- 1福丸は俺24/07/07(日) 00:15:56
- 2二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 00:16:46
- 3二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 00:17:54
「知ってるとは思うが、ウチは貧しくてね」
「私と妻……そしてことねの3人で食っていく分には問題なかったんだが」
「弟妹達が増えるに連れて生活は苦しくなっていった」
「ことねには不自由な思いをさせたなァ……遊園地だって小さい頃に一度連れて行ったきりだよ」
「それでもどうにか家族を養っていこうと必死に働いたよ」
「妻は私を支えてくれたし、ことねも小さいながら弟妹達の面倒を見てくれた」
「だが、働けども働けども金は増えず、食い繋ぐので精一杯だった」
「子ども達が大きくなれば学費も掛かる。食費だって上がる」 - 4二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 00:18:27
「正直言って八方塞がりだった」
「私達家族には先がなかったんだ」
「そんな時だった。……ことねが『初星学園に入りたい』と言い出したのは」
「『アイドルになって、大金持ちになって、家族みんなを養う』と」
「なんて優しい子だろう、と思った」
「ことねは小学生にして家族全員を養うことを考えていた」
「……だが同時に自分が情けなくも感じた」 - 5二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 00:18:48
「ことねを初星学園に入学させるにあたって、大きな問題に直面した」
「学費……ですね」
「…………そう。私達はあの子を公立の中学に進学させるつもりでいたし、その為の蓄えはあった」
「……だが、初星学園の入学費用は、私達に払えるような金額ではなかった」
「…………」
実際のところ、初星学園の生徒は比較的裕福な家庭の子どもが多い。
苦学生の為の救済措置があるにせよ、家庭の経済事情による有利不利が大きいのは否めないのが現状だ。
「だからやむを得ず、借金をして学費を支払うことにした」
「ことねを初星学園に入れる為には……そうするしかなかった」 - 6二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 00:19:08
「ことねさんに初星学園を諦めさせる……という考えはなかったんですか?」
「学費のことをちゃんと話せば、ことねさんも諦めてくれたのでは?」
「……もちろんそれも考えた」
「だけど、どうしてもあの子を初星学園に行かせてあげたかった」
「『大金持ちのアイドル』になる可能性に賭けたかったと?」
「違う。借金なんて私が働いてなんとかするつもりだった」
「…………アイドルが……あの子の夢だったからだ」 - 7二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 00:19:35
「私はことねに何も与えられなかった」
「それどころか小さな頃から我慢ばかりさせてきた」
「何も文句も言わずに幼い弟妹達の面倒を見る良い子だった」
「アイドルは…………そんなことねの唯一の夢。唯一の憧れだった」
「重要なのは稼げることじゃない」
「アイドルになることこそが重要だったんだ」 - 8二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 00:20:12
「……だが、結果として私達の生活は破綻した」
「以前の仕事では家族を養い、ことねの学費を稼ぐことはできなかった」
……以前の仕事。
そういえば、藤田さんのお父さんのことを調べた時、長年勤めていた会社を辞めたと……
「このアパート……ボロ臭いだろう?」
「えぇ……まぁ」
「ここは今の職場の社員寮でね。ボロくて狭いが無料同然で住まわせて貰ってる」
「危険な仕事だが……給料も断然良い」
「…………!」
…………そうか。
そういうことだったのか。 - 9二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 00:20:31
「藤田さんは家族を捨てたんじゃない……」
「家族の為に……家を出たんですね」
「…………」
お父さんは否定も肯定もせず、ただ黙っていた。
その痩せた身体も、少しでも多く仕送りする為で……
極端に部屋に物が少ないのも、趣味も何もなく、余計な出費を避けたからで……
この人は家族の為だけに生きているんだ。
たった独りで…… - 10二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 00:21:07
「……ことねさんは、あなたが借金苦で家を出て行ったと。そう言っていました」
「どうして事情を説明しなかったんですか?」
出稼ぎのことを知っていればもっと……
「あの子は優しいから、高額な学費のことを知れば『アイドルを諦める』と言うだろう」
「必要なのは『追い込み』だった」
「後に退けない状況こそが必要だった」
「借金を残して藤田さんが逃げ出せば、ことねさんがアイドルとして大成するしかない……と?」
「……そうだ」 - 11二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 00:21:32
「ことねさんはかなりギリギリの状態でした」
「アルバイトとレッスン漬けの日々で身体は疲労困憊」
「次年度の学費が払えないことでの将来の不安」
「俺がことねさんと出会った時点で、彼女はいつ壊れてもおかしくなかった」
「藤田さんはそれでよかったんですか」
「……それに関しては申し訳ないと思っている」
「私の世界一可愛いことねならすぐにアイドルデビューして学費程度ならすぐに稼げるとたかを括っていた」
「私は正直アイドルをナメていた……」
「はぁ……なるほど」 - 12二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 00:21:59
「……だが、そんなことねを君が救ってくれたんだな」
「俺はただ、ことねさんが輝く為の手助けをしただけです」
「今のことねさんがあるのは彼女が努力してきた結果ですから」
「そうか」
「それでも礼を言わせて欲しい」
「娘を……見つけてくれてありがとう」
「こちらこそ。ことねさんを初星学園に入学させてくださり、ありがとうございました」 - 13二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 00:27:18
親も世界一かわいいと思ってるのか
まぁ世界一かわいいからね - 14二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 01:28:52
やっぱり一気に書き上げていっぺんに当科した方がいいよ
- 15二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 10:50:45
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- 16二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 19:10:16
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- 17二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 23:04:17
「藤田さん。ことねさんにあなたの居場所を話しても構いませんか?」
「あぁ……でも」
「ことねは私を恨んでるだろうなァ」
借金を残して家を出た父親。
事実がどうであれ、少なくともことねさんはそう思っている。そう思わされている。
恨まれるのも無理はない。普通なら。
……しかし、俺は知っている。
「ことねさんはあなたを恨んではいません」
「帰ってきた時に『借金全部返しといてやったぞ』って言ってやるんだと、息巻いてましたよ」
「…………そうか」
「ははっ……そうか。そんなことを……」 - 18二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 23:04:42
「はい。ですから……」
「藤田さん。家族の待つ家に帰ってください」
「…………っ」
「もう充分です。家族の為に身を削るような生活は」
「しかし……」
「ことねさんはトップアイドルになります」
「世界一稼げるトップアイドルに……俺がしてみせます」
「だから……もう休みましょう」
「…………あぁ」
「あぁ…………………!!」 - 19二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 23:05:07
藤田さんのお父さんは俺と約束した。
今すぐとまではいかないが、藤田さんの収入が家族を養えるくらい安定し……
お父さんもまた、仕事が落ち着いたら退職し、家族の待つ家に帰ると。
あとは藤田さんが稼げるアイドルになれば良い。
早くお父さんのことを伝えてあげたい。
「プロデューサー君」
帰り際、お父さんに呼び止められた。
「何でしょうか」
「ことねを……頼んだよ」
真剣な眼差しでお父さんはそう言った。
「はい。ことねさんは必ず俺が幸せにします」
今更言われるまでもないことだ。
そして俺はお父さんの家を後にした。
「…………はは。まるで娘の彼氏が挨拶に来たみたいだな」 - 20二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 00:22:58
もう逃げられないぞP
- 21二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 06:56:02
逃げる気はありませんから
- 22二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 13:21:44
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- 23二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 00:02:07
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- 24二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 01:23:13
藤田さんのお父さんは家族の為だけに生き、単身家を出て身を粉にして働いた。
藤田さんはお父さんが出て行ったこと、そして借金に責任を感じてレッスンを受けながらもバイト漬けの日々を送っていた。
藤田さんのお母さんは全てを知った上でそれぞれの気持ちを尊重し、何も言わないことを選んだ。
いずれも家族を想っての行為だった。
それはきっと最適解ではなくて
他にもっと正しい選択肢はあったと思う。
しかし、それでも愛する家族を守る為の選択で。
だから俺はそれを間違いとは言いたくない。
だから俺はそれを間違いにはさせはしない。 - 25二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 01:23:38
翌日。
藤田さんに大切な話があると伝え、事務所代わりの教室に呼び出した。
……俺は今日これから、藤田さんにお父さんのことを伝える。
御両親から伝える許可は得ている。
プロデューサーとして『大丈夫』と思う時が来れば話しても良い、と。
そもそもお父さんのことを伏せられていたのは、藤田さんが学園を辞めずに、頑張らざるを得ない状況を作るためだ。
大きく成長し、前向きにより高みを目指す今の藤田さんには最早それも必要はない。
だから真実を伝えても問題はないはずだ。 - 26二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 07:08:38
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- 27二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 15:33:45
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- 28二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 01:41:14
「プロデューサー。言われた通り来ましたよ〜」
「(大事な話があるから授業終わったら来るように……って言ってたけどなんだろ?)」
「(うわ、なんかすっげぇ〜真剣な顔)」
「お疲れ様です。藤田さん」
「(え……もしかしてプロデュース契約打ち切り? 重過ぎて面倒見切れなくなったとか?)」
「いやいや! それはないってぇ〜。プロデューサー、あたしのこと超好きだし……」
「(じゃあもしかして……愛の告白……?)」
「藤田さん。 …………藤田さん!」
「はいぃ!」 - 29二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 01:41:58
「それで、早速大事な話の件ですが……」
「端的に言うと、藤田さんのお父さんが見つかりました」
「…………え……」
藤田さんは驚いたような、困惑したような、複雑な反応を示した。
考えもしなかったはずだ。
俺の口からそんな話が出るなんて。
「どういうことですか……?」
「お父さんはどこに……どうやって分かったんですか……?」
事情を説明するにもお母さんのことは秘密にする約束だ。
若干の嘘を織り交ぜながら、話せる範囲で経緯を説明した。 - 30二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 07:14:05
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- 31二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 18:13:24
ほす
- 32二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 23:29:53
「……そーですか……お父さん、あたしたちを捨てたんじゃなかったんだ……」
「藤田さんをこの学園に入れる為に借金をした。これは事実です」
「ですが、お父さんはそれについて後悔はしていない……と」
「お金のことよりも、自分の暮らしよりも、藤田さんの夢が大切だったんです」
「お父さんは今でも藤田さんを愛していますよ」
「…………プロデューサー」
「はい」
「……ありがとうございます」
その目には涙が浮かんでいた。
当然だ。お父さんのことはずっと藤田さんの心を縛りつけていたはず。
藤田さんの救いになれたとしたら、そんなに嬉しいことはない。 - 33二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 23:30:34
「藤田さん」
「お父さんに会いたいですか?」
「え……会えるんですか?」
「藤田さんが望むなら」
「…………」
「……すみませんプロデューサー……今はまだ会えません」
「いいんですか?」
「あたしがもっと稼げるようになったら、家族みんなを養えるくらいの大金持ちになったら」
「そしたらお父さんは帰ってきてくれるんですよね?」 - 34二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 23:31:05
そうだ。確かにそう約束した。
「だったら、あたしがお父さんと会うのはその時です」
「ごめんねって……それからありがとうって言いたいけど」
「今はまだ会いません」
「…………分かりました」
「藤田さんがそう考えるなら、それで構いません」
「では、そうと決まれば一刻も早く大金持ちにならなければなりませんね」
「…………!」
「はい! これからも稼げるお仕事、いっぱいお願いしますね。プロデューサー♪」 - 35二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 06:55:55
藤田・・・
- 36二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 11:50:01
藤田家の未来はPの手腕にかかっている
既に家族の一員か? - 37二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 22:30:09
もう家族でしょ
- 38二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 23:23:00
「えへへ……ぷろでゅ〜さぁ〜……」
「何一人でニヤニヤしてるの。気持ち悪い」
「はぁ!? ニヤニヤなんてしてねぇーし!」
「あたしのプロデューサーがあたしのこと好き過ぎて困っちゃうな〜って思ってただけ」
「……聞いて損した」
「聞いて欲しいなんて言ってないじゃん」
「……で、どうしたそう思ったの」
「って聞くんかい。まぁいーけど」 - 39二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 23:23:31
「いっつも飲み物とか貢いでくれるし〜」
「なんかもう、あたしのためならなんでもするって感じぃ?」
「しかもこの前なんかあたしが実家に帰るってときに、離れたくなさ過ぎてわざわざ着いてくるしぃ」
「いつのまにかお母さんとも仲良くなってたし、ちびどもなんて『姉ちゃんの彼氏、次はいつ来んの〜?』なんて騒いで大変なんだよねぇ〜」
「うわ……どう考えてもプロデューサーと担当アイドルの範疇超えてるよ」
「もし私にプロデューサーがついたら、ことねと違ってプライベートは持ち込まないし、踏み込ませない」
「はいはい。勝手に言ってな〜」
「まぁ……ときどき不安になっちゃうけどねぇ」 - 40二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 07:19:42
毒チワワ
- 41二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 18:24:56
惚気話
- 42二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 02:07:03
確かにことねのためならなんでもしそう
- 43二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 06:23:15
ほ
- 44二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 13:23:07
す
- 45二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 23:08:03
「藤田さん。来週の仕事の資料が来たので目を通しておいてください」
「は〜い。ありがとうございま〜す」
「…………う〜ん」
「何か気になりますか?」
「や、お仕事には関係ないんですけどぉ」
「プロデューサー、この前みたいにあたしのこと名前で呼んでくれないんですか?」
「…………」
「……ハァ?」 - 46二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 23:08:25
「そんな冷たい目で見ないでくださいよぉ!」
「ほら、この前は『ことねさん』って名前で呼んでたじゃないですか」
「それは付き合っている振りをしていたからでしょう」
「わざわざ呼び方を変える必要もないかと」
「えぇー、でも苗字で呼ぶのってなんか他人行儀じゃないですかぁ?」
「…………それともぉ♪ あたしのこと好き過ぎて照れちゃってます?」 - 47二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 23:09:42
「いえ、それは別に」
「……まぁ、その方が良いと言うのであれば、呼び方を変えるくらい構いませんが」
「おお! じゃぁ試しにあたしのこと呼んでみたください!」
「分かりました。 では──」
「……ことね」
「…………」
「…………どうしました? 真っ赤になって塞ぎ込んで」
「ちょ……タイム……」
「あと呼び方は元のままで……」 - 48二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 07:55:47
ほ
- 49二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 17:05:10
あ
- 50二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 19:12:31
プロデューサーの事が好きすぎないか?
- 51二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 23:30:39
「逆にプロデューサーって、『こう呼ばれたい』みたいなのってあります?」
「特別に大好きな担当アイドルのあたしがリクエストに応えちゃいますよ♪」
「呼ばれ方……ですか」
「ほら、あたしは普通に『プロデューサー』って呼びますけど、一応目上の人なんで『プロデューサーさん』って呼ぶ子も学園に結構いるんですよ」
「中にはもっと変な呼び方してる子もいますけど」
「あまり意識したことはありませんでしたが……」
「まぁ、表現力を磨くのにも繋がりそうですし、やってみましょう」 - 52二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 23:31:06
「ではまず『先輩』と呼んでみてください」
「プロデューサーって歳下の女の子から『先輩♡』って慕われたいんですか?」
「表現力の特訓です。他意はありません」
「ほんとかなぁ〜……じゃあ、やってみますネ」
「コホン…………せんぱぁ〜〜い♪」
「──どーですか?」
「…………」
「バイクに乗ったら豹変する警察官の姿が浮かびました」
「今のはあたしもちょっと違うなって思いました! もう一回やらせてください〜!」 - 53二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 08:04:35
ブォ…
- 54二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 17:07:12
このレスは削除されています
- 55二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 23:03:14
「こほん……じゃあ今度こそいきますよ──」
「せ〜んぱい♪ 一緒に帰りましょ♡」
「…………おぉ」
「ど〜ですか!? キュンと来ました!?」
「良いですね。後輩属性の持つ可愛さと藤田さんの持つあざと可愛さが合わさって相乗効果となっています」
「ファンが見たら大喜びすると思います」
「や、それも嬉しいんですけどぉ」
「プロデューサー的にはどうなんです?」
「…………そうですね。個人的な好みで言うなら」
「後輩キャラは素直で大人しくて奥ゆかしい方が好みと言っておきます」
「…………な……」
「(なんだそりゃ〜〜〜〜!? ヒくんですけどぉ〜〜〜〜!!)」 - 56二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 23:03:44
「次いきますよ! 次!」
「今度は逆にお姉ちゃんキャラとかど〜ですか!?」
「知っての通りちびどもの面倒見てるんで、これはちょっと自信ありますよ!」
「ほう……お姉ちゃんですか」
「ちなみに俺のことはどう呼んでくれるつもりですか?」
「え……? え〜と……弟君……それかプロデューサー君……とかですかね?」
「…………はぁ」
「なんで溜息つくんですか!?」 - 57二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 23:04:22
「確かに藤田さんの持つお姉ちゃん力はなかなかのもの……」
「ですが今藤田さんが演じようとしているお姉ちゃんとか系統が違います」
「弟に対し「○○君」と呼ぶタイプのお姉ちゃんは言わば“包容型”」
「これは豊満な身体を持つお姉ちゃん、或いはおっとりとした雰囲気を持つお姉ちゃん向きのお姉ちゃんですね」
「藤田さんのお姉ちゃん適正は『自然型』……」
「飾らずにあくまで自然体で弟の面倒を見るタイプのお姉ちゃんです」
「つまり、弟を呼ぶときも一切余計なものは付けずにただ名前で呼ぶのが正しくて……」
「…………」
「(やべー、なんか変なスイッチ点いちゃった)」
「(ていうか……マジでヒくんですけどぉ……)」 - 58二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 23:47:34
わ か る
- 59二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 06:50:25
シリアス時との温度差
- 60二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 18:03:19
ほ
- 61二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 23:29:09
藤田さんにお父さんの件を話してから2ヶ月ほど。
今、藤田さんは確実に伸びている。
レッスンは以前にも増して意欲的に取り組んでいるし、仕事のクオリティも格段に上がった。
これならばアルバイトをする必要もなく、充分なギャラを稼げるだろう。
俺も引き続きできる限りのサポートをしなければ……
──そう思った矢先の出来事だった。
学園から呼び出しを受けて知らされた。
藤田さんがレッスン中に倒れたと。 - 62二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 23:30:10
もう少しで終わります
- 63二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 07:19:19
不穏
- 64二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 16:40:32
不幸があるから幸せが倍増するんだ
- 65二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 23:56:14
知らせを受けたとき、耳を疑った。
何もかもが順調に良い方へと進んでいた。
藤田さんの抱える問題も、二人の夢も。
……そう思っていた。
先生から知らせを受けると、その後に入っていた講義をすっぽかして保健室に駆け込んだ。
戸を開けるのが怖かった。
目の当たりにするのが嫌だった。
けれど、そういう訳にもいかない。
軽くノックして、保健室の戸を開いた。 - 66二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 23:56:54
「藤田さん……!」
「……あ、プロデューサー」
藤田さんは保健室のベッドで横になっているものの既に目は覚めていた。
俺が来たので、身体だけ起こして二人向かい合う。
「えーと……すみませんでした。プロデューサー」
藤田さんは少し申し訳なさそうに笑って言った。
「……藤田さんが謝るようなことはありません」
「俺の責任です。気づけなかった俺が悪い」 - 67二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 07:20:42
ほ
- 68二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 18:23:40
す
- 69二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 00:05:25
疲労が溜まっていたのだろう、と先生は言う。
知っていたはずだ。
近頃オーバーワーク気味だったことも。
家族の為に無理をする藤田さんの性格も。
何を見ていた。
何を考えていた。
これではプロデューサー失格だ。
「あの……プロデューサー……?」 - 70二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 00:05:46
「そんな顔しないでください」
「ちょっと疲れちゃっただけですよぉ。怪我も病気もないんです」
「少し休んだらまた頑張りますから!」
「だから……元気出してくださいね?」
見舞いにきたはずが、俺の方が励まされている。
そんなに顔に出ていただろうか。
「…………そうですね」
「まずは休養を優先しましょう。レッスンも仕事も回復するまではお休みです」 - 71二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 00:06:20
「あの〜その間バイトは……」
「当然禁止です」
「ですよねぇ〜……なんて」
「大丈夫です。ちゃんと分かってますから! あの時とは違いますよ!」
「ゆっくり休んで、元気になってきまぁす♪」
あの時……藤田さんとプロデュース契約を結んで間もない頃。
あの時は部屋で休むように言ってもこっそり抜け出してバイトに行こうとしていたのを思い出す。
いつ抜け出しても良いように、俺は女子寮に張り込んで監視していた。
藤田さんもそれは同じだったようで、二人して笑った。 - 72二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 07:09:58
保守
- 73二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 12:09:35
あ
- 74124/07/19(金) 21:45:34
今日はお休みします
- 75二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 02:01:51
>女子寮に張り込んでいた
さりげなく明かされる爆弾発言
- 76二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 06:42:08
ほ
- 77二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 17:37:43
ほしゅ
- 78二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 22:45:15
ほ
- 79二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 08:38:44
このレスは削除されています
- 80二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 17:40:00
このレスは削除されています
- 81二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 00:27:52
時間が解決してくれる。
……あの時はそう思っていた。
ただ疲れているだけだと。
休めば元通り、元気になると。
しかしそうではなかった。
俺の考えが浅かった。
人の心を簡単に考えていた。
彼女は単純で乗せやすい。
その考えが甘かった。
休息を取っても……藤田さんの調子が戻ることはなかった。 - 82二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 00:28:20
「おぉ藤田。復帰したのか」
「はい。今日からまたレッスンお願いしまぁす♪」
「あぁ。身体も鈍っているだろうから、まずは簡単なステップからいくぞ」
藤田さんが休養から明けた日。
この日は早速ダンスレッスンが入っていた。
できれば同席したかったが、どうしても外せない講義が俺の方にも入っていて、それは叶わなかった。 - 83二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 07:24:32
このレスは削除されています
- 84二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 17:44:07
このレスは削除されています
- 85二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 23:57:41
講義を終え、遅れて入ったレッスン室。
俺はそこで信じ難い物を見た。
「遅れてるぞ藤田!」
「はぁ……はぁ……はい!」
藤田さんがダンスレッスンで躓いている。
それ自体は構わない。
病み上がり。久し振りのレッスン。
いきなり本調子とはいかないだろう。
しかし、今のステップは……
「どうした。これは基本のステップだぞ」
「…………っ」 - 86二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 23:58:11
そうだ。
いくら病み上がりといえど、藤田さんの身体能力ならなんてことはないはずだ。
これはいったいどうしたことだ。
「藤田さん」
「あ……プロデューサー……」
藤田さんは俺がいるのにも気づいていなかったようだ。
顔を見るなり気まずそうに俯いた。
「まだ本調子ではないようですが」
「…………っ!」
「どこか身体が痛みますか?」
「……いえ。大丈夫です……すみません」
「そろそろ時間なんで……あたし、もう行きますね」
藤田さんはそう言って、逃げるようにレッスン室を出て行った。 - 87二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 07:19:43
ほ
- 88二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 17:20:13
これは病ですね