🎲よいこのSEEDおとぎ話『アラジンと魔法のランプ』

  • 1スレ主24/07/06(土) 19:16:43

    「むかしむかし、あるところにdice1d2=2 (2) (1.キラ 2.シン)という1人の貧しい少年がいました。

  • 2スレ主24/07/06(土) 19:17:10
  • 3二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 19:18:25

    シン主役
    というかシンデレラの方落ちちゃってたのか

  • 4スレ主24/07/06(土) 19:32:51

    実を言うとスレ落ちしたシンデレラは自分じゃないです。と言っても証拠ありませんが、一応水星の時に書いた話は再利用しないようにしてるので…

  • 5スレ主24/07/06(土) 19:34:17

    シンはdice1d2=1 (1) (1.数年前に家族を亡くし1人で 2.幼い妹と2人で)暮らしており、細々とした物を売って日銭を稼いでいました。


    そんなある日の事です、他界した父の親族を名乗るdice1d2=1 (1) (1.黒猫を抱いた変な眉毛の男 2.化粧の濃い幼女)が突然シンを訪ねてやって来ました。

  • 6二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 19:34:19

    文体がだいぶ違ったので違和感あったから別人と言われたらまあ納得ではある

  • 7二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 19:48:44

    なるほどな

    アラシン楽しみです!

  • 8スレ主24/07/06(土) 19:52:14

    ジブリールと名乗るその男は父の兄を自称しましたが、シンは父親に兄弟がいたなんて話を聞いた事がなかったので不審に思います。

    ですがdice1d3=3 (3) (1.ジブリールの巧みな話術 2.元来のお人よしな性格 3.猫好きに悪い人はいないという自論)によりすぐにジブリールの事を信じ込んでしまいました。


    「金に困っているならいい仕事を紹介してあげよう。着いてきなさい」


    そう言ってジブリールはシンを町から遠く離れた谷間へと連れて行きます。

    しかしジブリールがシンの叔父だというのは真っ赤な嘘で、彼の本当の正体は悪い魔法使いだったのです!

  • 9二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 19:53:12

    ジブリールがコーディネイターであるシンを利用するのか
    コーディネイターに対する皮肉のつもりなのかな

  • 10二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 19:54:26

    あっちは少しキャラヘイト感が強くて違和感あったから納得した
    楽しみにしてます!

  • 11スレ主24/07/06(土) 20:20:30

    「あの、ここ何にもないですけど仕事って一体なんなんすか?採掘とか?」

    「まあ待ちたまえ、今に分かる」


    ジブリールはシンに猫を預けると、目を閉じて深呼吸を数回繰り返します。

    そしてカッと目を見開き、突然dice1d3=3 (3) (1.開けゴマ! 2.破ァ! 3. 心静かにタヒねぇい!)と叫びました。

    すると谷間の岩がゆっくりと動き始め、気付けばシンの目の前には人が1人余裕で通れるほどの大きな穴が開いていました。

  • 12二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 20:29:19

    呪文が物騒で草ァ!

  • 13スレ主24/07/06(土) 20:58:02

    「さて、ここから先は君の仕事だ」


    猫を抱えたまま唖然としているシンに向き直り、ジブリールは「この洞窟の奥にあるランプを取って来てほしい」と言いました。


    「え、それくらい自分でやればいいんじゃ…」

    「こちらにも事情があるんだよ。とにかくランプさえ持って来てくれればそれで仕事は完了だ。報酬も君が望むだけ渡そう」

    「いやでも…」


    目の前で起こった不思議な出来事に怖気付いたシンが洞窟に入るのを渋っていると、ジブリールは仕方ないと言った風にため息をついて懐からdice1d2=2 (2) (1.指輪 2.ピンクの携帯)を取り出すとシンに握らせました。


    「そんなに不安ならこれを持っていくといい。お守り代わりだ」

  • 14スレ主24/07/06(土) 22:46:02

    亡くなった妹が愛用していたものによく似たデザインの携帯電話に、シンは小さく息を飲みました。

    携帯を強く握りしめ、シンは意を決して洞窟の中へと足を踏み入れます。


    (ここまでされて断るのも、それはそれでなんか申し訳ないしな…)


    そう自分に言い聞かせながら携帯のライトで足元を照らしながら歩いていると案外すぐに一本道は終わり、開けた場所へと出る事ができました。


    そこには光り輝く色とりどりの宝石によって作られた美しい庭園があり、そのあまりに綺麗な景観にシンは心を奪われ暫しの間放心状態で庭園を眺めていましたが、ハッと我に帰り庭園の中を進むと、庭園の奥の薄暗い場所に古ぼけたランプがひっそりと置かれているのを見つけました。

  • 15二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 10:12:56

    これ…だよな?多分」

    年季の入ったそれは煌びやかな空間の中で異彩を放っていてシンは本当にこれで合っているのかと一抹の不安を感じましたが、他にそれらしい物も見当たらなかったためそのランプを手に取り来た道を引き返しました。

    シンが戻ると、ジブリールはお怒りの様子で一言「遅い!」と言いました。どうやら宝石の庭園に見惚れている間に思いの外時間が経ってしまっていたようです。

    「あの、ランプってこれで合ってますか?これしか見つけられなかったんですけど…」

    そう言ってシンがランプを見せると、ジブリールは途端に目の色が変わります。

    「!!そう、それだよ!さあ、早くそれをこっちに寄越すんだ!!」

    ジブリールの鬼気迫る迫力にシンは思わずたじろぎ、ランプを握りしめたまま後退りしてしまいます。シンのその様子にジブリールは烈火の如く怒り出しました。

    「まさか貴様、ランプを横取りするつもりか!?」
    「べ、別にそんなつもりじゃ…!」

    シンは慌てて弁明しようとしますが、完全に頭に血が上ったらしいジブリールは聞く耳を持ちません。それならばこうしてやる!と素早く呪文を唱え、洞窟の入り口を塞いでしまいました。

  • 16スレ主24/07/07(日) 10:39:40

    「は!?ちょ、嘘だろ!?」


    シンは血相を変えて入り口だった場所へと駆け寄りましたが、魔法の力によって動かされた岩で固く閉ざされてびくともしません。

    完全に閉じ込められしまったのだと悟ったシンは力なくその場に座り込み途方に暮れました。


    「そんな……一体どうすれば……」


    こんな事になるなら誘いに乗るんじゃなかったと後悔しながら思わず呟いたその時、シンがジブリールに渡された携帯がポケットの中で小さく震えます。

    一体なんだとシンがポケットから携帯を取り出して開くと突然画面が眩く光り、なんとそこからdice1d3=2 (2) (1.マユ 2.ステラ 3.レイ)が現れました

  • 17二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 15:12:17

    (今更だけど携帯だしマユ確定でも良かったかもな…)

    「あなたがステラを呼んだの?」
    「うわぁっ!なんだ!?」

    突然現れた少女にシンはびっくり仰天。少女…もといステラはまるで幽霊のようにふよふよと浮いてシンの目の前に立つと、スカートの裾をつまんで恭しくお辞儀をしました。

    「ステラは、その携帯に宿ってる精霊。ステラを呼んでくれたご主人様の願い事を叶えるのがお仕事」
    「ご、ご主人様?まさか俺の事?」
    「そう。あなたが携帯を開いてステラを呼んだんでしょ?だからあなたがステラのご主人様」

    当然のように答えるステラに、シンは困ったように眉を下げました

    「いや、携帯を開いたのはたまたまで君を呼んだつもりはなかったんだけど…というか、そのご主人様って呼び方やめてもらえないかな?なんか変な感じするし」
    「それがあなたの願い?」
    「あー…願いといえば願い、なのかな?とにかく俺の事はご主人様じゃなくてシンって呼んでくれればいいから」
    「分かった」

    ステラが素直にコクリと頷きます。
    その幼さを感じさせる仕草が微笑ましくて、シンは自身の置かれている状況も忘れて早くもステラに慈愛のような感情を抱きつつありました。

  • 18二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 19:13:34

    「シン、他に叶えたい事はない?」


    ステラにそう尋ねられ、ようやくシンは今自分が絶体絶命のピンチなのだという事を思い出します。


    「あのさステラ、願い事ってなんでも叶えてくれるの?」

    「うん。ステラが出来ることならなんでも」

    「じゃあさ、ここから出て俺の家に帰るって事は…」


    シンが恐る恐る尋ねると、ステラはポヤポヤとした表情のまま「dice1d3=2 (2) 」と答えました。


    1.もちろん出来るよ、ステラに任せて

    2.ちょっと難しいけど、頑張ればなんとか…

    3.ごめんねシン、それはステラには無理かも

  • 19二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 19:49:37

    ランプじゃなくて携帯から出てくるのか草
    ステラがんば

  • 20二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 20:04:16

    確か原作では指輪の魔人とランプの魔人がいたんだっけ

  • 21スレ主24/07/07(日) 22:07:08

    (ステラはあくまで指輪(携帯)の精霊で、ランプの魔神はまた別に出てきます。分かりにくくてすみません!)


    「ステラはあんまり強い精霊じゃないから頑張らないといけないけど…やってみる」
    「だ、大丈夫なのか?頼んだ俺が言うのもアレだけど、あまり無理はしない方が……」
    「いいの。シンの願いを叶えるのがステラのお仕事だから」

    心配するシンをよそにステラは集中するかのように目を瞑ると、何やら不思議な呪文を唱え始めました。
    そして……

    「えいっ!!」

    腕を振りかぶったステラが叫ぶと同時に、周囲を眩しい光が包みます。
    堪らず目を閉じたシンが再び目を開けると、そこは慣れ親しんだ自宅の寝室でした。

    「凄ぇ…本当に戻って来れた…!」
    「シン、ステラ頑張ったよ。偉い?」
    「ああ!凄いよステラ!ありがとうな!」

    シンがお礼を言うと、ステラは満足気に微笑みましたが、その直後に小さくあくびをしました。

    「…ごめんシン。ステラ、力使いすぎて疲れちゃった……ちょっとだけ寝てもいい?」
    「え?そりゃ勿論いいけど、ウチベッド一つしかないから俺のベッドで我慢して──」
    「違う、携帯の中に戻るの。また何か困った事があったらその時に呼んでね…それじゃ、おやすみ……」

    そう言うなりステラはたちまち煙へと姿を変え、ピンクの携帯の画面の中へと吸い込まれていきました。

  • 22二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 05:13:29

  • 23二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 06:07:45

    ステラが眠りについた後、シンは古ぼけたランプを手にとってしげしげと眺めました。

    どうやら無意識に手に持っていたらしく、ステラが魔法を使った際にシンと一緒に転送されたようです。


    「それにしても汚いランプだなぁ。あのジブリールって奴はなんだってこんな物を欲しがったんだ?」


    どこをとって見てもただの古ぼけたランプでしかなく、仮に売ったとしても二束三文にもならないでしょう。


    「…せめて磨いたら少しはマシになるか?」


    そう思ったシンはdice1d3=1 (1) (1.タオル 2.金タワシ 3.紙ヤスリ)を用意し、早速磨こうと手に持ったそれでランプの表面を思い切り擦りました。

    するとランプから煙が噴き出し、煙はモクモクと人の形になっていき…やがてdice1d2=2 (2) (1.死んだ妹によく似た少女 2.金髪の美青年)になってシンの目の前に降り立ちました。

  • 24二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 09:05:42

    メゾンドアスカが丁度精霊枠か
    となるとジャスミンはやはり…

  • 25二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 20:29:37

    「またなんか出たぁ!?」

    「なんかとは随分な言い草だな」


    驚くシンを冷ややかに見つめながら青年はそう言います。


    「俺はレイ、このランプに宿る魔神だ。お前の願いを言ってみろ」

    「えぇ…またこのパターン?」


    ステラと比べるといくらか…というかかなり不遜な態度ですが願いを叶えるという点はステラと同じようで、シンは困ったように頭を掻きました。


    「そう言われてもなぁ……願いならついさっきステラに叶えてもらったばっかりだし…」

    「ステラ?……ああ、そう言えば携帯に棲みついてる物好きな精霊が確かそんな名前だったな」


    シンとしては携帯もランプも大差ありませんが、それを言うと面倒な事になりそうな気がしたのでとりあえず胸の内に留めておく事にしました。


    「俺は魔神だからな、叶えられる願いの範囲もそんじょそこらの精霊とは桁違いだ。

    本当に何でもいいんだぞ?一攫千金でも一生衰えない体でもギャルのパンティおくれでも何でもOKだ」

    「最後のやつは今の時代に分かる人は少なくないか…?」

    「そんなわけないだろう、国民的漫画兼アニメだぞ」

  • 26スレ主24/07/08(月) 22:25:02

    (しょっちゅう名前欄にスレ主って入れ忘れる…

    今の所ダイスとお話投下してるのは全部スレ主です)



    「それで、本当に願いはないのか?お前だって人間なら叶えたい事の一つくらいあるだろう」

    「お前じゃなくてシンな。うーん……まあ、強いて挙げるとすれば、死んだ家族に会いたい…とか?」

    「…それは、死んだ人間を生き返らせたいという事か?」

    「それが出来るなら嬉しいけど……出来んの?」


    僅かな期待を込めてシンが尋ねると、レイは気まずそうに視線を逸らしました。


    「…悪いが、その願いは叶えられない」

    「さっきは何でも出来るって言ってただろ?話が違うじゃん」

    「仕方ないだろう。dice1d3=2 (2)


    1.人の生死を自在に操れるのはそれこそ全知全能の神だけなんだ

    2.人を生き返らせるには色々と条件があるんだ

    3.この間BPOから指導が入ったばかりだからな

  • 27 24/07/09(火) 08:45:05

    BPOの選択肢…そう決まったなら何が起きた…?

  • 28スレ主24/07/09(火) 13:07:55

    セルフ保守

    >>27

    3の場合は死んだ人を蘇らせるのは生命倫理的によくないよねってBPOから怒られたから死者蘇生は全面的に禁止すると精霊界で一番偉い神様から通告されたって話をレイがする予定でした。魔法の世界も案外世知辛い。

  • 29二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 13:10:05

    アスカ家の面々は無理だけど、条件次第では人を生き返らせることが出来るって事か

  • 30二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 19:10:57

    ジーニーの願いごとも禁止事項がいろいろとあったからな

  • 312724/07/09(火) 19:11:31

    >>28

    回答ありがとうございます


    あのまま進んでたらBPOが神様より偉くなってたんですね…


    生き返りの条件とそれを聞いた上でシンはどうするのか、固唾を呑んで見守ってます!

  • 32二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 20:50:14

    「条件?」

    「ああ。人を蘇らせる際の条件が俺の場合は2つあって、まず一つは呼び戻した魂を入れるための器…要するに蘇らせたい人物の遺体が必要だ」

    「遺体!?」


    急に黒魔術じみた事を言い出したレイにシンはぎょっとします。恐らく今までの話のノリから、もっとファンタジーなものを想像していたのでしょう。


    「一度死んだ時点で肉体と魂は切り離されてしまっているからな、それを繋ぎ直すためにも体は必要になる。

    そしてもう一つは…死んで1年以内である事。それ以上経っている時点で俺の力では蘇らせる事はできない」

    「……ああ、なるほど。そりゃ無理なわけだ」


    レイの言葉を聞いて、シンは小さく笑います。

    ──シンの家族が死んだのは2年前で、家族の遺体はその時全てシンが自らの手で丁寧に埋葬しました。

    つまり、何をどうやっても家族を生き返らせるのは無理というわけで。


    何一つ条件満たしてないのに叶えろなんて言われたってレイも困るよな、とシンは冷静に納得していたのですが、レイはそんなシンの様子を違う風に受け取ったらしく、ばつが悪そうにしながら付け足します。


    「…一応言っておくが、これでも俺の魔力ありきでかなり制約が緩くなっている方なんだ。他の妖精や精霊だったらこれに加えて更に色々と厳しい条件が──」

    「ああいや、気にしなくていいよ。最初からダメ元で言ってみただけだし、別に怒ったりとかもしてないから」


    まだ何か言いたそうにしているレイにへらりと笑ってみせ、シンは話題を変える事にしました。


    「でもこれとダメとなるといよいよネタ切れなんだよな……もういっそdice1d3=2 (2) (1.物売りの仕事 2.買い物 3.庭の草むしり)の手伝いしてもらうとかでもいいか?」

    「……まあ、それがお前の願いなら」

    「願いってほどでもないけどなー」



    そう、本当にシンは気にしていないのです。

    一度死んだ人達はどれだけ泣こうが喚こうが決して戻って来ないと、シンは家族を失った2年の間で嫌というほどに実感していたのですから。

  • 33二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 22:17:33

    蘇生とは違った話になるかもしれないけど、ミイラや土葬等のように遺体を燃やさず保存するのはよくある話だもんな―

    それはともかく、このシンはメゾン・ド・アスカを持たないっぽいし、境遇が境遇だから前に進める要素が少ねぇ!
    この買い物で身を焦がれるほどの出会いがあればいいなと願望

  • 34二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 23:18:51

    「……俺も一応ランプの魔神としてそれなりに長くやってきているが、買い物を手伝って欲しいなんて願い事をされたのは初めてだ」
    「おい、今になって文句言うのは流石にナシだろ」
    「文句じゃない。ただの感想だ」
    「はいはいそーですか」

    今日食べる分だけの食料を買い、軽口を叩き合いながらシンとレイは家までの道のりを歩いていました。
    貧しい暮らしをする少年の1日分の食料の量なんてたかが知れていて、一応荷物持ちという名目で同行したもののレイが持つその袋は全くと言っていいほどに重みを感じません。

    「…お前が願えば食べきれないくらいの料理を出してやる事だって出来るぞ?」
    「いや、別にこれだけでも俺は足りるし。それに食べきれなかったらもったいないじゃん」

    あっけからんと言ってのけるシンに、レイは呆れを通り越してもはや困惑していました。

    「本当に何なんだお前は…?人間というのは全員何かしら欲望を持っていて、それを叶える為ならなんだってする生き物だろう?」

    醜い欲望に目をギラつかせ、他者の事など顧みず自分の事だけを考えてレイに願いを叶えろと要求して最後は決まって破滅する。それがレイの知る人間という生き物でした。
    しかしシンは、それに一切当てはまらないのです。

    「そりゃあそういう人も当然いるだろうけどさ…一言で人間って言っても世界に何十億人もいるわけだし、全員が全員同じなわけないだろ?
    俺みたいに今のままで十分、って人も探せばいっぱいいると思うぜ」

    シンはそう言ってレイの持っていた袋を引ったくると、照れ臭そうに笑いました。

    「……それにさ、実を言うとこうやって話し相手になってくれてるだけでも結構嬉しいんだよな。家族がいないと、誰とも話さずに1日が終わる事も少なくないし」

  • 35スレ主24/07/09(火) 23:20:27

    (唐突だけどレイの現在の心境。今後の展開に影響あるかも?)

    dice1d3=3 (3)


    1.なるほど、世界にはこういう人間もいるんだな…(脳焼きレベル小)

    2.もしかしてシンってめちゃくちゃいい奴なのでは?(脳焼きレベル中)

    3.俺コイツ好き!!!!(脳焼きレベルMAX)

  • 36二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 23:25:36

    おい!
    なんなの? レイのガワはシン超強火担になる呪いでもあるの??

  • 37二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 06:08:46

    「だから俺としてはレイとステラがいてくれればそれでいいや、みたいな?」

    「……シン、お前は──」


    レイが何かを言いかけたその時です。


    「そこの人ちょっとどいて!」

    「!?」


    突然背後から声が聞こえ、フードを目深に被った人物がレイとシンの間を全速力で通り抜けようとしました。

    レイは間一髪で躱すことが出来ましたが、シンの方は上手くいかなかったようで持っていた買い物袋が走ってきた人物の体に思い切りぶつかってしまいます。


    「あ゛ぁーっ!?」

    「あっ…」


    ぶつかった事で袋の中に入れていた食料が地面に落ちてしまい、シンは悲鳴をあげました。

    ぶつかった本人も動揺しているのかオロオロとシンと地面に落ちた食料を交互に見つめていましたが、背後から近づく足音にハッとすると

    dice1d2=1 (1)


    1.「っちょっと付いてきて!」「は!?」

    シンの手を掴んでその場から駆け出しました。


    2.「ごめん!落としちゃった食べ物は後で絶対弁償するから!」そう言って踵を返して逃げて行ってしまいました。

  • 38二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 06:50:21

    やはりルナマリア相手ではラッキースケベは発動しないか…

  • 39二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 14:56:01

    このレスは削除されています

  • 40二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 21:47:06

    このレスは削除されています

  • 41二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 22:02:34

    シンの願いはもう決まってそうだな

    そしてこのタイミングで来たか…

  • 42スレ主24/07/11(木) 06:05:10

    文章考えてたら寝落ちしてた…
    すみませんが続きはもう少しだけどお待ちいただけると幸いです

  • 43二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 06:05:19

    保守

  • 44スレ主24/07/11(木) 12:39:43

    「シン!?」
    「ちょっ、何なんだよお前!?」
    「悪いけど少しだけ付き合って!今捕まるわけにはいかないのよ!」

    フードを被った人物(どうやら女の子のようです)はそう言って強引にシンの手を引いて走り出しました。流石のレイも驚き、慌てて2人の後を追いかけます。

    少し走った先にあった狭い路地裏に駆け込み、訳も分からず混乱状態のシンとレイの背後に隠れて少女は息を潜めます。そのただならない様子に2人が顔を見合わせていると、程なくして鎧を着た男達が道を駆けていくのが路地の間から見えました。

    「いたか!?」
    「くそっ、撒かれたか…!」
    「なんとしても見つけるぞ!」

    そんな事を言いながら走り去っていく男達をシンはポカンとしながら見送ります。

    「あれって…この国の騎士団だよな?なんでこんな所に…」
    「……ハァ〜〜」

    突然背後から聞こえた大きなため息に驚いてシンが振り向くと、少女がゆっくりと被っていたフードを脱いでいる所でした。

    「とりあえずは撒けたみたいね。ありがとう、助かったわ」
    「…………え゛ぇー!?」

    取り払われたフードから現れた特徴的な色の髪と見覚えのある姿に、シンは悲鳴をあげました。
    なんとその少女は、この国の王の愛娘──ルナマリア姫その人だったのです!

  • 45二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 18:03:57

    式典とかにはよく行ってたのかなシン?顔を見て即座に判別できたシンに驚きを隠せない

    …と思ったけど携帯電話の概念が存在してるから誰にでも判別は可能か

    サイバーな部分も混じったように見える世界の「アラジンと魔法のランプ」に妄想を滾らせてしまった

  • 46二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 18:30:44

    >>45

    >>21

    単に指輪を(シンのキーアイテムである)マユの携帯に置き換えてるだけで、「携帯電話」であることにあんまり意味はないんじゃないかな


    特徴な髪色とあるので記憶に残る目立つ外見なのかも

    物語のお姫様が絶世の美女ってのは鉄板だしね

  • 47スレ主24/07/11(木) 19:56:40

    シンの住んでる家(もともと家族で暮らしていた家)は城下町にあって、大きな式典やお祭りの時は家族で参加していた+ルナマリアの髪色が特徴的で印象に残っていたから気付いた、という脳内設定で書いてました。

    あとこれはシリーズ全体に言える事ですが、時代背景と文明のズレは基本的にガン無視してます。よいこのみんなは深く考えずにノリで楽しんでね!

  • 48二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:09:48

    このレスは削除されています

  • 49二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 21:27:39

    「なっなんだってこんなところにお姫様が──」
    「ちょっ馬鹿!!」
    「モガッ!?」

    大声で叫ぶシンの口を慌ててルナマリアが塞ぎます。
    その力が思いのほか強く一瞬首が回ってはいけない方向に曲がりかけましたが、その事にルナマリアは気づかなかったようで目を吊り上げて怒鳴りました。

    「あんた声が大きいのよ!せっかく撒いたのにまた見つかったらどう責任取るつもり!?」
    「…そんなに神経質にならなくても、さっきの連中はもう向かいの大通りに行っている。近くに人の気配もないし問題はないはずだ」

    だから離してやってくれないか、と言外にレイが告げるとルナマリアは再度周囲を注意深く見渡した後、小さく息を吐いてシンの口を塞いでいた手を離しました。

    「…ごめん。色々あってちょっと気が立ってて……ひとまず事情を説明したいから、どこか人目につかず話せる場所があったら案内してもらえる?」
    「人目につかずに話せる場所……」

    シンは少しの間考え込み、遠慮がちに提案します。

    「えっと…じゃあ、ウチに来る…じゃなくて、来ます?」

  • 50二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 21:32:55

    「お邪魔しまーす…」
    「まあ、狭い家ですけど…」
    「そう?開放感がどうとか言って無駄に広いだけの空間よりよっぽど良いじゃない。私は結構好きよ」
    「は、はぁ…そうっすか…」

    取り敢えず家に着くまでの間ルナマリアには再びフードを被ってもらい、念のため人通りの少ない道を選んでシンは帰宅しました。
    家に入るなりフードを脱いだルナマリアを恐々とリビングに通した後、シンはレイに小声で話しかけます。

    「なあレイ、こういう時ってやっぱりお茶とか出すべき?」
    「曲がりなりにもお前が招いた客人だからな。当然だろう」
    「だよなぁ…。と言ってもウチには鶴瓶の麦茶しかないんだけど…お姫様って麦茶とか飲むかな?こんなもん飲めるかって怒られない?」
    「麦茶出されたぐらいでキレる王族がいてたまるか」

    完全に萎縮しきっているシンを見かねたのか、レイが「茶なら俺が用意するからお前も座っていろ」と言ってどこからともなく現れたティーポットとカップを手に取り、やたらと優雅な手つきで紅茶を淹れるとルナマリアの前にサーブしました。

    「粗茶ですが…」
    「あ、どうもお構いなく」
    「なあレイ、俺の分はないの?」
    「お前には鶴瓶の麦茶があるだろう」
    「ケチ!」

    やいやいと2人が騒いでいる間にルナマリアは紅茶を一口飲み、ようやっと一息つけたという様子で肩の力を抜きました。
    そのタイミングを見計らい、シンは口を開きます。

    「それで、なんだってお姫様がこんな所にいて…いらっしゃって、そのうえ追いかけられてたんだよ…ですか?」
    「無理して敬語使おうとしなくて良いわよ。呼び方もお姫様じゃなくてルナマリア…長いからルナでいいわ」

    シンの拙い言葉遣いに苦笑してそう言うと、ルナマリアは居住まいを正して切り出しました。

    「………私は、奇術師を探しているの」

  • 51二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 22:07:08

    夏だからね…麦茶、美味しいよね…

  • 52二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 22:15:53

    シンとレイ…キレッキレの何気ない漫才で草

  • 53二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 23:24:06

    「奇術師?」

    シンが思わず聞き返すと、ルナマリアはコクリと頷きます。

    「私には妹がいる事は知ってる?」
    「そりゃ式典とかで見た事あるし知ってるけど…確かメイリンだっけ?名前」
    「ええ。知ってるなら話は早いわ
    ……まだ公には伏せているけれど、10日前にメイリンが倒れたの。原因不明の高熱で意識すら戻らないで…今もまだ苦しみながら眠ってる」
    「!?」

    予想だにしていなかった話に、シンは目を見開きました。レイは相変わらずの無表情ですが、奇術師という単語が出た時から視線はずっとルナマリアの方に向いています。

    「本当に突然の事でね…国中の医者を呼んで診てもらったけど、誰一人として治す事はおろか原因すら分からずじまいだったわ。段々と気味悪がる使用人まで出てきて……ついには『妹姫様は病ではなく呪いに掛かっているんじゃないか』なんて噂まで流れるようになったの」

    ぎゅっと、ルナマリアがティーカップを握る手に力が篭ります。

    「──正直、私はこの噂はあながち間違いじゃないと思ってる。だってそうじゃないと説明がつかないもの」

    シンはほぼ反射的にレイの方を見ました。シンの視線に気付いたレイは黙って首を振ります。
    「実際に見てみない事には分からない」という事でしょう。

    「…つまり、お前は妹に掛けられた呪いを解いてもらうために奇術師に会おうと街に下りて来たというわけか」
    「ええ、そうよ」
    「だったら王様に直接頼んで医者みたいに城に呼んで貰えばいいんじゃないのか?」
    「何度もそうしたわよ。でもお父様は魔術の類は一切信じてなくて…噂も所詮噂だってろくに聞き入れてもらえなかった」
    「だからって城を抜け出して自分で探すなんて、そんな無茶な──」
    「無茶でもなんでも他に方法がないんだからしょうがないでしょ!?」

    そう叫んでルナマリアが立ち上がりました。
    その目には涙が浮かんでいて、シンはハッと息を呑みます。

  • 54スレ主24/07/11(木) 23:24:48

    「医者はお手上げ、お父様は取り合ってくれない、だったら私が動くしかないじゃない!今だってあの子は苦しんでるのよ!?このまま何もせず指を咥えていたら、きっとメイリンは…私の妹は死んじゃう!それだけは絶対に嫌なの!!」

    そう言うなり、ルナマリアは声を上げて泣き出してしまいました。ずっと抱えていた不安を口に出した事で耐えられなくなったのでしょう。

    そんなルナマリアを見て、シンはかつての自分を思い出していました。

    妹を失う恐怖に怯えて泣くその姿が、2年前に家族を失って泣きじゃくる事しかできなかった自分にあまりにもそっくりだったから。
    妹を失う辛さを、誰よりもよく知っていたから。

    この時点で、シンの中ではルナマリアを見捨てる選択肢は完全に消え去っていました。


    「…そうだよな。妹が……家族が死んだら、悲しいもんな。失くしたくなんかないよな」

    シンはルナマリアに近付き、その背中を優しく撫でてやります。
    途端にルナマリアの嗚咽は大きくなり、ひしと抱き着いてきたその体をしっかりと受け止めてシンは自身の傍に立つレイを見上げました。

    「──レイ。俺、願い事一個できた。
    ……叶えてくれるか?」

    真っ直ぐに見つめてそう問いかけると、レイは──願いを叶える魔法のランプの魔神は、どこか満足げに微笑んで言いました。

    「お安い御用だ」

  • 55スレ主24/07/12(金) 06:07:33

    そういえば王様役決めてなかったので保守がてらに

    既出キャラの場合は+1

    dice1d31=16 (16)

  • 56二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 10:09:24

    クロト王か…ん?

  • 57スレ主24/07/12(金) 11:37:50

    (キメてない状態のクロトを知らないから上手くエミュできる自信ないけど勘弁してクレメンス)



    数時間後、ルナマリアはシンとレイの二人を連れて城へと帰還していました。


    「ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」


    そう言って頭を下げたルナマリアに、クロト王は「無事だったのは良かったけどよぉ…」と何か言いたげな表情でルナマリアを見ています。


    「いきなりいなくなったと思えばいきなり帰って来て…おまけにその二人は……」

    「町で腕利きと評判の医者です。メイリンを診て貰おうと思って連れて来ました」

    「医者ァ?その不審者がか?」


    クロトは疑念を全面に押し出した顔でシンとレイを見ましたが、それも仕方ありません。

    なぜなら目の前に傅く二人はdice1d2=1 (1) をしていて、素顔が全く見えない状態になっていたのですから。


    1.大きなマスクとサングラス

    2.ブラック・ジャックとドクター・キリコのコスプレ

  • 58二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 12:27:35

    どっちに転んでも100%不審者じゃねーか!(笑)

  • 59二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 21:48:28

    何故そんな怪しい格好を...

  • 60二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 21:53:17

    >>59

    顔バレによる特定を防ぐためかな?

  • 61二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 22:12:47

    「私も出来る限りフォローは入れるけど、万が一身分詐称がバレたら色々と面倒でしょ?」というルナマリアの発言によって素顔を隠す事にしましたが、顔が見えないというのは存外に不安を煽るものです。現にクロトも娘からの紹介と言えど信用しきれないようでジロジロと二人の様子を観察しています。

    (そう言えば弁護士じゃない人が弁護士を名乗るのは犯罪だって前に本で読んだけど、医者はどうだったっけ…?レイは人間じゃないからギリセーフとしても俺は普通にアウトだよな…)

    内心冷や汗を流しながらシンがそんな事を考え込んでいると、クロトは再びルナマリアに問いかけ始めました。

    「前にこの国の医者を一通り呼んだ時はこんな奴らはいなかった筈だが?」
    「この2人は特殊な医師で、あらゆる医者が匙を投げ打つ手なしと診断された患者の前にのみ現れて治療をする伝説的な存在だと町の方達は言っていました」
    「なんだそのゲームの隠しキャラみたいな逸話」
    「ですが実際メイリンの治療が行き詰まった今になって彼らは現れました。これは事実の裏付けになっていると思いませんか?」
    「えぇ…(困惑)」

    堂々とした態度を崩さないルナマリアによくもまあここまで淡々と嘘がつけるものだとレイはある意味で関心しましたが、打ち合わせも何もなしのぶっつけ本番でここまで出来るのはひとえに彼女の頭の回転の速さゆえでしょう。
    しかしクロトも一国の王です。自分の娘とはいえ17歳の少女相手にレスバで負けるのはプライドが許しません。

    「第一、そいつらに任せてメイリンが良くなるという保証はあるのか?」
    「っ、それは…」
    「何百人といる医師が誰1人として原因すら掴めず匙を投げたんだぞ?それをこの二人ならなんとか出来ると言える根拠はなんだ?どうしてお前はそこまでコイツらに肩入れする?」
    「……」

    言い返す言葉がなくなり、ルナマリアは口を閉じてしまいました。
    レスバでの沈黙は敗北と同義です。何か言わなければとルナマリアが頭を働かせ、レイが援護のために口を開こうとしたその時、

    「……あ、あの!」

    シンが声を上げました。

  • 62二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 22:34:11

    コラ画像が完全に不審者で笑ってしまった

  • 63二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 22:42:36

    大きなマスクってそういう…

    ハイ…マスクと聞いて、戦国アストレイの鬼の盾でも被ってんのかと考えてました…

  • 64スレ主24/07/12(金) 23:29:16

    「……なんだ?」
    「えっと…俺達の事が信用できないのも無理ないと思います。自分で言うのもアレだけど、こんな怪しい格好してるし…」

    クロトに視線を向けられ、しどろもどろになりながらもシンは必死に言葉を紡ぎます。

    「でも俺、ルナ……マリア姫から事情を聞いた時、どうしても他人事に思えなくて」

    そう言いながら脳裏に浮かぶのは、幸せだった頃の記憶。
    両親がいて、妹がいて、失ってから大切だったと気付いたかけがえのない日々。

    「自己満足だって言われたら否定出来ないし、実際そうなんだろうなって正直俺も思ってます。
    でも…俺の自己満足でルナが泣かなくて済むようになるなら、俺みたいな思いをする人が一人でも減るなら……例え自己満足だとしても、俺はやりたい」

    サングラスにマスクという側から見ればふざけているとも思われかねない格好で、シンは必死に自分の思いを言語化していきました。
    どうか伝わりますようにと、そう切に願いながら。

    「──と言っても、実際に何かをやるのは隣にいるこいつで、俺自身は何も出来ないしやれる事もないんだけど」
    「…………」

    クロトもルナマリアもレイも、気付けばシンの言葉に聞き入っていました。
    シンはほとんど土下座のように頭を下げてクロトに懇願します。

    「俺に出来る事はなんだってやる!お金だって一銭もいらない!今回だけでいいから、どうか俺達の事を信じてください!」
    「…月並みにはなりますが、俺も彼と同じ気持ちです。事態が好転するよう尽力しますし、報酬も一切請求しないと誓います。ですので何卒ご理解頂けると…」
    「お父様、お願い!私もうこれ以上あの子が苦しむ姿を見たくないの!」

    シンの言葉に後押しされるかのようにレイとルナマリアも続いてクロトに懇願しました。
    クロトはそんな3人を見て暫し黙り込んだ後……ポツリと呟きました。

    「…………本当に、メイリンは元気になるのか?」

  • 65スレ主24/07/12(金) 23:57:26

    「はい。俺達が全力を尽くします」

    レイがキッパリと言い切ると、クロトは長いため息をついてルナマリアに告げます。

    「メイリンの部屋に案内してやれ」
    「! お父様、それって…!」

    ルナマリアが顔を輝かせると、やや気まずそうにふいと顔を逸らして早く行け、とジェスチャーします。
    それにルナマリアは苦笑を返し、シンとレイを連れてメイリンの部屋に行くために謁見の間を後にしました。
    3人が退出し、1人きりになるとクロトは玉座に深々と腰掛けて天井を仰ぎ見ながら再度ため息をこぼします。

    「………僕だって、メイリンに死んでほしくなんかないんだよ…」

    誰にも聞こえないよう小さく呟かれたその言葉は一国の王としてではなく、病床に臥す娘を想う一人の父親としての言葉でした。

  • 66スレ主24/07/13(土) 06:13:15

    「──着いたわ。ここがメイリンの部屋」

    重厚な扉をコンコンとノックして、ルナマリアが部屋の主へ声をかけます。

    「メイリン、入るわよ」

    返事が返って来ない事に悲しそうに目を伏せながら、ルナマリアはゆっくりとドアを開けます。
    シンの家のリビングよりも広いのではと思うほど大きな部屋の中央に置かれた豪華な天蓋付きのベッドに、1人の少女が真っ赤な顔で横たわり眠っているのが見えました。

    「…彼女が?」
    「そう、あの子がメイリン。私の妹」

    妹姫の顔を知らないレイからの質問に落ち着いた様子で答えると、ルナマリアはベッドサイドに置かれた水の張った桶に持って来ていたタオルを浸し、しっかりと絞るとメイリンの額に乗せられていたタオルと取り替えました。
    取り替えたタオルは再度水に浸して絞り、今度はメイリンの顔や首筋に浮かんでいた汗を拭いてやります。

    城を飛び出すまでの10日間ずっと甲斐甲斐しく看病をしていたのでしょう。その動作はひどく手慣れていました。

  • 67二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 17:26:08

  • 68二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 21:18:39

    レイはこの症状をどう診るんだろ?
    そしてどうやって直すんだろ?

  • 69二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 07:51:42

    ハヒフヘ保―!

  • 70スレ主24/07/14(日) 15:26:20

    (保守ありがとうございました。遅くなりましたが再開します)

    「……これでよし、と。それじゃあ、お願い」
    「失礼する」

    レイはそう言うとサングラスとマスクを取ってメイリンの顔を覗き込みました。シンとルナマリアは固唾を飲んでその様子を見守ります。
    その後10秒ほどじっくりと観察してから、レイはゆっくりと顔を離しました。

    「なるほどな…」
    「何か分かったのか?」
    「ああ、これは間違いなく呪いだ。それも相当強力で既に全身に廻りかけている……このままだとあと3日と持たないだろうな」
    「っ!?」

    その言葉を聞いたルナマリアはみるみるうちに顔を青ざめ、縋るようにレイに詰め寄りました。

    「そんな…!どうにかならないの!?」
    「お、おいルナ!落ち着けって!」
    「落ち着けるわけないでしょ!?」

    慌ててシンが宥めるも効果はなく、ルナマリアの目に再び涙が浮かびます。
    しかしレイは表情を変える事なく淡々と言葉を続けました。

    「…人の話は最後まで聞け。俺が言ったのはこのまま放置していればという話で、今から手を打てばそうはならない。
    ──運が良かったな、ルナマリア」
    「え…それって……」

    胸倉を掴んだまま呆けるルナマリアをやんわりと引き剥がしてシンに預けると、レイはシンの目を見て告げます。

    「今からメイリンに掛けられた呪いを解く。間に合うとはいえ、急ぐに越した事がないのも確かだ」

  • 71二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 17:54:55

    待ってましたぁぁぁ!

  • 72スレ主24/07/14(日) 18:28:45

    目を閉じ、集中してメイリンの体に手を翳すレイの様子をシンとルナマリアは少し離れた場所から見つめていました。

    呪いが伝播してしまう可能性もゼロではないからと、離れているようレイに言われたのです。


    「……それにしても、お前の妹は一体何をしでかしたんだ?こんな風にじっくり時間をかけて苦しめてから殺すような呪い、よほど恨みを買っていないと掛けられないぞ」

    「なっ…失礼ね!メイリンが人から恨まれるような事をするわけないでしょ!…………多分」

    「多分!?」

    「何よ文句ある!?そりゃ確かにちょっと好奇心に忠実というか、プライバシーの観念が緩くて軽率に人の秘密を知りたがる所はあるけど、それ以外は本当に良い子なんだから!」

    「良い子かなぁ!?それ本当に良い子って言っていいのかなぁ!?」

    「お前達、少し静かにしていろ。気が散る」

    「「アッハイ…すみません……」」


    レイにピシャリと一喝され、2人は大人しく口を閉じます。

    静かになった空間で、再びレイがメイリンの体に手を翳します。

    ゆっくりと探るように全身に手を翳して動かしていると、dice1d3=1 (1) (1.心臓の位置2.腹部 3.頭部)でピタリと手を止めました。


    「……ここか」

    「な、何かあったの?」

    「呪いが巣食っている部分を見つけた。これさえ分かれば後はもう祓うだけでいい」


    レイがそう言うと同時に、レイの手が淡く光りだしました。シンとルナマリアにはよく分かりませんが、おそらく呪いを解く作業に入ったのでしょう。

  • 73スレ主24/07/14(日) 18:29:10

    「──そういえば、シン」
    「え?」
    「お前はさっき、王に言っていたな。自分は何も出来ないしやれる事もない…と。だがそれは違う」
    「……」

    レイはメイリンから目を離す事なくシンに語りかけます。

    「俺の役目はお前の願いを叶える事だ。裏を返せば、お前が願わなければ誰かのために魔法を使う事もない。今回だって、お前がルナマリアとメイリンを救いたいと思わなければ俺はこうして呪いを解く事はしなかった。シンの優しさが、2人を救ったんだ」
    「レイ……」
    「だから……お前自身が何も出来ない、何もしていないなんて事は絶対にないんだ。そこだけは間違えるな」

    それは、まるで小さな子供に言い聞かせるかのように穏やかな声でした。
    そしてレイが言い終わると同時に、レイの手から発していた光が広がりメイリンの全身を包み込みます。
    その瞬間、メイリンの体から黒い靄のようなものが浮かび上がり、どこかへ飛んでいくのをシンの目は捉えていました。

  • 74二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 18:32:31

    >>72

    パソコンなんて(多分)無い世界だろうにこの子は…w

  • 75二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 18:54:22

    >>74

    携帯がある世界だよ?

    多分パソコンあるでしょ

  • 76二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 19:15:36

    >>74

    >>75

    スレ主が>>47でも言ってるし細かいことは思考を閉ざして何も考えなくていいのだ!

  • 77スレ主24/07/14(日) 20:27:44

    (この世界にはPCもスマホもあります。メイリンの趣味は本編通りハッキングだし、麦茶のパッケージになる鶴瓶師匠もいるよ!)


    やがて光が収まると、ルナマリアは恐る恐るレイに問いかけました。

    「終わった……の?」
    「ああ。瘴気は完全に取り払った。じきに目を覚ますだろう」

    レイがそう言うと、安堵したのかルナマリアの体から一気に力が抜けました。崩れ落ちそうになった体を咄嗟に支えてやりながら、シンはレイに先ほど見えたものを伝えます。

    「なんだ、見えたのか」
    「どこかに飛んで行ってたみたいだけど、大丈夫なのかよ?」

    意外そうに目を丸くするレイに問うと、レイは平然とした表情で「大丈夫だ」と答えました。

    「あれは、ただメイリンの体から取り除いた瘴気を呪術師に送り返しただけだ。多少熨斗も付けたがな」
    「…それって、呪いをかけた奴は……」
    「仮にも呪術師なら死にはしないだろう。人を呪わば穴二つ、呪って良いのは呪われる覚悟のある奴だけだと何処ぞのブリタニア皇帝も言っていたしな。当然の報いだ」
    「ルルーシュそんな事言ってたっけ…?」

    シンとレイがそんな会話をしていると──

  • 78スレ主24/07/14(日) 20:28:12

    「………っ…」
    「!! メイリン!?」

    もぞりと、眠っていたメイリンが体を動かしました。
    それを見たルナマリアは弾かれたようにベッドへ駆け寄り、メイリンの手を握って必死に呼びかけます。

    「メイリン!私よ、ルナマリア!分かる!?」
    「………」

    ルナマリアの呼びかけにメイリンは僅かに瞼を震わせると、固く閉じられていた目をゆっくりと開きました。そして──

    「………ぉ、ねぇ、ちゃん……?」
    「!! ああ、メイリン…!良かった……本当に良かったぁ…!」

    小さく掠れた声で呼ばれ、ルナマリアは声を上げて泣きながら妹の体を力一杯抱きしめます。
    その様子を見て、シンとレイは顔を見合わせて小さく笑い合うのでした。

  • 79二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 20:41:07

    世界観がどうあっても…純粋な愛は尊い…




    ところで…誰が何で呪ってたんだろ?🎲で判明されるのかな?

  • 80スレ主24/07/14(日) 22:08:59

    (メイリンに呪いをかけた人物は名も無きモブです。多分探られたらマズい情報をメイリンにすっぱ抜かれてお縄になって彼女を恨むようになったとかそんな感じだと思います)


    その後、メイリンが目を覚まし無事に回復した事にクロトは大層喜んでシン達にお礼を言いました。
    どうやら今回の件でクロトはシンとレイの事を大層気に入ったらしく、報酬は要求しないと2人が事前に言っていたにも関わらずシンが腰を抜かしてしまいそうな程の金額の謝礼を渡し、さらには是非ルナマリアとメイリンの結婚相手になってほしいと言ってきたのでさあ大変。
    どうにか王様相手に失礼に当たらないよう拒否して、気持ちだけ受け取り謝礼は一切なし、ルナマリア達とは友人として今後も交流を続けると言う形に落ち着きました。

    それから、シンの暮らしは一変します。
    レイとあの後目を覚ましたステラと3人で生活し、時折ルナマリアとメイリンが遊びに来るようになり、シンの周りは以前からは想像出来ないほどに賑やかになりました。
    家族を失って以来ずっと静かにひっそりと暮らしていたシンにとって友人と呼べる存在に囲まれて過ごす毎日は新鮮で幸せで、気づけばシンは数年ぶりに心から笑う事ができるようになっていました。

    そんな幸福に彩られた日々を送るシンでしたが、それを快く思わない人物が1人だけ存在しました。

    「──あのガキめぇ……ッ!」

    そう、ジブリールです。

  • 81スレ主24/07/15(月) 06:19:26

    「あのランプは!本当なら私のものになっていたはずなのに!!」


    地団駄を踏み、ジブリールは忌々しげに歯噛みしました。

    レイの宿るランプが封印されていた場所は、ジブリールのような魔術師が立ち入る事が出来ないよう結界が貼られていました。

    だからこそジブリールは自分の代わりに行かせる事が出来て、なおかつ万が一死んでも大した騒ぎにならなそうな身寄りのない子供──シンを騙してランプを取りに行かせたのです。


    なのにシンはランプを渡さなかったどころか、洞窟に閉じ込めたはずなのに何故か脱出して気難しい事で有名なランプの魔神を懐柔させているではありませんか。

    おまけに、碌に自分の言う事を聞かないので処分するつもりでシンに押し付けた携帯の精霊がシンに対しては素直に言う事を聞いているというのも、ジブリールを余計に苛立たせました。


    「今に見ていろよ…!」


    この屈辱は必ず晴らしてみせる。

    シンに対して完全な逆恨みを抱いたジブリールはそう決意してニヤリと笑いました。


    そして約一月後、ついにジブリールが行動を起こします。

    ジブリールはdice1d3=1 (1)


    1.魔法でルナマリアに化けてシンの前に現れました。

    2.ランプ職人のフリをして城を訪れました。

    3.夜中にシンの家に忍び込みました。

  • 827924/07/15(月) 09:06:41

    >>80 予想と違っていてとても驚いてます!(ジブリールがやったと考えてました)

  • 83二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 09:07:45

    ジブリール・オカマと化してて草

  • 84スレ主24/07/15(月) 12:54:30

    「ハァイ、シン!ご機嫌よう!」
    「んん……なんだよルナ、こんな夜中に…?」

    日付が変わって間もない頃、ルナマリアに化けたジブリールはシンの家へと足を運びました。

    「精霊達は?」
    「レイとステラの事?もう携帯とランプの中に入って寝てるけど…」
    「そう、ならちょうど良かった!」

    ニッコリと笑って、ルナマリア(ジブリール)は続けます。

    「実はね、昨日うちの城に有名なランプ職人が訪ねてきたの。なんでも、どんな古いランプでも新品同然に綺麗にしてくれるんですって!
    だから、折角だしシンのそのランプも綺麗にしてもらったらどうかなって思って」
    「へぇ……でもレイそういうの興味なさそうだしなぁ…ちょっと本人に聞いてみてから──」
    「待って!」

    レイを起こそうと部屋に戻りかけたシンを、ルナマリア(ジブリール)は慌ててその腕に抱きついて引き留めました。

  • 85スレ主24/07/15(月) 12:54:59

    「る、ルナ!?」
    「確認なんて取る必要ないわよ」
    「え?」
    「あいつだって自分のランプが綺麗になったら喜ぶに決まってるわ。それに、どうせならサプライズにした方が面白いでしょ?」
    「いやでも、流石に無断でそういう事するのは……」
    「シン……どうしても駄目…?」

    上目遣いで見上げながら抱きつく力を強め、意図的にシンの腕に胸を押し付けるとシンはみるみるうちに顔を赤くして狼狽え始めます。

    「〜〜今日だけだからな!明日には絶対返して貰うから!」
    「いいの?ありがとうシン!」

    シンは真っ赤な顔でルナマリア(ジブリール)にランプを押し付けると、「それじゃあおやすみ!」とだけ言ってやや乱暴にドアを閉めました。
    ドアが閉まり、シンが寝室に戻る足音が完全に聞こえなくなったのを確認するとルナマリア(ジブリール)はクツクツと笑い出し、ついには腹を抱えて大笑いしました。

    「これだから童貞は扱いやすくて助かる!ついに…ついに手に入れたぞ!」

    今日からは私が貴様の主人だ!
    変装を解いたジブリールはランプを高々と掲げてそう叫びました。

  • 86二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 18:30:04

    保守

  • 87二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 23:11:44

    >>81

    ご主人様の言うこと碌に聞かないってある意味すごいなステラw

  • 88スレ主24/07/15(月) 23:37:32

    (一応力が強い精霊ほど主従契約による縛りも強くなり主人に逆らえなくなるという設定で、ステラは力が弱い分主従契約での縛られ具合も緩いです。逆に言うとレイは…)


    ジブリールは自分の棲家に戻ると、早速ランプを擦ってレイを呼び出しました。

    呼び出されたレイは今自分のいる場所がシンの家ではない事に気付くと、目の前の見知らぬ男を睨みつけて警戒心も露わに口を開きます


    「……誰だお前は」

    「それが主人に対する態度か?」

    「なんだと?」


    レイが片眉を上げると、ジブリールはニヤニヤ笑いながらレイのランプと持ち手を摘んでゆらゆらと揺らします。


    「今し方私がこのランプを擦って貴様を呼び出した。つまり契約が上書きされて貴様の持ち主はあのガキではなく私になったという事だ」

    「!?」

    「姫に化けてちょっとばかし思わせぶりな態度を取ってやれば簡単に騙されて…あの時の狼狽えぶりは傑作だったな。貴様にも見せてやりたかったよ」

    「シン……」


    その時の様子がありありと想像出来てしまい、レイは額を押さえてため息をつきました。

    その様子を笑いながら眺めていたジブリールでしたが、椅子に腰掛け偉そうに足を組むと、改めてレイを見やります。


    「さて……無駄話はここまでにして、そろそろ私の願いを叶えて貰おうか。ランプの魔神?」

    「……………」


    レイが何も答えずジブリールを睨み続けていると、ジブリールの目が一気に冷たいものへと変わりました。


    「……なんだその目は、私に逆らうつもりか?ランプの魔神ともあろう貴様が?」


    冷たい声でそう言うと、ジブリールはdice1d3=2 (2)

    1.グツグツと不気味な液体が煮えたぎる鍋の上にランプを掲げて見せました

    2.何やら怪しい呪文を唱えました。

    3.「そんな奴はこうだ!食らえ!強制言う事聞かせビーム!」

  • 89スレ主24/07/16(火) 06:12:02

    「っぐ…!?」


    ジブリールが呪文を唱えると、レイは途端に苦しみだしました。

    胸を押さえて苦悶の表情を浮かべるレイを見てジブリールはニンマリと笑います。


    「──魔神ともなれば主人に逆らった場合のペナルティも大きいだろう。分かったか?これが主人に楯突くという事だ」


    肩で息をしながら、レイは段々と自分の心が冷めていくのを感じていました。

    シンの側にいる事で忘れかけていましたが、これが本来レイが接してきた人間というものなのです。

    自分の欲望を叶える為ならどんな非道な行為も厭わず、場合によっては願いを叶えてくれるレイの事だって平気で痛めつける。

    その先に待つ破滅に気付きもしないで、目先の快楽に簡単に取り憑かれる弱くて醜い生き物。

    そしてレイの使命は、そんな醜い生き物の願いを叶える事。


    やがてゆっくりと顔を上げたレイは、感情を押し殺した平坦な声で静かにジブリールに問いかけます。


    「──お前の望みはなんだ?」


    レイの言葉にジブリールは満足そうに頷いて言いました。


    「dice1d2=2 (2) !」

    1.王と姫達を城ごと遠い国へ飛ばしてしまえ

    2.私がこの国の王だと城の人間に思い込ませろ

  • 90スレ主24/07/16(火) 11:31:08

    おかしいな、なんかレイがヒロインみたいになってきたぞ…?
    あとこれはシンの不審者クソコラ作った時に一緒に作った不審者レイのイメージ図

  • 91二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 12:19:04

    >>90

    逃走中のハンターに見えてきた

  • 92二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 19:13:00

    ジブリール、クロト王…嫌な予感がしてきたな

  • 93二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 20:59:38

    その日の朝、シンは扉を強く叩く音で目を覚ましました。

    「シン、シン!いるんでしょ!?開けて!」
    「ルナ…?」

    舌の根の乾かぬうちの再訪問に首を傾げながら扉を開けると、すぐさまルナマリアが中に転がり込んで来ました。
    その顔は涙に濡れていて、シンは思わずぎょっとします。

    「ルナ!?お前なんで泣いて──」
    「シン!大変なの!今朝いきなりジブリールとかいう奴が城に乗り込んで来て、城が乗っ取られちゃった!」
    「ジブリールだって!?」

    シンがステラとレイと出会ったきっかけであり、そしてシンを洞窟に閉じ込めて殺そうとした男の名前がルナマリアの口から出て来た事にシンは驚きを隠せません。

    「どういう訳か家臣も使用人達もみんなあの男が王様だと思い込んでて、お父様もメイリンも私を逃してくれたせいで護衛に捕まっちゃって……私もうどうしたらいいのか…!」
    「そんな、メイリンに王様まで……あっ、そうだレイ!レイは無事なのか!?」
    「えっ、レイ?」
    「だってルナ、今日の深夜に俺の家に来てレイのランプを持ってっただろ?城に来たランプ職人にランプを綺麗にして貰うとか言って…」

    シンがそう言うと、ルナマリアは困惑した様子で首を横に振りました。

    「ちょっと…それどういう事?うちにランプ職人なんて来てないし、そもそも私はシンの家にも行ってないわよ?」
    「えっ!?」

    そんな馬鹿なと思いましたが、ルナマリアの目は決して嘘をついているものではなく、なら自分が昨夜見た彼女は一体なんなのか?シンはすっかり混乱してしまっていました。

  • 94二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 22:15:42

    えっじゃあ次、シンはジブリール・オカマに惑わされたことを自覚することになるの?

  • 95二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 22:24:56

    ルナ、メイリン、クロト王が催眠にかかっていないのはレイの手心か?
    城の人間“全員”とまでは言われてませんみたいな

  • 96二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 22:55:23

    シンとルナマリアが互いの主張の食い違いに戸惑っていると、寝室からステラが目を擦りながら出て来ました。どうやら2人の話し声で目が覚めたようです。


    「シン、ルナ、どうしたの…?」

    「ステラ!実は──」


    かつてジブリールの所にいたステラなら何か分かるかもしれないと思い、シンは昨夜からついさっきまでの出来事を事細かに説明しました。

    最初は寝起き故かぼんやりとした顔で聞いていたステラですが、話を聞いていくうちにその表情は段々と険しい物になっていきます。


    「……それ、きっと全部アイツがやったんだと思う。少しだけど、ここにもアイツの魔法の匂いが残ってる」

    「それってつまり……」

    「夜にシンのところに来たルナはアイツが魔法で化けたニセモノ。それでシンを騙してレイのランプを盗んで、契約を上書きしてレイに言う事を聞かせてるの。お城に住む人達をみんな洗脳するなんて大掛かりな魔法、レイくらいじゃないと出来ないはずだから間違いない」

    「じゃあ、レイにお願いして魔法を解いて貰えばみんな元に戻るの!?」


    ルナマリアが身を乗り出して言いましたが、ステラはふるふると首を振ります。


    「たぶん、そんな簡単にはいかないと思う……精霊は強ければ強いほど契約した人間に逆らうとそのぶん罰も重くなるの。そうしないと簡単に人間を殺せちゃうから……ステラは弱いから全然平気だけど、レイはきっとアイツに逆らえない。ステラがヤムチャだとするとレイはdice1d3=1 (1) (1.フリーザ 2.ブロリー 3.ゴジータ)みたいなものだから」

    「そんな…じゃあどうすれば……って、シン?」


    そこで、ルナマリアは先ほどからシンが黙りこくっている事に気が付きました。


    「どうしたの?……やっぱり、レイの事が心配?」

    「え?………ああ、うん。まぁ………」

    「?」


    歯切れの悪い返事にルナマリアは頭にクエスチョンマークを浮かべますが、シンは内心それどころじゃありません。


    (つまり俺は、あのオッサンの上目遣いと胸筋にドキドキさせられてたのかよ……)


    ジブリールの顔を思い出し、シンはちょっと泣きそうになっていました。

  • 97二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 00:47:45

    🎲はいるか?シン

  • 98二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 09:02:01

  • 99二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 19:21:39

    保守がてらに…

    ジブリール・オカマのことでいっぱいいっぱいなところすまないが、助けるのか?

    助けるなら決行はいつだ?シン、明日からか?

  • 100スレ主24/07/17(水) 20:00:28

    気持ちを切り替えるためにシンは咳払いをして、改めてステラを見やります。


    「──なあ、ステラ。契約の上書きっていうのは、ランプを擦ってレイを呼び出すだけでいいのか?」

    「うん。それで上書きは出来るはず」

    「そっか……じゃあ決まりだな」

    「どうするつもり?」

    「決まってるだろ?城に乗り込んで、ジブリールからレイを取り戻すんだ!」


    あまりにも原始的な解決策ではありますが、実際これ以外の方法はないでしょう。それが分かっているため、ルナマリアは真剣な表情でシンに尋ねます。


    「随分簡単に言ってくれるけど、策はあるの?さっき逃げて来たから分かるけど、城の周りは護衛が見張っててそうそう侵入なんて出来ないわよ」

    「それは──これから考える」


    そう言うなり、シンはその場に座り込んで考えを巡らせます。


    ……実のところ、今回の件に関してシンは大きな自責の念を抱えていました。


    レイがジブリールの支配下に置かれてしまったのも。それによって城が乗っ取られて、メイリンとクロトが捕まってしまったのも。そのせいでルナマリアが悲しみ涙を流す事になったのも。


    (それもこれも全部、俺がジブリールに騙されてランプを渡したせいだ……!)


    言い訳を並べる事はいくらでもできます。ですが結局深く考えずにレイの大事なランプを渡してしまったのは紛れもない事実で、そんな事をしてしまった自分自身をどうしても許せなくて。

    ルナマリアとステラに気づかれないようシンが奥歯を強く噛み締めていたその時でした。

    dice1d2=2 (2)


    1.「……まあ、しょうがないわよね。緊急事態だもの」

    2.「大丈夫だよ、シン。ステラに任せて」

  • 101スレ主24/07/17(水) 22:41:25

    (やべ、トンチキルート引いちゃった…)

    「ステラ…?」

    シンが無意識に閉じていた目を開けると、座り込んだ自分と目線を合わせるようにしゃがんだステラがまっすぐな目でこちらを見つめていました。

    「ステラに考えがある。2人とも付いてきて」

    そう言ったステラに連れてこられたのは、シンの家から少し離れた場所にある開けた高台でした。

    「ステラは魔法でシンをお城に連れて行けるけど、そうしたらすぐに疲れちゃってその後動けなくなっちゃうの。シンは知ってるよね?」

    シンは頷きます。確かに以前洞窟からシンを自宅へと移動させた際、ステラはすぐに携帯に戻って眠ってしまいました。

    「動けなくなったら、もしもの時にシンとルナを守れない……それは嫌だから、今回は違うやり方でいく」
    「違うやり方って?」
    「ステラの得意な魔法で、魔力をセツヤクする」

    ステラが目を閉じて深呼吸すると、ステラの体が淡い光を纏いました。
    光の中でステラは段々と姿を変えていき──

    「ステラ自身がガイアになる事だ」

    やがて、黒いMSへと変身していました。

  • 102二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 22:47:35

    あの、スレ主さん…?実際はどっこいどっこいだったのでは?

  • 103二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 22:48:52

    大きな犬とかじゃなくてそのままガイアかい!

  • 104二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 22:57:59

    ト、トンチキルートだ…!

  • 105スレ主24/07/17(水) 23:08:56

    (1のルナマリアの方はルナマリアが城から逃げる時に使った王族にのみ伝えられている門外不出の極秘ルートで城に潜入する比較的真面目な路線でした。シンルナ要素も強めになる予定だったんだけどな…)

    「「えええええええええ!!??」」

    まさかの展開にシンとルナマリアは揃って仰天します。あの儚げな美少女がこんなゴツいMSになるなんて想像すらしていなかったのですから当然と言えば当然です。

    「え、ちょ、ステラ!?それがステラの得意な魔法なの!?」
    「ごめん、私には瞬間移動する魔法よりもそっちの方がよっぽど魔力使いそうな気しかしないんだけど!?」
    『そうでもないよ?意外と低燃費』

    そう言ってステラ(ガイア)は腕を数回曲げてアピールしたかと思うと、胸部分にあるコックピットを開きました。

    『2人とも、ステラに乗って。空なら護衛もいないし真っ直ぐレイのいる所にいけるでしょ?』

    ここでシンとルナマリアはようやくステラの作戦を理解しました。つまり、上空から正面突破するつもりなのです。

    「…いくらなんでも脳筋すぎない?」
    「でも、アレコレ考えるよりも手っ取り早くていいかもな」

    頭を抱えるルナマリアとは対照的にシンは明るく笑ってコックピットに乗り込みました。
    そのままルナマリアに手を伸ばすと、ルナマリアも苦笑しながらその手を取って操縦席に座るシンの横に立って操縦席のシートを掴みます。複座式ではないため少々窮屈でしたが、そこは仕方ありません。
    2人が乗り込んだのをステラが感じ取ったのか、コックピットは自動的に閉じられ、機体のモニターの電源が入ります。

    (待ってろよ、レイ…!)

    操縦桿をしっかりと握りしめて、シンは声を張り上げました。

    「シン・アスカ!ガイア、行きます!」

  • 106二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 00:33:01

    ダイナミックな展開になりそう!

    乗ってるのガイアだけど

  • 107二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 06:42:24

    こういったトンチキ要素もよいこのSEEDおとぎ話の持ち味って感じがして好きだなぁ

  • 108二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 12:25:11

    保守

  • 109二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 12:28:03

    このレスは削除されています

  • 110スレ主24/07/18(木) 12:29:19

    ダイスミスったのでやり直し


    一方その頃ジブリールは、城で贅沢三昧をしていました。


    玉座にふんぞり返って座り、ワインを飲みながら片手にランプを弄んでニヤニヤと笑います。

    レイはというと、ジブリールの願いを叶えるなりさっさとランプの中に戻っていました。

    それがレイにとっての可能な限りでの精一杯の反抗の意だというのはジブリールにも伝わっていましたが、用がある時はまたランプを擦って呼び出せばいいし、そうすれば結局レイは逆らえないのだからと気に留めてもいません。


    「さぁて、次はどんな願いを叶えようか……」


    クツクツと笑いながらジブリールがそう言った次の瞬間……


    ドゴオオオオオオン!!!!


    「ウオアアアアアアア!!??」


    凄まじい轟音とともに巨大な腕が壁を突き破って現れ、ジブリールは悲鳴をあげてひっくり返りました。


    「なっ、ななななな何だ!?」

    「やいジブリールてめえ!よくも騙してくれたな!」


    ポッカリと開いた壁の穴から顔を覗かせた黒いMSのコクピットが開き、中からシンとルナマリアが姿を現します。

    2人はガイアの腕を伝って城の中に降り立ち、ジブリールの手にランプがしっかりと握られているのを目にしたシンは大声で言いました。


    「dice1d2=2 (2)

    1.レイを返せ!!

    2.NTRやんけ〜〜!! 

  • 111二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 12:31:06

    色々ありすぎてシンが錯乱してるぞおいw

  • 112二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 12:32:09

    とことんシンを王道ではなくトンチキな方向に向かわせてるなここのダイス神は

  • 113二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 14:25:33

    大丈夫?このルート、ルナがシンとレイの仲を誤解しない?加えてステラがいるからシンは金髪の可愛い子が好みなのね…って思われない?

  • 114二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 17:45:49

    突き進めトンチキ!
    みたいになって来たのがとても楽しい

  • 115二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 20:55:10

    ダイナミックが…予想を上回る!(大笑い)

  • 116スレ主24/07/18(木) 21:15:00

    「寝てから言え!」
    「いでっ!」

    突如ぶち込まれたNTR展開にシンの脳が破壊されそうになりましたが、ルナマリアのゲンコツと共に繰り出されたツッコミによりどうにか正気を取り戻す事に成功します。

    「……と、とにかくレイを返せよ!そいつは俺の大事な友達なんだ!」
    「友達?ハッ、何をとぼけた事を。コレは所詮願いを叶えるための道具だろう?」
    「違う!レイは道具なんかじゃない、ちゃんと心を持ってる!心を持ってるって事は生きてるって事なんだ!
    なのにそれを身勝手な私利私欲を満たす為に無理矢理従わせるなんて、どう考えたっておかしいだろ!!」

    必死にシンは訴えかけますが、ジブリールは聞く耳を持ちません。

    「ふん、まあ勝手に言っていればいいさ。いくら喚こうがこれが今は私の所有物である事は変わらない……侵入者だ!今すぐにひっ捕えろ!」

    ジブリールがそう叫ぶと、すぐさま護衛の兵士達が駆けつけてきてシンとルナマリアを取り囲みます。
    絶対絶命のピンチかと思われたその瞬間、2人の背後に佇むガイアの目が妖しい光を放ちました。

    『させない。シンとルナはステラが守る!』

    ステラがそう言うと、突然兵士達は何かに怯えるように悲鳴をあげました。
    ある者は武器を放り捨てて逃げ出し、ある者は顔を真っ青にして戦意喪失し、またある者は泡を吹いて倒れ……
    地獄絵図と言っても差し支えないような阿鼻叫喚ぶりに、シンとルナマリアはただポカンとするばかりです。

    「……えっと、ステラ?あの人達に一体何やったの?」
    『大した事はしてない。ただ"ちょっと怖い幻覚"を見せてやっただけ』

    屈強な男達が揃いも揃って怯えるような怖い幻覚とは、一体どんなものなのでしょうか?それを知るのはステラばかりです。気になりますね。

  • 117二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 21:21:21

    本編のアレかはたまたベルリンのデストロイか
    一体どっちを見せたのやら

  • 118二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 21:40:33

    >>117

    真っ二つに斬られた自分自身かも知れんぞ

  • 119スレ主24/07/19(金) 06:12:15

    (ステラが見せた幻覚は一応スレ主的には映画のアレのつもりで書きましたが、皆様のご想像にお任せします)


    ステラの幻覚によって兵士達は一掃され、その場に立っているのはシンとルナマリアとジブリール、そしてステラ(ガイア)のみとなりました。
    どこをどう見ても圧倒的に不利だと分かる状況に、ジブリールは焦りを隠せない様子でランプを取り出します。

    「くそっ!こうなったらランプの魔神を呼んで──」
    「させるかぁ!」
    「ぐふぅ!?」

    そう言ってジブリールはランプを擦ろうとしましたが、すかさずシンがほぼ頭突き同然のタックルをかましてそれを阻止します。

    「ッこれ以上、レイに悪事の片棒担がせんじゃ……ねええええぇっ!!」

    怒りを原動力に、シンは不意打ちのタックルによろめいたジブリールの腕を掴むとそのまま背負い投げの要領で思い切り投げ飛ばしました。

    「ぐえっ!?」

    投げ飛ばされたジブリールは壁に激突し、その拍子に手からランプが滑り落ちます。それをルナマリアま見逃しませんでした。
    すぐさま駆け出してジブリールの元まで行くと彼が落としたランプを拾い上げ、そしてシンのいる方へと放り投げました。

    「シン!!」

    ランプは綺麗な放物線を描き、まるで吸い込まれるかのようにシンの手へと収まります。
    ランプが手中に収まると、シンは頭で考えるよりも先に服の袖で素早くランプを擦りました。
    するとたちまちランプから煙が吹き出し、その煙は段々と人の形を帯びていき、やがて……

    「──全く、来るのが遅いぞ」

    腕を組み、呆れ顔をしたレイがそう言ってシンを見下ろしていました。

  • 120二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 12:16:35

    そういや>>110のセリフ、ランプの中だと聞こえないのかな?

  • 121スレ主24/07/19(金) 12:27:45

    ジブリールとの戦い本当はもうちょい長引かせるつもりだったけど、書いてるうちにブタのヒヅメ大作戦のトイレ攻防戦みたいな事になって収集がつかなくなったのでシンに悪質タックルさせて強制終了させました。メンゴ


    >>120

    バッチリ聞こえてますね。盗まれた時は寝てたから気付けなかったけど、基本的にステラもレイも媒介にしてるアイテムとは感覚共有してるので。

    なのでルナマリアにぶん投げられた時は内心マジかお前って思ってたし、シンのレイは道具じゃない云々の一連の言葉でただでさえ焼かれていた脳が消し炭になってる状態です。

  • 122二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 13:23:35

    グッバイジブリール
    でも猫ちゃんに罪はないから、シンかルナが引き取ってくれないかなぁ

  • 123スレ主24/07/19(金) 21:28:33

    「レイ!」


    レイの姿を見たシンはパッと表情を明るくしましたが、すぐさま思い直すように視線を逸らしてしまいます。


    「…えっと、ごめん。俺……」

    「気にするな、俺は気にしてない」

    「でも…!」


    平然としているレイにシンがなお言い募ろうとしたその時、ジブリールの悲鳴が響き渡ります。

    2人が何事かと声のした方へ顔を向けると、ルナマリアがジブリールにdice1d3=1 (1) (1.キャメルクラッチ 2.逆エビ固め 3.チョークスリーパー)を決めて締め上げていました。


    「逃げようとしてんじゃないわよ卑怯者!」


    どうやらジブリールが隙を見て逃亡しようとしていた事に気付いて技を仕掛けたようです。あの華奢な身体の一体どこからそんな力が出ているのかと、シンはルナマリアの事が少しだけ恐ろしくなりました。

  • 124スレ主24/07/19(金) 21:29:03

    「よくも私の家族を危険に晒してくれたわね!国家反逆罪で極刑にしてやるから覚悟なさい!」


    今まで表に出していなかったもののルナマリアはジブリールに相当な怒りを抱いていたようで、その表情は激しい怒りに染まっています。

    家族を大切に想っているルナマリアにとって父と妹に危害を加えられるのは何よりも許せない行為なので、当然と言えば当然です。


    しかしジブリールもまた、自身の生への執着は相当なものでした。


    「なんのこれしき!」

    「きゃあっ!?」


    なんとジブリールは魔法で自分の姿を小さなネズミに変え、ルナマリアの拘束から抜け出したのです。

    己の脇腹の部分をすり抜け、部屋の出口まで一目散に駆けていくネズミをルナマリアはキッと睨みつけます。


    「このっ──!」


    すぐさま追いかけようとしたルナマリアでしたが、dice1d2=1 (1)


    1.「よせ、ルナマリア」とレイが言葉で彼女を制止しました。

    2.「逃げるのは、やめなさい!」とステラがその巨大な腕を振り上げ、掌でジブリールを叩き潰そうとする方が先でした。

  • 125二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 07:19:10

    保守

  • 12612024/07/20(土) 10:23:52

    >>121

    返信が遅くなってすみません

    回答ありがとうございます

  • 127スレ主24/07/20(土) 13:31:37

    「レイ!?」
    「放っておけ。あんな奴に構うだけ時間の無駄だ」
    「見逃せって言うの!?冗談じゃないわ!アンタだってアイツにいいように利用されたのになんで怒らないのよ!」

    一貫して平然とした態度を崩さないレイにルナマリアが食ってかかりますが、レイはジブリールが去った方向を見つめたまま口を開きました。

    「一つ、いい事を教えてやろう」
    「へ?」
    「今まで俺を手にした奴らは、全員同じような最期を迎えている。
    一度大きな欲望を叶えると、その後も大小問わず様々な欲が際限なく湧いて、それに溺れて、次第に押し潰されて……そして最後は自身の欲望そのものによって破滅するんだ」
    「…っ」

    そう遠くないうちに、ジブリールもかつてのレイの持ち主達と同じ末路を辿ると、レイはそう確信していました。

    「どうせ結末は同じなら、わざわざお前が引導を渡す必要もない。あんな奴の事よりも、自分の家族の方を気にかけてやれ」
    「! そうだ、2人は!?お父様とメイリンはどうなったの!?それに城のみんなも…!」
    「シンが契約を上書きしてすぐに城の人間の洗脳は全員解いた。地下牢に入れられていた国王とメイリンも、正気に戻った使用人達に解放されている頃だろう」
    「……よ、良かったぁ…!」

    レイの言葉を聞いたルナマリアは心底安堵した表情で呟き、すぐさま踵を返すと「2人のところに行ってくる!」とだけ言い残して部屋を出ていきました。

    「あっ、待ってルナ!ステラも一緒に行く!」

    変身を解除してガイアから元の少女の姿に戻ったステラがパタパタとルナマリアの後を追いかけて行きます。ガイアの姿は意外と低燃費という話は本当だったようで、その顔に疲労の色は見えません。
    それを見て自分も行くべきかとシンが足を動かそうとしたその瞬間、レイに名前を呼ばれて引き留められました。

  • 128スレ主24/07/20(土) 15:14:09

    「シン、少し良いか?」

    「良いけど…なんだよ?」

    「一応、俺とお前はさっき改めて契約を結び直した事になる」

    「それが?」

    「だから、あくまで形式上だが聞かせてもらうぞ。

    シン、お前の願いはなんだ?」


    シンを真っ直ぐ見つめて問いかけるレイに、シンは目を丸くした後にふっと微笑んで言いました。

    dice1d2=1 (1)


    1.「願いなんてないよ。ただ友達としてそばに居てくれたら、それだけで十分だ」

    「……そうか」

    そう言ったレイは、どこか嬉しそうに笑っていました。


    2.「……とりあえず、この壁に開いた穴を直して貰えるとありがたいなって…」

    「あー…」

    シンの目線の先には、ガイアによって無残に壊された城の壁がありました。

  • 129二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 15:15:42

    あ゛ーこれは脳焼かれますわーあちあちですわー

  • 130スレ主24/07/20(土) 15:21:53

    こうして激動の1日は幕を閉じ、その後シンはレイとステラ、そして妻となったルナマリアと共に、いつまでも末永く、幸せに暮らしましたとさ。
    めでたしめでたし。


    …………最初の方に振ったレイの好感度ダイスほとんど活かせてなくない?」

  • 131二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 15:28:03

    おつです
    ま、まぁ、ジブリールに拒否感あったし……

  • 132二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 15:33:23

    シレッとシンルナ成立してる…
    シンの身の上+愉快な同居人ごとルナなら受け入れてくれるもんね。でも、お姫様としての立場はどうなったんだろ?

  • 133スレ主24/07/20(土) 15:46:58

    お付き合い頂きありがとうございます!
    シンルナ成立は最初から決めてたのでそうなりましたが、話の進行的にレイとの友情メインっぽくなってたから唐突感あったなと我ながら反省してます。

    シンが婿入りして逆玉になったのかルナマリアが王位捨ててシンの家庭に入ったのかはあえてぼかしました。まあ2人ならどっちでも上手くやっていけるんじゃないかなと。
    あとジブリールの猫ちゃんはあの騒動後お城に住み着いて使用人達のアイドルになってます。おやつとかいっぱい貰ってまんまる猫ちゃんになってる。

    ここまで来たらキラとラクスメインでも何か書きたいけど、何がいいかな…

  • 134二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 20:25:49

    完結乙です。シンルナ+レイ+ステラ幸せになってよかった。

    パッと思い浮かんだのは「幸福な王子」だけど、「白雪姫」とか「ねむり姫」みたいな王道でもいいかも……

  • 135二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 20:46:36

    完結お疲れ様です!
    水星の方把握してないのでダブってたら申し訳ないんですが眠れる森の美女良いなぁって…思ったけどこれだとラクスの出番がほぼないかなぁ

    毎回最後のミーアのツッコミが地味に好きです

  • 136二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 21:03:59

    美女と野獣はどうだろう? やってたかな?

  • 137スレ主24/07/20(土) 21:17:48

    美女と野獣や眠り姫はまだやってないですね〜
    他にもこんなのどうかな?みたいな案があったらレスして頂けるとありがたいです。今後の参考にしたいので(スレ主がハピエン厨なのでハピエン確定&原作破壊が大前提なので、そこだけはご容赦ください)

    ついでにちょっとした補足ですが、シンの家族は恐らく不慮の事故、もしくは風土病により全員死んでしまったという設定です。原作と違って明確に恨む対象が存在しないせいで怒りをぶつかる場所がなくて、ただ家族を失った悲しみと喪失感、虚しさを抱えて2年間ひっそりと生きてきた影響で極端に物欲の少ない少年になった、という裏事情があります。すまねえシン…私がダイスで家族全滅を引いてしまったばかりに…

    あとジブリールは全体を通して(ルナに化けてる時も)ステラのレイの名前を呼ばないように意識して書いてました。あくまでジブリールにとって2人は願いを叶える為の道具という認識なので。

  • 138二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 21:45:30

    >>133 >>137


    スレ主さんお疲れ様でした。


    今度のテーマは、むかし話の”桃太郎“を

    書いてみてはどうでしょうか?


    例えば、本編の配役はこんな感じで、


    ・桃太郎役はキラやアスランたちの誰か


    ・お爺さん、お婆さん役は

     ラクスやヤマト夫妻など


    ・お供役はシンやマリュー達


    ・鬼役はファウンデーション組やクルーゼ、

     新旧三馬鹿などの本編の悪役たち


     が似合っているかと思います。


    ・そして、少しトンチキ感を出すために、

     マイフリやムラサメなどのモビルスーツを

     出したら多分お話が面白くなると思います。


    次の話が出来るのを楽しみに待っています!

    スレ主さん、これからも頑張ってください!

  • 139二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 21:48:24

    完結お疲れ様です。NTRとガイアで笑いました。
    白鳥の湖はどうでしょう?
    確か悲恋オチとハピエンオチどっちもあったはず

  • 140二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 09:44:51

    一応保守

  • 141二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 21:02:19

    保守

オススメ

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