【閲覧注意】貴方を求め【トレウマ SS】【ドリームジャーニー】

  • 1二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:38:45

    姉上、一つ問おう?」
    「なんだいオル?」

    聡明な妹が問いかけることは本当に珍しく逆に少しだけ疑問に思いながら言葉を返す。
    時間はそろそろ就寝時間に移ろうとす頃合いだ。

    「なにがあった? いや、なにをするつもりだ?」
    「……はぐらかす意味はないみたいだね、どこで気づいたの?」

    降参の意志を示すために軽く両手を上げる。
    するとオルは私の手の先を見る。
    そこには思い出の香水が入った瓶。

    「姉上が特別扱いしている香気を毎日まとっているのだ気づきもする」
    「本当にオルは聡明だね」

    どこか誇らしげにそううなずいていると、オルは弓を引き絞るようにこちらを見据えてつぶやく。

    「新人トレーナーの誰かを見初めたか?」
    「うん、そうだよ、一人ね」

    数日前に見た希望に満ちたいい顔をしていた一人のトレーナーを思い出す。
    あの時に聞いた個人情報から逆算するとストレートで数々の難関試験をクリアしたという事なので思った通り優秀だったようだ。

    「ならば明日にでも迎えに行けばいいだろう」
    「オル、それはあまりに性急だよ」
    「……姉上が目をつけた才気あふれる者が引き手数多だと思うが」
    「……さぁどうだろうね」

  • 2二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:39:13

    そんな会話から数週間。

    「さて……これは由々しき事態かもしれませんね」

    遠征支援委員会でつぶやく。
    見どころのあるいい若者なのはわかっていたけれど――

    「もう3人目ですか……」

    積極的に声をかけて複数人と会う約束を結んでいるらしい。
    ここのところ委員会の仕事が立て込んでいてアプローチが上手くできていないことが痛かった。

    「……」

    無言で呆れたような空気でこっちを見るオルの姿を幻視する。
    まだ契約を結んだわけではない。
    それに後から契約を重ねることも珍しい事ではない。
    しかしそれを受け入れることに抵抗を感じる。

    「……そう、これはあくまで善意で行うことです」

    そんな誰に対する言い訳かわからないまま情報端末と予定表を取り出し根回しを始めた。

  • 3二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:39:42

    「余は一度すぐ向かうよう勧めたぞ」
    「うん、そうだね」

    ここ最近の事を思い出す。
    私自身信じられないほど様々な人に話を通して、いろんな場所の許可をとった。

    「でも、いい仕事ができたと思うよ」

    私自身はあんまり走るのに向いていない体格だけど、結構なトレーナーから声をかけてもらっている。
    そして、委員会の性質上それなりには各ウマ娘の情報にも詳しいから仲介のお願いもされている。
    すこし誤解を招くような言い方をしてしまった部分はない事もないけど、満足いくマッチングができた。

    「……」
    「あんまりそんな怖い顔で見ないでよ、オル」

    冗談めかして笑いながらなだめるように話す。

    「実績あるベテラントレーナーとの接点が急にできたからとはいえ、自分の口で約束を破棄することができない子には渡すつもりがないだけですよ」
    「やましい事があると人は饒舌になる――そうだな、姉上」
    「私の言った言葉を忘れていないのは流石だね、オル」

    言いながらそっとオルのやわらかな髪をなでる。

    「さて、あとはどうやって接点を作るかだけど……」
    「その者は善良なのだろう、ならば手の届かない場所の物をとってもらうなど手伝わざるを得ない状況を作ればいい」

    その言葉に雷を打たれたかのような衝撃が入る。

    「さすがだよオル !!その方向で考えよう」

  • 4二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:40:09

    善良で分かりやすい人だからある程度行動は予想がつく。
    なら手伝いたくなる状況を作れば十中八九手を差し伸べてくれるだろう。
    後はいくつかの駆け引きで契約を結ぶことはできるはす。
    そこでオルの視線に気づいた。

    「どうしたの? オル? 信じられないものを見ているような表情だけど」
    「いや、人は変わるものであるからな、深い意味などない」

    なかなか見ることのない、歯切れの悪いオルの珍しい姿に不思議に思う。
    でも時間勝負の面もあるから少し分の悪い賭けをする必要もあるがこれ以上遅れは致命傷になりうるので早速明日にでも動くことに決めた。

  • 5二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:42:02
  • 6二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:43:35

    好き〜!!!!!!!!!!!!!

  • 7二次元好きの匿名さん24/07/01(月) 00:43:42

    あとこの時のオルフェーヴルの心境を要約すると

    「うわーー!? おねえちゃんの知能指数が急に落ちたぁ!?」

    な気がしますね。

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