【クロス】ここだけヒナがメタナイトみたいなキャラな世界 5スレ目

  • 1二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 00:22:56
  • 2二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 00:25:04

    後は落とさないようにしないと…!

  • 3二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 00:26:05

    まだ色々と語りたいし、SS書きたいし、読みたいし

  • 4二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 01:16:56

    なんだかんだ5スレ目まで来たよ!
    いやぁ続くものだねぇ

  • 5二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 01:17:36

    スレ保守の為、最終決戦と合わせて挙げる予定だった過去パートを先だしします

  • 6二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 01:17:59

    (それは、在りし日の記憶)
    (最早明確に覚えているのはただ一人しかいない、あまりにも遠くなりすぎた日々の思い出)

    ??「■■おねえちゃん、■■■おねえちゃん!まってー!」
    ??「そうあわてないの。あせらなくても、はつめいひんはにげたりしないわよ」
    ???「ふふふ、いいじゃないですか。ほら■■ちゃん、こっちこっち」

    (かつて、とある新興の学園で開かれた新発明の起動実験)
    (自校区のみならず他校からも来賓を招き開かれたその式典は、学園の前途を象徴する記念すべき日になる…)
    (筈、だった)

    生徒A「は、ハブのAIが暴走!?こちらからの操作、全く受け付けません!」
    生徒B「電源を落とせ!コードを引っこ抜くんだ、早く!!」
    生徒C「りょうか――うわぁあああ!?」

    観客A「何?どうしたの?」
    観客B「なあ…何かヤバくないか」
    観客C「まさか。ただのイベントだろ?」

    ■■「おねえちゃん、こわいよ…」
    ■■■「だいじょうぶですよ、■■。わたしがついていますからね――■■?」
    ■■「ふたりとも、いますぐここからはなれ――!?」

    (突如として発生した原因不明の暴走事故)
    (それは単なる放電現象に留まらず――ついには、一時的な時空変動さえも生み出した!)

  • 7二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 01:18:18

    5スレ目突入おめ
    まだまだ楽しませてもらいたいですねぇ

  • 8二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 01:18:30

    観客A「きゃああああ!」
    観客B「た、助け――うわああああ!?」

    (時空変動により、生じた極小規模のブラックホール)
    (極小といえどブラックホール並みの引力を有するそれに抗う術はなく、傍にいた不幸な者たちが次々呑み込まれ消えていく)
    (そして、その中には…)

    ■■「おねえちゃん、おねえちゃあん!!」
    ■■■「■■!てをはなさないで!!■■も!」
    ■■「わかってる…!■■、だいじょうぶ、だいじょうぶだから…!」

    (ブラックホールに引きずり込まれようとする、幼い女の子)
    (その子どもを、ほんのわずかしか歳の違わない少女たちが必死で守ろうと手を伸ばす)
    (だが、所詮は少女の力。ブラックホールの引力には抗えず、とうとう――)

    ■■「あっ…」
    ■■■「■■!?そんな、いやあ!!」
    ■■「■■ーっ!!」
    ■■「いやあああああっ!おねえちゃあああああん!!」

    (幼女を最後に引きずり込み、ブラックホールが消えていく)
    (後には、無惨に破壊された会場とかろうじて生き延びた観客と生徒たち)
    (そして。親友が消えた中空を泣きながら見つめる二人の少女が残された…)

  • 9二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 01:19:12

    >>8

    リオ「――また、あの夢」


    (ミレニアムサイエンススクール内・学生寮)

    (その自室で、調月リオは目を覚ました)

    (いつものように洗面所で顔を洗い、いつものように朝食を食べる)

    (決まりきったルーティーンたるその行動は、しかしただ一つ不純物が混ざっていた)


    リオ(…あれから、十年以上の時が経った)

    リオ(あの後ブラックホールに呑まれた者たちは誰一人として見つからず、今日に至るまで行方は分かっていない)

    リオ(それは当然、あの子も――)


    (暗い感情を振り払うように、制服に腕を通す)

    (といっても、一般生徒のそれではない)

    (漆黒を基調とし、彼女に合わせて縫製されたそれは色々な意味で特別なものだった)


    リオ(ミレニアムサイエンススクール生徒会・セミナーの制服)

    リオ(この服に腕を通すまで、どれだけの時間と労力を費やしたのかしらね)

    リオ(でも――全てはこの日の為)

    リオ(そして、ここから全てを始める為…)


    (自室を後にし、リオは学園内のとある場所へと向かう)

    (行く先は生徒会室、ではなく)

    (学園の最奥、セミナー関係者等の一部を除いた立ち入り禁止区域)

    (そして。調月リオがセミナーにまで上り詰めた理由そのものの場所――)


    リオ「ようやく、見つけた」

  • 10二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 01:19:28

    >>9

    (半ば錆びついた扉を強引に開き、中へ入る)

    (そこにあったのは、保存用シートが覆い被さった巨大構造物だった)

    (もう何年も放置されていた為か、シートの上には埃が積もり部屋全体の空気も悪い)

    (だが、その全てを意に介する事なくリオはシートを掴み――そして、勢いよく振り剥がした!)


    リオ「あなたの力を借りに来た」


    リオ「いいえ――あえて、こう言いましょう」


    リオ「機械であるあなたにこう告げるのは非合理的だと、分かってはいるけれど」


    リオ「それでも。けじめとして言わせてもらう」


    リオ「私たちの幼馴染を、大切な親友を奪った罪、その性能(チカラ)をもって贖ってもらうわ――――ハブ」


    (これが、全ての始まり)

    (調月リオとマザーコンピューター・ハブ――『星の夢』との出会い)

    (そして。『致命的な間違い』に至る発端である事を、彼女はまだ知らない…)

  • 11二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 02:06:59

    >>10

    過去パートありがとうございます!

    ほーなるほど…そんな過去があったのねぇ…原作カービィも真っ青な大事件がねぇ………


    リオォォ!!はよ気づけぇ!!『あの子』は今、お前の側におるどー!!!

  • 12二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 12:33:20

    雑コラだけど、自分が考えるヒナバードのイメージ

  • 13二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 13:28:10

    >>10

    更新乙です!

    原作を考えると灯台もと暗しだったってヤツかな?

  • 14二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 18:39:50

    素晴らしいスレを見つけてようやく追いつけた!

    そういえばスタアラのハイネス・ニルポジションの話はまだ出てきてないなと
    本編ストーリーまでの流れで思いついたのは色彩(ニル)を呼び出してなんかするゲマトリア(ハイネス)みたいな構図だけどそうなると既出のハイランダー組(サンマ缶)との関係をどうするかがネックだなぁ

  • 15二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 19:29:48

    ちょっと先の話になりますが
    実を言うと、毛糸のホシノ(毛糸のカービィ)編の協力者とラスボス枠をハイランダー組にしようかと考えてたりします

    ・フラッフ枠:スオウ
    ・アミーボ=アモーレ枠:ヒカリ&ノゾミ

    立ち位置としてはハイランダーに紛れ込んでた厄ネタ『魔法の編み棒(原作で言うアミアモ本体)』に手を出した結果暴走し、ハイランダーを滅茶苦茶にして逃亡した所をスオウが追っかけてきた的な感じでですね

    代わりに三魔官枠はデカグラトリオ(アイン・ソフ・オウル)でどうかなと
    あくまで私の個人の考えなので、異論があれば普通に諦めます

  • 16二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 20:05:12

    >>15

    おー良いですねーその設定!

    私は良いと思いますよ!


    >>14

    で、私としてはニル枠は…あえてそのまま原作通りのアイツで考えてました。色彩すらも霞んでしまうのではないかという強大で悲しい存在として…。


    あースタアラとディスカバリーのSS書きてぇぇ!

    でもその前にヒナナイトでゴー リターンズも書きてぇ!

  • 17二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 23:01:23

    >>10の続き

    ――アビドス高校別館・指令本部


    先生”ミレニアム侵攻部隊の動きが、止まった?“

    アヤネ「攻撃を受けていた全方位、完全に停止しています。何かあったんでしょうか?」

    ウタハ「こちらでも観測した。どうやら全員ではなく、主にロボットや無人兵器が止まった事が原因のようだが…」


    (敵側の異変を訝しがる先生とアヤネ達)

    (その時。遥か遠方から立て続けに爆音が轟いた!)


    先生“!?”

    アヤネ「ば、爆発!?まさか、また戦闘が!?」

    ウタハ「いや、位置がおかしい。確かあの方角は――」

    セリカ『先生!アヤネちゃん!聞こえる!?』

    先生“アヤネ?聞こえてるよ、どうしたの?”

    セリカ『ミレニアムの奴ら、様子がおかしい!いきなり攻撃を止めたと思ったら、今度は味方同士で撃ち合い始めたの!』

    ウタハ「なんだって!?」

    セリカ『でも、こっちの方にも攻撃してきてて――流れ弾じゃない、本気の攻撃が(ザザッ)』

    アヤネ「セリカちゃん?セリカちゃん!」


    (攻撃の影響か、セリカからの通信が途切れてしまう)

    (そして入れ替わるように、今度はシロコとノノミから緊急通信が入ってきた)


    シロコ『こちらシロコとノノミ隊。先生、聞こえる?』

    先生“シロコ、ノノミ?まさか、そっちも――”

    ノノミ『はい、異常事態発生です。先程まで攻撃してきたミレニアム侵攻部隊が突然攻撃停止。かと思えば、突然味方同士で戦い始めてます!』

    シロコ『けど、私たちの方にも攻撃してきてる。多分だけど、手当たり次第に暴れ回ってるやつだ』

    ノノミ『攻撃を仕掛けてるのは、戦闘ロボや無人兵器…。いずれも電子制御で動いている兵器のようです!』

  • 18二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 23:01:51

    >>17

    ウタハ「無人兵器…電子制御…」

    先生“ウタハ、何か心当たりでも?”

    ウタハ「――本作戦において、ミレニアムの攻撃部隊は全てエリドゥのコントロールルームから統率されている。特にロボットや無人兵器の類はほぼ全機がその制御下にあると言っていい」

    先生“じゃあ、これはそのコントロールルームでの異常が原因?”

    ウタハ「可能性は高い。だが、『全知』の差し金であるなら我々にまで攻撃する理由がない筈。一体、何が…?」

    アヤネ「せ、先生!ウタハさん!あれを見てください!」

    先生“あれ?って、エリドゥの方に何が――”


    (アヤネの叫びを受け、先生とウタハが校舎の窓からエリドゥの方を見る)

    (そこで目にしたのはエリドゥ最上層の天井を突き破り、今まさに空へ飛び立とうとしている『星の夢』の姿だった)


    先生“あれは…一体…?”

    ウタハ「バカな――マザーコンピューター・ハブ、だと!まさか会長、あんな欠陥品に頼っていたというのか!?」

    アヤネ「知ってるんですか、ウタハさん!」

    コトリ「かつてミレニアムが開発した、次世代型マザーコンピューターだったものです!確か十年以上前に大事故を引き起こし、それっきり封印されていた筈ですが…」

    ヒビキ「それを、密かに甦らせていた。しかも今の今まで動かしていたってわけだ」

    ウタハ「道理でこんなバカげた規模の作戦を今まで展開できたと…!確かにスペックシート状の性能を思えば不可能ではない。だが、あれは誰であろうと動かしていいモノじゃないんだ!」

    ノア「落ち着いてください、ウタハ部長。あのマザーコンピューターの事は後です」

    ユウカ「そ、そうよ!今は最前線に指示を送らないと――先生!」

    先生“ああ、分かった。――セリカ、シロコ、ノノミ。聞こえるかい?”

  • 19二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 23:02:31

    >>18

    セリカ『(ザザッ)こ、こちらセリカ!先生、何事!?』

    シロコ『ん、こちらシロコ。聞こえてるよ先生』

    ノノミ『同じくノノミ、聞こえてます。それで、ご用件は?』

    先生“すまない、こちらでも少し混乱していた。それで指示なんだけど――暴走してるミレニアムの兵器群を制圧しつつ、無事なミレニアムの子たちを投降させられないかな?”


    (先生の爆弾発言に、アヤネは元よりウタハやユウカ達元ミレニアム側だった生徒までもが目を見開く)

    (当然、通信先でやり合ってたセリカ達はなおの事)


    セリカ『はあ!?ちょ、何言ってるの先生!』

    シロコ『兵器群の破壊は問題ない。けど』

    ノノミ『…ミレニアムの生徒さん達は、ついさっきまで私たちと敵対していました。そんな人たちを、私たちで助けろと?』

    ヘルメット団『そうだそうだ!ふざけんな!』

    傭兵『あんな奴らほっとけばいいだろ!』

    マーケットガード『我々のシノギも、奴らに邪魔された挙句潰されたんだ!大損害もいい所だ!』


    (セリカ達のみならず、一時的に共同戦線を張っていたヘルメット団や傭兵、マーケットガードその他大勢までもがブーイングを上げる)

    (だが。それらの反論・罵声を真っ向から受け止め、先生は静かに言い返した)


    先生“守ってくれ、とまでは言わないよ。あくまで、彼女たちが自力で逃れられるよう整えてくれればいい”

    セリカ『けど!』

    先生“うん。君たちの怒りは正しいし、皆さんの不満も当然だ”

    先生“今回の件において君たちは紛れもない被害者で、巻き込まれた皆さんには申し訳も立たない。全てはシャーレの先生たる私の監督不行き届きにあるし、ミレニアムへの対応を怠っていた私の責任でもある”

    ノノミ『そ、そんな。私たちは何もそこまで』

    先生“だから最終判断と裁量はそちらに委ねるよ。さっき言った事は命令や指示じゃなくて、あくまで私個人としての提案。基本方針はさっきまでと同じ、迫りくる部隊を迎撃し、攻撃してくる者たちを順次制圧”

    先生“その過程で、もし助けられたり見逃せる余裕があったら少しだけ目こぼししてほしい。まあ、今の状況じゃ贅沢過ぎるお願いだけど”

    シロコ『…どうして。どうしてそこまでするの?ミレニアムの子たちは、先生だって危険に晒したのに』

  • 20二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 23:03:09

    >>19

    (シロコの疑問を、固唾をのんで通信先の面々が見守る)

    (いつしかブーイングの声は止み、誰もが先生の返答を待ち望んでいた)


    先生“簡単な話だよ、シロコ”

    先生“私は大人で、全ての生徒達の味方だからね”

    先生“だから――たとえ銃で撃たれようが砲弾で吹き飛ばされそうになろうが、私だけはどんな生徒相手でもただ一人味方で在り続けなければならないんだ”

    一同『――――』


    (通信先が、完全に静まる)

    (一秒、二秒、三秒。永遠に続くかと思われた沈黙を破ったのは、シロコだった)


    シロコ『――ん。分かった、じゃあ私は先生の言う事に従う』

    セリカ『シロコ先輩!?』

    シロコ『ミレニアムの兵器は全部壊す。生徒たちは見逃しつつ、抵抗してくるなら死なない程度に倒してほっとく。それでいいよね、先生?』

    先生“――ああ。すまない、無茶なお願いをして”

    シロコ『問題ない。それに、混乱してる今ならそこまで無理難題でもない』

    セリカ『ほ、本気なのシロコ先輩!?』

    ノノミ『そうですよシロコちゃん。今回ばかりはさすがのシロコちゃんでも無理です』

    セリカ『ノノミ先輩…』

    ノノミ『だから。――私も全力で協力しますね☆』

    セリカ『ちょおっ!?』

    シロコ『ごめん、ノノミ』

    ノノミ『違いますよー。こういう時は「ありがとう」です、シロコちゃん』

    シロコ『…ん、そうだったね。ありがとうノノミ』

    ノノミ『どういたしまして~☆それじゃ、行きましょうか~』

    シロコ『了解。これより作戦を一部修正し、続行する』

    ヘルメット団『お、お前ら正気かよ!?』

    傭兵『そうだそうだ!付き合ってらんねーぜ!』

    ノノミ『でしたら、皆さんは後方支援をお願いしますね~。…何も無理にとは言いません、皆さんは皆さんの出来る事をお願いします』

  • 21二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 23:03:30

    >>20

    シロコ『マーケットガードの人たちも、後方支援お願い。同士討ち真っただ中とはいえ、さすがにあの数全部は骨が折れる』

    マーケットガード『い、イカレてるよお前ら…』

    シロコ『ん、アビドスじゃこれくらい無鉄砲じゃないとやってられない。じゃ、行ってくるね』

    ヘルメット団・傭兵・マーケットガード『『『えええ…』』』


    (一方その頃、セリカの担当地区では)


    ヘルメット団「あ、あのー。セリカの姐さん、うちらはどうすれば?」

    傭兵「ま、まさか。姐さんまであっちの先輩さん達と同じ事するって言いませんよね?」

    セリカ「――そうね。ほんっとにもう……あの人たちは、いつもいつもこんなんばっかなんだから」

    ヘルメット団・傭兵((表情に希望を灯す))

    セリカ「しょうがないから、私もやってやるわよ!あんた達、後方支援お願い!」

    ヘルメット団「了解!…って」

    傭兵「え?姐さん、今なんて?」

    セリカ「だから。私も同じように突っ込むから、あんた達は後方で片っ端から敵叩いてって言ったの」

    ヘルメット団・傭兵「「…………」」

    ヘルメット団・傭兵「「はあああああっ!!?」」

    セリカ「あーもーうっさい!とにかく指示は出したからね!?じゃ、行ってくるから!」

  • 22二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 23:03:47

    >>21

    (呆然とする他の面々を置き去りにし、セリカは一人敵中へ突っ込んでいく)

    (その雄姿、あるいは無謀を目の当たりにした一同はただただ呟くのであった…)


    ヘルメット団・傭兵・マーケットガード「「「アビドス、ヤバすぎる…」」」



    アヤネ「シロコ先輩、ノノミ先輩、そしてアヤネちゃん。全員戦闘再開しました!相手側の混乱もあってか、だいぶ押し返してます!」

    先生“これでひとまず、地上は大丈夫そうかな”

    ウタハ「多分ね。それと先生、朗報だ。エリドゥに乗り込んだホシノ達との交信が回復した」

    アヤネ・先生“「えっ!?」”

    ウタハ「恐らくハブの暴走が影響してるんだろう。相手方のネットワークは大混乱だ、当分復旧しそうにはないね」

    コトリ「既にこちらで繋げておきました!どうやら全員無事みたいです!」

    先生“ありがとう、ウタハ、コトリ!それじゃ、早速――”


    (周波数を切り替え、ホシノのそれに接続する)

    (ウタハ達の事は信じていたが、それでも半ば祈るような気分で先生は呼びかけた)


    先生“ホシノ――ホシノ!聞こえるかい!?”

  • 23二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 23:05:30

    >>22

    今回も間章パート、地上編でした

    本当はもっと詳細に描写したかったのもあったのですが、あまりやり過ぎると本筋から脱線してしまうので…


    次回からは本当に最終決戦突入です

  • 24二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 01:04:23

    >>23

    お疲れ様です!!

    そうやろ?アビドスは色んな意味でヤバいんやで(誰目線)?

    キヴォトス最大の危機を乗り越えるんだ!!


    なお、それ以降もやばくなる模様

  • 25二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 01:48:49

    >>23

    更新乙です!

    アビドスもアビドスなりに激闘を繰り広げている、と

  • 26二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 12:04:36

    保守であります!

  • 27二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 18:55:48

    このレスは削除されています

  • 28二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 23:50:34

    >>22の続き

    (さて。舞台は再びエリドゥ最上層)

    (崩壊する『星の夢』格納フロアから間一髪脱出を果たしたホシノ達)

    (一行はひとまずコントロールルーム執務室――リオがいた部屋に集まっていた)


    ホシノ「うへ~、今度という今度こそはもうダメかと思ったよ~」

    ネル「さすがに冷や冷やしたぜ…。後ちょっとでも長居してたらヤバかったな」

    アスナ「ほんとほんと、通路のすぐ後ろが崩れてきた時はもうダメかと思ったよー」

    アカネ「カリン、その子の様子は…?」

    トキ「――」

    カリン「見ての通りだ。呆然自失、あるいは虚無といった所か。先程までは泣いていたようだが、今はもう…」

    ホシノ「トキちゃん…」


    (俯き、ひたすら床を見続けるだけとなってしまったトキ)

    (その姿をヒマリはどこか痛ましげな目で見つめていたが、やがて気を取り直すように手を叩いた)


    ヒマリ「――先ずは皆さん、ご無事で何よりです」

    ヒマリ「ですが、事態は私の想定を超えるものと成ってしまいました。それもかなり危険な方向に」

    ネル「『星の夢』、だったか?ありゃ一体何なんだ、リオの奴あんな物騒な兵器を隠し持ってやがったのかよ」

    チヒロ「厳密に言えば、アレは兵器じゃないよネル。昔のミレニアムの先輩方が作り出した、次世代型マザーコンピューターさ」

    ヒマリ「チーちゃんの言う通りです。元々、『星の夢』――かつてハブとも呼ばれていたそれは、あくまでもコンピューターの範囲内に収まるものでした」

  • 29二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 23:50:55

    >>28

    (ヒマリは語る)

    (十数年前、ミレニアムサイエンススクールの技術の粋を結集して組み上げられた次世代型マザーコンピューター)

    (演算機能は元より、従来のネットワークを踏み台にミレニアム校区のみならずキヴォトス全域の情報を蒐集・蓄積できる検索能力。物理・サイバー両面において鉄壁を誇り、たとえマルウェアの侵入を許したとしても自浄できるファイアーウォール。さらにさらに、搭載されたAIによる自律型アップデートシステム等々…)


    ホシノ「ごめん、もっとわかりやすく説明してもらってもいいかな?」

    ヒマリ「あら、失礼。確かに専門用語に偏り過ぎましたね。…まあ言ってしまえば、当時の技術者たちがコンピューターに求めた理想と夢の究極完成形、それがハブです」

    ヒマリ「いえ…正確には、『でした』と言うべきでしょう。何しろ十数年前のあの事故以来、ハブはずっと封印状態にあったのですから」

    ホシノ「事故?」

    ネル「――その話は、あたしも聞いた事あるぜ。なんせ昔散々ニュースでやってたからな」

    コユキ「…ネル先輩もニュースとか見るんだ」

    ネル「ああ″ん?(ギロッ)」

    コユキ「うひい!な、何でもないですぅ!」

    ヒマリ「コホン、話を戻しましょう。ネルの言う通り、マザーコンピューター・ハブは十数年前暴走し、大惨事を引き起こしました」

    ヒマリ「原因不明のAI暴走と、それに伴う超常現象の発生。結果生じた極小ブラックホールが当時のお披露目会に居合わせた観客や生徒たちを呑み込み、どことも知れない場所へと追放してしまったのです」

    トキ「……ッ!」


    (ブラックホール、追放という単語にトキが一瞬だけ震えるような反応を示す)

    (だがヒマリは、あえて気づかないふりをしたまま話し続けた)

  • 30二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 23:51:14

    >>29

    ヒマリ「原因となったハブは運用プロジェクトごと凍結が決定。その後ずっと、ミレニアムの倉庫で封印されていましたが…」

    マキ「どうしてぶっ壊さなかったのさ?聞く限り、残しておいていいようなモノじゃないでしょそんなの」

    ハレ「マキ」

    マキ「だってハレ先輩!そのハブだがハムだかのせいで、キヴォトスのみんなが大変な目に――」

    コタマ「落ち着いてください二人とも。…壊さなかったのは再利用の可能性が残っていたから、ですか?」

    ヒマリ「ええ、その通り。ハブは確かに大惨事を引き起こしてしまいました、ですが――学園上層部にも未練が残っていたのでしょうね。次代のミレニアムをけん引する筈だった夢の機械、その可能性への未練が」

    ヒマリ「それに暴走したとはいえ時空変動すら引き起こした程の性能。科学屋を謳うミレニアムとしてはむざむざ破壊するに忍びなかったのでしょう」

    ヒマリ「結果、このような事態を招く事になってしまったのは因果な話ですが」

    ホシノ「それで、なんだけどさ。その『星の夢』?だっけ、それは今何をしようとしているのさ。なんか生命根絶がどうのとかヤバそうな事言ってたけど…」

    ヒマリ「それは――」


    (その時。執務室に爆音が轟いた)


    ホシノ「!?」

    コユキ「うひい!?ここ、今度は何ですかぁ!?」

    ネル「敵襲か!?どっからきやがった!」

    アスナ「違うよ部長!見て、あそこ!」

    ネル「ああん…?」

  • 31二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 23:51:37

    >>30

    (アスナがある方向を指さし、ネルをはじめとする全員が視線を向ける)

    (その先には、爆発炎上を繰り返すエリドゥの景色が広がっていた)


    ネル「なんだ、どうなってる…!?アビドスだかどっかからの攻撃か?」

    チヒロ「いや違う。――コタマ、ハレ!」

    コタマ「通信傍受、確認しました。エリドゥ内に残る全防衛部隊が混乱中、同伴していた戦闘ロボが暴走し襲い掛かっているとの事です」

    ハレ「こっちでも確認できた。ロボットだけじゃない、自動砲台や無人機も暴走してる。この様子じゃ、多分地上も」


    (ハレが続けようとした瞬間、まさに絶妙なタイミングで先生からも通信が入った)


    先生“――ホシノ、聞こえるかい!?”

    ホシノ「うへ!?せ、先生!?なんで通信できてるの!?」

    先生“よかった、その様子だとどうやら無事そうだね。コユキもそこにいるかい?”

    ホシノ「う、うん。コユキちゃんも無事だよ。それよりどうしてこっちに通信が?」

    先生“エリドゥのネットワークが混乱してるとかで、繋がるようになったんだ。それよりこっちの状況だけど――”


    (先生から伝わった地上の戦況に、ホシノのみならず場の全員が顔を固くする)

    (暴走する戦闘ロボと無人兵器群、それに襲われるミレニアム生たち。戦況は混沌を極め、最早収拾がつく様子はないと――)


    先生“シロコ達が頑張って抑え込もうとしてるけど、どれだけ持つかは分からない。とにかく、何とかしてそちらから止める事はできないかい?”

    ホシノ「それは――」

  • 32二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 23:52:01

    >>31

    ヒマリ「失礼、割り込ませてもらいますね。――先生、聞こえますか?こちら『全知』です」

    先生“『全知』だって?今まで支援してくれてた”

    ヒマリ「申し訳ございませんが、要点だけ端的にお伝えします。まず、そちらの望みである戦闘ロボや無人兵器群の停止ですが極めて困難であると言わざるを得ません」


    (ヒマリの回答に、通信先の先生があからさまに動揺する気配が伝わってくる)

    (対してヒマリは淡々と事実を伝えていった)


    先生“それは、どうして?”

    ヒマリ「動揺しつつも冷静な返答、ありがとうございます。ウタハからお聞きになられているかもしれませんが、大前提としてミレニアム侵攻部隊の兵器群はほぼ全機がエリドゥからの制御下にあります」

    ヒマリ「加えて、今はその制御を担っていたマザーコンピューターが暴走し、こちらの手からも離れた状態…。言ってしまえば、今地上で暴れているのはミレニアム侵攻部隊というよりマザーコンピューター直々の命令を受けた離反部隊といった所でしょうか」

    ヒマリ「こちらでも総力を賭して指揮権奪取を試みますが、如何せんコンピューターの性能という点でどうしようもなく敗北しています。一時的に動きを鈍らせる事はできるでしょうが、そう長くは続かないでしょう…」

    先生“という事は?”

    ヒマリ「…遺憾ではありますが。こちらから、その暴走を完全に止める術はもう――」


    ホシノ「いや。あるよ」


    (ヒマリの声を遮り、ホシノが力強く言い放つ)

    (その場にいた全員が一斉にホシノへと注目した)


    ホシノ「さっきから話は聞いてたけどさ、要はそのマザーコンピューターとやらが全ての元凶な訳でしょ?」

    ホシノ「だったら、そいつをぶっ壊しちゃえばいいんだよ。おじさんとホルスアーマーならそれができる」

    先生“ホシノ――”

    ヒマリ「まってください。仮にそれが本当だとして、どうやってあそこまで行くのですか?今やマザーコンピューター――『星の夢』は、遥か上空に在るのですよ?」

  • 33二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 23:52:23

    >>32

    (ヒマリの指摘通り、『星の夢』は今やエリドゥからも離れキヴォトス上空に移動していた)

    (地上からの反撃を恐れているのか、あるいはそこが殲滅に一番都合がいいのか。いずれにせよ降りてくる気配は見えない)


    ヒマリ「言っておきますが、ミレニアムの航空戦力を当てにしているのであれば無駄です。そちらも全て『星の夢』の支配下、仮に飛び立とうとしても秒で自爆させられるか暴走するのがオチでしょう」

    ホシノ「ふっふっふ。それが、おじさんのロボットならそうはならないんだな。これが!」

    ホシノ「ヒマリちゃん、いや『全知』ちゃんだったかな?そっちも知ってるでしょ、この子の飛行形態」

    ホシノ「今こそ大空に向け、再びのテイクオフ!だよ!」


    (勢い勇み、ホシノがホルスアーマーの変形ボタンを押す)

    (…が。どういう訳か、何度押しても一向に変わる事はなかった)


    ホシノ「――――あれ?」

    ネル「おいどうなってんだ。さっきからピクリとも動かねーぞ、こいつ」

    アスナ「壊れちゃったんじゃないの?さっきまでずっと戦い通しだったしさ」

    ホシノ「お、おかしいな。さっきまでは普通に動いてた筈なんだけど…」

    ウタハ『…あーあー。お取込み中失礼、聞こえるかなホシノ?』


    (その時、とても気まずそうな声でウタハから通信が入った)


    ホシノ「あ、ウタハちゃんちょうどいい時に!なんかホルスアーマーが変形してくれないんだけど、どうなってるのさこれ」

    ウタハ『うん。その件について説明する前に、飛行モード変形ボタンの横にゲージのようなものが付いてないか確認してもらってもいいかな?』

    ホシノ「うへ?確かに、それっぽいのがボタンの横にあるけど」

    ウタハ『そうか。じゃあそのゲージは今どうなってる?』

    ホシノ「ええっと…」

  • 34二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 23:52:52

    >>33

    (ホシノがゲージを覗き込む)

    (かつては何かしらの色で満たされていただろうそれは、今や真っ黒に染まり一ミリも余分が存在しない)

    (ただ。ゲージの真ん中にデカデカとこう表示されていた――『Empty(空っぽです)』と)


    ホシノ「なんか、Empty?って表示されてる」

    ウタハ『うん、やっぱりか。要は燃料切れって事だね、それ』

    ホシノ「なんだそっかー。燃料切れかー」


    (あははは、と。ホシノは思わず笑ってしまう)

    (直後。事態の深刻さに気付き、今度は絶叫した)


    ホシノ「――はああああっ!!?どどど、どういう事!?な、なんで燃料切れなんかになってるのさ!?」

    ウタハ『元々飛行を想定して設計されたモノじゃなかったからねぇ。本来は輸送機やドローンを用いて前線まで移動し、その上で降下させるものだったんだよ』

    ホシノ「そ、そういえばおじさんが初めて出くわした時もそんな感じだったような…。じゃなくて!これじゃそもそも帰れないじゃん!?全部上手く行ってた時はどうすればよかったのさ!!」

    ウタハ『それはまあ、君が勝利した時点でエリドゥも何とか出来ているだろうと思っていたからね。最初から片道切符前提だったんだよ』

    ウタハ『一応、最悪の事態に備えてパラシュートは用意しておいたんだけどね。アーマーの中に入ってないかい?君とコユキの二人分』

    ヒナ「…もしかして、なのだけれど。これの事?」


    (再び覚醒したヒナが、中からゴソゴソと何かを取り出す)

    (丁寧に折り畳まれたそれは、紛れもなく二人分のパラシュートだった…)


    ホシノ「え、ちょっとまって。じゃあ、つまりもう一度変形して空を飛ぶ事は…」

    ウタハ『うん。無理だね』


    (ホシノの顔が今度こそ青ざめる)

    (様子を見守っていたヒマリ達もまた、絶望的な状況を前に肩を落としそうになる)

    (だが、一人だけまだ例外が残っていた)

  • 35二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 23:53:29

    >>34

    ヒナ「――いいえ。諦めるにはまだ早いわ」

    ホシノ「風紀委員長、ちゃん?」

    ネル「諦めるなって、どうすんだよ。うちの航空機は使えねえ、そいつのアーマーも変形できねえ。打つ手なしだろうが」

    チヒロ「一応、こちらでも残るエリドゥの対空兵器に干渉してはいるが……やはり厳しいね。いずれもハッキングにかかろうとした段階で阻まれてる」

    ヒマリ「ゲヘナの風紀委員長さん、残念ながらもう打つ手は――」

    ヒナ「あるわ。…要は、あそこまで飛んでいければいいのでしょう?」

    ホシノ「風紀委員長ちゃん。まさか…」

    ヒナ「ええ、そのまさかよ。――アコ、聞こえていたわね?」


    アコ『もちろんです!!ヒナ委員長!!』


    (突如として執務室内から響いた、天雨アコの声)

    (同時にどこからともなく轟音が響き――なんと!撃墜されたはずの空中戦艦ヒナバードが姿を現した!)


    ヒマリ「あれは…!?」

    ホシノ「風紀委員長ちゃんの戦艦!?復活したんだ!」

    ヒナ「ええ。――小鳥遊ホシノがそのロボットを自慢している間、先生を介して風紀委員会の皆と連絡を取ってみたの。あの人なら、絶対に何かしらコンタクトを取ってると思ったから」

    ホシノ「うへ~。黒歴史になっちゃったからやめてよ~」

    ヒナ「そうしたら、案の定というわけ。アコ、イオリ、チナツ。皆準備はいい?」


    アコ『当然です!ヒナ委員長!』

    イオリ『ご無事で何よりです!…本当に、本当に心配したんだから!』

    チナツ『お怪我はありませんか?どこか具合の悪い所などは?』

  • 36二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 23:53:58

    >>35

    ヒナ「大丈夫――というには、少々難しいけれど。とにかく支障はないわ」

    ヒナ「アコ、可能な限り戦艦をこちらに寄せて。今から小鳥遊ホシノとそっちへ乗り込む」

    アコ『了解です!イオリ、ギリギリまでタワーに接近。ヒナ委員長と小鳥遊ホシノが飛び込める、限界までです!』

    イオリ『了解、アコちゃん!』

    ヒナ「これでよし、と。――悪いけど、ここから先は死線になる。あなた達を乗せる余裕は」

    ヒマリ「構いませんよ、ゲヘナの風紀委員長さん。私たちは独自に脱出します。当てもありますのでご心配なく」

    ヒナ「そう。だったらいい。行くわよ、小鳥遊ホシノ――小鳥遊ホシノ?」

    ホシノ「…………」


    (ホシノがじっと、窓の外のヒナバードを見つめる)

    (その目は至って真剣に、何か考え込んでいる様子で…)


    ヒナ「どうしたの。早く乗り込みましょう、そのロボットの馬力ならここからでも余裕で――」

    ホシノ「ウタハちゃん、一つ確認していいかな?」

    ウタハ『?何かな?』

    ホシノ「前に言ってたコピースキャン機能、だっけ。あれってさ、コピー先の対象はどんなに大きくてもいけるの?」

    ウタハ『あ、ああ。理論上、どんなサイズでも行けなくはない。最もさすがに建造物クラスの代物はコピーできたとしても身動き取れなくなるだろうし、あえて上限を出すなら戦艦クラスがやっとになるかな?』

    ホシノ「へえ~。戦艦、かあ」


    (ホシノの目が、ギラリ!と光る)

    (それはまるで獲物を見つけた時のハヤブサのようで――)


    ヒナ「まちなさい小鳥遊ホシノ。あなた一体何、を――!?」


    (ホシノの様子に不穏な気配を察し、詰め寄ろうとするヒナ)

    (その身体をホルスアーマーの右手がむんずと掴み取り、後部座席へと放り込んだ)


    ヒナ「きゃあっ!?ちょ、ちょっと何を!?」

    アコ『ヒナ委員長!?小鳥遊ホシノ、あなた委員長に何を――』

  • 37二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 23:54:36

    >>36

    ホシノ「うへへ……いっくよ~!!」


    (困惑するヒナ、激昂しかけるアコ。そして驚いた様子でホシノを見つめるヒマリ達)

    (その全てを無視し、ホシノは勢いよく執務室の窓へ突っ込み――そのまま窓を突き破って飛び出した!)

    (眼前に広がるは、復活したばかりの空中戦艦ヒナバード)

    (ホルスアーマーを正面に向けると、ホシノは――)


    ホシノ「コピースキャン!スイッチオン!!」


    (勢いよく、これまでにない力強さで『C』ボタンを押し込んだ)

    (すると目論見通りホルスアーマーの胴体からスキャン光線が照射され、ヒナバードの船体を読み取っていく)

    (やがて完全に読み取り終えると――ホルスアーマー共々、ヒナバードは光に包まれた!)


    アスナ「わわわっ!?ま、まぶしっ!」

    ネル「あいつ、何のつもりだ――!」

    コユキ「ひ、ひえええ!?ホシノせんぱぁい!?」

    チヒロ「これは――一体、何が…?」

    ヒマリ「――驚いた。まさか、これ程だなんて…」


    アコ「な!何事ですか!?これは一体!?」

    イオリ「け、計器類が異常な反応を示してる!ど、どうなっちゃってるのさ!」

    チナツ「す、少なくとも航行機能に異常は見られません!ヒナバード、現在もひこう、ちゅ…?」


    (やがて光が収まり、視界が元に戻っていく)

    (否。正確に言えば、ある一点だけが大きく変わっていた)

    (エリドゥコントロールタワーのすぐそばまで接近していたヒナバード、その姿が――)


    ネル「んな……なんだありゃあ!?」

    コユキ「ピンク色の、空飛ぶ戦艦?」

  • 38二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 23:55:10

    >>37

    アスナ「ねえねえ、何かあの姿ホシノちゃんが乗ってたロボットに似てない?」

    チヒロ「まさか、一体化したとでも…?いやそんなバカな事、ある筈が」

    ヒマリ「あり得る、いえあり得てしまったというべきなのでしょうね。少なくとも、彼女はそういった無茶を実現してしまうような生徒です」


    (全体的にピンクに染まった配色。ゲヘナ学園からアビドス高校の校章に切り替わった艦首。さらにさらに、両翼に刻まれた『H』の文字)

    (厳めしかった先程までの姿からは一転。メルヘンともファンシーとも取れる姿に生まれ変わった最終決戦艦ヒナバードモードのホルスアーマーが浮かんでいた)

    (ちなみに、乗組員であるアコ達ゲヘナ風紀委員会は変わり果てた戦艦の姿に呆然と立ち尽くしていた)

    (そして、ホシノとヒナはというと)


    ヒナ「…あなたには驚かされるような事ばかりだったけど。今回ばかりは本当に呆れたわ。まさかうちの戦艦を丸ごと乗っ取るだなんて」

    ホシノ「うへ~、乗っ取るだなんて人聞き悪いな~。ちょっと戦いやすいよう、借りさせてもらっただけじゃん」

    ヒナ「いいわ。この際、あのマザーコンピューターを破壊できるのなら手段は問わない。今回だけは目をつぶっておいてあげる」

    ホシノ「さっすが風紀委員長ちゃん!よっ太っ腹!」

    ヒナ「ふざけてないで、さっさと操縦する。でないと、私が代わる事になるわよ」

    ホシノ「うへ、ごめんごめん。――それじゃあ、行こうか」


    ホシノ「目標、空に浮かぶ暴走コンピューター・星の夢!」


    ホシノ「最終決戦艦ヒナバード、発進!!」


    (エンジンを吹かし、最終決戦艦は空を往く)

    (目指すは今だ空中で睥睨し続けるマザーコンピューター・星の夢)

    (キヴォトスの命運を分かつ、真の最終決戦が幕を開ける――!)

  • 39二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 23:56:32

    >>38

    結局vs星の夢まで届かなんだ…

    次回こそは本当に最終決戦開始です


    そしてこれはうっかり張りそびれたBGM


  • 40二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 01:10:05

    >>39

    お疲れ様です!

    なんだかんだ書いていると筆が乗ってきて、結果長くなっちゃうのあるある。

    ついに最終決戦であります!!

  • 41二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 08:55:56

    >>39

    更新乙です!

    原作でもハルバード最終決戦モードは某ナイトも想定してなかったそうですよ?

  • 42二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 14:07:54

    んー保守!

  • 43二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 16:10:11

    そういえばアリウス(フロラルド)はどうなってんだろ?
    そっちもミレニアムに落とされたのか、地上優先にして後回しにされてるのか

  • 44二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 20:17:05

    >>43

    ・地形的(空の上)に攻め込むには難しい&他に制圧しなきゃいけない学校が山ほどある


    これら二つの理由からひとまずほったらかしにされてるというのが実情です>アリウス(フロラルド)


    ちなみに作中では描写できませんでしたがエリドゥでの最終決戦時に雲の上から支援砲撃しまくるアリスクメンバー、という展開も実は考えてました

    とことん話が延びに延びまくるのでやむを得ずお蔵入りにしましたが、一応枠外でそういう事もあったよとだけ

  • 45二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 20:25:01

    >>44

    なるほど

  • 46二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 23:02:27

    >>38の続き

    ・ラストステージ: マインド コントロールド バイ ア プログラム


    (キヴォトス上空、高度一万メートル)

    (遥か下に広がる学園都市を統べるかの如く、星の夢は地上の無人兵器群に攻撃指令を送り続けていた)

    (既に地上の全部隊に伝達され、後は速やかな遂行を待つばかり)

    (迎撃された所でエリドゥと地上に建てられた製造プラントをフル稼働すればいくらでも増援は生み出せる)

    (自分を脅かせる存在など、最早この都市には存在しない――)

    (だからこそ、下から飛んできた砲撃は何よりの不意打ちとなった)


    チュドオオオン!

    星の夢『――』

    ホシノ「よしっ、当たった!…けど」

    ヒナ「全然応えていないようね」

    ホシノ「うへ~。今ので壊れてくれたら楽だったのになぁ」


    星の夢『下方より攻撃を確認。ダメージレベル、軽度。自己修復プログラムの範囲内と認定』

    星の夢『攻撃対象・分析。――分析完了、該当データ一件。ゲヘナ学園風紀委員会所有の空中戦艦・ヒナバードの砲撃と推測』

    星の夢『さらなる分析を続行…。該当データのそれと、正面の機体に差異を確認。何らかのアップデートによるものか、もしくは極めてよく似た同型艦と――』


    ズドドド!

    ヒナ「…今、何か言っていたようだけど?」

    ホシノ「気にしない気にしない。どうせ大した事言ってるわけでもないんだからさ。さっさと壊して、スクラップにしちゃえばいいんだよあんなの」

    ヒナ「それもそうね。続けて頂戴」

  • 47二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 23:03:44

    >>46

    星の夢『…正面敵存在の情報を更新。極めて野蛮、かつ短絡的で暴力的な解決方法を好むものと推測。ミレニアムの将来には有害であると認定する』

    星の夢『メインシステム・戦闘モード起動。これより破壊作戦を開始する――!』


    ホシノ「ずいぶんとまあ、この短時間で流暢に喋れるようになったもんだ。ひょっとしてそれが君の素なのかな?」

    ホシノ「ま、どうでもいいや。――破壊できるものならやってみなよ。この艦は、キヴォトスに生きるみんなの希望を託されてるんだ」

    ホシノ「夢も見ない、ご飯も食べない。ましてや心も持たない壊れたマシンなんて、おじさんと仲間たちがボコボコにしてあげるよ!」


    (最終決戦艦ヒナバードが速度を上げ、星の夢に接近する)

    (同時に星の夢からもミサイルが放たれ、戦いの幕が明けた!)


    星の夢『目標、当機に接近。推定脅威度三十パーセント。過去の迎撃事例を考慮すれば、恐れるに足らず』

    星の夢『攻撃システム・メガビット・ショット起動。ワームホール開口――撃ちます』


    (星の夢の宣告直後、空間が歪み光弾が放たれる)

    (狙い過たず、光弾はヒナバードへと迫り――)


    ホシノ「うおりゃあああっ!」

    星の夢『!?』


    (その全てが、回転するヒナバードにより弾かれた)


    ホシノ「そんな攻撃じゃあ、この戦艦には傷一つつかないよ~?」

    ホシノ「それじゃ今度はこっちの番だ。――主砲、発射ァ!」


    (狙いを定め、ヒナバードの主砲が火を噴く)

    (砲弾はことごとく星の夢に命中し、派手な花火を閃かせた)

    (一方、火器管制システムが勝手に攻撃し始めた事でヒナバード艦橋内は軽くパニックに陥っていたが、まあ些末な事である)

  • 48二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 23:04:06

    >>47

    ホシノ「うへ~。さっきの攻撃もそうだけどさ、この主砲弱くない?もっとこう、派手にビームとか出てくれないの?」

    ヒナ「無茶言わないで。これでもゲヘナが有する戦力としては上位も上位の方よ」

    ホシノ「…おじさんに一度沈められた癖に(ボソッ)」

    ヒナ「な・に・か言ったかしら?(ズゴゴゴ)」

    ホシノ「なんでもないよ~」


    (軽口を叩く合間にも、ホシノは星の夢への攻撃を欠かさない)

    (相手からの攻撃は避けるか、弾き、自分の攻撃は完璧に叩き込む――)

    (アビドスで暴れていた時と何ら変わらない、ホシノの戦い方がそこにあった)


    星の夢『ダメージレベル、五十パーセントを突破。自己修復機能、追いつかず…!』

    星の夢『スペックデータ及び脅威度を再修正。過去の戦闘データは削除、現状の戦闘力との差分大』

    星の夢『何故…?武装も当時から更新されていない筈。なのに、どうしてこちらが追い詰められている…?』


    (対して、星の夢の方は混乱するばかりだった)

    (かつて交戦した時は、エリドゥの防衛機能により一蹴されて終わった空中戦艦)

    (それが今や自分を圧倒し、容赦なく追い詰めていく)

    (否。追い詰められているという自覚さえ、星の夢は今初めて抱いたばかりだった)


    ヒナ「…何故でしょうね。理由は分からないけど、今物凄く侮辱されたような気がするわ」

    ホシノ「うへ~。風紀委員長ちゃん、顔怖いよ?」

    ヒナ「私はいつも通りよ。それより――さっさとあのポンコツを粗大ゴミに変えて頂戴」

    ホシノ(何だろう。自分が好き放題利用されたからだとか、仲間を傷つけられたからだとかじゃなくて。それとはまた違った理由でこの子キレ散らかしてるよ~)


    (内心震えるホシノであったが、やるべき事は変わらない)

    (順調に星の夢を削り、破壊を重ねていく)

    (やがて追い詰められた星の夢は、信じられない攻撃手段に打って出た!)

  • 49二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 23:04:37

    >>48

    ホシノ「っ!?あの、光は――?」

    ヒナ「空の上、いえそれよりも高く伸ばしている…?っ、まさか!!」

    ホシノ「風紀委員長、ちゃん?」

    ヒナ「今すぐ破壊を――ダメ、間に合わない!」


    (ヒナが警告するも、一歩遅かった)

    (星の夢が遥か頭上に向け伸ばした光――それは、大気圏外にまで到達した引力光線)

    (その力に引き寄せられ、なんと!星の外から隕石が多数落下してきた!)


    ホシノ「うええっ!そ、そんなのありぃ!?」

    ヒナ「まずい、急いで回避を――!」

    ホシノ「ダメ!そんな事したら、地上がタダじゃすまない!」

    ヒナ「っ!?」


    (落下する隕石の軌道は、いずれもヒナバードを狙ったもの)

    (だが――同時に、その背後にあるエリドゥやキヴォトスにも向いたものでもあった)

    (ヒナバードの機動性とホシノの操縦能力をもってすれば回避は容易い)

    (しかしそうすれば、避けた後ろにある護るべきモノに甚大な被害が――!)


    ホシノ(どうすれば…ッ!)

    ヒナ(ヒナバードの武装で迎撃――ダメ、生中な攻撃じゃ破片をまき散らして終わる。それじゃ結局規模が変わるだけで、被害が出てしまう…!)


    (進退窮まるホシノとヒナ)

    (その時。彼女たちの目にチカチカと光るランプが飛び込んできた)

  • 50二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 23:05:05

    >>49

    ヒナ「これは…一体?」

    ホシノ「もしかして。『押せ』って言ってるの?」


    (ヒナバード、ひいてはその核となったホルスアーマーにホシノは問いかける)

    (当然返答など来る筈もなかったが、どの道他に選択肢もない)

    (ホシノは決意し、ランプの傍にあるボタンを力強く押した!)

    (すると――)


    ヒナバード(ビカッ!と。ヒナバードの艦首、そこに刻まれたアビドスの校章が輝く)

    ヒナバード(直後、迫りくる隕石群に向け自動で照準され――艦首から、極大ビーム砲が放たれた!)


    ヒナ「う、嘘…?」

    ホシノ「うへぇ!ま、眩しいよ~!」


    (極大ビームに呑み込まれ、隕石群が跡形もなく消滅する)

    (破片どころか塵一つ残さず、降り注がんとした脅威は完全に失われた)

    (星の夢でさえも想定外過ぎた事態を前に完全に硬直する)

    (そして――その隙こそ、ホシノ達が望んだ瞬間でもあった!)


    ヒナ「今よ、小鳥遊ホシノ!」

    ホシノ「りょーかい!ホルスアーマー、じゃなかったヒナバード!全力攻撃!!」

    星の夢『~~~~!!』


    (ヒナバードが有する全兵装、それらによる一斉砲撃)

    (大規模攻撃と想定外を前に固まっていた星の夢に避ける術など最早なく)

    (その全てが、星の夢に命中。ひとたまりもなく爆散した!)

  • 51二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 23:07:01

    >>50

    (エリドゥ突入時にステージ名書き忘れてた…という事をここで懺悔)


    とりあえず一旦ここまで。続きはまた幕間を挟んでから、第二形態戦へと移る予定

    夢の泉編から始まってあれこれ書いてきたけど、今回でようやくまともな戦闘シーンを書いた気がする…

  • 52二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 00:27:39

    >>51

    お疲れ様です!

    まぁ…自分が一番はじめに書いた空崎ヒナの逆襲編とか会話重視・ストーリー重視だし…ていうか会話をそれとなく変換&追加しただけだったし…

    戦闘描写書くのは嫌いじゃないんだけどね

  • 53二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 00:41:03

    そしてこれはまたしてもうっかり貼り忘れてた『vsスタードリーム』

    VSスタードリーム - 星のカービィ ロボボプラネット


  • 54二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 01:41:56

    >>51

    更新乙です!

    戦闘描写は作者の技量が試されるとか何とかって話を聞いたことがありますね

  • 55二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 10:42:46

    一応保守

  • 56二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 19:20:26

    >>50の続き

    (一方、エリドゥに残されたヒマリ達はというと)


    ネル「おい、こっちの道で本当に合ってんだろうな!?」

    チヒロ「間違いない。所々崩れたり、破壊されてはいるがルートは合ってる。それより油断しないで、いつどこから暴走した兵器が突っ込んでくるか」


    (チヒロが忠告している間にも、行く先の壁が破壊され暴走した戦闘ロボが現れる!)

    (こちらを捕捉するや、ロボットの銃口はヒマリ達に向けられ――直後、本体ごと爆散した)


    アカネ「目標沈黙、増援の気配もなし。オールクリアです、リーダー」

    ネル「おし、先に進むぞ。ここら辺もそろそろヤバくなってきやがった、とっとと例の脱出ポイントに向かわねえとな!」

    コタマ「…忠告するまでも、なかったみたいですね」

    ハレ「さすがミレニアムでも屈指の武闘派集団。ロボの方に同情したくなってきた」

    ネル「無駄口たたく暇があるなら足動かせ、足!」

    ネル「――それと。てめぇもいつまでうちの部員に担がれてんだ。戦え、とまでは言わねえが自分で走るくらいはしろ。手が足りねえんだよ」


    (ネルが睨みつける先、そこにはカリンに背負われ沈黙するトキの姿があった)

    (その顔は無表情を通り越して虚無に陥っており、最早生気さえも感じられない)

    (だがそれもその筈。今のトキは――)


    トキ「……」

    ネル「おい、何とか言ったらどうなんだ。ああ?」

    アスナ「ちょっと部長!さすがに言い方きついって!この子、目の前でご主人様があんな事になったのを見せつけられたばかりなんだよ!」

    ネル「知ってるよ。だから、猶更蹲ってる場合じゃねえって言ってんだろうが」


    (アスナに窘められるも、ネルは気にせず足を止めてまでトキに詰め寄る)

    (言い方こそ乱暴だったが、そこにはネルなりの思いやりと励ましが込められていた)

  • 57二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 19:20:46

    >>56

    ネル「てめぇがそうやって凹んでた所で、あのイカレコンピューターは返してなんぞくれねえぞ」

    トキ「……」

    ネル「あの小鳥遊ホシノって奴はつええし、一緒にいたヒナとかいう風紀委員長も操られてはとはいえ相当な実力者だ。加えて、そんな奴を援けに仲間たちが戦艦ごとやってきた。ほっときゃ確実に、リオの奴は助かるかもな?」

    トキ「……」

    ネル「てめぇはそれでいいのか。てめぇの大事なご主人を、てめぇ以外の奴に運命を委ねさせて、それで後から『ご無事で何よりです』って胸張って言えんのか。メイドの端れ下ってんなら、今こそ」

    トキ「うるさい」

    ネル「――あ?」

    トキ「うるさい……うるさい、うるさいうるさいうるさいうるさい!!あなたに何が分かるっていうんですか!!」

    カリン「ちょっ、耳元で怒鳴るな暴れるな!?リーダーもこんな時に何煽り散らかして…ッ!」


    (カリンの背から強引に降り、トキはネルに掴みかかる)

    (対するネルは、先程までの険しい口調から一転してされるがままとなっていた)


    トキ「私だって!!助けられるモノなら、リオ様を助けに行きたい!!」

    トキ「でもできない!いや、できなかった!!」

    トキ「だって――だって!あの人はもう、私の事なんか眼中にない!!」

    (眼中にない。その言葉にヒマリがピクリと眉を顰める)

    (だがトキは気づく事なく、常の態度からは想像もつかない程の感情を露わに激昂していた)


    トキ「あの人は……リオ様は!昔はあんな人じゃなかった!」

    トキ「いつだって優しくて、笑顔を向けてくれて、私が困っていたり悩んでいたらいつだって手を差し伸べに来てくれた!」

    トキ「でも、もう違う…。あの日、あの事件から私たちは変わってしまった……変わって、しまわれた」

    トキ「あの人はもう、私が知るリオおねえちゃんじゃなくて、ミレニアム生徒会の会長・調月リオなのだから!!」

    ネル「――おねえちゃん、だと?」

  • 58二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 19:21:27

    >>57

    (そこで、ずっと掴まれるがままだったネルが驚いた顔でトキを見つめ返す)

    (涙が溢れ、グチャグチャになったその顔はまるで迷子の子どもが身内を探し求めているようだった)


    アスナ「うそぉ!?リオ会長、妹さんいたの!?」

    アカネ「そ、そんな筈は――私たちC&Cの情報網にも、そんなデータは存在しません」

    カリン「だが、今確かに『おねえちゃん』と」

    ヒマリ「――実妹ではありませんよ。昔の『私』たちが、そう呼ばれていたというだけです」


    (ずっと黙っていたヒマリがネルとトキの傍に寄る)

    (その顔には積年の苦渋と悔恨が刻まれており、まるでこれから懺悔に臨む罪人のようだった)


    ネル「どういう事だ、ヒマリ」

    ヒマリ「…先程のお話を覚えていますか?かつて、ミレニアムで起きた大惨事――マザーコンピューター・ハブの暴走事故を」

    ネル「ああ。確か、暴走した挙句ブラックホールだか何だかを生み出して、大勢の犠牲者を出しちまったって話だろ。それが何か――」


    (問い返す途中で、何かに気づいたかのようにネルの顔が強張る)

    (そして、その推測は当たっていた)


    ネル「…おい。まさか」

    ヒマリ「察しが良いですね、ネル。ご推察の通り、当時その現場に私は居合わせていました。それもかつての幼馴染たち――リオと、そこにいるトキ『ちゃん』も一緒に、です」

    ヒマリとトキ以外の全員『…………』


    ヒマリとトキ以外の全員『え――えええええっ!!?』


    アスナ「う、嘘でしょ!?ヒマリ部長とトキちゃんが大事故の被害者!?」

    アカネ「で、ですが!例の事故による行方不明者は、全員今だ未帰還の筈では!?」

    カリン「そうだ、私もその話は知っている。事故発生から十数年、ヴァルキューレをはじめ各捜査機関の調査でも足跡すら見つかっていないと」

    コユキ「じゃあ……じゃあ。ま、まさかこのトキさんは、ゆゆゆ、幽霊…?」

    ヒマリ(笑顔のままコユキを睨みつける)

  • 59二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 19:21:56

    >>58

    コユキ「ひいぃ!?」

    ヒマリ「失礼、怯えさせてしまいました。ですがご安心を。ここにいるトキちゃんは幽霊などではありませんし、ちゃんと生きていますよ」

    トキ「ヒマリ、おねえちゃん…」

    ヒマリ「…まだ、その呼び方で呼んでくれるのですね。彼女――リオに仕えるようになってからは、ずっと部長呼びでしたから。私の事も、もう忘れてしまったのかとばかり」

    トキ「忘れる、わけ……忘れるわけ、ありません!だって、だってえ……!」

    ヒマリ「ごめんなさい、今のは失言でした。――でも、私もあなたの事は一日だって忘れた事はありませんでしたよ?」

    ヒマリ「因縁深いミレニアムに入学して、ヴェリタスの部長にまで上り詰めて、あの女もといリオの指示に従って特異現象捜査部を立ち上げて収まったのも。全てはあの日行方知れずになったあなたを探す為だったのですから」

    エイミ「…部長、そんな事情があったんだ」

    チヒロ「そういえば昔言ってたね。『どうしても見つけたい、大事な人がいる』と。あれは、トキの事だったんだね…」


    (泣きじゃくりながらヒマリに抱き着くトキ)

    (その様子はまるで本当の姉妹のようであり、同時に彼女たちの離別の長さを思わせるものがあった)


    ヒマリ「…リオも、昔は間違いなく同じ理由でした。血の滲むような努力と勉強を重ねて、それまでの友人付き合いも全て捨てて。合理主義の権化とまで揶揄される程の人間になったのも――全ては、ただ一人の親友を探し出す為」

    ヒマリ「でも、ミレニアムに入学して。セミナーに入って、あれこれ暗躍していく内に彼女は変わってしまった」

    ヒマリ「私と顔を合わせてもこの子の話をしなくなり、代わって口にするのはミレニアムの将来や繁栄に関するものばかり。会長としての立場も加わったとはいえその変節に失望し、恨んだ事もありましたが…」

    チヒロ「…恐らく、会長の座に収まった頃。その頃から、変節は始まっていた。そうだよね、部長?」

  • 60二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 19:22:24

    >>59

    (ヒマリは、無言で頷いた)


    マキ「え、え?そ、それって――」

    コタマ「十中八九ハブ、いえ星の夢の影響でしょうね。あのコンピューターは、使用時に脳波を介したコントローラーを用いるという情報もありました」

    コタマ「そして。濫用し続けた場合、使用者の脳にも悪影響を及ぼしかねないというリスクについても」

    コユキ「あ、悪影響って。そんな、たかがコンピューターでしょう?ちょっと頭と繋がったくらいで、そんなおかしくなるなんて事あるんですか?」

    ヒマリ「あったから、今この状況は生まれた。そう考えられませんか?」


    (今度こそ言葉を失い、一同は沈黙する)

    (ヒマリとトキ、そしてリオが抱えていたものの重さと切実さ)

    (そして――それが齎してしまった現状に、どうしようもない憤りが生まれる)


    ネル「チヒロ。ここから例の脱出ポイントまで、あとどれくらいだ?」

    チヒロ「…残り二キロ程。さっきまでのペースなら、あと十分もしない内に辿り着けると思う」

    ネル「そうか。――それともう一つ。こいつが着てたパワードスーツ、アビだかエビなんちゃらだったか?そいつの予備をしまってそうな場所に心当たりあるか?」

    トキ「!?」

    チヒロ「どうだろう。一応探してはみるけど、今の状況じゃ時間がかかり過ぎる。それにもたもたしてたら私たちだって」

    ヒマリ「いえ、知ってますよ。確かここから五分とかからない場所にありますね。おや、これはすごい偶然」

    トキ「……!?」

    ネル「よく言うぜ、最初からこれを見越してわざわざ指定したんじゃねえのか?」

    ヒマリ「ふふ、どうでしょう?確かに私はミレニアム自慢の超天才清楚系病弱美少女ハッカーですが。そんな私でも全てを仕込めるわけではない、とだけ言っておきます」

    ネル「あーはいはい。そういう事にしといてやるよ――つーわけだ、後輩」

  • 61二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 19:22:45

    >>60

    トキ「……?」

    ネル「お前はあたしとこっから別行動だ。目的地はここから五分ほど行った先にあるとかいう、お前専用武装の格納庫。そこでお前はそいつに着替え、今すぐリオんとこへ行ってこい。以上」

    トキ「――は?」

    ネル「生憎だが、異論反論は受け付けねえ。そんな余裕も時間もねえんでな。――アスナ!」

    アスナ「はいはーい!」

    ネル「お前はこのままヒマリ達を連れて地上まで脱出しろ。あたしはこいつを送り届けてから、自力で何とかする。いいな、傷一つつけんじゃねえぞ?」

    アスナ「りょーかい!任された!」

    ネル「カリン、アカネ。お前らはアスナのサポートだ。こいつが勢いあまってやらかさねえようちゃんと目ェ光らせとけ。…できる限りな」

    カリン「ゼロツー了解。可能な限り、努力する」

    アカネ「了解しました、リーダー。そちらもどうかご武運を」

    ネル「ハッ、誰に言ってやがる。あんたもそれでいいよな、ヒマリ?」


    (ネルの視線に、ヒマリはニッコリを笑みを浮かべる)

    (それで答えは出たとばかりに、ネルはトキの片腕をひっつかみ歩き出した)


    トキ「は、放してください!何を勝手に決めて――!?」

    ネル「あーうるせえ、てめぇまだ分かってねえのかよ?あんだけ散々打ち明け合っただろうが」

    トキ「分かってない…?打ち明け…?だから、何の話を」


    (特大の溜息を吐き、再びネルは足を止める)

    (時間を費やすのもまだるっこしいとばかりに、呆れきった顔でトキに向き直り言い放った)


    ネル「ヒマリもリオも。お前の幼馴染で『おねえちゃん』達は、誰もお前の事を忘れてなかったって事だよ」

  • 62二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 19:23:10

    >>61

    トキ「――――ッ!?」

    ネル「ヴェリタスの奴らが言ってただろうが。『リオの変節は会長になってから』だったって。そりゃつまり、お前を見つけ出す為にあのイカレポンコツに手を出したってこったろ?」

    ネル「それこそ――自分の大事な思い出を、犠牲にしてまで。どうしても、もう一度会いたかった幼馴染と再会する為に」

    トキ「そん、な。でも、それは…」

    ネル「なら。リオは何の為に努力してたんだ」

    ネル「ミレニアムの繁栄とやらの為か?この学園都市全部を支配する為か?それとも――並大抵の手段じゃ叶わねえような奇跡を掴み取る為か」

    ネル「何が正解かなんて、今のお前なら余裕で分かる筈だろ?」

    トキ「――――」


    (トキの目に再び涙が滲む)

    (それは慟哭ではなく、激情の涙)

    (不甲斐ない自分自身への怒りであり、奮起する為の起爆剤)


    トキ(――私は、何をやっているのか)

    トキ(こんなにも言いたい放題言われて、勝手に失望して、その挙句――こうやって、敵だった人に諭されるまで気づけなくて)

    トキ(こんな……こんな事の為に、私はあの地獄を生き延びてきたというの?)


    (トキの脳裏に、忌まわしい過去の記憶が蘇る)

    (ブラックホールに呑み込まれて気を失い、再び目を覚ました時には得体の知れない異空間)

    (怪物たちに襲われ、追われ、あわや餌食になりかけた事もあった)

    (そんな地獄で偶然にも出会いに恵まれ、さらには運よく再びの時空変動に巻き込まれた結果で現世への――キヴォトスへの帰還も果たした)

    (あの頃、助けてくれたキツネ耳のお姉さん達がどうなったのかなんて分からない)

    (今でもあの異空間を彷徨い続けているのか、それとも自分と同じように脱出できたのか)

    (トキには何一分からず、また知る由もない)

    (ただ一つ明らかなのは――ここで、立ち止まっている暇はないという事だけ)

  • 63二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 19:23:28

    >>62

    トキ「戻ってください、ネル先輩」

    ネル「あ?急に何言って」

    トキ「ここから先は私一人で大丈夫です。道順も、その先の手筈も全て把握しております」


    (打って変わって、力強い声で応えていくトキ)

    (その声音と口調はホシノと対峙していた頃のそれに戻ってこそいたが――ホシノと対峙していた頃にはなかった、確かな熱が込められていた)

    (ネルもまた一瞬訝しんだものの、その強い視線に何かを感じ取り、小さく頷く)

    ネル「――そうかよ。なら、あたしからこれ以上言う事はねえな」

    トキ「はい。急ぎ脱出を、あのマザーコンピューターが追い詰められればこのエリドゥもただでは済みません。ヒマリ…部長と共に、すぐここから離れてください」

    ネル「んだよ。さっきみてえに『おねえちゃん』呼びじゃなくていいのか?」

    トキ「さっさと行ってください。ぶっ飛ばしますよ」

    ネル「お、やるか?……なんてな、冗談だ冗談」

    ネル「そんじゃ、後の事は任せたぞ後輩!きっちりやって、リオの馬鹿を連れ戻してこい!!」


    (トキを見送り、ネルは来た道を引き返していく)

    (その後ろ姿を見届ける事なく、トキもまた目当ての格納庫へと急ぐ)

    (常の如き無表情な横顔だったが――そこには、確かに主を思う従者の忠義と親愛が宿っていた)

  • 64二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 19:28:48

    >>63

    ※このSSは『ブルーアーカイブ』をベースにした二次創作です。原作とは異なる設定も多々ありますが、基本フィクションですので悪しからず(今更過ぎる前提)


    というわけで、エリドゥ残留組の現状とリオ・ヒマリ・トキ周りの過去真実でした

    ちなみに異空間でトキを助けてくれたのはカヤエピローグにも出てきたFOX小隊です。異空間内部は時間の流れがあやふやになりがちなアレ


    トキを助けた頃はカヤと出会った頃程人間離れしておらず、しばらくの間保護対象として面倒を見てました

    ですがある日、異空間内の時空変動に巻き込まれ、トキはそのまま脱出。残されたFOX小隊一同は気にかけながらも、カヤと出会うまでずっと彷徨い続けてました


    脱出してからFOX小隊の面々と再会しなかったのは、リオ会長に付きっ切りだったからという事で一つ

  • 65二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 19:30:50

    >>64

    追記:カヤエピローグとそれ以前のWii編については下記リンク先を参照

    https://bbs.animanch.com/board/3343002/?res=186

  • 66二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 20:46:43

    >>64

    更新乙です!

    思わぬ繋がりが出てきて驚きですわ


    トキはいつかfox小隊と再会できたら良いですねぇ

  • 67二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 22:42:09

    >>63の続き

    (さて。舞台は再び、上空のホシノ達)

    (星の夢を撃墜し、勝利の余韻に浸りかけていたホシノ達だったが――その時。落下していく星の夢の異変に気が付いた)


    ヒナ「まって、小鳥遊ホシノ。様子がおかしい…!」

    ホシノ「うへ?」

    ヒナ「あいつ、ただ落下してるだけじゃない。まるでどこかに着陸しようとしているような…!?」


    (ヒナの危惧は当たっていた)

    (墜落する一方だった星の夢は、エリドゥに不時着する直前で体勢を立て直しまさかの逆噴射)

    (落下速度を殺し、そのまま緩やかに降下すると――エリドゥ中央のパワープラント、その上部に取り付いた!)

    (さらに、パワープラントと合体した星の夢はブルブルと振動し始め…)


    ホシノ「な、何?何をする気?」

    ヒナ「…まさか」


    (ホシノとヒナがおっかなびっくり見守る中、星の夢の振動が止まる)

    (直後、星の夢は再びブースターを吹かし、再上昇し始めた!)

    (それも、合体したパワープラントと思しき構造物諸共に…!)


    ホシノ「うえええ!?そ、そんな事あるぅ!?」

    ヒナ「――さすがミレニアムの発明品。どうやらそう簡単には決着をつけさせてくれないようね」


    (見る見るうちに速度を上げ、再びヒナバードの前に立ち塞がる星の夢)

    (惑星めいた巨大球体型パワープラント最上部と融合し、鎌首をもたげるようにヒナバードを見下ろす異形)

    (その姿は、まるで星の夢がキヴォトスを含むこの星全てを支配する未来を暗示しているかのようだった…)


    ホシノ「…気に入らないなぁ」

    ヒナ「小鳥遊ホシノ?」

    ホシノ「そうやって、『我こそ王様なり』って感じにこっちを見下すような所も。一方的にあれこれ決めつけて押し付けてくる所も。何より――他人を支配して、いい気になってる所とかも含めて全部」

  • 68二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 22:42:34

    >>67

    ホシノ「まあおじさんも色々抱え込みがちだから、あまりえらそうな事は言えないんだけど…」

    ホシノ「うん、でもこれだけは言い切れる。星の夢、お前はこの世界に在ってはいけないモノだ」

    ヒナ「……」


    星の夢『パワープラントとの同調率、八十五パーセント。出力に問題なし』

    星の夢『リカバリーシステム再起動。先の戦闘で生じたダメージ、九割まで回復』

    星の夢『戦闘モード再起動。これより敵性存在の排除を再開します――』


    ホシノ「やってみなよ、ガラクタ」

    ホシノ「何度立ち塞がろうとも――完膚なきまでに叩き壊してあげるから!」


    (星の夢が再びワームホールを開き、そこから無数のリング型光弾を放つ)

    (その全てを避け、ホシノは再びヒナバードによる砲撃をお見舞いした!)


    ドガガガ!

    ホシノ「かったい…!けど通じてないわけじゃない!」

    ヒナ「ええ。あそこを見て、外殻の一部が剥がれて中身、が…?」

    ホシノ「風紀委員長ちゃん?どうし――」


    (ヒナが何かに気づいたかのように言葉を詰まらせる)

    (何事かとホシノは誰何しかけたが、その暇もなく今度は巨大なアルファベット型ビームが飛んできた!)


    ホシノ「わわわっ!あ、危ない!」

    ヒナ「――!落ち着いて小鳥遊ホシノ、敵の攻撃は苛烈だけど隙がないわけじゃない」

    ヒナ「冷静に、着実に。砲撃を重ねて追い詰めるの、いいわね?」

    ホシノ「分かってるよ、風紀委員長ちゃん!」


    (ヒナの助言通り、ホシノは戦艦を駆って攻撃し続ける)

    (絶え間ない砲撃に耐えかねパワープラントの外殻が一つ、また一つと剥がれ落ちていく)

  • 69二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 22:42:54

    >>68

    (そして。その全てが失われた時、姿を現したのは――)


    ホシノ「う、うそ…」

    ヒナ「――やっぱり、勘違いじゃなかったのね」

    ホシノ「な、なんで……どうして、ノヴァがここにいるの!?」


    (かつて、一人の怪談家が引き起こした大事件)

    (太陽と月の大ゲンカから始まり、その解決の為星々を繋ぎ合わせて呼び起こした機械仕掛けの大彗星ノヴァ)

    (最終的に黒幕の手で暴走させられたそれは、ホシノとヒナの活躍によりどうにか破壊したのだが――)

    (信じられない事に、今ホシノ達の目の前に浮かぶパワープラント本体はそのノヴァと限りなく同じ姿形をしていた)


    ヒナ「いいえ、よく見て。確かに見た目はノヴァそっくりだけど、色合いが違う」

    ヒナ「それに、あれが本当にノヴァだというのならとっくの昔に私たちは敗北していた筈。でも、私たちがこうやってまだ戦っていられているという事は――」

    ホシノ「あのノヴァは偽物?」

    ヒナ「もしくは、話を聞いたミレニアムがこっそり再現しようと裏で作っていたって所でしょうね。あそこの科学屋ならやりかねないわ」

    ホシノ「あー…」


    (ホシノの脳裏に、テヘペロ顔のとある部活動三人組が浮かび上がる)

    (確かにあの三人辺りであればやりかねない行動力と実力があった…)


    ホシノ「――という事は、だ。あのノヴァもどきに、ノヴァみたいな力はないって事かな?」

    ヒナ「どうでしょうね。少なくともあれだけの要塞都市を丸々動かす出力ですもの、並大抵の脅威じゃない事は確実だわ」

    ホシノ「で・も。一つだけ分かってる事もあるよ、風紀委員長ちゃん」

    ヒナ「…一応聞くけど、何かしら?」

    ホシノ「それはねえ――」

  • 70二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 22:43:27

    >>69

    (ホシノが、ヒナバードの操縦桿を握り直す)

    (その瞳は獲物を狙い定めたハヤブサのように鋭く、そして獰猛なモノに満ちていた)


    ホシノ「ぶっ壊せるものなら、どうとでもできる!って事だよ!」

    ヒナ「……(ある意味予想通りの回答に、ホシノの後ろで溜息を吐く)」

    ホシノ「うへへ…いっくよ~!!」

    星の夢『オミャァアアアア―――!!』


    (吶喊してくるヒナバードに対し、産声のような咆哮で応える星の夢)

    (空間すら歪ませるような力の脈動に、上下左右の感覚まで狂いそうになる)

    (…というより。実際、距離感が狂いかけていた)


    ホシノ「わわわ!?す、吸い込まれる~!」

    ヒナ「逆噴射急いで!呑み込まれるわよ!」


    (まさかの吸引攻撃を前に、あわや吸い込まれかけるヒナバード)

    (幸いすんでの所で逆噴射が間に合い、飲み込まれる事だけは回避した)


    ホシノ「あ、危なかったぁ…」

    ヒナ「油断しないで。追い詰めているとはいえ、相手はまだまだ健在。攻撃の手を緩めず、それでいて相手の動きもよく見るの」

    ホシノ「分かってるよ~!」


    (星の夢の攻撃をかいくぐり、再び攻撃を重ねていくホシノ)

    (――と、その最中。ホシノとヒナはある事に気が付いた)


    ホシノ「…ねえ、風紀委員長ちゃん。あのデカブツが繰り出してる、攻撃の事なんだけどさ」

    ヒナ「攻撃がどうしたの?」

    ホシノ「さっきから撃ち出してる、数字型のホログラム弾なんだけど――気のせいかな?なんか、カウントが減ってる気がしない?」

    ヒナ「奇遇ね。私も同じ事を考えていたわ」

  • 71二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 22:43:47

    >>70

    ホシノ「…おじさんの推測でしかないんだけど。この手のカウントが減ってく系のやつってさ――おっと!」


    (最後のホログラム弾を避け、ヒナバードは攻撃に移ろうとする)

    (通り過ぎていったホログラム弾の数字には、『1』と記されていた)

    (そして――)


    星の夢『――――!』


    (星の夢が赤黒く光り輝き、その正面に何かを映し出す!)

    (映し出された、その文字は)


    ホシノ「Fatal……Error……?ごめん、なんて意味だっけ?」

    ヒナ「確か、そう――」


    ヒナ「『致命的な過ち』」


    ホシノ「――ッ!?」


    (ヒナが呟き、ホシノの身体に悪寒が奔った直後)

    (咄嗟に星の夢から距離を取ろうとしたが、全ては手遅れだった)

    (星の夢から、今までとは比べ物にならない威力・範囲の衝撃波が放たれる!)

    (避けようもなければ防ぎようもない圧力を前に、ヒナバードは嵐の中の木の葉めいて揺さぶられた!)


    ホシノ&ヒナ「「あああああっ!!」」


    (装甲を貫き、コクピットにまで達する程の破壊力)

    (ホシノとヒナの全身に激痛が奔り、気を失いかけた)

    (だが――)

  • 72二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 22:44:33

    >>71

    ホシノ「まだ…まだ、だよ…!」


    (気力だけで踏みとどまり、ホシノは操縦桿を握りしめる)

    (全身の痛みは今にも崩れ落ちてしまいそうな程だったが、使命感と責任感がそうはさせなかった)


    ホシノ「まだ、おじさんは戦える…!戦艦だって、墜ちてない…!」

    ヒナ「――そうね。その通り、だわ小鳥遊ホシノ…!」


    (ホシノの身体を、背後からヒナが支える)

    (同じく衝撃波の影響でボロボロだったが、ヒナもまたその目に強い光と意思を宿していた)


    ホシノ「風紀委員長、ちゃん…!」

    ヒナ「見て、小鳥遊ホシノ。あいつの身体、もう全体的に煙を吹いてボロボロになってる…。追い詰められたのは、私たちだけじゃない」

    ヒナ「あと、一押し。あとほんの少しで、あいつを完全に破壊できる!」

    ホシノ「…そう、だね。だったら――こんな所で、へこたれてなんかいられないね!」


    (衝撃波の影響で、下降しかけていたヒナバード)

    (その軌道が再び上昇し、星の夢まで肉薄する!)

    (慌てて反撃のホログラム弾を撃ち出す星の夢だったが…)


    ホシノ「その攻撃は、さっきもう見た」


    (撃ち出された『5』のホログラム弾を、紙一重で回避する)

    (射出直後、隙丸出しの星の夢に対し、ホシノは躊躇なく発射トリガーを引いた!)


    ホシノ「今度こそ、トドメだ!!」

    星の夢『~~~~!?』

    (星の夢とパワープラント本体、その両方にヒナバードからの砲撃が命中)

    (中枢と動力源を同時に叩かれたマザーコンピューターは、再び地上に向け墜落していった…)

  • 73二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 22:50:42

    >>72

    星の夢・第二戦&三戦決着

    次回でいよいよラストスパートです


    ・おまけ


    星の夢が放った『Fatal Error』ですが、その余波はホシノとヒナだけでなくヒナバード全体に及んでいました

    つまり――


    風紀委員A「せ、船内に負傷者多数…。先の衝撃波で、艦内にいたほとんどの乗組員がやられました…!」

    チナツ「き、救護班はすぐに治療を…!すいません、私も向かいます…!アコ行政官、どうか許可を!」

    アコ「ゆ、許します…。うう…ヒナ委員長…どうか、どうかご無事で…」

    イオリ「あの人なら大丈夫だよ、アコちゃん。…そう、信じよう(ガクッ)」

    風紀委員A「い、イオリさん!?しっかり!!」


    とまあ、こんな感じで地獄絵図になってたという余談

  • 74二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 00:40:43

    >>64

    >>73

    お疲れ様です!

    この世界のリオヒマリトキにそんな過去が…(改めて思うカービ世界のヤバさ)。そしてまさかのFOX小隊との関係。さらにさらに星の夢とのラストスパート!!


    あ、そちらのSSが終わったら『ヒナナイトでゴー リターンズ』書きますね。

  • 75二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 01:01:48

    >>73

    更新乙です

    FatalError受けた後に反撃の一撃を打ち込むとはラストバトルに相応しい熱い展開だぁ…

  • 76二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 11:39:49

    お昼時の保守

  • 77二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 23:13:15

    これはすました顔をして羽織っている服の裏からこっそりとフォンダンショコラを取り出すヒナ

  • 78二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 23:40:42

    >>72の続き

    (直撃を喰らい、黒煙と共に落下していく星の夢)

    (その姿を見届けていたホシノだったが、不意にぐらりと身体をふらつかせた)


    ヒナ「!小鳥遊ホシノ、しっかり!」

    ホシノ「うへへ…おじさんも年かなぁ。この程度の疲労でふらつくなんて、情けないや」

    ヒナ「よく言うわ。私との戦いもそうだけどここに至るまで相当無茶ばかりしてきたのでしょうに」

    ホシノ「なんて事はないよ~。それに、昔はもっと無茶ばかりやってたしね…!?」


    (ヒナに支えられ、再び操縦桿を掴もうとするホシノ)

    (その時。不意に艦全体を震わせるほどの揺れが奔った!)


    ヒナ「きゃあああっ!?」

    ホシノ「うわあああっ!な、何何!?」

    ヒナ「今の衝撃、まさか――アコ、聞こえる!?何があったの!」

    アコ『(ザザッ)――ヒナいいん(ザザッ)――ご無事で――』

    ヒナ「アコ?聞こえないわ、アコ!」

    アコ『敵のはんげ(ザザッ)……左翼がやられ……高度がさが(ブツッ)』

    ヒナ「アコ?アコッ!」

    ホシノ「…不味いね。まさかあれでまだ動けるだなんて」


    (ホシノが苦々しい顔で睨みつける先)

    (そこには、先程破壊された筈の星の夢が再び上昇しかけている所だった)

    (といっても、先の砲撃から重ねて仕掛けてくる様子はない)

    (どうやら星の夢側も体勢を立て直そうとしているのか、ヒナバードから徐々に距離を取るべく動き出していた)


    ホシノ「ここで逃がすわけにはいかない…!キヴォトスの危機もそうだけど、ここで逃げられたらリオ…ちゃんも助けられなくなる!」

    ヒナ「――本気?この期に及んで、彼女までも助けようと言うの?操られていたとはいえ、これだけキヴォトスを滅茶苦茶にした彼女を」

  • 79二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 23:41:19

    >>78

    (ヒナの睨みつけるような問いかけに、ホシノは一瞬だけ言葉を詰まらせる)

    (だが、次の瞬間には再びいつもの笑顔を浮かべ、きっぱりと返事した)


    ホシノ「うん、助けるよ。見捨てられないからね」

    ヒナ「…理由、聞いても?」

    ホシノ「リオちゃん本人はまあ、正直そこまで助けたいわけではないというか。むしろ一発殴らせろって思う所もあるけれど…」

    ヒナ「けれど?」

    ホシノ「――泣いてるトキちゃんの顔、見ちゃったからね。先輩を目の前で喪う痛みは、これでも分かってるつもりだから」


    (ホシノの脳裏に、かつての砂漠での光景がよぎる)

    (変わり果てた先輩と墓標の如く残された形見の盾。その傍らで、全ての感情を捨てた顔で立ち尽くす己自身)

    (あの痛みを知る者として、後輩に同じ思いをさせるわけにはいかない。たとえそれがアビドスとは何のかかわりもない他校の生徒であったとしても)

    (ホシノの決意を秘めた顔に何かを感じ取ったのか。ヒナはそれ以上何を言う事もなく――ただ、コクピット上部に在ったハッチを開いた)


    ホシノ「ヒナちゃん?」

    ヒナ「悪いけど、私が付き合えるのはここまで。この艦はもう持ちそうにないし、私がいた所で邪魔になるだけでしょう」

    ヒナ「だから、行きなさい小鳥遊ホシノ」


    (甲板に上がり、ヒナは事前に見つけていた『それ』を両手で掴む)

    (簡易表示された最終決戦艦ヒナバードモードの全体図。その片隅に小さく、だが確かに表示されていたモノ)

    (恐らくは、こういう事態を想定した上で用意されていた――緊急時用射出レバーに、全体重と筋力を込める)

    (何を射出するのか?など。今更問うまでもない)


    ヒナ「さあ、フィナーレの時間よ星の夢」

    ヒナ「『勇者ホシノ(ホシノカービィ)』とその相棒の底力、思い知りなさい!」


    (射出レバーが倒され、艦首のアビドス校章が光り輝く!)

    (直後、開かれた艦首から――勢いよくホシノとホルスアーマーが射出された!)

  • 80二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 23:41:41

    >>79

    ホシノ「う――うへええええ!?ま、マジぃ~~~!?」


    (まさかの展開に仰天し、目を疑うホシノ)

    (だが、眼前に迫る星の夢の姿を捉えると即座に意識が切り替わった)


    ホシノ「…そうだね。お前だけは逃がすわけにはいかない」

    ホシノ「私たちの居場所を、キヴォトスを、そしてそこに住むみんなを。滅茶苦茶にしたお前だけは、絶対に許さない!」

    ホシノ「だから――力を貸して!ホルスアーマー!」

    ホルスアーマー『(ビカッ!)』


    (はたしてホシノの意思をくみ取ったのか否か)

    (ホルスアーマーの右腕が変形し、巨大ドリルへと組み直される!)

    (そのまま星の夢に先端を向けると――ブーストを噴き上げ、勢いよく突っ込んでいった!)


    星の夢『……!』


    (だが星の夢とてむざむざやられるわけではない)

    (急接近するホシノ達を振り切るのが不可能。そう判断するや早いが、正面にシールドバリアを展開し食い止めようと試みる)

    この一撃に桃球レボリューション / 星のカービィ ロボボプラネット オリジナルサウンドトラック [077]


  • 81二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 23:42:04

    >>80

    ホシノ「無駄だよッ!」


    (――が。今のホシノ達の前には、何の意味もなかった)

    (たちどころにバリアを粉砕し、ホシノとホルスアーマーは肉薄していく)

    (星の夢も立て続けにバリアを貼る事で凌ごうとするが、まるで焼け石に水)

    (とうとう最後のバリアにヒビが入り、突破目前となる!)


    星の夢(バリア損壊度、九十五パーセント。粉砕まで推定予測アト五秒)

    星の夢(再展開ハ不可能。ソモソモこの距離デハ再展開シテモ意味がナイ)

    星の夢(ナラバ――)


    (星の夢がエネルギーを溜め、バリアの前に展開する)

    (破壊と同時にカウンターを狙う一点集中)

    (たった五秒。されどその五秒で、ホシノ達を貫く凶器は完成した!)

    (そしてとうとう――)


    パリィイイン!

    星の夢(バリア破壊、確認。レーザー砲発射――――!?イナイ!?)

    星の夢(バカな!ドコに)

    ホシノ「ここだよ。ガラクタさん」


    (――星の夢に、誤算があったとすれば)

    (それは、ホシノが完璧に星の夢の目論見を見抜いていた事)

    (バリア破壊の最中、その向こう側で輝くエネルギー光――すなわち、レーザー発射の前兆に気づいたホシノは事前にホルスアーマーの軌道を変えていた)

    (バリア破壊後、パワープラント諸共星の夢を粉砕するのではなく。星の夢の要たる、マザーコンピューター部分への攻撃に)

    (そして。星の夢が意図に気づいた時、全ては終わっていた)

  • 82二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 23:42:25

    >>81

    星の夢(緊急、回避――)

    ホシノ「遅い!喰らえ、ファイナル・スクリュー・アターック!!」


    (柄にもなく技名を叫び、星の夢頭頂部にドリルを突き立てるホシノ達)

    (ちょうどネジ穴のようになっていたそこを、ホシノとホルスアーマーはこれでもかと回し削り抉っていく)

    (当然、抉られている星の夢側はただでは済まず)


    星の夢『ガガッ、ピガピー!!』

    星の夢(ガイブからのキョウセイ干渉ヲ確認…!エマージェンシー、エマージェンシー!サッキュウにタイ応の必要アリ…!)

    星の夢(警告、ケイコク!頭頂部ハッチのハ損リツ六十パーセント!コノ、ままデハロックを保てナク…!)

    星の夢(ナンダ…何ナノダ、コノせいメイ体は…!?)


    (星の夢は混乱していた)

    (事前に用意していたカウンターがいとも簡単に避けられた、からではない)

    (敵がこちらの手を見抜き、その上を行く一手を打っていた、からもでない)

    (何より理解不能だったのは、『敵』が使用している『兵器』の事)


    星の夢(『敵』がシヨウする兵キは、紛れモなク、ワタシが生み出シたインベードアーマー…)

    星の夢(ソノ性ノウは、あくマデ支エンを期シタ程ドのモノでしかなかった、ハズ…)

    星の夢(ナのに何ゼ、こいつはインベードアーマーの力ヲ優に超エるモのを引き出せる…!?)

  • 83二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 23:42:49

    >>82

    ホシノ「はああああ――ッ!」

    星の夢『――――ッ!!』


    (悠長に困惑する余裕も暇も、最早星の夢には残されていなかった)

    (持てる力を振り絞り、星の夢は機体全域に電撃を奔らせる!)

    (さらに、その隙を突き残る戦闘ビット全てを放出。ホシノとホルスアーマーに向け、照準した!)


    ホシノ「ぐっ、あっ…!この、いい加減諦めなよポンコツ…!」

    星の夢(諦メル――諦めろだと!?ふざけるな!生徒風情が!!)

    星の夢(ワタシはミレニアムサイエンススクール――否!キヴォトス全ての繁栄を叶える為に生み出された存在!)

    星の夢(キサマラなど、所詮そのタメに消ヒされるだけの道具でしかない!)

    ホシノ「――!ま、ず…!」


    (電撃を浴び続けた事で、ドリルの回転に僅か遅れが生じる)

    (全体で見れば、ほんの僅かな差。しかし――星の夢にとってはこの上ない好機)

    (ビット群がチャージを終え、アーマーごとホシノを貫かんと閃光が放たれるまさにその瞬間)


    ボガガガン!

    星の夢『!?』

    ホシノ「えっ?」


    (ホシノを狙っていたビット群。その全てが爆散する)

    (レーザー光も消滅し、星の夢渾身の反撃はまたしても阻止された)

  • 84二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 23:43:17

    >>83

    ホシノ「ど、どういう事…?」

    ??「何をやっているのです小鳥遊ホシノ!」

    トキ「それでも私を――この、飛鳥馬トキとアビ・エシュフを二度も打ち破った人ですか!あなたは!」


    (超長距離から星の夢のビットを撃ち抜き、ホシノの窮地を救った存在)

    (それはネル達からの発破と支援を受け、今まさにアビ・エシュフを纏って駆けつけたトキだった!)


    星の夢『アスマ…トキ…!オマエ――イヤ、アナタマデモ、ウラギルトイウノ!』

    トキ「戯言を!私が忠誠を誓ったのは調月リオ会長ただお一人!断じてお前のような、鉄屑の塊ではない!!」

    ホシノ「うへ?な、何かトキちゃんキャラ変わってない?そんな感情を露わにするようなタイプだったっけ?」

    トキ「細かい事はどうでもいいのです、小鳥遊ホシノ!それより今の内です!早く!」

    ホシノ「っ!」


    (トキに促され、ホシノは再びホルスアーマーのドリルを急速回転させる!)

    (元より限界が近かった頭頂部。再開したホルスアーマーのドリルには耐えきれず――ついに!大穴を開けた!)


    ホシノ「開いた!トキちゃん!」

    トキ「――!リオ様ぁあああっ!!」


    (開いた大穴から、トキが星の夢内部へ突入する)

    (ホシノもまた、その後を追い躊躇なく飛び込んだ――)

  • 85二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 23:43:45

    >>84

    リオ(――こんな筈じゃ、なかった)


    (暗闇の中、調月リオは一人漂う)

    (上下左右も分からず、自分の意識だけが浮かんでいるような感覚)

    (自分が生きているのか、死んでいるのか。それさえも今のリオは曖昧になりつつあった)


    リオ(私は…ただ、あの子にもう一度だけ会いたかった)

    リオ(会って、あの日手を放してしまった事を。守れなかった事を謝りたかった)

    リオ(たとえ許してもらえなかったとしても、もう二度とあの子の隣に立つ資格が永遠に失われたとしても)

    リオ(それでも――私はただもう一度だけ、あの子の笑顔を、声を。見て聞きたかった)

    リオ(ただ…それだけでよかったのに…)


    (どこで自分は間違えてしまったのか)

    (あの日、『彼女』の手を放してしまった所から?それとも、あのイベントに行こうとヒマリ共々誘ってしまった所から?)

    (あるいは。こんな壊れた欠陥品なんかに縋ってしまった所から、か)

    (機械が願いを叶えてくれるわけがないと、私はとっくに知っていた筈なのに――)


    ??「――ま」

    リオ(……?)

    ??「――ぉさま」

    リオ(誰…?誰かが、呼んでる…?)

    リオ(でも、誰が――)


    トキ「リオ様!リオ様ぁっ!!」


    (リオが目を開けた時、まず飛び込んできたのは見慣れた従者の顔だった)

    (ただしその顔は涙に濡れ、リオがそれまで見た事がない程ぐしゃぐしゃになっている)

    (そして。その様は、リオが目を覚ました事でいっそう加速していた)

  • 86二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 23:44:13

    >>85

    トキ「リオ様、ご無事ですか!?意識は、私の事はわかりますか!?」

    リオ「……と、き?」

    トキ「――!はい、そうです!私です、トキです!」

    トキ「遅くなってしまい、申し訳、大変申し訳ございません…!ただ今、馳せ参じました!」

    リオ「――」


    (何か、言葉を返そうとするも思いつかない)

    (それでも不思議と力が残っていた右手を伸ばし。リオはトキの顔を優しくなでた)

    (かつて――遠い昔に、『あの子』に対してそうやってあげていたように)


    トキ「リオ、様?」

    リオ「なかない、で……■■ちゃん」

    トキ「!」

    リオ「だいじょうぶ……だいじょうぶよ……おねえちゃんは、いつだってあなたのそばについているから……」


    (もう、記憶の中の『あの子』の顔も名前も思い出せない)

    (長い事星の夢に触れ続けていた代償か、あの頃の日々は朧気で、事故の事さえかろうじて記憶に残っているかどうか)

    (けれど、何故だろう。目の前で泣きじゃくるこの無表情な従者が、無性に追い求めていた『あの子』に重なって見えるのは)

    (らしくない、と自分でも思う。過去の幻影を、今を生きる生者に押し付けるなんて)

    (だけど。目の前の従者は困惑するでも、まして嫌がり拒絶するでもなく、不思議と受け入れてくれていた)


    トキ「リオ様、りおさまぁ…!」

    ホシノ「――――」


    (泣きじゃくりながら、リオを空中で抱きしめるトキ)

    (その姿を、ホシノはどこか眩しいモノを拝むようにじっと見つめていて――)

  • 87二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 23:44:36

    >>86

    ヴィーム!ヴィーム!ヴィーム!


    ホシノ「!?」

    トキ「!」


    (そして。まったく空気を読まない警報が、三人の間に割って入った)


    星の夢『警告、■告。当機の損■率、許容■界を突■』

    星の夢『ダメ■ジコ(ザザッ)ロール不可能。リカ(ガガッ)ーシステム、起動……Error』

    星の夢『復旧は(BOMB!)不可能と判断。これヨリ、最終攻撃機能を解放シマス』

    星の夢『最終攻撃機能・「ハ■■■L■すs・Tぃア■ズ」、アンロック』


    星の夢『センメツカイシ。――ミナサン、オツカレサマデシタ』


    (最後だけ、妙に明瞭に聞こえた星の夢の電子音声)

    (それはどこか死刑宣告にも似ていて)

    (そして。それは正しく、当たっていた)

    (星の夢に接続されていたパワープラント。そこから膨大なエネルギー波が放出され、三人に襲い掛かる!!)


    トキ「!?こ、これは――!」

    ホシノ「逃げて!!」


    (言葉を選ぶ暇も余裕もなかった)

    (叫ぶ間にもホシノはホルスアーマーのブースターを吹かし、全力で脱出を目指す)

    (だが――)

  • 88二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 23:45:50

    >>87

    ホシノ「トキちゃん!」

    トキ「っ、間に合わな…!」


    (リオという護衛対象を抱えていたが故か。経験不足故の初動の遅れが原因か)

    (いち早く安全圏に到達しかけていたホシノに対し、トキの動きは致命的に遅れていた)

    (全てを薙ぎ払う破壊の波が、二人を呑み込みかけたその時)


    ホシノ「うん。しょうがない、か」

    ホシノ「ごめんねロボットちゃん。ごめんね、アビドスのみんな」

    ホシノ「そして――ごめんなさい、先生」

    ホシノ「アビドスを出発する前の約束、守れそうにないや」


    (ホルスアーマーを動かし、ホシノはトキの元へ急接近)

    (そのままアビ・エシュフのサイドアームを掴むと、勢いよく出口目掛けぶん投げる!)

    (結果、トキとリオは窮地を脱し生還する事ができた)

    (だが。その代償は大きかった)


    ホシノ「じゃあねトキちゃん。会長ちゃんの事、任せたよ」

    トキ「そんな!?ダメです、小鳥遊ホシノ――!」

    ホシノ「――」


    (破壊の波が迫りくる)

    (せめてもの抵抗にと、アーマーの両腕を交差し防御態勢を取ったが)


    ホシノ(あ。これ無理だ)


    (抗えたのは、ほんの一瞬)

    (直後、破壊と暴威の波がホルスアーマーごとホシノを呑み込み、光の中へと消えていく)

    (そして――ダメ押しとばかりに、限界を迎えた星の夢は大爆発を引き起こした!)

  • 89二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 23:47:01

    >>88

    最終決戦、これにて決着

    次回、エンディングです


    長かったロボプラ編も、ようやくここまで来れました…

  • 90二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 01:05:26

    >>89

    更新乙です!

    通常版の癖に最後っ屁はsoul.0システム仕様ってそんなのありか!?

  • 91二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 01:09:21

    >>89

    お疲れ様です、本当に。

    いやー長編になりましたねぇロボプラ編。とても楽しんで見てましたよ!


    よーし、そしたら自分も考えておかなきゃなぁ。

  • 92二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 11:42:44

    いつもの

  • 93二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 21:31:31

    >>88の続き

    先生“エリドゥが……地上に降りていく……”


    (遠くに見える要塞都市エリドゥ。それが少しずつ地上へ、アビドス砂漠に下がっていく)

    (先程上空で起きた大爆発も合わせ、何が起こったのかは地上から見ても明白だった)


    ウタハ「先生、『全知』から連絡だ。先程エリドゥ内に残っていた全ミレニアム生徒の脱出を確認、負傷者も含め逃げ遅れ・取り残された生徒はもういないと考えて間違いないとの事だよ」

    先生“それはよかった。ヒマリ達は無事かい?”

    ウタハ「ああ、そちらも大丈夫だ。…ところで先生?私は一度も『全知』が明星ヒマリだと言った覚えはないのだけど」

    先生“あ、しまった。いやその、もう今ならバラしちゃっても大丈夫かなって”

    ウタハ「…まったく、先生も意地が悪い。知ってたのなら私にだけは明かしてくれても良かっただろうに」

    コトリ「あ!それは聞き捨てなりませんウタハ先輩!」

    ヒビキ「独り占めは大罪。仲間であるなら、秘密はちゃんと分かち合わないと」

    ウタハ「何を言う。本当は君たちもとっくに気づいていたんじゃないのかい?」


    (ははは、と。先生とエンジニア部は笑い合う)


    ユウカ「もう、全員気を抜かないで。先生もです。概ね状況は決着したみたいとはいえ、まだ完全に落ち着いたとは言えないんですから」

    ノア「ユウカちゃんの言う通りですよ、先生。…こちらでも概ね各戦線の状況は確認しました。暴走していたロボット・兵器群は上空の爆発以降機能停止、残る生徒たちも大半は戦意を喪失し投降しつつあるとの事です」

    先生“ごめんごめん。でもよかった、ひとまずこれ以上戦おうとする生徒はいないみたいだね?”

    ユウカ「ええ。後はリオ会長と、ホシノさんの無事を確認できれば」

  • 94二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 21:31:57

    >>93

    アヤネ「ホシノ先輩?応答してください、ホシノ先輩!」


    (ユウカがリオとホシノの安否に触れた、まさにその時)

    (突如緊迫した様子で呼びかけるアヤネの声が響き渡った)


    先生“アヤネ?ホシノがどうしたの?”

    アヤネ「ホシノ先輩との通信が繋がらないんです!通信妨害はとっくに切れてて、もう繋がってもおかしくない筈なのに…!」

    ユウカ「落ち着いてアヤネさん。通信機の故障とか、そういった可能性は?」

    ウタハ「いや、その可能性も低い。ホルスアーマー本体だけでなく、彼女個人にも通信機は渡してあったんだ。両方故障したという可能性もあるが、だとしてもそう易々と壊れるような代物では…」

    アヤネ「っ!」

    先生“アヤネ!まって!”

    (たまらず、作戦本部から飛び出していくアヤネ)

    (その後を追い、先生と他の生徒たちも慌てて駆けだして行った――)



    (一方その頃。当のホシノはというと)


    ホシノ「ここ、は――?」


    (ホシノが目を覚ました時、そこは全てが乳白色に満たされた世界だった)

    (優しく、穏やかで、温もりに包まれているような空間)

    (戦闘による痛みや疲れもいつの間にか消えており、それどころか今までにない程ホシノは自分の身体が軽くなっている事に気が付く)

  • 95二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 21:32:24

    >>94

    ホシノ「確か、私は……そうだ、星の夢の最後っ屁に巻き込まれて……!」


    (直前までに見た光景を思い出す)

    (自分とホルスアーマーに迫る、赤黒い破壊のエネルギー)

    (咄嗟にアーマーの両腕を交差し防ごうとするも、ただ一瞬耐えた直後あっけなく両腕は吹き飛ばされて――)


    ホシノ「…私、死んじゃったのかな」


    (ポツリと、半ば無意識の内にそんな言葉が零れる)

    (エネルギーに呑み込まれた時の事は朧気だが、あれ程の破壊力を受けて無事に済むとは到底思えない)

    (いかに頑丈なキヴォトスの人間といえど、当然限界はある。そして、あの攻撃は限界を優に超える威力のものだった)


    ホシノ「そっか。これが死、かぁ。…いや~、当たり前だけど初めて味わう感覚だねぇ」

    ホシノ「何度も何度も、生きてる間に死にかけた事はあったけども。こうして実際に味わうと、何というか――思ってたより、痛くも苦しくもないもんだね」

    ホシノ「でも、そうか。…これでもう、アビドスのみんなには会えなくなっちゃったんだ」

    ホシノ「それに先生も――」


    (ホシノの脳裏にアビドスを最初に発った時の思い出が甦る)


    “気を付けてね。つらくなったり、助けが欲しくなったらいつでも言ってくれていいんだから”


    “そうしたら――どこにいても、どこへ行っても!絶対に駆けつけてあげるから!”

  • 96二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 21:32:49

    >>95

    ホシノ「……」

    ホシノ「…会いたいよ」


    (ホシノの口から、耐えきれないように言葉が漏れる)


    ホシノ「先生に、会いたい。ノノミちゃん、アヤネちゃん、セリカちゃん、シロコちゃん。アビドスのみんなと、もう一度会いたい」


    ホシノ「死にたくなんてなかった。こんな形で終わりだなんて、嫌だ」


    ホシノ「もう一度――もう一度だけ、みんなに会いたいよ――!」


    ホシノの胸を穿ち、引き裂かんばかりに奔る感情(モノ)

    それは奇しくも、リオが、ヒマリが、トキが。ずっと抱き続けていたモノと同じ『痛み』だった。

    離別の苦痛。万人に等しく降りかかり、またいつ何時訪れるかも分からない試練。

    そして――合理性の化身とまで呼ばれた生徒をして、狂わせずにいられなかった程の苦しみ。

    我慢できず、ホシノの両目から久しく流れていなかった水滴が零れかけたその時。


    ??『…………』


    (ホシノの傍に、何者かが近寄ってくる)

    (姿は同じく乳白色の靄に紛れ、何なのかはっきり見えない)

    (だが。ホシノの脳には一つの予感があった)

  • 97二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 21:33:13

    >>96

    ホシノ「まさか――ユメ、先輩?」


    (懐かしい先輩の顔が、脳をよぎる)

    (かつてアビドスで共に学園生活を送り、けれどある出来事を境に別れる事となってしまった大事な恩人)

    (再会の予感に打ち震え、顔を上げたホシノの目に飛び込んできたのは――)

    ホルスアーマー(ニュッ)

    ホシノ「…………へ?」


    (鋼鉄のボディにどこかホシノとよく似た顔をした正面装甲)

    (思い出の先輩とは似ても似つかない、全体的にずんぐりむっくりしたフォルムの機体)

    (まさかのホルスアーマー、乱入であった)


    ホシノ(な、なんで?どうして?いや普通ここは、『あの人』が出てくる所じゃ――!?)


    (あまりの事に、さすがのホシノも完全に混乱しフリーズする)

    (そんなホシノの姿を、無人のホルスアーマーは全く顧みる事なく)

    (いつの間にか元通りになっていた片腕を伸ばし、ホシノの頭をむんずと掴んだ!)


    ホシノ「うへ?な、なにを」

    ホルスアーマー(――ブオンッ!)

    ホシノ「う――うへぇええええええっ!?」


    (ホシノの頭を掴んだまま、大きく腕を振りかぶるホルスアーマー)

    (勢いをつけると躊躇なく手を放し――そのままホシノを空の彼方まで投げ飛ばした!)

    (あはれ、ホシノは乳白色の世界の果てまで飛んでいく…)

  • 98二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 21:33:47

    >>97

    ??「…あはは。すごいね君、力強いのは見てたけどまさかここまでだなんて」


    (ホルスアーマーの傍に、何者かが姿を現す)

    (靄に隠れ、顔はおろか身体さえも朧気にしか見えない)

    (けれど、その身に纏う服装はどこかホシノが着ていた制服のそれとよく似ていた)


    ??「ごめんね、本当は私も会いたかった」

    ??「でも。まだあるんだよね、やるべき事も。帰るべき場所も」

    ??「何より――大切な後輩ちゃん達と、恩人である先生がいる」

    ??「だから、今はお別れ」

    ??「元気でねホシノちゃん。向こうで、みんなと仲良くやるんだよ――」


    (靄の向こう側の人物が、何処かへと消えていく)

    (その後を追うように、無人のホルスアーマーも靄の中へと消えていった…)


    アヤネ「……ノせんぱい。ホシノ先輩ッ!!」

    ホシノ「――はっ!?」


    (ホルスアーマーにぶん投げられ、いつの間にか意識も飛んでいたホシノ)

    (そんな彼女を引き戻したのは、よく知る後輩からの呼びかけだった)


    ホシノ「う、へ…?ここ、は……アビドス、砂漠……?」

    アヤネ「~~~!ホシノ先輩っ!!」

    ホシノ「うひゃあっ!?あ、アヤネちゃん!?どうしてここに!?」

    セリカ「どうしてここに、じゃないわよバカッ!」

    ノノミ「ご無事ですかホシノ先輩!?どこか、身体に痛い所は!?」

    シロコ「ん、先生!ホシノ先輩が目を覚ました」

    先生“本当かい!?ホシノ、ホシノ!”

    ホシノ「う、うへえ…?どど、どうなってるの…?」

  • 99二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 21:34:07

    >>98

    (目を覚ますや否や、そこは見慣れたアビドス砂漠の真っただ中)

    (周囲には血相変えた表情で自分に抱き着いてくる後輩たちと先生)

    (どうやら寝転がっていたようで、頭と背中から砂の感触が今更に伝わってきた)


    ホシノ「ええと…。これ、どういう状況?」

    ウタハ「どういう状況、か。それは私たちの方も説明してほしいんだけどね」


    (困惑と呆れ、そして安堵が入り混じった声でウタハが現れる)

    (その後ろからはコトリにヒビキ、さらにユウカにノアと別館に残っていた筈の面々まで駆けつけていた)


    ホシノ「と、とりあえずみんな放してくれない?さすがにこうやっていられると、おじさん暑いよ~……!?」


    (ひとまず起き上がろうと、身体に力を込める)

    (が。どういう訳か、まるでホシノの身体には力が入らなかった)


    ホシノ「あ、れ?」

    ウタハ「無理をしない方がいい。君は今の今まで、ここで気を失っていたんだ。何があったのかは知らないが、恐らく相当な無茶をしたんだろう?」

    ユウカ「そうよ、見た所怪我はなさそうだけど体内はどうなってるか分からないわ」

    ノア「ひとまず手近な救護班に連絡は着けておきました。もうしばらくすれば到着するので、それまでは大人しくしててくださいね?」

    ウタハ「それと。先生もいい加減アビドスのみんなを窘めてやった方がいいんじゃないかい?そのままだと熱中症でまたぶっ倒れるよ」

    先生“あ。ご、ごめん!無事を確認したら、つい!”

    先生“と、とりあえずシロコ達も一旦放そう?ね?”

    アヤネ「は、はい…。分かり、ました」

    セリカ「うう…。よかった、ホシノ先輩無事でよかったよぉ」

    ノノミ「セリカちゃん、また泣いてますよ…」

    シロコ「…ん。今日ばかりはノノミも人の事言えない。私も、だけど」

  • 100二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 21:34:30

    >>99

    (先生に促され、渋々といった様子でシロコ達後輩組も離れていく)

    (そうしてようやく一息つく事ができ――ホシノは、重要な事を思い出した!)


    ホシノ「!そうだ、ロボット!おじさんのホルスアーマーは!?」

    セリカ「うえっ?な、何いきなり?」

    アヤネ「ホルスアーマー、ですか?それは――」

    ホシノ「あいつ、夢の中でおじさんをからかうだけに飽き足らずぶん投げてきたんだよ!」

    ホシノ「絶対許さない!ようやく『あの人』と再会できるかと思ったのに、期待させて!」

    ホシノ「ノノミちゃん、アヤネちゃん!アーマーはどこ!?せめて、一発ガツンと言っておかないと――」

    ノノミ「…その、ホシノ先輩」

    シロコ「ん、落ち着いて先輩。起きたばかりで暴れるのは身体によくない」

    ホシノ「落ち着いてられないよ!どこ、おじさんのアーマーはどこにあるの!」


    (先程までの様子とは一変し、どこか遠慮がちになるアビドスの後輩たち)

    (…その時。決意した表情で先生がホシノの傍に寄り、その背後を指差した)


    先生“…ホシノ。落ち着いて聞いて、君のロボットならずっと後ろにあるよ”

    ホシノ「ほんと!?」

    セリカ「ちょっ、先生!」

    先生“ごめん、みんな。でもいつかは知る事だから”

    ホシノ「よーし、後ろだね…!」

    ノノミ「ま、まってください!せめて心の準備を」

    ホシノ「準備が何さ!おじさんの相棒と向き合うのに、今更何の準備がいる、って…」


    (今だ自由にならない身体で、ホシノは懸命に振り返る)

    (振り返り、『そこ』にあるモノを見つけて――再び、ホシノは凍り付いた)

  • 101二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 21:34:53

    >>100

    ホシノ「ロボット、ちゃん…?」

    ホルスアーマー『――――(ジジッ、バチバチッ!)』


    (そこにあったのは、変わり果てた姿のホルスアーマーだった)

    (両腕、両脚は完全に失われ。胴体さえも下半分が完全に消し飛ばされた全壊状態)

    (かろうじてコクピット部分は無事だったが、それ以外の箇所は最早修復不可能なまでに破壊され尽くされていた)

    (火花を上げ、黒煙を噴き上げる姿はさながら骸のようで…)


    先生“…私たちがここに駆け付けた時は、既にこの有り様だった”

    アヤネ「先生のタブレットによる探索もありましたが、何より決定的だったのは『この子』が上げる黒煙が目印になったんです…」

    ウタハ「――その上で言わせてもらう。すまない小鳥遊ホシノ、私たちの力をもってしても『その子』はもう」


    ホシノ「そっか。そういう事、だったんだ」


    (苦渋の表情で事実を伝えようとする先生とアヤネ達)

    (けれど。ホシノの顔は、どこか達観したように晴れやかだった)


    先生“ホシノ?”

    ホシノ「まったく、ロボットちゃん――ホルスアーマーも人が悪いなぁ。いや人じゃないんだけどさ、それにしたってもうちょっと説明とかしてくれてもいいじゃない?」

    ホシノ「あ、でも無理か。だって君、喋れないもんね。そりゃ説明のしようもないか」

    ホシノ「なのに。それ、なのに……私を助けようと、頑張ってくれてたんだね」


    (ホシノの声が震え出す)

    (あの空間で見たものとされた事。二つの点が線となって繋がり、理解する)

    (ホルスアーマーは、役目を全うしたのだ)

    (主を守る、その唯一無二の役割を――)

  • 102二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 21:35:26

    >>101

    ホルスアーマー『――(バチバチッ)』


     …そして。ホシノ達は知る由もなかったが。

     この時、ホルスアーマーのカメラアイは確かにホシノの姿を捉え、映し出していた。

     未だ身体も満足に動かせず、砂の上でもがいているようにしか見えない己の主。

     けれどその歩みは、確かに自分(ホルスアーマー)を目指していて…


    ホルスアーマー『……(ポロッ)』


    (ホルスアーマーのカメラアイから、冷却水が零れ落ちる)

    (それはまるで、涙を流しているようにも見えて)


    ホシノ「アーマー、ちゃん。ホルスアーマー、ちゃん…!」

    ???『――アリガトウ』

    ホシノ「えっ」

    ???『――ダイジニ、シテクレテ、アリガトウ』

    ???『アナタヲ、マモレテ、ヨカッタ』


    ホルスアーマー『サヨウナラ。ワタシノ、ゴシュジンサマ――』


    (ホルスアーマーのカメラアイから光が消え、完全に沈黙する)

    (後には、鉄の塊と化した残骸だけが残された)

  • 103二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 21:35:50

    >>102

    先生“ホシノ。今の、声って…”

    ホシノ「ごめん、先生」

    ホシノ「今だけは……今だけは、そっとしておいてくれないかな」

    ホシノ「あと少し、後ほんの少しだけでいいからさ」

    ホシノ「そしたら――また、いつものおじさんに戻るから」

    ホシノ「だから、お願い。今だけは、一人にさせて――」


    (祈るような、縋るようなホシノの懇願)

    (その姿に先生も、シロコ達後輩も、ウタハ達ミレニアム生も何も言えず立ち尽くす)

    (…気づけば夜が明け、砂漠に日が昇り始めている)

    (長かったミレニアムとの戦い――後に『機械仕掛けの悪夢』と呼ばれる大事件の、幕が下りた瞬間であった)

  • 104二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 21:37:49

    >>103

    さようなら、ホルスアーマー

    次回エピローグ。事件後の顛末や後日談を書いて、それで本当にロボプラ編は完結です


    途中で出てきた『あの人』の存在は、まあそういう空間だったからという事で

    『彼女』が生きているのか、それとも本当に…なのかは今後のブルアカ本編のみぞ知る

  • 105二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 22:44:54

    >>104

    更新乙です!

    このホシノカービィシリーズでは何気に初登場であるユメ先輩

    彼女とホシノが再会する日は果たして来るのだろうか...


    大切な人との別れを経験しているホシノにとってホルスアーマーとの別れは堪えたでしょうね...

  • 106二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 01:12:49

    >>104

    お疲れ様です。

    やっぱ相棒との別れは寂しいものがあるなぁ…。

  • 107二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 11:41:35

    ・余談

    ちなみにホルスアーマーが自我に芽生えてたのは割と最初からです
    具体的に言うとオクターン・オーシャンでホシノを助けた時(コクピットを飛ばしてトキの攻撃から庇ったアレ)、既に自分の意思で実行してました

    ウタハが不思議がってたのはその為

  • 108二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 21:21:47

    >>103の続き

     ――それから、全ては目まぐるしく流転した。

     元凶である星の夢が爆散し、エリドゥも沈黙して早一か月。

     司令塔を失ったミレニアム側は瞬く間に崩壊し、ユウカやノア達セミナー幹部とヒマリ達ヴェリタスの呼びかけもあって、一転全侵攻地域で降伏する事となった。

     しぶとく抵抗し続ける部隊もいなかったわけではないが、今となっては焼け石に水。ヴェリタス総出のハッキングと先生の指揮による制圧作戦によりあえなく壊滅し、次々に下っていった。

     ミレニアムサイエンススクールは一旦連邦生徒会の監視下に置かれる事となり、エリドゥもまた接収。連邦生徒会とヴァルキューレによる合同管理の下、ひとまず全学区から手出し無用となり――


    先生“それで、今はミレニアムの処遇をどうするかで揉めているらしいんだ”

    サオリ「というと?」


     まず上がったのが、ミレニアムに断固とした処罰および学園の解体を求める声。

     これは本事件において被害を受けた学区ほぼ全てから上がっており、当然と言えば当然の成り行きと言えた。

     いかに学区同士の対立もままあるキヴォトスとはいえ、一学区が都市全域を押さえようとするなど前代未聞である。

     未遂に終わったとはいえ物質的・精神的に各学区の生徒たちが被った痛手は大きく、何としても贖わせようとする怨嗟と憤怒の声が当初は大きかった。


    サオリ「当初は、か。となると、今は違うのか?」

    先生“まあね。…確かにリオを含め、ミレニアムの子たちがした事は許されないものだった。でも、それらはあくまで星の夢が招いた事態であり、彼女たちもまた操られていた被害者という見方もあるからね”

  • 109二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 21:22:14

    >>108

     とはいえ、同情論だけで動く程キヴォトスの生徒たちは優しくはない。

     もう一つの理由として挙がったのは、現在アビドス砂漠に不時着した要塞都市エリドゥ――および、ミレニアム本校に秘められているだろう発明品・科学技術・人材その他etcといった『財産』だった。

     これらがばら撒かれれば、あるいは一部だけでも何処かの学区の手中に収まれば。

     さらなる果てしない混沌と、今回の事件以上の大惨事への火種になりかねない。

     事実星の夢――ハブ一基だけでもこれ程の事件を引き起こした実績がある。ましてカイザーやヘルメット団といった不穏分子に渡ればどうなるか…。

     こういった『冷や水』のおかげで、だいぶ世論は落ち着きを取り戻しつつあった。

     まあ、トリニティの一部分派をはじめ強硬意見はまだまだ根強い所ではあるが…


    先生“でも、最初の頃に比べたらマシになった方だよ。一時は「ミレニアムの生徒会は全員粛清すべし!」なんて声も上がってたくらいだからね”

    サオリ「私たちはあまり関われなかったが……大変だったんだな、本当に」

    先生“それはもう、ね。でもサオリ達は無事だったみたいでよかったよ。フロラルドは攻撃とかされてなかったの?”

    サオリ「ああ。何度か偵察用ドローンが飛んできた事はあったが、特に侵略とかそういったものはなかったな」

    サオリ「ヒヨリ辺りはいつもの調子で『も、もうおしまいです!私たち全員捕まって、地上に引きずり下ろされて奴隷にされちゃうんです!』と怯えていたが…」

    先生“……”


     実際、もし本当に侵攻されていたらその通りになっていた事を思うと笑うに笑えない。

     とはいえ――最近のアツコ達の成長ぶりや変化を思うと、何だかんだ最後まで徹底的に抗っていたかもしれないが。


    サオリ「ところで先生、そろそろ休憩しなくて大丈夫か?先程からずっと、死んだような目で書類の山と格闘し続けてるみたいだが」

    先生“あはは…。大丈夫、大丈夫だよサオリ。せいぜいまだ二徹に加えて、朝昼晩ご飯も最小限に働き続けてるだけだから”

    サオリ「うん。全然大丈夫じゃないな」

  • 110二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 21:22:44

    >>109

     サオリに昏倒させられ、あえなく仮眠室まで運ばれる先生。

     実際、事件解決後における先生の奔走ぶりは地獄そのものであった。

     復旧した連邦生徒会のフォローに各学区の復興支援。その合間を縫って、ミレニアム生たちのメンタルケア&事情聴取。はてはエリドゥに残された『財産』の振り分けまで、とにかく多岐に渡る業務量がのしかかっていたのだから。

     本来であればドクターストップをかけに来る他校生徒たちも、今は自分たちの自治区復興に忙しなく余裕がない。

     アリウス生のサオリが派遣されたのも、今回の事件でほぼ唯一被害らしい被害もなく、手が空いているからという事情あってのものだった。


    サオリ「…そういえば。ゲヘナは今、どうなっているだろうか」


     自分たちとも因縁深い、万魔殿議長の顔を思い出すサオリ。

     確か、今回の事件では真っ先に本部ごとやられ今も行方不明と聞いているが――



    一方、所変わってゲヘナ学区・万魔殿本部跡地。

    未だ瓦礫の山が残るこの場所で、万魔殿議長代理となった棗イロハとそのサポート(を自称する)丹花イブキ。そして万魔殿の生き残りたる生徒たちの手で、追悼式典が開かれようとしていた…


    イロハ「――本式典の喪主を務めます、議長代理の棗イロハです」

    イロハ「今だ各地の復旧作業が残る中、本日はお集まりいただき心より感謝申し上げます。まずは、本式典の目的である前議長・羽沼マコトとその同志たる京極サツキ・元宮チアキ。そして、彼女らと共にこの地で果てたパンデモニウム・ソサエティーの同胞の冥福を――」


     結局、あれからマコト達パンデモニウム・ソサエティー首脳陣が発見される事はなかった。

     事件後方々に手を回し、同じく復旧・治安維持活動に奔走する風紀委員会に頭を下げてまで捜索隊を派遣したが、結果は全て空振り。

     イロハ達の奮闘は、羽沼マコトらパンデモニウム・ソサエティー関係者の死を確定させるだけのものに終わってしまった…。

  • 111二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 21:23:06

    >>110

    イブキ「マコト先輩…サツキ先輩、チアキ先輩…」


     涙を浮かべ、ぐずりそうになるイブキ。

     その姿に共感してか、パンデモニウム・ソサエティーだけでなく参列していたゲヘナ生までもが泣きそうになる。

     そして。風紀委員会の面々も…


    アコ「――あんな人たちでも、いざいなくなってみると哀しいものですね」

    ヒナ「そうね。マコトとはいい思い出もそんなにないし、むしろ苦労させられた事の方が圧倒的に多かった」

    ヒナ「それでも。こんな風に、失われていい命じゃなかった事だけは確かだわ」

    アコ「ヒナ委員長…」


     やがてイロハによる弔辞も締めくくりを迎える。

     式典の終了をもち、イロハの立場が議長代理から正式に議長へと昇格する。

     その、刹那。


    ガタゴトガタゴトッ!


    イロハ「っ?」

    イブキ「え?な、なに?この音」

    万魔殿生徒「ねえ、あそこ。あの瓦礫の山」

    ゲヘナ一般生徒「…なんか、揺れてない?」


    (突如として鳴り響く謎の音)

    (イロハ達が音の方に向き直り、全員の注目が集まった。まさにその瞬間)


    ガタガタゴトゴトーーーードッカーーン!!

  • 112二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 21:23:53

    >>111

    ???「「「だあああああっ!!」」」


    万魔殿生徒一同『うわあああああっ!?』

    ゲヘナ一般生徒一同『ぎゃあああああ!?』


    イブキ「なに!?なんなの、なにがおこってるのー!?」

    イロハ「イブキ、私の後ろへ!皆さん、戦闘態勢を!」

    アコ「ヒナ委員長!」

    ヒナ「アコ、イオリ達に連絡!すぐに、増援、を――?」


    (もしやミレニアム残党の襲撃か)

    (一般生徒たちがトラウマを呼び起こされ悲鳴を上げる中、少しずつ土煙が晴れていく)

    (やがて、その中から姿を現したのは――)


    マコト「げほっ、ごほっ…!や、やっと出られた、のか…?」

    サツキ「そうみたい、ですわね…。ゴホッゴホッ!」

    チアキ「よ、よかった…。お日様の光だぁ…もうダメかと思ったぁ…!」


    イロハ「――マコト、せんぱい?」

    イブキ「サツキ、せんぱい……ちあきせんぱいも……」

    万魔殿生徒「う、嘘。あれって死んだ筈の、マコト議長たちじゃ?」

    ゲヘナ一般生徒「おい、それだけじゃないぞ。奥からもぞろぞろ出てきて――!」


    (土埃に汚れ、服装もボロボロになったマコト達が瓦礫の下から這い出てくる)

    (その後からぞろぞろ出てきたのは、あの日の襲撃以来行方不明になっていた筈の万魔殿生徒たちだった)

  • 113二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 21:24:31

    >>112

    アコ「な、なんで…!?あの人たちは、確かにあの日吹き飛ばされた筈…!ハッ、まさか幽霊!?」

    ヒナ「そんなわけないでしょう。――どうやら、またしても悪運に恵まれたようね?マコト」

    マコト「ヒナァ!?よ、よりにもよって地上に出て早々拝むのが貴様の顔とは…!最悪だっ!」

    ヒナ「ね?この悪態は生きてる本人にしかつけないでしょう?」

    アコ「た、確かに!」

    チアキ「…あの人たち、すっごい失礼な事言ってません?」

    サツキ「気にしないのチアキ。というか、すっごく疲れてるから後にして頂戴…」

    イロハ「マコト先輩、皆さん!」

    イブキ「マコトせんぱーい!!」


    (再会して早々、おなじみのやり取りを交わすヒナとマコト)

    (そこへ、血相を変えたイロハとイブキが割り込んできた)


    マコト「おお、お前達!無事だったようで何よりだ!」

    イロハ「こっちの台詞です。今の今までどこにいたんですか、というか生きてたんですか?」

    イブキ「そうだよ!だってイブキ見たもん、あの日パンデモニウム・ソサエティーごとマコト先輩たちが吹っ飛ばされちゃうところ!」

    マコト「キキキッ、言ってくれるな。だが確かに、あの時は本当に窮地だった――」


    (マコトの脳裏に、あの日の光景が甦る)

    (自慢のマコト砲をあっさり防がれ、反撃のビーム砲を叩き込まれたパンデモニウム・ソサエティー本部)

    (そのままであれば、マコト達も諸共に消し炭にされていた所だろう…)


    マコト「だが!この聡明にして用心深いマコト様はその時思い出した。こんな事もあろうかと、こっそり作っておいた緊急避難装置の事を!」


    (それは、密かに建造されていた地下シェルター)

    (トリニティから、あるいはそれ以外全ての敵勢力からの攻撃を受けた際、ボタン一つですぐにでも飛び込める避難場所)

    (着弾寸前、その存在を思い出したマコトは咄嗟に持ち歩いていたスイッチを押し――間一髪、難を逃れていたのであった!)

  • 114二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 21:25:06

    >>113

    マコト「まあ私以外にも同じように避難してきた奴らがいたのは誤算だったがな。まったく、いつの間に漏れていたのやら」

    サツキ「うふふ、ですがおかげで助かりましたわ。さすが私たちのマコトちゃん」

    チアキ「いやー先輩もたまには頼りになりますねえ!おかげで命拾いしましたよ!」

    万魔殿避難組『やんや!やんや!』

    マコト「キキキキキッ!いいぞ、もっと褒めろ褒めろ!」


    イロハ「……」

    イブキ「(パアアア)」


    (自分だけ聞かされていなかった事にジト目で睨むイロハと、素直に感動するイブキ)

    (対照的な空気を前に、ふとヒナがとある疑問に触れた)


    ヒナ「ところで、話は変わるのだけれど。――この場合、議長交代の件はどうなるのかしら?」

    サツキ「はい?」

    チアキ「へ?」

    イロハ「…あ」

    イブキ「あっ!」

    マコト「なんだヒナ、人がせっかくいい気分になってる所に水を差して――何?議長交代?」

    アコ「ちょうど今、議長交代の式典をやってた所なんですよ。ほら、今の今までマコトさんが行方不明になってましたから」

    アコ「まあ、せっかくここまで進めたわけですし?どうでしょうイロハさん、このままあなたが新議長という事でも私たちは一向に構いませんよ?」

    マコト・サツキ・チアキ「「「……」」」

    マコト「「「はああああ!?」」」


    (まさかの提案に、今度は別の意味で会場がどよめき出す)


    万魔殿生徒A「え?これってどうなるの?」

    ゲヘナ一般生徒A「いや普通にマコト先輩が復帰するんじゃないの?だってあの人が本来は議長なんだし」

    万魔殿生徒B「で、でも。もうイロハちゃんに代替わりする予定で諸々手続きも勧めちゃったよ?」

    ゲヘナ一般生徒B「あ、そうなんだ?じゃあこのままでもいいんじゃない?」

  • 115二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 21:25:52

    >>114

    万魔殿生徒C「じゃあ――イロハ新議長、バンザーイ!」

    ゲヘナ一般生徒C「バンザーイ!(←状況をよくわかっていない)」

    マコト「な、な、な!何ィいいいい!?」


    (その場のノリと勢いでイロハ新議長を讃えていくゲヘナ生徒たち)

    (マコトは呆然と立ち尽くすが、そこにイロハが溜息を吐きながら近づいて――)


    イロハ「マコト先輩」

    マコト「はっ!?な、なんだイロハ!まま、まさかお前まで私を裏切るつもりか!?この機に乗じて、私から議長の座を掠めとろうなど」

    イロハ「そんなわけないでしょう、はいこれ」


    (イロハがマコトに紙束を手渡す)

    (虚を突かれ、不思議そうな目でそれらを見つめるマコトに対し)

    (イロハはいつもの気だるげな調子で、淡々と言い放った)


    イロハ「マコト先輩がいない間、書類が山ほど溜まってるんです」

    イロハ「マコト先輩――いえ、『議長』でなければ決裁できないモノもあるんですから。さっさと片付けてくださいよ。羽沼マコト議長」


    (羽沼マコト議長。その、はっきりとした言葉に盛り上がっていた会場が一斉に静まり返る)

    (直後、言葉に込められた意味を理解し――今度は、別の歓声が上がった)


    万魔殿生徒『マコト議長、復活バンザーイ!!』

    ゲヘナ一般生徒『なんだ、やっぱりマコトが議長じゃん!でもバンザーイ!!』


    (ワーワーと、先程までの調子も忘れ全力で手の平返すゲヘナ生徒たち)

    (その姿を苦々しい目で睨んでいたアコだったが)


    ヒナ「アコ、帰るわよ」

    アコ「ヒナ委員長!?よ、よろしいんですかこのままにしておいて!」

  • 116二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 21:26:28

    >>115

    ヒナ「いいも何も、議長代理本人がそう言ってるのだから仕方ないでしょう。それに、元から口出しする理由もないのだしね」

    ヒナ「さ、帰りましょう。まだまだやるべき事は山ほど残っているわ。万魔殿も復活したというのなら、せいぜい備えておかないとね…」

    アコ「は、はい…。了解しました」


    (ヒナに促され、渋々会場を後にするアコ)

    (こうして行方知れずだった万魔殿議長および主要幹部たちの復活は華々しく喧伝されたが――仕事に忙殺され、三日と経たない内に忘れられたのはまた別の話)



    (そして。今回の事件でも大活躍した、小鳥遊ホシノはというと…)



    ――アビドス高校別館


    他校生徒「それじゃ、私たちもそろそろ出ますね!」

    アヤネ「はい!皆さん、お気をつけて!」

    他校生徒「ありがとうございます!アビドスの皆さんも、頑張ってください!」


    (最後に残っていた、別学区の生徒たちが校舎を後にする)

    (その後ろ姿を名残惜しげに見つめながらも、アヤネは手元のタブレット内書類にチェックを入れた)


    セリカ「あーあ。結局これでまた私たちだけになっちゃった」

    アヤネ「セリカちゃん」

    シロコ「ん、残念。せっかく残るよう、あれやこれや説得を試みたのに」

    ノノミ「はい、残念です…。こっそり立てていた、アビドス一大アイドルグループ・ABD68プロジェクトとかあったのに…」

    アヤネ「シロコ先輩、ノノミ先輩…。って、ちょっと待ってください。そんな計画、私聞いてませんけど!?」

    ノノミ「もちろん、内緒です☆だって言ったら絶対反対するじゃないですか~」

    アヤネ「当たり前ですっ!わ、私たちでアイドルだなんてそんな…!」

  • 117二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 21:27:02

    >>116

    (いつものように、ぎゃいぎゃい騒ぐ対策委員会の面々)

    (星の夢破壊から一か月。アビドスもまた異変前の姿を取り戻していた)

    (ミレニアムの脅威がなくなった事で避難してきた住民・他校生徒たちも徐々に元居た場所へと戻り始め)

    (先程去った生徒たちを最後に、アビドス高校はまた対策委員会五人だけの寂しい学校へ回帰した)

    (無論、残ってくれるよう対策委員会の面々も説得したのだが――)


    セリカ「『やっぱり、元居た学校がいいから』なんて言われちゃねえ。そりゃ引き留めようもないわよ」

    シロコ「その割に、セリカが一番残念そうにしてた」

    セリカ「んなっ!?そそそ、そんな事…!」

    ノノミ「確かに。なんというか、飼い主になってくれそうな人を逃した野良猫ちゃんみたいでしたね~」

    セリカ「誰が野良猫よ、誰が!」

    アヤネ「ま、まあまあセリカちゃん」


    (再びがらんどうになった学校を振り返り、一同は何とも言えぬ物寂しさを覚える)

    (こうなる事は承知の上で、あの状況の方がおかしかったと分かってはいる)

    (それでも。やはり割り切れないものがあった)


    セリカ「結局砂漠に落ちてきたあのデッカい街も、進入禁止だって言われちゃったし。…うちだけ何か損ばっかしてない?」

    アヤネ「ま、まあまあ。その内また入れてもらえるようになるって先生も言ってたから、ね?」

    セリカ「でもそれって、めぼしいモノをあらかた回収した後の話でしょ?はあ~、今なら山ほどお宝ありそうなのに…」

    シロコ「ん、だったら私に協力してセリカ。こんな事もあろうかと、実はヴァルキューレの歩哨ルートについて調べておいた」

    アヤネ・セリカ「「シロコ先輩!?」」

    シロコ「ちゃんとしたルートで忍び込めば問題ない。後は中に入って、貴金属の類をごっそり」

    ノノミ「シ・ロ・コ・ちゃ・ん~?」

    シロコ「……ん。やっぱり何でもない」

  • 118二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 21:28:33

    >>117

    (ズゴゴゴ、と。さながら魔王めいたオーラを放ちながらノノミがシロコに圧を飛ばす)

    (たちまちシロコも沈黙し、アヤネとセリカは何とも言えない顔で見つめるしかなかった…)


    セリカ「そ、そういえば!ホシノ先輩は?今朝会ったきり、ずっと顔見てないんだけど」

    アヤネ「ホシノ先輩、ですか?そういえば、私も――」

    シロコ「…多分、あそこ」

    ノノミ「あそこ?…ああ、なるほど~」

    セリカ「いやあそこってどこよ?」

    シロコ「ん、それは――」



    (アビドス高校別館、生徒会室)

    (かつての思い出を偲ばせる場所で、ホシノはそっと『それ』を丁寧に磨いていた)


    ホシノ「今までありがとうね、ホルスアーマーちゃん」

    ホシノ「もう君と一緒には戦えなくなっちゃったけど――きっと、これでいいんだと思う」

    ホシノ「だから、ゆっくりお休み」

    ホシノ「時々、ちゃんと顔を見せたり磨きには来るからね。安心して、眠っているといいよ~」


    (扉を開け、ホシノが生徒会室を去っていく)

    (後には丁寧に磨き飾られたホルスアーマーの残骸と――その傍らに手向けられた、『みんな』との集合写真が残された)


  • 119二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 21:31:00

    >>118

    以上。ここまでお付き合い頂きありがとうございました


    これにて『ホシノカービィ・ロボボプラネット編』は完結となります

    今まで長々とこんな二次創作を見守って下さり、ありがとうございました


    分かってはいたけど、結局今までで一番長いSSになってしまった


    次回作は『タッチ!ホシノ!』編の予定…

    ですがさすがに疲れたので、しばらくはチャージ期間という事で


    改めまして、ありがとうございました皆様

  • 120二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:57:50

    >>119

    スレ主として、感謝を。

    本当にお疲れ様でした!!私が立てたスレで、こんな大長編を見ることができたことを大変嬉しく思います。

    ぜひしっかりチャージしてくださいね。

  • 121二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 22:59:11

    おつおつ

    そういえばトリニティ側の行方不明になってたひとたちはどうなったんだろ?
    それとアズサってトリプル編には出てなかったけどアリウスの方にいるのかトリニティの方にいるのか
    トリニティの方にいたらロボボ編の時に補習授業部と一緒にアリウスに避難しに行ったのかな?

  • 122※ロボプラ作者です24/06/27(木) 00:55:39

    >>121

    そう言えばいくつか書きそびれてました


    ・トリニティ側の行方不明になってたひとたちはどうなった?


    結論から言うと、全員無事でした

    作中では書ききれませんでしたが、本校舎の陥落が目前に迫った段階でナギサ達ティーパーティーは学園の放棄を決意

    渋る生徒たちを半ば脅すように同意させ、ミカやシスフ&救護騎士団が殿を務める中どうにか脱出

    以降は各地に散らばった拠点(ナギサのセーフハウス等)で抵抗活動を続けつつ、アビドスとの合流を図ってた…というのが裏で起きてた大まかな顛末でした


    当初の予定ではミレニアムのアビドス侵攻開始に応じてトリニティ残存戦力がミレニアムの背後を突いたり、ミカ&補習授業部がアビドスに援軍として駆けつけるという展開も考えていましたが…

    どう頑張っても収める余裕がないのとブルアカ要素が強くなりすぎる為泣く泣くお蔵入りに


    そんなわけで、事件後は全員元気にトリニティ復興に励んでます

  • 123※ロボプラ作者です24/06/27(木) 01:12:09

    >>122

    続き

    >アズサってトリプル編には出てなかったけどアリウスの方にいるのかトリニティの方にいるのか

    >トリニティの方にいたらロボボ編の時に補習授業部と一緒にアリウスに避難しに行ったのか


    こちらも同じく書きそびれてましたが、この世界線のアズサは最初からずっとトリニティにいました

    元々は原作同様アリウス生まれでしたが、ベアトリーチェがフロラルドに攻め込んできた後はアリウススクワッドに強制入隊。その後べアトリーチェの差し金で地上へのスパイとして送り込まれ、トリニティに入学しスパイ活動を続けてました

    …が。トリデラ編の出来事でベアトリーチェが倒された事により、スパイ任務の意味自体が消滅。以降は普通の学生として、アツコ達からの援助の下そのまま通い続ける事となりました


    ちなみにスパイだった事はナギサ達ティーパーティーをはじめトリニティ首脳陣と先生には告白済み

    当初は処罰も覚悟していたもののヒフミ達補習授業部&先生からの嘆願、さらにスパイ行為を命じていたベアトリーチェが死亡した事でスパイ行為の損害自体ほぼ失われた事とアリウス側に貸しを作る等々の目的から、結果として無罪が決まったという


    ロボプラ編でも変わらず補習授業部に所属しており、ミレニアム侵攻時はアリウスの皆を案じつつも仲間たちと共に防衛戦で奮闘していたとの事

  • 124※ロボプラ作者です24/06/27(木) 12:21:39

    ・余談その3

    サオリ「そういえば結局その調月リオという生徒会長はどうなったんだ?聞く所によるとだいぶ危うそうに感じたが」
    先生”脳にかかっていた負担で一時記憶の混濁や昏睡状態に陥ったりはしたけど、今はだいぶ快方に向かってるよ”
    先生”事件の首謀者という事からヴァルキューレ傘下の病院で監視されてるけど、聞いた話では取り調べとかも問題なく従順に答えてくれてるって”
    先生”何でもカンナ曰く「まるで憑き物が落ちたかのようだ」だってさ”

    ちなみにトキも同じ病院に預けられて、監視下にあるとの事
    上層部からは共謀による脱獄も危惧されていたが、ヒマリが太鼓判を押した事で通ったとか通らなかったとか

  • 125二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 12:21:58

    >>122>>123

    なるほど!

  • 126二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 12:25:03

    >>119

    ロボプラ編完結乙です!

    いやぁ、良きSSを読ませてもらいましたわ


    最大限の感謝を

  • 127二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 13:14:03

    …あの事件から数日後、ヒナは風紀委員会の部屋で電話をとっていた。
    ヒナ「えぇ……そう……だから………私達が…良い?……そう…悪いようにはしない……えぇ…」
    イオリ「委員長、どこに電話してるの?」
    アコ「連邦生徒会です。」
    イオリ「えぇ…?なんでまた…」
    チナツ「それが、急に電話すると言ったきり、あの状態で…」
    しばらくしてヒナは電話をきった。
    ヒナ「許可が降りた。アコ、イオリ、チナツ…行くわよ。」
    アコ「え、許可?」
    チナツ「ど、どこにですか?」
    ヒナ「アビドス砂漠に落ちたエリドゥに。」
    「「「えっ!?」」」
    イオリ「エ、エリドゥ…て、今は連邦生徒会とヴァルキューレが合同で管理している筈じゃ…!?」
    ヒナ「先生を連れて調査をする、て条件で説き伏せたわ。」
    アコ「さ、さすが委員長…!ではなくて!な、なぜエリドゥに?」
    ヒナ「…騎士の勘、かしら。まだ終わっていない…そんな気がするの。」
    チナツ「まだ、終わっていない…!?」
    ヒナ「という訳だから行くわよ。みんな、後はお願いね。」
    風紀委員会モブ達「は、はい!」
    アコ「お、お待ちください!」

  • 128二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 13:19:45

    >>127

    マコト「キキキ!おい空崎ヒナァ!どこに行くつもりd」

    ヒナ「後にして。」

    マコト「えっ」

    イロハ「…一体どうしたんです?」

    ヒナ「あら、ちょうどいい。一緒に来てもらうわ、イロハ。」

    イロハ「はい…はい!?ちょ!」

    イロハがヒナに担がれた。

    マコト「イロハァァァァァァァァァ!!!??」

    イブキ「イブキも行くぅー!」

    マコト「イブキィィィィィィィィィィ!!!??」


    ホシノカービィ ロボボプラネット番外編

    『ヒナナイトでゴー リターンズ』

  • 129二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 13:38:23

    >>128

    というわけで…

    ヒナ「やってきたわエリドゥ。」

    イオリ「本当に来ちゃったよ…」

    イロハ「なんで私まで…」

    アコ「イブキちゃん、暑くないですか?はい、お水です。」

    イブキ「ありがとう!アコ先輩!」

    先生"みんな、今日はよろしくね。気をつけていこう"

    チナツ「はい、先生。よろしくお願いします。」


    ヒナ達はエリドゥ内を探索する。何が起こるか未知数のため、団体行動を意識して。

    先生"まだ終わっていないかも…だって?"

    チナツ「はい。委員長がそう言って…」

    イロハ「私にはそうは思えませんが…」

    イオリ「うーん、でもなんか分かる気がする…」

    アコ「委員長が言うんです!きっと何かあるんですよ!」

    イロハ「相変わらず風紀委員長には盲目ですね…この方。」

    先生"あはは……ん、ヒナ?立ち止まってどうしたんだい?"

    ヒナ「……あれは。」

    イブキ「あ、ヒナ先輩の偽物がいるー!」

    一同「えっ?」


    VS 強化量産ヒナナイトボーグ

    アコ「えぇ!?」チナツ「委員長の偽物!?」イオリ「し、しかも大量にいる!!」イロハ「…はぁぁぁ。」

    ヒナ「先生、指示をお願い。」

    先生"わ、分かった!みんな、気を引き締めていくよ!"

    イブキ「戦闘開始ー!」

  • 130二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 13:53:19

    >>129

    ドゴーーーーーーーーン!!!!!!!

    アコ「はぁ…はぁ…突破しました…!」

    イロハ「こんなことなら…虎丸を持ってくるんでした…」

    イブキ「イロハ先輩、大丈夫?」

    イオリ「〜〜〜〜!いったい!」

    チナツ「動かないでください。今治療していますから。」

    ヒナ「ね、先生。異常が起きてたでしょ?」

    先生"う、うん。そうだね。でも一体どうして…"

    ヒナ「…多分、アレのせい。」

    先生"アレ…?…………ッ!もしかして…!"

    イオリ「…で?ここどこ?」


    ???『ピー……ガガガガガ』

    一同「!?」

    あるものはその音に困惑し、あるものはキョロキョロと見回し、そして…先生とヒナは、目の前の暗闇を見つめる。

    光がともり、姿を現したのは…


    ボロボロとなったハブ……星の夢であった。

    星の夢『: ……R…E…A…… ……D…Y……………』

  • 131二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 13:54:21

    お昼食べたいからいったんストップ。
    近いうちに再開しますね。

  • 132二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 15:00:32

    >>130(つづき)

    イロハ「これが星の夢…」

    イブキ「大きいね…」

    イオリ「あの時、小鳥遊ホシノがぶっ壊したはずじゃ!」

    チナツ「壊れていなかった、ということなんでしょう…!」

    アコ「い、委員長…いかがします?」

    ヒナ「当然、破壊するまで。事後承諾で良いわよね、先生?」

    先生"もちろん。みんな、注意して!"

    すると、星の夢はヒナにその目を向けた。

    星の夢『アナタが…新しい… ゴシュジン様…デスネ。……ナルホド、とても ツヨイパワーを お持ち のヨウデ…。』

    ヒナ「…え?」先生"え!?"アコ「ど、どういうことです!?」イオリ「私に聞かれても!」チナツ「委員長がご主人様!?」イロハ「と、とにかくイブキは後ろに!」イブキ「う、うん!」

    星の夢『OK。…デハ、ソンナ ゴシュジン様ガ ノゾム…コノ星でも… カナリの 強サを持つ…「剣のツカイテ」と、 タタカワセテ…さしあげ マショウ。』

    ヒナ「わ、私が…望む…?」

    そうして皆の前に現れたのは、一本の試験管。それが割れ、闇が出現し、やがてある者の姿に変わった。それは…

    暗黒の復刻 / 星のカービィ ロボボプラネット オリジナルサウンドトラック [088]

    イオリ「ダ…ダークマター!!?」


    VS クローン剣士ダークマター

  • 133二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 15:20:24

    >>132

    ダークマター撃破後…皆、強敵を前に息も絶え絶えであった。

    星の夢『……おみごと デ、ゴザイマス。ゴシュジン様には ショウショウ モノたり ナカッタかもしれマセンネ。』

    ヒナ「だから…私はご主人様じゃない。」

    星の夢『ソレでは次に、 美シク まうようニ 魔法を アヤツる…最強の【女王】を、 ヨミガエ らせ マショウ。ソノ たぐいまれな 支配するチカラと 王たる オーラ…ドウゾ ゴたんのう クダサイませ。』

    そうして先ほどのように現れたのは、フロラルドとアリウスを苦しめた存在…

    イロハ「…今度はベアトリーチェ、ですか。」


    VS クローンベアトリーチェ

  • 134二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 15:34:57

    >>133

    まさかの連戦…ベアトリーチェを撃破したのも束の間、皆の体力が限界に近づきつつあった。…たった一人を除いては。

    ヒナ「はぁ…はぁ…」

    星の夢『サスガ ゴシュジン様デス。 では サイゴに…キンジられて イタ…「時空テンイ プログラム」を アンロック シ、イニシエの時代ノ 剣士ヲ、 ヨビダシ マショウ。』

    イオリ「なん…だって…!?」

    チナツ「イオリ、しっかりしてください!」

    星の夢『…カレに コノあたりノ 星ハ ホロボされて シマウと 思イマスガ…キット、サイゴノタタカイを 楽シンデ イタダケル ことデショウ。』

    イロハ「は…はぁ…!?そんなこと、させませんよ…!」

    イブキ「そうだよ!せっかく平和になったのに!」

    星の夢『ソレでは………!時空テンイ プログラム… アンロック… 異空間ロード… リブート………3………2………1

    ……………………GO!!』

    …異空間ロードへの道が開き、現れたのは謎の戦士。その戦士がランスを一振りすると、なんと、


    あの星の夢が切り伏せられ、爆発四散した。

    星の夢『!!!!!???????』


    アコ「あれは…」

    先生"あれが、ヒナの言っていた…"

    ヒナ「…えぇ。」

    ヒナ「名付けるなら…ギャラクティック・テラー…!」


    VS ギャラクティック・テラー リターンズ

  • 135二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 15:46:23

    >>134

    その戦いは、他の皆が動けないため、ギャラクティック・テラー…ギャラテラーとヒナの1体1となっていた。先生も指示を出し、ヒナをサポートするが…

    先生"ヒナ!3時の方角から攻撃がくる!避けて!"

    ヒナ「…ッ!だめ!間に合わない!!」

    ギャラテラー〈!!〉

    ヒナ「が…ぁ…」

    先生"ヒナ!!"

    ヒナはランスの攻撃によって壁に叩きつけられてしまう。

    そんなヒナに迫るギャラテラー!

    先生"ヒナ!"

    イロハ「先生!行ってはダメです!」

    先生"くっ!"

    イブキ「ヒナ先輩!!」

    イロハ「イブキ!ダメです!」

    イブキ「でも!」

    ギャラテラーのランスがヒナに迫る!!

    ヒナ「くっ…!」

    そのランスが当たる…ことはなかった

    イオリ「させ、るかぁ!!」

    ヒナ「イオリ!」

  • 136二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 15:57:59

    >>135

    イオリ「私は…私達はゲヘナ学園の風紀委員会!勝てないからって諦めていい訳がない!」

    アコ「イオリ!今のであの者の懐が空きました!」

    イオリ「OKアコちゃん!おりゃ!!」

    イオリが隙をついてギャラテラーの懐を蹴ると、ギャラテラーは体勢を崩し、後ろに大きく飛んだ。

    チナツ「大丈夫ですか、委員長!」

    ヒナ「チナツ…イオリ…アコ……みんな。」

    チナツ「…みんな、気持ちは一緒です。」

    イオリ「あんな風紀を乱す奴なんか、私達で懲らしめてやりましょう!」

    アコ「…やりましょう、ヒナ委員長。イロハさんも、イブキちゃんも、先生も加えた…みんなで。」

    イロハ「…はぁ、仕方ないですね。」

    イブキ「よーし!頑張る!」

    先生"…準備はいいかい、ヒナ。"

    ヒナ「…えぇ。」


    ヒナ「ヒナナイツ、行くわよ…!」

  • 137二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 16:07:30

    >>136

    先生の指示、アコとチナツの支援、イロハとイブキの連携、そしてイオリの力。全てが完璧に噛み合わさり、ヒナの実力がいかんなく発揮される。


    いくら最強の戦士とはいえ、たった1人で崩せるほど、皆甘くはなかった。そして、ついに、ついに!


    ギャラテラー〈!?〉

    ヒナ「あなたも災難だったわね。あんな機械に連れてこられて。でもだからといって、全てを滅ぼすなんてことを許す訳にはいかない。」

    ヒナの新たな必殺技、その羽で敵を翻弄しその隙に「終幕:デストロイヤー」でうち貫く『デストロイヤーダークネス』が放たれる!

    ギャラテラー〈!!!??〉

    ヒナ「…私達の勝ちね。」


    ギャラクティック・テラーを撃破したのだった。

  • 138二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 16:16:34

    >>137

    …エリドゥを後にするヒナ達。

    チナツ「まさか、まだ星の夢が生きていたなんて。」

    イロハ「本当ですよ。…ていうか、私とイブキにいたっては巻き込まれただけですし…。」

    イブキ「でも、無事に解決できて良かったー!」

    イオリ「ね!ヒナ委員長の勘を信じて良かった!」

    アコ「ふぅ…報告書にはなんて書きましょう…。」


    先生"ヒナ、本当にお疲れ様"

    ヒナ「あら先生。大変なのはこれからでしょう?」

    先生"そう、だね…うぅ。連邦生徒会に説明しなきゃ…"

    ヒナ「ふふっ。」


    ヒナ(…本当に良かった、被害が出る前に解決できて。)

    ヒナは空を見上げる。透き通るように青い空が広がっていた。

    ヒナ(あなた達が守った今の平和を、無駄にしたくはなかったのも。)

    思い浮かぶは、ピンクの髪をしたアビドス生と…ピンク色をしたロボットであった。


    ヒナナイトでゴー リターンズ

    おしまい!

  • 139二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 16:21:37

    はい、短いですが終わりです!
    書いてくださっていたロボプラ編が終わり次第書こうと思っていたものが書けて嬉しいです!

  • 140二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 16:33:03

    ヒナゴー・リターンズ編更新乙です!
    原作だと星の夢とギャラクティックナイトは密接な関係があるかもって言われていたけどこちら(星の夢・ギャラクティック・テラー)ではどうなってるんだろうか…

  • 141二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 16:36:24

    更新お疲れ様です!
    ヒナナイトでゴー!リターンズ、楽しく読ませてもらいました!

    まさか爆散したと思った星の夢が生き残っていたなんて…
    恐るべしミレニアムの科学力

  • 142二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 00:31:04

    ・タッチ!ホシノ!

    ここは呆れかえる程平和…ではないキヴォトス。
    今日も今日とて自治区のどこかで銃撃戦が繰り広げられ、派手な爆発が起こっています。
    そして、そんなある日のミレニアムサイエンススクールでは…

    ――ミレニアムサイエンススクール内・廊下

    マキ「はあ~。まさか休みの日にまで登校しなきゃならないなんて…」
    ハレ「仕方ないでしょ、ヒマリ先輩直々に呼び出されたんだから」
    マキ「今日はせっかく、新しいグラフィティに挑戦しようと思ってたのに。ブツブツ…」
    ハレ「はいはい、愚痴はそこまで。ちゃっちゃと終わらせれば早く帰れるだろうし、切り替えていこう」
    マキ「は~い…」
    ハレ「(コンコン)ヒマリ先輩、来ましたよ。…ヒマリ先輩?」

    (特異現象捜査部の部室前に到着し、扉をノックするハレ)
    (が、中から返事は帰ってこず沈黙だけが流れた)
    マキ「留守なのかな」
    ハレ「そんな筈はない、と思うけど。時間もあってるし」
    マキ「どれどれ……(ガチャ)あれ、開いてるじゃん」
    ハレ「え。ちょ、ちょっとマキ?」
    マキ「ヒマリせんぱーい、マキとハレ先輩が来ましたよー。って、あれ誰もいない」

    (ドアを開けた勢いのまま、マキは部室の中を覗く)
    (エアコンの効いた室内には誰も居らず、ただ複数のPCとモニターが稼働し続ける音だけが鳴り響いていた)

  • 143二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 00:31:33

    >>142

    マキ「なんだ、やっぱり留守じゃん」

    ハレ「勝手に入らないでよ、もう。チヒロ先輩にバレたら大目玉なんだから」

    マキ「バレなきゃいいんだよ、バレなければ!――でも、本当にヒマリ先輩たちどこ行ったんだろ?エイミまでいないし」


    (念の為部屋の隅から隅まで見回すが、人っ子一人見つからない)

    (そうこうしている間に、マキは部室内に上がり込んであれこれ調べ回っていた)


    ハレ「ちょっとマキ、勝手に触ったりしたら怒られるよ」

    マキ「書置きとか探すだけだよ。それにあたしだってハッカーの端くれなんだし、早々下手に触ったり、なんて…?」


    (ふと、マキの目があるモノを捉える)

    (部室の片隅にぽつんと置かれた、何枚かの額縁入り絵画)

    (飾られるでもなく、かといって捨てられているわけでもなさそうなそれらは、妙にマキの心をとらえて離さなかった)


    マキ「ねえハレ先輩。この部室にこんなもの、あったっけ?」

    ハレ「え?さ、さあ…。言われてみると、私も初めてみたような」

    マキ「ふーん…」


    (絵画群の中からマキは一枚手に取り、しげしげと眺める)

    (魔女と思しき人物が描かれたそれは古ぼけてこそいるものの、妙に生き生きとした躍動感が込められていた)


    ハレ「だからマキ、勝手に触らないでってば。ここにあったって事は、ヒマリ先輩たちの所有物かもしれないでしょ?下手に傷つけたりしたら後が……!?」


    (マキを注意しようとしたその時、ハレの視界に置かれたままの絵画群が入る)

    (一瞬スルーしかけたものの、ふと絵画の一枚に違和感を抱きハレは手に取る)

    (そして――気づいてしまった。その絵画の、モチーフになっているモノの正体に)


    ハレ「これ…ヒマリ先輩?なんで…」

  • 144二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 00:32:16

    >>143

    (絵画に描かれていた女性。それは紛れもなく特異現象捜査部の現部長にして元ヴェリタス部長だった明星ヒマリその人だった)

    (限りなく白に近い銀髪と花の髪飾り、ピンと伸びたエルフ耳と頭上に浮かぶヘイローの形状。そして――何より、普段から彼女が愛用している車椅子)

    (全てが明星ヒマリの特徴と合致し、ハレの記憶ともリンクする)

    (普段から何かと自己賛美の激しい彼女だが、とうとう自画像に手を出したのだろうか)

    (そんな考えは、しかし)


    ハレ「まさか…!(残る絵画に手を伸ばす)」

    ハレ「こっちはエイミで、これは――チヒロ先輩とコタマ先輩!?な、なんで…!」


    (ハレの知る限り、チヒロもコタマの絵画モデルの依頼を受けたという話は聞いた事がない)

    (ヒマリだけならまだしも、同じ部活動の先輩二人をモチーフにした絵画まであるとなれば話は別だ)

    (何よりここは特異現象捜査部。ミレニアムは元よりキヴォトスにおけるあらゆる以上・異変を蒐集し、捜査する為の場所)

    (悪寒めいたものを感じ、マキへと振り返るハレだったが――全ては遅すぎた)


    ハレ「マキ、いったんここから出よう。何かは分からないけど、嫌な予感がする」

    マキ『……』

    ハレ「マキ?ねえ、ちょっと。聞いてるの?」

    マキ『…………』

    ハレ「マキ!こんな時にふざけないで――」


    マキ『ふざけてなんかないよ、ハレ』


    ハレ「っ!?」


    (マキの声、でありながらマキの口から零れたモノとは思えない程悍ましい響きの声)

    (思わず後ずさるハレの眼前で、マキはゆっくりとハレに振り返った)

    (――その。妖しげな光を湛えた、両の目を向けながら)

  • 145二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 00:32:42

    >>144

    ハレ「ひっ!?」

    マキ『ふふ……良い顔、しているわねお嬢ちゃん』

    マキ『あなたも、私の芸術のモチーフにしてあげる――!』

    ハレ「い、いや……いやああああああ―――っ!!」


    (マキの手が、ハレに伸ばされる)

    (自らの視界を覆い尽くすそれから逃れる間もなく、ハレの意識は暗がりに落ちていった――)



    ――ミレニアムサイエンススクール・校門前


    先生“ヒマリに呼ばれて来てみたはいいけれど、一体何の用なんだろう”

    ホシノ「うへ~、ここがミレニアムかぁ。こうして来るのはおじさんも初めてだよ~」


    (ヒマリの呼び出しを受け、シャーレビルから遥々ミレニアムまでやって来た先生)

    (その傍らには、物珍しそうにしげしげと校舎を見渡す小鳥遊ホシノもいた)


    先生“ごめんねホシノ、当番とはいえ休日にまで付き合わせちゃって。オフィスで待っててくれてもよかったんだけど…”

    ホシノ「いやいや、おじさんの護衛なしでキヴォトスをうろつき回るなんて自殺行為だよ~。それに最近はやたら物騒な事件も多いし、用心するに越した事はないって」

    先生“それはまあ、そうだけども”

    ホシノ「それにおじさんもミレニアムには興味があったからねぇ。新興の学園って聞いて、一度くらいは見て見たかったんだ」

    先生“そっか。じゃあこの機会にじっくりと――という訳にはいかないけど。まあ観光半分仕事半分くらいのノリで見て行こうか”

    ホシノ「さっすが先生。それで、そのヴェリタスだったか特異現象捜査部の部長ちゃんだったっけ?その人はどこにいるのさ」

    先生“ああ、確かこの先の廊下を行った少し先に――」


    ??『キャーーーッ!!』

  • 146二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 00:33:05

    >>145

    先生“っ!?”

    ホシノ「!先生、私の後ろに!」


    (突如として響いた、生徒のものと思しき絹を裂くような悲鳴)

    (直後、先生とホシノ達が向かおうとしていた先から複数のミレニアム生たちが現れた!)

    (その表情はいずれも恐怖で揺らいでおり、後ろを気にしながらも全力で逃げ出そうとしている)


    先生“君、どうしたの!?中で何かあった!?”

    ミレニアム生徒A「ひいいっ!…あっ、シャーレの先生!?た、助けてください!」


    (咄嗟に脇を逃げ出そうとした一人を捕まえ、先生は何があったのか問い質す)

    (悲鳴を上げたそのミレニアム生は、相手がシャーレの先生と分かると抱き着くように助けを求めてきた!)


    先生“お、落ち着いて。一体どうしたの?”

    ミレニアム生徒A「ば、化け物が!化け物が出たんです!」

    ホシノ「――化け物?」

    ミレニアム生徒A「は、はい!まるで絵の中から飛び出してきたみたいな、ヘンテコなドラゴンやサルみたいな怪物が現れて!そいつらに捕まった、みんなが!みんなが――!」

    先生“みんなが?みんなが一体、どうしたの?”

    ミレニアム生徒A「そ、それは」


    ??『知りたい?なら、そこの生徒で教えてあげる』


    (ミレニアム生が答えようとした次の瞬間)

    (突然空からその生徒めがけ雷が落ち、全身を貫いた!)

    (衝撃で先生は弾き飛ばされ、地面を転がってしまう…)


    先生“うわぁっ!?”

    ホシノ「先生!大丈夫、怪我はない!?」

    先生“わ、私は大丈夫。だけど、さっきの子が…?」

  • 147二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 00:33:29

    >>146

    (ホシノが血相を変えて駆け寄り、先生の身体を確かめる)

    (一方、当の先生は己を顧みず先程の生徒へと視線を向けるが――次の瞬間、ポカンと口を開いた)

    (その様子にホシノも何事かと、先程の生徒の方を見やるが)


    ミレニアム生だったナニカ『……っ!?……!』

    先生“こ、これは…”

    ホシノ「ええと…なにこれ?鳥?それとも虫?」


    (二人の前にで蠢くナニカ)

    (それはピンク色の身体に、大きな目玉がついた見た事もない生き物の姿をしていた)

    (一応羽とも翼とも思えるパーツは付いているものの、およそ二人が知るどんな鳥とも昆虫とも異なる姿である)

    (しばらくの間困惑していた元ミレニアム生は、やがて自らの異変に気付き、絶望したような顔で何処かへと飛び立ってしまった!)


    先生“あ、まって!”

    ??『あーあ。せっかく可愛らしい姿にしてあげたのに、逃げちゃった』

    ??『やっぱりちゃんと口も描いてあげればよかったかな?』

    ホシノ「お前は…!?」


    (先生とホシノの頭上から響く声)

    (その声に二人が顔を上げると――そこには、宙に浮かぶ小塗マキがいた)

    (服装自体はいつもの格好で、携える武器も彼女が愛用する『オートラッカー』そのもの)

    (だが。両の瞳だけが、いつもの彼女とは大きく異なる紫の妖しい光を輝かせている)


    ホシノ「…先生。一応聞くけど、ミレニアムに自力で空を飛んだり他人を化け物に変えたりするような力を持った生徒とかいる?」

    先生“いや。できそうな生徒に心当たりがないわけじゃないけど、こうやって実行に移すような生徒はいないよ”

    先生“何より、君の事もよく知ってる。――マキ、これは一体何のつもり?”

    マキ?『怖い怖い。先生もそこの他校生さんも、そんな顔しちゃ台無しだよ?』

    マキ?『もっとこう、余裕を持った態度でいなよ。でなきゃせっかくの魅力も台無しってもんさ』

  • 148二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 00:34:45

    >>147

    (明らかに異様な姿に警戒を露わにする先生とホシノだったが、当のマキはまるで気にする風でもなくコロコロと笑い出した)

    (その態度にホシノは目を細め、先生はより顔を険しくする)


    マキ?『でも、そうだね。先生にだけは「私」の正体と目的を教えてあげるよ』

    マキ?『私は小塗マキであって小塗マキじゃあない。それはちょっと前までの名前で、今の名前は別にある』

    先生“別の名前、だって?”

    マキ?『そう――特別に見せてあげる、生まれ変わった私の姿を!』


    (先生とホシノが睨む前で、マキは右手を空に突き上げる)

    (直後、マキの頭上に大量のペンキが現れ、一瞬にしてマキの全身を覆い隠した!)

    (そして。ペンキが流れ去った後で、現れたのは――)


    ??『私は、小塗マキを依り代に生まれた者』

    ??『小塗マキが有する可能性と才能を具現化し、この世界そのもののテクスチャにまで手を伸ばす者』

    ??『全てを塗り、全てを潰し、全てを思うままに染め上げる存在――』


    マキ・ソーサレス『心して聞け。我が名はマキ・ソーサレス!この世界の全てを作り替え、我がものとする新たな支配者だ!』


    (魔導師めいた紫色のローブと、魔女を思わせるとんがり帽子)

    (口元はスカーフで覆われ、その顔も闇に閉ざされたように見通せない)

    (ただ。衣服と同様紫に輝く瞳だけが、変身前のマキの面影を残していた――)


    先生“マキ・ソーサレス…!?”

    ホシノ「…どうやら、話が通じる相手じゃなさそうだね」


    (ショットガンに手を伸ばし、戦闘態勢に入ろうとするホシノ)

    (その銃口が空中のマキ――否、マキ・ソーサレスに向けられる、まさにその瞬間)

  • 149二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 00:35:20

    >>148

    マキ・ソーサレス『おお怖い。そんな物騒なモノを私に向けるだなんて、恐ろしいお嬢ちゃんだね』

    マキ・ソーサレス『恐ろしい、から――そんな銃(モノ)、使えないようにしてあげるよ!』

    ホシノ「!?」

    先生“ホシノ!危ない!”


    (マキ・ソーサレスが右手を向け、ホシノへと電撃を放つ!)

    (とっさに先生がホシノを庇おうとしたが、一歩遅かった)

    (電撃は先生諸共、ホシノの全身を貫いた!)


    先生・ホシノ“「うわぁあああっ!!」”


    マキ・ソーサレス「アハハハハ!ザマーみろ!これでもう、お前たちは私の邪魔なんてできやしない!」

    マキ・ソーサレス「さあ!それじゃ存分に暴れてやるとしよう!今日からこの学園都市は、いやこの世界は私のモノだ!」

    マキ・ソーサレス「アハハハ――アーハッハッハッハッハ……!」

    ホシノ「ま、まて…!?」


    (高笑いと共に、マキ・ソーサレスが飛び去って行く)

    (その後を追いかけようとしたホシノだったが、妙に視点が低くなっている事に気が付いた)

    (否、変化は視点の低さだけではなく…)


    ホシノ(か、身体が動かない?ど、どうなっちゃったの私)

    ホシノ(それに視界も妙に低いというか、明らかに寝そべってるような…)

    ホシノ(ど、どこかに鏡。それか今の自分を写せるようなものは――)


    (そこで、偶然にも近くのガラス窓が目に入る)

    (屈折の影響か位置取りの妙さ故か。兎にも角にも、そこに映し出されていた自分(ホシノ)の姿は――)


    ホシノ「……う、へ?」

  • 150二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 00:35:48

    >>149

    (まず目に留まったのは、全体的にピンク色に染まった身体)

    (次いで映ったのは、ずんぐりむっくりとしか言いようがない丸みを帯びた輪郭)

    (というか。ホシノ自身とある時期に何度も触れ親しんでいたそれは非常に見覚えのあったもので)

    (結論を言うと。今のホシノは、デフォルメされたクジラのような姿になっていた)


    ホシノ「……」

    ホシノ「…………」

    ホシノ「う、え――えぇええええーーーっ!!?」


    (思わず絶叫するも、相変わらず身体は言う事を利かない)

    (せいぜい元両手を思しきヒレ部分がピコピコ動いたくらいで、それ以上は何の反応もしなかった)

    (当然、マキ・ソーサレスを追いかける事などできる筈もなく…)


    ホシノ「ていうか、まって!?そもそもこの身体、一歩も動けないんだけど!?」

    ホシノ「なんで!?どうして!?そりゃクジラは嫌いじゃないし、例えられた事もあったけど!」

    ホシノ「あ、あの魔女モドキ~!私になんて事してくれたのさ!!」


    (怒り狂うも、せいぜい両腕ならぬ両ヒレがジタバタしたくらいでびくとも身体は動かない)

    (その様子に、やがてホシノは怒りを通り越して青ざめさせていた)


    ホシノ「ど、どうしよう。こんな身体じゃ、あいつを追いかけるなんてできないよ…!?」

    ホシノ「いやそれどころか、ご飯とかどうなるの?トイレとか行かなくて大丈夫なの?」

    ホシノ「そもそも――自分じゃ全然動けないんだけど…」


    (何とか移動しようと悪戦苦闘するも、全ては無駄だった)

    (ただただ体力を浪費するだけという事に気づき、ついにホシノは微動だにしなくなってしまう)

    (いよいよ本格的に絶望しかけたその時。ホシノの頭部分を、ツンツンと突く気配があった)

  • 151二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 00:36:22

    >>150

    ホシノ「…?今度は何?」


    (落ち込んでいたホシノが顔を上げる)

    (すると、いつの間に現れたのか。目の前には宙に浮かぶ不可思議な模様の絵筆があった)

    (絵筆はホシノに気づかれると、ブルブルと動き出し宙に文字を描いていく)

    (その内容は――)


    ホシノ「『ほ、し、の…だ、い、じょ、う、ぶ』?」

    ホシノ「なんで私の名前、知って…」


    (得体の知れない絵筆に警戒心を抱き、何とか後ずさろうとするホシノ)

    (すると。再び絵筆が動き出し――衝撃的な文言を書き連ねた)


    ホシノ「『わ、た、し。わ、た、し、だ、よ』?」

    ホシノ「『しゃ、あ、れ。せ、ん、せ、い』。…シャーレの、先生?」

    ホシノ「――――え″。ま、ままま、まさか。先生、なの?」


    (絵筆が頷くようにブンブンと前後に振る)

    (先生が、絵筆になった。その事実を、ホシノは一時呆然と受け入れ)

    (そして。次の瞬間再び絶叫した)


    ホシノ「え――えええええ~~~っ!?」



     こうして。またもや唐突に始まる事となった、ホシノの大冒険。

     ミニクジラに変えられてしまったホシノと絵筆に変えられてしまった先生。

     はたして二人は元の姿に戻る事はできるのか?

     何処かへ消えたマキ・ソーサレスの行方は?

     全ては絵筆が描く線の先のみぞ知る…

  • 152二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 00:37:38

    >>151

    というわけで。タッチ!ホシノ編スタートです

    ちなみに時系列的にはトリデラ編よりも前、Wii編よりちょっと後といった頃合


    なのでミレニアムに初めて来た、というのはそういう事です

  • 153二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 00:58:04

    タチホシ編更新乙です!
    早くも新章開幕でワクワクすっぞ!!

    ホシノはクジラに変えられて、先生は魔法の筆に……

  • 154二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 01:03:57

    >>152

    新SSお疲れ様です!

    惨いけど可愛らしい絵柄になる異変のはじまりですね。


    この裏では、異空間で頑張っているカヤや、フロラルドでバニタスしているサオリや、複雑な気持ちを抱えているトキとかいる訳かぁ…。

  • 155二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 11:45:43

    ちなみにですがタッチ!ホシノ編は前作と比べてだいぶ省エネ展開になる予定

    元ネタのゲーム自体そんなボス戦とかが少ないというのもありますが、ロボプラ編が長すぎたのでその反省&反動もあったり
    流石にあんな長いのは早々書けません…

  • 156二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:29:39

    これは、大事にとっておいた抹茶ムースを開き直って取り出して食べようとするヒナ

  • 157二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 00:11:53

    >>151の続き

    (ホシノと先生の試行錯誤が始まった)

    (未だこの事態に動揺する所はあるものの、兎にも角にも自分たちが動かねばキヴォトスが危うい事に変わりはない)

    (まずはどうにか動けないか、再びあれこれ試してみたのだが)


    ホシノ「ふんっ!ふんぬぬぬ……ぬあーっ!!(身体を伸び縮みしたり、転がれないか試している)」

    先生絵筆(恐らくは頑張れー、と言いたげな風に絵筆の身体を振りながら応援している)

    ホシノ「ぐぬぬぬっ!…ダメだぁ。分かっちゃいたけど、全然一歩も進めないよぉ」


    (尻尾の部分に力を込めたり、身体を傾けたりしてはみたが結果は同じ)

    (デフォルメクジラの身体はまるで思い通りにならず、ただただ疲労だけが重なった)


    ホシノ「これじゃ本当に、陸に上がったクジラだよ~」

    ホシノ「今頃マキ・ソーサレス?はキヴォトス中で暴れ回ってるだろうし、もたもたしてられないっていうのに」

    ホシノ「でもこれじゃあ、さすがの私もどうしようもないよ…」

    (がっくりと肩を――落とせる肩はないが、ホシノは溜息と共に俯く)

    (そんなホシノを少しでも慰めようと、先生絵筆はそっと撫でようとする)

    (その。筆先がホシノの身体に触れた瞬間)


    バヒュン!

    先生絵筆“!?”

    ホシノ「へ?」


    (ホシノの身体が勢いよく飛ばされ、宙に浮かぶ)

    (何が起こったのか分からず、呆然とする二人?だったが……物理法則は関係なく働き、ホシノは地面に叩きつけられた!)

  • 158二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 00:12:43

    >>157

    ホシノ「ぐへえっ!?な、何?何が起こったの!」

    先生絵筆(慌ててホシノの傍に近寄る)

    ホシノ「今の感触……絵筆の先生が触れた時の、だよね」

    ホシノ「もしかして――先生。さっきやってみたように、もう一度私に触ってみて」

    先生絵筆(戸惑うように、絵筆の身体を左右に揺らす)

    ホシノ「大丈夫。お願いだからやって。ひょっとすると、この状況を打破する手段が三塚遭ったかもしれない」


    (ホシノに押され、先生絵筆は恐る恐るといった風にホシノの身体に触れる)

    (先程と同じように筆先が当たり、身体を刺激したかと思った直後)

    (再びホシノの身体は勢いよく跳躍した!)


    先生絵筆“!”

    ホシノ「うひゃあ!や、やっぱりそうだ!私、先生に触られると勢いよく飛べるんだ――――ぶへえ!」


    (またも地面に叩きつけられ、悶絶するホシノ)

    (しかも今度は顔面からのダイブであり、ダメージも地味に増していた)

    (動けなくなる程ではないが、正直物凄く痛い)


    先生絵筆(心配そうに、あるいは申し訳なさそうにホシノを見守る)

    ホシノ「だ、大丈夫…とは言い難い、けど。でも、これでちょっとは光明が見えたかも」

    ホシノ「あとは、上手い事着地を何とかできれば…。うーん、どうしよう」


    (跳躍こそできると分かったものの、相変わらず身体のコントロールなどは思い通りにならなかった)

    (いかに頑丈なホシノといえど跳躍の度に叩きつけられては身体が持たない)

    (再び手詰まりに陥りかけた時、先生絵筆が空中に文字を書き始めた)


    ホシノ「『げ、ん、き、だ、し、て』…。気を遣ってくれてありがとう、先生」

    ホシノ「先生は、絵筆になっても変わらず先生なんだね――」

  • 159二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 00:13:03

    >>158

    (宙に浮かぶ文字を眺め、ホシノは支えてくれる存在の有難みを噛み締める)

    (そこでふと、ホシノの頭にとある考えが浮かんだ)


    ホシノ「ねえ、先生。ちょっと試したい事があるんだけど、いいかな?」

    先生絵筆“?”

    ホシノ「その宙に浮かんだ文字なんだけど、ひょっとして私の足元とかにも引けたりしない?」


    (思わぬ提案に、先生絵筆は困惑したように硬直する)

    (が、ひとまず試す気になったのか。ホシノの足元から数メートルほど線を伸ばし、引いてみる)

    (すると――)


    ホシノ「わ、わ、わ…?」


    (ホシノの身体が、まるで吸い寄せられるように線の上を滑り出す)

    (そのまま線が切れている所まで移動すると、パッタリ動きは止まった)

    (しばしの間、目をぱちくりさせるホシノ)

    (だが、状況を呑み込むと――その顔は、今までとは一転して輝き始めた!)


    ホシノ「いける…!やっぱり、思った通りだ!」

    ホシノ「先生、もう一回!もう一回やって!」

    先生絵筆(こくこくと、頷くように前後する)


    (そうして、ホシノと先生絵筆の実験は進められた)

    (前進、左右、また前進。後退こそできないものの、先生絵筆が線を引く度ホシノの身体もまた釣られるように移動する)

    (さらに空中にも描けるという性質を利用し、上下への移動をも可能にした)

    (ついでに、調子に乗ってジェットコースタ―よろしく複雑な軌道も描いてみる)

    (するとホシノの身体は急加速し、ただ線を引かれるよりも段違いの速さを見せた!)

  • 160二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 00:13:28

    >>159

    ホシノ「うっひょー、たのしーい!先生もっと!もっとやって!」


    (ホシノに煽られ、調子に乗った先生絵筆もどんどん描いていく)

    (が。突如その線は途絶え、それ以上全く描けなくなってしまった)


    ホシノ「うへ?」

    先生絵筆(青ざめたかのように、硬直する)


    (そして間の悪い事に。その時のホシノは、ちょうど高い空中を滑り回っていた所で…)


    ホシノ「う――うへぇえええ~~~!!?」

    先生絵筆“――!”


    (そのままなす術なく落下するホシノ)

    (先生絵筆は咄嗟に受け止めようと、間に割って入ろうとする)

    (しかし運がいいのか悪いのか。ちょうど筆先部分がホシノの身体に触れてしまい――ホシノは、空中で大きくバウンドした!)


    ホシノ「うへ!ぐへ!ぶへえ!」


    (多少なり落下の勢いは殺せたものの、完全には止まらずホシノはボヨンボヨンと地面を跳ねていく)

    (人体であれば大ダメージだったかもしれないが、デフォルメされた身体は思いの外頑丈で痛手も最小限で済んでいた)

    (まあ、無茶苦茶痛い事に変わりはなかったのだが)


    ホシノ「うへえ…調子に乗り過ぎたぁ。身体があちこち痛いよ~」

    先生絵筆(慌ててホシノの傍に近寄る)

    ホシノ「だ、大丈夫。大丈夫だよ先生。ごめんね、せっかくの線を無駄遣いさせちゃって」

    ホシノ「でも、どうして急に出なくなっちゃったんだろう?」

    ホシノ「…まさか。インク切れ、とか?」

  • 161二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 00:13:48

    >>160

    (ホシノの顔が最悪の事態を予想し、青くなる)

    (だが幸いにも、先生絵筆の線はしばらく待つとまた描けるようになった)


    ホシノ「う~ん。自動で補充はされるみたいだけど、無限に使用する事はできないみたいだね」

    ホシノ「というか、そうだ。先生は大丈夫?結構あれこれ描かせちゃったけど、疲れたりとかしんどいとかない?」


    (このインクの由来が何なのかは不明だが、もしも先生の体力ないし生命力を削って生み出されているものだとしたらマズいどころの話ではない)

    (だが。当の先生絵筆は全く気にする事なく、否定するように左右に身体を振った)


    ホシノ「よかったぁ。けど、やっぱり乱用はやめるよ。どんな副作用があるか分からないし、今みたいに大事故につながりかねないからね」

    ホシノ「とりあえず動き方にも慣れてきたし――一旦、ここから出てみない?先生」

    先生絵筆(頷く)

    ホシノ「よし。じゃあ、誘導頼むよ先生」


    (先生絵筆に導かれ、校舎の外へ移動するホシノ)

    (途中休憩を挟みつつ、校門まで辿り着いたホシノと先生絵筆が見たものは)


    ホシノ「なに、これ」

    先生絵筆“――――”

  • 162二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 00:14:06

    >>161

    (そこには、変わり果てたキヴォトスの風景が広がっていた)

    (水彩、油絵。抽象・印象画。はてはクレヨンにペンキをぶちまけたような所まで)

    (ビルに建物、道路に頭上の大空まで――何もかもが、絵画のそれに作り変えられていたのだ)


    ホシノ「まさか、これもマキ・ソーサレスの仕業…?」

    先生絵筆(頷く)

    ホシノ「そんな…。まさか、ここまでするなんて…」


    (元々の愛着故か、それとも最後の楽しみにでも取っておいたのか)

    (先程までホシノ達がいたミレニアム校舎だけは元通り、何も変わらない)

    (だが。今のホシノ達からすれば、それは異常をより際立たせているようにしか見えず、むしろ悍ましいまであった)

    ホシノ「――こうしちゃいられないよ、先生」

    ホシノ「あのマキちゃん、いやマキ・ソーサレスを追いかけて、何としても止めないと」

    ホシノ「でないと、キヴォトス中が――私たちのアビドスも、こんな風になっちゃう!」

    ホシノ「それにシロコちゃん達だって今頃どうなっているか…!」

    先生絵筆“……!”


    (先生絵筆が、ホシノの前に線を引く)

    (ホシノもまた何も言わず、ただ導かれるがまま線の上を滑っていく)

    (目指すは遥か彼方に去ったマキ・ソーサレス)

    (クジラに変えられたホシノと、絵筆の先生の奇妙な旅路が幕を開ける――)

  • 163二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 00:15:13

    >>162

    チュートリアル編終了

    次回からは一気に話を進めていく予定です


    はたしてホシノと先生はマキ・ソーサレスの元まで辿り着けるのか…?

  • 164二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 04:06:05

    このレスは削除されています

  • 165二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 04:07:13

    >>163

    お疲れ様です!

    はしゃぐホシノが可愛かった。

  • 166二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 14:16:36

    >>163

    更新乙です!

    マキ・ソーサレスがもたらした被害は相当ですなぁ

  • 167二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 22:01:20

    >>162の続き

    (マキ・ソーサレスを追って、ホシノと先生絵筆はキヴォトスの各地を駆けずり回った)

    (ある時は一面砂絵になったアビドスに向かい)


    ホシノ「うへ~、建物も道路もじゃりじゃりしてるよ~。砂漠化どころか、全部砂になっちゃったよ~」

    灰色ワンコに変えられたシロコ「ン!ン!」

    黒猫に変えられたセリカ「フミィ…」

    ホシノ「そしてシロコちゃんとセリカちゃんは動物に変えられちゃってるし。ていうかシロコちゃんのそれ、普通は『ワン』とかじゃないの?」

    顔が付いたメロンと化したノノミ「でも動物なだけまだいいじゃないですか。私なんて果物ですよ、果物」

    赤い眼鏡に目だけが映ってるアヤネ「…私のアイデンティティ、眼鏡だけなんですか?」


    (またある時はそこかしこが宗教画と化したトリニティへ向かい)


    ホシノ「あっちはステンドグラス、こっちは普通の油絵…。何というか、うち(=アビドス)と比べたらまだ原型留めてる感あるね」

    ティーカップナギサ「どこがですか!?いえそれよりも何故私がティーカップに…」

    ピンクゴリラミカ「ウホウホ、ウホホ」

    キツネ耳シマエナガ二号セイア「何何…『そりゃあれだけ毎日紅茶ばっか飲んでたらそうなるじゃんね☆むしろ茶葉とかにならなかっただけよかったんじゃない?』か。ふむ、一理なくもない」

    ティーカップナギサ「…ミカさん?元の姿に戻ったら覚悟しておいてくださいね?」

    ホシノ「ていうか何言ってるか分かるんだ、そこの小鳥ちゃん」


    (またまたある時は水墨画風に変えられた百鬼夜行へと…)


    シュロ「あの魔女畜生めぇ…。百花繚乱の連中だけならいざ知らず、手前までこんなピエロモドキに作り替えるなんて。後で思い知らせてやるからなぁ…?」

    ホシノ「ていうか君、生きてたんだ。あれだけ徹底的にぶちのめしたのにしぶといなぁ」

    シュロ「死んでたまりますか馬鹿野郎!この屈辱、この恨み!絶対に返してやりますからねぇ!」

    ホシノ「う~ん。この子だけは元に戻さなくていい気がしてきたよ」


    (その後もレッドウィンターに山海経、はてはD.U.区の連邦生徒会まで足を運び…)

    (とうとう!ゲヘナ学園へ飛び去って行ったという手がかりを得たのであった!)

    (ホシノと先生絵筆は、一路ゲヘナに向かう…)

  • 168二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 22:01:54

    >>167

    ホシノ「というわけで。やってきたよゲヘナ自治区のヒノム火山!」

    ヒナ「誰に向かって言ってるの、小鳥遊ホシノ」


    (ゲヘナ自治区ヒノム火山)

    (ホシノと先生絵筆は、道中で出会ったゲヘナ生たち――というか、いつものヒナ・マコト・イロハ三人組と共にマキ・ソーサレスが逃げ込んだというこの地に侵入していた)


    ホシノ「それにしても風紀委員長ちゃん、その…」

    ヒナ「何、小鳥遊ホシノ」

    ホシノ「いや、その――何と言うか、毛深くなったね?」

    ヒナ「…最大限オブラートに包んでくれた表現、ありがとう」


    (ホシノの指摘した通り、空崎ヒナもまたこれまで出会ってきた面々同様変わり果てた姿になっていた)

    (具体的に言うと全身が白に近い銀髪で覆われ、さながら毛玉のような見た目に変わっている)

    (顔に当たる部分からは目玉だけが覗いており、背中部分らしき場所から生えた翼も相まってコウモリめいたモンスターとでも呼ぶべき有り様だった)

    (ちなみにヘイローはホシノ達と変わらず浮かんでおり、それが猶更ある種の面白みまで出している)


    マコト「キキキッ!他校生にまで気を遣われるとは、すっかり落ちぶれたものだなヒナァ!」

    イロハ「まあ私たちも人の事は言えないんですけどね。まったく、どうしてこんな目に…」


    (ちなみにマコトは顔のついた武装飛行船に、イロハは赤い毛玉に覆われた虎丸戦車になっていた)

    (どうもこれまで作り変えられてきた者たち同様、自分に因縁深いものに変身する傾向があるようだ)


    ホシノ(でも、そうなると先生の絵筆はどうして…?)


    (確かに先生といえばシャーレのオフィスでデスクワークをしているイメージだが、それにしたって絵筆を使ってるような姿はホシノの知る限り覚えがない)

    (仮に使うにしても、万年筆とかボールペンの方がそれらしい気もするのだが…)

  • 169二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 22:02:19

    >>168

    ヒナ「……の、小鳥遊ホシノ?」

    ホシノ「うへ!な、何かな風紀委員長ちゃん?」

    ヒナ「何か、じゃないでしょう。ここへはマキ・ソーサレスを探しに来たのだから。こんな所で呆けていても何も始まらないのではなくて?」

    ホシノ「ご、ごめんそうだったね。それじゃ、早速――」


    マコト「うおわああっ!?そ、空から火山弾が!?」

    イロハ「ああもう、ウロチョロ飛ばないでくださいマコト先輩!狙いつけられないじゃないですか!」


    ホシノ「…とりあえず、あの子たちをどうにか助けようか」

    ヒナ「そうね」



    (ヒノム火山の奥へ進むホシノ達)

    (やがて頂上――火口付近にまで辿り着くと、そこには火口を背にマキ・ソーサレスが待ち構えていた!)


    マキ・ソーサレス『クックック…まさかここまで追ってくるだなんてね。正直、驚いたよ』

    ホシノ「マキ・ソーサレス…!」

    ヒナ「観念なさい。大人しく投降し、私たちとキヴォトスを元通りにすれば悪いようにはしないわ」

    マコト「そうだそうだ!早くこのマコト様とイロハ、そしてパンデモニウム・ソサエティーの皆を元に戻せ!それ以外は別にどうでもいい!」

    イロハ「マコト先輩、ちょっと黙っててください」

    マキ・ソーサレス『元に戻すぅ?嫌だね、せっかくこんな理想的な世界に作り変えたんだ。もう一生、みんなにはこのまま過ごしてもらうよ!』

    ホシノ「――理想的、だって?こんな、デタラメな絵画みたいな世界が?」

    マキ・ソーサレス『そうさ!今のこの世界は、私たち絵画が主役の世界!お前達人間やロボット、獣人たちの気まぐれ一つで左右されるような世界とは違う!』

    マキ・ソーサレス『この世界じゃ、私たち絵画こそが至高で絶対!逆らう奴らは私たちの思うように作り変えてやるし、何だったら物言えない置物にでもしてやる!』

    マキ・ソーサレス『そうして――私たちが飽きるまで。ずっと、ずーっと、弄び続けてやるのさ!もちろん作り変えた奴の自己と意識はそのままにね!アッハッハッハ!』

  • 170二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 22:02:56

    >>169

    マコト「な、何だとォ!そんなふざけた理屈、許されるとでも思っているのか!」

    イロハ「普段無茶苦茶な理屈で振り回してる人がよく言いますね。ですが、正直同感です。悪趣味な事この上ない」

    ヒナ「そうね。――この世界はあなた一人の玩具じゃない。そんな横暴を罷り通すというのなら、私たちが何としてもここで食い止める」

    マキ・ソーサレス『横暴、だと…?』


    (そこでマキ・ソーサレスが高笑いを止め、ヒナを睨みつける)

    (否、ヒナだけではない。その憎悪は、憤怒は、火口にいる全ての生徒と先生に対し向けられていた)


    マキ・ソーサレス『ふざけるな!お前たち風情が、どの口で横暴などと言う!』

    マキ・ソーサレス『勝手に生み出して、不出来なまま世に出して、挙句誰からも顧みられなければゴミ扱い!』

    マキ・ソーサレス『お前たちに何が分かる…!薄暗い倉庫の中、誰にも見向きもされず、忘れ去られたまましまい込まれる屈辱が!恨みが!絶望の何が分かる!!』

    マキ・ソーサレス『私たちこそお前たちの玩具などではない…!お前達が横暴と呼ぶのなら、二度とその口が聞けぬよう今ここで葬り去ってくれる!』

    マキ・ソーサレス『この火口こそが、お前たちを葬る焼却炉だ!アーハッハッハッハッハ!!』


    (マキ・ソーサレスが力を溜め、ホシノ達に向かってくる!)

    (同時に火山そのものも震え出し、まるで噴火直前であるかのように火口が荒れ狂い始めた!)


    マコト「お、おい!よく分からんが、不味い事になってないか!?」

    イロハ「どうやら、風紀委員長の言葉が余程癇に障ったみたいですね。余程のトラウマでも突かれたんでしょうか」

    ヒナ「関係ない。どんな理由、どんな事情があろうとも。あいつがやった事は許されない事」

  • 171二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 22:03:17

    >>170

    ホシノ「――そうだね。風紀委員長ちゃんの言う通りだ」

    ホシノ「ここで、あいつを倒して、おじさん達もキヴォトスも全部元通りにしてもらう」

    ホシノ「もちろん、先生だって――」


    (ホシノがチラ、と。先生絵筆の方を振り返る)

    (既に準備と覚悟を整えていたのか、先生絵筆は任せて!と言わんばかりに勢いよく身体を一振りした)


    ホシノ「いくよ、マキ・ソーサレス!お前の悪行も、今日限りだ!」

    マキ・ソーサレス!『ほざけ、生徒風情が!捻り潰してくれる―――!』


    (マキ・ソーサレスが襲い掛かり、ホシノ達もまた各々戦闘態勢に入る)

    (活火山の火口を舞台に、最終決戦が始まる…!)

  • 172二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 22:04:01

    >>171

    とりあえずここまで

    次回で最終決戦は決着、そしてその次でエピローグの予定です


    今回は本当に短く収まりそう…

  • 173二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 00:15:29

    >>172

    お疲れ様です!

    まぁ原作のタッチ!カービィ自体、ストーリーが重厚な訳じゃないですしね。

  • 174二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 00:55:23

    >>172

    更新乙です!

    アヤネとミカが銀魂みたいな弄られ方してて草

  • 175二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 11:56:57

    タチホシ編が終わったら毛糸のホシノ編に移る予定

    その次はどうしようか…
    ファイターズ2でも書いてみようか

  • 176二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 22:36:06

    >>175

    あ、その毛糸のホシノ編が終わったら、はじめての長編『スタアラ編』をやろうかなと思ってます。

    良いですかね?

  • 177二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 23:30:05

    >>176

    もちろんいいですよ

    何でしたらタチホシ編が終わったらすぐにでも結構です


    ここの所連続で書き続けて、だいぶ疲れたので…

  • 178二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:33:47

    >>177

    ありがとうございます。

    無理はしないでくださいね

  • 179二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:44:51

    >>171の続き

    マキ・ソーサレス『ヒャヒャヒャ!それじゃ、まずは小手調べといこうか!』


    (マキ・ソーサレスが空中に白紙のキャンバスを生み出し、何かを描き込んでいく)

    (瞬く間に描き上がったそれは…)


    マキ・ソーサレス『そおれ!爆弾の雨あられだよ!』

    ヒナ「!まずい、避けて!」

    ホシノ「うわわ!こりゃヤバい!」


    ヒュルルル…ドガドガボガン!


    (ホシノ達目掛け、大量に降り注ぐパラシュート付き爆弾)

    (幸い数はそれ程でもなく、落下速度も大した事なかった為全員どうにか避け切れたものの)


    イロハ「厄介ですね…。ここら辺は決して足場が良いわけじゃありません。それに、今の調子でポンポン爆破されたら火山だってタダじゃ済みませんよ」

    ヒナ「そうね。何とかして、空中にいるあいつを引きずり下ろさないと――」

    マコト「キキキッ!そういう事なら、このマコト様に任せておけ!」

    (飛行船マコトが勢いよく飛翔し、空中のマキ・ソーサレスへと突撃する!)


    ヒナ「待ちなさい、マコト!まだ相手の手札もろくに分かっていないのよ!そんな迂闊に飛び込んでは――」

    マコト「黙れヒナァ!イロハも言っていただろう、『もたもたしていては我々も危うい』と!それにこんな隙だらけの奴がどうこのマコト様の吶喊を防げるというんだ、キキキッ!」


    (反論する間にも、飛行船マコトはぐんぐん距離を詰めマキ・ソーサレスに肉薄する)

    (対するマキ・ソーサレスは慌てるでもなく、ただニヤリと笑い…)


    ドガアン!

    マコト「どうだ!このマコト様の一撃は……一撃、は?」

    マキ・ソーサレス『痛いいた~い。さっすがパンデモニウムのお偉いさん、こりゃあ参った~……なんてね♪』

  • 180二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:45:19

    >>179

    (マコトの突撃は、空中で阻まれていた)

    (マキ・ソーサレスの正面、そこに透明なバリアが張られマコトを押しとどめていたのだ)

    (そして当然、そんな隙だらけのマコトをマキ・ソーサレスが黙って見逃す筈もなく)


    マキ・ソーサレス『それじゃ、お返しだよっ!ヒャヒャヒャヒャヒャッ!』

    マコト「な――何ィイイイ!?」


    チュドガーン!

    (マキ・ソーサレスから巨大な魔力弾が放たれ、マコトに直撃)

    (バリアに足止めを喰らっていたマコトは避ける事も防ぐ事もできず、あえなく地上へと墜落した…)


    イロハ「ちょっとマコト先輩、大丈夫ですか!?」

    マコト「お、おのれ…。私必殺の『スーパーマコト様アタック』があんなものに防がれるとは…!」

    イロハ「…どうやら平気そうですね」

    ヒナ「まったく…。だから言ったでしょう、迂闊に飛び込むなと」

    マコト「う、うるさい!そういう貴様らは、あれを何とかする方策でも思いついたのか!」

    ホシノ「無茶言わないでよ。そんなほいほい思いついたら――危ない!」


    (ホシノが警告した直後、四人のいた地面から巨大なトゲが突き出してくる!)

    (間一髪、先生絵筆が足場を描く事で回避できたものの、あと少しでも遅れていたら串刺しにされる所だった)


    ホシノ「ひゅう、危機一髪~。ありがとう先生、助かったよ~」

    先生絵筆(気にしないで、と言いたげに身体を振る)

    マコト「ええいイロハ、お前も見てないで反撃しろ!その砲塔は飾りじゃないだろう!」

    イロハ「はいはい、怒鳴らなくてもそうしますよ。…主砲発射」


    (今度はイロハがマキ・ソーサレスに向けて砲撃する)

    (放たれた砲弾は狙い過たずマキ・ソーサレスに命中するが、やはりバリアに阻まれ傷一つつけられなかった)

  • 181二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:46:21

    >>180

    マキ・ソーサレス『アハハハッ!無駄無駄!そんなへなちょこ砲じゃこのバリアは破れないよ~だ!』

    イロハ「…薄々分かってはいましたが、それでもああして笑われると地味に腹が立ちますね」

    ヒナ「同感だわ。私も援護したいところだけど、この身体じゃマコトのように体当たりする事が精一杯…」

    ホシノ「けど、それじゃ多分また同じように防がれる…。一体どうすれば?」

    マキ・ソーサレス『どうやっても無駄無駄!私のバリアは、私以外全ての攻撃を跳ね返すんだ!お前らの攻撃なんて、何回やっても通じないよーだっ!』

    先生絵筆“!”

    マコト「ぐぬぬ!あの魔女め、調子に乗りおってからに…!」

    ヒナ「挑発に乗らない、マコト。また突っ込んでも同じ目に遭わされるだけ――先生?」

    ホシノ「うへ?何何、どうしたの?」


    (その時、考えあぐねていたホシノ達を先生絵筆がちょんちょんと突く)

    (次いで地面に何事か書き連ねていくと――ホシノ達の目が、大きく見開かれた!)


    マキ・ソーサレス『どうしたどうした?もう手づまりかい、お嬢ちゃん達』

    ホシノ達『……』

    マキ・ソーサレス『まあ、それも無理はないか。なんてったって、この私はキヴォトス一の傑作にして名が』

    ホシノ「へたくそ」

    マキ・ソーサレス『…何?』

    ホシノ「うへ、聞こえなかった?下手くそって、言ったんだよこの落書き魔女」


    (デフォルメクジラの顔で、ホシノはこれ以上ない程痛烈にあざ笑い罵倒する)

    (さらにホシノだけではなく、ヒナとイロハも――)


    ヒナ「小鳥遊ホシノの言う通りだわ。私もそれ程美術に造詣があるわけじゃないけれど……今のあなたの絵は、間違いなく私が見てきた中でも最底辺の出来栄えよ」

    イロハ「同じナルシストでもマコト先輩の方が百倍、いえ千倍マシですね。まあこれに関しては大体すぐ壊されて撤去しやすいって所もありますが」

    マキ・ソーサレス『な、な、な…!?』


    (マキ・ソーサレスの声色が上ずり、分かりやすく憤怒の色を帯びていく)

    (隠れてよく見えないが、その素顔がどうなっているかなど覗き見るまでもなく明らかだった)

  • 182二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:46:51

    >>181

    (そして。とどめを刺すようにマコトが特大の侮辱を叩きつける!)


    マコト「キキキッ!語るに落ちる、とはまさしくこの事だなぁ魔女?」

    マコト「お前の絵は誰にも響かないし、誰の心も動かせない!」

    マコト「お前が言った通り、倉庫の奥底で見向きもされずしまわれているのがお似合いだという事だ!この――――下手の横好き以下の、駄.作品め!」

    マキ・ソーサレス『~~~~~~!!!』


    (正しく、効果は覿面というべきか)

    (一瞬にして頭に血を上らせたマキ・ソーサレスは、全力で魔力を練り上げていく!)


    マキ・ソーサレス『殺す、殺す、コロス…!私の美を、我が芸術を解さぬ愚者共が!』

    マキ・ソーサレス『その大罪、身をもって贖うがいい!』


    (マキ・ソーサレスが極大の魔力弾を撃ち放つ!)

    (回避など到底不可能。辺り一帯を吹き飛ばす威力の魔力弾に対し――立ちはだかったのは、まさかの先生絵筆だった)


    マキ・ソーサレス『なに!?』

    ホシノ・ヒナ「「先生っ!」」


    (先生絵筆が筆先を走らせ、空中に線を描き重ねていく)

    (出来上がったそれは、まるで巨大なハンモックめいた形をしていた)

    (そこへ極大魔力弾が飛び込み、大きくたわませる!)

    マキ・ソーサレス『馬鹿め!そんなちゃちな作品で私の最大火力を防げる、など…!?』


    (たわみ、引っ張られ、限界まで伸ばされる即席ハンモック)

    (だがその守りは、しっかりと機能し極大魔力弾を受け止めて)

    (さらに!次の瞬間、勢いよく反発すると共に極大魔力弾を跳ね返した!)

  • 183二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:47:21

    >>182

    マキ・ソーサレス『な――なんだぉおおおっ!?』


    (よもや跳ね返されるとは思っていなかったマキ・ソーサレスはもろに直撃を喰らう!)

    (マキ自身の攻撃であるが故にバリアも機能せず、そのままマキ・ソーサレスは地面に落下した!)

    (そして。その隙を当然見逃すホシノ達ではなく)


    マコト「今だ!全員、このマコト様に続けェ!」

    ヒナ「言われずとも――全力で行く」

    イロハ「全弾発射。遠慮なくぶち込みます」

    ホシノ「さあ!これでチェックメイトだよ~!」

    マキ・ソーサレス『ま…ギィヤァアアアアッ!!』


    (ホシノ達による一斉攻撃が襲い掛かる)

    (先程のダメージを引きずったままのマキ・ソーサレスにはどうしようもなく、ただ断末魔の悲鳴を上げるばかりであった…)


    マキ・ソーサレス『ああ、あああ……アアアアアッ!』


    (ホシノ達の猛攻を喰らい、とうとうマキ・ソーサレスが絶叫と共に倒れ伏す)

    (その身体からは紫色の靄が立ち上り、宙に浮かんでいった…)


    ホシノ「ようし、やったぁ!おじさん達の大勝利だね!」

    マコト「キキキッ!お前達も中々やるじゃないか!まあ、一番活躍したのはこのマコト様だがな!」

    イロハ「はいはい、そういう事にしておきますね」

    ヒナ「まったく…。それで小鳥遊ホシノ、この子はどうするつもり?」


    (ヒナが地面に転がる小塗マキを睨みつける)

    (纏っていたローブと魔女帽子も消え、そこには完全に元通りとなったマキの姿があった)

  • 184二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:48:10

    >>183

    ホシノ「う~ん。おじさんとしてはさっきの戦いで満足した所もあるし、これ以上の制裁は不要かなぁ」

    ヒナ「そう。私としても、これ以上さらに痛めつける気はないわ」

    マコト「私は別だがな!キキキッ、今から万魔殿に連れ帰ってもう一度徹底的に懲らしめてやる!さあて、まずは何から始めてやろうか…」

    イロハ「いやダメですよそれは。この人、ミレニアムの生徒さんなんでしょう?なら、まずはミレニアム側に処分を任せるのが道理じゃないですか?」

    マコト「何ィ!?イロハ貴様、こんな奴の肩を持つ気か!?」

    イロハ「別に、そんなつもりはありませんよ。ただ――」


    (イロハがチラ、と。先生絵筆へと視線を向ける)

    (先程からホシノ達を気にしつつも、その様子はどこか気絶したままのマキに対しても向けられているように思えた)


    イロハ「…私たちがそうしようとしても、望まない『人』がここにいるんじゃないかと。そう思っただけです」

    マコト「ぬ、ぬう!?し、しかしだなぁ…」

    ホシノ「まあまあ、細かい事は後々決めればいいじゃん」

    ヒナ「小鳥遊ホシノに同意。まずは、本人に事情聴取といきましょうか――」

    マキ「う、ううん…?」


    (ホシノ達の意見がまとまりかけた、ちょうどその時)

    (気絶していたマキが意識を取り戻し、目を覚ました)


    ホシノ「あ、起きた?おーい、大丈夫かーい?」

    マキ「ここ、は――?あれ、あたしなんで……さっきまで、特異現象捜査部の部室にいた筈なのに……ていうかあっつい!なにこれ!?」


    (周囲の暑さに気が付いたのか、マキは飛び上がり上着に手をかけようとする)

    (状況を思えばある意味当然だが、慌ててホシノ達は詰め寄った)


    ホシノ「わわわ、まってまって!ここ、一応先生もいるから!」

    ヒナ「せ、先生!見てはダメ!いえその身体のどこに目が付いてるのか分からないけど、とにかくこっちを見ないで!」

    マキ「うえええ!?な、何何!?何なのさ!?」

    マキ「起きたら火山みたいな場所に放り出されてるし、変な生き物たちにまとわりつかれるし!ていうか先生!?先生なんてどこにいるのさ!」

  • 185二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:48:42

    >>184

    マキ「ここにいるのなんて、あたしと変な生き物と、そこに浮かんでる絵筆だけじゃん!」

    マキ「いやなんで絵筆が宙に浮いてるの!?」


    (事態についていけず、全力で戸惑うマキ)

    (だが、その言葉を聞き――ホシノ達もまた、自らを取り巻く異常に気が付いた)


    ホシノ「そういえば……おじさん達、元に戻ってない?」

    イロハ「言われてみれば――この人の処分をどうするかで頭いっぱいでしたが、何故この人は元に戻ったのに私たちはこのままなんでしょう」

    ヒナ「いいえ、私たちだけじゃない。ほら、よく見て。ここから見えるキヴォトスの景色も、変えられたままになってる」


    (ヒナの言う通りだった)

    (ヒノム火山から遠くに見える景色は、いずれもマキ・ソーサレスにより作り変えられたままのもの)

    (細部までは分からないが、空も大地も何一つ元に戻ってなどいない)


    マコト「だ、だが!元凶である魔女はさっき倒しただろう!?ならば、何故――」

    ????『誰を、倒したって?』


    ホシノ達『っ!』

    マキ「こ、今度はなにぃ!?」


    (六人の頭上から響いた、邪悪な声)

    (咄嗟に見上げると、そこに浮かんでいたのは――)


    ????『やってくれたねえ、小娘共…』

    ????『この私を――絵画の魔女様を、こうまで侮辱した奴は初めてだよ』


    (それは、巨大な球体だった)

    (グロテスクとしか表現し得ない配色と、顔のように配置された黄色の亀裂)

    (およそ人のモノとは思えない禍々しい声が、その球体から響き渡っていた…)

  • 186二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:49:41

    >>185

    ひとまずここまで

    次回でエピローグと言いましたが、この調子だともう一話くらい挟みそうです


    気づけばこのスレも残り少なくなってきたな…

  • 187二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:56:37

    >>186

    お疲れ様です。

    ソウル戦に突入だぁー!

    あ、190超えたらスレ立てしますね。夜中になっちゃうかもしれませんが。


    後、スタアラ編のストーリーをある程度考えていて気づいた…そういや、デカグラマトンのストーリー見てねぇ!というわけでスタアラ編やる前にデカグラのストーリー見ますね。流石に3人娘をちょっとでも知らぬまま書くのはまずい

  • 188二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 12:09:55

    ほーしゅ!

  • 189二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 14:08:54

    >>186

    更新乙です!

    マキ・ソーサレスを下していよいよ原初のソウルが顕現する…

  • 190二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 22:49:53
  • 191二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 00:26:40

    >>190

    了解です。

    それじゃこっちも一通り埋めますね

  • 192二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 00:33:17

    というわけでいつものスレ末設定解説コーナー

    ・調月リオ

    ミレニアムサイエンススクール三年生にして、セミナーの会長
    合理主義を極めた運営方針と感情を排した政治的判断は賛否も分かれていたが、その手腕は確かなものとしてミレニアム内外から知れ渡っていた
    ロボプラ編においては大ボスであり、一連の事件の半分首謀者
    実はセミナー会長の座に収まって間もない頃に起動したマザーコンピューター・ハブ(後の星の夢)に精神干渉を受けており、作中開始時点ではほぼ洗脳状態と言っていい有り様だった

    その影響で過去の記憶も朧気になっていたが、事件後は徐々に回復
    後遺症も想定よりは少なく、社会復帰に向けリハビリと取り調べを受けているという
    ただしトキの事は未だ朧気であり、ヒマリや彼女自身から幼馴染であるという説明を受けても実感が湧かないらしい
    それでも関係性はだいぶ改善されつつあり、笑顔を見せる事も増えてきたのだとか

  • 193二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 00:40:59

    ・明星ヒマリ

    特異現象捜査部部長にして、ミレニアムが擁するハッカー集団『ヴェリタス』の元トップ
    ロボプラ編においては事態の解決の為裏で暗躍しており、『全知』の名でホシノをはじめとするアビドス側を支援していた

    本二次創作においてはリオ・トキとは幼馴染の間柄
    幼少期より家同士で付き合いがあり何かと一緒に遊んでいた間柄だったのだが、マザーコンピューター暴走事故以降はお互いの目的から疎遠になってしまっていた
    その後両親の反対を押し切る形でミレニアムに入学。情報面から行方不明になった幼馴染(トキ)の捜査を行うも、一向に成果は上がらず、またリオの変節(星の夢の洗脳)もあって疲弊していたという

    「まあそれでも不屈の闘志と信念で諦めず再会を夢見続けていたのが、無敵で素敵な天才清楚系病弱美少女ヒマリちゃんなのですが!」

    …努力の甲斐もあってかあらずか。事件後はトキとリオの関係性も徐々に修復傾向にあるとの事
    また、事件後はリオとトキに代わりご意見番としてセミナーを支えており、日々ユウカやノアのサポートに奔走しているそうな

  • 194二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 00:48:57

    ・飛鳥馬トキ

    ミレニアムセミナー会長・調月リオの腹心にして最側近
    常に無表情かつ感情の乏しいその姿は見る者に得体の知れなさを与え、恐れさせていたという…
    ※実際は抱えているものが色々重すぎたのとリオに見捨てられたくない一心で必死だっただけ

    本編でも語られた通り、本二次創作においてはリオ・ヒマリとは幼馴染の関係
    マザーコンピューターの事故で異空間に迷い込み、あわや命を落としかけた所を同じく彷徨っていたFOX小隊に救出。その後しばらくの間彼女たちと共に暮らしていたが、ある日発生した時空変動に巻き込まれ彼女だけがキヴォトスに帰還する事となった
    帰還後は無事保護されたものの時空変動の衝撃で記憶をいくつか失っており、ミレニアムに入学するまでは自分の名前と幼馴染に関する記憶しか朧気に覚えていなかった
    入学後偶然リオと再会した事で全ての記憶を思い出すも、その時には既にリオの方は星の夢の影響でトキの記憶を喪失。冷たくあしらわれた事に衝撃を受け、そのトラウマからヒマリに対しても臆病になってしまっていた

    それでももう一度彼女の傍にいたい一心で努力を重ね、リオの最側近という地位に上り詰める
    事件を経てもなおリオがトキとの思い出を完全に思い出す事はなかったが――トキ本人は、今が十分幸せだと語っている

  • 195二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 00:54:00

    星の夢/マザーコンピューター・ハブ

    ロボプラ編における諸悪の元凶
    かつてミレニアムが生み出した次世代型マザーコンピューターであり、しかしその記念すべき起動実験で大災害をもたらしてしまった因縁の発明品

    暴走の原因は今をもって不明であるとされており、またコンピューターそのものが凍結封印された結果調査も全く行われていない
    外部からの、何者かの干渉が原因ともコンピューターそのものに組み込まれたオーパーツ由来のテクノロジーが原因とも言われているが詳細ははっきりしていない

    自身が生み出された目的である『ミレニアムの恒久的な繁栄』に則って終始活動しており、その為ならば手段を選ばない
    最終的にホシノとの死闘で破壊され、その後発見された半壊機もギャラクティック・テラーの手で破壊された事で完全に沈黙
    最早再起動する事はあり得ないと、見なされているが…?

  • 196二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 00:59:19

    ・最終決戦艦ヒナバードモード

    ホルスアーマーがヒナバードをコピースキャンした事で生まれた最終決戦形態
    見た目はピンク色に染め上げ、所々アビドス仕様になった以外はほぼ画像のそれと同じもの

    元々搭載された各武装をはじめ、ホルスアーマー自身に秘められていた機能を発揮する事で超大型兵器をもものともしない戦闘力を発揮する

    …余談ではあるが
    合体が解けた後ゲヘナ風紀委員会はヒナバードの全力オーバーホールを実施。またその際管制システムをはじめとする艦中枢のメンテナンスを行われたという
    その地獄のデスマーチは惨憺たるものであり、トラウマめいた気迫を感じたとか感じなかったとか…

  • 197二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 01:08:45

    ・C&C/Cleaning&Clearing

    ミレニアムが擁するエージェント集団
    ロボプラ編においてはヒマリの根回しを受け、ヒマリ達ヴェリタスの護衛に当たっていた
    リオからは叛逆される事を想定済みであり、あわや囚われかけた事もあったらしいがヒマリの手配で間一髪難を逃れていたという
    事件後はミレニアムと他学区の復興に奔走してるとの事

    ・ヴェリタス

    ミレニアムが擁するハッカー集団であり、ロボプラ編ではヒマリの指揮下でリオに対するクーデター準備を進めていた
    部長代理であるチヒロを筆頭に今回の侵攻作戦においては否定的な立場であり、ヒマリからの要請に対しても満場一致で応えたという

    事件後はエリドゥに移されていたミレニアムのデータを再度本校舎に移転すべく奔走中
    他学区からの干渉や膨大なデータ量にもめげず…めげず?日々エナドリ片手に奮闘中なのだとか

  • 198二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 01:14:39

    >>197

    ・早瀬ユウカ


    ミレニアムセミナー会計

    ロボプラ編開幕からおよそ半年前の時点でリオに導かれる形でマザーコンピューター・星の夢と接触

    その際同じく居合わせたノア共々洗脳処置を受けており、ホシノ達に倒されるまでずっと操り人形と化していた

    事件後は各方面への謝罪や賠償に奔走。自らのポケットマネーを割いてまで、ミレニアムおよび各学区の復興に尽力しているという…


    ・生塩ノア


    ミレニアムセミナー書記

    ユウカ同様星の夢による洗脳処置が施されており、ホシノ達に倒されるまでは上に命じられるがまま数々の作戦に関わっていた

    あまりにも堂に入った立ち振る舞いから「実はノリノリで加担していたのでは?」と疑われた事もあったが、本人は頑なに否定している

    また、ヒナナイトボーグに改造された空崎ヒナの件についてイオリ達ゲヘナ風紀委員会に打ち明けており、その際はイオリから手酷く引っ叩かれていた

    事件後はユウカ同様各方面への謝罪と賠償に奔走しており、ユウカを傍で支え続けているという

  • 199二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 01:17:14

    空中要塞都市エリドゥ

    ロボプラ編における最終決戦の舞台
    本二次創作では空飛ぶ空中要塞都市として登場
    数々の対空兵器に防衛部隊を擁する移動拠点として猛威を振るい、数々の他学区を制圧してのけた

    事件後はアビドス砂漠に降下し、完全に機能停止
    その扱いを巡って各学区で協議が行われているものの、今の所結論が出る目途は立っていないという

  • 200二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 01:17:38

    200なら新設定登場?

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