- 11◆i1C9sSoD6624/07/07(日) 22:20:45
「あっ、見てくださいトレーナーさん。あれが"はくちょう座"なのです」
「あんな所にあるのか」
「そこからちょっと離れて"こと座"、"わし座"がありまして。これが夏の大三角形なのです」
「はぇ~…」
夏とはいえ夜空。星の輝きに今まで興味のなかった俺は見つかるか少し不安だった。
だが1等星というだけあって彼らは肉眼でもよく目立つ。
「位置的には天の川の真ん中なのです。ここから南に下がると…ほら、あそこ」
「あれが南斗六星…ひしゃく…」
「………ふふ」
まるで子供の様に、今日の主役たちに目を輝かせる俺を優しく見守るその瞳は今宵の月のように澄んでいた。
やがて彼女は少し身体を寄せながら俯きがちに問う。
「トレーナーさんは、どんなお願い事をしたのですか」
「願い事…」
「………」
願い事は沢山あるけど、"あの日"から七夕にはいつも同じ願い事をしてる。 - 21◆i1C9sSoD6624/07/07(日) 22:21:24
「…そういうマーちゃんは?」
「言わせるのですか」
困ったように微笑む彼女と、お互いにそれ以上聞くことはせずしばらく星々を見上げる。
「今年は晴れて良かったのです。織姫さんも彦星さんも会えますね」
「そうだね、7月に入って雨続きだったから少し不安だったけど…良かった」
「でもやっぱり年に一度は寂しいと思います」
「…うん」
一年にたった一日 逢えるというお伽噺。
「…逢えなくなったら」
「え?」
「もし、もしも 突然逢えなくなったら。どうなるんでしょう」
「マーちゃん…?」
自分の身体をそっと抱くようにして震える彼女。
「いつか天の川も、星座たちも、光尽きて流れてゆく運命だとしたら」
「…マーちゃん」
「っ、ごめ、ん なさい」
「"アストンマーチャン"。」 - 31◆i1C9sSoD6624/07/07(日) 22:22:03
小さい嗚咽を漏らしながら、ボロボロとあふれる涙を止められずに謝る彼女をそっと抱きしめる。
「っ」
「大丈夫だよ」
「…」
「これが、俺の願い事」
強く想い、強く願う。
一日でも多く…君との日々を。
「…トレーナー、さん」
「うん」
「アストンマーチャンを 忘れないで下さいね」
そっと重なる唇に、重なる願いを乗せて。
俺は輝く星たちに心で呟く。 - 41◆i1C9sSoD6624/07/07(日) 22:22:22
『―――言っておく 俺たちの願いは かなり強いぜ』
- 51◆i1C9sSoD6624/07/07(日) 22:22:49
おわぁりぃミラクルもち大福
二人の願い事が叶いますように。 - 6二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 22:26:19
世界に抗ってマーチャンを繋ぎ止めたトレーナーだぜ?
きっと願いは叶うさ! - 7二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 22:30:35
良かったです
- 8二次元好きの匿名さん24/07/07(日) 22:36:30
願いを叶えた奴の言うことだ
まぁ大丈夫だろう