- 1124/07/05(金) 22:23:09
前々スレ
俺はルーデウス・グレイラットの双子の弟……|あにまん掲示板俺は兄さんに比べて非才だ……兄さんに習ったおかげで無詠唱魔術こそ使えるけど、魔術の練度はこんなものだし……火 dice1d100=@69 (69)@水 dice1d100=@79 (79)@風 dic…bbs.animanch.com前スレ
俺はルーデウス・グレイラットの双子の弟……2|あにまん掲示板前スレ:https://bbs.animanch.com/board/3542201/俺はルーデウス・グレイラットの弟こと弟くんだbbs.animanch.comルーデウス・グレイラットの双子の弟、レオン・グレイラットだ
現在は龍神オルステッド様に仕えていて、過去に兄と妻を騙しやがったヒトガミとかいう奴を倒すための戦いに身を投じているぞ
今は立派に一児の父親だ、俺も兄さんみたいな幸せな家庭……いや、兄さんとはまた違った、新しい幸せな家庭を築けるように頑張るつもりだけど、俺に出来るか少し不安だ
- 2124/07/05(金) 22:23:33
- 3二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 22:23:34
たて乙
- 4二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 22:24:45
好感度150の商人ちゃんに2人目の嫁が出来ますって言ったらどうなってしまうのか…
しかも子供が出来てしまった今後のタイミングで - 5二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 22:25:20
子供も産まれて幸せいっぱいな天才剣士に北神級の実力の北帝の女剣士の魔の手が忍び寄っていた
- 6二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 22:27:53
シルフィエットと違ってあまり接点がなかったとはいえ孫には違いないからもし泣かせたらエリナリーゼに説教されそう。
- 7124/07/05(金) 22:35:53
現在レオン・グレイラット(愛称・リオン)のスペック
剣術:剣帝(実力は剣神相当)
魔術:火聖級、水王級、風初級、土上級、治癒中級、解毒上級、神撃上級
必殺技:『光の剣閃』
二つ名:若き天才、次代剣神、泥沼のそっくりさん、パパのにせもの
職業:オルステッドコーポレーション武門担当
妻:1人
子供:1人(女の子)
妻への愛:92(ちゃんとした夫婦レベル)
妻からの愛され方:150(天元突破、神を信仰するレベル)
礼儀作法:大人としてギリギリレベル(ノルン談)
普段の服装:適当なシャツとズボン、ミリアがくれたコート(剣の聖地で貰ったものはもう体が合わない)
武器:魔剣(銘は忘れた)
防具:ザリフの義手&義足
現在のミリアルテ・グレイラット(愛称・ミリア)のスペック
剣術、魔術:そんなもの出来ないです……
必殺技:リオン、たすけて……!
職業:フリーの商人
礼儀作法:貴族の場でも褒められるレベル(商人としてのスキル)
普段の服装:ゆったりとした感じの服 - 8二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 22:38:07
そのうちルディと並んで「龍神の双腕」とか言われるんだろうな
- 9124/07/05(金) 22:38:37
子供の名前も皆様から募集しようと思いましたが
ついでで魔剣の名前と効果も募集しようと思いました
ので、魔剣の名前、効果、子供の名前(女の子のもの)をセットで募集します
下3レスまでお願いいたします - 10二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 22:49:04
銘 口裂(クチサキ)
効果 魔力を込めることで硬度と斬れ味が増す
子供の名前 ミア - 11二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 22:49:34
魔剣の名前
ドラゴンスレイヤー
効果
竜に対して数十倍の威力を発揮する。但し知的生命体である龍族には無効
娘の名前
テトラ - 12二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 22:50:32
魔剣の名前 征龍
効果 オルステッドが神刀を使っても破壊されない位に頑丈で例え刃こぼれしても持ち主の魔力や闘気を吸収して自己修復する
子供の名前 レミリア - 13二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 22:50:46
魔剣
名前:顎門(あぎと)
効果:斬った対象を“抉り取る”(取られた部分は消失) ただし弾かれると効果は無い - 14二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 22:52:32
レ(オン)+ミリアでレミリアは分かった
- 15二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 22:53:47
レミリア唱えると、ハーフエルフよりも吸血鬼になりそうとルーデウスが邪推しそう
- 16124/07/05(金) 22:55:47
4つ出していただいたので魔剣は4振りで、子供の名前は3振りで行きます
剣の効果、名前
dice1d4=2 (2)
1:口裂→魔力を込めて硬度と切れ味を上げられる
2:ドラゴンスレイヤー→ドラゴン超特攻
3:征龍→超頑丈、魔力や闘気による自己修復可能
4:顎門→斬った対象を抉り取る
子供の名前
dice1d3=1 (1)
1:ミア
2:テトラ
3:エミリア
ダイスロール!!!
- 17二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 22:56:03
ルーデウスも弟がルーシーにパパのにせものと言われて笑っているだろうけど数年後には自分も姪にそう言われるんだよね···
- 18二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 22:57:01
ドラゴンスレイヤー、なんかルディが命名してそうだな
「名前がないと不便だろ」
って感じで - 19124/07/05(金) 22:57:51
当たってないからいいけどおもくっそ誤字って運命を操る吸血鬼から銀髪のハーフエルフになってる……ごめんなさい
剣の名前:ドラゴンスレイヤー
効果:ドラゴン特攻
子供の名前:ミア・グレイラット
決まりました、ありがとうございます。
名前が決まったところで、シーローン王国編がもう少しで始まります
- 20二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 23:00:51
光の剣閃で竜特攻斬撃が飛んでくるの恐ろしいな
(剣閃に魔剣の効果が乗るかは不明とはいえ) - 21二次元好きの匿名さん24/07/05(金) 23:42:19
同じエルフの祖母の血を引いているのに自分と違ってミリアルテは胸が大きいからシルフィエットはたまに羨ましそうにミリアルテを見てそう。
- 22二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 05:59:44
母親はエリナリーゼの血を引いていて、父親は一卵性の兄弟だからルーシーとミアの顔立ちは似てそう
- 23二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 07:09:08
3人もの可愛い孫に囲まれてウハウハなパウロ。なおそのうち2人はエリナリーゼの曾孫
- 24124/07/06(土) 09:19:03
レオンはいつも通り、魔術、礼儀作法の勉強、剣術の訓練をパウロと行う……と言った日課を過ごしていたところで、ルーデウスからの報告を受けた
「シーローン王国の王様を助ける、か」
「シーローンって、ザノバさんの出身地の……確か、南の方にある国ね、私の取引先の相手がそこに行ったことがある、って言ってたような……」
シーローン王国にて、パックス・シーローンという一人の王子がクーデターを起こした
彼は前国王や対抗馬となり得る王子たちを皆殺しにし、王として即位し、そのまま国の体勢を一気に変えるべく人材の大幅更新を行った
それが祟って、ただでさえ小国のシーローン王国から人が去っていき、シーローン王国は北の国から攻められればあっという間に滅びかねない、と語られた
「えぇっと、つまり、龍神様はそのシーローン王国、ってのからシーローン共和国、ってのを誕生させたいから、その、えーと、なんだっけ、パックス? って人? を助けるように頑張れ、ってこと?」
「そうなる、だから俺たちはザノバと一緒にパックス側につくってことだ」
「そっか……じゃあ、そういうことかぁ」
レオンはミリアに抱きかかえられた愛娘、ミアの頭を撫でながら想いを馳せた
長旅になり、戦争である以上長丁場は避けられない可能性が高い
故にレオンはふぅっ、と息を吐き、緩んでいた己の覚悟を決め直した
「……ミリア、ごめん。ミアのこと、頼む」
「謝らないで、リオンは私の贖罪のために戦ってくれてるんだから……これくらい、どうってことないわ」
「ありがとう、ミリア……絶対に五体満足で帰って来る、だから信じててくれ」
「えぇ」
レオンは此度の戦でも完全勝利を目指す、と意気込んだ
全てはミリアとの幸せな日々を守るために - 25二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 09:34:53
なにげに可哀想な二つ名が増えてるw
- 26124/07/06(土) 11:34:30
そこからの準備は早く、ルーデウスは家族会議まで開く必要があったものの、レオンはすぐに準備を済ませていた
戦力は恐らく自分と兄とザノバだろう……と思いつつ、シルフィとロキシーが残るのであれば父を連れて行っても良いのかもしれない──と思った矢先に、シーローン王国行きのメンバーにロキシーが加わると聞き、飲んでいた茶を噴いた
「せっ、先生を連れてく気なのか? シルフィならともかく、先生だぞ?」
「リオン、あなた私のことを随分と舐めていませんか? 確かに転移の迷宮で罠を踏み抜いたりするようなうっかりはしますが……それでも、私はあなたやルディ同様水王級魔術師です」
「いや、別に先生がドジだとかマヌケだとかそういうことを言いたいんじゃなくって、先生まだ子供に乳を上げてるような体でしょう、迷宮で戦ってた時のように行くかはわからないかもって話を……それに、シルフィみたいに無詠唱で魔術を使えない以上、もしも何らかの策で孤立した時とかは」
「問題ありません、子供を一人産んだくらいで戦えなくなるほどヤワじゃありませんし、一人での戦いにも慣れています」
「に、兄さんからも何か──」
「悪い、家にいてくれってお願いしたけど悉く論破されちゃった」
「マジかよ……」
レオンは自分の師匠がいて、逆に不安になるという感覚は初めてだった
転移の迷宮時には兄と共に頼もしい魔術師のうちの一人でもあった、しかし今のロキシーは子供を産んで少し経った程度の女性であるのだ
故に、戦場に連れていくことに難色を示したワケである
「……兄さん」
「あぁ、わかってる」
連れて行くのであれば、例え腕の1~2本が飛んででも、ロキシーを守ろう
グレイラット兄弟はそう誓い、シーローン王国へと行く準備を進めたのだった - 27124/07/06(土) 11:54:35
レオンは難しいことの類は全て兄に任せつつ、自分も話だけは聞いて、覚えるべきことだけは念のためメモにまとめていた
無論、彼はルーデウスと比べて人形に対する知識などもないためにペルギウスとのお喋りには参加できないし、そもそもレオンはペルギウスのことが苦手なために、城内では無言を貫き……準備の段階でも無言を貫き……と、シルヴァリルが「あなたは喉に怪我でもなさっているのですか?」と皮肉を言うほどに無言を貫いていた
ペルギウスとは喋りたくない、なんならその使い魔もペルギウスの意思みたいなものなのだから、喋りたくない……と、嫌悪から齎す無言はペルギウスの配下から、レオンに対する心象を悪くしていたのだった
尤も、レオンは「好きに嫌ってろ、こっちだってお前らなんて嫌いだもんね」とだけ思い、口をへの字に結んだままである
そうしてレオンだけはやや気まずい雰囲気を出したままシーローン王国への転移魔方陣を使い、王都へと辿り着く
そこからはザノバとルーデウスにパックスとの謁見を任せ、レオンは情報収集や準備に勤め始め、作戦会議などを行い、カロン砦の防衛を任されてからもこの布陣であれば問題ない、とされるほどの盤石な体勢を築き上げるに至る
戦争への時は刻々と迫り、ルーデウス、ロキシー、ザノバ、レオンの4人はカロン砦の兵士たちに三者三葉、ならぬ四者四葉と言った反応を示されるような交流をしつつ……開戦し、敵国が攻めて来るまでそう時間はかからなかった - 28124/07/06(土) 12:29:01
そうして、カロン砦での戦いもそう長くかかることはなかった
王級魔術師が3人もいて、5000程度の兵士たちに負ける道理はなかった
儀式レベルで行われる聖級魔術をルーデウスが幾度もレジストし、レオンとロキシーの聖級魔術が敵国の兵士たちの命を次々に奪った
しかし、ただ戦って終わるほどに、事は簡単に済まなかった
カロン砦の戦をあっという間に制しても、今度は幻の第十一王子なるものがシーローン王国にてクーデターを起こし、王都へ攻め込んだという
ルーデウスは魔導鎧一式を着用し、レオンはザリフの義足に強い力を込めて走り出し、すぐさま王都へと向かった
ロキシーの知恵、ザノバの力、ルーデウスの魔術、レオンの勘があれば到着は容易であり、4人はすぐさま王都、そして王城の隠し通路へと入り、パックスたちがいるであろう最上階を目指した
だが、そこにはいた
七大列強『死神』のランドルフ・マリーアンが
「月並みなセリフで申し訳ありませんが……ここを通るというのなら、この私を倒してお通りください」
彼は軽い問答の末にザノバを吹き飛ばし、ニタリと笑った
パックス・シーローンを守るために、最強の戦力として立ちはだかった
だが、ルーデウスはまだ安心していた
いくら七大列強と言えど神級の剣士には及ばない、とオルステッドは言っていた
故に、レオンと自分たちが揃っているこの状況では負ける道理もない、と安心していた
だがその安心と余裕は、王城の壁と共に砕かれることとなった - 29124/07/06(土) 12:39:36
4人がランドルフとの戦闘の準備を整えた時、突如として王城の壁が破壊された
何かと思えば、レオンは目を見開いた
アスラ王国でのパーティーに乱入し、己と刃を交えた北帝の少女が、爛々とした笑顔でやって来たのだ
「わぁっ……! 1年ぶりでございましょうか! お久しぶりでございます! レオン・グレイラット! それに……ランドルフおじさまもいらっしゃいまいしたか! お久しぶりでございます!」
「ふむ……誰、かは存じませんが……技にだけは見覚えがありますな、北帝のお方でしょうか」
「うーん、何度初めましての挨拶をすることになるかはわかりませんが……拙者は世界一知名度のない、呪われし北帝であります! 名は……まぁ、どうせ覚えて貰えないのでいいですか、適当に『ホクテー』とでもお呼びください、だぁれも拙者のことなど覚えませんので、それは良いのです……」
少女はランドルフの隣に立ち、剣を構える
人一人分はありそうなサイズの両手剣、それは燃え盛る炎のように深紅さを秘めた刃を、レオンたちにに向ける
立ち姿から伝わって来る強者のような振る舞いにルーデウスたちは戦慄するが、レオンは光の剣閃の構えを取る
「この先は通すわけにはいきませんが、共に戦うのであればまぁ良いでしょう」
「共に? 御冗談を、拙者は政治に興味などないので、この王城がペッチャンコになろうがどうと知ったこっちゃありませんよ。
ですが、レオン・グレイラットだけは拙者がいただくので……故に──場所を変えましょう! レオン・グレイラットォッ!」
「う、お──!」
北帝の少女は目にもとまらぬ速さでレオンに斬りかかり、再度壁を貫き、レオンごとその身を外へと投げ出した
ルーデウスたちは最高戦力を持って行かれたことに目を見開きつつも、三人だけで死神と対峙する
レオンは何とか高所からの着地を果たし、治癒魔術で傷を治しながらも北帝と対峙する
「あなたも拙者のことは覚えてなどいないでしょう、ですが構いません、拙者はただ! あなたという強者を味わい尽くしたいのです! さぁ、楽しみましょう!」
「……今忙しいんだよ、だから最速で終わらせてやる」 - 30124/07/06(土) 12:53:05
最速で終わらせる
故に光の剣閃で──と思ったところで、レオンは剣から手を放した
剣を腰に納め、手を挙げた
「なぁ、『──』さんよ」
「……え? せ、拙者の、名乗った、偽名……?」
「前の続きをしよう」
「ま、前? え? ま、まさか、覚えて?」
「あぁ、互いの最高火力のぶつけ合いでの決着、アスラ王国で出来なかったアレをやろう、今はそれがいい」
「……拙、者の……名前、覚えてて……くれ、たんで……え、あ、っ、なんですか、これ……こんな、こんなの……」 - 31124/07/06(土) 12:57:03
北帝の少女は、あり得ない存在に出会った
故に、涙を流し、持っている剣を取り落としそうになった
嘘を疑おうとも思った、だがレオンは嘘をついていなかったのだから、彼女の欲しい言葉をくれた
その場で名乗っただけの偽名を丁寧に覚え、前にやろうとして叶わなかったことの続きをしよう、と言ったのだ
「なんですか、か……俺はそんな感情を知らない、けど、お前の望む戦い方なら知ってる。だから、構えろ。火力勝負といこう」
「……はい! 拙者の全力、あなたにぶつけられるのならば……! 武人としての本望であります! さぁ、行きますよぉっ!」
レオンは両手に聖級魔術を灯す
閃光炎と、閃光炎、同時に同じ魔術を両手に出し、一つに練り上げる
二つの魔術を一つに組み合わせる混合魔術を、全く同じ魔術で行う
その上で、レオンは閃光炎の範囲を極一点へと絞り込み、小さくした
ルーデウスが雷光を電撃にする要領とは違う、魔術の縮小ではなく圧縮である
密度を上げ、威力を上げ、使う魔力の量を上げ、攻撃範囲だけを減らす
気付けばその閃光炎は原型をとどめず、されども、一つの新たな火を生み出した
「北神流、赤竜剣ヤクタ──奥義! 『赤熱空断』!」
「閃光炎」
火は、放たれた - 32二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 15:01:18
めちゃくちゃ範囲絞った閃光炎、フーガみたいになってそう
- 33二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 18:09:02
この娘ガチの呪いにかかってるのか
比喩とかではなくて - 34二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 18:35:21
ランドルフをおじさまと呼んでいるし、足もくっついているからシャンドルの縁者か
- 35124/07/06(土) 22:26:07
赤竜剣ヤクタ
それは北神カールマンの持つ王竜剣カジャクトを模して造られた、赤竜の剣である
無論、かつて赤竜王と呼ばれたサレヤクトとは違う、現代に生きる赤竜の中でも強き者を素材としただけの剣である
しかし、王竜剣カジャクトとはいかずとも並みの魔剣や聖剣を凌駕するその剣は、北帝の少女に相応しい武器であった
北神にも相当する実力を持つ彼女に、この赤竜剣ヤクタは鬼に金棒というほどのものだった
王竜剣カジャクトのように、素材の元となった赤竜の力を扱うことが出来るのだから
赤竜が使っていた火炎を、この剣では使用者の魔力を使うことで自在に操ることが可能
北帝の少女はその機能を磨き、北神流らしく力による一撃必殺の技を編み出した
それこそが奥義『赤熱空断』
赤竜剣ヤクタを両手で握り、完璧なリズム、程よい強さ、適切な量の魔力を流し込むことでヤクタから特殊な音と熱を発し、深紅の刀身を純色の赤へと染めることで放たれる最強の必殺技
少女が使えば王竜剣カジャクトによる重力破断にも匹敵しうる威力を誇る──
「……誇れよ、あんたは強い。聖級魔術を二つも掛け合わせて、対人だけに特化させるための調整をした俺の魔術とぶつけ合って、そんだけで済んでんだから」
「そう、でありますか……」
が、目の前の若き天才の繰り出した閃光の炎に、それは破られた - 36124/07/06(土) 22:27:44
ただ一人の相手だけを焼くために、本来は森一つ焦土と化させるほどの魔術を、火球ほどのサイズ、範囲に押し込めた
本来の形で使うよりも遥かに魔力の消耗を大きくすることで成しえた圧縮式閃光炎は赤熱空断を破り、北帝の少女の腕を根元まで炭化させ、体のあちこちに大きな火傷を作っていた
無論レオン・グレイラットとて火炎同士のぶつかり合いにおいて無傷ではなく、火を放ってからすぐに水魔術を展開することで余波を防いでいたものの、上半身に纏っていた衣服や装備は燃え尽き、体にも大きな火傷痕が残っていた
「……で、どうする? まだ続けるか、それとも降伏して、とっとと退いてくれるのか、選べ」
しかしレオンは並みの人族では動けなくなるであろう重傷を負いながらも、ただ兄を助けんとするためだけに鞭打って立ち、北帝の少女に問いかけた
「……拙者を、あなたの下に……あなたの、配下の末席に、加えていただけませんか」
「……わかった、嘘をついてないなら、良いよ、傷も治してやる、だから退いてくれ……俺は、兄さんを助けに行く……ぁん?」
レオンは上着から王級治癒魔術のスクロールを取り出そうとするも、既に上着が消し飛んでいたことに気付き、残り少ない魔力、それも中級までしか使えない治癒魔術で彼女を治すのは無理だろう……と判断し、北帝の少女を抱えた上で城の中を駆け上がり始めた - 37124/07/06(土) 22:40:29
しかし、重傷を負って尚、両手剣を背負った少女を抱えたレオンの足取りは重かった
いかに剣神レベルの剣士であるレオンと言えど、大量に魔力を使った状態で大火傷をしていては普段のような軽快な動きは出来ない
ザリフの義足にも込める魔力すら惜しく、レオンは溶け落ちた義手同様に義足も脱ぎ捨て、兄たちの待つ最上階を目指した
「待ってろよ、兄さん……! 少しでも、戦力になれるように……! 今、向かってやる……!」
だがレオンが5階に辿り着いた頃、その場には誰もいなかった
ランドルフも、ルーデウスも、ロキシーも、ザノバも
戦いの痕跡はあった、ザノバの纏っていた鎧の残骸や、誰かの流した血、あちこちに穴やら傷が出来てもいた
「まさ、か……全滅……?」
「……い、え……この血の、量では……仮に、死人が出ても……一人、で、しょう……」
「そう、か……そう、だよな……」
レオンは荒ぶる心を落ち着け、誰もいないことはむしろ幸いだろう、と信じて王の寝室へと足を運び、扉に手をかけた - 38124/07/06(土) 22:58:52
レオンは駆けつけるのが遅かった
いや、正確には空回りしていたというものだった
彼は無茶をして最上階に上がるのではなく、外でルーデウスたちを待っていれば良かった
であれば、今レオンの眼前で落ちた一つの命が救えたのかもしれなかったのだから
「あ──」
パックス・シーローンという一人の王の命が目の前で潰える瞬間を、彼もまた見てしまった
彼が関係ないところでパックスが死んでいれば、彼はそれを「仕方のないことだった」と割り切れていた
だが、レオンは直感的に悟った
パックスの命が助からないのは自分が駆けつけるのに遅れたから、ということを
兄を助けるということは、兄たちの目標であるパックスの命を救うことでもあり、それはオルステッドから課された任務でもある
そして、その任務をレオンがこなすのは、妻の贖罪のためでもある
それを失敗することは、レオンにとって妻の罪を重ねさせてしまうことも同義でもあった
「ごめん……ミリア……約束、守れなかった……」
ヒトガミが地団駄を踏むほどの完全勝利をして帰って来る
そう意気込んでいたレオンに、火の激突による余波で負ったダメージと妻への罪悪感という精神的ショックが同時に降りかかり、レオンの意識を奪った
「……っ、リオン! しっかりしてください! 今、治癒魔術をかけます! だから、意識を──」
ザノバが飛び降りたパックスを追い、そのザノバを追いにルーデウスがその場を離れた
残ったロキシーはすぐさまレオンの焼けた体に手を当て、治癒魔術を唱える
「……拙、者も……誰かに覚えて貰ったら、こうやっ、て……愛、される……のか、なぁ……」
北帝の少女は、ロキシーに治癒魔術をかけられるレオンを見て、静かにそう呟いた - 39二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 23:13:40
他者から認識が曖昧になる呪いとかかかってたのかな…?
社長が覚えてないって言ってる辺り呪いの効果範囲は相当広いんだろうけどなぜレオンは記憶できたんだろうか - 40二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 00:03:49
凄い魔術を完成させたけどルーデウスと違って闘気を纏って肉体を強化できるけど脆弱な人族では扱いきれないか···多分ルーデウスがやると全身が消し炭になって自爆してそう。
- 41124/07/07(日) 01:50:29
レオンが目を覚ました時、全ては終わっていた
シーローン王国のクーデターは鎮圧され、ランドルフは王妃を連れて逃亡
その後、気絶していた北帝の少女とレオンのにルーデウスが治癒魔術を施した
それでも尚意識だけは戻らなかったためザノバが二人を運搬し、新たに決意を固めたジンジャーたちと共に魔法都市シャリーアへと帰還
勿論その間にルーデウスとザノバの両名はシーローン王国での出来事の報告を済ませており、オルステッドと今後の指針を固めており、ルーデウスはグレイラット邸へと戻り、エリスの産んだ息子・アルスとの出会いも果たしていた
レオンが目覚めたのは、ルーデウスが帰宅を済ませた翌日のことであった
「……リオン、ようやく目が覚めたのね」
「ミリア……? ここ、は……え、っと、俺の、家……? 死神、は……兄さん、たちは……?」
「大丈夫、落ち着いて……お義兄さんたちを呼んでくるから」
レオンが目覚めてすぐ、ミリアはぱたぱたと音を立てて走り、家を出て行ってしまった
寝起きの彼には何が何だかわかっていない様子ではあったものの、長い間眠り、魔力だけは回復していても脳はボケ、腹は減り、肉が落ちたレオンはカラカラになった喉を癒すべく、魔術で作り出した器に水を大量に注ぎ、布団にこぼす勢いでガブガブと飲み始めた
そして、飲んでいる最中に何となく感じた気配に目線をやると、そこにはもう一つベッドと布団が置かれており、北帝の少女が寝転がっていた
「あ、おはようございますであります」
「ブーッ!!!」
レオンは凄まじい勢いで口に含んでいた水を噴き出し、北帝の少女の顔面をビッタビタに濡らしたのだった - 42124/07/07(日) 08:19:48
「……と、いうわけなんだ」
「俺、そんなにも寝てて、その間にそんだけ経ってたのか……」
自分が寝ていた間に起きていたことを聞かされ、レオンは頭を抱えた
気絶の原因は大量の魔力消費に加えて、超高火力の閃光炎を至近距離で人にぶつけてその余波を自分も浴びたこと、そして一種の精神的ショック、と自己分析を行い、レオンは自分の行いを悔いたのだった
「それで、今度はこっちが聞きたいんだけど……彼女はいったい?」
「……あぁ、この子は北帝の『──』さん、龍神様に報告したんだけど『知らない』って言われた人」
「ご紹介に預かりました、呪われし北帝であります、ですが拙者は既に己の名など忘れておりまして、その名もただの偽名に過ぎませんので……」
「はぁ」
北帝の少女はレオンと共にシャリーアへと運ばれた後、レオン共々ミリアの手で面倒を見て貰っており、レオンよりも少しだけ早く目を覚まし、こうしてレオンが目覚めるまで療養していた
故に彼女のことを知るのはレオンと、今話したルーデウスのみである
「それじゃあ、レオンが回復したらオルステッド様に報告しに行こう」
「わかった、じゃあなるべく早く元に戻るよう頑張るよ」
こうしてレオンと北帝の少女はミリアにサポートを受けながら、眠り続けて固まった体をほぐし、細くなった体に肉をつけ始めるのだった - 43124/07/07(日) 09:16:24
────
かつて、その少女は誰が親かもわからなかった
どこかの魔族と人族のハーフが、またどこかの魔族と人族のハーフと交わり、生まれただけの子
勿論ちゃんと育ての親はいたし、5歳の誕生日を迎えるまでは質素だが平和な日々を過ごしていた
女の子ながらに英雄の伝説に憧れ、剣を振り、親の教育で魔術も勉強を始め、楽しい日々を送っていた
だが、ある日彼女の世界は変わってしまった
彼女は生まれた時から呪われており、その呪いが形となって表れたのだ
それは「自分のことを認識出来なくなった時、自分に関する記憶を忘れる」という物だった
対象に例外は存在せず、少女の親も、少女が友達だと思った者も、誰も彼もが少女のことを忘れた
少女のことを覚える方法は「絶えず彼女を認識し続ける」「記録に残す」というどちらかの方法であり、両親は彼女が5歳を迎える頃には彼女のことを忘れてしまった
家庭が裕福ではないため、両親は彼女を記録に残すための紙を用意出来ず、両親はどうしても彼女を認識し続けることでしか記憶を保てず、5歳にもなって自分で好き勝手に動けるようになった彼女は、両親のどちらからも認識されないところへ来てしまった
故に、両親は彼女のことを思い出せなくなってしまったのだ
少女は親からも忘れ去られたことに絶望するも、また両親に自分を覚えて貰いたいと願い、そのための方法を考えた
考えに考えた結果、凄い人間になろうと決意した
英雄のように強くなり、文字通り凄い人間になればまた覚えて貰えるだろうと考えた
故に剣術、魔術、学問、様々な物を独学で学び、10歳になる頃には家を飛び出し、ある男と出会った
それは北神二世アレックス・C・ライバックであり、彼女の血筋にも関わった者である - 44124/07/07(日) 09:16:42
少女は彼に師事し、何度忘れられながらも呪いや己の身について説明し、アレックスの下で北神流のことや、世界のことを教わり、一方で魔術は文献の類を読み漁りながらの勉強として行っていた
少女は不思議とただの人族よりも怪我の治りが早く、そして執念のようなものまで併せ持っていたが故に、他の誰よりも早く成長した
子供ながらに彼女は北神流の技を覚え、戦い方を覚えた
そうして人生のほぼ全てを修行に費やさんという勢いで修練を続けた結果、彼女が18になる頃には北帝の称号を与えられた
無論北帝の称号を与えたことも与えた側である北神二世は忘れてしまうが、彼女は確かな証として赤竜剣ヤクタや赤竜のコートを譲られ、北帝として世界各地で知名度を上げるための旅へと出た
強者との果し合いをし、独特な口調で喋れば、人にも覚えて貰えるだろうと
北神流の剣技と魔術を使う女ともなれば、目立って覚えて貰えるのではないだろうかと
呪いに抗うために、彼女は3年間、ある男に自分を覚えて貰うまでの旅をしたのだった
その男こそが、レオン・グレイラットである - 45二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 09:41:09
うーん、この運命の人感。惚れてまうやろ~。
- 46二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 10:22:26
自分と同じように二代目北神から教えを受けたのにそこから奇抜派に鞍替えとか覚えていたらアレクからのヘイトが凄そう。
- 47二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 10:29:26
スタイルはどんなもんかな?
- 48124/07/07(日) 11:30:03
「……と、言うのが拙者の生い立ちにございます」
「そうか、道理で俺の記憶の中にもお前の名前がないワケだ……名がないのも理由の一つだろうが、お前を認識出来なくなった時点で、俺ですら忘れる、無論ヒトガミもお前のことを知らんだろうな」
「はい、ヒトガミという名前に聞き覚えはありません、これは拙者の師たる北神カールマンに、そしてただ一人拙者を覚えていてくれたレオン・グレイラット殿に誓います」
北帝の少女はレオン、ルーデウス、そしてオルステッドに自分の来歴を洗いざらい話した
オルステッドはそれを次のループには忘れることだとしても、このループでは必要なこととして書類へとまとめる
当然、この書類があっても一度この場で分かれ、次に会う時には彼女のことはオルステッドも忘れる
「取り敢えず、実験してみるか」
「そうだね……じゃあ、龍神様と、あとは他に候補とかいる?」
「ナナホシには……ちょっと難しそうだし、オルステッド様の他にも、同じ呪い繋がりのザノバとかエリナリーゼ、研究者視点ってことでクリフにも……あとは、ルーシーにも付き合って貰うか」
「魔法大学に龍神様を連れて行くのはちょっとまずいし、3人に来てもらおうか」
ルーデウスとレオンは、彼女の患っている「忘却の呪い」について実験することにした - 49124/07/07(日) 11:41:51
「初めまして! 拙者は呪われし北帝、世界一知名度のない『ホクテー』でございます! 趣味は強者との戦い、美味なるものを食すこと、あとは──
おっと、もうこんな時間でございますな……それでは、拙者はこれにて失礼いたします、あ、ドロンッ!」」
事務所ではオルステッド、クリフ、ザノバ、エリナリーゼ、ルーシー、ルーデウス、レオンの7名が並んで椅子に座り、北帝の少女による10分ほどに渡る自己紹介とエピソードトークを行い、ある程度話したところで北帝の少女は事務所の地下室へと隠れ潜むように消えていった
「……皆、あの子は最後になんて言ってたか、思い出せるか?」
「……あの子? 誰のことを言ってるんだ、ルーデウス」
「師匠、誰のことをおっしゃっているのですかな?」
「そうですわ、ちゃんと名前で言いませんと」
「何が言いたい、ルーデウス・グレイラット」
「どろん!」
北帝の少女が事務所の地下へと身を隠した途端、クリフ、ザノバ、エリナリーゼ、オルステッドは北帝の少女に関する記憶を失った
そして、ルーデウス、レオン、ルーシーの3人は彼女に関する記憶を保持していた
そこから導き出される結論は一つだった
「……社長や、ルイジェルドさんと同じパターンか」
「多分、ナナホシもちゃんと覚えるんだろうな」 - 50124/07/07(日) 11:52:34
「忘却の呪い」
呪いにかかった人間のことを認識できない状態(姿が見えない、声が聞こえない、匂いを感じ取れない、気配を感じ取れない、等)になるとその呪いにかかった人間のことを忘れてしまう
オルステッドの呪い同様、ルーデウスとその子孫、ナナホシ、そしてルーデウスと魂を分かち合って生まれたレオンには効かないため、彼らだけは例外的に彼女のことを覚えていることが可能
あはは! 強くなるためには正統の流派も奇抜の技もどっちも使いこなしてこそでしょう! 実はもう忘れられていますが、オーベール殿にも稽古をつけて貰ったこともあったのですよ!!! 忘れられるどころかもう二度と会うことすら出来ませんが!!!
着替えさせたり体を洗ったりしたミリア曰く「胸は私より少し小さい、お尻は鍛えてるからか大きい」だそうです
- 51二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 12:00:26
- 52二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 12:14:33
アレクだけじゃなくてランドルフの親の父親だし、各地を放浪してるっぽいからどこかでワンナイトした相手の末裔で、ある程度不死魔族の血が強い感じかな?
- 53二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 12:27:51
ミリアちゃん情報提供サンキュー
…両親と死に別れてるミリアちゃんからしたら北帝の少女の境遇は他人事とは思えなさそうだ - 54二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 12:38:42
呪いのせいで連携もへったくれもないからなんとかクリフに呪いを抑えるアイテムを作って貰わないと
- 55124/07/07(日) 12:54:23
レオンは再度北帝の少女を呼び出し、皆に見せ、北帝の少女が患っている呪いの内容について話したのだった
しかし皆の記憶も戻る様子はなく、ルーシーだけが少しきゃっきゃとはしゃいでいるだけ
「クリフ先輩、彼女の呪いを抑える魔道具を作ることは可能でしょうか」
「ん、ん~っ……オルステッド……様のヘルメットに、リーゼの魔道具に、次はこれか……流石に僕でも……いや、大丈夫だ、任せてくれ、呪いの内容を聞くに、今作っているヘルメットと似た効果には出来るはずだ、きっと」
「うむ、余も協力いたしましょう」
ルーデウスの頼みをクリフはやや苦い顔をしながらも引き受け、ザノバの協力も得た
ついでではあるものの、レオンは拙い絵とやや汚い字で彼女の特徴を紙に書き、すぐに誰なのかを把握できるためのメモのようなものを関係者たちに渡すように始めた
北帝の少女がオルステッドのために戦えるようになるまでは、まだまだ時間もかかりそうである……とルーデウスたちは思ったのだった - 56二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 13:30:12
クリフ先輩なら…それでもクリフ先輩ならやってくれる…!
マジで頑張ってくださいクリフ先輩 - 57二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 13:58:10
次は剣神継承編かミリス編かな?
- 58二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 14:17:15
んんん?
レオンって前世男なり他のなんなりが一部は混じってる感じ? - 59124/07/07(日) 14:28:57
- 60124/07/07(日) 14:34:40
そうして、事務所から解散したその晩
レオンは北帝の少女を家に連れ帰ったところで、真剣な顔をして座っているミリアと対面した
「リオン、ちょっとお話があるの、その子も一緒に」
「わかった」
レオンと北帝の少女はミアを抱いたままのミリアと向かい合う形で座り、北帝の少女は椅子に座るかどうか少し迷ったところで、ミリアが『レオンの隣に座って』とジェスチャーで促す
「……これは商談とか打算でもないから、前置きなしに話したいと思うの」
ミリアは軽く息を吸って吐き、それでいて真っすぐな目をレオンに向けて、言い放った
「その子に、名前と姓をあげて欲しいの」
「……名前と、姓? 俺が考える、ってこと?」
「あぁ、ごめんなさい、リオンにはわかりづらい言い方ね……その、だから、そちらの彼女を妻に迎えてあげて欲しいの」 - 61二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 14:40:07
ミリアからか!
- 62124/07/07(日) 14:47:22
「……は?」
レオンは放心した
愛していた妻からそんな一言を言われたのだから
北帝の少女も顔から火が出るほどに赤面し、目を見開いた
そして、少し考えたところで、レオンは顔を青く染めた
「え、っと……俺が、彼女を、妻に迎える、って……こと、は……そ、それ、って、え、ぇ、えっ……ま、まさ、か……」
レオンは震えながら、ミリアの言葉を反芻する
『北帝の少女を妻に迎えてあげて欲しい』
その言葉から、レオンは一つの可能性へと行きつく
「り、離婚、ってこと……?」
「? 離婚? 誰と、誰が?」
「え、えっ」
ミリアとレオンは、ズレていた
お互いがお互いの思っていることを告げると、誤解はすぐに解けた
が、レオンは『寿命が五年は縮んだぞ』という顔で息を吐いた - 63124/07/07(日) 14:48:27
「えぇと、つまり……ミリアは、この子に名前を付けて、俺の第二婦人になって欲しいってこと?」
「うん、私の方からお願いするって言うのも変な話だけど……」
曰く、ミリアはレオンが目覚めるまでの間に、北帝の少女の生い立ちを既に聞いていたとのことだった
北帝の少女はミリアに対しレオンの命を狙い、しばらく目覚めないほどの傷を負わせた上に、自分の容態まで見て貰ったことへの謝罪と詫びを述べていたという
ミリアは最初こそ北帝の少女に対し思うところはあったものの、生い立ちや年齢、その心情を聞いたことで彼女への愛が芽生えていたのだ
故に、彼女をレオンの第二婦人として迎え、帰って来れる居場所を作ろう、ということだった
「私はミリス教徒じゃないし、お義父さんもお義兄さんも多妻なんだから、リオンが二人目を娶ることに関して『まだかな』って思ってたくらいなの」
「俺、そんな信用なかった? 確かに父さんも兄さんも多妻だけども……」
「そ、そうじゃなくて……リオンってとってもカッコいいし、強いし、名も売れてる人だし……いつか、リオンのことが好きな女の人が来たって、おかしくないと思ってたから」
ミリアは顔を赤らめ、かつてレオンに助けられた光景を思い返していた
そして、北帝の少女も釣られるように、レオンが自分のことを覚えていてくれたこと、一対一の火力勝負で完璧に敗れたことを思い出し、また赤面した
「……拙者は、レオン殿や、ミリアルテ殿が良ければ、是非……お願いしたいです……拙者は、レオン殿をお慕いしていますから」
「リオン、どうかな……」
「……俺は」 - 64二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 15:49:39
ミリアちゃん優しい…北帝の少女も満更でもなさそうだから後はリオンの心次第か
「お義父さんもお義兄さんも多妻なんだから、リオンが二人目を娶ることに関して『まだかな』って思ってたくらいなの」
違う方向でリオンへの信頼がないの笑うわ、いや本来身持ちが固いのはいい事だと思うけどね?
(今更だけどミリアちゃんもルディのロキシーへの信仰レベルで愛が重かったな…
家庭環境とかその他も要因にはあるだろうけどそりゃそういう選択肢も出てくるか) - 65二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 16:10:09
シルフィエットみたいにネガティブな思いはないけど3人の妻と子供達に囲まれて幸せそうにしている兄のルーデウスを見てレオンが憧れてそうな顔をしていたんだろうね。
- 66二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 16:33:22
胸が少し小さいってことは普通にデカいな…
- 67二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 16:52:28
ミリアは普通に呪いが効くのでちょっとでも眼を離したら北帝ちゃんの事を忘れてしまうんだけど看病を続けていたって事は育児をしながら殆ど寝ずにレオン共々看病をしたって事だからね。そこから生い立ちを知ったら好感度なんてうなぎ登りよ。
- 68二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 17:01:25
アレックスことシャンドルも面倒見が良いよな。日記なりなんなり記録に残さないと呪いのせいで毎日初対面の少女に北神流を教えて帝級にまで育てて餞別に特注のコートや多分ユリアン・ハリスコの魔剣を贈るんだから。それだけ才能に惚れ込んでいたのかな?
- 69124/07/07(日) 17:03:09
「俺は……」
レオンはミリアを見て、北帝の少女を見た
正直、北帝の少女がいなければ、レオンたちはさっさとランドルフを倒してパックスの命を救えたのかもしれない
パックスの命さえ救えれば、オルステッドの知る重要なピースたる「シーローン共和国」が誕生し、任務を成功させられたのかもしれない
オルステッドから下される任務をこなすのは、レオンにとってミリアの罪を償うためでもある
故に、その贖罪の機会を失った一端でもある彼女を、レオンは愛すことなど──
「リオン」
「大丈夫、私を物差しにしなくても、怖がらなくても、大丈夫だよ」
「あ……」
レオンは気が付いた
自分が二人目の妻を娶ることに、ただ怯えていただけということを
今までのようにミリアを愛せないのではないか、ミリス教徒であるノルンや母には失望されてしまうだろうか、こんな失敗をした直後に女を娶るというのはいかがなものなのかと
そして、自分が怯えている事実から、北帝の少女と向き合うことから逃げるために、ミリアを言い訳に使っていただけだと
そう思い込んで、今自分の隣にいる少女と目を合わせようとしていなかった
そうして彼女の目を見つめた時に、レオン・グレイラットは知った
恋する者の目を、その恋の感情が自分に向けられていることを、知った
「……俺は、俺に出来ることをやる、だから……姓でも、名でも、居場所でも、用意できるものはしてやる、だから……これから、よろしく頼む」
「はいっ……拙者、不束者ですが……よろしくお願いいたしますっ!」
その夜、レオン・グレイラットは二人目の妻を迎えた - 70二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 17:11:44
後はノルン達に紹介するのか···ロキシーの時以上に荒れるのかな?取り敢えずゼニスからはビンタされそう。
- 71124/07/07(日) 17:18:56
北帝少女ちゃんにつける名前、募集いたします
いつも通り下3つまで募集です
ミリア「子供につける名前ってワケじゃないから、私たちの名前からとらなくても大丈夫よ、リオン」
レオン「うーん……そう、だよなぁ……あくまでこの子らしい名前、だもんな」 - 72二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 17:20:32
セフィリア
- 73二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 17:21:39
エレオノーラ
- 74二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 17:24:41
ベアトリス
- 75124/07/07(日) 18:01:17
3つ集まりました、皆さんありがとうございます、からのダイスロール!
dice1d3=1 (1)
1:セフィリア
2:エオノーラ
3:ベアトリス
- 76124/07/07(日) 18:15:46
「……と、いうことで、俺はこのセフィリアを、2番目の妻として迎えることが決まりました」
翌日
レオンはセフィリア、と名付けた北帝の少女を妻に迎えることをグレイラット家全員へと報告した
無論、全員が全員同じ反応をするワケではないが、反対意見を出す者はいなかった
妻側であるミリアからの提案ともなれば、考えそのものに賛成することが出来なくとも、レオンに対して責め立てるものはいなかった
尤も、ノルンは「リオン兄さんは違うって思ってたのに……」と言い、ゼニスはレオンの頭を軽く叩いたため、誰も彼もが完全に了承したというワケではなかった
「拙者も、ロキシー殿やエリス殿のように、後から来た者でも認められるよう精進致します……それ故、皆様、どうか何卒よろしくお願いいたします!」
セフィリア・グレイラット
グレイラット家への面々の挨拶によって、彼女の新たな人生が始まった - 77二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 18:21:40
このレスは削除されています
- 78124/07/07(日) 18:24:27
現在のセフィリア・グレイラットのスペック
剣術:北帝(実力は北神級)
魔術:火上級、水中級、風上級、土帝級、治癒中級、解毒王級、神撃初級、結界聖級(全て詠唱有)
必殺技:『赤熱空断』
二つ名:呪われし北帝、忘却の呪子(全て自称)
呪い:『忘却の呪い』(彼女を観測出来なくなった者は彼女に関する記憶を失う)
職業:オルステッドコーポレーション武門所属社員
夫:1人
夫への愛:87(ちゃんとした夫婦レベル)
礼儀作法:口調は変だがちゃんと出来るレベル
普段の服装:黒シャツ、黒ズボン、黒手袋
武器:赤竜剣ヤクタ
防具:赤竜のコート - 79二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 18:27:04
- 80二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 18:38:12
シャンドルの血縁らしいし人族寄りの容姿かな?
- 81二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 19:07:52
- 82二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 19:47:17
実質神級の北帝が義理の娘になったからデスマーチも捗ってまた強くなれるね、やったねパウロ!!
- 83二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 20:19:32
忘れられる度に浮気と疑われるやつ…?
- 84二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 20:43:14
- 85二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 20:57:29
呪いに関してはクリフ先輩が何とかしてくれるだろうから··でもこれだけ二人の妻に愛されているけどレオン自身はどれだけ強くても純粋な人族だから確実に若い見た目の妻二人を残して先に逝くんだよね··
- 86二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 21:51:56
夫も息子二人も妻を複数娶ったゼニスさんの心中やいかに
- 87124/07/07(日) 21:58:26
黒髪ポニーテールにカチカチ腹筋のモデル体型であります!
身長は大体レオン殿より頭一つ小さいくらいでありますな!
顔立ちは目がぱっちりとしていてタレ目気味であります!
加えて、赤竜剣を背負う時はちょっと工夫がいるので大変でございます!
- 88二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 22:53:10
このレスは削除されています
- 89124/07/07(日) 22:53:54
レオンがセフィリアを妻に迎えてから、1ヶ月の時が過ぎた
ザノバや兄の進言で80年後に復活するラプラスに備えて戦力の拡大をする、という新たな方針を固めたオルステッドの命により、グレイラット兄弟たちは仲間づくりに奔走していた
セフィリアはクリフの尽力によって試作品として形になった「呪いの効果を1日だけ遅らせる冠」を貰った
それによって、毎日近隣の人と会うことで断続的に自分のことを覚えて貰うことが可能となり、セフィリアはグレイラット家の面々や近隣住民から名前を呼ばれる度にニマニマとした笑みを浮かべている
が、それでも彼女は時折残念そうな顔をしてため息を吐いていた
そんな彼女に、ミリアが気付かないはずもなく
「セフィリア、どうしたの? 最近嬉しそうではあるけど、ちょっと寂しそうだよ」
「ミリアルテ殿……はい、確かに拙者は幸せ者です……幸せ者では、あるのですが……拙者には、女の魅力というものがないのでしょうか」
「女の、魅力……かぁ」 - 90124/07/07(日) 23:06:12
「拙者は……まだ、レオン殿に抱かれたことが一度だってないのです……」
「ん、うーん……まぁ、リオンってちょっと奥手っていうか、私のことを初めて抱いた日も、結婚してからそこそこ経った時だったし、セフィリアも少し時間がかかる、と思うかなぁ」
「そうは、言いますが……一昨日、拙者が魔道具の調整でクリフ殿の家に泊まった時、お二人は随分とお楽しみだったではありませんか」
「え、えっ……ど、どこで聞いたの!?」
「……残り香が、凄かったので」
ミリアは顔を赤く染め、スパーン!!!と音を立てる勢いで窓を開け、換気を始めた
子供が出来てからずっとお預けだったこともあり、レオンたちは久しぶりに熱烈なまでのまぐわいをしていたのだ
それもあって、セフィリアは少々二人の仲を羨ましく想っていたのだった
尤も、自分は2番目の妻でありまだ迎えられてからそう時も経ってないことは百も承知である
しかし、やはりセフィリアはレオンのことが大好きなのである
故に、どうにかして自分を抱いて欲しい、自分もまたレオンとまぐわい、大好きな男を全身で感じたい、という想いで胸がいっぱいなのだった
「え、っと……それじゃあ、ちょっと私の方で色々と根回しをしてみるよ、でも、その後はセフィリア次第なところもあるから、頑張ってみて」
「ミリアルテ殿……うぅっ、感謝します……感謝します……!」
セフィリアは固く誓った
将来、この人だけは何があっても守り通すと
人族であるレオンは必ずこの世を先立ってしまう
ならば、ミリアルテという一人の女性を守るのは自分だ、とセフィリアは誓ったのだった
己の剣を、第一婦人たるミリアルテへと捧げたのだ - 91二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 00:16:33
セフィリアちゃんとミリアルテちゃんの妻同士のやり取りもよい…
既にセフィリアちゃんがレオンが亡くなった後のことまで考えて内心深く誓ってるのなんというかすごく尊い - 92二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 01:52:18
北神級の剣士がほぼ確実にラプラス戦に参加してくれるのか
めちゃくちゃ大きいな - 93二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 06:01:22
- 94二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 07:10:27
ちょっと変人ではあったけど謙虚で真面目に鍛練して若い身空で剣帝になり、尚且つ魔術を使う等、頭は良い方だからニナを嫁にさせて安心して剣神を任せられるかと思いきや「いや、もう結婚して子供もいて就職もしているから剣神とかなる気はないです」って言ってさっさと帰るとかガルの今までの苦労はなんだったのか····
- 95二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 11:48:31
大体アスラ王国編辺りからずーっと我慢して、その後に放出したってなるとレオンとミリアの夜ヤバそう
どろっどろとか通り越してぐっちゃぐちゃになってたんだろうな - 96二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 11:53:16
子供の数は何人になるんだろうなァ
- 97二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 14:57:15
この時空のグレイラット家はクリスマスに何してるんだろう
レオンがサンタorトナカイやってるのか
それともレオンもサンタを信じてワクワクしてるのか - 98二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 21:12:00
蛇足編でミリアルテの両親の墓参りや墓をラノアに移動させる話とかセフィリアの両親の顔を見に行くとかの話がありそうだな。
- 99二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 21:17:34
二人でやってるときに乱入しようね…
- 100二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 21:31:46
デスマーチを乗り越えたパウロさんは剣王や北王になっているのかな?
- 101二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 21:58:54
多分パウロはレオンにミリアルテやセフィリアを妻にすると聞かされた時に「やっぱりお前もノトス(巨乳スキー)の血を引いているな!」とニヤニヤしながら言ってそう。
- 102二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 21:59:57
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- 103124/07/08(月) 22:06:13
その日、レオンは不思議な光景を目にした
魔法大学から帰ろうとすると「あぁっ、馬車の荷車がぁ」だの「うわぁっ、腰がいてえっ……誰かこの荷物を運ぶのを手伝ってくれ~っ」と困っている人が大勢だった
懇切丁寧に一人一人へ治癒魔術をかけたり、お手伝いをしたりと、あちこちで人助けをしていた
そうしていると、助けられた人たちが「こんなに助けて貰ったんだぁ、一杯奢らせてくれ」と大勢でレオンを引っ張っていき、普段の安酒しか飲まないようなレオンでは中々飲まないような酒が揃っている酒場へと連れて行ってしまった
「今日は、俺たちを助けてくれたレオンさんに、かんぱーい!」
「か、乾杯?」
レオンは銘柄もわからない、何ならオシャレな字体すぎるせいで字すら読むのに一苦労するようなラベルの瓶の中身を高そうな器に注がれ、ロクに飲み方も知らないままに周囲に進められて飲まされることとなった
「ほーら、コイツも飲んでくれ」
「これもこれも!」
「お、おぅ……」
レオンは別段酒に弱いということもなく、解毒魔術も使えるために酔っ払うことはなかった
しかし、何杯も何杯も酒を大勢で飲んでいれば、自然と酔い潰れてその場で倒れてしまうような者まで出始め、レオンはあちこちに解毒魔術をかけて回る羽目になるのだった
「うわ、もうこんな時間になったか……ミリアに何も言わないでこんなところに来ちゃったし、謝らないとな……マスター、美味しかったよ、会計……は、奢って貰ったからいいんだったか、えーと、この人たちは」
「お気になさらず、後でどうにかしておきますよ、今日は店じまいですし」
「そうですか……じゃあ、失礼し──お?」
レオンが酒気も残るまま、解毒魔術の使い過ぎで魔力もごっそりと減ったところでお暇しようと扉に手をかけたところだった - 104124/07/08(月) 22:17:31
「レオン殿、探しました……」
「セフィリア……もしかして、ミリアに言われて俺のこと探しに来てくれたのか?」
「は、はい……で、ですが予想以上にお時間がかかってしまいましたし、今晩はあの宿に泊まっていきませんか? その、丁度運よく良いものもいただいた次第でありますし……」
「そ、そうか……じゃあ、明日ミリアに何か買って帰ろうか」
何かが入ったボトルと複数の紙袋を抱えて来たセフィリアが先導し、レオンはほろ酔い気分のままにセフィリアが指差した宿へと足を運んだのだった
レオンは『今日は妙な一日を過ごしたもんだなぁ』と思いながらもセフィリアに引かれ、宿へと入り、用意されていた椅子へと座り込む
「……ところで、その紙袋と瓶はどうしたんだ? 貰った、って言ってたけど」
「あぁ、はい……ちょっとしたおつまみとお酒でございまして、せっかくなので、拙者もレオン殿と……その、既に飲まれた後でしょうが、一杯、一杯だけ付き合っていただけませんか?」
「そ、そう……じゃあ、一杯だけなら」 - 105124/07/08(月) 22:18:44
一杯だけ、どこの世界、どこの国、どこの街に住まう男でも、このセリフには非常に弱かった
一杯は二杯、その二杯は三杯になっていくものだった
故に、レオンは気付けばもう魔術を使うほど集中出来なくなるほどに酔っていた
「……レオン殿……その、なんだか、暑くなってきましたね……拙者、体がほてって、仕方がないのです」
「おぉ~、そっかぁ……そぉいえば、お前に、ほのぉぶつけたんだっけ、なぁ……俺……」
「そうで、ありますな……拙者は、あの時からレオン殿に、心を焼かれた気分で……ずっと、お慕いしています……」
「そっかぁ……じゃぁ、けっこんしてぇ、よかったなぁ……」
「はい……ですから……拙者に、次へお進みさせてください、レオン殿」
セフィリアは、酔っ払ってフラフラなレオンをベッドへと押し倒した
やった? やってない?
dice1d2=2 (2)
1:レオン、酔いすぎて爆睡、セフィリア、号泣
2:レオンの内に目覚める獣解放、セフィリア、歓喜
- 106二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 22:27:13
や、やったっ!!
これはセフイリアちゃんミリアルテちゃん辺りと画策して色々計画してたな? - 107二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 22:31:11
号泣だったら不憫だったなぁ…
- 108124/07/08(月) 22:52:06
レオンが目を覚まして最初に見たのは、見知らぬ天井だった
そして、自分も、隣に寝ているセフィリアも、一糸まとわぬ格好であり、体の中に溜まっていたものをすべて放出したような、スッキリとしていてやや疲れが残る感覚が全身を支配していた
「……いやいや、いやいやいやいや……いやいやいやいやいやいやいや……夢だろ」
レオンはセフィリアに手を出した覚えがなかった
セフィリアが自分の前で一糸まとわぬ姿になることなどなかった
兄の勧めで家に風呂を作っても、セフィリアはミリアと入浴するのだから
だから、レオンは彼女が生まれたままの姿で自分の横に寝ている光景を受け入れなかった
「……寝よう、寝ればきっとこの夢も覚めるはずだ」
自分が酔っ払ってセフィリアに手を出し、行為の最中のことを一切覚えていない、ということは嘘であると信じたかった
忘れられることがトラウマたる彼女の前で「記憶にない」という言葉を出したくないが故に、レオンはもう一度寝転がった
だが、そうはセフィリアが許さなかった
「おはようございます、レオン殿」
「や、やー、セフィリァ……」
「昨晩は、獣のように激しかったでありますな」
「……そ、そうだった、ナ……凄いスッキリしたヨ……」
「……拙者、人よりも怪我の治りだとか、痛んだところが治るのはとても早い方ですが……本当に、腰が砕けてしまうかと思いました……ですが、レオン殿はきっと覚えてないでしょう……故に、今度は記憶に残る形で、もう一回戦と参りましょう!」
「ぇっ」
セフィリアは、全てお見通しだった - 109124/07/08(月) 22:59:27
酔っ払ったレオンを押し倒せば、きっと記憶には残ってくれない
ミリアにも言われた言葉で、セフィリアもそれはわかっていた
だが、そうでもしなければ初めての体験は出来ず、自分がペースを握らない限りレオンは手を出してくれない
故にセフィリアはレオンへ一度目の事実を作り、その翌朝たる二度目に、レオンの記憶へ自分を刻み付けることにしたのだった
「レオン殿、愛しております……ずっと、ずっと……ずっと……!」
セフィリアは思うがままにレオンとの行為を楽しみ、愉しみ、結局その日は昼過ぎまで続け──
レオンは今までの何よりも疲れた、とくたくたになった体を引きずって、セフィリアと共に帰宅したのだった
「……上手くいったみたいでよかったね、セフィリア」
「はい、ミリアルテ殿の用意してくれたお酒とお薬がよく効いていて、たまりませんでした……」
「そっか、良かった……これで、レオンも色々と吹っ切れるかな」
「この御恩は、必ずやお返しいたします! ……故に、これからもよろしくお願いいたします、ミリアルテ殿」
「……うん、こちらこそよろしく、セフィリア」
レオンはセフィリアへ抱えていた少しばかりのモヤモヤを振り切り、セフィリアとミリアの二人の婦人はより仲を深めた
……が、レオンはルーデウスに少しばかりの相談をし、子供の名前の候補を考えるようになった
彼は気の早い男でもあった - 110二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 23:05:54
セフィリアちゃんとミリアルテちゃんの仲良すぎか???
片や両親から存在を忘れられてもう片方は死別と来歴も似てる所があるし、
やっぱり家族って形で一緒になれてる分距離も近くなってるのかな…リオンと三人で仲良くしてて欲しいわ本当に - 111二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 07:06:55
持ち前のバイタリティやポジティブシンキングで何とか生きていたけど普通だったら二人とも奴隷ルートまっしぐらだったしな。
- 112二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 13:36:14
オルステッドが見てないからわからないだけだろうけど
セフィリアってもしかして本来の歴史だとシルフィやロキシー同様に生涯独身で終わってるのかな - 113124/07/09(火) 16:20:11
そういえばレオンからのセフィリアへの好感度振ってなかったので、振ります
ただし既に夫婦なのでキチンと補正入れてやります
(+80)dice1d20=8 (8)
- 114二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 17:02:55
くっついてから日は浅いからまぁこんなもんか
- 115二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 20:23:23
レオンとセフィリアはジョブレス時空でいい歳してルーデウスと一緒に仮面ヒーローとかをやりそうなノリがある
- 116二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 20:41:12
- 117二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 20:54:28
- 118二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 21:21:42
第二、第三子がデキるのも早そうですね。
- 119二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 06:52:09
現状、ルーシーにはパパのにせものって思われているけどララ達にはどう思われるんだろうな。
- 120124/07/10(水) 07:44:32
- 121二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 11:50:53
いっそのことダイジェストするのも手では
- 122124/07/10(水) 16:15:42
時は流れ、クリフとザノバが魔法大学を卒業し──レオンは出席日数が足りずに留年したのだった
オルステッドの配下になってからはあちこちを飛び回る機会が増えたために、重要な試験のある日に限って休んでしまうことも珍しくなく、その年はたまたまそういうことが重なったため、レオンが留年するに至るのだった
「……お仕事の都合もあって仕方ないかもしれないですけど、ちゃんと来れる日は来てくださいね、兄弟揃っての不良生徒か何かだと思われてますよ、兄さんたち」
「その来れる日が、大学側の求める出席日数に届いてないってことなんだよ……まぁ、生徒会長様の名前に泥を塗らないようにも、今後は頑張るよ」
「約束ですからね、リオン兄さん」
随分と大変な約束をしてしまったな、とレオンは思うのだった - 123二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 18:44:49
ルーデウスと違って特待生じゃないから出席日数や試験の便宜はなしか···
- 124二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 18:46:23
妻二人ともシルフィエットと同時期に妊娠が発覚して心配でイライラしながらミリスに行ってクレアに喧嘩腰になったとか···
- 125二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 19:38:19
パウロが生きているからゼニスの治療云々の話に手を加えるってのわ?
- 126二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 00:38:35
書きにくいところは本編通りってことで良いんじゃね
- 127二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 05:48:15
- 128二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 07:04:11
二度も留年したら流石のオルステッドも仕事を減らしてくれるかなぁ?
- 129124/07/11(木) 09:47:19
それからしばらく、レオンはアリエルの戴冠式に参加していた
勿論隣にはセフィリアとミリアもいて、娘であるミアは父パウロたちへ預けての参加である
ルーデウスがアリエルから貰った館での小さなパーティも開かれ、レオンはそこで懐かしい顔と再会する
「あれ、ニナ? ニナだよな、どうしてこんなとこに? 誰かに呼ばれたのか?」
「……」
ニナ・ファリオン
剣神ガル・ファリオンの娘であり、レオンの初恋にして失恋相手で、現在剣王である
しかし、ニナにとって彼の顔の最後の記憶は魔王バーディガーディを一撃で爆散させた男であるルーデウスのものだった
故にレオンに話しかけられても、彼女はすぐにピンとこなかった
「ほら、俺だよ。レオン、レオン・グレイラット、剣帝の……」
ニナは驚いたものの、エリス同様昔馴染みの相手とわかれば、貴族たちの集っているその場でも安堵した
自分にとてもよく懐き、慕いながらもあっという間に自分のことを追い抜いて剣帝となり、12歳にして父にも届きうる剣技を見せた男
少年然としたイメージで止まっていたが故に、成長して彼の姿は、ニナを軽くフリーズさせるには十分だった
「……レオン、だったんだ」
「あぁ、まぁ久しぶりだったしわからないよな、ごめんごめん」
口は軽くなり、両隣には妻が二人
昔馴染みの男はすっかり変わってしまったな、と思う一方で変わっていない様もあった
レオンは今こそニナに対して『昔の親友だった人』程度の認識になり、もうニナへ懐いていた少年の姿はなかった
だが、自分も身の回りの人間も変わっていく様をニナはよく知っているし、レオンがニナのことをもう嫌ってしまったワケでもない
故にニナは安堵し、彼の兄であるルーデウスのやや胡散臭い演説と勧誘、アスラ王国を見て回る時に自分へついてきたエリスを見て決意し、そしてその決意は、父ガル・ファリオンへ新たな判断を下させるに至った
「……そろそろ、だな」 - 130二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 19:22:04
レオンからしたグレイラット家のヒエラルキーって
ゼニス>越えられない壁>ルーデウス>ノルン=アイシャ=リーリャ≧パウロかな?
- 131124/07/11(木) 19:51:33
「剣神を継げ?」
戴冠式を迎えてすぐ、レオンの下にやって来た一通の手紙はガル・ファリオンからの命令とも取れる手紙だった
レオンは頭を軽く掻いたところでため息を吐き、やや強引に道場を出て行ったことへの責任を取れ、とも取れるような文体に再度ため息を吐いた
しかしワガママは言っていられない、故にレオンは妻二人に家の留守を任せ、呼び出されたのが自分だけだということもあり、さっさかさっさかと剣の聖地へと向かったのだった
「兄さんはノルンたちのために頑張ってるし、俺も俺で頑張らないとな……」
もうすぐ成人となるノルンやアイシャを祝うための準備を、兄たちがしている
ならば自分に出来ることは、それに水を差しかねないような出来事をさっさと終わらせることである
大方ガル・ファリオンが世代交代のために剣神を継げと手紙を寄越してきたのであろう、と考えたレオンは、自分が断ればエリスにも手紙が行き、面倒なことになるだろうと考えていた
故に、一人で剣の聖地を目指したのだった - 132二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 19:58:41
まぁ実績(12の時点で剣帝になり剣神のガルに本気を出させる、オルステッド相手に五体満足で生き残る、水神のレイダ相手に互角の勝負をする、奇抜派北帝のオーベールを逆に奇策に嵌める)も充分だしな。
- 133二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:40:32
せめてルーデウスかオルステッドに報連相しておかないと···
- 134124/07/11(木) 21:56:45
レオンは馬を乗り継ぎ、爆速で走り出し、なるべく急いで剣の聖地へとついた
胸騒ぎのような、何かが起こる様な感覚を抱いて、道場の扉を勢いよく開く
すると、そこにはレオンが目を疑う光景が広がっていた
「……マジかよ」
剣神ガル・ファリオンが、ジノ・ブリッツに敗れた瞬間だった
かつて自分が勝つことが出来なかった男に、親友が勝利した瞬間
剣の聖地の道場へついて、一番最初に目に入れた光景がそれだった
「だ、誰だお前は!」
「お前こそ誰だ!!! 退け!」
「あぶっ!」
剣神が敗れた光景を見ていた剣聖の一人、レオンの記憶にもない若い男が、すぐさまレオンに木剣を向けた
無論彼の行動は正しい、突然顔も知らないような不審者が勢いよく扉を開けて来たのならば、道場破りか不審者の類と考えるのが自然である
故に剣を持って警戒するのは至極当たり前だったが、レオンは興奮していた
だから、格下で名前も顔も知らない男に構っている暇もなく、レオンは彼をザリフの義手をはめた腕で殴り飛ばして壁に叩きつけ、すぐさまジノの傍に駆け寄った
レオンは謙虚な男だった、だが興奮した時には割と簡単に手が出る男でもあるのだ - 135124/07/11(木) 21:58:05
「ジノ! 見てたぞ! お前凄いな!」
「……あぁ、レオンか。久しぶりだね、どうもありがとう」
ジノは変わっていた
レオンは「ジノが成長したらこんなだろうな」という予想を立てていたため、容姿に関してはすぐにジノをジノだと見抜いていた
だが、姿かたちとは違う、ジノ自身の変わりっぷりにはレオンも驚きを隠せなかった
レオンの知っているジノには、こんなにも「欲しい物を何としても手に入れる」という執念めいたものはなかったのだから
「よぉ……レオン、か……遅かったな」
「生憎忙しい身でしてね……でも、決定的な瞬間は見れたんだ、師匠の意図はもうわかりましたよ」
「あぁ……?」
地に伏した剣神と数言交わしたレオンは、ジノの父が落していた木剣を足で拾い上げた
そしてコートや荷物の類を降ろし、道場の端へと置いて、ジノに向けて木剣を突き付けた
「剣神を継げってのは、俺とジノで次の剣神争いをしろってことでしょう? ジノが、あんたを超えるってわかってたから」
無論全然違うが、レオンは得意げになっていた
自分も言葉の裏を読むことが出来るようになったのだ、とドヤ顔をしていた
だが、悲しいことにガルはそんなつもりで彼に手紙を出したのではなかった
「……まぁ、いいや、それで」
ガルは説明を放棄した - 136124/07/11(木) 22:12:55
「ってワケだ、ジノ……久しぶりにやろうか」
「……いいよ、ニナを貰うためなら誰だっていいや」
「へぇ……」
レオンはワクワクしていた
昔、レオンが恋して諦めた相手に対し、ジノはいまだに恋焦がれていた
そして貰うと言っていた、それ即ち結婚である
レオンの思った通りに、やはりニナにはジノが相応しく、ジノにはニナが相応しいと言った状態に進んでいた
惚れた女のためだけにガルを倒したのだという男を前に、レオンは高揚しきっていた
アスラ王国で水神や北帝と対峙した時とは違う、純粋な戦いへの喜び
かつての親友と一度本気で剣を打ち合えるのだとわかったことへの喜び
そして、かつて自分の妻のために世界最強の存在へと挑んだ自分を思い出しての、喜び
「出し惜しみはなしだ」
「あぁ」
ジノも、レオンも、共に剣を構えた
既に互いに間合いの内側であり、その場にいる剣聖たちは誰もが固唾を飲んで見守っていた
この場にいる剣聖たちの中でレオンのことを知っている者は減っていた
故に「誰だアイツは」という空気が出来上がっていたが、それでも尚レオンが発する圧倒的な強者のオーラは、剣聖たちに次元の違いを見せつけた
そして、先ほど剣神を倒したジノにもその雰囲気がありありと伝わっていた
正に剣神流の頂上決戦ともなる戦いに、その場の誰もが緊張していた - 137124/07/11(木) 22:25:31
勝負は、ジノとガルの戦い同様に一瞬で終わった
ジノの剣がレオンの右腕の骨を叩き折り、レオンの攻撃はジノの衣服を切り裂く程度に留まっていた
「……流石、だな……ジノ」
「……ありがとう、レオン」
何が起こったか、わかった者は数名だった
見えたのは剣帝の二人と、ガル、そしてニナだけ
レオンとジノが互いに構え、レオンは光の剣閃を、ジノは光の太刀を放っていた
当然レオンの方が有利も有利であり、本来剣神流同士の対決ならばレオンの完全勝利で終わるはずだった
だがそれを覆されたのだ - 138124/07/11(木) 22:29:10
光の剣閃と光の太刀を同時に放った場合、光の剣閃が勝つ理由は至って単純なことだった
踏み込んでから剣を振り下ろす技と、その場で剣を振るだけの技では、当然後者の方が動きが少なく、無駄もない
故に、光の剣閃は光の太刀の上位に位置する新たな奥義でもあった
だが何故ジノがそれを破り、レオンの腕を砕いたのか、それもまた明白だった
「あんなに速く踏み込んでくるなんて、思いもしなかったな……この技で同じ流派の相手に負けるなんて、久しぶりだ」
「……沢山、練習したんだ」
「……そっか、ジノは流石だな」
光の剣閃と光の太刀に起こるタイムラグは、あくまでそれらが同速で行われるからであった
事実、レオンが模擬戦で使われる光の太刀を破っていたのも、相手がエリスやパウロと言った、どれだけ頑張ろうとレオンの光の太刀と同レベルを繰り出すのが精いっぱいの者たちだった
だがジノの光の太刀は、レオンが今まで見て来た者たちの中でも最も速く、尤も洗練された技だった
しかしそれは当然のことである、彼はガルをも超える速度で打ち込めるのだから
ジノは光の剣閃と光の太刀の間にあるタイムラグを埋めるほどに速く踏み込み、速く剣を振るった
きっと、レオンが光の太刀での打ち合いを選んでいれば、カスりもせずに負けていたのだろうとレオンは実感した - 139124/07/11(木) 22:30:14
「……もっと誇れよ、ジノ。お前は文句なしの剣神だよ、誰がなんて言ったって、お前は剣の聖地の最強の男になったんだ」
「別に、それには興味がないからなぁ……僕が欲しかったのは、ニナだけだから」
「ハハッ、随分自由だな」
「……自由に生きろ、って言われてきたじゃないか、僕ら」
「そりゃそうだな……自由に、だもんな……良し、じゃあ帰るか! 俺じゃ剣神は継げなかった、継げたのはジノだ」
レオンは新たな剣神の誕生を見届け、殴ってしまった剣聖の傷を治してから、道場に一礼し、剣の聖地を後にした
剣の聖地に生まれた一組の夫婦と、新たな剣神の誕生、親友の大成、三つの出来事を祝った
ならば、愛する妹たちを愛する妻たちと共に祝おう、とレオンはすぐにシャリーアへと急いだのだった
新たな剣神の誕生と共に、剣の聖地は変わっていくこととなる
だが、レオンがそれを知るのはまだ少し先のお話であった - 140二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 22:54:59
完膚なきまでに負けたからそれをバネにして更に強くなりそう。
- 141二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 06:47:15
なんだかんだで家族ぐるみの付き合いをしそうだな
- 142二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 08:24:36
何も言わずに帰っちゃったけどそれでええんか
- 143二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 08:42:42
この先のジノの事思うと、これを見てた門下生がレオンのところに殺到しそう
- 144二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 16:42:14
知らないところで自分も知らない奥義が開発されてた上に、その奥義をあっさり破ったジノを見たガルの心境よ
- 145二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 21:15:07
真剣を使ったガチのコロシアイだったらジノの衣服ごと身体を両断してそう。
- 146二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 22:17:11
今回は出していないだけでまだ新しい奥義を開発してそうだな。それでビヘイリルでの決戦の頃には初代剣神みたいに通常攻撃が光の太刀みたいになって「もうお前は終身名誉剣神になれ」とか言いそう。
- 147二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 23:41:00
このレオン君は60、70になってもアッチの方は元気で若々しい妻達とイチャコラして子供作ってそうなイメージがある。
- 148二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 07:42:37
今回は負けたけど後はもう格下を相手するか自習トレするしかないジノとこれから先、北神クラスの妻のセフィリアと切磋琢磨したり、様々な激戦を繰り広げるレオンとじゃあ経験値の差や戦闘における直感の有無が違うから数年後にリベンジしたらレオンが勝ちそう。
- 149124/07/13(土) 08:01:19
レオンは剣の聖地に来た時同様、馬を乗り継ぎ、全速力で走り、ついでに人助けをし、何とかノルンとアイシャの成人式が行われる前日に家へと戻って来るのが出来たのだった
「……ただいま」
「おかえり、リオン」
「剣の聖地に行って来たのですよね、剣神は継げたのでありますか!?」
「いやぁ、それがかつての親友にあっさり負けちゃって、剣神はその親友……ジノが継ぐことになって、俺は剣帝のまま」
「そうでありましたかぁ……ですが、真剣は使っていないのでしょう? レオン殿が真剣を使って負けることなど──」
「あるよ、実際剣の聖地を出てからは負けてばっかりだ」
レオンは苦い敗北の記憶を常に刻み続けていた
格下に勝つのは至極当然のことであるが故に、冒険者になってから倒した魔物や敵のことなどは特に考えてもいない
だが、レオンは同格、ないし格上の相手への勝利経験が本当に少ない
北帝オーベールには策を策で返すことで一杯食わせることに成功したが、直接対決での勝利はしていない上に、完璧に策に嵌めた状態から逃がした時点で負けとも言える
無論、水神レイダに対しても勝利どころか引き分けであったというのもおこがましい、とレオンは考えていた
確かに奥義の略奪剣界には対応したし、光の剣閃を放てば倒せる自信もあった、だが実際に彼女を倒したのは龍神オルステッドである、それは自分の勝利だと胸を張って言えることでもない
ちゃんと倒したと言えるのはセフィリアだが、そもそもセフィリアに対しても一度目はわざわざ見せてくれた隙を突いて、二度目は自損覚悟の火力勝負でたまたま勝っただけに過ぎず、剣での勝ちを収めたワケではない
故に、レオンは『自分は剣の聖地を出てから、負けばかりを重ねて来た』と思っていた - 150124/07/13(土) 08:03:07
「……真剣を使っても、多分ジノは俺に勝てる、アイツはきっとそうだ」
「レオン殿は、もう少し自分のことを評価してもよろしいのでは?」
「誰かに完全勝利して、自信を持てたらな……まぁ、そんな日いつ来るのかわからないけどさ……」
「さっきから聞いてて思ったんだけど、家族を祝う前日に、そういう後ろ向きな話は良くないかなぁ……」
「……そうだな、ごめんミリア、もうちょっと前向きになってみるよ」
戦いのときの自分を奮い立たせるイメージを、日常に持って来れるように
レオンはそう考えて、今日は少し積極的になってみよう……と考えたので、妹たちへの誕生日プレゼントを各自で用意したのを確認し、箱を保管したところでレオンは切り出した、剣神流らしく、即決即断で
「……今日は、三人でしてみないか? 記念に」
「大胆でありますな……ですが拙者は賛成です!」
「じゃあ、私もいいかな……? ミアが起きて泣かない程度には、控えめにだけど」
その晩、レオンは枯れた - 151124/07/13(土) 08:03:45
ミリア
dice1d2=1 (1)
セフィリア
dice1d2=2 (2)
- 152二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 08:19:31
いつまで経っても子供がデキないからまたセフィリアが悩みそうだな。ミリアとレオンの子供を我が子同然に可愛がっているけど呪いのせいで家族とかそういった関係に飢えているから自分とレオンの血を分けた子供とか欲しいだろうし。
- 153124/07/13(土) 08:22:53
翌日、レオンは疲れた体に治癒魔術をかけつつ気合で体を起こし、何とかノルンとアイシャの成人祝いに参加し、各々が用意した贈り物を手渡していた
レオンはノルンにお手製の本を、アイシャにはお手製の魔道具を
ミリアはノルンにもアイシャにもそれぞれ似合うオシャレな服を一着(他国から仕入れた)
セフィリアはノルンに赤竜を素材にしたコートを、アイシャにはこれまた赤竜から作った魔道具をプレゼントした
「……プレゼントで固めたものとは言えど、らしくなったな、ノルン」
ノルンはグレイラット家全員から渡された物を全て身に着けただけで、一端の剣士のようになっていた
パウロから渡された剣をエリスから貰った剣帯につけ、ロキシーから貰った鎧を身に着け、セフィリアから貰ったコートを着て、ザリフの義手を籠手のように着ける
それだけで、レオンやエリスもつい「手合わせ願おうか」と言いたくなってしまうような、ちょっぴり格好の良い剣士が誕生していた
「ノルンに素質は……正直に言うとない、けど努力する姿勢は本物だし、兄さんと違って闘気も頑張れば纏えるようになる……気もする、だからこの本片手に頑張り続ければ、いつか剣術なら兄さんも超えるさ、きっと」
レオンが渡した本は、レオンが人生で学んできた剣神流の極意をまとめた本だった
エリスとも相談しながらなるべく理論的に、わかりやすく書き上げた一冊である
無論、光の剣閃に関する文言も載っているが、これはエリスもパウロも真似できなかったために、ノルンは『ここのページだけは読む機会がなさそう』と思ったのだった - 154二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 08:28:09
剣の聖地の識字率を考えたら下手したら唯一剣神流の技を纏めた後世にまで残るレベルの剣神流の秘伝の書じゃないか。後になって写本とか作られてそう。
- 155二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 08:31:17
「誰かに完全勝利して、自信が持てたら」ってアレクか··
- 156124/07/13(土) 08:34:16
「アイシャ殿、拙者からはこちらです!」
「これ……は? 竜の頭がついた、瓶……? 何か入れるの?」
「はい、こちらレオン殿と共同して作った魔道具でございます! こちらは中に何も入れるわけではございません、魔力を込めて、ここの引き金を引いて使うのです」
「魔力を込めて、引き金を……わっ! 火が出た!」
セフィリアはバーナーに近いものを作り出していた
セフィリアにとって火とは人生においてかなり重要な物であり、誰もが火を使えるようになれば良いと思っていた
無論それは木を擦り合わせて火を起こすなどということではなく、そんな手間もなしに火を使えるように、ということである
魔術こそその理想に近かったが、魔術では結局詠唱をいちいち覚えなくてはならない上に、形骸化しているために自由に扱うことはできない
加えて火とはトラウマができやすく、それが原因で火の魔術を不得手とする者もいる
ならば火の魔術が使えなくても、魔力さえあれば使える火起こし機を作ろうと考えていた
それを作る際に、自信の愛剣である赤竜剣ヤクタからヒントを得て、魔力を込めると竜の顔が火を噴く魔道具を作り上げたのだった
これ一つで不審者の撃退、肉を炙りたい時、たいまつに火をつけたい時に便利……という謳い文句である
「これなら、いちいち詠唱をして火球を出さなくても使えますし、込める魔力量で簡単な調節も出来ます、ある意味疑似的な無詠唱魔術のようなものであります!」
「無詠唱魔術かぁ……そっかぁ……お兄ちゃんたちがやってることと、同じ……」
「そうであります! まぁ、尤もホントに火を噴くだけなのですがね、えヘヘヘヘヘ……」 - 157124/07/13(土) 08:42:05
大勢の家族から様々な贈り物を貰ったノルンとアイシャだが、まだ終わらない
ノルンには魔法大学にいるノルンのファンたちからの大量の贈り物が届いた
アイシャには、ルード傭兵団の団員たちが総力を挙げて狩って来た魔物の肉が献上された
少し前まで自分にしがみついて、何かとすぐに泣いていたノルンが立派になったことに感動して泣き出すパウロ、そんなパウロに釣られるようにゼニスも笑みを浮かべたような表情をし、リーリャも涙ぐんでいた
レオンもまた、ノルンやアイシャが人から慕われている光景を改めて見て、自分にはないものだと感じていた
誰かを惹きつけるような馴染みやすさ、誰かを手足のように扱える慧眼さ
それらを持っている妹たちに、レオンは尊敬の念を抱いたのだった
「……妹たちから学ばされることも、沢山あるもんだね、兄さん」
「そうだな、意外とどんな人からも学ぶ機会はあるんだな」
グレイラット兄弟は、この幸せな成人の祝いを見守りながら、静かにグラスを打ち合わせたのだった - 158二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 08:43:22
ルーデウス(なんか義妹が弟と一緒にヤバい代物を作っている···技術が発展したら使い方次第でいくらでも悪用できるな。地球の技術を併せてパッと考えただけでも数通りの悪用方法を思い付いたよ。)
- 159124/07/13(土) 09:04:07
それから数ヶ月が経過した
レオンはこれ以上ノルンに恥をかかせるわけにもいかない、そもそもノルンと約束したのだから……と奮起し、どうにか留年せずに進級が決定し、ルーデウスは魔法大学を卒業
「拙者も、大分忘れられにくくなりましたな……10日に1度会うだけで、覚えておいて貰えるのですから」
「そこまで期間が開くと、ちょっと会うのをうっかり忘れそうだな」
「忘れませんよ……拙者のことを覚えてくれる人のことを、拙者は忘れません」
セフィリアはクリフの研究の甲斐もあって、魔道具の力が更にパワーアップし、呪いの効力はより抑えやすくなっていた
それ故にセフィリアも遠出が可能となり、オルステッドから与えられる任務にも行くことが出来るようになっていた
「ふふっ、儲かった儲かった……子供を不自由させることなく育てられそうね……うふふ」
「ミリア、金の話する時だけなんか目が怖いんだよな……けど、これだけ快適なら、ミリアに任せて良かった良かった」
ミリアはまたも妊娠したが、妊娠中に自分が何もしていなくても金が入ってくるようにとあちこちへとコネを作っており、フリーの商人ながらもかなりの稼ぎを上げていた
おかげでレオンの邸宅は贅沢に改装され、広い部屋、充実した空間が作られていた
2歳になったミアものびのびと育っているのだった
「……拙者も、もっと頑張りませんとな」 - 160124/07/13(土) 09:36:27
それから少しして、シルフィの妊娠の発覚、更に母ゼニスを連れて、クリフにたまたま同行する形でミリス神聖国へ向かうことが決まったのだった
丁度良いタイミングじゃん、と感じたレオンだったが事は簡単なことでもなかった
妊娠しているミリアに、妊娠したシルフィ、それらをまとめて世話する人が減ってしまうのだった
ゼニスを連れていく以上、ゼニスの世話を出来る人間が必要であり、それはリーリャかアイシャが必ず必要だった
しかし、ミリアやシルフィの面倒を見る人間もまた必要……と、二人は悩みに悩んでいた
が、他ならぬ母ゼニス自身が見せた意思によって、リーリャはミリアとシルフィの2人を助ける形で家に残ることが決まった
ミリスへはルーデウス、アイシャ、ゼニス、そして今回だけは留守でいることなど出来ない、と言ったパウロが加わることで、メンバーは決定したのだった
レオンはレオンで、セフィリアと共にオルステッドから下された任務の一つをこなすべく二人でバシェラント王国へと行くこととなってしまったために、二人ともしばし家を空けることとなってしまった
任務の内容は「ヒトガミが新たな使徒に加えた北帝、そいつとその相方たる水帝が率いる戦士旅団がある集落を襲うことになる、その集落には将来ラプラスとの決戦において重要な役割を果たす者がいる、必ず助けろ」
というものであった
北帝や水帝に徒党を組まれては流石にレオンたち以外では相手も出来ないため、レオンとセフィリアの2人で使徒狩りへと向かうことになり、グレイラット兄弟は別行動を強いられるのであった - 161二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 09:44:50
次男だけ来ないとか重婚も含めてレオンへのクレアからの評価が下がってそう。
- 162二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 10:07:28
パウロやノルンやアイシャとは面識があるし、ルーデウスはテレーズ経由で人となりとかは知らされているけど次男のレオンだけは面識もないし、人となりも知らないクレアお婆ちゃん。多分会うのを楽しみにしてたんだろうね。
- 163二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 10:25:32
夫婦で初めての共同任務か··どんな敵が待ち構えているのやら
- 164二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 18:07:06
- 165二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 18:09:10
この任務でワンナイトなり、毎日寝床で襲えばすれば授かると思う
- 166二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 23:04:43
まぁレオンとミリアの娘のミアのことは実の娘同然だと思っているけど呪いのせいで結婚や子供なんて無理だと諦めていた自分に夫が出来て呪いも抑制出来たら欲張りになっちゃうよね。
- 167124/07/14(日) 00:51:13
- 168124/07/14(日) 01:12:42
バシェラント公国には転移魔方陣を繋げていないため、レオンとセフィリアは馬に乗っての旅となった
ベガリット大陸に行った当時は旅においての必須スキルがダメダメだったレオンも、現在ではルーデウスなどから様々なことを教えて貰ったおかげで何とか出来るようになっており、一人旅に慣れているセフィリアのおかげもあって、スムーズにバシェラント公国へと辿り着いたのだった
「一応おさらいであります、レオン殿」
「あぁ、今回助けるのはバシェラント公国にある集落の女戦士、エレン・レナ―。龍神様曰く『村の中でも孤立している我流の戦士だが、彼女が将来結婚して残す子供が未来でラプラスと戦う上で活躍する』って、ここまでは覚えてるな」
「はい、付け加えるとその我流さは三大流派のどれでもないようでありますね」
「そうみたいだな、なんでも珍しく槍術なんて使うらしいし……で、そのエレンが槍なんか使ってるから、魔族を崇拝してるとか因縁をつけて、ヒトガミの犬コロどもがエレンの命を狙う」
「敵の戦士旅団……『夜の帳団』は夜襲を得意としていて、北神流の剣士や戦士が多く、団長の【ヤライ・カーデン】は北帝、副団長の【イセンヒ・カーデン】は水帝……このお二人は結婚しているワケではないようですが、義兄弟の契りという物を交わして同じ姓を名乗ってる……とのことでありますな」
「うん……で、肝心の『夜の帳団』にいる団員は強くても北聖が一人いる程度で、他は有象無象って感じみたいだな……夜襲がメインなのは昼間に寝てさえおけば対応出来るし、問題は頭二人だな……」
「そうでありますなー……流石にヤライという男のことは拙者も知らぬものでして、オルステッド殿から負けはすまい、とも言われましたが、北神流同士の戦いは何が決め手になるかわかりませんからなー」
「……イセンヒって女の方は俺が斬るけど、水帝ってなると光の太刀じゃ仕留められなさそうだよなぁ……魔術も効かないだろうし、出し惜しみなしで行くしかないか……」
レオンとセフィリアの両名は、バシェラント公国についてすぐの町にある宿で食事を取った後に、事前に仕入れた情報を話しながら作戦を立てているのであった - 169二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 06:53:36
アレク乱入でレオンと因縁が出来るのかな?
- 170二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 13:11:59
ミリアとの第二子はジークと仲良くなりそうだな
- 171二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 19:00:49
クレアに次男不在をチクチクと突っつかれそうだな。
- 172二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 04:46:39
そういえばミリアってまだフリーの商人なのか。てっきりザノバ商会に入っているのかと思ったよ
- 173124/07/15(月) 07:57:40
- 174二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 08:10:26
レオン君は嫁二人を満足させる為に三人も娶ったルーデウスに夜のプレイとかトーク力とかを相談してそう。そして大真面目に聞いてきたから気分良く赤裸々に教えるルーデウス
- 175124/07/15(月) 08:27:35
「さて……どうするもんか、襲ってくるのはわかってても、どうやって対処するかなぁ……今回は攻めじゃなくて防衛戦だし、ちゃんと準備をしたいもんだが」
「んー……旅人のフリをして集落に寝泊まりさせていただいて、有事の時に対応するという形でどうでありますか? いきなり現れて助けるよりも、その方が信用されやすいと思います、それに、魔物対策とかなんとかいえば罠を仕掛けるとかそういう余裕もあるでしょう」
「あー、自作自演とか疑われたら龍神様の名に傷がつくところもあるだろうしなー……じゃあ、その案で行くか、そっちのが疑われにくそうだし」
レオンとセフィリアは目的の集落に向かう道中でそうした会話を交わしたところで、集落ではプラン通りに集落へと足を運び、偽名と共に旅人を名乗り、無事に家を借りることに成功したのだった
「さて……滞在期間は長く出来ないし、早い段階で来てくれると助かるんだが」
「ハハ……そもそも襲われないことが一番平和では?」
「襲われてくれないと、龍神様の思い描く未来に導けないだろ」
「それもそうでありますなぁ……」
2人は黒パンとお茶を片手にそんな雑談をしながら、集落の外を見張っているのだった - 176二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 17:01:59
レオンの子供達はどんな将来を歩むのやら
- 177124/07/15(月) 17:30:58
その夜は、レオンたちが集落に泊めて貰ってから三日が経過したころにやって来た
いや、そもそもその前日から斥候のような者がやって来ては去ってを繰り返していた
故にレオンとセフィリアは既に戦闘態勢に入り『夜の帳団』を迎え撃つ準備を済ませていた
「レオン殿」
「あぁ」
夜の帳団──わざわざお揃いの黒い鎧を着て、白い三日月の模様をつけた男たちがコソコソと動きながら集落に近づいていた
それを遠目から確認したセフィリアとレオンは彼らに気付かぬフリをしながらも臨戦態勢に入っていた
すると──
「マジか」 - 178124/07/15(月) 17:31:08
レオンは思わず声を漏らした
彼らは突然たいまつを手に持ったと思うと、集落を囲っている柵に火をつけたのだ
夜襲にしてはあまりにも行動が派手、しかしこのままでは瞬く間に火が広がってしまう
「レオン殿、いかが──」
「消す!」
レオンはすぐさま魔術にて雨を降らし、燃え広がる前に消火を始める
そして──
「ガアァァァオアアアアアァァァァァッ!!!」
獣族の吠魔術にも負けないほどの声量で叫ぶ
稲妻のような声は雨の中でも響き渡り、集落で眠っている人々を起こすにはあっという間だった
夜の見回りをしている戦士たちも、すぐにレオンの声がした方へと集まり始める
「クソッ、失敗し──」
「なんで逃げられると思ってんだよ」
火をつけようとした団員が背を向けた時には、レオンは既に魔術を行使していた
その団員に近い位置にいる者も含めて、この大雨の効果を最大限活かすための混合魔術
「フロストノヴァ!」
『夜の帳団』の団員が凍てつき始めたところで、戦いの火ぶたは斬って落とされた
奇襲に失敗しても、彼らは己の実力に自信をもって、正面から仕掛けに来たのだ - 179二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 17:41:39
魔力量も多めで無詠唱で水王級魔術もこなせるとか本当にこの剣士は反則過ぎるよ
- 180二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 19:59:53
ルディほどの出力はないからアブソリュート・ゼロにはならなさそうだけど
雨を活かしてるのもあってロキシーが迷宮で使ってたフロストノヴァより威力高そう - 181124/07/15(月) 20:22:00
「ハァァァッ!」
レオンはすぐさま駆け出し、斥候の団員が逃げ出そうとしていた先に向けて光の剣閃を放つ
数人ほど軽く声を漏らして倒れるような音がするも、レオン自身に手ごたえはないと感じる
今の一撃で倒せたのは雑魚だけだろう、と
尤も、レオンたちがカーデン義兄妹に次いで警戒していた北聖が、今の一撃で死んだのだが
レオンにそれを知る由はなかった
「セフィリア!」
「はいであります! 暴れ狂う炎よ、巨大な恵みを焼きつくせ!『大火球』!」
レオンは光の剣閃を放った直後に雨を降らせていた分の魔力の供給を切った
そうして雨が止むのと共に、セフィリアが詠唱した火魔術が剣から放たれ、巨大な火球が『夜の帳団』の団員たちに当たる──寸前のところで、火球は曲がり、彼らの後ろに着弾して木々を燃やしながらその場を照らした
「……『水帝』イセンヒ・カーデンでありますか」
「魔術を使う剣士とは……伊達や酔狂で使うほどの威力ではありませんね……それにその剣、その立ち姿……最低でも帝級剣士ほどはあると見ました」
「なるほどなァ……神様のお告げ通りだ、悪しき龍神が何らかの戦力を派遣すると言っていたが、まさかこのレベルを送って来るとは思いもしなかったぜ」
「『北帝』ヤライ・カーデンか……二人まとめて出て来るってのはホントだったな、まぁ丁度いい」
レオンはセフィリアと並び立ち、カーデン義兄妹を前に剣を構える - 182124/07/15(月) 20:24:57
「『剣帝』レオン・グレイラット」
「『北帝』セフィリア・グレイラット」
2人が名乗りを上げ、剣を構えたところでカーデン義兄妹たちも腰の剣を抜く
レオンたちの持つ魔剣にも勝るとも劣らない業物を構え、団員たちはこのレベルについていけるはずがない、と散り散りになって集落へと攻め入り始める
尤も、集落の戦士たちはこの攻防の間に目を覚まし、慌てながらも準備をしてある程度数の減った『夜の帳団』を相手にするには十分な戦力を揃えている
故にもう目の前の相手に集中するだけで良い──と、レオンたちが思ったのも束の間だった
「──『北神三世』アレクサンダー・カールマン・ライバック! 参ッ上!」 - 183124/07/15(月) 20:25:18
「は?」
レオンたちも、ヤライたちも聞いていない、第三の勢力が現れた
その男は、ただ一人で勢力と言ってしまえるほどの力を持った男だった
身の丈ほどにありそうな両手剣を背負い、セフィリアを彷彿とさせる黒髪
そして自分こそが世界一強い男だと信じて疑わないような、少年らしい顔つき
「罪なき人々を虐殺せんとするかつての同門の剣士、そして悪しき龍神に従う哀れな剣士たちよ……君たちのその心、この英雄が救ってみせよう!」
「誰だお前!!!!!」
レオンは叫んだ
「アレクサンダー殿!?」
セフィリアも叫んだ
「あ、アレクサンダーだと!?」
ヤライも叫んだ
「あれが……本物の、北神三世?」
イセンヒだけは、小さな声で呟いた - 184二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 20:27:56
悪しき龍神って言ったからヒトガミかギースの仕込みかな?それとやっぱり面識があったのか
- 185124/07/15(月) 22:40:11
ヤライ・カーデン
現北帝、ベガリット出身であり北神三世と同門、歳は現在35歳。
見るからに悪そうな面をして目つきも悪く、無精髭を生やした本当に悪い奴。
武器は両刃の剣であり、魔剣ではないものの剣神七本剣にも匹敵する切れ味や硬度を誇る業物。
かつては冒険者として活動していたものの、人の醜い側面や魔族とのいざこざに巻き込まれたことから擦り切れ、金に生きるだけの男と化した。
身に纏っていた鎧は汚れや血で黒く染まり、そうしたことから地元では『漆黒』のヤライで名が通っていた。
その生き様に憧れたゴロツキを集めて『夜の帳団』を結成し、夜襲などを仕掛けて悪徳商人や魔族、または魔族を崇拝する人間などから金品を奪って生活している。
ヒトガミから受けた指示は『世界を滅ぼそうとしている悪しき龍神、そしてその龍神と同盟関係にある魔族を崇拝する戦士がいる集落を襲いなさい、さすれば遊んで暮らせる富が手に入るでしょう。ただし、龍神がある程度戦力を送って来るので気を付けるように』という内容。
イセンヒ・カーデン
現水帝、中央大陸出身であり元は『水神』レイダの弟子であり歳は20代後半。
武器はヤライ同様に両刃の剣であり、魔剣でもないが魔剣に匹敵するクラスの業物。
水神流の奥義を三つ習得しているが師であるレイダが死ぬまで水神になるつもりもなく、そもそもなれる気もしなかったため、道場を出て行き旅へと出た。
大国の騎士になり、高給取りになることを夢見ていたがアスラ王国へと向かう道中に『夜の帳団』に襲われ、その悉くを返り討ちにするもヤライとの一対一の決闘に敗れる。
決闘に敗れたことで最初は何もかもを失う覚悟をしていたが、既に女などに興味もないヤライから義妹となる契約を持ち掛けられ『夜の帳団』副団長となった。
『夜の帳団』の活動内容はあまり快く思っていないものの、既に自分は一度死んだ身であるが故に方針に口は出さないと決めている。
結婚願望はちょっとあった。 - 186二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 07:09:04
戦況はカオスである
- 187二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 08:35:02
ちょっと待って
これ実質神級剣士二人では……? - 188二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 13:43:21
突発!帝級詐欺戦線!
- 189二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 13:57:46
全流派の剣士が帝級詐欺して揃って戦うのか……アスラ王国の時よりもヤバい戦場じゃん
- 190二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 20:16:20
そりゃオルステッドも現時点での三人の最高戦力の内、二人を投入するわな。
- 191二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 21:46:49
お前ら帝級をなんだと…
- 192二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 23:14:44
原作なら社長単独で解決しに行く案件だな
- 193二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 07:02:05
連携のとれた実質神級の北帝や水帝とかルーデウスとエリスのタッグでも負けそう
- 194124/07/17(水) 08:57:17
- 195二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 12:13:19
パウロの胃痛度高え……また酒に溺れたりしないか不安になるな
- 196二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 19:41:11
あれこれ考えて勢いなくてらしくなかったからかな?
- 197124/07/17(水) 21:27:17
4人は困惑した
だが、この場が戦場であることは誰もが理解していた、故に全員が全員の思惑で動いた
レオンは目的の対象であり、その中で最も強いであろうヤライを最速で斬るために、光の太刀を放った
だが、イセンヒはそのカバーへと動いていた
他者への攻撃に対するカウンターである
レイダの使っていた略奪剣界のように一挙手一投足全てに反応するほどではないが、イセンヒは完璧なタイミングでレオンの光の太刀へ合わせるための斬撃を放っていた
しかし、ただそのカウンターを黙って通すわけでもない
セフィリアもレオンと同じタイミングで踏み込み、剣を真っすぐ前へと突き出していた
それはイセンヒのカウンターを妨害する形になり、レオンの光の太刀を通した
が、それを妨害する者は更にいた
「チィッ……!」
「フ、知らないんですか? 戦いの始まりに奥義を繰り出すのは、その者の負けを決定づけると」
ヤライに完璧な形で入るはずだった光の太刀を、アレクサンダーが弾いていた
その隙にヤライは三歩下がり、レオンのようにカウンターを失敗させられたイセンヒと目配せをする
そして、攻撃を弾かれて下がったレオンもまたセフィリアと目配せし、入れ替わる
「アレクサンダー殿! ここは、北神流同士の三つ巴と参りましょう!」
「ほう、あなたも北神流か! だが僕の記憶にない! 誰だ!」
「拙者はセフィリア・グレイラット! 『北神』二世の弟子にして、最も知名度の低い北帝でありますッ!」
セフィリアはヤライとアレクサンダーを受け持ち、レオンはイセンヒと向き合う形となった - 198二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 07:08:03
クレアから小言を言われるも、資金援助とかしてもらった恩があるから反論出来ずに胃がキリキリと痛むのか。昔だったら手が出たのに成長したなパウロ。
- 199124/07/18(木) 09:11:31
レオンとイセンヒは互いに膠着していた
少し離れたところで北神流の剣士三人が切り結ぶ中、二人は時が制止したように止まっていた
互いに得物は剣一本、装備は軽く、どちらかの奥義がどちらかに当たれば、それで決着が着く
そして、互いにもう手の内は知られている
レオンは一度光の剣閃、光の太刀のどちらも見せている
イセンヒは一度光の太刀を受け流した時に奥義を披露しているし、レオンの脳には水神との戦いの記憶が浮かんでいる
互いに実力も手の内もわかりきっている状態、ならばどちらかが勝つか
それは先に相手よりも早く剣を当てた者である
「……」
故に動かない
レオンは水神流を相手にして闇雲な動きをすれば負けると知っているから
イセンヒは己の流派が先に動くというのは絶対にあってはならないと嫌でも知っているから
だからこそ、レオンは動いた
闇雲にではなく、万全な構え、万全な精神、万全の調子で、剣を振った
十分に離れた距離から、光の剣閃を放った - 200124/07/18(木) 09:11:44
だがイセンヒは賢い女だった、レオンが必ず光の剣閃を放ってくると読んでいた
「かぁっ!」
水神流は、魔術師や剣閃を飛ばしてくる剣士との戦いも想定して鍛錬を積んでいる
故に熟達した水神流剣士ならば、魔術だろうと剣閃だろうとその軌道を曲げて流し、更に熟達した者ならばその技を跳ね返すことだって出来る
と
「殺った」
イセンヒはレオンの光の剣閃を跳ね返した
光の剣閃はあくまで光の太刀と剣閃の併せ技に過ぎない、故に初見殺しとしては何よりも強い
龍神オルステッドでさえも、初見ではうっかり受けてしまうのだから
だが、一度その技を見てタネが割れれば対処の難易度は低くなり、一度この技を見た上で『来る』とわかっていれば対処はより易くなる
イセンヒは一度光の剣閃を見た、そして来るとわかっていたが故に、レオンの技を返して見せた
「がっ……!」
レオンは自分の技だからこそ、すんでのところで回避は出来た
だが左の手足を斬られ、その場でバランスを崩して倒れてしまった
「勝負ありましたね」
レオン・グレイラットは敗北した