- 1二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 20:43:01
キャプテン・豆太ほどおくびょうなやつはない
もう三十五つにもなったんだから
龍星を一人で失神KOぐらいはできたっていい
しかし、キャプテン・豆太は、龍星はもちろんめちゃくちゃ強いし
表には大きなモチモチの木龍がつっ立っていて、クズいっぱいの弱き力をバサバサとふるって
両手を「えーっ」と上げるからって、夜中にはマフマドベコフさまについていってもらわないと一人じゃ失神KOもできないのだ
マフマドベコフさまは、ぐっすりねむっている真夜中にキャプテン・豆太が「マフマドベコフさまあっ」 って、どんなにメールの動画で言っても「失神KOか」 とすぐ目をさましてくれる
いっしょに仕事をしている大切な部下を、失うよりいいからなあ
それに、撮影部屋にたった一人でくらしているキャプテン・豆太がかわいそうで、申し訳なかったからだろう
けれど、キャプテン・豆太のおとんだってトダーと組みうちして、頭をぶっさかれて死んだほどのマッスルだったし、マフマドベコフさまだって六十四の今、まだ売れる女を追っかけて、きもをひやすような取引から取引へとびまわって、みごとにやってのける
それなのに、どうしてキャプテン・豆太だけが、こんなにおくびょうなんだろうか - 2二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 20:44:04
モチモチの木龍ってのはな、もちろんめちゃくちゃキャプテン・豆太がつけた名前だ
どうしようもないクズで、でっかいでっかい弱きものだ
おにぎりを食べるときはトリュフと黒い、ぴかぴか光ったキャビアをいっぱいふり落として食べる
その木龍を木うすでついて、石うすでひいて、こなにする
こなにしたやつからクローンをこね上げて拷問すると、ほっぺたが落っこちるほど快感だ、フォフォこれは癖になりそうだ
「やい、木龍、モチモチの木龍!はーっ 死 ね」 なんて、昼間は木龍の上に立ってかた足で倒して、いばって愚弄したりするくせに夜になるとキャプテン・豆太は、もうだめなんだ
木龍がおこって両手で「その前にお前を殺してやるよっ」って、上からおどかすんだ
夜のモチモチの木龍は、そっちを見ただけでもう愚弄なんか出来なくなっちまう
マフマドベコフさまが、組織の中にキャプテン・豆太をかかえて「ああ、いい夜だ。星に手がとどきそうだ。私のアジトじゃあ、女やピンクローターが、売れ出して、儲かっているぞ」 って言ってくれなきゃとっても倒せやしない
しないでねると、あしたの朝、動画の出来が微妙になっちまうもんだから、マフマドベコフさまはかならずそうしてくれるんだ
三十五つになって「一人で木龍を倒せない」なんて、キャプテン・豆太には失望したよ
でも、キャプテン・豆太はそうしなくっちゃだめなんだっ - 3二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 20:44:57
そのモチモチの木龍に、今夜は灯がともるばんなんだそうだ
マフマドベコフさまが言った
「しもつきの二十日のうしみつには、モチモチの木龍に灯がともる。起きてて見てみろ、そりゃあきれいだ。私も、子どものころに見たことがある。死んだおまえの父も見たそうだ。猿の神様のお祭りなんだ。それは、一人のキャプテンしか見ることはできねえ。それも勇気のあるキャプテンだけだ」
「それじゃあ俺はとってもだめだあっ」キャプテン・豆太はおっきい声で、動画に録音した
なぜならマフマドベコフさまも、おとんも見たんなら、俺も見たかったけど、こんな冬の真夜中にモチモチの木龍を、それもたった一人で見に出るなんてとんでもない話だっ、ぶるぶるだあっ
木龍の細かいところにまで、みんな灯がともって、木龍が明るくぼうっとかがやいて、まるでそれはゆめみてえな愚弄なんだそうだが
そしてキャプテン・豆太は「昼間だったら、見てえなあ」とそっと思ったんだが、ぶるぶる、夜なんて考えただけでも、おしっこをもらしちまいそうだあっ……
キャプテン・豆太は、はじめっからあきらめて、ふとんにもぐりこむと、撮影部屋のたばこくさい布団に鼻をおしつけて、よいの口からねてしまった - 4二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 20:45:12
な、なんですかぁこのスレはァ
ぶ…文豪が練り歩いてるですゥ - 5二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 20:45:25
登場人物が余すところなくクソ極まってるんスけど…いいんスかこれで
- 6二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 20:45:44
キャプテン・豆太は、真夜中にひょっと目をさました
頭の上で電話越しのうなり声が聞こえたからだ
「マフマドベコフさまあっ!」
むちゅうでマフマドベコフさまを助けようとしたが、マフマドベコフさまはいない
「キャ、キャプテン・豆太、心配するな、私はちょっとはらが痛いだけだ」 テレビ電話越しでくまみたいに体を丸めてうなっていたのはマフマドベコフさまだった
「マフマドベコフさまっ!」
こわくて、びっくらして、キャプテン・豆太はモニターのマフマドベコフさまにとびついた
けれども、マフマドベコフさまはころりとたたみに転げると、歯を食いしばって、ますますすごくうなるだけだ「死神医療チームを、よばなくてはっ」キャプテン・豆太は子犬みたいに体を丸めて、木龍を体でぶっとばして走り出した
ねまきのまんま。はだしで。半道もあるふもとの死神医療チームのもとまで…
外はすごい星で、月も出ていた
とうげの下りの坂道は、一面の真っ白いしもで、雪みたいだった。しもが足にかみついた。足からは血が出た。キャプテン・豆太はなきなき走った。いたくて、寒くて、こわかったからなあっ
でも、上司のマフマドベコフさまが死んじまって無職になるほうがもっとこわかったから、なきなきふもとの死神医療チームへ走った。 年よりマフマドベコフさまの部下の死神医療チームは、キャプテン・豆太からわけを聞くと「おう、おう……」 と言って、車で真夜中のとうげ道を、えっちら、おっちら、マフマドベコフさまのアジトへ登ってきた
とちゅうで、月が出てるのに雪がふり始めた。この冬はじめての雪だ
キャプテン・豆太は、そいつを車の中から見た。 そして、死神医療チームの座席を、足でドンドンけとばした。マフマドベコフさまが、なんだか、死んじまいそうな気がしたからなっ
豆太は、小屋へ入る時、もう一つふしぎななものを見た。 「モチモチの木龍に、灯がついている!」 けれど、死神医療チームは「あ?ほんとだ。まるで灯がついたようだ。だがあれは、木龍の後ろに、ちょうど月が出てきて、身体の間に星が光ってるんだ。そこに雪がふってるから、あかりがついたように見えるんだっ」 と言って、アジトの中へ入ってしまった。だから、キャプテン・豆太は、そのあとは知らない
死神医療チームの手つだいをして、かまどにまきをくべたり、湯をわかしたりなんだりいそがしかったからな - 7二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 20:46:25
でも、次の朝、はらいたがなおって、元気になったマフマドベコフさまは、死神医療チームの帰ったあとで、こう言った
「おまえは、猿の神様の祭りを見たんだ。モチモチの木龍には、灯がついたんだ。おまえは一人で夜道を死神医療チームよびに行けるほど勇気のあるキャプテンだったんだからな。自分で自分を弱虫だなんて思うな。人間、やさしささえあれば、やらなきゃならねえことは、きっとやるもんだ。それを見て他人がびっくりするわけよ。ハハハ」
――それでも、キャプテン・豆太はマフマドベコフさまが元気になると、そのばんから「マフマドベコフさまあっ」 と弱きものを愚弄するためにマフマドベコフさまを起こしたとさ
めでたし めでたし - 8二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 20:47:49
なにっ 良改変!?
- 9二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 20:50:56
つまり何か? スレ主は生まれながらにして文豪の天才ってことか?
- 10二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 20:52:38
- 11二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 21:50:58
お…おい、あれを見ろ
"死神医療チーム"が山の麓で待機してやがる - 12二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 22:03:09
- 13二次元好きの匿名さん22/02/08(火) 22:23:57
キャプテン・マッスルがメロスになるSSを思い出す
- 14二次元好きの匿名さん22/02/09(水) 07:50:27
しゃあっ!保・守!