- 1◆adpJDLk5pTLq24/06/22(土) 04:53:48
- 2◆adpJDLk5pTLq24/06/22(土) 04:54:43
- 3◆adpJDLk5pTLq24/06/22(土) 04:55:38
- 4◆adpJDLk5pTLq24/06/22(土) 04:56:53
- 5◆adpJDLk5pTLq24/06/22(土) 04:57:48
子どもの頃は癇癪持ちだったこと。
些細なことで怒ったり泣いたり。
かと思えば、別人のように大人しくなったり。
子どもながらに感情のコントロールができないことに苦しみ、自己嫌悪を重ねたこと。
嫌いで嫌いで、消えてしまいたいと母に泣きついたこと。
やがて落ち着いた子どもに、母親は諭すように語りだした。
自分と上の子の間に、もう一人いたこと。
生まれてくるのには体が弱かったこと。
結果、一つの命は産まれなかったこと。
その後、新たに命が宿り、トレーナーさんが産まれたこと。
産まれなかった真ん中の子の為に、しっかり生きなければいけないと叱られたこと。
U:それを聞いた時は生まれて来れなかった兄か姉の分まで、頑張ろうって思ったんだけど……
しっかり生きようにも上手くいかず、挫けて泣いたりもしたこと。
そんな自分が情けなくて、自分が生まれず上の子が生まれれば良かったんだと思ったこと。
- 6◆adpJDLk5pTLq24/06/22(土) 04:58:58
そんなある日、自分のことを調べてみたそうだ。
血液型、記念日、生まれた日が同じ人、等々……。
そして星座を調べ、自分の本当の星座に疑問を持ったそうだ。
母親に生まれた場所、時間を聞き、情報を照らし合わせた結果、本当の星座がふたご座だったこと。
U:テレビの占いコーナーはかに座だけど、ふたご座でもあるからおかしいなって思ったんだ
更に調べて、カスプに行き着いたこと。
その時、生まれなかった上の子がもう片方の星座なのではないかと思ったこと。
U:子どもながらに思ったんだ
U:1人だけど、独りじゃなかったんだって
U:兄か姉かはわからないけど、ずっと一緒だったんだなって
都合の良い妄想だけど、それでも良いとあの人は笑った。
U:それからもちぐはぐな思いで苦しんだりしたけど、少しだけ冷静になれたんだ
U:あの時は多分、上の子と喧嘩してたんだなって
都合の悪い時に思い出して、調子の良い考えだよね、と、あの人は苦笑を浮かべた。
- 7◆adpJDLk5pTLq24/06/22(土) 04:59:50
U:最初に言ったけど、アヤベとは似てなかったでしょ?
U:勝手にシンパシーを感じて、ちょっと恥ずかしかったりして……
U:ごめんね、せっかくの祝いの席なのに
所在なさげに頬を掻くトレーナーさんを見据えて、言葉を紡ぐ。
「確かに、あなたと私の境遇は違う」
私は姉で、トレーナーさんは弟。
私は双子で、トレーナーさんは兄弟。
私は妹を自覚していて、トレーナーさんは無自覚だった。
けれど、1つだけ、同じところもある。
「けれど、あなたも上の人を大切に思っている。そうでしょう?」
U:そうかな……?たまにしか思い出さないし、時々都合よく言い訳に使ってるよ?
「いいのよ、それで。ずっと想ってくれなくていいの。勝手に世話を焼くのが上の子なんだから」
U:……そっか。アヤベお姉ちゃんが言うなら、そうなんだろうなあ
呟いたトレーナーさんの瞳は潤んでいたけれど、気づかないフリをして言葉を返す。
「そうよ。あと、私はあなたの姉じゃないわ。それと━━」
「話してくれてありがとう。あなたのこと、少しだけわかった気がするわ」
その言葉に、トレーナーさんは嬉しそうに笑った。
歳上なのに、子供みたいな、無邪気な笑顔だった。
- 8◆adpJDLk5pTLq24/06/22(土) 05:00:48
- 9◆adpJDLk5pTLq24/06/22(土) 05:01:35
- 10◆adpJDLk5pTLq24/06/22(土) 05:05:00
お読みいただきありがとうございました。
これをウマ娘SSと言う度胸。
寝てなければまだ今日は21日。
云年ぶりに小説を書きました。
スレ立ても初なので深夜テンションでドキがムネムネです。
文字書き楽しい。