ジャングルポケット「どうすりゃいいんだ・・・」

1二次元好きの匿名さん24/06/22(土) 10:39:25

中山レース場で迎えたジャパンカップ
 苦手な中山でのレース、かつての勢いはなく惨敗した
 レース場に響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年で引退だな」の声 
無言で帰り始める出走者の中、昨年のJC優勝ウマ娘ジャングルポケットは独りベンチで泣いていた 
クラシック期で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より切磋琢磨し合った同期達・・・ 
それを今の王道路線で得ることは殆ど不可能と言ってよかった 
「どうすりゃいいんだ・・・」ポッケは悔し涙を流し続けた 
どれくらい経ったろうか、ポッケははっと目覚めた
 どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した 
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」ポッケは苦笑しながら呟いた 
立ち上がって伸びをした時、ポッケはふと気付いた  

「あ・・・？観客がいる・・・？」
 ベンチから飛び出したポッケが目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった 
千切れそうなほどに声援が振られ、地鳴りのようにファンファーレが響いていた 
どういうことか分からずに呆然とするポッケの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた 「ポッケ、まもなくレースだ、早く行こう」
声の方に振り返ったポッケは目を疑った「フ・・・フジさん？」「どうしたんですかポッケさん・・・居眠りでもしてたんですか？」
 「カ・・・カフェ？」「どうしたのポッケちゃん、かってにカフェちゃんを引退させちゃって」
 「ダンツ・・・」ポッケは半分パニックになりながら出バ表を見上げた
 １番：メイショウドトウ　２番：アメリカンボス　３番：キャグニー　４番：テイエムオペラオー　５番：トゥザヴィクトリー　６番：内川　７番：ゴーラン　８番：ステイゴールド　９番：ホワイトハート　１０番:ナリタトップロード　１１番:インディジェナス　１２番:ティンボロア　１３番:ウイズアンティシペイション　１４番:パオリニ　１５番:ダイワテキサス 
暫時、唖然としていたポッケだったが、全てを理解した時、もはや彼女の心には雲ひとつ無かった
 「勝てる・・・勝てるんだ！」 
恐怖心を打ち破り、最終直線を全力疾走するジャングルポケット、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

  翌日、ベンチで冷たくなっている内川が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った