【閲覧注意】貴方には負けない【トレウマ SS】【ドリームジャーニー】

  • 1二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 00:44:42

    暦の上ではようやく初夏を越えた頃だが蒸されるような本格的な夏の気配を感じる始業前のひと時。
    朝のトレーニングためにトレーナー室に渡された合鍵で入ると――

    「おや?」

    ソファの上に私の背丈ほどの大きな包みが置かれている。
    包装材は飾り気のないクラフト紙で、端をとめている物もガムテープという無骨さだ。
    危険物の感じはしないのでそっと触れ、持ち上げる。

    「見た目よりかは軽いですね」

    とはいっても羽根のように軽いというわけではなくずっしりとした重みを感じる。
    ちょうど布団に近い重量感だ。
    手触りこそクラフト紙の荒れた手触りだが、力を込めると沈み込むから中身はなかなか柔らかいものに思える。

    「クッションの類でしょうか?」

    さっぱり見当がつかない。
    ただトレーナーさんの私物の可能性があるのであまり触らない方が良いだろう。
    その時扉が開く音がしてトレーナーさんが入ってきた。

  • 2二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 00:45:03

    「ごめん、遅くなった」

    申し訳なさそうな顔で入ってきたトレーナーさんは私が目立つ包みの前にいることを見てうれしそうに笑った。

    「あ、それが気になったのジャーニー」
    「ええ、それなりに大きなものですから」

    すると包み紙を丁寧にはがして行き。
    そこから現れたのは――

    「私のぬいぐるみ……ですか?」
    「うん、ちょっと前にどきゅーとって流行ったでしょ? それの次弾でほぼ等身大どきゅーとが企画されてね」
    「なるほどそれで私ですか」

    なのでどきゅーとの隣に座る。
    私と違いまん丸のかわいらしい輪郭のぬいぐるみは至近距離で並ぶとなかなか威圧感がある。
    そしてふと気づく――

    「どきゅーとの方が大きくありませんか?」

    その様子を見てトレーナーさんが思わずと言った様子で吹きだした。

    「まったく……笑いすぎですよ」
    「あはは、ごめんごめんジャーニー」

    まったく。
    と思いながら軽いミーティングを行う前に、小さな悪戯心が頭を上げる。
    ギュッと抱きつき香りを少しだけ移してからミーティングに向かった。

  • 3二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 00:45:22

    お昼時、手料理ブームにあわせてお弁当を持ってトレーナー室に入る。
    するとすこしだけ異様な光景になっていました。

    「あ、ジャーニーもうお昼なの?」
    「ええ、そうですけど――」

    目に映るのはソファに座って仕事をしているトレーナーさん。
    それだけならおかしなところはないが、どきゅーとを背もたれ側のクッションのように使っている。
    まるでどきゅーとに抱きつかれているような格好になっている。

    「あ、これ? なんだか落ち着くんだよね、ジャーニーがいるみたいで」
    「なるほど、それは良かったですね」

    表情はうまく笑えたと思う。
    が、内心は少しだけ後悔している。
    おそらく原因は移した香りのせいだろう。
    さしあたり引き離す必要があるので一つ提案する。

    「ですけど、そろそろお昼を食べますので汚れないように離した方が良いかと」
    「あ、そうだね」

    と慌てた様子で立ち上がり部屋の隅に移動させたので内心胸をなでおろす。

    「ではいただきましょうか」

  • 4二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 00:45:38

    「……こうなっているのは流石に予想外ですね」

    放課後トレーナー室に入るとどきゅーとにトレーナーさんが抱きついて眠っている。
    少々働き過ぎですのでぐっすり眠れていることは良い事ですが――

    「……」

    デフォルトの表情のはずだがどこか自慢げに見えてしまう。
    次に目に映るのは気持ちよさそうに眠っているトレーナーさんだ。
    思い出すのは朝抱きついたときの抱き心地でもっちりとしたボリュームのある抱き心地。
    どうしても細い自分と比べてしまう。
    思わず小さくため息をついて、眠っているトレーナーさんの肩にそっと触れてゆすり起こす。

    「……トレーナーさん」
    「!? あれ、もうこんな時間!?」

    飛び起きるという言葉通り慌てた様子で起きた。
    その様子にごくごく普通に笑みが零れ落ちた。

    「ふふ、ずいぶんお疲れだったようですね」
    「う――」
    「大丈夫です、ついさっき来たばかりですから」

    そう話して幾つかの話をし、早速トレーニングに向かうとき。
    どこか自慢げなどきゅーとに対し――

    「負けませんから」

    とつい宣戦布告のような言葉を向けて部屋の外に出た。

  • 5二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 00:45:50

    以上です。

  • 6二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 00:47:05

    自分のどきゅーとに嫉妬するドリジャ可愛かった(小並感)

  • 7二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 00:54:01
  • 8二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 01:03:32

    >>6

    まぁ嫉妬することになった理由の大半が悪戯心で抱きついたときの香水の残り香なんですけどね。

  • 9二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 01:06:07

    策士が策に溺れてやがる…

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