- 1二次元好きの匿名さん22/02/07(月) 19:41:51
「だからいないって!」
自主トレを終えてトレーナー室に向う道中、聞こえた声の方を向くと休憩所で俺の相棒と同僚のトレーナーが何やら話していた。その同僚はウマドルの写真集を持ちながら、相棒にどの娘が好きかとかくだらねえ事でしつこく絡んでいる。
見兼ねて助けに行こうとした瞬間、俺は相棒の一言に足を止められた。
「ああもう…強いて選ぶならこの娘かな。メイクもファッションも可愛いし…そうだな、横に連れて歩きたいって感じ…?」
……言い様の無い不快感が湧き上がり俺は逃げるように寮へと走る。
そして寮に着き、俺はある決意を抱いて力強く部屋の扉を開けた。
「!?……何よ急に!?びっくりするじゃないの!!」
「…えてくれ」
「…は?」
「化粧、教えてくれ」 - 2二次元好きの匿名さん22/02/07(月) 19:44:27
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- 3二次元好きの匿名さん22/02/07(月) 19:44:41
「よう、相棒…」
その週の日曜、天皇賞秋優勝の褒美として相棒とロードレースを見に行く約束をしていた俺は……フリフリのワンピースというカッコよさの欠片も無い服装で相棒と顔を合わせた。
屈辱的だったが…スカーレットの奴からメイクや髪の手入れを教わり、今着ているこの服を貸してもらった。
…あの時、相棒が好きと言っていた奴と同じような服だ。
「お前…タキオンの実験台にでもなったのか?」
相棒はと言うと…俺の期待を裏切り、幽霊でも見る様な目をしながら心配そうに俺の肩に手を乗せている。
「どうしたんだよ…?普段はもっと…」
「…ガサツで、野郎っぽい…か?」
「え…」
目頭が熱くなり、声が震え出し、俯いて顔も上げられなくなる。…俺らしくない、鏡を使うまでもなくわかる。今の自分は酷くダサい姿をしているだろう。
「お前が…あんな事言うから…頑張って…」
「…ウォッカ?」
「…チクショウ、いいよもう…」
もはや涙も抑えられず、俺は耐えられなくなり相棒に背を向け……
「……離せよ…」
「ゴメン、無神経だった。…少し驚いてさ」
逃げようとした俺の足が前に出ることは無かった。背を向けた瞬間に俺は相棒の大きな手逃走を阻まれた。 - 4二次元好きの匿名さん22/02/07(月) 19:45:45
「本っっっっっ当にごめん。まさかアレを聞かれてたとは…」
「…いいって、そもそも盗み聞きしてた方が悪りぃし…」
1時間程経っただろうか。俺は近くのベンチに座り相棒の慰めと謝罪を受けている。
冷静にはなれたが、…尚も俺の胸に不安が残っていた。
「……なあ、やっぱり男ならさ…ああいう女の方がいいんだろ?」
「まあ…嫌いではないよ。」
相棒は苦笑しながら答え、同時に俺の頭を撫でた。
「見てるだけならああいうタイプでも良いし、横に連れたいってのも本心ではある。けど…」
「…けど?」
「俺が本当に好きなのは…」
次の言葉で俺の顔は赤く染まり、出し尽くした筈の涙が再度眼を熱くする。
情けなく感じながらも自分を抑えられずに、相棒の背中に顔を埋めた。
「悪い…服に化粧染み着いちまう…」
「いいよ」
レースの開始時間は疾うに過ぎているだろう。入念に練った予定も全部ご破算だ。
…それでも、一切後悔の類は浮かばない。むしろ、時の許す限りはこのままがいいとすら思う。
…本当にらしくねえ……お前の所為だからな、相棒… - 5二次元好きの匿名さん22/02/07(月) 19:48:00
糖尿病になりそう
- 6二次元好きの匿名さん22/02/07(月) 20:00:38
甘々すぎる…