俺はルーデウス・グレイラットの双子の弟……2

  • 1二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 16:09:10
  • 2二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 16:15:43

    幸せになって欲しい

  • 3二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 16:19:10

    気が付けば、弟くんの義手がなくなっていました

    商人ちゃんに聞いても、知らないと言われるだけです

    あれがないと仕事に支障が出るなぁ、とか思いながら弟くんはザノバの元を訊ねました

    そこでザリフの義手をなくしてしまった、と言うと「困りましたな、流石に替えはないのです」と言われてしまいます

    弟くんは残念に思いつつも、義手がなければないなりに頑張れば良いか、と仕事を再開しようとします


    運命の分岐点は、ここにあり


    dice1d2=2 (2)

    1:このまんま仕事受けちゃえ

    2:兄さんが真剣な顔でお金が入った袋を渡しに来た

  • 4二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 16:19:10

    おつおっつ

  • 5二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 16:20:19

    兄さんいいトコで来た!

  • 6二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 16:21:24

    さす兄

  • 7二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 16:21:55

    このレスは削除されています

  • 8二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 16:26:49

    ターニングポイント、か

  • 9124/06/28(金) 16:31:03

    名前書き忘れてた

    兄は「しばらく、仕事に行くな」とだけ言い、生活どころか贅沢だって出来るであろうほどの大金が入った袋を弟くんに渡しました
    何やらとっても神妙な顔つきですが、弟くんにその真意は測れませんでした
    弟くんは不思議に思いながらも、お仕事に出ずしばらく家と魔法大学を往復するだけの日々を送ることになりました

    以下、未来のルーデウス・グレイラットが日記に記した事実

    俺がミリスから神級解毒魔術の詠唱文が記されている本を盗み出し、シャリーアに戻ってきたとき──弟が殺されていた。
    ミリスの追手程度に負けるほど、弟は弱くなかったはずだ。
    義手があれば、そう簡単に死ぬようなことはないはずだ。
    だが、弟の所持品であるはずの義手が、弟の家に落ちていたのだ。
    義手をはめていなかった? 何らかの事情で、義手を持っていなかったから?
    何故だ、どうして義手がこんなところにあるんだ、と弟の妻を問い詰めた。
    弟の妻は、こんなはずじゃなかった……お告げと違う……どうして、とうわごとのように繰り返すだけだった。
    ……俺はお告げというワードが頭の中に引っかかっていた、だがしかしそんなことを考えている場合でもなかった。
    ロキシーと弟を同時に失って、どうすりゃいいっていうんだ。

    ──弟を殺したのは光の太刀をも習得し、殺し屋に身を落とした男だった。
    剣聖ごときに弟が負ける道理はなかった、だが弟は油断していた。
    義手がないままに仕事を受けてしまい、そのままほっつき歩いていたところを不意打ちで狙われ、左腕を斬り落とされてしまった。
    両腕をなくした状態では剣帝でも、なすすべはなかった。
    一人でいたが故に弟は殺されてしまったのだ。

    弟が義手をなくしたのは、妻の手によるものだった。
    わかってこそいた、だがなぜ妻は義手を隠すような真似をしたのか。
    パウロたちと共に俺の関係者であるが故に殺されてしまった彼女に聞くことは出来ない、だが推測は出来る。
    お告げ、彼女はそう言っていた。
    特定の神を信仰しているわけでもない彼女が、お告げと言ったのだ。
    それすなわち──ヒトガミの、策略だった。

  • 10二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 16:32:52

    このレスは削除されています

  • 11124/06/28(金) 16:37:36

    弟くんは最悪の未来を知らず知らずのうちに回避したのだ、とも知らず、やや暇な日々を送っていた

    しかし、弟くんの知らぬところで兄と妻は震えに震えていたのです

    時空を超えた介入が、ある神の未来を狂わせてしまった

    故に、神は激怒し神の操り人形であった兄と妻を恐怖させたのです


    「彼を守るためなら、頑張らなくっちゃ……」


    弟くんを深く愛する商人ちゃんは、弟くん自身を自分にお告げをくれる神の手先へと引きずりこむことを決めた

    家族を人質に取られたも同然の兄は、その神の倒すべき敵を殺すように命じられ、戦うための準備を始めた

    弟くんはその戦いに


    dice1d3=1 (1)

    1:参戦

    2:不参加だが関与、ある鎧の制作に携わる

    3:関与すらしない

  • 12二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 16:43:05

    わーっ、弟くんはお兄さんからも奥さんからも愛されてて幸せ者だなぁ(白目)

  • 13二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 16:44:51

    前衛の弟くん、後衛のルーデウス
    並みの帝級なら相手にすらならず列強下位にもワンチャンありそうだけど相手が相手だからなぁ……

  • 14二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 16:50:28

    このレスは削除されています

  • 15二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 16:51:29

    >>14

    この頃はフラグ管理しつつルーデウスの観察もしてたから把握してはいる筈

  • 16124/06/28(金) 16:59:41

    兄はどうやら強大な敵と戦うらしい
    故にその協力をして欲しい、と頼まれた
    弟くんは自分に何が出来るのか、と不安ではあったもののただ戦ってくれればいいと言われた
    何やら兄は必死になって何かを作っていたが、弟くんはそれがなんなのか、一体何を目的としているかもわからなかった
    更に、妻がやたらと兄と密会することが増えていた
    妻はもしかすると自分に愛想を尽かしてしまったのか、浮気だろうか……いやいや、流石にそれはないだろう、本当に浮気ならなんで同じ顔のヤツに浮気するんだ……と疑いを振り払い、弟くんは自分も自分で戦いのための準備を続けた
    剣を磨き、ザノバに仕組みを聞きながらザリフの義手の複製方法を教えて貰い、予備のための義手、そして発展させての義足型なども作っていた
    ……本当に、一体誰と戦うつもりなのだろう、という疑念は晴れないままだった

    以下、弟くんの装備

    武器:剣神から賜った魔剣(名前は忘れた)
    防具:改良型ザリフの義手、義足

  • 17二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 17:02:05

    このレスは削除されています

  • 18二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 17:08:37

    ザリフの義手の馴染み具合にもよるだろうけどロキシーを超える魔力量の弟が使ってるなら今のガル・ファリオンより強いかもしれん

  • 19二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 17:29:39

    そういえば社長からは好印象なんだよな
    ここで何かしでかすんだろうか弟くん

  • 20二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 18:47:53

    社長の好感度が高い理由ってルーデウスが死産した本来の歴史で何か社長の大きなプラスになるような事をしたのかな?

  • 21二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:03:00

    >>20

    魔術方面はどう転ぶか分からんが…

    ・本家からの扱いはともかくグレイラットとラトレイアの血縁

    ・剣の才能はルディの影響なくてもたぶん据え置きだろうから剣帝か剣神級

    ・アイシャやノルン関連のフラグに関わる可能性あり

    転生と過去改変が起こらない世界線にも弟くん存在してるなら まあ多分社長のチャート形成に影響はあるはずよな...

    ヒトガミが弟本人に直接テレパスしてこない辺り何か理由があるのか 運命力の問題で未来に介入させられないのか

  • 22二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:13:17

    >>21

    ヒトガミが弟君本人じゃなくて周りの人間を使って間接的に介入している辺りロキシー、アリエル、パックス並の強い運命力を持ってそう。

  • 23124/06/28(金) 22:58:00

    参戦するって言ってから聞くのも失礼だけど、その強大な敵ってのは一体誰なの?と兄に聞いた

    兄からは「ごめん、言ってなかったな……」と申し訳なさそうに言われた

    それは七大列強の二位、龍神オルステッドだという

    弟くんは七大列強と言われてもガルしか知らなかったし、龍神オルステッドという名前は一度しか聞いたことがなかった

    だが、ガルの強さは肌で感じ、その腕で感じたことがある

    一度木刀での果し合いではあるもののの、ほんの僅かな差で敗北を喫したことがある

    その上で、エリスが道場へ足を運んだ時、確かガルは言っていた

    「ハハッ、確かに龍神オルステッドと比べりゃあ俺なんてザコだな」と

    弟くんはその発言と、自分がガルに僅差で負けた事実をよく思い出し、その上で兄へと聞いた

    ……兄さん、死にたいの? と


    兄からは

    dice1d3=2 (2)

    1:男にはやらなきゃいけない時ってのがあって、それは今なんだ

    2:そうかもな、俺ホント何してんだろうな、でもやらなきゃいけないんだよ

    3:……このまま黙って死んだ方がマシなくらいの未来を辿るなら、俺は死ぬ気で幸せを勝ち取るよ


    と返って来た

  • 24二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 23:03:18

    なんか一番ルディらしい返答が来た
    原作にあった気がしてきた

  • 25二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 06:47:20

    まぁ弟含む家族の命がかかっているからね

  • 26二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 07:21:18

    >>23

    ちょっと待って剣の聖地出たの12歳の時ですよね!?

    この時点で僅差で負けたとか、強すぎるよ弟くん

  • 27124/06/29(土) 08:48:49

    兄はそう言っていた、妻と密会し、凄い兵器を作っていたのもそのためだった
    妻も商売で稼いだ金を全て湯水に溶かす勢いで投資し、弟くんにも様々な魔道具や防具を見繕ってくれた
    弟くんはさっぱりわからなかったが、兄と妻は何か強迫観念にでも駆られたように、打倒龍神オルステッドを掲げていた
    そんな二人を見て、弟くんは一抹の不安を覚えながらも龍神との決戦を迎えた

    作戦の内容は兄が入念に考えた上で用意したものに従うこととなった
    ナナホシの持っている魔道具を使い、オルステッドを廃村の跡地に作ったお手製の塔の中に誘き出し、無防備になったところに必殺の魔術を何発も何発も撃ち込み、その上で決戦兵器たる魔導鎧なるものを使う、とのことだった

    ガル・ファリオンすら雑魚扱い出来る化け物がそんな方法で倒せるものかよ──と突っ込みたくなったが、弟くんは龍神オルステッドを倒さなければ、兄も自分も妻も地獄のような未来を辿ることになる、と肌で感じていた
    ならばそんな勝ち目の薄い作戦だろうと信じるほかない、と自分も準備を始めた

  • 28124/06/29(土) 08:49:32

    そして作戦は始まった
    龍神オルステッドがナナホシの魔道具に誘き寄せられ、塔の中にてくてくと歩いて入った
    兄は迷宮で戦う時にも、魔王と戦う時にも使っていた杖を構えて魔術を作り出し始めた
    まずは水王級魔術の雷光、弟くんでは一度使えば消耗の少ない魔術を使うくらいしか出来ないような大規模魔術だ
    しかし兄は惜しげもなく魔力を使い、続け様にキュムロニンバス、フロストノヴァを極大規模にして放ち、最後に山と言っては大袈裟だが、屋敷一つ簡単に圧し潰せるであろう巨大サイズの岩砲弾を放った
    自分は火聖級魔術、フラッシュオーバーを1点に集約させ、それをボールのように小さくしてから投げ込んだ
    オルステッドがいたであろう位置に着弾すると、火聖級の名に恥じない凄まじい炎が氷山を一瞬で蒸発させ、冷え切った空気が熱膨張を起こして遠方にいたはずの兄弟2人がまとめて吹き飛ぶのではないかと思うほどの大爆発が起こった
    超広範囲、超高火力の大爆発で廃村の跡地も塔も氷も岩も消えたところで、グレイラット兄弟は感じ取った
    世界最強たる龍神が満たしに満たした殺意を

  • 29124/06/29(土) 09:14:50

    「ひぃぅ!」


    兄はこの殺意にトラウマでもあるのか、失禁しそうなほど情けない声をあげながら魔導鎧の装着を始めた

    弟くんは殺意に怯みこそしたが、不思議とそれを堪えることが出来たので剣を構える

    強大な敵との戦いに備え、弟くんはザリフの義手・義足を使ってでの動きの鍛錬の合間に、また一つ別の鍛錬を挟んでいた

    それは

    dice1d2=1 (1)

    1:今までの剣神流にない、新たなる技

    2:今までの剣神流の技を、魔術と組み合わせて更に進化させる


    である

  • 30二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 09:32:48

    片腕でもできる技かな?

  • 31124/06/29(土) 09:37:47

    ──剣神流奥義・光の太刀
    これを習得することで剣聖となり、剣聖となった者らはこれらを始めとした剣神流の技、奥義の練度を肉体と共に鍛えあげ、合理を突き詰め、より速く、より重く繰り出すように磨き上げる
    しかし、相手は世界最強にして全ての魔術、技、奥義を知り尽くした龍神
    如何にどれだけ速かろうと、重かろうと、技そのものは既に知られ、見切られることも容易に想像がつく
    ならばどうするか、弟くんはこれを弱者の浅知恵だと嗤いながらも、今までの人生で振って来た剣の全てを込めるように構える

    「奥義──光の剣閃!」

  • 32124/06/29(土) 09:37:58

    己の纏う闘気を剣に込めて放つ、剣神流最大最速最高の奥義である光の太刀の発展
    それらは歴代の剣神たちが幾年かけても達成することが出来なかったもの
    弟くんは類まれなる剣術のセンスと培ってきた魔術、そして尊敬する恩師の姿から新たなる技を編み出すにいたる

    剣閃、それは剣神流の技の一つにもあり、剣士としては珍しい遠距離攻撃の手段
    剣から衝撃波を放つように、遠距離からでも人を斬ることを可能とした技
    だがそれは速度も重さも足りない、ベテランの剣士であればあっさりと対応されてしまう

    しかし、だからこそ弟くんはそこに目をつけた
    奥義である光の太刀を、剣閃で飛ばせたら? 近づいた上で放つ光の太刀を、遠距離から放つことが出来たら、それは本当の本当に、必殺剣足り得る技となるのでは? と
    無論、それは今まで剣神流を学んできた者たちが考え至らぬはずもない
    口で言うだけならば誰にでも出来る、それこそこの世界に来たばかりの頃のルーデウス・グレイラットとてふざけた口調で言うだろう
    だが、言ったことを実現する力が誰にでもあるわけではない
    誰もやらなかったこととは、誰も出来ない、やる理由がないからやらないのだ

    光の太刀を飛ばすというのは、歴代の剣神ですら成しえなかった技である
    しかし、時に世界は特異点となりうる存在を生み出す
    12歳にして現在の剣神に肉薄するほどの強さを得た男が
    守るもののために、自由にあった己の強さを更に研ぎ澄まし、その輝きを増した
    肉体は更なる成長を遂げ、技は更に磨き上げられ、精神は守るもののためにより強固となった
    規格外の成長速度で規格外の実力を手にした男が、規格外の魔術師と同等たる魔力を手にした
    世界の理すら外れていると言っても良い兄の前ではちっぽけな魔力量、されども剣士の中ではありえないもの
    あり得ざる組み合わせが生んだ一太刀は、剣神流の技を、一つ先の時代へと進め
    龍神の眼を最大限開かせる技へと昇華した

    「これが、飛ぶ光の太刀だ」

  • 33124/06/29(土) 09:45:04

    龍神の眼を開かせた新たな奥義は、龍神にも届いた
    通常、ただ放っただけの光の太刀は彼が身に着けた水神流の最大の奥義にて返されてあっさりと破られてしまう
    だが弟くんの放った斬撃は、龍神オルステッドが今までに経験したことのない技
    故に対処がほんのわずかに遅れた
    光速へと達する技に、一瞬でも対処を遅らせればそれがどうなるかなどわかり切ったことだった
    オルステッドは弟くんの奥義を真正面から浴びたのだ
    それを受けての硬直、それは更なる隙を生んだ
    兄の放った核爆撃のような極大な火の魔術が、オルステッドを襲った
    先ほど弟くんが放った火の魔術にも相当するほどの範囲の爆発が巻き起こり、オルステッドを中心にキノコ雲を作った

    ──今度こそ、やったか?

  • 34124/06/29(土) 09:52:38

    しかし、龍神オルステッドはこれで”ようやく”まともなダメージを負ったにすぎなかった
    若き天才が編み出した世界に新しい奥義も
    規格外を超えた規格外の魔術師が全力で放った極大な魔術も
    オルステッドにとっては、常人が火傷と凍傷と少しの切り傷を負った程度に過ぎない

    世界最強の龍神はゆっくりと姿を現した
    弟くんは兄に魔術戦を任せ、自分は後方で再度構えを取って光の剣閃の準備をする
    光の太刀以上の奥義であるが故に、光の太刀以上のタメを必要とする技
    故に、本来後衛である魔術師の兄を前に出し、前衛である剣士の自分が後ろに下がる必要がある
    矛盾した陣形、矛盾した戦術
    されども、それほどの歪さを出さなければ龍神に勝つことはおろか、傷すらつけられない

    「撃ち抜けぇぇぇぇぁあああぁぁぁ!」

    兄は魂から絞り出したような悲鳴にも近い雄たけびと共に、鎧につけた魔道具を起動させた
    ガトリング、と名付けられたその不可思議な杖は兄の得意とする必殺の岩砲弾を雨あられのように撃ち出した

  • 35124/06/29(土) 10:01:27

    弟くんが最大最高最速最長の一撃を構える中、兄は龍神を相手に魔術戦を行っていた
    世界最強を驚かせ、世界最強を一瞬であれども苦戦させるほどの魔術戦
    文字通りこの世で3本の指に入る魔術の達人同士の勝負
    軍配が上がったのは──龍神オルステッドだった

    兄が犯してしまったほんのわずかなミスに付け入り、彼は瞬く間に兄との距離を詰めた
    心臓を穿ち抜かんとする勢いで、彼は貫き手を構えた
    だが、ルーデウス・グレイラットは一人ではない
    魔術による戦いが終わったのならば、選手は自然と交代する

    「シッ!!!」

    弟くんは光の剣閃では兄を巻き込んでしまうと悟った
    故に、光の太刀を飛ばすだけの力を剣から足に込め直し、地面を抉り抜き、抉られた土が天高く吹っ飛ぶほどの踏み込みを繰り出した
    そして、オルステッドの視界の外から放たれるは、弟くんが磨き上げた光の太刀

    「甘いな」

  • 36124/06/29(土) 10:01:43

    「なッ──」

    だが、それでも尚高みには届かない
    むしろオルステッドはこの状況を誘ってすらいた
    自分がルーデウス・グレイラットに肉薄して攻撃を仕掛ける瞬間
    その瞬間に、弟は兄を守るべく真っすぐに斬りかかってくるのだと
    故に、オルステッドはもう対応するための技を放っていた
    先ほどは距離が遠すぎるが故に光の太刀が放たれたのだとは思わず、攻撃を受けてしまった
    だが今は違う、光の太刀が来るのだとわかっていれば、通り道に剣を置くがごとく、カウンターの技を合わせていれば良い

    「水神流の奥義は、貴様とて経験したことがないだろう」

    「カッ──は……!」

    光る一太刀に対して繰り出された二撃のカウンター
    龍神の腕は、若き天才の義手を砕き、身に着けた鎧ごと腹を貫いた

  • 37124/06/29(土) 10:08:58

    弟くんはオルステッドの繰り出した僅か二撃で意識を刈り取られ、致命的な傷を負った
    彼は願った
    「別に俺がここで死んだっていい、妻を遺してしまうことは心残りだが、俺は俺自身の考えで兄や妻の未来を守るために戦った。
    自由に、自分のやるべきだと思ったことを、自分のやりたいと思ったことを、精いっぱいやった。
    だから死ぬことは怖くない、血が流れ出て、呼吸が浅くなって、孤独に蝕まれることも、そう怖くはない。
    けど、だけど──どうか、俺の家族だけは、幸せになって欲しい」

    普段信じたことのない神にも縋るつもりで、虫がいいとわかっていても、自己中だとわかっていても
    どうか、どうか──と、死にゆく身体でただそれだけを願った

  • 38二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 10:10:15

    無理ゲー過ぎる

  • 39二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 10:18:30

    流石に正史より消耗大きくなってるよね?

  • 40124/06/29(土) 10:21:34

    「ルーデウス・グレイラット!」
    「俺は貴様がヒトガミに組する限り、逃しはしない! この場にいる全ての人間、町にいる全ての人間を皆殺しにしてでも、お前を追い詰めて殺す!」
    「ヒトガミの言葉など信用しないが……ヒトガミが本当にお前の言った言葉を吐いたのであれば、お前を殺した上で、お前の子供を拐かす!」
    「だが、闘神を模倣した貴様の鎧と、ラプラスの因子を持つその魔力、そして俺の呪いの効かぬ貴様の体質には、利用価値がある!」
    「ヒトガミを裏切って俺に付け!」
    「そうすれば、俺に奇襲を掛けた件は水に流し、貴様の腕の怪我も、貴様の弟の傷も治療しよう!」
    「俺の……龍神の加護を得れば、ヒトガミもそう安々と貴様に手は出せんはずだ」
    「今、この会話も、奴には届いていまい!」
    「もし、お前たちが嫌々ヒトガミに従っているのなら、悪い話ではないはずだ!」
    「選べ! ルーデウス・グレイラット!
     ヒトガミに付き、俺の手で全てを失うか!
     俺に付き、共にヒトガミと戦うか!
     貴様なら、俺の呪いの効かぬお前なら、己の意思で選べるはずだ!」

    ──声が、聞こえた
    己の命を奪うはずだった、世界で最も恐ろしい男の声が
    魂に焼き付くような恐怖を孕んだ声が、死を待つだけの体に届いた
    そして、暖かな光が、体に穴を開けられ、血を失った彼の体を包んだ

    「……貴様はどうする? 俺の配下につくか、二度目の死を味わうか、選べ。 ──・グレイラット」

    龍神オルステッドは、己の手で葬り去るはずだった男の傷を癒した
    男は既に諦めていた
    龍神オルステッドには勝てない、万が一だろうと億が一だろうと、勝つという可能性を掴むことは出来ない
    ガル・ファリオンすら「龍神オルステッドに比べたら俺なんて雑魚だろうさ」と言った
    自分たちは精一杯やり遂げた、世界最強を前によく足掻いた
    剣すら使われず、素手で己の最高の奥義を破られた、その上で自分の力では治せない致命傷を、元からあった傷まで含めて治した
    そんなことをされて、そんな真似をされて、男がその台詞を言わない道理はなかった

    「……あなたに下ります、どうか家族をお許しください、神様」

  • 41二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 10:24:46

    あれ?腕も治った?

  • 42124/06/29(土) 10:26:40

    >>39

    弟くんにも治癒魔術を施したので一応原作よりも消耗はしてますね

    ただ、弟くんの放った光の剣閃の傷はルディがつけた傷を治す際にまとめて治されてたり

    光の太刀にも素手だけで対応したので治癒魔術一回分だけの差です

  • 43二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 10:30:10

    あれ?誰かの出番が無いような…?

  • 44124/06/29(土) 10:31:48

    >>43

    ※弟くんがくたばりかけてる間にちゃんと戦ってくれました、ただ流れが原作通りなのでカットに至ります、ごめんね♡

  • 45124/06/29(土) 10:58:21

    それから、弟くんは兄と違って魔力の消耗もそこまでだったためにすぐに家へ戻り、妻と話し合おうとした
    妻は弟くんが五体満足、それどころか片腕を生やして帰って来た事実に涙を流し腰を抜かしながらも喜んだ
    そうして「龍神を討ち取ったの? 神様の言う通り、世界を滅ぼす邪龍となった彼を斬ったの?」と尋ねた
    しかし弟くんが「……その逆、かな。彼は俺たちを守ると言ってくれた、だから俺は龍神様についた」と返事をすると、妻は白目を剥いて倒れた
    弟くんは妻──商人ちゃんに何か秘密があるのだな、と考え気絶したままの彼女を担ぎ、グレイラット邸へと足を運んだ
    何故かわからないが、剣の聖地で見た懐かしい顔がグレイラット邸にいるのを横目に、妻と兄の関係性を改めて問いただした

    魔力が枯渇して白髪になり、ぐったりとしたままの兄は、自分と弟の妻を操っていた存在の話を始めた
    真っ白な姿をした男で、夢の中に出て来てはお告げと称して「こんなことをしろ、あんなことをしろ」と命じて来る
    それに従えば、確かな幸福や正解を手にすることが出来た、自分もそうだったと語る
    だが、その男は決定的なタイミングで己の使徒を裏切り、破滅させるのだとも言った
    自分も危うくその手に引っかかってお前も父さんも母さんもノルンもアイシャもシルフィもロキシーもエリスも、皆を失うところだった、だがすんでのところでそれをどうにかできたと語る

    弟くんはその話のことがよくわからなかったが、取り敢えず夢に出て来る真っ白な男が全て悪く、そいつのせいで妻は怯えた日々を過ごし、自分は世界最強の相手なぞに挑まされ、腹に穴まであけられたのだということはわかった
    治癒魔術で傷こそ治してもいまだに痛みは残っている上に、穴はふさいだような跡があるだけに服を脱ぐだけで腹を貫かれたことを思い出し、未だに背中へ悪寒が走るのだ
    加えて、昔兄も胸元をオルステッドに貫かれたのだというから、酷い意味で「穴兄弟」になってしまったと過った時はどうしたものかと頭を抱えた

    そうして、今後どのように家族たちを守っていくのかとも頭を抱えた
    兄弟は疲れた体で頭を捻っても良い考えは浮かばず、オルステッドがどうするかもわからない
    ならばオルステッドが動いてから決めることにしよう、と結論を出し、オルステッドが接触を図って来るまで待つことを決め、それぞれの日常へと戻った

  • 46124/06/29(土) 11:04:28

    ヒトガミ、とやらの説明を受けた弟くんは妻を自宅に連れて戻った上で、再度お話をすることにした
    確かに自分たちに良くしてくれた存在を裏切るのは心苦しいだろう、報復に何をされるかわかったものではないだろう、と
    それでも俺は君を守る、騙されながらも君は俺を守るために頑張ろうとしてくれた、少しでも勝てる確率が上がりますようにと願って、貯蓄していた金を湯水のように溶かす勢いで俺たちの戦いを助けようとしてくれた
    だから、今度は俺が君を何に代えてでも守る、愛してるから
    そう伝えて、弟くんは妻を抱きしめて、そのままベッドに連れ込んで、押し倒して

    「でも、騙されていたとは言えどこっちだって死にかけたんだ、次同じようなことがあったらたまったもんじゃないし……覚悟してもらおうか、今日どころか明後日まで寝かさないぞ」

    と、言い、一度死に瀕したこともあって性欲のボルテージが昇り龍の如く上がり切った弟くんは、妻を抱きしめ、脱がし、明後日どころかその更に翌日まで眠れなくなるほどの、ベッドの上での祭りを開催したのだった

  • 47124/06/29(土) 11:07:59

    現在の弟くんの性技

    dice1d100=30 (30)

    80以上でルディレベル超え

  • 48二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 11:19:54

    まだ経験不足かな?

  • 49二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 11:31:38

    >>47

    口では強気で実際は素人レベルとは相変わらず可愛いな

  • 50124/06/29(土) 11:34:59

    妻・商人ちゃんによる弟くんのレビュー
    大きさ:★★★★★
     他の人の物を見たことはないけれど、私の求めているサイズにピッタリで、大きすぎないから無理なく楽しめる。
    持久力:★★★★★
     こっちが満足、ううん、満足を通り越して十分すぎる、ってくらいまでずっと持ってくれるし、文字通り三日くらいぶっ通しでしっぱなしなくらいにはある、ヤバい。
    技術:★☆☆☆☆
     まだまだ経験が足りないからか、ちょっと粗削りだし激しすぎるかもしれない、けど持ち前の大きさと持久力で立派に補ってこっちを満足させてくれる。
    トーク力:★☆☆☆☆
     元から言葉が上手い方じゃなかったけど、行為後のお話が少し退屈かも、ここは経験で磨いて欲しい。

    もっと頑張りましょう、弟くん

  • 51二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 11:42:41

    弟くんは兄さんに相談しようね…

  • 52二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 13:17:42

    ルディが高すぎるだけかもしれん

  • 53二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 13:24:55

    パウロの血を信じろ

  • 54二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 15:55:33

    経験豊富なお姉さんを嫁にしないと…

  • 55124/06/29(土) 16:31:50

    それから大体、十日と少しほどの時が経った

    弟くんはこれまで妻にしてこなかったほど、妻の体を求め、妻と愛し合った

    「ヒトガミとかいう全裸野郎のことは俺が忘れさせるから、だからそんな奴の言葉とか関係なくさ、自分自身の意志で俺を愛してくれ、俺たちはヒトガミの手でくっつけられたんじゃなくて、本当に運命に導かれて出会ったんだから」

    とか、そんな歯が成層圏まで浮いて行きそうなほどのキザなセリフを、打算とかムードとか関係なく、ただ心に思って正直に言いながら愛し合った

    兄であるルーデウス・グレイラットも、一時、ほんの一時だけ弟くんの修行仲間であったエリス・グレイラットと存分に愛し合っているのだという

    ならば、弟である自分だってそう言う風にしていたって良いじゃないか……と、妻とベッドの上で悪魔でも呼び出すんじゃないか、と噂されるほどの声をあげながら過ごしていたのだった


    そうして弟くんの体がほんのひとまわり小さくなるほど痩せたところで、弟くんの下に手紙が届いた

    差し出し人は龍神オルステッド、内容は『今後のことについて話したい』というものだった

    前置きなどがない辺り、随分と手紙を書き慣れていないのだろうな……と、弟はオルステッドに対して親近感のようなものを感じていた


    dice1d2=1 (1)

    1:  した

    2:  してない

  • 56124/06/29(土) 16:43:01

    弟くんは行為の直後で疲れた妻に申し訳ないと思いながらも妻を起こし、疲れた体にごまかしの治癒魔術をかけ、お湯で身を清め、出来る限り見た目が良さそうに見える服を着て、腰に剣を帯び、念のため、万が一の念のためでザリフの義足を履いた上でオルステッドから指定された小屋へと向かった
    道を歩いていると、水溜まりとにらめっこをしている兄を見つけた
    兄と合流し、3人──ではなく、何故かバレバレな尾行をしているエリスに気付かないフリをして、4人でオルステッドのいる小屋へと向かったのだった

    「ルーデウス・グレイラット! 参りました!」
    「同じく──・グレイラット! 参りました!」
    「──・グレイラットも、参り、ました……」

    兄のあいさつに便乗したら、妻も震える声でそう言った
    震えているのはオルステッドへの恐怖なのか、それとも単に腰とか顎とか足とか手とかあちこちが痛いからなのかはわからないが、弟はこっそりと妻の体のあちこちに治癒魔術をかけたのだった

    「大勢の仲間を連れて来ると思ったが……4人で来たのか」

    「……オルステッド様、俺たちは双子です、3人目はいません」

    「? あぁ、そうだな、ところで何故外にいる、エリス・グレイラット」

    兄が変なことを言ったと思ったら、どうやら兄はエリスに気付いていなかったらしい
    妻も驚いていたために、気付いていたのは弟くんとオルステッドだけのようだった
    随分と気配を探るのが苦手なのだなぁ、と弟は思ったのだった

  • 57二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 16:53:45

    すっごい今更だけど、弟くんと商人ちゃんの名前決めてもいいかもしれん

  • 58124/06/29(土) 16:58:30

    >>57

    決めちゃってもいいものなのか

    これは安価で案とか募集した方がいい奴?

  • 59二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 17:15:12

    良いのが思いつかなかったら安価……とかでも?

  • 60二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 17:38:21

    このまま固有名詞でも他にいないしいいと思うが

  • 61二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 17:51:12

    >>60

    二人目の妻が来るとちょっと面倒そう

  • 62二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 18:02:36

    >>61

    金ママとか髪の色で分けるとか

  • 63124/06/29(土) 19:46:23

    せっかくなのでつけてみることにします
    でもアイデアはないので、弟くんの名前を3つ、妻の名前も3つほど募集します
    案が出たらダイス振って決めます

  • 64二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 19:57:26

    弟くん リオン 
    商人ちゃん ミリアルテ

  • 65二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 20:11:10

    弟くん レオン
    奥さん ミリア

  • 66二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 20:12:40

    弟君 パリス
    妻 アリア

  • 676524/06/29(土) 20:14:41

    すまん、見返したら似た名前が重なった。最悪俺の分はなしにしてくれ

  • 68124/06/29(土) 20:43:34

    一応ルーデウスの双子の弟なのに、ルから始まる名前がないのに少しビックリ

    で、確かに64と65がそっくりなので統合するとして

    代わりに一枠俺の考えた案で埋めてダイス回します


    dice1d3=1 (1)

    1: 弟くん→レオン(愛称リオン) 妻→ミリアルテ(愛称ミリア)

    2: 弟くん→パリス 妻→アリア

    3: 弟くん→ルキウス 妻→レイチェル

  • 69124/06/29(土) 20:49:51

    決まりました
    弟くんはレオン・グレイラット、商人ちゃんはミリアルテ・グレイラット
    愛称はそれぞれリオン、ミリアです
    呼称はその人のルーデウスとシルフィエットへの呼び方に準ずるものとします

  • 70二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 21:14:02

    エリスはオルステッドに対し警戒心はガチガチに硬く、殺意すら剥き出しでいた
    兄が一度殺されたも同然なのだから、それはまぁそうなのだろう、とレオンは納得した
    されども初対面のはずのミリアが震えて今にも失禁しそうな状態なことにレオンは首を傾げた

    ヒトガミには「アイツはいずれ世界を滅ぼす邪龍となるんだ、そうなると僕も殺されちゃって、世界はパーンって消えるの、だから何としても倒さないといけないのさ」とか言われたと言っていたが、それは嘘っぱちのハズだろうと、あまり頭の良くないレオンでもわかったことだった

    では何故、何故こうも怯えて震えているのか、レオンはそこから先を考えてみることにした、幸いにも兄がオルステッドと話しているので、自分はそれを聞きながら思考を始める
    剣神流の道場で人の話を聞きながら自分の思考を進めるということを勝手に練習してはよくガルから剣の腹でぶん殴られたが、これこそが合理的に人の話を聞く方法とか言ったら勝手に納得したので、レオンは今でもそうするのだ

  • 71二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 21:17:53

    >>26

    12の子供にギリギリで勝つとかガルからしたら次の剣神をレオンにしようとか考えてそうだな。

  • 72124/06/29(土) 21:18:45

    あり、名前消えてた


    まず、レオンはオルステッドをじっと見つめて観察する
    兄へ向けて何かを取り出したと思うと、守護の獣がどうと語っていて、その目は鋭く睨みつけているようにしか見えない
    しかしその目を更によく見ると、元から目がギラギラとしているだけで、本人は真顔のつもりなように伺える
    レオンは「あぁ、彼は顔が怖いだけの人なのだな」と納得するも、目すら合わせていないミリアのことを見ると、どうやら怖いのは顔だけではないらしい

    オルステッドの撒き散らす恐ろしい雰囲気のようなものは、レオンからすれば本当に殺意を向けて来る人に比べれば優しいものだと感じた
    しかしオルステッドは今兄や自分に殺意を抱いているとは見られない、では何故殺意のようなものが溢れているのかと考えた

    すると答えは自然と出て来た、それは一度共に旅をしたスペルド族のハゲ頭──俺の可愛らしい妹、ノルンから下手をすると親以上愛されているルイジェルド・スペルディアのことだった
    スペルド族が嫌われているのは呪いのせいで、スペルド族は悪い種族ではない、だがそれでも誤解されるものは誤解される、だから髪の毛を剃ったのだ、と本人は語っていた

    なら、オルステッドにもきっと同じ呪いがかかっていて、ミリアはきっとオルステッドの髪の毛を剃ってしまえば怖がることもないのだろう、とレオンは納得した
    レオンは剣神流の剣士であり、納得すればすぐに行動もする
    そしてレオンは兄同様家族想いだった、だからずっと震えているミリアのために立ち上がった
    オルステッドが、喋っている最中に

    「俺はお前を信用している、死に物狂いで家族を守ろうとした、お前の──」

    「龍神様」

    「……なんだ、レオン・グレイラット」

    「髪の毛、切りません?」

    レオンは躊躇なく腰の剣を抜いていた
    別に他意はなかった、本人は「龍神様って、兄さんの魔術が直撃しても髪の毛すら傷つかなかったもんなぁ、じゃあ斬るなら最低でも俺の魔剣クラスの強さは必要だよな……」と思っただけだった
    だが、その一言はエリスの手を剣の柄へ移動させてガッチリと握りしめさせ、兄ルーデウスの顔色を蒼白に変えるのには十分だった

  • 73124/06/29(土) 21:41:57

    思ったことの説明をすれば、誤解は数分後に解けた

    しかし、兄は「寿命が20年は縮んだわい」と言いそうなほどやつれ切った顔で「話とか説明は全部俺がするから、もう直接聞かれたこと以外は黙っててくれ」と言った


    申し訳ないことをしたな、と思ったレオンはミリアと共にエリスの隣に土魔術で作った椅子に座り、剣は兄へと預けて「僕、何もしませんよ」というアピールを取り、この震えで火でも起こせるのではないか、というほどに震えているミリアの手をギュッと握り、レオンは黙りこくったのだった



    以下、原作通りなので説明後の情報箇条書き(レオンについてのみ)

    ・レオン・グレイラットという人間だけはオルステッドの記憶の中には存在する

    ・しかしレオンは転生者ではない(日本語にも英語にも首を傾げた)

    ・レオンがオルステッドを嫌悪しないのはルーデウスと双子であるからと推測

    ・レオンの魔力総量がルーデウスに比べて少ない理由は因子の濃さ、闘気を纏えることの影響、修練の量の差


    ついでに、レオンも兄と同様にお給料として


    dice1d3=3 (3)

    1:魔石の類

    2:珍しい杖

    3:お金を増やせる魔道具


    を貰った

  • 74二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 21:43:18

    お金を稼ぐのが好きな嫁さんにあげたら不味いやつ

  • 75二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 21:46:32

    すみません社長、レオンくん16歳までキスで子供できると思ってた純粋な子なんです()

  • 76二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 21:46:40

    商人の矜持とか持ってるタイプだったらアカンかも

  • 77二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 21:48:31

    そういやミリアちゃんって年上なんだっけ?下なんだっけ?

  • 78二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 21:52:16

    種族もなんだっけな
    金髪巨乳ってことだけはわかる

  • 79二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 22:04:57

    >>73

    ルーデウスと顔がそっくり=一卵性双生児だからルーデウスの前世の無職氏の魂がほんのちょっぴり混ざっているのかな?

  • 80124/06/29(土) 22:07:03

    そう言えばミリアについて詳細が何もありませんでしたね

    はいダイスロール


    レオンより年上か否か

    dice1d3=3 (3)

    1:年上

    2:年下

    3:同い年


    種族は?

    dice1d3=2 (2)

    1:純正人族

    2:人と何かのハーフ

    3:人と何かのクォーター


    ついでに、お金を増やせる魔道具の効果は?

    dice1d3=1 (1)

    1:相応の魔力と引き換えに触れた物を使用者のイメージ通りに変換できる魔道具

    2:振ると使用者の魔力を魔力結晶に変換して出す魔道具

    3:振ったらいつの時代に使われていたかもわからない金貨が出て来る魔道具

  • 81124/06/29(土) 22:09:23

    何のハーフか、見た目の性質上限られるので絞ります

    dice1d3=1 (1)

    1:長耳族

    2:小人族

    3:炭鉱族

  • 82二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 22:10:38

    エリナリーゼ関係者かな?

  • 83二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 22:12:27

    まさかの親類縁者…?

  • 84二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 22:12:47

    レオンと同い年だからエリナリーゼの娘ではないな。エリナリーゼとエルフの男との間に生まれた子の娘かもしれないけど··

  • 85二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 22:14:21

    両親も死んでるし流石に分からんかも

  • 86二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 22:24:50

    レオンとミリアルテの子供はエルフクォーターだから長寿確定だな。

  • 87二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 22:32:23

    ミリアルテが若くして商人になったのも砂漠だろうと森の中だろうと目的地に辿り着けれるエルフの特徴を持っていたからなのかな?

  • 88124/06/29(土) 22:32:40

    兄弟揃って長耳と人の混ざった子と結婚するなんてつくづく縁がありますね

    というかお前ハーフエルフと同い年ってこの先どうすんねん……とか色々思いましたが、まぁ後の祭りなのでそこは良しとして


    ミリアはこの魔道具で金稼ぎをする?

    dice1d3=3 (3)

    1:魔力の消費量がエグいので使える人が限られてしまい、ミリアでは使えない側なので非常時の物とする

    2:魔力の消費量凄いが躊躇なく使う、ミリアでは小物しか作れないが、それを逆手にとって小さい人形などを売り捌く

    3:怖いので使わないしルディに売る(押し付ける)


    ミリアの両親についてはこの後オルステッドからどう言われる?

    dice1d2=2 (2)

    1:お前の両親のことは知らん

    2:お前は確か……お前たちの知っている人物だとエリナリーゼだ、奴と同じく長耳族の──が成した子が、人族の商人と結ばれ、生まれた子だったな……何? 何故知っているかだと? ……お前の両親となら会ったことがある、死ぬほど嫌悪されたがな

  • 89124/06/29(土) 22:39:41

    翌日、話をする必要があるのはルーデウスとミリアルテだ、とオルステッドから直に言われたためにレオンはやや寂しい気持ちを覚えつつ兄にミリアを任せて留守番をすることとなった
    しかし一人では寂しい気持ちが勝ったため、たまたまグレイラット邸へと遊びに来ていたパウロたちと共にグレイラット邸へと向かい、ルーシーやノルンを可愛がったり、エリスと木刀かつ魔術なしで本気の稽古をしたり、思い出話に花を咲かせる日を過ごしたのだった

    一方、ミリアは死ぬほど緊張しながら再度オルステッドの元に出向くこととなり、知らず知らずのうちに夫と同じ容姿であるルーデウスの腕に抱き着いていたのだった

  • 90二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 22:39:58

    ミリアルテ 両親を喪って天涯孤独だと思っていた自分に祖母や従姉妹等の血縁者が身近にいた件について

  • 91124/06/29(土) 22:50:15

    殆ど原作通りの説明を受けたり、ミリアも話すことは基本ヒトガミに何を指示され何をしたかを語っただけとなります

    以下、レオンが本来の世界で辿った歴史
    ブエナ村で剣士として育てられ(当時の家の方針で魔術の勉強はしていなかった)る。
    10歳の頃に稽古でパウロに勝利した上に自力で光の太刀を習得してしまったことから、パウロからこの才能を伸ばすために剣の聖地へと送られ、家を出る。
    10年かけて剣帝となり、免許皆伝となったことで剣の聖地を出る。

    その後は家に帰ることもなく広い世界を見て回ろうと思ったことで冒険者を始め、2年後には迷宮攻略などに挑んでみたいと思ったところで前衛を欲していたロキシー&シルフィ師弟と出会い、パーティを組む。
    恋仲、ましてや夫婦に至ることなどなかったものの、信頼できる仲間としての関係を築いた上でそこそこの交流を続けていた。
    時にヒトガミの使徒に騙されて災難に遭うこともあったが、大体自力で跳ね除ける上にヒトガミの使徒への報復も忘れないので放置していてもオルステッドに利益をもたらしている。
    ノルンやアイシャとは家を出た時点で疎遠になっており、顔も名前もロクに覚えておらず、出会っても人に言われるまで妹と認識出来ない始末。

    アトーフェや北神三世など様々な強敵とも戦って敗北しながらも生き延びて、漏れなく逃げ切っており、持つ家も土地もなく自由に気ままに生きた。
    老いる頃にはたまたま助けて縁が出来たスペルド族の一人の女の子を弟子に取り、剣神流の極意を槍にアレンジしたものを教え、自分の持つ技術の全てを教えた終わったところで役目を終えるように息を引き取った。
    彼の弟子だったスペルド族の女性は未来で復活するラプラスとの戦いでも大活躍する。

    ミリアルテの本来辿るはずだった歴史
    特に世界に影響を及ぼすほどの者でもなく、財閥を築き上げるほどの商人にはなれず、しかし無名というほどでもない、そこそこの立ち位置の商人として成功した。
    最終的にはベガリット大陸で長耳族のことが好きな貴族と出会い、結婚して幸せに暮らしていたが、子孫はヒトガミの使徒となる。

  • 92二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 22:55:16

    弟子ってもしかして··

  • 93二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:01:01

    本来の歴史では剣帝になったのが二十歳だから今の17、18の時点で二十歳の時の剣の腕前+圧倒的な実戦経験+多彩な魔術+兄とのコンビネーションを持っているのか。

  • 94124/06/29(土) 23:35:15

    ミリアはオルステッドに対して喋る度に普段の客への態度とは大違いなほどに噛みまくるし、説明が要領を得ないほどに怯えていたが、ルーデウスがレオンの代わりにミリアの手を握ったことで何とかその頻度を減らすことに成功していた……が、そんなことはレオンは露知らず
    ミリアは夫と義兄が精神安定剤になるのだと感じながら任務を受けました
    装備と魔法陣だけが書かれ、魔力が込められていない治癒魔術のスクロールを1枚支給されて家へと帰りました

    オルステッドはルーデウスに「家を守護する存在の召喚」を命じ、ミリアは「家を守護出来る存在の復活」を命じられました
    それは転移の迷宮で足を失い、今や体もなまってしまい妻二人と細々とした生活を送りつつ、時々グレイラット邸へと遊びに来ては孫や娘を可愛がる、一人の剣士でした

  • 95二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:41:33

    もうモチベーションとか片足もないからすっかり隠居老人気分なんだろうね。

  • 96124/06/29(土) 23:50:26

    ミリアはオルステッドに命じられたことをレオンに話すと、レオンの手でそのスクロールへ魔力が込められ、それは確かな効果を発揮し、パウロ・グレイラットの失われた足を取り戻したのでした

    「おぉ、すっげえ……久々に、生の二本の足で立てるぜ……ありがとうな、ミリアルテさん」

    「いえっ、龍神様からいただいたものですし、お義父様のためでもありますし……それに、お義父さんにはこれから多分、地獄が待ってますから、むしろ謝らせてください……本当に、お手数をおかけしてしまい、申し訳ございません」

    「あん? なんで急に頭なんか……ハッ」

    体こそ鈍り、数年単位でトレーニングも出来ていなかったものの、長年の勘だけは衰えていなかったパウロは察しました
    自分は「何かあった時のために息子たちや、自分の住む家を守る存在として戦う」のだということを
    そして、そのためには体を鍛え直さなければならず、久々に全力で体を鍛えねばならないということを
    そしてそして、短期間でパウロを鍛え上げるために、剣神流と北神流の技を磨き上げた者たちが狂気的な笑みを浮かべて、広い庭付きの家に彼を連行することを

    「と~うさま、けいこし~ましょ」

    「ひっ、り、リオン、にえっ、エリスに……ぎっ、ぎれ、ギレーヌ、お前まで……」

    「お義父様がまた強くなれば、ルーデウスも喜ぶものね」

    「覚悟しろ、パウロ。これまでの鬱憤まで晴らすつもりで鍛え直してやる」

    パウロは逃げたかった、しかし久々に全力で鍛えるパウロを見れるということに喜んだのか、ゼニスは何も言わずとも笑みを浮かべ、パウロの剣を持って来てパウロに手渡し、パウロの背中を押しました
    リーリャも揃って笑みを浮かべ、頑張ってきてください、とだけ告げた

  • 97二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:50:32

    >>95

    あるのは妻二人に対する性欲と家族達への愛情だけである

  • 98二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:57:27

    エリナリーゼが身近に孫がもう一人いると知ったらどんなリアクションをするのやら

  • 99124/06/30(日) 00:03:17

    その日以降、パウロから平穏は消えた

    息子たちはこれから龍神の配下となり、世界の各地へと足を運ぶようになる

    レオンはともかく、ルーデウスの妻となった彼女たちも精強なる者たちではあるが、それ故にルーデウスたちへ同行せざるを得ない時もある

    ならばその間に戦えない者たちがいる家を守れる者は誰か

    それは聖級剣士にも匹敵する実力を持つ、全盛期のパウロ・グレイラットただ一人である

    その事実はわかっていた、覚悟も決めていた、しかし剣王二人に加えて剣神にも相当する剣帝から要求される地獄のような鍛錬は鈍り切っていたパウロには響いた、死ぬほど響いた

    しかしパウロの実年齢はまだ37歳、老骨に響く……とかほざくたびにレオンから治癒魔術と蹴りを入れられて立たされる


    「ほら、頑張れ頑張れ。俺たちが家を空けるまで何度でも付き合いますから」


    ルーデウスは、父が妻と弟とかつての師匠にボコボコにされながらも鍛え上げられている様子を見てドン引きしたものの、パウロがまた剣士として再起することにほんの少し、心の底から喜んだのだった


    一ヶ月間、この地獄のような稽古でパウロは……

    dice1d3=1 (1)

    1:剣聖になり、他流派も技の冴えを取り戻すにいたる

    2:全盛期レベルに戻る

    3:剣聖、水神流上級、北聖まで進化

  • 100二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 00:16:29

    やればできる子

  • 101二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 00:18:12

    リーリャが妊娠でもしてヤル気が出たのかな?

  • 102124/06/30(日) 00:39:26

    そのついでで、レオンは兄やエリスとも実戦稽古を行っていました
    兄だけではなくシルフィとも魔術の訓練を行い、とうとうレオンは乱魔の習得を果たしました
    しかし苦手意識があるのか、それとも魔力量の差なのか兄の魔術を乱魔で防ぐことは何回やっても出来ませんでした

    エリスには光の剣閃のやり方を教えようと訓練するものの、エリスやギレーヌ、パウロとてどうやっても光の剣閃は習得することが叶わなかったのです
    レオンは目が肥えているわけではないが、自分に出来てエリスたちに出来ないことを考え、剣の実力だけでない何かが必要なのだろうと考え、恐らく魔力の量が違う、と判断して他者への伝授を諦めてしまいました
    これは将来とんでもないサラブレッドになる兄の子供、他にもオルステッドに覚えさせれば良い……と判断したのでした

  • 103124/06/30(日) 01:30:25

    兄がアリエルとの話し合いをしたり、ギレーヌを紹介したり、ミリアを連れてオルステッドと会議をしたり
    そうして準備を進めていく中、レオンは鍛錬をひたすらに続けていました
    自分はあまり頭が良くない、なら出来ることは何か、それはアリエルを王にするべく、ひいてはオルステッドの目的を達成するべく障害となり得る存在を斬ること
    アリエルの対抗馬となるのは第一王子グラーヴェル、そしてその臣下のダリウスであり、彼らは多数の北神流の剣士を抱き込んだとも言う
    ならば、己が戦わずして誰がやるか
    強くなるために、兄に恥じぬ弟となるために磨いてきたこの力を、今こそ振るう時
    オルステッドと戦う時に役に立てなかった自分が、今度こそ兄の役に立ち、また家族が幸せな日々を過ごせるようにと、剣を取る

    「もう、ミリアに涙は流させない」

    レオンは確かな決意と共に、殺意を研ぎ澄ました

    ──旅のメンバーは9名となり、剣神流の中でも最強クラスの達人たちが揃っていた
    尤も、この3名の剣士の中ではどちらかが剣神5本指の中からは外れてしまいそうだが……
    それでも、妨害の手を全て叩き潰してくれるという確かな信頼を、アリエルたちに与えたのだった

  • 104二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 05:16:33

    純然な人族とハーフエルフの夫婦だから確実に若々しい妻を残して先立つんだよね···

  • 105二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 09:35:58

    剣神クラスがアリエルにつくとか戦力がヤバイことになってきたな

  • 106二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 11:06:13

    愛が150と過去一重いせいでレオン老衰したら一生未亡人になるまである
    今まで一度も助けられてなかったとかなんだろうか

  • 107124/06/30(日) 11:55:49

    いざ旅が始まり、赤竜の上顎へとやって来た王女一行
    そこではグレイラット兄弟の出番はなく、仕事がなく手持無沙汰となった二人はぼーっとしながらも、双子ならではの真似をして時間を潰すこともあった

    兄は「これ、一回やってみたかったんだよな~」と言いながら、弟を仰向けになった自分の上にまた同じ姿勢で寝かせてから起き上がらせたり、向かい合ってから鏡合わせになるように動いてみたりしている
    レオンは「兄さん、本当に時々変なことを言い出すしやりだすんだよなぁ」と慣れ切ってこそいたが、この奇妙な行動は、オルステッドにも話していた通り兄が別の世界から記憶を持ち越して生まれて来た、ということに由来するのだろうと結論付けた
    しかしまぁ、変なことを言ったりしたりする理由がわかってスッキリしただけなので、レオンに何も影響はない

    無論、こんなおふざけをしていてはシルフィやエリスからの視線も痛くなるものだがレオンは抜かりなかった
    兄ほどにではないにしろ、剣士としてはあり得ないほどの魔力量を誇るレオンは闘気の扱いに長けていた
    故に魔力量を調節することで闘気の厚みや凄みを大きくし、自分の魔力のテリトリーのようなものを広げることが出来るのだという
    そんなことをしては「自分たちはここにいます」とアピールするようなものだ、とギレーヌからお叱りを受けたが、レオンは「むしろそれがいい」とも言う

    一体何をする気なんだ、とルーデウスが警戒したところでレオンは突然闘気を元のサイズへと戻した
    レオンはエコロケーションの要領で闘気を広げていたのだ
    周囲のものを目で見て耳で聞き鼻で嗅ぐよりも詳細に感じ取り、近づく者の有無を見極めていた
    取り敢えず半径数百メートルには誰もいない、と結果を報告

    ルーデウスは「こんな使い方も出来るんだ」と感心したが、こんな真似が出来るのは光の太刀を飛ばすような規格外の技を持っているレオンだけであった

  • 108二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 13:38:35

    レオンはルーデウスとそっくりな見た目だから服装を交換して相手を撹乱するとかの作戦も出来そう

  • 109二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 13:39:25

    ルークの不信ゲージ溜まってない?

  • 110124/06/30(日) 14:17:39

    夜にはオルステッドへの定期的な報告をルーデウスが行う、そのためにレオンは「闘気の調節ミスって疲れた」とか嘘をついて狸寝入りをする


    その翌日には赤竜の上顎の渓谷を抜けるべく移動を再開

    移動しながらも妻とイチャコラしている兄を羨ましく思いつつ、レオンは帰ったらミリアに死ぬほど甘えつつ、家を留守にした分愛し合おう……などと思っていれば、自然と森へと辿り着いていた

    森の前で野営をし、陣形の確認を行う


    正直レオン一人で突っ込ませても大概の相手なら負けることはないものの、レオンが最高戦力であるためにアリエルの傍に置くべきだ、とルークからの進言もあってレオンは戦闘から離れアリエルにくっつくこととなった

    具体的には闘気の放出による奇襲対策を行い、アリエルとその従者を守るための防衛ラインとするということだった


    「俺が戦線から離れても大丈夫? 相手にオーベールがいたら」


    「2人がかりなら遅れは取らん」


    「……危なくなったら、すぐにスイッチしてくれよ」


    dice1d100=47 (47)

  • 111二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 14:20:18

    ヒトガミに懐柔されつつあるルークの進言だからなぁ···

  • 112124/06/30(日) 14:28:24

    翌日、打ち合わせ通りのフォーメーションで森を進めば現れたのは待ち伏せていた鎧姿の兵士たち
    無論レオンは入り口に入った時点で闘気を放出して感知していたため、全員待ち伏せがあるとわかっていた
    故に最初から臨戦態勢に入っていたエリスたちは戦う準備を済ませていた

    「敵襲!」

    抜剣、抜杖を済ませた敵からの攻撃が始まるよりも先に、エリスとギレーヌは動き出し、シルフィもそのカバーへと入った

    「ルーク先輩! 後ろに敵は!?」

    「いない!」

    「いや、いる。隠れてるみたいだから、そのまま指を咥えさせておこう」

    「お、おう」

    闘気による感知で罠を看破したレオンは、前進を進言
    奇襲とは意識の外から行わなければ意味もなく、奇襲を仕掛けなければ敵の首も取れない奇襲部隊は、位置が割れていては下手に動くこともままならなかった
    故に、レオンは奇襲部隊は何も出来なかったという事実を与えて士気を下げるための前進を進言したのだ
    相手の心身のどちらにもダメージを与える判断、従わない理由はなく、ノリにノったエリスはシルフィと共に兵士を蹴散らす
    一方でギレーヌは北王へ一騎討ちを申し込まれ、それを引き受ける

  • 113124/06/30(日) 14:53:48

    ギレーヌは北王『ウィ・ター』へ苦戦を強いられていた

    ルーデウスはオーベールこそ警戒していたものの、このままでは戦線の崩壊が起きかねない

    ならば、この手でやるほかなしと泥の雨を降らせる

    ウィ・ターの強みを失わせ、ギレーヌを逆転させるに至る


    そして──


    「気づくとは……だが魔術師にこの距離……闇討ち御免!」


    不意を突いたオーベールがルークの背後に穴を掘って登場し、ルーデウスへ斬りかかった

    しかしルーデウスは一人ではなかった、強力な剣士が、更にその後ろに立っていた


    「俺相手に、この距離なのもマズいでしょう、北帝」


    「おぉっ……!?」


    剣を振りかぶったオーベールの腕、それの肘から先がなくなっていた

    オルステッドの「オーベールが見えないうちに魔術を使うな、絶えず警戒しろ」という言葉

    それを守っていたのはルーデウスだけではなく、レオンもだった


    dice1d53=22 (22)

  • 114124/06/30(日) 14:55:18

    レオンは前線のエリスたちを信じ、兄はきっと我慢が出来ずにエリスやギレーヌを助けに出るだろうと知っていた
    ならば己はどうするか、答えは明白、兄が出来ぬのなら自分がオーベールを警戒すれば良い
    レオンがオーベールの奇襲を潰したことで、オーベールは冷や汗を浮かべていた
    切り飛ばされた片腕はすぐにキャッチして脇に抱える

    「ふむ、片手を失い剣帝を相手にする……これは非常に窮地、しかし窮地こそ剣士にとって誉れ! 北帝オーベール・コルベット! いざ推して……さらばだ! 撤収撤収!」

    オーベールはいつの間にか脇からパッ、と物を落とした
    それは先ほど抱えた腕……ではなく、カチカチカチカチ……と音を立て、火薬臭さを出しているものだった
    腕とすり替わるように落ちて来たそれに気を取られ、ルーデウスもレオンも一瞬動きが固まり、ルーデウスは叫んだ

    「ばっ、爆弾!? まずい!」

    「チッ──! アースウォール!」

    レオンはルークとアリエルたちを土のドームで覆い隠し、自身は闘気を高めた上で全身に力を入れて防御姿勢を取った
    ルーデウスは爆弾のサイズから見定めた有効範囲から飛び退き、撤退しながらも策を弄するオーベールへの対処に移った

  • 115124/06/30(日) 15:00:01

    オーベールは策や道具をフルに用いて兵士と共に撤退、催涙弾をくらって動けぬギレーヌ、深追いをするわけにもいかないエリスとシルフィは踏み止まる
    何とかしのいだ……と安心したルーデウスは、いつまでも爆発音が聞こえてこないために弟たちが心配になって後ろを振り向く

    と、そこには「ざんねんでした」と書かれた紙を見つめてぽかーんとしているレオンの姿があった
    どうやらオーベールの用意した爆弾はブラフのようだった
    レオンは焦って動きを止めてしまった上に、追撃を兄に任せてしまったせいでオーベールを取り逃がしてしまった
    その事実に怒り、肩をわなわなと震わせていた

  • 116124/06/30(日) 15:18:22

    戦闘終了後、ルークの顔は曇っていた

    レオンは「父親が裏切るなんて大変だったなぁ、でも、俺が父さんにそういうことをされてもボコボコにし直すだけだからなぁ」と思い、青い顔をしているルークには大した心配もしていなかった


    しかし、ルークはグレイラット兄弟への不信感を募らせていた

    故に、夜にはルーデウスのアイデアに反発したしレオンにも食って掛かった

    やけに焦っているルークを見て、レオンは昼間にオーベールを取り逃がしたこともあって少し苛立っていたこともあって、口を滑らせてしまった


    「黙って兄さんに任せていればいいじゃないか、アンタの頭でマシな代替案を出せるワケじゃないんだから」


    この一言は、ルークの不信感を更に増させてしまった


    dice1d31=14 (14)

  • 117124/06/30(日) 15:42:44

    そんな一言を言った時には、レオンも「しまった」という顔をした
    しかし、幸か不幸かその言葉に食いついてきたルークも尻尾を出してしまった
    誰かに何かを吹き込まれた様子を、アリエルにもルーデウスにもシルフィにも見せてしまった

    もちろん、後にレオンはエリスからもシルフィからも、何なら兄からも一発ずつどつかれることとなるが、アリエルはルークを諫めつつルーデウスの案を通す形でその場をまとめ上げた

    レオンは自分の発言を恥じつつ、ルークやアリエルの謝罪をした上で自分はもう黙っていよう、と決めて眠りに入った
    そこからはルーデウスがことを淡々と進めていき、オルステッドと話し合って決めた作戦通りに事が運んでいったのだった

    レオンは常に黙り、最早その場の背景と同化しているのではないか……というほどに存在感を殺していた
    これ以上ルークを刺激しないためにも、話しかけられない限りは沈黙を貫いていたのだった
    トリスティーナと出会っても、入国しても、シルフィやエリスが雑談に興じても、ルークがヒトガミから助言を受けていたのだと判明しても、レオンは人形のように黙りこくっていた
    一方で、ルーデウス自身もそんな弟を心配しているのか、動きが少しぎこちなくなり、口数が少なくなっていた

  • 118124/06/30(日) 15:43:41

    dice2d5=5 3 (8)

    ※被りは一つ下げる

  • 119二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 15:57:59

    ダイスが不穏すぎるっぴ

  • 120124/06/30(日) 16:25:13

    「ルーデウス、動きが鈍いわね」

    「そう、かな」

    「そうよ、だって岩砲弾の速度がちょっと遅かったわ」

    「躊躇したからかなぁ……ごめん」

    それからしばらくして、アリエルとシルフィの姿を入れ替えての囮作戦が結構された
    相変わらず黙りながらもアリエル(シルフィ)の真横に黙って突っ立って、腰の剣に手をかけるだけで抜剣すらしないままのレオンに対し、ルーデウスはおっかなびっくり、とした動きで暗殺者集団に対して魔術を行使していた

    一方、黙りこくったままのレオンの顔には一筋の冷や汗が流れていた

  • 121二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 16:32:09

    おっとこれは··

  • 122124/06/30(日) 17:34:52

    そんなこんなで準備を進め、アリエルによるパーティが開かれる……前日のことだった
    会場の設営が終わり、皆がそれぞれ泊っている場所へと帰るべく馬車を走らせていた際に、一人の男が現れた
    ルークが何者か、と問えばその男……いや、その男たちは名乗った

    「北神三剣士が一人、北王『双剣』のナックルガード」

    グレイラット兄弟同様、瓜二つの顔をした双子の剣士の登場
    更に背後からは真っ黒な鎧をまとったウィ・ター
    ならばオーベールも近くにいるだろう、とルーデウスは杖を構えた
    天高々と杖を掲げ、杖に魔力を込める

    ギレーヌならば夜のウィ・ターに遅れを取ることはない
    しかしナックルガード兄弟は初見
    エリスは一人で勝てると言ったが、無傷とは限らない、傷を負えばオーベールの奇襲を受けて死んでしまう可能性もある
    ならば、自分はエリスの援護をするのだ、と杖を掲げる

    ナックルガードに心理的な圧をかけ、段々と物理的にも圧をかける
    そのために、アクアハーティアをこれでもかと高く掲げ、魔術名を叫ぶ

    「フロストノヴァ」

  • 123二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 22:08:17

    有り余る才能とそれを鍛え上げる実戦経験でそのうち初代剣神みたいに通常攻撃が光の太刀みたいになりそうなレオンである。

  • 124二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 22:38:07

    一言多かったり一言少なかったりするタイプかな、この弟君

  • 125二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:40:45

    このレスは削除されています

  • 126124/07/01(月) 00:43:16

    ルーデウスが杖を掲げ、フロストノヴァという魔術名を叫んだ
    彼が使うソレは、並みの魔術師が使うものとは桁が違い、周囲が一瞬にして凍てつく万死の氷と化すものだった
    今までの彼はサポートに徹し、使う魔術も範囲を限ったものにしていたハズだった
    だのに、突然そんな必殺の広範囲魔術を突然使い始める、という事実に北神流の三人の剣士たちは動きを止めてしまった

    そして、速度に特化した剣神流の剣士たちの前で動きを一瞬でも止めるのは愚の骨頂だった
    しかもルーデウスがわざとらしく魔術名を叫び、杖を掲げたのがブラフだった、とこの場にいる者たちが気付くのは遅すぎた

    動きを止めてしまったナックルガード兄弟は片方がエリスの光の太刀によって一撃で斬り伏せられてしまい、そこにはもうただの半人前の北聖が、無傷のままの狂剣王と対峙するままだった
    動きを止めながらも防御姿勢に移っていたウィ・ターはギレーヌの光の太刀によって剣を持つ腕を斬り落とされてしまった
    動きを止めれば死ぬ、と考え、壁に保護色となる布を被って隠れていたオーベールはうっかりその場から飛び出してしまった
    先日の襲撃同様、規模の大きな魔術を使った隙を狙って仕留めるという作戦をそのままに実行していたが故に、オーベールは引きずり出された
    しかしながらも彼はただ姿を現したでけではなく、すぐさま二本の剣を抜いて跳び上がっていた

  • 127124/07/01(月) 00:50:30

    「ぬおおっ! ルーデウス・グレイラットォ! 覚悟ォッ!」

    しかし、オーベールが現れた場所は杖を掲げていたルーデウスにあまりにも近い距離だった
    奇襲でなくとも、近接戦闘に秀でていないこの男ならば、すぐに斬ることが出来る──と確信するほどの
    普段のルーデウスならばその場で目を見開き、情けない声でも上げながら交代するか咄嗟に魔術を行使するところだった
    だが、オーベールが狙ったのはルーデウス・グレイラットではなかった

    「ざんねんでした」

    「は?」

    ルーデウスはオーベールが隠れ身の術を解いて出て来た時には杖を手放し、ローブの留め具を引っ張って外し、ローブの内側に手を入れていた
    そこから出て来るのは、彼の双子の弟──レオン・グレイラットが持つ一振りの魔剣、の抜き身だった
    彼はスムーズな動作でローブの内側から抜いた剣を両手で持ち、空中から斬りかかって来たオーベールに対し、必殺の一撃を繰り出した

    「ハァッ!!!」

    袈裟斬り一閃。
    彼の放った一撃はオーベールの持つ二本の剣に向けて斜めに走り、彼の剣にヒビを入れ、空中にいて踏ん張りの効かないオーベールを押し戻すかのように吹き飛ばした

    「貴殿は……レオン・グレイラットだったか!」

    「正ッ解!」

    剣を振り抜いて、自身の剣を二本も使えなくさせたその一撃を放った男
    それはルーデウス・グレイラットではなく、ルーデウスと服装を交換したレオンだった
    己の敵の状況把握能力を認めながら、レオンは剣閃を飛ばす
    オーベールはすぐさまそれを回避し、ウィ・ターの声に合わせて煙幕を張り、二人で逃走を始めた

  • 128124/07/01(月) 00:57:13

    オーベールは目くらましをした上で、牽制のために持っていた剣を二本とも投げつけ、五体満足の体で逃走を開始する
    当然、目がくらんだ状態で投げられた剣を前にしてオーベールを追う、という選択肢は取れなかった
    エリスは飛んできた剣を一本叩き落とし、二本目を何とか躱すことで事なきを得る
    同時に、馬車から飛び出してきたシルフィが煙幕を晴らす

    ウィ・ターは暗闇に紛れ、路地への逃走を開始する
    すぐさまグレイラット兄弟がそれを追いかけ、レオンは光の剣閃の構えを取る
    ルーデウスもすぐに岩砲弾の準備をしていた──が、それは不発に終わる

    何故なら、もうウィ・ターは息絶えていたからだ
    腹に盾ごと大穴を開けられて死亡していた
    きっと”彼”がやってくれたのだろう、と2人は安堵し、ウィ・ターとナックルガード兄弟の死を確認したところで、脅威は去ったと一安心
    あとは、明日のパーティの本番での勝利を掴むだけとなった

  • 129二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 07:06:28

    逆に奇策に嵌められるとかオーベールは相当屈辱を感じてそうだな。

  • 130二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 07:40:39

    本編通りならオーベールはエリスを前に剣士として振る舞おうとして策の練り方が甘かったって言われてるし、手を抜いたせいで逆にハメられた挙げ句仲間斬られるってのは中々に堪えるだろうね

  • 131124/07/01(月) 09:09:54

    「どういうこと!?」

    別宅に戻った直後、エリスがルーデウス……の格好をしたレオンを問い詰めた
    レオンは「あー、えーっとね」と気まずそうにしていたが、少しの間を置いてから喋り始めた

    曰く、それは味方に誰にも教えないことで情報を一切漏らさずに出来る作戦
    ルーデウスとレオンの服や装備を交換することで、後衛であるルーデウスを狙って奇襲をかけてきた相手に対するカウンターを繰り出す、という作戦だった
    しかしエリスなどに伝えてはうっかりバレそうだから、と判断したために敢えて黙っていた

    無論、トリスティーナとの会話や重要な場面では入れ替わりを解いて元に戻っていたものの、それ以外の時では常に入れ替わっていた
    レオンがルークに対して失言してしまった、という事実から反省して黙っている、と信じ込ませるためにレオンは無口を徹底し、ルーデウスもそれに従って無口を通した
    おかげでルーデウスは楽にレオンのフリを済ませ、剣は鞘だけを借りて柄と鍔だけを作った空っぽの物を身に付けていたのだった

    レオンはレオンでルーデウスを演じるのには苦労したが頭を使う場面以外での入れ替わりだったため、ギリギリで敵にもルークらにも気付かれることはなかった
    が、それでも彼らの様子を見抜いている物がいるにはいたのだった

    「やっぱり少しは違和感があったし、最初の時はボクが『ねぇルディ』って話しかけたときにレオンまで一瞬ピクッって反応したり、ルディが『あ、あぁ、俺か……』って小さい声で言ってたから気付いてたけど、やっぱり言わなくてよかったんだね」

    「うむ、あたしも途中までは気付かなかったが、ローブを着慣れているはずのルーデウスがやけに動きづらそうにしていたことと、たまに杖を鈍器のように使いそうになって踏みとどまっている様を見て確信した」

    「い、違和感くらいあったわよ! でも、まさか入れ替わってるなんて……」

    シルフィとギレーヌばかりは気付いていたが、どうやらエリスはレオンがバラすまでは気付かなかったらしい
    北神流みたいにはいかないな、と兄弟は笑いあいながら服と装備の交換を解いた
    そして、レオンもお喋りを解禁したのだった

  • 132124/07/01(月) 09:10:04

    >>118 で振った2個のダイスは『誰がルーデウスとレオンの入れ替わりに気付いているか』でした。

    番号の内訳は

    1:アリエル 2:ルーク 3:シルフィ 4:エリス 5:ギレーヌ です

    エルモア、クリーネは確定で気付かないようになっております

  • 133二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 18:23:40

    保守

  • 134二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 19:47:19

    お互いを支えあっている仲の良い兄弟だからピレモンの嫉妬がヤバそう

  • 135二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 20:18:12

    すげぇなこの罠w

  • 136二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 22:42:11

    双子なら……とたしかに一瞬よぎるけど実際にやるアドリブ力と連携の巧さがやばいわ

  • 137124/07/01(月) 23:19:15

    北王3人を斬った日の翌日
    アリエル主催のパーティーのスタッフとして、アリエルに同行してきたグレイラット家の者たちが皆現地入りを果たしていた
    レオンもルーデウスやエリスと共に待合室の入り口付近に陣取っていた
    そして彼はショーでも始まるのを楽しみにしている、と言った様子の貴族たちを見て「この場にいる人たちは皆人の不幸や苦労でご飯を美味しく食べられる人なのだろうか、羨ましい限りだな」と眺めていた
    連日ルーデウスのフリをしていたことで、肉体とは別の部分が疲れ、ぼーっとしている彼の元に歩み寄る男の姿があった

    「ふん……今更、ノトス・グレイラット家に戻れるとでも思っていたのか?」

    「……誰ですか?」

    「なっ……! 本来なら、グレイラットを名乗る事すら許されぬ身だというのに……! 誰ですか? だと……!」

    「俺は人の名前を覚えるのが苦手だし、会ったことすらない人の名前なんて知らないんです」

    レオン・グレイラットはピレモン・ノトス・グレイラットという男のことを知らなかった
    アリエルやルークから名前だけは聞かされ、血縁的にどんな位置に当たる人なのかは教わっていた
    だが、どんな顔をしているかなどは全く覚えていなかった上に、そんな人が自分に話しかけて来るとは思わなかったのだ

    「……レオン、あの人はピレモン・ノトス・グレイラットだ、俺とお前の叔父さんで、ルーク先輩の父親だよ」

    「叔父……あー、父さんの弟で、ルーク先輩のお父さんか……そうだったのか……グレイラットの家の人とは到底思えない顔だったから、わからなかったよ」

    レオンに悪気はなかった
    ただ、彼の知るグレイラットの人間の顔立ちは、パウロを基準にしたものだった
    パウロと似た雰囲気のルーク、パウロの息子である兄と自分
    つまり、自分たちとどこか似たような雰囲気を感じなければそれをグレイラット家の人間と思えなかったのだ

    しかしそんな心情など誰も知らず、この場にいる者にとってレオンの発言は「ピレモン・ノトス・グレイラットはグレイラット家に相応しくない」と遠回しに言っているようにしか聞こえなかった
    ルーデウスはそれを察知しており、既に冷や汗をダラッダラに流していたのだった

  • 138二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 23:23:08

    ただでさえ頭が準エリス水準なのにルーデウスに似てるせいでエリスより政への適性が低い…

  • 139124/07/01(月) 23:37:22

    レオンが余計なことをほざきながらも、幸か不幸かその発言を聞いていたものは良くも悪くも弱小の貴族たち、とどのつまりアリエルだろうとグラーヴェルだろうと、誰が王になろうと大して関係のない者たちだった

    そんな者たちにはグレイラット家の争いもただの酒の肴にでもなれば良いとしか考えておらず、今落ち目であるボレアスならいざ知らず、ノトス・グレイラット家のことなどそこまで考えてはいなかった
    故に問題は起こらず、後からやってくる貴族たちはレオンの発言をすぐに聞くようなことはなく、護衛や従者を引き連れて続々とパーティ会場へと集まって来たのだった

    「……兄さん、アスラ王国の貴族ってのは皆ギレーヌみたいな人を引き連れるものじゃないのかい、てっきり俺は最低でも──」

    「もう黙ってろ」

    「ぐぇ」

    レオンはあまりにも正直すぎた
    普段は真面目で誠実なのだが、レオンは空気を読むことに長けていなかった、それも絶望的に
    剣の聖地では12歳にして剣帝になり、剣神にも届きうる実力を身に着けるような天才児であり、彼が10歳の頃には剣聖たちはニナやジノを除き、皆彼に頭が上がらなかった
    魔法大学ではルーデウス・グレイラットの弟だからということや、半ば実力主義もまかり通る環境であったことも影響し
    むしろ度胸のある男だと周りから絶賛されていたし、冒険者の世界でもそれは変わらなかった
    Sランク冒険者だろうと、片腕のないレオンにすら及ばないことは当たり前だった
    そんな環境でレオンが正直に喋ることを咎める者はいなかった

    故に、レオンは貴族の集う場でも同じようにしてしまった
    エリス以上にその場の空気を読む、ということを知らぬ彼はアスラ王国の重鎮レベルの貴族たちの前で遠回しに「お前たちは王級クラスの剣士一人雇えない弱い家なのか」とも取れるような発言をするところだった
    ルーデウスはレオンの思わぬ弱点、というか足りない部分を知った、空気を読むことを教えなければこの先絶対にやらかす、とレオンの首に軽い一撃をくらわせつつ思ったのだった

  • 140124/07/01(月) 23:37:59

    周囲の貴族から、レオン・グレイラットに対する好感度の平均値


    dice1d100=25 (25)

  • 141二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 23:44:19

    帰ったら嫁ちゃんと兄ちゃんからの地獄の勉強会不可避

  • 142二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 00:35:48

    なまじっか周りも強いのやすごいのばっかりだから基準がバグってたか
    ナチュラル傲慢だわ

  • 143二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 00:37:13

    あれ?獣人並みの脳筋...?

  • 144二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 00:38:58

    ギレーヌすら引くかもしれない

  • 145二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 07:02:48

    >>142

    少年期のルーデウスはボレアス家である程度の礼儀作法とか学んだけどレオンは識字率は底辺で礼儀作法なんて明後日の方向に投げ捨てた剣の聖地で少年期を過ごしたからね。頭は悪くないからこの一件が終わったらしばらくアスラ王国で徹底的に礼儀作法とか学ばせた方が良いのかな?でないとミリス編で詰みかねん。

  • 146二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 08:01:22

    魔法大学通えてるからレオンも読み書きくらいは出来るだろうけど、人間語オンリーだろうし
    礼儀作法に関してはホントに知らなそうだし
    エリスとかより拙い可能性もある

  • 147124/07/02(火) 09:18:36

    不穏な発言がありながらも、パーティーは始まりを迎えた
    所詮は領地も持たない、”ただの”グレイラットの発言に過ぎなかった
    貴族たちはすぐにアリエル開くパーティーへ気を惹かれ、気付けば彼の発言を気に留める者もほんの数人程度しかいなかった

    「本日は、お忙しい中、お集まり頂きありがとうございます」
    「さて、本日、皆様にお集まり頂いたのは他でもありません。
     二人ほど、皆様に紹介したい方がいるのです」

    アリエルから貴族社会、王族の世界では当たり前の長い前置きの挨拶を混ぜたお喋りが始まる
    レオンは「なんでか知らないけど、貴族の人ってこういう場だと随分回りくどい喋り方なんだよなぁ」
    と退屈そうにしていたが、アリエルの攻撃が始まった時には気を引き締め始めた

    本題はトリスティーナの紹介、なればレオンも本題に入ると知れば体に力を入れない道理もなかった
    レオンは「この場はアリエルがどうにかする、自分たちはその後を担当する」
    そう聞かされているが故に、アリエルによるダリウスへの攻撃が始まった時点で剣を抜き放つ準備を済ませていた

    (いつでも来い、北帝オーベール……真正面からなら、絶対に負けてやらないぞ)

    まずは尤も近くにいる、この場において最強の敵たるオーベールへの警戒を続けていた
    アリエルによるダリウスへの言葉も、パープルホースの家の者たちの証言も、ダリウスの悪行が明るみに出たことなども、レオンはその場で耳には入れていようと注視などしておらず、自分がどのように立ち回るかの思考を続けていた
    レオンはもう既にオーベールやその他の剣士やら魔術師やらの乱入に備えていたのだから

    空中要塞と共にペルギウスがやってきて、グラーヴェルが黙らされようと
    アリエルが国王となるのが決まろうとも
    レオンは、依然として警戒を緩めず、その剣気を研ぎ澄ませていた

  • 148124/07/02(火) 09:39:30

    刹那、彼の剣気に応えるように一人の剣士が現れた
    ヒトガミが用意した切り札であり、甲龍王ペルギウス・ドーラも、剣神に次ぐ剣帝レオン・グレイラットをも抑え込む、グラ―ヴェルたちの逆転の一手となりうる、世界最強クラスの剣士が一人

    「やれやれ、夢のお告げはこういう事かい……ほれ、助けにきてやったよ」

    水神、レイダ・リィアが現れた
    レオンのように神級に次ぐ帝級というものではなく、正真正銘の神級剣士
    既に老いぼれて、本来ならば次代に託してその座を降りるべき人間だった
    だが、それでも彼女の放つ圧力は、レオンすら怯ませるものがあった

    「動くんじゃないよ、誰もこうなりたくなければね」

    レイダの手でペルギウスの配下は既に2名斬られていた
    ルーデウスも義手の手首から先を斬り落とされ、更には我先にと逃げ出した貴族たちの脚が斬りつけられた
    水神は水神流最強の奥義にて空間全体を己の間合いと化し、誰にも動く事を許さなかった

    「じゃあ、あなたは逆に動かないとだ、お婆ちゃん」

    「──!」

  • 149124/07/02(火) 09:40:48

    刹那、光が走る
    レイダは咄嗟にその場で屈んだ
    彼女の背後では会場の壁が真っすぐに斬り裂かれ、倒壊を始めていた

    「なんだい……今の技は」

    「これは俺が編み出した、俺だけの剣神流奥義……光の剣閃」

    レイダの視線の先には、剣を振り抜いた姿勢で立っているレオン・グレイラットがいた
    レイダは戦慄した、己の奥義は剣神流最強の技である光の太刀すら受け流し、返すことが出来る
    しかし、彼女は本能的に『アレは返せない』と判断した
    光の太刀を飛ばすという神業を前に、自分の奥義の負けを悟ってしまったのだ

    「なんだい、なんて聞かれてホントに答える奴があるかい……」

    「いやいやいや……わざわざサービスで3度も技を見せてくれたんだ、だったら、こっちも演舞ってものをしないといけないでしょう? それに……言っておきますけど、チャレンジャーはそっちですから」

    「クソガキが」

    今度のレオンは、悪意を込めて剣を向け、笑った

  • 150124/07/02(火) 11:15:17

    戦いは苛烈な物だった
    レオンは水神に向かって少しずつ、少しずつ進む
    近づく度に放たれる略奪剣界の斬撃、それに対して自分の剣でそれを弾く
    本来ならば己から攻める事のない水神流が積極的に斬撃を放ち、剣神流が斬撃を防ぎながら真っすぐに進んでいく
    世界最上位クラスの剣士同士の戦いが、歪な形で進むことにその場にいる誰もが固唾をのんで動けなくなっていた

    「オーベール! とっととそこの王女と泥沼と、ペルギウスの首を刎ねっちまいな!」

    「そ、某がか!?」

    「あんたがやらないで誰がやんのさ! このガキに散々煮え湯を飲まされといて、まだ綺麗なフリしてようってのかい!?」

    「……そうで、あるな」

    レイダはレオンを足止めしていた
    しかし、レオンもまたレイダの略奪剣界の斬撃の八割を己に集中させることで精いっぱいだった
    この場でオーベールが自由に動けば、レオンがそれを止める術はない
    無論、略奪剣界で補足出来る距離はぐんと短くなり、今ならオーベールとの戦いも成立はする
    だが、時折自分のあらゆる動作に合わせた斬撃が横から飛んでくるような状態で、北帝との戦いを成立させられるような猛者はこの場にはいない
    ペルギウスであれば対処は可能であっただろうが、彼は『面白くない』と言った様子でこの場を静観していた
    状況が少しずつ悪化する方向へと向かったところで、その場に乱入するものが現れた

  • 151124/07/02(火) 11:26:02

    それは水王イゾルデ・クルーエル
    彼女はレイダの凶行を目の当たりにして目を見開く
    それを見たレイダもまた、動きを止め、レオンは近づくチャンスとばかりに思ったが、アリエルの方へと歩を進めるオーベールに視線をやる
    自分がどちらかに対処しなければならない、されどもどちらかに対処すればどちらかの斬撃が自分を真っ二つにする
    その確信がレオンにはあり、この状況を潜り抜けるには大規模な魔術で水神と北帝を分断しなければならない
    だがその大規模な魔術とてレイダには斬られてしまう可能性もある
    八方塞がり、先ほど自信満々に啖呵を切ったレオンとて、冷や汗を浮かべていた
    いつもの自分ならばすぐに行動が出来る、だが略奪剣界という奥義を味わってから歩を止めた彼は、動きに迷いが生じていた
    動けば水神の斬撃が襲う、それに対処していれば北帝の手で守るべき人たちが斬られる
    そんな板挟みの状況でレオンが動けないと知る中、レイダは自分たちがアリエルたちを殺したあとのことまで話し始めていた
    余裕綽々、まさにその態度にレオンは苛立ちを感じながらも静かに剣へ闘気を纏わせていた
    先ほどまでの迷いに対し既に答えは出した、狙うは一撃で二名をそのまま斬り伏せること
    先ほどの光の剣閃で、まとめてぶった斬るのだと、最悪返されて自分一人が死ぬ可能性こそあるが、それでもなおやらなければ確実にアリエルが死ぬ
    同じように杖を構えて電撃を使おうと覚悟を決めたルーデウス、双子の巨大は死を予見しながらも、己の最大の必殺技を放つ──と思った時に
    彼ら、いや、彼らに限らず誰もが胸の奥底から震え上がる恐怖を感じた

  • 152124/07/02(火) 11:26:31

    この場にいる人たちの胸から沸き上がった恐怖

    の、平均値

    dice1d100=38 (38)

  • 153二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 11:28:13

    おーすてか?

  • 154二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 14:04:50

    剣神クラスですら恐怖覚えてるのに平均値低いな

  • 155二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 15:49:43

    >>154

    ワンチャン動けば容赦なく切られるレイダが怖すぎてそれを止められるレオンが心象的にマシになってる説

  • 156二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 19:29:59

    決死の覚悟でやればレイダとオーベール倒せるとかこの兄弟ヤバすぎ

  • 157二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 00:16:05

  • 158二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 06:39:39

    二十歳にもならない身で数多のループを経験したオルステッドでさえも初見でレイダですら受け流せない奥義を開発するとか実質剣神じゃん。

  • 159124/07/03(水) 09:22:18

    さて、このあとの展開どうしよう

  • 160二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 11:47:57

    >>159

    期待して待ってるから焦らず書いてくれ

  • 161二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 19:17:44

    >>158

    ガルのリアクションが気になりますね

  • 162124/07/03(水) 22:49:20

    恐怖が場を支配する中、先ほどまで場の支配者だったレイダは叫び、オーベールに指示を下す
    オーベールとダリウスが逃げ始め、理由を問われたレイダが己の過去と共にその理由を話した

    レオンも「あぁ、このお婆ちゃんも、ちゃんと人間なのだな」と思ったのも束の間

    バン、と扉が開き、そこには世界で最も恐れられ、世界で最も多くの屍を築き上げられるであろう者がいた
    スペルド族が相手でも友好的に接することが出来るルーデウスも、レオンも、誰もがその男を恐怖し、嫌悪した

    「龍神、様……!」

    礼儀作法も知らず、誰かをロクに敬うこともないようなレオン・グレイラットとて彼を「神様」と呼ぶ
    先ほどまで劣勢だったとは言えど、レイダをも相手に恐れず戦っていた彼とて戦意を喪失したかのように構えを解いた
    それほどまでに絶対的な恐怖が、そこにあった

  • 163124/07/03(水) 23:04:15

    ──

    「お、おばあちゃん!!!!」

    水王・イゾルテが叫んだ時には、水神レイダ・リィアは絶命していた
    レオンですら完全には対応しきれなかった、水神の最高の奥義たる略奪剣界を、オルステッドは素手のみで弾き、対応し、かつてレオンやルーデウスにも致命傷を与えた貫き手がレイダの体を貫いていた

    「……ハハッ、こんなのと戦ってたのか」

    第三者として、オルステッドの強さを再度味わったレオンは乾いた笑いと共に力を抜いた
    だが、まだ戦いは終わっていない、オルステッドがその場から逃走しても、イゾルテがそれを見て呆然としていても
    まだ、倒すべき敵がいた

    「ダリウスとオーベールを追ってください! 逃してはなりません!」

    アリエルの怒号のような指示が飛び、その場にいた貴族や護衛たちが次々にパーティー会場から逃げ出す
    その指示と共に同時にエリス、ギレーヌ、ルーデウスはオーベールたちを追う
    逃げ出した貴族たちと入れ替わるようにやって来たシルフィは、ルーデウスの指示でルークやレオンと共にその場へと残される
    この場においてアリエルへ敵対する可能性のある者は、イゾルテだった
    ならばそのイゾルテに対し遅れを取ることがないであろうレオン、そしてシルフィがいる時点でルーデウスの采配は咄嗟ながらも完璧だった

    だが、ルーデウスも、レオンも、アリエルも、グラーヴェルも、ペルギウスも、オルステッドも、ヒトガミも、世界中の誰もが想定していない者が、そこに現れるまでは

    「なっ──!」

    「ふむ、既にパーティーは滅茶苦茶、人の数も減ってしまい何とも退屈な光景になってしまわれましたな……しかぁし! まだいました! 拙者に相応しき相手が、まだまだいました! レオン・グレイラット! あなたが、ここに残ってくださいましたね!」

  • 164124/07/03(水) 23:20:28

    人一人分はあろうサイズの両手剣を背中に背負い、赤い革のコートを身に纏い、黒い髪を一本に括った少女がそこにいた
    扉をぶち抜き、この場に相応しくない笑みを浮かべながら、そこに立っていた

    「……貴様っ、何者だ!」

    「拙者は呪われし北帝『──』! 世界一知名度を持たない北帝にして、この世の美味と強者を求め彷徨う、北神流正当的奇抜派の剣士であります! あなたには興味はございませんので、どいていてください! 拙者が今この場で求めるのは、レオン・グレイラット! あなたでございます!」

    「……誰だか知らないけど、この場を荒らすなら容赦はしない……それに、この状況で俺に挑むなら、命失う覚悟だって出来てるよな」

    「無論そうですとも! 拙者、政治には興味がない故、そちらのお姫様を斬るつもりはありませんが……レオン・グレイラットとの果し合いを邪魔するものがいれば、三枚におろしてさしあげます」

    子供のような声で、子供のように笑っていた声が低くなる
    シルフィは既に彼女へ魔術を使うことを諦め、ルークも剣を抜くことはなかった
    正真正銘の北帝であれば、この場で彼女に対して戦いが成立するのはレオンとイゾルテのみ
    そしてイゾルテは精神的に参っているのか、もうその場で剣を抜くこともなかった
    故に、彼女と対峙するのはレオンのみだった

    「『剣帝』レオン・グレイラット」

    「『北帝』──!」

    「いざ尋常に、参る──!」

  • 165二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 23:50:29

    無職転生if定番、野生の北帝

  • 166124/07/03(水) 23:55:37

    >>165

    ・数が異常に多い

    ・積極的に戦ってくれる

    ・映える

    ・何使っても大体「まぁ北神流ならやるか……」で済ませられる


    便利ですよね、北神流

    でもまぁ、そんな定番とか知らずに出したのでやっぱり皆考えること同じなんだなぁって思いました、まる

  • 167二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 23:59:41

    おかわりがあるとはね

  • 168二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 07:02:04

    保守

  • 169124/07/04(木) 07:38:09

    北帝と剣帝の全力戦闘による会場の滅茶苦茶具合

    dice1d100=17 (17)

  • 170124/07/04(木) 08:12:23

    未知なる相手との対決
    レイダとの全力戦闘の直後であり、人を巻き込むことの出来ない場
    故にレオンは光の剣閃を封じ、魔術を封じ、常にアリエルたちに意識を裂きながらの戦闘を行っていた
    レイダのような格上ならば四の五のと言っていられなくとも、相手は北帝
    同格、もしくはそれ以下の相手ならば、レオンは奥義を封じても尚ダメージを負わずに立ち回る余裕があった

    「ふーむ、千日手でありますな! 拙者も体力には自信がある方ですが、拙者とここまでやりあって息一つつかないのは驚嘆に値します! 拙者はあなたのような強さを持つ他流派の方との果し合いを望んでいたのです!」

    「そう、でも俺はアンタとなんて戦っていたくないかな、少なくともここは気にするものが多すぎる」

    「そうですなぁ……では、ここは一つ! 己の最大の奥義を真正面から撃ち合い、それにて決着を──」

    戦闘を止め、足を止め、北帝は剣から片手を離し、指を1本立てた
    それが致命的だった
    最適な形で放たれれば、オーベールですら剣王の光の太刀は防げない
    そんな剣王と隔絶した実力を持つレオンの前で、武器を片手で持ってのお喋り
    隙だらけと言うほかなく、少女は自分の述べた決着方法を言い終わるよりも先にバランスを崩していた

    「──あれ? あ、脚……」

    「最大の奥義を放って決着、だったか……コレで満足かな」

    「いやいや、そういうのは話を聞いてからやるものでは?」

    「悪いね、そういうのは前半部分までしか聞かないんだ」

    レオンは北帝がペラペラと喋っている間に、既に光の剣閃の構えに入っていた
    そして放った、その剣閃は彼女の右足、それも膝から上を飛ばし、空中で回転させ、アリエルの近くにボトリと落ちた

  • 171124/07/04(木) 08:12:42

    レオンが先程まで光の剣閃を封じていたのは、この会場を縦横無尽に動く北帝を捉えようにも彼女が丁度「光の剣閃で斬られればシルフィやアリエルが巻き込まれる」という位置に重なることが多く、レオンはそのチャンスを掴めなかったからである
    しかし、今は巻き込むものもいなかったため、レオンは奥義を解放したのだった

    「ぐぅ……さすがにコレでは拙者も奥義は使えませんなぁ……では」

    「降伏しろ、アンタはヒトガミってのの手先じゃないんだろ」

    「己の欲望の手先であるが故、お断りであります、さらば!」

    北帝は懐から煙幕のようなものを取り出して地面に叩きつけ、腕の力だけで跳躍し、テラスへと躍り出て、片足のみによる逃亡を始めた
    その気になればレオンも彼女を追えたものの、北神流の相手に愚直な追跡では何があるかわかったものではない、と感じたために追跡を断念
    そして「やれやれ」と落ち着きながら剣を腰に納めてその場に座り込んだところで──

    ルークが、動いた

  • 172124/07/04(木) 09:14:53

    アリエルの味方であった者たちが、世界有数の実力者たちに勝利を収めた
    龍神オルステッド、彼のことを知る者は少ないが、彼がペルギウスの関係者であり、アリエルの味方であることは誰の目にも一目瞭然だった、彼は水神を圧倒し、無傷で撃破した
    若き天才レオン・グレイラット、彼は剣帝でありながら剣神に匹敵する実力を持ち、水神と互角の勝負を繰り広げ、突然乱入してきた北帝を追い払った
    泥沼ルーデウス・グレイラット、狂剣王エリス、黒狼ギレーヌ、彼らもまた、二人に劣らぬほどの逸話を持つ世界最高クラスの魔術師や剣士たちだった

    そんな者を皆従え、甲龍王ペルギウス・ドーラからも信頼を得たアリエルには、誰も逆らえなかった
    故に、裏切り者の彼は真っ先にゴマをすりに出た

    「アリエル様!」

    と、兵まで送って刺客を差し向けた男が、グラーヴェルに、ダリウスに取り入ろうとしていた男が、アリエルの従えていた最強の双子に対し姓を名乗る事すら許さなかった男が
    今更、と言われるようなこの状況で、アリエルに擦り寄ろうとした
    当然、そんな彼を許す者はいなかった

    いくらアリエルに対し返しきれないほどの恩を持っている彼であろうと、その恩を全て無に返すように命まで狙ったのだ
    アリエルとて彼を許すことはなかった、黙ってさえいれば最大級の恩情を与えるつもりだった
    だのに、彼──ピレモン・ノトス・グレイラットは余計なことをした、余計なことを言った、空気を読まずにその場に出た
    貴族の場というものを知らないレオン・グレイラットの叔父というのが納得できるほどに、空気を読まずに喋った
    故に、その振る舞いがアリエルを激昂させた
    恥知らずとも言えるだろうピレモンに、彼女は告げた

    「死んで詫びなさい」

  • 173124/07/04(木) 09:20:19

    だから、レオンは腰からもう一度剣を抜き、アリエルの足元に投げつけた
    剣は勢いよく飛んでアリエルの足元スレスレに刺さった

    「やるなら、あんたがやるべきだ」

    レオンはピレモンに対し、何の感情も抱いていなかった
    自分の叔父と言われても会うのは初めてで、自分たちの敵で、父とは似ても似つかない弱そうな男
    父はもしかしたらピレモンともう一度くらい会いたかったかもしれない、話をしたかったかもしれない
    だが、レオンにとってはそんなことはどうでもよかった、父はそんなことを言わなかったのだから、そんな気遣いはどうせ無駄に終わるのだと思っていた

    だから、己の魔剣を躊躇なくアリエルへ託し、斬りたければ斬ればいいと思った
    しかし、こうして剣を渡されても尚ピレモンを斬らない度量を見せると言うならば、剣を蹴っ飛ばすなりなんなりしてどこかへ放置すれば良い、と思っていた
    だが、頭の足りないレオンの計算はすっかり外れていた
    ルーク・ノトス・グレイラットは、今まさに命を王女──次期女王の手のひらの上にある父を、助けようとしていた
    レオンであれば、絶対にしなかったであろうことをやった

  • 174二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 16:58:51

    北帝ちゃん随分あっさり撤退したな

  • 175二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 20:49:28

    ルーデウスとレオンは見た目や体格がそっくりらしいからレオンがルーシーにルーデウスと間違われて見分けがつくように髪を伸ばすとかのイベントがありそう

  • 176二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 20:54:36

    北帝ちゃん、嵐のような子であった

  • 177二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 21:12:45

    なんだこの娘怖ぇ
    メンタル無敵か

  • 178二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 21:28:06

    >>172

    実際に純然な人族が十代半ばで剣帝になって新しい奥義を開発するし、水神のレイダが本気で相手をしなければならないとか世が世なら次代の剣神になる逸材だろうな。

  • 179二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 23:53:49

    この北帝は呪われし、とか世界一知名度低い、って言ってるけど何なんだろ
    バイオ7のエヴリンみたいに他人よりも時間の流れが早いのかな

  • 180二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 06:59:36

    >>179

    血が混ざり過ぎて種族の特徴的な要素が見られないけど古代龍族とかスペルド族の末裔なのかな?それで先祖の悪行をさして呪われたとか言っているかもしれない。

  • 181124/07/05(金) 08:47:31

    「アリエル様、お願いがあります……父を、許してくださらないでしょうか」

    ルークは、父を救わんとした
    レオンは「もしも身内とて罪を犯したのであれば、それは正当に裁きを下すべきだと思う」という考えの持ち主だった
    だから彼は仮に自分がルークの立場であったのならば、ピレモンへはせめてものの責任を取ります、と自分の手で斬っていただろうと感じていた
    だがルークはその真逆を行ったのだ
    己の主を裏切り、その上でまたゴマを擦ろうとした愚かな父の助命を行おうとした
    もちろんそんな願いが通るはずもない
    信賞必罰、功績ある者は必ず賞し、罪過ある者は必ず罰する
    それはどこの世界、どこの国とて当たり前のことだったのだから
    だが、それでも尚ルークは動いた、レオンにとってそれは最後の足掻きと言わんばかりの動きだった

    「……ルーク! 何やってんだよ!」

    ルークがアリエルの首元に剣の腹を当てた
    主への背信、親子揃ってふざけた真似をしたも同然だった
    シルフィは激昂し、レオンももうルークを殺すしかないと判断し、腰の剣に手を

    かけようとして、その手は空を切った

    「あっ」

    少し目線を動かせば、アリエルの足元にはレオンが投げた、レオンの愛剣が刺さっていた
    レオンはシルフィの方をそっと向き、出来るだけ取り繕った笑顔で言った

    「ごめん、カッコつけすぎた」

    レオン・グレイラットは本当に大事な時にマジで役に立たない男だった

  • 182二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 08:50:58

    さて、ここからどうなるか

  • 183124/07/05(金) 08:58:42

    シルフィは今すぐレオンに向けて魔術を放ちたい怒りに駆られたが、グッと堪えた上でルークとの問答を始めた
    役立たずの義弟はもうその場にいないものとして扱い、シルフィはルークの問いに怒りながらも答えた
    怒りながらも、彼女はルーデウスへの愛を、ルーデウスを支えることの意味を答えてみせた
    かつてアリエルがペルギウスに対して己の答えを示したように、シルフィもまたルークへ己の答えを示し、貫き通した

    ルークはシルフィに答えに満足し、己の行動を恥じ、剣を落とした
    愚かなことをした、されども満足したのだと言わんばかりに跪いた
    そして、アリエルは茶目っ気のある笑顔と方便を並び立て、ルークの罪を不問とした
    ピレモンの処遇はその場で決めることは出来なかったものの、もうその場を荒らすものは誰もいなかった

    レイダは死に、ダリウスも死に、オーベールも死に、罪人は裁かれ、乱入してきた謎の北帝は逃げ、イゾルテは悲しみに暮れた
    アスラ王国での戦いはアリエル・アネモイ・アスラの完勝という形で終わりを迎えた

    「……シルフィエットお姉さん」

    「さん? 敬称が違くないかな」

    「……様」

    「何かな」

    「すみませんでした」

    「……こういうことでルディに迷惑がかかることだってあるんだから、次からは気をつけてね」

    「……はい」

    レオン・グレイラットは義姉に平伏し、今回の失敗を二度とやらない、と心に固く誓ったのだった

  • 184124/07/05(金) 09:11:03

    そして、ダリウスたちを倒してから数日の時が過ぎた
    レオンはルーデウスとオルステッドの会議に同行し、オルステッドの語る真実と彼を信用する、という話を聞いた上で「あんな奴が来るなんて聞いていない」という抗議交じりの報告をした
    すると彼は目を見開いてからレオンを睨んだ、というよりも難しい顔をした

    「……北帝がもう一人来た、そして名前は『──』か……そんな女の名前は、俺の記憶の中にはない」

    「誰かが偽の名を名乗って、変装した姿、とかですか」

    「そもそも俺の知るこの盤面では北帝はオーベールしか現れん、これは異常事態だ」

    オルステッドも知らない人間
    ルーデウスは名前の響きからしてこの世界の人間だと考えたが、自分のような転生者だという可能性も考慮することにした
    故に、レオンたちは警戒を強めることにしたのだった

  • 185124/07/05(金) 09:19:10

    ────

    「ふんふふーん……いやぁ、あまりにも酷い終わり方でしたが、面白い体験が出来ました……それに、良いものをお持ちでしたし、足を失っても生やせるなど、素晴らしいものでしたなぁ」

    北帝の少女は、アスラ王国内のとあるレストランで食事を取りながらそう呟いた
    彼女は二本の脚で足音を鳴らしてにへら、と笑いながら、ルーデウスでも顔が真っ青になるであろう程の額の食事を堪能していた
    この世で彼女を満たすものは美味なる食事と、強者との戦いのみ
    彼女は次なる戦いと食事を楽しみに、期待を胸に抱いて、銅貨の一枚も出さずに店を出た

    「むふふ……また戦ってみたいものですが、巡り会えるかどうかわかりませぬし……ふむ……せっかくです、次は南の方へと行ってまいります、かっ!」

    「お、お客様! お代を──あれ? 私は、何を……?」

    少女の姿が消えた時、少女のことを覚えていた者は誰もいなかった
    彼女がここで食事をとったことも、金を払わずに出ていったことも、誰も覚えてはいなかった
    残ったのは、彼女が豪快に食べ、飲み、重ねた皿の跡だけだった

  • 186124/07/05(金) 09:26:37

    さて! 一部は確定していますが、ここでダイスロールであります!

    呪われし北帝たる拙者のスペックを公開いたします! はいゴーゴー!


    名前:すみません! 覚えてもらえないので忘れました! 名前を書けと言われた時は「ホクテー」と書いてます! 全国のホクテー様には申し訳ありませんが、拙者が悪い子の北帝であります!

    年齢:20歳でございます!

    性別:無論女でございます!


    火(実は装備に秘密アリでございます! なので確定で41以上であります!) dice1d59=14 (14)

    水 dice1d100=32 (32)

    風 dice1d100=51 (51)

    土 dice1d100=87 (87)

    治癒 dice1d100=32 (32)

    解毒 dice1d100=77 (77)

    神撃 dice1d100=17 (17)

    結界 dice1d100=70 (70)


    剣神流 dice1d100=12 (12)

    水神流 dice1d100=58 (58)

    北神流(北帝なので、確定で85以上であります!) dice1d15=15 (15)


    1〜20で初級21〜40で中級41〜60で上級61〜70で聖級71〜84で王級85〜95で帝級96〜100で神級


    レオン・グレイラットへの現在の好感度

    dice1d100=87 (87)

  • 187124/07/05(金) 09:30:56

    火:上級
    水:中級
    風:上級
    土:帝級
    治癒:中級
    解毒:王級
    神撃:初級
    結界:聖級

    剣神流:初級
    水神流:上級
    北神流:神級

    レオンへの好感度:恋人レベル

    わ、ぁ……想定以上の化け物が誕生しちゃったァ……無詠唱魔術は現時点だと出来ないけど、やべぇバケモンが生まれちゃった……

  • 188二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 12:30:31

    最初期に嫁が2人いるって話だけどもしやこいつか?

  • 189124/07/05(金) 13:46:04

    ルーデウスがアリエル、ルーク、ギレーヌたちと別れの挨拶を済ませている間
    レオンはアリエルから用意された屋敷の自室で一通の手紙を読んでいた
    アスラ王国を旅立つその日に送られてきたソレ、あまりにも急なものであったが、レオンは差出人の名前を見て、読まないわけにはいかなかった
    ので、読んで、震え、最後には笑った

    「俺も、ようやくかぁ」

    黒狼の牙を解散した時の父が、結婚したばかりの時の兄が感じた想い
    レオンもそれをようやく理解することが出来た
    愛する妻との、愛によって積み重ねられた結晶

    「リオンパパ、レオンパパ……どう呼ばれるかなぁ、へへっ」

    妻から送られてきた手紙を片手に、レオンはルーデウスの弟だと感じさせるような緩み切った笑みを浮かべ、部屋の窓に体重を預け──
    預けすぎて、身を乗り出しまくったあまり落っこちたのだった

  • 190124/07/05(金) 14:13:41

    「ただいま」

    「おかえりなさい、リオン」

    シャリーアにつき、家につき
    レオンは改めて目を見開いたが、妻ミリアとの幸せの結晶が出来たのだと喜んだ
    そして、留守中に息子たちの家に頻繁に出入りしてロキシーやミリアの世話を焼いてくれた父とリーリャに頭を下げ、感謝として土産に金に……と出来る限りのお礼をしたところで、レオンはすぐさまオルステッドやルーデウスへの報告を行った
    妻、ミリアルテ・グレイラットが妊娠した、と

    しかし、それを理由にレオンがグレイラット兄弟で担当する任務から簡単に抜けるわけにもいかなかった
    エリスと違いレオンは体調などに振り回されずに戦える者であり、何よりも近接戦闘で不覚を取ることはない
    故にルーデウスにとってもレオンが離脱するのは惜しい……と考えたのだが、そこで出来る妹アイシャからの提案が行われた

    「ミリア姉さんのお世話をここですれば、リオン兄も自由にお仕事出られるんじゃない?」と

    出来る妹は流石だった
    ルーデウスとレオンの二人が任務に行く間は一度一家がグレイラット邸に集まり、家族全員で妊婦の面倒を見ることとなり、おかげでレオンは兄と共にあちこちへと駆けずり回ることとなるのだった

  • 191二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 14:16:55

    >>188

    嫌だ、もっと普通の人がいい…

  • 192124/07/05(金) 14:45:46

    また、子供に恥じぬ父親になるにはどうしたらいいか……と考えたレオンは、シルフィやロキシー、更にはノルンからも礼儀作法の類を習うこととなった

    「違います! 何度言ったらわかるんですか! フォークやナイフは外側から使うんです!」

    「そ、そうは言ってもさ……剣士の癖っていうか、やっぱ近くにある得物の方が早いっていうか、何というか──」

    「剣士以前に人としてのマナーです!」

    「ひぃ……」

    テーブルマナー、言葉遣い、座り方、場の空気を察する力など
    今までの人生でレオンになかったものを、グレイラット家の者たちが総出で彼に叩き込んだのだった
    その努力の甲斐もあって、レオンはどうにか貴族が相手でも話せるようになり、ミリアの商売相手と対話しても問題ないほどに成長した

    だが

    「り、リオン……流石に家の中と言っても、その格好でうろつくのはどうか思うの」

    「あと一時間だけ耐えてくれないかな、ミリア……こうしてないと頭がおかしくなりそうなんだ」

    レオンは今まで自由になることが当たり前だったため、礼儀作法などを習うにあたって自分を抑えることに苦労した
    それ故に、礼儀作法が必要なことをしてからは自分を解放するため、文字通り自分を何もかもから解放した格好をすることが習慣づいてしまったのだった

    ……彼がこの習慣から解放されるのは、また少し未来のお話である

  • 193124/07/05(金) 14:46:13

    そうして礼儀作法と引き換えに大事なものが何か抜け落ちてしまったレオンであったが、彼がそんなこんなでも時は進むものであり、しばらくの月日が流れた

    雪の降る日にロキシーが、ミリアが出産し、ルーデウスには第二子が、レオンには第一子が誕生し、パウロには三人の孫が出来たのだった

    レオンは初めての子供──長耳族の血を宿し、将来は商人か剣士になるであろう自分の子を抱き、子供に笑いかけた


    子供の性別

    dice1d2=2 (2)

    1:男

    2:女


    子供の髪の色

    dice1d2=1 (1)

    1:茶髪(レオンの色)

    2:金髪(ミリアの色)

  • 194二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 15:21:35

    礼儀作法学び初めてよかったね
    悪いところ似たら娘がエリス以上の狂犬になってたやも

  • 195二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 15:38:30

    >>191

    前に見た双子の兄でも、ミリス教徒絶対○すウーマンな神級実力者が第2夫人になってたので、彼女も可能性あるかも

  • 196二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 15:42:02

    最終的な子供の才能はどうなるんだろうな

  • 197124/07/05(金) 16:58:23

    子供が生まれてからはレオンは子育てと仕事を往復する日々を送り、ついでにある程度動けるようになってきたミリアのツテを利用して、ザノバやジュリにノルンたちが共同で作っているルイジェルド人形&スペルド族の絵本を売り出すことなども進めていくこととなった
    また、ルーデウスたちの家庭では色々あって奴隷となったリニアを買い取り、メイドにしたという
    そして家庭崩壊の兆しが訪れた……とも話され、レオンはげんなりとしていた
    魔法大学に在学していた時にはしつこく擦り寄ってきたり、甘えるような声で擦り寄ってきたりとしたせいで苦手意識があったリニアに対し更に悪い印象が増えたのだから

    「もうさぁ、龍神様の下にでも連れてきて、伝令係にでもしたらいいんじゃない? 脚だけはそこそこ速いだろうし、適当な偵察要員にでもすればいいじゃん」

    「大して戦力にならないし、それで死なれたら寝覚めが悪いんだよ……それに、オルステッド様の下に連れてったって怯えたり嫌ったりで大変だろ」

    「それもそっかぁ、ウチのミリアですら龍神様には怯えるもんなぁ……兄さんは知らないかもしれないけど、ミリアって本当は凄く胆力があって、ドスの効いた声で凄んでくるゴロツキとかにも笑顔で対応できるくらいには凄い子なんだぜ、普段は大人しいけどさ」

    家庭環境などを仕事中に報告し合うグレイラット兄弟、ただでさえ仕事で世界中をあちこち飛び回っている中、少ない時間で赤ん坊や妻との大切な日々を過ごしていたのにも関わらず、問題が一つ増えた
    その事実にため息を吐きながら、今日もまた仕事をこなし、家族の待つシャリーアへと帰るのだった

  • 198124/07/05(金) 17:13:59

    しかし、問題はアッサリと解決していた
    レオンは流石アイシャだと感じたが、ガラの悪い黒服の集団が街を闊歩している光景を見て「もしかすると、ウチの家系はいつか軍隊でも作ってしまうんじゃないだろうか」とも思ったのだった
    ルード傭兵団、ルーデウス・グレイラットが偽名として使う「ルード・ロヌマー」が由来となる傭兵団であり、主な稼業は用心棒
    レオンからすれば文字通り吹けば飛ぶような連中たちではあったものの、ミリアのように戦う力を一切持たない者たちにとってはきっとありがたい存在なのだろうと感じ、崩壊しかけていた家庭が修復されたことにも安心していた……のだが

    「ミリア、このジャケットはどうしたの? 誰かの忘れ物?」

    「あぁ、それ……ルード傭兵団に出資して、お仕事先を紹介したら、紹介料と一緒に貰ったの……グレイラット家の方だから、って」

    「……着るの?」

    「一応、傭兵団の人たちとお仕事をするときは……着るかも」

    「……そっか」

    レオンは、自分の妻が名も知らないゴロツキとペアルックにするという事実に胸を締め付けられたのだった
    故にすぐさまルード傭兵団の建物へと足を運び、剣を抜き放ち、金の入った袋をテーブルに置いて言い放った

    「俺にもジャケットを寄越せ! 今すぐにだ!」

    もちろん、そんな口調で真剣な顔をして闘気を派手に発したせいで団員たちは凄く怯えてしまい、アイシャとルーデウスに叱られたのは言うまでもなかった
    だが、レオンはミリアとおそろいで着られる服を手に入れて幸せでもあったのだった

  • 199二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 21:25:56

    実力や功績も踏まえて剣神に一番近いだろうから次の剣神を決める際にガルに召集されそうだな。

  • 200二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 21:54:46

    このレスは削除されています

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています