- 1作者◆t/sR6m2cmSB022/02/08(火) 19:03:33
私の担当のネレイドランデブーは緊張しいだが、がんばり屋な子だ。
素質が低い訳じゃない。
でも、どうしようもない事も、運がない事もある。
ウマ『娘』である以上、どうしても避けられない問題だ。
何がとは言わないけれど彼女はとても重い方で、時に寝込むほどだ。
ただ私も重い方なので、なんとか対処法する事ができた。
「トレーナーが女性でよかったです。ホントに……」
打ち明けて、心底ホッとした顔は今でも思い出す。
確かに男性に打ち明けるのは辛いことだ。思春期の女の子なら尚更だろう。
周期を把握してレースを組み、四戦二勝でG1朝日杯フューチュリティステークスを迎えることができた。
もし男性トレーナーなら、彼女はここまで来れなかったかもしれない。
しかし当日、初めてのG1で極度の緊張からか周期がズレてしまった。
※ - 2作者◆t/sR6m2cmSB022/02/08(火) 19:04:37
控え室、鏡台に突っ伏しお腹を押さえるネレイドランデブーに私は言う。
「やっぱり出走を辞退しましょ……」
既に薬を飲み、やれる事はやっていて、しかし彼女の腹痛は収まらない。
「……嫌です、絶対」
けれど、ネレイドランデブーは頑なだった。
今も顔を歪めているのに。
「トレーナーのおかげで、私でもここまで来れました。……それに、せっかく勝負服も着れたんです。今を逃したら……もう着れないかもしれません」
「そんなことないわ。あなたならまた──」
「実は、前にもあったんです……」
宥め励ます私の言葉を遮って、ポツリと彼女は言った。
「学園に入る前にも、入った後も……同じことを、私は経験してるんです……。レースに向いてない体なのは自分でわかってるです! でも私は……!」
彼女の言い分も分かる。
しかし、トレセン学園には彼女よりもレースに向いてない子もいる。
足が脆い子も、性格がレース向きでない子もいる。 - 3作者◆t/sR6m2cmSB022/02/08(火) 19:05:28
「ネレイドランデブー……」
だからこそ、私は彼女を止める事ができない。
彼女の様に、あるいは彼女以上にレースに向いてない子もいる。
それでも彼女たちはトレセン学園の門を叩いた。
何故か?
それは夢を抱いたからに他ならない。
トゥインクルシリーズで、勝負服を着て勝つ──輝かしい夢を。
「すみません、トレーナー……。せっかく出れらるなら……私は出ます」
当事者にここまで言われて、私にはそれを止める言葉が見つからなかった。
ネレイドランデブーは惨敗する。
それはもう確実だろう。
この最悪な状態で勝てるほど、レースが甘い訳がない。
それを確信すると同時に、私は決意する。
必ずまた彼女をG1に出走させ、勝負服を着せることを。
そして彼女に勝利をもたらすことを──。 - 4作者◆t/sR6m2cmSB022/02/08(火) 19:06:01
短くてすみません。
- 5二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 19:07:19
次こそは輝ける勝利を掴めますように…
- 6二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 19:12:50
そら、かち合っちゃうレースもあるわな。
- 7二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 19:16:40
トレーナーの感情も重い…
- 8二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 19:59:46
短いけど言い読みごたえ
- 9二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 20:03:45
良い読みごたえ
- 10二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 20:04:38
続きかけそう
- 11二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 20:39:46
ありがとう
またお願いいたします - 12二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 20:40:43
いいねぇ……
- 13二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 20:45:59
重重だ…
- 14二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 21:02:13
納得の絶不調再び
- 15二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 22:44:28
なるほど、アレも重くて思いも重い、と。
- 16二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 23:15:46
アプリだと「頭痛で憂鬱」が代わりなんだっけ?