【クロス注意】ペルソナ1〜5クロスオーバー妄想スレ

  • 1二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 17:41:15

    ペルソナ1〜5全部のクロスオーバーを妄想するスレ
    5世界で噂現実化現象が発生、色々あって全キャラ集結して元凶を止めるぞ〜って感じで
    掛け合いとか合体コンタクトとかオリペルソナとかオリ合体魔法とか設定とか敵とかSSとか
    あらゆる妄想を語り合いたい

    元は5(無印)をベースに全部クロスするSSを長年考えてたんだけど
    俺の力量じゃまとめきれなくて、そのうち外伝や追加要素がどんどん出てきて完全にお手上げ状態になったので
    書いた設定やネタの供養もしたかった。5は無印しかやってないので矛盾があったらごめんね
    レス稼ぎと参考ついでに色々設定とか供養ネタとか落とします

  • 2二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 17:47:09

    ※あくまで未完のスレ主SSの解釈と設定。参考にするならどうぞ程度

    Q.主人公の名前は?

    初代「藤堂 尚也」2罪「周防 達哉」罰「天野 舞耶」3主「有里 湊」4主「鳴上 悠」5主「来栖 暁」

    Q.時間軸と舞台は?
    時間軸はは「5」の騒動終了後、主人公帰ってきた後の長期休み。
    1、2(罰)、3、4も本編終了後。

    舞台は噂でなんやかんやあって異界化した東京都。
    それぞれの時代の御影町、珠閒瑠市(罰)、辰巳ポートアイランド、八十稲羽市と繋がっている。
    新宿から電車で移動できる。都内と上記以外の場所には初代のように壁で遮られていて移動できない

    Q.どうしてこうなった?
    噂の現実化のせい。SNSって便利だよね。
    原因の原因はいつものニャルフィレの実験と試練。

  • 3二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 17:49:01

    Q.『罪』メンバーは?

    『罰』達哉以外全員思い出しててペルソナも使える

    達哉だけは『罪』世界から出張してるので『罰』世界の達哉と共存してる状態。


    舞耶「全員思い出しちゃったらリセットが無効になるんじゃ…」

    達哉「リセットの条件は全員が『思い出す』ことだ。一人だけ思い出していない…いや、思い出せない奴がいる」

    うらら「マーヤに、栄吉クンに、リサちゃんに、淳クン、そんで周防弟。これで全員じゃないの?」

    達哉「違う…俺は今回、<向こう側>の身体ごとこっちに来ている。<こちら側>の俺は別にいるんだ」

    リサ「つまり、達哉が二人いるってこと?」

    達哉「ああ。<向こう側>の記憶は俺が全部持ち帰っているから、<こちら側>の俺は何をしようと思い出さない」

    リサ「まっさかぁ。ドッペルゲンガーやシャドウじゃないんだから」

    克也「おっと、すまない。電話だ」

    パオフゥ「こういう時くらい電源切っとけよ…」

    克也「はい、周防です。…達哉!?」

    パオフゥ「(あんまり驚くな。不審がられる)」

    克也「(わ、わかっているから足を踏むな!)い、いや。お前から電話なんて珍しいと…それで、何か用か?」

    うらら「へー、本当みたい…」

    克也「ほう、吉栄くんに勉強を見てもらうのか」

  • 4二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 17:50:47

    リサ「むっ」
    栄吉「(おい淳、ギンコ抑えとけ!)」
    淳「え?なんで…」
    克也「それはいい。きちんとお礼を言っておくんだぞ。
       僕は用事でしばらく家を空けるから、戸締りや食事は…なに? 泊まる? 吉栄くんの家に?」
    パオフゥ「(芹沢)」
    うらら「(あいよー)」
    克也「待て待てそれは一体どういうことだ!?未成年の男女が一つ屋根の下で過ご(ドスっ)おぉぉぉ!?」
    パオフゥ「少し寝てろ」
    うらら「あー、ごめんごめん。達哉くん? 私よ私。芹沢うらら。…そそ、おにーさんの友達の。
        でさ、お兄さんってば興奮しすぎて気絶しちゃって。あー大丈夫大丈夫。後の処理はやっとくから」
    リサ「待った待ったあいつに達哉は渡さなーーむぐぐ」
    淳「リサ、抑えて!」
    栄吉「向こう側とこっち側のタッちゃんが会ったら面倒だろが…!」
    うらら「おにーさんの方はコッチで説得しとくから、達哉くんは勉強頑張ってねー。じゃ、バァイ」
    達哉「…こういうことだ」
    舞耶「なるほど…」

    パオフゥ「(全員記憶を戻して再会させて、別れも辛くさせるってか。相変わらず趣味の悪い野郎だ…)」

  • 5二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 17:55:03

    Q.主人公たちのステータス(魅力とか)は?
    全員マックス。

    Q.3主人公は?
    一時的にエリザベスが身代わりになっている状態。
    あと、双子の姉がいたけど両親ともども例の事故で亡くなってる。

    Q.ベルベットルームはどうなってる?
    出入り口は一般人には認知されず、疑問も持たれない。
    2仕様で実体があり、ペルソナ使いと一緒なら牧村みたいに一般人も認識できる。
    今回は人数が多いので劇場のホール。住民もエリザベス以外全員揃ってる。

    Q.コミュは?
    5主がところどころ中途半端に終わっている。少なくとも千早コミュが完遂できていない
    ちなみに恋愛については第三の選択肢「考えさせてほしい」を選んでるので、主人公たちは誰ともくっついてない



    Q.千早のコミュが半端なのはなぜ?
    仕方ない。彼にも事情があったのだよ。彼女も一人で奮闘したのだが、上手くいかなかった。
    しかし安心してほしい。主人公そっくりの『前科持ちの転校生』が接触して最後まで代わりを務めた。
    彼に与えられた力で人々を救う教団を立ち上げたようだ。

  • 6二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 18:05:15

    ――某SNSサイトにて

    『またメジエドが悪さしたんだって?』
    『今度は某社のサーバーを落としたらしいよ』
    『友達があそこで働いてんだけどさ、これじゃ仕事にならないって頭抱えてたよ』
    『あいつらも迷惑なことしてくれるよなぁ』
    『そういえば、メジエドって誰が作ったんだろう?』
    『どうせ陰湿で性格悪い奴だよ』
    『性格悪いって、具体的には?』
    『知るかよw』
    『どんな奴なんだろうね。気になる…』
    『やっぱり悪のカリスマ的な、大物感溢れるオッサンとか』
    『パソコン使いこなすんだし、若い奴じゃないか』
    『実は天才美少女と見た』
    『夢見すぎ。女だとしてもオバサンだろ』
    『どうせ夢見るならロボットとかAIとかどうかな!?』
    『何がだよw』
    『日本人じゃないんじゃない? 外人とか』
    『実は警官だったりして』
    『迂闊なことを言うと怒って戻ってくるかもしれないぞ』
    『次の標的は俺たちかも』



    『メジエドの創始者はとんでもない悪人らしい』
    『今まで誰にも尻尾を掴ませなかった、世界屈指のハッカーらしい』
    『カルト教団ともつながりがあるらしい』
    『今は沈黙しているが、自分たちの行動もどこかから監視しているかもしれない』

  • 7二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 18:11:23

    ――秀尽学園
    「そういえば最近、例の転校生見かけないよね」
    「知らないの? なんか再犯して少年院入ったって噂だよ」
    「えー、うそぉ! 何やったの?」
    「さぁ…わかんない。でも少年院行きってよっぽどだよね」
    「やっぱり喧嘩とか…」
    「喧嘩で少年院とかありえんの?」
    「…じゃあ、殺人?」
    「………まっさかぁ」
    「そんなことよりさ、最近話題になってる宗教…えっと、願いを叶えてくれるんだっけ?」


    「あの転校生、今度は殺人をやらかして少年院に入ったらしい」
    「マジで?」
    「あり得る。あの坂本とツルんでるもんな」
    「喧嘩の末に、ってやつか…マジ怖い」
    「そういや前歴があるってのは聞いてたけど、あいつ結局なにやったんだ?」
    「さあ…」
    「よく知らないからなぁ」
    「あいつ、いま殺しがどうのって噂になってるけど…殺人とか?」
    「さすがにそれはないだろ…」
    「実は俺、あいつを生徒会長が尾行してたのを見たんだ。生徒会長のお姉さん、検察の人らしいんだけど…」
    「もしかして、その人の頼みで追跡してたとか?」
    「殺しの疑惑があったけど証明できなかったのかも」
    「本当だったらマジでヤバいな…」
    「でも、そんなにヤバい奴には見えなかったけどなぁ」

  • 8二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 18:13:51

    「殺人鬼というのはタイプがあって、快楽目的のものや何やらが云々」
    「話なげぇよ」
    「俺、そいつと話したことあるけど…そういうのとは違うと思う」
    「実は頼まれて殺してるとか」
    「なんでお前は常にそっち方向に持っていきたがるんだよ…」
    「そっちの方が面白いじゃん?」
    「ひっでえ」
    「…でもさ、やたらと人のことを聞いてくることがあるよな」
    「そういえば俺、駅で聞き込みしてるのを見たよ」
    「大金で依頼を受け、学生の身分を隠れ蓑にターゲットの情報を集めて始末する殺し屋…これだ!」
    「これじゃねえよどれだよ。誰も殺されてねえだろ。…たぶん」

    「うそ、殺し屋…?」



    『あの転校生が殺人を犯したらしい』
    『実は検察も監視するほどの殺し屋らしい』

  • 9二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 18:18:01





    「なんか、ミョーなことになってんなぁ…」
    どこかで少女が渋面を作り
    「こんなデタラメな噂が流れてるなんて!」
    どこかで少年が怒り

    「噂が簡単に、恐ろしい速度で広まっていく。まったく、便利な世の中になったものだ」
    どこかで誰かが嘲笑った。

  • 10二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 18:20:37

    ――???


    ――生に意味などないと知るがいい
    「(…そうだろうか)」
    ――答えなど、どこにもないと泣くがいい
    「(俺は答えを導いたはずだ)」
    『本当か?』
    希釈された意識の中に、昏い何かが波紋のように広がり伝わる。
    『己が命の価値を理解しない者が、命の答えを導く…矛盾しているではないか』
    「(矛盾…?)」
    『君に再び、機会を与えよう』
    今度は違う声。そんなのいらない。どうでもいい。そう思いつつも心がわずかに揺れる。
    『どうやら、君の心はそう思っていないようだ』
    『フィレモンに感謝するのだな。私が人間に機会を与えることはそうそう無いぞ?』
    (フィレ…なに?)
    光と闇の奔流が、意識を押し流す。押し流された"彼"の意識は絡み合い収束し――その場から消えた。
    『代わりの人柱が必要だな』
    『案ずるな。すでに見繕ってある。…ククク』


    とりあえずレス稼ぎここまで。お目汚し失礼しました

  • 11二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 21:54:10

    噂『サトミタダシが全国展開を始めたらしい』

    (♪サトミタダシのテーマ)

    竜司「やけに頭に残るよな、この歌…」
    双葉「洗脳ソングって奴だな」
    暁「藤堂さんによれば、頭良くて真面目な奴ほどハマるらしい」
    モルガナ「それじゃ、リュージは一生覚えらんねーな!」
    竜司「なんだと!? こんなの楽勝じゃねえか、臨死体験仲間を助ける…」
    真「さっそく間違えてるじゃない。「瀕死大変仲間を助ける地返しの玉と反魂香♪」でしょ」
    杏「真…」
    春「マコちゃん、すごく楽しそう」
    真「なっ! 違うわよ、確かに覚えやすいし便利だし癖になるけど…」
    暁「石化回復」
    真「ディスストーン♪ …はっ!」
    モルガナ「別に我慢しなくても良いんじゃないか?」

  • 12二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 21:55:18

    直斗「麻痺した時はディスパライズで…」
    雪子「病気を治すディスシック♪」
    千枝「雪子…」
    雪子「いい曲だよね、これ。気に入っちゃった」
    千枝「そ、そう…雪子がいいなら、いいんじゃない…?」
    直斗「いつも戦うみんなの味方、僕らの町の…」
    悠「直斗も気に入ったのか?」
    直斗「頭から離れないんです…」

    美鶴「ヒットポイント回復するなら傷薬と…」
    ゆかり「あの桐条先輩が何か楽しげに口ずさんでる…」
    南条「頭に残って離れないんだ…」
    順平「ひょっとして、南条も同じクチ?」
    南条「………」
    湊「毒で痛いよ♪」
    南条「ディスポイズン。…やめんか!」

    他にサトミタダシ中毒になりそうなキャラは居るかな?

  • 13二次元好きの匿名さん24/06/25(火) 22:52:43

    ニャルは達哉以外の主人公をどう思うのだろうか?

  • 14二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 06:53:36

    >>13

    少なくとも3〜5主は大好物だと思う(オモチャ的な意味で)

    自罰意識とかホントはやっちゃいけない影の受容とか強引な改心行為とか、煽れる要素いっぱいあるし


    双葉のお母さんが昔セベクでニコライの助手やってて、それが認知訶学研究のきっかけ、とか妄想

  • 15二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 17:32:34

    街一つを残し世界が破滅した後の街には、『一切の悩みも苦しみもない存在』イデアリアンが溢れていた。
    聞こえは良いが、実態は悩み苦しむほどの理性や思考能力を失った、名状しがたい外見の怪物である。

    なんとか生き延びることができているのは、"こちら側"の南条たちがあらかじめ流してくれていた噂のおかげというから、皮肉なものだ。

    戦い抜き、疲れ切った体を壁に預け目を閉じた。


    目を開けると、二度と見たくなかった景色が目の前に広がっていた。
    鳥かごのような外見の殺風景な建物だが、周囲に漂うおぞましい気配には嫌というほど覚えがあった。
    「………何の用だ」
    虚空を睨み、"この部屋の主"に話しかける。
    『そう怖い顔をするな』
    そう言って虚空から現れたのは、中年の男――親友の実父である、橿原という男そっくりの姿をとったナニカだった。
    『冷たいな。お前をここまで成長させたのは私だというのに』
    「勝手に言っていろ」

  • 16二次元好きの匿名さん24/06/26(水) 17:34:26

    『ククク…この程度では揺らぎもしないか』
    愉快そうに笑う。“向こう側”で倒したはずだったが、そんな事はまるで無かったかのよう。
    元より超常的な存在である。今更何があろうと驚くことはないが。
    「随分と早い復活だな」
    『クック…アレはまだ普遍的無意識の海の底に眠っている。私は…そうだな、さしずめあやつのファンといったところかな。
     真似事をしてみたくなったのだよ』
    ヤツでありヤツでないもの。同じようなものだ。
    「何をしにきた」
    『"向こう側"で大きな催しを行うことになったのでな。ぜひ、お前にも来てもらいたいのだよ』
    また、ろくでもないことを考えている。そもそも、こいつの考えることに良いことなど何一つとしてないのだが。
    しかし、達哉に受けて立つ以外の選択肢はない。もう二度と背中を見せないと決めたのだから。
    「…連れていけ」
    『いい返事だ。――それでは今再び、ご入場願おう。今回はその身体ごと、な』
    その声と共に、少年は光に包まれた。

  • 17二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 00:41:02

    ――銀座・某寿司店
    「なんでもネットで調べれば一発のこのご時世に噂を聞きたいだなんて、今時の若い子にしては珍しいね。
     いいよ、久しぶりだから今回は特別にタダで教えてあげよう。寿司天帝からのサービスさ」

    「『セントラル街にあるゲームセンターにカジノコーナーができるらしい』ね。
     なんでも、社長らしい人がそんなことを言っていたのを聞いたらしいよ。ゲーセンも経営難なのかな?
     『変わった景品を置く予定』らしいけど、どんな景品なんだろうね」
    「『サトミタダシが渋谷に進出する』んだってね。懐かしいな…僕が通ってた高校の近くにもあったんだよ。出来たら僕も行ってみようかな」

    「そういえば、探偵の明智五郎って覚えてる? 去年の年末あたりから行方不明だったらしいけど、『最近帰ってきたらしい』よ。
     悪の秘密組織と戦ってたんだってね。その時に『大怪我を負った』らしいね。どこまで本当かは知らないけどね」

  • 18二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 00:43:08

    「ところで、セベク…佐伯エレクトロニクスって企業、聞いたことある? 最近復活…というかスタッフが独立してね。
     『世界を震撼させるような新製品を作った』んだってね。詳細は謎だけど、ネットじゃ色んな噂が飛び交ってるみたいだよ」
    「今度新宿に出来る新しい本社ビルのお披露目も兼ねて、その製品のデモンストレーションをやるらしいけど…
     なんかイヤな予感がするんだよなぁ。セベクは一部の界隈じゃ有名で、かくいう僕も…いや。やめよう」

    「こんなところかな。久々に噂屋をやったから少し熱が入っちゃった。噂を聞きたくなったらまた来てよ。
     僕は毎日ここでエンガワ食べてるからさ」
    「…ところでキミ、どこかで会ったことない? なんか見覚えがあるような…気のせい?」


    「ところで、この店の大将なんだけど、無類の噂好きでね。『いつか他人の噂を元にネタを作るんじゃないか』って言われてるくらいなんだ」
    「『何か流してみたい噂があれば、掲示板に書けばネタにしてくれるかもしれない』よ。
     ただ、さすがに『大将もよくわからない噂はネタにできない』みたいだけど」

  • 19二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 07:47:12

    保守は

  • 20二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 10:17:20

    今更すぎるけどネタバレ注意。
    あとスレ主は5は無印しかやってないので、追加要素でやる夫がどういう扱いされてたのかも知らない。
    そして追加キャラの女の子その他についても全然知らない!


    『どう思うかな、フィレモン』
    『何をだ?』
    『最近のペルソナ使いの弱体化について、だよ。周防達哉に並ぶ超人、未だ現れず…
     ペルソナ使いそのものも弱体の一途を辿っている。 JOKER…いやワイルドの力を与えられるのも一人が限度だ』
    『私はただ与え、見守るだけだ』
    『ふん…お前がそのスタンスを崩さんから、私が動かねばならんと言うのにな?』
    ニャルラトホテプが指を鳴らすと、床からフィレモンの従者に瓜二つの男が現れた。
    名はヤルダ・バオト。かつて二人の少年にペルソナを与え、神を騙った偽神である。

  • 21二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 10:42:37

    『イゴールの姿を取らせるのか』
    『あの図体で入ってこられても困るだろう?』
    フィレモンの問いにニャルラトホテプが返す
    この空間は彼らの領域。大きさなどどうとでもなるが、ニャルラトホテプの趣味だろう。
    「こ、ここはどこだ…私は…」
    『ここは意識と無意識の狭間にある場所』
    『ようこそ、デク人形』
    「で、デク人形だと…貴様ら、誰に向かってものを…」
    困惑しながらも二人の答えを聞いたヤルダ・バオトは憤りながら立ち上がる。
    復活したばかりのためか、足元はおぼつかない様子だったが。
    『自らの存在理由すら忘れたか。哀れなものだ』
    そんなヤルダ・バオトに、ニャルラトホテプは嘲笑う。
    相変わらずの自身の半身に呆れながら、フィレモンが口を開いた。
    『端的に言おう。君を創造したのは我々だ。人類への新たな試練となるように
     互いの力を折半して作り上げた舞台装置。それが君だ』
    『ベルベットルームの占拠も、フィレモンが手を貸してやっていただけに過ぎん』
    「馬鹿な! 我は神だぞ! 創造主など…」
    逆上する様を見て、見苦しいと言わんばかりの表情でニャルラトホテプが指を鳴らす。
    その瞬間、ヤルダ・バオトの下半身が爆ぜた。激痛に悲鳴を上げのたうち回る“偽神”に、呆れたように声をかける。
    『矛盾だな。神と嘯くなら、なぜそのような無様をさらしているのだ? 私はただ、指を鳴らしてやっただけだぞ』

  • 22二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 11:02:00

    『我々は、わざと君を不完全に作り上げた。ペルソナを与えられる機会を限定し
     以降のペルソナ付与・抹消・合体の力も与えなかった』
    『だからこそ、お前はイゴールの従者を分割してまで自分の手元に残していたわけだ。
     自分の力を自由に扱えないという矛盾にも気付かんとは、間の抜けた神も居たものだな?』
    「馬鹿な…馬鹿な…」
    『しかし、君は人々の欲望に影響され、我々の想定から外れた行動を取り始めた』
    『己の領分を超え暴走した時の貴様の道化ぶりは見ものではあったが…
     おかげで試練も不完全なものに終わった。』
    茫然自失となっている“偽神”に構いもせず、フィレモンとニャルラトホテプは続ける。
    『貴様は領分を超え、本来の存在意義も放棄した。それは罪だ。罪は贖わねばならん』
    『新たな試練に、君の存在が必要となる』
    『もう一度、願いの受け皿に戻るがいい。愚かな偽神よ』
    黒い影が、かつて神を騙った存在を飲み込んだ。

  • 23二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 21:42:23

    保守

  • 24二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 22:16:08

    スレ主です。いつも保守ありがとう。
    しかしネタや設定を供養したいとは言ったけどここまで反応や書き込みがないのも予想外!
    見てる人やこの話題に興味持ってくれてる人がどれくらいいるのか…

    保守はもちろんありがたいし、落ちても貯め込んだネタが尽きるまでやるつもりだけど
    そろそろ整合性が取れてなかったり飛び飛びのシーンも多くなってくるかもしれない

    正直に言うと一人芝居というか一人でスレ埋めてるような気分になって寂しいので
    クロスについて語るでも解釈やネタについて感想や批評をくれるでも、とにかく何か書き込みがあるととても嬉しい

    3、4はやったのがかなり前なのもあってうろ覚え気味で、どうしても描写が少なくなりがち。
    更に追加要素や番外系はほとんどやってないので、その辺の話題を補ってくれるととても助かります

  • 25二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 08:00:26

    1と2混じってんのがちょっとやりにくい…3~5ならイケるがそれ以前は無理じゃ

  • 26二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 09:27:02

    >>25

    たしかに全部は敷居高いよね…こっちも1、2、5に偏りがちだし


    スレ主の落とすネタでは(ほぼ)全作クロスを目指してるけど

    無理に全部絡める必要はないし、特定の作品同士のクロスも存分に語ってほしい。

    悪魔(シャドウ)相手の交渉や噂の現実化とか、都合良さげなシステムや設定だけ拝借するのでももちろん良い


    あと3や4のキャラ周りで解釈違いあったら突っ込んでほしい

  • 27二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 17:10:30

    最近、悍ましい夢を見る。無数の黒い手が、自分を捕まえようと追ってくるのだ。
    必死に逃げて、逃げて。やがてその先に仲間たちと光を見つけ手を伸ばすと、掴み返して光に引き入れてくれる。

    『都合の良い絆に縋り、まだ逃げるのか』
    『罪には、罰を与えねばならん…』

    この恐ろしい声を最後に、黒い手は消えて、夢から覚める。

    しかし、今日の夢は、その夢とは少し違っていた。――目の前に、蝶の仮面を被り白いスーツを着た男が立っていた。
    『お初にお目にかかる。私はフィレモン。意識と無意識の狭間に住む者』
    『君には、イゴールの主と言った方がわかりやすいかもしれないな』
    「イゴールの、主…」
    『先の戦いにおいてイゴールとその従者を救ってくれたこと、感謝する』
    「それで、そのフィレモンが俺に何の用だ?」
    『大きな悪意が、君たちを…君たちの世界を飲み込まんと暗躍している』
    「大きな悪意…?」
    『敵は強大だが、君たちを助ける者が必ず現れる。彼らと協力し、この世界を救うのだ…』
    「敵? 助ける者? 一体どういう…」
    『悪意は、もうすでに動き出している…私は僅かな手助けをすることしかできない…無力を許してほしい』
    「何の話をしているんだ。もっと詳しく…」
    『時間がない。すでに東京は、噂が現実となる異界と化している…』
    「待て、行くな! 話を――」
    『さあ、目覚めるのだ…』
    その言葉を最後に、長く続いた奇妙な夢は終わりを告げ。
    少年とその仲間たちは夢よりもなお奇妙で悍ましい現実に直面することとなる。

  • 28二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:43:42

    保守代わりに、ちがう人の夢。細かい矛盾は気にしない

    『せっかくの休みに、なんで子守りなんか…』
    『うだうだ言うんじゃない。午前中だけでいいと言っただろう』
    『そんな堅い顔で子供が喜ぶかよ。こうやるんだ…なあ冴ちゃん、芸人のブラウンって知ってるか?』
    『うん!』
    『よし。じゃあ、モノマネをしてやろう…よーく見ておけよ』

    『なんだ、大喜びじゃないか』
    『大したもんだろ。…しばらくやってなかったから心配だったけど、なんとかなるもんだな』
    『ああ…そうだな』

    『む、そろそろ時間か』
    『結局一日付き合ったな…』
    『克也お兄ちゃんたち…もう帰っちゃうの?』
    『ごめんね。でも、またすぐに遊びにくるよ。今度はケーキも持ってこよう』
    『ほんと!?』
    『もちろんだとも。なあ、達哉』
    『仕方ないな…また新しいネタ仕入れてくるから、二人とも良い子で待ってるんだぞ』
    『約束だよ!』
    『ああ、約束だ』

    『そうだ、最後にペルソナ様遊びをやらないか』
    『ペルソナさま?』
    『ああ。いつか、君たちを助けてくれるかもしれない…おまじないだ』

    「懐かしい夢を見たわね…克也お兄ちゃんに、達哉お兄ちゃん…元気にしているかしら」
    昔、しばらく珠閒瑠市に赴任することになった父についていった時、よく面倒を見てくれた二人だ。
    妹はもう家を出たらしいが、妙に慌ただしく支度したような形跡がある。几帳面な妹にしては珍しい。
    今日は休日。特に予定も考えていなかったが、何をしようか。

  • 29二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 08:44:09

    保守

  • 30二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 18:38:28

    奇妙な夢から目覚めた来栖暁がまず感じたのが、腹部の圧迫感だった。
    原因はすぐにわかった。猫が腹に乗っかってこちらを見ている。
    自分の相棒で、飼い猫ということになっているモルガナだった。
    「アキラ、お前も見たか?」
    モルガナはこちらの目覚めに気付くと、ずいと顔を寄せて聞いてきた。
    「見たかって…」
    「夢だよ、夢! あのお方…フィレモン様の夢だ!」
    フィレモン。夢に出てきた男の名前だ。
    「まさか、モナも同じ夢を見たのか?」
    「ああ!ワガハイにはわかる。間違いなく本物だ。あのお方が直接警告するなんて、絶対にヤバい…!」
    イゴールの上司ということは、モルガナからすれば上司の更に上にあたる存在といえる。
    この様子を見るに、彼にだけわかる何かがあるのだろう。
    「ともかく、みんなに連絡してみよう」
    モルガナが同じ夢を見たということは、同じくペルソナ使いである友人たちも同じ夢を見たかもしれない。
    彼らに連絡すべく、暁は枕元に置いたスマホを手に取った。

  • 31二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:17:56

    番外噂話『渋谷のゲームセンターにカジノコーナーができたらしい』

    暁「………」
    モルガナ「ゲーセンの前で立ち止まって、どうしたんだ?」
    暁「たしか噂が流れてた」
    モルガナ「噂? …ああ、カジノになってるとかいう奴か。まさかお前、入るつもりか?」
    暁「入ろう」
    モルガナ「いやダメだろ! ワガハイたちに遊んでる時間なんて――」

    尚也「く、外した…!」
    達哉「ロイヤルストレートフラッシュだ」
    舞耶「ダブルアップチャンス! まだまだ行くわよー!」
    湊「………また外れた」
    悠「よし、来い来い…」
    モルガナ「お前ら何やってんの!?」
    主人公ズ「「「「カジノ」」」」
    モルガナ「見りゃわかる! こんなことやってる場合かよ!?」
    暁「見ろ、モルガナ!」
    モルガナ「なんだよ…景品?」
    暁「貴重なアイテムや装備品ばかりだ…! 見たこともないようなものもある…!」
    モルガナ「もしかしてお前ら…それ目当てか?」
    尚也「各種石版が必要なんだよ。あと封神具も」
    達哉「強力な装備を集めるのにうってつけなんだ」
    舞耶「探索は他のみんなに任せてあるから問題ないわ!」
    モルガナ「問題しかねーよ!」

  • 32二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:21:18

    湊「桐条先輩たちには呆れられたし」
    悠「陽介たちにも叱られたが」
    湊&悠「「ここは譲れない!」」
    暁「よし、俺も早速…」
    祐介「む、暁」
    暁「この声は…」
    モルガナ「ユースケ…」
    尚也「封神具が欲しいんだってさ」
    暁「極貧なのにどうやってコインを…」
    悠「貸した」
    モルガナ「貸すなよ!」
    尚也「だって必死に地面に落ちたコイン拾い集めたり…」
    悠「店員に交渉してるの見てたら…」
    モルガナ「ユースケ、お前…」
    祐介「絵のモチーフにしたかった。手段はどうでもよかった。とにかく勝ったので反省はしていない」
    モルガナ「勝敗関係なく反省はしろ!」

  • 33二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 09:36:05

    書き始めたらまた色々続きが湧いてきたんだすまない
    保守

  • 34二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 19:19:03

    目覚めた先は、ベルベットルームだった。
    達哉が意識を取り戻したことに気付いたか、椅子に座っていた老人ーーイゴールが振り向いて声をかけてきた。
    「お目覚めですかな、お客人」
    「…イゴールか」
    「3度目の邂逅、嬉しく思うと同時に悲しくも感じます。運命は徹底的にあなたに辛くあたるようだ…」
    “運命”。その言葉を聞いて、打ちのめされそうになった自分に激励を飛ばしてくれた三人の大人を思い出す。

    「“運命なんてのは、後出しの予言と何も変わらない”。…全部終わった後で、“運命だった“と語るものだ」
    「…そうでしたな」
    「それにしても、随分と広くなったな」
    まるで映画館や劇場のホールのよう。達哉たちはホール部分に立っていて、空の座席がよく見渡せた。
    「ええ。今回は特別の事態。万全の状態であたるよう、フィレモン様から仰せつかっておりますゆえ」
    「ここはどこに通じてるんだ?」
    イゴールは頷いて、座席の中央にある階段を指差した。
    「あの階段を降りた先の扉が、東京の四軒茶屋に通じております」
    それを聞いて、達哉は最上段ーー実際の映画館などでいう出入り口に当たる場所にある四つの扉を指差した。
    「あの四つの扉も同じか?」
    「あの扉は今は開かぬようになっています。時が来れば、開く時が来ましょう」
    「そうか、助かる。…東京か」
    行ったことはないが、どうとでもなるだろう。噂を追わなければ。
    武器も所持品もペルソナもそのまま。体力も充分だ。
    「ちょっと待って」
    駆け出そうとする達哉を、また別の声が呼び止めた。
    見たことのない学校の制服を着た、どこか影のある少年だった。

  • 35二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 21:50:52

    「…誰だ?」
    「こっちの台詞でもあるんだけど。…俺は有里湊。さっきまで死んでて、君より先に起きたペルソナ使い。君は?」
    「あ、ああ…俺は周防達哉。お前もペルソナ使い…なのか?共鳴が随分と弱い…それにさっきまで死んでたって」
    「イゴール曰く、俺たちは覚醒がまだ不完全らしくて。共鳴ができるのも初めて知ったんだ。死んでたのは本当。何故か生き返っちゃった」
    「何故か…?」
    「生き返っちゃいけないはずなんだけどね…それはともかく。達哉、行くアテはあるの?」
    小声でぼそりと呟いた後、達哉に問う。
    「ない。だが、噂を追っていけば、いずれ…」
    そんな達哉を見て、湊が嘆息した。
    「…イゴール。説明してなかったでしょ」
    「説明する前に、あなたがお引き止めなさったので」
    「………どういうことだ?」
    「君は西暦何年の世界から来たの?」
    「何を…」
    「いいから。ここに来る前は西暦何年だった?」
    「…2000年」
    心の中で、世界が滅びずに進んでいればーーと付け加える。口に出す意義を感じなかったので黙っていたが。
    「そう。俺は2006年の世界から来たんだ。君の六年後輩ってことだね」
    「は?」
    突然の告白に耳を疑う。どう見ても自分と同じ年頃の少年にしか見えないからだ。
    「で、外は西暦何年かと言うと…2017年の春。君にとっては約十七年、俺にとっては約十一年先の、未来の世界だ」

  • 36二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 21:51:15

    「未来の…世界…本当なのか?」
    唐突に、次々と並べ立てられる言葉に、ついイゴールに確認する。
    「その通りです。補足を入れるなら、あなたのいらっしゃった時代から三度、試練が行われました」
    「それだけ時代が進んでる以上、外に出たところで僕らの常識はほとんど通じない。闇雲に出て行かない方が良いと思うよ」
    「しかし…」
    「イゴールの話だと、この時代にもペルソナ使いがいるらしい。
     異変が起これば彼らは必ずここに来るはずだ。動くのはそれからでも遅くない」
    奴の特性を考えれば、異変が表出する前に動かなければ手遅れになる危険があった。
    しかし、自分の常識が通じない未来の世界を行く宛もなく歩くのが無茶であることも事実だ。
    トレースされるだけだった前と同じようにはいかない。この時代の協力者の存在が必要だ。
    「それまでの間は俺やイゴールとの情報交換に充てればいい。俺も達哉の時代に何があったか興味がある」
    「…そうだな。俺もお前の話を聞いておきたい」
    湊には、奴の特性を説明しておいた方がいいだろう。逸る気持ちをどうにか抑えながら
    彼の提案に乗る形で、達哉は新世代のペルソナ使い達の到来を待つことにした。

  • 37二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 08:10:22

    保守

  • 38二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 14:15:32

    朝の連絡から数時間して。
    暁の友人であり元『心の怪盗団』のメンバーはルブランに集合していた。
    「さて。こうして、みんなに集まってもらったのは他でもない」
    「今朝見た夢について、だよね」
    「フィレモンという男と話をする夢を、みんなが同じ日に見た…か」

    「それで、噂が現実になるって話だが…みんな、なんか心当たりあるか?」
    「それについて、ここに来るまでに少し調べてみたの。今、噂になってること」
    「アタシも同じく。こっちはネット情報だけどな」
    モルガナの言葉に、真と双葉が声を上げた。
    「二人とも流石だな」
    「ふへへ、もっと褒めていいぞ?」
    暁の言葉に双葉は相好を崩し、真は少しだけ得意げな笑みを浮かべた。

  • 39二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 14:18:31

    「まずは私から話すわね。…一つ目が、ちょっと前に就任した『日本初の女性総理大臣』の噂」
    「ニュースでやってたね」
    「私も見たけど…オカモト・マヨだっけ?目がイっちゃってる感じがしてなんか好きになれなかったな」
    「岡村、ね。岡村真夜。あとマヨじゃなくて、マヤ。
     獅童の後任で入って、すごい人気だってお姉ちゃんは言ってたけど…私にもそうは見えないかな…」
    杏の言葉を訂正しつつも同意する真。暁もそのニュースを知っていたが、あまり良い印象は抱けなかった。
    取材では、“若人が悩むことのない未来を”という標語について熱心に語っていた。
    「その総理大臣が、なんかあったのか?」
    「それが関係してくるのが二つ目。"運命を操る占い師"の噂」
    「運命を操る?」
    「運命を見通して、不都合な運命は覆して都合のいい運命に確実に進めるようにしてくれる…らしいけど」
    「胡散臭え…もう占いどころか願いを叶えてるのと変わんねーじゃん…」
    「けど、実際にその人に相談して、思い通りの道に進めたっていう話、最近よく聞くよ」
    「どんな人なんだろ」
    「わからないけど…こう自称してるらしいわ。"JOKER"って」


    夜にまた落とすよー

  • 40二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 21:43:10

    「ジョーカー…」
    「コードネーム取られちまったな」
    「偽名として珍しくもないし、仕方ない」
    竜司に言われ、暁は肩をすくめた。
    「ここで女性総理大臣が出てくるんだけど…その総理大臣、その占い師の力で総理になったって噂なの」
    「うっそだろ…」
    「ユースケ、さっきから黙ってるけど、どうした?」
    会議が始まってから黙りっぱなしの祐介に、モルガナが声をかける。
    「腹が減った…」
    返事と同時に、大きな腹の音が鳴った。
    「真面目な話してんのに、お前…」
    「じゃがりこ食うか?」
    「助かる…」
    モルガナに呆れられながら、暁に差し出されたじゃがりこを受け取ってポリポリかじり始める。
    「私が調べられたのはこのくらい。後は双葉、お願いできる?」
    話の腰を折られ、真はこめかみを指で抑えながら双葉に話を振った。

  • 41二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 21:43:59

    「おう。真…センパイが聞いたのと同じ話は、ネットでも話題になってたぞ。特に占い師の方な」
    「お、先輩呼び」
    「親しき中にも礼儀あり。今から直しておかないと、これから大変だからね」
    「やっぱ言いづれー…で、その占い師、人気すぎて教団を作るなんて話も持ち上がってるらしい」
    「教団て…ほんとかよ?」
    「さあ。ネットの噂なんてそんなもんだし」
    「それで、ほかに噂は?」
    「もう倒産した企業なんだが…セベク――佐伯エレクトロニクスって会社、知ってるか?」
    「お姉ちゃんに聞いたことある。セベク・スキャンダルっていう事件で大変なことになったって」
    「それそれ」
    「なんだそりゃ?」
    「アタシたちが生まれる前。セベクの実験で、ある町が大混乱に陥って死人や怪我人が大勢出た…らしい」
    竜司の問いに双葉が答える。
    「らしい…って。それも噂かよ」
    「わかってるのは、いきなり街がメチャクチャになって、その原因を作ったのがセベクだったって証言が山のように出てきたことだけ。
     このせいでセベクの信用は地に落ちて、そのあと南条だか桐条だかに吸収された。それがセベク・スキャンダル」

  • 42二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 21:45:15

    「へえ…そんな事があったんだ」
    「よく調べたわね」
    「でもこれ以上は調べようがなくてさ。クラックしたり、どんだけやってもサッパリ出てこないんだ」
    「随分、徹底的に調べたんだな」
    「え!? い、いや…あの…と、とにかく! 噂だ! そのセベク、最近になって復活してさ。
     新宿に新しく出来た本社ビルの前で新製品のお披露目をするって…」
    説明を受けた祐介の呟きに、双葉は慌てた様子で身振り手振りし、話題を変える。

    「新製品?」
    「詳しくはわかんないけど、世界を揺るがすようなすっごい製品だって話。どんな製品なのか、あっちこっちで噂されてる。
     超高性能の新型パソコンだとか、ワープ装置とか…タイムマシンなんて噂もあったな」
    「タイムマシンって、オイオイ…」
    「なんか凄い研究員がいるんだってさ。…鷹取神久っていう、その道の権威らしい」
    「聞いたことないわね」
    「あたしもない。だから、さっきの占い師…JOKERに力を貸してもらったなんて噂もあるくらいだ」
    「もう、そのJOKERってのが絡めば何でもアリみたいになってねーか?」
    「ほんとにね」
    竜司のぼやきに杏が同調した。

  • 43二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 21:48:21

    「最後の一つが…"メジエドの創始者が帰ってきた"っていう噂」
    「ん?たしかメジエドの創始者って…」
    「フタバじゃなかったか?」
    「大正解。アキラとモナには特製モナぐるみをプレゼントだ。
     でもアタシはもうメジエドやめてるし、戻る気もない。リアルが忙しいしな」
    「…でも実際、メジエド絡みの事件、最近増えたよね」
    「昨日の停電も、あいつらの仕業だって噂だもんな。犯行声明があったってよ」
    「日本の連中の活動はフタバが止めたんだろ?」
    「そのはずなんだけど…あたしを怖がってないのか…あとな!何度も言うけど!
     あたしはメジエドにはもう微塵も関わってないからな!モナとそーじろーに誓っていい!」
    「なぜワガハイに誓う…?」

    今夜はここでいったん切ります

  • 44二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 22:41:16

    ルブランにパオフゥが来てそーじろーと声が似てると驚く双葉と
    コイツがあのハッカーかよと驚くパオフゥは見てみたくある

  • 45二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 08:41:28

    「整理すると…こうなるわね」

    1、占いで総理大臣になった女性
    2、運命を操るすごい占い師JOKER
    3、新生セベクの新製品
    4、メジエドの創始者が戻ってきた

    「うーん…なんかイマイチ、ピンとこないね」
    ホワイトボードに書かれた文章を見て、杏が眉をひそめる。
    「実感わかねえもんなぁ。本当に噂が現実になってるとかわからねーし」
    「そういえば、そのセベクのお披露目会っていつやるんだ?」
    「たしか…今日だ。もう始まってると思う」
    「今日!?」
    「ネットやテレビでライブ配信するって話だったから…見てみよう」
    スマホでは画面が小さいと言う事で、急いで暁のパソコンを起動して配信サイトにアクセスした。

  • 46二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 09:57:15

    すでに放送は始まっていて、社長の佐伯蘭道がマイクを取って研究員を紹介しているところだった。
    黒いスーツに、傷跡のある両目をサングラスで隠した男ーー鷹取が、社長の言葉を受け軽く会釈していた。
    「噂の研究員だ…」
    「なんかワルそうなオッサンだな…」
    「こういう時くらい、サングラス外せばいいのにね」
    『我が社の新製品についての噂は皆さまもご存知のはず! そう、これこそが世界を震撼させるシステム!
     その名も、ニュー・デヴァ・システム!!』
    「デヴァ・システム…!?」
    社長の高らかな宣言を聞いて、双葉が怯えたような呟きを漏らす。
    一同は怪訝な顔したが、すぐに画面に意識を向け直した。画面では、記者の質問に社長が答えているところだった。
    『しかし佐伯社長、ニュー・デヴァとのことですが…何がニューなのでしょう?』
    『ははは、よく聞かれます。鷹取博士、説明を』
    『デヴァ・システム…かつて我が社が開発していたものの、諸事情で発表できなかった製品の名です。
     これは、それを現在の技術を用いて改良・発展させたものなのですよ』
    『なるほど、かつて発表できなかったリベンジと…!』
    『そういうことです』
    『そして、このシステムの機能…それは、場所も、時すら超えて物を行き来させる事ができるというもの!』
    「うそ、ほんとにタイムマシン…!?」
    『安全上、人の移動こそまだ試していませんが…このシステムは間違いなく世界を変えるものとなるでしょう!』
    大きな拍手が起こる。佐伯は満足といった表情で、自身の背後にある台座を指差した。
    『皆様、ここに取り付けた台座は、ニュー・デヴァ・システムと接続されており…転送されたものがここに置かれる仕組みです。
     この手にあるスイッチを押せば、装置は起動し、転送が開始されます。皆様、カウントダウンを!』
    カウントダウンが始まる。この時、鷹取が皮肉げに笑ったような気がした。
    そして、起動スイッチが押される。

    その瞬間、世界がーー時空が揺れた。

  • 47二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 18:39:48

    ほしゅ。

  • 48二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 22:11:39

    保守がわり
    番外小話『ブラウンのあだ名表』

    ブラウン「ダチが一気に増えてヤッピーラッキーオレ様ハッピー…なんだけど、悩みがあってさあ」
    暁「悩み?」
    南条「どうせ大した悩みじゃないから気にしない方がいいぞ」
    ブラウン「ひっでーなぁ南条クンてば…いやさ、あだ名が枯渇気味でさぁ…」
    暁「………」
    ブラウン「なんか知恵貸してくれ!あ、チエチャンのことじゃねーよ?でひゃひゃひゃひゃ!」
    千枝「…蹴ってきていいかな」
    陽介「気持ちはわかるけどやめてやれ」

    尚也→なおりん
    達哉→タッちゃん
    湊→ミナちん
    湊「………寝る」
    順平「(眠い通り越してふて寝しだした!?)」
    悠→ユーりん
    「ユーりん…」
    「いくらなんでも男にユーミンは無いっしょ。だからユーりん」
    「(ユーミン…?)」
    暁→アッキー
    「思いつかねッス!」
    「じゃあアッキーで!」
    「天野くん!?」
    「知り合いが良くこういうあだ名をつけて呼んでたのよね。ちなみに私はマッキー」
    「あー、あのカメラマンの人」
    「マヤだからマッキー…?」
    「らしいわよー。で、被っても無理やり〇〇ッキーにするの」

  • 49二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 22:18:43

    「個人的に一番のヒットは、うららを励ます時に使ったあのフレーズね…
     『まあそんなに落ち込むなよ…マキムッキーの事なんか忘れてさ』!」
    「ぶっほ!」
    「誰っすかそいつ…」
    「牧村っていう、うららを騙した結婚詐欺師」
    「えええええ…」
    「とんでもねえセンス…」
    「くっふ…!まきむっきぃ…」
    「あー…雪子のスイッチが入っちゃったみたいなんで少し落ち着かせてきまーす」

    栄吉→エーキチ
    「何故!? なんで!? ホワイ!? ボクにはミッシェェェェル・栄吉っていう立派な二つ名があるのに!?」
    「お前がミッシェルってなんか違和感すげーんだよな」
    「しかも真顔で言われた!?」

    順平→ぺーちゃん
    「ぺーちゃんて、オイ…」
    「さんぺーにしなかっただけありがたく思えって!でひゃひゃひゃひゃ!」
    「ネタの引き出しがちょいちょい古いぞ、お前…」



    「じゃあ、ミキって人がいたらミッk」
    「やめろ有里! それ以上はまずい!」

  • 50二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 07:41:42

    保守

  • 51二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 18:37:26

    スイッチが押された瞬間、画面が揺れてーーその後は何も起きなかった。
    『………?』
    佐伯も困惑しているようで、鷹取と何やら話をしている。
    「なにか様子が変だ」
    「トラブルかしら」
    「…なんか、画面が揺れてねーか?」
    事実、揺れはどんどん大きくなっていた。佐伯は慌てた様子でスマホを取り出し、どこかへ電話する。
    『おい、制御室! これは一体…なに、暴走!?』
    マイクを切る余裕もなかったらしく、通話の内容が大音量で響く。
    何かあったのかと記者達がざわめいた。
    『すぐに装置を止めろ! 緊急停止ボタンを!』
    『無駄だよ…』
    鷹取の呟きをマイクが拾ったのは偶然か。
    いずれにしろ、大きくなる一方の揺れと、会場の混乱の中にその言葉はかき消えた。
    『カメラ止めて!』
    『うわぁ!?』
    係員の指示が聞こえたかと思うと、大きな音を立て、地響きと共にひときわ大きな揺れが会場を襲った。
    画面がぐるぐると回り、地面に落ちた。その衝撃で破損したのか、画面は見えなくなってしまった。
    そして、揺れは暁たちのところへも波及する。
    「きゃあっ!?」
    「地震!?」
    「みんな安全なところへ!」
    仲間と共にテーブルや机の下に隠れる。揺れがさらに大きくなり、暁は目を閉じる。
    一瞬の浮遊感と同時に、暁の意識は暗闇へと追いやられた。

  • 52二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 21:15:47

    時は少し遡り、ニュー・デヴァ・システム起動の少し前。
    湊は夢の中にいた。
    「ここは…」
    見渡す限り黒で埋め尽くされた、何もない部屋。天井こそ高いが、それだけだ。
    壁に触れると、泥のような感触が伝わってきた。
    『ようこそ』
    虚空から声が聞こえる。聞き覚えのある声だったが、どこで聞いたのか思い出せない。
    『生に答えはあったかな?』
    今の言葉で思い出した。生き返る直前に聞いた、二つの声の片割れだ。
    「…フィレモンだかニャルラトホテプだか知らないけど、姿くらい見せたら?」
    達哉から話は聞いていた。人のポジティブの面を具現化したフィレモンと
    ネガティブな面の具現化であるニャルラトホテプ。
    達哉曰く、ベクトルが違うだけでどちらもロクでもないとのことだったが。

  • 53二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 21:19:46

    『大した度胸だな』
    「こっちは一度死んでるんだ。なんてことない」
    空間が、愉快そうに揺らめいたような気がした。
    『なるほど、道理だな。よかろう、フィレモンと混同されるのも愉快ではない』
    周囲の泥が集まって、人の形をとる。最初は泥人形のような不気味な姿だったが次第に色がつき
    ディティールもはっきりしていく。明るい茶色の髪を後ろにまとめ、月光館の制服を着た女生徒の姿へと。
    「え…!?」
    知っている。自分は“この人”を知っている。

    『これで満足かね?』
    自分と同程度の年齢に成長こそしていたものの。
    本能的な感覚なのか、それともニャルラトホテプが何かしたのか。
    理解した。理解してしまった。
    「おねえ…ちゃん…!?」
    十年前のあの事故で、両親と共に亡くなった自分の双子の姉。
    その姿をとったナニカが自分の目の前にいた。金色の瞳を爛々と輝かせて、邪悪な笑みを浮かべながら。

    今日はここまで

  • 54二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 06:23:33

    『お前に一つ伝えるべきことがあったのでね。こうして招いた次第だ』
    「伝えること…?」
    中身がなんであれ、慕っていた姉と話している。その事実が、湊の判断能力を鈍らせる。
    『お前が目覚めた後…ニュクスと呼ばれるものの封印はどうなっているか、興味はないかね?』
    「………」
    『その沈黙は肯定と受け取ろう。端的に言えば、封印に問題はない。なぜかと言えば…代わりの人柱を用意したからだ』
    「代わり…?」
    「彼女だよ」
    ニャルラトホテプが指を鳴らすと、虚空に磔にされ、死んだように眠る女性が現れた。
    湊はこの女性も知っていた。
    「エリザベス!?」
    『ククク…健気だよ。お前の代わりに自ら封印されることを望んだ。喜べ、これでお前は自由の身だ』
    姉の姿をとった邪悪が笑った。
    「ふざけるな!」
    『なぜ怒る。彼女は望みを叶え、お前は解放された。それでいいではないか』
    「良くない…」
    『矛盾だな。お前は良くて、他人はだめなのか?』
    「………」
    『まあ、全ては、これを使えば済む話…』
    俯く湊をよそに、ニャルラトホテプは話を続ける。
    エリザベスの姿が闇に消え、今度は血管のようなコードがあちらこちらに伸びた、奇妙な形の盃が現れる。
    「それは…」
    『これは”聖杯“。願いを集めるため、偽神の残骸をもとに作られた“器”だ』
    「その聖杯がなんだって言うんだ…!」
    『“世界のリセット”について、周防達哉から聞いているか?この世は一度滅び、リセットされた世界。
     この器がこの世を否定する願いに満ちた時、時は再び巻き戻る。リセットされる前の“正しい世界”へとな』

    もうしばらく経ったら続き落とす…予定

  • 55二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 09:54:40

    「どうでもいい。俺は興味ない」
    『どうでもいい…か。お前が真に望んだ生き方ができるのだぞ?』
    ”いつも暗くて無気力で全然懐きもしない!こんな子供、なんで引き取ったのよ!?“
    “し、仕方ないだろ。兄さんの子で、家族を一気に亡くしたんだ…”
    “だったらアンタが世話してよ!私はもう、こんな不気味な子供の相手なんてまっぴら!”
    ”はぁ…どうしてこうなるんだ。せめて奏ちゃんだったら、あいつも…“
    仲間達と出会ってから忘却の彼方へと葬り去っていた、“名義上の保護者”の声。

    いつも明るく、前向きで社交的な性格の姉は周囲からの評判も高く
    当時から内向的な性格だった湊にとっても憧れの存在だった。
    だから。

    動揺する湊に追い打ちをかけるように、今度は幼い少年の声が響く。
    “おねえちゃん…なんで、死んじゃったの?”
    ”なんで…僕だけ生きてるの?“
    ”おねえちゃん…独りはやだよ…いっしょがいいよ…“
    “僕じゃなくて、おねえちゃんが…”
    背筋が凍りつくような怖気が走り、湊は頭を振った。
    「やめろ!」
    声を荒げる湊を、ニャルラトホテプは冷徹に見据える。
    『影を拒絶するのか? 愚かな男だ。たとえワイルドであろうと、影からは逃れられん。それが運命だ。
     …そろそろ時間か。また会える時を愉しみにしているぞ、有里湊…ククク…ハハハハハ!!』
    影の哄笑が聞こえる。それがどんどん遠くなっていき、大きな衝撃が湊の意識を現実へと引き上げた。

  • 56二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 20:32:43

    湊が目を覚ました時、大きな揺れがベルベットルームを襲っていた。
    「なに…?」
    「わからない。地震か?」
    「いいえ。ベルベットルームが外界の物理的な影響を受けることなどあり得ません」
    「なら…外で何か起きたのか…!」
    イゴールの言葉を受け、達哉は刀を握る手に力を込めると同時に、湊を見やる。
    「随分とうなされていたようだったが、大丈夫か?」
    「…ちょっと夢見が悪くて」
    それだけ伝えた。エリザベスのこと、姉のこと、そして聖杯。
    言うべきことは山ほどあったのに、伝える気が起きなかった。
    どこか様子のおかしい湊に達哉は訝しげな目を向けたが、それを問う前に部屋に変化が訪れる。
    「な…」
    「おや、君は。随分と久しぶりじゃないか」
    「その声…ナナシか?」
    今までどこに居たのか。ホール部分が拡張されて、多くの人が自分たちの背後に現れた。
    達哉はこのうちの何人かと面識があったらしい。しかし、本来ここに居るべきはずのエリザベスはいない。
    「…取り戻さなきゃ」
    まずはエリザベスだ。ニャルラトホテプを倒してこの騒動を片付ければ、封印も本来のカタチに戻せるはず。
    「イゴール、他に何か変化は」
    「先ほどの揺れの影響で、閉じられていた最上段の扉が開いたようですな」
    「よし」
    「湊?」
    「ごめん、急ぐ理由ができた。ちょっと外を見てくる」
    「何を…」
    達哉の静止もきかず、湊は駆け出した。
    熱に浮かされるように、あるいは過去の記憶を振り切るように。

  • 57二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 00:25:05

    念のため保守。

  • 58二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 09:57:33

    私、佐倉双葉はモーレツに混乱している。
    状況を整理しよう。あの地震で気を失ってて、そんで気付いたらなぜか学校みたいな場所にいて。
    わけわかんないうちにシャドウが出てきたから逃げて、逃げてたらこのオールバックメガネ達に助けてもらって。
    で、今はいろいろ質問を受けている。ホールドアップって奴だ。総攻撃チャンスだ。敵は総崩れだ。私の精神も総崩れだ。
    やばい胃が痛む。胃が破裂して死にそう。そうじろう、暁、モナ…この際おイナリでもいいから誰か助けて吐きそう!

    「…おい。聞いているのかいないのか、はっきりしろ」
    「南条先輩、もうちょっと優しく話しかけられねえんスか? 怯えてますよ」
    保健室らしい場所に居るのはあたしを除いて四人。全員、見たことのない制服を着ている。
    私を問い詰めてくるオールバックのメガネと、そいつと同じ制服を着た茶髪のチャラそーなヤツに
    メガネを宥めてくれてる金髪のヤンキーみたいなヤツ。
    そしてあたし達から少し距離を取る形でやり取りを見つめてる、ちょっとキツそうな印象の長い赤髪の美人。
    「そーそー!南条はさ、もーちょっとオレさまを見習って愛想良くしろって! なー、みつるん先輩!」
    「み、みつるん?」
    茶髪のチャラそうな奴がはやし立てる。
    話を振られた赤髪の美人は、いきなり付けられたらしいあだ名に困惑してるらしい。

  • 59二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 17:01:27

    保守

  • 60二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 21:52:50

    「お前も深呼吸でもして落ち着け…つっても、この先輩たちの前じゃ難しそうだけど…」
    お、おお。このヤンキー、よく見りゃリュージと似てる気がするぞ。そうだ、落ち着くんだ佐倉双葉。
    そうだそうだ。こいつらはみんな知り合いだ。知り合いってことにしよう。
    顔が怖いからなんだ。そーじろーの悪人ヅラを思い浮かべるんだ。
    「ナ、何かゴ用ディスカ?」
    よしゃ、言えた!
    「…口がきけない、というわけではないようだな」
    「は、はひっ! く、クチきけます! さー!」
    「しかし意思疎通は難しそうだな…どうしたものか」
    顎に手を当て考えるオールバック。せっかく勇気出したのにそれかよ!
    「すげぇキンチョーしてますよ」
    「しょーがねーなぁ、なんじょうくんは!
     見てろよ、オレさまの泣く子も黙る鉄板爆笑ネタで和ませてやるぜ!」
    途端にイキリだした茶髪に、あたし含む全員が注目する。泣く子も黙る?
    「ふーっふっふっふっふっふっふっふっふっふ! 『ふ』が十個でェ、とぉぉぉふぅぅぅ! 笑えよ!」

    場の空気が凍った。

  • 61二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 21:57:29

    「上杉、ギャグで人を黙らせてどうするんだ?」
    みつるん先輩(仮名)が突っ込む。この空気で平然と、しかも今そこに突っ込むとか!勇者か!
    「あ、ソコ突っ込んじゃいます?」
    「気にするだけ無駄だ桐条…こいつは底抜けのバカなだけだ」
    「お、俺はおもしれーと…おもしろ…」
    「無理しなくていいぜカンちゃん…ちくしょー、マジメくんばっかりなのが悪いんだ!
     なおりんや麻希ちゃんなら大笑いしてくれるのに!」
    「それは愛想笑いというんだ」
    けど、なんとなくコイツらのキャラはわかってきたーーような気がした。


    ちょっとネタが追いつかなくなってきてるので、しばらく保守を兼ねた小出しや番外が多くなってくるかも

  • 62二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 07:05:01

    「…表情が少し柔らかくなったな?」
    「やっぱオレ様のギャグが効いたってことだな!」
    「…ふむ。なら、こうしよう。俺が質問するからイエスかノーで答えろ。頷くか、首を横に振るだけでもいい」
    ドヤ顔の茶髪を華麗にスルーしてメガネが聞いてきた。
    こくこくと首を縦に振る。情けない話だが、やはりまだ見知らぬ人は怖かった。
    「よし。さて、今後この調子で質問していこうと思うが…まず、お前はペルソナ使いだな?」
    ペルソナを知ってる…何者だ、こいつ。
    「…質問の意味はわかっているか?」
    「答えたくないのなら首を縦に、質問の意味がわからなければ首を横に動かせ。動かさなければ答えたくないとみなす」
    ノーコメント不可能か!ならシラを切る!首を横に振った。
    「南条先輩、知ってるのにわざわざ聞く必要あるんですか?」
    え。なにそれこわい。
    「こいつのペルソナに対する認識がわかる。…どうやら、あまり大っぴらに明かすものではないという警戒心はあるようだ」
    「俺、素直に答えちまった…」
    「気にすんなカンちゃん。そーゆーのはセーシツ?セーカク?みたいなので変わるんだからさ」
    「な、なんで…!?」
    「微弱だが、共鳴している」
    「きょ、きょーめー!?」
    そんなん知らねー!ペルソナ使ってもいないのにわかるって嘘だろ!?
    「お前も共鳴現象を知らないのか?」
    「やっぱ先輩特有のモンじゃないんですか?」
    「俺の仲間は全員できる。猿から切れ者、そこにいるバカにも出来たことだぞ」
    「ひでぇや南条…トホホ…」
    肩を落としている茶髪。あいつもできるのか、
    「つっても、わかんねえもんはわかんねえしな…」
    「ふん。ん?」
    聞こえてきたのは人間の足音。しっかりとした足取りで近づいてくる。
    「なんすか。また誰か…」
    そうして入ってきたのは、見るからに怪しいド派手なスーツにロン毛とサングラスのおっさんだった
    「おいおい…懐かしい感じがすると思えばお前かよ、南条」

  • 63二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 17:01:26

    「あなたは…」
    「忘れたのか? パオフゥだよ、パオフゥ」
    「パオ…?失礼ですが、どこかでお会いしましたか?」
    「…勘弁してくれよ、マジで忘れたってのか。つーかお前、ちょっと見ないうちに雰囲気変わって…
     いや、その前になんでエルミンの制服なんて着てる。コスプレなんてガラじゃねえだろ」
    「エルミンの生徒がエルミンの制服を着ているのは当たり前でしょう」
    「………まさか。お前、今いくつだ?」
    「17ですが…」
    「マジかよ…」
    「?」
    「そんで、そのパオフゥが何の用だよ」
    「用も何も、共鳴を追ってきたらここに辿りついたってだけなんだが…そもそもここがどこなんだか…」
    って、あれ? この声は。よく聞かなくてもわかる。わかるぞ!
    ああ、間違いない!この声!この偏屈そうな態度!こいつは!
    「そうじろう!」
    「…あ?」
    「やっぱりその声、そうじろうだ!」
    「誰だ、そりゃあ…っておい、抱き着くな!」
    「………ロリコン?」
    「違ェ! くそ、離れろ!」
    「寂しかったぞおおおお! ここ知り合いいないし!
     グラサンとカツラで隠したって声でわかるんだからなそうじろう!」
    「人違いだっつってんだろうがあああ!」

  • 64二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 17:22:11

    初代と2って3以降と違って
    メガテンテイスト的なザコ敵(ゾンビや天誅軍とかの人間系)が通常エンカしてたけどその辺どうなるのかな

    ラストバタリオン?人間系というかではあるけどあれは噂の産物だし……

  • 65二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 21:04:58

    >>64

    異世界限定で戦う3以降と違ってリアルで街が大混乱&向こうから殺しにくるからなぁ

  • 66二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 22:11:18

    >>65

    シャドウとかと違って悪魔がそのまま彷徨いてたり

    その流れで外道とか人間とかマシンとかそういうのがいるよね


    でもペルソナ3のアイギスの前身がXシリーズだとすると

    最低でも天誅軍らしきものは存在してるってことになるという話もある

  • 67二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 00:52:24

    >>66

    そうなんだよね。

    アイギスの技術元=新世塾説が正しければ、罰かそれに似た事件が起きてるってことで…

  • 68二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 07:54:36

    「人違いだっつってんだろうがあああ!」
    「落ち着いて下さい」
    「パオフゥは偽名か」
    「ええと…ソージローさん?」
    「ハデなのに意外とシブい名前なんすね」
    「確かに日本人だけどな! 俺はソージローなんて名前じゃねえ!」
    「つれないこと言うなよそーじろー!」
    「黙ってろお前は!」

    ・ ・ ・

    数分後。あたし達は揃って正座させられ、ゲンコツを食らっていた。
    「落ち着いたか、ガキども?」
    「拳骨…初めての経験だが…なかなか痛いな…」
    「山岡にやられて以来だ…」
    「なんで俺まで…」
    「いたい…」
    「いいか。俺はパオフゥで、惣治郎なんて名前じゃねえ。わかったな?」
    「でも、声…」
    「わ・かっ・た・な!?」
    「…うー」
    声は絶対そーじろーなのに…

  • 69二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 15:56:25

    「さて。落ち着いたところで情報交換といこうか」
    「まずは自己紹介をしませんか。お互いに名前も知らないのではやり辛いでしょう」
    「…そうだな」
    「では、俺から。名前は南条圭。聖エルミン学園の生徒だ」
    「オレ様は上杉秀彦! 南条と同じくエルミン生だ! 親愛を込めてアダ名のブラウンって呼んでちょーだいな!」
    「次は俺かね。本名は嵯峨薫…断じて惣治郎じゃねえ
     いろいろ事情があるんでパオフゥと呼べ。今はマンサーチャーなんぞやってる」
    「私は桐条美鶴。つい先日まで月光館学園に通っていた」
    「…あ、俺? 俺は巽完二。八十神高校の一年ッス」
    「さ、最後は…わ、私か? さ、佐倉双葉。今年の春から、秀尽学園に通う…予定」
    「ふむ、こんなものか…さて。まず聞きたいことは…ミスターパオフゥ、それに佐倉と巽。
     あなた方がどの時代から来た人間か、ということだ」
    「ふぇ?」
    「なんだ、気付いてやがったのか」
    「桐条が居ましたから」
    「なるほどな。分家なんだから気付いてもおかしくねえか」
    「あなたが俺の名前を知っていたのも、未来の俺と接点があったからではありませんか?」
    「正解だよ。俺が居たのは2000年。お前さんには、ある厄介ごとの縁で協力してもらった」

  • 70二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 20:21:59

    「あのー、話が読めねえんですけど」
    「そこのカレンダーを見ろ。特に年代のところだ」
    「平成8年…1996年!?」
    せんきゅーひゃくきゅーじゅーろく!? 20年前じゃん!
    「この世界…俺と上杉の世界の年号だ。おそらく、お前たちは別々の時代からここにやってきている」
    「私の知る南条圭はとうに成人し、南条グループの総帥となっている。
     だが、ここにいる南条圭はまだ学生で、肩書きも次期総帥だという」
    「俺の知る桐条美鶴は桐条グループの次期総帥の娘である幼い少女だ
     桐条の家にこの年ごろの女子がいるという話も聞いたことがない」
    「だから、お互いが違う時代からここにやってきた…って解釈したわけだ」
    「…しかし、未来人が来たってのにセンパイ達は全然驚かないんスね…」
    「非常識なコトにはもう慣れちまったからなぁ」
    「とはいえ、信じ難い事態であるというのも事実。どんな存在が動いているのか…」
    「おおかた、フィレモン達が懲りずに何か企んでるんだろ」
    「フィレモン?」
    夢に出てきた肩幅!

  • 71二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 20:26:39

    「知らないのか?」
    「おいおい…あいつに会わずにどうやってペルソナを発現させるんだよ」
    「いや、俺も知らねえッスけど」
    「私も」
    きりじょーセンパイとカンジの答えに、ブラウンが首を傾げる。
    「えええ。だってキミたち…ペルソナ様遊びやったんでしょ?」
    「ペルソナ様遊び?」
    「そういや昔、そんなのが流行ったってお袋が言ってたっけ…でも、だいぶ昔の話ッスよ」
    「………」
    「ムカシ…ね。オレ様ちょっとフクザツだぜ…」
    「時の流れで廃れた…ということでしょうか?」
    聞かれたパオじろーは自嘲するように笑って、肩をすくめた。
    「人の噂も75日しか保たねえのに、子供のまじないが何年も続く方がおかしい…ってか」

  • 72二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 23:51:01

    「あ、あたしは知ってる…今朝、夢に出てきた。蝶の仮面つけた肩幅スーツ…」
    「肩幅スーツ?」
    「でひゃひゃひゃ!たしかに、あいつめっちゃ肩幅でけーもんな!」
    眉をひそめるなんじょー。ブラウンには大ウケだった。…あ、パオじろーもぷるぷるしてる。
    「…ま、まぁ間違っちゃいねえな…!で、夢に出たって…?」
    「ああ。噂が現実になるとか、どーとか…」
    そこまで言うと、パオじろーの顔色が変わった。
    「噂が現実になる…本当にそう言われたのか?」
    「お、おう。それで仲間と作戦会議してたら、こんなことに…」
    「何か、気掛かりなことでも?」
    「いや。まだ情報が足りねェ。…全員、これまでの事情を確認させてくれねえか」
    「長くなりますが。よろしいですか」
    「お、俺はうまく説明できるかわかんねースけど」
    「あたしも同じく…」
    「…せっかくなので、あなた方からも説明を頂きたい。何があったのか」
    「口外しないってんなら、構わねえ。いちおう、機密事項なんでね」
    「同じくだ。下手を打てば厄介な事態になるからな」
    「もちろん」

  • 73二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 00:06:32

    「デヴァ・システムによる街の異界化、噂の現実化、影時間、テレビの中、認知の世界…か」
    「見事にバラバラだな」
    「…だが、共通点はある」
    「人の意思…無意識、アクマとシャドウ…そして異変を打倒する力、ペルソナ…か」
    「俺たちの時もたいがいだったけど、ほかの奴らもぶっ飛んでんな。…佐倉?」
    他の奴らの話、いや、正確には、なんじょーの話を聞いた時。
    頭痛とともに、ある記憶がフラッシュバックする。
    子供の頃、アルバムを開いてお母さんにアルバムを見せてもらった時だ。
    ーー『ねえ、おかあさん。この写真に写ってる人たち、だれ?』
    ――『双葉が生まれるずっと前に、お母さんの研究のきっかけを作ってくれた人達よ。名前はね…』
    その続きが紡がれる前に、あたしの意識はカンジによって呼び戻されていた。
    「おい、大丈夫かよ。ひでぇ顔色してたぞ」
    「うぇ、あ、ああ…うん…」
    「何か、心当たりでもあるのか?」
    「い、いや…気のせいだ。気のせいの…はずなんだ」
    きりじょーセンパイの問い。答えきれずに視線を外すと、向こうも何かを察してくれたようだ。
    「何か思い出したら話してみてくれ。私でなくとも、ミスター・パオフゥや巽でもいい」
    「なんで俺と巽なんだ?」
    「どうやら、あなた方に懐いているようですから」
    そう言って、きりじょーセンパイはにこりと微笑んだ。
    そんな私たちに、パオじろーが何故か視線を向けていた気がした。


    保守むずかしす。

  • 74二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 07:10:47

    「話を戻すが…目下のところ最新の異変は、佐倉の言ってた噂の現実化現象だ」
    「パオフゥ氏の時の異変と同じですね」
    「この事態になった原因も、そこにあると?」
    「俺はそう睨んでる。…ともかく、のんびりしてる時間はなさそうだ。とっととここを出ようぜ」
    「そう簡単に行けば良いのですが…」
    「何かあるのか?」
    「いや、オレ様たちも最初は出ようとしたんだよ。でも、昇降口に明らかにヤバいのが居座ってて」
    「俺と上杉では手に余りそうだったので、探索をしていたのですが…」
    「さすがに、ガッコじゃあロクな武器も防具もなくてさ。困ってたら共鳴にアンタたちが引っかかったワケ」
    「ここ、やっぱり学校なんだ」
    「おう。説明してなかったっけか? 御影町の聖エルミン学園。オレ様と南条の母校ってヤツだな!」
    御影町…いかん、また頭痛がしてきた。
    「…このレイピアも部活用のものか。たしかに、実戦に使うには些か頼りないな」
    ぐにぐに曲がるレイピアを見て、きりじょーセンパイも渋い顔をする
    「俺は鈍器ならなんでも…」
    「鈍器か…パイプ椅子や机ならあるぜ」
    「あ、あたしはナビゲーション専門で、戦うのは…」
    「でもこの人数なら、数で囲んで叩けば余裕じゃないッスか?」
    「叩ければなー」
    カンジの提案に頭を掻くブラウン。なんじょーもフクザツな顔だ。
    「どういう意味だ?」
    「見ればわかりますよ」
    そう言ったなんじょーは、あたしたちを連れて昇降口へと向かった。

  • 75二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 15:37:51

    そうしてやって来た昇降口。出入り口を壁の影からこっそり見張る。
    「あれです」
    人型をした鉄の塊が、重い金属音と駆動音を響かせ昇降口の周辺をうろついていた。
    手にはそのメカメカしいボディに到底不釣り合いな刀が備え付けられている
    「ろ、ロボット…!?」
    「あれは…!」
    「X-1…!?なんだってここに…」
    「ご存じなのですか?」
    きりじょーセンパイの質問に答える前に、パオじろーは慎重に元来た道を引き返し始めた。
    「…一旦撤収だ。奴に気付かれる前に退くぞ」

    ・ ・ ・

  • 76二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 15:38:59

    保健室に戻ったあたしたちは、再び作戦会議を開いていた。
    「対ペルソナ使い用二足歩行兵器X-1。本来は俺たちの時代に開発されたシロモノだ」
    「対ペルソナ使いって、ンな限定的な…」
    「ペルソナ使いに特に効くってだけで、実質人型の戦車みてえなもんだ。
     完全装備の軍人でも対処は難しいだろうよ」
    「X-1…Xシリーズか…」
    「少なくとも、モップや部活用の剣じゃ話にならねえ」
    つまり、倒して脱出するのは不可能ということ。
    「そういや、パオフゥさんの武器って何なんです?」
    「あ?あー、見せてなかったか。ーーま…見せるだけならこれでいいか」
    そう言ってポケットから取り出してみせたのは十円玉。それを握り込むと、指で勢いよく弾き飛ばす!
    弾き飛ばされた十円玉は音を立てて壁に激突し、小さな跡を残した。
    「こいつが俺の得物でね。弾が良けりゃ、もっと威力が出るんだが…十円玉じゃここまでか」
    そう言って自分の手を見せるパオじろー。弾き飛ばされた十円玉を見ると、ひしゃげたように潰れていた。
    「どっちにしろ、今の俺たちじゃ勝ち目は無い。うまくかわして逃げるしかねえ」
    「あいつに見つからずに出るのは無理じゃ…」
    「俺が指弾であいつの気を引く。その間にここから逃げろ。そうしたらお前らが外で時間稼ぎだ。その間に俺も逃げる」
    「あ、危なくないっすか!?」
    「ヤバくなったら引っ込むさ。それに、ここにいる飛び道具持ちは俺だけだ。最悪、お前らだけでも外に出て、装備を整えろ」
    「…わかりました」


    また夜くるよ

  • 77二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 20:20:34

    「だが、この十円玉で奴の気を引けるかは正直微妙だ。あいつにとっちゃ小石みてえなもんだろうからな
     指で飛ばせるモンなら何でも良いんだが、誰かもっと威力ありそうなもん持ってねえか?」
    「ふむ…」
    「こういう時先輩なら何か持ってんだけど…!」
    「南条、なんか持ってねーの?」
    「表と裏が逆の十円玉ならあるが」
    「そういうんじゃなくて!ほら、普段あんなに一番一番言ってんだしさ、メダルとか特注のコインとか!」
    「…バカか」
    「無茶言ってんのはわかってるんだって…そうストレートに言わなくてもいいじゃんよー…」
    ブラウンの無茶振りを、なんじょーが流し…て、ない?
    「常備しているに決まっているだろう。一番メダルと一番コイン」
    「は?」
    なんじょーは当然のように、ポケットに入っていた金色のコインと青色のメダルを差し出した。
    両方ともでっかく『1』が刻印されている。全員、本日2度目の硬直。そして
    「「「マジで!?」」」
    同時に突っ込んだ。

    「いやマジかよなんじょうくん!さっすがオンゾーシ何考えてんのかわかんねー!!」
    「…なんか、南条先輩が一層わかんなくなりました」
    「後の南条の総帥が…意外なところがあるものだ」
    ブラウンはゲラゲラ笑いながら、カンジは呆気に取られながら、きりじょーセンパイは興味深そうに。
    三者三様に混乱しているが、さすがパオじろーはタバコを咥えて動じない姿勢…
    いやめっちゃ動揺してるわタバコの向き逆だ!

  • 78二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 20:24:56

    「…たしかに。なぜ俺はこんなものを持っているんだ?」
    疑問を受けて、なんじょーが自分が信じられないかのように両手を見る。
    「へ?」
    「そもそも何のコインとメダルなんだ、これは。まったく覚えがないぞ」
    「………」
    「まさか、噂か…?」
    「しかし、こんなピンポイントな噂を誰が…」
    「あ」
    「『あ』!?」
    「上杉、貴様…!」
    「あばばばば!待って待って南条!色々ハナシの流れでね!?悪気があったわけじゃないんだ!
     イジメとかそういう意図は断じて無いんだ信じてくれェ!」
    「悪意があればとうに殴っているわ大馬鹿ものが!」
    怒ってブラウンの胸ぐらを引っ掴む南条をきりじょーセンパイが抑えた。
    「落ち着け総帥。…パオフゥさん、行けますか」
    「おう、充分だ。だが、どれだけ保つか。なるべく早く頼むぜ」
    さあ…作戦決行だ!


    今日はここまで。

  • 79二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 07:16:42

    保守

  • 80二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 07:24:30


    SS面白いな
    自分ここまで考えれんわ

  • 81二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 07:34:51

    >>67

    例え天誅軍ではなく自衛隊が作ったとしても「X-1が倉庫で何らかの活動して破壊され回収される」

    というのが必要になるし

    X-1自体が人の脊髄使ってたりする厄物だから天誅軍とかじゃない限り運用出来ない気もするんだよな……

  • 82二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 08:20:37

    見てくれてる人居てくれた…感想も保守もありがてぇ…ありがてぇ…ありがてぇ…


    パオじろーの計画は単純なものだ。
    まず、昇降口のそれぞれ左右に先行脱出組とパオじろーで分かれる。パオじろーに気を取られた隙にあたし達が昇降口から脱出。
    武器が役立たずなので、ナンジョー、きりじょー、ブラウンの三人は外に出た後にペルソナでパオじろーの脱出を援護
    ちなみに戦えない上に体力のないあたしは、ペルソナ召喚の自信がないらしい完二に担がれて逃げるというちょっと情けない状態だ
    ダイジョブかなぁ、みんな…
    「さあ、行くぞ!」

    ロボがこちらを向いた。
    やべっ、タイミングがズレた!先にパオじろーが見つかるはずだったのにーー
    「指弾だッ!」
    「…!」

    銃口を向けられた瞬間、パオじろーの指弾が轟音を立ててロボに命中。
    衝撃にロボットが一瞬だけ体勢を崩す。すげえな南条メダル…
    「よそ見すんじゃねえぞポンコツが!てめェの相手は俺だ!」
    よろめいたロボットを、さらにパオじろーが挑発する。
    その声には色んな感情がこもっているような気がした。

  • 83二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 08:40:00

    パオじろーの計画通り、あたし達は昇降口を抜け、エルミン学園の校門まで走り抜けた。
    「よし、全員出たな。佐倉と巽はもう少し離れておけ。…連絡はどうする?」
    ここは1996年の世界。基地局の問題なのかなんなのか
    アタシのスマホや完二のケータイは通話もメールもできなかった。
    「オレ様のケータイ預ける。こいつなら通じるだろ。…完二、ちゃんと双葉ちゃん守れよ」
    「任せてください!」
    ぐっと握手を交わす。
    珍しく真面目な声色で、ブラウンが完二に言い聞かせる。無力なこの身が憎い…
    「あ、でも余計な電話とかやめてくれな!電話代バカになんねーから!」
    破顔してバカ笑いを始めるブラウン。こいつにシリアスは五分と保たないらしい。
    「…てか、もう先輩達のところ行かなくて良いんスか」
    あの二人はとっくにパオじろーの援護に向かっていた。
    「え!?オレ様置いてかれてる!? 待ってよなんじょーくん!みつるんせんぱぁい!」

    その頃。パオフゥはというと。
    「………」
    【ムラマサコピー】
    ペルソナ封じの妖刀の一撃を、なんとか避ける。
    こいつを喰らったらやばい。紙一重で一撃を避けた。
    「ちっ、やっぱ一人じゃキツいか…」
    ロクな防具がないのもあって、パオフゥのダメージも大きかった。
    「だが…」
    子供たちは送り出せたのだ。目的は果たしている。
    しかし、あの少女ーー双葉と言ったか。誰かに似ているような…
    そこまで考え、相手の銃口がこちらを向いていることに気づいた。

  • 84二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 08:41:04

    「俺もヤキが回ったかね…?」
    自嘲するパオフゥ。それでも手の“弾丸”は捨てない。
    そんな時だった。
    「来い、アルテミシア!!」
    【ブフダイン】!
    「よろしく頼むぜェ、ティール!」
    【ザンダイン】!
    「!!」
    「やっと来たか…!」
    送り出した二人の救援だ。誰かが土煙に紛れて自分に近づき、肩を貸された。
    南条だ。
    「傷がひどい…急ぎましょう!」
    「これくらいなんともねえが…あんなもんその場しのぎだ。トンズラするぞ!」
    「うっそぉ…まるで効いてねえでやんの…!」
    煙が晴れた先に健在のX-1の影を見てブラウンが驚愕する。
    「総帥、パオフゥさんは!」
    「確保した! 逃げるぞ!」
    「オマケだぜ、クソッタレが。ーープロメテウス!」
    【雷の洗礼】!
    苦手な雷を食らって機械が動きを鈍らせ、一行はエルミン学園の脱出に成功したのだった。

    「次はスクラップにしてやるぜ…竜蔵の置き土産…!」
    立ち去る際に、捨て台詞を残して。

  • 85二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 20:19:59

    ほしゅ

  • 86二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 23:08:32

    番外『X-1の噂』

    ーー???
    「…あなたの仰っていた、運命を破壊する者たちの調査。進捗はいかがですか?」
    顔をヴェールで覆った女性が虚空に問うと、一人の少年が現れる。
    「順調だよ。とりあえず五箇所で確認できた。後始末は任せてくれ」
    「ありがとう。なんでも任せてしまってごめんなさい」
    「気にしないで、JOKER様」
    「二人きりの時はやめて欲しいのですが…アキラさん」
    金色の瞳をした来栖暁が、そこに居た。

    「やあ、鷹取。お疲れ様」
    セベクに『貸し出されていた』男がちょうど戻ってきていた。
    “運命の教団”技術顧問。鷹取神久ーーの正体、神取鷹久と、眼帯をつけた彼のボディガード。
    「筆頭幹部がお目見えとは珍しいな」
    「ちょっとした連絡と、調整をね。…そういえば、広報部長が居ないね?」
    「総理の相手だよ。変人には変人を…だ」
    「クッ…彼女の力は運命…未来を操るもの。20年前も過去の託宣とやらが成就できるわけないじゃないか」
    嘲笑う偽暁を見て、神取は自嘲気味に笑みを浮かべた。
    「やはり、その顔をしている方が“らしい”な。そもそもあの教師の中身を“向こう側”にすげ変えたのはお前だろう?」
    「それは“俺”じゃない。…長い付き合いなんだ、見分けくらいつけて欲しいな」
    「無茶を言う。いい加減、私も休みが欲しいのだがね」
    軽口を叩く神取を初めて見たらしく、ボディガードが驚いていた。
    「その方が無茶だ。あんなものを作って名を売った以上、しばらく休暇はないよ」
    「因果は巡る、か…さて」
    「どこに行くんだ?」
    「ひと仕事終わったんだ。サラリーマンらしく、この後輩と食事に行くのさ」
    ボディガードがつい吹き出すのを見て、神取もくすりと笑った。

  • 87二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 23:15:49

    「…ま、いいさ。親睦を深めるに越したことはない」
    「ついでに忠告しよう。女遊びはいいが、本命は一人に絞っておけ。殺されても知らんぞ」
    ボディガードが今度こそ大笑いし、偽暁も苦笑した。
    「せいぜい気をつけるよ」

    その後。偽暁は教団傘下にいる、とある人物にメッセージを送った。

    ・ ・ ・
    『教団の転校生より創始者メジエドへ。邪魔者の足止めを求む』
    『そーいうカタい文章はやめようぜえ、“教団のジョーカー“。教団の支持者は使えねーの?』
    『今のままでは使えず、追加のJOKERもまだ足りない。せっかく分断したのに簡単に合流されては困る』
    『仕方ないなぁ。了解』

    偽の暁からメッセージを受け取った人物は、5台の特別製大型コンピュータに接続された多数のモニターを前にほくそ笑む。
    「ま、すでに世論はもう私の手のひらの上。人形には死ぬまで踊ってもらわなきゃなぁ…」
    自衛隊のデータベースに侵入して情報を抜き、それをかねてから抱き込んでいた記者に情報をリーク。
    適当な都心の巨大モニタをハッキングし、派手にメジエドの犯行であると宣言する。
    「楽でいいねえ、SNSってのは。…念願の不老不死と引き換えの取り引きだ。安いもんだろう?菅原元陸将…ククク…」

    『我らはメジエド。腐敗した社会に反逆する者。自衛隊から奪った機体はすでに同志へと引き渡した』

    翌日の新聞やテレビで、このようなニュースが報道された。
    『速報! 陸上自衛隊の機密情報が流出! ハッカー集団メジエドが犯行声明!』
    『自衛隊、過去に非道な人体実験!?』
    『当時の責任者、菅原元陸将は現在消息不明!』

    あとは簡単。SNSによって、噂ーー認知は爆発的に広がっていく。
    『自衛隊が過去に研究していた秘密兵器が奪われたらしい』
    『当時の日本の技術の最先端技術で作られていて、現在も問題なく稼働するらしい』

  • 88二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 23:18:11

    そして、関係ないどこかで。

    「ねえ、知ってる? あの病院の地下から、夜な夜な不気味な声が聞こえるんだって」
    「ほんと?」
    「呻き声とか悲鳴みたいな…ガンで苦しんで死んだ患者の亡霊だって噂だよ…」




    『I…ITAIeeee…ITAAAAeeeeeee…!』

  • 89二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 08:16:10

    保守

  • 90二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 09:24:38

    5メンバーからしたら異聞録や2メンバーって親世代だよな

  • 91二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 16:40:32

    >>90

    異聞録が1996、罪が1999、罰が2000年だからな…

    仮に5が2016年だとしたら、3のキャラでも三十路前後か?コロマルも寿命が危うい…

  • 92二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 01:34:58

    番外噂話『1のコインの噂』

    アヤセ「南条ってさぁ、ビョーキなんじゃないかってくらい1番にこだわるよね。あれ何なの?」
    マーク「そーいや、アヤセはあの時は病院に居なかったんだっけか」
    尚也「俺たちもそこまでよく知ってるわけじゃないけど」

    …山岡についてのなんやかんやを説明中…

    アヤセ「え、めっちゃイイ話じゃん…」

    ブラウン「なーなー、南条って1って書いてあるコインやメダルをいつも持ち歩いてるんだってよ!」
    アヤセ「うっざ」
    ブラウン「いつになく対応が辛辣ゥ!?なに、オレ様悪いことした!?」
    尚也「したというか…」
    マーク「タイミング最悪だわな」
    エリー「そういえば、Brownも病院には居ませんでしたわね…」

    通りがかったエルミン生「へえ…」

  • 93二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 01:39:20

    ーー


    ブラウン「とまあ、こういうワケよ!あと、噂流したのは誓ってオレ様じゃねーから、その辺ヨロシグぼぁ!」

    南条「お前のその無駄に大きな声で話せば、さぞよく聞こえただろうな!」

    双葉「おお、顔面に見事な右ストレート!」

    完二「…ブラウン先輩、めっちゃ顔凹んでますけど…大丈夫っすか?」

    双葉「うわ、前が見えなそうな顔になってる…」

    南条「ペルソナの補助込みで殴ったからな…死んでも地返しの玉で生き返してやるわ!」

    ブラウン「ひ、瀕死大変…地返しの玉と…」

    南条「反魂香!<トール>!」

    【ジオダイン】!

    ブラウン「ぎにゃあああああ!!」

    完二「先輩ィィィィ!?」

    双葉「しぼーかくにん!」

    完二「すんな!生きてるだろ!…すげえギリギリだけど。むしろなんで生きてんだ…?」




    完二「だーっ!もうツッコミきれねえ! パオフゥさんも桐条先輩もソッポ向いてないで手伝ってくださいよ!」

    パオフゥ「だーれが。ガキはガキと一緒にじゃれあってろ」

    美鶴「(あの総帥も、この頃は一人の学生か…少し、羨ましいな)」


    パオフゥ「(こっちでも噂が現実化してたってのか…なんか引っかかるが、情報が足りねえな)」

  • 94二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 08:17:22

    保守

  • 95二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 19:59:31

    保守

  • 96二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 06:08:44

    保守

  • 97二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 16:38:09

    上手く感想とか言えないけど
    かなり面白い

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