【SS】「でも嬉しいなあ、僕みたいな人間でも熹一さんは灘の皆さんとの旅行に誘ってくれた」

  • 1◆4xa5MmaQeTX524/07/07(日) 03:25:07

    「…で行き先はどこなんですか?」

    「ニューヨークです」

     刹那、長岡龍星の表情筋が面白いほどに引き攣った。喜びをあらわにしながらも、内心では国内旅行だろうと思っていた、悪く言えば高を括っていた節があったのだから仕方ない。日本列島とせいぜい台湾あたりまでしか映していなかった彼の頭の中のマップが、慌ててアメリカ東海岸へと視点を移していく。

     フリーズした思考をどうにか再起動して、龍星は念を押してみた。

    「マジですか?」

    「マジっす」

     あまりにもにべもない受け答え。相も変わらずさらりと答える熹一の態度に、龍星の困惑が深まる。

    「いや……楽しそうですけど、なぜまた急にアメリカに?」

     当然口に出されるその疑問に、いっそう意地の悪い笑みを浮かべて、熹一が語り出す。

    「お前も格闘技やってんのやから、名前くらいは聞いたことあるやろ──というかワシがいっぺん話してやったか」

     熹一はおもむろに歩き出し、手近な椅子へと歩を進める。そのまま彼は語り出した。


    「数年前まで、ある世界的なイベントがあった。世界最高の異種格闘技トーナメントとして全格闘技ファンからお墨付きをいただいてとったが……主催者の一人とその弟が不祥事で逮捕。理由としては麻薬密売組織の元締めやからってことになっとるが、実際それ以上のホコリが叩けばいくらでも出てきたやろな」

    「そのトーナメントって……ま……まさか……」

     思い当たる節があったのか、驚愕の裏に抑えきれない好奇心を覗かせた表情で、龍星が呟いた。その顔を見た熹一がニヤリとひときわ口角を上げ、ある事実を告げる。

    「そんな不名誉な終わり方をしたイベントやったが、最近どっかの物好きが元スポンサーどもに声掛けたらしくてのォ。今年から晴れて復活と相成ったんや」

     椅子にドカッと腰を下ろして、熹一は口元を緩めたまま、しかし今度は目に真剣なものを湛えて、話を続けた。

  • 2◆4xa5MmaQeTX524/07/07(日) 03:25:33

    「こっからが本題やで。ワシは友達にちょっとしたツテがあってのォ……というか、前回もそいつに誘われたんやけどな。まあとにかく、出たかったらそいつを通してスポンサーの一人にちょこっとお願いすればオッケーなんや」

     滔々と語る彼の表情に、徐々に懐旧の情が浮き出る様を、龍星は見た。

    「出るとしたら日本予選と本選があるが、曲がりなりにもワシは前回”優勝者”。大会自体に変なミソが付いたとこでそれは変わらん。向こうも今更予選から出ろなんて今度こそ言うてくるわけない」

    「今度こそって?」

    「あっいや、こっちの話……」

     ごほんとわざとらしく咳払いして、熹一は話を戻す。


    「しかし、ワシにも武道家としてのプライドがある。まあ格闘技の大会なんて所詮ビジネスやし、コネで出場するの自体はええんやけど、そのコネに胡坐をかいて威張るような真似はしとうない。鬼龍やあるまいし。そこでや」

     熹一が体を前に傾け、右の拳を差し出して、人差し指をピッと立てた。

    「ワシは今回不参加でもいいと……ただ出ないんやったらその代わり、日本予選でも本選でもええ、この灘神影流の宮沢熹一が推薦する枠をひとつ、用意したってくれと。そう伝えた」

     そこまで言うと熹一は身体を起こし、両手を広げて大げさな笑顔を見せる。

     その芝居がかった仕草に、龍星は思わず苦笑したが、突っ込みはしなかった。目の前の男が”それ”に対して抱く強い思いが、理解できたからだった。

     楽しくて仕方ないという感情が、伝わってきたからだった。

    「そんで昨日、リキちゃ──友達が返事を持ってきたんや! ワシに関してはむしろ出てくれ言われた、そして推薦枠の件も”予選から”いう条件付きで承諾を得た、ってな。年甲斐もなくはしゃいどったわ」

     少しの間くつくつと笑うと、熹一はポケットを漁り、一枚の紙を取り出す。派手な流線形のロゴが記された、骨のように白い紙。


     それは招待状だ。

     来る戦いの始まりを告げる、小さく、薄く、だがずしりと重たい、特別な紙切れだ。

    「ハイパー・バトル。宮沢熹一さんの推薦のもと、長岡龍星クンを日本予選に招待します! ……なんつって♡」

  • 3◆4xa5MmaQeTX524/07/07(日) 03:25:50

     現れたその一枚を、穴が開くほど凝視して──
     龍星はようやく、自分の頬が、いつの間にか緩みきっていることに気が付いた。
    「まっ、蹴ってもええけどな。ただ、これを勝ち抜けばニューヨークでの本選に進める。血に飢えた”自称”世界最強のアホどもと、心ゆくまでやり合えるでェ」
    「なるほどです。ハイパー・バトルの本選スケジュールは結構余裕があったはず。つまり、試合の合間合間にニューヨーク観光ができるというわけですか」
    「そういうことや。ニューヨークはええで~? 華やかで、危険で、楽し~いとこや」

     そう言って、虎の子が再び上体を倒す。
     そして龍の子の眼前に、招待状を、否──

     ──挑戦状を、ちらつかせた。



    「どや、ワシと勝負せえへんか」

  • 4◆4xa5MmaQeTX524/07/07(日) 03:26:15

    やあ

    私は、バーボン・マッスル。

    このスレを開いた君は選ばれし者

    5000万ドルを掴むチャンスを与えられた強き者

    このバトル・キング・マスクはサービスだから、まず着けて落ち着いて欲しい。

    単刀直入に言おう

    うん、「また」なんだ。済まない。

    仏の顔もって言うしね、龍星のように謝って許してもらおうとも思っていない。

    でも、このスレタイを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない

    ”突然変異のときめき”みたいなものを感じてくれたと思う。

    殺伐とした世の中で、そういうめちゃくちゃ強い気持ちを忘れないで欲しい

    何よりも”心”が大事なんだ

    そう思って、このスレを立てたんだ。

    じゃあ、腕に自信のある者は今すぐ日本に行け

    龍星を失神KOさせろ

    急げっ乗り遅れるな

    5000万ドルを掴み取るんだ

    “ドラゴン・ラッシュ”だ

  • 5二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 03:29:25

    貴様ーッ

    貴様ーッ

  • 6二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 03:31:05

    この有能が
    続き気になるから真面目に書いて欲しいと思っちゃうじゃねえか

  • 7二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 03:31:56

    読むからこんな場末じゃなくてハーメルンかピクシブに投稿してくれって思ったね

  • 8二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 03:32:05

    うわっちょくちょく自然に語録を混ぜ込んでいるやん
    あははこれは見事y
    貴様ーッ

  • 9◆4xa5MmaQeTX524/07/07(日) 03:38:33

    ちなみにさっきスレ画の語録で何か立ててえなあ…って考えてたら思いついたのを
    眠れないついでに2時間ぐらいで書き起こしただけだから真面目に続きは無いらしいよ

  • 10二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 03:39:25

    なんて…なんて懐かしいノリなんだ…

  • 11二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 03:41:25

    出たな
    決勝戦は一般非公開とかいうクソみたいな格闘大会

  • 12二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 03:47:02

    ふざけんなよボケが

  • 13◆4xa5MmaQeTX524/07/07(日) 06:30:07

    俺はバーボン・マッスルだあっ
    仮眠して見返したら案の定2か所も修正ポイントが見つかるなんて俺自身には失望したよ
    読んでて気になっちゃったマネモブにはせめてごめんなさいさせてくれよ

  • 14二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 07:39:14

    あのぅスレ主さんさっさと続き捻出してくれませんか?私は突然変異のときめきを抑えられなくて困ってるんですよ

  • 15二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 09:32:06

    あの男はこんなスレを朝の3時半に立てて落とすつもりか…?

  • 16二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 09:35:37

    久しぶりに見たぜバーボンハウス構文
    この至高の釣りスレがこの程度で終わるなんてあまりにももったいない

  • 17二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 09:44:57

    すいません地味にバトキンマスク渡されても着けてるほうが残酷になっちゃって落ち着かないんです

  • 18二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 09:49:12

    何やってんだはやく続きをかけよ!

  • 19二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 09:51:16

    この続きは俺も欲している

  • 20二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 15:32:15

    許せなかった…
    寝る前にこのスレ見つけて ムフッ起きてから時間が出来たらゆっくり読もうね と思って楽しみにしていたのにバーボン・ハウスだったなんて……!!!

  • 21二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 15:54:01

    >>20

    >>20に哀しき現在…

  • 22二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 15:59:29

    マネモブ大丈夫?
    旅行ネタからの復活のハイパー・バトル展開がモロにヒットしたみたいだけど

  • 23二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 16:17:27

    待てよ
    確かに物語はここから面白くなりそうだけど少なく見積もっても
    日本予選編→ニューヨーク観光編⇄オリハイパーバトル本戦×3・4回をやらなきゃいけないから
    めちゃくちゃキツそうなんだぜ
    しかもバトルは全部カットするにしてもニューヨークの知識が絶対いる…

  • 24二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 22:15:46

    うぁあぁうぁうぁぁうぁぁうぁぁあぅう続きをくれぇぇぇぁぇええぇぇぇぇぇぇえ

  • 25二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 22:32:49

    「勝負、ですか?」
    「あぁそうや、ただ渡すのもつまらんしのぉ。それに龍星がいくら強い言うても相手は世界最強クラスの猛者ばかりや、龍星にそいつらと渡り合えるだけの力があるか試させてもらうで」
     そう言うと熹一は龍星に手を振って歩き始める、それを追うように歩を進めるといつものプライベート道場へと辿り着いた。
    「久しぶりですね!キー坊」
    「元気そうじゃねえか」
     道場からは龍星の聞いたことのない声色が聞こえてきた。
    「えっと・・・彼らは?」
    「おうっ ワシの友達のヨッちゃんに朝昇や」
     熹一がそう話すと小柄な方が軽く会釈をした。
    「もしかして熹一さん、招待状を渡す条件って言うのは彼らと戦えとかそういうことですか?」
    「せやな、因みに2対1で戦ってもらうで。世界レベルと戦うならそれくらいのハンデは乗り越えてもらわな困る」
    「おいキー坊、お前俺らを随分弱くみてくれてるな」
    「いいや恐らく彼を強く見ているんでしょう、どうやらかなり手塩にかけて育てているみたいですから。尤も、手加減するつもりもないですけどね」

  • 26二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 23:03:17

    なにっ 続きがきてるっ

  • 27二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 23:17:55

    過去キャラの再登場展開…神

  • 28◆4xa5MmaQeTX524/07/08(月) 00:24:24

    >>25

    (なんか勝手に他モブが続けてるけど)どないする?

    まあ(ワシは丁度ここカットした続き書いたし、見たところ矛盾もしてなさそうやから)ええやろ

  • 29◆4xa5MmaQeTX524/07/08(月) 00:24:40

     空気を切り裂く轟音とともに、巨大な合金の鳥が地に降り立ち、同族と肩を寄せ合い翼を休める。
     やがてその腹からは、無数の小さな影が吐き出され、それらは瞬く間に鉄と硝子の森を縫って、四方八方に散らばってゆく。ある者らは北へ、ある者らは南へ、ある者らは別の鳥の中へ。
     そして、小さな影が出て行っただけ、同じほどの数の影がまた、森の外からやって来る。
     二発の凶弾に斃れた男の名を冠し、四本の滑走路と六棟のターミナルを備え、世界有数の空の玄関口として知られるこの施設は、今日も果てしなく忙しない。

     アメリカ、ニューヨーク州ニューヨーク市はクイーンズ区、ジョン・F・ケネディ国際空港。

    「いやーついに来たのォ合衆国」
    「ですねぇ」

     その建物の一角から、二つの影が、ゆったりとした足取りで歩み出た。
     ご存知、灘の一族、宮沢熹一と長岡龍星である。

    「やっぱりアメリカの空港は広いのォ」
    「こういった場所に来るとそれだけでちょっと楽しくなってきますね」
     大きめのキャリーケースをゴロゴロと引きながら仲良く談笑する姿は、さながら年の離れた兄弟を思わせる。その間に横たわる確執は、近頃はもうずいぶんと鳴りを潜めていた。
    「なんや龍星、修学旅行ではしゃぐ中学生みたいに」
    「はは、でも分かるでしょ? こういう壮大で賑やかな場所から、未体験の世界に足を踏み入れるワクワク感。”心臓”もけっこう喜んでます」
    「確かに浮かれるのは分かるけど……」

     そこで一旦言葉を切り、灘の当主が後ろを見やる。
    「……誰かさんは大丈夫か?」
    「……かなり地に足が付いてない感じです」

     彼らの視線の先には、同じく荷物を手にした日本人が二人。
     一人はいかにも真面目そうな、ビジネススーツに身を包んだ眼鏡の男性。精悍な体つきをしているが、少しばかり膝が笑っており、キャリーケースを杖代わりにしている。
     その傍らに立つは、長くしなやかな白髪を一つ結びにした和装の男性。その左脚をよく見ると、それは派手に光る靴ではなく、物々しい光沢を湛えた義足であるのが見て取れた。
     灘神影流の先代当主、”静かなる虎”宮沢静虎と、その実兄、”誇り高き鷹”宮沢尊鷹である。

  • 30◆4xa5MmaQeTX524/07/08(月) 00:24:56

    「静虎よ、歩けるか?」
    「は……はい。なんとか落ち着いてきました」
     お前はいくつになっても飛行機に慣れんな、と呆れる尊鷹の口元には、しかし弟を慈しむ小さな笑みが零れている。
     一歩一歩、慎重に自分達へと向かってくる二人に、熹一が話しかけた。

    「よう尊鷹、なんや遅かったのォ。そんなに親父がビビってたんか?」
    「いや、それもないではないが──この足の件で警備員と少々揉めてな」
    「あー……」
     熹一と龍星が、そろって合点がいったという表情半分、面倒臭いなという表情半分を浮かべた。
    「こればかりは仕方あるまい。大物フィクサー・柳場道元の口利きがあるとはいえ、これだけ広い空港の全職員にあらかじめ指示を出せというのは無理な話だ。成田であれほどスムーズに通してもらえただけ、ありがたいと思うべきだろう」
    「ったくあのタヌキジジイ、ホンマ最初からチャーター機を出したったらええのに。会場で会うたら文句言ったる」
    「ま……まあまあ……。こ……今回は誰もチームDとして出ないからなぁ。ましてや、た……鷹兄ィは”観客”だ」
     苛立ちをあらわにする息子を、まだ緊張の解けぬ静虎が宥めにかかる。
    「と……とにかく行こう。や……宿はマンハッタンだったな」
     静虎のその一言で、とりあえず皆は口を噤んで愚痴をやめ、タクシー乗り場に向かって歩き出した。

     一行は問題なくキャブを捕まえ、荷物が多いので二台に分かれて宿へと向かう。
     龍星が、カーナビに移る地図をぼうっと見つめていると、熹一が念を押すように呟いた。
    「さっきの親父の言葉──」
    「え?」
     思わず横を見やると、熹一は頬杖を突き、車窓に流れるビル群を眺めているようだった。
    「いや、ちゃんと分かっとるかと思て」
    「……ええ。……今回、尊鷹さんは”観客”」
     改めて、龍星は自分に言い聞かせる。
     誇り高き鷹がこの大会に関わらないという事態。それは老いたからでも、足を喪ったからでもない。

    「”キング”じゃない」
     ただ、それだけが理由なのだから。

  • 31◆4xa5MmaQeTX524/07/08(月) 00:25:11

     そう、彼──前々回のハイパー・バトルにて圧倒的な強さで勝ち抜き、”キング”の称号を得た男、宮沢尊鷹は。
     宮沢熹一に、負けた。
     前回大会が決勝戦直後に中止となってしまったため、本来予定されていたエキシビション・マッチで起きたことではないものの、それでも確かな事実だ。
     聞くところによればそれは、生涯でたった二度目の全力を振るい、いくつもの殺人術を解禁した、まさに真剣勝負だったという。

     そして今回、熹一が参戦するにあたって、尊鷹はスポンサーの一人である柳場道元に接触。このことを打ち明けるとともに──
     ──片足となった以上、もはや義足なしではあの頃に及ばないだろうという話を伝えた。

     そうして”誇り高き鷹”は、自ら”キング”の座を退いた。
     ・・・・・・ ・・・・・・・
     然るべき者に、その座を譲って。

    「もちろん、よく分かっています」
     その瞬間、後部座席の二人から、どろりと異様な空気が熱を帯びて流れ出す。
     緊張、興奮、期待、歓喜。
     そして…………わずかな、それでいて確かな、殺意。

    「楽しみにしてますよ。”バトル・キング”さん」
    「ほう、強気やのォ。ほなまあ、とりあえずこの大会……優勝してもらおやないか」

     哀れな運転手が縮こまるのをよそに、龍虎は牙を研いでいた。

  • 32◆4xa5MmaQeTX524/07/08(月) 00:25:37

    やあ

    私は、バーボン・マッスル。

    この続きを見た君は選ばれし者

    5000万ドルを掴むチャンスを与えられた強き者

    このラーメン・ジョー・バンダナはサービスだから、まず着けて落ち着いて欲しい。

    単刀直入に言おう

    うん、”また”なんだ。済まない。

    仏の顔もって言うしね、龍星のように謝って許してもらおうとも思っていない。

    でも、最初のSSを読んだとき、君は、きっと言葉では言い表せない

    ”突然変異のときめき”みたいなものを感じてくれたと思う。

    殺伐とした世の中で、そういうめちゃくちゃ強い気持ちを忘れないで欲しい

    何よりも”心”が大事なんだ

    そう思って、ちょっとだけ続きを書いたんだ。

    じゃあ、腕に自信のある者は今すぐ日本に行け

    龍星を失神KOさせろ

    急げっ乗り遅れるな

    5000万ドルを掴み取るんだ

    “ドラゴン・ラッシュ”だ

  • 33二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 00:35:32

    神スレ

  • 34◆4xa5MmaQeTX524/07/08(月) 00:43:41

    ちなみに今日更新の某ジャンプラ漫画読んだら明日はしばらく落ち込んでまともに文章出てこないだろうから
    勢いで書き上げちゃって今しがた読んできたらしいよ

    ちなみに某ラプタ以外も心を抉る回ばっかで想定外のダメージ受けてるらしいよ

  • 35二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 01:04:34

    >>34

    俺なんて同様にジャンプラで受けた傷をここのSSで治す芸を見せてやるよ

  • 362524/07/08(月) 01:14:00

    >>28

    申し訳ないことをしたと恥じている

    釣りスレなら勝手にしていいと思ったこの後悔は澱みのように溜まっている

  • 37◆4xa5MmaQeTX524/07/08(月) 01:38:01

    >>36

    俺はバーボン・マッスルだあっ

    まあ無断とはいえ上手いこと繋げて続けようとしてくれたお前には感心したよ

    せめてハートくらい押させてくれよ

    そんな君にいい知らせがある

    仮に続きを書くとしても”ヨッちゃんと朝昇”は出す発想がなかった

    朝昇の道場を宿として利用 言及・示唆・フレーバー…とにかくその程度だ

    >>25がなければ確実に出なかったはずの二人を描いてくれたことは感謝にたえない

    ただし>>25の続きを書きたいなら必ず自力で保守しろ

    こちらは予想外の需要に舞い上がって強引に続き書いたせいで再びプロットがまるでない状態だからな

  • 38二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 02:00:29

    (´・ω・`)代わりのキャプマス顔ドアップに笑ってしまうのは…俺なんだ!

  • 39二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 05:57:20

    なにっマジで続きが来てるヤンケシバクヤンケ

  • 40二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 06:02:26

    スレ主さん分かってますか?
    続きを書くって読まれても文句は言えないってことd
    「やあ」
    ボケーッチンチン

  • 41二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 07:26:43

    めちゃくちゃ詩的な空港の描写からいきなりぶち込まれるいやーついに来たのォで笑ってしまう

  • 42二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 07:44:07

    面白っしかも続き気になるーよ

  • 43二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 11:52:46

    文章の書き方がかなり上手いのん
    もしかして昔文学賞に応募とかしてたタイプ?

  • 44二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 17:32:50

    >>1>>25…待ってるよ

  • 45二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 18:00:40

    しゃあっ 文豪モブへの期待を込めての保守

  • 46二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 18:10:19

    リキちゃん朝昇ヨッちゃん使い方がうまっけどうまいーよ
    2人でバトンタッチしながら書いたらいいと思われるが…

  • 472524/07/08(月) 18:27:13

    >>44

    いいや文章力の差で死にたくなったので1に任せるということになっている

    こっちはこっちで気が向いたらpixivに書いときますよ...

  • 48二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 22:53:34

    保守 

  • 49二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 01:11:03

    禁断のバーボンハウス二度打ち…糞
    嫌でもあげて被害者を増やしてやりますよクククク

  • 50二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 01:14:00

    このレスは削除されています

  • 51二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 01:25:31

    >>49

    殺されても文句は言えねーぞっ!

  • 52二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 09:49:06

    確かに最初のほうで熹一さんは出場してくれと言われたってだけで
    予選に出るとも本戦から出るとも言ってないですね

  • 53二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 09:52:36

    >>52

    な…なんやこの伏線は…(ギュンギュン

  • 54二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 17:58:20

    >>47

    元気出して…

    自信持って…

  • 55二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 22:37:06

    このレスは削除されています

  • 56二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 08:04:16

    >>29

    な…なんやこの文章 ギュンギュン

  • 57二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 11:05:49

    続き…待ってるよ

  • 58二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 13:28:08

    この神スレ…神

  • 59二次元好きの匿名さん24/07/10(水) 20:27:27

    誰がなんの為にこのSSを…!?

  • 60二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 07:18:11

    >>59

    たしかにこんなところに投げるには凝りすぎな感じは否めないが

    1曰く思いつきの一発ネタ>>9とは言ってるぜ

    ◇この続きは…?

  • 61二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 18:40:09

    そろそろ三発目が来るんじゃないかと思っている それがボクです

  • 62二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 18:40:37

    あの男ってかロシア絡ませていースか?師匠…コキ
    鬼龍をフィクサーとして絡ませるならR国展開もありや

  • 63◆4xa5MmaQeTX524/07/11(木) 19:38:11

    >>62

    さあね…ただあの男展開やR国展開を実際にやったのが今の原作なんだから

    よほど上手いこと調理する自信がない限りやめておいたほうが無難というのは事実だ

    もちろんワシはめちゃくちゃやめとく

    まあどうしてもというならパラレル設定で進めるなり別スレ立てるなりすればいいと考えられる

  • 64◆4xa5MmaQeTX524/07/11(木) 19:38:44

     荷物を置き、マーシャルアーツ・スタジオ:トーキョー・イエローマンズを後にした一行は、最寄りの地下鉄の駅へと向かった。

     記念すべき最初の観光スポットをどこにすべきか、熹一と龍星が侃侃諤諤と意見を交わすなかしばらく歩いていると、尊鷹が口を開く。
    「熹一よ」
     三人の視線が尊鷹に集まる。左右にちらと目線だけをやって、彼は続けた。
    「私たちがこういった場所を無防備に歩いていて良いのだろうか」

     改めて、一行を取り巻くは、ハーレムの古き良き街並み。
     ……といえば聞こえはいいが、建物はあちこちに汚れや錆が目立ち、剥がれた壁の破片が歩道の隅にちょっとした畝を作っている。裏通りへの入口には、へたって歪み、その役目を扉とともにどこかへ捨てたらしい、金網フェンスの名残が見える。どこからか、子供たちの活気ある声や、行き交う人々のざわめきが聞こえてきてはいるものの、それは同時に四人の周りが、薄気味悪い静けさに包まれていることの証左であった。
     ふと、龍星が視線を落とすと、ちょうど皆の足元を横に撫でたように、小さな凹みが散らばっている。
     それが古い弾痕のなす川だということに気付き、彼は生唾を飲み込んだ。

    「たしかにハーレムは治安の悪い地区やけど、94年以降……当時の市長が対策したことで改善されたんや」
    「たしかにすれ違う通行人たちにはこちらに対する敵意がなかった」
     何かを思い出したのか冷や汗を垂らす熹一の反駁に、静虎も同調する。

     そう、かつてはニューヨークに来た観光客が、絶対足を踏み入れてはならない地域とされた悪名高きハーレムは、治安維持政策や再開発によってずいぶん様変わりした。
     マフィアの活動は鳴りを潜め、大通りには小綺麗なホテルやレストランが並び、数多の人種に開かれた移民コミュニティ。
     観光客もいくらか安心して歩ける、立派な観光地となったのだ。
     だが──

    「そのすれ違った後はどうだった? 先ほどいた黒人とヒスパニック系の五人組だが、どうも尾けてきているとしか思えない」
    「えっ」
     ──統計上はいくらか減ったとはいえ、ここには未だそこかしこに、仄暗い罪の火種がちらついている。

  • 65◆4xa5MmaQeTX524/07/11(木) 19:39:01

    「本当に怖いのは正面よりも背中から銃を向けられたときだ」
     その一言は、熹一と静虎の脳裏に、昔出会った一人の怪物レスラーの最期を思い起こさせた。
     尊鷹の背後から、問題の”通行人”たちがゆっくりと近寄って来るのを、龍星の目が捉えていた。

    「ハ…ハーレムは”ブラック・メッカ”と呼ばれる黒人文化の中心地やで。きっと見かけない顔の観光客を案内しようとしてくれてるんちゃうか」
     かろうじて気休めを口にした熹一だったが、それで背後に迫る緊迫感を脇道に逸らせるわけもなく。
     一行は自然に歩調を早め、しかし不自然に黙りこくって、駅へと急ぐのであった。



     しばらく後。

    「やっほーっアイ・ラブ・セントラル・パークや! 流石はニューヨーク最大級の公園や! 空気が美味ぁて活気があって心安らぐで! ホンマ!」
     やや興奮気味の熹一を筆頭に、宮沢一族四人の間には、先ほどとは打って変わった和やかな雰囲気が漂う。

     アップタウン地区への地下鉄に乗り、ハーレムを歩く緊張から解放された一行は、今度こそ、旅行初日にふさわしい場所を決めるべく話し合った。尊鷹のタブレットを囲んで観光サイトやブログ記事を調べ、行きたい場所を次々提案していく。
     まずは自由の女神だいやタイムズ・スクエアだいやいやマディソン・スクエア・ガーデンを下見に行くべきだ、とそれはもう議論が白熱したが……
     ほどなく皆、今日は飛行機と荷物運びで若干疲れているから、リラックスできる場所に行こうということで意見が一致したのだった。

     とにもかくにも、最初の目的地は決定した。マンハッタン島北部の中央に位置し、市内の公園で五番目の面積を有する、緑豊かな都市公園。
     ここ、セントラル・パークである。

    「しかし本当に広いな……地図を見ただけでは信じられなかったが、見渡す限り森と芝生だらけだ」
    「長さ四キロ、幅〇・八キロ。休憩用のベンチも九千個ありますからねぇ」
    「観光用に馬車のツアーも運行してるぞ」
     一行が下車したのはセントラル・パーク・ノース-110丁目駅。パークの北端に位置しており、地上に出るとすぐそこからパークに足を踏み入れることができる。
    「レンタサイクルもあるけど、どないする?」
    「まあ、徒歩でええやろ」
    「自転車は一方通行らしいですからね」

  • 66◆4xa5MmaQeTX524/07/11(木) 19:39:18

     龍星が、タブレット上の地図と周囲を少しのあいだ見比べて、ある方向を指さした。
    「こっちから行ってみましょう。時計周りに回る感じで……」

     残る三人も頷いて、その提案に同意を示す。
    「それがいいだろう。歩き疲れる前に貯水池と美術館は見ておきたい」
    「お前は一番頑丈な脚しとるやろ」
    「片方だけだがな」
     軽口を叩き合う熹一と尊鷹。それを見たあとの二人も思わず笑みを零す。四人のあいだに弛緩した空気が漂い、いよいよ観光が始まるという実感が、各々の胸に湧き上がる。

     そして当主の鶴の一声で、彼らはパークの奥へと続く遊歩道を歩き出した。
    「よっしゃあっ、行くで!」



     ……と、意気揚々と出発した一行だったが、パーク北東端の湖、ハーレム・ミーアを遠目に遊歩道を練り歩き、コンサヴァトリー・ガーデンに入ったあたりで、早くも足止めを食らっていた。

    「はーっなんか気持ちええなぁ」
     その庭は、大げさに人の群れが押し寄せるような場所ではないが、セントラル・パーク内でも指折りの憩いの場。
     北側が四季折々の花に彩られたフランス風庭園、南側が青々とした草木に囲まれたイギリス風庭園となっていて、あちこちでしぶきを上げる噴水が、過ぎ行く者の心を癒していく。
    「うーん、こういう場所でただぼーっと座ってるのも悪くない。とはいえひと通り見て回ったし、そろそろ次に行きましょうか」
     せやな、と合意する熹一たちに、静虎が声を掛けてくる。
    「二人とも、その前にちょっと尊鷹兄さんを見てみろ。面白いぞ」
    「えっ?」

     二人が近場のベンチに目をやると、そこには瞑目して泰然と胡坐をかく”誇り高き鷹”の姿が。
     そして、彼の座すベンチ付近には数十の小鳥が群がり、うち五、六羽ほどは尊鷹の肩や頭に乗っかっている。
    「おーっ、相変わらずすごいのォ」
    「ど、動物に好かれるんですね、尊鷹さんって」
    「というより、警戒させへんのが上手いんやけどな。おーい尊鷹、そろそろ行くで」
     パチリと鷹の瞼が開き、鳥たちが堰を切ったように飛び立つ。尊鷹がふわりとベンチから下り、三人のもとへ向かってきた。

  • 67◆4xa5MmaQeTX524/07/11(木) 19:39:58

    「待たせてしまったかな」

    「いや全然。ただちっとばかしこの庭園でゆっくりしすぎた気がするからな」

    「次はメト……メ……ポル…………美術館か?」

    「メトロポリタン美術館ですね。その前にイースト・メドウで日光浴もいいですけど」

    「もう十分英気は養ったやろ。博物館に直行でええんちゃう?」

    「美術館ですね」

     のんびりと談笑しながら、コンサヴァトリー・ガーデンを後にする一行。

     灘神影流セントラル・パーク・ウォーキング・ツアーは、まだ始まったばかりだ。




    やあ

    私は、バーボン・マッスル。

    この続きを見た君は選ばれし者

    5000万ドルを掴むチャンスを与えられた強き者

    このアルフレッド・蟇空・お面はサービスだから、まず着けて落ち着いて欲しい。

    単刀直入に言おう

    うん、”また”なんだ。済まない。

    仏の顔もって言うしね、龍星のように謝って許してもらおうとも思っていない。

    でも、先日の続きを読んだとき、君は、きっと言葉では言い表せない

    ”突然変異のときめき”みたいなものを感じてくれたと思う。

    殺伐とした世の中で、そういうめちゃくちゃ強い気持ちを忘れないで欲しい

    何よりも”心”が大事なんだ

    そう思って、ニューヨークの方には悪いが行ったことない景色をなんとか書いてみたんだ。

    じゃあ、腕に自信のある者は今すぐ日本に行け

    龍星を失神KOさせろ

    急げっ乗り遅れるな

    5000万ドルを掴み取るんだ

    “ドラゴン・ラッシュ”だ

  • 68二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 19:40:31

    このレスは削除されています

  • 69◆4xa5MmaQeTX524/07/11(木) 19:45:39

    以参

    下考

    で文

    す献

     は

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    治安が劇的に改善!マンハッタンに来たら、ハーレムも歩いてみよう! – skyticket 観光ガイドマンハッタンのハーレムと言えば、一昔前は観光客はおろか地元のニューヨーカー達でさえ立ち入りを躊躇った危険な場所。しかし1994年以降、当時のジュリアーニ市長が始めたニューヨークの治安改善対策が粘り強く続けられた結果、今ではウソのように安全な...skyticket.jp
    セントラル・パーク - Wikipediaja.wikipedia.org
    ニューヨーク セントラルパークニューヨーク セントラルパーク は、広大な公園自体がニューヨークの観光名所といえます。ストロベリーフィールズ、ルーブボートハウスやタバーンオンザグリーンへ行ってみてください。詳しくはこちら。このニューヨーカーのオアシスは、数々の映画のロケ地として登場することで世界的にも有名な公園ですwww.newyork.jp
    セントラルパークの秘密の庭園 コンサバトリーガーデン Conservatory Garden - Petite New Yorkニューヨークのセントラルパークは、四季折々の美しさが楽しめる素敵な公園です。とても大きな敷地のセントラルパーク、北側のエリアには見どころがないと思っている人も多いかもしれませんが、実は知る人ぞ知る、とても素敵な場所があり […]mikissh.com
  • 70◆4xa5MmaQeTX524/07/11(木) 19:49:05

    ちなみにトーキョーイエローマンズってナンダ?って人はTOUGH11巻112th MATCHを読むといいらしいよ

  • 71◆4xa5MmaQeTX524/07/11(木) 20:10:09

    俺はバーボン・マッスルだあっ
    独自設定の注意喚起を忘れるなんて俺自身には失望したよ
    せめて今からでも言わせてくれよ

    ※注意
    朝昇の道場がハーレム地区にあるというのは上述のTOUGH11巻111・112話を踏まえて仮定したもの
    しかしそれはあくまでも建物の雰囲気が近い・治安が悪い・最初に登場して撃ち合いするモブ四人の半数が黒人
    などの描写から類推される仮説であって
    原作もその通りかどうかはわからない

  • 72二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 20:31:17

    >>61

    予言者ァ 予言者がいるゥ

  • 73二次元好きの匿名さん24/07/11(木) 23:29:48

    ま…またサービスの頭装備か…

  • 74二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 07:54:33

    >>70

    既読だけどキー坊と朝昇の会話だけ読んでて全く気づいてなかったんだよね

    自虐ネタが過ぎるだろ えーーっ

  • 75二次元好きの匿名さん24/07/12(金) 19:15:57



  • 76二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 03:26:46

    このレスは削除されています

  • 77二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 08:38:08

    へーっ このスレ続いてたんだ…(ヌッ)

  • 78二次元好きの匿名さん24/07/13(土) 20:01:35

    >>73

    おそらく最後はキャプマスマスクをお出ししてくると考えられる

  • 79◆4xa5MmaQeTX524/07/14(日) 07:58:33

    人間には食欲・性欲・睡眠欲
    そして第4の欲望
    ”美”欲がある
    美しく在りたいと願い
    美しい絵画に惹かれ
    美しい曲に癒され
    美しい異性(ヒト)に魅せられる
    ”美”とは人間だけに与えられた強烈な欲望なんだ
       ──猿渡哲也『GOKUSAI』2巻 Art.010[闇のオークション]より

     ニューヨーク五番街。
     それはマンハッタン区を縦断する”アヴェニュー”の中でも、指折りの高級住宅街であり、世界最高級の商店街に位置付けられるブロックを内包する大通りだ。
     セントラル・パークの東側に接したこの通りを中ほどまで歩けば、ひとつの巨大なバロック建築を仰ぎ見ることができる。

     そこに屯するは人、人、人。
     その半分は期待を胸に、もう半分が感動を口にし、正面入口の前を行き交って、分かりやすい喧噪を形作っている。
     しかし中に入ってみれば、水を打ったような静けさを感じるだろう。無論、人がいなくなったわけではない。
     彼らは一様に声を潜め、たしかにあるはずの喧噪を抑え込み、その空間に独特の静謐さをもたらしている。

     ここは、メトロポリタン美術館。
     合衆国が誇る、世界最大級の美術館であり──
     ──驚くべきことに、それほどの規模に至ってなお、私立にて運営される美術館である。

     その展示室の一つに今、ある四人の観光客が足を踏み入れんとしていた。

    「炎の画家……フィンセント・ファン・ゴッホか……」
     並べられた絵画の一枚を目にした宮沢熹一が、ぼそりと呟く。
    「あれくらいならワシも知っとるで」
    「では、入ろう」
     本日何度目かの尊鷹の一言で、一同はぞろぞろと展示室へ入っていく。やがて思い思いの方向へ散り、お揃いのヘッドホンをかけ直す。

  • 80◆4xa5MmaQeTX524/07/14(日) 07:59:22

     各々が耳を傾けるは、美術館が提供する音声ガイド。

     このメトロポリタン美術館には、入場料を払っていれば無料で楽しめるガイドツアーがあるのだが、有料のガイド用ヘッドホンを利用して、自分のペースで巡ることもできる。

     もちろん、どちらも日本語対応済みだ。


     そういうわけで、彼らはこの美術館をかれこれ一時間と少々、目に付いた展示室に入っては、気になる作品の解説を聞き、また連れ立って別の部屋に向かうというのを繰り返しているのである。

     今もまた、最高峰のアラプリマ技法で描き出されたゴッホの狂気に、一行はどっぷりと浸かっていた。


     室内をあらかた見て回った後、熹一はヘッドホンを肩へと落とし、静虎の姿を探した。

     ほどなく見つけたその背に声をかけようとして、彼はふと言い淀む。

    「親父、そろそろ……」

     そして、ある一枚の芸術に見入っている父の邪魔をしないよう、黙ってそっと横に立った。


    「『糸杉』ねぇ」

     ただ一枚の絵が放つ、燃えあがるような生命力を前に、思わず感嘆が口をついて出る。

    「不思議やのォ。これほど青々として瑞々しく……小さいキャンバスの中の存在として描かれた杉の木が、めっちゃ熱そうに見える」

    「ああ。色味から、塗りの厚みから、うねるような筆致から、ゴッホの激情が熱風となってぶつかってくるように感じる。”炎の人”とはよく言ったものだ」


     二人の後ろに、満足気な様子の龍星と尊鷹も近寄ってくる。

     静虎はさらに数秒、じっと『糸杉』を見つめて、振り返った。

    「ああ、皆、見終わったんだよな。よし、次に行くか」


     そう言って歩き出そうとする静虎を押しとどめるように、龍星がある提案を口にする。

    「あのー皆さん、今日はこのへんにしておきませんか?」

    「えっ」

    「同意見だ。しばらくはこちらに滞在するんだ、機会はいくらでもある」

     賛成の意を示す尊鷹。状況が飲み込めない静虎が、眼鏡に手をやりながら問うた。

    「どうした、二人とも……まだ日は高いんだし、時間に余裕はあると思うが」

    「昼飯にはちょうどええ頃合いやけどな」

     茶々を入れる熹一を無視して、彼は続ける。

  • 81◆4xa5MmaQeTX524/07/14(日) 08:00:13

    「たしかに入って一時間半ほど経ったが、まだまだ展示は残っているんだろう? ここで帰るとしたら二度手間じゃないのか」
    「ああ、だからこそだ。まだ十分の一も周ってないぞ」
    「なにっ」
    「う……ウソやろ、そ……そんなわけが」
     動揺を隠せない二人に、微笑ましいといった風情の龍星が丁寧に説明をしてやった。


    「メトロポリタン美術館は一八七〇年の開館以来、洋の東西を問わず価値ある美術品を収蔵してきたんです。その数……三百万点。日本最大級の東京国立近代美術館が所蔵作品数一万三千点なのに、この建物には三百万点も収められてるんですよ」
    「さ……さんびゃくまん」
    「一日ですべてを見て回るのは、不可能に近いな。館内を一通り歩くだけなら楽だろうが……」
     龍星に引き続き、尊鷹もにやりとした笑みを浮かべる。
     どうやらこの二人は、事前にすっかり承知していたようだ。
     メトロポリタン美術館は、一日で楽しむには大きすぎるということを。

    「お……親父! ワシ、流石に丸一日骨董品眺めてられるほどマニアやないで」
    「ワシもや。地図を見てみい、ここまでの部屋数とは……」
     慌てる熹一に、静虎は美術館のパンフレット──これもちゃんと日本語版がある──を広げてみせる。
     行き当たりばったりで動いていたために、ろくに目を向けていなかったその冊子は、ざっと数百はありそうな部屋が、この建物中にずらり敷き詰められているという事実を端的に示していた。
     
    「よしっ、今日はここまでにしとこっ。古代の芸術パワーはたっぷり堪能できたしなっ」
    「今見てきたのはだいたい近世か近代の作品ですけどね」
     冷や汗をかく二人と、微笑みを湛える二人。静かに
     彼らが二度三度とメトロポリタン美術館を訪れるのは、もう少し先のお話である。



     美術館から再びパークの奥へと南西に進み、湖畔へとたどり着いた一行は、そこにあるボートハウスに併設されているレストランで昼食をとっていた。

  • 82◆4xa5MmaQeTX524/07/14(日) 08:01:39

     ザ・レイクという何のひねりもない名前を付けられているこの湖だが……ニューヨークの街並みを覆い隠すほどの林に囲まれ、澄んだ水面には手漕ぎボートを楽しむ家族連れや恋人たち。彼らを包むよく晴れた昼下がりの陽気が、辺りに長閑な空気をいっぱいに漂わせている。
     なるほどたしかに、ただ”湖”と呼びたくなるのも頷ける、お手本のような湖である。

     その湖畔に佇む、古くからのランドマークであるレストランは、今日も沢山のニューヨーカーと観光客、そして店の醸す落ち着いた雰囲気とが織りなす、上品な賑わいを見せていた。

    「うん、うまい。流石は尊鷹のお墨付きや」
    「このハウスブレンドバーガーもいけますよ。肉とチーズだけのシンプルな組み立てなのに、素材の味が活きてて食べ応えがあります。運ばれてきたときはちょっと物足りなさそう、なんて思ってたからビックリですね」
    「そうか。何よりだ」
     そう、彼らが今日、セントラル・パークの数ある飲食店の中からここを選んだのは、尊鷹の提案を受けてのことだった。
    『この美術館のカフェもいいが、セントラル・パークに来たのなら、一度はローブ・ボートハウスで食べておかねば。少し値は張るが……』
     先ほどの美術館を出る前に、彼はこう言って三人をここに連れてきたのである。

     そして一行はまず値段に面食らい、何とか落ち着いて前菜──スターターに、カプレーゼとヴェルドゥーラサラダを頼んでシェア。そして主菜──アントレイはそれぞれ好きなものを注文することにしたのだった。

    「ん~肉汁たっぷり。やっぱりアメリカのステーキはうまいのォ」
     黒コショウの効いた牛フィレ肉を嚙み締め、溢れるジューシーな旨味を堪能する熹一。
     ローストチキンを丁寧に切り分けながら、静虎が一つ疑問を口にする。
    「しかし、店の名前が変わっていたのはどういうわけだろうな」
    「さっきスマホで調べたんですけど、最近一度閉業したらしいですよ……で、新しいオーナーと契約してリニューアル・オープンしたって話です」
     龍星が、ハンバーガーの付け合わせのピクルスをフォークで突き、ひと齧りして続ける。

    「それ以上のことはよく分かりませんでしたが、そのとき改名したんじゃないでしょうか。”セントラル・パーク・ボートハウス”に」

  • 83◆4xa5MmaQeTX524/07/14(日) 08:02:14

    「何にせよ、シンプル・イズ・ベストって感じでええやん」
     サラダを頬張っていた熹一が、そこで何気なく合いの手を入れる。
    「ハイパー・バトルと同じようなもんや。シンプルで分かりやすい」

     そのさりげない一言が、緩み切っていた龍の精神を刺激した。

     そうだ。自分はここに闘いに来たのではなかったか。全世界の格闘家が集う舞台で、勝負をしに来たのではなかったか。
     すべては今、同じテーブルを囲み、語らい、料理に舌鼓を打つこの人と、正々堂々、喧嘩をするために。
    「はい」
     水を一杯飲み干して、騒ぎ立てる龍の血を、高鳴る”突然変異の心臓”の鼓動を、抑えようとする龍星。
     それでも沸き立つ血潮が、自然と口にその言葉を紡ぎ出させる。
     ある言葉……ある称号の存在を。
    「”バトル・キング”もそうですね。呆れるくらいシンプルで、いっそ馬鹿っぽい」

     たちまちのうちに、四人のあいだに緊迫した空気が流れ、穏やかな湖畔の一角を塗り潰す。
    「おいおい、どないした龍星。いきなりここで前哨戦といくつもりか?」
    「いーえ、まだ闘りません。まだ、ね。ただ、ちょっと気を引き締めたかっただけです。ただ、このへんでもう一度現状を嚙み締めて、理解しておきたかった。シンプルにね」
     龍の子はもう一度冷たい水を呷り、暴れる血を今度こそ宥める。
    「おかげで、これから自分が目指すものと、やるべき行いをはっきり再認識した」
    「そうか。まっ、ええ心がけや。せいぜい気合入れてかかるんやで」
    「はい。とりあえず今はこの、美味しい食事と綺麗な湖を、気合入れて楽しませてもらうとします」

     龍星はにこりと笑い、それを見た三人は改めて、肩の力を抜いて食事に戻る。
     なぜなら、その表情はまさしく、この旅行を心から楽しまんとする若者のそれではあったが──
     ──同時に間違いなく、灘の一族にふさわしい、血で血を洗う闘いへの覚悟が宿っていたからだった。

     そして、一行が食事を楽しむこと数十分。

  • 84◆4xa5MmaQeTX524/07/14(日) 08:02:45

    「よっしゃあ、腹も膨れたことやし、午後のお散歩といきますかっ」
    「あっ、次に行く所なんだが……ええと、ベス……ベ……ベデフ……ベルゼブ……」
     上手く言葉が出てこない静虎に、龍星が助け舟を出す。
    「ベセスダ・テラスですか? ははっ、言いにくいですよね、ベセスダ」
    「そうそう、そのベスエフダ・テラスにすごい噴水があるらしいんだ」
    「いいですね、行きましょう」
    「お前たち、食後のデザートはいいのか。私はレモン・メレンゲタルトをいただくぞ」
    「どわっ」
     と、立ち上がりかけていた三人だったが、尊鷹の一言で重要なことを思い出した熹一と龍星が座り直し、続いて静虎も腰を下ろした。

    「あかんあかん忘れるとこや。ワシはトリオ・ジェラートにするで」
    「デザートも結構いい値段しますね……でもせっかくだからニューヨーク・チーズケーキで」
    「わ、私は遠慮しておこう」
    「糖質を控えすぎるのも問題だぞ、静虎。特に今日はまだまだ、歩くためにエネルギーを使うからな。何事もバランスだ」
    「……では、尊鷹兄さんと同じものを」
     ウエイターを呼び、各々の注文を通すと、龍星がわざとらしく身を縮め、肩を震わせる。

    「いやあ、お会計が怖くなってきましたね」
    「よう言うわ、こないだ一日で一千万稼いだばかりのくせに」
    「いや、あれ全部ドルに換えてるわけないでしょ」
     二人の掛け合いを見た老人が頬を緩め、最年長らしい提案をする。
    「ここは私が持とう。この店を提案したのは私だからな。安心して食べなさい」
    「おおっ、流石”高潔なる鷹”。当主としては鼻が高いわ」
    「それを言ったら当主の熹一さんが奢るべきなのでは……」

     そんな他愛ない会話が、その他大勢のものと混ざって、ザ・レイクの水面に溶けていく。

     セントラル・パークを代表するレストラン。そこでの食事の締め括るデザートたちも、当然、殊更に美味なのであった。

  • 85◆4xa5MmaQeTX524/07/14(日) 08:03:07

    やあ

    私は、バーボン・マッスル。

    この続きを見た君は選ばれし者

    5000万ドルを掴むチャンスを与えられた強き者

    このグレート・オルカ・マスクはサービスだから、まず着けて落ち着いて欲しい。

    単刀直入に言おう

    うん、”また”なんだ。済まない。

    仏の顔もって言うしね、龍星のように謝って許してもらおうとも思っていない。

    でも、禁断の”続き”を二度撃ちされたとき、君は、きっと言葉では言い表せない

    ”突然変異のときめき”みたいなものを感じてくれたと思う。

    殺伐とした世の中で、そういうめちゃくちゃ強い気持ちを忘れないで欲しい

    何よりも”心”が大事なんだ

    そう思って、美術館とボートハウスの構造とか見た目とかをできるだけ描写しないで済むように続けてみたんだ。

    じゃあ、腕に自信のある者は今すぐ日本に行け

    龍星を失神KOさせろ

    急げっ乗り遅れるな

    5000万ドルを掴み取るんだ

    “ドラゴン・ラッシュ”だ

  • 86◆4xa5MmaQeTX524/07/14(日) 08:03:31

    以参

    下考

    で文

    す献

     は

    x.gd

    (これ以上のURL乱れ撃ちは危険や 別途まとめるぞ)



    ちなみに繰り返しになるけどめちゃくちゃNYに行ったこともない奴が書いてるので

    まぬけカルテットの食事シーンは正しい描写とは限らず

    ブランチやディナーのメニュー 隣のカフェやデッキサイドのメニュー

    あるいは再オープン前のメニューと混同してる部分があるかもしれないらしいよ


    あわわ どうして公式HPのメニューに写真が載ってないんだよォ

    なんで口コミサイトに上がってる写真とメニューの内容を見比べてこの写真は多分これかなとか推理しなきゃなんないんだよォ

  • 87二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 08:12:22

    見事やな…

  • 88二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 08:38:31

    おおっ今回はちょっと長い!食事シーンが効いとるんやっ

  • 89二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 20:32:06

    保守があると寂しくないよ

  • 90二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 07:07:43

    美術館のくだりにGOKUSAI語録をあててるのは好感が持てる

  • 91二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 07:38:02

    情景描写うまっうめーよ
    雑踏に消える感じを直ぐ側の湖に合わせて水面に溶けていくって表現した所
    俺…好きだぜ

  • 92二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 07:55:04

    頼むから例え荒らされてスレ爆破や埋め立てされてもハメあたりで完成品を投稿してくれと思ったね
    ワシめっちゃ続きが気になるし

  • 93二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 19:24:52

    はーっ



  • 94二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 19:26:31

    このレスは削除されています

  • 95二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 05:52:05

    でも嬉しいなあ語録って怖いぜェ
    釣りスレだったはずがここまで続いちゃってるんだからな…

  • 96二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 14:44:20

    いないと思うけどNYガチ勢の感想も聞いてみたいですね…生のね
    ワシめっちゃNYよく知らんし

  • 97二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 00:10:00

    保守!

  • 98二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 05:44:50

    バーボンマッスルで毎回笑ってるのが俺なんだよね

  • 99二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 06:10:19

    このレスは削除されています

  • 100◆4xa5MmaQeTX524/07/17(水) 17:24:30

     昼食を済ませた一行は、ボートハウスを出て湖岸を歩き、ザ・レイクの南側へと回る。
     青々と茂る木々に囲まれた遊歩道を抜けて最初に味わうのは、ぱっと視界が広がる感覚。
     次いで広場の中央に、天使の像の悠然と佇むを目にし、清水の細く流れるを耳にする。
     地面には緻密に敷き詰められた、赤茶色の細長いタイル。南側にはヨーロッパ宮廷風のテラスと、それを挟んで並ぶ大階段。

     このベセスダ・テラスはおそらく、セントラル・パークにある広場の中では、最も有名といっていいだろう。
     この日は幸運なことに人影もまばらで、人の出す音といえば行き交う靴の音と、テラスの中から響くストリート・ミュージシャンの演奏。それと隣の湖をゆっくりと進む、一艘の手漕ぎボートが立てる波の音だけであった。

    「壮観だなあ」
     翼を広げた水の天使を見上げ、嘆息する龍星。
    「本当は紅葉の時期が見どころなのだが、緑に囲まれているのもまたいいものだ」
     スマホを取り出した尊鷹が、パシャリと一枚、天使の像の写真を撮る。
     その尊鷹に対して、熹一がふと質問を投げかけた。
    「尊鷹はなんでそないにセントラル・パークに詳しいん?」
     素朴な疑問に彼は少し押し黙り、己の半生に思いを馳せるように瞑目して、口を開いた。

    「その昔、名を捨て、灘を離れ……自由となった私は、色々な場所を巡った。ここアメリカもそのひとつだ。そのうち”バトル・キング”と呼ばれるようになったが……あの頃は時折この公園を訪れ、心を落ち着かせていたんだ」
     それを聞いて、熹一が得心が行ったというふうな表情になる。その後すぐに、彼もまた昔を懐かしむような目つきで噴水のほうを見やった。
    「そういや尊鷹はあの時期、ラスベガスの荒野に隠れ住んどったらしいな」
    「現地の先住民族と共に暮らしたこともあるぞ」
    「ああ、ナバホ族やったっけ? えーっと、たしかチャベスとかいう奴に会うたで、ワシ。フーバーダムで」
    「そうか、チャベスにな……」
     ……と、意味ありげな笑みを浮かべる尊鷹だったが、三人がその真意を察することはなかった。

  • 101◆4xa5MmaQeTX524/07/17(水) 17:25:19

     前回のハイパー・バトルの頃を思い出しながら、静かに噴水を眺める二人。一行のあいだに、水や風、鳥や木々の奏でる心地良い沈黙が流れる。
     しばし皆がそれに浸ったのち、龍星が朗らかに沈黙を破った。
    「皆さん、せっかくの観光だし、ここで写真でも撮りませんか」
    「ああ、それはいいな」
    「では私のスマホで撮ろう」
     尊鷹が、どこからともなく十五センチばかりのプラスチックの棒を取り出し、カシュカシュと小気味良い音を立ててあっという間に七十センチほどに伸長させる。
    「……しかし鷹兄は自撮り棒まで持ってるのか」
    「ワイヤレスリモコンも付いてるぞ」

     噴水を背に四人が集まって、掲げられたスマホを見据える。
     合図とともにシャッターが切られ、灘の一族の小さな思い出が、またひとつ記録として残された。

    「そういえば、今スマホを見て気付いたが」
     小道具たちをしまいながら、尊鷹が他の三人に呼びかけた。
    「このペースで回っていては、帰るころには夜になってしまう。宿に着く前に日が暮れる事態は避けたい」
    「たしかにな。あのへんも治安が改善されたとはいえ、夜道となると流石に歩きとうないわ」
    「駅前にタクシー乗り場がありましたけど、使いたくなるほどの距離じゃないですしね」
     その意見に、熹一と龍星も同調する。
     ハイパー・バトル一回戦まではまだ幾日もあるのだし、再び訪れればいい。それよりは身の安全を優先すべき、という判断を、全員が言外に下していた。
    「なら、ジョギングでもしながら行くか。ほら、ここに来てから、走り込みをしてる人をちらほら見かけるだろう。腹ごなしにもなってちょうどいい」
     と、ここで静虎の出した提案に、反対する者はいなかった。
    「よっしゃ、そうと決まれば行くでぇっ」

     軽いストレッチを済ませてから、駆け出した一行はテラスを通り抜け、その先の階段を上っていく。
     そこから真っ直ぐに伸びる広々とした並木道、ザ・モール──これもまた、紅葉の時期になると大変見どころのあるスポットなのだ──の木々に沿って、四人は軽快な足取りでパークの南端へと向かっていった。



     さて、ザ・モールを抜けた先から六十五丁目横断道路を渡ると、いよいよセントラル・パークでも特に子供の遊び場が多いエリアに入る。
     生い茂る林に視界こそ阻まれても、そこを行く四人には、その空気を十分に感じ取ることができた。

  • 102◆4xa5MmaQeTX524/07/17(水) 17:25:43

     セントラル・パークの南端、グランド・アーミー・プラザまで走った一行は、金色に輝くウィリアム・T・シャーマン像の傍らで小休止を挟んでいた。
     熹一と龍星がタブレットで地図を見て、帰りのコースを相談している。
    「ここが最南端みたいですね。じゃあ、このへんの遊歩道を通ってシープ・メドウまで行ってから、パークの西側を走って、元来た駅に戻りましょうか」
    「セントラル・パーク動物園? おいおい、動物園まであるんかこの公園」
     ニューヨーク市内で最初に生まれた小さな動物園の存在に気付いた熹一が、驚きの声を上げた。
    「他にも、野球場にスケートリンクに回転木馬。やっぱりこのあたりは子供向けに作られてる感じですかね」
    「ワシらにはいまいち縁のない場所やな」
    「そうですか? 案外、こういうところで思い切り童心に帰るのも悪くないかもですよ」
    「この歳になって動物園だの何だのではしゃげるかい」
     まっ楽しそうではあるけどな、と呟いて、熹一がタブレットから顔を上げる。

    「ほな行こか。親父、尊鷹、ジョギング再開や」
     呼ばれた二人がベンチから立ち上がると、一行は再び走り出す。

     小走りで林の中を抜け、広々とした道を行き、芝生の横を通り過ぎていくそのあいだ──いくつものランドマークが、遠目に見えた。

     かつては羊を放牧していた牧草地であり、現在は羊の代わりにニューヨーカーたちがこぞって集い、ぽかぽかとした陽気の下でピクニックにふける芝生、シープ・メドウ。
     20世紀を代表する伝説的ロックバンドのリーダー、その死を悼み、彼が晩年を過ごしそして殺された自宅と向かい合うように造られた、モザイク模様の記念碑を中心とした区画、ストロベリー・フィールズ。
     イタリア語で「美しい眺め」を意味する名を冠し、岩の階段を上って建物に入れば、その名の通りにマンハッタンの摩天楼を一望できるベルヴェデーレ城。
     セントラル・パークの地図を見ればまず目に飛び込んでくる巨大な貯水池で、その景色はもちろんのこと、岸辺を周回するジョギングコースが人気の、ジャクリーン・ケネディ・オナシス貯水池。
     パークに広がる森林地帯、あるいは芝生の中では最大で、人の少ないことも相まって野鳥たちの憩いの場となっている、ノース・ウッズとノース・メドウ。

     その他、沢山の観光スポットへ繋がるであろう小道も、同じだけ目にすることができた。

  • 103◆4xa5MmaQeTX524/07/17(水) 17:26:23

     曲がりくねった道を行く四人の胸に、いつしかひとつの思いが去来する。
     また来よう、と。

     やがて日が傾き始め、セントラル・パークの緑が明るい橙の光に照らされるころ、一行は元来たパーク北の入り口に立っていた。
     ニューヨーク観光、一日目。
     その終わりは、この雄大な都市公園がもたらした安らぎと、運動による適度な疲労とが合わさって、強い充足感に満ちている。

    「来てよかったです。とても穏やかな気持ちになりました」
    「ああ。その通りだな、龍星」
     ひとしきり息を整えて、パークを後にする一行。
    「そういえば、夕食はどうします? ハーレムにも美味い店はいくつかあるらしいですが」
    「ああ、あのへんは”ソウルフード”って言葉が生まれただけあって、結構メシが美味いからのォ……でもそういうの行くんは昼のうちにしとこ。今夜は道場の台所借りて、ワシらで作ろうや」
    「なら材料を買って帰らないとな」
    「すぐ近くにスーパーマーケットがあるはずだ。さて、何にするかな……」

     五キロは超えるであろうロードワークの後だというのに、彼らの足取りは実に軽やかで。
     和やかな雰囲気を纏った一行は、ついつい日本らしい夕食の献立を考えてしまいながら、騒がしさを増しつつあるニューヨークの雑踏に消えていくのであった。

  • 104◆4xa5MmaQeTX524/07/17(水) 17:26:56

    やあ

    私は、バーボン・マッスル。

    この続きを見た君は選ばれし者

    5000万ドルを掴むチャンスを与えられた強き者

    この御狐四人衆・お面はサービスだから、まず着けて落ち着いて欲しい。

    単刀直入に言おう

    うん、”また”なんだ。済まない。

    仏の顔もって言うしね、龍星のように謝って許してもらおうとも思っていない。

    でも、禁断の三発目の続きを読んだとき、君は、きっと言葉では言い表せない

    ”突然変異のときめき”みたいなものを感じてくれたと思う。

    殺伐とした世の中で、そういうめちゃくちゃ強い気持ちを忘れないで欲しい

    何よりも”心”が大事なんだ

    そう思って、もう少し続けようとしたけどこれ作中時間的にあんまし余裕ないなと思ってダイジェストになったんだ。

    じゃあ、腕に自信のある者は今すぐ日本に行け

    龍星を失神KOさせろ

    急げっ乗り遅れるな

    5000万ドルを掴み取るんだ

    “ドラゴン・ラッシュ”だ

  • 105◆4xa5MmaQeTX524/07/17(水) 17:27:46

    以参

    下考

    で文

    す献

     は

    x.gd

    ※注意

    若いころの尊鷹が世界各地を転々としてたりセントラル・パークによく来てたりというのはただの妄想なんだァ

    灘神影流の里で谷底に落とされてからラスベガスの荒野でトレーラーハウスに隠れ住んでいた情報を掴まれるまでの

    軽く数十年間は住処も動向もまるで分からない以上このくらいは許してもらおうかァ

  • 106二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 01:26:08

    皆で写真とろうってなった時にどこからともなく自撮り棒取り出す鷹兄はかなり本編でもやりそうな気がする それが僕です

  • 107二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 12:01:53

    しかも参考資料が意外と多い…

  • 108二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 20:04:01

    しゃあっ保守

  • 109二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 06:58:32

    でも嬉しいなあワシみたいな匿名掲示板の隅っこにいる蛆虫でもこのスレみたいなすげぇSSを読ませてもらえる
    もしかしてワシは前世で徳を積んでたんじゃないスか?

  • 110二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 14:32:56

    >>109

    その通りです

  • 111二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 01:45:44

    >>109

    ウム…おそらくお釈迦様の慈悲なんだなァ

  • 112二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 02:24:08

    寝る前に良いスレを見つけたんだァ
    最高の週末になったのん…

  • 113二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 08:41:44

    >>112

    待てよ週末はこれからなんだぜ

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