- 1二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 18:12:06
- 2二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 18:12:33
丁度帰宅ラッシュの時間帯に、空いている上り電車に乗った
移動も旅の楽しみの内
空いている電車は非日常の味がした
やがて大きな駅へ着いて特急に乗る
中々珍しい構造で、本を読んでいたジャーニーの耳が楽しげに動いていた
「ジャーニーも移動は楽しいんだね、慣れてそうなのに」
「っ……顔に出ていましたか」
「どんな道筋も旅の1ページですからね。それも、トレーナーさんと一緒ですし」
ほんの少し頬を赤らめ、今度こそ悟られまいと本へ視線を戻す
耳は相変わらずクルクルと動いていた - 3二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 18:13:40
『次はー××、次は××でございます。えーお降りのお客様は───』
無機質な声が人気のない車内に響き、自分達は電車を降りた
小さな改札を出た先にあったのは暗い、暗い森道だった
「ここから少し歩きます」
4,5分歩くと硬く閉じた大きな門と塀が佇んでいた
その中から漂うものはどこか畏怖を感じさせる雰囲気だった
背丈の大きい黒服のウマ娘が提灯をもってこちらに向かって来て、礼をした
ジャーニーがそのウマ娘と話をしたあと、そのウマ娘は提灯を渡し暗闇走り去っていった
「ここは……?」
「旅は始点から、と言うでしょう。」
ふわりとした回答
それが暗い未知への恐怖を加速させた - 4二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 18:14:33
一歩、門の中に踏み出す
威圧感を感じ、思わず息を呑んでしまった
足が重い。嫌な汗が吹き出てくる
「ジャーニー、ごめん、ごめん…怖い」
「知らない世界に少しばかりの恐怖は付きものです」
「貴方はそれに屈しない、でしょう?」
優しい声色
これは怯える自分を優しく導こうとしてくているのだ
けれど、嘘だ
現にまだ一歩しか踏み出せてはいない
辺りは真っ暗。頼れる灯りも見当たらない
もしここで戻ると言ったらどうなるのだろう
きっと、失望されてしまう
怖い、何もかも - 5二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 18:15:03
冷たく冷えていった手に温い感覚が広がる
そのぬくもりはゆっくりと指を絡めた
整えられた鮮やかな赤いネイル
大切に磨き上げられた数多の金属の指輪
その全てが感じられる程に。
自分の手を包み切れない小さな小さな温もり
「行きますよ、トレーナーさん」
思った以上に軽く足が出る
ただ、心は軽く無い
大人である自分が少女に頼るなど情けない
そう思ってしまった
───ふわり
優雅に回転してジャーニーがこちらを向いた
シャンプーと幾度となく嗅いで来た香水が混じり合う
「貴方は私に着いて来て下さった」
「それは紛れもなく貴方が踏み出した一歩です」
「ですから......」
今度は両手に温もりが広がる
「私を頼ってください」
「私と歩む、夢の様な旅路の始点なのですから」 - 6二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 18:20:19
おしまい。
噛んだりとかとは別方向でのジャーニーを書きました
門の先は黄金一族の里、と言う裏設定があります
実家連行ジャーニーはまた別のお話…
実装前にも1つ書いたけど実装後にやっと1本書けた…ジャーニー、良い
ここまでお読みくださりありがとうございました - 7二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 18:23:55
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- 8二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 19:47:06
まずいトレが一族()に紹介されちまう!!
- 9124/06/30(日) 21:05:33
- 10二次元好きの匿名さん24/06/30(日) 21:38:19
とっても良かったです!!!
- 11124/06/30(日) 21:41:43
ありがとうございます!!!
- 12二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 03:55:48
黄金の里…ややこしい名前過ぎて変なのが寄ってきそう
肝心のアネゴは居ないわけだし