- 1二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:53:04
- 2二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:53:20
「…ん…」
「…目が覚めましたか」
微かなうめき声のような声と共に、倒れ伏していた長い黒髪の少女…アリスが目を覚ます。
「こ、こは……?」
「ここはアビドス自治区の市街地…いえ、『元』自治区と言うべきですかね?貴女がアビドス自治区についてご存知かは知りませんが」
アリスが顔を上げると、目の前には長く白い髪の、ミレニアムの制服を身につけた少女がいた。コンクリートの塊に、アリスを見下ろすような姿勢で腰掛けている。
「あな、たは…」
「私は…いえ、名乗るほどの者でもありませんよ。呼ぶ時は適当に呼んでください。どうせ…っと、貴女の様子を見るにこれは後で説明した方が良いですかね。よっこしょ…っと」
そう言うとその少女はコンクリートの塊から飛び降り、アリスの方に歩いて近づいてくる。
「アリスは…どうして、ここに…?」
「ふむ…やはり覚えていないと…。まぁ、致し方ないでしょうが」
そう言いながら白髪の少女は首を振る。
「…アリスさん、周囲の状況に見覚えは?」
「見覚え…?」
訳もわからず、周囲を見渡す - 3二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:53:46
「え…」
目に飛び込んだのは、鮮やかな赤と黒、灰色のまだら模様
「な、んで…」
そして、物言わぬ肉塊の数々
「こ、れ…は…」
頭痛と吐き気がアリスを襲う
「…おえっ…ヴぇろ…」
そのまま、その場にへたり込む。今まで人の死を見たことがないアリスにとって、その現場はあまりにも過酷すぎた。
「うーん…ダメですか。っていうか機械も精神的ダメージで嘔吐するんですね…」
そう言いながら、近づいてきた少女は蹲ったアリスを見下ろす。
「なんで、こんな…」
一瞬、茫然自失になりかけながらも、アリスはやらなければならない事を即座に認識する。
「ヒーラー…いえ、救急車を…」
「いえ、ここにいる人達は皆息絶えています」
一瞬、アリスの思考が停止する。それでも彼女は、「勇者」は人を救うことを諦めない。 - 4二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:54:20
「…まだ、生きている人が「はぁ…既に救急車は呼びました。こんな状況ですと、どれぐらいの時間がかかるかはわかりませんが」
「…」
「…」
「…ありがとうございます」
アリスはこれ以上なく混乱していた。それこそ、少女の「至極真っ当な」答えにどう返事をするかにも迷うほど。そんな中でも確認しなければならないことを思い出す。
「皆んな、は…」
「?」
「モモイは…ミドリ、ユズは、ユウカは…先生は、どこに居ますか?」
その言葉を聞いた途端、少女は怒り、憐れみ、同情、様々な感情が入り混じったような表情を浮かべる。が、アリスにそれに気づけるような余裕はなかった。
「あ、そうです、モモトークが…!」
アリスは少女に尋ねずとも、自分で確認できる方法を思い出し、そのままポケットの中にしまってあったスマホを取り出し、モモトークやその他通話アプリを開こうとする。しかし
「…?」
スマホの画面は無情にも圏外を示していた。アビドスの砂漠地帯なら珍しくもないことではあるが。
「…どう説明しますかねぇ…いえ、そもそも説明すべきなんですかねぇこれは…既に機械どもが立ち去った後だったのが逆に仇になりましたかね?」
少女はぶつぶつと何かを呟きながら暫く迷った後、通信が回復しないかとスマホを精一杯腕を広げて動かしているアリスに声をかける。 - 5二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:54:40
「アリスさん」
「?はい」
「ついて来てください。貴女の友達や先生がどこにいるのかも、目的地でご説明します」
「…」
アリスは少し逡巡する。
「…はい」
しかし、怪しいながらもこの少女しか情報源がない現状を鑑み、アリスは彼女について行く事を選んだようだ。
「…あの、その前に」
「?」
「せめて、ここにいる人たちの、応急処置だけは…」
「…わかりました」 - 6二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:55:13
結局、二人の近くにいた市民は全員の死亡が確認された。アリスはしばらく呆然としながらも、少女に促されるまま、半ば強引に近くに駐車してあったトラックに乗せられる。
そこからトラックに乗ること30分程。途中アリスは少女に何度か質問をするも、イマイチ要領を得ない回答ばかりが続く。そうしながらも二人は目的地にたどり着く。砂漠の中に、偽装を施されながら存在する、地下施設への入り口。先生が見たら男心をくすぐられるかもしれない。
「ここは…」
「シェルター、隠れ家ですよ。私の『元』上司が作った」
そう言いながら降りると、彼女はその建物の入り口…ではなく、裏手に回り込もうとする。
「中に入らないんですか?」
「現時点では必要ありません」
そのまま、30秒ほど裏手に回り込むようにして歩く。その時、少女が口を開いた。
「アリスさん」
「?はい」
「この先に少し…いえ、非常にショッキングな光景が広がっています。ここまで何も伝えず連れてきて勝手とは思いますが、見ていただけますか?」
「…」
「というより、見てもらいます。そうしないと、状況が認識できないと思いますので」
「…」
アリスは、暫し逡巡する、が…。 - 7二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:55:53
「…はい」
結局、了承した。…その先にある光景から、目を逸らしてはいけない気がして。
「…では、ここから五歩前へ」
少女は、アリスに道を譲るように少し横にずれる。
それに合わせ、アリスは歩みを進める。左側に聳えていたコンクリートの壁が途切れ、そこには今までと変わらぬアビドスの砂漠が広がる。
…ただ一つ、そこに転がっている肉塊以外は
「え…」
忘れもしない
「あ、え…」
リオ会長の遺体、そして見覚えのある機械の兵隊を除いて
「あ、あ…あ…」
全てを、思い出す
「ごめ、ごめんな…あ、あ、あぁ…」
誰に向けたのかもわからない、謝罪がもれる
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!…あ…ぁ…あ゛…」 - 8二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:56:15
「落ち着きましたか?」
「…」
「ま、そんな訳ありませんか」
何のことはない。ただ、アリス…いや、AL-1Sの使命を果たす時が来てしまった、というだけのことだ。Keyが「使命からは逃れられない」と言ったように。
アレ…リオ会長の亡骸を見てから、アリスは抜け殻のようになってしまった。一度、「自分を破壊してほしい」と言って来たりはしたものの、「そんな設備はここにはない」と言って以降この有様だ。
(まぁ、無理もないですかね…)
彼女の親しい友人や恩人
(なにせ…)
全員が息絶えるところを、支配下の機械を通して見て来たのであろうから。
最期までミレニアム生を守ろうとしていた会計や書記、勇敢に戦ったメイド部の生徒や風紀委員長、SRTの小隊、皆で固まってお互いを守ろうとしていたゲーム部、生徒と市民たちの避難誘導や戦闘員の指揮に当たっていた先生…などなど
その全てが、自分の配下や兵装によって「排除」されるその瞬間を。
「貴女が、どの程度認識能力を残しているのかわかりませんが」
それでも、少女はアリスに説明を続ける。
「状況を説明します」
それが、彼女の役目であるから。 - 9二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:56:34
「現在、キヴォトスは『名もなき神々の王女』の攻撃により壊滅状態にあります」
おおよそ三日前に始まった、その攻撃はキヴォトスを壊滅…いや、ほぼ全滅に追いやった。鍵という司令部の一つが消え、戦力の運用は非効率極まりなかったものの、それでも『名もなき神々の王女』の力は圧倒的であった。もし鍵がいれば三日も持たなかったであろう。
「そして、その攻撃は数時間前に終了しました」
しかし結局、キヴォトスに住む生徒全ての命を奪うことなしに。
「リオ会長の攻撃によって」
かなり心細い希望であった。リオ会長は状況が絶望的になった際、敵の中枢…すなわち、アリスに干渉する事を試みた。
「アリスさん、貴女は機械でありながらも心を持つ。ならば、それとシステムが相互作用することは十分あり得る」
故に
「リオ会長は『自分があえて貴女の前に姿を現し、殺されることで、ほぼ名もなき神々の王女と化しながらもプロトコルの中で悲鳴をあげ、泣き叫んでいたであろう貴女の最後の希望を折った』」
アリスにとって、未だ自分に殺されておらず、全てを解決してくれそうな最後の頼れる人物…それがリオであった。しかし、そのリオも自分に殺された。その時の絶望は、如何程だっただろうか。 - 10二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:56:46
だが、その絶望がビッグシスターが付け入ることのできる僅かな隙をプロトコルに生じさせた。
「その隙に、私はリオ会長の残したシステムを使用し、プロトコルを強制終了させました」
その結果が今、という事だ。
「私はその間、リオ会長に最後の命令に従い、アトラハシースでも感知が困難な偽装が施された施設に避難しつつその作業を行っていました。そして事が終わって貴女の前に姿を現している訳です」
アリスは、何も返事をしない。
「…へんじがない ただのしかばねのようだ」
ゲームの言葉を投げかけても、人間らしい反応を何一つ返さない。
「…さて、ではここで一つお知らせを」
だが、ここまではただの前置き、少女にとっての本題はこれからだ。
「私は貴女の友人や恩人、親しい人々…ゲーム開発部や先生、リオ会長を含むセミナー全員…それどころかキヴォトスにかつて住んでいた全ての人々を生き返らせる手段を持っています」
そう告げた途端、アリスの目に生気…と言うには少々暗い炎が宿る。そしてそのまま、少女に掴みかかるような勢いで詰め寄る。
「本当ですか…!?」
「圧が凄いですね…えぇ、本当です」
アリスの目に宿った光が輝きを増す。 - 11二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:57:13
「ただしアリスさん」
そして、少女はアリスを見つめ返しつつ語りかける。
「貴女の協力が不可欠です」
アリスに拒否する理由はなかった。
──────────────────────
「…では、我々の目標を説明します」
少女がプロジェクターを使ってアリスに説明を始める。
「我々の最終目的はキヴォトス各地に極秘に保管された各種装置…リオ会長が開発し、『機械仕掛けの神』と呼んでいた機械の部品を全て回収する事です」
プロジェクターにはミレニアム、ゲヘナ、トリニティは勿論のこと、DUや百鬼夜行、山海経、その他大小の様々な自治区が示されている。
「この装置はアリスさんの保有する多次元解釈機能に干渉、利用し、世界そのものの改変を可能にします。要するに、一種の過去改変装置です」
「…」
「詳しい理屈は省きますが『救済されたけど結局過去が分岐した並行世界』『再生された世界の人間は全員スワンプマン』みたいなこともない、文字通り世界を救済する装置です」
「…」 - 12二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:58:10
「何か質問は?」
「…どうして、こんなに部品が散らばっているんですか?」
「いい質問です。それに関してはリスク管理のためですね。一つにまとめて置いておくと破壊された時に取り返しがつきませんので。まぁ、一つ二つぐらいなら私でも修理できます。幸いにも今回は全ての部品が破壊を免れたようですね」
「…」
「他には?」
「…もし」
「はい」
「もしも、キヴォトスが救われたとしたら、この世界の記憶はどうなるんですか?」
「また良い質問ですね。消えてなくなります」
「…」
「この世界は『なかった事になる』ので。そもそも『記憶すべきこの世界の事象』が存在しなかったことになります」
「…な…なら」
「はい」
「どうやって、アリスを、破壊すれば…」
「…はい?」
声を震わせながら、アリスが少女に問いかける。 - 13二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:58:55
「アリスは、世界を、滅ぼしてしまった、魔王です」
「…」
「皆に『なりたい自分になって良い』と言われていたのに…それなのに、皆を殺してしまった、魔王です」
「…ふむ」
「リオ会長の言った通り、だったんです。アリスは、勇者にはなれません」
「もし、世界が元通りになっても…またキヴォトスを、皆を、こ、殺してしまいます」
「…」
「記憶を、残さないと、アリスが、ま、魔王だと、伝えないと、また「えいやっ」んっ!?」
少女がアリスの額にデコピンを叩き込む。
「いいですか、アリスさん」
そのまま、語りかけ始める
「説教臭いことを言いますが、そんなことは考えなくてよろしい」
ちょっと涙目になりながら少女を見上げる、アリスに向かって。
「覚えているでしょう?空が赤く染まったあの日のことを。そして、空に浮かぶあのにっくき箱舟を攻略した時のことを」
アリスに、言い聞かせるように - 14二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:59:08
「あの時、もし貴女がいなければ、キヴォトスはすでに滅んでいた」
そして、自分にも言い聞かせるように
「今ここでキヴォトスを滅ぼしたとしても±0、そして救えばまた+1です」
努めて明るく振る舞いながら
「断言します、貴女は、この先のキヴォトスに必要な存在なんです」
「…」
それでも、アリスの表情は暗いまま変化しない。
「…何にせよ、今考えることではありませんよ」
アリスの手を強引に取り、立ち上がらせる
「それに、少なくとも今の私にとっては貴女がいないとどうしようもないんですよ」
苦笑しながら、アリスに伝える
「装置の起動以前に私、腕っ節に関しては全然ダメなので。貴女がいないと、多分装置にたどり着けずこのままキヴォトスが滅びます」 - 15二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:59:20
「じゃ、行きましょうか」
「はい…」
少女がトラックの運転席に座り、アリスが助手席に座る。
「頼みますねアリスさん。キヴォトスが壊滅したとはいえ、野生動物や自律機械、そして未だに稼働を続ける一部の機械兵は健在です。それに、ごく少数でしょうが盗賊や暴徒と化した生徒や市民の生き残りがいる可能性もあります。装置の回収を続けていれば、必ず戦闘があるでしょう」
とは言っても、もう頼む必要もないだろう。アリスの目には既に、決意が宿っている。自分が滅ぼしてしまったキヴォトスを救い、皆を蘇らせるという決意が。
「よーしでは…発進!」
アクセルを踏むと同時に、特殊な機構が組み込まれた砂漠であろうと難なく走破できるオーバーテクノロジートラックが砂煙を上げて走り出す。
「まずはどこから行くんですか?」
「アビドス自治区内に一つ保管庫があるので、そこから。長い旅になると思いますし、適宜休んでください」
そのまま、トラックは地平線の彼方に消えていった。 - 16二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 21:59:33
以上でーす
- 17二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 22:01:48
良いね、もしかしてだけどscpのやつがちょっとクロスしてる?
- 18124/06/28(金) 22:03:02
- 191724/06/28(金) 22:07:03
- 20二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 22:09:47
「少女」も色々アリスに複雑な感情抱いてそうだなぁ
二人がよきバディになってくれると良いけど - 21124/06/28(金) 22:15:29
- 22二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 22:24:52
- 23二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 22:32:17
『救済されたけど結局過去が分岐した並行世界』こっちはロボトミの逆行時計かな?
- 24二次元好きの匿名さん24/06/28(金) 22:40:53
アビドスはなんだろうか、臨戦ホシノが待ちかまえてそう
- 25124/06/28(金) 23:54:18
- 26二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 01:18:44
「皆で固まってお互いを守ろうとしていたゲーム部」が排除されたのがアリスにとって絶望的すぎる
- 27二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 11:01:53
原作ネームドで生き残っている生徒はいるのかな?
- 28124/06/29(土) 21:55:48
- 29124/06/29(土) 21:56:27
生き残ったのは
dice1d5=3 (3) 人
(ダイス数は適当)
- 30124/06/29(土) 21:58:42
- 31124/06/29(土) 22:01:27
…一応ダイス振ってみたけどどうするかは一切考えていない!
- 32二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:38:51
エグいところ生き残らさせたな…セナとユカリとか大丈夫なのか…
- 33二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:46:56
- 34二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 09:27:19
えぐいよぉ...
- 35二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 16:38:51
- 36124/07/01(月) 01:09:19
「音楽かけます?」
「…いえ、大丈夫です」
「まぁそういう気分でもないでしょうしねぇ…」
トラックはアビドス砂漠を進む。リオと少女謹製の自動運転装置により移動による負担は最小限に抑えられている。逆に言うと手持ち無沙汰という事だが。
「変わり映えしませんねぇ、景色が」
「…あの」
「何ですか?」
「エアコン、もう少し設定温度低くしませんか?」
アリスが少し申し訳なさそうに提案する。実際、冷房が最低限にしか効いてないせいで運転席の内部はかなり暑い。少女もアリスもすでに汗だくだくだ。
「そうしたい所なんですがね」
少女は顔を顰めつつ答える。
「燃料をあまり使いたくないんですよ。先日の一連の戦闘でガソリンスタンドや燃料保管庫の多くが被害に遭ってるので、次いつ燃料を確保できるかわかりません。各地の拠点に保存してある燃料もありますが」
「わかりました。アリス、我慢します」
「…まぁ、確かに今の所脅威は確認できていませんし、保管庫も近い。そこで給油できることを考えると…」 - 37124/07/01(月) 01:09:54
少し悩んだ後、少女はエアコンの出力を上げる。
「いいんですか?」
「今回は次の燃料確保の目処がついていますしね。それに、アビドス砂漠ぐらいはエアコンをつけた方が良いでしょう。ちょっと神経質になりすぎたかもしれません」
そう言いながら少女はペットボトルに手を伸ばす。
「『次』があればトラックの動力は核融合炉にでもしたいですね」
「レジェンダリークラスのトラックになりそうですね」
──────────────────────
「…その」
「何ですか?」
「何で、アリスに何も言わないんですか?」
暫くお互い黙り込んだ後、アリスが悲しそうな顔をしながら少女に問いかける。
「…」
「…」
「…何も思っていないわけではないですよ。しかし、私には先人から受け継いだポリシーというものがあります」
「?」 - 38124/07/01(月) 01:10:17
「この世界、キヴォトスにはそれなりの確率で異常な存在が現れます。貴女に限らず」
「…はい」
「しかしそれを排除すると、不思議なことに巡り巡ってキヴォトスの不利益に繋がる、なんてことが結構な確率であるんですよ」
「…」
「実際、箱舟の攻略には貴女の力が不可欠だった」
そう言うと、少女は視線をアリスに向ける。
「貴女に何も思っていないわけではありません。そして、リオ会長が当初貴女を破壊すべきと判断したことも決しておかしい判断とは思いません。実際、こんな状況になっているわけですしね」
「…ごめんなさい」
「…謝罪は受け取っておきます。ですが、私は貴女を破壊すべきとは思いませんし、むしろ保護すべきだと思っています。そうした異常存在を破壊するのではなく、保存、保護することが、最終的にキヴォトスの利益になると、私は信じています」
「…」
「それに、この状況で貴女を責め立てても得るものはありませんしね。まぁ、よろしく頼みますよ、アリスさん」
「…はい」 - 39二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 06:16:21
つってもあれなんかよく分からん力持っとるしなぁ