- 1二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 17:18:16
この前も軽く言ったけど、あんた相当卑しいでしょ……毎週一回以上行ってるじゃない……
あんたは本当に優秀な生徒だった……
勉強は私が見てあげないと全然ダメだけど、そのかわりどんな時でも部活を楽しんで……自分より友達を1番に考える奴で……
私もカズサみたいに優しくなれたらいいな…とか思う時もあったっけ……
でもねカズサ
今あんたがどんな当番しようとしてんのか知らないけどあんた本当に図々しいよ
多分、トリニティ史上こんなに先生と頻繁に会ってる奴はいない……
そうだね……少なくとも、私がトリニティに入学して以来、ここまで図々しい奴には会った事がなかった。あんたが入ってくるまではね
他校の生徒達は決まった曜日にシャーレを訪問してるらしいじゃない?
それに比べあんたは約束も取り付けず突発的に訪問して、しかも抜け駆けで毎週先生を独り占め?
一体何考えてるの?先生の事情とかちゃんと考えてる?
うちの後輩が先生に迷惑かけてるんじゃないかと思うとホント、正直……反吐が出る
この距離感ちけぇキャスパリーグが、私が今から……
……は?
……今日で最後にする……?ふーん………………毎週行くのは?……………………ふーーーーん……そう。
…………別に…………わかったならいい……。それならさっさと行くよ
何言ってんの?この前、みんなで話した季節限定どっさりメロンパフェのお店に決まってるじゃない……
どうせあんた、シャーレには暗くなってから行くつもりなんでしょう?
言っとくけどあんたに拒否権なんてないから。もう5人で予約済みなのよ
あんたがしょっちゅう先生と密会しては、いつも一人寂しく発情しながら帰って来てる事、ヨシミ達にバラされたくなかったら早く支度しなさい - 2二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 17:19:07
トリニティのキキョウ!?
- 3二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 17:19:12
お姉さん…
- 4二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 17:20:19
スイーツ部の姉御だ…
- 5二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 17:21:43
血縁関係無いのに姉御してる…
- 6二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 17:26:00
詠唱キャンセル……いや、短縮詠唱から詠唱変形か!?
トリニティ生キキョウなんて僕のデータにないぞ! - 7二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 17:36:34
暗くなっても帰ってこないからと、寮のロビーで帰りを待ってそう
- 8二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 17:47:39
あ……姉御……
- 9二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 18:49:24
4月の頃
カズサ、あんた最近やたらとスマホ見てない?
何か気になる事でもあるわけ?私には関係ない…………?
…………そっか。まあ、先生も色々あるからね……何よ、猫が足の裏嗅いだみたいな顔しちゃって
別に、何も知らないけど?あんた、カマかけたら簡単に引っ掛かるの少しは気を付けた方がいいよ
バレたんだからもう白状したら?
花見……?
…………そういうこと。シャーレの忙しさを考えたら当然でしょう?
あんたって男の事になると意外と女々しいんだ。
いつも見せてるクールキャラ……あれ、キャラ作りでもしてたの?
……………………ちょっとそこで待ってて。
……はい、これ。
書いてある文字が読めないの?……桜茶よ
そう、桜の花が入ったお茶。お茶の中に咲く桜でお花見なんて風流でしょう?
持っていきなよ、ちょっとお洒落で気の利く女を演出するチャンスだよ。
後はなにかお茶菓子でも買って…………え?
婆臭いと思われないかって……?
………………あんた、暗に私の趣味が婆臭いって言いたいの? - 10二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 19:05:18
なんだろうこの姉感
- 11二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 19:06:36
頼りになるお節介焼きのおばちゃんかな?
- 12二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 19:13:20
元々後輩のお世話好きだったし、自分に似た後輩がいたらお姉ちゃんにもなっちまうよ
- 13二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 19:39:59
- 14二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 19:40:34
まあシンプルにトリニティの姉御じゃないか?
- 15二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 19:41:32
他のスイーツ部が居ない時はお姉ちゃんとか呼んでそう
- 16二次元好きの匿名さん24/07/02(火) 20:08:07
それはそれで後輩への感情が更に劇重になりそうでありだ
- 17二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 00:43:59
学園祭一週間前 スタジオにて
「ナツ、あんた正気?ティーパーティーの管理するセムラを強奪しようってわけ?そんな事したらスイーツ部解散で済めば御の字、最悪は停学処分よ?」
「姉御の言う通りよ!」
「誰が姉御よ。」
「そもそも、沢山いる見張りを私たちみたいな一般学生数名で突破するなんて普通に考えて絶対無理!」
「何を言っているのさ。忘れてしまったのかね?我々の傍らには幾千もの修羅場を潜り抜けてきた歴戦の兵と参謀がいることを。」
「……はぁ?」
「刮目せよ、かつて暗黒街を牛耳っていた恐怖の魔獣……。」
「……!?ちょっ、ナツ!?あんたね……!!」
「そして、あの正義実現委員ですらその作戦立案能力に一目置く、謎に包まれし切れ者系お姉ちゃん……。」
「だから誰がお姉ちゃんよ。」
「悪いけど私は本気だよ。アイリがいなくなっちゃった今……気持ちはみんな同じだと思ってるけど?」
「はあ…………くだらない。」
「え……ちょっ!?キキョウ先輩、どこ行くの?」
「どこでもいいでしょ。後で連絡する。」
「……え……え!?キキョウ先輩がいなきゃ流石にキツイでしょ!!?どうすんのよ!?」
「おお~神よ何故われらを見捨てたもうたのかー。」
「あんたら……先に言っておくけど。私が指揮を執る以上は未遂じゃすまないから……覚悟はしておいて。」
「…………行っちゃったよ。」
「参加するって事だよね?」
「はあ……やっぱ姉御ってカッコいい……これぞ大人の女!!って感じじゃない?」
「いやヨシミ、私たちと一つしか変わんないから」
―――――――――
「……先生?うん、私。……こっちは大丈夫。アイリは?…………そう。とりあえず、私も合流するから場所を教えて。」 - 18二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 12:38:41
これはお姉ちゃん
- 19二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 17:26:17
先生に指定された駅前広場に着く。夜の広場に人影は二つだけ、静かな公園に先生とアイリの声だけが響いていた。
既に先生がアイリを見つけ出していた事に感心しつつも、私はアイリの死角に回り込み木の陰に身を隠した。
私たちに何も言わず消えた以上、今出て行ってもアイリの真意を聞き出せないかもしれない。二人の会話に聞き耳を立てる。
「……みんな、たくさん励ましてくれました。――わかってるんです本心でそう言ってくれてる事。でもどんどん悪い方に考えちゃって――『本当は……私なん、ていなくていいんだ……』そんなことない、何てことすぐに気づいていました。むしろそんなことを考えてしまう自分が嫌で。」
アイリの独白。いつも無邪気な笑顔で私たちを癒して、明るい声で元気づけてくれたアイリ。私はこの子なら大丈夫だと漠然と思い込んでいたのではないだろうか。
「これも多分……私が、自分勝手だからなんです。自分の事だけ考えて、自分のことばっかり守ろうとして……。このまま一緒にいてもみんなを傷つけるだけです。なら、その前にいなくなれば良いんじゃないかなって。」
アイリの気持ちに露とも気が付かなかった自分を思い、そしてアイリの吐き出す言葉を聞いていると胸が悪くなるのを感じた。
「私だけ、何にもない……バンドを始めても、自分だけ置いてかれて……どうして、私には何もできないんだろう。どうして……どうして私は……こんなにダメな子なんでしょうか?」
もう聞くのは十分だろう。私は木の陰から出るとアイリいる方へ歩を進める。
「え……?キキョウ先輩……何でここに?」
"キキョウ……。"
「アイリ、あんた本気?自分がいなくなれば全部解決するとか本気で思ってるの?」
「え……?聞いてたんですか?」
「質問に答えて。」
「……は、い。……だってキキョウ先輩だってわかってますよね……私、要領悪くていつも迷惑かけちゃって。今回だって……。」
「はぁ……だから?」
「え、だから……。」
「アイリ……言わせてもらうけど。あんた、自意識過剰なんじゃない?」
「…………え?」 - 20二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 18:08:15
「確かにあんたは頭脳も並み、腕っぷしも強くない、これといって特技もない、趣味もお菓子食べるだけ、大抵何やっても要領よくないよ」
「うっ……。」
「そんなあんたをどうしてあいつ等は慕っているかわかる?」
「…………」
「そうだよね。わかっていたらあんたは一人でここにいない。教えてあげようか?」
「…………なん、ですか?」
「誰もあんたに期待なんかしてないんだよ。求めてなんかいない。あんたに多くを求めてるのはあんただけ。」
「っ……。」
「欲しい能力が手に入らない現実を直視できなくて、そんなの無くてもいいって言ってくれる友達の声は無視。悲劇のお姫様ぶって、あんたは見たくない現実に背を向けて逃げてるだけでしょう?」
「そ、そんなつもり……。」
「放課後スイーツ部なんて、所詮は上辺だけの仲良しごっこだったわけ?そんなのに付き合わされていたのなら正直、反吐が出る。」
「そ……そんなんじゃ……みんなの事は私本当に大切に思って……ます……。」
「あいつらの気持ちは無視して、一方的に手紙で自分の気持ちだけ伝えて、それで、今あんたはここにいる。あいつらよりも自分の気持ちが大切だからでしょう?」
「ち、ちがっ……!私はみんなに迷惑をかけたくなくて……。」
「違わないでしょ?あいつらが迷惑に思うかはどうでもよくて、迷惑をかけてる自分が嫌なだけだけなんじゃない?。」
「う、うぅ……っ……そん、なこと……わか、って…………。」
「わかってるなら認めなよ。あんたがいなくなって解決すると思ってるのはあんただけ。ただの勝手な独りよがりでしょう?」
「っ……わかって、ますっ……自分勝手だっぇ……わか、って……ぐす、でも……そんな事言っても……うあぁああ」
言葉を出し切れないまま、崩れるように地面に膝をつきアイリは声を上げて泣きだした。
それまで私たちのやり取りを黙ってみていた先生は傍らで彼女の背中をさすり、私は彼女が落ち着いてくるまでただ見守っていた。 - 21二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 18:13:22
"キキョウ?"
アイリに再び歩み寄る私を見て、心配そうに声をかける先生に
「大丈夫。これ以上変な事は言わない。」
そう言うとアイリの正面にしゃがみ込み、その肩にそっと右手を置いた。
「アイリ、顔を上げなよ。」
「でも……うぅ……キキョウ先輩……私じゃ無理なんです……ひっぐ……どう、すればいいか……わからな……。」
「……………………わかってる。こっちを見なさいと言ったの。」
「うぅ……あ゛い」
「アイリ、これだけ言ってもわからないなら、あんたが見たくない現実、私が見せてあげる。」
「…………ふぇ?」 - 22二次元好きの匿名さん24/07/03(水) 22:40:38
支援
- 23二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 00:15:35
翌日。正午。留置所にて
「やんちゃして豚箱にぶち込まれる……これもまたロック……」
「もうちょっとやれると思ったんだけど、あのキャスパリーグでもあれぐらいが限界かぁ……。」
「その呼び方やめてって何回も言ってるよね!?それに時間は十分稼いだでしょ!?私だってキキョウ先輩の作戦が無ければもっと――。」
「ちょ!!?カズサ!!しッーー!見張りに聞かれる!!」
「あっ……ご、ごめん。」
「はぁ……我らがおねえちゃんは上手くやったであろうか……。」
「ま、大丈夫でしょ!あんなにクールに自信満々だったんだから。」
「そうかな?私にはちょっと不安がってるように見えたけど……。」
「誰が不安がってたって?カズサ……。」
「「「え…………。」」」
「3人とも、案外元気そうじゃない。」
「おねえちゃん!」「姉御!!?」「キキョウ先輩!?」
「ナツ、ヨシミ……そういう呼び方やめろって何度も言ってるよね?」
「あっ……あはは、ごめんなさい……って!!そうじゃなくて!!キキョウ先輩どこ行ってたの!?ていうかこんな所に堂々と入って来ていいの!?アレ、アレはゲット出来たの!!?」
「いっぺんに聞かないでよ……見張りについては『話し』を付けてあるから大丈夫。」
「…………『話し』……を?」
「……聞かぬが花よ。真実を求める時、人はその真実に焼かれるもの……。」
「たぶん、あんたたちが想像しているような事じゃ……まぁ、いいけど。ほら、これはあんたたちの物だよ。」
「え……なにこの箱……?」
「え?え!?もしかして……ウソでしょ!!?」
「ま、まさか……夢にまで見た……!」
「………………セムラよ。」
「うおぉぉおおおおおおお!!ろおぉぉぉぉおおおおっく!!!!!」
「バカッ!!!ナツ、あんた声出し過ぎだって!」
- 24二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 00:26:28
「っていうか!キキョウ先輩!?なんでこんな所に持って来ちゃったの!!?こんな正義実現委員会のど真ん中に!!」
「ふっ、それもまたロック……。」
「アイリに渡すために盗んだんのに……キキョウ先輩何やってんの?」
「アイリならそこにいるよ。さっきから通路の陰に隠れてる。」
「「「え……!?」」」
「さっきも言ったけど、見張りの心配なら平気。あんたたちが呼んであげればアイリも出てくるんじゃない?」
「え、マジ?アイリーいるのー?」
「いるなら早くこっち来なさいよ!もうすごいんだから!!」
「アイリ―?我らの召喚に応じ、この供物を受け取り給え―。」
「……みんな……みんなそんなにボロボロになって……」
「そんなのいいから!もっとこっち来なさいよ!ほらカズサ、箱開けて見せてやりなさいよ!!」
「おおぉ……禁断の箱が今開かれる……。」
「ん……っと、ほら!」
「「「おおおおおぉぉおお!!」」」「……。」
「へぇ……結構見た目は普通なんだ……。」
「はぁ?カズサあんたこの違いがわかんないの?」
「おぉ……輝ける黄金……!!」
「……。」
「ほら、アイリ!食べてみなさいよっ!あんたの為に苦労してゲットしたんだから!当然一口目はアイリが食べなきゃ!!感謝してよねっ!」
「……さっきも少し聴こえたけど、本当に私の為に……これを……?」
「そう、我々の目的はセムラ。そして我々は放課後スイーツ団。狙った獲物は必ず食す……。」
「ナツ、あんたその顔じゃカッコつけても全然決まってないから……。」
「もう、アイリ!そんなに食べたかったなら、最初から言ってよ!」
「私のため……私なんかの為に……。」
「……それ、もしかしてセムラっすか?」
「「「!!?」」」 - 25二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 12:24:34
(((正義実現委員会……!!)))
「アイリ、早くしてっ!」
「え?え?なにカズサちゃ――。」
「早く食べなさいって言ってんの!!!」
「アイリ、口開けて!!」
「え、え?むぐぅっ……!!?」
「…………何してるんすか?」
「早くっ!早く食べてっ……!」
「んっ、んー!うぃっ……ういぃぃーっ!!!(無理、無理)」
「無理じゃないのよ食べるのよ!!ここまで来て没収とかそれこそ無理だからー!!」
「押し込めッ……我らには構わず食べるのだ……!」
「……なんかの遊びっすか?ははっ、相変わらずそっちの部活は仲がいいみたいっすね。」
「イチカ、お疲れ。」
「あ、お疲れ様っす、キキョウさん!今日はありがとうございました。」
「こちらこそ、感謝してる。急な申し出を受けてくれて助かったよ。」
「いえいえ、こちらとしてもここまで実戦的な訓練は中々できませんしすごく勉強になったっす。それにキキョウさんには何かと借りを作っておいて損はないっすから。」
「……そう。正義実現委員会の損害は?」
「大した損害はないっすよ。けが人もみんな軽症っす。三人が上手く手加減してくれたおかげっすね。」
「…………?」
「なんか……様子が変じゃない?」
「え……?なに?どういうこと……?」
「むぐっ……うっ……ぐっ……。」 - 26二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 12:38:43
「あ、三人も犯人役お疲れ様っす!いやー超実戦形式の演習とはいえ、みんなちょっと手加減が下手で申し訳なかったっす。救護騎士団に話は通してあるんで後で……あっ、とりあえずここ開けるんで鍵持ってくるっす。」
「え……?なに……!?え?!」
「ねえ、キキョウ先輩?今のどういう事?演習とか犯人役とか……というか私たち釈放?おかしくない?」
「いや、それに……セムラは……?没収じゃないの!??」
「まさか私たち………………はかられた?」
「……ね、ねえキキョウ先輩?これって本当にあのセムラ?」
「……見てわからない?セムラだよ。」
「フレデリカ・セムラで間違いない?」
「…………………セムラだよ。」
「フレデリ―「セムラ」」
「……………………まさか……普通のセムラなの?」
「……………………………………………………そう。」
「…………………。」「…………………。」
「はぁあああ!?何が『そう。』だよあんた!!?私たちの事、騙したの?!!」
「は?カズサ……人聞きの悪い事言わないでくれる?私は最初からただ『セムラ』としか言ってないけど?」
「はああ?!屁理屈捏ねないでよ!!だいたい何!?犯人役って!!?私たちセムラ強奪目的の襲撃犯じゃなかったの!!?」
「あんた、もう少し頭使いなよ。私があんたたちにそんな犯罪まがいな事させるわけないでしょう?」
「はああ!!?何開き直ってんのこのクソ猫!!あたしらがどんな覚悟でこんなボコボコにされたと思ってんの!」
「キャスパリーグは大して怪我してないけどね(小声)。」
「黙ってないと飛び火するよ~(小声)。」 - 27二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 13:13:25
「じゃあ、何?全部あんたの仕込みで、私たちの襲撃はただの演習だったと思われてるって事!?」
「はあ……そうだよ。昨日の夜に正義実現委員に提案して急遽スケジュールを組んでもらった。急だったから多少渋られたよ。けど、遠慮のいらない生身の演習相手なんて中々いないからね、なんとかなった。あんた、襲撃時間を警備の厚い昼間に設定した事、おかしいと思わなかった?」
「はぁ!?この……よくもぬけぬけと……そもそも!!私たちはボロボロなのに!あんただけ小奇麗にしてすました顔してんのがムカつくんだけど!!!」
「は?元々、あんた達が囮になって、その間に私が盗み出す作戦だった。あんただって合意の上でしょう?」
「盗み出してないじゃんっ!これただの菓子パンじゃん!!私たちはフレデリカ・セムラの為に戦ったんですけどっ!!??」
「はぁ?!これだってわざわざ朝から有名店に並んで買ってきてあげたんだけど!?」
「どうでもいいよ!?そんなこと!!!!あれはなに!?『未遂じゃ済まさないから覚悟はしておいて』?格好つけてバカみたい!未遂で終わってるじゃん!さっき喜んでた私たちもバカみたいなんだけどっ!!?」
「ふっ、だから少しは頭使いなよ。そもそも事件が起きてないのだから。未遂じゃ済まなかったでしょう?」
「屁理屈こねるなって言ってんでしょうがあっ!!!!」
「私からも言わせて貰うけど、あんたたちがアイリの気持ちを勝手に勘違いして暴走しだしたのが発端でしょ……!」
「はあ!?何、勘違いって!!?あんただってアイリの気持ちがわからないから、確かめる為にわざわざあの後探しに行ったんじゃないの!?普段なら心配しても直接自分では会いに行かない、回りくどーい性格だもんねぇ?あんた。」
「は……?あんた、どうして私がアイリに会いに行ったの知ってるの……ストーカー?そうよね……どうせあんた、いつも先生にもそんな事してるんでしょ……本当に気持ち悪い……。」
「はあああああ!!!??!?いつもはしてねーし!!!ってか先生は今関係ないでしょ!!?」
「おー二人とも燃えてるね。」
「え?アイリの気持ちを勘違いってどういう事?アイリ、セムラが欲しかったんじゃないの??」
「ムぐ……ぐう……ごくっ……。」 - 28二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 13:26:52
「それに、回りくどいとか、カズサにだけは言われたくないよ。あんたもう何ヵ月シャーレに通ってんの?外堀埋めるだけで3年使うつもり?」
「ちょっっっっ!!??!!はぁ?!みんなの前でその話はしないでって言ったじゃん!!!???」
「え?なにそれ?なんの話??」
「真実を求める時、人はその真実に焼かれるもの……。」
「ギャーギャーうるさいよ。檻に入れられた猛獣みたいであんたにはお似合いだけど。首輪つけて先生にでも飼って貰ったら?」
「はぁああ!!???だから先生は関係ないってさっきから言ってるじゃん!!?」
「まあ先生もあんたみたいな面倒くさい雌猫はいやだろうけど……。」
「あんた……この…………さっきから……も゛う゛!!無゛理゛!!表でなよ!!この腹まで黒い化け猫があっ!!!」
「あんたこそさっさと出なよ?出られるならだけど……この薄汚れたキャスパリーグが……!」
シャー!!! マーオ!!!
シャーー!!!! マーーオ!!!!
シャーーーー!!!!!マーーーーオ!!!!
「今日は、いつにもまして激しいね。」シャーーーー!
「……うん。」マーーオ!!
シャーー!!!! シャーー!!!!!
「鍵持って来たっす。今開けるっすよ。」シャー!!! マーオ!!!
「あ、今は……ちょっと……。」シャーーシャーー…シャーー…ー!!
「この扉は決して開けてはならぬ……。」マーーーーーーーーーオ!!
「あれ?そうなんすか?」シャーーフシャーーーーーーー!!
「うん……たぶん……血が降るよね……。」マーーーーーー
「ゲホッ!ゲホッ……ゴホッ!」ーーーーオ!!
マーーーーーーーーーーーオ!!!! - 29二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 15:18:38
何やってんだてめぇら!
喧嘩はよせよ! - 30二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 15:34:20
野良猫が縄張り争いや発情期の時にしか出さないガチの声じゃねえか
- 31二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 23:31:12
ほし
- 32二次元好きの匿名さん24/07/04(木) 23:47:59
「はぁ……はぁ……。」
「ふーー……ふぅー……。」
「はぁ…………カズサ。」
「ふぅ、スゥ……あ゛あぁん!!??」
「凄むんじゃないよ……あんたの相手はまた今度して上げる。今は他にする事があるんじゃない?」
「あ゛ぁ?!何よ、それ?」
「カズサ……あんた別にセムラの為にあんな必死で頑張ったわけじゃないでしょう?」
「はぁ……?」
「そうよカズサ!元々アイリのために始めたんだから!!」
「うむ、まぁ私の予測は外れてたみたいだから、今重要なのはアイリが出て行った謎を解く事……。」
「うっ……まぁ、そうかもだけど……。」
「ねぇ、アイリ……。」
「は、はい…………。」
「私がこいつらを騙したから、本物のセムラは手に入らなかったけど……こいつらの気持ちは本物だよ。」
「…………。」
「停学になる覚悟で戦った……アイリの為にね。このボロボロの姿を見れば、あんたにもはっきりわかるでしょう?」
「っ……でも……で、も……なんで私なんかの……ために……。」 - 33二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 00:03:34
「…………それは、直接聞きなよ。アイリも、自分の事を全部話せばいい。」
「……え?……でも……。」
「こいつらの気持ちがこうしてはっきり見える今なら……面と向かって話せるんじゃない?」
「で、でも……あんな気持ち知られちゃったら……私……キキョウ先輩だって私の事……昨日あんな風に……。」
「……昨日のは…………昨日のは、少し言い過ぎただけ……思ってない事も言ったし、その………………悪いと……思ってる……。」
「キキョウ先輩……。」
「私は、アイリの事………………いや……なんでもない。ただ……この子たちなら大丈夫だから……。」
「…………。」
「あれ?キキョウ先輩、どこ行くの……?」
「猛獣には噛まれたくないから……後は、私抜きで話して。」
「はぁ!?ちょっと、逃げんの!?」
「今回はそういう事にしておくよ。」
「あっ!ちょっ!!」
「ちょっとカズサ!キキョウ先輩となら後で話せばいいじゃん!今はアイリだよ!」
「ああ、もう……わかってるよ。」
「…………。」
「あはは……えーっと、じゃあ私も、お邪魔虫は鍵開けたらさっさと退散するっすね。」 - 34二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 06:57:20
キキョウ…
- 35二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 07:40:08
このレスは削除されています
- 36二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 17:57:56
キキョウ先輩のバンド内役職はなんなんだろう
ヨシミにリードギターを任せてリズムギターとか弾いたりしてるんだろうか - 37二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 18:36:50
ギターをもう一本か、カズサをボーカルに専念させてベース引くか
指先は器用そうだからどちらでも卒なくこなせそう - 38二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 19:01:51
校舎から少し離れた裏庭、良く茂った広葉樹の根元が最近の私のお気に入りだ。
全身に日を浴びるのも好きだけど、木洩れ日を浴びながら涼風を楽しむのも悪くないと思う。もっともそんな余裕、今はないが……。
先ほどまで兵書を開いていたが、すぐに閉じてしまった。頭が文字を追う事を拒否している。
今は根の上に腰掛け、幹を背もたれにしてあやとり紐を手癖にまかせるがまま、弄繰り回している。
いたたまれず、つい逃げてきてしまった自分に、さっきまでイライラしていたが、こうして指先を動かしていると少しだけ気持ちが落ち着く。
アイリたちは大丈夫かな……。上手く話せているだろうか。あの子たちが離れ離れになるところなんて、見たくはない。
アイリは、ああ見えて頑固だ。一度決めたら簡単には曲がらない強さがある。逆に……一度曲がったそれを元に戻すのは難しい。
あの子たちの気持ちをアイリ自身が受け入れてくれるか…………いや、考えるのはよそう。
勝兵は先ず勝ちてしかる後に戦いを求め……私にできる事はやったと思う。場は十分に整えた。勝算は十分にある。
その為にあの子たちを騙して、怪我をさせてでもアイリへの気持ちを示させたんだ。後は戦果を待つのみ。
……でも…………そうだよね。カズサが怒るのも当然……。
私は、あの子たちにセムラを盗ませて、停学はもちろん、何よりスイーツ部というあの子たちの居場所を失わせたくはなかった。
いや……でもあの子たちは仮にスイーツ部がなくなっても……きっとこれからも仲良くしていった筈。だからこれは私のくだらないこだわりなのだろう……。
そんな私のこだわりの為に、あの子たちを騙して怪我をさせたんだから……。
その上、カズサと口喧嘩までしてしまった………………いや……これはいつもの事か……。
途方に暮れるように上を見上げると、木の葉の隙間から射し込む陽光が、風に揺れてキラキラと輝いていた。
「まぶしい…………。」
目を閉じると目蓋越しにも光が見える。そうしいるとまた少し、心が静かになっていく。
微かに風の音が響いている。優しく、囁くように……。そんなことに、気がつくのだった。 - 39二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 19:20:17
あたたかい……。じんわりと温かい何かを感じ目蓋を開いた。
「あっ、キキョウ先輩起こしちゃいましたか?ごめんなさい……。」
「え…………アイリ?」
気がつくとすぐ隣に、私に寄り添うようにアイリが座っていた。どうやらいつの間にか眠っていたらしい。
「キキョウ先輩疲れてます……?もしかして昨日はあまり眠れなかったんじゃ……。」
たしかに、昨日は殆ど寝ていない。今も眠気を感じている。
でも、今はそんな事どうでもよかった。
「…………アイリ、ちゃんと話せた……?みんなと……。」
「……えへへっ……はい!」
その一言と、寝ぼけ眼に映るアイリの明るい表情だけで、結果を知るのに十分だった。
「そっか……よかった……。」
「キキョウ先輩、あの…………ごめんなさい。」
「え……?」
「キキョウ先輩が言う通りで……私、自分しか見えてなくて……。でも……まだ上手く言えないけど……。」
「……うん。」
「自分だけじゃなくてみんなを見て……みんなを含めて自分を見たら……みんなの事も、みんなと一緒にいる自分も好きだって思えたんです。」
「…………。」
「えへへ……何言ってるかわからないですよね……と、とにかくありがとうございました、キキョウ先輩!」
「ふふっ……私は大したことはしてないよ。頑張ったのはあの子たちだから…………カズサたちは?」
「えっ?あ、えーと……その、手分けして探すために別れたんです!キキョウ先輩、電話にも出ないし、早く見つけて練習を再開しないとですから!」 - 40二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 19:52:14
「そう……そうだよね……練習か。」
「……キキョウ先輩?」
「……カズサだけじゃなくて、ナツもヨシミもきっと怒っているよね……。」
「え?」
「二人は怪我も酷いし、こんなこと……言ってもしょうがないけど……。」
「…………。」
「その原因は騙した私なんだから…………怒るのも当然だよ……。」
「………………ねぇ、キキョウ先輩?」
「うん……?」
「…………『あんた、自意識過剰なんじゃない?』。」
「……え?」
「なーんて……あっ、えっと……えへへ、昨日のキキョウ先輩のマネじゃないですけど……えっと……きっとナツちゃんも、ヨシミちゃんも……うん……きっとカズサちゃんもそんな事には怒ってないです。
キキョウ先輩が私たちの為にそうしてくれた事はみんなわかってるし……カズサちゃんがあんなに怒ってたのはたぶん、キキョウ先輩が何も相談してくれなかったのが悔しくて拗ねちゃったのかなって
……カズサちゃん、ああ見えてキキョウ先輩の事大好きだから。」
(二人の背後、茂みの影にて。)
「なんと……真実は驚きに満ちている……。」
「カズサ―あんた、そうなのー?意外とかわいいとこあるじゃーん。」
「は?んなわけないじゃん。アイリの勘違いっしょ。」
「まぁ、私は知ってたけどね。」
「あ?ナツ……何を知ってるか知らないけど、私が忘れさせてやろうか?」
「くっ、私は暴力には……屈しな……うぐっ。」
「ちょっ、ナツもカズサも、やるなら後にしなさいよ。バレちゃうでしょ……。」 - 41二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 19:58:32
「えっと……だから、気にしているのはキキョウ先輩だけで、私と同じ自意識過剰かなー……なんて……。」
「……ふっ、アイリに説教されるなんてね……アイリ……あんた、いい度胸だね?」
「あっ……っ、えと、そ、そのー……。」
「……ふふっ、別に怒ってないよ。アイリのそういう芯が強い所……好きだよ。」
「あ……えへへ……。」
最後の一言は余計だったかも……。まだ頭が寝ぼけているみたいだ。
結局私は、アイリに偉そうに説教出来るほどの人間じゃない……。
アイリたちの為にやっていると自分を騙していただけで、本当は私が、この子たちと離れたくなかっただけなのかも……。
やっぱり私はお姉ちゃんなんて呼ばれるほど立派なものではない。
でも、それが今こうしてわかるのも――。
「ねぇ、アイリ……。」
「?……なんですか?」 - 42二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 20:11:25
「おー。いたいたー、キキョウセンパイ、こんな所でなにさぼってんの?」
「ブフッ!カズサ何あんた?ふふっ、バラされて照れてんのー?照れ隠しのつもり??」
「ロックじゃないね~。」
「なに、ナツ?さっきの続きする?あんたの頭をロックしてあげようか?」
「ん?なんで私だけ……?」
「……え?あんたたちどこから……。」
「ふふっ♪キキョウ先輩も水臭いのよ!私は全然怒ってないからね!」
「うぎっ……うぐぎ、ぎ……ぐ、右に……同じ、くっ……くっ、……うぎっ、ギブ……ギブ……。」
「ま、癪には障るけど、結果的にスイーツ部が無くならずに済んだしね。」
「そういうこと!怪我だってこれくらいすぐ直るし、セムラだって正攻法で勝ち取ればいいんだから!」
「あんたら……まさか盗み聞きしてたの……?」
「何よ……あんただってアイリの話、盗み聞きしたんでしょ?」
「は……?あんた、なんでそれを……。」
「アイリから聞いた。私の事ストーカーとか言って、キキョウ先輩だって人のこと言えないじゃん。」
「くっ……カズサ、あんたね…………。」
「ちょぉぉっっ!!あんたバカ!?カズサ!せっかくいい雰囲気だったのに、なんでそんなこと言うのよ……!」
「ん~……人は……過ちを繰り返す……。」
「あっ、あああのき、キキョウ先輩!私は別に聞かれても大丈夫でしたし、あのあの、えっと……!」
「……はぁ……別に……好きに言ったら?」
「「「「え?」」」」
「そんな事より……もう行くよ。練習、するんでしょ?」
「あ、キキョウ先輩!置いてかないでください!」
「うーん……虫のいどころがよかった?」
「なにそれ?」
「まぁ、いっか。私たちも行くよ!もう1週間ないんだからね!」 - 43二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 20:37:12
「あ、あの……キキョウ先輩?」
「なに、アイリ?」
「さっき何か言いかけましたよね……なんて言おうとしたんですか?」
「あれは………………。」
「………………あれは?」
「…………いや、なんでもない。」
「ええ!?」
「ふふっ、別に大したことじゃないよ。」
「ええぇ……あんなもったいぶられたら、気になりすぎるというか……。」
「なになに?何話してるのよ?」
「ヨシミちゃん聞いてよ……キキョウ先輩が何か言いかけたのに続きを教えてくれないんだよ。」
「なにさ先輩、言いたい事があるなら素直に言えばいいじゃん。」
「あんたこそ、私の事がそんなに好きなら少しは素直になったら?」
「な゛っ!?」
「見事なカウンター……カズサ、敗北。」
少しだけ傾きだした日差しの元、騒がしく5人で歩く。スイーツ部に入るまではこんな日常、私には絶対に起こりえなかった。
「ナツうっさい!さっきから何なのよっ!」
「うぉおお!暴力には屈しない!」
「今日のカズサ、なんかいつにも増して狂暴じゃない?昔の血が騒いじゃった?」
「か、カズサちゃん暴力は良くないよ……。」
騒がしすぎて嫌になるくらいだけど……時には衝突して傷つけ合うけど……ぶつかり合った時、お互いを感じられる。そんな距離が私には心地いい。
ねぇ、アイリ……。寝ぼけてでもなければ、こんな事、絶対言えないけど……。
あんたたちと、いられてよかった。
-ive aLIVE!-Kikyou if- fin - 44二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 21:27:02
あたかも公式のようなif
御美事 - 45124/07/05(金) 23:26:52
- 46二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 10:50:09
- 47二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 13:12:19
めっちゃ良かった、乙乙です
- 48二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 18:42:07