陸の方が気なっているわね。久しぶりの上陸ならそれはそうね。

  • 123二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 23:04:22

    モニターのスイッチを入れると、港に入って通信環境が良くなったためか、情報が一気に入ってくる。

    アグネス「(地球各地の惨状、まあこれは良いわ。大体の被害範囲は把握したし、ジブラルタルとカーペンタリアは無傷だし)」

    被災者の女「許せない!どうしてこんな酷いことが出来るの!?」
    被災者の男「奴等は俺達を皆殺しにする気だったんだ!」
    被災者の老婆「息子が見つからないんです…わたしだけが残って…」
    被災者の男児「ママは?ねぇママは?」
    被災者の男「やっぱりそうなのさ。コーディネーターの連中は俺達のことをどうせ猿程度にしか思っちゃいないんだろうよ!」
    被災者の女「もう嫌!何もかも全てあいつらが悪いのよ!」
    被災者の男「プラントを倒せ!奴等に同じ思いを味あわせてやる!」
    被災者の男「青き清浄なる世界の為に!」
    被災者の女「そうよ!青き清浄なる世界の為に!」
    被災者の男「青き清浄なる世界の為に!」

    ニュースのあまりの惨状に驚いた連中が周囲に集まってくる。
    今まで自分達の作業で手一杯で事件の当事者のわりに当事者意識が欠落した精神状態だったのだろう。
    アグネス「もうテロだってばれている…。だから言ったのに。というかどこから」
    ヨウラン「さ、さあ」
    レイがチャンネルを切り替える
    レイ「大西洋連邦から、だそうだ」

    ユニウスセブンにジンがフレアモーターを設置している映像やユニウスセブン破砕作業を妨害しようとテロリストが飛び回る映像が映し出される。ご丁寧にザフトが粉砕作業をやっている映像やアビス、カオス、ガイアがそれを妨害するシーンは切り取られている。

    アグネス「こうなるから!」
    レイ「すんだことだ。気にしても仕方ない」
    アグネス「あんたバカ~?!正気なの!」
    ヴィーノ「まぁ。俺達が言ったところで」
    シン「…」

  • 124二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 23:07:04

    ニュースキャスター「大西洋連邦は今回の事態を受け、世界安全保障条約機構の結成を呼びかけ、すでに地球各国政府の加入手続きが進んでいます。ここオーブにおいてもカガリ・ユラ・アスハ代表の帰国を受けいよいよ本詰めの…」
    シン「はっ…」
    レイ「う…」
    アグネス「うっっそ」
    もうここは中立国じゃない。もはや準敵国一歩手前!
    急いで出港しないと。艦はまだ、カーペンタリアまでは行けるわ。

    ボコ!
    飲み干したペットボトルをゴミ箱にぶち込み。全力で駆けだす。
    副長を、とにかく直属の上司の副長に。
    シン「あっ…アグネス」
    レイ「あいつ…」
    シンとレイまで走ってついてきた。来ないでよ。ストーカー!

    艦内を探し、さらにドッグに駆け出す。副長…、どこに行った?!あああれは!

    タリア「ええそうね、まぁ船体の方はモルゲンレーテに任せて大丈夫でしょう。でも船内は全て貴方達でね」
    マッド・エイブス「ええ」

    艦長、副長それにマッド・エイブス!三人でのんきに!

    アグネス「うぉぉォォォォォ」
    レイ「アグネス待て!」
    シン「…」
    もう追ってこないでよ。

    タリア「資材や機器を貸してくれるということだから、ちょっと入念に頼むわ」
    アーサー「でもいいんですか?艦長。本当に」
    タリア「ん?」
    アーサー「補給はともかく、艦の修理などはカーペンタリアに入ってからの方がはよいのではないかと、自分は思いますが」

  • 125二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 23:09:48

    ダダダダッー

    アグネス「小官も副長に賛成です。いえ、補給も切り上げ、今すぐにでも出港準備を」
    タリア「えっ…」

    3人に突撃するように近づき副長、というか3人に声を張り上げる。
    タリア「アグネス?!」
    アグネス「副長!ニュースを!テロの件もう地球全土に知られています。世界安全保障条約のはぁはぁ、ことぉ。はぁはぁ」
    アーサー「ちょっと、アグネス落ち着きなさい。艦長の前だぞ」
    アグネス「世界安全保障条約にもうすぐオーブも。ここはもう準敵地です」

    息が切れる。コーディネーターの私が…。艦内を駆け回り、ドッグを走り回ってもうくたくたよ。
    艦長は、へとへとになった私となんか後をついてきたレイとシン。私達3人を何とも言えないような顔で眺め。

    タリア「言いたいことは解るけど、一応日誌にも残しましょうか?」

    アグネス「是非に!それはそうと今すぐ…」
    レイ「アグネス静かにしろ。申し訳ありません。艦長、アグネスは少し混乱しています」
    アグネス「私は冷静よ」
    シン「艦長。同盟条約ってどういうことです。オーブはもう…」
    アーサー「お前達!艦長すみません。ここは…」
    シン「オーブの理念だなんだって、全部嘘っぱちだったんだ。そんなもののために…」
    アーサー「シン!また営倉に逆戻りしたいのか?!」

  • 126二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 00:11:22

    作業車に乗ったモルゲンレーテ社員が近寄ってくる。作業着を着た逞しい男と痩せた、というかやつれた女性社員。
    横づけにされた車から女性社員の方が下りてくる。

    マリュー「あの…」

    心配そうにこちらを見る女性社員と一瞬目線が交差する。

    アグネス「(心労のせいか痩せているけど結構な美人ね、ナチュラルのわりには。雰囲気から察するに戦争未亡人。
    オーブ軍人の夫を失った妻といったところか、うん?)」

    タリア「誰?」
    マリュー「あぁ…失礼しました。モルゲンレーテ造船課Bのマリア・ベルネスです。こちらの作業を担当させていただきます」
    タリア 「…艦長のタリア・グラディスよ。よろしく」

    艦長は気づいてるのね。この女、元軍人よ。身のこなし方や歩調でわかる。オーブ軍人の夫を亡くし、現在はモルゲンレーテ社で働いている。退役軍人といったところか。

    アグネス「(でも、日系人や太平洋人種ではない。白人女性。大西洋連邦標準語の発話法に近い。というかまんま同じ。まあ、オーブにも大西洋連邦系の国民はいるのでしょうけど、気になるわね)」

    でも、それどころじゃない。
    アグネス「副長っ!」
    シン「艦長!」
    レイ「二人とも!いい加減にしろ」

    タリア「アーサー。3人をミネルバに。連続任務で精神疲労気味だから、ゆっくり休ませるように」
    アーサー「はいィ。さあ、アグネス、シン、レイ。こっちに…」

    仕方ない、止むを得ない、取り合えず。姿勢を正して敬礼。艦長とマッド・エイブス、マリアさんに。
    マリアさんが何か同情的な目線を送ってくれるがこの場では一文の得にもならない。

  • 127二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 00:15:05

    副長に半ば引っ張られるように私達三人は艦内に引き上げていく。
    アグネス「(荷馬車に揺られる子牛はこういう気持ちだったのね。菜食主義者大っ嫌いだけど)」

    もうおしまい。真の敵は後方にありとはよく言ったものね。無能な議長と愛人のコネで艦長になっただけの決断力のない女のせいで、私は敵地で死ぬのか…。機体が無いから戦うことも出来ずにみじめに。いや…。

    アグネス「(最悪、脱柵してやる。手漕ぎボートでも何でも借りて、それでも駄目なら泳いで!
    泳いででもカーペンタリアまで行く!何も難しいじゃない。現にそうやって海を越えて古代ポリネシア・メラネシア人は太平洋に広がったんじゃない!古代人に出来てコーディネーターの私に出来ないはずがないわ!!)」

  • 128二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 00:19:45

    このレスは削除されています

  • 129二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 06:13:41

    「うぉぉォォォォォ」で爆笑した
    まさかアグネスがリアクション芸人枠になろうとは

  • 130二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 07:32:16

    アグネス主役なんだからミネルバから降りても彼女の動きを追いかけるだけだと思いますが

    このSS面白いですね、ミネルバ組の動きを政治外交面から見れるアグネス
    スレ主さん頑張ってください!!

  • 131二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 11:30:24

    どんよりモードでレクリエーションルームに。何か疲れたわ。副長からゆっくり休めと言われたから休むしかないか…。

    メイリン「アグネスさん、シン、レイ」
    アグネス「メイリン。休憩時間?お疲れさま」
    二人一緒にソファーに座る。
    メイリン「ニュース見た」
    アグネス「それで?」

    メイリンの目を見る。利発そうな瞳に今は怯えの色が少し。
    メイリン「チャンネル、切り替えたくなった…」
    アグネス「切り替えればいいんじゃない?私も不愉快なニュースなら切り替えるわ。アカデミー在学中は時事問題がテストに出るから何種類も見ていたけど。もし、余裕のある配属先なら、腹立つニュースは速攻で変えていたかもね」

    アグネス「(今は変えないけど。でないと死ぬから…。それにアーモリーワンからオーブまで、ミネルバは時代の主役。自分の活躍が取り上げられるのは嬉しいし)」
    ヨウラン「上陸許可でるかな…」
    ヴィーノ「下りたらどんな目で見られるんだろ?オーブも被害、出たんだろう…。俺達、なんか夢中で来ちゃったけど。むっちゃくちゃだったもんなほんと。でも…」
    シン「上陸…出来んのかな?」
    レイ「さぁ?」
    メイリン「降りて、ザフト、もしだってばれたら…」
    女性軍人は特に敏感になっちゃうわよね。
    アグネス「危なそうな…。住民が憤っていそうな地域には立ち寄らないことね。この港の付近なら大丈夫でしょう」

  • 132二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 11:35:19

    部屋に帰って暫し、物思いに沈む。脱力感と無力感。らしくない。

    何とはなしにルナマリアの事を考える。月軌道艦隊も今頃大忙しだろう。

    月の地球軍宇宙部隊はまるごと無傷だ。やつらの宇宙における最大拠点アルザッヘル基地も。
    もし戦争が始まれば、連合軍宇宙艦隊主力とゴンドワナ率いるザフト月軌道艦隊は大激戦を展開することになるかも知れない。
    前大戦と違ってザフトにはボアズがない。一応、本国近くにメサイアは有るけど、虎の子を押し出すわけにもいかない。月に拠点を設ける権利はユニウス条約に明記されているが、月面基地建設まで手が回っていなかった。

    月軌道艦隊はプラント本土を守る最前線部隊だ。

    まあ、我らがミネルバはさらにそこから突出した最前線孤立部隊(一隻)だけど。

    アグネス「それはそれでいいな。手柄立て放題じゃない。あっちに配属されるのもありだったかも」
    後悔先に立たずとはこのことだ。

    それにこの艦にはホモと山猿とその他モブしか男がいない。副長はちょっとあれだし。
    アスランが少し前まで乗っていたけど、コミュニケーション能力があそこまで無いとは。

  • 133二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 21:46:28

    スレ主さん代わりに保守。 書き手の方はビジネスマンか自衛隊関係者か何かだったりしてね?

  • 134二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 23:22:55

    メイリン「アグネス・ギーベンラート。艦長室まで出頭してください」

    はっ。艦内放送。何で。

    メイリン「繰り返します。アグネス・ギーベンラート。艦長室まで出頭してください」

    アグネス「(メイリン。休憩上がったのね。とか言ってる場合じゃない!)」
    何で、どうして、さっきの件か!私を処罰しようと!何で…私は何も悪くない。

    慌てて通路を小走りしながら、頭に走馬灯じみた考えが過ぎる。
    職員室に呼び出される生徒ってこんな気分?でも今の私は学生じゃないし、ミネルバは学校じゃない。
    まして、艦長は校長先生じゃない。場合によっては、文字通りの意味の生殺与奪の権を部下に対して持っている恐ろしい存在だ。その故にこそ、古より『船長は船と共に沈む』が美談となっているわけで。

    アグネス「(モルゲンレーテ社員の前で恥をかかされたことを根に持っているんだわ。私は何も悪くないのに)」

    そもそも、この艦に議長が乗り込んできたのが、けちのつけはじめだったんだ。
    一国の代表が。それを咎めなかった艦長が一番悪い。
    盗まれたガンダムだって、あれは高性能でも所詮バッテリー機。どこまで行っても前線に大穴を開けられる程度の存在でしかない。前大戦のフリーダムやジャスティス、プロビデンスのような核搭載機とは性質が異なる。
    それを鼬ごっこのように。出撃を激押ししていたそうじゃない、あの女。
    アスハ代表の護送、あるいはユニウスセブン破砕作業どっちかに集中させてくれれば、また結果も違ったはず。

    アグネス「(私は悪くない、私は悪くない、私は悪くない)」
    ついに艦長室のドアの前だ。どんな処分が下されるのだろう…。
    上官侮辱罪。そんな!私よりもシンの方がずっとずっとやばいことやって来たじゃない!

    アグネス「失礼します。アグネス・ギーベンラート、只今出頭しました」

    艦長室に入ると、しかめっ面をした艦長と心配げな顔をした副長が。

  • 135二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 23:28:22

    タリア「何で呼ばれたか。分かってるわね」
    アグネス「はい」
    タリア「私は悪くない。といったところかしら?」
    アグネス「?!」
    アーサー「艦長それは…」
    タリア「アーサー。少し二人にしてもらえるかしら」
    アーサー「…」
    何か言いたげな、心配そうな視線を私に送りつつ副長が部屋から出ていく…。孤立無援。
    アグネス「(副長!いつも媚を売ってきたのはこういう時のためでしょう?見捨てないでよ)」
    シンやレイはどうしている?仲間の…同期生の危機じゃない。何で助けに来てくれないの?!
    このまま私がパワハラの餌食になったら、あんた等パパに飛ばされるわよ!

    タリア「少しは頭が冷えた?意地悪をして悪かったわね」
    艦長さっきまでの怖い顔をふっと緩めて改めて私の目を見つめてくる。うわっ、目尻キッツ。今から私は美容に気を付けよう。
    タリア「また、何か失礼なこと考えてない?」
    アグネス「いえ…そんな。先程は他国の方々の目前で恥ずべき行いをし、誠に申し訳ありませんでした。
    艦長と本艦、ひいてはザフト、プラントの品位を傷つけかねない無配慮な振る舞いであったと深く自省しています」
    タリア「よろしい」

    これで拳を下ろせるということか。同性同士の上下関係は異性相手の上下関係より、ずっと複雑で面倒くさい。男の教官は騙せても女の教官は騙せない、そういうことはこれまでもあった。

    タリア「貴女の物分かりが良くて助かった」
    アグネス「?」
    タリア「もし私から貴方を叱責すれば、アーサーの顔を潰すことになる。『自分の早期出港提案に賛意を示したがゆえに部下の女の子が処罰を受けた』、そうなればもう副長は艦長の私を信用しなくなる。副長が私を疑うならもう艦は動かないわ」

    艦長はお手上げのジェスチャーをする。
    タリア「貴女。そう言うのうまいのね。一線を―『言い訳のつくライン』―を絶対踏み越えない」

    どう返答するべきなの…このまま小言を聞くべき?

  • 136二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 00:05:03

    艦長が表情を改める。

    タリア「明日、21時に本艦は出港します。既にアスハ代表ご本人とモルゲンレーテ社、港湾関係者には通告ずみ。艦の補給と修理は必要最小限に。インパルス、ザクファントム、ゲイツR、大気圏突破で中破したザクウォーリアの修理メンテナンスは最優先事項。船員の上陸許可は明日日没まで。そっちは副長が今、皆に伝えてるわ」

    アグネス「どうして?」
    タリア「あら、喜ばないのね」
    アグネス「いえ…ありがとうございます」
    タリア「私としても副長の言葉を一考しないわけにはいかないから。それに『黒に挟まれた駒はひっくり返って黒になる。脱出しろ。そうなる前に』と」
    アグネス「?」
    タリア「あなた達3人が大騒ぎしながらドック内を走ったせいで、老虎があの後ひょっこり現れたわ。べルネスさんの隣に。矍鑠とされていたけれどね。直接お会いするのは私も初めてでびっくりしたけど」

    艦長は僅かに、一期一会の出会いを愛おしむような表情を浮かべる。マリアさんと出会えたことに。よほど気が合ったのかしら。

    タリア「アグネス。私達も今は、今思って信じたことをするしかない。私も貴女も。貴女が私に思うところがあるのも知っている。でも私は貴女を頼りにしている」
    アグネス「私は艦長を深く信頼し、生死を共にする覚悟ですが、お言葉、痛み入ります」

    言うだけ言っとけ、向こうもそうでしょう。
    タリア「また、それ。ばれてるわよ」
    アグネス「(ギクッ!やっぱり女同士はシビアだわ)」
    タリア「建前抜きでね、本当に頼りにしているのよ。レイとシンを抑えられるのは今、この艦にあなたしかいないから。同期生として『男子のやんちゃ』を諫められる女子は」

    ああ、なるほど。あの問題児二人のけんせい役を期待されているのか。

  • 137二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 00:09:17

    レイは優等生面して我が強い。その上、議長の実質的養子。
    正面から殴り飛ばすわけにはいかない。でも『お偉いさんの娘』で同期生の私なら話は別。
    シンはアカデミーにいた頃から私にビビってた(?)と云うか苦手に思われていた(?)し。
    まあ眼中になかったけど。あんな落ちこぼれ。でも確かに、あいつは今でも、私に対して一抹の遠慮というか距離感みたいなものがある。
    まあ、同期の異性に強圧的に出れるほどの度胸はあの山猿にはないでしょ。立場が上の人間(教官や上官、アスハ代表)には噛み付けても、立場が弱い人間や女の子相手には遠慮しちゃうピュアピュアボーイですもんね。

    アグネス「ご期待に沿えるよう努力します。カーペンタリアに無事到着するまで一時も気を抜きません」
    タリア「よろしい。下がりなさい」
    敬礼 退出。さあて。
    モビルスーツデッキに急がないと。
    艦長が整備する気になってくれるなら、アスランが乗っていた緑ザクを全力でメンテしないと。内部動作系もスラスターもまだ、一応生きていた。片腕を付けて、他の周りも可能な限り、整えて。
    カーペンタリアまでの一戦が出来れば良いから。何もなく到着がベストだけど。

  • 138二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 09:39:18

    メイリン「あ、アグネスさん。おかえりなさい!」
    アグネス「ただいま。メイリン」

    ザクのメンテナンスにやっと一区切りがついたので部屋に帰る。ヴィーノやヨウラン達に混じって全力だ。明日起きたら、続きをしなければ。思ったよりも状態が良い。大気圏突入まで小破ですんでいたこと、アスランの操縦技術に感謝ね。整備兵達もどことなく不穏な空気は察しているようで、各モビルスーツの整備に余念がない。レイやシンは対ウィンダム想定のシュミレーション訓練をしていた。私も時間を見つけて、出港までに訓練しとかないと。

    メイリン「アグネスさん、大丈夫だった?」
    心配そうに声をかけてくれる。艦長からの呼び出しの事か。
    アグネス「大丈夫。セーフ」
    メイリン「良かった。皆、心配してましたよ。副長も、勿論、私も」
    アグネス「まあ、今回のことは、私にも原因があると言えなくもないような気がしなくもないからね」
    大体、1000対1で。勿論、私が1。
    アグネスさんは「明日どうしますか?」
    上陸するのか、ということか。
    アグネス「ザクのメンテが最優先。作業、手伝える範囲は手伝わないと。上陸はその時考えるわ」
    アグネス「メイリンは、上陸するなら、ヴィーノやヨウランとタイミングを合わせていくといいわ。何かあった時のために男性軍人と一緒に行動した方が良い。あんたも弱いわけではないけど、念のためね。二人とも休憩時間に上陸自体はするみたいだから」
    メイリン「ありがとうございます!いろいろ、思うところはあるけど、せっかく来たし、少しは。地面に足を付けてみたいし」
    アグネス「地球の土を踏むの初体験だものね」

    さて、さっさと寝て明日に備えましょうか。
    アグネス「おやすみ。メイリン」
    メイリン「おやすみなさい。アグネスさん」

    微睡に墜ちながら、ふと艦長の言葉が思い出される。『老虎』って誰の事だろう?私達にとって虎といえば『砂漠の虎』ことアンドリュー・バルドフェルド隊長がまず想像されるけど。ヤキンの後、行く先としたら、オーブかスカンディナヴィア王国だろうし。それなら、マリアさんは―

    取り留めのない考えが浮かんでは消え、気が付いたら眠りの底に落ちていた。

  • 139二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 16:05:09

    ルナをdisるつもりはないが、アスラン復隊辺りまで戦闘以外ほとんどまともな出番がなかったのを思うと自由に動き回るアグネスのおかげでだいぶ変わるなってなる

  • 140二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 17:03:29

    自機ならまだしも何手伝えるんだろ?

  • 141二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 22:48:14

    アグネス「やった!終わったぁぁ。皆お疲れさま。ありがとう」
    整備兵達「お疲れさま。出港に間に合ったな」

    早朝からの緑ザクの整備、合間の対ウィンダム・シュミレーション訓練、パイロット搭乗許可の申請と発行-というかこのザク、もとはアーモリーワンにあった機体をアスランが緊急徴発したものよね。なし崩し的にミネルバが管理しているけど。戦時の混乱ではよくあることってやつかしら―

    アグネス「ともかく終わった。緑ザク君、短い付き合いだろうけどよろしく」
    ゲイツRはショーンとデイルの当番制。一応、副長にはもうゲイツRは戦場について行けない旨、上申したが、やんわり流されてしまった。まあ、カーペンタリアまで置き砲台としては使えるか。別に置き砲台ならザウートでも良いんだけど。

    アグネス「(もう、16時を回っているわ。上陸して色々回る時間はない)」
    オーブは興味深い国であり、また、『オーブ開放戦』の戦史研究的な興味もあったのだけど。
    日本文化と南洋太平洋文化が織りなすエキゾチックな雰囲気もこんな状況でなければ楽しめただろうに。

    アグネス「(パパに何かお土産買ってくか)」
    艦のタラップを降りるとレンタカーがこちらに向かってくる。

    ヴィーノ「アグネス。お疲れ。今から上陸?」
    メイリン「お疲れさまです」
    ヨウラン「もうそんなに時間が残ってないぞ」
    アグネス「メイリン、ヴィーノ、ヨウラン楽しんできた?私はそうね、何処か一箇所ぐらい訪れようと思っていたのだけど」
    ヴィーノ「どこに行くか決めてるなら、送って行こうか?なあ?」
    メイリン「是非」
    ヨウラン「たまにはいいんじない」

    この面子か…。2軍と一緒に行動ねぇ。まあいいか。

    アグネス「ありがとう。…。じゃあ、オノゴロ島イザナギ海岸まで」
    メイリン「イザナギ海岸…」
    ヴィーノ「うん?」
    ヨウラン「おいそこって…」
    アグネス「国立慰霊公園に。この国に立ち寄った者として、あの地に散った命にせめてもの哀悼の意を表したいの(あそこでカラミティガンダムとフリーダムの戦闘が行われたのよね!一度見学したかったのよ!)」

  • 142二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 22:52:32

    オノゴロ島自体にもが興味ある。オーブの国防本部やモルゲンレーテ社本社があの島にはある。
    立ち入り制限区域が多いけど国立慰霊公園なら外国人の私でも入れるわ。
    同盟条約にオーブが加われば、あるいは私達ザフトが『イザナギ海岸上陸作戦』をする可能性もある。
    現地地理を把握しておきたい。

    ヴィーノ「わかった。急ごう」
    神妙な顔をしたヴィーノの気持ちのこもった丁寧な高速運転で私達はイザナギ海岸に向かう。

    メイリン「でも、慰霊公園と私達が入港した港。案外近いんですね」
    アグネス「それでも、そこそこの距離だけどね」
    ヨウラン「プラントで手に入る資料だと結構、情報が錯綜していたからな。オーブ本島とオノゴロ島は別々だと書いてあるものから、本島とオノゴロ島が一緒であるとするものまで。アカデミーの資料集内にさえ矛盾した記述。勘弁してくれよ」
    アグネス「取り合えず、ここではオーブ本島はヤラファス島。オノゴロ島はそのすぐ南にあって、橋とトンネルで繋がっている。まあ、どっちの記述も間違っているわけではないわね」
    ヴィーノ「本島北島・南島ってとこかな。あ…見えて来た」

    アグネス「(この地理だと守備側は、水際作戦をするよりは引き込んだ方が良いのか?でも、それだと政府機関等が危険になるかも)」

    それ以前に空中戦になる。上陸作戦をやるなら、攻める側としては、制空権を確保したい。
    空戦モビルスーツを全部叩き落してから行くべきだけど、オーブはその点進んでいるのよね。
    というかザフトがもっと大気圏内飛行能力がある主力機体の開発に力をいれないから。
    グゥルがないとザク、空飛べないじゃない!

  • 143二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 22:56:58

    ヴィーノ「うん…?あれはシン」
    ヨウラン「え…。じゃあここがあいつの…」

    シンが慰霊公園に佇んでいる。なるほどここがあいつの家族が吹き飛んだ場所なのね。

    アグネス「(おうおう。『悲しき過去を持つ主人公』顔してますねぇ。PTSDが再発しちゃいましたか。無理しないで退職して良いのよぉ。って良くないわ!今のタイミングで抜けられたら戦力減で私達皆サメの餌よ!)」

    インパルスも今渡されても完熟訓練する間もない。
    というか半ば敵地のど真ん中でパイロットが一人でも欠けるのは致命的…。

    メイリン「シン…」
    4人で静かに歩み寄り、シンの呼吸が整うのを待ってメイリンが声をかける。
    振り向いたシンは私達を見て軽く驚く。
    シン「メイリン、ヴィーノ、ヨウラン、アグネス…」
    ヨウラン「ごめん。邪魔するつもりは…」
    シン「いいよ…。でも何で?」
    アグネス「あんたを迎えに来たのよ。そういうことよね、皆?」

    3人が首肯する。
    まあ、こういう時くらいは雰囲気読んであげるか。こいつに今死なれるとこっちが迷惑だし。
    シン「ありがとう…。嬉しいよ。あ…でも俺バイクで来たから」
    ヨウラン「帰艦時刻に遅れるなよ。って俺らもか」

    空が夕焼けに染まり、闇がどんどん迫っている。

    トリィ「トリィ!」
    アグネス「うわ…。鳥型ロボット。鳥型で鳴き声が日本語でトリ。センスゼロね」

  • 144二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 22:59:08

    慰霊碑の前にまるで拘束具のようなセンスゼロの私服を着た青年が立って居た。深い愁いを帯びた顔が振り向く。
    アグネス「(なかなかの美形ね。この服装は何かの罰ゲームなのかしら)」
    シン「慰霊碑…ですか?」
    キラ「うん。そうみたいだね。よくは知らないんだ。僕もここへは初めてだから。自分でちゃんと来るのは…」

    どこからともなく聞き覚えのある歌声が聞こえる。
    アグネス「(この声…)」

    キラ「せっかく花が咲いたのに、波を被ったからまた枯れちゃうね」
    シン「誤魔化せないって事かも」
    キラ「ん?」
    シン「いくら綺麗に花が咲いても、人はまた吹き飛ばす…」
    キラ「君…?」
    歌声と共に一人の女性が岸辺から慰霊碑の、拘束具の青年の側に歩み寄ってくる。

    シン「すいません。変なこと言って」

    花束を片手に、まるで完璧に計算されたかのようなタイミングと角度でその女が、ピンクの長髪をたなびかせながら。あの顔、忘れもしない、しかし、まさかここで?!

    アグネス「ラクス・クライン…」
    ラクス「…、アグネスさん?」
    ヴィーノ「えっ…」
    ヨウラン「はっ…?」
    メイリン「何で?」
    シン「?」

    キラ「ラクス…、」
    慌てて拘束具の青年がラクス・クラインの前に立ちふさがる。

  • 145二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 23:02:32

    ラクス「キラ。大丈夫ですわ。こちらはアグネス・ギーベンラートさん」
    青年の心を落ち着かせ守ろうとする、優しく、しかし力のこもった声。

    アグネス「驚かせてしまい申し訳ありません。お隣の方、初めまして。
    小官は、ご紹介された通りプラント、ザフト軍所属アグネス・ギーベンラートです。
    ラクス様とはホームパーティーなどで幾度か…。
    ここオーブには任務でアスハ代表閣下をお送りに。
    本日は慰霊のためこの浜辺に参りました。ラクス様、その後、ご健勝で?」

    ヤキンの後、この人はどうしていたのか、私も世間も良く知らない。パパはどうなんだろう?
    私は中立国か、3隻同盟の縁でオーブか、はたまた、クライン派とつながりを保ちながらプラントに住んでいると思っていた。
    アグネス「(オーブで正解か)」
    ラクス「はい。周囲の皆様のおかげで。マルキオ導師の孤児院に。…。その後こちらに避難を。」
    アグネス「ご無事で何よりです」

    表情を見る限り、孤児院の人達にも死人は出なかったようね。
    社会貢献活動で『陰徳』を積みつつ、効果的な再登場の時機を待っていたの?
    アグネス「(腹黒い女)」

    帰還時刻が迫っている。ここに長居するわけにもいかない。
    何時もの面々とシンが豆鉄砲を喰らったような顔をするなか、慰霊碑に黙とうすると周りもそれに合わせてくる。

    何を心で思えばいいのか?決まっている勝利を!
    死んでから高価な慰霊碑を立ててもらうより、生きているうちに勲章が欲しい!
    あと、私が立てて欲しいのは慰霊碑ではなく顕彰碑!!

    シン「…」
    シンとアイコンタクトをとる。そろそろか。
    アグネス「それでは、小官たちは失礼します。ラクス様、キラ・ヤマトさん」
    拘束具の青年が肩を震わせる。やっぱりね。

  • 146二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 23:05:24

    キラの服装を罰ゲームは草

  • 147二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 23:06:12

    帰り道、シンはバイク。私達はレンタカー。

    ヴィーノ「うわぁ。遅れたらどうしよう」
    メイリン「ナビゲーションによると間に合いますよ。それに多少遅れても出港時間には」
    ヨウラン「その『多少』がやばいんだって。上官に…」
    アグネス「(保安要員にもいつも媚を売ってるから、数分くらいの遅刻なら目を瞑ってくれるでしょ)」

    ラジオニュース「き、緊急ニュースです。先ほど大西洋連邦、ならびにユーラシアをはじめとする連合国は、以下の要求が受け入れられない場合は、プラントを地球人類に対する極めて悪質な敵性国家とし、これを武力を以て排除するも辞さないとの共同声明を出しました」

    アグネス「早い!」
    メイリン「もう!」
    ヨウラン「う、…」
    ヴィーノ「うっそだろ、これって」

    ラジオニュース「主な要求内容としては、①ユニウスセブン落下テログループの逮捕と引き渡し、②賠償金の支払い、③プラントの武装解除、④現ディランダル政権の解体、⑤連合理事国の最高評議会監視員派遣の受け入れ、の5項目となります。一部の情報筋ではすでに連合宇宙軍が…」
    アグネス「事実上の最後通牒。いや、ほぼ宣戦布告!ヴィーノ飛ばして!」
    ヴィーノ「わかった!!」

    出港を早めてもらって、やっぱり正解だったわ。でも早い、早すぎる。世界の流れが。
    時代の転換点ってこういうものなの?

  • 148二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 10:13:49

    そりゃ戦後に来たシンはともかくプラント育ちが4人もいたら絶対ラクスに気づくよなぁ!
    しかもアスランと直接面識あるようなアグネスなら尚更…

  • 149二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 10:20:52

    もしもし議長?もう間もなくミーアを表舞台に出すタイミングだと思うけど大丈夫?

    本来はミーアにコロッと騙されるヨウランとヴィーノの反応も楽しみとして、よりにもよってアグネスとメイリンに知られましたけど

  • 150二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 10:49:40

    ミネルバに戻り、レクリエーションルームに。案の定、というか当然、皆、連合の最後通牒について激論を交わしている。もう開戦まで、カウントダウンは始まっている。

    しかもここで新たな爆弾が―
    ミネルバモブクルー達「ラクス様が!?フリーダムのパイロットと一緒にオーブに。確かなのか」
    ヴィーノ「本当、本当だって…。アグネスが。直接会ったことあるって…」

    周囲の視線が私に集まる。
    注目されるのは大好きだけど、これは厄ネタだったかも…。でも、ヨウランやメイリンそれにシンも、もう話しちゃってるかも知れないし。

    アグネス「ご本人よ」

    むしろ、ここまで来たら皆に知らせておいた方が良いでしょう。彼らがオーブの(というかアスハ代表の)庇護下にいることが、もし『知ってはいけないこと』なら、自分一人で抱え込んでおくのはかえって危険。リスクは分散させとかないと。流石にあの『公正無私のラクス・クライン』様様が直接口封じを図るとは思えないけど、自分のブランドに傷がつくし。でも、その意を勝手に忖度する輩が居るかも知れないしね。

    アグネス「ご高名なマルキオ導師が運営する孤児院をご援助なされていたそうよ。そこが今回の事件の被害を受けて今はオノゴロ島に」
    ヨウラン「本当、御無事でよかったよ。でも、そうか…、身寄りのない子供たちを助けてたのか…」

    まあ、あの人の空白期間が分かったことと、私達の危機はまた別の話。

    アグネス「アスハ代表の保護と、側にキラ・ヤマト氏がいらっしゃるなら、ラクス様は取り合えず、安心して良いはず…。今は私達自身のことに集中しましょう」

    ここでラクス様再登板からのクライン派内紛とかワンチャン起こらないかな?
    いや、今、この時点で起こるとプラントとわが身が危ないかも。議長とクライン派には破滅して欲しいところであるけど。

  • 151二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 10:54:18

    自室に戻る途中、レイにばったり遭遇。
    レイ「…」
    何かめっちゃ睨んで来る!殺気さえこもってる。何?なんで。
    アグネス「何よ!?私があんたに何かした?」
    レイ「…いや」
    アグネス「じゃあ何で睨むのよ!」
    レイ「不確定な情報を艦内に流布するな」

    不確定な情報…。ああラクス・クラインの事か。どいつもこいつもラクス様ラクス様…。何とかしてよ、もう。

    アグネス「確定情報よ。というか私自身から広めたわけじゃないし。あんたまでラクス様に気が向いちゃうの?どうかしてるんじゃない?!もうすぐ開戦よ。この艦だってカーペンタリアまで無事かわかんないのよ。よそ事に気を取られてるのはアンタの方よ!」
    レイ「…。確かにな」

    そのまま通路をすれ違う。腹立つわね。

    艦長「定刻。本艦はこれよりオーブ連合首長国オロファト港を出港。最短ルートでカーペンタリア基地へ進路をとる。現在、プラント・連合双方の情勢は非常に緊迫している。万一、連合が宣戦布告した場合、航海中戦闘が発生することも十分予見される。各員奮起を。手隙要因は甲板へ。空は暗くとも温かく本艦を迎えてくれたオーブに最後の挨拶を」

    艦内放送を聞き、私もレイもその他も、甲板に皆でダッシュ!
    対岸にはモルゲンレーテ社員の人達とアスハ代表?!来てくれたのね。少しだけ嬉しい。
    でも、政治的に大丈夫?あとでセイラン派にいびられない?というかアスランは?また単独行動しているの…。

    副長「総員整列 気を付け 敬礼」
    代表の返礼が遠くからハッキリと見える。こういう時はコーディネーターの視力に感謝ね。
    副長「直れ」

    暗闇の中、オーブが遠ざかっていく。慌ただしい、本当に一瞬のオーブ滞在が終わった。
    後は宣戦布告がいつになるか…。普通は10日か7日、どんなに早くとも3日は有るはずだけど。

  • 152二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 15:29:57

    ほしゅ

  • 153二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 16:31:23

    キラの名前ってこの時点のザフトでそんな知られてるっけ?
    公式で名前残りそうなのってパトリックが握りつぶした『ストライクのパイロットはコーディネイターです』ってアスランやクルーゼからの報告書くらいじゃない?

    オーブ国内やジャンク屋方面ならまぁ…って思うけど

  • 154二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 17:07:30

    >>153

    キラ・ヤマトって名前が知られるようになったの種運命だと中盤くらいでこの時点だとフリーダムのパイロットくらいじゃないか?

  • 155二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 20:52:16

    メイリン「コンディションイエロー発令、コンディションイエロー発令。パイロットは直ちにブリーフィングルームへ集合して下さい」

    アグネス「はっ!!」
    アイマスクを外して立ち上がる。制服を脱いでなくてよかった。
    アグネス「(ダッシュ!シャワー浴びる暇もない)」

    ブリーフィングルームには副長、レイ、私に、やや遅れてシンとショーン、デイルが入室。
    副長「皆集まったな。現在ミネルバはオーブの接続水域を抜けたところであるが…」
    モニターに艦影が…多数!
    アグネス「あれは…」
    レイ「相手は網を張り始めていた、ということですね」
    シン「…」
    副長「ああ、網が張り終わる前で良かった。現在、本艦は連合軍艦隊の追尾を受けている。あちらの陣容はスペングラー級空母4、ダニロフ級イージス艦8、他にも10隻ほどの中小艦艇を確認」

    デイル「22隻って。正気ですか?」
    ショーン「しかも空母4隻って。1隻辺りモビルスーツ10機でも40機、30機なら120機、もしそれ以上なら…」

    小学生みたいな計算してどうすんのよ。でも、本当に最悪の想定をするなら100機以上のダガーやウィンダムの相手をしなければいけないことになるわね。スペングラー級の最大スペックが分からないし。

    アグネス「離水して振り切れませんか?宣戦布告と同時に撃沈なんてことになっては」
    副長「艦長も当初はそのつもりであったが、艦の飛行機能に不具合が生じている。幸いにも海上航行能力に問題はない。最大船速で連合艦艇の振り切る。各パイロットはこれから順番に休憩を取りつつ、24時間警戒態勢を持続せよ」

    レイ、シン、デイル、ショーン「はっ!」
    アグネス「はい!」

    宣戦布告前だから、こちらから手出しは出来ない。とは言え、布告後に正々堂々、よーいドンをすればこちらが圧倒的不利になる。それも相手が奇襲攻撃の決意を固めなければの話…。

  • 156二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 20:56:13

    シン「オーブが本気で…俺達を…」

    何かまたシンがPTSDの発作起こしかけている。このタイミングで勘弁してよ!
    慰霊碑訪問で一区切りつけたんじゃないの!
    そりゃセイランは連邦に告げ口するに決まっているでしょ。宰相があんなんでは。
    それでも領海を抜け、接続水域を超えここまでこれたのは、わ・た・し・の献策と、艦長の決断と、何よりアスハ代表のご厚意によるもの。

    アグネス「シン…。いい加減にして」
    シン「…」
    アグネス「今、こちらに向かってきている艦隊は連合。オーブじゃない。連合に内通したのはセイラン派でアスハ家も他のオーブ国民も無関係。あんたの足りない脳みそでもそんぐらいわかってるでしょ!」
    シン「…。分かってるよ…。でも」
    アグネス「でもじゃない!空母4隻、目の前にきてんの!しっかりしてよ!」
    シン「わかってる…わかってるさ」

    ダメだ、こりゃ。テストパイロットの選抜で採点官は『最大瞬間風速』だけでこいつを選んだに違いない。
    パイロットは、安定性も不可欠なのに。火事場の馬鹿力だけを過大評価するから。

    レイ「アグネス」
    アグネス「何よ!」
    レイ「その辺にしておけ。順番表に従って休みを取ろう」
    アグネス「それ、私が言おうとしたの、今」

    自分の待機時間が終わりようやく自室に。あっ、シャワー、まあいいか、少しでも脳を休ませないと…。

    メイリン「アグネスさん、おかえりなさい」
    アグネス「メイリン、おつかれ。あんたも一時休憩?」
    メイリン「はい」

    同室の女の子同士休めるよう、せめてもの気遣いか?正直今はありがたい。

  • 157二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 21:00:57

     たとえ自己保身に基づくものであろうとも、メイリンやカガリに向ける態度が少し柔らかいのがおもしろくてたまらん 

  • 158二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 21:01:16

    アグネス「まだあいつら、追いかけてくる」
    メイリン「はい。低速艦を切り離してスペングラー級とダニロフ級12隻だけになってまで」
    アグネス「でも、ミネルバも情けないわね。もっと速度出せるんじゃなかったの?一度は振り切ったわよね?」
    メイリン「艦が本調子ではなくて、あとから足回りにも」

    結果論だけど、オーブでしっかり船体修理をしようとしていた艦長の考えも一理あったわけか。まあ、一理あったとしても、ほっとけば22隻以上の艦隊に出口を塞がれ、オーブの条約加盟と同時に武装解除するはめになったんだけど。

    アグネス「(私は間違ってなかったわ)」
    その確信が持てたところで。

    アグネス「じゃあメイリンお休み。全力で休むわよ」
    メイリン「はい。アグネスさんおやすみなさい」

    アグネス「まだ、追いかけてくる…。もうすぐ15時よ…」
    レイ「…」
    ブリーフィングルームのモニターにはまだミネルバを追いかけまわす12隻の艦隊…
    シン「…」
    ショーン「…」
    イエロー、警戒態勢が20時間以上続き、皆参ってきているみたいだ。
    まあ、私は並の人間ではないけど。

    モニターの右画面に緊急国際ニュース!!
    大西洋連邦大統領コープランド「これより私は、全世界の皆さんに非常に重大かつ残念な事態をお伝えせねばなりません」
    アグネス「っ!」
    レイ「…」
    シン「そんな…」
    ショーン「う…」
    メイリン「コンディションレッド発令。コンディションレッド発令。パイロットは搭乗機にて待機せよ」

  • 159二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 21:07:45

    大西洋連邦大統領コープランド「…が、未だ納得できる回答すら得られず、この未曾有のテロ行為を行った犯人グループを匿い続ける現プラント政権は、我々にとっては明かな脅威であります。よって先の警告通り、地球連合各国は本日午前0時を以て、武力によるこれの排除を行うことをプラント現政権に対し通告しました」

    ザクのコクピット内にコープランドのやる気なさそうな演説が流れ続ける。

    アグネス「(覇気がないわね。やる気がないなら辞めればぁ。もうほんと)」
    見るからに『僕、ブルーコスモスの傀儡です』顔の大統領。
    まあ、こんなアホ面に果断な戦時判断は出来ないでしょう。
    何にしてもこれで、あの忌々しいユニウス条約は無効ね。奴らから破棄したのだから。
    これでミレージュコロイド、核搭載機作り放題!そして今回こそ連合に完全勝利して…

    アグネス「(領土割譲に賠償金ゲット。むしり取ってやるわ!)」

    最低でも、まずプラント不利な通商協定の完全撤廃。スカンディナヴィア王国・オーブ連合首長国の永世中立の保障、プラントの軍備制限の撤廃、地球側の核兵器所持禁止。
    東シベリアとアラスカ、グリーンランドと南極大陸の割譲。連合指導者を含む戦犯(連合側限定)の国際法廷への訴追。
    ケープタウンとスエズ、ボスポラス=ダーダネルス海峡、シンガポール、カレー、台湾高雄、ソマリア周辺地域の永久租借。
    ミシシッピ川・ナイル川・ドナウ川・ライン川・長江・黄河・メコン川・イラワジ川・ガンジス川・インダス川の無制限航行権。
    カーマン・ラインより上空の全ての領土の放棄と宇宙軍保有永久禁止、自衛を目的とした最小限度以上の軍備保有禁止、財閥解体。
    ブルーコスモスを支持する団体に所属した人物の財産の一部ないし全部の差し押さえと没収、反コーディネイター的言動を取り締まる実刑を伴う反ヘイト法の制定、反プラント的報道を取り締まる自主規制。
    アグネス「(あとそれからそれから、賠償金、超天文学的に!!)」

  • 160二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 21:11:55

    メイリン「本艦を追尾する連合艦隊空母からモビルスーツ発進シークエンスの着手を確認、本艦はこれを全力で迎撃します。ザクとゲイツRは甲板から上空のモビルスーツを狙撃してください。
    インパルスは艦から離れすぎることの無いように」

    メイリン「カタパルト推力正常。針路クリアー。コアスプレイダー発進どうぞ!」
    シン「シン・アスカ、コアスプレイダー、行きます!」
    メイリン「ザク、レイ・ザ・バレル機発進スタンバイ。全システムオンライン。発進シークエンスを開始します」
    レイ「レイ・ザ・バレル、ザク、発進する!」
    メイリン「アグネス機発進スタンバイ。ウィザードはガナーを装備します」
    アグネス「(ブレイズを頼むか相当迷ったのよね。でもレイがブレイズなら私がガナーにするしかないか、『狙撃』が命令と考えると)」
    アグネス「アグネス・ギーベンラート、ザク、出ます!」
    メイリン「続いてショーン機スタンバイ―」

    甲板をザクで踏みしめる…って軽い!大気圏内想定訓練ではもっと重かったのに。
    左舷のレイから通信。

    レイ「アグネス。落ちても拾ってはやれない…」

    あっそ、分かり切ったことを。
    アグネス「はっ!そこは嘘でも『死体になっても俺はお前を見捨てない』でしょう!情操教育やり直したら!」

    右舷は私とショーンのゲイツR。なんか艦長、私にゲイツRのお守り押し付けてない?!

  • 161二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 23:31:59

    アグネス「ウィンダム及びダガー目視 13小隊39機!」

    高エネルギー長射程ビーム砲 発射!
    アグネス「命中! 次 命中!」

    次々と空母から上がってくる。これは冗談抜きで100機前後いるのでは?
    インパルスがビームサーベルで2機を切り飛ばすのを視認!
    『雲霞の如き敵』なんて表現は文学的すぎると思っていた。

    アグネス「今日まではね!命中!」
    これで私の撃墜カウントは5.5。エースパイロットの仲間入りだ!!

    ダニロフ級の攻撃が海面を叩きいくつもの大きな水柱が上がる。

    アグネス「(!ミネルバのイゾルデとパルジファルで早くも2隻撃沈!すごい)」
    12隻が10隻に。あっと言う間。これは案外行けそうね。

    ウィンダムが艦に急接近し始める。
    アグネス「ショーン。ビームライフルとレールガンで撃ちまくって」

    オルトロスをビーム突撃銃に持ち換えるべきか、いや
    アグネス「まだ、命中!もう一機 命中」カウント7.5。
    左舷のレイが発射した誘導ミサイルが一度に複数の敵機を撃ち落とす。

    アグネス「(いいなブレイズ。はっ、というかシン、この状況ならブラストシルエットに換装するべきでは)」
    アグネス「インパルス!」
    シン「アグネスなんだ?!」
    ウィンダムを立て続けに2機墜としつつ、シンが答える。
    アグネス「あんた、今ブラストにするべきじゃないの?」
    シン「!!メイリン!ブラストシルエットを!」

  • 162二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 23:38:25

    思い切りが良いじゃない!

    アグネス「レイ!ショーン!シルエット換装の間を繋ぐわよ」
    言うまでもないか。レイがものすごい勢いで弾幕張張り始めたし。

    私がウィンダムを落とし、撃墜カウントを10.5に進めた時。シンのシルエット換装が終了。

    これは王手ね。

    上空ではブラストインパルスが火力を全力投射しウィンダムやダガーをカトンボみたいに落とし続けている。
    高エネルギー長射程ビーム砲とレール砲が一度に広範囲、複数機を薙ぎ払い、それを掻い潜った連中を今度はミサイルランチャーが襲う。さらにそれを掻い潜っても―

    アグネス「はい。命中!」17.5機目。
    もう他人の分まで数えてられないがレイもショーンも撃墜カウント鰻登りでしょう!
    ヘロヘロに成りながら迫って来た敵機は私達に撃たれ、それを何とか避けてもミネルバ本体に迎撃される。
    こいつ等死にに来たの?!
    アグネス「(いや…私に手柄を上げさせに来てくれたのね)」私の勲章の錆にしてあげるわ。

    アグネス「うん?う…なにあの甲殻類みたいなの?!」
    敵空母から大型のというか特大の、目すん50メートル近いモビルアーマーが発進。

    アグネス「(ミネルバがタンホイザー起動…?あのカニごと艦隊を薙ぎ払うのね!)」

    慎重居士と思えばあの艦長やるわね。陽電子砲をここで撃つとは。
    確か前大戦の浮沈艦アークエンジェル―その戦歴には諸説ある―は環境汚染を恐れて戦況不利でも大気圏内では決して撃たなかったのよね。それを―

  • 163二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 23:39:37

    タンホイザー発射。死の光線が海面を掠めながら、艦隊を守る様に前傾姿勢を取り始めたカニに直撃する。
    カニの両脇のダニロフ級が2隻吹き飛ぶ!
    少なくともこれで敵はあと8隻、さらにこの一撃で。
    大爆発とともに海水が上から襲ってくる。さてあと何隻だ、あと何隻だ?

    アグネス「(カニと8隻が無事…何で)」
    レイ「う…」
    ショーン「あ…」
    シン「あぁ…タンホイザーを…そんな…跳ね返した?」

    良かった。ビビってるのが自分だけじゃないと安心するわ。

  • 164二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 05:51:43

    ほしゅ

  • 165二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 09:49:57

    あれをどうすれば、取り合えず…命中!ウィンダム撃破。カウント18.5!

    カニは前足の主砲部位を回転させてクローに変更。今もカトンボを落とし続けるシンに迫る。ビームジャベリンがあるとはいえ、接近戦はきついか…。ってPSダウン!!ここで?!
    ブラストにしたせいで減りが早いか。

    アグネス「ブリッジ!本機をカタパルト内に収容を!ウィザードをスラッシュに!換装が終わり次第、グゥルに乗ってインパルスの援護に向かいます」
    メイリン「アグネス機の収容を許可。非常要員は即時にウィザードを変更してください。グゥル発艦準備開始」

    カタパルト内に下りると直ぐにウィザード変更シークエンス。みんな必死。当然か。私も決死だ!

    アグネス「(男児当に死中に生を求むべし、ってね。公孫述軍のような末路は御免だけど、私は女だからノーカンね!)」
    メイリン「アグネスさん!グゥルで行けますか」
    アグネス「ウィンダムとダガーの大半は落としたわ。今ならいける。奴らもバカね。あんなものがありなら。最初から出撃させればよかったのに」
    メイリン「あのMAも大きさのわりに相当な機動力があります。危機を感じたら…」
    アグネス「無理せず帰還。当然!」

    特攻して二階級特進…。美しいが性に合わない。

    メイリン「アグネス機、グゥル、発進どうぞ」
    アグネス「アグネス・ギーベンラート、ザク、出ます」

  • 166二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 17:16:02

    保守

  • 167二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 17:46:08

    ザクの戦闘中換装とグゥル装備は本編で見たかったやつすぎる

    ただザムザザー相手にスラッシュ自体は賢明だけどグゥルの機動性で大丈夫かなぁ…
    あいつ本来のこの戦闘で全力で飛ぶフォースに追従できるくらいには素早いし

  • 168二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 17:49:12

    さてここでシンがちゃんと種を割れるか(→アグネスからの評価を上げられるか)どうか
    良くも悪くも今のところアグネスのアシストが光るせいでそこまで窮地に追い込まれずに終わる可能性もなくもない

  • 169二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 18:23:57

    >>159 ギーベンラート孃、ひとつだけ言っておくと「賠償金の天文学的請求」だけはやめておいたほうがいい。第一次世界大戦後のドイツの二の舞になるから…。

  • 170二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 21:14:10

    レイとショーンの援護射撃を受けながら、死にぞこないのウィンダムとダガーの間を潜ってカニとインパルスのもとに突進!
    後ろに回り込もうとしてきたウィンダムをハイドラガトリングビーム砲でハチの巣にして撃墜。
    向こうがヘロヘロになっていてくれて良かった。

    アグネス「(カウント19.5)」

    カニは前足のクローを赤く振動させながら、インパルスに迫り、インパルスはきりもみしながら必死に交戦している。

    アグネス「邪魔!命中!カウント20.5」
    「グゥルなら何とかなる」、とでも言いたげに近寄って来たダガーをハイドラで落とす。
    士気が潰えたなら下がればよかったのに、獲物になりに来てくれてありがとう!

    カニとインパルスの戦闘を、リスクを承知でグルっと一周して観察する。

    アグネス「(このMA、見るからに近接戦に弱そう。特に底面部。とは言え、グゥルの機動力ではそこに回り込むことは出来ない。上にある3つの突起は、さっきタンホイザーを防いだビームシールドの発生器)」

    何にしてもインパルスはフェイズシフトダウンしている。一瞬の猶予もない。

    アグネス「シン」
    シン「アグネス!」
    アグネス「そのカニ…MAを一瞬でも良いから振り切れる?」
    シン「何で?!」

    回線を味方全体にオープン。

    アグネス「MAの背中に飛び乗ってビームシールド発生装置を破砕したい!
    そうすればミネルバの攻撃が艦隊本体に届くわ。
    グゥルのミサイルをばら撒いて目くらましをすると同時にMAの背に飛び乗り突起部を破壊する。
    即座に無線で呼び戻したグゥルで離脱。無理なら、最悪、ザクを捨てて機外に飛び降りる!その時はシン、拾える?」
    シン「…!わかった。一回なら振り切れる…。仲間が機外に脱出したら…助けるよ、絶対に!!」

  • 171二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 21:18:05

    アグネス「3でいく」

    こちらの意図を知ったシンが、ギリギリまできりもみ飛行を続け相手の注意を引き付ける。

    アグネス「1.2.3  6連装ミサイルランチャー2基全力照射開始」
    シン「了解」

    グゥルのミサイルを両側から全部撃ち尽くしながら、急降下。
    目の前でミサイルが単装砲、イーゲルシュテルンで砕かれ爆散し、破片と衝撃でザクの各部が弾けるがこの際止むを得ない。グゥルも跳んだ直後に単装砲が命中して撃墜。

    もう、そのまま落下するしかない。落下するしかないが―

    アグネス「これだ!」

    『左中右』三つのシールド発生装置の『中』!中央部の発生装置にファルクスG7 ビームアックスを叩き込む。
    ちょうど、クレバスに墜ちた登山家がピッケルを山肌に突き刺すように。
    衝撃音と共に突起部がシールド発生装置ごとへし折れる。
    そのまま、ファルクスにしがみ付き、カニの甲羅をさらに切り裂き削りながら、落下は続く。

    アグネス「(ここらが頃合いか)」
    スラスターを全開にして、ファルクスを思いっきり刻み込み、押し込み、ザクを固定。自爆装置のスイッチオン。カウント開始。海が見える―

    コクピットから海面に向け脱出!

    間も無く爆発の衝撃が体を吹き飛ばす。

  • 172二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 21:25:16

    アグネス「(内臓がひっくり返る…体が弾けそう…)」
    意識が…

    シン「アグネス!!」

    アグネス「はっ!」
    目の前にインパルスの掌!シン、あんたアカデミーの試験で『モビルスーツの掌で落下する人物を救助する』課題3回落としてたでしょう!って頼んだの私か、私のバカ!

    アグネス「ぐぇえ…。う~ん76点」
    インパルスの掌の上何とか私は生きている。

    シン「良かった…」
    アグネス「(カウントMS20.5 MA1)…って何」
    衝撃でインパルスの掌から転げ落ちそうになる。
    ふと見るとインパルス足がカニに挟まれている!まだ死んでなかったの?さっきの自爆で!

    シン「しまった!うわぁぁ!!あぁ…うわぁぁぁ!!!」

    背部の甲羅が吹き飛び、ほとんどコクピット剥き出しになっても、このカニ…いやMAは、クローを振りかざしてこっちを攻撃してきた。

    アグネス「(敵ながらすごいガッツね…。いや、それぐらいの気概が無ければ、陽電子砲に立ちふさがることなどできないか)」
    例えシールドがあったとしても、初実戦。改めて考えると凄い精神力ね。

    もう勝敗は決している。空母が積んできた機体は、ほとんど落ちた。その証拠に空を見ても、もうウィンダムもダガーも飛んでいない。私達が戦っている間もミネルバとレイ、ショーンが落とし続けていた。このモビルアーマーも大破。
    帰還か投降しても許されるだろうに戦闘を続けているのは…。

    アグネス「(後ろに仲間がいる為か。艦載機を失った空母4隻とダニロフ級4隻ではミネルバの相手は出来ない)」

    ミネルバのトリスタン、イゾルデ、パルジファルが火を噴くのを視認。次の瞬間には空母4隻とダニロフ級4隻だった艦隊は、もう空母2隻とダニロフ級2隻の艦隊に数を減じている。無情ね。

  • 173二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 21:29:41

    インパルスに向け声を張り上げる。

    アグネス「うわぁぁぁぁぁぁぁ、じゃないでしょう。下半身なんて捨てて!」

    聞こえていない…。ダメね。この状態で聞こえるわけない。インパルスの指に必死にしがみ付く。ここから海へのジャンプ…やるしかないならやるけど、気が進まない…

    グシャァァッといやな粉砕音と共にインパルスの片足が捥げる。

    アグネス「わぁぁぁぁ!」
    転げ落ちそう…。

    シン「こんなことで…こんなことで俺はッ!!」

    シンの動きが突然滑らかに!

    シン「アグネス片手で我慢しろ」

    言うが早いか、私を載せていない方の手で、ケルベロス砲身内部からビームジャベリンを取り出すと、MAのコクピットに切り裂く。

    アグネス「(MAのコクピットに切り裂く?!)」

    えっ…今…何が起こった今?一切の無駄がない動き。ゾーンってやつ?火事場の馬鹿力?

    パイロットを一度に失ったMAは海面に激突。水柱を上げながら没した後、大爆発。さらに大きな水柱が吹きあがる。
    とっ!取り合えず、(カウント修正、MS20.5 MA0.5)。

    降り注ぐ大量の海水。ビームジャベリンを手放したインパルスの手で庇われながら、私達はミネルバのカタパルトへ。

  • 174二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 21:31:27

    後ろでは最後に残ったスペングラー級空母にトリスタンが命中。
    轟沈時の閃光が目に焼きついた。まあ、焼き付かないタイミングで庇ったんだけど。目に悪いし。

    沈みゆく敵艦に敬礼 
    インパルスのなかでシンが見てるかも知れないし。敬礼してないと誰かに言うかもしれないし。

    アグネス「(あぁぁ。この後は投げ出された連合兵の救助活動かぁ。国際人道法・戦争法・シーマンシップ的に考えて。救命ボートに乗った連中の救助収容も。周りに他の船無いから!結構疲れ…疲れてない疲れてない。気合気合。大丈夫。ここで『勇戦した敵兵に礼を尽くす軍人』アピールすれば勲章貰えるはず!)」

  • 175二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 21:45:22

    緑ザクくんに敬礼
    しかし機体は消耗品、パイロットが死ななきゃ安いってどっかの戦闘機ゲーの隊長も言ってたし状況が状況だからしゃーないけど最新鋭のザク2機ロストはまぁまぁアレだぞアグネス…w
    いよいよ空いてる機体もないしどうなるかなぁ

  • 176二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 21:47:07

    美味しい活躍しつつヒロインポイントも着実に稼ぐアグネスさん

  • 177二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 21:50:51

    「いきなりスーパーエース級」の大戦果上げるシンに愕然とするアグネスが見られると思ったのにそうなるのか…
    まあSS師さんの理想のつよつよアグネスを書いてるわけだからしょうがないか…

  • 178二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 22:09:28

    ルナマリアの代わりにアグネスが着任っていうか
    目が覚めたらアグネスだったくらいの感じにはなってきてる気がするわ

  • 179二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 22:12:34

     本編映画のキャラとは乖離しているかもしれないが、「士官学校できちんと軍事教育を受けた軍人」であるというならば、こちらの方が納得はいく。えっガンダムはそういう作品じゃないって?

  • 180二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 23:39:09

    まぁ映画でのアレはミネルバ組の大戦果を聞いて、広告塔の仕事以外はあまり活躍の機会がなかった自分と比較してしまった(何なら周りに言われた?)せいで余計に拗らせたのかなって気がする

    劇場特典のミニ小説見るにアカデミー時代からクセが強かったのはまぁそうだけど

  • 181二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 23:44:37

    いいとこのお嬢様の出で曲がりなりにもアカデミーの総合成績2位だからな
    個人技能は色々盛れる設定してるよね(礼節、知識、MS操縦技術etc)

  • 182二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 23:57:36

    元々映画でも自分(と実家)の名誉のためなら最前線で激務を繰り返すヤマト隊で戦うことに関して特に文句を言わない程度にはキマってる子なので…
    この時点で最新鋭のザクを専用カラーにして貰って新型艦配属ねって言われたらそりゃウハウハでしょうね

  • 183二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 01:07:52

    カタパルト内でインパルスの掌から艦内に下りる。拍手してくれている。皆が、ヴィーノ、ヨウランそれに…

    アグネス「(うん?)」
    平衡感覚がおかしい。当たり前か海上だし。でも、足…踏ん張りがきかない。
    ヴィーノ「アグネス!」
    ヨウラン「おい!大丈夫か?!」
    アグネス「(舌ベラが上手く動かない…。何で?のうないまやくがきれたの?)」

    おかしい。わたしはえらばれしこーでぃねーたーのなかでもとくにえらばれた…

    シン「おい。アグネスしっかりしろ。衛生兵、こっちに来て。早く。」
    アグネス「しっかりするのはあんたでしょ。これから、れんごうへいのきゅうじょもしないといけないのに…」
    シン「それは俺らでやるから、衛生兵!」
    みのまえにきたえいせいへい。たんかにのせられる。わたしがなんで…。めだったがいしょうはなかったはずなのに。

    アグネス「今何時!」
    メイリン「うわっ。アグネスさん。起きた?」
    アグネス「ここはどこ?まって、思い出す。MAはシンが倒した。でも私も打撃を与えた。つまり共同撃破!あれ、あのカニは現実?連合兵の救助はどうなったの?まさか見捨てたの?戦犯になっちゃうじゃない?!」
    メイリン「落ち着いて…」
    アグネス「うっ…」視界が暗転する。

    アグネス「メイリン!今何時!」
    メイリン「あ、アグネスさん。また、意識が戻った。良かったぁ」
    メイリンがそばで泣いている。ここはミネルバの自室。
    アグネス「医務室ではない?どういうこと?」

    メイリン「アグネスさん。大丈夫ですか?」
    メイリンが私の瞳を覗き込んで来る。

  • 184二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 01:10:25

    私は…困った時はマインドフルネス、マインドフルネス。
    それから、落ち着いて、手足の先、頭からお尻まで、左耳から鼻先から右耳、両唇、舌ベラで歯を全部触れてみる。
    良し異常なし。両目を開く。

    アグネス「私は無事よ」
    メイリン「良かった。本当に。今はあの戦闘の翌日…。朝、8時です。アグネスさんはインパルスと共に帰還した直後に意識不明になり臨時精密検査を。限界を超えた戦闘による疲労のせいだろうと」
    アグネス「私が疲労で昏倒?!信じられない…。2流のすることだわ…」
    メイリン「そんなこと言わないで下さい!」

    うわっ。メイリンがガチ目に怒った。怖ぁ。でもそうか…。

    アグネス「生きていれば何とでもなる。これから疲労の貯まり具合も気を付けるわ。ありがとう。それにしても…」
    名誉の戦傷(?)を負った戦士をそうそうに自室に追い出すとは。ひょっとして…。訊きたくないけど。

    アグネス「今、医務室ってどうなってるの?連合の負傷兵でいっぱいとか?」
    メイリン「はい。救助活動は先程まで。でも、これ以上は補足されるので、やむなく国際救難チャンネルに座標を再発信して離脱することに。ついさっき。」
    アグネス「他は?」
    メイリン「L5宙域においてアルザッヘルから出撃した地球連合軍宇宙艦隊とゴンドワナ率いるザフト軍主力艦隊が全面衝突…」
    アグネス「ふむふむ。まあそうでしょうね」

  • 185二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 01:21:14

    メイリン「戦況は一進一退でしたが、極軌道上に潜んでいた地球軍奇襲部隊が核攻撃を実行」

    アグネス「!!!???!!!」
    まって何、何それ…。プラントが。パパ、ママ、皆。嘘でしょう…

    自分の中の世界が砕け散る音が聞こえる。メイリンが何か言っている…。
    慰めの言葉か、あんたの家族はどうなったの?生き残った市や区があったのか?
    ルナマリアは…?ゴンドワナ月軌道艦隊は、健在なの?

    メイリン「アグネスさん!大丈夫です…大丈夫です。プラントは無事、無事ですから…」
    メイリンが泣き出す。私のせい…じゃないわ。少なくとも今回は。
    メイリン「国防本部の事前対策の成果です。ニュートロンスタンピーダーで…」
    アグネス「ニュートロンスタンピーダー…。開発・実戦配備されてたの?!」
    メイリン「はい。全核ミサイル撃墜成功です…」
    アグネス「よかった。本当に…」
    信じていない神様に感謝したい。今日こそは。

    私にひとしきり事情を話し、精密検査の結果を手渡した後、メイリンはブリッジに。
    やはり女性士官同士気を使ってもらったらしい。確かに女性軍人の部屋に男性軍人をおいそれとは近寄らせられない。

    制服に着替えて副長の下へ。任務に復帰しないと。ザク墜としちゃったけど…やむなし!

    アーサー「アグネス。もう体調は大丈夫か?」
    アグネス「問題ありません。国家危急のおり、国からお借りした大切な機体を立て続けに…。誠に申し訳ありません」
    眼をウルウルさせながら最高のポーズで謝罪。どうだ。

    アーサー「いや、君が無事で本当にうれしい。こちらこそ艦を守ってくれてありがとう。機体の手配申請をカーペンタリア基地につき次第即座に。艦長も一緒に倉庫まででも探しに行くつもりだと」
    アグネス「デイルとショーンの分も?」
    アーサー「もちろんだよ」
    アグネス「ありがとうございます。以後も粉骨砕身おつとめします」よし。これでゲイツRのお守りからおさらばね。

  • 186二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 01:26:16

    アーサー「これから水葬式だ。参加できるか?」
    アグネス「連合の兵の?」
    アーサー「そうだ。回収されたご遺体と救助後、力及ばず落命した兵士たちが甲板に547」

    547か…。4隻の空母を含む12隻の艦隊が全滅したわけだから、全体の死者は下手したら5000を超えるかも知れない。よく引き上げてあげたとみるべきかどうか…

    アグネス「はい」

    副長と共に艦内を移動。

    アグネス「連合の捕虜の総数は?彼らも参列を?」
    アーサー「捕虜の総数は401人。負傷していない者がこちらと同数参加。実は」

    副長が振り向く。無理をして、努めて平静装った顔。この人には珍しいかも…。

    アーサー「恥ずかしながら、水葬式は初めてなんだ。自分も艦長も」
    アグネス「私も…」
    アーサー「亡くなった兵士ごとに信仰する宗教があったはずだけど、宗教指導者を探してあげることもできない。本当は沈んだ艦のエアポケットに生存者がいるから何とかしてあげたいがこちらも時間がない。連合にも位置情報は送ったから、続きは彼らにしてもらうしかない…」
    アグネス「…」
    アーサー「艦長が式を。ブリッジは自分が―」

    甲板に出る。
    アグネス「(生臭い風。たまたま、そう感じるだけ。感傷に流されるな)」
    遺体袋がゴロゴロいや、しっかり丁寧に並べてある。私が寝てる間に…。何か思うべきなのだろうか。

    クルー達と整列する。混乱、同情、憤り、悲しみ、敬意、怒り。本国の核攻撃のニュースはもう皆知っている。
    目の前に並ぶ大量の遺体に皆感情の持って行き場を失っている。

    アグネス「(深く考えるな。思い出のよ。私は人の不幸を鼻で笑って生きて来た。可哀想な話も気の毒な話も興味ない!雰囲気に流されるな)」

  • 187二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 01:34:59

    タリア「貴官達の勇戦に心底より敬意を表します。総員 黙とう」

    アメージンググレースが即席音楽隊で演奏される中、両軍共に黙とうする。宗教的に正しいか分からないが、プラント国民なりにこれでも必死。どの国の国歌を流せばいいかもわからない…。

    合図と共に戦友-捕虜になった連合軍兵士-に担がれた遺体袋が一斉に海に投下される。
    大量の水しぶきが上がる。

    弔銃がなり、半旗があっ…揚がってる。ちゃんと半旗が。
    この式のために慌てて揚げたんだ!基本宇宙船は上げてないから。

    シン「アグネス。体、大丈夫か」

    式が終わるやぬるっと近づいてきたシンに声をかけられる。

    アグネス「おかげさまで。どういたしまして。あんたに気を使われたのは初めてかもね」

    シンが何か言いたげね。

    アグネス「なに?」
    シン「人が乗っていたんだ…。ザムザザーには…ヒトが」
    アグネス「ザムザザー?あのカニみたいなMA?」
    シン「うん。連合の人が言ってた…」

    シンの制服の汚れ、『連合の人』と一緒に式準備をして居たわけか。遺体袋を幾つも担いで。
    アグネス「(こいつ…、あの戦闘の後、ずっと救助と水葬式の準備やってたの?適当なところでさぼれば良いじゃない。寝ていた私が言うのも変だけど。だから言わない)」

    シン「ジャベリンを刺したとき、コクピットから人が…。目が合った…」
    アグネス「半ば剥き出しだったものね」
    やばいやばいこれはやばいPTSDの予感。強引でも話題を逸らさなきゃ。
    アグネス「そ、そう言えばシン!戦いの途中で覚醒(?)したわね。あれなにすごいな~」

  • 188二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 01:40:41

    シン「ああ。あれ、あれは…」

    不思議そうな顔をして意味不明な説明を始める。
    シン「俺の掌の上にアグネスが…、人が乗っていて。俺がやられたら、もうその人は死ぬしかなくて。
    掌から命が零れそうで。こんなところでやられてたまるか、絶対に帰るんだって。
    そしたら、頭が一気にクリアになって…」

    アグネス「ふむふむ。なるほど。それはそうと後で軍医に疲労度検査を受けなさい。でないと私みたいに倒れるわよ。(っていうか倒れた原因の幾割かはあんたのせいだからね)」
    シン「ああ…。医務室が空いたらそうする」

    あぁ、医務室が満員だったか、連合負傷兵で。早くカーペンタリアであいつらを下ろしたい。

  • 189二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 11:24:09

    艦内に入ると副長からのアナウンスが流れる。

    アーサー「本艦はこれより、トレス海峡を突破、安全圏であるオーストラリア・カーペンタリア湾へ到達を期する。
    トレス海峡には核攻撃と同時にカーペンタリア基地攻撃を目論んでいた地球軍艦艇が既に一部布陣しており、戦闘発生の可能性も予見される。各員は引き続き強い使命感と緊張感を持って任務に当たり、各々の本分を果たすように。
    また、本艦には現在、多数の地球連合軍捕虜が搭乗している。プラント本国核攻撃に動揺しているクルーも多いとは思うが、彼ら自身は大量殺戮兵器使用に無関係だ。そのことをよく理解し、努めて人道的に振舞い、決して恥ずべき虐待事件などを発生させてはならない」

  • 190二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 12:28:48

    アグネスの姿を借りたオリキャラって感じやね

  • 191二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 22:38:21

    もはやオリキャラだけど面白いから続けて

  • 192二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 22:51:31

    トレス海峡か…。海上の難所として有名だがミネルバなら問題ない。
    新鋭艦のナビゲーションシステムは伊達ではない。

    問題は連合軍だが―
    アグネス「3:7といったところね」
    レイ「それぐらいだろうな」
    レクリエーションルームでレイと合流、パイロット同期組3人で今の状況認識を共有する。

    連合軍が、『攻撃してくる』が3、ミネルバを見逃すが7。

    現在、連合軍とザフト軍は珊瑚海からアラフラ海にかけて南北で睨み合う。核攻撃直後の侵攻を狙った連合はトレス海峡封鎖には成功している。封鎖に成功といえば聞こえがいいが…。

    シン「挟まれてるね。この部隊。ヨーク岬西方カーペンタリア湾に展開中のザフト艦隊と珊瑚海のザフト艦隊に。
    というか、トレス海峡の連合艦隊と珊瑚海北東の連合艦隊が珊瑚海南方から北西にかけて展開しているザフト軍の大艦隊に分断されてる。これ結構、無茶苦茶だな…」

    シンが手持ちのデバイスでマップを操作しながら話すのを聞く。そう言えばこいつも赤服だったわね。
    まあ、見たまんまを話しているだけではあるんだけど。

    レイ「大方、核攻撃成功を前提条件として作戦を立てたのだろう。連合の先発隊は早くも立往生を始めている。ミネルバがトレス海峡に突入したとしても、攻撃する余力はない。挟み撃ちにされるだけだからな」
    アグネス「万が一の場合、カーペンタリア湾行きは諦めて珊瑚海のザフト艦隊と合流するのもアリね。ただ、艦の修理を早くしたいからカーペンタリア基地に直行できればベスト。
    駄目なら、オーストラリア大陸東岸都市の何処かに入港しても良い。大洋州はプラント側だし」

    メイリン「コンディションレッド発令。コンデションレッド発令。これよりミネルバはトレス海峡横断を開始。パイロットは搭乗機にて待機せよ」

    シン「行こう」
    レイ「ああ」
    アグネス「そうね」

  • 193二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 23:12:09

    私には今、乗機がない。ならゴロゴロしていればいいか、というとそうもいかない。
    予備パイロットとして控えていないといけないから。
    手早くノーマルスーツに着替え、控えスペースに。
    遠足に置いて行かれた子供のような気分になる。置いて行かれたことないけど。
    デッキからインパルスに乗り込むシンを眺め、苛立ちと羨望でグチャグチャになった心が私を責めさいなむ。

    アグネス「(前日、あいつの撃墜スコア、モビルスーツ51機 モビルアーマー0.5機。たった一戦で…。
    ブラストシルエットで一暴れしただけで、あいつはもうスーパーエース)」

    私にも相応しい機体があれば。もし、インパルスのパイロットが私だったら。
    あいつに爆発力があるのは認めなくもないけど、私だって…。

    アグネス「(なしなし。落ち着け私。先ず今、今日を乗り越えなくては。今、シンの身に何かあれば困るのは私。無事、トレス海峡を通過するまではあいつだけが私と皆の頼みの綱)」
    シンが頼みの綱なのではないわ。頼みの綱はインパルスとそのパイロット。

    時計とモニターを睨みながら、時間が過ぎていく。
    連合軍は艦艇をパプアニューギニア島南岸座礁一歩手前まで引き上げている。何しに来たのこいつ等?

    アグネス「(攻撃してきて欲しい。インパルスが大暴れするさまを見たい。シンが手柄を立てるのは癪だけど、我らがザフトの新鋭機が連合を蹂躙するところを最前列で見物したいわ)」

    私の内心に知らんぷりで、連合艦隊は死んだふりを続ける。
    12隻の艦隊が丸ごと沈められたばかりだから当然か。
    それとも、コープランド大統領から、『待った』がかかっているのか?

  • 194二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 23:14:33

    メイリン「コンディションイエロー。コンデションイエロー。現在、ミネルバはカーペンタリア湾に到着。味方艦艇と合流します」

    安堵と落胆が入り混じった感情がこみ上げる。インパルス…発進させて一泡吹かせてよ、艦長。
    というかタンホイザー撃ちこんでよ。新型陽電子砲は環境負荷が低減されているんだし。こっちは核撃たれてるのよ!

    ヴィーノ「シーン、レーイ、アグネース、デーイル、ショー―ン。カーペンタリアだ!俺達やっと!」
    ヨウラン「やったぁぁぁ!」
    整備兵達「カーペンタリアぁだ!」

    クルー達は気苦労が多かった航海がようやく終わりそうなことを喜んでいる。
    今、艦長と副長はそれどころではないだろう。連合の捕虜の引き受け体制を話し合わなきゃいけない。
    核攻撃に激高しているだろう基地ザフト軍から彼らを守らないと、私達まで戦争犯罪人になりかねないわ!

    ともあれ―
    笑顔で手を振りながら控室から出る。
    もう遠足に置いて行かれるものか!カーペンタリア入港後すぐに機体を手に入れるわ。
    艦長副長が確保できれば良し。駄目なら、パパのコネでも何でも使うわ。

  • 195二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 09:12:58

    さて新しい機体は何になるか
    グフはハイネが持ってくるのが最速になるはず(アレで量産先行機)なのでまだ間に合わない
    となると理想はザクかバビだけどこの時期空いてる機体なんてあるかなぁ…特にザク…

  • 196二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 10:27:06
  • 197二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 10:29:29

    残りは好きに使ってね

  • 198二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 10:38:20

    次スレ立て乙です

  • 199二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 11:24:26

    うめうめ
    楽しく読んでますありがとうございます

  • 200二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 11:27:16

    200ならシンレイとアグネスが仲良くなる

オススメ

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