ウマ娘昔ばなし『イワンのばか』

  • 1読み手24/06/27(木) 13:56:51

    昔々、ある国に「イワン」と言う少し頭は足りませんが気の優しい農家の男が居ました。


    イワン dice1d119=59 (59)


    ※定期的なホスト規制の関係で23~0時頃から朝8時頃まで書き込みできないことが多いです。ご了承ください。

  • 2二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 13:57:13

    このレスは削除されています

  • 3読み手24/06/27(木) 14:01:05

    イワンには軍人のセミョーンと商人のターラスと言う2人の兄と、発声障害を患った妹のマラーニャが居ました。


    セミョーン dice1d119=87 (87)

    ターラス  dice1d119=69 (69)

    マラーニャ dice1d119=40 (40)

  • 4二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 14:02:35

    昔ばなしシリーズだ!好きです

  • 5読み手24/06/27(木) 14:08:08

    ある日、都会で働いていたセミョーンとターラスが、父、イワン、マラーニャの三人で住んでいる実家を訪れ、口をそろえてこんな事を行ってきました。


    「「金銭が底をついてしまい、お父様やイワンからお金を頂戴したく...。」」


    そんなことを言われた父は困ってしまいました。


    イワンたちの父 dice1d119=29 (29)

  • 6読み手24/06/27(木) 14:12:07

    「イワン、どやすべ。じぇんこ(お金)二人にあげだほうがいいのがな...?」

    イワンは父にそう言われると、「いいよいいよ。あげちゃお。」と即答してみせました。

  • 7二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 14:15:43

    >>5

    金銭尽きないだろお前ら!とは思ったけど史実のその後を考えると…

  • 8読み手24/06/27(木) 14:15:54

    兄二人は喜んで実家を後にしていきましたが、その結果に気に入らない者が居ました。

    それは、暗い暗い地獄の底でイワンと兄弟のいざこざが起きるのではないかとソワソワして待っていた老悪魔でした。


    老悪魔 dice1d119=104 (104)

  • 9二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 14:16:43

    お牝馬率高ない?

  • 10読み手24/06/27(木) 14:22:00

    「喧嘩に発展すると思っていましたが、計算外です...。モヤモヤするので、実力行使と行きましょう。」


    老悪魔はそう言うと三匹の小悪魔を召喚し、三兄弟それぞれに憑りつかせて仲たがいさせることにしました。


    セミョーン担当小悪魔 dice1d119=1 (1)

    ターラス担当小悪魔  dice1d119=64 (64)

    イワン担当小悪魔   dice1d119=50 (50)

  • 11二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 14:22:20

    この人出場率高くない?

  • 12読み手24/06/27(木) 14:34:09

    しばらく経って、小悪魔たちは各々の経過報告のために三匹で集まることになりました。
    セミョーン担当の小悪魔から喋り始めます。

    「私のところは大成功です!今頃セミョーンさんは戦争に負けて、ここに逃げ帰ってくるでしょう!」

    ターラス担当の小悪魔も嬉々として報告しました。

    「私も大成功!今頃ターラスは借金まみれさ!アハハ!」

    しかし、イワン担当だけは顔色が悪そうでした

    「アタシは...上手くいってないかな...。」

  • 13読み手24/06/27(木) 14:39:16

    「イワンはお腹を痛めさせても、土を鋼鉄のように固くしても、畑を耕すのを止めないんだ...。」

    他の小悪魔たちは驚きました。

    「ちょっとさ、アンタら今度手伝ってくんない?」
    「私に出来る事なら!」
    「任せてよ!」

    小悪魔たちはイワンを徹底的に陥れるために一致団結しました。

  • 14読み手24/06/27(木) 14:46:22

    次の日、イワンは相変わらず腹痛に悩まされながら今日も今日とて鋼鉄のように固い畑を耕していました。
    イワンが必死にクワを振っていると、畑よりも固いものにゴチンと当たったので掘り返してみることにしました。

    「あれ?なにこれ。」
    「み、見つかった...。」

    イワンは隠れていた小悪魔を掘り起こしてみせたのでした。

  • 15読み手24/06/27(木) 15:01:25

    「触んな!持ち上げんな!」
    「アンタ悪魔ってヤツ?いいの?アタシにそんな口利いちゃっても。」
    「うぅ......な、なんでも一つ願いを叶えるからさ、放してよ。」
    「そうだなぁ...。この腹痛さ、なんとか出来たりしない?鬱陶しくてさ。」
    「そんな事でいいの?じゃあさ、この木に生えてる根っこを食べてよ。すぐ治るよ。」

    イワンは小悪魔の言う通り、畑に昔から生えていた大きな木の根っこを少し切って食べてみました。
    するとたちまちイワンの腹痛は消え、すっかり元気になりました。

    「おぉ...!すごいね悪魔さん。治ったよ。」
    「こ、これでいいよね...?放してよ。」
    「うん、ありがと。じゃあね!神のご加護があらんことを。」
    「ぐぅっ!」

    小悪魔は神様の名前を出された瞬間に突然苦しみだし、そのまま地面に潜ってそのまま二度と出てきませんでした。

  • 16読み手24/06/27(木) 15:12:28

    「あ、畑も柔らかくなった。悪魔さんのおかげかな?」

    イワンはそんな事を呟いて、また農作業に戻っていきました。



    その夜、戦争に負けたセミョーンが実家に逃げ帰って来ていました。

    「イワンごきげんよう。色々あって、少しの間ここに泊めてはくれませんか?」
    「いいよ、好きにしてって。」




    その頃、畑ではセミョーンと一緒についてきた小悪魔がイワン担当が潜った穴に気付いていました。

    「こ、これは悪魔のお墓!...イワンさん担当の方の分まで私が頑張らないと!」

    次の日から、セミョーン担当の小悪魔がイワンも担当することになりました。

  • 17読み手24/06/27(木) 15:31:24

    セミョーン担当の小悪魔は草地を泥水まみれにしたり、収穫した麦を即座に腐らせるなどしてイワンを困らせようとしましたが、イワンは何も言わずに黙々と農作業を続けていました。
    しばらくして、小悪魔はワラの束の中に隠れているところをイワンに見つかり、捕まってしまいました。

    「ご、ごめんなさい...!許してください!!!」
    「声デカ...。アンタ、前の悪魔さん?また何かしに来たの?」
    「いえっ!私はこの前のとは違う悪魔でして...!あの...なんでもしますよ!ほら、えっと...見て下さい!このワラを数本掴んでですね、そして束にしてからこう...振ると!ジャジャーン!兵隊さんです!」

    小悪魔はただのワラから兵隊を作り出す魔法を教えてくれました。

    「お~ありがと。兵隊さんにはお歌でも歌わせて楽しもうかな。じゃあね、神のご加護があらんことを。」
    「なして~!?」

    セミョーン担当の小悪魔も苦しみ始めると、穴を掘って二度とそこから出てきませんでした。

  • 18二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 15:36:25

    このレスは削除されています

  • 19二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 15:38:29

    このレスは削除されています

  • 20二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 15:40:07

    このレスは削除されています

  • 21二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 15:42:38

    このレスは削除されています

  • 22読み手24/06/27(木) 15:45:29

    その夜、多額の借金を抱えたターラスも実家に逃げ帰って来ていました。

    「イワン申し訳ございません。私も色々あって、少しの間ここに泊めてくれませんか?」
    「いいよいいよ、好きにしてって。」




    その頃、畑ではターラスと一緒についてきた小悪魔がイワン担当、セミョーン担当が潜った穴に気付いていました。

    「二人とも...仇は取るからね!」

    次の日から、ターラス担当の小悪魔もイワンを担当することになりました。

  • 23読み手24/06/27(木) 16:00:41

    次の日、ターラス担当の小悪魔も木を斬りに行ったイワンの後をつけて邪魔をしに行きました。
    木を鋼鉄のように固くさせてみせましたが、イワンは負けじと懸命に斧を振って、見事に切り倒してしまいました。
    木の上で様子を見ていたターラス担当の小悪魔は木の下敷きになってしまい、そのまま捕まりました。

    「また来たの?懲りないなぁアンタも。」
    「ま、待ってよ!私はあの二人とは別の悪魔!良い事教えるから放してよ!」
    「良い事って何?」
    「この樫の葉をさ、優しく揉むと...金貨がこうやって出てくるんだ。」
    「へー!子供たちと遊ぶときに良さそう!じゃあね、神のご加護があらんことを。」
    「わーっ!」

    ターラス担当の小悪魔も苦しみ始めると、穴を掘って二度とそこから出てきませんでした。

  • 24読み手24/06/27(木) 16:14:16

    やがて、ワラの兵隊と樫の葉の金貨のことをセミョーンとターラスも知ってしまいました。

    「頼みますイワン。その兵隊を譲ってはもらえないでしょうか...。」
    「こんなに居ても仕方ないしね。いいよ。」

    セミョーンは兵隊を沢山出してもらった後、戦争にもう一度行ってしまいました。

    「私も、金貨を譲ってはもらえないでしょうか?」
    「子供たちが遊ぶのに飽きて困ってたんだよね。ありがと。」

    ターラスは大量の金貨を抱えて借金を返しに行きました。

  • 25読み手24/06/27(木) 16:18:16

    セミョーンとターラスはイワンが小悪魔たちから貰ったものを使って成功をおさめ、やがて二人とも一国を統べる王となったのでした。

    王になった途端に横暴になっていく兄たちを見て、イワンは心を痛めました。

  • 26読み手24/06/27(木) 16:27:49

    しばらくして、イワンの住んでいる国を治めている国王の娘、いわゆるお姫様が難病にかかったという話が広がりました。

    イワンはあの腹痛を治してくれた木の根があればお姫様を救えるのではないかと思い、お城に向かいました。


    お姫様 dice1d119=18 (18)

  • 27二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 16:32:03

    見事にお牝馬で草

  • 28二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 16:35:37

    お牝馬カーニバル

  • 29読み手24/06/27(木) 16:41:28

    お城に着いたイワンが寝たきりのお姫様に木の根を食べさせてあげると、イワンの見立て通り、お姫様はすっかり元気になりました。

    「ありがとうイワン、感謝する。その...良ければでいいのだが...私の婿に入る気は無いだろうか?」
    「きょ、恐縮です...!」

    こうしてイワンはお姫様と結婚し、一国の王となったのでした。

  • 30読み手24/06/27(木) 16:59:54

    王となってもイワンはイワンでした。
    「身体を動かさないと調子悪くて...。」と言い、お城に住むのではなく自身の実家に戻って、実家の畑で再び働き始めました。
    お姫様もそんなイワンの飾らないところを気に入り、自身も妹のマラーニャの手伝いもあって畑で働き始めました。

    「おお...大きな人参だな。マラーニャ、どうだ?」
    『最高じゃん!』
    「美味しいカレーが作れそうだな。」
    『お姫様、今度はジャガイモ掘り行こ。』
    「あぁ。その次はトウガラシにニンニク、イチゴも摘みに行こう。」
    「二人とも精が出ますね!アタシも頑張んないと...。」

    イワンの国は平和な農業大国になりましたが、イワンは何があってもずーっと畑仕事をしているので、善人も悪人も頭のいい人は自らイワンの国を去って行きました。

  • 31読み手24/06/27(木) 17:08:59

    その頃、老悪魔はイワンの国で三つの穴を確認しました。


    「これは...報告が遅いと思ったら三人とも既にやられていたのですね...。私が出るしかありませんね。」


    老悪魔はまず将軍に化け、セミョーンの国に向かいました。


    将軍 dice1d119=114 (114)

  • 32読み手24/06/27(木) 17:26:27

    「あーしに任せとけばマジ天下取れるっつーの!」

    将軍に化けた老悪魔はセミョーンの家来として活躍することになり、周りを言葉巧みに動かし、いつしか新兵器の製作を任されるようになりました。

    「一回撃ったら100発の弾が出る銃、全てを焼き尽くす大砲...!ロマンあんよなー!王様もそう思うっしょ?」
    「分かりました。予算を割きましょう。」
    「あざー!☆」

    老悪魔は無茶な兵器を開発して国家予算を削った他、大国にわざと攻め入らせてセミョーンの国を滅亡させてしまいました。

  • 33二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 17:29:36

    これはWINSで爆死させたエスポ

  • 34読み手24/06/27(木) 17:52:18

    セミョーンの国を滅ぼした老悪魔はそのままターラスの国に赴きました。

    ターラスの国では商人に化けることにしました。


    商人 dice1d119=84 (84)

  • 35読み手24/06/27(木) 18:35:05

    「こんにちは。あなたの持ち物、売りに出してみませんか?今だと特に温泉グッズなどあれば高く買い取りますよ〜」

    商人に化けた老悪魔はターラスの国で質屋を開きました。
    老悪魔は魔法で無限にお金を生成し、どんなゴミでも高額で買い取る事で国民に大金を渡し、終いには全員がターラスよりもお金持ちになってしまいました。
    国民は働かなくなり、出回る食料も老悪魔が全て買い取ってしまったのでターラスは大量のお金だけにまみれながら2日間飲まず食わずの生活になってしまいました。
    やがてターラスの国も滅亡してしまいました。

  • 36二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 18:50:05

    またまたおひんば
    作品自体は割と男くさいのに

  • 37二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 18:56:43

    ターラスじゃなくてタラースじゃね

  • 38二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 19:12:03

    >>37

    昔話なんて表記揺れの塊みたいなもんやろ

    これも妹の名前全然違う時あるし

  • 39読み手24/06/27(木) 19:20:13

    老悪魔はまた将軍に化け、今度はイワンの国にやって来ました。


    「王様!この国いつ攻められてもわかんねーしさ、兵隊作んぜ兵隊!あーし、人なら集めてくるし!」

    「ありがと。歌唱会が楽しみね。」

    「…………歌唱会?」


    老悪魔は一瞬呆気に取られつつも、イワンの国民たちを兵隊に勧誘しました。


    イワンの国民たち dice3d119=97 63 119 (279)

  • 40二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 19:21:48

    絶妙に兵隊が似合いそうな人選

  • 41二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 19:23:27

    新ウマ娘が早速抜擢されとる

  • 42二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 19:23:39

    怪物、鉄の女、聖剣とかめちゃくちゃ強そうなんだけどイワン国民だから馬鹿なんだよな…

  • 43読み手24/06/27(木) 20:12:47

    「兵隊?」

    「そ!ならん?兵隊!」

    「兵隊とは何だ?」

    「……え?」

    「聞こえなかったのか?失礼。兵隊とは、何だ?」

    「…………戦ったりするんよ!」

    「戦いか…。それは人と人か?」

    「そうそう!対人戦ってやつ!」

    「…日々、害虫害獣との闘争に身を投じている私にはそんな暇は無い。また刻一刻と作物が狙われている可能性もあるんだ。すまないな。」

    「はぁ…。」



    「…兵隊…ですか。」

    「そそ!興味あるっしょ?」

    「………申し訳ありません。残り5haほど開墾しなければならなくて…お気持ちは嬉しいのですが、これから連日農作業なのです。では。」

    「はぁ……。」



    「兵隊…?それはこの聖剣が汝の力足り得るとお思いになられてのご発言か。」

    「聖剣…?マジ!?剣持ってんのあち〜!ちょちょ!見せてくれし!」

    「将軍殿がお喜びになられて恐悦至極…。では、どうぞ…この鎌こそ我が聖剣。唯一無二の切れ味を誇り、どんな稲でも刈り取ろう…。」

    「はぁ………。」

  • 44二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 20:15:16

    ばかばっかりじゃねぇか

  • 45二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 20:17:22

    イクノ5ヘクタール耕そうとしてて草

  • 46二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 20:17:27

    全員ツッコミに見せかけたボケだから仕方ない(デュランダルは推定)

  • 47読み手24/06/27(木) 20:29:45

    上手く人が集まらなかった老悪魔は痺れを切らし、『兵隊にならないとイワン様が死刑に処される』と書かれた紙を配り回りました。
    しかし、国民たちは兵隊にはなりたくありません。

    「イワン様どうしましょう。これからがシーズンですから、疎かにはしたくありませんし…。」
    「私も残り2haほど残しております。蔑ろには…。」
    「稲もようやく伸びて来たところです。我が聖剣も磨きをかけているところ…。」
    「そうかぁ。なりたくないのならさ、ならなくて良いと思うよ。というか死刑って何?みんな知ってる?」
    「「「さぁ…。」」」
    「コイツらマジか……。」

    老悪魔はバカらしくなり、国内から崩壊させるのは諦めました。

  • 48読み手24/06/27(木) 21:41:46

    「あの畑まみれの国は、そりゃーもう広すぎる土地だし、侵略の価値あんべ!」

    老悪魔は隣の国に赴き、そこの王様にイワンの国へ攻め込むように進言しました。

    「これで、イワンの国も終わりですね…。」

    数日後、老悪魔の思惑通り隣国がイワンの国に攻め込んできましたが、イワンの国民は隣国の兵隊に何をされてもただ泣くばかりで、抗う者は誰1人として居ませんでした。

    「何故私たちを虐めるんだ…?欲しければ勝手に持っていってくれ…。」
    「そうです…作物は沢山ありますよ。畜産も盛んですから困りませんし…。」
    「あっ…せ、聖剣だけは勘弁してくれ…。」

    「な、何なんだこの国は……。」

    隣国の兵隊たちは良心の呵責に耐え切れず、それ以上は何もせず逃げ帰ってしまいました。

  • 49読み手24/06/27(木) 21:43:45

    困った老悪魔は、今度は立派な紳士の姿に化けてイワンの国にもう一度入りました。


    紳士 dice1d119=77 (77)

  • 50読み手24/06/27(木) 21:58:18

    「你好!私は家が欲しいの!私の為に働いてくれる人は居ないかしら?」
    「やったら野菜でもくれるのか?」
    「Non non! やってくれた人には…この金貨をあげるわ!」

    老悪魔が金貨を取り出すと、国民たちは興味津々でした。
    国民たちは皆この金貨を欲しがり、金貨のためなら老悪魔のどんな仕事でもしてくれるようになりました。

    「これでようやく、イワンの国も終わりですね…。」

  • 51読み手24/06/27(木) 22:06:50

    ところが、国民は金貨をただの綺麗な円盤だと思っており、全くその価値を理解していませんでした。
    家の装飾にする者、おはじきとして遊ぶ者、アクセサリーにする者…。皆が皆、金貨で遊ぶことしかしませんでした。

    しばらくして国民全員に金貨が行き渡ると、もう誰も金貨を欲しがらなくなりました。
    金貨のために何でもしてくれた国民は誰も来なくなったので、老悪魔はお腹が空いてしまいました。

    「何か…食べ物…。」

    国民の家に赴いて金貨をチラつかせて食べ物の交渉に出ますが、皆「それはもう要らない」「農作業を手伝ってくれるなら」としか言ってくれません。
    お腹も減っていますし、何より年老いていた老悪魔は今更肉体労働などする気にもならず、3日間ほとんど飲まず食わずで生活していました。

    「我应该怎么办…」

  • 52読み手24/06/27(木) 22:13:25

    見かねた国民たちがイワンの元へ相談に来ました。

    「あの人、しばらく何も食べてないみたいなんだ。面倒見てくれるか?」
    「そうなの?じゃあマラーニャに言っておくわ。ちゃんと養っておいてあげるから心配せずに今日もみんな頑張りましょ?」

    イワンの厚意で、老悪魔はイワンの家に世話になることになりました。

  • 53読み手24/06/27(木) 22:24:04

    『何食べたい?』

    イワンの妹マラーニャは発声障害を患っているので筆談でコミュニケーションをとっています。

    「そうね…シチューとか食べたいかしら。」
    『んじゃ、手見せて』
    「手?どうぞ…。」
    『!!!』

    老悪魔が手を差し出すと、突然マラーニャが怒り始めました。

    『働かざる者食うべからず。これ、鉄則だから。』

    そう書くと、マラーニャは自身のマメだらけの手を見せてくれました。
    老悪魔は自身の手と見比べてみましたが、老悪魔の手は何か塗られているのかと思ってしまうほどにツルツルでした。

    『兄さんとお姫様とアタシが食べた後の残りで我慢してね。それが嫌ならキチンと働く!』
    「うぅ……。」

    流石に呆れてしまった老悪魔は、とある決意をしました。

  • 54読み手24/06/27(木) 22:47:49

    「手で働くのなんてもう時代遅れよ王様!今はそう!頭で働くの!」
    「手が疲れた時に頭で働けたら嬉しいわね。」
    「そんな話をしてるんじゃないわ!私が頭で働く方法を教えてあげる!!!」

    老悪魔が国の広場の高台で演説を始めました。
    最初は「どうやって頭で働くんだろう」と国民たちも興味津々で見に来ていましたが、老悪魔は喋るばかりですし、そもそも何を喋っているのか国民たちは何も分からなかったので、すぐに皆帰ってしまいました。

  • 55読み手24/06/27(木) 23:15:46

    老悪魔は高台の上で一日中話し続けました。
    次の日も、また次の日も…。

    やがて、またお腹が空いてきました。

    「はぁ…はぁ……!!!というわけで、これからの時代は…」

  • 56読み手24/06/27(木) 23:21:44

    イワンが今日も今日とて農作業に精を出していると、国民たちがワッとやって来ました。

    「イワン様!あの紳士が頭で働き始めましたよ!」
    「遂に!?」

    イワンも大急ぎで広場の方へ向かいました。

  • 57読み手24/06/27(木) 23:26:53

    イワンが到着すると、そこにはフラフラしながら高台の柱に頭をぶつけている老悪魔が居ました。
    長時間喋ったことによる疲労と、三日間飲まず食わずが応えたのか、老悪魔は既にボロボロでした。

    「はら…ほろ…ひれ……ほろ………。」

    しばらく頭をぶつけていると、老悪魔はつるっと、高台から足を滑らせました。
    そして、階段にゴチンゴチンと一段ずつ頭をぶつけながらゆっくりと落ちて来ました。

  • 58読み手24/06/27(木) 23:30:52

    やがて地面の近くまで差し掛かってくると、いつの間にか紳士の姿は凶悪な悪魔の姿に変わっていました。
    そして地面に着いた瞬間、人の身体ほどの大穴が開いて老悪魔はその中に入っていってしまい、それから2度と出てくる事はありませんでした。

  • 59読み手24/06/27(木) 23:32:03

    「なんだ。あの悪魔さんたちの仲間だったのね。神のご加護があらんことを。」

  • 60読み手24/06/27(木) 23:37:35

    イワンはまだ生きていて、イワンの国もまだ残っています。
    国民たちは相変わらず農作業に精を出して日々を平和に過ごしています。

    ただ一つ、イワンの国にはしきたりがあります。

    『手のひらにマメがある者は働き者として食卓で食事をする事が出来、手のひらにマメの無い者は働き者たちの残り物を食べる』と…。

    おしまい

  • 61読み手24/06/27(木) 23:46:07

    お疲れ様でした。今回はウマ娘新シナリオ更新記念として、農業を題材とした作品『イワンのばか』をお送りしました。
    全体的にメイン軸に据えた事のないメンバーがメインで、新鮮な気持ちで書くことが出来た印象です。
    早速新ウマ娘のデュランダルも出て来ましたね。今後のダイスも楽しみです。
    それでは皆さんまた次のお話でお会いしましょう。
    改めてお疲れ様でした。

  • 62読み手24/06/27(木) 23:47:22
  • 63二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 23:48:16

    今回もお疲れ様でした!
    元ネタの話はあまり知らなかったけど、これを機に読んでみようかな...

  • 64二次元好きの匿名さん24/06/27(木) 23:56:26

    参考元の本だとターラスだったんですか?

  • 65二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 00:13:06

    愚かだけど純朴で愛すべき人たちの物語って感じだったな
    お疲れさまでした、面白かったです!

  • 66読み手24/06/28(金) 08:10:17

    >>64

    そうでしたね。自分が昔から持っている本を参考にしまして、そちらではターラスで統一されておりました。

    媒体ごとにタラース、タラス、タラスーなど色々表記揺れが存在しているのを確認しております。昔のお話なのでそこら辺は仕方ありませんね。

    このお話自体も「イワンのばか」がよく知られていますが、「ばかものイワン」というタイトルで出ていることも多いようです。

  • 67二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 10:37:18

    タクトや聖剣が出てもちゃんとお話が成立していたのはスレ主の手腕だなぁ
    楽しかったですお疲れ様でした!
    次回があれば楽しみにしています

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています