もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart2

  • 1二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 10:23:12

    アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの2スレ目です。

    はたして、アグネスは、ルナマリアが戦争と仲間との日々で成長したように、何かを得て変わりつつあるのか。
    はたまたアグネス(呆)はアグネス(呆)なのか。その中間か。
    そしてミネルバの運命は?
    お付き合い頂ければ。

  • 2二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 10:24:58
  • 3二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 10:38:41

    立て乙です

  • 4二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 10:44:00

    たておつです
    楽しんでます

  • 5二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 11:26:11

    たて乙
    アグネスがどうなるかわくわく

  • 6二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 11:27:08

    このままアグネスはどう変わるんだろうか…

  • 7二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 11:30:13

    つぎはミーア・キャンベルや花嫁強奪事件への反応あたりがたのしみ

  • 8二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 11:30:33

    おつー
    時期的にはそろそろセイバー着艦か
    俺等の知ってるアグネスならこの当時のルナ以上に積極的にアタックかけてくんだろうけど…

  • 9二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 11:33:34

    時系列的にはこのあとアスラン着任→インド洋→ガルナハンか
    インド洋はまぁ問題なく行けるとしてガルナハンのシンに単独で廃坑突っ切らせる作戦をどう思うのか…

  • 10二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 12:07:59

    アスランのキラ達との密会の盗聴もアグネスがやるんだよね?
    どういう反応をするか気になる

  • 11二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 13:48:47

    ザフト軍艦艇に護衛・先導されつつ、ミネルバはカーペンタリア基地へ。
    前大戦後半戦、地上ザフト軍が、オペレーション・スピットブレイク以後劣勢を強いられる中、最後まで陥落することのなかった大拠点。その威容を目の当たりにする。

    レクリエーションルームには何時ものメンバー。
    心にちょっと余裕ができるのを感じる。戦闘は―武勲をあげるのは大好きだけど、それはそれ。
    損傷した艦で敵勢力圏をうろつくのは望ましいことではない。

    しかし―改めて周囲を見回すと、この艦ロクな男が居ないわね。
    レイはホモだし、シンはあれだし、副長は対象外。あとはモブ。
    少し前にアスランも立ち寄ったけどコミュ障だったし。基地にはましなのいないかしら。私に相応しいパートナーは。

    自分に相応しい見てくれと実力を併せ持ち、軍に限定するなら赤服・黒服・白服は当たり前。
    さらにプラント国防委員会直属特務隊-戦術統合即応本部-のメンバーぐらいじゃないと!そんな男を手に入れたい。

    アグネス「(まあ、特務隊はエリートである分、いざとなったら死ぬ覚悟が求められるんだけどね。
    前大戦でザラ議長を諌死したレイ・ユウキ特務隊隊長みたいに。エリートなら世渡りも上手くないと。
    身の丈に合わない身分になっても死ぬだけよ)」
    私はそうはならない。自分も出世して特務隊員になったら、生き馬の目を射抜くように勝ち組になってやる。

    ニュースキャスター「この核攻撃に対してプラント最高評議会は、コーディネーターの基本的生存権に対する急迫不正の侵害と見なし…」

    ニュースでは、いよいよ民間人も含め全プラント国民に事の詳細を報道し始めている。
    私達は緊急通信で先に知っていたけれど。

    アグネスは「向こうもてんやわんやね。今頃は」
    ヴィーノ「でも、お袋が無事でよかったよ。ほんと」
    ヨウラン「そうだな」

    ニュースキャスター「繰り返しお伝えします。昨日午後、大西洋連邦をはじめとする地球連合各国は我等プラントに対し、宣戦を布告し、戦闘開始から約1時間後、ミサイルによる核攻撃を行いました。しかし防衛にあたったザフト軍はデュランダル最高評議会議長指揮の下、最終防衛ラインでこれを撃破。現在地球軍は月基地へと撤退し攻撃は停止していますが、情勢は未だ緊迫した空気を孕んでいます」

  • 12二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 14:04:57

    シン「正直、混乱してる。こっちも戦闘中だったし」
    レイ「…」

    レクリエーションルームにメイリンが入室してくる。
    メイリン「皆…。お姉ちゃんは無事…」
    シン「良かった」
    レイ「ああ」
    アグネス「きっとこの戦闘で大手柄上げてるわよ!」
    ヴィーノ「はは。ルナマリア強いもんな」
    ヨウラン「心配その一が解決だな」
    自分に少しでも余裕ができれば、今度は自分の家族の、次は友達・同期の仲間の心配。
    戦時や大災害発生時は本当に気が休まらないわ。

    アグネス「しかし、核攻撃となると基地についた後が心配ね」
    シン「連合の人達…。降ろすのか?」
    レイ「捕虜は降ろすしかない。収容所自体は問題ないはずだが…」
    アグネス「(頼むわよ、本当に。基地の皆、辛抱してよ。降ろした途端、男性捕虜虐殺、女性捕虜レイプの後虐殺、なんてことになったら。私のキャリアもプラントの国際的立場もお終いよ)」

    アグネス「うん?」

    突然ニュースに若い女性が搭乗する。
    皆の―この時代に生きる文字通り「みんな」―の脳裏に刻み込まれているあの人『ラクスクライン』が。

    ヴィーノ「え…なんで…。ラクス様はオーブに」
    ヨウラン「間違いない。この目で見た。なあ?」
    メイリン「はい」
    シン「あ…ああ」

    ラクス(偽)「皆さん。わたくしはラクス・クラインです。皆さん、どうかお気持ちを沈めて、わたくしの話しを聞いて下さい」

  • 13二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 14:09:25

    クルー達「ラクス様?!本物?だってオーブに...。なに」

    ラクス「この度のユニウスセブンのこと、また、そこから派生した昨日の地球連合からの宣戦布告、攻撃。
    実に悲しい出来事です。再び突然に核を撃たれ、驚き憤る気持ちはわたくしも皆さんと同じです!ですがどうか皆さん!今はお気持ちを沈めて下さい。怒りに駆られ想いを叫べばそれはまた新たなる戦いを呼ぶものとなります」

    アグネス「(なかなかの演技力ね。見る人が見ればばれちゃうんだろうけど。
    アスランやディアッカ先輩、多分イザーク先輩も。
    それにクライン家の元使用人達とか直接面識があった人達はこの一瞬で違和感を覚えるんじゃないかしら。
    なんかちょっと『演じてる』感あるのよね)

    ラクス(偽)「最高評議会は最悪の事態を避けるべく、今も懸命な努力を続けています。ですからどうか皆さん、常に平和を愛し、今またより良き道を模索しようとしている皆さんの代表、最高評議会デュランダル議長をどうか信じて、今は落ち着いて下さい」

  • 14二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 14:18:12

    アグネス「(とは言え、もしオーブでの遭遇が無ければ、私も違和感こそ覚えれども流してしまったわね)」

    しかし…『平和を愛し、今またより良き道を模索しようとしている皆さんの代表、最高評議会デュランダル議長をどうか信じて』はダメね。
    センスゼロ。ウグイス嬢みたい。
    本物のラクス・クラインは父であるクライン議長の政治的宣伝に直接関与していないし、呼びかけた記録もとくにない。こいつは議長の駒か。

    アグネス「議長はもともと研究者で政治家としては新参者。独立運動時代の闘士でも、独立宣言に立ち会った『建国の父母』でもない。再選組も多い現政権で、『国父の娘』ご本人には声をかけづらかったのでしょう」
    ヨウラン「なるほどな」
    レイ「アグネス!!議長には議長の深いお考えと難しいお立場がある!」

    はいはい。
    所詮、議長はクライン派の末流。陪臣が皇太女殿下に直接頼みごとが出来ないのと同じことでしょう。
    本人を担ぎ出せば最悪、政権を乗っ取られちゃうし。
    今の評議会議員や軍・行政の主要幹部たちは皆、公的にも、派閥的(ザラ派+αは除く)にもあの人のパパの子分だったし、今も自らをそう任じているものも多いでしょ。

    レクリエーションルームには偽ラクスの演説の後、彼女の歌声が響く。

    アグネス「綺麗な歌声ね。声紋検査をパスできる逸材を発掘するとは、なかなかどうして」

    ニュースで映し出されるプラント国民は、その歌声と共に怒りのボルテージをみるみる下げていく。きっと基地のザフト軍兵士にも同じ現象が起きていることだろう。
    シン「…」
    元オーブ国民のシンは今一な反応だが、彼女の振る舞い自体には感動しているみたいね。

  • 15二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 14:22:55

    アグネス「これで捕虜の命は助かったわね。ザフト勢力圏内に暮らすナチュラルも胸を撫で下ろしているでしょう」
    レイ「時には苦肉の策をとる必要もある。議長は…」
    アグネス「それは分かったって!言ってるでしょう!」
    ヴィーノ「でもこの人のことは…」
    皆、困ったようにモニターの偽ラクスを見つめている。

    アグネス「…。ひとまず、これは彼女の手柄ね。まあ、彼女の手柄=ラクス・クラインの功績になるんでしょうけど。まあ、歌手としては悪くないんじゃない?」

    ヴィーノとヨウランが互いに肯き合う。なに?歌、気に入ったの。
    それとも氏素性を捨てて献身する彼女の姿に心打たれちゃった?お人よしね。

    アグネス「(う~ん。しかし、整形してこの顔か。私の敵じゃないわね)」

    アーサー「間も無く入港。手隙要員は甲板に集合」
    放送が流れるや甲板に皆でダッシュ。入港時に敬礼しなければいけない。

  • 16二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 21:39:24

    ラクスがオーブにいることを知ってるのがどう作用するかと思ってたけど、こういう感じに落ち着けるとはなるほどです。
    これ、レイは「デュランダルはラクスに声かけられないくらい格下」って言われたも同然だし周囲も納得しちゃうしで、アグネスに対して悪印象でしょうねぇ
    レイは口達者なように見えて子供だし、このアグネスと口論したら負けそう

  • 17二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:35:22

    入港後、ミネルバは連合捕虜を下船させ速やかにドッグ入り。基地の技術チーム総出で修理を開始している。
    何か、大きな作戦があるの?凄い気合の入りようだ。

    私は連合軍女性兵捕虜を保安要員とともに収容施設まで移送。式辞を読む代表者艦長から任命されたため。
    連合女性兵の中には艦から下りる際に明らかに怯えている者もいたが、今は、基地ザフト兵が予想外に紳士的であったことの方に驚いている。落ち着きを取り戻してくれてなにより。あの偽ラクス、ほんといい仕事したわね。

    基地内収容所の前に両軍整列する。

    アグネス「先日、グラディス艦長が述べたことと、小官の思いは相違ありません。ただ、貴女方の勇戦に敬意を表するの一言に尽きます。世界が混迷に包まれる中でも、己が使命を果たさんとした貴官達の未来に幸あらんことを心底より祈念いたします」

    敬礼 短い言葉に全力で感情を乗せる。ちょっと違うか、感情を乗せたように全力で振舞う。

    連合軍兵士から返礼を受けて直り、役目修了。
    今度はミネルバにとんぼ返り。副長に女性兵捕虜移送完了を報告しないと。

    アーサー「アグネス。任務完了か?」
    艦長と副長、私以外のパイロット4名が丁度ミネルバから下船してきた。なんで?
    タリア「今から、私達は基地司令部に向かいます。アグネスあなたも同行しなさい」
    アグネス「はい」

    アグネス「あの副長、質問を許可して頂けるでしょうか?」
    アーサー「何だい?」
    艦長、副長、私、シン、レイ、デイル、ショーンの7人が乗る移送車の中で、思い切って副長に質問してみる。
    この副長、話しやすくてありがたいのよね。それで助けられることが結構多い。『数値には出にくいけど得難い能力』ってやつかしら。

    アグネス「ありがとうございます。では、ミネルバは本来、進宙式が終われば月軌道艦隊に配備される予定でした。ということは、今、私達-ミネルバクルー、パイロット全員-は月軌道艦隊から地上ザフト軍に艦ごと臨時出張もしくは臨時出向状態にある、と理解すればよろしいのでしょうか?」

  • 18二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:38:58

    ザフト軍カーペンタリア基地に帰還するという一つの目標が達成された今、気になるのは自分達が軍命令系統のどこにいるのかということ。
    なし崩しのなし崩しでここまで来たからこそ、そこを今ハッキリさせておきたい。
    軍人は命令服従義務がある。
    しかし、だからこそ、その命令の矢印がどこからどこに下りてきているのか、その命令に合法性・合理性・合目的性が有るのか理解していないと。下手したらわが身の破滅よ。

    アグネス「(理解しないと命令の『抜け道』の加減も分からないじゃない…)」
    逆にそこさえ踏まえて外さなければ、『命令されたから仕方なく』がよっぽどじゃない限り通る。
    流石に捕虜虐殺やジェノサイド、大量破壊兵器使用の意思決定・直接的実行に加担したらまずいけど。

    アーサー「いや、実はその辺りが…」
    タリア「その辺りも含めての基地司令部への出頭なのでしょうね。実は私も良く分かっていないわ。ただ、今のところ貴女の認識、つまり、ミネルバは月軌道艦隊所属艦で地上ザフト軍に出向ないし出張状態で、一先ず問題ないわ」

    タリア「オペレーション・スピア・オブ・トワイライト?!」
    カーペンタリア基地司令官「ああ。作戦の雛型自体はもう出来上がっている。議長も同意される見通しだ」
    アーサー「そのザフト軍降下作戦の地上参加部隊主力に本艦を…でありますか」

    司令部に出頭して、艦長と一緒にこれまでの行動にお褒めの言葉をいただくが早いか、思わぬ方向に話が進みだしている。国防本部はザフト宇宙軍をジブラルタルとカーペンタリア周辺に降下させ、同地を包囲している地球軍を排除することに決めたらしい。

    アグネス「(作戦自体は妥当なんじゃない。特にカーペンタリア周辺の地球軍部隊は徹底的に殲滅して、南太平洋の制海権を握らないと。カーペンタリア基地だけでなく大洋州まで干上がってしまうわ)」

  • 19二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:43:11

    カーペンタリア基地司令官「その通りだ。この作戦は基地内でも限られた者しか知らない。本作戦は展開次第では降下部隊の犠牲が大きいものになりかねないが、基地配備のモビルスーツのみでは力不足ではないか、私は内心気がかりだったよ。そんなところに…」
    タリア「本艦が入港した、ということですか」
    カーペンタリア基地司令官「オーブからこの基地までの戦いは先程報告書を読ませてもらった。空母4隻を含む12隻の地球軍艦隊を殲滅。素晴らしい、タンホイザーの威力とミネルバのパイロット隊の力は!これをもってすれば、降下部隊の損耗を最小化した上で、戦果を最大化できる」

    ミネルバのパイロット隊、のところで私達5人に視線を送ってくれる。期待は嬉しいが、指揮系統の問題は―

    タリア「勿論、降下部隊の犠牲は最小にしなければなりませんが…。ミネルバは本来、月軌道艦隊所属予定で、しかも機体を失い艦の損耗も…」
    カーペンタリア基地司令官「ミネルバの修理は基地総出で最優先に行っている。機体は、基地の予備から補充する。情報漏えいのリスクがあるから、オペレーション・スピア・オブ・トワイライト終了まで、ミネルバの所属問題に関して本国と協議することは出来ない。したがって―。『志願』が必要になるわけだが…」

  • 20二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:46:59

    アグネス「(いいんじゃない。こんな大作戦参加しない手はないじゃない)」
    なるほど、パイロットに志願させるために私達まで呼びつけたのか。

    タリア「志願は出来ません。どうかご命令下さい」
    アグネス「(ちょっと!余計なことを…。いや当たり前か?『志願したのは君だろう』無責任な上司の常とう句だわね)」

    でも、ただでさえ、愛人のコネで艦長になったんだから。もっと、しおらしいふりをしないと。
    司令官の機嫌損ねないでよ。

    カーペンタリア基地司令官「いいだろう。ではカーペンタリア基地司令官の職権で命令する。ミネルバはオペレーション・スピア・オブ・トワイライトに参加。
    降下部隊を支援しつつ、艦主砲をもってアラフラ海から珊瑚海にかけての敵軍主力を殲滅せよ。連戦を強いて心苦しく思うが、ミネルバクルー、パイロット各員の奮闘に期待する」

    タリア「はい」
    アーサー「はい」

    艦長、副長の敬礼と合わせてパイロット隊5人で敬礼。
    基地司令官の提案は野心的だし、欲張りセットだけど、まあ、目的と心情は理解した。
    艦長も返事しちゃったし、なにより。

    アグネス「(これで機体を探す手間が省けたわね)」

  • 21二次元好きの匿名さん24/06/29(土) 23:50:39

    新しい機体は何かな

  • 22二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 09:19:28

    ほしゅ

  • 23二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 11:48:44

    アグネス「補充はディン2機か…」
    オペレーション・スピア・オブ・トワイライトに参加する私とデイルの乗機。
    せめてバビが欲しかったけど…。

    カーペンタリア基地ザフト士官「本当に申し訳ない…。これから敵中に飛び込む貴官達を思うと心苦しいが、ザクを始めとした部隊はヨーク岬半島とゴーブ半島に配置、それと基地自体の防衛も必要で。この作戦が成功したら物資・機体も一気に届くから…」

    アグネス「いえ、お気遣い感謝します。ただ、ディンの重突撃機銃はビーム突撃銃に変更をお願いします。マガジン式バッテリーも」
    カーペンタリア基地ザフト士官「わかった。整備班にすぐに伝える」
    アグネス「ありがとうございます」
    デイル「ありがとうございます」

    ディンか…。いや、ミネルバは本作戦において、海上航行ないし飛行状態になるから、その方が良いのか。
    グゥルでウィンダム相手は厳しいし。新鋭機は作戦終了後に基地に届く補充から回してもらえることになっている。

    基地士官、隊員達と別れ、今度はパイロット5人とブリッジ要員で作戦説明と合同シュミレーター訓練。

    アーサー「オペレーション・スピア・オブ・トワイライトに置けるミネルバの役割は降下部隊支援と敵戦力の殲滅の2つ。同時にこなさなければいけない。本作戦におけるミネルバの行動予定範囲は広大で、時間もシビアであることは良く自覚しておいてほしい」

    レイ「降下部隊第一陣目の大気圏突入カプセルが開く前に本艦は攻撃を始めなければいけない。ということですね」

    アーサー「そうだ。まず、ミネルバは作戦発動直前に出港。
    作戦発動と同時にカーペンタリア湾沖北方に展開する連合軍をタンホイザーで薙ぎ払う。
    直後に飛行翼を展開し離水。今度は、アラフラ海の連合艦隊に突入する。
    タンホイザーに降下部隊を巻き込むわけにはいかないから、万難を排して、降下部隊に先んじ進み空中からタンホイザーを発射。さらに敵艦隊を飛び越え、後方に着水したら、もう一射。発射と同時に、翼を展開し飛行形態となり、今度は珊瑚海へ。
    すでに戦闘中の味方を巻き込まないよう細心の注意を払いつつ空中からタンホイザーを敵艦隊に発射。さらに敵艦隊を飛び越え後方に着水した後、逃走を図る敵残存艦隊に向けもう一射。戦闘終了後は珊瑚海の味方と合流し、カーペンタリアへ帰港」

  • 24二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 11:52:15

    アグネス「(時間と勝負な作戦ね。湾北方の敵に1回、アラフラ海の敵に2回、珊瑚海の敵に2回、計5回。タンホイザーを撃ちこむことが本艦の任務。勿論、タンホイザーだけでなく同時に全火砲を全力斉射するわけね)」

    アーサー「インパルスはブラストシルエットで。両甲板、場合によっては艦先端までを移動しながら、敵モビルスーツ、艦艇を洋上・空中両方で薙ぎ払うこと。艦上を動き回るインパルスへの誤射は何としても避けねばならないから、ブリッジ要員、特に火器管制のチェンはシンと息を合わせるように」

    チャン「はい」
    シン「はい」

    アーサー「ミネルバ飛行中は船底ががら空きになる。アグネス、デイル。ディン2機がこの間果たす役割は極めて大きいものとなる。無論、ミネルバも全力で対空戦闘を続行する、場合によってはインパルスをフォースシルエットに換装して援護に回す。しかし、なにより2人の働きに本艦の浮沈はかかっている。頼んだぞ」

    アグネス「はい」
    デイル「はい」

    アーサー「アグネス、デイル機には、もし、インパルスが戦闘中ソードシルエットに換装した場合、その運搬にも協力してもらう。ソードシルエットは、飛行能力がない。アラスカでデュエルガンダムをディンが救助運搬した戦訓を参考にして欲しい」

    シン「はい」
    アグネス「はい」
    デイル「はい」

    アーサー「本作戦において、インパルスはデュートリオンビームの照射を受け、あるいはシルエット換装が必要になる事態が想定される。敵に隙を突かれることが無いよう全パイロット、全要員は相互協力するように。レイ、ショーン対空を頼む。シン、ミネルバはこれから文字通り敵中に突撃する。本艦の運命は君にかかっている。勿論、それはシンだけでなく全クルー、全パイロットともにだ。頼んだぞ、みんな」

    シン「はい」
    アグネス「はい」
    レイ「はい」
    デイル、ショーン「はい」
    メイリン、チェン、バート、マリク「はい」

  • 25二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 12:03:31

    アーサー「では全員で合同シュミレーション訓練を開始する」

    シュミレーターに入る直前で緊急艦内放送。臨時ニュースが中継される。

    ギルバート・デュランダル「プラント最高評議会は議員全員の賛同により、国防委員会より提出の案件を了承する。
    しかし、これはあくまで積極的自衛権の行使だということを決して忘れないでいただきたい。感情を暴走させ過度に戦火を拡大させてしまったら、先の大戦の繰り返しです。今再び手に取るその銃が、今度こそ全ての戦いを終わらせる為のものとならんことを切に願います」

    積極的自衛権…、物は言いようね。しかし―

    アグネス「副長、続けましょう。いよいよ時間がありません。想定されるパターンを皆で何度でも、ザムザザーが出てきたパターンも含め。」
    アーサー「ああ、合同訓練開始!」

  • 26二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 12:36:42

    ずっとガンダム…というかロボアニメ通しても珍しいくらい真っ当な軍隊模様が描かれてるからすげーってなる
    スレ主自衛官か何かで?

  • 27二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 16:26:54

    ある意味C.E.73を幼女戦記的な視点(と胃痛)で見る作品になってんね。

  • 28二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 21:54:51

    合同シュミレーション訓練を終え、メイリンと自室に帰る。

    メイリン「やっぱり問題はシルエット換装をいかにスムーズに行うかですね」
    アグネス「そうね。それと訓練してみると、やはり、飛行時の艦底部の守りが一番肝要」

    メイリン「対策としては、①ミネルバ飛ぶ、②ディンに抱られたインパルスはブレストシルエットのまま艦底付近にに。こちらに向かって来る敵機の群れを全力照射で薙ぎ払う、③インパルスはを一撃を敵の群れに加えたら、即、フォースシルエットに換装。ディン2機と合わせて3機で艦底を守る。この順ですね」

    アグネス「換装時の援護はディンが主に担当するものとすると。ブレストインパルスに関しては自機にも結構な推力があるから、抱えて一緒に飛べば何とかなるわね」
    メイリン「でも、難しいですね」
    アグネス「そう?案外やればできるかもよ。シュミレーターでも上手くいったし。自信を持ちましょう」
    メイリン「はい」

    明日始まる作戦の展開次第で南太平洋の制海権が連合、ザフトどちらの物になるかが決まる。それ以前に自分が生き残れるかが大事か。何にしろ。しっかり寝ないと。

    アグネス「お休みメイリン」
    メイリン「おやすみなさい。アグネスさん」

    タリア「ミネルバ全クルー・パイロット各員へ。これよりミネルバはカーペンタリア基地を出港。
    オペレーション・スピア・オブ・トワイライト開始15分前に本艦は戦闘を開始、まずはカーペンタリア湾沖北方に展開する敵艦隊の殲滅を開始する。以後は事前に策定した作戦計画通りに。この作戦にはプラント市民の生存権と降下部隊隊員全員の命がかかっている。前大戦の第一次ビクトリア攻防戦の轍を踏まない為にも各員の奮闘を期待する」

    メイリン「コンディションレッド発令。コンデションレッド発令。これよりミネルバはオペレーション・スピア・オブ・トワイライトを開始します。パイロットは搭乗機にて待機せよ」

    アグネス「(ディンか。実物に乗るのはアカデミー以来ね)」
    アグネス「デイル」
    デイル「おう!」
    アグネス「互いに連携を。訓練通り。どっちかが落ちたら2機編成は成り立たないわ」
    デイル「わかった!」
    アグネス「とは言え、無理を悟ったら脱出を。今回の作戦は味方と共同して行うから助けてもらいやすいわ。
    デイル「おう!」

  • 29二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 22:00:06

    ミネルバはもう直ぐカーペンタリア湾のザフト勢力圏北端に到着する。

    メイリン「カタパルト推力正常。針路クリアー。コアスプレイダー発進どうぞ!」
    シン「シン・アスカ、コアスプレイダー、行きます!」
    メイリン「ザク、レイ・ザ・バレル機発進スタンバイ。全システムオンライン。発進シークエンスを開始します」
    レイ「レイ・ザ・バレル、ザク、発進する!」
    メイリン「ディン、アグネス、デイル機発進スタンバイ。全システムオンライン。発進シークエンスを開始します」
    アグネス「アグネス・ギーベンラート、ディン、出ます!」
    メイリン「続いてゲイツR―」

    ディン2機で上空を直掩、両甲板にブレストインパルス、ザク、ゲイツR。

    目前の連合艦隊が警戒態勢に移行。

    回線をオープンに。
    アグネス「ブリッジ。正面の連合艦隊、警戒態勢に。間も無くモビルスーツ発艦が開始されます」
    タリア「両舷全速!タンホイザー起動!」
    アーサー「タンホイザー起動!射線軸コントロール移行!照準、正面地球連合軍艦隊」
    タリア「取舵90度」

    アグネス「(文字通り『薙ぎ払う訳』ね。ザムザザー、あれは試作機だったと後から判明したけど、試作機が1機とは限らない…さて)」
    アグネス「ザフトのために!この一撃が、我らコーディネーターの創世の光とならんことを!」
    アーサー「うてぇ!」

    アグネス「…!」
    シン「う…」
    レイ「…」
    デイル「おう!」
    ショーン「やった!」
    カーペンタリア湾北方正面に展開中の連合艦隊25隻がたった一発の艦主砲で薙ぎ払われ、蒸発していく。

  • 30二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 22:03:16

    タリア「飛行翼展開。ミネルバ離水準備、アラフラ海に向かう」
    メイリン「ミネルバ飛行翼展開 離水開始」
    アグネス「デイル、インパルスを抱えて、ここからが正念場よ」
    デイル「おう!」

    ミネルバがその巨体を海から引きはがし、空に飛び立つ。私と、デイルに抱えられたインパルスは艦の『腹』を守るため、艦底に並行して飛行を続ける。

    アグネス「ミネルバ。アラフラ海にに展開中の連合艦隊よりモビルスーツ多数発進!」
    ブリッジ「こちらでも確認。タンホイザーのチャージが終わるまで後、140秒。
    アグネス「連合艦隊よりミサイル群接近。6連装多目的ランチャー、フレア弾散布準備良し」
    ブリッジ「了解。アンチビーム爆雷発射開始」
    アグネス「フレア弾散布開始」

    眼下からミサイル群とモビルスーツ60機を超えるモビルスーツ群。続いてどんどんダガー、ウィンダムが次々と発艦してくる。

    アグネス「シン!!デイル!」
    シン「やらせるもんかぁー!」
    アグネス「(うるさい!いちいち叫ばないでよ!)」

    ブラストインパルスの火力全力一斉照射、ミサイル群とモビルスーツ群の大半が撃墜される。
    ビーム突撃銃と対空散弾銃を構える。6連装多目的ランチャーに今度はミサイルを装填、
    一斉発射して、インパルスの攻撃で死に損なった機体をハイエナする。ハイエナは強いのよ。
    アグネス「(一気に4機 命中! 撃墜。 カウントMS24.5 MA0.5)」

    シン「フォースシルエットを」
    メイリン「シルエット射出します」
    デイル「当機もフレア弾散布を開始」

  • 31二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 22:05:01

    アグネス「(ブリッジから通信 これはザフト宇宙軍の?中継通信してくれているのね)」
    ザフト軍オペレーター「オペレーション・スピアオブトワイライト、発動マイナス60秒」
    ザフト軍オペレーター「射出角度微調整、コンマ3」
    ザフト軍オペレーター「オーサー、ドマニシ、カタンダ各隊、射出準備完了」

    タリア「タンホイザー起動!」
    アーサー「タンホイザー起動!射線軸コントロール移行!」

    シンのシルエット換装を妨害に来たウィンダムをデイルと共に迎撃。2機で1機のウィンダムを落とし、次の瞬間にまた2機で1機のウィンダムを落とす。

    アグネス「(カウントMS26.5 MA0.5)」
    インパルス、フォースシルエットに換装完了。
    ミネルバは射角を取るために艦首を大きく眼下に傾けている。
    インパルスのビームライフルがウィンダムを立て続けに撃ち落とす。なんか動きが良いわね。
    ミネルバ甲板では、滑り落ちないようにザクとゲイツRがスラスターを調整しながら必死で踏ん張る。

    ブリッジからの中継通信は続く。
    ザフト軍オペレーター「マイナス5、4、3、2…降下開始!」

    こちらの意図が明らかになったためだろう。艦隊からは第2はミサイル攻撃が..。モビルスーツ部隊多数接近。

    ミネルバはアンチビーム爆雷とディスパールを全力発射
    アグネス「デイル。チャフとフレア弾を!一緒に!」
    デイル「おう!」
    アグネス「(ビーム突撃銃 命中!(カウントMS27.5 MA0.5))
    シン「…!」
    アグネス「(私が1機墜とす間にシンは3、4機か…。機体性能差が有り過ぎとは言えなかなかね。っと命中!今のはシンと共同撃破ね。カウントMS28 MA0.5)」

    ザフト軍オペレーター「降下開始!」
    いよいよか―

  • 32二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 22:06:13

    アグネス「彼らに神の加護を! 命中!」
    アグネス「(カウントMS28.5 MA0.5)」
    アーサー「うてぇ!」
    下向きになった艦首を大きく旋回させながら、タンホイザーが約40隻の連合艦艇を薙ぎ払う。こちらに向かってきたミサイル、モビルスーツもろともに。
    上空からは、無数のザフト軍モビルスーツが次々と降下してくる。
    損害は少なくともカーペンタリア湾北方からアラフラ海にかけては皆無と言って良い。
    『降下部隊の支援』という目的は達した。あとは―

    ブリッジより通信
    タリア「アラフラ海の連合艦隊に止めを刺す。敵艦隊を飛び越えその後背に着水!」
    シン「ブラストシルエットを!」
    メイリン「シルエット射出します」

    アグネス「命中! 命中! 命中!(カウントMS31 MA0.5)」
    降下部隊に気を取られて空中で棒立ちになったアホを撃ち落とす。
    アグネス「(他山の石にしよう。『驚いて空中で棒立ち=死』ね)」

    アグネス「デイル。ブラストインパルスを抱えて!副長、当機とデイル機がもうすぐ弾切れを。着水後速やかに補充してください」
    アーサー「了解!」

  • 33二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 07:04:35

    保守

  • 34二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 07:45:10

    真っ当にチームワークで戦うミネルバ隊いいね

  • 35二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 08:43:24

    原作よりずっと軍隊っぽいな

  • 36二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 09:30:07

    デイルのディンに抱えられたインパルスが再び一斉掃射。
    私は2人に近寄ってくる機体をビーム突撃銃と対空散弾銃で撃ち払う。
    アグネス「(命中! カウントMS32 MA0.5)」
    ミネルバに向かってくるモビルスーツは一気に減少している。生き残った20隻程度の…23隻の艦隊は海域からの離脱を図り、モビルスーツはその直掩に引き上げていくが…。

    シン「ミネルバ!メイリン!デュートリオンビームを」
    メイリン「デュートリオンチェンバー、スタンバイ。捉的追尾システム、インパルスを捕捉しました。デュートリオンビーム照射!」

    これはブラストシルエットのまま行くべきか。シンもそのつもりのようだし。

    ミネルバの意図が艦隊の殲滅であることに気づいた連合モビルスーツ隊は、艦を逃がすための殿となり、再びミネルバに向かってくるが、インパルスの一斉射に阻まれる。

    さらに―

    降下ザフト部隊モビルスーツ群「ミネルバ。こちらザフト降下部隊!貴艦の支援に感謝を!今度はこちらがミネルバの援護を!」

    タリア「ありがとうございます。本艦はこれより敵艦隊進路上に着水。艦主砲により連合艦隊を殲滅します。
    陽電子砲タンホイザーに巻き込まれないようご注意を」

    降下ザフト部隊モビルスーツ群「了解」

    オープン回線をコクピットで聞きつつ自分も、駆けつけて来た降下ザフト部隊と共にビーム突撃砲を発射。
    対空散弾銃は弾切れだ。

    アグネス「命中! 命中! (カウントMS33 MA0.5)」

    既に七面鳥撃ち状態になっている連合モビルスーツを尻目に遂にミネルバは退却する艦隊の前方に着水。

  • 37二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 09:35:40

    タリア「両舷全速!タンホイザー起動!」
    アーサー「タンホイザー起動!射線軸コントロール移行!ランチャー2、ランチャー7、全門パルシファル装填。シウス、トリスタン、イゾルデ起動!照準、正面地球連合軍艦隊」

    アーサー「うてぇ!」

    光の渦と巨大な水柱と共に連合軍艦隊23隻の消失を視認。アルフラ海における連合戦力は完全に消滅。

    アグネス「(一応敬礼ッと。沈みゆく勇者たちに、形式上ね)」
    コクピット内でサッと敬礼。

    しかし『敵兵の勇戦に敬礼』、我ながらさまになるわね。。
    報道陣に撮ってもらって新聞に載らないかしら。勿論、コクピット内でない場所でやったときに。

    して、回線をブリッジに。
    アグネス「これより、アグネス機、デイル機は一時着艦します。弾薬の補給等お願いします」
    デイル「お願いします!」
    メイリン「了解、アグネス機、デイル機の着艦を許可します」

    次は珊瑚海か。こっちにザムザザーがいなくて良かった。
    というか、もしかしてカーペンタリア包囲軍にザムザザーいないの?
    この辺りに居たのは、デモンストレーションに来た(?)試作機一機のみ?
    いや、希望的観測は厳に慎まなければ。

  • 38二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 18:15:52

    ほしゅ

  • 39二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 22:39:26

    弾薬の装填等慌ただしく格納庫の時間は過ぎる。ディンの準備が出来次第、ミネルバは離水する。

    アーサー「クルー、パイロット各員に告ぐ。現在、珊瑚海において我が軍と連合軍の戦闘が展開、連合艦隊は戦況不利を悟り、ソロモン諸島方面への脱出を試みている。この艦隊殲滅無くして、南太平洋の制海権獲得は不可能である。連合のソロモン諸島脱出を防ぎ、オーブ接続水域手前までにこれを撃滅する。最後まで気を抜くことなく任務を完遂せよ」

    アグネス「(なるほど…)」
    本来なら、『連合珊瑚海艦隊VSザフト軍珊瑚海艦隊+ザフト軍降下部隊(珊瑚海方面)』になるはずのところ、ミネルバの働きにより、戦闘開始の時点で、
    『連合珊瑚海艦隊VSザフト珊瑚海艦隊+ザフト降下部隊(珊瑚海方面)+ザフト降下部隊(カーペンタリア湾北方面)+手隙になったカーペンタリア基地防衛隊』となったと。

    アグネス「(そして、こっちの殲滅が完了したから、アラフラ海のザフト降下部隊まで、続々と珊瑚海に駆けつけ始めている。勿論ミネルバも。チェックメイトね)」

    整備兵から、ディンの緊急整備・補充完了の知らせ!

    メイリン「ディン、アグネス、デイル機発進スタンバイ。全システムオンライン。発進シークエンスを開始します」

    良し!仕上げね。

    アグネス「アグネス・ギーベンラート、ディン、出ます!」

    タリア「ミネルバ離水」

    珊瑚海北方、眼下には瀕死の連合艦隊17隻。必死の回避運動をしながら、彼らにとっての最後の逃げ道であるオーブ領海に進んでいる。すでにモビルスーツの直掩機は―

    アグネス「(また落ちた…。これじゃ手柄立てられないじゃない)」

    もう、七面鳥撃ちどころではない。先に来た味方にほぼ墜とされて、空と海はザフト軍だらけ。

  • 40二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 22:41:50

    飛行中のミネルバが艦首を下げて射角を確保。

    オープン通信受信

    タリア「射線上の部隊に退避通告!」
    メイリン「射線上の部隊の退避を確認しました」

    タリア「タンホイザー起動!」
    アーサー「タンホイザー起動!射線軸コントロール移行!ランチャー2、ランチャー7、全門パルシファル装填。トリスタン、イゾルデ起動!照準、地球連合軍艦隊」

    アグネス「うん…」

    ミネルバのタンホイザー起動のタイミングに合わせて、発進シークエンスを開始するあの機体は。

    アグネス「ブリッジ!スペングラー級空母よりザムザザー1機、発艦を確認!」
    ブリッジ「了解こちらも確認」
    アグネス「あれは…」何か戦う前からガタガタ。
    アグネス「ブリッジ。同ザムザザーは、後ろ2脚と単装砲、イーゲルシュテルンの一部が欠落状態。予備パーツを強引に組み立てた可能性大」
    アーサー「了解。インパルス、シン、フォースシルエットに換装を。タンホイザー発射後、フォースインパルス、アグネス機、デイル機でザムザザーを撃破せよ」

    シン「はい」
    アグネス「はい」
    デイル「はい」
    メイリン「シルエット射出」

    アーサー「タンホイザー、うてぇ!」
    タンホイザーから生じた光線が海上を薙ぎ払い、17隻の艦隊は、ザムザザーのビームシールドに逃げ込むことが出来た8隻にその数を減ずる。

  • 41二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 22:46:01

    アグネス「シン、あいつは後脚がない!後ろから回り込む。私とデイルが先行して、ミサイルをばら撒く。
    あんたは、それに続きなさい!デイル行くわよ」
    デイル「おう!」
    シン「わかった」

    ザムザザー後方より急角度に降下しながら、ミサイル発射、さらにビーム突撃砲も発射。命中!
    即、急上昇、横を見るとデイルも無事。目下でミサイルの命中も確認!
    上空を旋回、インパルスの援護警戒。

    シン「この機体にも…。うぉぉォォォォォ」
    インパルスのビームサーベルがザムザザーコクピット付近に突き刺さる。

    シンの慟哭の様な叫びが聞こえる。あいつ大丈夫?
    インパルス退避後にザムザザー爆沈。
    アグネス「(カウントMS33 MA1)」

    アーサー「ランチャー2、ランチャー7、全門パルシファル、トリスタン、イゾルデ うてぇ!」
    時を置かずして、ミネルバのタンホイザー以外の全火砲発射を視認。同時に味方モビルスーツ群より多数の対艦ミサイル攻撃を視認。
    数えきれないほどの大きな水柱が立ち、それが海面に崩れた時、残りの連合艦隊8隻は海中に没していた。珊瑚海方面の地球軍艦隊殲滅を確認。

    アグネス「(オペレーション・スピア・オブ・トワイライト、カーペンタリア方面は完全勝利ね!後はジブラルタルの吉報を待つとしよう)」
    ブリッジより通信
    タリア「当作戦における本艦の戦闘行動は現時刻を持って終了とします。皆、よく頑張ったわね」

    とは言え―

    タリア「これより本艦は珊瑚海海上に漂流中のザフト・連合両陣営の兵士を救助する。国際人道法、戦争法、シーマンシップの伝統に基づき全力を尽くすように。救助活動、救命活動において敵味方の区別を付けることは厳禁とする。亡骸には最大限の敬意を」

    アグネス「ディンは飛べるから、ここから、もう一仕事しないといけないわね…」
    ちゃんと赤十字勲章か救命記章もらえるわよね?!

  • 42二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 07:03:43

    保守

  • 43二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 09:46:03

    カーペンタリア基地兵士達「ミネルバぁ!!」
    カーペンタリア基地兵士達「よくやったぁ!!」
    カーペンタリア基地兵士達「ザフトのためにぃ!!」

    ミネルバはあの後、救助活動を、夜間を含め24時間ぶっ通しで行い、今、基地に帰還。大勢の兵士たちが帽子を振りながら迎えてくれる。これが勝利の美酒ってやつね。

    アグネス「(嬉しいけど。早く寝たい…。軍医から注意を受けちゃったし)」
    艦内は救助した連合兵士でいっぱい、医務室も負傷兵でいっぱい、漂流中のザフト兵がほとんどいなかったのはこの戦いがザフトのワンサイドゲームだったことを表している。

    アグネス「(こちらの損害は極軽微。珊瑚海で僅かに出た程度。南太平洋から連合戦力は駆逐されたわけね)」
    ジブラルタル方面の勝利の報告も、救助活動中に入った速報で確認している。

    整列したクルー・パイロット一同、港内の兵士に敬礼する。直る。

    アグネス「(東アジア共和国はユニウスセブン落下の損害で死に体だから、西太平洋の心配はなし。大西洋連邦の…東太平洋とハワイの基地がまだ脅威ね。派遣戦力は殲滅したから、当分大丈夫でしょうけど)」

    そうなると、やはり問題はオーブね。アスハ代表は伝統的な中立路線を選ぼうとしたけど、セイラン派の多い首長会に押し切られている。
    ソロモン諸島が連合側につけば、カーペンタリアはまた脅威にさらされる。
    あの国が条約に加入するだけで、カーペンタリア基地・大洋州は東太平洋に出る海上ルートが閉ざされる。
    まして、戦力までまるごと連合に合流し、オノゴロ島からカーペンタリア基地に向け、オーブ・連合合同攻撃隊が出撃したら…。

  • 44二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 09:48:39

    ディンではムラサメの相手は出来ない。バビではどうか…微妙。
    ザクに大気圏内フライトウィザード可能な開発製造しとかないから!!全く、開発部の無能さには呆れるわ!!

    シン「アグネスどうした?」

    ピキピキしていたら、隣に並んでいた、シンから声をかけられた。
    元はといえばこいつがインパルスを!いや、インパルス1機では無理か、なんにしろ!

    アグネス「ザクにインパルスのフォースシルエットに当たるウィザードが有れば、と思っていたところよ!!」

    シンは納得したように頷きながら

    シン「そうだな。ザクが飛べれば作戦の幅が広がる」

    何て言いやがるわ。この感情、何処に持っていけばいいの!!

  • 45二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 10:21:43

    本編のアグネス味がありつつも軍人的なかっこよさがあっていいな…

  • 46二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 19:55:05

    保守

  • 47二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 22:58:49

    捕虜の下船を見届け、ようやく、ようやく自室に直帰。

    アグネス「メイリンお休み」
    ベッドに倒れ込む。すでに倒れ込んでいたメイリンは何かつぶやくが…おやすみなさい、か?直ぐに意識が落ちてる。普通ならルームメイトを気にかけるべきだが、私も一度倒れ込んだら動けない。ついさっきまで―

    アグネス「うん…、う…、訓練時間…いや、ディンの整備チェックにいかなきゃ!!」
    メイリン「おはよう?ございます。アグネスさん」
    寝ぼけ眼のメイリンがこちらを向き挨拶。
    アグネス「おはようメイリン。仮眠中ごめん。私とデイルのディン、基地の借りものだからメンテのチェックと仕上げに行ってくる」
    メイリン「私もそろそろ交代です」
    二人して制服に着替えて部屋を出る。私はモビルスーツデッキに。

    アグネス「ディンか…、傑作機ではあるんだけど」
    ヴィーノ「アグネスは近接格闘機の方が好きだもんな」

    モビルスーツデッキでつい口から出た言葉にヴィーノが飛びつく。女の子と話すのが嬉しいみたい。
    いや、私と…アグネス・ギーベンラートに声をかけてもらうのが嬉しいのね。

    アグネス「いえ。必ずしも。ただ、流石に型落ち気味でしょう。これ」
    ヴィーノ「バビってのが、ザクとけっこう来たんだって。あと、噂によるとアッシュって言うのも」
    アグネス「アッシュか。水中特殊部隊用らしいから、何時どこに配置されているか、私にも知らされていないわね。
    バビも乗ってみないと分からないことが多いだろうけど、シュミレーターでは、今一な感じね。」

    ディンのコクピットに乗り込み最終確認。
    アグネス「確認、良し」
    ヴィーノ「ところで、俺達ってこの後どうなるか、アグネス知っている?」
    ヨウラン「そうそれ」
    ヨウランが寄ってきた。アカデミー時代はひと悶着あったけどなんか最近気やすいのよね。まあ、幾つも任務に立ち会ったからか。お互いに。まあ、整備兵とは仲良くやっておこう。

    ディンの整備が終わったので、3人でレクリエーションルームへ向かう。

  • 48二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 23:01:58

    アグネス「上の方も良く分かっていないようね…」
    通路を歩きながら、取り合えず自分の見通しを話す。

    アグネス「多分、今、ミネルバは『月軌道艦隊所属ザフト地上軍出向カーペンタリア基地預かり』みたいな状態のはず。オペレーション・スピア・オブ・トワイライトが終了した以上、補給とクルー、パイロットの休憩がすみ次第、月軌道艦隊本体と合流するんじゃないかしら」

    ヴィーノ「月の前線はどうなってるんだろう?」
    アグネス「結構大変だと思うわよ」

    開戦直後、フォックストロット・ノベンバーの失敗後、連合軍宇宙艦隊は月面に撤退。
    ザフトはプラント本国防衛に成功したものの、連合艦隊の撃滅には至らなかった。アルザッヘル基地も無傷。

    アグネス「最高国家機密だから、私も父に敢えて聞いていないけど、ニュートロンスタンピーダーは大量生産できるものではなかったはず。ザフト月軌道艦隊が連合宇宙艦隊に突破されれば、また本国が核の標的になる。
    ミネルバも早く艦隊本体に合流しないと。個人的見解だけど、地球の戦線は後回しにしてでも、アルザッヘルと地球軍宇宙艦隊に乾坤一擲の攻勢をかけた方が良いと思うわ」
    ヨウラン「あっちにはルナマリアもいるしな。ゴンドワナは足が遅いけど」
    アグネス「あれは移動要塞として考えた方が良いわ」

    レクリエーションルームに到着、シンとレイはまだお眠か、それとも二人で訓練か。ミネラルウォーターを飲みながら、ニュースを見る。

  • 49二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 23:11:14

    ニュースキャスター「オーブ連合首長国カガリ・ユラ・アスハ代表は同国宰相ウナト・エマ・セイランの子ユウナ・ロマ・セイラン氏と結婚・挙式することを発表する見通しになりました。また、式と合わせての同盟条約の締結が予定されています」

    アグネス「あちゃー、こう来るか…」
    ヴィーノ「オーブがついに正式に条約締結か、シン…」
    ヨウラン「あいつ大丈夫か?」

    シンか。アカデミー時代ならあいつのメンタルなど気にかける必要すら感じなかったのに。
    今はあいつがこの艦の主力、苛立たしい。インパルスよこせ。
    それはそれとしてパイロットは欠けたら困る。5人しかいないのに。本来、12機ぐらい運用する艦でしょ。
    ミネルバは!!

    アグネス「そうね。でも、これはないわね」
    ニュース画面から、アスハ代表の悲壮な顔とこの世の春とでも言いたげなユウナの顔が映る。
    ヴィーノ「そうだな。意に添わない政略結婚て感じがするもんな」
    ヨウラン「代表の雰囲気的にな」

    案外、こういうのは余所者の方が分かるものなのね。それはともかく。
    政略結婚自体は古今東西高貴な生まれの義務。まあ、私はパスで。自分で獲得するから。
    ともあれそれ自体が『間違え』ではない。

  • 50二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 23:14:30

    アグネス「ただ、式と同時に条約締結。センスゼロだわ。『実質的に政略結婚』なのと、大声で『これは政略結婚だ』と叫ぶのは違う。オーブにも女性団体が居るでしょうに。DV批判は恐くないのかしら。おまけに、オーブは前大戦に連合に国を焼かれ、反連合感情も大きいはず。アスハ代表への同情心と反戦反連合の政治的外交的思惑が科学反応を起こしたら…」

    ヴィーノ「起こしたら?」
    アグネス「さあ、未来は誰にも分からないわ。ただ…」

    ニュースに映るアスハ代表の表情が目に入る。ミネルバに乗っている時より、さらに悲壮な、感情が死んだような顔。いや、感情を殺したのか自分で。

    ヴィーノとヨウランに顔をぐっと近づけ、声量を落として言う。

    アグネス「結婚式も条約締結も大失敗に終わった方が、気持ちが良いわね。その方がプラントのためになるし」

    ソロモン諸島とオーブ軍が丸ごと連合陣営になるより、中立にとどまってくれた方がありがたい。

    セイランも国益上の見返りを全く引き出せず、条約締結とはバカじゃないの。外交戦敗北ね。
    おまけにこれ。そんなに『王配』ならぬファーストジェントルマンの称号が欲しいの?アホすぎ。

  • 51二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 07:44:18

    このレスは削除されています

  • 52二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 14:37:59

    そっかセイバー来る前にフリーダム復活→花嫁強奪あったか

  • 53二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 19:36:19

    訓練でシンとレイ、デイルとショーンと合流。

    ブリーフィングルームにおいて、5人で現状認識を共有する。
    モニターにミネルバの一連の戦闘映像。そしてザムザザー。

    デイル「やっぱりミネルバは単艦でも強力だ。通常武装だけでもすごいのにタンホイザーが有れば、一発で数十隻の艦隊、数十機以上のモビルスーツ群が消し飛ぶ」

    確かに、しかし…。
    ザムザザーの忌々しい棘を睨みつける。

    アグネス「だからこそ、連合が開発したあのシールド発生装置、陽電子リフレクターという名称と判明したけど、あれを搭載した機体には要注意ね」

    レイ「連合も前回と今回の戦訓から、本腰を入れて陽電子リフレクター搭載機の量産に入ると考えるべきだ。それに対し、こちらも備えを」

    シン「ビームは通じない。となると接近して対艦刀かビームサーベルで撃破するしかない。少なくても発生装置だけは」

    ショーン「言うは易しというか、ザクはグゥルが無いと飛べないけど、グゥルじゃ連合の空戦モビルスーツに後れを取る。陽電子リフレクター搭載MAはそれ単体でも強力だ」

    アグネス「インパルスにはフォースシルエットとソードシルエットがある。後はインパルスが取り付く前、戦闘中、撃破後に援護を続ける空戦モビルスーツが最低2機は欲しい。ディンかバビか」

    レイ「どちらが良いと思う?」

    レイと目が合う。純粋な仕事関係では一応会話が成り立つのよね。

    アグネス「迷うけどディン。基地と交渉できないかしら。ミネルバ隊の戦闘は結局、どうタンホイザーを撃てる状態にするか、トリスタン、イゾルデを当てれる状態に持っていくかにかかっている。空戦モビルスーツの目的は戦闘というより、ミネルバとインパルスの援護と支援」

    撃墜数稼ぎが出来ないのは、誠に誠に遺憾だけど。ちゃんと共同表彰してもらえるんでしょうね?!
    でないと許さないわよ!それはともかく―

    アグネス「ディンの6連装多目的ランチャーはやっぱり捨てがたい。チャフやフレア弾が撒けるから。ただ、重突撃機銃と対空散弾銃はどう考えても今の時代火力不足。重突撃機銃はビーム突撃銃に代えて、対空散弾銃は…どうかな。あれば便利だけど、近接武器をホルスターに入れていくのもありかも」

  • 54二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 19:43:55

    レイ「なるほど」

    シン「ああそう言えば!」

    シンが何事か思い出したような顔をする。
    モニターを操作して、アビス、カオス、ガイアの戦闘映像を流す。

    シン「盗まれた3機はどうなったんだ。ユニウスセブンの落下には巻き込まれていなかったんだろ」

    アグネス「ええ。あの忌々しい映像を大西洋連邦に持ち帰ってくれたわ。多分、旧アメリカ合衆国領、ワシントンかサンフランシスコか、もしかしたらハワイ辺りに帰港したんじゃない?」

    シン「その後は?」

    レイ「それは分からない。常識的に考えれば、機体を分解して調査解析を行っているはずだが…」
    アグネス「流石に将棋じゃないんだから、敵から取った駒を即、味方にして投入とは…。あいつ等やってたわね…。
    非常識な奴らだから」

    ショーン「じゃあどこに?3機一緒に行動しているのか?別々なのか。そもそもあの部隊は『まともな部隊』なのか」
    デイル「まともなら、停戦条約が有効なのに攻撃してくるものか。ユニウスセブンの件でうやむやになっているが、あれはれっきとした連合の戦争犯罪。あの部隊単体が問題児だったとしても、軍・政府上層部には監督責任があったはず。いや、ひょっとして国自体が…」

    アグネス「はい。それまで。本題からずれてる。今考えれるべきは、
    ①陽電子リフレクター装備のMAを随伴した敵艦隊ないし敵陸上部隊と戦闘するパターン、
    ②セカンドシリーズ3機と戦闘するパターン、それから最悪のケースとして①②が同時発生したパターン。
    この3つが地球ないし宇宙で発生しうる、と洗い出せたわ。ならそれに対処するための合同訓練を始める!」

    バンバンと掌を叩く。とは言え、ショーンとデイルの懸念も正しい。そっちはそっちで考えないと、あとで。

    私の言葉に、シン、レイ、ショーン、デイルが頷く。気分が良いわね。

  • 55二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 19:49:24

    レイ「今から、訓練計画を作成。副長に提出。了解が取れ次第、今日からでも開始する」
    アグネス「出港までに形に持っていくわよ」

    デイル「おう!」
    ショーン「分かった」
    シン「うん」

    ちらっとシンを見る。なんか生気がないわね。そのくせ目がギラギラしてる。オーブのことが耳に入ったのかしら。
    それとも戦場のストレス?まあいい、一言言ってやろう。いい加減このままじゃ困るわ。

    アグネス「殺さないでね」
    シュミレーター訓練で…。アカデミー時代からよく言って来た憎まれ口。だが―

    シン「ッ…」
    シンは目を伏せビクッと肩を震わせる。
    アグネス「お互いにね!」
    シン「あ…ああ」
    慌てて、付け加える。危ない危ない、私が悪者になるところよ。前にそれで被害にあった。
    レイはもう私を睨んでるし。

  • 56二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 23:18:51

    アグネス「ただいま。…メイリン」
    メイリン「おかえりなさいって、どうしたんですか?」

    訓練後、自室に帰る。そうだ、夕食食べないと。
    アグネス「(アンガーコントロール。アンガーコントロール。マインドフルネス、マインドフルネス)う…う…。」
    メイリン「アグネスさん…。ちょっと甲板まで行きましょう」

    甲板に2人。風が生臭い。地球に吹く風は大なり小なりいつもそう。生命の臭いといえば聞こえはいいかも知れない。でも、プラント生まれの私には正直、気持ち悪い。プラントの『海』とここは違う。

    今は皆、夕食。アカデミーでこんな勝手をしていたらどうなっていたか。

    メイリン「どうされましたか?」
    気を聞かせてくれたのね。
    アグネス「58回死んだわ。ショーンとデイルのせいで…」あの二人が足を引っ張るから。
    アグネス「今頃、実戦だったら私はサメの餌かスペースデブリよ」
    やれ、と言われたことをその通りすることが何でできないの!

    メイリン「二人にきついことを言っちゃった、とか」
    アグネス「言ってないわよ…」
    もとから、あいつ等には期待していない。
    さしたる能力が無いから緑服なのだし、そう言った『歩』を上手く使うのがエリートの役目。
    そして、彼らを囮や肉盾にできるほど、ミネルバに余裕はない。あの二人はいい…自分が無能なことをそこそこ弁えている節はあるし、身の程を弁えているなら使いようも付き合いようもある。
    そうだ、落ち着け。大丈夫!
    人間の出来不出来は遺伝子で決まっている。あいつ等落ちこぼれの適職は『歩』。

    私は将いや王。落ち着け。
    オーブ研究で見かけたボードゲームを頭に思い描け王手飛車!
    勿論、攻め手は私!!

  • 57二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 23:25:26

    こちらを心配そうに見つめるメイリンに礼を言う。

    アグネス「ありがとうメイリン。落ち着いた。でも、レイとシン…。あいつ等はほんと、別の意味で困るわ。何とかならないかしら。訓練中もレイは私に態度が悪いし、シンは明らかにやばいし、めちゃくちゃ強くなってはいるけど」

    メイリン「やっぱり、シンは思いつめてる?」
    アグネス「オーブのことが耳に入ったらもう…あれはやばいわ。戦場のストレスのせいで、そうじゃなくても過敏になっているし、...」

    そもそも、なぜ、私がアホどもを気にかけなければいけないのか。
    いや気にかけないとやばいのか…。死ぬし、私が、生物的にも軍歴的にも。
    しかし、最新鋭機に乗るなら自分のメンタル管理もちゃんとして!さっさとインパルス降りろ。
    …いや、落ち着け、今降りられたら困るわ。パイロットが欠けるのは困る。
    精神科に連れて...診断名が付くと困る、パイロットが欠ける。
    あいつを連れだして、どうにかこうにか。共通の話題が…ない。

    煮詰まってきた。そろそろ限界か。さて―

    アグネス「急いで夕食食べないと、艦長に殺されるわ」
    メイリン「はい。急ぎましょう。それと次のお休みに買い物行きましょう」
    青春の葛藤モード修了。食堂にダッシュ。

    何かメイリンが耳慣れないワードを。休み、休日、買い物…。

    アグネス「そう言えば私仕事しかしてない!(男もいない)」
    メイリン「はい。私もだから…」
    アグネス「買い物ね。分かったわ」

    その前に、夕食を胃に叩き込んで寝る。明日にはガイア(inシン)にザクで勝つ。
    ザムザザー(inレイ シン デイル)にディン×2(私とショーン)で戦闘最長時間を4度は更新してやる。
    それから、叙勲、叙勲はまだなの?国防本部!

  • 58二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 05:44:50

    ほしゅ

  • 59二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 09:01:15

    めちゃくちゃ勲章を求めてるのが面白い
    でもDP的にはシンより先には貰えそうにないな

  • 60二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 13:41:02

    ザムザザー撃破の叙勲の話は本編でもガルナハン突破後に議長から話が振られるからしばらく後になるなぁ…

  • 61二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 18:13:30

    アグネス「式、もう?!」
    次の日、午前の訓練上がりにレクリエーションルームに入るやまたもとんでもニュース。

    アスハ代表の挙式の日程が発表されている。明後日らしい…。
    普通、王族のいや、一般庶民でもこんな間隔、スケジュールで式をあげたりしない。
    どうなってるの?
    シン「チィ…」
    アグネス「シン、大概にして!本当鬱陶しい。一々舌打ちを聞く身にもなりなさいよ!」
    レイ「…」

    何かニュースキャスターやスポークスマンがモニター越しにこの結婚の意義やら、アスハ代表とユウナの馴れ初め(笑)について話しているが、ここにいる皆、頭の中は『?』だわ。

    アグネス「(国家元首の結婚式って、式します、やりました、ハイ終わり、っていうものではないでしょう。
    ちょっとついて行けないわ。何で…ああ、条約締結に合わせる為か。バカなことを)」

    一億歩譲っても普通は、『婚約発表+調印』いや、それもないわ。
    単純にセイランが狂っているのね。狂人には付き合い切れません!

    ヨウラン「これってよくあることなの?」
    側でニュースを見ていたヨウランが尋ねてくる。
    戦時下の一般庶民が、出征が決まって、駆け込み結婚とかはあるかもね。でも、これは違うケースでしょう。

    アグネス「ない!あり得ないことだわ。世界史の年表を読んで、偉い人の伝記読んで、自分の家のファミリーヒストリーを紐解いてみてちょうだい。常識外れにもほどがあるわ。ちょっと待って、どうなっているの?」

    レイ「どうもこうもない。アスハ代表はセイラン宰相の子息ユウナ氏と結婚、式と同時に同盟条約は締結され…」

    アグネス「知ってるわよ!そんなことは!ただ、式はどんなに早くても数か月は先だと思っていたの。
    何なら、仮調印してしばらくしてから、結婚式と締結と思っていたのに。ちょっとどういうこと。
    カーペンタリア基地司令部は今頃パニックだわ、きっと。
    オーブ連合首長国つまりソロモン諸島とカーペンタリアは目と鼻の先で、その国が謎ムーブされるとほんと困るわ!」

  • 62二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 18:16:55

    式と同時に条約締結う~ん。式に合わせるなら、普通、1年はかけるでしょう。もしくは別にやる。

    何で同時?ダメだ、上手くいくはずがない。国内の根回しはすんでいるの?


    いいぞ、ぶっ壊れてしまえ。式も条約も。壊れてくれなければどうしよう?


    ヴィーノ「この式が正式に挙式されるとどうなるの?」


    アグネス「まず、オーブ国内において、中立路線のアスハ派が完全に沈黙するわね。政争はセイラン派の勝利。

    アスハ首長家はセイラン家に実質的に吸収合併。オーブがセイランの天下になる。

    それは、昨今の国際情勢を加味すれば、オーブという国が大西洋連邦のいわば属国になるを意味する。

    下手をしたらオーブ国内のコーディネイターも危ないかも。カーペンタリアは難民の受け入れ態勢を整えないと」


    シン「う…」


    シン、あんた、さっき舌打ちしてたでしょう。


    ヨウラン「そこまでの事態になるかな?」

    アグネス「第二次世界大戦中、フランス・ヴィシー政権はフランス国籍のユダヤ人をナチスから守れた?

    例えるならそう言うことよ。無論、アスハ代表の存在感が完全にゼロになるわけじゃないから、多少は『遠慮』するでしょうけれど。結婚して、モラハラ夫の完全監視下になれば、ほぼ自由意志は無きがごとしね。

    そのモラハラ夫が大西洋連邦の走狗とくれば…」


    私的には、というかプラントのコーディネイターからすれば、プラント国籍のコーディネイター>他地域のコーディネイターの優先順位ではある。それはどの人種・民族・国民もそうでしょ。

    ただ、月軌道艦隊本体ではなく、現実的に私達はオーブのすぐそばのカーペンタリアにいるのだから、どうしても敏感にならざるを得ない。

  • 63二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 18:19:35

    しかし、この展開は予想の斜め上ね。条約締結だけなら、あるいは結婚だけならまだしも、どっちもプラントにとってマイナスだけど。それに、式までの猶予も、もっとあると思ってたのに。

    というかアスランは?何やってるの。護衛官としてできることは少ないけど、側近としては、いろいろあるでしょ?能なしなの?!

    アグネス「それと、オーブの港湾・空港・マスドライバー『カグヤ』・軍事施設等は全て連合軍利用可能になるわ。
    場合によっては、オーブ軍も連合の直接指揮下に、モルゲンレーテ社も連合管理下になるかも知れない。
    というか、この流れ『結婚式=条約締結≒オーブの連合側自動参戦』ってことでしょう」
    ヴィーノ「血染めのウエディングってやつ?」
    アグネス「いささか小説的だけど」

    さらに信じられないニュースが。
    ニュースキャスター「アスハ首長家にもこの慶事について、正式なコメントや記者会見をご依頼しましたが、アスハ代表がすでにセイラン家邸宅に入居されていることを理由に謝絶され、結婚当日まで代表ご自身からのお言葉は無…」

    メイリン「入居って…、もしかして監禁?」

    足音と共にメイリンの声。あら、休憩時間?リクリエーションルームにようこそ。私の部屋じゃないけど。

    アグネス「(もしかしても何もそうでしょう。あ~あ。国家元首を事実上の監禁ないし軟禁状態にしちゃって。バカかと。それを指をくわえている周囲も不甲斐ない。アスハ派の逆転の目はオーブ国内になさそうね)」

  • 64二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 18:21:39

    アグネス「これは、アスハ代表には悪いけど。私達も準備を始めないと」

    ヴィーノ「準備って、何の?何を準備するんだ?」
    チラっと周りを見る。声量を抑え、何時もの面子に近寄って、何でレイも寄って来てんの!まあいいわ。囁く。

    アグネス「オーブを攻める準備よ」
    シン「オーブを…」
    レイ「…」
    メイリン「そんな…」
    ヴィーノ「う…」
    ヨウラン「ッ…」

    アグネス「当たり前でしょう。連合軍がソロモン諸島に集結する前に、先制してオーブ軍を殲滅し、全ての港湾、軍港、軍事基地、空港、マスドライバー、補給施設は破壊しておかないと。
    勿論、戦争法は守って、文民、民間生活インフラの破壊・殺傷は最小に。亡命を希望するオーブ国籍コーディネイターの保護救出作戦も同時並行で」

    シンが一歩よろけるように下がる。
    シン「今度はプラントがオーブを焼くのか!?」
    消え入りそうな声を喉から絞り出している。
    アグネス「あんた、オーブを恨んでるんじゃなかったの?嫌いだったでしょ」
    シン「違ッ...。う...ウ」

    まったく、あんたバカ?遠足でカーペンタリア・大洋州に来た訳じゃないのよ私達。
    オペレーション・スピア・オブ・トワイライトはミネルバの活躍で、特にカーペンタリア方面では超大成功!

    降下部隊も基地部隊もほぼほぼ無傷なのだから。攻勢に出る余裕は十二分にある。物資も続々投下中。
    ムラサメは脅威だけど、1機につきバビ複数機、5機でも10機でもぶつければ、何とかなるでしょ。例えエース級であっても。もし、ムラサメの損傷機体を鹵獲分析できれば、こっちで改良生産すればいいし。

  • 65二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 18:24:28

    唇に指をあて、周囲に静かにのサイン。シンの怯えた子犬のような目と視線が交わる。
    あんたアカデミーに入るときに覚悟しなかったの?ほんと、あの時辞めればよかったのに。

    アグネス「上層部の決断次第ね」

    可哀想な元避難民様のシンには受け入れられないかも知れないけど、これが現実。しっかりしてもらわないと。
    ミネルバは先陣を切ってオノゴロ島やオロファトに突入するかも知れないんだから。タンホイザーを艦隊や地上拠点に撃ちこむわよ。

    アスハ代表には悪いけど、流石にここまで来ると、セイラン家の台頭を許した他の首長にも責任の一端はある。

    カーペンタリア・大洋遥か遠く離れた大西洋連邦を友と呼び、直ぐご近所のプラント・大洋州を無視して孤立しようとする、頭のネジが外れた愚図を首長会に入れるから。

    もう運命の歯車は止まらないわ。『この結婚、意義あり』と王子様が女王様をお助けに来ない限りは。

  • 66二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 18:28:09

    このアグネス
    いちパイロットにしておくには惜しい人材過ぎるな

  • 67二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 22:43:15

    午後は、副長とパイロット5人でミーティング。基地司令部に新しい機体申請をしなければ。もう時間がないかも知れない。
    今、ミネルバにある機体はインパルス、ザクファントム(白 レイ機)、ゲイツR(ショーンとデイルの当番)、カーペンタリア基地から借りたディン×2機

    アーサー「まず、ザクファントムが1機アグネスに。これは確実だ。カラーリングは好きにしてよいと」
    アグネス「専用機の支給ありがとうございます。必ずご期待にお応えます」
    赤色にしよう。何と無く前のザクと連続性を持たせたい。

    アーサー「ショーンとデイルにはザクウォーリア(緑)を。ただ、代わりにゲイツRは下ろして基地に回して欲しいそうだ」
    デイル「ありがとうございます。少し寂しくなりますね」
    ショーン「あのゲイツRはよく戦ってくれましたから…」

    やっと、あの粗大ごみとおさらばね。二人の感傷もポイポイポイね。

    レイ「予備機の許可についてはどのようになりますか?」
    アーサー「ミネルバの働きに報いたいとのことだ」

    なるほど。ありがたい申し出ね。

    アグネス「では、今積んでいるディン×2をお願いします。これは、昨日5人で話し合い、訓練をしたうえでの結論です」
    アーサー「わかった」
    アグネス「それから、これは小官個人の意見ですが、バビ×2を加えることは可能でしょうか?カオス、ムラサメといった最新空戦機の相手には、どうしてもディンでは後れを取ります。予め、敵の機体が把握できる状況なら、選択肢として」
    アーサー「う~ん。良し分かった。艦長に話してみるよ」

    よし。これでミネルバはインパルス、ザクファントム×2(私 レイ)、ザクウォーリア×2(ショーン、デイル)、ディン×2(予備)、バビ×2(予備)ね。
    ちょっと贅沢かもだけど、あれだけ降下作戦に尽力したんだから、当然でしょう!

  • 68二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 22:48:12

    アグネス「(あとは、さっさと訓練に戻らないと。オノゴロ島のマップも用意しないと。
    目下の懸念はオーブ戦。対ムラサメ戦は再現データを使って、シュミレーター訓練できるからよいとして―
    最悪のケース『オーブ近海で、ムラサメを主力としたオーブ軍モビルスーツ部隊+オーブ艦隊+盗まれた3機+連合艦隊+ザムザザーと戦闘』
    これは流石にミネルバ単艦では対処できないわ。司令部を説得して他の部隊と一緒に机上演習をしないとね)」

    シン「あの…副長!」

    私が口を開きかけたタイミングでおもむろにシンが声を発する。

    アーサー「どうした、シン?」
    シン「ミネルバはオーブと…」

    副長は一瞬回答に窮したが、そこは上官、きちんと伝える。

    アーサー「オーブが同盟条約を正式に締結するということはそういうことだ。ただ、自分は部下の事情も最大限斟酌したい。もし…」
    シン「いえ。やります!」
    殆んど反射的に出た強がりを、副長は悲し気な視線で受け止めたが、一度頷き退出。

    アグネス「(机上演習について切り出せなかったじゃない!どうしてくれるのシン!)」

    仕方ない。敬礼。直れ。後で副長にお話しよう。
    司令部単位では無理でもミネルバ内で想定訓練は出来るし、艦長と副長に協力してもらえないかしら。
    どちらかが防衛側司令官役、どちらかが攻撃側司令官役を。

    さて、訓練訓練。今日も訓練、明日も訓練。明後日は…例の結婚式と調印式か。

    アグネス「(カーペンタリアなら、各局の実況中継視聴可能ね。まだ、ぎり国交断絶前だから、プラントのマスコミも中継しているし、時間休を…ダメなら休憩時間に。今後のプラント・オーブ両国の運命が変わってしまう瞬間をこの目で見たい)」

  • 69二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 23:37:37

    妹は不安よな。
    お兄ちゃん、動きます。

  • 70二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 09:40:41

    訓練終了。くたくた。ムラサメ強い…。なにあれ。私はバビで墜とせるけど。
    あと、カオス。墜とそうと思ったら2機ないと安心できないわね。

    さて、副長のもとに―

    レイ「アグネス。どこに行く」
    アグネス「副長室に。机上演習のお願いと今後の見通しをお尋ねしないと」
    レイ「そうか、では」

    何かレイまで付いてきた。鬱陶しいが正直ありがたくもある、仕事上は。

    ミネルバは大きい艦だから、副長は個室。艦長のみが個室の船も少なくない中、やるわね。流石、黒服。つい忘れがちだが、普通ならあの人は艦長や小・中規模基地の司令官をしていてもおかしくないんだ。

    アグネス「失礼します。アグネス・ギーベンラート、レイ・ザ・バレル。入ってもよろしいでしょうか?」
    アーサー「どうぞ」
    アグネス「失礼します」
    レイ「失礼します」

    副長の少し間の抜けた顔を見て、何処か安堵を覚える。私自身も危機感に飲まれていたのか…。

    アーサー「机上演習か。わかった。司令部でやるのは流石に政治的な問題があるから、ミネルバで小規模なものを。艦長には自分からお伝えする。艦長と自分がそれぞれの司令官、ブリッジクルーと君たちにも参加を頼むよ」

    アグネス「はい。ありがとうございます。結婚式までには形に持って行かないと」
    レイ「はい。やるなら明日しかありません」

    それから気になって仕方ないのが上層部の動きね。

    アグネス「本国-最高評議会や国防本部、カーペンタリア基地司令部の反応は?」
    アーサー「混乱している。条約締結はともかく、ここまでオーブが親大西洋連邦に舵を切るとは。積極的自衛権の行使がプラントの方針だが、オーブの宣戦布告を受ければ状況が一変する」

  • 71二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 20:43:15

    さてさて、ここからフリーダムによる花嫁誘拐からのアスハ代表失踪とアスランがミネルバ着任
    どうなるのか楽しみ

  • 72二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 21:30:02

    副長の部屋から辞去する、ようやく自室へ。
    アグネス「メイリン。ただいま」
    メイリン「あかえりなさい。アグネスさん」

    メイリンは先に部屋着に着替えている。
    オーブが意味不明なムーブをしているせいで基地の宿舎に移れず、港内のミネルバで過ごす日々。

    アグネス「明日は早朝から、ブリッジクルー、パイロット総出で訓練。早く寝ましょう」
    メイリン「そうですね。オーブとプラントの開戦は避けられませんか。何かいざとなると実感がないというか…。
    少し前まで、この艦にアスハ代表がご乗船されていたのに」

    アグネス「そうは言ってもね。オーブというかセイラン宰相親子は、アスハ代表の結婚式と同時に大西洋連邦との同盟条約調印・締結式をする気なんでしょう。何ともならないわよ」

    一応、軍隊編成、宣戦布告の大権は国家元首たるアスハ代表のものではある。法律、条約を公布する大権も。

    だから、裏技としては、条約を締結しても公布はしないことはできるし、公布しても宣戦布告にサインしない、国璽を押さないこともできる。一応は。
    宣戦布告しても、軍隊の総動員を行わない、あるいは部分動員にとどめる、平時の体制にとどめることもできる。
    一応。そうすることで『実質的には不参戦です』の意を国際的にシグナルとして発信することも可能ではある。
    国内コーディネイターの権利を守るために反コーディネイター法案の公布をサボタージュすることも出来なくはない。非常の方法として原理的には。

    勿論、それらは首長会の決定、何よりウナト宰相の差配に背くことだし、結婚して、ユウナの家に同居してしまえば絶対に不可能なことは言うまでもないけど。
    というかそのためにも強引に結婚しようとしているんだろうし。『アスハ代表と結婚=国家元首大権の掌握』だから。

  • 73二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 21:37:42

    アグネス「あっ、正確に云うなら調印しても締結しない、手続きを妨害できると言った方が正確か。国家元首の権能を使って。結構あのあたりの手続き難しいのよね。ケースバイケースなことも多いし。

    私としてはむしろ、プラント本国の動向の方が気になるわね。この結婚はオーブと大西洋連邦の一体化を意味するわけだけど、ちゃんと対応する気ある?議長は積極的自衛権とか言っているけど、その『積極的』とはどこまでのつもりなのかしら。ソロモン諸島が白から黒にひっくり返るのを黙って見過ごすわけにはいかないはずだけど」

    メイリン「内政干渉になるのを恐れているとか?」
    アグネス「もう、条約締結国-つまり連合とプラントは宣戦布告して戦争状態なのよ。条約締結と同時に自動参戦よ。内政干渉も何もないわ。お互いにね。勿論、実務の上では、国交断絶通告、大使館閉鎖、宣戦布告と準を踏むのでしょうけど」

    問題なのは、その後なのよ。あのワカメ頭、ちゃんとやるならやるではっきりして!
    カーペンタリアと大洋州が守れなければ、プラントの地球拠点はジブラルタルだけ。
    オーブは何としても黒にしてはいけない、白が無理でもグレーにしておかなければ。

    アグネス「何にしろ。明日はしっかり訓練ね。無能な議長を持つと苦労するわ。はッ。今のは聞かなかったことに!」
    メイリン「大丈夫ですよ。前線にいると思うところ、いろいろあります」

    うん。

    アグネス「おやすみ。メイリン」
    メイリン「お休みなさい。アグネスさん」

  • 74二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 23:25:45

    翌朝、演習開始。
    メイリン「コンディションレッド発令。コンディションレッド発令。砲撃目標点確認。
    オーブ本島オロファト港、オノゴロ島国防本部、モルゲンレーテ本社、マスドライバー『カグヤ』」

    アーサー「アッシュ隊、グーン隊、ジオグーン隊、ディン隊、バビ隊、ザク隊はボズゴロフ級3隻より発進準備。
    発進開始!
    ミネルバはバビ隊、ディン隊の援護を受けながら、まず敵艦隊を補足撃滅せよ。しかる後、国防本部をタンホイザーにタンホイザーを発射。以後、指令に従い、順次、各軍事拠点を破壊せよ。
    地上拠点攻撃においては民間インフラ、文民への被害は最小に。全機オールウェポンズフリー」

    シュミレーターに副長の指示
    アーサー「シンはブラストシルエットで艦上を守れ。レイ、アグネスはバビで、ショーンとデイルはディンで出撃。
    離水中は艦腹、艦底を守れ。チェン!バートがオーブ艦隊を発見し次第タンホイザー発射シークエンス開始。マリクは発射と同時に艦首を大きく動かし、出来る限り広範囲を薙ぎ払うように。特にタケミカズチ級からの発艦を許すな!」

    シン「了解」
    アグネス「了解」
    レイ「了解」
    ショーン「了解」
    デイル「了解」
    チェン「了解」
    バート「了解」
    マリク「了解」

    …。

    アーサー「そ、損耗率19.5%!!」
    アグネス「(死んだ、私。ショーンも。というか、こいつが足を引っ張るから)」
    レイ「オーブが強固な地下陣地を持つことを軽視していました」
    アグネス「(それ私が言おうとした!)オーブ海軍が現存艦隊主義を選択する可能性も。
    てっきり、見敵必殺で来るものと。軍港に立てこもる艦隊を撃ち減らすのがあんなに難しいとは…」

  • 75二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 23:27:50

    演習結果は思わしくない。オーブ攻撃作戦はテストなら65点といったところだろう。

    一応、主要な軍事施設と『カグヤ』は吹き飛ばし、オーブ軍に大損害を与えることは出来た。艦艇も70%は沈めた。
    しかし、その代わりザフト軍にもかなりの打撃が…。艦長(敵司令官役)がオーブ海軍の出撃を敢えて行わず、艦艇を港湾にとどめたときは、空襲とタンホイザーの的になるだけと思ったのに。
    対空陣地と陸軍そしてムラサメ隊の連携があんなに鬱陶しいとは。最後には照射に成功したけれども。

    その上-

    デイル「オーブのムラサメが、突然地下から出てくるのも恐怖ですね。空港爆撃で全滅したものとばかり」
    ショーン「タンホイザーで国防本部を吹き飛ばしても、地下防空壕等の破壊には、もう一工夫必要ですね。ジオグーンで潰しても潰しても…。民間シェルターを間違えて破壊してしまいましたし…」
    チェン「国防本部については、直上から、もう一発撃てばよかったのでしょうか?」
    マリク「あの段階でそんなことできるか。撃破しても撃破しても、どこからともなくリニアタンクが地下から出てくるのに」

    オーブの地下陣地固すぎ。一応、ザフト情報部が掴んだ情報を基に再現したものを用いたのだけれども。

    タリア「今回のマップ、特に地下陣地、地下施設は、あくまでザフトが掴み想定しているものに過ぎない。現実のオーブの継戦能力はさらに高い可能性が高い。当初の楽観的な見通しは捨てる必要があるわね。本気でオーブ戦をする気なら、海上攻撃に加え、降下部隊の投入が必要になる」

    つまり、カーペンタリア基地+ミネルバだけでは手に余るか…。地上拠点と艦艇の破壊だけならそこそこ行けるが、損害にリターンが見合わない。そこまでやるなら、オーブの保障占領まで視野に入れるべき。

    タリア「訓練の結果は、基地司令部にも提出。情報共有を行います。皆、よく頑張ったわね」

  • 76二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 23:34:41

    この女…、議長の愛人のわりにはなかなかね。本番ではこの人の下で作戦か。案外悪くはないかも。決断力がもう少し欲しいところだけど。政治的な立場が不安定そうなのも気がかりね。

    敬礼して司令部に向かう艦長を見送り、直る。朝から、シュミレーターとブリッジを往復し続け、結構疲労がたまっている。

    皆でレクリエーションルーム。
    ヴィーノ「お疲れ」
    アグネス「ありがとう。ミネラルウォーター」
    ヴィーノ「いいって」

    ちょろいわね。何時ものメンバーで休んでいると、少し離れたところで、また、シンがブツブツ言っている。

    なになに…。

    シン「今日の作戦が…。もし実際に行われたら何人死んだんだろう。その…民間人とか」
    レイ「少なくとも4000~5000人程度、オーブ政府の避難計画が不十分なら場合により数万人以上」
    シン「…」
    レイ「辛いな」
    シン「…」

    アグネス「(また、ぐずり出したわ。もう、いい加減にして!)」
    いや、不味い。場合によっては1週間以内に『本番』が発生しうるのに。何とかならないのかこいつは。
    こんな時にルナマリアが居れば!あの子ならどんな言葉をかけてあげたのだろう。分からない。私には想像できない。
    弱者や落ちこぼれ等は分を弁えればいい、そうとしか考えてこなかった…。

  • 77二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 10:05:53

    アグネス「シン!ちょっと甲板まで来なさい!」
    私までウジウジしてどうする!危うく流されるところだわ。この落ちこぼれに。
    レイ「…」
    レイは間に入ろうとするが、気勢を制して言ってやる。
    アグネス「あんた、シンのママ?こいつと話すにはあんたを通さなければいけないわけ!」
    言うが早いか、シンの手をひっつかみ強引に連れて行く。
    振りほどかないのね…。相当、弱ってる?

    シン「なに?」
    甲板に出るとシンと二人きり。最悪。こういうシュチエーションは、上物の男としたいのに。
    まあ、いい。

    アグネス「あんた、オーブが好きなの?嫌いなの?はっきりして!」
    シン「…」
    アグネス「はっきりして!!」
    シン「好きだったよ…」
    アグネス「(だったね。)」
    アグネス「今は?」
    シン「分からない…。オーブにミネルバが売られたときは、心の中で『身勝手な。今度は俺がオーブを焼いてやる』と一瞬思ったけど…」
    その後、落ち着いちゃったわけね。

    アグネス「じゃあ、プラントは?プラントへの愛国心は?あんたザフト軍人よね。プラントと我が軍は好きなの?」
    プラントへの愛国心と聞かれてシンの顔が一瞬困惑する。あんた、今はプラント国籍でしょ。
    少しの間沈黙。やがて―
    シン「避難民だった俺を助けてくれたプラントと受け入れてくれたザフト軍には大きな恩がある。ミネルバは好きだ。友達や知り合い、仲間が乗っている。ミネルバを守りたい」

    アグネス「じゃあやることは一つね。オーブが敵になればそれと戦う。別に民間人を狙って殺すわけじゃない。軍隊は軍隊と、ザフト軍はオーブ軍と戦う。巻き添えが出る、でも、仕方ない。アカデミー入った時に十分考えたでしょ。考えなかったなら、あんたがバカだっただけ。
    『努力』して赤服になって、パイロットになったなら、気持ちを切り替える努力もして!」

    私はこれまで努力というものをしたことがない。そんなものは無駄だと思っている。でも、こいつはルナマリア曰く、努力なるものをしたらしい。思い違いも甚だしいわ。パイロットになれたのは元々『パイロットになれる程度の遺伝子的才能があった』から。腹立たしいけどね。

  • 78二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 10:13:43

    シン「…」
    アグネス「死ぬわよ。ヴィーノもヨウランもレイもメイリンも。艦の皆もミネルバが沈めば」
    シンが拳を握り締める。やるか、こら!吹き飛ばしてやるわ!あんた程度!
    シン「死なせない。ミネルバを沈めるもんか。もう誰も…」
    アグネス「なら良し。明日、いっしょに結婚式のニュースを見ましょう。そこからgoね」
    シンの顔に人差し指を向ける。行儀が悪いがこいつ相手なら気に病む必要はなし。
    シン「わかった…」

    ハイ終わり。いい仕事わ。この落ちこぼれとこんなに長時間会話するとわ。
    背中からシンの声。
    シン「ありがとう、気遣ってくれて…」
    アグネス「(一応、礼は言えるのね)」

    甲板からシンと一緒に艦内に戻ろうとすると、港に車が数台。
    艦長と基地司令官、紫服の軍高官、他の隊の白服・黒服指揮官が下りてくる。

    アグネス「(なに?なに?)」
    慌てて、出迎えたクルーと共に艦に乗艦。

    艦内放送
    メイリン「全クルーは制服に着替え急いで甲板に集合してください。繰り返します。全クルーは制服に着替え急いで甲板に集合してください。」

  • 79二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 11:12:59

    カーペンタリア基地司令官「これからミネルバクルー、パイロット諸君の表彰式を行う。
    高位の勲章については、最高評議会、並びに国防本部の審査・審議を経なければならない。そちらは、しばらく待って欲しい。本日は、比較的簡易に授与できる記章と基地司令官の職権で可能な表彰状を、国防本部に連絡の上諸君に授与する」

    紫服、白服、黒服のお偉いさんが前に、私達は両甲板に集合。素晴らしいサプライズね。

    紫服「表彰状授与。代表、タリア・グラディス艦長。前に」
    タリア「はい」
    アーサー「総員、気を付け」
    ザッという足音

    艦長が基地司令官の前へ。
    カーペンタリア基地司令官「戦艦ミネルバ、並びに当艦クルー、パイロットの開戦以降の奮戦奮闘をここに表する。各員の表彰状は艦長より授与せよ」
    タリア「はい。ありがとうございます」

    パチパチパチパチ
    列席した紫服、白服、黒服の方々の拍手を受け、艦長も珍しく嬉しそうね。この人の嬉しそうな顔、何気に初めてかも。

    紫服「続いて記章授与。代表アーサー・トライン副長」
    アーサー「はい」

    カーペンタリア基地司令官「ミネルバクルー、パイロット各位。アーモリーワン事変以来のプラント、ザフト軍への献身・貢献を表し、ここにアーモリーワン事変従軍記章、ユニウスセブン破砕作戦従軍記章、アスハ代表護送任務達成記章、フォックストロット・ノベンバー並びに同日発生した戦闘に対する参戦記章、オペレーション・スピア・オブ・トワイライト参戦記章、戦闘時における敵味方救助を表して人道記章をここに授与する」

    副長の左胸に一度に6つのメダルが増える。

    紫服「クルー、パイロット各位は艦長よりメダル、略綬、証明書を授与されたし。諸君、改めておめでとう」

    アグネス「はい。ありがとうございます」
    全クルー、全パイロット「はい。ありがとうございます」

  • 80二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 11:15:21

    カーペンタリア基地司令官「世界の情勢は日々変動し、この戦争の帰結も予断を許さない。国家国民の為、より一層の奮起奮闘を貴官達に期待するものである」

    アーサー「総員、敬礼」
    敬礼
    アーサー「直れ」
    直る
    その後、皆さまのご退艦をお見送りして、今度は艦内で授与式、嬉しい。ついに報われた、認められた!

    授与式の後、メイリンと自室へ。
    メイリン「疲れましたね」
    アグネス「そう?全然!メダルバー作らなきゃ」

    メイリン「いただいたものはどうすればいいんでしょうか?」
    アグネス「勲章、記章に関しては、本物は自宅なりで大切に保管。普段、佩用するためのレプリカは個人で購入ね。
    と言っても、日々の生活でジャラジャラさせるわけにもいかないから改まった場でない限りは略綬を着用。
    まあ、ザフトでは略綬付けてない人も多いけど、私は断固身に着けるわ」
    メイリン「はあ…。表彰状は?」
    アグネス「持ち歩くわけにはいかないから、こっちも自宅保管かな。代わりに写真でとってそれを持っていくケースがあるそうね」

    早速、写真撮って現像ね。

    アグネス「明日は遂にオーブで結婚式ね。また、勲章が増えるわよ」
    メイリン「ただ、開戦したら苦戦は必至です。出来れば戦いたくはないですね」
    アグネス「その通り!今からでも何とかしてよ。アスラン先輩!」
    メイリン「そういえば、アスランさんどうしているのでしょう」
    アグネス「想像もつかないわね…。無策でないと信じたいわ。英雄の名折れよ」

    これは明日、みんなでニュース実況ね。艦長・副長も黙認して下さるでしょう。
    アグネス「じゃあ、おやすみメイリン」
    メイリン「おやすみアグネスさん」

  • 81二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 12:19:43

    翌日
    レクリエーションルームでは何時もの面々と艦内の大勢のクルーが固唾をのんでニュースを見ている。モニターはプラントを含む複数の局を画面で映しているため、画面が分割されている。おかげで色々な角度から映像が見えるわね。

    アグネス「読唇術、得意な人いる?」
    緑服クルー「はい。やります!」
    アグネス「お願いね」

    宮殿内中継
    緑服クルー『ユウナ「んー。綺麗にできたね、カガリ。素敵だよ。でも、ちょっと髪が残念だな。今度は伸ばすといいよ。その方が僕は好きだ」』
    緑服クルー『アスハ代表「…」』
    アグネス「うざッ!早速モラハラ、DVか。政府首脳も立ち会っているのに、国家元首の髪形をコケにするとは」

    アスハ代表とユウナが白い車に乗り込む。パレード開始。

    アグネス「ズームにして!」

    緑服クルー『ユウナ「何か飲むかい?緊張してるの?さっきから全然口もきかないね」』
    緑服クルー『アスハ代表「いや、大丈夫だ。心配するな」』
    緑服クルー『ユウナ「ふん。いえ、大丈夫ですわ。ご心配なく。だろ?」』
    緑服クルー『アスハ代表「…」』
    緑服クルー『ユウナ「しっかりしろよ」』

    アグネス「また、DVモラハラ連続。しかもこいつ式終わってないのにウイスキー飲み始めた!国家元首の前で不敬罪でしょ」
    レイ「落ち着けアグネス。ニュースに集中できない」
    アグネス「(しまった。私としたことが。反省反省)」

  • 82二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 12:21:21

    沿道の人達「おめでとうございます!」
    緑服クルー『ユウナ「ほら、マスコミも山ほど居るんだぞ。もっとにこやかな顔して」』
    緑服クルー「アスハ代表「…」」
    緑服クルー『ユウナ「ほら、カガリ」』
    緑服クルー『アスハ代表「…」』
    今度はアスハ代表を肘で小突きだした!こいつほんとに…。『王配』やる気ある?マスコミの前よ。角度によって映ってるわよ。

    緑服クルー『アスハ代表「う…うう…」』
    アスハ代表の両眼から涙。あーあ、7回生まれ変わってもこんな結婚式。私は御免ね。
    私は自分が侮辱されるの我慢できないの、ほんと!

    緑服クルー『ユウナ「嬉し泣きだろうね、当然」』
    緑服クルー『アスハ代表「ん…」』
    緑服クルー『ユウナ「その涙は」』
    緑服クルー『「アスハ代表「く…」」

    メイリン「かわいそう…」
    ヴィーノ「こいつクズか!」
    ヨウラン「ひでぇ」
    緑服女性クルー達「最低…」
    シン「…」

    遂に車が式場会場、アスハ代表がユウナと祭壇の階段を上がっていく。

    アグネス「(やはり救いのナイトも王子様も来てはくれないか…。これが現実ね。
    というか、アスランは?さっきから探しているのにずっと姿が見えないけど。逃げ出したの!?あいつ。最低!
    ここで結婚が成立すればプラント・オーブの開戦が不可避になるのに。あの人、何しにオーブに行ってたの?ここまで無能とは…。モビルスーツに乗るしか能がなかったのね)」

  • 83二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 12:56:46

    誓いの言葉、これで後戻り不可避。この後は条約調印式か。

    司祭「今日、ここに婚儀を報告し、またハウメアの許しを得んと、この祭壇の前に進みたる者の名は、ユウナ・ロマ・セイラン。そしてカガリ・ユラ・アスハか?」
    アスハ代表「はい」
    ユウナ「はい」

    アグネス「(うん?!モニター内のニュース報道の一つが切り替わった。オーブ軍港?なに?)」
    オーブ軍港に鳴り響く警報音!ひょっとしてアスハ派がクーデターでも起こした?!

    オーブ軍港アナウンス「アンノウン接近中。アンノウン接近中。スクランブル!第二護衛艦軍、出港準備!」

    アグネス「あれは…。フリーダム!!」
    ミネルバクルー達「フリーダムだって!」
    シン「フリーダム…」

    騒ぎが届いていない会場の方の中継では変わらず結婚式が進行中。
    危機管理ができてない!この前の机上演習はちょっとオーブを強くし過ぎたかも。

    司祭「この婚儀を心より願い、また、永久の愛と忠誠を誓うのならば、ハウメアは其方達の願い、聞き届けるであろう。今、改めて問う。互いに誓いし心に偽りはないか?」
    ユウナ「はい」
    アスハ代表「…」
    オーブ軍兵士「駄目です!軍本部からの追撃、間に合いません!」

    うぉぉ。来た来た。フリーダム。いいぞ。式もろとも同盟条約をぶっ壊せ。

  • 84二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 13:09:06

    アスハ代表「あぁ?」
    オーブ軍兵士「避難を!」
    ユウナ「なんだ?どうした?」
    オーブ軍兵士「早く!カガリ様を!迎撃!」

    フリーダムが式会場の守備をしていたアカツキをあっと言う間に4機戦闘不能にする。流石、伝説の名パイロット。

    会場は蜂の巣をつついたような騒ぎ。十分に想定されたであろう事態でしょう。アホかと。

    緑服クルー『ユウナ「は!」』
    緑服クルー『アスハ代表「キラ?」』

    アグネス「やはり、当フリーダムのパイロットはキラ・ヤマトか」

    緑服クルー『ユウナ「カ…カガリ…!」』

    ユウナ、こいつ。アスハ代表の後ろに隠れやがったわ!もう完全に人間としても男としても政治家としても底が見えたわ。対応指揮を執るでもなく、花嫁にして国家元首を庇うわけでもなく…。もう、ほんと。消えて欲しい。まじで。

    列席者「キャー逃げろー!」
    ユウナ「ひ、ひぃィィィィ。うわあぁぁぁぁ!」

    ついにユウナはアスハ代表を置いて逃げだした…。これが潜在敵国の跡継ぎ(仮)とは情けなくなる。
    敵手には偉大であって欲しい。矛盾するが軍人なら誰しもそう思うものでしょう!

  • 85二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 13:22:27

    フリーダムがアスハ代表を両手で包み助け出す。

    ミネルバクルー達「いいぞ!!やってやれ!」
    メイリン「早く!フリーダム!」

    緑服クルー『ユウナ「な、何をしている!撃て馬鹿者!早く!カガリ、カガリが…」
    緑服クルー『オーブ軍兵士「しかし、下手に撃てばカガリ様に当たります」』
    緑服クルー『ユウナ「ひゃ!?うーうーうーっ。う…ううー…」』

    アグネス「あのユウナの悔しそうな顔。今世紀一番の傑作ね」
    メイリン「そうですね!間違いありません」

    というか軍人たち誰もユウナやウナト宰相の心配しないわね。心配するのはもっぱらアスハ代表の事。
    オーブ軍は思った以上にアスハ派の指示が根強いのか。
    それとも、前大戦、ヤキンでストライク・ルージュを駆り、残存オーブ軍を率いて人類を滅亡の危機から救った
    『カガリ・ユラ・アスハ』本人への忠誠心か。

    アグネス「(多分両方ね)」
    地盤・看板・鞄のうち、前者二つが無く、肝心の鞄は大西洋連邦頼りのセイランとは地力が全然違う。
    惜しむらくはそれを政局に上手く生かせなかったことね、アスハ派が。

  • 86二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 14:46:20

    ミニターに公海偵察哨戒中の早期警戒ディンより光学映像。

    オーブ艦隊6隻がアークエンジェルを遠巻きに囲んでいる。

    レイ「アークエンジェル…」
    アグネス「やっぱり廃艦になってなかったのね。ということは今あの艦に乗っているクルーはアスハ家恩顧の亡命軍人達」
    アスランも、もしやあの艦に!やるわね。見直した!

    一発も発砲しないオーブ艦を尻目に悠々とフリーダムはアークエンジェルに着艦。艦は潜航を始める。

    アグネス「潜航機能まで、ここまで来るとモルゲンレーテ社も一枚噛んでるか」
    マリア・べルネスさんは多分、マリュー・ラミアス艦長。もしかしたら、バルドフェルト隊長もあの艦に…。面白く成って来たじゃない!

    アークエンジェル潜航完了。オーブ艦隊は旅立つ大天使を見送る。流石に祝砲は撃たなかったが、面従腹背極まれりね。

    アグネス「これにて、アスハ代表亡命作戦は完了ってところかしらね。アークエンジェル組は」
    ヴィーノ「亡命なのか?」
    ヴィーノとヨウランは少し困惑しながら私の目を見る。
    アグネス「状況的にどう考えてもそうでしょう。まあ、オーブ政府は今回の騒ぎを隠すでしょうし、隠せなくなれば『誘拐事件』と言い張るのでしょうけれど」
    ヴィーノ「アークエンジェルは前大戦でオーブ、クライン派と三隻同盟を組んでたんだよな。アスハ家に匿われていたのか」
    ヨウラン「『いよいよとなったら、私を連れて亡命せよ』とか秘密指令が出てたのかな」

    アグネス「実質、今のアークエンジェルはアスハ派オーブ軍だからね。どこかに―スカンディナビア王国辺りに亡命政権なり正統政府を立ち上げるのかしら」
    レイ「先走り過ぎだ。推測に過ぎない」

    アグネス「確かに。それに今、亡命政権を立てれば、オーブ国内が内乱待ったなしだから、しばらくは潜伏するか…」
    レイ「だから、それを憶測というんだ」
    アグネス「事件への考察よ。世界中に影響するの。プラントにも。今、考えないでどうするのよ!」
    ニュースや光学映像を見たクルー達も私達の会話を皮切りに思い思いしゃべり始めている。

  • 87二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 14:51:12

    シン「それで、オーブとの戦争は…。同盟条約はどうなるんだよ?」
    メイリン「そう。それ気になります」
    2人して私に意見を求められる。悪くない気分ね。

    アグネス「流石にここまで来たら、調印自体はするんじゃない?ただその調印は国家元首のサイン、国璽押印がない、宰相ウナト名義のサインと印による不完全なもの。当然、アスハ代表が亡命したから、正式に条約を公布も出来ない。手続き上に重大な瑕疵がある『締結(仮)』となる。これでは国論の統一は無理ね。オーブ軍もやる気なさそうだし。連合の駐留も国民感情的に受け入れられるかどうか。何しろ条約の合法性が不明確なのだから」

    少し状況を整理する。
    仮にアスハ代表がスカンディナビアなり、アークエンジェル艦内なりに亡命政府を樹立した場合、プラントは国家承認をするべきだろうか。多分、答えはイエス。
    アスハ代表に復権してもらって、オーブを大西洋連邦から切り離して中立国に、グレーの駒を白に戻すため有形無形の支援をするべき。

    いずれにしろ―

    アグネス「すぐにプラントからオーブを攻撃するメリットは薄いでしょうね。昨日の机上演習でザフト軍にも無視できない損害が出る可能性が判明したし、せっかくオーブ国内が割れてくれたのに今攻撃したら、共通の敵を前にセイラン派とアスハ派がまとまってしまう。オーブの脅威度判定を一度下げて、ミネルバは月軌道艦隊に早く合流してアルザッヘル基地を…」
    レイ「先走り過ぎだ。お前の領分を超えたところまで…」

    アグネス「考える分には自由でしょう!あんたこそ、仮にも私達士官よ。ザフトに階級はないけど立場上は!士官がこれからの見通しを考えたり、話し合わないでどうするの?」
    レイ「それはここですることではないだろう」
    アグネス「じゃあどこでするのよ?!副長室?」

    ガヤガヤ、皆の議論が白熱するなかシンにふと目を遣る。彼は安堵のため息をついている。
    オーブをすぐには討たなくてよくなったことが嬉しいのか。

    アグネス「あんた、やっぱりオーブが好きじゃない。今でも」
    シン「…。う…。うん…多分」
    素直ね。あんたらしくなくて気持ちが悪い。調子狂うわ。

  • 88二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 14:54:24

    そうかこの段階だと騒ぎを見たミネルバ側はアスランもAA側にいるんじゃと思うよな
    中継映像のどこにも映らないし

    まさか数日後に自分たちのところへ来るとは思うまい

  • 89二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 16:30:03

    まあプラントは支援するべきだったし友好が望めるはずだったよね普通に考えて。アグネスさんお労しや

  • 90二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 21:12:09

    アグネス「やっと、上陸ね。長かったわ」
    メイリン「本当ですね」
    ミネルバから下りたクルー達と一緒に基地施設内の宿泊施設に向かう。
    ミネルバは、というか基地全体がオペレーション・スピア・オブ・トワイライト以降もずっと緊張状態だった。
    どこかのアホな国が謎ムーブをしていたせいで!

    緑服クルー「ミネルバもやっとドッグ入り。しっかりメンテ出来ますね。スピア・オブ・トワイライト後は余裕ありませんでしたから」
    メイリン「応急、緊急と繰り返し。オーブ次第ではこのまま出撃もあり得ましたものね」

    皆、開放ムードね。
    アグネス「メイリン、じゃあ明日。約束の買い物行こうか。それが終わったら艦に戻らなきゃいけないし。順番的に」
    メイリン「そうですね。お願いします」

    しょぼい基地の宿泊施設が豪華なホテルに見える。
    プラントで結構な家に住んでいた時は、こんなウサギ小屋視界に入らなかったのに。

    クルー・パイロット達はそれぞれの部屋に分かれていく。私達は女性軍人用の部屋に。メイリンとは隣。
    アグネス「じゃあ、おやすみメイリン。また明日」
    メイリン「はい。おやすみなさいアグネスさん」

    アグネス「うぉぉ。久しぶりの一人部屋よぉ」

    部屋に入るやベッドにダイブ。堅ッ!なにこれ。臥薪嘗胆ってやつ?違うでしょう!
    お国のために働く兵士に何たる無礼。議長めナチュラルの国には予算をばら撒く癖に!
    国家予算はお前の財布じゃない!

    私が出世したら基地内設備を一新しよう。地球への援助金など親プラント国以外、減らしまくって軍事予算にジャンジャン投入よ。兵士の給与と衣服と生活環境向上に全力よ。

  • 91二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 21:13:16

    アグネス「(とは言え、久しぶりのプライベート。プライバシー。落ち着くわ)」
    別にメイリンが嫌いなわけではない。ミネルバに文句が有るわけでもない。ただ、艦内には逃げ場がない。
    どこに行っても人の目がある。一人になれる空間がない。
    これでもミネルバは大きい艦だから、すごく恵まれている方。他のもっと小さい艦なら…。

    アグネス「勿論、任務とあれば、手柄を上げる機会が有れば、喜んで志願一択だけどね」

    とは言え、とは言え今宵はゆっくりしよう。クルーもパイロットも皆、正直一気に疲れが噴出しているだろう。
    アグネス「(やっと、一つ懸念が先送りされたわ。明日はメイリンとお買い物。その次は…)」

    月軌道艦隊と合流してアルザッヘル基地攻略。連合宇宙艦隊を何としても撃滅しなくては。
    プラント本国から核の脅威を完全に取り除くために。月面に連合勢力を一艦一兵たりとも残してはいけないのだから。

    だから――意識が落ちていく心地よい感覚。明日は―

  • 92二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 21:54:18

    向上心の塊だなアグネスは
    キラとは違う意味でワーカホリックだ

  • 93二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 01:10:31

    アスラン合流後はどうなるのか

  • 94二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 07:48:42

    保守

  • 95二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 09:57:09

    アグネス「おはよう。メイリン」
    メイリン「おはようございます。アグネスさん」

    朝、食堂でメイリンと合流。
    入口近くの緑服クルーとも挨拶を交わす。
    朝食はビュッフェ形式。ただのわりに美味しい。というか食べるぐらいしか軍隊生活楽しみがないんだから美味しくなきゃ。忙し過ぎて男も探せない。パーティーでも開かれないものか。

    メイリン「アグネスさん、どうしましたか?」
    アグネス「いや…」
    周りを軽く見まわす。大丈夫そうね。
    アグネス「入隊後、思った以上に異性との出会いの場ってないなと思って」
    メイリン「あ~あ。確かに」

    まあ、それを言ったら男性軍人の方が深刻でしょうけれど、女性軍人少ないし。

    アグネス「正確に言えば、『男』はいっぱいいる。いるんだけれど…」
    メイリン「ミネルバの皆は家族みたいなものですもんね。ちょっとそういう目では…」

    家族とは言い得て妙ね。
    確かにクルー同士の―特に任務中での―お付き合いは古来よりご法度とされている。
    いろんなトラブルのもとだし。無論、そこは人と人の関係、常時が吊り橋効果な艦の上で愛情が生まれることは避けがたい。
    共に地獄を乗り越えた仲間同士が強い絆で結ばれる、相手が異性ならその感情が発展し…、というのはむしろ自然な流れだ。港に帰ってきたら女性軍人が妊娠していたと言ったこともままある。
    狭い艦内で一体どうやったのか、気になるところではあるけど。

    暦が西暦からC.Eに変わって久しい今日、ザフトでは昔の軍隊ほど職場恋愛にうるさく無いし、私も遠慮する気はさらさらないが、指揮官側から見れば、とても頭の痛い問題ね。

    アグネス「カーペンタリアについてからもそれどころじゃなかったし。戦時の任務、毎日の訓練を繰り返す日々。
    手を抜くわけには絶対にいかない。さらに異性との出会いとか無理ね。よっぽど身近にいい人(上物の男)が居るか、赴任地に人(上物)が多いか、仕事に余裕があるかしないと」

  • 96二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 10:03:05

    メイリン「これが男性軍人だと『負傷した自分を献身的に助けてくれた従軍看護師』みたいなシチュエーションもあるんですけどね。映画の中だけでなく現実の例でも。私達の場合、助けてもらって友情は芽生えても…、あ、同性愛を否定しているんじゃないですよ」
    アグネス「分かっているわよ。浮ついた話題を切り出してごめんね」
    メイリン「いえ。なかなかそういう話をする相手もいないですしね」

    なにより、メイリンと私では相手に求めるだろうランクが異なるだろうし。
    競争相手になりようがない相手となら気楽にお話しできるわ。

    アグネス「さて、買い物行きましょうか?」
    メイリン「はい」

    買い物と言っても買うものがそう多いわけではない。艦内に持ち込める物は物理的に限られている。
    本屋に行って、二人でうろうろ。
    前大戦の戦史でも買うか。加えて古代から現代にいたる会戦史-所謂、『戦場を上から見ると』的な本を。

    メイリン「アグネスさん、お待たせ、って本!分厚!電子にすればいいのに」
    アグネス「電子でも読むわ。でも、紙の方が読んでる感じがするのよね。あれ何なのかしら…。紙を指ではじく感覚によるものなの?」
    メイリン「さあ?脳科学についてはさほど詳しくは」

    次はカフェ巡り。コーヒーの味は正直ミネルバの方が上ね。流石、最新鋭艦。ただ、雰囲気はカフェが勝る。
    まあ、ここも基地内ではあるんだけど。プラントや大洋州の人々は今どんな日常を送っているのだろう。
    想像がつかない。すっかり私達は世間から隔絶され、軍隊という小世界の中で生活に慣れてしまっている。

    アグネス「次の帰郷休暇は何時になるかしらね」
    メイリン「わかりませんねぇ―。こんな戦況じゃ。アグネスさんのお家はやっぱりアプリリウスですか?」

    まあ、父も母も高官だから、そこは分かるか。隠すことでもなし。

    アグネス「ええ。首都産まれ、首都育ち。そこからは皆と同じ。ザフトの本部があるディセンベル市のザフトアカデミーに入学」

  • 97二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 10:05:48

    ディセンベル市は亡きパトリック・ザラ議長の地盤で教育施設も多い。
    アカデミーに行きながら、休日はいろいろな所に行ったわ。
    外れの男にも引っかかったが。案外アカデミーにも大したやつはいなかったわね。

    アグネス「メイリンはもし、プラントに休暇に戻れたら行きたいところある?」
    メイリン「セプテンベル市とか。電子・情報・人工知能工学や総合情報学が盛んと聞きますから、ちょっと見学したいかも」
    アグネス「そうね良いかも知れないわね。あなた、そういうのアカデミーじゃトップだったし。(あそこ、カナーバの本拠地じゃない!ってそれをメイリンに行っても仕方ないか)。見学なら、私は工学や造船が盛んなマイウス市やマティウス市にまた、行ってみようかな」

    特にマティウス市は現在のザラ派総帥エザリアおば様のお膝元だ。プラントが誇る大企業マティウス・アーセナリー社もある。
    ザフトで将官まで出世して引退したら、今度はまずあそこから、セカンドキャリアをスタートさせるのも手だ。
    自分で会社を立ち上げてもいいが、軍と繋がりのある企業の重役に再就職してから、次の手を打っていくのも悪くない。

    メイリン「次は化粧品売り場にいきましょう」
    アグネス「そうね!」

  • 98二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 10:29:27

    コンパスの激務をこなしながらキラを狙ってたアグネスは体力お化けか

  • 99二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 10:33:53

    体力お化けじゃないとコンパスの業務に耐えられないというか

  • 100二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 11:09:09

    化粧品を二人であれこれ探す。

    アグネス「ナチュラスメイク。飾らない女アピールをする方が受けがいいか?はたまたしっかり決めるべきか」

    メイリン「アグネスさんもお姉ちゃんも、元が綺麗な人は化粧なしでも勝負できますよ!」
    アグネス「ありがとう。ルナマリアもなかなかだものね。とはいえ、『スッピンが可愛い』が通るのは子供の間だけだからね」

    口紅、リップはどれにするべきか。メイリンの言うことも一理ある。艦長のケバイ口紅と化粧を見ると敢えて、控えめにするのも良いかも。

    メイリン「そう言えば、ミネルバの修理は何時までかかるんでしょうか?」
    アグネス「今やっているのは、修理というより総点検だから、案外早いかも」
    メイリン「じゃあ、いつ出航命令出るか分かんないんだ…。今日、しっかり買いだめしとかなきゃですね」

    メイリンは籠にどっさり化粧品。うお、やる気満々ね。けっこうけっこう。確かにこれから月で決戦ならここで買っておくべき。ゴンドワナが化粧品のそろえが良いとは思えない。

    会計を済ませて、店の外に出ると上空に見慣れない赤い戦闘機が飛来するのが視認できる。

    メイリン「あれは?」
    アグネス「セカンドシリーズ最後の一機、セイバーね。完成が遅れていたけどようやくか。しかし、護衛もつけないで随分不用心ね」

    セカンドシリーズならミネルバ配属か。予め通告もなく!軍本部もたるんでるんじゃないの!

    メイリン「ともあれ出航に間に合って良かったですね」
    アグネス「そうね」

    しかし、せっかくの休日が…。いつ以来ぶりなのに。ふざけるな!

    アグネス「艦に帰らないといけないわね…」
    メイリン「ですよね…」

  • 101二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 11:11:29

    メイリンとミネルバのモビルスーツデッキに。ちょうどセイバーが着艦してきた。
    着艦してきた?まず基地に着陸してよ…。これ、このまま出撃か。
    まあ、手柄を上げる機会がすぐ来たのは嬉しいが、休みの予定を潰されたことにはイライラする。

    マッド・エイブスに敬礼 返礼を受けて直る。

    アグネス「セイバーですね。事前に連絡が?」
    マッド・エイブス「いや」
    アグネス「どなたがご搭乗を?」
    マッド・エイブス「分からない」

    報連相ちゃんとしてよ。

    そんなことを話しているとセイバーのコクピットが開き、紫色のパイロットスーツを着用した人物がスーツケースを持って下りてくる。左胸に胸に特務隊の徽章。何かの特殊任務に来たのか。

    パイロットはデッキに下り立ちヘルメットを脱ぐ。現れたのは―

    アグネス「アスラン先輩!?」

    なんでここにいるの?アークエンジェルは?アスハ代表は?オーブ国籍の護衛官が何でザフト軍の制服着ているの???

    アスラン「認識番号285002、特務隊フェイス所属アスラン・ザラ。乗艦許可を」

    アグネス「(『ふぇいす?』ってなに?特務隊は特務隊でしょ?ああ、略称か。わざわざ二重に言わなくてもわかるわよ。って今はそれどころじゃない。何で?認識番号?あなたにプラント国籍ないでしょ?わからん。そもそもマッド・エイブスに乗船許可を申請するところからして分からない。カーペンタリア基地司令部や艦長はこのことを知っているの?)」

  • 102二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 11:12:30

    宇宙猫背景になってるアグネスが見える見える

  • 103二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 11:17:36

    シン「ねえさっきの…あんた!なんだよこれは?一体どういう事だ!」

    シンが小走りでやって来たわ。こいつと意見が合うとは久しぶりね。どういうことかは私にも分からない…。
    一応分かっている範囲で伝えておくか。

    アグネス「シン。こちらは元ザフト軍パイロット、アスラン・ザラ先輩。え~とアレックス・ディノ名義でアスハ代表の…」
    シン「それは知っているって!何で今ザフトのパイロットスーツ着てるんだよ。この機体はなんだよ!」
    アグネス「この機体はセカンドシリーズのセイバー。そこから先は…、知らないわよ!」

    ともかく敬礼
    なにがなんだか分からないが、オーブの護衛官だろうが、アークエンジェルの亡命政権の官僚だろうが、特務隊(???)だろうが、一応敬礼。
    シン「何であんたが…」
    アグネス「取り合えず、シン。敬礼」

    マッド・エイブス以下その場にいた整備兵、ヴィーノ達も敬礼する。
    シンが荷物をメイリンに押し付けようとするので、足を全力で踏みにじる。
    シン「痛ッ」やっとシンも敬礼。
    アスラン「…」
    アスランが返礼の手を下ろしたタイミングで私達も治る。

    アグネス「(この状況はなに?反応に困るわ)」

    アグネス「艦長は艦橋ですか?」
    マッド・エイブス「ああ、はい。だと思います」
    アグネス「確認して御案内します」
    メイリン「私が御案…、あ…」

    被ったか。

  • 104二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 11:19:13

    アグネス「私達がご案内します」
    メイリン「はい」
    メイリンが元気に返事をする。ふむ。アリバイ証人は多い方が良い物ね。
    アスラン「あぁ…ありがとう」

    3人で歩いて行こうとするとシンがアスランを呼び止める。

    シン「ザフトに戻ったんですか?」
    アスラン「そういうことに、なるね。」

    アグネス「(何で?)」
    シン「何でです?」
    アスラン「…」

    アスランは答えずにそっぽを向いて歩きだす。感じ悪っ。っていうか何で。私も聞きたい。
    オーブに国籍離脱の手続きはしたの?義勇兵扱いなの?でもオーブは今準敵国というか敵国だから、義務が相反する。

    プラントの国籍取得は?こんなに短期間で出来るものなの。そもそもこの人何でここにいるの??
    分からん。聞き出さないと。とんだ厄ネタが乗り込んできたかも。

  • 105二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 11:39:59

    アスランが来たことでアグネスの胃が更なるダメージを受けそう

  • 106二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 15:03:02

    私とアスラン、メイリンで艦内エレベーターに乗り込む

    アグネス「アスラン先輩。質問を許していただけるでしょうか?」
    アスラン「うん?ああ」
    早速情報収集。興味本位ではなく死活問題だわ。
    アグネス「どうして急に復隊を?アスハ代表とオーブ政府に話は通してあるのですか?」
    アスラン「復隊したというか、まあうん…ちょっとプラントに行って議長にお会いして」
    アグネス「え?プラントで議長に?国家元首の護衛官とは言え、どうして」
    アスラン「特使として…」

    絶句。この人、アスハ代表とオーブ連合首長国の特使(文民)としてプラントに入国して、最高評議会議長と会見し、ザフト軍に復隊したんだわ。
    頭が痛くなってきた。それ国家元首とオーブという国への裏切りじゃない。

    アグネス「一応…。国籍離脱手続きと特使の辞任後の志願だったんですよね?」
    アスラン「いや…」

    不味い。気絶しそう。出来たらどんなに楽か…。この男、絞め殺してやりたい。いや、流石に返り討ちか?
    しかし、中立国の特別外交官が国籍離脱も正式な役職の辞職もしないまま、現に戦争中の国の軍隊に?あり得ない…。国際法とオーブ国内法違反じゃないのこれ。というか議長も何やってるの?!プラント内の法律にも、きっと抵触するわよ!
    あの出来損ないを弾劾しろ!最高評議会!

  • 107二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 15:07:54

    アスラン「それより、ミネルバはいつオーブを出たんだ?俺、何も知らなくて」
    私が怒りのあまり震えていると、アスランはメイリンに質問し始めた。

    メイリン「オーブへ行かれたんですか!?」
    アスラン「ああ」
    メイリン「大丈夫でした!?あの国、今はもう…」
    アスラン「スクランブルかけられたよ」

    スクランブル…スクランブル…変な汗が出るわ…。

    アグネス「スクランブル…。まさかセイバーに乗ったまま入国しようとしたんですか?!」
    アスラン「ああ。市民番号を伝えたが無駄だったよ」
    アグネス「オーブ市民権者が戦争中の国の最新鋭主力戦闘機に搭乗したまま、入国できるわけないじゃないですか!!というか先輩の今の国籍は?いや、その前にスクランブル…。まさか戦闘してないですよね?」

    私とメイリン二人でアスランの顔をじっと見つめる。
    流石に己の軽率さに思い至ったのか、気まずそうにしていたが、ついに真実を口にする。

    アスラン「戦闘になり、オーブ軍機の武装を破壊した。プラント国籍取得の手続きはしていない」

    メイリン「戦端を開いてきたんですか?!本国にもカーペンタリア基地にも無断で!せっかくアスハ代表たちが亡命して、戦争を避けようとしてくださったのに!」

    うぉ!メイリンよく言ってくれた。というよりこの艦のクルーならみんな同じことを言うか。

    アスラン「えっ!カガリが亡命なんで?」
    アグネス「知らなかったんですか…。見直して損した。ユウナ・ロマ・セイランに結婚を強いられて、結婚式と同時に大西洋連邦と同盟条約が締結される運びになっていました。おそらくアスハ代表はそれを避けようとアークエンジェル、フリーダムと共にオーブを脱出」
    アスラン「ええ!?」

    エレベーターが止まり扉が開く。もう付き合っていられない。
    付き合っていられないが、付き合わざるを得ないのか…。嫌だな。何でよりによってこの艦に。

  • 108二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 15:11:22

    キャラのやってる事は本編と全く変わらないのに、補足情報が少し増える事で本編以上のやらかしになる状態か…

  • 109二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 15:35:27

    デュランダルの疑わしさがこれでもかと披露されていく…でもダメコン出来て良いかもしれん。いきなり裏切られたと思うよりコイツおかしいって思いながらやらかされたほうがまし、ましかなぁ?

  • 110二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 17:55:30

    3人で艦長室の前に。
    アグネス「失礼します。艦長。アスラン・ザラ氏をご案内しました」
    タリア「ありがとう」

    アグネス「それでは」
    アスラン「ああ。ありがとう」
    メイリンと二人で敬礼 返礼を受けて退散。艦長、後はまかせます!

    踵を返し、しばらく。メイリンと別れ、私はシュミレーター訓練。メイリンはブリッジに顔を出さないといけない。
    ほんとは休みだったのだが、今更ね。しかし、議長はどういうつもりか、なぜセイバーを地上に?
    今一、意図が読めない。

    アグネス「(雑念を消せ、マインドフルネス、マインドフルネス)」
    陽電子リフレクター搭載MA、奪われた3機のモビルスーツ。何気にアビスが脅威かも。自分がゾノやグーンに乗ってあいつとやり合えるヴィジョンが見えない。おそらく水中でやり合おうという発想自体が間違っている。やつを海から釣り上げて、何とかインパルス等で仕留めることを考えるべき。

    アグネス「(まあ、月軌道の戦いなら、水も何もない。アビスは全力照射の際、3連装ビーム砲を発射するため、両肩のシールドを上げる隙がある。その瞬間がねらい目。シールドが上がる瞬間にビームライフル等を撃ちこむか、攻撃を躱しざまに撃ちこむか。カリドゥス複相ビーム砲撃は射角が狭いから…)」

    訓練とトレーニングを軽めに切り上げ、レクリエーションルームへ。

    ヴィーノ「ええ!マジで!?」
    メイリン「うん」
    ヴィーノの調子はずれの声に、やや押されたようなメイリンの返事が続く。
    そばにはヨウラン。

    アグネス「なになに。私も仲間に入れてよ」
    グイッと3人に近づく。アスランの話か、また何かやらかしたの?

    ヴィーノ「アグネス。艦長もフェイスになったんだって!
    メイリン「うん。いずれ正式に通達するけど、そうだって副長が。なんか凄い嬉しそうだったよ」

  • 111二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 17:57:41

    …。事態の急展開が続き、ちょっと頭が回らない。脳内をアビスが泳ぎ回っている気分ね。いや、艦長が特務隊任命。それ自体は大いに結構!これまでの勲功に見合ってはいるんじゃない。

    ヨウラン「副長関係ないじゃん」
    アグネス「ヨウラン、そう言うこと言わない。他人の幸せを素直に祝福できるのがあの方の素晴らしいところよ」
    見えないところで上司に媚を売る。こういう行いが後々良い方向に聞いてくるのよね。

    ヨウラン「あ…、確かに。副長そういうとこあるもんな」

    私とヨウランのやり取りを少し不思議そうに聞いたヴィーノがちょっとあれなことを聞いてくる。
    ヴィーノ「え?そうなの?副長は違うの?え?じゃあ俺達は?」
    このお調子者が…。
    ヨウラン「関係ねえよ。あのな、フェイスってのはな、個人が任命されるもんなの」
    ヴィーノ「ええ?」
    ヨウラン「何で知らないんだよお前はもう…」
    メイリン「はぁ…」

    メイリンにまで呆れられている…。しっかりして欲しいわ。
    あんまりバカばかりだとこの艦ほんとに沈むかも、いや不吉なことは考えるな!

    ヨウラン「個人的に戦績著しく、かつ、人格的に資格有りって評議会や議長に認められた奴だけが成れんの。その権限は、その辺の指揮官クラスより上で、現場レベルでなら、作戦の立案、実行まで命令できんだぜ?」
    ヴィーノ「へぇ~」
    ヨウラン「評議会直属のザフトのトップエリートだぜ?何でお前が関係あんの?」
    ヴィーノ「ヨウランだってそうじゃん」
    ヨウラン「そうだよ」
    アグネス「でも、アーモリーワンから戦い続けてきた艦長はともかく、アスランは任命資格満たして無い筈なんだけど…。前大戦のことに関してはプラマイゼロのはずだし。ちゃんと評議会と国防委員長の審査手続きを通っているのかしら?」

    私の言葉に周りは困惑する。

  • 112二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 18:00:29

    ヨウラン「さあ、あの人は特例なのかも?」
    アグネス「特務隊は国防委員会、最高評議会に直属するのであって、議長に直属するわけではない。
    職権乱用だとしたらほんと困るわ。艦長の任命は妥当としても…」

    メイリン「そう言えば、フェイスがあくまで個人を任命するものなら、ミネルバはどうなるんでしょうね。特務隊所属艦ってわけでもないでしょうし」
    ヨウラン「艦長…、いやザフト軍人タリア・グラディスがフェイスに任命されただけだからな。ミネルバ自体の所属には関係しない、となるとミネルバは月軌道艦隊所属のままか?」
    ヴィーノ「順序で言えばそう言うことだよね」

    議長が訳の分からない采配をするせいで大混乱よ。早く本体と合流しないと。

    モビルスーツデッキへ。ザクとバビそれにディンの調子を確認したい。
    そう思っていると何やら辛気臭い顔をしたアスラン発見。無視しよう。

    いや、無視している場合じゃないわ。聞かなきゃ困ることがいっぱいある。
    まず、敬礼 向こうも軽く返礼してセイバーのコクピット昇降機に乗ろうとする。

    アスラン「はぁ…」
    アグネス「失礼します。少しお話を…」
    アグネス「悪いが後にしてくれ。これから整備だ」

  • 113二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 18:04:22

    昇降機が上がっていく。
    なにこの男。というか新入りはそっちなのだから、もっとしっかり自分からコミュニケーションとってよ。
    皆、困惑しているのに何で自分から、状況を説明したり釈明したりしないの!
    これから、アスランはどうするの?!そもそもこの艦の配属になったの?ポジションは?
    艦長とアスランの命令系統は?これからの艦の運行行動に何かしら影響を与える指令を持ってきたんじゃないの?
    子供のお使いじゃないのよ!!しっかりして。

    もういい。私は私の仕事に戻るわ!

    アグネス「うん?シン?」
    シンがセイバーに乗って作業中のアスランを下から睨んでる。
    あいつムカつくわよね。一緒に悪口で盛り上がろうかしら。

    う~ん。ここだと、聞こえるとまずい。仮にも特務隊でどう転ぶか分からないから、今日は止めておくべきか。

    シン「…」
    そんなことを考えていたら、アスランと目が合った途端、シンは足早に去って行った。

    落ち着け私、人の振り見て我が振り直せよ。自分とアスランの整備が終わったら、もう一度話し合いを試みましょう。

  • 114二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 18:07:35

    偽ラクスに続き議長の怪しさが浮き彫りになってくるな
    持ってる情報って大事だね

    ここのアグネス基本的に目上の相手に失態は犯さないのにキレすぎてアスランに直接見直して損したって言ってるの笑う
    本人がいない所では呼び捨てになってるしよほど腹に据えかねてそう

  • 115二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 18:31:33

    ラクスとフリーダムのパイロットがオーブに匿われてるのを加味するとプラントとオーブの極秘関係でどうこうがあるのではと推察もできるんだろうけどね
    アスランの性格がギリギリでそれを跳ねのける

  • 116二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 18:36:32

    アグネスはカガリの行動を好意的に捕らえてて感謝すらしてるのに間が悪過ぎるアスラン
    わりとカガリの所に居ろよと願われてるのがまた

  • 117二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 19:01:11

    アスランが合流したから次はインド洋の戦いかな?
    シンのやらかしにアグネスはますます胃を痛めそう

  • 118二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 22:57:19

    整備を終わり、モビルスーツデッキを出たタイミングで副長のアナウンス!

    アーサー「全艦に通達する。本艦は明朝、カーペンタリア基地を出港、インド洋を経てジブラルタル基地に向かい、スエズ攻略を担う現地駐留軍を支援する」

    アグネス「(え…。ジブラルタル?スエズ?アルザッヘルじゃなくて。なんで?スエズは確かに地政学的な要所だけど、月の方がずっとプラントにとって防衛上大事じゃない!しかも明朝…。急すぎる)」

    アーサー「ユーラシア西側の紛争により、スエズ、ジブラルタル周辺の情勢は緊迫の度を増している。
    この戦争、プラントの立場は、あくまでも積極的自衛権の行使であり、領土的野心は存在しない。
    他方で我らは常に人道を重んじるザフト軍の一員として現地の人々と協調関係を築く必要もある」

    アグネス「(まだ上層部はその『積極的自衛権』とやらにこだわっているの!?それならそれで『積極的』の範囲を明らかにしてくれないと。現場の負担と混乱を増すだけよ!)」

    アーサー「急な出立に驚く者もいることと思うが、当作戦は南太平洋・インド洋から遠く離れたジブラルタルの友軍を救う非常に重大な任務である。各員の奮闘を期待する」

    だから、優先順位が違う!スエズよりアルザッヘル。月面の制圧を優先しないとプラントの安全が保障されないじゃない。ジブラルタルがすぐにでも陥落しかけているなら兎も角、違うでしょう。

    アグネス「(まったく議長の無能さには呆れるわ。いやこの場合は国防本部か?でも、アスランから艦長に指令が伝えられたなら議長主導か?どうなってんのよ最高評議会!)」

    アーサー「なお、心強いことにカーペンタリア基地から、ボズゴロフ級1隻を護衛にと申し出があった。協力して任務を達成しよう。以上」

    最期の言葉に愕然とする。膝が砕けそう…。
    アグネス「(ボズゴロフ級、ボズゴロフ級。要らない!ミネルバは快速艦よ。そもそもジブラルタルまで飛行していけばいいじゃない!鈍足艦は足手まとい。互いのためにならないわ。護衛をくれるなら、中身のモビルスーツとパイロット、整備兵だけでいい)」

    もう我慢できない。戦略面に関してはダメなら戦術面では意見を聞いてもらわないと。

    速足で副長室に向かう。まだ間に合う。ボズゴロフ級だけは要らない、上申しなければ。

  • 119二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 23:01:35

    通路で、まだ不貞腐れた顔をしたシンと遭遇。丁度良い。
    アグネス「シン!明日からの任務、ボズゴロフ級の護衛についてどう思う?必要か不要か?」
    シン「どうって?ボズゴロフ級は足が遅いから…。味方モビルスーツの数が増えるのはありがたいけど」

    キョトンとした顔で答えるシンを一気に畳みかける。

    アグネス「私もあんたと全く同意見だわ!ボズゴロフ級を護衛で連れて行ったら、逆にミネルバがその艦の護衛をしなければいけなくなる。それじゃ意味ないわ。
    まだ、ミネルバの艦載スペースには若干の余裕がある。今、インパルス、セイバー、ザク4機、ディン2機、バビ2機の計10機だから、頑張ればあと5機程度は艦載運用可能なはず。
    ボズゴロフ級はポイして中身のモビルスーツとパイロットと整備兵と、あ…それから衛生兵だけいただくのが正解よ。そうは思わない?」
    シン「え…え…まあ、そうだね」

    アグネス「じゃあ一緒に副長室へ。共同で上申しましょう」
    パイロット一人より連名の方が効果あるはず。ほんとは全パイロットで足並みをそろえたいが、アスランとかいう爆弾がどう爆発するか分からないし、何より時間がない。

    シン「レイも呼ぼうか。この意見には賛成してくれると思う」
    アグネス「そうしたいけど、時間がない。基地司令官が最終命令書にサインしてしまったら、引っ込みがつかなくなるのよ。駆け足、始め!!」

    シンと艦内を駆ける。不思議というか謎な状況過ぎる。

    アーサー「話はよく分かるが、ニーラゴンゴにも、もう命令が届いているだろう。今更間に合わない」
    付いてくる予定の艦はニーラゴンゴ。要らない!浮き砲台にすらならない。

    副長室に駆けこむ様に押しかけ、敬礼もそこそこに必死で副長を説得する。シンは案山子になっている。
    まあ、案山子役が欲しくて連れて来たのだから結構。

  • 120二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 23:05:21

    アグネス「勿論、小官もそれは重々承知です。ミネルバから不要扱いされれば、ニーラゴンゴのクルー達がお気を悪くされることも。ですが、ことが起こった時により危険になるのはミネルバではなくニーラゴンゴです。
    そもそも隠密性が一番の潜水艦がミネルバと行動を共にすることにさほどのメリットが有るとは思えません。
    基地司令官のご厚意を仇にしない為にも、戦友の命のためにも最善のご判断を」

    アーサー「いや、自分もその通りだとは思うよ。でも、『お前の船は不要だ。モビルスーツとパイロットと整備兵と衛生兵だけよこせ』なんて無茶は…」

    アグネス「(し・か・し。あるのよね。こっちには!その無茶を通す禁断の方法が!)」
    アグネス「艦長がフェイス権限を行使すれば、いかがでしょうか?」
    アーサー「?! いや、あーそうか。なるほど…」

    副長のポンッとする動作。安心するわ。そうよ。これが上官になったら必要なんだ。覚えておこう。
    副長はまだ思案顔。ここで―

    アグネス「シン!意見は?」
    ここでシンに話を振る。この一言のために連れて来たのよ!頼むわ。
    シン「俺、いや自分は…。えっと。せっかく権限があるなら使うべきと思います。誰も無駄死にさせたくありません」

    副長はしばらく考え込んでいたが―

    アーサー「分かった。自分から艦長に伝えておく。二人が熱心に上申してくれたことも記録に残しておくよ」

    アグネス「ありがとうございます!(100000アグネスポイント!!)」
    シン「ありがとうございます」

    良し。これで、おんぼろ船はサヨナラね。
    敬礼して退出しようとすると、シンがまだ、副長に話がありそうな目をしている。

  • 121二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 23:11:43

    シン「うん。副長。質問しても良いですか」
    アーサー「なんだい」
    シン「あの人、アスランさんは結局この後どうするんですか?この艦のパイロットになるんですか?」

    あっ、それ、私も気になっていたんだ。ニーラゴンゴの事に気をとられていたわ。

    アーサー「それがまだ良く分からないんだ。艦長も。そもそもフェイスである彼に艦長は命令権がない。
    しかし、彼は艦長の上官と言う訳でもない。身分不明確なんだ」

    それではまた、別の疑問がわく。

    アグネス「艦長とアスラン先輩の命令権の優劣はつけがたいと。
    では、副長とアスラン先輩はどのようになるのでしょうか。
    これまでモビルスーツ隊の上官は副長でしたが、アスラン先輩がパイロットになった場合も副長が上官ということでしょうか?指揮命令権はどのように理解すれば良いでしょうか?」
    アーサー「うーん。それが良く分からないんだ。一応クルーゼ隊の前例を…、いや、彼の名前は禁句だな。そもそも状況が違い過ぎる」

    戦犯クルーゼ!!ザラ前議長を誑かし、騙し、戦争犯罪人に仕立て上げた人類史上類を見ない大悪党。
    私達ザラ派から見れば100万回殺しても殺したりないわ!

    シン「…。じゃあ、あの人、ほんと何しに来たんだよ…」

    シンがボソッとこぼす。まあ、戦いに来たんじゃない?
    アスハ代表とオーブ亡命政権のために戦ってくれれば、1番プラントのためになったのに。あの人は何の味方なの?

  • 122二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 23:16:16

    アーサー「シン、それにアグネス。言いたいことが有るのは分かる。艦長も自分もそうだ。前例がない。でも、アスラン君もまた、戸惑っているんだ。何か言いたいことや意見が有れば自分が聞くから、彼に八つ当たりをするようなことは止めて欲しい」

    アグネス「分かりました。小官は、常に人は己が行ったことのみに責を負うべきと考えています。八つ当たりなど元よりするつもりもありませんが、お心遣いに感謝します。上申するべきことが有ればすぐに行い、それが間違いであればご訂正をよろしくお願いします」

    敬礼 隣のシンにアイコンタクト シンも敬礼

    副長の返礼を受けて直り退出。
    アグネス「失礼しました。愚見をお聞きいただき感謝いたします」
    シン「失礼しました。お話を聞いていただきありがとうございます」

    さて、ニーラゴンゴからくるモビルスーツは何かな?

  • 123二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 07:20:11

    今からアグネスの胃が持つか心配だな
    迷ってるアスランはトラブルメーカーなとこあるし

  • 124二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 18:03:34

    ちゃんと戦力が増強されるの素晴らしいな

  • 125二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 18:31:51

    アスランの迷走ターンに突入か
    うう、戦術とかは流石となるんだろうけど
    そもそもここにいるべきなのかという点からダメ出しが多そう
    ミーア夜這いイベントとかどうなるんだ、ミネルバメンバー議長のラクスのこと知ってるのに

  • 126二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 18:56:06

    アグネス「グーン一個小隊3機…」

    モビルスーツ格納庫にはニーラゴンゴから『お引越し』してもらったモビルスーツが新たに3機。
    要らない。ミネルバは資源ゴミ回収船じゃありません!
    せめてそこはゾノとかアッシュじゃないの?グーンは傑作機だけど、流石に型落ちでしょう!
    これをたった3機かそこら、亀さんみたいなボズゴロフ級に積んで『護衛』とか本気だったの?!

    アグネス「(私と艦長と副長とシンに、ニーラゴンゴ全クルーは感謝するべきね。インド洋の藻屑にならずに済んだことに。命の恩人よ、私達。ほんとに!)」

    ちょっと目線を移すとグーン小隊の緑服パイロット達と元ニーラゴンゴ整備兵達が視界に入る。
    衛生兵たちは医務室に合流したのだろう。

    アグネス「(緑服の若いモブ顔の男パイロット3人。華なし、異性として相手にする意味なし。ただ、カーペンタリアの水中部隊は前大戦から有名)」

    敬意を最大限表さねば。媚を売らなければ!私の手柄の踏み台になってもらうために。

    グーン三人衆と整備兵の下へダッシュ!あちらの視点がこちらを向く一瞬前に直立不動、敬礼。 
    返礼を受けたらそのままダッシュで目の前まで接近。

    アグネス「お忙しいところ、誠に申し訳ありません。一言ご挨拶を。
    小官は、本艦ミネルバ所属パイロット、アグネス・ギーベンラートと申します。
    皆様方の着任を心底より有難く、心強く思います」

    姿勢を正して、急ぎ過ぎず、もったいぶらず、一息に話しきる。
    どうだ!言う分にはただよ。

  • 127二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 19:00:23

    3人のパイロットと整備兵達は一瞬互いに目配せをし、私を上から下まで見、胸をと言うか私が左胸に着けている略綬を確認し、私の名前、特に『ギーベンラート』という名字を口の中で確認した後、表情を変え、もう一度、今度はきちんと敬礼をしてくれる。
    さっきのは手抜きだったのね…。返礼。

    代表格の緑服パイロットが前に来た。
    右手を厚かましくない程度に差し出すとガッチリ握手してくれた。勝った1000000アグネスポイント。

    緑服パイロット「わざわざありがとう。こちらこそ。俺達、皆、今日からミネルバの仲間に加わる新入りだ。
    ずっとボズゴロフ級とかに乗っていたから、こういう新しい宇宙艦に不慣れで…。色々世話になるよ」
    アグネス「いえ、こちらこそ、胸をお借しいただければ幸いです。任務達成のため全力を尽くしたいと思います」

    一旦挨拶が終わると、今度は艦内電話機にダッシュ!

    レイ、シン、ショーン、デイルに連絡を付け次々、モビルスーツデッキに呼び出す。挨拶させなければ!
    トラブルを防ぐために。アスランは…、特務隊を呼びつけるわけにもいかないか…。
    取り合えず、ニーラゴンゴ組の到着だけでも知らせよう。

    視線をデッキに戻すと私の挨拶を皮切りにニーラゴンゴ組改め新ミネルバ組とヴィーノやヨウラン達整備兵達が談笑し始めている。
    ヴィーノ「へぇ。潜水艦の中はそんなに…」
    元ニーラゴンゴ整備兵「いや、これでもかなり…」
    ヨウラン「アーモリーワンの時自分は…」
    グーンパイロット「そんなことになっていたとは…」

    少し遠巻きに眺めていたマッド・エイブスにアイコンタクト。悪くない。悪くない感触みたいね。

  • 128二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 19:55:38

    どんどん中間管理職じみていくなこのアグネス…w

  • 129二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 19:58:43

    >>125

    そういやこのアスランはシンやアグネスたちがラクス本人やキラと会った+艦内で広めたの知らない状態でミーアが影武者だとバレないよう必死に振る舞うのか…ひでぇww

  • 130二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 20:02:09

    不和のタネなんて死の誘いだから仲間のパイロットの皆さんに自分達から挨拶させるのは基本だけど
    ほんとに頑張ってるよこのアグネス

  • 131二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 21:20:16

    アスラン「はい。こちらアスラン・ザラ」
    アグネス「お忙しいところ失礼します。アグネス・ギーベンラートです。今、モビルスーツデッキにニーラゴンゴから…」
    アスラン「その報告はもう受けている」
    アグネス「では、ご挨拶に。是非いらしてください」
    アスラン「…」

    我がミネルバ隊も参集。4人で敬礼してこちらに来る。
    シン「遅れました。初めまして!」
    レイ「着任。ご苦労様です」
    ショーン「明日からの任務、よろしくお願いします」
    デイル「スエズを落としましょう。皆で」

    緑服パイロット「ああ!」
    緑服パイロット「こちらこそよろしく!」

    よし…よし…。ちゃんと各々、挨拶と自己紹介を始めているわね。一安心。
    後でささやかながら食事会でもしましょう。もう少しで夕食だし。
    ショーンに目で合図、近寄って来た彼に『お食事会 新旧ミネルバ 夕食 食堂』と書いたメモを渡す。
    ショーンは頷くと彼方に戻って行く。

    アグネス「先輩。これから皆さんと食事会をしようと…」
    アスラン「悪いが。今、そういう気分にはなれない。新しく来たパイロット達によろしく伝えてくれ」ガチャ。

    え…え…。というか自己紹介。あれ?そういえば、アスラン、着艦時、あそこにいなかった人には自分からコミュニケーションすらしてない?まさかね?そんな…まさか。いや、そんなことより!

    アグネス「(何もワルツを踊れと頼んでいる訳じゃない。せめて楽しそうな顔だけでもして。戦争中なんだから、仲間内ぐらいにはニコニコして!着任時の挨拶、まさかあれで終わりにするつもりなの?)」

  • 132二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 21:27:34

    ショーンの『お食事会 OKです』の合図に『ありがとう』のアイコンタクト。

    う~ん。部屋まで迎えに行くしかないのか…。私が?何で?誰もやってくれないからね…。

    ジェスチャーで『アスラン 呼んで来る』のサイン。
    一足先にモビルスーツデッキからお暇する。

    落ち着け。アンガーコントロール。マインドフルネス。
    落ち着け。上官に媚を売るチャンスと思えば…いや、あの人上官じゃないし。
    そもそも、プラントの人間ではない。あれ?これおかしくない?
    他国民のアスランに私達プラント国民への命令権あるの?
    いや、ザフト軍人同士だから、義勇兵扱いだからOKなのか?
    でも、あの人の入隊手続き絶対、法的な瑕疵があるわよね。

    前大戦の時、クライン派とアスランは様々な違法行為を行った。
    でも、それは『通常戦争が絶滅戦争に移行し、全人類が明白に切迫した滅亡の脅威にさらされている』という極めて異例の事態ゆえに事実上の免責となっている。

    前回と今回は状況が異なる。別に無理してアスランを復隊させる理由はプラントにも国際社会にも存在しない。
    何よりアスラン本人にも無いはずよね…。

  • 133二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 21:33:24

    >>131

    アグネス「戦争中なんだから、仲間内ぐらいにはニコニコして!」 


    本編の「ニコニコ笑って戦争はできませんよ」を踏まえたセリフが味わい深い。

  • 134二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 21:33:52

    どうして、議長もこんな中途半端な…、はっ!!

    アグネス「(違うわ。この中途半端なアスランの身分を利用して、彼を自分の私兵にしようと企んでるのね!
    自分が軍に顔が効かないから特務隊制度を利用して私兵を蓄えようと…。許せないわ。あのワカメ頭!)」

    それで愛人の艦長もフェイスに。今なら艦長の特務隊任命に批判は出ない。艦長のフェイス入りは適法なのだ。
    そして、そのついでのようにさりげなく、脛に傷があるアスランを特別待遇で再入隊させる。

    それとは別口に前大戦のシャトル誤射の件を、敢えて表ざたにしたうえ、イザーク先輩を恩赦で解決。
    あれは戦場の混乱の中のグレーな出来事だから、死刑判決は免れ得ただろうに。きっと先輩が潔い姿勢でいることに付け込んで、ジュール家に貸しをつくると同時に若手ザフト兵に好印象を植え付けたんだわ。

    それらの目的は、ザフト軍内部に『デュランダル派』を形成するため。
    この艦をその手始めに『クライン派のエターナル』にあたるポジションに持っていく。
    とすると、クライン派にはエターナルが有るのに、さらにミネルバを欲するのは…。
    派閥独立を目論んでいるのか、あいつは!
    カナーバ、飼い犬の躾すらまともにできないの!!あの、無能婆め!!!
    クライン派の摂政失格ね。まあ、あんな条約結ぶ人間だものね。端から期待していなかったけど、これほどとは!

    アグネス「(あの愚図を不信任議決議して、職権停止にして。エザリアおば様は…、イザーク先輩のことが有るからワンクッションおかないと。そうなると、やっぱり、ライトナ―評議員ね。何とかパパに連絡を)」

    しかし、どうやって?あいつは腐っても議長。ここからでは本国に連絡が…。
    通信の秘密なんか議長権限でビリビリにしそうだし。議長がうさん臭くて、ザフト軍内規やプラント国内法に抵触しかねないことをしていて、自派の派閥拡大に熱心なことは確かなのだけど、リスクをとって伝達するメリットがあるのか。いや、本物のラクスのこと、アスハ代表とアークエンジェル亡命の件は話し合わないとダメよ。

  • 135二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 00:18:52

    アスランの部屋に到着

    アグネス「失礼します。アグネスです。アスラン先輩、是非皆さんとお食事会にいらしてください。先輩の着任祝いも兼ねて」
    アスラン「…」
    アグネス「アスラン先輩も私達と話したいこと、聞きたいことが有るのでは在りませんか。どうか胸襟を開いて…」
    アスラン「分かった。行くよ。少し待ってくれ」

    やっと腰を上げたわね…。この人、自分が動くのに一回勿体ぶらなきゃいけない癖でもあるの?本当に腹立つ!
    早く出て行って欲しい。訂正、戦力としては欲しいわ。ただ戦士としてだけなら欲しい。
    あとの部分はポイポイポイで。

    アスラン「お待たせ」
    アグネス「アスラン先輩。スマイル、スマイルです。皆さん食堂に向かっていますよ」

    そのしかめっ面何とかして。察してちゃんなの?周囲を不機嫌でコントロールしたいわけ?
    社会は貴方の母親じゃない!
    皆、それぞれ事情を抱えて生きてるの!
    私の家だって、貴方のお父様の不始末で起きたクーデターで、危うく没落するかもしれなかったのよ!

    私の言葉を微妙な顔をしながら、眺めていたアスランは、ふと思い出したように表情を改める。
    アスラン「アグネス・ギーベンラート。いや、すまない。君に迷惑をかけたいわけじゃないんだ」

    うん?なんか急に態度が…、正気に戻った?それとも、これが精神的DV、ってやつ?いや、この場合はパワハラか。

  • 136二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 00:22:34

    取り合えず、通路を歩きながら話を聞く。

    アスラン「君はカガリにも以前の俺にも親切にしてくれたていた。それなのに俺は、今日この艦に来てから、今まで自分のことにばかりに必死で。思い至らなかった。お世話になったのに…」
    アグネス「(今頃か!)いえ、あの時は自分も必死ですべきことを。今日は、私も先輩に失礼な発言が有ったかも知れないと、反省しています」
    アスラン「君が反省することなど何もない。言われて当然のことを俺はした」

    う~ん。どうする?ここは仕方ない。大人になれ、私は上に行く人間なのだから。

    アグネス「では、もし先輩がよろしければ、仲直りの握手、してみます?」

    そう言って、遠慮がちに(か弱く遠慮がちに)右手をそっと差し出す。アスランは少し迷うそぶりを見せたが、しっかり手を握ってくれる。この人がアホでなければ、ときめくシチュエーションなのだけど。

    アグネス「(もう、この人の本性ばれてるし、厄ネタの塊だしね)」

    互いに握った手を離す。うーん。赤服でフェイス、良いとこまではいっているが、ダメね。これは。

    歩みを進める。
    アスラン「ところでカガリが亡命したというのは、その…、本当なのか?」
    アグネス「はい。オーブ政府は隠したがっていますが、あれだけの数のマスコミの前で起きたこと、無理があります。フリーダムのパイロットはキラ・ヤマト氏。読唇術が得意なクルーが、アスハ代表が直接口にするところを中継で目撃していたので間違えありません」

    アスラン「キラとアークエンジェルが…。なら、誘拐という線はない…」
    アグネス「オーブ軍の追撃は明らかに精彩を欠いていました。国家元首への誤射を恐れていた…というよりは、それを言い訳にして亡命をアシストしていたように思います」
    アスラン「君の推測か?」
    アグネス「推測ですが、確信です。先輩から見れば赤子同然と思いますが、幾たびか実戦を経験すると何となくわかります。彼らにアークエンジェルを阻止する意思は希薄でした。オーブ軍には、まだまだ強いアスハ家への信頼があるのだと思います」

    アスランがため息をつく。
    アスラン「そうか。もっとそれをわかっていたら…」

    えっ、今そこ?

  • 137二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 00:29:47

    アグネス「あそこが食堂です。私も先輩が復隊した経緯、デュランダル議長、今のプラントの様子など聞きたいお話はたくさんあるのですが…」
    アスラン「ああ。俺から話せることは何でも」
    アグネス「ありがとうございます。それはそれとして…」

    耳元でアドバイス。というか注意事項。明日からの任務、私の生還、勲功のためにもここで決めてもらう。
    アグネス「今日は歓迎会。交流会。無礼講です。敬礼とかはなしで。シンが突っかかって来ても大人の対応を。
    先ず、扉を開け、皆が敬礼しようとしたら、それを制して自分から自己紹介してください。お願いできますか?」

    上目づかいでアスランを見上げる。この男、多分これ全部言わないと分からん系の人よ。
    お願いだから、せめてこの場だけは頼むわよ。

    アスラン「わかった。そうする…」
    アグネス「ではいきますよ」

    アイコンタクトをして、食堂の扉を開く。
    既に、新旧ミネルバクルー、パイロットが談笑しながら夕食会を始めている。
    立ち上がって、敬礼しようとする皆をアスランが制するのを確認。
    ちなみに私は、アスランの後ろでさりげなく敬礼。

    さて、アスランお願い―

    アスラン「認識番号285002、特務隊所属アスラン・ザラ。今日から俺もミネルバの一員となる。皆よろしく頼む」

    う~~~ん。65点ぐらいか…な。

  • 138二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 00:33:08

    このアグネスめっちゃ優秀ですやん

  • 139二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 00:54:11

    凄く硬い…でもアスランらしいな

    運命時空は誰が入ってきてもお手上げなくらいキツイと思うが、もしアスランずっとカガリの側にいてくれたら色々解決しそう

  • 140二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 08:43:39

    アスランくん係のアグネスさん

  • 141二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 08:50:46

    この時のアスランって1人で色々抱え込んでる所を議長にうまいこと誘導された状態だからミネルバクルーが持ってる情報を提示されたら本編よりいい具合に話が進むかもしれないね
    大変だががんばれアグネス

  • 142二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 09:06:11

    アグネスがルナマリアに抱いていた、面倒見の良い優等生ポジに自分が収まってるのは笑うわ
    相手がアスランだからとかじゃなくてシンにも面倒見が良い
    ここのアグネスは自由でコンパスに参戦してもシンに突っかからないし裏切らないアグネス

  • 143二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 20:06:14

    ここのアグネスは聡明だな
    ミネルバって議長の息がかかってるけど頑張って命と地位を守り抜いて欲しい

  • 144二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 20:10:29

    このアグネスは劇場版で裏切らずに、逆にキラをかばって、シュラに斬られそうだ、、、

  • 145二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 20:26:42

    アグネス「終わった~。ただいま、おかえりメイリン」
    メイリン「おかえりなさい、ただいま、アグネスさん。疲れましたね」

    お食事会を何とか無事(?)に終わらせ、メイリンと自室に。
    元サブマリナーな皆様のプライドをくすぐり、先が見えない現状にげんなりし始めているクルーを励まし、コミュ障のアスランのフォローを行い、シンをなだめすかし…。とても一人では対処できないから、メイリンと二人三脚。

    アグネス「メイリン、巻き込んでごめん!これも生きてジブラルタルに辿り着くためよ」

    自分の勲功狙いだけってわけでもないわ。まじで。

    メイリン「いえ、でもなんか大変でしたね」
    アグネス「コミュ障男子を一気に相手にするのが、あんなにきついとは...。舐めていたわ。正直」

    大変ですまないわよ。バカかアホかと。男子の皆さんは良いですよね、不機嫌そうな顔をしてたら、職場や学校の女性がさりげなく気を使ってくれますものね…。殺意がわいてくるわ!

    大体、これでは逆でしょう。男どもは本質的には私のご機嫌を伺うべきなのよ!
    その時その場の対処で私が気を使うことは有ったとしても。

    メイリン「まあまあ、女性に生まれて得をしている面も有りますから…」

    アグネス「そうね。態度に出ないように気を付けるわ。ありがとう」

    というか、それどころではない。
    アスランをみんなで質問攻めしていて、話が特務隊徽章授与の下りになると、とんでもない事実が明るみに。

    アグネス「議長!!!祖国の生殺与奪の権を一外国人に渡すとは!本気なの!皆、唖然としていたわ。ヨウランはコップ落としていた」

    メイリン「『我等が誤った道を行こうとしたら君もそれを正してくれ。だが、そうするにも力が必要だろ。残念ながら』って要はそう言うことですよね。白紙委任の反逆許可証を口頭とは言えアスランさんに出していたなんて。
    正直、もうあんまり議長のこと、信じられません」
    アグネス「レイは必死に『議長は例えとしておっしゃっている』とかフォローしてたけど。アスランもなんか庇ってたし。でも、例えでも言って良いことと悪いことが有るでしょう、政治家なら。もう、あの議長ホント無理だわ」

  • 146二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 20:32:23

    夕食会に同席してくれていた副長も「ええぇー」って言ってたわ。まあ、同じような反応をよくする人ではあるけど。
    余りの衝撃に偽ラクスのことさえ忘れていた。まあ、それは後で聞くとして―

    アグネス「明日からの任務も、今一つ要領を得ないのよね。百歩譲ってスエズ攻略を優先するとして、何でペルシャ湾の奥のマハムール基地に行くの?」

    食事会後の追加命令放送でまたしても爆弾投下。私達はジブラルタルに行くと思っていたのに、向かう先は旧イラン領だった。何で?

    アグネス「喜望峰沖を飛行して、直接ジブラルタルの攻略軍本体に合流すればいいじゃない。そう思っていたのにペルシャ湾。ペルシャ湾を軽視するわけじゃないけど、明後日の方向過ぎるわ。実際、命令では最終的にジブラルタルに行くことになっているのに」
    メイリン「さあ…。マハムール基地は親プラント国の汎ムスリム会議の領土内にあるから…、差し迫った危機にあると言う訳でもないでしょうし。うーん。スエズを狙うなら、アラビア半島、紅海に行くべきなのかも…。どうなっているんでしょう?」

    まあ、ニーラゴンゴを置いていくから、ペルシャ湾までは離水、飛行していくことになる。お荷物を連れて行った場合よりは圧倒的に速く着くでしょう。ただ、敵航空基地や空母機動艦隊には気を付けなければ。空戦の備えを。

    アグネス「はい。やめ。おやすみ、メイリン。ともかく、明日を乗り切ってペルシャ湾へ。愚図な議長のことはその後に」
    メイリン「おやすみなさい。アグネスさん。インド洋、結構広いですからね。頑張りましょうね!」
    アグネス「うん」
    瞼を閉じる。アスランが議長のセリフを皆に話したとき、周囲との認識のギャップに驚いていた。あの顔!
    そこは貴方がその場でツッコミを入れるところでしょう?!
    議長…、いよいよ勘弁ならない。落ち着け、マインドフルネスマインドフルネス。
    おやすみ私-。

  • 147二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 20:40:29

    広がる議長への不信感の輪
    情報の大切さを痛感するね

  • 148二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 21:03:42

    アスランが本編のハツカネズミ状態のままなので相対的にどんどんアホの子具合が増していく
    お前はカガリの周りで何を学んだんだ…

  • 149二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 21:14:44

    ただの私設護衛だから閣議とか議会とかの中には入れなかったんだと思う
    カガリも自分の不甲斐なさでもあるお飾り状態をどこまでアスランに吐露できていたのか
    アグネスは親に政治的な観点の教育されてるよね、きっと
    でもアスランってプラントに戻ってからザフト入隊まで機械工学とかを学んで政治とかはノータッチだったんじゃないかな

  • 150二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 00:12:02

    翌朝、甲板に皆で整列。敬礼して、休む暇のなかったカーペンタリア基地と別れを告げる。

    アグネス「(私は平気だけど、他のクルーの疲労蓄積地味に進んでない?軟弱なナチュラルとは違うとは言えども)」

    ミネルバは微速前進。港を出たところで離水、飛行を開始することになる。
    敬礼が終わったところで、アスランを見かけ、また敬礼。直ってご挨拶。

    アグネス「おはようございます。アスラン先輩。昨日の夕食会では申し訳ありません。先輩に恥をかかすつもりは…」
    アスラン「いや…、皆に聞かれるまま話したのは俺で、そもそも皆が知りたがるのは当然で…」
    いつも通り、無駄に深刻気な顔のアスラン。昨日、議長の『反乱容認発言』をうっかり、というか、あまり本人は問題視せず口にして、皆に引かれたことを気にしているようね。
    気にしてくれないと困るわ。

    アスランは少し迷った後、話を切り出す。
    アスラン「アグネス。議長は…、俺を信頼しているから、そのたとえ話として…」

    議長の言葉をそのまま真に受けたのね…。そもそも、貴方、もっと頭が良いはずでしょ…。どうしたの?一応、問いを投げてみるか。

    アグネス「アスラン先輩は議長と信頼関係を築けるほど、長い、あるいは、深いお付き合いがあったのですか?」
    アスラン「いや…。議長にお会いしたのは、アーモリーワンでこの艦に乗ってからが初めてで…」
    アグネス「つまり、交流期間の長さ基準とするなら、アスラン先輩と議長の距離は、先輩とシンとの距離とだいたい同じ。それ以前にお会いしたことが有る私のほうが距離はより近く、アスハ代表たちとは比べるべくもない?」
    アスラン「それは…、そういう見方もできるか…」

    虚を突かれたような顔をするアスランと甲板を降りていく。飛行形態変形のため、皆持ち場に戻って行いる。私達パイロットも自主待機しなくては。いつコンディションレッドになるか分からない。
    アグネス「では、なぜ、そこまで議長を信じられるのです?」
    アスラン「それは…」

  • 151二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 00:14:28

    アグネス「(いかん。この人、所謂お人よしだ。『良家の育ちで、本人の人柄も良く、才能もある』こう云う人って、馬力が凄い分、付き人がしっかりしてないと良いように利用されてしまうのよね。私が言うのも変だけど)」

    しかも、アスランには今付き人いない。私がなるかって?ごめんだわ。私は士官。むしろ付き人を付けてもらう側になり上がる人間よ。自分が従卒になりたいかと言えばNO。副官になるとしても、今のこの人じゃあね。

    アスラン「議長は…、再び起きかねない戦火を止めたいと…。」
    アグネス「コープランド大統領も、要約すれば同じようなことを言っていましたよ。私は信じませんが」
    アスラン「!?」

    流石に、このタイミングで『私は議長を信じていません』とは言えないからね。
    というか、しまった。言い過ぎたわ。なんか、アスラン、混乱し始めたわ。ともかく一旦切り上げ。

    アグネス「アスラン先輩。本艦は飛行中です。機体に自主待機しましょう」

    2人でモビルスーツデッキに向かうと、そこにはシン、レイ、ショーン、デイル、グーン三人衆の姿も。やはり皆、飛行中の変事に備えて、自主待機に来たのね。考えることはパイロットなら、皆同じね。丁度良い。立ち回りのチェックをしておきますか。

    アグネス「レイ。あんたと私は今回バビね」
    レイ「そうなるな。マハムール基地まで」

    特に異存はなさそうね。次―

    アグネス「ショーンとデイルは、悪いけどディン。飛行中に戦闘になったら、フレア弾とチャフで艦腹と艦底を守って、両手の重突撃銃と対空散弾銃は、両方ともビーム突撃銃に代えた方が良いわ」
    ショーン「良し来た!」
    デイル「おう!わかった」

  • 152二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 00:16:55

    アグネス「外洋では、アビスがどうしても気になる。ディンでは勝てない。死なないこと優先。
    あの機体はMA携帯からMS形態に変形する瞬間と両肩シールドを上げて全力照射する瞬間に、それぞれ一瞬隙ができる。二人で連携!両手のビーム突撃銃二人で4丁、連続全力発射して。カリドゥス複相ビーム砲は射角が狭いから、狙いを付けるときは機体ごと向きを変える。落ち着いて観察すれば避けられる。いざとなったら脱出を。勿論、やつらが、現れればだけれども」
    ショーン「わかった」
    デイル「わかった」

    シンが疑問顔。なに?
    アグネス「どうしたの?」
    シン「いや、アビスに随分こだわるなって」
    アグネス「あの機体。私が連合の将なら絶対、海中戦に投下する。月軌道にはいかせない。ペルシャ湾も含む全海洋があいつのテリトリーよ。水中モビルスーツ、というか潜水兵器は『そこに居るかもしれない』という存在感が最大の武器。逆を言えば私達は外洋に出たならそれに備えないと」

    シン「確かに。歴史の本にも書いてあったな。潜水艦について、そういえば」

    グーンパイロット「俺たちは?」
    アグネス「皆さんは…」
    というか、この3人に私が命令するわけにはいかないような…。いや『アドバイス』なら良いのか。

  • 153二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 00:21:09

    アグネス「少しお待ちください」

    艦内電話をブリッジへつないでもらう。
    アーサー「アグネス。どうした?」
    アグネス「今、パイロット皆、モビルスーツデッキに自主待機しています」
    アーサー「それは良い。それで?」
    アグネス「グーンのパイロット3名ですが、ペルシャ湾までグーンを海中投入する機会はないかと思います。ザクに乗っていただくことも考えましたが、シュミレーターでの訓練がまだ、十全とは言えません。いかがいたしますか?」
    アーサー「わかった。3人に繋いでくれ」

    アグネス「どうぞ」
    グーンパイロット達「ありがとう」

    どんな指示だろう。聞き耳を立てる。
    アーサー「水中モビルスーツないし、水上艦を発見した場合はカタパルトハッチを開放する。ブリッジの指示したタイミングでモビルスーツの腕を突き出して、7連装魚雷発射管から魚雷発射を。滑り落ちないように注意せよ」
    グーンパイロット達「了解」
    3人から受話器を受け取ると副長から指示。

    アーサー「アグネス。シンに代わってくれ」
    アグネス「はい」

    シンを呼ぶ。

  • 154二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 00:23:56

    アーサー「戦闘発生時はシルエット換装機能を使い臨機応変に。ブラストシルエットで甲板を守るか、フォースシルエットで出撃するか、指示をよく聞くように」
    シン「はい!」

    艦内放送
    アーサー「全艦に通達する。本艦は現在インド洋、スマトラ島近海を…」
    バート「艦長!」
    タリア「え?」

    艦内放送にバートと艦長の声が割り込む。

    メイリン「コンディションレッド発令。コンディションレッド発令。パイロットは搭乗機にて待機せよ」

    アグネス「(始まったわね。)」
    チラッとさっきから困り顔のアスランに目線をやる。しまった。ほんと言い過ぎたわ。
    戦闘の可能性が有るタイミングで!…。あれ?この人、そもそもどうするんだろう?
    う~ん。この艦でのポジションが分からない。

  • 155二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 09:00:24

    シンが疑問を持ってそうなら先んじて尋ねたり視野が狭まって議長を信じ切ってるアスランの思考に一石を投じたりアグネス頑張ってるな

  • 156二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 09:29:37

    バビに乗り込み回線をオープン。ブリッジの緊迫感がダイレクトに伝わってくる。
    バート「熱紋照合…ウィンダムです。数30!」
    タリア「30?」
    バート「内一機はカオスです」
    タリア「あの部隊だって言うの?付近に母艦は?」
    バート「確認できません。それとこれは…。ザムザザーです!数1」
    タリア「!?  ブリッジ遮蔽。対モビルスーツ戦闘用意。タンホイザー起動。ミネルバ急速旋回開始。陽電子リフレクターで敵が庇いきれない分のモビルスーツをまず薙ぎ払う。対モビルスーツ戦闘用意。タンホイザー発射後、即時に発艦」
    アーサー「了解。ミネルバ急速旋回開始。タンホイザー起動!射線軸コントロール移行!照準、敵モビルスーツ群!」

    私もバビを起動。手早くコクピットの操作を開始する。
    ミネルバが空中で急速旋回、薙ぎ払え、やつらを!

    バート「ザムザザーの陽電子リフレクター起動を確認。ビームシールド発生」
    タリア「想定済みよ」
    アーサー「うてぇ!」
    ミネルバ、タンホイザー発射。
    アグネス「(どうだ。どうなった?何機墜とせた?)」

    バート「ゼムザザー、敵モビルスーツ15機は無事です。カオスも」
    タリア「モビルスーツ発艦開始!」
    アーサー「はっ!インパルス、バビ2機、ディン2機発艦用意…」

    アスラン「グラディス艦長。トライン副長。」
    セイバーから、思いつめたようなアスランの声が各機とブリッジに響く。

    タリア「え?」
    アスラン「私も出ます。確かに指揮下にはないかもしれませんが、今は私もこの艦の搭乗員です」
    アグネス「(うぉ。よく言ったわ。こっちからでは言い出せなかったのよね。ちゃんと自分から言えて偉い)」

  • 157二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 09:36:09

    タリア「私には貴方への命令権はないわ。いいの?」
    アスラン「はい」
    アーサー「では、発進後、インパルスとバビ2機の指揮を頼む。シン、アグネス、レイ。アスランの指示を」
    アグネス「(マジで?)了解」
    レイ「了解」
    シン「え?…はい」
    アーサー「インパルスはフォースシルエット。先ずはザムザザーを落としてくれ、ってこれはアスラン…」
    アスラン「同意見です」
    シン「はい。副長」

    早速ダメじゃない…。この、混乱、何とかして。いや、雑念を捨てろ。

    メイリン「インパルス、セイバー、バビ2機、ディン2機、発進願います。グーン3機は別命あるまで待機」
    メイリン「シルエットハンガー1号を開放します。フォースシルエットスタンバイ。シルエットフライヤーを中央カタパルトにセットします。コアスプレンダー全システムオンライン。発進待機願います」
    シン「シン・アスカ、コアスプレンダー行きます!」
    メイリン「右舷ハッチ開放。セイバー発進、どうぞ」
    アスラン「アスラン・ザラ、セイバー発進する!」

    インパルス、セイバーが発進。次ね。
    メイリン「バビ、アグネス機、レイ機、発進どうぞ」
    レイ「レイ・ザ・バレル。バビ、発進する!」
    アグネス「アグネス・ギーベンラート、バビ、出ます!」
    私とレイも発進。ザムザザーとカオス、ウィンダム15機か。
    こちらは、セイバー、インパルス、バビ2機、ちょっと苦しいかもね。

    ショーンとデイルのディン発艦も確認。
    アグネス「ショーン、デイル。ミネルバを頼むわよ!」
    ショーン「はい!」デイル「おう!」
    アグネス「(え…。私が誰かに『頼む』、何か変な感じ。何でそう思うの…)」
    雑念を捨てろ。敵を落とす。出世と勲章、まずは全部それからよ!

  • 158二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 19:30:23

    カタパルト発進直後に私とレイはバビをMA形態に変形。22.5mm4銃身機関砲と12連装航空ミサイルランチャー、ビームライフル、航空ガンランチャーが前を向く。正直、高機動飛行形態になったバビにウィンダムが空で勝つことは難しいだろう。

    先発したアスランのセイバーもMA形態で飛行中であることを視認。
    高エネルギービームライフル、プラズマ収束ビーム砲、スーパーフォルティスビーム砲、ピクウス76mm近接防御機関砲が前方を睨む。

    アスランから通信。
    アスラン「敵モビルスーツは、ザムザザーを前に出して盾役に。俺が隊長機とカオスを引き付ける。レイとアグネスは他のウィンダムを!連携して。シンはザムザザーを」
    アグネス「了解(ザムザザーを単機で…。この布陣なら任せるしかないか)」
    レイ「了解」
    シン「はい」

    うん?カオスが突っ込んできた!ザムザザーを飛び越えて、MAに機体変形もしないまま…。アホか。

    スティング「そらぁッ!見せてみろ力を!この新顔!」
    アスラン「ええい!」
    アスランが、あいつを引き付けながら戦闘を開始。編隊からセイバーが抜けた。

    アグネス「(指揮官機までとはいかなかったか…)」
    カオス以外のモビルスーツはタンホイザーを恐れてザムザザーの後ろを飛行中。

    アグネス「シン、ザムザザーを。後ろのウィンダム14機はレイと私でかき混ぜておく」
    シン「了解…、って。うぉぉォォ!」
    話している最中にザムザザーが前脚部より複列位相エネルギー砲を発射。私とレイは回避するが、フォースインパルスはシールドを前に、ビームの濁流を押し返しながら、そのままザムザザーに突進。

    力業って言葉じゃすまされないわよ!あれ…。まあいい。

    バビ2機、ザムザザー背後のウィンダム群を襲撃、高速で飛来しながら、22.5mm4銃身機関砲と12連装航空ミサイルランチャー、ビームライフル、航空ガンランチャーを一斉照射し、一撃離脱!

  • 159二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 19:38:39

    後方で爆発を視認6機!私とレイがそれぞれ3機のウィンダムを撃墜確定!

    アグネス「(カウントMS36 MA1 バビは一撃離脱成功すると強いわね。あと8機)」

    ほぼ同時にザムザザーの撃墜に伴う大爆発を視認!シン、でかした!

    アグネス「シン。損害は?」
    シン「シールド。あと、エネルギー残量が…」
    アグネス「ドュートリオンビームを…。わっ!」
    シン「アグネス!どうした?」

    何かやたら、動きの良い指揮官機が迫って来た。緊急回避。バビに接近戦は無理、ここは!

    アグネス「レイ、あの紫のやつ。振り切るわよ。シン、あんたはドュートリオンビーム。出来ればシールドも射出してもらいなさい」

    レイと共に必死にバレルロールしながら飛行、あの指揮官機、しつこい!他のウィンダムも同調して追い駆けて来た。
    8機に追い回される。バビの方が早いから、やつ等が『二手に分かれて回り込め』が出来ないのは幸いか。視界ギリギリでシンがミネルバに接近していくのを視認。

    アグネス「ブリッジに回線!ザムザザーは落ちました。タンホイザー2射目を。私とレイを追いかけているこいつ等に!」

    タリア「!?了解。発射時は射線軸より退避を」
    アーサー「タンホイザー起動!射線軸コントロール移行!照準、バビ後方飛行中のモビルスーツ群」
    タリア「撃つわ」

    アグネス「レイ!」
    レイ「わかっている!」

    アーサー「うてぃ!」
    私とレイ、二手に分かれて全力全速で射線軸より離脱、その直後に陽電子の光の渦が機体を掠めながら辺りを禍々しく染め上げる。脳まで一瞬白く焼かれるような錯覚を覚える。

  • 160二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 19:41:49

    アグネス「ブリッジ。レーダーになお、敵機3機。ただし、撤退しつつ有り」
    5機は今ので落ちたか。レイの信号も無事。

    アスランは…。信号確認。まだ、カオスと追いかけっこか。ありがたい。それが役目だ。
    出来れば撃墜までして欲しい。頼みます、先輩。

    アグネス「ブリッジ状況報告を」
    メイリン「現在、セイバーとカオス、未だ交戦中。アビスが海中より本艦を強襲するも、艦の武装とショーン機、デイル機の連携により撃退。ただし、アビスにはビーム突撃銃が命中するも小破にとどまった模様。今、グーン隊がカタパルトデッキから魚雷を海面に撃ちこんでいます」

    アグネス「そう」
    恐らく、命中はしないだろうが追い払う効果はありそうね。

  • 161二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 00:13:06

    ともあれ、次の行動を。
    メイリン「インパルスのデュートリオンビーム照射を完了しました。新シールド、投下します」

    シン「シールドは受け取った。アグネス、レイ、ここからどうする?」
    インパルスが、ミネルバ側からこちらに急速接近。この状況の判断は少し迷う。下駄をあずけるか。
    アグネス「アスラン先輩、通信可能ですか?」
    アスラン「ああ」
    アグネス「インパルスとバビ2機、セイバー援護、可能です」
    アスラン「まて、敵隊長機は?」
    アグネス「残存撤退中のウィンダム3機の中に。タンホイザー照射を生き延びた模様」
    アスラン「墜とせるか?」
    アグネス「強者です。やるなら、複数機で」
    アスラン「わかった。では、アグネス、シン、レイ。インパルス、バビ2機で撤退中の3機を追撃。カオスはこちらで対処する」
    アグネス「了解。やつ等を追いスマトラ島海岸線に接近します、シン、レイ!」
    シン「了解」
    レイ「了解」

    3機で編隊を組むと一気に加速。死にぞこないの3機を強襲する。バビ2機、インパルスを先導。
    22.5mm4銃身機関砲、12連装航空ミサイルランチャー、ビームライフル、航空ガンランチャー、ウィンダム3機に照準合わせ…。眼下の海岸線にガイア!?

    アグネス「ガイアを視認!アルドール複相ビーム砲発射。急速上昇」
    レイ「同じく!」

    海岸線から、浅瀬を走り抜けてきたガイアに向け、レイと一緒に複相ビーム砲発射を撃ちこみながら、急速上昇。ガイアはそれを躱しながら、飛び上がり、後続していたインパルス襲い掛かる。

  • 162二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 00:15:27

    ステラ「ネオ!はあぁぁッ!」
    シン「あ!ガイア!うわぁ!」

    アグネス「アスラン先輩、ブリッジ!スマトラ島海岸線にガイア出現。交戦中。インパルス、海面に落下!」
    タリア「えっ!」
    アスラン「くっ!」

    インパルスとガイアは互いにビームサーベルで戦闘を開始。こっちはそれどころじゃない!ガイアの登場に気を良くしたウィンダム3機が旋回すると一気にこっちに向かってきた。

    アグネス「レイ!」
    レイ「わかっている。それしかない」

    こちらも旋回。真っ向勝負。3対2。
    22.5mm4銃身機関砲、12連装航空ミサイルランチャー、ビームライフル、航空ガンランチャー、発射。

    こちらに飛来するビームと無誘導ロケット弾を躱しながら、もう一度旋回。背後に2つの爆発音と閃光。
    レイと私で1機ずつ墜とした(カウントMS37 MA1)。もう1機!隊長機は!?

    アグネス「(私とレイの間を高速ですり抜けた?!仲間をデコイに!!あの方向には…)」
    アグネス「アスラン先輩!ウィンダム隊長機が!2機は撃墜。援護に向かいます」
    アスラン「隊長機については了解。シンは?」
    アグネス「カオスとの戦闘。スマトラ島海岸線から徐々に内陸部へ」
    アスラン「了解。アグネスはシンの援護を上空から。レイ来てくれ」
    アグネス「了解」
    レイ「了解」

    レイは敵隊長機を追う。私は戦闘中のインパルス、ガイアの上空に…!?。
    アグネス「えっ、これは…」

    そうか、こいつ等はこれを隠したかったのか…。

  • 163二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 00:20:45

    アグネス「ブリッジ。アスラン先輩。森林地帯の先の入り江に建設中の連合軍基地を発見。ブリッジに光学映像を送ります」
    メイリン「光学映像確認。ブリッジモニターに」

    アグネス「映像拡大、敵基地内に強制労働収容所らしき建物と民間人を発見、逃亡を図る民間人に一部の兵士が発砲しています!」

    アスラン「っ…!」
    タリア「なに!」
    アーサー「…」

    シン「この…。こいつら…!」

    ともあれ、インパルスの援護!アルドール複相ビーム砲発射を上空からガイアに照射!躱される、想定の範囲内。
    ビームライフル発射!シールドで防がれる。次、航空ガンランチャーを発射!躱される…。

    ガイアの地上での機動力は並じゃないわね。あの機体!でも、インパルスと距離をとらせることには成功。シンに一息つかせる。こいつ、明らかに熱くなっている。悪い意味で。

    アグネス「ブリッジ、アスラン先輩、作戦優先目標の指示を!ガイアの撃破を優先しますか?それとも民間人の保護を?命令が出るまでは、インパルスの援護を続けます」
    アグネス「シン。暴走しないで。絶対に」
    シン「民間人は?どうする?見殺しに…」

    アーサー「艦長!」
    タリア「…」
    アスラン「…」

    アグネス「(基地から警報音)基地内で対空砲の準備とリニアタンクの発進を確認。本機並びにインパルス自衛のため、もう猶予は有りません。ご決断を!」

  • 164二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 00:24:55

    タリア「アグネス、基地制圧を許可します。民間人の保護を優先。基地内施設の破壊は最小限に。インパルスはガイアとの戦闘を優先。本艦も現場に急行します」

    アグネス「了解」
    シン「了解」

    バビをモビルスーツ形態に変形。

    ビームライフルで発砲を始めた対空砲を2門手始めに潰す。(カウントMS37 MA1 対空砲2)

    アグネス「(やるなら徹底的に。基地の施設は艦長が言うように温存。ザフトが再利用するんだから。ここに進駐して、基地と周辺付属地と港湾の水面と領海と200海里経済水域と延長大陸棚はプラントが永久租借するわ)」
    ガイア、インパルスとの戦闘から撤退を視認。
    シン、インパルスも基地敷地内に入ってくる。
    シン「この…、この!こんなことをォォ!」
    アグネス「シン!インパルス胸部機関砲、全力で威嚇射撃して!威嚇射撃して!威嚇射撃して!」
    シン「くっそー!く…くぅぅ!」
    インパルスの胸部バルカンが鳴り響く。大事なことだから、三回も言ってしまったわ。

    外部拡声器で呼びかけを開始する。

    アグネス「我々はザフト軍ミネルバ所属モビルスーツ隊。連合軍に告ぐ。直ちに民間人・文民への殺傷行為を停止し、武装解除、降伏せよ。
    繰り返す連合軍に告ぐ。直ちに民間人・文民への殺傷行為を停止し、武装解除、降伏せよ。
    貴官らの当地の行動は『戦争犯罪』並びに『人道に対する罪』に該当する。

    人道に対する罪は国内法に関わらず、場合によっては命令の有無にかかわらず処罰を受ける。即時に非人道的行為を停止せよ。

    武装解除を伴わない逃亡行為は戦闘の継続の意思有と見なす。即時に武装を解除、投降せよ」

    音声録音、拡声器はスイッチ停止まで、放送を繰り返させる。次-

  • 165二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 00:36:52

    ビームライフル、ガンランチャー発射!
    アグネス「(命中! 命中! 命中! リニアタンク2両、対空砲1門撃破(カウントMS37 MA1 リニアタンク2 対空砲3)」

    私は、ちゃんと言ったわよ!武装解除して投降しろって!そして次-

    ブリッジとアスランに回線を再接続。

    アグネス「ブリッジ、アスラン先輩。ガイアがインパルスとの戦闘から、撤退しました。空母ないし潜水母艦が沖合に存在するものと推測。追跡しますか?」
    タリア「いえ、民間人保護と基地制圧を優先せよ。基地港湾内に敵艦は?」
    アグネス「スペングラー級空母が2隻、今なら逃走前に本機で大破、着底可能です」
    タリア「撃破せよ」
    アグネス「了解」

  • 166二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 00:38:21

    バビを上昇させる。こちらに飛来するセイバー、アスラン機とバビ、レイ機を視認。カオスと敵隊長機はどうなったのだろう。やつ等も撤退か?後方には飛行するミネルバ。

    アルドール複相ビーム砲発射。命中!スペングラー級空母1隻目大破着底。溜めてもう一度発射。命中!スペングラー級空母2隻目大破着底!!

    アグネス「(カウントMS37 MA1 リニアタンク2 対空砲3 空母2)」

    シン「く…えぇぃ!」
    眼下では、シンがインパルスでフェンスを引っこ抜いて民間人を開放している。
    壊されたフェンスを潜った開放された民間人は次々と家族や仲間のもとに。
    民間人達「うわぁぁ!」
    民間人達「あぁ…。…あぁ!」
    民間人の子供「とうちゃーん!」

    …。まあ、たまにはヒーローショーも悪くないでしょう。

    うん?
    アグネス「ブリッジ。アスラン先輩。敵司令部に白旗を視認。攻撃を一時中断。警戒態勢は続行します、投降勧告のスピーカーはこのまま続けますか」

    タリア「いえ、もういいわ。こちらでも視認」
    ミネルバが内湾に着水。信号弾が上空に撃ちあがる。

    アグネス「(さて、ここからがまた、大変なのよね…)」
    負傷者の救護と、撃ち落として漂流中の連合兵の捜索と、死者の埋葬etc。
    カーペンタリア基地から増援来て!早く!

  • 167二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 08:14:33

    早めだけど保守

  • 168二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 10:14:07

    アグネスは余計なことを考える暇がないくらい仕事を振る方がちょうどいいかもしれない
    種自由だとキラが全て戦ってアグネスが暇してたから余計こじれたんだろう

  • 169二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 14:53:15

    変に准将に色目使ってなければむしろ重用された可能性もあるのかねぇ…
    ダンスパーティーの時とか明らかに避けられてたし

  • 170二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 15:00:10

    ザムザザー増量されたのにシンに単機で落とされとる…
    盾を囮にしてグサッだから本来オーブ沖でやった戦法かな

    初見じゃない+シミュレーションやったおかげで既に安定して落とせるようになってるけどどこまで成長するかな

  • 171二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 19:50:05

    アグネス「(さて、どうしたものか。一部の虚脱状態が去れば、必ず強制労働され、殺傷までされた現地住民が激高し、武装解除した連合軍兵士に報復するわ。それは絶対に不味い。私のキャリアのためにも)」
    アグネス「ブリッジ。アスラン先輩。解放された強制労働被害者とその家族から、武装解除した連合軍兵士を速やかに分離、隔離する必要があります。セイバーとバビ、ディン、グーン3機も含め全モビルスーツの応援を要請します。また、陸戦隊を組織して、同じく速やかに派遣を。医療スタッフも一緒に」

    タリア「了解。現在、保安要員に陸戦武装準備をさせている。完了次第、副長の指揮のもと、衛星要員とともに急行させます」
    アグネス「了解」
    アーサー「モビルスーツ隊。現地住民と投降兵を引き離すため、アグネス、バビ機と合流せよ。グーン隊も発艦せよ!ショーン、デイル機は武装解除した連合軍の見張りに向かえ。では、艦長、自分は行ってきます」
    タリア「頼んだわよ」
    メイリン「グーン隊、発艦どうぞ!」
    グーンパイロット達「了解。発艦する!」

    アスランのセイバー機、レイのバビ機が私の左右に着陸。モビルスーツの掌などを使い、シン、インパルスと共に、強制収容被害者をフェンスと堀の向こうの家族や友人のもとに渡していく。と見せかけて、基地の外側に取り合えず、彼らを追い出す。

    アグネス「(よし。シンの『ヒーローショー』のお陰でこちらを味方だと思ってくれている。恐る恐るだけど、3機の両掌に乗って運ばれてくれるわ)

    アグネス「ブリッジ。現地住民を安心させるため、戦争犯罪者を当方が、国際法廷ないし軍法会議で厳罰に処す方針である旨、また、カーペンタリア基地から医療部隊の来援がある旨、アナウンスしてもよろしいでしょうか?また、現在、そのような準備はなされていますか?」

    タリア「戦争犯罪者の処罰については、一旦アナウンスは留保して。かえってこのタイミングでは、民衆の怒りの発火点になる恐れもある。カーペンタリアからの医療部隊派遣は直ぐにアナウンスを開始して。基地司令部と調整完了、向こうで準備が完了次第、順次こちらに医療部隊が来援する」

  • 172二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 19:52:56

    アグネス「了解。『現地住民の皆さんにお知らせします。私達はプラント、ザフト軍ミネルバモビルスーツ隊です。
    これより本艦の医療スタッフが皆さんのもとに行き、治療を開始します。お怪我を負われた、御病気の方、もう少しです。心を強く持ってください。ザフト軍医療部隊が今、こちらに向かっています。もう安心です。どうか、こちらの指示誘導に従ってください。私達は皆さんをお助けするために当地にまいりました。もうしばらくの辛抱です。ご協力をお願いします』」

    外部拡声器で繰り返させる。ブリッジの反応を確認すると、この内容で問題ないとのこと。

    グーン三人衆も到着、取り合えず、現地民はフェンスと堀の外側の整地された部分に集合、誘導させる。動けない怪我人病人は…。

    アグネス「(医療スタッフ到着。救護活動開始を視認。副長指揮の陸戦隊が接収した輸送車で、司令部横の建物に捕虜移送を開始)」

    一安心か…。いや、気を抜くな。どこかで一発でも銃声が鳴れば、たちまち、ここは惨劇の舞台になる。

    あとは、私の担当をどうするか。スピーカー役だけというわけにもいくまい。

    アグネス「ブリッジ、アスラン先輩。本機への指示を」
    タリア「アグネス機は、現地住民へのメッセージを繰り返し放送しつつ、適宜、現地民と陸戦隊と連携、中軽度負傷者等をモビルスーツの腕部を使い、ミネルバまで移送して。手隙要員から、応急医療班を編成し、艦で彼らの手当てを行う」
    アグネス「了解」

    両手の武装を一旦側に置く。逆利用してくる敵モビルスーツはもうここには存在しない。

    現地民と連合捕虜の隔離、隔離した連合捕虜の整理、被害者と―連合兵負傷者の救護活動は結局、カーペンタリアの増援が夕方来援するまで延々と続いた。

  • 173二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:03:02

    その上、バビは飛べるから、隔離作業にめどが立った段階で、そのまま、ディンと共に海面に撃ち落とした連合兵の捜索活動。

    基地から早期警戒・空中指揮型特殊電子戦仕様ディンとAWACSディンが来てくれた。
    連合の水中からの逆襲を警戒しながら、夜通し捜索活動を続ける。国際救難チャンネルに『現在救難活動中』と放送しているが、やつ等が守る保証はない。

    AWACSディンに投光器が付いていることがこんなに憎たらしく感じるとは!暗くなっても切り上げられないじゃない。

    アグネス「(そこまでやって、生存者1名、遺体収容3名。自分が戦争犯罪人にならない為とは言え…。ほんと、出世や勲章に反映させなかったら、許さないわよ!)」

    朝焼けが眩しい。自室に帰還。中に入るとゲッソリした表情のメイリンが!

    アグネス「ただいま、メイリン。大丈夫?」
    メイリン「おかえりなさい。アグネスさん。平気です。アグネスさん達こそ大変でしたね」
    アグネス「まあ、大変というか、神経が疲れたわね。現地住民がいつ爆発するかと…。もういい、寝ましょう」
    メイリン「頭さえちゃって…。寝れるかな…」
    アグネス「布団被れば、寝れる寝れる。軟弱なナチュラルみたいな弱音は禁物よ。貴女たぶん、自分が思っているよりタフよ」

    オペレーター作業を交代した後、メイリンは応急救護班に合流、艦内で負傷者、病人の対処をしていたらしい。アカデミーの教科に応急手当、応急救護処置が組み込まれていなければ『できません』が通ったのだが、仕方ない。

    アグネス「(それでも、ゲッソリですむとは。流石、ルナマリアの妹。まあ、私は、全然平気…、いけない。軍医に怒られたんだった。疲労蓄積ダメ絶対)」

    アグネス「ともかく休みましょう。今日のために。おやすみ、メイリン」
    メイリン「そうですね。弱音、口にしたら折れちゃいますもんね、おやすみなさい、アグネスさん」

  • 174二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:53:46

    仕方ないとはいえアグネス働き詰めだな

  • 175二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 00:00:15

    アグネス「おはよう。メイリン」
    メイリン「おはようございます。アグネスさん」

    タイマーと共に起きて、制服に着替える。手早く顔を洗いメイク、順番に。もうすぐ昼ね。

    メイリンはブリッジに。私はレクリエーションルームに。あそこが事実上の待機場所みたいになっている。

    入室すると何時もの面子と合流。ヴィーノとヨウランの何処か間の抜けた顔を見ると少し落ち着く。シンとレイはまあ、何時もの顔ね。アスランはいない…、孤立するわよ、もう、してるけど。

    モニターには偽ラクスの歌番組が流れている。この艦のほぼ全員がこの人が偽物と知っている。それでも、戦禍の真っただ中を進むこの艦において、彼女が果たしてくれている役目は大きい。彼女の…本名不明のこの人の歌を聞いて、眠れぬ夜を乗り切っているクルーも多いと聞く。全く軟弱ね。しかし―

    アグネス「(聞くとはなしに、聞いているのよね。この人の歌。まあ、本物のラクスも似たところはあったか。この人はほど前に出てきてはいなかったけど。路線違うし)」
    というか、似せる気ある?ないでしょう!どういうプロデュースしているの!!

    アーサー「全艦に通達する。これより甲板にて、カーペンタリア司令部より記章授与式を行う。身なりを正し、集合整列せよ」

    ヴィーノ「記章?もらえるのか。早いな。」
    ヨウラン「嬉しいけど、休みの方が欲しい…、まさか餞別ってことは…」
    アグネス「志の低いことは言わないの。さあ、急ぐわよ!」

    アホなことを言ってる二人を押すようにブリッジへ。なんと、意識の低い!将来の出世や給料に響くというのに!まあ、競争相手は少ない方が良いけど。

    シン「でも、早いな!簡易的なレベルだからか。それでも、24時間たってないぞ」
    レイ「無論、軍本部には連絡済みだろう。カーペンタリア基地司令官のご厚意と、何より、艦長がフェイスであることが大きい。フェイスは国防委員会に直属しているから、直接上申できる」
    シン「へー」

    アグネス「(あの慎重居士の艦長にしては珍しいわね。これから、ペルシャ湾に突っ込んでいくわけだから、カンフル剤を、と言ったところか。それとも、スマトラ島に『出城』をほぼ、無傷で手に入れられたカーペンタリア司令部が奮発してくれたのか…)

    まあ、貰えるものは貰っとけばいいのよ。もらえる限り、いっぱいね。

  • 176二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 00:06:45

    甲板に整列。正面にはカーペンタリア基地副司令官、横に艦長、アスラン。ほか、3名ほどの高級武官(紫服)。

    アグネス「(なるほど、アスランはフェイスだから、『あっち側』ね。フェイスが実質、議長の私兵になっている現状を知らなければ、羨ましがれたのに)」

    副司令官は私とメイリンが仮眠中に来たのね。まあ、昨日の戦いでこの辺り一帯の制海権と制空権はこちらのものだから、気楽なものね。

    式が手早く始められる。しかし、前線の真っただ中の記章授与、なかなか、これも様になるじゃない。戦争映画のワンシーンみたい

    カーペンタリア基地副司令官「これからミネルバクルー、パイロット諸君諸姉の記章授与式を行う。
    高位の勲章については、どうか、もうしばらく待って欲しい。本日、カーペンタリア司令部は、諸君の奮戦力闘に応えるべく、最速で授与できる記章を準備してきた。

    インド洋の制海権、制空権はこの戦争全体の勝敗を決する重要な要素である。また、この前線基地を、ほぼ無傷で陥落させ得たことは、昨日、当地での戦いの戦果を確定させるのに是非とも必要なものであった。

    そして、深刻な人道危機に瀕していた現地民間人を救出したことは、われらプラント、ザフト軍の高い規律と人道主義的姿勢を国際社会に強く印象づけるに足るものである。プラントは、この地で連合が行った残虐な犯罪行為を世界に告発し、責任者に法の鉄槌を必ず下す。

    ザフト軍は、この地の民を守るべくスマトラ島基地に進駐し、基地を完成させ、人道拠点とし、引き続き現地の支援を継続するものである。」

    紫服「記章授与。代表、アーサー・トライン副長。前に」
    アーサー「はい」
    アグネス「(副副コンビね)」

    副長が副基地司令官の前へ。
    チェン「総員、気を付け」

    姿勢を正す。

    カーペンタリア基地副司令官「戦艦ミネルバ、全クルー、全パイロット諸君諸姉のインド洋スマトラ島周辺域における制海権・制空権獲得への貢献に対し『インド洋攻防戦従軍記章』、基地奪取の功績に対し『敵前上陸作戦参加記章』、当地に存在した強制労働収容所開放の功績を賞し『人道行動記章』、敵モビルスーツパイロット、投降捕虜等への救助救護活動に対する献身に『人道記章』」をそれぞれ授与するものである」

    アーサー「はい。ありがとうございます!」
    紫服が副長の左胸に4つメダルを追加する。

  • 177二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 00:12:28

    パチパチパチパチ
    列席した紫服、艦長、アスランから拍手を受ける。副長はすごく緊張している。こじんまりした授与式なのに。あと、アスラン、その渋い顔、今は止めて!白けるわよ。

    紫服「クルー、パイロット各位は艦長よりメダル、略綬、証明書を授与されたし。諸君、改めておめでとう」

    アグネス、全クルー、全パイロット「はい。ありがとうございます」

    カーペンタリア基地副司令官「スエズ攻略の道程は厳しいものではあるが、カーペンタリア司令部は勇敢なるミネルバ、クルー、パイロットの力を深く信頼し、作戦成功を確信している。この戦争の早期終結のため、プラントの未来のため、より一層の努力奮起を諸君諸姉にに期待してやまない」

    チェン「総員、敬礼」
    敬礼
    チェン「直れ」
    直る

    副司令官と高級武官の皆様をお見送りし、そのまま、艦内で授与式を挙行。
    嬉しい。メダルが増えた。10個目だ。メダルバーに加えよう。略綬は『人道記章』は2回目だから、星を加える。なかなか、左胸が様に成って来たじゃない。共同受賞だから、艦内では自慢できないが、マハムール基地に行ったら見せびらかせるわ。

    メイリン「嬉しいですけど…。お腹減りましたね」
    アグネス「来る時刻は考えて欲しいわね。艦長たちも出発準備があったから、スケジュールギチギチだし」

    夕方になって、ようやくお昼ご飯。これ食べたら、スマトラ島基地を出発。マハムール基地ペルシャ湾まで飛行していく。スマトラ島基地には、既に続々と防衛隊と工兵隊が上陸している。カーペンタリア基地工兵隊は優秀だ。残った部分をあっと言う間に完成させるだろう。

    メイリンと一緒に『お昼』にしているとアスラン発見。まさか、ボッチ飯。ヤバいって!
    アグネス「メイリン、いい?」
    メイリン「はい。可哀想ですしね」

    取り合えず、アスランを呼んできて、3人で食事開始。
    アグネス「(う~ん。これ何とかならない?早く打ち解けてもらわないと…。あるいは私達と無理に打ち解けるのではなく、高級士官として逆に艦長、副長と親密になってもらう方が良いのか?せめて、この人の副官なり従卒がいれば話も変わるのに)」

    私はやらないけど、この人の副官も従卒も、ゾッとするわ。

  • 178二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 07:23:50

    アスランがぼっち一直線で草

  • 179二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 07:34:06

    キラ「この優秀な副官をヤマト隊に欲しいんですが…」

  • 180二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 08:33:20

    このアグネスとハイネのやり取り、どうなるんだろうねぇ

  • 181二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 19:50:18

    一応保守

  • 182二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 21:06:04

    アスランと食事を始めたはいいものの、気まずい沈黙が3人の間に流れる。
    アグネス「(仕事の話題意外だと、アークエンジェル、アスハ代表の事…いや、これも仕事の話題か?以前、パパ達とご一緒したのパーティーの話…。結構前になるわね)」

    気まずい、話題が…ない。ルナマリアならどうする?いない人のことを考えても仕方ない。シンなら…トラブルになるだけか。レイ、ダメね。想像もつかない。私が何とかするしかないけど…。

    メイリン「その、アスランさん。私達、何でペルシャ湾に行くんですか?」

    沈黙を破ったのはメイリン。
    ああ、やっぱり仕事の話になるわね。この面子だと。仕方ない。

    アスラン「それは…。マハムール基地に行くために」
    アグネス「メイリンが言っているのは、スエズ基地を攻めるのに、なぜ、方向違いのザフト拠点に向かっているのか、ということです。私も聞きたいです。最初、ジブラルタルに行って、スエズ攻略軍と合流という命令だったはずなのに、なぜかペルシャ湾行きになって。何時、月軌道艦隊に合流するかもわからないし」

    アスランが怪訝な顔をする。

    アスラン「月に行く?なぜ?」
    アグネス「ミネルバは元々、月軌道艦隊の艦ですから。今は、こっちに出向している状態…と思いますけど。その辺り議長は何かおっしゃっていませんでした?」

    アスランは思案顔で答える。

    アスラン「議長はミネルバが月軌道艦隊の艦とは仰っていなかったな。ただ、この艦に期待している、前大戦のアークエンジェルのような役割を果たして欲しいと」
    メイリン「…」

    アグネス「(また、爆弾発言。いい加減にしてよ、あの議長。それを漫然と聞いているアスランもアスランよ。アークエンジェルの働きは私も称賛に値すると思うけど、あの艦とミネルバでは置かれた状況も全然違うし。なに、議長、将来、戦犯アズラエル並みのことをやらかすから、その時に裏切って欲しいってこと?例えとしても不適切だわ)」

    頭が回らない。気づいていないだけで、私も疲労が蓄積しているのか…。まさか!バカ話についていけなかっただけよ。

    メイリン「えっと…。つまり、マハムール基地に到着した後のことは…?」
    アスラン「無責任に思われるかもしれないが、俺も分からないことだらけで。現地に行ってみてからとしか…」」
    アグネス「…」

  • 183二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 21:10:51

    アグネス「(はっ!いけない。頭が真っ白になってたわ。ご飯急いで食べないと出航よ)」
    メイリンに目で合図。彼女も頷いて、残ったご飯を黙々と食べる。モグモグ。

    アスラン「…」モグモグ。
    アスランも黙々と食べる…。なに?これ最悪。なんかないの?仕事の話を振ってしまったのはこっちだけれど。なんかさぁ。

    アーサー「これよりミネルバは、マハムール基地に向け、出港する。手隙要員は全員甲板へ」

    パンを押し込むと席を飛び出し、メイリン、アスランと共に甲板へ。ザフト軍守備隊、医療隊、工兵隊、そしてやや遠くで手を振ってくれている大勢の現地民に敬礼する。

    敬礼を直ると艦内へ。その後、艦は離水、高速飛行でマハムール基地へ。到着のあまりの速さにマハムール基地の連中、きっと腰を抜かすわ。てっきり、ミネルバは、ニーラゴンゴを連れてペルシャ湾まで、ドンブラコ、ドンブラコと船旅をしてくると思っているでしょうから。

    ブリッジに向かうメイリンを見送り、私はシュミレーター訓練へ。

    砂漠での戦闘になるかも知れない。ザクの接地圧、上手く対応できるようにしないと。あと、ディンやバビに乗っている時に砂嵐にあった時の対応訓練。それらの懸念を他の連中にも伝えて、手が空いた人間から、どんどん訓練を始めさせないと。それから、グーン三人衆のザク搭乗訓練の練習につき合って…。一兵でも欠ければ、敵地のど真ん中で、たちまち境地に陥るわ。

    アグネス「(あれ?アスランどこ行った!あなたが積極的に音頭をとるんじゃないの?!訓練の!!)」

    さっきまで傍らにいたと思ったのに。インド洋戦の『隊長』というのは、その時その場限りの統率者という意味だったのか?今一、任命権が分からない。それはそうとして、部下(?)を放置して、いざという時だけ偉そうな顔をするつまりなら許せない。ペルシャ湾に明日の朝には到着してしまうのに。

    もういい!訓練関係はこれまで通り副長に伝えよう。管理者向きじゃないわ、アスラン。間違いなく。

  • 184二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 23:32:34

    アグネス「おはよう、メイリン」
    メイリン「おはようございます。アグネスさん」

    いろいろあり過ぎた昨日から一夜明け、早朝。もうペルシャ湾の奥、マハムール基地は目の前。
    ブリッジに駆けて行くメイリンを見送り、自分はもう少しだけ横になる。インド洋の戦闘の後、アラビア海に入るとそこは親プラント国汎ムスリム会議の勢力圏。スムーズな空の旅だったと言ってよい。

    昨日はあの後、訓練は皆の疲労状態から早めに切り上げざるを得なかった。私もある程度で切り上げた。でないと、軍医に叱られる。

    ミネルバ着水後、食堂に行き、シン、レイ、ヴィーノ、ヨウランと一緒になる。この面子、というかレイと一緒にご飯食べるの初めてかも。

    シン「もうすぐ、マハムール基地に到着か。早く食べないと」
    レイ「お互い忙しないな」
    ヴィーノ「マハムールってどんなところだろう。俺、砂漠は初めてで。ラクダが歩いてるんだろ」
    ヨウラン「ラクダって…。まあ、再現環境を除けばプラントに砂漠は無いからな。アカデミーの砂漠戦実習以来だ」
    アグネス「マハムール基地があるのは西暦時代の旧イラン領フーゼスターン州バンダレ・エマ―ム市付近ね。ペルシャ湾沿岸の港町よ」
    ヴィーノ「へー」
    レイ「今は汎ムスリム会議の領土だ。一応交通の要所ではあるな」

    行儀の悪い事だと分かっているが、急いでご飯をお腹の中に押し込む。そろそろ―

    アーサー「全艦に通達する。本艦はこれより、マハムール基地に入港する。手隙要員は甲板へ」
    食堂から皆で駆けだす。艦全体が、にわかに活気づく。

    入港時、甲板に整列して皆で、敬礼。直る。
    港にはボズゴロフ級が一隻。赤十字マークのキャンプが目につくのは現地の人道救援活動も同時に行っているためか。基地にはバクゥ隊に砂漠迷彩仕様のジン隊、ガズウート隊、シグー隊。バクゥ以外ここは資源ごみの山か何か?。

    アグネス「(いや、ガズウートは自律移動ができるビーム砲台と思えばいけるか。艦甲板に配置することを前提に)」

    その奥に地上戦艦ピートリー級2隻とレセップス級1隻。
    う~む。ここで一体何をさせるつもりなの?こいつ等と共にスエズを攻める?

  • 185二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 23:36:01

    ここから、スエズ基地を陸路で攻めるなら、旧イラク領を横断して旧ヨルダン領に入り、さらにそこからヨルダン川沿いにパレスチナ地方を南下縦断、死海を超えてシナイ半島に攻め入る。と言ったところか。

    汎ムスリム会議領土内はスムーズにいくとしても、ミネルバが地上戦艦と一緒に?足手まといも良いところだわ!

    第一、ミネルバは陸路に拘る理由がない。山だろうと谷だろうと海だろうと川だろうと飛行して強襲すればいい。ブースターが有れば大気圏離脱さえできる、まさに惑星強襲揚陸艦なのだ。なぜ、メリットを殺すことばかりしようとするのか。

    アグネス「(いや。こいつ等-ラドル隊と共同作戦と決まったわけではない。まず艦長とラドル司令の協議次第だ)」
    ヴィーノ「おい、山が見えるぞ。砂漠だけじゃない」
    ヨウラン「地図見ればわかるだろ」

    確かに…。旧イラン領は山がちね。ペルシャ湾というから砂漠戦と安易に連想していた私はヴィーノを笑えない。まあ、笑うんだけど。ふふふ、と控えめに。

    シン達と艦内モビルスーツデッキに下り、機体の整備点検開始。

    そこにメイリンの艦内放送。
    メイリン「入港手続き完了。各員速やかに点検、チェック作業を開始のこと。以降、別命あるまで艦内待機。特務隊アスラン・ザラはブリッジへ」

    モビルスーツデッキを後にするアスランを隣のシンが微妙な顔をして眺めている。試しに話しかけるか。

  • 186二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 23:42:47

    アグネス「シン、アスラン先輩に何か言いたいことが有るの?」
    シンはやや、困惑して自分に視線を返す。

    シン「いや、あの人良く分からないなって…。なんでオーブに行ってどうしてここにって」
    アグネス「ああ。それね。私もいろいろ考えたけど、ここは物事を単純化して考えるわ。一旦ね。まず、なぜオーブに行ったのか。答えは、プラントにいられなくなったから。アスハ代表の伝手を頼ったのよ。結局のところは。前大戦のあれこれは不可抗力とは言え。亡命せざるを得ないでしょう。あるいは事実上の追放か」
    シン「まあ、そうだろうね」

    何とも言えない顔で首肯する。

    アグネス「何でここに来たかと言えば、『議長』がヘッドハンティングしたからよ。プラントでもザフトでもなく『議長』が。引き抜き先に結構な不義理をして。これも、単純化すればそうでしょう」
    シン「ああ。そうだね」

    背後から、人の気配!げっ、レイ!
    レイ「議長は彼の才能が埋もれることを憂慮されたのだ。形式的な問題など些事に過ぎない。お前の言う通り、整理して単純に言えばそう言うことだろう、アグネス」
    アグネス「形式的な問題は些事じゃないわよ!一国の議長ともあろう人が、他国の…」
    レイ「だから?俺は気にしない。何にせよ彼はこの艦のパイロットだ。そうだろう?シン」

    こいつ!私を悪者にしようと!
    シンは頭を捻りつつ答える。
    シン「レイの言う通り、アスラン…さん?はこの艦のパイロットで…多分仲間だ。けど、アグネスの言う通り、形式的な問題は国レベルだと些事じゃないと思う」

    よく言ったシ…
    レイ「そう言うことだ。アグネス」
    アグネス「どういうことよ!?レイ」

    シン「ああ…、もう、二人とも。作業に戻ろう。悪かったよ。言いたいことが有れば、自分でアスランさんに話すようにするから!」

    レイは頷くとスタスタ作業に戻ろうとするが、私は更に早くタタッと作業に戻る。私が勝ったのに負けたみたいに見えるじゃない!悪いのは議長の方なのに。

    アグネス「(レイめ…。養父の肩ばかり持って。ほんと鬱陶しいわ)」

  • 187二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 08:29:13

    アグネスがいるせいでレイはやりづらそうだな
    メイリンより排除優先度は高いかもしれない

  • 188二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 11:49:04

    作業に一段落が付いた頃、艦長、副長、アスランが帰艦。
    早く、一刻も早く状況把握を。パイロット一同に声をかける。

    アグネス「シン!レイ!ショーン!デイル!グーンパイロットの皆さん。よろしければ、一緒に副長室に。今後の見通しについて、副長にお伺いしませんか?」

    シン「ああ、そうだね」
    レイ「異論はない」
    ショーン「いろいろ混乱してますしね」
    デイル「おう!」
    グーンパイロット達「了解」

    8人でゾロゾロ副長室へ。部屋には入りきらないから、代表で私と最年長のグーンパイロットが入室係、後で皆に伝えなくては。

    アグネス「失礼します、アグネスです。副長、お疲れのところ申し訳ありません。現在の状況と今後の見通しについて、お尋ねしたいのですが、私他1名、入ってもよろしいでしょうか?」
    アーサー「どうぞ」
    アグネス「失礼します」
    2人で敬礼。返礼を受け直り、副長に切り出す。

    アーサー「会議お疲れさまです。早速で申し訳ありません。私以下パイロット8名、副長のお話を伺いたく。どの機体を優先して調整するか、シュミレーター訓練の内容等に影響するため、少しでも早くと。ご無理を言い、申し訳ありません」

    アーサー「いや、熱心で感心した。艦長からも後で、説明があると思うが、じゃあ、皆でブリーフィングルームへ行こうか」
    アグネス「ありがとうございます」
    グーンパイロット「ありがとうございます」

    敬礼して退室。部屋が閉まる直前、副長がアスランに艦内電話をかけているのが見える。
    レイ「どうなった?」
    アグネス「皆でブリーフィングルームへ」

    ブリーフィングルームに入室して暫し、副長とアスランが入室。皆で起立して敬礼。直ってまた椅子に座る。
    まず、副長から説明が始まる。

  • 189二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 11:53:42

    アーサー「皆、集まってくれてありがとう。任務の変更が続き混乱していると思う。自分から、ラドル司令官とお話した内容を伝達しよう」

    そう言ってブリーフィングルームのモニターを操作する。カスピカー周辺以西のユーラシアとアフリカ北部の地図が映し出される。地図にはジブラルタル基地、スエズ基地、マハムール基地のほか、カスピ海南岸にもう一箇所マークされている。

    アグネス「(あの場所は西暦時代の旧イラン領ギーラーン州アスタラ市と旧アゼルバイジャン領レンキュラン市周辺。モニターにはガルナハンと表示されている。カスピ海・コーカサス方面がどうしたの?いや、それを今から聞くのか…)」

    アーサー「現在、ここのザフト軍は厳しい状況に置かれている。まず、ラドル隊を始めとした汎ムスリム会議駐留軍はスエズ攻略に集中できるだけの余力はない。スエズを攻めるには軌道上から大降下作戦が最も効果的であるが、プラントには領土的野心はないという方針上からその案は評議会を通過しないらしい」

    アグネス「(でた!積極的自衛権。でも、それなら最初からスエズ攻略なんてしなければいいのに。月面の方がよっぽど大義名分にそっている。第一、降下作戦で陥落させようが、地上から陥落させようが、結局、スエズを手に入れたら、駐留させるつもりなんでしょう、ザフト軍を。国際的な外聞があるにしろ、中途半端が一番良くないのに。無能どもめ!)」

    アーサー「ラドル司令官もいたずらに戦火を拡大させまいとする現最高評議会と議長の方針を支持している。一方、この地にはスエズの他にも大きな問題が存在する」

    アグネス「(この方面の問題は、また別に対処して欲しいわ。スエズを落としに行くんでしょう?)」

    副長は私の内心はお構いなしに地図を指し示しながら説明を続ける。

    アーサー「敵連合軍は推測するに、スエズ基地からマハムール基地とジブラルタル基地、両方面に一大攻勢をかけたいはずだ。しかし、現状はユーラシア西側の動乱により、それが難しくなっている。逆に言えばユーラシア大陸からスエズまでの地域安定は地球軍にとって最優先事項。カスピ海、コーカサス、黒海のラインが脅かされれば、スエズはユーラシア連邦から切り離され、連絡を絶たれることになる」

  • 190二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 11:56:38

    アグネス「(ふむ。ユーラシア連邦とスエズ基地の分断作戦か、悪くはないけど…。そもそも汎ムスリム会議がプラント側な時点でもう半ば分断されているような物だし、仮にユーラシア連邦とのラインを切ったところで、スエズには大西洋連合から、大西洋・南アフリカ統一機構経由で物資・人員が届いてしまう。ビクトリア基地も健在だし。プラント寄りだったアフリカ共同体は、もう崩壊してしまっている。)」

    つまり、そんな狙いは絵に描いた餅ということだわ。

    アーサー「なので連中はこの山間、ガルナハンの火力プラントを中心にかなり強引に一大橋頭堡を築き、ユーラシアの抵抗運動にも睨みを利かせて、かろうじてこのスエズまでのラインの確保を図っている」

    副長はカスピ海、コーカサス、黒海周辺をぐるっとなぞって見せる。関わりたくない…。あのあたり民族問題の火薬庫じゃない…。

    アーサー「そのため、この周辺地域の抵抗勢力軍は、ユーラシア中央からの攻撃に曝され南下もままならず、かなり悲惨な状況になりつつある。だが、ここさえ落とせばスエズへのラインは分断でき、抵抗勢力軍の支援にもなって間接的にでも地球軍に打撃を与えることが出来る、これが会議の大筋の内容だ」

    シン「…」
    デイル「おおぉ!」

    おおぉ!じゃないでしょう!!ツッコミどころ満載じゃない。黒海からカスピ海のラインは確かに獲れるに越したことはないけど、スエズ攻略にあまりにも間接的に過ぎる。第一、話では地球軍も手詰まりになっているのだから、今のうちにスエズ攻略にミネルバは向かうべき。本当に何しに来たのここに?

  • 191二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 15:01:56

    アーサー「では、ここから先はアスラン」
    アスラン「えっ!?」
    アーサー「代わろう。どうぞ。あとは君から」

    副長の配慮ね。アスランが溶け込めるように。良いことなんだけど…。う~ん。かえってやりづらいわね。

    アスラン「あぁ。はい」
    アスランがモニターを操作し、今度はマップを3次元化し、ガルナハン周辺を拡大する。

    アスラン「この町がガルナハンだ。断崖のすぐ北に街があり、その更に奥に例の火力プラントがある。ペルシャ湾、マハムール基地からイラン高原を北上し…」

    アスランがアルボルズ山脈北西部とガルナハンをさらに拡大する。

    アスラン「こちらからガルナハンにアプローチするにはこの渓谷を抜けなくてはならない。連合軍はこの高台に陽電子砲を設置し、山全体を要塞化、多数のダガーと共に陽電子リフレクターを搭載した新型モビルアーマーを配備している。」

    新しいモビルアーマーの光学映像。半人半虫みたいで気持ち悪いわ。ザムザザーよりセンスがない。

    アスラン「これが通称『ガルナハン・ローエングリンゲート』と呼ばれる渓谷の状況だ。
    敵の陽電子砲台は渓谷全体をカバーしていて何処へ行こうが敵射程内に入り隠れられる場所はない。ただ、手をこまねくわけにもいかず、地上戦艦ピートリー級1隻にバクゥ3機、ガズウート8機、ジン2機からなる第一次攻略部隊を派遣する予定だったのだが…」

    アグネス「(だったのだが?)」

    アスラン「ミネルバの早期到着が見込まれたため、部隊派遣を保留にしたそうだ。その上で、今回の攻略作戦にミネルバの参加を要請し、艦長も快諾なされた。取り合えず以上が現在の状況だ」

  • 192二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 15:05:22

    艦長…、OKしちゃったのか…。やめてよ、ほんと。まあいい。

    少し、パイロットの皆がそわそわし始める。ここでそわそわしてもしょうがないでしょう。
    手をピンと上げて一声。
    アグネス「失礼します。副長、アスラン先輩、幾つか質問の許可をお願いします」
    アーサー「許可しよう、アスランは?」
    アスラン「私も許可を。アグネスどうぞ」

    起立して話し出す。余り詰問口調になってはダメだ。冷静に。もう艦長がOKしてしまった以上仕方ない。

    アグネス「では、まず一点目。ミネルバこの作戦における位置づけですが、本艦は月軌道艦隊からジブラルタルのスエズ攻略軍に出向し、その指示のもとマハムール基地の援軍に来ているという認識で良いのでしょうか?」
    アーサー「ミネルバの本作戦における所属元は不明だ。本艦はスエズ攻略軍ではなく、本国の指示で今回は行動している。少なくてもマハムール基地所属になったわけではない」
    アグネス「国防委員会の?」
    アーサー「いや…、どうかな。多分議長の命令だと思う」
    アグネス「…。そのことの妥当性はひとまず置くとして。では、この作戦の最終的な指揮権は?白服でフェイスの艦長でしょうか?ラドル隊は一時傘下に?」
    アーサー「…」
    アスラン「…」
    アーサーとアスランは一旦顔を見合わせ、副長が答える。
    アーサー「作戦における命令権は艦長が優越すると本官は理解している」

    大丈夫?今からでも考え直してよ…。いや、ここまで来て話を混ぜ返してもいけない。

    艦長の指揮が優越。それだけ分かればいい。今は!

  • 193二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 15:11:46

    アグネス「では、二点目。この作戦の優先順位はどのように理解すればよろしいでしょうか。ローエングリン砲台の無効化のみなら、ミネルバ単艦が渓谷を迂回し、上空から火力発電所を艦砲射撃で破壊するという方法もありえます。

    民間インフラを破壊するのは戦争法違反ですが、現在、この火力プラントのエネルギーがもっぱら軍事利用されているので、それには該当しないはずです。しかし、町を連合軍から開放、掌握することを目的とするなら、復興の妨げになる発電所破壊は現地住民感情を考慮すれば選択しづらくなります。

    ローエングリンゲート攻略が目標なのか、ガルナハン開放・現地民救済が目的なのか、ローエングリンゲート・ガルナハン駐留連合軍殲滅が目的なのかで作戦も変化します」

    アーサー「会議の流れからするとその3点全部が達成目標ということになる。少なくともローエングリンゲートの攻略、ガルナハン開放と現地住民の救済は達成されなければならない」
    アスラン「したがって、発電所破壊を直接破壊することは出来ない」

    やめてよ。そういう欲張りセットは。ほんとどうしよう。

    アグネス「では、ミネルバおよびパイロット隊は、先程、お話に出た、地上戦艦ピートリー級1隻にバクゥ3機、ガズウート8機、ジン2機を率いて、第一次ガルナハン・ローエングリーンゲート攻略作戦を遂行する、と理解すればよろしいのでしょうか?」

    アスラン「そう言うことになる」
    アーサー「具体的な作戦日時等はラドル隊と話し合い、再設定するそうだ。参加者、参加戦力も変更があるかも知れない。ただ、本艦の方針が決まった以上、皆、ラドル隊と心を一つに全力を尽くすように!」
    アグネス「はい!」

  • 194二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 15:25:45

    アスラン「他に質問のあるものは?」
    シン「はい!」
    アスラン「なんだ?シン」
    シン「作戦にはあなたも参加されるんですか?」
    アスラン「パイロットとして、という意味ならそうだ」
    シン「わかりました」

    まあ、戦力が増えていいんじゃない。強いし、単純に。ただ、指揮権が―

    アーサー「他に質問はないか?…。よし、解散」

    ザッ。皆で立ち上がり敬礼。副長、アスランを見送って直る。

    シュミレーター訓練始めなければ。それと、模擬作戦を。このメンバーで考えながら。

    アグネス「(しかし、カスピ海、コーカサス。う~ん。命をかける作戦なのにモヤモヤするわね。まあ、手柄を上げる機会が多いのは結構だけど。私はともかく、クルーやパイロットの士気が心配ね)」

    皆、建前だろうと本音だろうと『プラントのために戦おう』と決意してアカデミーに入り、ザフト軍に入隊してミネルバに乗り込んだのに。大義も上層部-というか議長の思惑も分からない戦いに精神が参ってきているわ。多分。

  • 195二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 15:41:51
  • 196二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 15:46:53

    残りは好きに使ってね

  • 197二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 16:04:32

    面白い
    続き楽しみにしてます
    うめうめ

  • 198二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 16:23:19

    埋め
    続きが楽しみ

  • 199二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 16:26:48

    埋め
    メイリンが姉がいない環境なので本編より抑圧されていない
    これからどう動くか楽しみにしています

  • 200二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 17:38:07

    うめ
    レイ以外の人々の関係性はイイんだが議長がフリーダム過ぎて本編良く回ったなって感じる。艦長も疑念持ってたけど

オススメ

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