- 1二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 22:08:51
- 2二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 22:11:45
- 3二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 22:13:39
立て乙
- 4二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 22:14:05
立て乙です
- 5二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 22:16:01
たて乙です
- 6二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 22:33:43
- 7二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 22:34:42
続きはまた明日の夜くらいに上げます
- 8二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 22:35:09
10まで埋め
- 9二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 22:35:23
梅
- 10二次元好きの匿名さん24/07/06(土) 22:35:38
埋め
- 11二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 00:07:31
蟠桃の間の秘密やいかに
- 12二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 01:03:41
楽しみすぎる
- 13二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 01:18:17
このレスは削除されています
- 14二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 03:39:52
OK!楽しみ~
- 15二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 08:36:14
わお、ちょっと目を離した先に新スレ立ってた
- 16二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 09:15:13
お陰様で4スレ目です、ありがとうございます
- 17二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 09:29:19
保守のついでに、今までのSSは分かんないことが多かったり降って湧いた物がほとんどでしたが、旅館編は明確なモチーフがあります。
- 18二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 09:31:58
さて……どうなることやら
- 19二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 11:20:52
保守です
- 20二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 15:06:31
美術館の絵と同じく、天女の屏風も「崇高」か……
- 21二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 18:06:10
(7日目、業務前)
「いいから入れなさいよおおおおおおおおおおお!!!!」
甲高い絶叫を聞いて目が覚めた。時刻は14時、仮眠に入ったばかりなのに……。寝巻きの浴衣のまま私の部屋を出て、声のする方へ様子を見に行くことにした。ロビーだな、クレーマーでもきたのだろうか?
そうしてロビーに顔を出すと、獣人(白鳥)の老婆が何人かの従業員に取り押さえられてもがいていた。私は状況を確認するため、近くにいた他の従業員に話しかける。
「何があったんだ?」
「ああ、あの人?蟠桃の間に泊まりたいんだって。でもほら、あそこ鳥類禁止でしょ?だから予約取れなくて……」
「直接乗り込んできた……と言うことか」
「離せっ!!離せ!!天女に会わせなさいよっ!!」
一通り状況を聞き出していると、老婆がさらに激しく暴れ始めた。
「私は知ってるのよ!天女が若返らせてくれるんでしょ!?私も若返りたいのよ!お金ならいくらでもあるって言ってるじゃないの!!」
「何?若返り?」
「あー、それねぇ」
「ただの噂ですわ」
私の疑問に従業員が答えようとすると、後ろから冷たくよく通る女将の声が割り込んできた。柔らかだが威厳のある、旅館を背負う者の気品を感じさせる立ち振る舞いを常に見せている女将。だが今の彼女は冷酷な視線で老婆を見下している。ロビーにやって来た彼女のそれに威圧されて私を含めた周囲の人間が押し黙る。老婆もいくらか落ち着いたようだ、しかし代わりに血走った目で女将を凝視し始めた。 - 22二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 18:06:54
「初めまして、トリニティ鳥人歌劇団の元大女優様とお見受けしますわ」
「『元』じゃない!私は今も大女優なのよ!!そうよ今も私がトップなのよ……!なのにあの糞オーナー、若いだけの女ばかり主役にして、私にはあてがう役すらない?もう隠居しろ?冗談じゃないわ!!私はまだ女優なのよ!まだやれるのよ!」
「それで噂を頼りにわざわざこちらへ?まぁ光栄なことですわ〜足腰も重いでしょうに。山奥は暑くて化粧も崩れたんじゃありません?」
「お黙り!!こんなっ、化粧なんて!若返れば要らなくなる!私はミス・トリニティにも選ばれたのよ!?この翼も、あの頃に戻れば艶が戻ってくるはず……!蟠桃の天女に会えれば……!」
老婆がプルプルと震え、涙を流し始める。散った羽根が彼女の周りに粉雪……ではなく埃のように積もっている。女将は溜め息を1つ吐き、羽根を扇のように広げて自分の口元を隠した。
「どこでどんな噂話をお聞きになられたのかは知りませんけど、若返りなどただの噂話ですし、あの屏風の前は鳥類厳禁。貴女は入れませんのよ。恨むなら翼ある身で産まれたことを恨んで下さいな」
「どうしてよ!?鳥なのが何でいけないのよ!?あんただって鳥でしょ!?なら入ってるんじゃないの!?あんたと金持ちで独占しようっていうの!?」
「私はあの部屋には入りませんわ、若作りが得意なんですの。さ、もうすぐお迎えが来はりますから、大人しくお待ち下さい。元大女優様」
「うっ、うわあああああああああああああああ!!!!!!」
「……バイトちゃん、悪いんやけどあの子達に変わって取り押さえたって下さる?仕事はまだあるから、あの子達働かさんと大変なんよ」
「……ああ、了解した」
私は従業員達に代わって、絶叫する老婆を取り押さえる。ロビーに集まった従業員達は女将の一声で持ち場に戻り、何事もなかったかのように仕事を再開した。しばらくするとお迎え……ヴァルキューレがやって来て老婆を確保し去って行った。 - 23二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 18:08:02
「________ごめんなさいねぇ、起こしちゃって。でも助かったわぁ、やっぱり腕の立つ子がおると何かと便利ね」
一仕事を終えた後、女将は私に駆け寄って浴衣に付いた羽根や汚れなどを軽く払ってくれた。その時にはいつもの柔らかな笑顔の女将に戻っていて、さっきの冷たい表情と違い過ぎて薄ら寒くなる。
「問題ない。……女将、あの客が言っていた若返りとはどう言うことだ?」
「なぁにバイトちゃん?そんなピチピチやのに若返りたいん?まあそうねぇ、あくまで噂なんやけど……とある旅館のVIPルームにはお客様を若返らせてくれる天女様が描かれた屏風があるらしいんよ。そこにはお金持ちさん達が通っとって、若返って永遠に生き続けとるって、自分達以外には知られへんようしてるって、そんな噂があるんよねぇ」
「……それが蟠桃の間の?」
「フフッ、お客様を選ぶくらい別にええでしょ?さっきの大女優様みたいな人より、いつも来て下さってるお客様の方がバイトちゃんもよくない?」
女将は口元だけ笑顔を作り、伸ばした人差し指を唇に当てた。……私が知る限り、蟠桃の間に宿泊したのは皆大企業の重役や有力な政治家だ。そして皆その肩書きにしては酷く若く見えた。おそらく、噂は本当なのだろう。あの恐ろしい屏風には……蟠桃の天女には人を若返らせる力がある。そして旅館と客のVIP達はそれを隠している。
隠している理由は、旅館としては先ほどの老婆のような者が来るのを嫌がってるのだろう。客の質を維持するために、噂は噂だと否定している。VIP達は、自分の脅威になる存在が若返るのが嫌だとか、単純な優越感など、色々理由があるのだろうな。まいったな、ただの給料がすごくいい仲居の仕事だと思っていたのに、とんでもないことに巻き込まれたのかも知れない。 - 24二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 18:08:41
「……何となく察した。仮眠に戻る」
「ええ子ね、バイトちゃん。さっき働いてくれた分は後でお小遣いくれたげるから、期待しててね」
この手のことに余計な詮索は碌なことにならない。嗅ぎ回らないと心に決め、私はロビーを後にした。部屋に戻り、布団に入り直す。
……待てよ、理由がそれだけなら、なぜあの老婆は宿泊ができないんだ?たとえ金があっても、元大女優であっても、鳥類ならダメと言うことか?そもそも、ずっと疑問だが、なぜ鳥類はダメなのだろう?
(……待て待て待てやめろやめろ、嗅ぎ回らないと決めたばかりじゃないか)
何も考えないように、思考が無になるようにと枕に頭を擦り付ける。その日の寝入りは酷く悪かった。 - 25二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 18:09:01
一旦ここまで
- 26二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 18:18:34
知らない方が幸せな事を結構見てきたからね~
- 27二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 19:30:01
前スレの蟠桃に不老不死の伝説があるっていうのあたってたな
- 28二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 22:11:33
フォントのせいなんだろうけど、蟠桃の蟠が下側めっちゃ凹んで見えて草
- 29二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 22:24:57
このレスは削除されています
- 30二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 22:56:53
- 31二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 01:26:56
ほ
- 32二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 01:33:31
このレスは削除されています
- 33二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 08:36:44
このレスは削除されています
- 34二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 09:26:35
女将さん何か知ってそうだな…
- 35二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 09:29:51
女将からただようSIRENの八尾比沙子感
- 36二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 19:21:59
ぐえー、続きが待ち遠しいですたい!!
毎度毎度よくこんな雰囲気の引き出しがあるなぁと驚きますわ - 37二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 19:42:36
今追いつきました(n回目)やっぱこんな暑い日には怪談だなあ
- 38二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 21:01:42
- 39二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 21:08:01
蟠桃といえば孫悟空とか楊貴妃みたいなイメージあったけど鳥……わからん!(思考放棄)
- 40二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 21:09:55
- 41二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 22:55:07
- 42二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 23:16:17
ペロロ様がパック詰めされてる……一番くじの景品にされてる……w
- 43二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 04:21:30
ラストワン賞の動く!ペロロジラぬいぐるみってこんな感じだろうなぁ
- 44二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 09:33:22
(8日目、業務中)
仕事にも青い着物にも慣れてきた錠前サオリだ。今は女将と共にロビーで、今日の宿泊客を待っている。なんでもこの旅館の1番のお得意様らしい。
しばらくすると黒塗りの高級車がやって来て、SPと共に件のお得意様が顔を出した。制服にヘイロー、生徒だ。……待て、アイツは確か、
「久しぶり女将、元気してた?」
「ええお陰様で。ようこそおいで下さいましたわ、生徒会長さん」
「えへへ、女将と天女に会いたくて来ちゃった。ここは私達の自治区の誇りだからね、西の楽園だよ!」
「まあ、そう言っていただけて光栄ですわぁ!」
この自治区の生徒会長……!なるほど確かに1番のお得意様だ。私と女将は恭しく礼をし、生徒会長を出迎えた。どうやらSPと高級車がついて来るのはここまでのようで、生徒会長が旅館に入るとすぐに走り去って行った。
「あら?女将、この方は新人さん?」
「ええ、新しく雇ったバイトちゃんですわ」
「ふ〜ん、うちの生徒じゃないよね?外から来たの?」
「ああ、そうだ。よろしく頼む」
「………………ふ〜ん」
生徒会長は私に荷物を預けるとぐいっと顔を近づけ、私の顔から足までを舐めるように見回した。
「……ああ、なんだか手配書で見たことがあるようなきがしてつい。失礼だよね、ごめんね!」
「あ、ああ……」
女将に「うちのバイトちゃんが指名手配犯なわけないじゃいですか!」とプリプリ怒られて平謝りする生徒会長に、私は引き攣った作り笑いを返す。指名手配中の身としては、バレた気がして肝が冷えた。だが大丈夫そうで何より。
そこからはいつも通りだ。女将と共に生徒会長を蟠桃の間へ案内し、荷物を受け渡して、私は襖の前で警備を始める。今日で8日目、8人目の客だが、今のところ警備で問題が起きたことはない。隙間なく設置された各種設備のおかげで鳥はすぐに追い払われ、人間の侵入者はそもそも姿も見たことがない。いやいたら困るのだが。 - 45二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 09:34:08
基本的にここで突っ立ってタブレット端末を見て、たまにルームサービスを届けるだけの仕事と化している。楽かと聞かれたら、肉体的には楽な仕事だ。だが精神的には……。
「蟠桃の天女……」
あの屏風を思い出し、身震いする。入るだけで重苦しいプレッシャーが襲いかかるあの部屋で、普通に一晩過ごしている客達の気が知れない。初日の後も何度か蟠桃の間に入ったが、その度に客は蟠桃の天女をじっと見ていて、それ以外の行動は……強いて言えばルームサービスで持って来たものを飲み食いするくらいか。ずっと襖の前に立っているから部屋の中の様子もなんとなく分かるのだが、恐らく本当に屏風の前から動いてないのだろう。
『……とある旅館のVIPルームにはお客様を若返らせてくれる天女様が描かれた屏風があるらしいんよ。そこにはお金持ちさん達が通っとって、若返って永遠に生き続けとるって、自分達以外には知られへんようしてるって、そんな噂があるんよねぇ』
女将が語った『噂話』を思い出す。蟠桃の天女がその屏風なのだろう。客達は皆見た目が若かったが、女将の会話を盗み聞きする限り高齢に思えた。とすると彼らは若返りを得るために、屏風の前でじっと祈りでも捧げているのだろうか?ある種の儀式をしているのかも知れないな。知らないが。 - 46二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 09:34:46
まあ、いつまでも若々しく元気に仕事をするのはいいことだ。組織の後続が育たなくなるかも知れない懸念はあるが、それを追求する義理は私にはない。
……待て、今日の客は……生徒会長は生徒なんだからまだ若いはず、何なら子供だ。何で蟠桃の間に?もしかして生徒会長は……?
「……いや、まさかな」
思い立った恐ろしい可能性を、頭を振って払い除ける。あの屏風は芸術的価値もあると聞く。見物に来ただけだろう。自分の自治区にあるVIP御用達旅館の視察をしに来ただけかも知れない。きっとそうだ。
さて、このことも考えるのは終わりだ。業務に集中しよう。そう思って私はタブレット端末に意識を集中させた。
________そして1時間後。
「……ん?何だこの鳥?」
監視カメラが鳥を見つけた。青いのアヒル……いや、鴨か?旅館付近の川の岸に立ち、カメラをじっと見つめてる。暗闇の中映るそれは不気味だが、不思議と神々しさを感じる。それに羽毛が青の鳥なんてこの辺りにはいないはずだ。どこから来たのだろう?
(……あれ?私はどうしてコイツが青い羽毛だと分かったんだ?今は夜だから暗い、カメラの映像はほぼ白黒で色の判別なんてできないはずなのに………?)
疑問が湧いた瞬間、青い鳥は飛び去った。全自動鳥類用スピーカーが作動したらしい。不思議だが、まあいい。監視に戻るか。
「________天女に会えれば……!!」 - 47二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 09:35:24
- 48二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 09:36:09
「っ!?」
突然の声に血の気が引く。顔を向けると、そこには見覚えのあるボロボロの翼……昨日の老婆!?
「ど、どこから入った!?」
「若返れば……私はまだ!!」
叫ぶ老婆の姿は昨日よりも悲惨になっていた。全身の羽根は抜け過ぎて薄く、あちこち禿げている。山の中をかき分けて来たのだろう、全体的に煤けて汚れて、草や土まみれで、なんなら変な匂いまでする。なのに目だけはギラギラと輝いてこちらを、いや私の後ろの蟠桃の間を凝視している。目的は恐らく……、昨日の老婆の発言を思い出す。
『この翼も、あの頃に戻れば艶が戻ってくるはず……!蟠桃の天女に会えれば……!』
「________そうまでするなんて、熱心な客だな。……動くな!!」
どこからどうやって侵入したか、それは後でゆっくり聞くとしよう。今はとりあえず制圧だ。私はタブレット端末を手早く操作し、女将に侵入者の出現を知らせる。そしてアサルトライフルを構えた。だが老婆はブツブツと何か呟きながらこちらに歩み寄ってくる。 - 49二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 09:36:50
「チッ、忠告はしたぞ……!」
鬼気迫ってるとは言えお婆さんだ。発砲は気が引けるが、自分に言い聞かせるようにそう呟いて、私は引き金を引いた。
(発砲音)
1発を肩に、2発を胴体に命中させる。相当痛いはずだが、大きくのけぞるだけで歩みを止めない。アドレナリンが出て、痛みも忘れて踏ん張ってるのか。
これで倒れてくれたら楽だったのだが、仕方ない。私自ら組み付いて拘束しよう。適当に縛って外にでも出せば________、
(発砲音)
「きえええええええええええ!!」
老婆の後ろから発砲音。命中したようで、老婆は絶叫して倒れる。するとアサルトライフルを構えた女将が駆け寄って来た。彼女が発砲したようだな。
「バイトちゃん、怪我はない!?」
「ああ、援護に感謝する」
「ええんよ。生徒会長さんから銃を貰っててよかったわ」
「そうか、後で礼を言わないとな」
女将がすぐに駆けつけてくれたおかげで迅速に対応できた。私は軽く頭を下げた後、老婆に近寄った。懐からロープを取り出し、拘束を試みる。
「……ん?」
ふと老婆の背中の、女将の弾丸につけられた傷が目に映る。私のアサルトライフルの弾丸でも青あざができる程度の傷だったのに、この傷は出血していた。それも酷い量の……。
「おい、まさか……!」
私はロープを捨て、すぐに老婆の背中を直接見た。軽く血を拭い、傷の全貌を明らかにした。……間違いない、これは、この弾丸は! - 50二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 09:37:29
「お、騒がしいと思ったら侵入者がいたんだね」
振り返ると、生徒会長が襖を開けてこちらを覗き込んでいた。
「生徒会長、女将にアサルトライフルをあげたのはお前だそうだな?……弾薬もか?」
「ええ、弾丸もあげたけど、それが?」
「……これはキヴォトス全域で禁止されてる特殊な弾薬、こんなものをどうして女将に渡した!?」
私はそう叫びながらハンカチを取り出し、老婆の傷口を塞いだ。なおも吹き出す血が私の手のひらを温める。弾薬の特性によるものだ、回復しにくいように傷口を抉り、出血を促す設計がなされている。いわゆるホローポイント弾の上位互換のようなもの、傷が残る程度のアレとは違い、これは人を殺せるのだ。
「こらバイトちゃん、生徒会長さんがくれたもんなんやから、こんなもんって言っちゃダメよ」
「……女将、分かってて撃ったのか?」
「え?ああ、まあね。蟠桃の間に鳥類を入れるわけには行かへんやろ?だからこう言う時のために貰ってたんよ。まあ使う羽目になったのは初めてやけどねぇ」
いつもの口調で、私に仕事やご飯の献立を教えてくれる時の優しい声色で女将は説明してくれた。女将はいそいそと私に近づき、隣にかがんで私の顔を覗いてくる。
「ま、ここで死なれて旅館が事故物件なってもうたら困るから、救急車呼んどくわね」
「私も根回ししておくね、あの弾薬を使ったことはバレないはずだよ」
「助かるわぁ。あ、バイトちゃんもこれ守秘義務やから、バラさんといてね」
女将と生徒会長は何事もなかったように話を進めている。そこには人殺しへの忌避感がまるでない。開き直っているように見えた。 - 51二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 09:38:05
「……どうして」
「ん?なぁにバイトちゃん?」
「……どうしてそこまでして鳥類を蟠桃の間に入れないんだ?こんなことをしてまで……」
無意識にそう聞いていた。昨日、嗅ぎ回らないと決めたことなど頭からは吹き飛んでいた。ずっと疑問に思っていたこと、『蟠桃の間には絶対に鳥類を入れないこと』という注意事項。変な決まりだと軽く考えていた私と、違法な弾丸で侵入者に致命傷を与えても構わないと考えるほどに重視していた女将と客。この認識の違い、温度差を最悪の形で見せつけられている。血の気が引き過ぎて手が冷たくなって、ハンカチから染み出す血の熱が痛い。どうしてもあの時を、先生を撃った時の記憶とリンクしてしまう。そんな自分自身を落ち着けたい。理解できない行動の理由を知れば「なんだそう言うことか」と納得して、安心できるかも知れない。私は縋るように返答を待った。女将は立ち上がり、羽根を扇のように広げて自分の口元を隠した。 - 52二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 09:38:55
「………天女様はね、使いを待っとるんよ」
「使い……?待ってる?」
「ええ。鳥は天女様の使いで、天女様の御許に帰って来られるのを待っとる」
そう言って女将は襖を全開にした。あの重苦しいプレッシャーが廊下に少しだけ流れ込んでくる。生徒会長も立ち上がり、女将の隣に移動した。2人は部屋の中を、おそらく蟠桃の天女を見て目を細めている。
「使いが戻られたら天女は天に帰る……この旅館におる意味がなくなってまう。でもそれじゃあ旅館もお客様も困るやろ?みんな天女様目当てで旅館に来てくれとるし」
「それに私……この自治区の生徒会長としても、自治区の貴重な芸術品を失うのは痛いのよね。だから使いの鳥には来て欲しくないってわけ」
「フフッ、そう言うわけやから、今後ともよろしゅうねぇバイトちゃん」
そう言って女将と生徒会長はこちらに顔を向け、満面の笑みを浮かべて見せた。2人の口元はよだれが垂れ、床に滴り落ちていた。 - 53二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 09:39:41
一旦ここまで。盛大に遅れてしまい申し訳ありません。なんかいつの間にか朝になってますね、とりあえず寝ます。
- 54二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 10:10:21
いよいよ先生もレア物ですね、嬉しい限りです
- 55二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 12:02:53
最初来た時に天女が少しサオリを見てたっぽいけどもしかしてトリニティの羽付きの血に反応したのかな
- 56二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 12:24:15
まあサッちゃんもたぶん天使の類だから近いものではあるよなあ
- 57二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 12:32:56
はー成程ね、違法な弾薬を仕入れる裏ルートに通じてるからサオリ(指名手配犯)に見覚えあったのか
- 58二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 12:40:09
サオリが天女に見られたのって、井戸の神様の神域に入った事があるから説もありそう。
ほら野良猫を撫でた後で帰宅したら飼い犬がめっちゃ機嫌悪くなるとかあるじゃん? - 59二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 12:41:15
- 60二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 12:45:26
自分たちの欲のために上位存在を一つの地に縛りつける。
それが去った末路はみんな悲惨になるのに…… - 61二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 12:50:41
ちょっと指摘されてるけど羽衣伝説とか八百比丘尼の感じがする
カササギが来ると天女は渡っちゃうものだし鳥を忌避するのも分かる - 62二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 15:32:32
スレ主です、続きは明日の夜を予定してます。よろしくお願いします
- 63二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 15:43:07
了解しましたー
- 64二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 16:08:50
……もしかして女将が鳥なのにここで働いてるのは
鳥の女将を神の使いと誤認させる為?
そして天女を止まららせる事によってここを不老不死の桃の伝説がある桃源郷とや崑崙山とかの一種の仙境というテクスチャーをこの旅館もしくは自治区にはってる?
あと生徒会長はサオリの予想みたいに不老になってる可能性高いな…
まあ、どっちにしても天女が去ったあとはろくでもないことになるだろうな!!それをわかってるからあそこまでやってる可能性高いけど - 65二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 16:24:43
- 66二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 20:15:31
ほ
- 67二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 22:52:00
今追いつきましたが、
このサオリの裏バイトシリーズの作品群の完成度が素晴らしいですね。
すごい引き込まれる文章です。
さて最後天女の屏風は、そしてサオリはどうなるのか。
本当に気になります。 - 68二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 06:21:52
鳥の女将はともかく生徒である会長もよだれ垂らしてるの絵面がやばいな…滴るほど出してんだもん
- 69二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 08:54:34
保守
- 70二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 14:28:07
- 71二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 19:27:26
ほ
- 72二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 20:07:24
ほ
- 73二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 00:06:12
ほたるこい
- 74二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 00:35:54
このレスは削除されています
- 75二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 00:37:45
このレスは削除されています
- 76二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 01:42:57
このレスは削除されています
- 77二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 01:44:51
- 78二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 09:56:54
保守
- 79二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 10:25:54
このレスは削除されています
- 80二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 15:41:53
続きを屏風待機
- 81二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:00:11
(12日目、業務中)
「今日は客おらんけど掃除の子が休みなんよ。やからバイトちゃん、蟠桃の間の掃除よろしくね」
仮眠から起きてすぐにそんな事を言われた錠前サオリだ。そう言うことならと手早く身支度をし、動きやすいようにたすきを掛けた。
「あらええねぇ、バイトちゃん凛々しい顔やからたすきがよう似合ってるわ。あ、ご飯食べる?」
「……すまない、今日は遠慮しておこう」
「そう?ちゃんと食べんと仕事できんくない?」
「……失礼する」
「ああっ、バイトちゃん!?……前のアレまだ引きずっとるのかしら?」
私は会話を無理矢理切り上げ、掃除用具を取りに行った。後ろから女将の「おにぎり包んどくから、いつでも食べにおいでね〜!」と言う声が追いかけてくる。ここの旅館のご飯はとても美味しいんだ。おにぎりも、きっと女将が愛情を込めて握ってくれるに違いない。だけど食べる気にはならなかった。食欲が湧かないのだ。4日前のアレ……老婆の血と女将達のよだれを思い出してしまって。 - 82二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:00:49
あの後、老婆は病院に搬送され、一命を取り留めた。しばらく動けないらしく現在は入院中だ。事後処理に来たのはヴァルキューレ……ではなくこの自治区の生徒達。生徒会長の息がかかった者達だろう、誰1人として女将の違法弾薬には言及しなかった。生徒会長は何も気にせず一泊し、何事もなかったかのように帰った。女将も何も気にせず仕事をし、何事もなかったかのように私に3食おやつを振る舞っていた。私は何も気にせず警備なんてできず、何事もなかったかのように接客なんてできなかった。
ここキヴォトスでは、簡単に死なないから引き金が軽く、簡単に死なないから命が重い。私の罪は本人が許しても無くなるものではないし、ミカも苦しんで道を踏み外したし、あの時のアズサの悲壮の覚悟は何よりも重かった。なのに女将達は何の躊躇いもなくあの弾薬を使った。そして全てをもみ消した。
「そんなに大事なのか?あの天女が……」
掃除用具が積まれた台車を押しながら、私は誰に向けるでもない言葉を吐き捨てた。気品ある旅館と大人達、薄皮を捲るとあんな悍ましい欲望が出てくるなんて。私は彼女らが恐ろしくて仕方がなかった。 - 83二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:01:26
本当は今すぐ辞めたいのだが、女将は私の退職を頑なに拒否している。なら逃げ出せばいいと最初は思ったが、とある理由でそうも言ってられなくなった。
「バイトちゃ〜ん、忘れ物〜」
間延びした声がして振り返ると、女将がタブレット端末を片手に駆けて来た。
「監視もするのか?客は来ないから大丈夫じゃないのか?」
「何言ってるの、お部屋を換気する時に入ってくるかも知れないじゃない」
「……なるほど、確かにそうだな」
タブレット端末を受け取り、台車の上に置いてやる。女将はニヤニヤと笑い、羽根を扇のように広げて自分の口元を隠した。
「じゃあよろしくねぇ、錠前サオリちゃん?」
「………失礼する」
足早にその場を去り、蟠桃の間へと向かった。そう、私のことがバレたのだ。どうやら生徒会長が調べたらしく、無理に逃げたら違法弾薬の罪を被せて通報するらしい。生徒会長なら捏造なんて朝飯前、違法弾薬の危険性のせいでこれまで以上に追われることになるだろう。仮に無実を主張し証明できたとしても元から指名手配犯だからどのみち逮捕される。どうしたものか……。
(とにかく作戦を練り、機会を伺おう。何か方法はあるはずだ)
真面目に仕事をしていれば、チャンスは必ずやってくる。それを確実に掴めるようにしなくては。そんなことを考えていると蟠桃の間に辿り着いた。
つい癖で襖をノックし、開ける。当たり前だが誰もいない部屋は薄暗く、しかし屏風はそこにはっきりと認識できるほどの存在感を放っている。 - 84二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:02:21
不意に屏風の天女と目が合う。アルカイックスマイルという奴か、生命感を感じるこの屏風もまた女将達の欲望の被害者なのか。
『使いが戻られたら天女は天に帰る……この旅館におる意味がなくなってまう。でもそれじゃあ旅館もお客様も困るやろ?みんな天女様目当てで旅館に来てくれとるし』
『それに私……この自治区の生徒会長としても、自治区の貴重な芸術品を失うのは痛いのよね。だから使いの鳥には来て欲しくないってわけ』
女将と生徒会長の話を思い出す。天に帰るとはどう言うことかはまだ分からないが、若返りとそれを求める者達のために、天女が帰るのを阻止している。そのためならセンサーを過剰に配備して鳥避けをするし、違法弾薬を使ってでも侵入者を排除する。彼女らは本気だ。天女が天に帰るのはほぼ不可能だろう、哀れだな。
「……っ、これだけは慣れんな」
いくつかの掃除用具を手に持ち、蟠桃の間に入る。すぐさま屏風からのプレッシャーが襲い掛かり、私は天女の縄張りにいるのだと分からせられる。早く終わらせよう、でないと押し潰されそうだ。
換気のために窓を開け、手始めにホコリ取りで家具や調度品を撫でる。どれもこれも高そうな物だから神経を削られる。最後に屏風の埃も恐る恐る落とした。……ふむ、ここまで近づくのは初めてだな。よく手入れをされてるがあちこちに経年劣化の後が見られる。絵が描かれた紙はかなり古い物のように見えた。ずっと昔に作られた屏風なのだろう。
そんなことを考えていると、窓から夜風が入り込んで私の前髪を揺らした。ん?視界の端で別の何かが揺れた?
「捲れてる……?」
屏風の絵の端が捲れている。傷つけてしまっただろうかと慌てたが、捲れたその下を見てすぐに冷静になった。そこには何か描かれていたのだ。端っこのほんの一部だから何が描かれているかは予想は立てられない。だがこの屏風の元の絵であるのは確かだろう。天女の絵は、後から貼り付けられた物だったのか。
無意識に手が伸びる。紙の端を摘んだ。引っ張れば簡単に剥がせそうだ。もちろんそんなことをしてはならないのだが、いっそこの屏風がダメになればどうにかなるのではと思ったのも事実。いや、報復が怖いな。諦めて手を離した。 - 85二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:03:37
(警報音)
ちょうどそのタイミングで、インカムから警報音が鳴り出した。私は廊下に戻り、台車の上に置きっぱなしだったタブレット端末を確認する。
「青い鳥、あの時の?」
老婆が侵入した日に確認された青い鳥。あれがまた川岸に立っていたのだ。しかしおかしいな、全自動鳥類用スピーカーは稼働している。なのに鳥はカメラをじっと見て微動だにしない。前はすぐに逃げたのに。
警報音が鳴り続ける中、どうしたものかとタブレット端末をこねくり回していると、鳥がもう1羽増えた。青い鳥と比べると小さなサイズで、おそらく鴨かアヒルだろう。2羽で並んでこちらを見続けている。不気味だ、女将に連絡しよう。そう思ってインカムを操作した、その瞬間、
「________今度こそ……今度こそ………!」
「……は?は!?」
引きずるような足音と微かに香る血と消毒液の匂い、そして聞き覚えのある声。耳を疑い、思わず変な声を上げながら廊下の先を見ると、そこにはボロボロの老婆の姿があった。ま、また不法侵入だと!?
いやそれよりも、今は入院中だったはず、抜け出して来たのか?執念が強すぎる。それにしてもどうやってここまで侵入したのだろう、センサーにはあの青い鳥の反応しかなかったはずなのに。
「止まれ!また捕まりたいのか!?」
「青い鳥……導いてくれた。私は選ばれたのよ!!若返ってまた舞台にと、天女に望まれてる!!私はまだやれる!!若返る……!!」
静止も聞かずに絶叫し、ゾンビのようにフラフラと、しかし目を血走らせよだれを垂らしながら老婆は迫って来る。ああもうこうなったらと私はアサルトライフルを構えた。引き金に指を置いた。瞬間、指が硬直した。
(そうだった、今装填されてるのは……!)
実は先日、女将にあの違法弾薬を支給され、装填しておくよう言いつけられたのだ。
「また侵入者が出よったら、今度はバイトちゃんがそれでやっつけといて」
あっさりとそう言って渡してきた女将を思い出す。そして今いつも通りに発砲しようとした自分に戦慄した。
「ああ……!次の公演はレッドウィンターでやるのよ。復帰はトリニティでと思ったけど、そんなの待ってられないわ……!私の人生はまた始まるの……若返って、永遠に……永遠に!!」
「っ……!!」 - 86二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:04:21
威圧感も形相も、思わず後退りするほど強い。だが病院送りにされたばかりだ。違法弾薬を使えば本当に死んでしまうかも知れない。足でも狙うか?でも出血量は変わらないはず、どうする……?
「何やっとるん?バイトちゃん……」
迷いで照準を揺らしていると、後ろから声をかけられた。女将だ、来てたのか。
「あの老婆がまた来たんだ!どこから入ったんだか……」
「んなことええから、早よ撃ち殺して」
女将はあっさりとそう言って、羽根を扇のように広げて自分の口元を隠した。
「だ、だが老婆は怪我をして……」
「また生徒会長さんに頼むから。それにバイトちゃんはなれっこでしょ?」
確かに訓練を受けた。そういう環境にもいた。でも今は違うんだ、なれっこなわけないだろう……!
「ほら、撃って」
「っ…………!」
「若返る……天女にあって若返る……!」
老婆との距離、2メートル。深呼吸する。ブレが抑制する。
「撃ちなさい。早く」
「………………」
「枕しか能のない小娘とは違う……!私は天才なのよ……!こんなところで……!!」
老婆との距離、1メートル。改めて照準を合わせる。老婆の足元に血がポタポタと落ちてるのが分かった。傷が開いたんだな。
「錠前サオリ!言うことが聞けないの!?」
「…………分かった」
「天女おおおおおおおおお!天女おおおおおおおおお!!」
眼前。腹を括った。そして私はアサルトライフルを下ろした。老婆は私を通り過ぎ、蟠桃の間へと近づいていく。
「ちょっ!?何で止めないのよ!?」
「通報したければすれば良い。人殺しになるよりはマシだ」
最初からこれでよかったんだ。私はただのアルバイト、そこまで責任を負う必要はないはずだ。
「ああもう使えない!!」
「きえええええええええ!!!」
蟠桃の間に入ろうとした老婆に女将は掴み掛かり、そのまま取っ組み合いになった。老婆はとても怪我をした年寄りとは思えない怪力で女将を振り回しており、対する女将は必死に喰らいつき、侵入を阻止している。しかし長くは続かなかった。 - 87二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:04:58
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- 88二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:05:17
「あああああああああああっ!!」
「きゃあ!?」
老婆は奇声を上げながら女将を持ち上げ、投げ飛ばした。無理をしたせいで傷が開き、足元に小さな血溜まりが出来上がる。投げ飛ばされた女将は受け身も取れずに床に激突した。そしてそこは、蟠桃の間の中だった。
「え?あ、ああ……いやあああああ!!」
周囲を見回し、女将は自分が蟠桃の間に入ったことを理解したようで悲鳴を上げた。
(警報音)
タブレット端末を見る。先ほど確認した2羽の鳥がこちらに向かっている。鳥達は鳥用の罠やスピーカーも全て無視して羽ばたき、そして開け放った窓から入って来た。女将の横に着地し、真っ黒な目で女将をじっと見つめた。
「使いの鳥……!い、嫌!私は……私は成りたくない……!!」
そう叫んで立ちあがろうとした女将だが、上手く立ち上がれずに転んでしまう。そのまま這いずって蟠桃の天女の前に移動した。しかしどうやら自分の意思でそこに行ったわけではないようで、ずっと「嫌だ!!離して!!ここから出して!!バイトちゃん助けて!!」と叫び続けていた。私は助けに行くことはできなかった。ずっと天女と目が合っていたのだ。まるで「邪魔をするな」と言っているかのように、天女はこちらを凝視していた。
「助けてええっ!!死にたくなっ!!ぶぇぶっ……!!ごぼっ……んむぐ……!」
女将は天女の唇に勢いよく嘴をぶつけた。キスかと思ったが違った。絵を食べていた。嘴で引き裂き、捲れた紙を引きちぎる。続けてあちこちに嘴を刺し、天女の絵を食べ続けた。その最中でも泣き叫び、必死に体の主導権を取り戻そうと足掻くが、願いが叶うことはない。頬をぱんぱんに膨らませながら、涙と汗とよだれで顔の羽毛をぐしゃぐしゃにしていた。 - 89二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:06:14
「嫌だ!助け……むぐぉっ、バイドぢゃ!グワっ!!ガーッ!!」
叫び声も段々掠れていく中、女将は喋れなくなっていった。最初は口にものを詰め込み過ぎてるからかと思ったが、段々言葉ではなく鳴き声に変わっていく。理性が、人間性が、女将と言う人格が抜け落ちていってる。そして完全に喋れなくなった頃には泣き叫ぶこともなくなり、躍起になって絵に顔を突っ込んで貪っていた。青い鳥と小鳥もそれに続いて絵を食べ始めた。掃除中に私が見つけた捲れも器用に嘴で引き剥がして。
「私の天女を返せ!!若返らせろおおおおおおっ!!」
「グゲッ、グワッ!!」
絵の半分が貪られた頃、老婆は叫んで鳥達に襲い掛かった。しかし女将に簡単に叩きのめされる。容赦なんてされずに蹴り飛ばされ、翼を叩きつけられ、部屋の端に転がされた。背中の傷は完全に開いたようで、包帯が真っ赤に染まっていた。
「天女……私の若返りが……」
うわ言のようにそう呟きながら鳥達へと手を伸ばしていたが、しばらくすると老婆は動かなくなった。
最終的に屏風からは天女が消え、その下に隠されていた本来の屏風絵が顕になった。
それは半人半獣の化け物のような女。虎のような外見の逞しい下半身を持ち、天女の絵によく似た顔は唸りを上げているかのように歪み、鋭い牙を剥き出しにしている。岩山を背景に化け物はこちらに襲い掛かろうとしていた。
天女だった頃に感じだプレッシャーとは毛色が違う、今にも襲い掛かりそうな強い威圧感に襲われる。呆然と見ていた私は思わず悲鳴を上げた。女将も薄皮を剥けば悍ましい欲望が隠れていたが、まさか蟠桃の天女もそうだとは思わなかった。こんな醜い、だが上位の存在であると言う圧倒的な神威とプレッシャーを感じる化け物が隠されていたなんて。私は壁まで下がり、アサルトライフルを抱き締めて座り込んだ。絵の中の存在だが、この場の全てを握ってるのはあの化け物だ、今私はあの化け物の気まぐれで生かされている。少しでも、少しでも長く生きられるようにと私はいつの間にか祈っていた。 - 90二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:07:21
そんな化け物は絵の中で吠え、飛び跳ねまわっている。2羽の鳥と女将が喜ぶかのように一斉に鳴くと、それに返答するかのようにまた吠えた。絵の中にあるからか実際は叫び声は聞こえてこないのだが、化け物が絵の中で吠えるたびに体が震えて悲鳴を上げた。それほどまでに恐ろしかったのだ。
「っ……!」
化け物が、鳥と女将が私をを見ている。化け物はよだれを滴らせ、壁を引っ掻いているかのように爪を振り回していた。絵の中から出て来たいのだろう。そして私を食い殺したいと思っているんだ。
鳥と女将が近寄って来る。逃げなくちゃ、だが腰が抜けて立てない。足に力が入らない。動けない。どうしようどうしようと焦っていると女将にたすきを掴まれて引きずられた。どうにか抵抗しようと暴れ回るが、そんな私に女将は容赦なく顔を蹴った。そしてとても女将とは思えない凄まじい力で引きずられ、化け物の前まで辿り着く。
「や、やめろ……離せ……」
脳が揺れて意識が朦朧とする。アサルトライフルを手放さないようにするので手一杯だ。
そんな中2羽の鳥は絵に体を突っ込み、そのまま入っていった。屏風の絵に化け物の周りを楽しそうに飛ぶ鳥達が追加される。女将も当たり前のように絵に入り、捕まっていた私も入れようと引っ張ってきた。
(まずい……!逃げられなくなる!抵抗しないと、戦わないと!!)
「うっ、うぅ………っ!!」 - 91二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:08:03
胸から上が絵の中に入った頃、ようやっと腕を動かすことができた。絵の中は標高の高い岩山で、現実と同じような質感がある。私は波打つ虚空から半身だけが出ているような状態で、女将に髪を引っ張られている。化け物と鳥は私をじっと見ている。私は片手と足で絵の中に引き摺り込まれないように踏ん張り、もう片手をアサルトライフルを構えた。
「ふぅ……、遅くなってすまないな、女将。お望み通り撃ってやる」
(乱射音)
「ギャアアアアアアアアアアアア!!」
まずは半分を化け物に叩き込んだ。よかったな女将、お前の大好きな違法弾薬はアイツにも効いたぞ。
(乱射音)
「ギィッ!!」
引き金を引いたまま女将に銃口を向け、何発かをぶち当てた。血が吹き出し、私の髪を染める。悲鳴を上げた女将は痛みで手を離し、その隙に私は上半身を引っ込めた。無事に絵の中から脱出することができた。
まだフラフラする体をどうにか動かし、屏風から距離を取る。また廊下に出て、壁に背をつけ、リロードを行い、屏風を睨みつけた。絵の世界からこちらを睨みつける化け物達に睨み返した。
「……………」
「……………」
化け物は恨めしそうな顔を浮かべると、踵を返して山奥へと消えた。2羽の鳥も、女将も、それについていって見えなくなる。屏風は天女でも化け物でもない、岩山を描いたものになった。
「…………行ったか、よかった……」
全ての気配が消え去ったところで、私は安心感からその場に寝転んだ。脂汗と返り血の匂いが髪から漂い、胸焼けがする。しかしそれも気にならないくらいに疲れ切り、そして安心して力が抜けたのだ。しばらくして従業員の1人がここに来るまで、私は荒れ果てた蟠桃の間を眺め続けた。 - 92二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:08:44
________その後、女将が行方不明になったことで旅館は立ち行かなくなって倒産した。私はあの後すぐに旅館から抜け出した。給与をもらってないが、蟠桃の天女が消えたことで生徒会長から何かされるかと思ったのだ。しかしそんなことはなかった。どうやら生徒会長は……いや、蟠桃の間の利用客達は急激な老化により皆死んでしまったらしい。これで私を追う者はいなくなったのだ。大手を振って、自治区を脱出できた。
老婆はあんなに怪我をしていたのにしぶとく生き延びていたようで、従業員が呼んだ救急車に運ばれて一命を取り留めた。だが心は完全に死んでしまったようだ、うわ言のように天女を呼び続けていて、役者への復帰は無理らしい。
女将とあの化け物、蟠桃の天女はまだ見つかっていない。あの岩山は、おそらくこの世には実在しない場所なんだろう。そんな所に行ってしまったんだ、きっと見つかることはないはずだ。
しばらくは旅館と若返りなんてこりごりだ。あんな恐ろしい目に遭ったのだから。女将も化け物も、誰かが貪欲さに溺れるくらいならもう誰にも見つからないでいて欲しい。立ち寄った商店に売っていた蟠桃を食べながら、私はそんなことを思った。
ここだけサオリが裏バイトで働いていて、ひどい目にあったりあわなかったりする世界 - 93二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:10:28
- 94二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:12:15
正直言うけど恐怖でビビって漏らしてそうなサオリ滅茶苦茶好き
- 95二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:13:13
- 96二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:13:32
お疲れ様です
給与なしか…
まあチップはびっくりするくらいの量貰ったし困りはしないか - 97二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:19:12
- 98二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:21:28
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- 99二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:21:56
お疲れ様です。
この分じゃ余罪がいっぱいありそうだなこの自治区。
秘密を知った生徒や住人は消されてそう… - 100二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:22:22
- 101二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:26:23
感謝、くそっこんな時にヴァルキューレや防衛室は何をしているんだ……!
- 102二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:34:56
錠前サオリの裏バイト奇譚9
業務内容:旅館のVIP専用部屋の仲居
注意事項: 『蟠桃の間には絶対に鳥類を入れないこと』
勤務期間:12日間
給与額:なし(給与受け取り前に撤退)+客からのチップ98万円=98万円
コメント: え?そんな貰ってたの? - 103二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:56:02
- 104二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:57:25
お疲れ様です。
ここまで貪欲になれるのか……自治区の生徒会長さんも女将さんも絶対余罪あるんだけどもう居ないから何も分からない…… - 105二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 21:03:45
- 106二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 21:07:39
- 107二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 22:17:02
- 108二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 22:19:14
感謝、そういえば屏風はどうなったんでしょうね?旅館の倒産にあたって資産の一つとして売りに出されたのか、廃墟と化した旅館の蟠桃の間に今もあるのか……。また新たな都市伝説になるのかも知れませんね。廃棄されたことを願いましょう。
- 109二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 23:13:43
- 110二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 08:15:18
怪異側にもなんか独自のルールがあるのは分かるんだけど、それを押し付けてきたり説明しないのってホント恐ろしいよな
そして安全な方法が分かっているっていうのは、シラフでそれをやってのけた人がいるという別の意味で恐ろしい事実がある - 111二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 08:17:24
(ペロロ様ブチ込んだら解決しないかなとか考えてましたすみません)
- 112二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 08:24:47
- 113二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 19:16:47
「あはは…、ペロロ様はカバじゃなくて鳥ですよ…?」カチャ
- 114二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 20:20:34
事故物件ロンダリングのバイトを始めた錠前サオリだ。かなり珍しい仕事だな、私も求人票を見るまで存在すら知らなかった。
何らかの理由で人が亡くなった家は、次に住む人にそこでどんなことがあったかを教える義務が発生する。ただし誰かがそこを借りて何日か住んだなら、その次の誰かには教える義務がなくなるそうだ。
多くの人は人が死んだ後の家なんて借りたくない。だが不動産会社や家主は家を借りてくれないと食いっぱぐれる。だから事故物件ロンダリングのバイトを雇って、その家に1回住まわせるのだ。
と言うわけで、業務内容はとあるアパートの一室に住むだけ。本当に住むだけで1日1万円の仕事になるそうで、さらにはその間の光熱費はなんと雇い主の不動産会社が持つから無料。気前がいいな、張り切って行こう。
なになに、注意事項として『他の住民には自分が事故物件ロンダリングのバイトだと言わないこと』らしい。不動産会社も後ろめたいのだろうか、法の穴をつくような業務だからな。悪いことの片棒を担いでるような気もするが、これもまた仕事だ。黙っておいてやろう。 - 115二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 20:22:51
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- 116二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 20:23:34
(1日目)
初日は引越し……とは言っても荷物は少ないので、鞄を1つ運び込めば終了だ。件の物件は⬛︎⬛︎自治区にあるアパートの3階の角部屋。外観も価格帯も普通で、部屋に入っても何か異常な気配は感じなかった。
「家具家電が備え付けなのはありがたいな。他に買い足すものは……どうせ1週間で出て行くから別にいいか」
1日住む毎に1万円が貰えるが、雇い主からは1週間住んで欲しいと言われている。その方が法的にも都合がいいらしい。私としても長く住み続けるつもりはないから、1週間を目処にここを出て行こうと思う。他の物件で同じ仕事を続けるかは、まあ未来の私次第だな。
荷物を適当に片付けて、改めて部屋を見回す。2DKの1〜2人向けの部屋は廃墟暮らしの私にはとても綺麗で、とても広く感じた。こんなにいい場所に住めるのは嬉しいが、1人だと何だか寂しいな。誰かを呼んでもいいかも知れない。普通の暮らしをしているみたいで、悪くないな。
……ああそうだ、隣の家への挨拶を済ませなければ。感傷に浸ってる場合じゃない。私は事前に買っておいたちょっと高価な蕎麦を持って家を出た。こう言う時は蕎麦を贈るのがいいらしい。事前のリサーチはバッチリだ。
隣の部屋のインターフォンを押す。すぐに快活そうな獣人(パピヨン)のご婦人が出てきた。
「隣に越して来た者だ、よろしく頼む」
「あら、今時引越しの挨拶をしに来る子なんて珍しいわねぇ!よろしくねお嬢ちゃん!……見た所生徒さんみたいだけど、ここの自治区の学校の子かしら?」
「まあ……そんな所だ」
言えることではないので、言葉を濁しておく。だがご婦人はそれ以上に聞きたいことがあるらしく、話題はすぐに変わった。 - 117二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 20:24:29
「それにしてもこの部屋にねぇ……何で住もうと思ったの?」
「他よりずっと安かったからだ」
「ああ、不動産屋さんも安くしてるのね。でも、ここ訳あり物件よ?」
「ああ、聞いている。自殺者が出たそうだな……」
事前に聞いていたこの部屋の話、前の住民の顛末を思い出す。確か、前の住民はこの自治区の生徒で、家賃を滞納した末に部屋の中で首吊り自殺をしたそうだ。
「……そんな所に住むなんて物好きねぇ」
「まあ、安かったからな」
「あ、分かったわ!貴女アレでしょ!?事故物件に住むバイトって奴!前にテレビで見たのよ!」
「いや、そんなものではないさ。安かったからここを選んだ、それだけだ」
早速指摘されたが、注意事項の通りに否定しておく。ゴシップ好きなのだろう、楽しそうに追求してくるな。その後もご婦人は食い下がって来たが、上手いこと躱してみせた。
「まあいいわ、何かあったら言いなさいな」
「ああ、頼りにさせてもらう。では失礼する」
ほどほどに会話を切り上げ、自分の部屋に戻った。その後は家で寛いでいたが、心霊現象などは何もなく1日を終えた。このまま何事もなく、1週間を過ごせればいいのだが……。 - 118二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 20:25:16
一旦ここまで。ぬるっと始まりました次バイト、前に事故物件ロンダリングのアイデアをくれた方ありがとうございます。
- 119二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 20:27:28
このレスは削除されています
- 120二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 21:14:15
わーい、バイトのアイディア採用されてましたー!!
えへへ‥‥裏バイト、苦しいですよね‥‥辛いですよね‥‥サオリ姉さんには頑張ってほしいですね‥‥えへへへ - 121二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 21:24:15
リクエストありがとうヒヨリ、サオリもきっと頑張ってくれるでしょう。それはそれとしてさっさと弊シャに来い。アリウスはサオリしかおらんねん。アリ夏期待しとるからな……!
- 122二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 21:38:30
- 123二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 21:45:18
公式スピンオフで物件を売る側の生徒がいるんだから、そら物件ロンダリングの裏バイトを受ける生徒もいるわなあ
第18話 / ブルーアーカイブ 便利屋68業務日誌 - 漫画:野際かえで/原作:ブルーアーカイブ | コミックグロウル |無料で読めるWEBマンガ!大人気スマホゲーム『ブルーアーカイブ』から、「便利屋68」を主役としたスピンオフコミックが登場!!学園都市キヴォトスを舞台に便利屋の4人が巻き起こすドタバタ劇をお楽しみください!comic-growl.com - 124二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 21:45:59
- 125二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 21:58:43
- 126二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 07:45:22
一体どんな霊障が来るんだろ
- 127二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 08:57:09
感謝です遅いけどお疲れ様でした
- 128二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 09:45:50
このレスは削除されています
- 129二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 09:46:48
次の話は新スレ?
- 130二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 09:55:46
まだ余ってるのでここで終わらせる予定です
- 131二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 10:04:30
さてこの隣人はまともかな(疑心暗鬼)
- 132二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 15:58:10
(2日目)
ただ家に住むだけのアルバイト…………暇だ。快適だしお風呂もトイレもあるし、お金は前のバイトで結構稼いでたからしばらくデリバリーでも問題ない。やろうと思えば本当に、一日中家に居られる。だが私は……自分で言うのもなんだがずっと劣悪な環境で生きて来た人間だ。家は廃墟が当たり前、寒いし暑いし風呂もトイレも食べ物もない生活。それに悪い意味で慣れてしまったようだ。落ち着かない。
ううむ、こんな時アリウスにいた頃は何をしていただろうか。そういえばあの頃は姫達が周りにいたな、劣悪だが孤独ではなかった。だから暇だとか落ち着かなさとかは感じなかったと思う。思い返してみると人生は虚しいだけだと思っていたが、それでも心の支えになったものは確かにあったんだな……。
「………電話してみるか」
静寂で耳が痛くなってきた。声が聞きたくなった。スマホを手に取り、連絡帳を開く。ちょうど履歴の1番上にヒヨリの名前があったので、それをタップした。
「………もしもし、ヒヨリ?」
「あぁ!姉さん!お久しぶりです!!珍しいですねぇ、姉さんから電話してくるなんて。何か辛いことや苦しいことがあったんですか?」
「いや、みんなの声が聞きたくなったんだ。迷惑だったか?」
「えへへへ……姉さんがそんなこと言ってくれるなんて嬉しいです……!!でもごめんなさい、実は今みんなで護衛の仕事をしてまして……、しばらく雇い主さんに付きっきりなんです……」
「そうなのか……!すまんな、邪魔をしてしまった」
「いえいえ……!私は見張りで手が空いてたので……。姉さんのところも騒がしいですねぇ……バイト中ですか?」
「何?バイト中ではあるが……騒がしい?」
「ええ、何だかずっとバタバタって音がしてますよ……?」
「まさか、ここには私しか……」
「あっ、不審者だ。狙撃しなきゃ……ごめんなさい姉さん!依頼落ち着いたらかけ直しますね……!」 - 133二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 15:59:34
それだけ言うとヒヨリの声色が真剣なものに変わり、電話は切られた。ヒヨリの狙撃の腕は確かだ、不審者とやらは一溜まりもないだろう。……いいやそれよりも。
周囲を見回しつつ、アサルトライフルを手に取る。死角になる場所や窓、他の部屋も確認するが人はいない。ここには私しかいない、静かな家だ。だがヒヨリはバタバタと音がすると言っていた。一体何が聞こえていたのだろう?さっきとは違う意味で沈黙が肌を刺した。この家は、本当にまずいものがいるのか……?
(インターフォンの音)
「お嬢ちゃん〜!いる〜?」
隣のご婦人だ、不安からか足早に玄関へと向かい、扉を開けた。笑顔を浮かべるご婦人がそこにいて、思わずホッと溜め息を吐いた。
「お蕎麦早速食べたのよ、美味しかったわ!ありがとね」
「そうか……喜んで貰えたのなら何よりだ」
「うんうん、……あ、急に来て邪魔だったかしら?取り込み中みたいだけど」
「いや、問題な……取り込み中?」
デジャヴを感じる会話に鳥肌が立つ。恐る恐る聞いてみると、ご婦人はキョトンと首を傾げた。
「え?バタバタって音がしてたから、お嬢ちゃんと他に誰かいるんじゃないかって思ったのよ」
さっきヒヨリが聞いたらしい音を、ご婦人も聞いていたらしい。家に居た私には聞こえなかったのに。一体どうして……?
「……ここには、私しかいないぞ」
「あら、あらあらあらあらあら!じゃあアレかしらね!霊現象かしらね!?」
「あ、あぁ……そうかも知れないな」
ご婦人は目の色を変えて私に詰め寄ってくる。面白い話の種ができて大はしゃぎだ。だが当事者の私はそれどころじゃなくて、ついつい煩わしく感じてしまう。とりあえず鼻息の荒いご婦人の顔を押し返した。
「やっぱりいるのね、幽霊!ってことは貴女もやっぱり事故物件に住むってバイトの人なの!?不動産屋から雇われてここに住んでるんでしょ!?」
「違うと言ってるだろう。私はそんなのじゃない、ただの住民だ」
「そう?隠してるんじゃあないの〜?」
さらに追求してくるご婦人をどうにか宥める。気は紛れたが、落ち着きはしないな。ご婦人の反応が、本当に何かいるんじゃないかと思わせてくる。 - 134二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 15:59:46
しばらく世間話をした後、ご婦人は自分の家へと戻った。しかしその際に一言、私に問いかけてきた。
「ねえお嬢ちゃん、何で幽霊は居ると思う?」
「……いや、分からないな」
「それはね、忘れて欲しくないから。忘れられたら本当に消えちゃうからよ。ここに住んでた子も、きっとそう思ってるわ」
「…………」
「貴女は事故物件に住むバイトじゃないのよね?」
「……ああ、ただの住民だ」
「じゃあいいんだけど……」
ホッとしたような、優しそうな表情を浮かべていたご婦人。だがその目は底なしの闇のようで、何の感情も読み取れない。一体何だったのだろう、そしてあの問いかけの意味は?疑問に思いながらご婦人を見送った。しかし何となくだが、注意事項は絶対に守るべきだと感じた。少なくともあのご婦人に、自分が事故物件ロンダリングのバイトだとは話さない方がいい気がする。
その日は無事に過ごせた。バタバタなんて音はしない、とても静かな1日だった。 - 135二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 16:05:42
一旦ここまで
- 136二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 16:09:00
サオリの場合「そういうモノ」を察知する事ができないのがキツいね
- 137二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 16:45:57
その部屋の住民だけ聞こえないのか…?サオリ霊感はありそうだし
- 138二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 17:15:41
いっそのこと怖がって、すぐに転居する流れをつくれば、バイトだとバレずに引っ越せるかもしれないけど、
この場合「バイトだとバレる」は怪異が活性化する原因じゃないんだろうなぁ - 139二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 17:17:08
住民じゃないとバレた瞬間一斉に牙剥いてきそうで怖くない?
- 140二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 22:20:44
ほ
- 141二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 23:02:09
寂しがりな幽霊なら期待させといて長居する気がないなら怒るかもしれない
- 142二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 23:10:22
このレスは削除されています
- 143二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 06:27:29
しゅ
- 144二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 13:55:44
ほし
- 145二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 19:46:47
の
- 146二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 21:33:20
(6日目)
このバイトを始めてからずっと家の中で過ごして、今日も同じようにしていようかと思ったがさすがに飽きてきた。……適当に散歩でもしよう。思い立ってすぐに、貴重品だけを持って家を出る。
アパートから自治区を治める学校までの間には商店街や公園などがあって、暇を潰すのにはちょうどいい。肉屋でコロッケを買い、駄菓子屋でラムネを買い、公園の木の木陰に座って休憩する。鳥の鳴き声が聞こえる。そよ風が気持ちいい。コロッケとラムネ美味しい。うむ、いい余暇だ。
「………………帰りたくないなぁ」
どうしても家のことが気になってしまう。私は何も感じないし何も聞こえない、見えないのだが、ヒヨリの電話から何かいるんだろうなとは思いながら生活していた。それが中々にストレスだった。
自分でも認識すれば、怖いがまだマシかも知れない。そう思って3日目と4日目は霊現象を見逃さぬよう、徹夜で家の中を見張った。私は1週間くらいなら眠らなくてもいいように訓練されている。徹夜など余裕だ。だが特に何も起こらなかった。
5日目……つまり昨日も同じように見張っていると、22時頃にヴァルキューレの生徒が家に訪ねてきた。
「付近の民家の方々から、アパートがやけにうるさいって通報が来てます。少し中を見せて貰えませんか?」
私は指名手配犯だがその時は見られて困るようなものは上手いこと隠しているし、咄嗟にマスク(いつも装着しているものではなく普通の白いマスク)をつけたため、バレる心配はないと判断。努めて冷静に了承してヴァルキューレ生徒を中に入れた。
「ところでうるさいとはどう言うことだ?静かにしていたつもりだが……」
「いやぁ、何でもバタバタと暴れ回ってるような音がずっと聞こえてるそうで。何か心当たりは?」
「……ないな」
「そうですか……。まあ、念のため確認だけさせてもらいますね」
訪ねてきた時は警戒していたヴァルキューレ生徒だが、私があっさり中に通したことで猜疑心が薄れたようで、途端に気の抜けた表情に変わってしまった。私が言うのもなんだが、もうちょっと警戒した方がいいと思ったな。
そして玄関に近い風呂場とトイレから順に見て回ったのだが、寝室に辿り着いた途端にヴァルキューレ生徒は悲鳴を上げた。 - 147二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 21:34:02
「ヒィッ!!ひひひ、人が首を吊ってる……!!」
「は?何を言って……?」
「苦情の原因はこれですか!?うっ、うわああああああああああああああ!!!」
「落ち着け!!誰もいないだろ!?」
そのまま飛び出していったヴァルキューレ生徒は応援を引き連れて戻って来た。そしてすぐに私は拘束され、家には操作の手が入った。しかし……、
「あれ?首吊り死体は?見当たらないよ……?」
「死体を隠した跡も見当たらないっすよ?」
「そんな!私は確かにこの目で見ました!寝室で首を吊ってる女の人がいたんです!!」
「確かに寝室の天井には何かを吊るした痕跡があるね。でもここって確か前に自殺があったお家でしょ?その時のじゃない?」
「え!?住民さんマジっすか!?」
聞かれたので、生徒が自殺をした家だと肯定した。自分が事故物件ロンダリングのバイトだと言うことは一応伏せておいた。
「じゃ、じゃあ私が見たのって……!ひっ、ヒエェェ……」
「いや〜まさかそんな。でも……ねぇ?」
「やばいっすね!何でこんな地獄みたいなとこに住んでるんすか住民さん!?」
その後私への簡単な取り調べが行われ、ヴァルキューレ生徒達は帰って行った。首吊り死体を見たと言っていた生徒は酷く怯えていて、他の生徒に宥められながら出て行ったのを覚えている。泣きたいのはこっちだと思ったな。
………とまあ、そんなことあったのだ。結局その後は何事もなく今日この日を迎えたが……。
アパートどころか近隣住民の迷惑になるほどのバタバタとした音、寝室の首吊り死体。それを実際に聞いた人見た人は確かにいるのに、私は何も認識できていない。
……正直に言うと、何事もなく終わると思っていたのだ。確かに痛ましい事件があったが、まさか本当に霊現象が起こるなんて思ってなかった。さらにそれが周りの人間は認識できているのに、私は一切何も感じないのが不気味で仕方がない。家に帰りたくない。もう少しで出て行けるのだが……。 - 148二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 21:34:47
「………いや、頑張ろう。不気味だが私に何か被害が出てるわけではないんだ。そうだ、よし」
自分に言い聞かせるように独り言を吐き、立ち上がる。ずっと徹夜だったからか、かなりの時間ぼーっとしていたらしい、陽の光がオレンジ色になっていた。
重い足取りでアパートに戻り、ドアノブに鍵を刺す。するとご婦人が出て来て、私に話しかけて来た。
「あら、お嬢ちゃん。どこか出かけてたの?」
「ああ、散歩にな。ご婦人はこれから出かけるのか?」
「まあ、そんな所よ。そう言えば昨日は大丈夫だったの?ヴァルキューレの子達が来てたじゃない」
「あ、ああ。まあな。色々あったが問題ないさ」
「色々って言うと、霊現象よね?こっちまで聞こえたわ!首吊り死体があるって!」
ああ、声が大きかったからなぁ。私は顔を顰めたが、対照的にご婦人ははしゃいでいた。
「やっぱりその部屋は大変なことが起こるのね!面白いわねぇ!」
「いや、住んでる身としてはあまり面白くはないな……」
「あらあら、でもそれを承知でここに引っ越したんでしょ?それとも、仕事で住んでるとか?」
「仕事……まだ疑ってるのか?」
眉間によった皺を指でグリグリと押し潰す。このご婦人、会う度に私が事故物件ロンダリングのバイトじゃないかと問い詰めてくる。大当たりなのだが、『他の住民には自分が事故物件ロンダリングのバイトだと言わないこと』という注意事項があるため肯定はできない。申し訳ないとは思っているが、いい加減しつこい。 - 149二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 21:35:33
「悪いがご婦人。何度も言うようだが、私は不動産屋に雇われた事故物件に住むバイトの者じゃない。ただここが安かったから引っ越して来ただけなんだ。いい加減追求するのはやめて欲しい。困るんだ」
努めて冷静に、ご婦人に追及を止めるように言った。それに対してご婦人は、分かってないような顔で首を傾げる。……ダメそうだな、もういい。
「失礼する」
ご婦人から顔を逸らし、さっさと家に入った。その瞬間、インターフォンがなった。覗き窓から外を見てみると、真顔のご婦人が立っている。
「ねえ、お嬢ちゃん。隠さないでよ。あなた本当は事故物件に住むバイトの人でしょう?」
「違うと言ってるだろう、何のつもりだ?」
「いいえきっとそうよ、バイトのためにここに引っ越したんでしょ?ねえ?」
(ノック音)
「ねえ、お嬢ちゃん。ねえってば。正直に言ってちょうだい。貴女バイトの子なんでしょ?ねえ?」
様子がおかしい。ずっと真顔で同じ問いかけを吐き続けている。ノックをし続けている。その場を離れてくれない。
「いい加減にしてくれ!これ以上続けるならヴァルキューレを呼ぶぞ!」
本当は自分のことがバレそうなので呼びたくない。だがさすがのご婦人もヴァルキューレを呼ばれたら困るはずだ、さあとっととお家に帰ってくれ……!
「ねえ、お嬢ちゃん。どうして嘘をつくの?本当のことを言ってちょうだい。貴女バイトの子でしょ?私には分かるのよ?ねえ……ねえ!!」
(ドアを乱打する音)
「うっ……!!」
思わず後退る。ご婦人は狂ったように扉を叩き、狂ったように「貴女バイトの子なんでしょ!?」と叫び出した。困惑して再度覗き穴を見る。真顔だ、真顔でドアを叩いて叫んでる。急にどうした!? - 150二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 21:36:04
「くっ……!本当に呼ぶからな!」
私はドアの向こうにそう叫び返し、ヴァルキューレに電話をかける。事情を話すとすぐに向い、近隣住民に話をつけると言ってくれた。これで一安心だ。とりあえず今はご婦人を監視しつつ、ヴァルキューレの到着を待とう。
少し気が楽になった私は、扉を睨みつけてご婦人の監視を始めた。扉が破られることはないだろうが、一応アサルトライフルを構える。
「嘘つかないで!貴女事故物件に住むバイトなんでしょ!?それでここに住んでるんでしょ!?」
「違う!!……いや、もう無視でいいな」
執念すら感じる追求。実際その通りだから、認めた方が早いのかも知れない。だが認めたら認めたでもっと悪いことになりそうな気がする。私は口を閉じ、ご婦人の叫びを聞き流しながらヴァルキューレを待ったのだった。
(6日目、23時)
(ノック音、ノック音、ノック音、ノック音、ノック音、ノック音、ノック音、ノック音、ノック音、ノック音、ノック音、ノック音、ノック音、ノック音、ノック音、ノック音)
おかしい、どう言うことだ?どうしてヴァルキューレが来ない……!? - 151二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 21:36:31
一旦ここまで、保守ありがとうございます
- 152二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 21:37:56
ご婦人?え、まさかご婦人がってパターン!?
- 153二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 21:38:16
コワ〜…
開けたら絶対ヤバいヤツだこれ - 154二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 21:58:34
相変わらずのガバガバヴァルキューレ
いい奴らではあるんだが…… - 155二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 22:55:45
ヒヨリと話してた時ですら足音で騒がしいってなってたし、今回通報した時は音が五月蠅すぎてイタ電だと思われた説もある
- 156二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 23:36:30
安心と信頼のヴァルキューレ
- 157二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 23:40:34
7日以内に認めさせないと…ってやつか
なりふり構わなくなってきたな - 158二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 09:41:08
保守
- 159二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 09:58:59
うおーALS○Kのセキュリティとかついてないのかー!?誰か助けに来てくれー!!
- 160二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 15:45:02
ヒヨリがきっとなんとか…
- 161二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 18:03:38
今日遅くなりますごめんなさいあと面接うまくいきませんでしたクソが
- 162二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 18:31:12
- 163二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 18:39:48
- 164二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 19:16:46
- 165二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 19:22:24
バイトであることがバレた結果がサオリの前の住民説ありそう
- 166二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 19:57:06
何なんだろうなこのおばさん、ピザ屋みたいに怪異に捧げようとしてる感じ?
- 167二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 20:11:59
おばさんは自殺怪異(仮)と生前親しくて、
その人が苦しみながら死を選んだ事実を無かったことにしようとするバイトが許せないとかだったりして - 168二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 20:25:28
というかこれ>>132でヒヨリに「バイト中」って言ったのがまずかったのでは?
- 169二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 22:18:05
前任のバイトがおばさんで幽霊の存在を認める=バイトのルールを破った
誰かに押し付けないと永遠にそこに縛りつけられるとか - 170二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 23:46:22
今更ネタ元のこれ読んでたんだけど、「三羽の鳥が西王母のために食事を運んでくるともいい」って記載で厳密には"鳥がそこに侵入する"の自体がNGじゃなく"警報機を無視して入ってきた二羽の鳥+三羽目となる鳥が侵入することで、その鳥は屏風へ連れて行かれる&同席した者は食べられてしまう"ってことだと気付いた
あと下半身が虎の半神が時代を経て道教との習合で蟠桃を管理する仙女として捉えられるようになったことを屏風の裏に化物が隠されていることと表現してて凄い面白い
- 171二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 00:15:30
(7日目)
時計の針は1周し、遂に7日目……最終日に入る。今夜で私のバイトは終わり、朝にやってくる雇い主の不動産会社職員から給与を貰ってこの家を出て行く手筈だ。
だが状況は最悪だ。夕方くらい……18時だったか、その時間から今までずっとご婦人が扉の向こうにいる。ずっとノックをし続けている。
(ドアを乱打する音)
「嘘つかないで!!バイトなんでしょ!?バイトでここに住んでるんでしょ!?私分かってるのよ!認めなさいよバイトだって!不動産屋に雇われてるんでしょ!?ねえ!!」
扉越しでも喧しく感じる声量だ、頭が痛くなってくるし精神的にも来るものがある。何とかしようとヴァルキューレに何度も何度も、最初に電話した後にも電話したが、結果は芳しくなかった。
「________もう!またですか!?アパート付近の住民には話をしましたってば!」
「本当に話をしたのか!?まだ家の前にいるんだぞ!ずっと叫んでる!」
そう言って私はスマホを扉へと向けた。うるさいノック音を、近所迷惑な声を、聞いてくれれば急行してくれると思ったのだ。
「開けなさい!開けなさいよ!アルバイトでしょ!認めて開けなさいって言ってるでしょ!」
「……ほら、聞こえるだろ!隣のご婦人がずっとこの調子なんだ!頼むから止めてくれ!」
「………は?何も聞こえませんけど?」
「何も?そんな、まさか!?」
「そもそも、隣のご婦人って言いますけどねぇ、そのアパートには貴女しか住んでないはずですけど?」
「……は?だ、だが外に」
「もう、イタ電に構ってる暇はないんですよ。切りますね」
「待て、おい!……おい!」
________着信拒否を食らったようで、それ以降はヴァルキューレに電話が繋がらなくなった。履歴をスクロールして唇を噛む。
言ってる意味が分からない。こんなにうるさいのに、大きな音が出てるのに、どうしてヴァルキューレには聞こえななったのだろう?
それにこのアパートには私しか住んでない?ありえない、隣の部屋からご婦人が出てくるのを何度も見たんだ。確かに、他の住民は見ていないが、ご婦人は実在するはず。いや……もしヴァルキューレの言っている事が本当なら、今そこにいるのは、叫んでいるのは何だ……? - 172二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 00:18:20
(ドアを乱打する音)
「いつまで待たせるのよ!いい加減にしなさい!!いい加減に認めなさいよ!貴女はバイト!そうでしょ!?事故物件に住んでって頼まれたんでしょ!?いい加減にしなさい!」
……いい加減にして欲しいのはこっちの方だ。思えば家に帰ってからずっと玄関でスマホを握り締めていた。もういつかドアが破られるんじゃないかとヒヤヒヤしてて、見張らずにはいられなかったのだ。
だが、扉が頑丈なようでよかった。ずっと殴られてるが壊れそうにない。とりあえず、一度離れるか。徹夜が続いた上に気を張り続けて疲れている。頑丈な扉を信用して、リビングに行って少し休むことにした。
(着信音)
ソファに座った直後に電話が鳴る。……ヒヨリからだ、私は玄関の音が入らないようになるべく離れ、電話を取る。
「もしもし、ヒヨリ?」
「あ、姉さんこんばんは……!えへへ、見張りの間暇なので電話しちゃいました……!」
「……全く、任務中は気を引き締めろと言ってるだろう」
いつもならサボりは叱ってるが、今はヒヨリの声が聞けるのでありがたい。思わず溜め息を吐き、聴覚に集中して現実逃避をする。
「……え?ごめんなさい姉さん、よく聞こえないのですが……?」
「な、何?おい、ヒヨリ!?聞こえるか!?」
「かすかに姉さんの声は聞こえますね……」
こんな時にスマホの不調か?せっかく人が現実逃避してたのに。私は大声でヒヨリを呼んだ。
「あ、聞こえました!姉さん外にでもいるんですか!?人混み?何だかいろんな人の声がしてますけど……?」
「……は?ここには私しかいないぞ?」
「ああ、お出かけしてるんですね……!」
「いや、出かけていない。今は家に……」
「新しいコンビニスイーツ?うわあああああん!羨ましいです!今度会ったら奢って下さい!」
「待て待て!ヒヨリ!?何の話をしているんだ!?」
おかしい、会話が噛み合わない。私はコンビニになんて行ってない、ヒヨリは何の……いや誰と話をしているんだ?
「ヒヨリ!聞こえるか!?私はこっちだ!答えてくれ!」
「はい、姫ちゃんとミサキさんも元気ですよ。今日は焼肉弁当とプリンを食べました……!アリウスと違って3食おやつ付きで、幸せですねぇ……美味しいですねぇ……!」 - 173二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 00:20:29
微笑ましいが笑えない。何でヒヨリは私との通話で、誰か分からない奴と会話しているんだ?私はここだ!ヒヨリ!お前が話してるのは私じゃない!
「お前は誰だ!?ヒヨリに話しかけるな!!」
「え?姉さんバイトの途中なんですよね?」
「っ!?」
「あれ、もしもし?姉さん?聞こえませんでしたか?ああ、バイトしてるんですよねって言いました」
普段の会話と同じ雰囲気で問いかけられる。息が喉の中でつんのめる。操られてる?いいや違う、おそらく話題を振って、発言を誘導してるんだ。ヒヨリと話している何かは、外のご婦人と同じで、私がバイトだと認めさせようとしている。ヒヨリの言葉なら、認めると思ってそんなことをしているのだろう。私を落とすために、ヒヨリを利用して……!
「そういえば姉さん、今は何のバイトをしているんですか?」
「バイトなんてしていない!私はただの住民だ!」
「へぇ〜、訳あり物件に住むだけのバイト……!そんなのあるんですねぇ……!」
「違う!そんなバイトに就いた覚えはない!」
「変なバイトもあるんですねぇ、辛くて苦しくなさそうです。どうですか?楽しいですか?」
「していない!知らない!私はバイトじゃない!!」
私はスマホを耳から離し、通話を切る。すると目の前で画面が勝手に操作され、ヒヨリにまた通話が繋がりそうになる。今度はメッセージアプリが開かれ、私の知る全ての連絡先に通話してくれとメッセージを送ろうとしてきた。くそ……誰かが操作している……きっとこの部屋にいる、私には見えない誰かが!
「鬱陶しい!!」
懐からハンドガンを取り出し、スマホに向けて発砲する。スマホには風穴が開いて画面も暗転し、機能は完全に停止した。強引だが、これで他の人達を巻き込むようなことはされないはず。壊れたスマホを投げ捨てた。
(ドアを乱打する音)
……まだご婦人の声が聞こえてくる。時間もそんなに経っていない。……一体何なんだ、最終日に急にギアを上げてきて……。
今までは私は見えないけどアパートの近隣住民やヴァルキューレ生徒には認識できる状態だった。ご婦人の追求もここまで酷いものじゃなかったし、他人の会話に割り込んでスマホを操作するようなこともなかった。
ここにいる何かは、私に事故物件ロンダリングのバイトだと認めさせようとしてる。そうして何になるかは分からないが、どうしてそうまでして認めさせようとするんだ? - 174二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 00:21:44
『ねえお嬢ちゃん、何で幽霊は居ると思う?』
『それはね、忘れて欲しくないから。忘れられたら本当に消えちゃうからよ。ここに住んでた子も、きっとそう思ってるわ』
2日目の、ご婦人の言葉を思い出す。だがいまいちピンと来ない。ここにいる何かは、自殺した前の住民なのだろうか?それが忘れて欲しくないから、変な現象を起こして私がバイトだと認めさせている?私が事故物件ロンダリングのバイトだと白状したら、忘れられずに、消えずに済むと言うことか?
(足音?)
寝室から音がした。かなり激しい、バタバタと大きな足音だろうか。ヒヨリが聞いたのはこの音か?とりあえず、様子を見に行こう。私はアサルトライフルを構え、寝室に入った。
備え付けのベッドと化粧台しかないシンプルな内装。だが天井にはネジを取り付けた跡が残っている。前の住民はあそこにロープを固定し、首を吊って亡くなった。……そのネジの跡が揺れている。ベッドも誰かが跳ねているあるいは蹴っているかのように揺れている。
「……ああ、首を吊っているのか。今も」
そこにいる誰かは見えないが、今も首を吊り続けているのだろう。だからネジの跡が縄で引っ張られてるかのように揺れていて、あの大きな音は、苦しくて足を地面につけようともがいているのだろう。届くけど、楽になりたいから、地面を蹴っているんだ。本能に逆らってまで死にたかったんだ。死に続けているんだ。そんな気がした。
「……見せつけて、一体何がしたいんだ。私はただの住民だ。お前のために何もできないぞ」
これには不思議と恐怖を感じなくて、素っ気なく呟いた。実際私にはどうしようもない。すると玄関の方から、今まで聞いた中で1番大きなご婦人の声が聞こえてきた。
「認めなさいよ!!貴女は事故物件ロンダリングのバイトでしょ!!?ねえ!!!」
それと同時に寝室の揺れは激しくなる。何も感じないが、私の周り……部屋中に誰かがいて睨みつけてるような気がする。私は深呼吸し、答えた。
「……違う。私は事故物件ロンダリングのバイトじゃない。ただの住民だ」
ベッドからタオルケットだけを取り、リビングに戻って隅っこに座り込む。タオルケットに饅頭のように包まって、アサルトライフルを抱き締め、私の恐怖を宥めた。 - 175二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 00:22:32
ご婦人も、この部屋の何かも、まるで私はここにいると言わんばかりに騒ぎ続けている。無視する、忘れる、いないものとする。それが1番な気がした。私は部屋の隅で小さくなり、朝を待った。
________日が登るにつれて玄関と寝室から音がしなくなる。いつしか無音になり、それでも私は白饅頭であり続けた。すると、部屋の外から誰かが歩いてくる足音が聞こえてくる。この家の扉の前で止まった。
(鍵を開ける音)
「バイトさ〜ん、起きてますか〜?」
雇い主の不動産会社の社員だ。私はすぐに立ち上がり、玄関へと向かった。
「起きているぞ」
「ああ、よかったです。お疲れ様でした。注意事項も、しっかり守ってくれたようですね」
社員のロボットはディスプレイに笑顔を表示させる。そしてビジネスバッグから封筒と書類を取り出した。
「こちらの書類はバイトさんの退去と、バイトさんが1週間住んでくれたことでここが心理的瑕疵物件……つまり訳あり物件じゃなくなった、ここはお化けなんていない普通の家だという証明書です。サインをお願いします」
社員はこちらにペンを差し出してくる。受け取ろうと手を伸ばす……が、手が止まった。
「……一つ聞きたい」
「はい?何でしょうか?」
「ここの隣にはご婦人が住んでいたはずだが」 - 176二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 00:26:06
「ご婦人?ああ………誰も住んでませんよ」
心当たりがあるらしい、だが社員がそれを明かすことはなかった。
「………バイトさん、どうして幽霊は居ると思いますか?」
「………忘れて欲しくないから、だろうか。忘れられたら、本当に消えてなくなるから」
「ええ、私もそうだと思います。だから幽霊達は邪魔をするのです」
社員はもう一枚の書類を取り出した。私がこのアパートに来る前に書いた、バイトの契約書だ。それをこちらに見せながら、学校の先生のように話し始める。
「契約とは強い力を持つ物です。だからそれに違反した場合……今回の場合は『他の住民には自分が事故物件ロンダリングのバイトだとは言わないこと』ですね」
「この注意事項は、私が言いふらすことで部屋という商品の価値が下がることを防ぐためのもの……だったな?」
「はい。これを破った場合は貴女に厳しい処分を……たとえバイトの途中であっても追い出さなければなりませんでした。奴らはそれを分かってるから、利用したのでしょう。ですが、そんなことにならなくてよかったです!」
「そう契約したからな」
「ええ。………そして」
社員は改めてペンと、最初の書類を私に差し出した。
「これも契約の一種です。貴女がサインをすることでバイトは終了……この家で自殺者が出た後に人が住んだ実績ができる。ここは心理的瑕疵物件じゃなくなる。訳あり物件じゃないんだから、お化けなんているわけないですよね?」
「……いなくなった奴らはどこに行くんだ?」
「その先は私も分かりません」
社員は笑顔を崩さない。数秒視線を交わし、私はペンと書類を受け取る。壁を机にして書類に自分のサインを書き、そして返した。
「ありがとうございます!これでこのアパートを売りに出せます!世間が忘れる頃には賑やかなアパートになりますよ!」
「……役立ったなら何よりだ」 - 177二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 00:27:19
その後、簡単に荷造りをして1週間住んだ部屋を出る。社員に鍵を返し、施錠までを見届けた。
「それにしても全く、不謹慎だとは分かっていますが、どうしてここで自殺するんでしょうね!バイトさんを雇うの大変なんですよ!」
「……まあ、本人にしか分からない苦しみがあったんだろう」
「それは分かってますが、不動産会社としてはそんなの知らないですよ。申し訳ないですが、迷惑としか思えません!」
プリプリと怒る社員に肯定も否定もせず立ち去る。手を振り見送ってくれているようだが、無視して⬛︎⬛︎自治区を出た。
とても住み心地のいい家だった。だが廃墟の方が私にはいいな。少なくとも、あの家よりはずっと。
「________あ、バイトさんに他の物件でもバイトしないかって聞くの忘れてました!まあ、いいでしょう。代わりなんていくらでもいますから」
『……いなくなった奴らはどこに行くんだ?』
「………そんなこと聞かれるのは初めてでしたね。まあ、妨害するくらいなんですから、天国には行けないんでしょうね。さ〜仕事仕事、アパート売るぞー!」
ここだけサオリが裏バイトで働いていて、ひどい目にあったりあわなかったりする世界 - 178二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 00:31:42
最終的に幽霊より人が怖い話だった…
- 179二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 00:34:36
錠前サオリの裏バイト奇譚10
業務内容:事故物件ロンダリング
注意事項: 『他の住民には自分が事故物件ロンダリングのバイトだとは言わないこと」
勤務期間:7日間
給与額:1日1万円×7日=7万円
コメント: 足のつかないスマホの買い替えとヒヨリに奢るコンビニスイーツで給与は吹き飛び、貯金もそこそこ削れた。生プリンは美味しいな。 - 180二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 01:38:49
乙……この不動産の社員が一番怖え
- 181二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 01:41:07
もしかして、これまでの裏バイトでバッドエンドを迎えたサオリ達だったり……?
- 182二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 09:26:36
ひえっ……怪異も怖いけど人間も怖いなぁ…
- 183二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 09:33:30
このレスは削除されています
- 184二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 09:34:07
このレスは削除されています
- 185二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 11:04:13
アパート側の立場からすれば正論ではある
管理人が自殺に追い込んだとかならともかく、
売れなきゃ最悪自分が首を括ることになりかねんし - 186二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 19:27:18
最近1スレ目から読み始めてようやく追いついた
今後も期待 - 187二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 19:33:50
実際にありそうなのがなんとも…
そして、勝手にヒヨリに奢る約束をするなりすまし悪霊ムーブ!!!コレが地味に(サイフに)ダメージ与えてやがる!! - 188二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 20:17:40
忘れてほしくない悪霊と忘れさせたい管理会社に挟まれたサオリ…カワイソ…カワイソ…
このサオリなら曰く付きの村や島に行っても帰って来れそうだな… - 189◆yQm0Ydhu/2pS24/07/16(火) 20:47:03
いつも読んでいただきありがとうございます。次のバイトは次スレで進めることにしました。こちらが次スレです。
錠前サオリの裏バイト奇譚3【SS、微ホラー】|あにまん掲示板自分探しのために色んなアルバイトをして各地を放浪する錠前サオリ。だがその中には恐ろしいものが隠されている危険なアルバイトもあった。これはそんな危険なアルバイトにうっかり勤めることとなったサオリのお話。…bbs.animanch.com - 190二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 20:48:44
た
て
お
つ - 191◆yQm0Ydhu/2pS24/07/16(火) 20:49:36
- 192二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 21:51:01
追いついた!スレを追いかけるのなんて初めてだけど、更新が楽しみです。
- 193二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 21:53:36
うめ
- 194二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 23:57:06
埋め〜
- 195◆yQm0Ydhu/2pS24/07/17(水) 00:23:00
皆さんありがとうございます埋め
- 196◆yQm0Ydhu/2pS24/07/17(水) 00:23:14
😋
- 197◆yQm0Ydhu/2pS24/07/17(水) 00:23:26
うめうめ
- 198◆yQm0Ydhu/2pS24/07/17(水) 00:23:42
うめ
- 199◆yQm0Ydhu/2pS24/07/17(水) 00:24:03
🤤
- 200◆yQm0Ydhu/2pS24/07/17(水) 00:24:19
梅