(🎲オリ生徒)埋蔵金の地図で生計を立てていました part11

  • 1氷室エル24/06/20(木) 22:34:02

    以前は新しい地図を描いては色んな所で売っていました

    私の地図はキヴォトスの埋蔵金の地図の6割近くを占めていましたが、今はほとんど出回っていません

    何故かって?それはもう埋蔵金が見つけられてしまった以上、存在しない宝の地図は描けないからです



    そして全てが終わった今、新しくなった自分を知るために自分探しをしていたのですが………それももうすぐ終わらせないといけないようですね……



    『埋蔵金の地図のフレーバーテキスト』

    探せ!この世の全てがそこにある!

    キヴォトスの三大埋蔵金の在り処を示していると言われている地図。

    割といろんなところで売られてる。


    前スレ

    (🎲オリ生徒)埋蔵金の地図で生計を立てていました part10|あにまん掲示板以前は新しい地図を描いては色んな所で売っていました私の地図はキヴォトスの埋蔵金の地図の6割近くを占めていましたが、今はほとんど出回っていません何故かって?それはもう埋蔵金が見つけられてしまった以上、存…bbs.animanch.com
  • 2氷室エル24/06/20(木) 22:34:20

    スペック

    氷室エル
    レッドウィンター所属 3年生 工務部
    身長:124cm
    体重:普通
    肌は真っ白(ナグサぐらい)
    B:W:H=貧:厚:普
    ヘイロー:見る角度によって色、数、形が変化する複数の四角。万華鏡で見たアリスのヘイローの様なもの
    ・光の当たり方や見る角度によって虹色に変わる髪と目を持っている
    ・工務部の格好に荷物が大量に入ってるリュックを持っている。ヘルメットにはツインテールを出す穴が開いてる
    ・色彩に近しい存在だとクズノハに指摘されている


    戦闘力:99(フィジカル全振り)
    知力 :21(脳筋よりだけどバカではない)
    財力 :36(そこそこ売れてるけど余り手元に残らない)
    技術力:88(たいていの物は作れる)
    神秘 :97(意識して使わない様にしている)
    探索力:23(足で探せば何とかなると思ってる)
    倫理 :64(資本家が絡まなければ良識がある)
    演奏 :72(人並み以上に演奏ができるが披露する機会はない)
    察知力:78(視線や敵意等にはよく気づく)
    酒耐性:62(強いか弱いかで言えば強い)
    料理 :95(自炊専。披露する機会がない)
    事務 :59(頭を使わない仕事なら人並みにできる)

  • 3氷室エル24/06/20(木) 22:34:43

    エルの神秘(真)
    死にかけたり大怪我を負うと、弱い生命から順にエネルギーを吸収していき回復する。奪われた生命は枯れ果てる
    傷が大きければ大きいほど奪う総量も多くなるが、エル本人が全てを奪う大人の様な力を嫌うので、意図的に発動する機会は少ない
    無意識下でも植物・動物等の死を強く感じてしまう生命からは奪おうとせず、最低限しか回復しない




    エルの恐怖
    キヴォトスの外より飛来した恐怖をもたらす虹色の影は、ある時1人の少女と出会った
    互いに独りぼっちだった2人は互いに溶けあい、一体化し、2人で1つになった
    全てが虹色に染まりたくなければ少女の虹色は決して覗き込んでいはいけない


    ヒムロエル
    キヴォトスの外より飛来したショゴスが虹色の塊としてエルと一体化し、キヴォトスの恐怖として落としこまれたモノ
    その虹色を深く見つめたものは視界が虹色に染まる等の恐怖で発狂する可能性がある

    力が強く、体内に様々な器官を生みだす事ができ、自在に変形が可能。普段はエルの頭部を守るために髪やヘイローと一体化している。角度により色や形が変わって見えるのはこの為。他にも色々できるが二人の仲を引き裂こうとしなければ起こり得ない

    氷室エルと酷似している部分は多数ある。鳴き声は旧支配者のものではなくエルのもの。知識はエルの脳をベースにしており、言葉使いや知力もエルとほぼ同じ
    本来弱点は無いが、氷室エル同様ストレス耐性が低いので、エルを精神的に傷つけたり、頭部を狙ったりすると……世界が虹色に変わってしまうかもしれない

    好きな物、大切な物は氷室エル

  • 4氷室エル24/06/20(木) 22:34:59

    地図について

    地図の画力  98(インテリアとしても使える)
    地図の難解度 67(謎解き要素は簡単だが、答え合わせが難しい)
    場所の危険度 95(未だに本人以外は到達できていない)
    場所の認知度 21(危険な区域なので一般人は知らない)

    キヴォトス全体のシェア率は62%。信憑性は53%


    ・埋蔵金の地図を強奪事件をエルが引き起こした為、現在は出回っている地図は少なく、問題が起きている自治区もある
    トリニティ
    地図の価値 110 (激レア高騰中) エルの人気:37 (アンチも入れば儲もいる。ミカのデモと合わせて学園でも騒動中)
    ゲヘナ
    地図の価値 92 (埋蔵金ではなく地図自体が人気) エルの人気:93 (人気者。だけど地図を描かない事が本人から分かると……)
    ミレニアム
    地図の価値 37 (一部生徒以外は興味なし) エルの人気:33 (価値がないので興味ない生徒の方が多い)
    アビドス
    地図の価値 24 (ミレニアムとほぼ同じだがこっちは生徒の総数も少ない) エルの人気:18 (事件を起こしたヤツとしてだけ知られている)


    埋蔵金として保管されていた地図の価値
    ・宝の正体は親が残した今も流通しているキヴォトスの地図の原本。昔から発生している使用料が特定の口座に振り込まれ続けられている
    ・原本を42%を所有しているだけで、毎日遊んで暮らせるだけの使用料を入手できる
    ・現在この地図は先生とホシノで二分割して保管している

  • 5氷室エル24/06/20(木) 22:36:30

    前スレで変化があった好感度
    エル:アコ   80:93 (ビジネスライクかと思ってたら想像以上に私の事を……)

    将来の為の目的
    "友人を10人以上作る" 現在8人(放課後スイーツ部、アコ、イオリ、シロコ、セリカ)
    "埋蔵金の地図を3種類以上作る" 現在2枚 (美食、景色(悪の資本家の跡地リメイク) )
    "将来の可能性を3種類以上作る" 選択可能 (冒険家、ゲマトリア、写真家)
    "キヴォトスを捨てる" 選択可能


    このスレで終わるか終わらないか微妙だったので過去スレ、好感度一覧は無し

  • 6二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 22:41:45

    たておつです
    レスあっぶない

  • 7二次元好きの匿名さん24/06/20(木) 22:51:10

    たておつ

  • 8氷室エル24/06/20(木) 22:55:24

    というわけでpartラストとつけてもよかったのですが、微妙に終わらない気もしたので普通にpart11として立てました
    多分次パートを経てる時こそラストパートになると思います というわけで再開



    それは私の力
    私を命をつなぐ世界の力。世界から力を貰い、限界を超え、死を近くに感じる程に増していく無限の力

    それはワタシの力
    私を救ってくれた虹色の力。いついかなる時も一緒で、どんな相手にだって負けない、文字通り無敵の力

    だからこれは私達の力
    誰も守れない力。だからワタシが守る力。私達以外を全て否定する力。無敵で無限の力



    だけど私達の目の前にある力は、私達よりも遥かに強い
    力じゃない。心が強かった。意思が強かった。覚悟が強かった

    すり減っていく右腕から漏れていく虹色で染まった世界は消え、いつしか吹き飛んだ木々の奥に、見た事もないような綺麗な青色が広がっていた

    5994 VS 131×6×6×6=288296
    エル(0/100?) → (0/100)

    絆の勝利です

  • 9氷室エル24/06/20(木) 23:16:43

    「………お見事でした」  パタリ

    糸が切れた人形の様に倒れこむエル。右腕の感覚はない。繋がっているのは今も付着している虹色の塊のおかげなのだろう

    「いつから仕込んでいたんですか? こんなに大勢を山奥に集めて………アビドスまで遠い人も多いでしょうに」

    倒れているエルにモモトークの画面を見せる。グループ名は『埋蔵金探索グループ』
    ホシノ、ナツ、イオリ、そしてシャーレの先生。氷室エルを救う為に結成されたチーム

    今は氷室エルに起こった異変の情報交換の場として、氷室エルに関わった大勢の仲間達の名前が連ねられていた

    "エルには信じられないかもしれないけど、実は集合はかけてないんだよ"
    "ホシノはエルを呼び出して最後の説得をする為に、私やシロコ達にお願いして集まったけど……他の子達は今日、ここにおびき寄せる話だけを知っただけでここまで来たんだ"


    「エルさんの話を聞くのに都合がいいチャンスだって聞いたからね~」

    「こっちはアコちゃんが明日か明後日には急いで行動を起こすって言ってたから………というか、美食研究会はなんでこんな所にいるんだ?」

    「氷室エルさんは美食の友ですから。それにまだ地図を見た味の感想を伝えていませんからね」



    「………皆さんは相変わらずですね。私は………いえ、これ以上はやめておきましょう」
    「約束しましたよね。お話しますよ。明日、私が何をするつもりなのか」

  • 10氷室エル24/06/20(木) 23:31:48

    地面に仰向けになりながら降伏するかのように空を見上げるエル
    凶悪な一撃を受けきって満身創痍であるホシノも、意図せず生命力を奪われたセリカも、急に集まったアビドス以外の面々も神妙な面持ちでエルの周りに集まる

    皆この時の為に集まってきたのだ


    「私は………明日、キヴォトスからいなくなります」

    驚きの声は誰からもあがらなかった

    「なので今日は帰って退学届と退部届を書いて寝ます。そして明日の朝には出発します」
    「『どうして急に?』 と思われるかもしれません。説明してもいいんですが………ホシノさん」

    「なに?」

    「皆さんに同じ質問をする気力はないので、本日のMVPであるホシノさんにお聞きしますね」
    「ホシノさんはこの世界からいなくなった大切な人ともう一度出会えるチャンスと引き換えに、キヴォトスを離れないといけないなら………どうしますか?」


    「え……?」

  • 11氷室エル24/06/20(木) 23:51:40

    「私は8歳くらいの時に家族に捨てられました。ワタシから聞きましたけど、先生は知っていますよね?」

    "………知ってるよ"

    「その家族がキヴォトスの外にいるんですって。私の家族を連れ去った大人から直接聞いたって大人が教えてくれました」
    「その言葉が嘘じゃないのは分かりました。確認は取れていませんが、間違いないです。気づかないフリをしていましたが心当たりはずっとありましたから」


    「エルさんは捨てられたんでしょ? エルさんにとって今を捨ててでも会いたい大切な存在なの?」

    「………たしかに"私"には必要ないかもしれませんね。ですが……こればかりは気持ちの問題です」

    「ですからホシノさんにお聞きしたいんです。ホシノさんは大切な人と出会う為に、自分以外の全て捨てられますか?」
    「それともホシノさんにはいませんか? 文字通り、この人ともう一度出会えるなら何でもやれると思えるような人は」

    仰向けでずっと空を見上げているエルにはホシノの顔は確認できない
    だからホシノにとってこの問い自体が持つ意味には気づく事はできなかった

    「………私にもいるよ。そんな人が」

  • 12氷室エル24/06/21(金) 00:03:45

    なら私の気持ちが分かりませんか? ホシノさんは同じ立場になったらわざわざシロコさん達に別れの挨拶をして回りますか? 大切な人を救いに行くのに先生に護衛を頼みますか?」


    「それだけなら助けを求めるかもね。おじさんだって本当にそんな事が起きるなら皆に紹介してあげたいから」


    「…………もう言いたい事分かってますよね? キヴォトスの外はそんな日帰り旅行で行けるような場所じゃないです」

    「その光は毒で、その色は全てを蝕む………危険な場所です」


    「そんな危険な場所にエルさんが1人で行く方が……!」


    「私がどういう存在か知ってますよね?」


    「だけど……!」


    「私の話は今はいいですよ」

    「別にこの質問で何かが大きく変わるって事はありません。気楽に答えてくれていいですよ」


    「ホシノさん。貴方が私の立場になった時、貴方は大切な人に会いに行きますか?」


    dice1d2=2 (2)

    1.行く

    2.行かない

  • 13氷室エル24/06/21(金) 00:12:20

    「行かないよ」

    「本当に出会えるとしてもですか?」

    「うん。だって私には同じくらい大切な後輩もいるし、学校も残ってるし……それに」
    「残された人がどう思うかくらいは分かってるつもりだからね」

    ホシノの答えはきっと正しい。それは周囲が求めていた答えで、氷室エルもそう言ってくれると思っていた答えだった

    「……そうですか」

    「私はエルさんの気持ち、少しは分かるつもりだよ。だけどいっちゃダメだよエルさん」
    「ここに集まったエルさんの仲間は少なくとも友達が危険な場所に行くことを望んでいないよ」

    「そう……ですよね…………」
    「分かりました。答えていただきありがとうございますホシノさん」

    「だから明日は皆で…!!」



    「その言葉の前に、ちょっとこれだけ見ていただけませんか?」

  • 14氷室エル24/06/21(金) 00:26:27

    エルが左手で指さしたのは………自分の右腕、正確にはそれを支えている虹色の塊だった
    虹色に怪しくうごめく異形の存在。それが何かを語るのかと一同は身構える


    だけどおかしいとは思わなかったのだろうか?
    ホシノや先生は何度か見た事はあるが、シロコやハルナ達は見た事がない。なのに驚きの声はどこからもあがらなかった

    みんな目が離せない。そこから氷室エルの腕が外れて、ただそこにあるだけの虹色の塊に


    「あぁ……ワタシ。後はお願い………全部教えてあげて諦めさせてあげて」


    言葉の意味は分かっている。騙された。逃げられる。追わないといけない。先ほどの言葉が本当ならチャンスは今しかない


    「皆さん、本当にありがとうございました。約束は守ります。全部お話しますよ」
    「私がキヴォトスを出るまでの間……ずっとワタシとお話していてください」

    横目でわずかに見えたエルの髪は……虹色の輝きのかけらもない黒髪になっていた

  • 15氷室エル24/06/21(金) 00:38:16

    むか~しむかし。といっても約10年ほど前

    レッドウィンターに1組の家族が住んでいました。父親と母親と子供が1人。子供の名前はエル
    エルの両親は測量士であるとともに、高名な地図職人でもありました

    エルは両親の庇護の下、大切に可愛がられて育てられました
    小さな頃から絵を描くのが大好きな子供で、家には地図と共にエルの絵が飾られています

    なんて幸せな空間なのでしょう


    ~~~~~~~~~

    "待って………!!"

    ………そういえば先生には何故か効きませんでしたね

    "皆に……何をしたの!?"

    先生は私とワタシの出会いは知ってますよね? 私達は1つの脳を共有して生きていると。それと似たような事ですよ
    ワタシに触れる事でワタシの脳を共有して、皆さんに記憶を送り込んでいます

    加減は頼んでいますから。脳が壊れたりはしないでしょう。ちょっと後で頭が痛くなるかもしれませんけどね

  • 16氷室エル24/06/21(金) 00:51:19

    そんな幸せは突如崩れ去ります

    ある時からエルの両親はキヴォトスの外を記録する事に夢を馳せていました
    最初の内は漠然とした夢であった"ソレ"は使命に、必需に、呪いに変わっていきました

    まだ幼いエルは1人でお留守番。家族の時間はどんどんなくなっていき、代わりに家を狙う者が現れました
    奴らが狙うものは金になる物。家にあるものはみるみる奪われていき、それはエルが大好きなパパとママが大切にしている地図も例外ではありませんでした

    まだ銃すら撃つことができないエルはその身一つで戦う事しかできません。大好きな空間を守る為に不意を突き、力と体力にものを言わせ、わずかな保存食で食いつなぐ

    氷室エル戦いのルーツはここから来たのかもしれませんね

    ~~~~~~~~~

    "………"

    珍しいですか? ワタシ抜きの私の姿が
    みすぼらしいですよね。ワタシの虹色の輝きがなければ私はこんなにも無力なんです

    "そんな事ないよ"
    "可愛らしく見えるよ"

    ………ありがとうございます。そういって貰えるとわたしも嬉しいですよ

  • 17氷室エル24/06/21(金) 01:02:33

    生活も家もエル自身もボロボロ……そんなある日、両親が久しぶりに帰ってきました

    大好きなパパとママの帰宅。エルはいたずらを用意していました
    それは大切な地図を自分の描いた地図と入れ替える事

    怒られてもいい。できれば上手く描いたと褒めてほしい。叶うのならばもう独りになりたくない

    だけどそんな家族のひと時を邪魔するかのようにお客さんが現れました
    お客さんは真っ黒なスーツに真っ黒な顔をした大人で……最近になって黒服と呼ばれている事を知りました

    黒服の指示でパパとママは家中の地図を集めます。エルの声なんて聞こえていません
    大きな声を出して泣いて、縋りつく我が子を無視しながら集めた地図を黒服に渡すパパとママ


    『あなたの親御さんは、キヴォトスの外を知る為に、私に魂を売ったんですよ』という黒服の言葉は、この日の記憶を曖昧にしてしまう程の強烈な一言でした

    ~~~~~~

    "皆はいつまであの状態になるの?"

    さぁ? ワタシの事も知らない人もいるでしょうし、ワタシには長めに教えてあげてほしいと頼んでいます
    もう会わないでしょうし、好きなだけ話してくれていいですからね

  • 18氷室エル24/06/21(金) 01:12:32

    黒服とパパとママが消えた後、残されたのはエルと本物の地図だけでした

    あの時の■■■の■■■■■■は

    ■■■■■!!!!!!!!

    ………コノ記憶は駄目。今デモ苦しくナルから。少シ先ノ話をスル



    覚悟を決めてこの地図を守る事を決めたエルは遠くへ行きました
    道は分からないのでとにかく遠くへ、するとエルの前に巨大な氷山が現れました

    とってもきれいでした。その神秘的な美しさに吸い込まれる様に、その感動に理由を決められた様に、エルは氷山を登り始めました

    そこで運命の出会いをしました。それがワタシです

  • 19氷室エル24/06/21(金) 01:22:48

    一面に輝くケシキは綺麗で…………………

    キ……レイ………で

    …………

    …チガウ

    ~~~~~~~~~~

    "そんな右腕を引きずった状態でも行かないとダメなの?"

    はい………先生だけには言いますけどね。今も視線を感じるんですよ
    私の答えを待っているだけなんでしょうけど………私にとっては友達がいつ狙われるか不安でしょうがないんです

    それを私が答えるだけで終わるんです。そして………その時は近い
    力や理屈じゃないんです。友達を守る為に……今の私を止めないでください

  • 20氷室エル24/06/21(金) 01:33:47

    もうワタシの事は知らなくてイイ……………………わたしを助けてホシイ
    "私"氷室エルと、"ワタシ"ヒムロエルの中に隠した"わたし"■■エルを助けてホシイ!!


    説明している時間がオシイ。1番私達をクワシク内容を知っているノハ………


    ~~~~~~~~~~

    ワタシがもう山のふもとまで来ている……では私はもういきますね
    もし先生が追ってくるようなら……今すぐワタシに指示して、ここにいる皆さんの記憶に負荷をかけます

    ""

    ………やりたくはありませんが本気ですよ?………ではこれで
    最期に先生もワタシの話が聞きたければ、聞いてもいいですよ。最後ですから隠す事もないですし

    "待って!それでも…………!?"

    …………さようなら。先生
    (今のは……ワタシ? 私が指示する前から先生に何かした……?)

  • 21氷室エル24/06/21(金) 01:42:57

    助けて先生! 脳内に声が走った気がした


    "今のは……虹色のエル?"

    ふと、生徒達の中心に陣取る様に鎮座している虹色の塊を見直すと、こちらの方に触手が伸びてきていた

    『センセイ、わたしを……ワタシ達を助けてホシイ』

    音がしたわけでも、精神に干渉されたわけでもない
    ただ、エルから伸ばされた"手"から助けを求める声が聞こえた気がしたから

    自ら虹色の恐怖の世界に堕ちる理由はそれだけでじゅうぶんだった



    ~~~~~~~


    アリガトウ。先生…………チョット、頭が痛くナルけど、我慢シテ……!!

    "何を………うぐっ!?"

    私達をゆっくり説明スル時間がないカラ………ゴメンナサイ

  • 22氷室エル24/06/21(金) 01:55:32

    記憶の中にナニカが入り込んでくる。不快だ。狂いそう。体の中の液体を全て吐き出したい
    今まではアロナに守ってもらっていたが、今回は自分から入りこんだからなのか、守るものが何もない

    『………アッタ!』

    エルの声が聞こえるとさっきまでの不快感が嘘の様にスッキリした
    お目当ての物を見つけたのだろうか。もう少し長引いていたら私は私でいられただろうか?

    "……エル。次からはちゃんと説明してからにしてね?"

    『……ゴメンナサイ』


    スッキリついでに周りを見渡す。先ほどまで山の中にいたはずだが、緑の気配が全く感じ取れない。ここは……

    "埋蔵金があった氷山?"

    『ソウ。ココで説明した方が分かりやすいカラ』

    氷山の中には私とエル以外にもアビドスの5人や、エルの為に集まった皆が頭を抱えていた

    『今、先生が聞いたワタシの話を共有している。モウスコシ待ってて』

    "……エル。それも次からはちゃんと説明してからやってあげてね"

  • 23氷室エル24/06/21(金) 02:05:53

    「うへぇ……おじさんまだ頭がガンガンするよ~……」

    「エルさんを連れ戻す為に何をしてきたかと思えば……先生ならもう少しスマートに解決できたハズでしょう」

    「まぁまぁ、今はそんな事言いっこなしだよ」

    『………ゴメンナサイ』

    「それにしても不思議ですわね。氷室エルさんを模った虹色の生物……明らかにこの世の存在じゃないと理解できているのに拒否感が湧いてきませんわ」

    『直接見ているトイウよりも脳内で会話してる感じだから大丈夫。脳内の怪物の怖さには限度があるでしょ?って私は言ってマシタ』

    「うんうん! 私は怖いくないし、むしろ食べてみたいかも!!」

    『…………アナタはワタシも嫌いデス』

    「酷いっ!?」


    "それでエル。助けてほしいって言ってるエルは………”誰のこと”なの?"

    『…………』

  • 24氷室エル24/06/21(金) 02:20:25

    『正確に聞こエル様に、チョット音ヲツクリマス………少シ待■テくだ■い………アああアAア■■ア……』
    『アあああああ………おまたせしました。聞こえづらくならないように頑張ります』


    『散々見てもらいましたが、改めて自己紹介をします』

    『氷室エル。私です』
    『氷山で生まれ変わった時に名乗った名で、親が残した地図を埋蔵金の地図として世に広め、見つけてもらう事を望みとして生きてきた、皆さんが一番良く知る私です』
    『今はその望みも叶い、新しい夢も少しずつ見つけてきました。最も大切な私』

    『そしてワタシです』
    『ワタシがどんな存在なのかは先生の記憶から分かってもらえたと思います。ワタシの望みはただ1つ。ずっとワタシ達は一緒にいること』
    『言っておきますが、今でもワタシは私の味方です。明日にはワタシも私と共に行きます』


    『そしてワタシ達の中には……■■エル。3つめのわたしがいます』
    『苗字は思い出せません、思い出したくもありません。全てを無くして山に登り落ちて、氷室エルへと生まれ変わる前のエル。それがわたし』

    『……さっき私が言いました両親に会いたいというのはわたしの望みなんです』
    『私は……わたしの願いを叶える為に皆の前から消えようとしているんです』

  • 25氷室エル24/06/21(金) 02:39:31

    「3人目のエルさん………」

    『わたしは……どんな生き物よりも弱々しく、自分を汚くて必要ない存在だと思っている』
    『あの大人のセイデ………わたしノオモイヲフミニジ■■■■!!』

    "落ち着いてエル"

    『………ごめんなさい』
    『わたしの願いは1つ。ずっと変わらない』

    「それが両親との再会なの?」

    『……少し違う。わたしの願いは………何も奪われたくない。これだけ』

    ”奪われたくない………”

    『"氷室エル"は奪われそうな時どうしていたか……心当たりありますよね?』


    「………エルさんは悪の権力者をひどく嫌っていました。特に労働者からの搾取なんてものは暴走気味になるほどです」

    「全てを奪うから大人は嫌いだって言ってたね。先生だって最初は避けられてたんでしょ?」

    "………埋蔵金の地図を最初に見つける為に氷山を登った時も、奪われるって泣きながら追ってきていたよ"

    「でも、エルさんの親って話を聞く限り奪った側の人じゃないの? なんでそんな人を………」

  • 26氷室エル24/06/21(金) 02:58:49

    『………今回の話は私もわたしも……ワタシも苦しんでます。考えが二転三転して、何が正解か分からない』
    『だけど強い感情が2つある。1つは……わたしの家族は黒服に奪われたから、取り返せるなら取り返して、もう一度やり直したい』

    『パパとママに会いたい。着いていきたい。褒めてほしい。やり直したい。あの日に帰りたい。地図も何もいらない。わたしの大好きなものを取り返したい』
    『わたしの時間はあの日、家族と一緒に捨て去られたままだから……だからわたしは全てを捨ててでも再開したい』

    "エル……"

    『………氷室エルはわたしの理想の姿。パパとママの様に凄い地図を描いて、キラキラ虹色に輝いて、誰よりも強くて、弱者から奪う輩をやっつけて……願いの手助けをしたいと思ってる』
    『わたしは醜いから。偽物の地図しか作れなくて、黒く汚れて、何も守れない程に弱いから奪われて……たった1つの願いすら叶えられない。そんな事を思っている』

    「そんな事ない! だって悪いのは……!!」

    『うん。ワタシ達もそう思ってる。だけど、ワタシ達はそんな"わたし"から生まれたから』
    『だから私もワタシも"わたし"の望みを叶えてあげたいの』

    「そんな………」

    『だけどここにいるみんなのおかげでもう一つ感情が生まれた』
    『それが氷室エルの新しい夢………今はまだ何も思いついてないけれど』

  • 27氷室エル24/06/21(金) 03:14:21

    今日はここまで 


    夢を一度犠牲にし、本質が捻じ曲がって、夢の形が変わって……それでも自分を見つめて解決しようとする

    周りには奪われてしまったものしか残ってないから。自分は汚い残りカスだから


    だから無意識に私<ワタシ>は自分<わたし>を見つめてる。誰にも奪われない存在として、ずっと側にいる為に

  • 28二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 08:02:29

    成程ね

  • 29二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 12:43:35

    投稿乙!

  • 30二次元好きの匿名さん24/06/21(金) 21:19:42

    難しい話だね

  • 31二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 07:41:08

    保守

  • 32二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 16:02:35

    エルちゃんが何とかなると良いんだけど

  • 33二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 21:19:44

    なんとかなぁれ!

  • 34氷室エル24/06/22(土) 22:37:24

    『近頃の私はずっと迷っていた。夢を叶える為に存在していただけなのに、夢が変わってしまったと知ってしまったから』
    『自分以外に関わり、変化していく自分を少しずつ受け入れていって………友達なんて、前からしたら考えられなかった』

    『変わってしまった夢はまだ分からないけど、変わっていく自分に喜び、大切にしたいという気持ちが強くなっていく』
    『………だからこそ、巻き込んではいけないと私は判断した』

    "そこがずっと気になってた。エルは一体何と戦っているの?"

    『………首がない黒い大人と絵に描かれた大人。私はかつてわたしから家族を奪った黒服に似た何かを感じた』
    『あんな大人なんてすぐに吞み込もうとした。だけど……一瞬でワタシの体の一部が空間ごとねじ切られた様に消えて……』

    "…………ゲマトリアか"

    『あの大人は私達だけが知っていた事も、私達の対策も、私達の望みも全部知っていた気がする』
    『私はその得体のしれない恐怖を………全てを奪われた日と重ねてしまって、抵抗できなくなってしまった』

  • 35氷室エル24/06/22(土) 22:57:27

    『恐怖。それこそが今の私を動かす大きな2つの感情の内の1つ』
    『氷室エルとして相手をしたから交渉はできたけど、その事を他人に……いや、友達にバレる事を嫌がった』

    『私達は知っている。絶対に無理だと思っていた埋蔵金を見つけた強さ・勇気・友情……それを私の為に少しでも発揮されるなら止めたかった』

    『大切な人だから巻き込みたくなかった。危機に晒したくなかった。私は色々言ったと思うけど……一番言いたいのは1つだけ』


    『また大人に大切なものを奪われたくなかった。それだけの為に自分の体を破壊してでも、止めたかった』


    『だからお願い。私の事を大切に思っているなら私達に関わらないでほしい』
    『それが私の……氷室エルの望み』


    「…………………」


    誰も返事ができなかった

  • 36氷室エル24/06/22(土) 23:06:55

    『分かってくれたなら、それでいい。後は思いつく限り私の思い出話でもしよう』
    『記憶を持った分体はそろそろ到着する。だからこのままゆっくり………』

    ”エルはどう思ってるの?”

    『……私がどう思ってるかは伝えましたよ?皆さんを巻き込みたく……』

    "私が言ってるのは虹色のエル。君の気持ちだよ"

    『ワタシ?』

    "エルは納得してるの?"

    『ワタシは私の為に動ければそれで…』

    "なら何でさっきは助けを求めたの?"

    『それハ…………』

    "………エルはこの選択を間違いだと思っているんだよね"
    "だからこうして内緒の空間に私達を集めて色々教えてくれたんだね"

    『…………ハイ』

  • 37氷室エル24/06/22(土) 23:25:06

    『氷室エルには色んな大切なものができました。だけど、ワタシにとって大切な物はずっと1つだけだから……』
    『だから……お願いします。私を助けてホシイ!』

    『私は今、大切な物を奪われるくらいなら自分から捨てようとしている。そんな私の心は苦しくて悲しくて………助けてあげたい』
    『だけどワタシにはできない。私が奪われたくないものにワタシも入ってるから、外に出してくれない』
    『いや、それ以前に本体はきっと誰かに私を助けてほしいなんて考えない』


    「今ここにいるエルさんは本人じゃないの?」

    『そうとも違うともいえる。全てのワタシはみんなワタシ。別の生き物じゃない。皆ワタシ』
    『ただここにいるワタシはちょっと変わってると思う。多分ここにいる全員の考えを繋いでいるから』

    『私を、氷室エルを助けたいという気持ちがワタシの中を何度も流れていって………だからこんな気持ちになるのはワタシだけ』

    『だから……私を止めるのに力になれるのもワタシだけ』

    "それって……!"

    『だから教えてほしい。私達を助ける方法を………氷室エルの未来を奪われない方法を』

  • 38氷室エル24/06/22(土) 23:41:27

    "タイムリミットは?"

    『明日の早朝……4時頃には学園に紙を出しに行く予定』

    「エルさんも退学届と退部届を出しに行くって言ってたね」

    『その後、あの大人に会いに行く………場所はここ。崩れてしまったけど、今も大切な私達の出会いの場所』

    "レッドウィンターの氷原地区!? だったら今すぐ行かないと間に合わないんじゃ……"

    『……少しくらいは大丈夫。私も利き手が使えないから字が上手く描けずに予定より遅れると思う』
    『それでも学園に人が来る前には終わらせてると思う』

    『それに………何も考えずに向かっても今までと同じ。私達は誰の言葉も聞かないと思う』

    "集合地点は分かる?"

    『分かる。私の事なら何でも』

    ”それなら………先回りしよう!エルが集合場所に辿り着く前に、待ち伏せする"
    "今からレッドウィンターに行っても警戒されてるかもしれない。エルと話すにはこれしかもうないよ!"

  • 39氷室エル24/06/22(土) 23:53:02

    「先生待って! あそこに行くのは防護服がいるよ!」

    "私の分はシャーレに戻れば1着残ってる。氷山への地図も取りに戻らないといけないから一度は戻らないといけないからちょうどいい"
    "急いで準備して絶対に間に合わせるよ。エル、私をこの世界から一度出して!"

    「先生1人で行く気ですか!?」

    "生徒を守るのは先生の役目だからね。それにエルの話が私の想像通りなら……相手は絶対に許されない事をしているから"
    "だから……私が行くよ"


    「じゃあおじさんも取ってこようかな」

    ”ホシノ!?”

    「先生がシャーレに行く時間と私の部屋から防護服を持ってくる時間はそんなに変わらないハズだからね」
    「何より先生一人じゃ危ないよ? 吹雪だって吹くのに先生一人じゃ吹き飛ばされちゃうよ?」

    "でも危険だよ。吹雪がじゃない。相手は……"

    「それにエルさんをここまで苦しめちゃったのは私にも原因があるからさ。先生が嫌だって言っても1人で行くからね」

    "ホシノ……分かった。一緒に行こう"

  • 40氷室エル24/06/23(日) 00:06:40

    「……イオリ。今すぐゲヘナに戻ってその防護服とやらを取ってきなさい」
    「私も行きたいけど……流石にゲヘナに戻ってレッドウィンターまで行くのは無理があるでしょ」

    「私もエルさんを虐めた犯人に一発入れたかったけど……ねぇ、時間を少しでも遅らせれない? 私も行きたいよ」
    「防護服があれば会いにいけるの? それなら私達の分も今から用意してよ!」

    「フフフ……でしたら我々は先に行きましょうか。美食を求めて今まで色んな場所へと赴きました。今さらたかが吹雪で我々の歩みは止められませんとも」
    「フウカさんに温かいお弁当でも用意してもらいましょう☆」

    "みんな………だけど全員揃うのを待っている時間は………"



    『………ここにいる皆さんが私に会えれば必ず助けられるのですか?』

    "え?"

    『出会いさえすれば私を、氷室エルを………いえ、わたしも含めた"2人のエル"を助けてくれますか?』

    「「「「「 もちろん!! 」」」」」

    『先生はどうですか? 私から何も奪わせないと……約束してくれますか?』

    "………約束するよ"

  • 41氷室エル24/06/23(日) 00:22:27

    『でしたら防護の方法は私が用意できます』

    "本当!?"

    『できますが………何をする気なのか教えてください』
    『話す。力ずくで止める……そのどちらも私を止められませんでした。その上で何をするんですか?』

    "…………これはエルの協力も必要になるんだけど"


    ~~~~~~~~~~~~~


    『…………分かりました。それで私が本当に止められるなら……ワタシの力を使ってください』
    『先生が望んだ"機能"は残しておきます。…………では少しずつ接続を切ります』

    "エルは……ここにいるエルはどうなるの?"

    『ワタシはワタシです。消えるわけではありません………こうしてお話はもうできないでしょうけど』
    『もう先生達の味方をするワタシはいなくなります。だから……私とわたしを絶対に助けてください』

    "もちろん……だけど2人じゃない。3人のエルを助けるよ"

    『!!…………先生の言葉でこんな気持ちになるのならきっと成功するかもしれませんね』
    『だけど気を付けてください。3人じゃなくて1人です。出会った時に言ったら怒りますよ?』



    『それでも嬉しいです先生。ワタシを助けてくれて………ありがとうございました』

  • 42氷室エル24/06/23(日) 00:39:15

    <レッドウィンター 氷室エル自室>



    う~ん……こんな感じでよかったかな?

    ありがとうワタシ。ワタシが手伝ってくれたおかげですっかり元通りになったよ



    もう、今日でここに来るのも最後か……工務部から借りてた工具も返さないとね

    リュックの中の道具も出して………後整理しておく必要があるのは……

    dice1d3=2 (2)

    1.食料

    2.地図を描く道具

    3.地図そのもの

  • 43氷室エル24/06/23(日) 00:56:49

    リュックの中から使い慣れたペンセットが出てくる

    ………思えばたくさんの地図を描いてきた


    埋蔵金の地図はもちろん、まだ地図が残っていない地区の地図、誰かに渡す為の地図。悪の権力者から埋めてきたものの地図

    最近は美食の地図とか意味の分からないも描いたけど………あぁ、そういえば感想は聞けず仕舞だった



    地図…………最初はあんなにも好きだったのに大嫌いになって………いつしか地図を作るのが使命になって………私の生計を立てる為の一番の要素になって………埋蔵金の地図は私の生活から切っても切り離せなくなって……


    地図がなければ私は………………どうなってたんだろう。一人になることもなかったのかな?

    だけど、もし地図がない世界になってもワタシとは一緒になりたいな



    …………!!こんな事言ってる場合じゃないよね。早く片付けしないと………地図用紙も捨てるか使い切るかしないと………

    せっかくだし最後に何か描いてみる? なんてね


    dice1d3=1 (1)

    1.……え?ワタシが描く?

    2.……うん。紙がもったいないし描いちゃおう

    3.……ワタシも描きたい? じゃあ一緒に作ろっか

  • 44氷室エル24/06/23(日) 01:19:14

    いいけど何の地図を描くの?………ナイショ? ワタシが秘密にするのって珍しいね

    いや、他にも秘密にされてる事あったっけ………別に怒ってないよ


    でもアレはもう処理しないとダメだよ? 流石に持っていくわけにはいかないから

    ………え? もう準備してるの? それならいいけど………また変な言いがかりつけられたくないからね


    それじゃ私は工務部に借りてた工具を置きに行くね………別に最低限でいいよ。地図描きたいんでしょ?

    私の側にはワタシの欠片だけでじゅうぶんだよ。いってきます



    ~~~~~~


    『……………急イデ仕上げナイと』


    dice1d3=1 (1)

    1.氷山を示す地図

    2.助けを求める地図

    3.地図と見せかけた謎

  • 45氷室エル24/06/23(日) 01:44:09

    埋蔵金の地図。それはこの世の全てがある場所を示す地図だと私から教えられた

    ワタシにとって全てなんて決まっている。だからこれは本当の意味での埋蔵金の地図だけど………私は埋められてもなければお金でもない
    だったらこの地図は一体なんと呼べばいいのだろうか?

    分からない。私は埋蔵金の地図の手伝いしかした事がないから
    埋蔵金の地図でないなら私が描くこれは地図ですらないのかもしれない


    それならばこれは落書きなのだろう。地図でもなく、自分だけが見るものならきっとそうだ
    ………ゴミは捨てておくべきだ。だから私はさっきまで時間をかけて紙に描いた道しるべを窓辺にそっと置く

    何故こんな無駄な事をしたのか、自分でもよく分からない
    よく分からないが、もしもこの落書きに意味を持ってくれる人がいるなら……それはきっと私の事を宝と同じくらい大切に思ってくれている人だろう


    この落書き………私がこれからどこに行くかを示す順路を示した地図はそんな人に渡ればいい
    そんな私への裏切りの様な気持ちと共に、落書きは風に乗って飛んでいく


    うん、これでもう大丈夫。私の望みを止めたいと思うワタシはこれで終わり
    ワタシ達はずっと一緒であればそれが幸せなのだから



    「ただいま~……あれ、地図はどうしたのワタシ?風で飛ばされた?」
    「ならもう一枚描く? もういいの? 私は元々捨てる気でいたからいいけど……?」

  • 46氷室エル24/06/23(日) 02:10:28

    明日は早朝から出かける。いくらワタシに足止めを頼んでいるとはいえ、残してきたのは最低限
    先生は今まで色んな凄い事をやってのけてみたし、ワタシを突破してくるかもしれない

    突破したとしてもアビドス近郊からレッドウィンターまで来るには先生の足では何時間もかかるし、防寒対策もまともに取れないだろうから大丈夫だとは思うけど………用心に越したことはない


    だから今日は少しだけ早めに眠る事にする。今日は色々無茶をしすぎてしまったから少しは体を休めないといけない
    空き部屋と間違えるくらいに物がなくなった部屋のベッドで眠りにつく

    明日の事を考えると緊張して寝付けなくなってもおかしくはないと思っていたが、それ以上の疲れであっさりと意識を手放す事に成功した私の前に




    「やれやれ、其方は粉うことなき大馬鹿者よな」

    クズノハさん………私の導き手が現れた

  • 47氷室エル24/06/23(日) 02:14:12

    本日はここまでです クズノハとの最後の会話が終わると、いよいよ最後の選択になります

  • 48二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 08:34:24

    乙です

  • 49二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 15:26:27

    いよいよ迫ってきたな

  • 50二次元好きの匿名さん24/06/23(日) 21:37:50

    何が始まる…?

  • 51氷室エル24/06/23(日) 23:36:56

    多分アビドス3章に今の段階で出たらホシノの味方をして、問題は解決しても取り返しがつかない事やってそうなのがエルです。再開します


    <黄昏の寺院>



    お久しぶりですクズノハさん。最後に会えて嬉しいです


    「其方とて妾の言葉を忘れたわけであるまい? それなのに何故……」


    いいんです。だってもう決めましたから


    「……妾は夢を追い求め、強い覚悟を持って前に進んでいく姿に惹かれ力を貸した」

    「だというのに、これで良いのか? これしきの困難乗り越えてみせる気概は残されておらんのか?」


    それが私の夢が誰かを犠牲にしないといけないものなら


    「其方の周りは夢を諦めなければ犠牲になってしまう程に弱いのか?」


    …………そうだと思ってたんですけどね。皆さん凄かったです。私の全力を防ぎきって…………あんなに強いんですね


    「だったら今すぐにでも友と合流して……!」


    でも無理なんです。私は大人には決して勝てないって分かってしまった


    私は大人と戦えるよう強い自分でありたくて今まで頑張ってきました。埋蔵金の地図を売買する時も、工務部で活動する時も、悪の権力者に立ち向かう時も

    そしてその力は確実に身に付いてると思ってました。だけど実際に私に向かってくる大人には何もできません


    デカルコマニーとかいう大人には何とか虚勢を張り続けられたと思いますが、私は埋める所か触れる事すらできなかった。ワタシが少しでも消えると思った瞬間に私より強いと格付けがついてしまった


    昨日は先生にも負けてしまった。先生が指揮するとみんな強くなって、私の本気を見ても私の為に立ち上がって………関わろうとする先生を足止めするだけで精一杯なんです

  • 52氷室エル24/06/23(日) 23:50:16

    「だから1人で黒幕に会いに行くと? それでは本末転倒じゃろう」


    …………分かってます。ですが私はもう耐えられない

    隠しきれないんです。本当は誰にも何も話す気はなかった。宣告された次の日には答えを決めて一人で戻るか、黙ってキヴォトスから消えるべきだった


    だけど怖いんです。あの大人にまた会いに行くのが怖くて動けない。ずっと監視されてそうな気がして怖い。誘いを断ればどうなるか分からなくて怖い


    「…………」


    最初はこのままじゃダメだと思ってクズノハさんの言う通り、色んな所に出向きましたよ? 何かいいヒントはないのかと思って

    だけど、そこで知ったのは………思った以上に私の事を気にかけてくれた人達と、恐怖で分かりやすくなった私を守ろうとしてくれる恐怖でした


    「人が人を守りたいと思う気持ちを恐怖とまで呼ぶか」


    当前です。私が早く決めなかったせいで、あの大人に出会わせてしまうかもしれないんですよ?

    目的のもの以外がどういう扱いを受けるのかは私が身を持って体験しています


    この決断だって遅すぎるくらいなんです。クズノハさんだって分かるでしょう?


    dice1d3=3 (3)

    1.分かる

    2.どう答えても聞く耳を持っていないだろう

    3.分からない

  • 53氷室エル24/06/24(月) 00:05:25

    「分からんよ。其方がそこまで臆する理由なんての」


    ………でしょうね。クズノハさんは大人に何かを奪われた経験なさそうですし

    だからきっとこの気持ちが分かるのは私だけです


    「違う。其方がそこまでの想いを持っているのなら何故話さん?」


    それは………言えば巻き込んでしまうから……


    「なんじゃ、其方の友には危険だから来てほしくないと誠心誠意頼み込んでも無視して乗り込んでくるような分からず屋しかおらんのか?」

    「もしも本当に危険な場所に来てほしくないと仲間を想うのであれば、その想いも含めて話すべきであろう」


    ………だって私を助ける為に先生やホシノさん達は氷山まで無茶を押してきました。今回だって同じことが……


    「其方が望んでおらんのにか? 友が望まぬ事を碌に話しておらんのにどうしてやると言い切れる?」


    それは………皆さん優しいから私を助けようと………


    「其方が助けを望まぬのなら、それは優しさではない。単なる善意の押し付けじゃ。其方の友はそのような事をする輩であったか?」


    そんな事……!!


    「…………このまま話しても埒が明かぬ。これがクズノハ最後の導きじゃしかと聞くのじゃぞ?」


    dice1d3=1 (1)

    1.介入

    2.方針

    3.本心

  • 54氷室エル24/06/24(月) 00:06:30

    『いけませんよ。せっかく彼女は自らの世界に答えを見つけようとしているのですから』

    「そういうこったぁ!」

  • 55氷室エル24/06/24(月) 00:17:54

    「!?」

    「どうして此処が………いや、寺院の場所が割れたわけではない………!!」


    ………? どうかしました?


    「此奴まさか………氷室エルの心に巣食っておるのか!?」


    巣食う?………たしかに情けない話ですが恐怖に心が巣食われてしまったといえばそうかもしれませんね

    だから私はこの恐怖にどう向き合うかでしか進む先を選べません


    なので私を導いてくれるのは今日までで大丈夫です。ありがとうございましたクズノハさん

    クズノハさんのおかげで沢山の可能性を知って、沢山の友達ができました。本当に夢でした


    「待て! 妾が伝えたいのはそのような言葉じゃない!!」


    ですけど私はそろそろ行かないと。今日だけは早起きしないといけませんからね


    「 (マズい。氷室エルの意識が覚醒しかけておる!) 」

    「 (伝えるのならば今しかない!) 」


    それでは失礼しま……


    「dice1d3=3 (3) 」

    1.そのきょ………

    2.その恐怖はまやかしじゃ!

    3.その想いを打ち明けろ!

  • 56氷室エル24/06/24(月) 00:24:39

    「清濁併せて残らず全てじゃ!! 誰でもよい!!絶対にじゃぞ!!」



    ~~~~~~~~~~


    …………おはようワタシ。時間は………ちょっとだけ寝すぎちゃったかな?
    別にどうもしないよ。ただ少し夢を見てただけ

    それじゃちょっと早いけど準備しよっか。
    私は届書の文章間違いがないかを確認するから、ワタシは荷物の確認だけお願い



    ……………無理ですよ。だって今は弱音なんて吐いてる場合じゃないですから

  • 57氷室エル24/06/24(月) 00:28:20

    早朝。まだ多くの生徒は登校していない静かな学園の前に私は立っていた
    ここに来た当初は埋蔵金から一番近いだけの所としか思っていなかったけど、ここでの出会いが今の私の選択を決めていると思うと意味はあったのだろう

    ………感傷に浸っている場合ではない。誰も来ないうちに仕込まなければ
    万が一の可能性も考えて、音を立てない様に気を付けながら学園に忍び込み……お世話になった工務部に『退部届』を、事務局に『退学届』を分かりやすい場所に置いておく


    お世話になりました。チェリノ会長。ミノリ部長。二人の事は決して忘れません


    誰にも見られていない事を確認しながら急いで学園を後にする
    これ以上に誰かに会うと、特に会長や部長に見られてしまうと決意が揺らいでしまいそうだから


    学園が目視できなくなるぐらいには寂しさは薄れ、心の中の決意が色濃くなっていく

    さぁ、これで覚悟は決まった
    行こう。約束の場所……私達の始まりの場所へ

  • 58氷室エル24/06/24(月) 00:37:45

    <氷雪地区>


    何事もなく氷雪地区に突入する。いつも通り見渡す限りの雪と空。早朝に到着したからか美しい日の出が雪道を照らしていた

    光を遮るものがない世界は視界全てがキラキラと輝いて……見る人の感覚すら奪ってしまいそうなほどの白い光の中を、虹色の光が突き抜けていく


    耳が痛くなるほどに聞こえない音が、いつもより軽い背中から感じる寒さが、私の歩みを少しだけ早くした



    ………実際、集合場所はここでもよかった。目的地と比べて危険は少ないから誰でも来れる場所ではあるけど、それでも用事がなければ普通の人は訪れない、雪以外何もない場所だから

    多分呼び出せばあの大人もこっちに来てくれるかもしれない。時間がないのなら近場で済ますべき


    それでも視線はさらに奥の吹雪の地から感じる

    きっと私達のこだわりを知っていて、ずっとあの地に居座っているのだろう


    あの大人に私達の覚悟は通じるのかは分からない。だけど進まないといけない

    私達の過去を奪われない為にも



    眩しいほどの世界の光は、早くなっていく私の歩みを止める為に輝いていたのかと思える程に長くきらめいていた

  • 59氷室エル24/06/24(月) 00:41:48

    <氷原地区>


    ワタシを身体に纏いながら、氷山の跡地を目指す

    今日だって指定したわけじゃない。時間も決めてない。ただ間違いなくあの大人は待っている。視線はあの場所からずっと向けられている


    急いでいる私の前には吹雪なんて足止めにすらならない

    通学路よりも通いなれた吹雪の道を泳ぐ様にどんどん進んでいく



    そして辿り着いた氷山の跡地には

    1.絵を持った大人が立っていた

    2.先生が待っていた

  • 60氷室エル24/06/24(月) 00:47:27

    >>59より分岐 1.絵を持った大人が立っていた


    絵を抱えた頭がない大人と、絵の中にいる大人

    何度見てもおかしな生き物で……ずっと見ているだけで過去に見た大人達が頭をよぎって気分が悪くなる


    私が近づくと人質にとられていた大切なもの……私達の事が記録が残されている2冊の本を差し出してきた



    『貴方達の著書はこちらにあります。本来は対価としてお渡しする約束でしたが……どうぞ』


    …………中身のすり替えはされてないみたいですね。ですがどういうつもりですか?


    『貴方達は今日この場に明確な答えを持ってここにやってきた。ならばもうそれは必要ありません』


    私達がこれを受け取った以上、もう私達を縛るものはありません。逃げてしまえばそれで終わりですよ?


    『いいえ、貴方達は逃げません。その為に対価を用意したのですから』


    …………最初に言っておきます。私は頭が良くありません。なので難しい事を言われても理解しきれない事は分かっています

    ですが、その上で改めて教えてください


    あなたは私達に何を求めているのですか?



    『その問いに答えるのは簡単です。私は貴方達に崇高へと至っていただきたいのですよ』

  • 61氷室エル24/06/24(月) 00:50:38

    崇高? なんですかそれ?


    『氷室エルという生徒が持つ"神秘"と、氷室エルと共にある虹色の"恐怖"を持つ合わせ持つ唯一の存在』

    『そして神秘も恐怖も、それぞれ本質として持ち合わせている。今のところはそれくらいの認識でよろしいでしょう』


    私がキヴォトスの外に出るだけで崇高とやらになると? でもおかしな話ですね

    クズノハさんから崇高なんて言葉は聞いていません。私が色彩に染まるならまだしも、恐怖に染まるとは一言も聞いた事がないです


    『でしたらそのクズノハという方から"反転"されるとは聞いていませんか?』


    反転………


    ~~~~~~~~

    (part3 >>39より)

    「代償とは……其方を構成する本質を1つ手放さねばならぬ」


    「色彩は我らの本質を歪曲する。根源が反転させられる結果、個が捻じ曲げられ異物と成り果てる」

    「いずれにせよ今の自分でなくなる事に変わりはない。じゃが代償を支払えば其方は色彩の浸食から抜け出す事ができよう」


    ~~~~~~~~


    ………!!


    『自らの事を賢くないと言っていましたが、記憶力はあるようですね』

    『そう色彩の力により反転した神秘は恐怖になりえるのです』


    ……ですがそれだと私の神秘とやらが無くなってしまうのでは? だとしたら本末転倒ですよ


    『えぇ。ですから互いが互いを必要とする貴方達の様な存在が必要だったのですよ』

    『1つの体に2つの意思。神秘と恐怖が入り混じる氷室エルという素体が』

  • 62氷室エル24/06/24(月) 00:54:43

    『氷室エルさん。貴方はもしもキヴォトスに貴方の両親を呼び出せる代わりに、虹色の貴方をこの世から消し去る必要があるとするならどしますか?』

    断るに決まってます。喧嘩売ってますか?

    『それは何故でしょう?』

    ……さっきからワタシと私の事を別人みたいな言い方をしていますが、私とワタシは同じです。ワタシがいなくなるならそれは私ではありません

    『ではもしも虹色の貴方が何らかの影響で消えるとしたらどうしますか?』

    私にできる限りの全てを試して止めます。もしそれでも止まらずに本当に消えてしまったなら………一緒に消えますよ

    『……想定通りの回答ありがとうございます。貴方はこれからもずっと、そのままであってくださいますよう願っていますよ』
    「そういうこったぁ!」

    …………

    『ではここまでの質問を踏まえて1つお聞きましょう』
    『もしも立場が逆になった時。氷室エルという存在が何らかの影響で消える時、虹色の貴方はどうするでしょうか?』

    それは多分私と同じ……!!
    いや、その言い方……ワタシになにをさせる気ですか!!

    『いつも通りですよ。貴方が貴方である為に常に行っている事』
    『そう。ただ守っていただくだけです。"氷室エル"という1つの神秘が……貴方という"個"が消えてしまわないように』

  • 63氷室エル24/06/24(月) 00:58:09

    守る? 誰かに襲われるわけでもないのにどうやって? 恐怖への反転は本質を……神秘を切り捨てるしかないはずです

    『それだけではないです。そもそも本質を少し切り捨てただけで、"氷室エル"の在り方をどれほど見失ったか覚えているでしょう?』

    えぇ、だからこそ無理だって言ってるんですよ。具体的にワタシに何をさせる気なんですか?

    『虹色の貴方だけが持つ氷室エルの情報を足し続ける事で、氷室エルという存在を……神秘を証明し続けます。そうすれば恐怖が神秘を補完し、神秘は恐怖に変換されてゆくでしょう』
    『その循環が無限に続けば……貴方達は神秘と恐怖を体現する文字通りのたった1つ存在……崇高へと至るでしょう』
    「そういうこったぁ!」

    意味が分かりません。そんな無茶苦茶な話を信じろと?
    いや………もしかして、だから最初に私達の日記を奪って情報を確認したのですか?

    『その通りです。貴方は自分の事……いえ、虹色の貴方の事の話なら飲み込みが早いようですね』
    『もちろんこの本だけではありません。調べさせていただきましたが、この地を徘徊させている機械にも記憶を詰め込んでいるのでしょう?』

    私もミレニアムで初めて聞いた話ですけどね。ワタシが管理してるので私は詳しくしりません

    『いくら私から隠し続けていようとも、貴方という個を残す為なら"氷室エル"という存在を表す全てのデータを使うでしょう』
    『お分かりいただけましたか? これこそが崇高へと至るプロセスなのです』
    「そういうこったぁ!」

  • 64氷室エル24/06/24(月) 01:00:59

    言っている意味はほとんど分かりませんが、つまり仮にキヴォトスの外へ出ていく場合、準備をしてからじゃないと……あなたが言う崇高とやらに変化しないと、私は私でなくなる。そう言いたいんですね?

    ですがまだ分かりません。 私達が崇高になったとして、あなたは何の得をするというのですか? もしかして私達に付いてまわる気ですか?

    『いいえ、ですが貴方達の成功は、私達の崇高へ至る方法が正しいものという証明となると言えるでしょう』
    「そういうこったぁ!」

    『覚えていますか? 私達は互いに互いが「虚像」と「非実在」を象徴とする相棒であり、貴方達と近しい存在だと説明した事を』
    『私達は同類として、"氷室エル"の成功を見届けたいのです。そして貴方達は成功しなければ……1つであらねばならない』
    「そういうこったぁ!」

    ………要は自分たちで実験できないから、代わりに私達を利用しようって事ですか

    『そうだとも言えますね。ですからせめてもの報酬として、貴方が望むものを用意したつもりです』

    それが家族との再会という事ですか

    『もちろん報酬を今すぐ受け取っていただいても構いません。踏ん切りがつかないなら私の部下として我々の組織"ゲマトリア"に所属するのもいいです。しばらく活動していただければ成功する可能性はより上がるでしょう』
    『私も直接貴方を実験した事はありませんからね。私が理解を深めている間に、貴方達は自身の内へと心を向け続ける。それだけで確実に貴方の本当の望みは……夢は叶いますよ』

    夢?………もう一度家族に……パパとママに会って………それが本当の夢………

    『自らを構成する最も求めている存在を望まないならば貴方は何を望むのですか? 本当に望む物は自分の中にしかない。自らの望みは自らの世界の中にしかありませんよ』
    「そういうこったぁ!」

  • 65氷室エル24/06/24(月) 01:02:40

    ねぇワタシ。私達が出会って今日まで色々な事があったよね


    そうだね私。ワタシ達が一緒になってから色々な事が起こったね



    本当はもう言葉を交わす必要もない。返答はすでに決まっているのだから


    本当はもう考える必要もない。方針は私達の中で決まっているのだから



    だけど、改めてワタシに聞いておきたい。この判断で間違いないのか。だってこの選択肢を選ぶのは間違いなく私なのだから


    それでも、言葉に出して私に確認したい。この選択で間違いないのか。あの日と同じ間違いを繰り返すのはもう嫌だから



    私<ワタシ>の中で決めた1つの結論。自分勝手で、他人の事なんて気にせずに、私<ワタシ>の望みを叶える

    本質が変わってしまったと……捻じ曲がったと言われてきましたが、やっぱり根っこの部分は曲がり様がないみたい



    私<ワタシ>は、氷室エルは夢の為に生きている

    この選択に後悔はない。たとえ間違いだったとしても、ワタシ<私>と一緒ならどこへだって行ける




    ずっと心の奥底にある<わたし>の望み。私達で必ず叶えてみせる

  • 66氷室エル24/06/24(月) 01:08:00

    『どうかしましたか?』

    ………いえ、少し考えていただけです

    『好きなだけ考えていただいても構いませんよ。考えが纏まらないのならまた後日にしましょうか?』

    いえ、私の答えは決まっていますよ


    END1. "友人を10人以上作る" 10人未満により必ず失敗します
    END2. "埋蔵金の地図を3種類以上作る" 3種類未満により必ず失敗します
    END3. "将来の可能性を3種類以上作る"
    END4. ゴルコンダに付いていく
    END5. 自分を捨てた家族に会いに行く

    END EX. END1~END5までの全ての条件を達成し、選択できるようにする

  • 67氷室エル24/06/24(月) 01:11:08

    >>66より → 自分を捨てた家族に会いに行く

    おまたせしました。私の答えですが………やっぱり家族に会いに行くことにします


    『そうですか。こちらも対価として用意した甲斐があったというものです。では早速……』


    あぁ、勘違いしないでくださいね? 貴方の話は真実でしょうけど、私は貴方を信用していません。というかもう用済みです


    『…………どういう意味でしょうか?』


    どういう意味もなにも………空が見えませんか?


    『空?……!?こ、これは……!?』


    ……そういえば顔がない大人と後ろを向いてる大人しかいないんでしたね。配慮が足りませんでした

    気づいてるかもしれませんが一応教えておくと、"お迎え"が来てくれたんですよ


    『………ありえません。貴方は色彩の一端をその身に宿しているとはいえ、儀式も準備もなしにそんな事できるハズがあるわけないでしょう!』

    「そういうこったぁ!」


    うーん……難しい事は分からないですけど、おかしくはないですよ?

    だってパパとママはずぅーーっと見守ってくれて、手を差し伸べてくれていたんです。それに気づけたのは貴方が私の両親がどこにいるかを教えてくれたおかげ


    お礼と言ってはなんですが、私が再会する所を見てていいですよ。貴方の話だと崇高へと至らないと家族は再会できないのでしょう?


    『何をする気で……!』


    なにって前みたいに空を見上げるだけですよ? クズノハさん流に言うなら家族がいるキヴォトスの外につながる窓を開けてくれたので、そこから出ようとしています


    あぁ、貴方の夢が叶う瞬間を見逃したくないなら何が起こっても邪魔しないでくださいね?

    例えその身が焼けて腐さろうと、自らの望む物が捻じ曲がろうと、この地を望む新たな脅威が入り込もうとも………それが貴方の"夢"なのですから

  • 68氷室エル24/06/24(月) 01:12:19

    ~~~~~~~~


    緊急速報です!!

    現在、キヴォトス各地で怪奇現象が発生しています!これは――


    突如として空が赤く染まり、空一面に巨大な"オーロラ"が発生しました!

    オーロラは赤い空を染め上げるかの様に広がっていき――


    ~~~~~~~~


    ちゃんと荷物持った私?  うん、持ってる。思い出も出来るだけ持ってきた  あの大人の話だと私の記憶が大事だって言ってたけど……別にそんな事必要ないと思う  なんで?  だってパパとママは私達が出会った時からずっと私達を見てくれてたんだよ? もし忘れちゃったとしても教えてくれるよ  でも私が大事だから持っていく。それに虹の向こうについたら皆で見たい  いいね!空がない時の話とか教えてあげないとね



    『………!』 



    ん? 今誰かとすれ違った? 外から誰かが入ってきたみたい  そうなんだ。パパとママの知り合いかな?  雰囲気はシロコさんに似てた  ならシロコさんのご家族かな? 危ないし注意してあげよう  シロコさんのご家族の方~!早くこの氷原地区から離れた方がいいですよ~!  そうですよ~!もうここは……あ、あの変な大人がご家族の方に撃たれちゃった  夢が叶いそうだったのにかわいそう  なおさら私達も夢の為に頑張らないとね! うん、早く私達に来てほしいみたいだから急がないと!




    『…………エルさん』

    好感度

    ■ロコから■室エ■ dice1d100=79 (79)

    1~33.もう忘れようとしている

    34~66.プレゼントされた地図はまだ残している

    67~100.色彩に近しい彼女は最期までシロコの味方として行動していたが……

    ゾロ目.最期はシロコの手にかけられている

  • 69氷室エル24/06/24(月) 01:25:55

    『シロコさん……辛い事があったらいつでも言ってください』


    『ほら、ちょっと前シロコさんと一緒にサイクリングで登った山の写真。また撮ってきたんですよ。綺麗じゃないですか?』


    『行方不明になったんですか?…………分かりました。私とワタシで探してみます。砂漠の隅から隅まで私達なら探し出せますから』


    『借金が減らない? あぁ、ホシノさん名義に変わってるから………大丈夫です! 私も地図でも何でも描いてお手伝いしますから!!』


    『大丈夫です。私は強いですから。この世界に私に勝てる人なんていないです。シロコさんの前からいなくなったりしませんよ』






    『………………やっぱり私はアビドスの皆さんの様にはなれませんでしたね』
    『最期に1つだけ………氷山じゃなくていいので………私を……ワタシと同じ所に眠らせてください』

  • 70二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 01:26:38

    このレスは削除されています

  • 71氷室エル24/06/24(月) 01:27:30

    クックックッ……お久しぶりです先生。お見苦しい姿で申し訳ありません

    ゲマトリアは壊滅しました。色彩による侵略……いえ、浸蝕と呼んだ方が正しいでしょうか
    ………この結末を呼んでしまったのは我々ゲマトリアの失態でもあります

    先生も一度は出会った事はあるでしょうゴルコンダが、氷室エルという神秘を利用して「崇高」を求めた様なのですが、観測対象を……氷室エルを制御しきれなかったようですね


    つまり現在キヴォトスには"2つ"の脅威が同時に迫っています
    1つは色彩と接触した狼の神………命あるもの全てを死に至らしめる終焉のをもたらす神となった「アヌビス」
    色彩の嚮導者と共に各地に出現した色彩の光を放つ黒い塔を作り、色彩の全ての神秘と恐怖、崇高を自らのものとしようとしています


    そしてもう1つは……氷室エルが持つ色彩が呼びこんだ……名前すら分からないナニカが襲来しているようです
    色彩と似て非なる存在。人ですらないその姿を見ているだけで精神疾患を起こしそうな程の異形………あちらが神ならこちらは"邪神"の類でしょうか? ゴルコンダの調査では取引の現場として利用した氷山は元々、彼らを迎え入れる為に用意された儀式の場だと推察されています
    この異形の一番の問題は未知であることです。目的・力・技術・数……なにもかもが未知


    終焉をもたらす神・神秘を恐怖へと反転させる塔  何もかもが未知の邪神・それらを迎え入れた儀式の為の氷山
    先生、あなたはこの状況でもまだこれから起こる未来を乗り越えられると言えますか?

  • 72氷室エル24/06/24(月) 01:28:20

    END5 WORST END

    ×月〇日

    キヴォトスを絶って■ら多分1か月が経ちました
    ここの空はずっと変わらないから今が何■で■■経った■が■■■■


    ありゃ、もうこの記憶もダメになってきちゃった。大切に残してたハズなんだけど
    ……いや、もういっか。昔少しの間だけいた場所の記憶なんて持ってても意味がないよね。頭も重くなるだけだし消しちゃおう

    それよりもお腹減ってきちゃった。今日は何を食べよう……よし!前に食べた時美味しかったからゲヘナの校舎にしよう

    食べ終わったらパパとママの探索を続けないとね。せっかく呼んでくれたのにどこにもいなくて……
    私を呼んでくれたんだから絶対にどこかにいるはずなんだけど……でも何かを探して各地を周るのは普段と立場が逆で楽しいよ

    楽しいからオマケで校庭も半分くらい食べちゃっていいよね。お腹空いたし
    ……あ、こんな所にまだ私の同種がいたんだ。ついでに食べちゃお


    けぷっ……これから移動するんだから腹八分目くらいでいいかな。お腹空いてきたらその辺のもの食べていけばいいし
    それじゃあ再開しよう!

  • 73氷室エル24/06/24(月) 01:32:50

    本日はここまで チビチビ続けていた書き溜めが火を吹くぜ!と言いたいところですが、今のところはEND4までしかまだ進んでいないので……いつまで連続投下できるかは怪しいものです


    一応今後の予定では END4~1 → ゴルコンダより先に先生に会うルートを経由してのEND EXとなります
    長いとも短いともいえないですが、最後まで追っていただけると嬉しいです

  • 74二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 05:54:53

    こんなエンドもあったのか

  • 75二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 12:29:53

    エグい

  • 76二次元好きの匿名さん24/06/24(月) 21:05:00

    思ってたより大変なんだなぁ

  • 77氷室エル24/06/24(月) 23:06:52

    いくら好感度を上げても選択肢を間違えてしまえばルートには入れないし、あらゆる数値を最大にしても最後の選択肢を間違えれば望まなくても失敗する。言わばEND5はありとあらゆる悪意に操作されてしまった世界線だったりします

    というわけで再開



    >>66より分岐 → ゴルコンダに付いていく



    おまたせしました。私の答えですが………家族に会いに行くことにします


    『そうですか。こちらも対価として用意した甲斐があったというものです。では早速……』


    勘違いしないでください。協力はしますが方法は私が選びます

    私達を1つの存在にするなんて口実で、どんなおかしな事をさせられるか分かったものじゃないですからね


    それに本当に両親がいる場所が分かるのかを確認をしないと意味がありません。そこの信用がなければ私は協力しません


    『分かりました。こちらとしても協力していただけるという返事をいただけるだけで十分です』


    ………それと、これも伝えておきます。貴方は崇高とやらの為に私達を利用したいだけでしょうが、こちらも私の家族の為に貴方を利用したいだけです

    利用価値が無くなればすぐに出ていきますからね


    『……面白い。そうならない様に善処しましょう。それが互いに取って有益ですから』

    「そういうこったぁ!」

  • 78氷室エル24/06/24(月) 23:15:18

    それじゃ、決まったなら早く行きましょう。こんな密会は誰にも見られたくありませんから
    ……キヴォトス共通の敵役をやらせるくらいなら社宅くらいは用意してますよね?

    『社宅と呼べるものではありませんが、協力関係である限りは最低限の衣食住は我々ゲマトリアが保証しましょう』

    ………労働環境が悪ければストライキ起こしますからね
    あぁ、それと私が持っていかないといけないものがあるなら準備しないといけないんで今の内に言ってください

    『準備の必要はありませんが、記憶の回収はお願いします。先ほどの説明の通り、今まで生きてきた記憶の蓄積が成功への可能性を引き上げますので』

    直接持ち込むのは?

    『禁止です。預言者やデカグラマトン本体に悪影響を及ぼすかもしれませんので』


    ………ワタシ。私はアレにどれだけの思い出が詰まってるのか分からないんだけど、時間どれくらい必要?

    『モウ、移動ジュンビをハジメテいるヨ』

    そっか、なら問題ないかな。うん、何も問題ない…………よね


    『それでは行きましょう。これが我々の夢への大きな一歩です』

    ………さようなら皆さん………さようなら先生



    そしてこの日、氷室エルに関する情報はキヴォトスから全て消えた

  • 79氷室エル24/06/24(月) 23:28:11

    氷室エルの姿が消えて数日が経った
    レッドウィンターの自室にもエルの物は残されておらず、彼女が書いた退部届や退学届もいつの間にか消え去ってしまった

    まるで本当に三大埋蔵金の伝説に出てくる過去の人物のように、氷室エルが現代に存在した事を示すものが過去の物となっていく


    そして最近になってまた世間を賑わせている事件がある。埋蔵金の地図の消失だ
    だけど今回は手口が変わっていた。誰もが彼女の地図の存在を忘れてしまい、思い出せないまま捨ててしまってから思い出す
    数人程度ならありえるが、この現象はキヴォトス全土で発生した。そしてそれは氷室エルの友人であっても例外でない

    現在はわずかに残された地図を何故かシャーレの先生が中心となって守っているが……時間の問題だろう



    『……………ワタシの記憶は貴方の記憶。コンナ地図に何のイミがあるのデショウカ?』
    『ナイですヨネ? ナラバ忘れてシマイましょう。記憶からキエサレば楽になりマスヨ』



    埋蔵金の地図消失事件は■■■■の地図が全てなくなるという形で終わりを告げた

  • 80氷室エル24/06/24(月) 23:33:07

    END4. BETRAYAL END


    シャーレの先生へ

    この手紙は私が消える前日に郵便ポストに出しておいたものです
    もう直接話す事はできませんが、先生には色々お世話になりましたので挨拶だけでもと思って筆を取っています

    結論から言うと、どんなに頑張っても私は過去に囚われたままでした
    新しい自分を探しても、どれだけ周囲に恵まれても、結局は過去が私を進めてくれませんでした

    手紙なので正直に話しますが、いなくなった私の両親を探してくれる大人が見つかりました
    完全には信用していませんが、見つかる可能性は高いと思ってます。互いに"夢"を叶える為ですから

    ですが私は夢を追う為に色々と変わらないといけない事があって………最悪、先生と敵対することになるかもしれません
    キヴォトスに悪影響を与える存在になるのか、他の生徒を狙う事件の首謀者になるのか、ただの脅し文句なのかは分かりませんけどね


    なのでお願いがあります。もしも、先生の前に私が現れたなら、その時は先生の生徒として扱わないでください
    生徒でもなければ大人にもなりきれない、ただのキヴォトス共通の敵として扱ってください

    そしてみんなが知る氷室エルは夢を追っていなくなった。と伝えてください
    これが先生の生徒として、最後のお願いです


    伝えていただけたならこの手紙の役割も終わりです。捨ててください
    なんてわざわざ書かなくても、すぐに捨てられてしまうでしょうけどね

  • 81氷室エル24/06/24(月) 23:47:27

    >>66より分岐 → "将来の可能性を3種類以上作る"




    答えは最初から決めていました

    お断りします。私は大人の言いなりにはならない



    『……勿論その返答の可能性も考えていました。ですが何故です? 私の解釈に嘘はありませんよ』


    やりたい事ができたんですよ。何がやりたいのか分かったのは最近の話ですけどね

    ………かけがえのない人達からそのヒントを教えてもらいました


    『それは貴方の夢を諦める程の物なのですか?』


    あぁ、勘違いしないでくださいね? 私はキヴォトスの果てを超えます。夢を諦めたわけではありません

    ですがあなたが示す場所に行かないと言ってるだけですよ


    だって本当にキヴォトスの"外"にいるのだとしたら私のまま会いに行けないじゃないですか。ワタシを紹介する事もできなければ、私が見つけても本当に両親だって分からないでしょう


    それなら私の両親はこの世界の続く先……文字通りキヴォトスの外側に行ったんです。だから私はそれを探しに行く。ただそれだけの事ですよ


    『……理解できません。自分でもその可能性は皆無だと理解していますよね?』

    『必ず後悔するでしょう。貴方のそれは夢を追うとはいえない。私に反発したい為に誤魔化しているのだけです』

    「そういうこったぁ!」



    ………そうかもしれませんね

    ですが、私には皆無に感じられる可能性でも、強い思いがあれば叶える事ができると………教えられましたから

  • 82氷室エル24/06/24(月) 23:55:41

    『……シャーレの先生ですか』


    先生だけじゃないですよ? 私達の予想なんて皆さん簡単に超えていきます

    だから私も……私だって乗り越えられると信じたいんです


    『もういいです。全く残念極まりないです』

    『では交渉決裂という事でよろしいですか? もう二度と両親に出会えるチャンスはないですよ?』


    だから言ってるじゃないですか。私は貴方の手を借りずとも再会してみせると

    なので早くお引き取りください。これからすぐ出発しますから


    『…………』


    なんですか? 黙って今すぐ帰ってください。帰る以外の行動をとらないと少し"痛い目"を見てもらいますからね

    それとも力ずくで私を従わせる気ですか? 先生たちを盾に取ってみますか? どれも私には通用しませんよ



    『えぇ、今日の為に色々と準備はして……』


    ワタシ!!

    「………ヤレ!! ゲブラ!!」


    『……!!』

    dice1d3=3 (3)

    1.突進

    2.砲撃

    3.エルを吹き飛ばして脱出

  • 83氷室エル24/06/25(灍) 00:10:10

    『………逃げられてしまいましたか』

    『ですが、貴方がいくら逃げてもここは我々の箱庭の中。結末は決して変わりません』
    『それに気づいていますか? 結局貴方は1人の世界に戻ってしまったのです。それは私の望み通りの展開でもある』
    「そういうこったぁ!」

    『今はゆっくりと機が熟されるのを待つとしましょう。嘘で塗りつぶして見る束の間の夢を楽しんでください』



    ハァ……ハァ……追ってきてない? なんとかなった?
    それにしてもワタシがアイツの足止めを何とかするって言うからどうするかと思ったけど、まさか巨大ロボットを使って私を吹き飛ばすなんて……アレが記憶を保存してるって言ってたヤツでしょ? 雑に使って大丈夫なの?

    ……そっか。大丈夫ならいいの。これからの私達の計画の為にはこれも大事だからね

    それじゃあ……ここから私達の新しい一歩を始める為にも……先生にお手紙だけ渡してきて
    別れの挨拶は面と向かっていえないけど、どうしてもお別れはしておきたいから

    うん、ありがとうワタシ。じゃあ私は先に行って待ってるね

  • 84氷室エル24/06/25(灍) 00:27:51

    END3. NORMAL END

    シャーレの先生へ

    この手紙は私がいなくなった次の日に書いてます
    なのでこの手紙が先生の元へと届いていれば、私は無事だと思ってください


    結論から言うと、私はキヴォトスの果てを目指しています。そしてその先に私の家族がいると信じる事にしました
    色彩の扉を開いてしまうとキヴォトスがどうなるか分かりません。私は自分の望みの為にそこまでする気にはなれませんでした

    なのでこの世界の果てに……キヴォトスの文字通りの外ではなく、大地の外側に私の家族がいる。そう思う事にしました
    だってそうだったら皆幸せじゃないですか? だから私はこれから色んな場所を探すことにします

    そのついでと言ってはなんですが、各地に私の足跡を残していくことにしました。これからいっぱい色んな場所を周るとなると一度見た場所か覚えられなさそうですからね
    ワタシの欠片を目ぼしい場所に残して、世界の隅々まで私の目を広げる予定です

    遠くにいてもワタシ経由で先生にこうして手紙を送る事ができます。だから先生、心配しないでください
    私は先生の側には戻れませんが、1人だけでも元気でやっていけます

    なんなら元気の便り代わりにキヴォトスの外の地図として残しましょうか?
    奇跡的に見た事もなければ宝も何もない地図が流れてきたら………それは私の地図かもしれませんね



    最後に……私は挫けません。だから先生、皆さんに私は遠くに行ったけど元気でやっていると伝えてください
    また手紙が書ける物が見つかれば先生に送ります。それではお元気で

  • 85氷室エル24/06/25(灍) 00:44:15

    >>66より分岐 → "埋蔵金の地図を3種類以上作る"



    答えは最初から決めていました

    お断りします。私は大人の言いなりにはならない


    『……勿論その返答の可能性も考えていました。ですが何故です? 私の解釈に嘘はありませんよ』


    やりたい事ができたんですよ。何がやりたいのか分かったのは最近の話ですけどね

    ………かけがえのない人達からそのヒントを教えてもらいました


    『それは貴方の夢を諦める程の物なのですか?』


    えぇ、ハッキリと分かりました。…………私が多くを望めば望むほど、なにも手に入らない……いえ、簡単に手放してしまうとバカだという事が

    私は夢も力も信念も………何もかも中途半端で、いつだって楽な方向に逃げて、そんな事で望む物が残るわけないのにね


    だけどそんな私の願いは曲がりなりにも叶えてもらいました。ありがたい事です

    なのでこれからは私は……"ワタシ"と"わたし"の願いを叶えようと思います



    『……どうするおつもりですか?』


    隠居します。私の持てる技術全てを使って誰も何も奪われない。1人だけの世界に生きようと思います

    何も自慢できる事なんてない私ですけど、それでも1人で生きていくには十分です

  • 86氷室エル24/06/25(灍) 01:01:46

    『ならば私達が持つ隠れ家でもご紹介しましょうか?』

    遠慮します。私の中にはもう誰も関わらせない。奪わせない。私が朽ち果てるまで、私達の世界は私達だけ
    もうこれ以上の望みは叶わないけど、心の底から望んだ願いは守り続ける事ができる

    『ではお聞きしましょう。氷室エルさん、貴方の心からの本当の望みとは?』


    ………氷室エルに望みなんてない。私は"ワタシ"と"わたし"の為だけに存在する。鎧の様なものだから
    それでは失礼します。追ってきたら死んでもらいますからね




    『………どうやら恐怖の方が色濃くですぎてしまいましたか。これではただの失敗作でしょうか?』
    『いえ、私の解釈を超えた存在になるのかもしれないとも考えられませんか?』
    「そういうこったぁ!」

    『彼女は我々が手を貸さずとも自らの世界を自らだけにした。神秘と恐怖と色彩の力が交わり続ければ………彼女はどうなってしまうのでしょうか?』
    『ひとまずマエストロに相談しましょう。彼女の神秘についてはここから失い続けるかもしれませんから、最高の状態で"複製"する準備をしなくては』



    この日、氷室エルの消息は完全に途絶えてしまった

  • 87氷室エル24/06/25(灍) 01:19:08

    氷室エルの姿が消えてしばらくの月日が経った

    今でも有志の手により懸命な捜索が行われているが結果は振るわない
    新式の防護服を使った氷原地区の大規模な調査も行われたが、足跡すら見つけられなかった

    巷では強奪事件のバッシングに耐えられなくなっただの、誰にも見つけられない場所に新しい埋蔵金を埋めに行っただの言われているが、捜索者達は微塵もそんな事を考えていなかった


    捜索から一週間が経ち、一か月が経った頃には各校での新たな問題や、イベントで各人が忙しくなっていき、捜索も少しずつ打ち切られていった

    そこから数か月が経ち、半年が経った。
    ミレニアム崩壊の危機や、連邦生徒会長代行失脚事件、そしてキヴォトス全土の危機を乗り越えた今でも氷室エルは噂すら流れてこない


    それでも時たま、何人かで集まり氷の世界に足を踏み入れて綺麗なオーロラを見上げる
    エルが1番好きだった虹色のオーロラを眺める為に、ひょっこり帰ってきてるんじゃないか。そんな気がして

  • 88氷室エル24/06/25(灍) 01:35:29

    END2. LONELY END


    キヴォトスにはとある都市伝説があった。それは宝を追う者の前に現れる虹色の禍つ影
    宝を守る為、宝以外の全てを吞み込んでしまう恐怖の災厄

    都市伝説の続きでは虹色の影は本当に大切なものを見つけて夢追い人に宝を託して話が終わる


    ではその後は………宝がなくなった虹色の影はどうなったのだろうか?
    それを正しく知る者はほとんどいなかった


    空想でも綺麗に解決した話は綺麗なまま終わらせたい。という事もあるだろうが、1番の理由はこの話の続きは救いがないからだろう



    虹色の影は宝を託した後、まるで役目を終えたかの様に自らの体を呑み込み始める
    傷つき、痛み、それでも食らい、誰にの目にも見えない程小さく……小さくなった所で残りの余生を孤独に過ごす

    お礼をする為に訪れた宝を見つけた夢追い人も、あの日大切な事を教えてくれた仲間も、遂には虹色の影を見つけられなかった
    そしてそのまま虹色の影は誰にも見つかる事なく跡形もなく消えてしまった


    この都市伝説にこんな続きを書き足すとするのなら、この都市伝説を流したのはこの物語が大嫌いな大人か、虹色の影本人なのだろう
    そしてもしも本人が流したのだとしたら………それはとても寂しい事だと私は思う

  • 89氷室エル24/06/25(灍) 01:46:21

    >>66より分岐 → "友人を10人以上作る"


    答えは最初から決めていました

    お断りします。私は大人の言いなりにはならない


    『……勿論その返答の可能性も考えていました。ですが何故です? 私の解釈に嘘はありませんよ』


    私を捨てた家族以上に大切な物ができたからですよ。私を追ってきたならそれが何かくらい分かるでしょう?


    『ですがそれは自分で散々否定してきたはずですが?』


    確かにそうですね。だけどそれは私が悪いだけなんです。先生、ホシノさん、ナツさん、イオリさん………私の大切な人達は何も悪くない

    だから私は……!


    『もういいです。全く残念極まりないですね』

    『では交渉決裂という事でよろしいですか? もう二度と両親に出会えるチャンスはないですよ?』


    えぇ、望むところですとも

    さっさとこんなくだらない話を終えて本題に入りましょうよ


    『本題? ここまでの話以上に大切な話があると?』


    ありますよ。だってこれから私の友達を狙う気ですよね?

  • 90氷室エル24/06/25(灍) 02:41:23

    『…………貴方は友の為にこの場を……夢を犠牲にすると?』

    私の夢を犠牲にして貴方が二度と関わらないのなら、こんなにも安いものはないです
    それに………貴方に私の友達を奪われない。これが"わたし"の夢でもありますから

    『強がらないでいいですよ。今も私への恐怖で動けないでしょう?』
    『少しばかり調べましたから貴方の心の内は分かっています。貴方は守るべきものが多いほど弱くなる』

    ……………

    『奪われる事を恐れる。傷つける事に怯える。欠ける事を嫌う。守りたいものが自分の手から溢れそうになるだけで身動きすら取れない』
    『それこそが貴方の……氷室エルの弱さであり、強さでもある。貴方の力は孤独でなければ発揮できない』
    「そういうこったぁ!」

    ……………分かってますよ。そんな事くらい
    だから捨ててきたんです。二度と私の……私の友達の前に貴方が現れないように、私の手で決着をつけます

    『………仕方ありません。そちらが本気だというのならば、加減をしてはこちらがやられてしまいますからね』
    『準備は色々とさせていただきました。氷室エルという"記号"の"解釈"は分かりやすかったですよ』

    …………命に代えても止めてみせます!



    …………さようなら

  • 91氷室エル24/06/25(灍) 03:08:24

    その日、キヴォトス全土を巨大な地震が襲った。
    まるで巨大な爆弾が叩き込まれた様な衝撃は、数時間もの間、断続的に発生し……嘘の様にパタリと止んだ

    後にミレニアムの地震観測技術で調査を行った所、レッドウィンターの立ち入り禁止区域から発生したものと判明する
    ちょうど吹雪にも耐えうる防護服をエンジニア部が開発していた事もあり、現地に調査員が派遣される事となった

    氷原地区。猛烈な吹雪が常に発生している危険な区域と呼ばれていた場所だが、事前情報が嘘のように現地は静まり返っていた
    吹雪は完全に止まり、空は雪雲で覆われている。薄暗さ以外は氷雪地区と何も変わらない雪の園

    これ幸いと調査隊は震源を求め突き進み、そこで大きな1つの異変を見つける
    震源と思われる場所には大きなグラウンドがすっぽりと入ってしまうであろう巨大な穴がぽっかりと広がっていたのだ

    大穴の深さは現代の技術では測りきれない程の深さで、調査員が氷原地区の吹雪はこの穴が吸い込んでしまったと思える程に雄大で未知で……そして穴の奥から感じる狂気に恐怖した


    この大穴が氷室エルの埋蔵金の氷山跡地にできた事を知っている者は……ごくわずかだった

  • 92氷室エル24/06/25(灍) 03:18:05

    END1. FAILURE END

    シャーレの先生へ
    この手紙は先生の前から消えた日に郵便ポストに出しておいたものです

     私は明日、      決着をつけてきます               、、、、
      絶対に先生にも、   私の大切な人達にも   迷惑をかけません   、、、、

       全力を尽くします。無理なら無理なりに   道連れくらいはできるように頑張ります

     、、、、、

    私達の強さは先生だって  知ってますよね?  だから  きっと大丈夫です  、、、、

    そして   勝ったとしても……    もう姿を現す事はありません
        また同じ事が起きたら困りますからね 、、、、



    私が狙われている以上、私がいなくなれば済むでしょう   、、、
       これからはどこか遠くで頑張る事にします   、、、、

    、、、、

    それでは先生お元気で、    また機会があったら    遊びに行きますね!

    、、、、、


    (大量に書いては消された跡と、うっすらと消されてしまった弱音の言葉が見えた)

  • 93氷室エル24/06/25(灍) 03:35:10

    というわけで今日はここまで!! これにて失敗ルート全回収しました!


    END5は最悪エンド。 常に最悪の方向へと進んでいってしまった世界線。ある意味テラー※エルとなってしまうエンド

    END4は裏切りエンド。先生や友達を裏切って記憶を消し、ゲマトリアの被検体になる世界線。なにも自分で決められないまま逃げ続けた先のエンド

    END3は普通エンド。文字通りの逃亡生活を選ぶ世界線。五体満足で自分で進む道を選んでいる普通とも呼べるエンド。将来の夢が3つ未満だと行く宛が見つからずに行き倒れます

    END2は孤独エンド。奪われないという最低限の望み以外を捨ててしまった世界線。己以外の全てを拒絶するエンド。地図3種類以上だと、宝も景色もない、ただただ記号としての地図を作り続けます

    END1は失敗エンド。仲間への想い方を失敗してしまった世界線。間違ってしまったが為の自己犠牲エンド。友達10人以上で確定で生き残ります。もっとも二度とこんな事に巻き込まないように姿を現す事は二度とありませんが


    多分あと1~3回で最終回じゃないかな

  • 94二次元好きの匿名さん24/06/25(灍) 07:11:23

    乙です

  • 95二次元好きの匿名さん24/06/25(灍) 12:34:00

    色んな世界線出してくれるのありがたい

  • 96二次元好きの匿名さん24/06/25(灍) 20:59:26

    投稿乙!

  • 97二次元好きの匿名さん24/06/26(ć°´) 07:13:45

    保守

  • 98二次元好きの匿名さん24/06/26(ć°´) 13:19:19

    終わりが近付いてきたか…

  • 99氷室エル24/06/26(ć°´) 22:04:06

    >>59より分岐 2.先生が待っていた



    崩れた跡地には別れを告げたばかりの大切な人達が、私の記憶のままの姿で立っていた

    先生が……ホシノさんがナツさんがアコさんが………山で足止めを食らっているはずの人達が私を待っていた


    …………くだらない

    こんな光景を見せていただなくても結構です。それとも私を無駄に怒らせて交渉を破談にさせたいんですか?



    「待ってたよエル」 「時間ギリギリ。なんとか間に合ったね」 「さぁ、一緒に帰ろう?」 



    ……偽物なら偽物なりにもう少し考えて出すべきですよ。ここは何の対策もなく来れる様な場所じゃない

    なのに皆さん防寒対策すら取っていない


    それにいくら仮眠していたとはいえ、アビドスからここまで私よりも早く到着するなんてありえません

    そもそも場所を知っている事自体おかしいでしょう。私は誰にもここに来るなんて話していない!



    「違うよ。私達は確かにここにいる。」



    いつまで待たせる気ですか!? 早く偽物達を消してください! なんのためにここを取引の場に選んだと思ってるんですか!?

    もたもたしてたら本物が来ちゃうかもしれないじゃないですか!?


    「私達をもっとしっかり見て。それだけでエルなら全部分かるはずだよ」


    …………ありえません……絶対にそんなわけない!

    ワタシが私を裏切るなんて……それだけはあるはずがない!!

  • 100氷室エル24/06/26(ć°´) 22:13:08

    えぇ、見ただけで分かりますよ
    自分の体をワタシに包み込んで守ってもらう。えぇ、今も私がやってるんですから分かりますとも!

    だけどそれだけはありえません!! ワタシが私の嫌がる事をするわけがないでしょう!!
    そもそもワタシで寒さを防ぐ方法を知ってるのは私だけです!! そんな事ワタシが自分から皆の味方をしない限りあり得ない!!

    「そうだよ。虹色のエルは最後までエルの味方をしようとしていた」

    …………何がしたいんですか貴方は? ただ私の帰る場所を手放させただけですか?
    私、貴方に何かしましたか? 望み通りの答えを持ってきた私をどうしたいんですか?

    答えて!! ゴルコンダ!!


    「…………エル。私の手を取って」

    なにを……!!……いいでしょう。もう私には何も残されていません
    偽物でも何でもいい。この手でケジメを付ける必要があるなら……終わらせます


    差し出された先生の手をは叩き落とそうと右手を振るう
    どうせ空振るだろうと思ったその手は先生の手に吸い付く様に捕まれてしまって


    「約束したからね。助けてみせるよエル」


    私の意識はそこで途切れてしまった

  • 101氷室エル24/06/26(ć°´) 22:20:41

    >>41より


    "…………これはエルの協力も必要になるんだけど"

    "今みたいに私達とエル本人を繋ぐ事ってできないかな?"


    『……難しいです。私の頭部はワタシ自身が常に守っています』

    『接触すら困難。精神干渉なんてもっての外ですよ』


    "なら虹色のエル相手ならどう?"


    『………それなら大丈夫です。ワタシ同士で情報交換することも多いですから』


    "なら作戦は決まりだね。私とエルと一緒にいる虹色のエルを繋いでほしい"

    "そして虹色のエルを説得して、エルの脳と繋ぐ。そしてエルの心から不安を取り除く"


    『…………私やワタシはこの世界で会話することに慣れています。ですが先生は違います』

    『長時間話し続ける程に精神が持たないでしょう。………最悪、脳が壊れますよ?』


    "大丈夫。私は絶対に負けないから"

    "それにエルを陥れた原因が大人なら、エルを救うのも大人じゃないと、せっかく信じかけた大人を一生信じられなくなっちゃうよ"


    『先生……分かりました。では先生の接続だけ切って……』



    「ちょっと待った!!」

  • 102氷室エル24/06/26(ć°´) 22:36:08

    「先生だけじゃなくて私達も……!」

    『やめた方がいいです。先生はワタシが知らない力を持っているのは知っています。何度かワタシを見ても正気でいられることも』
    『ですが……皆さんはただの一般人です。心の安全は保障できません………呑まれてしまいますよ?』

    「大丈夫だよ。エルさんは絶対にそんな事しない」

    『何故言い切れるのですか? 特にホシノさん、ナツさん、イオリさんはワタシがどういう存在か分かっているでしょう?』

    「分かるよ。だってエルさんは友達を傷つけるような事をしたがらないから」

    「だけど私達が何をされたら一番嫌がるのか分かってないみたいから教えてあげないとねぇ」

    「それに戦いに行くわけじゃない。友達と話をするのに安全の保障なんて必要ないだろう?」


    『他の皆さんも同じ気持ち………なんですね。ワタシにも伝わってきます』


    『…………分かりました。それで私が本当に止められるなら……ワタシの力を使ってください』
    『先生が望んだ"機能"は残しておきます。…………では少しずつ接続を切ります』

  • 103氷室エル24/06/26(ć°´) 22:46:20

    <???>


    綺麗な虹色が広がっていた。どこまでも無限に続くそれはそれは綺麗な虹色

    そんな虹色がどこまでも続く世界に………2つの黒い光が落ちていった



    1つは虹色を塗りつぶす、どす黒い黒色。虹色の輝きを遮らんとする影の様な漆黒がささやき続ける

    「大切なものを作るな」「なにも必要ない」「余計な物は全てなくなってしまう」「奪われ続ける」「理解されてはいけない」「全ては自分の心の中にある」「虹色の中の黒を見つめろ」


    「さもないと全てを失う」



    1つは虹色がくすんだような黒色。目を凝らしてみないと分からない程に淡く、隠れた黒色は深く落ち続ける

    深く、深く、もっと深く。虹色から……ささやきから逃げるように深く…………



    二度と戻れないくらい深く……深く………どんどん深く落ちて

    虹色の光すら届かない程に堕ちた先で



    "迎えにきたよ。エル"



    黒い光は優しく受け止められた

  • 104氷室エル24/06/26(ć°´) 22:57:28

    夢があった。埋蔵金の地図の話じゃない。"わたし"には夢があった
    夢というよりかは願いに近い願望で、願いというには荒唐無稽だった


    大切なものを奪われたくない。それがわたしの夢


    パパとママを奪われたくない。氷山で出会ったワタシを奪われたくない

    先生を奪われたくない。友達を奪われたくない。友達じゃなくても奪われたくない

    地図を奪われたくない。過去を奪われたくない。未来を奪われたくない。全てを奪われたくない


    ミナイデ ミナイデ ミナイデ ミナイデ ミナイデ ミナイデ ミナイデ ミナイデ
    だけど違うの、わたしの夢はもっとワガママで、迷惑をかけて、叶ってはいけない願い
    ミナイデ ミナイデ ミナイデ ミナイデ ミナイデ ミナイデ ミナイデ ミナイデ


    パパとママとずっと一緒にいたい。氷山で出会ったワタシとずっと一緒にいたい

    先生とずっと一緒にいたい。友達とずっと一緒にいたい。友達じゃなくてもずっと一緒にいたい

    一緒に地図を描きたい。一緒に思い出を話したい。これからも一緒に過ごしたい。全部みんなと一緒に歩みたい


    大切なものとずっと一緒にいたい。それが"わたし"の本当の夢。
    わたしを象るたった1つの本質………それをわたしは絶対に叶わない願いとして"夢"と呼ぶから

    ワタシが見せてくれる夢は綺麗なものじゃないといけないから。だからせめて、この夢だけでも奪われませんように

  • 105氷室エル24/06/26(ć°´) 23:18:03

    "それがエルの本当の夢なんだね"

    虹色の世界の奥底に、そこに氷室エルはいた
    くすんだ光を守るように虹色の氷室エルは立ちはだかっていた


    「………まさかこんな所まで来るとは思いませんでしたよ」

    "エルが残してくれた虹色のエルに頼まれたんだ。『私とわたしを絶対に助けてください』って"

    「!! その為にわざわざ先回りまでして……」

    "吹雪の対策はエルも知ってる通り、虹色のエルに手伝ってもらった"
    "氷原地区までの移動はアヤネのヘリコプターと……給食車を使った。後は休憩なしで移動したら何とか間に合ったって所かな"

    「………あの場で先生に脳の共有の話をしたのは間違いでしたね」

    "…………"

    「なんで来たんですか? 一言でも私が頼みましたか? 助けてくださいって言いましたか?」

    "…………"

    「迷惑です!みんなみーんな迷惑なんです!! なんで私の嫌がる事をするんですか!?」

    「今さら何ができるって言うんですか!?」

  • 106氷室エル24/06/26(ć°´) 23:35:50

    "その答えは……ここにある"

    「……右手?」

    "エル。今度こそ私の手をとってほしい"

    「それは………嫌です。私は見たくありません」

    "大丈夫。恐くないよ"

    「無理です。見せたくないです」

    "私達の心配なんてしなくていいんだよ"

    「……だめ。きっと心が耐えきれなくなっちゃう」

    "私達は絶対に負けない"

    「………いやだ。またひとりになるのはいや」

    "皆ずっと側にいるよ"

    「………それでも、だめなの」

    気づけば虹色に輝いていた氷室エルの姿は黒くくすんでいた
    受け止めた黒い光が移っていくように、隠れていた本心が漏れ出すように

  • 107氷室エル24/06/26(ć°´) 23:43:07

    髪は手入れを怠ったかの様なツヤのない黒髪に、頭上にはなんの変哲もない黒い四角形のヘイローが、アレだけ力強かった手足は赤ん坊の上手く動かせていない
    そして小さな身長に似合わない程に大人びていた表情は、まだ小等部に入っていないと言われてもおかしくない程に幼く……怯えて見えた

    「わたしがわるいこで、きたなくて、うそつきだから……わたしのきもちがおさえきれないから、すてられたの」

    「わたしワガママだからぜんぶなくなるの。それならなにもいらない。"ワた私"だけいればいい」

    「こわい………こわい………このままじゃわたしが先生からうばっちゃう………わたしはワガママをいっていい子じゃないのに」

    「わたしには……その手をとるのが……こわい」


    "……手を取り合う方法はね、2つあるんだよ"
    "1つは自分から手を伸ばす。もう1つは……自分の手を取ってもらう"

    "ワガママでもいい。悪い子でもいい。その手をエルは……どうしたい?"

    「………」

    "大人のせいで子供の願いが叶わないなんて事はあってはならない"
    "好きなだけ、私にワガママを言って"

  • 108氷室エル24/06/26(ć°´) 23:52:41

    今でもささやきは聞こえ続ける

    『その手をとってはいけない』『大人はいつだって大事な物を奪ってきた』『自分1人だけで解決するべきだ』


    『その身を守る神秘の力は自分で自分を守る為だ。そんな事をしては神性が汚れる』

    『その身に宿す恐怖の力は自分以外を退ける為だ。そんな事をしては恐怖が薄れる』


    『夢を、本質を違えるな。貴方の夢は自分の中にだけ……!!



    「黙れ」


    『……!? 何故私の声が聞こえて……!!』


    「………エルの事を少しでも理解してあげているなら分かるはずだよ」

    「エルの心の中から去れ、ゲマトリア。これ以上彼女の心を苦しめるな」


    『…………』

    未練

    dice1d100=73 (73)

  • 109氷室エル24/06/27(木) 00:14:42

    漆黒の光が舞い降りてくる。姿かたちは人ではないが、間違いない
    エルの脅迫観念とも呼べる恐怖の正体は、ゲマトリアが何らかの方法を使ってエルの心に恐怖という形で入り込んだせいであった

    虹色を塗りつぶしながら、漆黒の光が薄暗くなった少女に纏わりつく
    ……そうやって今までも、氷室エルの心を少しずつ内向的に、自己中心的に黒く染めていったのだろう


    『いくら先生の願いでも引き下がれません。これほどの検体は今後キヴォトスで見つかるか分かりませんからね』
    『それに私は先生が想像しているゴルコンダ本人ではありません。この"自分の心に影を落とす装置"を作ったのは紛れもなく氷室エル自身で、その影が私の姿になっているだけなのです』

    「…そんなものエルは望まない」

    『果たして本当にそうでしょうか? 彼女の闇はすでに解釈済みです。問答であればいくらでも付き合いますよ』

    「それこそ付き合う必要はない。私はエルと話に来ただけだから」

    『フフフ……ではどうぞ。もっとも氷室エルにはもう何も聞こえないでしょうがね』

  • 110氷室エル24/06/27(木) 00:29:00

    漆黒の光が粘液の様にエルに絡みつく。うずくまるように丸くなった小さな1つの黒い塊は、幾度も見た虹色の塊のエルの様だった

    『素晴らしい! 後は自らを神秘で再生させ、記憶を与えて最初の氷室エルに戻し続ければ崇高へ……!!』


    「………やっぱりお前は何も分かってないよ」

    『はい?』

    「今のエルに必要なのは言葉じゃない。ましてや再生でも、記憶でもない」

    『では何だと言うのですか?』

    「手だよ。彼女の手を取ってあげられる手が必要なんだ」

    『………興味深い解釈ですが、それならば既に手遅れです』
    『氷室エルの心は既にヒトの姿を保っていない。もう"手"は残されていないんですよ』

    「だから何も分かってないって言ったんだ」

  • 111氷室エル24/06/27(木) 00:59:22

    むか~しむかし。といっても約10年ほど前

    レッドウィンターに1組の家族が住んでいました。父親と母親と子供が1人。子供の名前はエル
    エルの両親は測量士であるとともに、高名な地図職人でもありました

    エルは両親の庇護の下、大切に可愛がられて育てられました
    小さな頃から絵を描くのが大好きな子供で、家には地図と共にエルの絵が飾られています

    なんて幸せな空間なのでしょう


    しかし、そんな幸せは突如崩れ去ります

    ある時からエルの両親はキヴォトスの外を記録する事に夢を馳せていました
    最初の内は漠然とした夢であった"ソレ"は使命に、必需に、呪いに変わっていきました

    まだ幼いエルは1人でお留守番。家族の時間はどんどんなくなっていき、代わりに家を狙う者が現れました
    奴らが狙うものは金になる物。家にあるものはみるみる奪われていき、それはエルが大好きなパパとママが大切にしている地図も例外ではありませんでした

    まだ銃すら撃つことができないエルはその身一つで戦う事しかできません。大好きな空間を守る為に不意を突き、力と体力にものを言わせ、わずかな保存食で食いつなぐ

    氷室エル戦いのルーツはここから来たのかもしれませんね

  • 112氷室エル24/06/27(木) 01:05:59

    生活も家もエル自身もボロボロ……そんなある日、両親が久しぶりに帰ってきました

    大好きなパパとママの帰宅。エルはいたずらを用意していました
    それは大切な地図を自分の描いた地図と入れ替える事

    怒られてもいい。できれば上手く描いたと褒めてほしい。叶うのならばもう独りになりたくない

    だけどそんな家族のひと時を邪魔するかのようにお客さんが現れました
    お客さんは真っ黒なスーツに真っ黒な顔をした大人で……最近になって黒服と呼ばれている事を知りました

    黒服の指示でパパとママは家中の地図を集めます。エルの声なんて聞こえていません
    大きな声を出して泣いて、縋りつく我が子を無視しながら集めた地図を黒服に渡すパパとママ


    『あなたの親御さんは、キヴォトスの外を知る為に、私に魂を売ったんですよ』という黒服の言葉は、この日の記憶を曖昧にしてしまう程の強烈な一言でした



    黒服とパパとママが消えた後、残されたのはエルと本物の地図だけでした

    あの時の■■■の■■■■■■は

    ■■■■■■

    ■むい■わい

  • 113氷室エル24/06/27(木) 01:23:47

    きれいな虹色が見えなくなっちゃった
    せんせいの手をとらなかったから? だからわたしはまたひとりになるの?

    さむいよ こわいよ くらいよ さびしいよ

    『あな■■■■■■は、キヴォトスの外を知る為に、私に魂を売ったんですよ』■■■■■■言葉は、この日の記憶を曖昧にしてしまう■■■■■■言でした

    くるしい たすけて パパ ママ

    『あな■■■■■■■■■■■■の外を知る為に、■■■■■■ですよ』さむいつらい■■■■■■記憶を曖昧■■■■■■ひとりはいや■■■■

    ちずなんていらない わたしなんていらない なにもいらない しんでもいい

    『こ■■■■■■!』さびしい■■■■■■■、いたいくらい■■■■さむいつらいひとりはいや■■■■■ひとりはいやひとりはいやひとりはいや

    あぁ こころが わたしが くろく くろなって

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


    なにも わからない

  • 114氷室エル24/06/27(木) 01:33:11

    ……………

    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

    ……………?

    『そ■■■■■■■■■■■■■■■

    ………………なにか きこえる?

    『その■を■■■■!』■■■■

    あかるい あたたかい やさしい そんなこえ

    『その■を伸ばして!』■■

    あぁ わたしもほしい それがほしい

    『その手を伸ばして!』

    なにもかもがまっ黒な世界から聞こえるわたしを呼ぶ声に手を伸ばす
    少しでも その温もりをわけてほしくて

  • 115氷室エル24/06/27(木) 01:52:09

    『やっと手を伸ばしてくれたね。エル』

    伸ばした手が掴まれる。1人だけの手じゃない。2人3人4人と次々にエルの手を掴みながら暗闇の世界から引っ張り出そうとする

    『もうエルの事はみんな知ってるよ。だから好きなだけみんなに想いをぶつけてほしい』

    みんな? みんなって誰だろう わたしはずっと1人なのに……
    考える間もなくたくさんの手によって黒の世界から光の世界に引っ張り上げられる




    引っ張り上げられたのは赤い世界だった。燃える炎の様な赤い色で染まった世界

    「ご無事で何よりですわ氷………エルさん」

    あなたは……いえ、貴方達は……!


    「それでは出番も譲ってもらえた事ですし、最初の一口は我々が美味しくいただくとしましょうか!」

    美食研究会の皆さん……!

  • 116氷室エル24/06/27(木) 01:54:39

    今日はここまで
    精神年齢が8歳で止まってるエルはできるだけ漢字を使わない様にしていますが、ここからは氷室エルという姿を借りて話すような形になるので漢字も普通に使いますし、初見みたいな事にはならないです

    もう暗いパートは終わりのはず……多分

  • 117二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 06:43:38

    友情

  • 118二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 15:33:42

    後はもう幸せになるだけだね

  • 119二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 19:54:50

    やったね

  • 120二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 07:11:42

    保守

  • 121二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 12:44:04

    保守

  • 122二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 20:41:40

    美食が頼もしく見える

  • 123氷室エル24/06/29(土) 01:09:34

    四半期は決算の都合で忙殺されてます………本当に少しだけ更新


    …………

    「…………」

    話したい。でも話せない……何を話せばいいのかが分からない。この温かさが嬉しいのに声が出ない

    「予想通りですわね。では作戦通りに行きましょう。イズミさん!」

    「オッケー! 今ならなんでも食べれちゃうよー!」

    食べる……食べられる……その言葉に痛みの記憶が戻ってくる
    そうだ。目の前にいるのはあの日見た捕食者の姿だ

    「はーい☆じっとしててくださいね~」 

    「早くしないと逃げられちゃうでしょ!」

    気づけばわたしの逃げ道は塞がれていて、近づいてくる恐怖に逃げれなくて
    恐怖が……また少しずつ大きくなってきて………

    「……! 今ですイズミさん!」

    「まっかせて!」

    獲物を見つけたかの様に全速力で向かってくる口に逃げる事はできず、反射的に目を閉じる

    「エルの為にも……いっただきまーす!」

  • 124氷室エル24/06/29(土) 01:23:10

    ガブリ。大きく口を開いて噛みしめる音が聞こえた
    ………だけど痛みどころか体に触れられた感触すらなかった

    おそるおそる目を開けてみる。目の前には何かを食べてるイズミさん


    イズミさんの口元からは黒い光が漏れ出していた


    「………うげぇ。これあんまり美味しくないね」

    「それはエルさんの怖い・苦しいといった嫌な気持ちの塊ですからね」
    「ですが今、彼女の力になれるのはイズミさん。あなただけです」

    「任せてよ! 食べる事なら得意だからね!」

    食べ…………え?
    もしかしてわたしの周りにあった黒い光を……食べてる?

    「おや? 声が出せる程には回復しましたか? イズミさん、もう一息ですよ」

    「エルの為ならおかわりまだまだイケちゃうよ!」

    え……いや………あの………食べれるものなんですか……?

    「虹色の姿をしたエルさんにお聞きしました。ここは思念の世界である。ある程度の物理法則は無視できる空間だと」
    「その話を聞いた時に、イズミさんがエルさんの髪を食べた事がある話を思い出しまして、もしかしたらと試す事にしました」

    「恐怖という概念も我々なら食らってしまえるのではないかと」

  • 125氷室エル24/06/29(土) 01:37:08

    「内から湧き出てくる感情全てを食らう事は難しいでしょう。ですが、外的要因によって植え付けられたモノならば……」

    「私が全部食べちゃえるってわけだね!」

    な……なんでそこまで……わたしは皆さんにそこまでしてもらう程の事なんて………

    「あら? もうお忘れですか? 私達には"次"が必要だと確かに伝えましたよ」

    そ…れは………

    「……良い機会です。先日作ってもらった地図を見てご飯が何杯進んだか。のお話しでもしましょう」

    「結果は1杯だけでした。私だけではなく、イズミさんも、アカリさんも、ジュンコさんもそれぞれ茶碗1杯分だけしかお米が進みませんでした」
    「食事の調整もし、お米もフウカさんに沢山用意していただきましたが……全員1杯だけで満足してしまいました。何故だか分かりますか?」

    …………地図のせいですか?

    「はい、その通りです。ですが悪い意味にとらえないでくださいね?」
    「あの時私達は……みんな同じ事を思い出したのです」

  • 126氷室エル24/06/29(土) 01:58:30

    ~~~~~~~~

    「地図の準備完了!」 「今日の為に朝は控えめにしてきましたよ~」 「フウカからご飯貰ってきた!早く食べよ!」 

    「皆さん準備はできましたわね?それでは……」

    「「「「 いただきます! 」」」」」


    「……! いつもよりちょっと美味しいかも!」

    「うん! これ見てるとエルと一緒にご飯食べてるみたいな気がする!」

    「………この香り。一部は火山灰を使って描いているようです。手が込んでますね☆」

    「目的地が分かっているから……というのもありますが、確かにこの地図を見ていると、あの日の思い出が蘇るようです」
    「…………それだけにこの空間に足りないものを強く感じてしまう。惜しいですね」



    「全員これで1杯分は食べましたが……どうですか? おかわりしますか?」

    「う~ん……まだまだ食べられるんだけど……」

    「何か足りない気がする。なんだろう? オカズがないこと?」

    「あの日と違うのは食べている物以外だと………人の違いがありますよね」

    「そうです。確かにあの地図は我々にあの日の思い出を懐かしませるだけの力があり、ご飯の3杯くらいなら進ませてくれるやもしれません」
    「ですが、それは私達があの地図越しに彼女の姿を思い浮かべているからとも言えるでしょう」

  • 127氷室エル24/06/29(土) 02:14:18

    「あー……それはなんとなく分かる気がする」

    「あの時美味しかった記憶はみんなで食べたから美味しかったんだよね!」

    「フウカさんとエルさんが手を加えて完成させたあの味の記憶が蘇るからこそ、物足りなさを感じてしまう……という事ですね?」


    「はい…………という事で皆さん。この食事の続きはエルさんを捕まえてから取ろうと思ったのですが、どうでしょうか?」

    「賛成賛成!!」

    「それはいいけど場所分かるの? エルって色んな場所周ってるんでしょ?」

    「それについては心配に及びません。氷室エルさんの情報交換という名目で入ったモモトークのグループにて、本日はアビドスの方面へと向かうと記載されています」

    「アビドス? ここからだと結構遠いね」

    「はい。ですから我々には協力者が必要です」



    「協力していただけますよね?フウカさん?」

    「……は?」

    「給食車の鍵持ってきましたよ~☆」

    「ちょっと!? 勝手に話進めないでくれる!?」

  • 128氷室エル24/06/29(土) 02:26:47

    ~~~~~~~~~


    「………という事がありまして、あの場所で合流できたというわけですわ」


    ……フウカさん大丈夫なんですか? 今も姿が見えないですけど……車だけ借りたって事はなさそうですし


    「えぇ。今も給食車で我々の帰りを今か今かと待ちわびてますよ」


    もしかしてここまで乗り込んできてないですよね!? 氷原地区に野ざらしとかワタシありでもダメですからね!?


    「それはもちろん。フウカさんもまた大切な存在ですから………フフッ。少しは調子が戻ってきましたか?」


    …………おかげさまで


    「でしたら調子が戻ったついでに今、思っている事を余す事なく言ってくれていいんですよ?」


    そ、それは………dice1d3=3 (3)

    1.……言えない……

    2.……恥ずかしいです

    3.……笑いませんか?

  • 129二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 02:34:37

    このレスは削除されています

  • 130氷室エル24/06/29(土) 02:36:58

    「えぇ。笑いませんとも」
    「イズミさん、黒い部分探しは中断です。エルさんのお話を聞きますよ」

    !? いやいや!?そんなしっかり聞いてもらうような事じゃないですよ!?

    「いえ、せっかくエルさんの本心を聞けるというのに、片手間で聞くのは勿体ないじゃないですか」
    「やっとエルの話聞けるの? 早く聞きたい!」

    えっと……あの……その……

    「後ろに逃げ道はないですよ~☆」
    「ほら!観念して言っちゃいなさいって!」

    ………たい ポソッ

    「………恥ずかしがらずに、私たちはエルさんの望みを知りたいです」


    ………いっしょにごはんがたべたい

  • 131氷室エル24/06/29(土) 02:56:55

    「「「「 !! 」」」」

    みんなであつまってごはんを食べたとき、あんなにおいしいもの食べたことなかったから
    それだけじゃなくて……今まで、たくさんの人とごはんを食べるの避けてたから………おいしいごはんをみんなとたべたい

    「えぇこちらこそ喜んで。むしろ歓迎したいくらいですよ」
    「エルさんはそんな事で我々が笑うと何故思ったのですか?」

    それは………これだけじゃないから

    「まだあるの? おしえておしえて~!」

    えっと……なにかおいしいごはんを食べたくなったら会いに行きたい。さびしいから

    だからごはん以外でも会いにいきたい。なかよくなりたい

    なかよくしてほしい。友達になりたい……!

    あとそれから……!それから………!!


    「少し落ち着いてくださいエルさん。大丈夫、叶えたい事を順番に叶えていきましょう」
    「ですがエルさん。その願いのほとんどは既に叶っています」

    え? どれが……

    「私たちは既に友達ではありませんか」

  • 132氷室エル24/06/29(土) 03:01:36

    本日はここまで 最終回までに次スレまたぐ気しかしないです………土日返上しないといけないので……

  • 133二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 13:01:19

    お疲れ様です!

  • 134二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 21:20:50

    投稿乙!

  • 135二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 07:38:03

    やっと言えた

  • 136二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 12:29:12

    保守

  • 137二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 20:02:02

    やっぱり友情よ

  • 138氷室エル24/07/01(月) 00:53:06

    四半期の詰め込まされた業務を終え、帰ってきました
    今日までは流石に疲れたので仕事少なめな予定の明日再開で………

  • 139二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 06:31:30

    乙です

  • 140二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 12:25:17

    楽しみにしております

  • 141二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 20:44:57

    保守

  • 142氷室エル24/07/01(月) 22:27:35

    今日は早く戻ってこれたと思ったけど最近が遅すぎて麻痺してただけでした 再開します



    でも私はその誘いを………

    「そうですね。お返事はまだいただいておりませんでした。返事を聞く事がようやくできたわけですね」
    「そして、今この時をもってエルさんの心の内を知る事ができました。私達も嬉しいです」

    ハルナさん……!

    「さて、そうなると次はやは……となりま……が……あら?」

    !! 姿が消えかけて……!?

    「……なるほど。先生の助力を借りてもここまで………ことですか」

    先生?………そうだ。先生が呼び出してた子達みたいに………消えて……
    なら皆も消えてしまう……

    「 (残り時間は長くはないようですね……ならば今伝えるべき事は……!) 」

    …………きえるんですか? またワた私をおいてみんなが………!!
    みんないなくなっちゃうの………?

    「エルさん、落ち着いて。そして私達の話を聞いてください」

    で、でも皆さん少しずつ……!

    「私達は今からここから離れます。ですが、決して消える為ではない。と約束しましょう」

  • 143氷室エル24/07/01(月) 22:38:14

    「そうですね……まずはエルさんの願いから叶えてしまいましょう」

    わたしの願いなんて………友達がいなくならないこと以外なにも……!!

    「そう簡単に私達はいなくなったりしません。これは……そう。準備をしにいくだけです」

    準備?

    「食事の用意ですよ。先ほど言っていたじゃないですか、一緒に食事をとりたいと」
    「エルさんたっての願いです。我々も準備に向かわなくては」

    ならわたしも……!

    「エルさんはまだダメです。ここにはまだまだエルさんの為に集まってくれた仲間……いえ、エルさんの友達がいるのですから」

    私の友達……

    「エルさんを独り占めするのは悪いですからね。我々は少し早く退場するだけです」
    「だから、エルさんは次へ進んでください」

  • 144氷室エル24/07/01(月) 22:51:28

    さっきまでは黒だけの世界に閉じこもり、手を引かれてこの真っ赤な世界に辿り着いた

    進むべき道なんて分からない。わたしには消えていく友達の姿しか映らない


    「どこに行けばいいのか分からなくとも今、誰に会いたいか。それくらいは分かるのではありませんか?」


    ………誰に会いたいか


    「エルさんの想いは必ず伝わります。だってここはエルさんの心の中ですからね」

    「心に強く望むのです。その姿を」


    ………………やってみます


    「…………」


    ……………


    ………


    …


    不安は今でも消えない。だからわたしの心の中はいつだって黒くなって……

    それでも……私の友達が大丈夫って言ってくれたから………考える


    私のどうしようもなく不安な心を救ってくれそうな人を


    dice1d4=3 (3)

    1.青

    2.ç´Ť

    3.橙

    4.黄

  • 145氷室エル24/07/01(月) 23:07:48

    「……! (空間の色が変わっていく……!)」

    ……………

    「……エルさん。そのまま目を閉じたまま聞いてください」
    「エルさんと会えた事を喜ばしく思っていますよ。そしてそれは私だけでなく、美食研究会の全員が」

    ……………!!

    「私はエルと再会できた時からずっとそう思ってるよ!!」

    イズミさん……!

    「美味しい物を食べる友達は多いに越したことはありませんからね」

    アカリさん……!

    「なんか食べたいものがあるならいつでも誘っていいわよ! 遠慮せずに連絡してよね!」

    ジュンコさん……!
    わたし………うれしいです……!

    「その感情を忘れないでください。そして嬉しい事があったら伝えてください」
    「仲間とは喜びを分かち合う為にいるのですから………」

    わかりました!! ありがとうございますハルナさ………ん………


    思わず開いてしまった目に映る世界は、夕焼けの様な橙色だけの空間になってしまっていた

  • 146氷室エル24/07/01(月) 23:23:44

    ………寂しくはない。ハルナさん達は約束を守ってくれる。そう信じているから
    そう、1人になってもさびしくなんて………


    「誰が1人になったというのですか?」

    聞きなじみのある声がどこからか聞こえる。それは先ほど私が望んだ声だった
    でも姿がどこにも見当たらない

    「気持ちは分からなくもないですが、貴方はいつまでも過去に囚われすぎているのです」
    「美食研究会は先に脱出しました。それなのにいつまでも不安で心残りがあるとなれば、貴方が心配で危険を顧みず戻ってきてしまうかもしれませんよ?」

    危険……?

    「えぇそうです。忘れろとは言いませんが彼女達はエルさん。貴方に何を望んでいましたか?」

    ………次に進む事


    どこからか聞こえる言葉に誘導される様に心が整理されていく
    少しずつ周囲の橙色の赤みが薄くなっていき、世界はどんどん黄色く、黄色く変わっていって………その奥に2つの人影が見えた

    「おーい!………あ、やっと目が合った」
    「ようやく私達の姿が見えたようですね。」

    アコさんとイオリさん。寂しさが生んだ幻でもない。黄色の世界の中に、紛れもなく本物の二人がそこにいた

    「お久しぶりですエルさん。その顔を見るのは私達の出会いの時以来ですね」

  • 147氷室エル24/07/01(月) 23:38:51

    「分かりますかイオリ? ちょっとした不安で泣き崩れそうで、消えてしまいそうで……いつもの力強さの欠片もないでしょう?」

    「確かにちょっと子供っぽく見えるし……可愛くなった?」

    そ、そんな目で見ないでください!

    「当時のエルさんはこんなにも可愛らしくて守ってあげたい見た目でしたのに………」
    「いつの間にやら弱みを見せなくなり、どこで覚えたのかビジネスライクなんて言葉を使い始めて、あまつさえこんな事件を起こすほどに自分の感情を抑え込んでいたなんて……」

    ………もしかしてアコさん怒ってます?

    「当たり前です!だから何かあったら私達に話せと散々……」

    ご、ごめんなさい………

    「まぁまぁ、その辺にしておこうよアコちゃん。エルも反省してるみたいだしさ」

    「いいえ、今日の私は心を鬼にしますよ」
    「友達が間違った事をした時に怒ってあげられるのもまた、友達の役目ですから」

    ……そこまでアコさんに怒られる事をしたのに、まだ友達って言ってくれるんですね

    「当たり前です。少なくとも目の前にいるエルさんとは友達のつもりですからね」

  • 148氷室エル24/07/01(月) 23:52:08

    「そういう所ですよエルさん。聞かなくてもいいような事を何度も聞いてしまう。私は何度"そうですよ"って肯定しないといけないのですか?」
    「我々は互いの思っている事なんてなんとなく分かるでしょう?」

    それでも私が思っている事が間違ってたらと思うと不安で……

    「だからといって1から10までヒントを確認する必要はありません! 過去の問題の傾向から勉強して、間違ってたらその時に聞いたり、考えたりしていくものです」
    「過去の問題を解いてる前提で作られた問いなんて出してるエルさんは地図に1~10までヒントを載せていましたか?」

    う゛っ……そ、それは………


    「今日はいつもよりアコちゃん当たり強い? エルが大変だった事知ってるんでしょ? もっと優しく心配してあげればいいのに」
    「ほら、さっきの美食研究会みたいにエルが思っている事聞いてあげればいいじゃん」

    わ、わたしが………二人に言いたいことは……


    「あぁ、私はその話をゆっくり聞く気はありません」

    ふた……え?

  • 149氷室エル24/07/02(灍) 00:04:16

    「心の中だから思っていた事が言える? じゃあエルさんに何かあるたびにここまでくる必要があるのですか?」
    「違うでしょう。私達は普段からエルさんに胸の内を伝えてほしいのです。特に……こんなになるまで不安に思う事があるなら」

    アコさん……

    「だからもしも私達に言いたい事があったり、私達に望む事があるならば、この世界から戻って言いなさい。そうしたらいくらでも聞いてあげます」
    「それまでは一切聞きません。イオリもですよ? もし聞いたら委員長に特別特訓メニューを組んでもらいますからね」

    「横暴じゃない!?」

    「横暴ではありません。エルさんも分かりましたか?」

    は、はい………

    「よろしい。それでは私達は帰る事にします。行きますよイオリ」

  • 150氷室エル24/07/02(灍) 00:18:43

    私に背を向けてどこかへ行こうとするアコさん。それを目で追ってから少し迷った顔をするイオリさん
    イオリさんはしばらく悩んでからこちらの方にかけよってきた


    「………アコちゃん。あんなこと言ってたけど、多分ここまで来た誰よりも心配してたよ」

    そうなんですか?

    「うん。エルの行動もほぼほぼ予測してたし、そもそも今日だって委員長に頼みこんで無理言ってまで来たからね」

    え!? アコさんがヒナさんに!?

    「そこが一番驚くところなんだ………」
    「と、とにかく、アコちゃんは確かに怒ってたけど………それと同時に寂しかったんだと思う」

    寂しい……

    「一応言っておくと私もアコちゃん程じゃないけど寂しいと思ってるよ? 話してくれるって約束したのになー…くらいだけど」
    「だけどアコちゃんは私以上に色々思ってたんじゃない? エルほどじゃないけどアコちゃんもエルに対して抱えてたから……」


    「イオリ! いつまで別れの挨拶をしているつもりですか! 話したい事があれば後でいくらでも話せばいいでしょう!」


    「ちょっと待って!………あんな事言ってるけど、アコちゃんも大概エルが帰った後に伝えきれなかった事を愚痴ってるからお互い様なんだよね」

    アコさんが…………

  • 151氷室エル24/07/02(灍) 00:27:18

    アコさん!!



    たしかに言いたい事は明日や明後日にでも言えるかもしれない。それでも……やっぱりこのまま何も伝えられないのはいやだ

    きづけばアコさんの事を大声で呼び留めていた


    「……………なんでしょうか」


    きっと多くの言葉は求められていない

    それでもわたしが辛い時に側に来てくれた。私の為にきてくれた


    不安を食べてもらったからかもしれないけど………昔からわたしを知るアコさんには最初から言える気がした



    アコさん、それとイオリさん!dice1d3=3 (3)

    1.この後の食事は一緒に食べましょう!

    2.怒ってくれてありがとう!

    3.わたしが間違っていたら叱ってください!

  • 152氷室エル24/07/02(灍) 01:03:00

    「叱ってほしい?」


    独りになってからずっと、されてこなかった事がある

    それは叱られる事。間違いを間違いだと言ってくれる事。私の心を分かった上で、それでも私の為に叱ってくれる人がいなかった


    また私が何か間違った事をした私をアコさんと、私を射抜く事ができたイオリさんの2人に叱って止めてほしいんです



    「……………なら次は私以外の貴方を想ってくれている人の事を考える事ですね」

    「エルさんの心を彩るのは赤や黄、ましてや黒だけなんて事はないでしょう?」


    わたしの心を彩る色……


    「思いつかないなら目を閉じて考える事です。ヒントはこれ以上でませんよ」


    じゅうぶんです。ありがとうございますアコさん


    「………イオリ。エルさんの邪魔をしないように帰りますよ」


    「そうだね。それじゃ私も行くよ。頑張って」


    イオリさんもありがとうございました



    dice1d2=1 (1)

    1.青

    2.緑

  • 153氷室エル24/07/02(灍) 01:18:14

    目を閉じて、また心を落ち着け私の心の中にある謎の答えを探していく
    ヒントは今までの世界と……心の内にあると教えられたから



    「大丈夫そうですね。それでは早く脱出しますよ」

    「それはいいけど、エルにもっと色々言わなくていいの? アコちゃんだって本音で色々話す機会なかったんじゃないの?」

    「………イオリは一度、この虹色の世界を見た事があるから大丈夫なのかもしれませんが私は……」

    「へ?………えっ!? アコちゃん!体が……!」

    「静かに。エルさんに聞かれればいらない心配をかけてしまいます」
    「正面側だけで助かりました。おかげで気づかれずに脱出できそうです」

    「…………アコちゃんも結構エルに黙って無茶するよね」

    「そうかもしれませんね。だからこそ今後はエルさんにも私の弱い部分を打ち明けられるようになればよいのですが……そこはこれからのエルさんに期待しましょう」

    「……そうだね。私もそう思う」
    「よし、私とアコちゃんは話終わったから戻していいよ。…………エル」

  • 154氷室エル24/07/02(灍) 02:15:27

    考える。私の事を想ってくれている人を……今の私が探してる色を……
    足りない色はすぐに思いついた。心に広がるその色を感じながら目を開くとアコさん達の姿はなくなり

    目の前には青色が広がっていた


    赤も橙も黄も混じらない清々しい程にどこまでも続く、快晴の空の様な青色
    この青色がわたしも欲しかった。ワタシの虹色の様に綺麗で、私の覚悟よりも強い………わたしにはないみんなが持つ色


    「ちゃんとエルさんの中にもあるよ。本当にエルさんが持っていないのなら、きっと心に出てこない色だから」

    声が聞こえる方に顔を向ける
    ナツさん、カズサさん、ヨシミさん、アイリさん…………放課後スイーツ部の皆さんが私を待っていた

    「………エルさんの言いたい事、なんとなく分かるよ。ずっと暗い所で1人でいたから反対の色……青春の色を持っていないって思ってるんだよね?」

    ………………はい

    「だけどさっきも言ったけどそんな事はないよ。それは私達が保証する」

    どうやってわたしの心の事を証明するんですか?

    「今広がっている青春の色。それはエルさんが心の内で求めた色であるなら……夢の色」
    「パフェの時に言ったよね。エルさんの夢にはもう私達は関わってるって。私達との出会いを今でも良かったと思ってくれているから……こうして私達も出てこられたの」

    「大丈夫。私達がいる限り、エルさんの青春は………夢は終わらせないよ」

  • 155氷室エル24/07/02(灍) 02:16:15

    今日はここまで
    やっぱり後1.2回で終わる気がしないですね……主に更新開始時間のせいなんですけど

  • 156二次元好きの匿名さん24/07/02(灍) 07:16:51

    乙です

  • 157二次元好きの匿名さん24/07/02(灍) 12:41:25

    投稿乙!

  • 158二次元好きの匿名さん24/07/02(灍) 21:17:43

    頼もしい

  • 159氷室エル24/07/03(ć°´) 00:02:56

    わたしの夢は、みなさんとずっと一緒に……そばにいてほしいだけで………


    「虹色のエルさんに教えてもらったから、その願いがどれだけ大切なのかはよ~く分かるよ」

    「でもね、せっかく自分だけの夢を叶えるんだから、それだけ終わらせるのはもったいないかな」


    もったいない?


    「せっかくみんなで一緒にいるなら、集まって何かをしたくならない? 好きな物を食べて、好きな事で遊んで、好きなだけ語って……エルさんにもそういうものってあるでしょ?」


    それは…………


    「自分だけの夢なんだから何を夢にしたっていいんだよ。どんなに自己中心的でも、叶えるのが難しくても、それが自分の願いなら嘘だけはついちゃダメ」


    dice1d3=3 (3)

    1.やり直し

    2.発見

    3.共有

  • 160氷室エル24/07/03(ć°´) 00:33:13

    それならわたしは………わたしの好きを共有したい。分かち合いたい
    みんなに知ってほしい。わたしが良かったと思うものをずっと……いっしょに……!!

    「うん。だからエルさんは私達にあの空を見せてくれたんだよね」
    「私達も見たいよ。エルさんがこれから前に進んでいく先で知った世界で、思った事や感じた事を教えてほしい」

    ナツさん……

    「……ふぅ。前に夢に辿り着いたって言った時は心配したけど、エルさんの夢が途切れてなくて安心したぁ」

    ……でもこんな事はずっと前から思ってた。あの日、ワタシと出会う前から……奪われるのが怖くて、だから言えなくて……
    だけどわたしの夢は確かに叶ったし、変わってしまった…………私の夢は……私の変わってしまった夢はどこにあるの?

    「………きっと最初から間違えてたんだよ」

    最初から?

    「エルさんの最初の夢との出会いがあまりに衝撃的すぎたから、壊れかけた心を繋ぎ合わせて……これからも生きていく理由を作る為に、曲がった世界で願いを決めてしまったんだと思う」
    「それをずっと心の支えにしていたから、夢がなくなると心が壊れちゃうから、夢への執着が大きいんだと思う」

    「だから最初に思った願いこそが捻じ曲がっていて、ようやく本当の自分と向き合えた。今はそれでいいんじゃないかな」

  • 161氷室エル24/07/03(ć°´) 00:52:26

    今の私が……本当のわたし?


    「うん。だからこそ一緒に………「いつまで一人で喋ってるのよ!」……だいじょーぶ。ここから作戦通りに進めるから」


    作戦? 一体何を……


    「という事で第一回!チキチキやりたい事プレゼン大会を始めるよ~!」


    へ? プレゼン大会?


    「夢というのはね、悪い大人なんかに邪魔されず、自由でなんというか……自分がやりたい事じゃないとダメなんだよね」


    「ほら、エルと私達が出会う時って、私達が何をするか多いじゃない? だから次はエルが私達と何をしたいか決めてもらおうと思って」


    「一応言っておくと、さっきまでナツが色々言ってた夢とか気にしなくていいよ。次遊びに行く時の予定決めだし」

    「それに全員でやるのも当然決定事項だから。一緒にいたらそれでいいってのは無しね」


    えぇ!? えっと………急に言われても……その……


    「やっぱり急だったよね? ごめんねエルちゃん」


    「だけどそんなエルさんにグッドなニュースだよ。なんと私達がある程度考えてきたよ」

    「もちろん、エルさんがやりたい事があるなら、望み通りの事に付き合うよ」


    自主性(0に近い程、放課後スイーツ部を参考にする。100に近い程、自分のやりたい事を通す)

    dice1d100=72 (72)

  • 162氷室エル24/07/03(ć°´) 01:11:47

    「その顔……もしかしてやりたい事がある?」


    もしも皆さんが提案してくれる事の中にあれば是非……というものが


    「な~んだ。決まってるならそれにしましょ」


    え、いいんですか? せっかく考えてきてもらったのに……


    「別にいいわよ。エルが自分で決めた場所ならね」


    …………ある意味、私が自分で決めた場所ってわけじゃないんですけど


    「なにそれ?」


    ………皆さん覚えてますか?虹色のかき氷の事を(part10 >>15)


    「「「 ………あ 」」」


    「それは……!! エルさん!!」


    今度虹色のかき氷を皆で探しに行こうって話をしたじゃないですか?


    「…………今、私はモーレツに感動してるよ。やはりエルさんは私の魂を引き継げる同志………」


    「ちょ、ちょっと待って! まだ確定したわけじゃないわ! もしかしたら作りたいだけかもしれないでしょ!」


    dice1d3=3 (3)

    1.流石ヨシミさん。よく分かりましたね

    2.いえ、探しに行きたいなと思いまして

    3.いえ、本気で見つけたいなと思いまして

  • 163氷室エル24/07/03(ć°´) 01:33:06

    「本気で?」

    ナツさんが前に教えてくれた場所には無いだろうという話はしましたが………世界のどこかにはあるかもしれません
    なので事前に私が頑張って目星をつけてきますので、そこを皆で探すというのはどうでしょうか?


    「…………どうすんのナツ。あんたが持ってきてた記事がガセだったら次に集合する機会がないって言われてるのと一緒だけど」ヒソヒソ

    「まさかここまでストイックにスイーツに打ち込んでくれるなんて………やっぱり嬉しくはあるよね」ヒソヒソ

    「ナツ。あんた自分の目的の為にこのままエルを利用する気じゃないでしょうね?」ヒソヒソ

    「しないしない。ちゃんと誤解を解いてくるよ」ヒソヒソ



    あのー………もしかしてダメだったりします?

    「そんな事ないよ。なんならエルさんが覚えていてくれて嬉しいくらい」
    「ただ……私の持ってきた宝さがしはね、最悪見つからなくてもいいんだよ」

    見つからなくてもいい宝……?

  • 164氷室エル24/07/03(ć°´) 02:29:15

    「もちろん宝も大事。虹色のかき氷なんて見てみたいし、そんなものがこの世にあるなんて考えるだけでロマンを感じるよね」
    「だけど同じくらい虹色のかき氷を皆で追って冒険して、泣いたり笑ったりする青春の1ページとして残す事も大事だと思うんだ」

    青春……

    「だから探すなら1人じゃなくて、皆で一緒に探して、冒険して、虹色のお宝を見つけようよ」
    「好きな事だけじゃなくてもいい。なんでも一緒に経験しよう。だってそれこそが……」

    私の求めた夢………一緒に分かち合い共有すること………

    「うん。たとえ失敗して、空振りだったとしても、後からみんなで思い出せばきっと笑い話になってるから」
    「成功も失敗も、辛い事も悲しい事も、側で分かち合って最後に笑いあえる。友達はそんないるだけで楽しい存在だと私は考えてる」

    「だから……これからも辛い事があったら、皆で一緒にどこへでも出かけよう! まず手始めにかき氷探しだね!」

    ……はい!




    「………結局ナツが1人で纏めてるじゃん」

    「あはは……ナツちゃんずっと心配してたから、こうしてエルちゃんが変わってない事を知って嬉しいんじゃないかな」

    「しょうがないわね。今だけはナツに譲ってあげましょ」

  • 165氷室エル24/07/03(ć°´) 02:31:08

    寝落ち気味なので今日はここまで ナツとの会話はつい長くなっちゃいがち

  • 166二次元好きの匿名さん24/07/03(ć°´) 07:32:22

    やっぱり一緒にって大事よ

  • 167二次元好きの匿名さん24/07/03(ć°´) 12:37:00

    投稿乙!

  • 168二次元好きの匿名さん24/07/03(ć°´) 22:26:09

    色々回った甲斐があったな

  • 169二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 06:53:03

    保守

  • 170二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 12:43:17

    保守

  • 171二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 19:29:03

    友達が力になってくれるのいいね

  • 172二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 23:57:07

    保守

  • 173氷室エル24/07/05(金) 02:06:33

    先日は四半期の詰め込みで死にかけていましたが、今はその詰め込みで発生したミスの修正やらなんやらで死にかけています
    後1~3話で終わるんですよとか言ってた時から一気に忙しくなりすぎて更新できてないのに保守してくれてありがとうございます




    私、皆さんと出会えてよかったです
    ずっと1人で進んできたつもりだったけど、大事な時にはいつも誰かの言葉に助けられて………私の心も、皆さんが教えてくれた綺麗な青色のおかげで少しスッキリしました

    「じゃあ私達の役目もここまでだね。次の人に変わらないと」

    次? そういえば最初に見た先生の姿が見えないですね。先生にもお礼を言わないと

    「………先生は外で待ってるよ。私が言ってるのは先生じゃない」
    「先生に会う前に……どうしてもエルさんには会わないといけない人がいる」

    ………また私の事を考えてくれる人の事を考えると会える?
    いえ、流石に誰が来てくれてるかは分かるんですけどね………だけど……

    「会いづらい?」

    ………はい

  • 174氷室エル24/07/05(金) 02:29:07

    私は差し伸べられた手を何度も払ってきた。巻き込まないとか相手の為を考えてるみたいな言い方をしてきたけど、結局は自分勝手な理由で拒否し続けてきた


    その中でも最も手を払ってきたのがホシノさんだった


    「だったらなおさら会って互いに話さないとね」

    「それにホシノさんなら最初からエルさんをずっと見てるんじゃないかな」


    え!? 今も隠れてるんですか!?


    「う~ん、隠れてるんじゃなくて、見えてないだけかな?」


    私に見えてない? ということは今も見てるんですか!?


    「だって最初から私達も見ていた事だって気づいてなかったでしょ?」


    ………はい? いや、いくらなんでも……嘘ですよね皆さん?


    「……ごめん。ガッツリ見てた」

    「エルの体をみんなで引っ張り上げた時に気づいてたと思ってたけど……」

    「ごめんね。気づいてない事が分からなくて」


    え………ほんとに?


    dice1d4=1 (1)

    1.砂色

    2.楃

    3.虹……?

    4.透明

  • 175氷室エル24/07/05(金) 02:40:12

    じゃあなんで……


    「なんでエルさんの目には映らなかったのか?」

    「それはdice1d3=1 (1) だと思う」

    1.今見えている景色は心の断片にすぎないから

    2.心の深い所で見ているから

    3.意図的に私達を見ないようにしているから



    「エルさんが誰かを求めたり、足りない色を求めるとちゃんと出てくるように、ホシノさんに会いたいならきっと出会える」


    でもホシノさんを出してしまうとナツさん達が消えてしまうんじゃ……いや、みんなで一緒に見たいと思えば大丈夫なのかな?


    「それは厳しいかも。エルさんから合図が来たし、私達もそろそろ限界だろうから」


    合図?………いや、それよりもどの"私"が合図を……


    「私達は大丈夫だよ。だからエルさんは自分の心に決着をつけてきて」

  • 176氷室エル24/07/05(金) 03:03:10

    「誰だって自分の心の色は一色で表せられない。ましてや"虹色"だけで染まる事もないんだよ」
    「赤い気持ち、黄色い気持ち、青い気持ちがある。黒い気持ち、白い気持ち、虹色の気持ちだってある」

    「一片だけしか見えてないから気づけなかっただけで、私達は……ううん。私達以外もずっとエルさんの心の中にいる」
    「距離が離れていても心の中でつながってる。だから人は1人じゃない」

    ………

    「誰かから温もりがほしい。共に喜びを感じたいと思った時に現れた人達がいた」
    「不安から救ってほしい。間違った自分を怒ってほしいと感じた時に待ってくれてた人達がいた」
    「綺麗な世界へ連れて行ってほしい。青春を楽しく過ごしたいと願った時に教えてくれる人達がいた」

    「自分の心に正直になって。今、エルさんが今もっとも救ってほしいと望む心の色……願い……そして仲間を」

    わたしが………望むもの……



    分かち合ってほしい。今も心の中で燻る哀しみを………それから………!!

  • 177氷室エル24/07/05(金) 03:17:57

    気づけば世界の色は変わっていた。どんな色でも染み込んでしまいそうな渇いた色
    まるで砂の世界に捨てられたような寂しい世界に

    「やぁ。待ってたよエルさん」

    ホシノさんが現れた


    ~~~~~~~~~~~~

    『大丈夫デスか?』

    「へーきぃー……って言いたいけど限界近いかも……」

    『ゆっくりワタシから手を引き抜いてクダサイ。デキルだけ負荷をカケナイ様にガンバリます』

    「………それにしても、よく協力してくれたよね。エルさんとずっと一緒にいる虹色のエルさんは間違いなく敵になるって話は聞いてた」
    「エルさんの心を助けている間はホシノさんの後輩たちと先生が虹色のエルさんの相手をするって計画だったんだけど……」

    『ワタシは私が助カルなら何でもスル。ソレダケ』

    「大丈夫。エルさんは強いから。きっと答えを見つけてくるよ」

  • 178氷室エル24/07/05(金) 03:21:08

    今日はここまで 
    更新時間的に笛とかの方がいいのかもしれないけど、ここで更新したくなってしまうんですよね……

  • 179二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 07:01:54

    乙です

  • 180二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 12:46:31

    投稿乙!

  • 181二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 19:03:04

    良い調子だぞ

  • 182二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 00:03:46

    このレスは削除されています

  • 183二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 08:19:38

    保守

  • 184二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 12:50:48

    保守

  • 185二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 21:04:59

    保守

  • 186氷室エル24/07/06(土) 23:35:00

    ホシノさんを見たからか、それとも私があんな事を考えたからなのか……

    さっきまで大切な人達に会えて元気や希望を感じていたハズなのに、寂しさを感じてしまう


    「…………」


    言葉が上手くでない。ホシノさんも何も言ってくれない

    もしかして私の心が見せた蜃気楼なのかと思ってしまうほどに


    だとすると今までわたしを助けてくれた人も偽物だったのだろうか? いやそんな事はない

    私を引っ張り上げてくれたあの手の温もりは本物だったから


    そうだ、手だ。あれが偽物だったら私の想像じゃない確かな温もりがあるだろう

    だから私はホシノさんの側まで近づいて、その手を掴もうと手を伸ばして……


    dice1d4=2 (2)

    1.思いっきり殴られた

    2.手を弾かれた

    3.手をつないだ

    4.思いっきり抱きしめられた

  • 187氷室エル24/07/06(土) 23:48:53

    一瞬の事に戸惑う。そしてしばらくの後にそれが拒絶の意思だと理解した

    自業自得だ、当然だろうという私の気持ち。それでも哀しいというわたしの気持ちが入り混じる


    「ごめんね。まだ心の準備ができてなくて。手を繋ぐのはまだ待ってほしいんだ」


    いいんです。だって私はそれだけの事をしたから

    それでも、やり直せるなら私は……!


    「うへ。誤解しないでほしいんだけど、エルさんを嫌いになったとかじゃないの」

    「心の準備ができていないのは……おじさんの方だから」


    ホシノさんの心の準備?


    「……………うん。エルさんの事は色々教えてもらって、体験までしたから良く分かる」

    「そしてその苦しみや悲しみは……私もよく知ってたモノだった。だからエルさんがどんな気持ちだったのかはよく分かるつもり」


    ホシノさんにもいたんでしたよね。もう一度会いたい人


    「うん。だけど言葉でだけならどうとでも言えるよね。だから私もエルさんの哀しみを少しでも分け合える様に……知ってほしいと思ったんだ」


    ………話したくない事なら言わないでいいですよ。そんな事しなくても私はホシノさんの言葉を信じます


    「違うんだ。これはね、自分自身の為でもあるんだ。だから………知ってほしい」



    そう言って手を自分から差し伸べてくるホシノさん

    私はその手を弾く事はできませんでした


    dice1d100=7 (7) %

  • 188氷室エル24/07/06(土) 23:57:51

    (書きぬけた……ホシノの記憶の伝達率です)


    手を繋ぐと、わずかに心の中を読み解くことができた

    アビドスの校舎が見える。だけど、微妙に違っていて……


    そこで映像は途切れてしまった。見るとホシノさんが手を放してしまっていた


    「……うへぇ~。エルさんが簡単にやってたからおじさんもできると思ったんだけど、案外難しいんだね」


    それは私がやってるんじゃなくてワタシがやってくれてるだけで……だから止めましょう

    ホシノさんの話なら今度ゆっくり話しましょう? 二人きりの時間なら取りますから


    「ううん。今じゃないとダメ。タイミングは今しかないんだよ」


    なんで……


    「だって今だけでしょ?エルさんの普段隠してる気持ちとお話できるのは」


    !……そ、それは………


    「だから今だけ……ちょっと頑張らせて?」


    伝搬率

    dice1d100=12 (12)

    10以下で強制終了

  • 189氷室エル24/07/07(日) 00:11:03

    (12+7=19%)



    アビドスの校舎に向かう人影。桃色の髪にこの背丈……多分昔のホシノさん

    だけど髪の■が……■■……


    ノイズが混じる。景色が正しく映らない。天と地が入れ替わり、世界の半分が崩壊している

    私はよく知っている。個人がこんな事できるわけがない。ワタシと常に一緒にいる私ですら他人にできないのだから


    「………どう?見えてきたかな?」


    ホシノさんは手を放してはいない。ならばこれが単純に人間にできる限界なのだろう

    …………違う。私はここまでで何を聞いてきたのだろう



    記憶を覗く危険性を感じるから。哀しみの記憶を呼び起こすのは辛い事だって知っているから

    心の内を見せる事でしか話せない事なら互いに聞かない方が今までの関係を続けられるから


    そんな言い訳を連ねて……私は今も自分の心に嘘を付こうとしている


    「うへ、やっぱり難しいねこれ……」


    ……ごめんなさいホシノさん。今になって大事な言葉を思い出しました

    私の想いを清濁問わず打ち明けろと……導かれていた事を


    伝搬率

    dice1d100=47 (47) +19

    1~33.概要は分かる

    33~66.ユメ先輩の事が分かる

    67~100以上.ユメ先輩の事が分かった上で、自分の事をどう思っていたかが分かる

  • 190氷室エル24/07/07(日) 00:28:08

    大切な存在がいた 自分が守っていかないといけない大切な存在が
    多くの時間を過ごした みんなで過ごす日々は大変だけどかけがえのない物だった

    一緒に過ごした時間が楽しかった こんな時間がいつまでも続くと信じていた
    だからこそ、おじさんが出来る事は少ないかもしれないけど、せめて後輩へ未来を残す為に今日も明日も……

    だからこそおじさんは黒服の……悪い大人の要求を飲んでしまった。取り返しのつかない失敗だった
    全てを失ったおじさんが今も元気にやれるのは、悪い大人から助けてくれたのは後輩たちと先生だった

    今こうして一緒にいられるのは皆のおかげ。私は幸せだ


    ~~~~~~~~~~~~~~

    大切な存在がいた 自分が守っていかないといけない大切な存在が
    多くの時間を過ごした 二人で過ごす日々は大変だけどかけがえのない物だった

    一緒に過ごした時間が楽しかった こんな時間がいつまでも続くと信じていた
    だからこそ、私に出来る事は少ないかもしれないけど、せめて先輩が望む未来を進む為に今日も明日も……

    だからこそ私はあんな事を言ってしまった。取り返しのつかない失敗だった
    全てを失った私が今も元気にやれるのは、悪い過去から前に進めてくれたのは後輩たちと先生だった

    今こうして一緒にいられるのは皆のおかげ。私は■せだ


    その幸せの中に、私が最も幸せになってほしかった先輩の姿はなくなってしまったのに?

  • 191氷室エル24/07/07(日) 00:41:45

    大切にしていたものが一夜にして消えてしまった。私自身の手で手放してしまった

    何日も何日も探し続けた。あらゆる場所に先輩の姿を探した
    そして見つけた時には……全てが手遅れだと分かった

    哀しかった。深く、とても、苦しい、ずっと、今も……いくら言葉を継ぎ足しても足りない程に
    そしてそれ以上に先輩の方が苦しんだと思うと、私は哀しむ権利すらないのだと思うようになった



    "この世界からいなくなった大切な人ともう一度出会えるチャンスと引き換えに、キヴォトスを離れないといけない"

    あの問いに私は「離れない」と答えたけど、そんなものは建前だ
    もう一度先輩に………ユメ先輩に出会えるなら、私は全てを捨てでも先輩を助けに行くだろう

    仮に出会えた後で消えてしまうのであっても出会いたい。会って謝りたい。そしてどうにかして助けたい
    私にできる事を全て使ってでも。私の命を使ってでも。誰に止められようとも


    私は卑怯者なのだろう。もし本当の事を話せば、私の言葉で先輩と同じ様に遠くへ消えてしまうと思った瞬間に、私の言葉は本当の言葉ではなくなってしまった

    少しでも先輩の事を重ねてしまったなら私の言うべ■事は■■■■■

  • 192氷室エル24/07/07(日) 01:04:52

    思考から弾かれる。感情が強く出すぎて他人に記憶を見せる事もできなくなってしまったのだろう
    いつの間にか手は離れて、互いを見合っていた

    ホシノさんの目にはわずかに涙の跡が見えた

    「ごめんね。最後までエルさんに見せる事できそうにないみたいだね」

    ホシノさんにも色々あった事は分かりました。でも、どうして今の私に……?
    私はこれを見て何をしたら……!

    「……私は自業自得なんだ。私の哀しみも、孤独も、失敗も……そうなった理由も全部私のせい」
    「エルさんからしたら一緒にされたくないのかもしれない。それでも私には分かる。そう思ってる」

    なにを……

    「氷室エルが持つ、私が惚れてしまいそうな強さ。力だけじゃない、恐らくエルさんがアビドスにいてくれたら、私よりもより良い未来を残せただろうと思える程に富も名声も……心の強さ」
    「そして、その氷室エルの仮面からおくびも出さなかった。エルさんの弱さを……エルさんが見せる寂しい目の意味を私なら分かってあげられると思う」

    「死にたい程に辛いのに、自分の死よりも大事な使命があるから今も生き続けている。そう思った事があるのは私も同じだから」

  • 193氷室エル24/07/07(日) 01:26:50

    あぁ、苦しい。胸が詰まって声が出せない

    ならばこれは、わたしの心のいけない部分を誰かと分け合いたいなんて思ってしまったという罪に対する罰なのだろう
    私が望んだからいけないんだ。だからホシノさんにそう"させて"しまった

    わたしのしょうもない望みがホシノさんの心をほじくり返させてしまった。なんだこれ。私が最も大切に想う存在にこんなにも辛い事をさせたのか

    わざわざ心配をかけて助けにきてくれた恩人にする事か? わたしの心の傷とやらは本当にそれほど大事なものなのか?
    わたしは………わたしは……!!


    「自分を責めないで。これは私の望んだ事だから」

    嘘だ。誰が自分から好き好んで思い出したくない記憶を掘り起こして他人に見せる事がある?
    違う。ありえない。わたしだ、わたしのせいなんだ! こんな事ならわたしが消え……!!


    「………エルさんに会うたびに言ってる気がするけど、もう一度言うね?」

    再び手が繋がれる。心の中なのだから見えているホシノさんは現実の姿ではなく、その手も現実のものではないのに
    だけど繋いだ手は私を引っ張り出してくれた時の様に温かく、そして強い


    「こっちを見て、エルさん」

    顔前に迫ったホシノさんの顔を見ると、さっきまで考えていた事が吹き飛んでしまった

  • 194氷室エル24/07/07(日) 01:44:33

    「難しく考えなくていいんだよ。ただ私は聞きたかっただけ」
    「辛い事も哀しい事も苦しい事も………エルさんはすぐに隠しちゃうからね」

    繋いだ手から想いの強さを感じる。一瞬でもホシノさんが元々そうであったかと考えてしまいほどに

    「言いたくない事があるのも分かるよ。さっきエルさんに見せた話も知ってるのは……ノノミちゃんが少し知ってるくらいだから」
    「それでも……キヴォトスを出てしまわないといけない程に哀しみや苦しみを覚えるなら……誰にも相談できずに大切な物を自分で傷つけないといけない程に追い詰められているなら」

    「エルさんが独りにならないように私も一緒にその道を進むよ」

    反射的にホシノさんの顔を見返してしまう
    アビドスで見た時とも戦いの場で見た時とも違う表情。私にはそれが決意を秘めている様に見えて………ただただ、嘘ではない事だけが分かった

    「本当にエルさんの夢がキヴォトスの外にあるのなら、私が先生達の足止めでもなんでもしてあげる。私が同じ立場なら絶対に1人でも会いにいくから」
    「だけどもしも一緒にいられるなら、二人でこうして一緒にいたい。誰にも話せない弱音を、まずは私にだけは話してほしい」

    「どんなに辛いくて苦しい哀しみも二人でなら分け合って半分にできる。そういうの心の友って言えるような存在に、私もなりたいから」

  • 195氷室エル24/07/07(日) 02:13:17

    今まで誰にも言えなかった。言う相手がいなかった

    いや、正確にはワタシにだけは言えた。ワタシを全てを知ってくれているから、私の苦しみはワタシの苦しみだと思ってくれているから


    「同じだよ。エルさんが苦しんでいるなら私も……いや、私だけじゃない。みんな苦しい気持ちになると思う」


    同情は必要ない。言った所で何も解決しない。氷室エルに辛い過去は必要ない

    話さない理由はいくらでも作る事ができた


    だけど一番の理由は思い出したくなかったからだ。あの日とは決別したんだ。私は夢の為に生きるんだ

    私は負けない。別の事の為に生きるんだ。そう、夢を叶える為に

    だって話してしまうと……きっと心が耐えきれないから


    「話したくないなら話さなくてもいい。だけど人は抱え込みすぎても耐えられないんだよね」



    弱みを見せてはいけない。私は大人に対抗すべく多くを学んで強くなった

    私は強い、私は負けない、私とワタシの前に超えられない障壁はない。手段を選ばなければ必ず達成できる


    だからこそ、そんな私達でも耐えきれない事に巻き込んではいけない。わたしはこれ以上なにも耐える事なんてできない

    わたしは弱い、何にも勝てない、心に壁を作ってしまえ。そうすれば誰もわたしを傷つけられない


    「だから今なんだよ。心の壁を手段を選ばず突破できるのは今だけなんだ」

    「エルさんの本心に届くのは今しかない。だから………」


    だからわたしはホシノさんに望んでしまって……!


    「私達二人で一緒にdice1d3=1 (1) 」

    1.苦しもう?

    2.超えていこう?

    3.分け合おう?

  • 196氷室エル24/07/07(日) 02:28:39

    表情は変わらない。手から伝わる熱も、放すまいとする力も
    だけど私の想像の中のホシノさんなら間違いなく言わない言葉

    であればこれは本物なんだ。私が作り出した空想の存在でもなければ、私が望んだ言葉を告げるだけの存在でもない
    私の知らないホシノさんがいた

    元からそういう人だったのか、それとも言葉を選んでくれたのか………私には分からない
    ホシノさんとは何度も話す機会があったのに、向き合ってこなかったせいだろう。

    それでもホシノさんが私の弱くて醜くて卑しくてみすぼらしくて………忌み嫌われるような存在であるわたしの苦しみを一緒に感じてくれると言ってくれた
    乗り越えるのでもなく、晴らすのでもなく………一緒に苦しんでくれるのだと

    心の中にわたしは存在していいのだと言ってくれた様で………喜びや感謝よりも安心してしまった

    この苦しみがわたしとホシノさんをつなげてくれる。そう思うと心が軽くなった


    わたしのこころに、あたらしく生きる意味ができた瞬間だった

  • 197氷室エル24/07/07(日) 03:46:35

    「苦しみへの共感。そして共有。………心の奥底でのエルさんは自己肯定感がほとんどないって虹色の子から聞いたよ」
    「そしてエルさんの記憶を見た時から………違うね、エルさんと初めて出会った時から気づいたよ。あの目は全てを失った事がある目だって」
    「吹雪の中でもしっかり分かった。だからおじさんも年甲斐もなく頑張ったんだよね。もちろん先生の為にも頑張ったけどね」


    「………ごめん。エルさん、私は少しだけエルさんに嘘をついちゃった」

    「もちろんさっきの言葉に嘘はないよ。私の弱みを見せて、本心で語った。それでもその行動には打算があった」
    「私は少なからず、目の前にいる幼い心のエルさんに昔の自分の姿を重ねてしまったんだと思う。だからこれは……自己満足なんだ」

    「本当はエルさんの心を晴らしてあげたかった。苦しみからも哀しみからも解き放ってあげたかった。でも、エルさんはそれだけじゃ救われないともよく知ってたから」
    「もしエルさんが私の様に成長したのなら求めているのは解放じゃなくて………いや、やめておくね。エルさんと私とは違うのだから」
    「エルさんは被害者。だけど私は加害者………私が許されないのならまだしも、エルさんが苦しみ続ける必要なんて絶対に無いのだから」

    「だから私にできるのは傷の舐め合いぐらい。互いに痛む部分を見せあって、一緒に辛かった苦しかったと声にして……それでエルさんが救われるなら悪くないと思う」
    「だから……いなくならないで。一人で遠くに行ってしまわないでね。私にとってもここまで話せるのはエルさんだけなんだから」


    「って言っても聞こえてないか。子供みたいに眠っちゃって………ようやく安心できたのかな?」
    「………それじゃ一緒に帰ろっか。大丈夫、元気になったら一緒に話そう。氷室エルでもないエルさんを私だけは肯定してあげるからね」

  • 198二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 03:47:23

    このレスは削除されています

  • 199氷室エル24/07/07(日) 03:59:05
  • 200二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 07:04:13

    乙

オススメ

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