- 1二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 13:05:30
スズカが幼かった頃 彼女は意志が弱く
ちょっとしたことですぐハナを譲り 失速した
どんなトレーナーにかかっても原因はまるでわからず
ウマ群に取り込まれたりると呼吸さえ困難になった
そんなある夜中 スズカが目を覚ますと
かすかな光の中に勝負服を着た見たこともないウマ娘が立っていた
ウマ娘は日本ダービーの出走者を読み上げるラジオを聞いていた
そして空いた手でスズカの頬を撫でるとこう言った
「『絶対に先頭は譲らない』なんて言ったけど、スズカが競りかけてきたら控えるつもりだったんだけどね。スズカも逃げるなら、絶対にハナを譲っちゃダメだ」
スズカの涙は止まっていた
目には力がみなぎり その皮膚には赤みがさした
鼻から吸い込む空気は今までにないほどさわやかに胸の中を満たした
以後 サイレンススズカがハナを譲るという事は二度となくなった
公正なる大逃げは内なる不安をとりのぞく
乗り越えた先に広がるのは「先頭の景色」
彼女はそう信じた…
それ以外には生きられぬ「道