【SS】ポケダンでポッケが消えて泣くダンツのダンポケ

1◆WLsRZdbfdTE924/06/28(金) 20:56:45

※この作品は、ポケモン不思議のダンジョン時・闇・空の探検隊のネタバレを含みます。17年前のゲームですが念の為

　特にこれと言って理由はなかった。

　ゲームの主人公に友達の名前を設定したことも、そのパートナーに自分の名前を付けたことも……特に深い理由はなかった。
　ふつう逆で、主人公を自分にするんだろうけど……もしかしたら、ゲームですら『自分が主役』とは思えなかったのかもしれない。

　ダンツ『ポッケちゃーーーん！！』

　ゲームの中の私が、地面に伏して泣いている。相棒の名を叫びながら。

「……ぐすっ」

　現実の私も、ゲーム機を握りしめて泣いている。ベッドの上で震えながら。

「ど、どうしたのダンツちゃん？！」
「ミラ子せんぱい……」

　隣のベッドで寝ていたミラ子先輩が、私の泣く声に気づいて飛び起きてきた。あぁ、悪いことをしてしまった……。

「……げーむが……すごくいいところで……」
「あぁ、寝る前にも言ってたね、ラスボスまでもうすぐだーって。それで夜更かししちゃったんだ？」
「はい……くりあ、したんですけど……ぐす……」
「お～やったね、感動のエンディングだ」

　そう、感動のエンディングだったんだ……。

「ポッケちゃんをポッケちゃんにしたらポッケちゃんが消えちゃったんですぅ……！」
「うん、ごめん、なんだって？」

>>28

2◆WLsRZdbfdTE924/06/28(金) 20:57:51

　ダンツが遊んでいたのは『時の探検隊』というゲーム。

　物語の続きが気になってしょうがなくなったダンツは、普段はしない夜更かしまでしてラスボスを倒した。熱戦の末に感動のエンディング、かと思いきや……。
　実は『時の探検隊』の主人公……ダンツのセーブデータでは『ポッケちゃん』……は、未来からやってきた人物だった。ラスボス『時の番人』を倒したことで未来の歴史が変わり、『ポッケちゃん』の存在が消滅してしまったのだ。
　消える直前、真実を伝えられた主人公のパートナー『ダンツ』は、目の前で透明になって消えていく『ポッケちゃん』を助けることができず……。

「ポッケちゃんが消えちゃった……」
「ゲームの中のね……あ、ほら、スタッフロール終わってエピローグみたいだよ」

　エンドロールの間に状況を説明してもらったミラ子。
　ダンツちゃんがここまでゲームに感情移入するなんてちょっと意外かも。まぁポッケちゃんの名前にしたからかな……などと思いつつ、ミラ子はいっしょにゲーム画面を見つめていた。

　ゲームの中では『ダンツ』が故郷の街に帰還を果たしていた。街の人々が盛大に出迎えるが、すぐに『ポッケちゃん』の不在に気づく。『ダンツ』は静かに首を横に振ることで答えた。英雄の凱旋を祝うつもりだった人々の表情から笑みが消える。
　数日後、『ダンツ』は『ポッケちゃん』と初めて出会った場所、街はずれの海岸を訪れていた。ここである日、タイムスリップしてきて記憶喪失となった『ポッケちゃん』と出会ったのだ。
　あの日を思い出しつつ、相棒の消失となんとか折り合いをつけようとする『ダンツ』。だが、いくつもの冒険を共にした仲間との突然の別れなど、簡単に受け入れられるものではない。

「ぽっけちゃぁん……」
「ダンツちゃん声抑えて、見回り来ちゃう」

　その時である。『時の番人』が『ダンツ』たちに倒されたことで正気を取り戻した。物語の発端である『ポッケちゃん』がタイムスリップし、記憶喪失になった原因が自分にあると知った『時の番人』は、自らの能力で償うことにした。

3◆WLsRZdbfdTE924/06/28(金) 20:58:07

「こぉら！　夜更かし気味の悪いポニーちゃんはここかな？」

　流石に騒がしくしすぎた。見回りのフジキセキがダンツとミラ子の部屋をノックする。
　ミラ子が「やばい」といろんな意味で思った時には、遅かった。

「ぽっけちゃぁん！」
「ダンツ？！　どうしたの？！　ポッケに何された？！」

　ダンツの泣き叫ぶ声を聞いたフジ。普段から真面目で温和なダンツが大声で泣いているとあって、さしものフジも大いに慌てた。ドアを開けて中へと踏み込んでくる。

「ポッケちゃんがポッケちゃんしたけどポッケちゃんなんですぅ……」
「オッケー、とりあえずポッケ連れてくるね！」

　涙ながらにポッケちゃんポッケちゃんと繰り返すダンツの姿を見て、フジはすっかり冷静さを失ってしまった。

「ちょ、寮長待って……！」

　ミラ子の声、伸ばした手が届くことはなく、フジは素早く踵を返して廊下を走り去る。宣言通りポッケを叩き起こしてここに連れてくるつもりなのだろう

「……え……これ私がなんとか説明しないとダメなやつ？」

　フジが開けっ放しにしたドアからダンツの泣く声が漏れ、栗東寮全体がざわざわと騒がしくなる。
　未だ泣き止まないダンツの背中をさすってやりながら、ミラ子は説教と寝不足を覚悟して遠い目になった……。

4二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 20:58:30

なんでポケダン？

5◆WLsRZdbfdTE924/06/28(金) 20:58:31

　……⏱……

「……ねー、ポッケ」
「……んだよ、ジョーダン」

　翌朝、学園の教室にて。

「……ポッケがダンツをベッドの上で泣かせたってウワサ、マジなん？」
「……頼むからこれ以上俺を混乱させねぇでくれ」

　ダンツの膝の上に座らされたポッケが、後ろからがっつり抱きしめられながら答えた。

「ぽっけちゃんきえちゃやだ……」

　ポッケの背中に顔を埋めたダンツが、泣き明かしてガラガラになった声でつぶやく。

「……消えねぇよ」

　そう小声で返しながら、自身の腰に回されたダンツの手をポンポンと叩くポッケ。

「ちゃぁんとここにいるからよ」
「……うん」

　いつもの雄たけびとはまるで違う、ポッケの温かく柔らかな声音を聞いて、ダンツの顔がわずかにほころぶ。

「心配すればいいのか、惚気にツッコめばいいのか、どっちなん？」

　ジョーダンが、両親がイチャついているところを不意に目撃した子供のような顔でぼやいた。

6◆WLsRZdbfdTE924/06/28(金) 20:59:01

おしまい

カプ名が間違われやすいならむしろネタにしてしまえ、の精神で書きました

最初の注意文を書くときに発売年を調べて「ひえっ」となりました。ネタが伝わるあにまん民はいるのだろうか

お読みいただきありがとうございました

ちなみに前作はこちら

【SS】宝塚に燃ゆ｜あにまん掲示板「ポッケちゃんは、これからどうするの？」　年末のトレセン学園、旧理科準備室……いつもの四人が、ささやかなクリスマスパーティを催していた。　アグネスタキオン特製の蓄光性薬品が怪しく光る室内で、マンハッタ…bbs.animanch.com

7二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:29:52

このダンツ、ポッケちゃんしか言ってねぇ、かわいい

>>8

8二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:30:42

>>7

アニメ二期にもテイオーさんBotいましたよね

9二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 22:12:38

めっちゃかわいくてよかったです

10二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 22:16:30

歳を取れば取るほどポケダンは涙腺に来る……
二人の仲がてえてえなぁ

11二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 23:14:07

感受性豊かダンツ可愛い
ポケダン、時闇もリメイクしねぇかなぁ……

12二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 23:20:08

主人公とパートナーのポケモンはそれぞれ誰になったんだろう

>>17

13二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 23:26:48

二度見するレベルのスレタイで草
ただひたすらにダンツがかわいい

14◆WLsRZdbfdTE924/06/29(土) 00:09:58

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