- 1GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 21:47:57
このスレは「ここだけダンジョンがある世界の掲示板」の番外編みたいなものです
書き込みの方針は以下を踏襲します。
何もなし→メタ会話
「」→セリフ
()→心情など
【】→状況描写(【傷だらけでなんとか立っている】みたいな)
【クエスト名】『幸福よ、哀しき化生なり』
【日時】7月8日20:00〜
【概要】文明敵対種『幸福』の討伐
【難易度 】指定なし。幸福に立ち向かうのに必要なのは人々の絆と強い意志であり、戦闘力はさほど役に立たない
【報酬】一人100,000G
【依頼人】《黒衣の射手》コルネリウス・レイウス
【概要】
文明敵対種『幸福』の子株が芽吹いた。不味いことに発覚が遅れ、小国が一つ飲み込まれてしまっている。
奴が成長しきって子株を散布する前に何としても叩かねばならない。
ここまで見つからなかったわけは……おそらく、幸福が何たるかをわかっていながら匿った者がいる。場合によっては抵抗されたり……後味の悪いことになるかもしれん - 2GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 21:48:17
このキャラの『幸福』とは、のぞむものとは、みたいなものを描写するためのイベントです
描写したいけどこのキャラ精神耐性低いから帰ってこれん!という場合は他のキャラに起こしてもらったり、GMからお助けアイテムを渡すのでそれで起きたことにしたりしてもいいでしょう
《注意事項》
・若干胸糞な展開があります(救済マンチは歓迎とします)
・途中参加、退出OK。
・ほぼ全編通して精神攻撃のみ、物理攻撃はあんまりありません
・その他メタ質問、こんなロールしたい等あったら気軽にどうぞ - 3GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 21:49:01
ざっくり予定
8日
スーキ国突入〜幸福遭遇
9日
VS幸福
※幸福戦は精神の戦いになります。安らぎ→快楽の波動の後『幸せな夢』攻撃が来ます
幸せな夢を振り切ったらそのままトドメ移行となります
※夢から自力で復帰せず人工妖精や他の参加者に起こしてもらうのもありです。後者の場合は描写の兼ね合いがあるため事前に頼んでおくと良いでしょう
現在VS幸福親衛隊
前スレ
ここだけダンジョンがある世界の掲示板 イベントスレ 第214層|あにまん掲示板このスレは「ここだけダンジョンがある世界の掲示板」の番外編みたいなものです書き込みの方針は以下を踏襲します。何もなし→メタ会話「」→セリフ()→心情など【】→状況描写(【傷だらけでなんとか立っている】…bbs.animanch.com - 4GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 21:49:38
文明敵対種データ
名称:『幸福』
状態:7国大戦中に討伐済、要警戒
「幸せになるのに恐れることなんてないわ」
美しい少女に似た姿を取る文明敵対種。一般的な文明敵対種のイメージと違い、この化物に悪意は一片たりとも存在しない。『幸福』の行動原理はあらゆる感情を持つ存在を幸福にすることであり、そこには幼子のように純粋な善意があるのみだ。
『幸福』はそのためにありとあらゆる痛みと苦しみを消滅させ、幸福感や快感を与える。
それでも足らないものには夢を見せる。あるものは友人と他愛のない日々を送る夢を、あるものには失ったはずの幸せな過去を、あるものにはたった今やろうとした仕事が無事成し遂げられた夢を。
だが我々は不足から進む原動力を得ている。腹が減るから食事を取り、不便を感じるからこそ新たな技術を生み出し、もっと良い何かを求めて努力する。
『幸福』によってもたらされた幸福はそういった原動力をも根こそぎ奪い去った。人々は幸せの中で停滞し、衰弱し、滅んでいった。
『幸福』のより大勢の人がいる方向へ引き寄せられる性質に加えて、7国大戦という未曾有の混乱期において苦痛から逃れたい、仮りそめの夢でもいいから幸せが欲しいという者は跡を絶たず、結果対抗するほどの力を持たない小国がいくつも幸福のうちに滅び去った。
幸いにして直接戦う力はほとんど持たない。生態としては植物に近い生命体のようで、種やランナーのような子株が何度か発見されており、都度駆除されている。
『幸福』は本当に幸福の精なのかもしれない。だが少なくとも今の我々に『幸福』の恩恵を受け取ることはできない。
その先に待つのは幸せに満ちた緩慢な死のみだ。
(画像はゆち式人外メーカーにて作成。元ネタは地獄堂霊界通信より『幸福』) - 5GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 21:50:06
※依頼人の設定
〈名前〉《黒衣の射手》コルネリアス・レイウス
〈種族〉吸血鬼
〈性別〉男
〈年齢〉1078歳
〈概要〉
黒い喪服に身を包み、長身のライフルを持った吸血鬼。1000年以上の間、『幸福』を追いつづけ刈り続ける復讐者。
かつては人間だったが戦場に出ている間に家族が『幸福』に捕らわれ全滅。一人残された男は私財をすべて献上し真祖の吸血鬼の血を飲み吸血鬼となった。
弾丸に魔力を載せて撃ちこむ戦法ひとつで数々の戦いを生き抜いてきた歴戦の猛者である。まるで疲れ切った老人であるかのような雰囲気を漂わせ、笑顔の一つも浮かべることは無い。
「私の真の『幸福』はすべてあの日に家族とともに眠った。もう一度それを感じられるのは、奴の子株の最後の最後までも滅しつくしたときになるだろう」 - 6暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 22:04:24
「もう……大丈夫。わたしたちが、助けに来たから。」
「おなかがすかない、なんてのじゃなくて……おなかいっぱいになろう?」
【飢えていた少女の前に片膝をついて跪き、そっと抱き支える】
【素直に暁の炎の言葉を受け入れる少女に、そっと芋をペースト状に煮溶かしたスープを飲ませた】
「……ほら、食べて。温かいでしょう?」
【少女は何も言わず、言葉に従ってただスープを嚥下する。】
【けれど、何よりも雄弁に語っている。ぼろぼろ涙を零す目が、暁の炎に必死にしがみつく手が。】
「………おいしい、ね。……ね?」
【そっと目を細めて少女を抱きしめ、そっと背中を撫でる】
「ゔんっ……おい、しい゙………あぅ゙っ………」
「うん、もっと食べよう」
【泣きながらボウルを傾ける少女に、焦って、泣きじゃくってせき込まないように背中を撫でながら、しばらく付き添っていた】 - 7ラピス24/07/08(月) 22:04:51
たておつです!
「……食料が必要かもね」
【ずずずと水場に潜った】 - 8鋼鉄人24/07/08(月) 22:05:13
たて乙です!
- 9表音魔術師24/07/08(月) 22:05:51
立て乙です
頑張って冷徹なフリをすることで自分の心を守っている男 - 10ホワイト・ボックス24/07/08(月) 22:07:34
立て乙です
ひどく無関心だけど出自があまりにも違うんだから理解は難しいだろうと思って目的の遂行を優先してます
あと大人だし多少は大丈夫かなと考えてた - 11暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 22:07:46
スレ立てお疲れ様です
徹頭徹尾それ全部幻だからで押し切ってるのはこの女ァ~~~!!!
たぶん時系列は6が一番上
時間待ちがありそうな順に出してるので順不同 - 12GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 22:08:18
「ではなぜ僕は苦しんでいるんだ。母は死に永遠に名誉を汚され、配下たちは離宮へ道連れ。永久に毒婦の息子と指を刺されることを望まれたというのか」
【槍を持つ手が震えている。切っ先はわずかに君たちから逸れていく】
「逆だ、火竜の娘よ。僕が欲しかったものはもう永遠に手に入らないんだ。幻の中にしか……」
【知っている。幻だと。あれは夢でしかないのだと】
【求めたのは幻ではない。だが、現実にはもう触れることがないのだ。だが違う……】
「………生きて、何をする。失い、人を不幸にするばかりの僕の命にまだ価値があると」
【声からは勢いが失われつつある。離宮に流され、蔑まれ、母を失って絶望したのは――元は人とのつながりを、会話を、大切にしていたからにほかならない。
本当に価値のないものならば失ったとて何も思わないだろう】
- 13火陛24/07/08(月) 22:08:40
前126
【足を止め火球を生み出し、斧を向ける】
前133
「流石神様、やるじゃない」
前129
「これだけ集まれば炎熱系の冒険者も多いわね!」
「敷島泙汰郎と……後ろのなんかよくわからんヤツ!」
「私は火陛よ、よろしく!」
「貧困と重労働に喘いでるヤツ、ちょっと聞きなさい!!」
「私の親父は商人よ、それもそこそこ大きなね。そんな立場のヤツに救われたいかどうかは知らないわ、それでも言うだけ言っておいてあげる」
【怒鳴るように大きく、だがそれでいてどこか安心感を覚えてしまう優し気な声色で話を始める】
【彼女は良家の生まれ、いずれは家業を継いで大商人になるか領主の元に勤めるかを選ぶはずであったご令嬢】
【大衆を相手に宥める技術は最低限知っている】
「アンタらはこのまま手を上に上げてお縄についてくれれば無罪放免…とまでは行かないにしてもそれなりの短期間で解放されると思うわ。そしたら『火陛』の名を出しなさい、冒険者の『火陛』よ」
「私が親父に取り合ってあんたらを移住させてやるわ!親父は領主の一族の分家、食事も労働も今よりマシなものは手配できるはずよ」
【何も言わずに黙って話を聞く民衆】
「確証は無いし絶対とは言わない!判断するのはアンタたち!!」
「アンタらが引かないのなら私も引かない!このまま倒して押し通る!!」
【斧を再び振り上げ、火球も無数に生み出し威圧を行う】
- 14火陛24/07/08(月) 22:08:59
【約半数は黙って座り込んだり、手を挙げたり、何かしらで妨害の意思はもう無い事を示すが】
「私も引けないの。本当に───いいのね?」
【静かにだがよく通る声で、立ち上がり抵抗や妨害の意思を示した者に最後の忠告を行う】
【痩せこけ骨の輪郭がわかるのに腹の出た不気味な身体、鞭を打って働き骨ばって歪になった掌に傷だらけの身体】
【どちらも相応の理由があってそうなってしまい、辛い過去や生きる事を諦めてしまいたくなる現実など無数にあったのだろう、それを見れば時に火陛でさえ同情して救いの手を差し伸べたくなる】
【だがここで抵抗の意思を示した者は全て"敵"だ】
「私は下級冒険者"火陛"よ」
「覚えておきなさい」
……………………………………………………………
【炎に巻かれ、斧で切りつけられ辛うじて生きている"敵"】
【火陛は抵抗しない意思を示した者達へと向けて口を開き】
「必ずこの選択をしたことを間違いだと思わせはしないわ」
「安心しなさい」
(家を出て1月も経ってないのに……また会う事になるなんてね、どのツラ引っ提げて頭下げんのかなぁ私)
- 15偽悪神◆.uMqg7EH5s24/07/08(月) 22:09:01
立て乙です!
「こちらは…大丈夫そうじゃのう…さて」
【まだ残る労働者達、苦しみが為に現実を受け入れられなかった者達に向き合う】
「これからワシ…悪い神になるかもしれん、許しておくれ?」
【そして偽悪神は彼らに悪意…いや、偽悪を叩き込み、植え付け――その不満と、悲しみを増幅させ…】
「権能〘義憤の芽生え〙」
【どうして自分達は、こんな苦しみの中にいるのだろう、どうして自分ばっかり……自分、ばっかり?】
「ぅ……」「ぁ……?」
【彼らは、隣を見る
悪意に侵食されたがために…誰かを思いやる偽悪を得たがために、今一度誰かを見れるようになった彼らは隣を見てこう思う
―――――なんて、可哀想な人なんだろう…と】
- 16渡来学徒24/07/08(月) 22:09:21
立て乙です!
『──邪魔するなあ!』
【遠方から、レンガを投げつけられる。渡来学徒は目視でそれを確認した】
【そしてそれを──避けようともせず、その頭部に甘んじて命中させた】
「……せめて」
【額から流れる落ちる血が、足元に垂れて赤い滴跡となる】
「……せめて、怒りを吐き出してください……!
叶わぬ夢なら、せめて……!」
【攻撃を避けずに戦っている渡来学徒は、既に血塗れだった】 - 17GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 22:09:35
>>なんかよくわからんやつ<<
- 18呪胎騎士24/07/08(月) 22:10:00
スレ立てお疲れ様ですー
【強者の理屈だな、と思う】
【ここで立てと言えるのも、実際に立ち上がれるのも】
【思い出すのは原初の記憶だ。縋るしかなかった、縋るものしか残らなかった弱い人達
非合法な人身売買組織に売られた自分と妹を、すまないと泣きながら買い取って贄にしようとしたあの村の人々を思い出す
彼らはきっと『幸福』に縋るだろう、そして、そのまま目覚めないだろう。実際に、それが幸福に繋がる人達だった】
【今助けると言って『幸福』から起こした人々の中に、彼らと同じように眠ったままでいさせた方がいいものは何人いるだろう。彼らは、どれ程苦しんだろう】
【そこまで考えて、一度目を閉じる】
【それでも、殺すしかなかったあの頃よりはマシになった。少しでも、立ち上がれる人だけでも助けなければ
そう思考に蓋をして、とりあえず手近な人の救助へと向かう】
前スレ194
「ああ……飲めるのなら、良かった
とりあえず、これが終わったらすぐにギルドが提携する孤児院に連絡を取れるようにしましょう。子供なら、まず間違いなく保護できるでしょうから」
【きっと、幸福事件が無ければこの子供は保護されず死んでいたろうな、と
どこか、腹立たしいような気持ちになった】 - 19重鎧剛蛇◆tzxenNZQbg24/07/08(月) 22:11:05
※立て乙です!
※乞食の少女に5000G位の価値がある金貨をそっと持たせようとしているやつ
「亡国女王さん温かいお湯をお願いできますか…?」 - 20二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 22:12:31
「なに、この人の山」
「ゴーレムがとりあえず安全な場所にとつっこんだみたいだね」
「にしても、やりかたがあるだろ!多すぎるきちんと寝てるけど詰め込みすぎだ」
「温度管理や酸素はしっかりしてるけどね快適な温度で快適な空気清浄はされてる」
【大きい教会やギルドの施設】
【ゴーレムが運び込んだ人の山ができていた】
「と、とりあえず転移門へ、運ぶしかないかなうう多い………重い象の獣人とかきつい腕が壊れ」 - 21渡来学徒24/07/08(月) 22:12:34
まさしくこいつは"強者"の側の人間なんですね
名家に生まれて不自由なく真っ当に愛情を注がれて育って、整った環境で高等教育も受けて自分のやりたいことをやれてる
だからせめて彼らの無念をこの身で受け止めよう……という - 22呪胎騎士24/07/08(月) 22:12:49
スラムの子供なんてありふれてるんだし『幸福事件の被害者』にでもならなきゃこの子ら普通に飢えて死んでだろうなと思って勝手にキレてる男
- 23火陛24/07/08(月) 22:12:55
メモ帳に書いてからコピペして投稿したので状況がわかってない一人ぼっちなやーつ
- 24ラピス24/07/08(月) 22:13:10
「……いきなり食べちゃダメなんだっけ」
【亜空間の中から保存栄養食を持ってきた石】 - 25偽悪神◆.uMqg7EH5s24/07/08(月) 22:16:31
「……哀れじゃろう?よく聞け」
【それは、分からずとも心に染み込む言葉
それは、聞こえずとも聞こえる幻…】
「お主の隣りにいるものは全てを失い、夢を失い、そして…人生の希望を見失った者」
【何て哀れな――各々は、己の事などを忘れたかのように隣の者を見る】
「彼らに、彼女らに救いの手は無い……お主達もその辛さが分かるはずじゃ」
【一歩、偽悪神は前に出て…人々は、その動きに釘付けになる
ただの少女にしか見えない、この存在に―――】
「じゃが!そんなお主等だからこそ救えるものがある!
隣の者の手を、握ってやれ!」
【―――その言葉に、逆らえない】
「隣の者の顔を見てやれ!」
【―――その救いに、抗えない】
「たとえどのような手段だろうと、やれる事はある、たとえどんなことであれ…できる事はある
ソレがどのようなことでも…お主等なら!それができるのじゃ!
それが偽悪!誰かがための悪で―――誰かの為の救い!」
【神は云う、唆す】
「お主等は選ばれし偽悪の使徒なり!
お主らだからこそ寄り添え、どのようなことでもできるのじゃ!
立ち上がれ!そして救え、絶望していた者達よ!」
- 26表音魔術師24/07/08(月) 22:16:37
- 27声無し24/07/08(月) 22:16:55
こんなに偉そうな説得してるのに明日はまんまと夢に連れ込まれたうえ幸せなまま死を待つという状況にビビりちらかして寝汗ダラダラで恐怖のあまり飛び起きる予定の女王です
「フンス…!」『なんでもいいんだ、ただ積み重ねればそれが君になる…世界の価値も、君の価値も!誰にも問うことなんかできない!そんな問いに答えがあるものか!私だって今までの人生ほとんど漫然と生きてただけだ!機会があったから、後悔しない選択を考え続けて…結果的に故郷に女王の娘として帰れただけ……!』
『生きる意味とか、価値とか……やっぱ必要かな…?私はそういうの特になくても、生き伸びて…大切だと思う人や物、思い出を大切にしてあげるのが良いと思うんだけど…』
- 28二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 22:17:29
「こっちは比較的幸福の影響が薄いと」
「んでこっちは無理に起こせば後追い自殺だの、精神壊れて廃人化だの、新たな犯罪者を作りかねないほうと」
「このひとたちをどうにかこっちに戻さないとなんだよね特に後者……幸福が死んで強制帰還になるとどうなるかわかんないから……」
「夢に入って説得か」
「入れる面々サキュバスだのインキュバスだの、貘だのが集められてるのは、そういうこと」
【幸福の夢に囚われた心の救助をする冒険者もいたのだった】 - 29未来の勇者24/07/08(月) 22:18:04
- 30暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 22:18:11
- 31呪胎騎士24/07/08(月) 22:19:33
わりとこう、自分を生贄にしようとした因習クソ村の人達という弱者を全員切り捨てて自分と妹だけ助かった強者側の男なので結構拗らせてるんですよねコイツ
半分あの日見捨てた罪悪感半分理解できない弱者への哀れみで別に幸福に溺れて死んでもいいんじゃない?と思ってる。ので救助側には回れない
- 32暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 22:21:27
そろそろこのあたりで弾が尽きるぜ!
まあ……まんぞく
暁の炎の言いたいことはだいたい「そんな愛想のないヤツよりこっちにこいよ……」です - 33偽悪神◆.uMqg7EH5s24/07/08(月) 22:21:44
【―――絶望は、経験へ
経験は、誰かの為の救いとなり
己の唾棄すべき立場は…何でもできるという、根拠に変わる】
「――――故に」
【偽悪神は、笑った】
「お主等に価値、有り……救えよ偽悪の信徒達よ!」
「はぁ……いやじゃいやじゃ!こんな事本当はしたくないのじゃ!
こんな悪神のような…、先日の殺人の神の信 者を参考にしたとはいえ、これではただの悪人のようではないか…!
神格に、司りし権能にそぐわないやり方では信仰心を得るどころか返って逆効果じゃし…!
……それに、こんな『求めてない』やり方のほうが上手くいく、というのが改めて突きつけられて…はぁ…
まぁ…けど、ワシ一人の不満で救えたのなら…安いもの、なのかのぅ…」
- 34鋭眼召喚士◆IFPE0ZC60Y24/07/08(月) 22:21:49
【スープの残りを子どもたちに分け与え、疲労を回復させると同時に、首筋に指を置いて“線をなぞるように”指の腹を這わせると、スープを飲んだ子どもは気絶するように眠りに入った】
「今は寝てて、ちょっと手荒なやり方だけど、あなたたちは必ず助かるから……ね?」
【目を閉じる間際に少しだけ微笑んで安心させ、また次の子どもの元へと向かっていった】
「……私はさ、ちょっと分かるんだよねこの子たちのこと、この子たちの幸せってやつをさ」
「もし『幸福』がいなかったら普通に死ぬと思う、だけどそんなこと世界じゃ常に起こり得ることなのよ」
「だけどこんな、死の際でありもしない幸福を見せられて死ぬのは惨すぎるでしょう、だから『幸福』なんてものは……」
「話が逸れたわね、スープの素をあと一つちょうだい、あっちの子たちにも分けてくるわ」
【睨むような目に変わって、また夢に囚われ虚な人形となった子どもたちの方へと向かっていった】
- 35未来の勇者24/07/08(月) 22:23:12
- 36亡国女王's◆UwIgwzgB6.24/07/08(月) 22:24:18
- 37重鎧剛蛇◆tzxenNZQbg24/07/08(月) 22:27:06
- 38呪胎騎士24/07/08(月) 22:27:48
「……そう、ですね」
【少女の言葉に、少しだけ声色に寂しさを滲ませながら子供たちへと目を向ける】
【と、同時に彼女の“家名”を思い出し、少しだけ目を伏せた】
【わからない。例え偽りでも暖かい揺りかごで終われた方がいいのか、苦しみに満ちた現実で生きた方がいいのか
自分は、結局弱者の側に立てたことがない】
【だが───未来ある子供まで夢に溺れて死ぬ光景は、流石に見たくないな
そう思い直した】
「ええ、携帯食料は多く持ち歩くようにしていますから一つと言わず十個でも。俺も手伝いましょう」
【瓶をさらに取り出しつつ、同郷-グロワール-の少女の背を追った】
そういやコイツもグロワール出身だなって勝手にちょっと家名のこと知ってることにしちゃって申しわけねぇ……
- 39渡来学徒24/07/08(月) 22:28:13
「っぐ……!」
【突き出された刃物を、あえて避けずに脇腹を掠めさせる。少年の学ランは通常の学生服ではないが、それでもまともに刃物を受けては無傷では済まず──その切創から鮮血が噴き出る】
「っ、──!」
【だが少年は怯まず、刃物を持った腕を脇に抱え込み】
【対手たる初老の男の額に頭突きを見舞った】
『………■■、■■………』
【男は誰かの名前を呼び、その場に倒れる】
「……そうですね
こんなものはただの、私の自己満足です」
【血に塗れながら、少年はぽつりと漏らす】
「けれど私は、こんな形でしか彼らに向き合えない
……彼らと同じ目線に立てるかもしれない方法が、これしか思いつかないのです」
【それはおよそ、なんと形容すれば良いか分からない表情だった】
【苦悶、苦渋、遣る瀬無さ……そういったものを溶かして顔の形の鋳方に流し込めば、こうなるであろうか】
- 40暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 22:28:21
【一言で広範囲の"信徒"を制圧できる竜の真言は、湧き出てくる"信徒"に容赦なく降りかかる】
『うるさい━━━━!! 黙って私についてこい━━━━━━━!!!』
【割と情けも容赦もなく降りかかる】 - 41二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 22:28:34
「野盗の住処を発見!」
「コイツラも保護か?」
「まあ一応??人間だし、ここで殺すのはあれだから保護して衛兵に突き出すとしようか。眠ってるから反撃されないっぽいし」
【夜盗をツンツンしてるハーフフット冒険者】
「なら、さっさと縄で縛って持ってくぞ。まだまだ生き物が寝まくってるんだ」
「はーい」
【縄に縛られ転移門からの衛兵行となる幸福に囚われし盗賊】
【そして冒険者二人組は次の保護対象を探しに出かけた】 - 42鋭眼召喚士◆IFPE0ZC60Y24/07/08(月) 22:30:05
- 43GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 22:30:32
- 44偽悪神◆.uMqg7EH5s24/07/08(月) 22:31:49
「とりあえず人手が必要みたいじゃし…!
ん、ん!信徒達よ!出番じゃ!」
【演説と権能により味方に付けた信徒を動員して周囲を手伝わさせる
……その顔は幸福で満ちている…】
「………今の現状、ワシらに協力する事が幸せだと思っとるから大丈夫って感じ…なのかのう…?」 - 45呪胎騎士24/07/08(月) 22:33:05
- 46GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 22:33:14
- 47鋼鉄人24/07/08(月) 22:33:20
「……現実を見ろと言うのは、残酷な話だ」
「彼等にとって……既に現実は現実足り得ない。明日を夢見て歩ける場所では決して無い。失ったモノは戻らず、目覚めた所で、その喪失を抱えて進まねばならない」
「夢の中にしか、彼等が望む救いは……失ったモノを取り戻す方法は無いのだろう」
「……それを悪だとは、決して思わない」
「前を向いて欲しいとは、思う。辛い過去があっても……未来が辛いことだけに溢れている訳じゃない」
「歩き出せば……歩き出してよかったと、そう思える未来がきっとやって来る」
「だが、それは同時に"失った事実"を受け入れなければならないという事だ」
「受け入れることは、諦める事でもある。どうしようもないからこそ、尽くせる手は無いと受け入れるしかないからだ」
「失ったモノの価値が大きい程……簡単に受け入れられはしないだろう」
「……だからこそ。失ったモノを大切に思うならばこそ、夢に惑わされずに生きてくれ」
「その大切なものは、夢だ。幻だ。お前達が愛し愛された誰かでも、何かでもない」
「幸福という文明敵対種が造り出した、鏡のようなものでしかない」
「失ったモノを想うなら……お前達は辛くとも、向き合って、前に進まねばならない」 - 48ホワイト・ボックス24/07/08(月) 22:34:01
【淡々と邪魔をしてくる者の手足を凍らせ気絶させる】
【彼らが今までどんな生活をしてきたのか、彼女には想像もつかない】
【生まれてすぐ戦争に投入された、戦争から逃れても戦いに身を投じた】
【生まれ持った力のために苦労することなど大きくはなかった】
【だから考えない】
【彼らの苦痛など想像してもきっと無駄だろう】
【けれどその心と肌には霜が降りる】
【無理やり納得もさせず制圧するのに】 - 49表音魔術師24/07/08(月) 22:34:06
- 50未来の勇者24/07/08(月) 22:35:17
- 51偽悪神◆.uMqg7EH5s24/07/08(月) 22:35:46
- 52ホワイト・ボックス24/07/08(月) 22:36:30
- 53表音魔術師24/07/08(月) 22:37:18
- 54鋼鉄人24/07/08(月) 22:37:30
【だから、と彼等に言うように】
【青年は拳を握り締めて歩き出す】
【彼らのような者はまだ大勢居る】
【抗えぬ夢を餌に、偽の幻を掴ませられる者達は大勢居る】
【だから】
【だから、幸福は打ち倒す】
【当人がどれだけ幸せを感じられていたとしても】
【その人を想って泣く人々と、彼が本来掴む事が出来る筈だった"幸せ"を───人の手に取り返す為に】 - 55渡来学徒24/07/08(月) 22:38:10
- 56火陛24/07/08(月) 22:38:17
- 57亡国女王's◆UwIgwzgB6.24/07/08(月) 22:38:18
- 58重鎧剛蛇◆tzxenNZQbg24/07/08(月) 22:38:51
「あなたに細やかですが贈り物を…お腹いっぱい食べてね」【ダイナソル文明の金貨をそっと乞食の少女の懐へ忍ばせた】【説明文付きで】
「それでは…行きますか…!」
【蛇型の精霊さんの頭をうりうりと撫でながらついていく】
- 59呪胎騎士24/07/08(月) 22:40:19
【無言でついていく】
- 60渡来学徒24/07/08(月) 22:40:25
- 61偽悪神◆.uMqg7EH5s24/07/08(月) 22:40:43
- 62双魔銃24/07/08(月) 22:41:40
【鋼鉄人、と呼ばれる青年に続いて女も歩き出す】
【……向き合わねばならないのだろう】
【多くの問題は逃げる事で、一時の安寧は確かに得られるかもしれない】
【それがその者にとっての最良の解決策になる事もある】
【だが、彼女が抱える想いは……】
【……彼女が踏み出さねばならぬ一歩は、逃げ続ける事で重くなりはすれど、解決はしてくれないのだから】 - 63未来の勇者24/07/08(月) 22:42:07
- 64GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 22:42:43
【王子から渡された鍵で離宮の門を開く。しばらく手入れ満足にすらされていない植え込みが続き、突如として目の前が開ける。
前庭の中心にそれはいた。
女神か聖母かと見紛うような、慈愛に溢れた美しい女性。身に纏う淡い桃色の薄絹が庭いっぱいに広がって、雲海のような光景を作り出している。
文明敵対種『幸福』。それは君たちを認めると限りなく純粋な微笑みを浮かべた。
そこに偽りはない。どこまでも真実、目の前の存在の『幸福』だけを願って】
『悲しいの?辛いの?こっちにいらっしゃい
幸せになるのに恐れることなんかないわ……』
「気をつけろ、射程に入る。これ以上は護符では防ぎきれん!」
【ふわり、と風が駆け抜けた。それだけで君たちの疲れが消え失せ、心がやすらぎをおぼえる敵愾心が、怒りが鈍る】
※今更ですが人工妖精には好きに支援をさせてもオッケーです。彼らは単純であるがゆえに幸福の影響を受けにくいので元に戻そうと騒ぐとかアイテム持ってくるとか特定の位置になにかあると知らせることくらいはできます
あんまり強力なことは妖精単体では無理です(外部要因があればいける)
射手は概ね射撃時のスポッターとして使ってます
お疲れ様でしたー
- 65鋭眼召喚士◆IFPE0ZC60Y24/07/08(月) 22:42:48
- 66暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 22:43:32
「そうだよ……だって、いないのに。ちがうのに」
「どうしてそんな、まやかしの言うことを聞いて………」
「…………」
【力なく倒れる王子をただ茫然と見つめる】
【状況がよく飲み込めていないのだろう。敵ではなくなったけれど、では解放されたのかは――わからない】
「………――何故? 私が燃やしたいのは、相容れないのは、『幸福』だけ」
【ただその疑問に対しては首を傾げ、心底わからない、という風に零した】
「『幸福』を匿ったのはいけないけど、それは……あくまであなたの罪」
「あなたは、騙されてるだけなんだから……殺さなくてもいい。私は、殺したくない。……それだけ、だよ」
【あなたの事情は私には関係ない、とも言っている、突き放したような言葉】
【しかしまっすぐに、ただ――相手を見て。ただ人として見て、殺したくないと言った】
「……じゃあ、行くね。」
【それだけ言って去って行こうとして、ふと立ち止まって振り返る】
「ねえ………あのさ。もし、また好きな人がみつかったら。」
「天国のお母さんに、教えてあげてね。」
【僅かに目を細めてまっすぐ見つめる。黄金の瞳が、太陽のように温かく燃えていた】
- 67重鎧剛蛇◆tzxenNZQbg24/07/08(月) 22:45:54
- 68偽悪神◆.uMqg7EH5s24/07/08(月) 22:46:53
- 69鋼鉄人24/07/08(月) 22:46:55
- 70ホワイト・ボックス24/07/08(月) 22:47:57
- 71表音魔術師24/07/08(月) 22:49:12
- 72呪胎騎士24/07/08(月) 22:49:19
- 73暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 22:50:40
- 74双魔銃24/07/08(月) 22:50:42
- 75二次元好きの匿名さん24/07/08(月) 22:51:58
「連絡が入った討伐部隊が幸福の元へ付いたらしい」
「救助も本番だね完全に囮は………もう全く必要なくなった」
「幸福の近くの存在だって。今なら救いに行ける」
「助けなきゃとにかく」
「幸福のいる場所もわかってる。その付近に何があるかも地図で予想がつく。建物に運ばれてるなら人のいる場所も多少はわかるはず」
【転移門へ、スーキ国の住民たちが一人、また一人と運ばれていく】
【囮という役目も失った哀れな囚われ人達が、一人また一人と運ばれ起こされていく】 - 76亡国女王's◆UwIgwzgB6.24/07/08(月) 22:52:34
- 77鋭眼召喚士◆IFPE0ZC60Y24/07/08(月) 22:52:42
- 78渡来学徒24/07/08(月) 22:53:56
- 79暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 22:53:56
- 80渡来学徒24/07/08(月) 22:54:20
お疲れ様でした!
- 81重鎧剛蛇◆tzxenNZQbg24/07/08(月) 22:54:56
※お疲れ様です!良い夜を!
- 82ラピス24/07/08(月) 22:56:51
- 83双魔銃24/07/08(月) 22:57:02
実際の所、敵意も殺意も無く「必要なら」鋼鉄人以外の存在を一切の呵責なく殺傷出来る(その後に感傷に浸ることはある)女だからこそ、どれだけ幸せの渦中に居ようと敵意が湧かなくても銃を手に取れるんですね
- 84火陛24/07/08(月) 22:58:37
- 85GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 23:00:44
『ここよ、ここで目覚めたの。でもみんなを幸せにするためならどこへだって飛んでいくわ』
【不思議そうに、無邪気に笑う『幸福』。その芽吹いた場所が偶然あの王子が流された離宮であったのが、スーキ国の不運だったのだろう】
【炎が飛び、前庭を埋め尽くす薄絹にみえるそれを何枚も焼き切った。花吹雪のような幻想的な光景が広がる。
『幸福』はちょっと不思議そうな顔をした】
『どうして?あなたたちは幸せになるために、悲しみを防ぐために行動しているのに』
【『幸福』は戸惑うような表情を見せた】
『足りないのね?』
【先程より強い波動が襲い来る。
強い快感と多幸感。明確にプラスに感じ取れるもの。
なにもかも放り出して、この波にすべてを委ねてしまいたくなるような……】
「『快楽』だ!流されるな、気をしっかり持て!
無理なら気絶しろ、それが手取り早い!」
【黒衣の射手の叫びが遠く聞こえる】
※これを凌ぐもしくは堕ちた反応のあと、『幸福』のラスト行動の描写だけ投げて明日の夜まで思いっきり時間を取ります。
- 86声無し24/07/08(月) 23:01:26
眠る場合眠りに入る描写っていまから大丈夫なのでしょうか?
【先を急ぐ前に王子に近づき、膝をついて目線を合わせる】
『あのさ…こんな時に言うのもあれかもしれないんだけど』
『私が無事に帰ってこれて、君に生きる気があってそうしない理由が無ければ…友達にならないか?』
『話せば楽になることもあるかもしれないし、君の母の話を聞いて…共に悼みたいと思ったんだ…それしか、名誉を汚された死者のために私ができることは思いつかなかった』
【わずかに疲れと無力感を感じながらも、声無しはほほ笑んでそう文を綴った】
「フンフン」(さて、行かなきゃ)
【そうして彼女は先に行った者たちを追って歩き出す…偽りなのか真実か、幸福は災いであるか善美のものか】
【ただ、感じたことと自分に真摯に一日を積み重ねるために】
「……………」(美しい、だが同時に…怖い、あれは恐ろしい、見かけよりずっと‘‘大きい‘‘ものに感じる)
【疲れが消え、足取りは軽くなる】
【だが怒りも、敵愾心ももとより声無しにはない】
【それが無ければ戦えないわけでも、殺せないわけでもない…生きるため、生かすための行いに、それを持ち込む心の余裕はない】
【張り詰めた神経と真に相手を見極めようとする目は不安と恐怖から来るものであるが故に──故に、それらが消えうせれば】
- 87月見酒24/07/08(月) 23:03:07
途中参加よろしいでしょーか
こう藪に潜伏してた蛇が出てくる感じで…… - 88GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 23:04:50
- 89表音魔術師24/07/08(月) 23:06:59
「……ぐっ……!これは……マズい……っ!」
【強烈な波動に晒され、幾重にも貼った精神防護は紙くずのように消え去った。所詮己の技量ではこの程度か……そのような思考を巡らせる間もなく、意識が遠のき始める】
【否。むしろ、明晰になっていく。透き通り、ただ一つの想いに支配される】
【──”ああ、なんて幸福なんだろう”】
(ふざ……ける、な……!)
【辛うじて残った僅かな理性が魔術触媒を手に取らせる。紅の血が滲むほどに唇を噛みしめ、せめて『幸福』に敵意の眼差しを向ける】
- 90偽悪神◆.uMqg7EH5s24/07/08(月) 23:07:46
「―――――」
【『幸せになるために、悲しみを防ぐために行動している』】
「……はっ、防ぐまでもない……こんなまやかし
こんなデタラメなど……口程にもない」
【偽悪神は、一歩進む】
「ワシは、神じゃ……世界が為に、悪も善も、幸も不幸も回す者……」
【故に、偽悪神にあるのは単なる感情ではない
―――世界のシステムとしての、使命】
「じゃから、的はずれなんじゃよ
ワシは…幸せかどうかは不確実なまま、偽悪の元に己の信徒を悪の道へと進ませてしまう…そんな、神なのじゃか、ら…」
【ぐらりと、視界が歪む
……精神も思考も、核も…無茶をし過ぎたか
地面へと、倒れ伏した】
- 91鋼鉄人24/07/08(月) 23:08:11
【──快楽とは、つまるところ喜びだ】
【喜ばしい、楽しい、嬉しい。それらの感情を人は纏めて『喜』と表現する】
【青年にとって、『喜び』とは特別な思いがある感情だ】
【生まれながらにその感情を持ち合わせていなかったから、彼は人の中で生きる事が出来なかった】
【心が欠けた"人造人間という兵器"だった彼を、育ての父が"人になろうとする人造人間"にした】
【この鋼の体になった時、初めて彼は『喜び』を心から理解出来た】
【それ以外の全ては、塗りつぶされてしまったが、初めて嬉しさを理解出来たのだ】
【人生において最も喜ばしい日々は、あの日々だっただろう】
【されど、それでもやはり心の欠けた存在であった彼を救うべく、機構の身を持つ姉が心をくれた】
【何処か一つが欠けているわけでも、どれか一つしかないわけでもない、そんなありふれた人の心】
【それを得て、彼はようやく"人間"になれたのだ】
【──さて。では、そんな、『喜び』と向き合い続けた存在である彼に、快楽による攻撃は効くのだろうか】
【──答えは否である。彼が求めた『喜び』はこんなものではなく、得た『喜び』もまたこれではない】
【──そして、これは"二度目"だ】
【背負った極大剣の柄を握り締める】
【一歩ずつ……一歩ずつだが、青年は『幸福』に歩み寄る】
- 92重鎧剛蛇◆tzxenNZQbg24/07/08(月) 23:08:25
「そうですか…申し訳ありませんが…貴方は今…ここで…」
【直後浴びせられた快楽の波動に墜ちかけ】
「ぐうぅっ…やはりこの感覚には…慣れません…起こしては貰えましたがまた…意識が…!」
【蛇型の精霊さんに頬を貫通するほどに噛みつかれた重鎧は】
「こうなれば…!」
【そのままいつもの装甲から推進器と車輪が発現、意識が快楽の波に混濁した重鎧は朦朧としたまま幸福へ総重量を込めたタックルを仕掛ける】
- 93呪胎騎士24/07/08(月) 23:13:02
「本当に、話が通じませんね。流石文明敵対種……!」
【会話に応じつつも一方的に、おぼろな霞の向こう側にいるかのような調子で続けられる言葉に不快そうに目をひそめる】
【いつだってそうだ、会話が成立しないほど文化も思考も違いすぎる相手との接触は背筋に言いしれぬ嫌悪をもたらす】
【ある意味では戦闘すら成立しないそれは、もはや害獣のソレが一番近い】
【快が、あふれる】
【幸福だ。眠りの安息、腹が満たされた充足感、そんなモノが下らなく思えるほどの安らぎ
麻薬によってもたらされる暴力的な快楽すらお遊びに思える暖かさ。このままではまずい】
「だから、殺すしか無いな」
【だから────ギ、と。溢れる幸福に対抗するために首元をナイフで突き刺せば、どろどろと赤黒い血が溢れた
呪物であるナイフによって自身に〈快楽を苦痛に変換する〉呪いをかけながら、溢れた血と苦痛を贄とし呪いを起こす】
【どろりと溶けた血はまたたきの間に矢へと転じ、幸福の首元目指して空を裂いた】
- 94暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 23:13:44
「……何が。何がわからない……ッ!」
「消したいのだろ?! 消そうっていうんだろ! この怒りを……!!」
『ならば見ろ!! この怒りを見て……! 思い知れ――……ッ! お前の、所業をぉ!!』
【全霊の怒りを込めて叫ぶ。】
【脳が蕩けるような感覚、急にどっと襲い掛かってくる眠気。――快楽。】
【倒れ込みそうになりながらも、脳を、意識を怒りで煮立たせて、無理やりに両の脚で踏ん張って立つ】
【――お前の敵はここにいるぞと、宣言するかのように。私を見ろと叫ぶように、霞んだ目で睨みつけた】
【霞んでいながら、弾けるように輝く黄金の瞳で。たとえそれが――風前の灯火の、最後に輝く火花だとしても】
- 95渡来学徒24/07/08(月) 23:14:44
「は──」
【瞬、だった】
【とろん、と微睡むように。意識が多幸感によって刈り取られる──】
【いや、どれほど速かろうと、あるいは遅かろうと関係ない】
【警戒することなど、はなからできないのだから】
【咄嗟に抜き払ったのは、打刀より短い『グレート・アーノルドの不思議ソード』】
【それを自身の腕に突き立て、それが提灯お化け型の人工精霊の炎で熱される】
「ぐっ……おおおおお……!」
【内側から焼けた鉄に苛まれ、肉の焦げる匂いがする】
【凄まじい苦痛と異臭で、結果的に意識が保たれた】
- 96月見酒24/07/08(月) 23:15:32
ありがとうございます
「んふ、おはよう〜」
【ずるり、茂みの中から白く輝く蛇体が溢れ出してきた。大きく裂けた口の中が嫌に赤々と映えている】
「気持ちよーく寝るのは得意なんだー
そこから起きるのもね?」
【逃げられては困ると、幸福がこの場に集まった者たちに固執するのを待っていた。
そう、どうしても幸福をもたらそうとするその時まで
ほろ酔いのまま夢現にいることも慣れたもの。快楽の波を受けながらも、それに揺られたまま大蛇の牙は止まることなく幸福へ向かう】
- 97ホワイト・ボックス24/07/08(月) 23:18:14
「これが幸福というのであれば私はそれが間違っているといいます」
【快楽に溺れそうになる】
【左腕を瞬時に凍らせ凍結の痛みで気を保たせる】
【気を確かにもてと精霊に囁かれ意識を保つ】
【背後に用意した箱が展開し巨大な砲に変形する】
【己にそれを向け電撃で快楽を遠ざける】
【無理矢理にでも冷静になって…力にならんとする】
- 98鋭眼召喚士◆IFPE0ZC60Y24/07/08(月) 23:18:24
「嫌、だ……!こんなことで、与えられた幸せなんて、私は絶対に……!」
『押し付けられた幸せって何?誰かが決めた幸福って本当に自分の幸福なの?』
「は……?ポチ……?」
【鋭眼召喚士が波濤に襲われる、だがずっと姿を消していたポチが幸福に呑まれる直前に現れ、鋭眼に浴びせられた幸福を一手に請け負って庇った】
『ごしゅじんのしあわせは このこのしあわせは
ほかのひとよりちがうんだよねー だからふつーのは
いますこし、いらないかも』
【そしてポチは眠るように消滅し、召喚を封じられた状態になった、いつもポチがいるスクロールの中は無惨にも空っぽのままだ】
【だがそんな犠牲も虚しく、庇いきれなかった『幸福』の残響が身体に行き渡りそうになったが、腕に短剣を突き刺して辛うじて立ち止まった】
「よく分かってるじゃない、流石は私の使い魔よ……アンタの分も、全部アイツに……!」
【血塗れの片腕を握り締め、もう一つの使い魔である巨大腕の「タマ」を喚び出して戦闘態勢に入ろうとする】
- 99ラピス24/07/08(月) 23:21:06
「おまえぇぇぇぇ!!!!」
【どれだけ擦り減ろうとも絶えず怒りが湧き上がる】
【その根本は「人を衰弱死させる幸福を許せない」という物だが…異常な怒りようである…】
【怒りの活力、それは彼女の父、グラダビスの命令によるものだ】
【彼の命令は眷属にとっては絶対だ、鳴けと言えば鳴き、吠えろと言えば吠える。自害しろと言えば自害する、そういう命令だ】
【その命令は眷属の感情をも支配する、その結果………】
「くたばれ水底死骸女ッッ!!!!」
【食らえば強烈なスタンを引き起こす棘だらけの右腕で全力で殴り抜きに行く】
- 100亡国女王's◆UwIgwzgB6.24/07/08(月) 23:21:28
「───ぁあ───っ」
【強い快感と多幸感により、意識が飛びそうになる────寸前】
"フシャー!"
「!」
【三毛猫人の威嚇と爪立ての痛みによって微かに取り戻し】
「っあああぁぁぁあああ!!!ぶっ翔べ────!!!」
【鉄より硬い竜の鱗にも刺さる機蟲の絲を腕に刺す】
【激痛とともに混濁した意識で叫ぶ。なけなしの力を振り絞り、手のひらサイズのハチ型ゴーレム『機蟲』を持っている全て十数体が──『幸福』へと突撃した】
- 101双魔銃24/07/08(月) 23:23:59
【快楽とは、彼女の印象として聞かれればそれなりに早い段階で出る言葉ではないだろうか】
【快楽。楽しむこと。愉しむこと。悦に浸ること】
【それらは人が持つ三大欲求の一つに繋がるものであり、故に決してヒトという種からは切り離せないもの】
【そして───彼女が普段から身を浸し続け、緩やかな堕落を味わっているモノ】
「───ふふっ」
【───白の魔銃をゆっくりと向ける】
【普段から身を浸す快楽ならば───彼女はその身を快楽に支配されていようと、支配されたまま抗う事は出来るのだ】
【彼女の魔銃は技量による"必殺必中"】
【狙い定めた獲物は、どれだけ緩慢な動きしか取れずとも外さない】
- 102暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 23:25:14
『幸福』の抹消対象、逆説的に『幸福』の視界内である怒りにこそ想いを込める暁の炎
まあ最終的に言おうとしてるのはお前の存在が一番不愉快ですお前が消えろなんだけども
伝えようとしているとかでもない、ただぶつけて殴りつけようとしている感じ - 103火陛24/07/08(月) 23:29:07
すみません
ちょっと諸事情で落ちてました
もし待ってくださっていたなら先行ってください - 104偽悪神◆.uMqg7EH5s24/07/08(月) 23:29:43
……まさかこれ、攻撃フェーズじゃな?
(※とりあえず倒れとく必要あるかなと思ったアホ) - 105暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 23:30:26
えっ攻撃してよかったの?(ここから最終ターンで眠るつもりだったやつ)
- 106鋼鉄人24/07/08(月) 23:31:01
今は「抵抗」or「快楽堕ち」のフェーズという認識だぜ!(ウチは両者とも抵抗の後に眠る)
- 107ホワイト・ボックス24/07/08(月) 23:31:12
攻撃しちゃってよかったんです…?
(武器出したけど気付けのために自分に向けちゃった) - 108声無し24/07/08(月) 23:31:40
了解しました!
【恐怖が薄れ、一瞬‘‘無‘‘になった意識】
【そこに多幸感と快感を押し込まれ───呆けたように立ち尽くした】
【単純に殺すこと、食うこと自体が目的の魔獣が相手であれば間違いなく命を奪われている状態だった】
【ドワーフの似姿に頬を張られようと…彼女に正気は戻らない】
寝てはないです、正気を失ってアホ面してますけど
- 109GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 23:31:40
どっちでもいいターンですね
攻撃してもいいですし、しなくてもいい
どのみち超ピンチ判断して逃げるか再起不能になるまで逃げないので - 110鋭眼召喚士◆IFPE0ZC60Y24/07/08(月) 23:32:36
私の方は結局必ず寝ることになるので、抵抗虚しく寝ちゃいました感を出して心を折らせるために、戦闘態勢には入らせました(攻撃はしていません)
- 111GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 23:32:48
なんなら最終ターン寝ないのも自由だ!
幸福とレスバしたかったらしてもいいぜ!話通じないけど! - 112呪胎騎士24/07/08(月) 23:34:17
- 113GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 23:34:23
【重鎧剛蛇のタックルを受けて右手がひしゃげる。呪いの血矢はなんの抵抗もなく首を居抜き、風穴を開ける。
水の棘が生えた腕は凶器となってひしゃげた右腕を丸ごと吹き飛ばし、機蟲が薄絹にみえる体の一部をずたずたに引き裂き、舞い上げる。
射手のライフルが銃声をあげ、その脇腹を吹き飛ばした。
損傷から血が流れ出すことはない。どんなに似通っていようが、やはり「これ」はヒトではないのだ
効いていないわけではない。『幸福』はあちこちが抉れ、千切れている。血は一滴も出ていないが損害には違いはない】
『ただの快適さや気持ちよさでは、あなた達を幸せにするには足りないのね』
【損害を受け、炎のような怒りを浴び、敵意を向けられ、牙と大剣が迫りこようとも『幸福』は怯える様子もなかった。ただその様子を見て悲しそうな顔をする。
『幸福』から感じ取れるのはただ君たちを幸せにしようという意思だけだ。自分がどれだけ損なわれようとも痛みを感じることも、それに頓着することもないようだった】
『大丈夫、どんな大きな幸福でも、私が届けてみせるわ』
「『夢』が来るぞ………!」
【『幸福』はありとあらゆる痛みと苦しみを消滅させ、幸福感や快感を与える。
―――それでも足らないものには夢を見せる。
あるものは友人と他愛のない日々を送る夢を。
あるものには失ったはずの幸せな過去を。
あるものにはたった今やろうとした仕事が無事成し遂げられた夢を】
【ひときわ眩しい波動が放たれる。
『現実』では足らないものにふさわしい幸福をもたらす『夢』が冒険者たちを包みこむ!】 - 114GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 23:34:38
※これが『幸福』の切り札です。夢を振り切る、ないし誰かに起こしてもらったら幸福に止めを放ってください
※『幸福』との会話希望の場合はGMがいる時間なら対応します
参加者全員の描写を確認もしくは9日22時になった時点でシメに入ります。
いまから参戦したいから締め切り待って!という場合は先に参加希望しときましょう。いまからでも大丈夫 - 115月見酒24/07/08(月) 23:34:48
この後ちゃんと寝るよ!
待ち伏せして出てきて即コテンはちょっとキャラが可哀想だっただけだから攻撃っぽい前準備した感じ - 116鋼鉄人24/07/08(月) 23:36:13
了解です!
- 117呪胎騎士24/07/08(月) 23:36:40
了解ですー!!!
- 118偽悪神◆.uMqg7EH5s24/07/08(月) 23:37:59
了解であります!
- 119GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 23:38:37
前回ね!!!数人待ちきれなくて描写ちょん切ったのすっごい悔しかったから丸一日時間とってやったぜ!!!!
あっいまから救助ロールややすらぎ、快楽波動でやりたいことあった人は時は遡って――とかつけとけば通ります - 120鋭眼召喚士◆IFPE0ZC60Y24/07/08(月) 23:39:21
了解しました!
よし……過去設定やら何やらを見直してくるかぁ……
あと質問なんですが、『幸福』の見せる夢ってそれが「幸福だと思っていること」なら大丈夫って感じでしたっけ - 121渡来学徒24/07/08(月) 23:39:43
了解です!
明日の22時なら流石に間に合うやろ……
間に合う……よね? - 122ホワイト・ボックス24/07/08(月) 23:40:01
了解しました!
この子、精神系攻撃が物理に比べてだいぶ苦手なので救助ロールしていただけると助かります - 123ラピス24/07/08(月) 23:42:24
了解です!
グラダビスのムカ着火は実質違反なのでは? - 124暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 23:43:20
「……くだらない、たわごとを」
「わたしを、満足させたいなら……――おまえが、消えろと………はじめから、言っている」
【最後に燃えた怒りのように、僅かな炎が指先から奔る。】
【何も殺せないような、ほんの小さな炎が……けれど、確かな怒りを込めた赫奕の炎が、『幸福』へと飛ぶ】
【それを最後の抵抗に、少女は倒れた】
- 125暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 23:43:56
了解です!
- 126GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 23:43:58
- 127GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 23:44:33
元ネタにも大いなる存在の介入あったからセーフセーフ
- 128暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 23:45:15
【――今日も私は幸福だ】
【魔物を狩って食い、ついでに依頼としても狩り、肉を食べておいしいご飯も食べる】
【生きていくうえで、それ以上に何が必要だろうか】
【もちろん、心の栄養も必要だ。昨日は――鳥人の女の子と歌を歌った】
【歌は好きだ。楽しいし、穏やかになるし、高揚する。魔法のように気分が変えられて、どんな気分のときだって楽しい】
【――いい笑顔です。と真顔の鳥人が言う。不思議だ。ドラゴンの顔に表情筋はほぼない。私も相手も真顔である】
【でも、本当に不思議なことに】
【わたしもあの子も、笑っていた。】
【心の栄養は、楽しいばかりではない。難しいことに頭を悩ませるのも一興。必要な刺激というものだ】
【一昨日は、魔術師と魔法の勉強をした。私よりずぅっと年下だろうに、お姉ちゃんみたいな子。】
【ああすれば、こうすれば。一緒に議論を交わすのが、試行錯誤する時間が楽しくて、楽しくて。】
【いいアイデアを見つければたくさん褒めてくれて、あの子も驚くような発想を見せてくれる。】
【発見を喜び合って、はしゃぐように話し込んで。すっかり早く時間が過ぎてしまっていた。】
【一昨昨日は、先輩と二人でお話をした。】
【昨日はこんなことをしたの、明日はこんな約束があって……そんな話を、先輩はおだやかに聞いてくれた】
【けれど、お返しに話してくれる話は驚くくらい刺激的で、わたしには想像もつかないくらい壮大な話。】
【すっごく、すっごく楽しくて。すごく……安らぐ。家に帰って来たみたいな、不思議な安心感】
【明日は狩りだ。一緒に来てくれる剣士は料理上手で、採った獲物もうんと美味しく調理してくれる】
【わざわざ依頼を受けなくても、美味しい肉料理が食べられるのだ。こんなにすばらしいことはない……!】
【いつもいつも、私は楽しみにして行く。いつもいつも、狩りに張り切るわたしをあの人は褒めてくれる】
【ずぅっと変わらない、そう信じられる。そんな日常】 - 129暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 23:45:36
【今日はギルドで宴会をした。】
【理由……特にない。久々の人が帰って来たとか、どこかのカップルが進展したとか、200の呪いとか、たぶんそんな、適当な理由】
【この雑さ、緩さが私は嫌いじゃない。流されるのも悪くないし、懐の深さという意味で居心地の良さもある】
「こうはい、こんにちは。楽しんでますか?」
【先輩と一緒にご飯を食べた。わたしも結構食べる方だけど、先輩もすごい。】
「ルキアさんこれ食べた? おいしいよ!」『これは私が作った。ルキア殿もよければ』
【血の魔女と目玉の悪魔。ずっとべったりで、羨ましいくらい仲のいい二人。……二人でいると、満ち足りているみたい】
「やあ、ルキアちゃん。楽しんで……ははっ。る、みたいだな。」
【ディーノがそっと口元を拭ってくれる。……――?あれ、きれいに食べたつもりだったのに……失敗した?】
「ルキアさん。ふふ………賑やかだね。私はもうけっこうお腹いっぱいかも……」
【アノマスとはスイーツを食べた。別腹、ってやつ? すごく、楽しそう】
「ヴェハハハハ!! 飲んでるかー?!」
【にぎやかな神様。いつも楽しそうだけど、どこか寂しそう。……わたしもいつか、こんな風に思うのかな】
「よう! ルキアちゃん、食べてるかー!? 私も今日は食いだめしようと思ってるぜ!」
【ん、食べてる。んー……すっごい食べてる。お勧めしてくれるご飯も美味しくて、明るくて一緒にいると楽しい】
「"味の宝石箱"! "歓声の音楽隊"、"陽の光"!」
【おっ、うーん……美味しい……みんな楽しそう、盛り上がってる……すごく楽しい? 楽しそう。】
「(フンス……)」『マスター、そろそろ困ってるよ』「(カキカキ………スッ)」
【舌のないエルフとも話し……話し?た。うん、たぶん話したと思う。】
【ボディランゲージでがんばろうとしたけど、だめだった。次は負けない。】
「やあ、ルキアちゃん。ふふ……君の楽しげな瞳を見ているとお酒より酔ってしまいそうだね。ごきげんよう」
【巫女、っぽい。気配は。でもお菓子くれたし、撫でてくれたから良い人】
【みんな、すごく楽しそう】
【……今日も私は幸福だ。】
【何が、何が欠けているだろう。何が足りないだろう――どこにこれ以上を求める?】 - 130鋭眼召喚士◆IFPE0ZC60Y24/07/08(月) 23:46:02
- 131表音魔術師24/07/08(月) 23:46:13
- 132暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 23:46:46
【今日は――いつか、いつだろう。】
【とにかく、楽しく過ごしている。何ら変わりない、気ままな日々】
【アノマスと魔女清掃員とお昼寝をした。穏やかな空気で、落ち着いて、温かかった。メイドちゃんと酒場でバイトをした。……どからか生暖かい視線を感じた。ロリバアア冒険者とお茶をした。……雰囲気、含蓄、ワビサビ……。フライパンドラとパンを作った。料理は楽しくて、美味しいものができるとなおさら嬉しい。明星や黒染の鳥人と空を飛んだ。うんと早く飛んで、うんと高くまで飛んだ。冒険をした。散歩をした。お祭りをした。釣りをした。外食に行った。海に行った。山に登った。星を見に出かけた。】 - 133暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 23:47:23
【大人になった。いちばんの幸福を知って……そして、失う悲しさを知った。】
【別れを惜しむ切なさと、再会を願う楽しみを知った。】
【――諦めを、知った。老いを知った。衰えて。】
【死が迫る感覚を、知った。】
【しかし】
【なにが、欠けているだろう】
【こんなにも、愛しい声で呼びかけられて】
【こんなにも、愛しい目で見つめられて】
【こんなにも、惜しまれている】
【こんなにも、愛しい愛しい人の子らに囲まれて】
【穏やかに、満ち足りて死ねる】
「………――あり、がとう」
【だから】
【私は今日も幸せだ】
【幼いころは】
【何を怖れていたのだろうか】
【何も、怖いことなどないではないか。】
【力がなくなって、何を失っただろうか。】
【命がなくなって、何を失うだろうか。】
【――何も、何一つ欠けていない。】
【私には、とても勿体ない――量の腕に余る、幸福でいっぱいだ。】
【………本当に、満ち足りた、人生だった】 - 134暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 23:48:22
【…――ならば】
【お前は、何を忘れている?】
【あるだろう、失ったものが。あるだろう、欠けている者が。】
【あるだろう。わたしに必要な、わたしの根幹の、わたしが心から大切にしていた】
【何故、死に抗わない。何故、衰退に抗わない。何故、喪失に抗わない】
【それは死への、衰退への、喪失への恐れを――忘れているだけだろう】
【受け入れるなら、抗い尽くして、それから受け入れるのが筋だろう】
【何を、甘ったれたことを。何を、腐れたことを。何を、惰弱なことを。】
【必死に生きろ、生きて、生きて、生き抜いて死んでこそ】
【ありとあらゆる命の務めで、生きとし生ける命への礼儀で、死に絶え消える命へせめて通すべき筋だろう】
【ああ、腹が立つ━━━━】
【誇りのない姿とは、こんなにも醜悪なものか。】
【誇りのない心とは、こんなにも軟弱なものか。】
【誇りのない力とは、こんなにも卑劣なものか。】
【選りに選ってこの口で、そんな言葉を吐くか。そんな低俗な、弱々しい諦めの嘆息を吐くものか。】
【何を以っても、許しがたい】
【――いつのまにか、視界は真っ暗な闇の中だった。】
「ここが、死界とでも。 くだらない、本当に……こんなつまらない最期がある?」
【黄金の炎を全身から噴き上がらせる。】
【遠い宇宙の闇の中でも絶えない太陽に似た光を、私の根源たる真実の炎を】
「この偽りを焼き払え」
【極黒を黄金が覆い尽くし、完全に塗り替えて――意識は、現実へと還って来た】 - 135呪胎騎士24/07/08(月) 23:48:24
- 136暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 23:48:45
事前にコツコツ書いたはいいけどこれはこれでバカだろ
- 137GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 23:49:55
わしはいいと思う
- 138ホワイト・ボックス24/07/08(月) 23:51:20
【快楽がホワイト・ボックスを包み込む】
【全身のしびれも人口精霊による気付けも氷の痛みも何もかもなくなりただ温かさだけがホワイト・ボックスを包み込む】
【そのまままるで快晴の春の日に芝生の上で昼寝をするような安らかな顔つきで眠りについた】
「……一矢報い……」
- 139GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 23:52:26
射手さんの描写は使い回しです
見る夢はいつも同じだって前回も言ってるのでね!
【黒衣の射手は数え切れないほど見てきた光景の中にいた。
この1000年以上の間、いくどとなく『幸福』の子株を狩ってきた。
その度に見せられる夢はいつも同じ】
「おとうさん、おかえりなさい」
「晩御飯にしましょう、あなた」
【駆け寄ってきて無邪気に笑う娘と、それを見て微笑む妻。
1000年前、陰惨な戦争から戻るたびに自分を癒やしてくれた家族】
【あの日、戦いから戻ったときには安らかな表情で事切れていた二人】 - 140暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/08(月) 23:53:16
- 141GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 23:53:28
「……私の真の『幸福』はすべてあの日にお前たちとともに眠った」
「おとうさん?」
【『幸福』の夢は安っぽい幻影などではない。二人はまったく不自然なところはなく、記憶の中のあの日のままだ。】
【けれど―――】 - 142GM◆4RtBX/LaMY24/07/08(月) 23:53:55
「おとうさ……」
「私の家族は死んだ。この手で埋葬して、見送った。そのことをなかったことになどするつもりはない。
あの王子の選択を咎める気などないが――」
【もはやすがりつく娘も、戸惑う妻も眼中になく、喪服の射手はライフルを構える。
目標は人工妖精が教えてくれる。
はるか昔、娘が拙い手で描いてくれた自分の絵に似た姿の――それが、黒衣の射手にとっての「強い」姿】
【銃弾にありったけ魔力を込めて】
【引鉄に手をかけて】
【しっかりと目を開いて】
「俺には偽物など必要ない。俺の家族をこれ以上愚弄するな」
【―――銃声】
【必殺の魔弾が、いつかと同じように『幸福』を貫いた】 - 143ラピス24/07/08(月) 23:54:18
「うぐぅ…ッ!?」
【いくら激しい怒りが心の底から湧きあがろうとも、眠らされてしまえばただの石ころと同じ】
【両足から力が抜ける】
「ぜっぇったい…」
「殺してやる…!」
【バシャァンと音を立てて水の中に倒れるように飛び込んだ】
「ぐぅ」
【寝た】
- 144亡国女王's◆UwIgwzgB6.24/07/08(月) 23:55:03
- 145呪胎騎士24/07/09(火) 00:04:27
【思い出すのは、まだ物すらろくに数えられなかった頃のことだ】
【寂れた寒村……だったと思う。詳しいところは、もう覚えていない
あとで調べたところ、あの時期のあの地域は記録的な冷夏に見舞われていたらしい。今夏の暑さどころか当時としてもあり得ないほどの寒さは一次産業に記録的な打撃を与えた
それは、生活の安定した中流層以上の人間にとっては野菜が食べられなくなる程度の痛みだったが、農業しか産業を持たない有り触れた寒村にとっては致命的なものだった】
【あなた達はどこかで幸せになるのよ】
【母は、妹と自分にそんなことを言いながら泣いて自分達を抱き寄せた。隣で父が泣いていて、見たことのない黒い服を着た人たちがドアのそばに立っていた
妹は怯えながら俺の服の裾を掴んだけど、俺は何がなんだかわからずぼうっとしていることしか出来なかった】
【すると、黒い服を着た人たちは母を乱雑においはらい、怯えて泣きじゃくる妹とぼんやりとしている俺を外に連れていく
いい加減俺もこれはおかしいぞと気付き抵抗したけど、三つになるかどうかの子供が大人を振り払えるわけもなく、大きな箱の馬車へと乗せられた
箱の馬車には自分達とそう変わらない年頃の子供が何人も乗っていて、みんな死んだような目をしていた
そのあと、黒服達は箱馬車になんらかの魔術を唱え-恐らく隠滅の魔術だ。人買いは法で禁止されているからバレるわけにはいかなかったのだろう-車輪がからころと回り始めた】
【妹と二人で怯えながら馬車の中で揺られて───そして、二人であの村に売られた】
【あの村は、名前すら持たなかった。山奥に潜み古い時代の仕来りだけを重んじる隠れ里のような村】
【そんな村に引き取られて、俺達は香代-カシロ-に相応しくなるようにと着飾られた
双子なのがいい、揃いの金の髪もいい、なんと縁起がいいのかと、たくさんの人が喜んでいた】
【陰陽を混ぜるためだかで俺に女の子の服を、妹に男の子の服を着せるから困惑したけど、結局何も言えずに従うだけ
服を着せ終わったら足を布で巻かれ-中原の一部に伝わるという悪習、纏足によく似ていた-村にある少しだけ大きな家に押し込まれた。村の大人は社だと言っていた。今にして思えばあの少しだけ大きな小さな家が彼らの限界だったのだろう】 - 146声無し24/07/09(火) 00:04:55
【人工妖精の抵抗も虚しく声無しはあっさりと夢の門をくぐってしまった…】
【そこには確かに幸福があったから】
「…お前はよく頑張った、よく頑張ったよ…」
「ああ!流石は僕と母さんの…女王陛下との娘だ、本当に…ぼくらがいなくても……」
「ああ、こんなに立派に育ったとも…」
「母さん!父さん!」
【わたしによく似た…長くさらりとした髪を綺麗にまとめた女の人と、金髪だけど髪型がわたしによく似た男の人】
【二人の腕のなかに飛び込んで、60年は感じることのなかった温かさを全身に浴びる】
(そうだ…父さんと母さんに会ってみたかった、褒めて欲しかった……自分の声で、話したかった)
「……だが」「……そうだな」
「おい」
【不機嫌な、懐かしい声に振り向いて──途端に、鉄拳が飛んできた】
「うぎゃっ⁉」(殴られた!パーじゃなくてグーだ⁉)
「おい、声無し。この阿保……あんなところでグースカ寝てる場合じゃねえだろうがよ」
(そうだね……もう一度くらい、義父さんに叱ってほしかった)
「お友達があれだけ頑張ってるのに自分だけほぼ無抵抗で寝落ちとかダメでしょ」
「まだまだ未熟、軟弱だな…気持ちはわかるが、克たなければいけない時もある。今だ」
「私は母さんたちにも…厳しいことを言われてみたかったよ。有意義な正論なら叱ってもらえるのも幸せだしね…」
【幸福な夢の中なのにしっかりと熱を持って痛む頬を押さえ、わたしは立ち上がる】
「不甲斐ない…ワシの鍛え方が足りなかったようだ……本当に申し訳ない」
「いいや…思うところはあれ、貴殿があの場、あの時に我が娘を守ってくれなければ全ては終わりだった」
「ああ、僕らの宝を守ってくれたあなたの戦士としての誇りに僕たちは感謝している。本当に…娘がお世話になりました」
「あんたには…本当に、申し訳ねぇことをした…!」
【殺した者と殺されたもの、守ったものと守られたものの謝罪と感謝、そして赦しがあった】
(わたしは…家族に仲直りしてほしかった。三人が赦しあえたならどんなにいいかと…誰も恨まれてないことを望んでた)
「……うん、私も貴方が義父で良かったと思ってるよ、アルドへグ…その勇気と信念、愛と献身は完全ではなくても私が受け継いでる」
- 147呪胎騎士24/07/09(火) 00:22:50
【村での暮らしは存外に安らかだった。少なくとも人身売買に手を出さねばやっていけない寒村での暮らしよりはよほど】
【友人は出来なかったし女の子の服は嫌だったけど、ご飯は暖かったしお布団はふかふかだった。妹もどうやら自分と同じ考えだったらしい
それで、カシロとやらも悪くはないな、なんて思っていた九歳の頃。俺と妹がカシロの……神の依代の役割を果たす日が来たのだ】
【あの日のことはよく覚えている。いつも住んでいた少しボロくて少し大きい小さな家、渇いた土の壁、ひんやりとした空気
妹は縛られていて、俺はナイフを持っている。目の前には山のように大きな蛇がいて、村の人達が俺達を眺めている】
【妹を殺せと、誰かが言った。妹を殺してその血を飲めと、陰陽を混ぜ、完全な体となって黒煙様に喰われろと】
【信じられないほど汗が出て、とても喉が渇いていた
ナイフを手に、俺は大きな蛇を見上げて】
【その後は覚えていない。ただ、ナイフは血塗れで、俺は生きていて、背中には妹をおぶっていた
ナイフと妹だけを持って山を駆け下りた俺はそのまま倒れたが、運良く山の下で宿を営む夫婦に拾われて妹と揃って養子になった。今にして思えばあんな変な子供達を養子にするなど豪胆な人たちだった】
【そこから養父母や妹と楽しく暮らして、いつしか妹は魔法の才があるだかで悪し女に進学、俺は地元の中学に通って普通に過ごしていた】
【事情が変わったのは十五歳の時。中学からの帰りに道を歩いていた俺を馬車が轢いた。間違いなく即死の怪我だった】
【だが、俺は生きていた。あまりの異常にすぐさま精密検査が行われた】
【その結果わかったのは、俺がかつて殺したあの蛇に呪われているということ。かつて殺した蛇の魂が呪いへと転じ、俺を乗っ取るために不死の体にしているということだ】
【そこからは怒涛だった】
【魔術医により、現行の魔法技術では俺の呪いが取り除けないこと、このままでは蛇になることが告げられた】
【その言葉に泣く家族を説得した俺は、呪いをどうにかする方法を求め旅をすると決意し冒険者となって、多くの魔術を学んだ
その過程で世界を回って、いつしかランカー等と呼ばれる立場にもなったが、結局呪いを解く方法は見つからなかった】
【それでも諦めず色んな方法を探して───そして今日、ようやく俺は宿敵である蛇の呪いを祓うことが出来たのだ】
- 148声無し24/07/09(火) 00:31:41
【頭を下げたままの義父が僅かに鼻をすすり…そしていつもの調子に戻る】
「お前はまず目を覚ます算段を考えろ!………善きことを為したいんだろうが」
【最後の優しいつぶやきを拾い、声無しの口角が上がった】
「しかしどうしたもんかね…何をすれば目が覚めるんだろう?」
「起きなさい、起きなさい‼」【母の叱る声、王族には似つかわしくないかもしれないが…そんな日常があったら幸せだった】
「起床ォ!せいれーーつ‼」【騎士団か、衛士隊の作法だろう…父の充実した日常の一部だったはずだ】
「うっ…大声じゃだめか…」
「口や鼻を塞いで息を止めるのが鉄板だとは思わんか?」
「窒息するまでやる気でしょ…⁉死んで目が覚めるってのは…精神衛生上悪いし!他の方法ないかなあ!」
(わいわいと…バカやったり一緒に笑ったりしたかった…)
【夢から出たい、覚めたいというのは嘘ではない、本当なのだ】
【だが、夢がもたらす幸福に満足してしまった以上、声無しは目覚めることはできない。夢を夢と認識していようと、心が誘惑を振り払えても……同時に心から満足し幸せを感じてしまっている以上、声無しは精神力だけでは決して勝てない】
【──だけれども】
「死んで目が覚めるのはやだな…目覚めないまま死ぬのもやだな…死ぬのは、怖い」
【なぜ、わたしは死を怖がるのだろう…たぶん、理屈の上ではいつか死ぬ生物の終わりとしては最上のものなのに】
(きっと、理屈じゃないんだ)
【現実において、眠る声無しの身体に変化が起こる…額には汗の珠が浮き、せわしなく指や足先が動き、震え…悪夢を見ているかのようにうなされ始めた】
【精神は囚われていても肉体が、全身の細胞が緩やかな滅びを認識し、恐怖している】
【声無しの魂が最も忌避するそれがすぐそばにいる…優しいだけの、善なる幸福にぴったりと張り付いた死神がこちらを見ていると】
【死ぬのは怖い、死にたくない、死にたくない!終わりたくない!まだ生きたい】
【人体約37兆個の細胞全てが叫ぶ…身体と魂は、精神を引きずって動き始めた】
- 149偽悪神◆.uMqg7EH5s24/07/09(火) 01:43:27
【夢を見る、かつて失ったあの日々を】
「――ハハハハ!!もう終いか、偽善!」
「何を…この程度で終わるわけがないわ!」
【それは楽しい愉しい宿敵との―――殺し合い】
「………ち、まーた引き分けかの
今度こそ勝ち越せると思ったんじゃがなぁ」
「はっ!それはコッチのセリフですわ!
無駄に足掻かずさっさと倒れればいいものを…」
「あぁ?」「ん?」
「やるかこの偽善者め!」
「やってやりますわ英雄ごっこ!」
【――――全盛期の、ごくありふれた日常】
「――そろそろ、戻らねばな」
「あ?勝ち逃げですの?」
「違うわ……あの子達が戦から帰って来る頃合いじゃからの」
「ああ、もうそんな時間でしたか
……戦争、いつまで続くのでしょうね?」
「さぁの、永遠に終わらぬかもしれぬし…いつか、ふっと終わるかもしれん
…ワシは、終わるその日まであの子達を肯定するだけじゃよ」
【―――でも、その日々は別に幸せなんかじゃ――】
「………戦争、終わりましたね」
「………そうじゃのう」 - 150偽悪神◆.uMqg7EH5s24/07/09(火) 01:53:13
【―――夕焼けの神社、アイツと二人で空を眺めていた】
「…あんなに続いていた戦争も終わる時はあっさりですのね」
「意外と言えば意外じゃったが、こんなもんじゃろ
それに一つの戦争が終わったというだけの話、この戦乱はまだ続いていくじゃろうて」
「………これは、もしもの話…ですが」
「………なんじゃ」
【珍しく、不安げな顔をした宿敵はワシを見る】
「もし戦乱の時代が終わったら―――」
【そこでアイツは口を閉ざし、なんでもないように笑った
……はず、だった】
「私と一緒に、なりませんか?」
「…………ぇ」
【あり得たかもしれない過去、そうなっていたかもしれない…世界線、そして】
「………いいぞ、その時がくれば、じゃがな」
【己の口から出るのは―――何度もためらった、その言葉】
「………違う」「……………」
【こんな、こんな穏やかなやり取りなんかじゃない
本当のやりとりは、こんな物ではなかったし、本当は――】
【―――ふと、気がつけば雨が降っていた
自分は地面に倒れ伏し、今にも泣き出しそうな宿敵は、刃をこちらに向け、言い放つ】
「――――ワタクシが、勝ちましたわ
約束通り…ワタクシの下へ、来なさい」
「………ああ」
【あり得たかもしれない敗北、あり得たかもしれない過去…そして
………心の何処かで求めていた、結末がそこにあった】
- 151偽悪神◆.uMqg7EH5s24/07/09(火) 02:04:13
「――――もし、この時ワシが」「………」
「ワシが、負けていれば…今ごろどうしていたじゃろうな」
【心の底で求めていた結末も、結局のところ『もしも』でしかない
本当はあの時に―――】
『なんで、どうして……負けて、負けてよ…!
消えちゃうのよ!?このままいけば…貴女は!
なんで…!』
『……ワシは、ワシの使命を
神としての役割を、果たす』
「認めなさい、今貴女は負け――」
「無理なものは、無理じゃ」「……どうして」
【偽悪神は、ただ立ち上がる】
「決まってるじゃろ……ワシは…」「そんな嘘で、騙さないでよ」
【どきり、と…胸が跳ねる
嘘…そう、嘘だ
神の責任でも、使命でもない…いや、それは理由の一つとして確かにある、ある…けれど】
「―――なんで…?」
「……はぁ、内緒じゃぞ?」
【夢から覚める為に歩きながら、偽悪神はバツが悪そうに、言う】
「……アヤツに迷惑はかけられん、アヤツの世話になる訳にも、いかん
それに―――消えゆく神は、アヤツに相応しくない」
「………それだけ?」
「それほどじゃよ……ああ、あと
告白は、ワシからしたい」
【――呆然とする夢を置いて、偽悪神は夢から去った】 - 152偽悪神◆.uMqg7EH5s24/07/09(火) 02:05:56
「………ま、今のワシでは夢ですら追いつかん話じゃが…
自分の夢は自分で叶えてこそだからの
………それに、アヤツも寂しがるでな」 - 153声無し24/07/09(火) 03:43:58
「げっほゴホッ⁉なに、こ…ゲホッ!」
【夢の中の声無しがせき込み始める】
【精神と肉体・魂の齟齬…剥離とまではいかないものの、夢に囚われた心を無理にでも引きずり出そうとする力が痛みをもたらしていた】
「痛っっっつ…!うぅ…!」
【耐えがたい悪寒、そして頭痛】
【眠ったままの身体が地を這い、肉を引きずって‘‘幸福‘‘に近づこうとする度に家族との再度の別れが迫る】
「……もう時間がない」
「…声無し、私達の最愛の娘、私たちはずっと…」
(目がかすむ、震えが止まらない…鼓動も呼吸も乱れていて苦しい)
「かッ…母さん、達……聞いて…私、目が、覚めたら…頑張るから…!頑張って…いくから……!」
「…ええ」
「「応援してる」」
「気張れよ、ワシの娘よ」
(また立ち上がらなきゃいけない時には…応援して、背中を押してほしかった)
「シ…フシュゥゥーー…!」
【肉体は頼りなくも立ち上がろうとする!魂は用を成さない傷ついた喉を鳴らし、掠れた吐息を叫ばせる!】
【夢という牢獄から逃れようする苦痛と恐怖は鮮明だった、さっきまでの幸福感が嘘のように苦しく、立っていることも難しい】
【哀れにも倒れこみ、四つん這いでえづきながらも───ようやく、体に引きずられた声無しの意識が現実に戻ってきた!】
- 154声無し24/07/09(火) 04:24:22
「フシ…!……!!…!」
【ひどい動悸と感覚の齟齬、目覚め切らない精神を強制的に叩き起こされたことによる船酔いじみた最悪の気分が原因で吐いている】
【……が、涙目で、惨めで、みっともなく苦しみながらも…私は不敵に笑ってやる】
「…!」(ただいま、楽しく美しいばかりではない世界よ!)
【声無しは顔を上げて真っ直ぐに正面の幸福と向き合い、一度姿勢を正して傅くように礼をした】
「……」(美しい夢でした、確かに私は幸福でした)
「フンス」(気持ちが救われた以上、否定はできない…私にとっては、あの幸せは真実だった)
【幸せな思い出を想起する、二度と会えない義父に…ほとんど乳を吸うこともできなかった母に…声も知らない、遺影か肖像でしか知らなかった父に…会えたこと、話せたこと】
【心が穏やかに、優しくなるのを理解できる。穏やかで救われていて…満ち足りた気分をもたらしたのは、確かに幸福だった】
「フンフン」(だから…)
『ありがとう、私は貴女に夢を見せてもらえて幸せだった───だから、慈愛と感謝で貴女を殺します』
【そう空中に感謝の言葉を書き上げて、声無しは立ち上がる…怒りや憎しみ、悪という認識を理由にする必要もなく…もっと純粋な心持ちでその命を奪えると確信したが故の優雅さだった】 - 155GM◆4RtBX/LaMY24/07/09(火) 07:04:26
描写はとどめの一撃までお願いします!
この次はすぐに決着シーンに移行します - 156暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/09(火) 08:55:22
【暁の炎の体から、黄金の炎が立ち上る】
【不死鳥の如く輝く炎の中から復活し、そして――明らかに変化している】
【背が高く伸び、手足もすらりと長い。胸も一回り大きく、顔立ちもあどけなさが抜けてより美しさが際立っている。】
【緩やかに細められた黄金の瞳はどこか陶然とした印象を与え、翼や角も体相応に大きく、鮮やかな紅色を深めていた】
「はぁ……老いたのね。」
【そんな成長に、竜の娘はため息を吐く。ドラゴンとしても異常な成長。これは、紛れもなく"怠惰による老い"だった】
【ドラゴンとしての生態。――現実では一瞬の出来事だが、夢の中では数百、いや数千という時間が経過している。】
【それだけの時間、"停滞"を受け入れていたという事実を、暁の炎の体は見た目通り重く受け止めていた】
「………引きちぎってばらばらにして、燃えるゴミに出してあげましょうか。」
【牙を剥き、頬を裂くような笑顔を浮かべる。――逆鱗。明らかに激怒している】
【腕に力を込めて部分的に竜態に変じ、巨大な鉤爪を出現させる。鉤爪に赤々と鮮烈に燃える炎を纏い、圧縮して宿す】
【力は増している。筋力もそうだし、炎の出力だってそうだ】
【――だが、肝心の暁の炎の真価は……真火は、まったく成長などしていない】
【それどころか、僅かに勢いを落としているようにも感じられた】
【じくりと、胸が疼く。】
【怒りのまま、ただ鬱憤を晴らすように振るおうとしていた手が、僅かに止まる】
- 157暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/09(火) 08:56:33
(………わたしの、炎)
【己が権能たる、己だけの炎。己にとって最も貴い火であり、竜の至宝。】
(……たいせつな、火)
【家族がが褒めてくれた――我らの誇りだと、我らの宝だと、そう何度も伝えてくれた】
(わたしの力)
【――こんな形で、無造作に振るうほど、私の身も私の炎も安くはないはずだ】
【まして、あんな見るからに弱っちい植物に、憂さ晴らしのように振るうなど。よほど誇りあるふるまいではない】
(………わたしの、誇り)
【いまさら。自分自身が何を恐れていたのかがわかった】
(どうして……)
【死などではない、衰えなどではない、まして老いなどでもない。】
(どうして、気づかなかったんだろう)
【この誇りを失うことを、私は恐れていたのだ。】
「われらの、誇りは」
「ほのおとともに」
【詠うように、言葉を紡ぐ】
「われらのいのちは、ほのおのごとく」
【燃え上がるように、声を高める】
「おそれを知り、おそれに向かい、おそれをやぶる」
【叫ぶように、誇りを謳う】
「それこそが━━━我らが誇りッ」 - 158暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/09(火) 08:56:54
「戦え」
【黄金の炎が高く燃える】
「戦えっ」
【あまりの火力に腕を覆う鱗がひび割れる】
「たたかえッ」
【勢いを増して、どこまでも高く】
「たたかえぇっ!!」
【どこまでも誇り高く燃える】
【ぱきり、ぱきりと、腕に、肩に、胸に、首に、顔にひびが広がる】
「あ、あぁっ、うぁああああああああああ!!!!」
【ぱきんと、からだがはじけて】
【……そこには、元通りの体格の暁の炎が居た】
【しかし、その髪には流星のように金色の線が流れており、髪だけでなく角や鱗にも星屑のような金色の粒子が輝いている】
【これは――この変化は、確実に老いではなく。そして、明確に"進化"だった】
「もう……怖くない」
【恐怖を忘れたのではなく、知らないのではなく】
【恐怖を打ち砕き、乗り越えたから】
「もう、わたしは揺るがない。わたしの誇りは、陰らない」
【黄金に輝く、誇りの象徴を腕に宿す。】
「あなたのこと、嫌い……大ッキライだけど、それなりに感謝もしてる。」
「言ってもわからないだろうけど、せめて上等な炎で消してあげるね。」
【祈るように両手を重ね、炎は大きく天へと昇り、黄金の炎が大剣の形を取る】
【燦然と輝く剣は、まさに暁の炎の誇りの象徴。天高くを差すように大きく振り上げ】
【輝きを纏って振り下ろす。斬撃の衝撃波と共に輝きが溢れ――熱線を伴って、斬撃が奔流となって貫き、焼き払った】 - 159暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/09(火) 08:58:19
あっそういうことなら……トドメ出しておきました
- 160亡国女王's◆UwIgwzgB6.24/07/09(火) 09:22:53
了解しました!トドメは後半が書き終わってないのでお待ち下さい……
【夢の中】
『父上ー!母上ー!』
「父上だよ〜!」「母上ですよ〜」【妾はアドラ。ルカネステ国王と王妃を父母に持つ、暫定次期女王だ】
『それはなーに?』
「これかい?これはね、料理を美味しくする魔法の薬だよ」「ええ、これを飲むと素晴らしいところに行けるのよ」
『ぷはーっ!これ美味しいね!父上ものむ?』「!?……いや、遠慮しとくよ」
【謎の液体を入れた飲み物を飲まされたり】
「高いたkうおっと!」「あなた、気をつけるのよ?」『わーい!』
【高い高いで父に受け止められそこねそうになったり】
「この!この〜!」
『あははっ!ちょっと止めてよヒュドラ〜』
「えいっえいっ!」【虚弱だった義弟ヒュドラのリハビリに付き合い、寝技をかけられたりかけかえしたり】
「お命、ちょうd翼竜がァァァ目にィィィ!?」
『?』【入浴中に謎の声が聞こえてきたり】
【そんな日々でも、平和に愛情を受けていた妾だったが】
(時々嫌なことを考えてしまう。父上は、母上は、ヒュドラは……もしや妾を殺したいのであろうか?)【それは、ヒュドラと自身が好奇心で放した魔物、絡繰蟲が宮殿を乗っ取り隣国の巨大兵器を倒し、国民に盛大に祝われた後のこと】【生前は気づくはずのない疑問が鎌首をもたげる。違和感を覚えた妾は】
『父上、母上、ヒュドラ……言いたいことがあります』
「「なんだい?(なんですか?)」」「どうしたんだい、そんな鎧まで着て?」
『……あなた方は…妾を殺そうとしているのですか?』【ついに、核心をつく質問をした】 - 161未来の勇者24/07/09(火) 09:34:11
おはようございます。とりあえず『夢』を受けた際の描写はしておきます
「くっ、流石にこれは・・・」
【幸福が与えるやすらぎも、快楽も、彼は精神力だけで弾き、乗り越えた。しかし、夢までは防ぎきれない】
【現実では足らない夢がツバサを包みこみ、そして────】
「───ふざけるな」
【───なんてことなく、現実へと戻った】
【効かなかったのでは無い。確かに幸福な夢に落ちたが、すぐさまそれを否定し目覚めたのだ】
「・・・あの夢の中では、僕の勇者になると言う夢は叶っていました。自らが達成したという感覚もあり、確かに僕が望んでいたものです」
【ならば夢に沈むはずだ。実際、多くの人がそうなった。では、彼は何故──】
「だけど、僕の魂はそれを否定しているんです!これは偽りの幸せだと、僕が本当に望んでいたものではないと!」
【自らが心から望んでいた事が叶おうと、それが偽りであるから彼の魂はそれを否定する。ある意味では狂っているのかもしれない。ズレているのかもしれない】
「我が名はツバサ・シヴァルアス!いずれ勇者となる者!勇者の歩みを、偽りの幸福などで止められると思うな!!」
【もしくは──勇者となりえる魂かもしれない】
- 162未来の勇者24/07/09(火) 09:46:31
「『幸福』。全てを幸福にしたいと言う願いそのものは良いものです、そこは否定はしません」
「だけど、お前のやり方は偽りの幸福を押し付けるもの。それは、人にとっての幸福とは違うものです」
【文明敵対種だろうと、その根底にある『願い』は否定しない。その上で告げる。願いは否定しないが、やり方は間違っていると】
「───終わりにしましょう」
【彼の体から、炎のオーラが吹き出し、それに合わせて『幸福』へと接近する】
(燃やせ、燃やせ、魔力、体を、魂を燃やせ!)
【そして、炎を纏う大剣が、振り下ろされた】 - 163〈酸っぱいブドウ〉◆BuOGBplkzY24/07/09(火) 09:56:33
地味に夢の中で喪失を経験しているという明らかな異常がありますが
意図的に残した部分ではあります
「愛してその人を得ることは最上である。愛してその人を失うことは、その次によい。」
喪失の悲しみでさえ、暁の炎にとっては奪われてはならず、欠けてはならない幸福なんですね
まあおかしい部分ではあるのでなんかいい感じに精神耐性が抵抗を見せてたみたいな感じで……或いは……ここはひとつ…… - 164GM◆4RtBX/LaMY24/07/09(火) 10:03:17
- 165未来の勇者24/07/09(火) 10:04:31
こいつの精神力は割と異常です。それこそ幸福の夢を真っ向から打破できるくらいには
- 166暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/09(火) 10:07:34
- 167GM◆4RtBX/LaMY24/07/09(火) 10:09:50
そういう内面掘り下げ描写こそがこのイベントの醍醐味ですからね!いいと思います
ぶっちゃけそういうの除くと幸福本体は単なる硬いサンドバッグみたいなもんだし…… - 168声無し24/07/09(火) 11:10:24
【聖銀の刀身が美しい、細身の直剣を腰の鞘から抜き放った】
【満ち足りた心境のまま…優雅に、静かに歩み寄っていく】
「……」(彼女は決して私たちと交わることがないだけの、無垢な善意だ)
(その行いに悪はない、ただ‘‘そういうもの‘‘として…あるがままに、一生懸命生きて自身の命題を遂行しているだけだ)
「フンス」(その結果として安らかな死があるのが、私はたまらなく怖い)
「フン…」(私も生きたいだけ、できるだけ人に死んでほしくないだけ…だから、ここで善悪を問うことは無意味だ。区別には意味がない)
【だからせめて思いやりをもって、夢で得た幸せに感謝して…恐ろしく優しい怪物を討った】
【揺らぐことのない穏やかな暖かさを抱いたまま───踏み込みと共に横一文字に鋭く剣を振りぬき静止する】
【尋常ではなく鋭い刃が曲がることなく‘‘幸福‘‘の胴を掻き分け抜けたことを確認し、声無しは他者の攻撃に巻き込まれる前に空間に溶け込み消えた】
- 169亡国女王's◆UwIgwzgB6.24/07/09(火) 11:16:32
「何を言ってるんだアドラ!冗談でもそういうことは言うもんじゃないぞ!」
「そうよ!妾もあなたの父上もあなたを愛しているのよ!」
「ふざけているのですかアドラ!」
(ああ…………)
【その剣幕は、心配は本物で。本物に見えて……】
(違うな。)
『国を統べ、病で死に、異世界で義弟②真実を告げられ、客観視できた今なら分かる。』
【硬くて柔らかいもの、宝玉の暴走で絡繰蟲と融合した義弟の顔を殴った感触が残る拳を握りしめる】
『占い師に"娘は国の制度を壊す"と言われた時の父母の気持ちが。
国のために我が子を暗殺するということへの葛藤が。
高いところから落ちても、毒を飲ませても平気、刺客も本人の気付かないところで失敗に終わる我が子に感じてしまった不気味さが。
民に慕われ画期的な政治を敷く溌剌な義姉を見る、病弱な義弟の羨望が、嫉妬が。野望が』
「そんなこと言われておらん!一体何を言っているんだアドラ??」「きっと寝ぼけているのよ。ほら、二度寝しましょう?」「夢の話か?俺がそんなことするわけない!悪い夢は忘れて、狩棋でもしようぜ?」
【いきなり喋りだした妾に困惑する家族達を手で制止し、妾は言葉を紡ぐ】
『夢じゃない。ダンジョンと化した絡繰蟲の巣で軟禁されていた年月も、そこで出会った様々な人々と過ごした熱情も。妾を解放してくれた緑ローブと鉄の如き美女たちも、最期に見せた義弟の愛情も』
『冒険者ギルドの仲間たちも、葛藤しながらも愛してくれた家族も、あの日憧れた狩人も、英雄も…
妾が前世で、来世で出会った全ての存在は……夢なんかじゃ、ない…!本物だ!!!』
【現実の霊装の、絹のように滑らかな着心地が戻ってくる。完全着装での効果の一つは"着用者を老化の5倍の速度で若返らせる"。
その原理は肉体の巻き戻し。精神が囚われた間も肉体は囚われる前に戻り、その微かな差異が違和感を、突破口を生む】 - 170月見酒24/07/09(火) 11:16:39
【さて、眠るのも夢見心地も慣れているとはいったものの、それ故か夢に落ちたことに最初は気づいていなかった】
『酒子ちゃん!』『月見姉さん!』
【――懐かしい声に呼ばれるまでは。】
「んー、その声はあきちゃんだね?それに善之助、そら、ツネにミシロも。久しぶりだねー」
【振り返ったそこに並ぶ顔の一つ一つ、覚えている。極東で暮らしていた猪鹿町の、そこで共に暮らしていた人達だ。】
「でもおかしいね?あたしがツネを拾ったときはあきちゃんはもういなかったし、ミシロはあの冬にひどく病みついて越せなかったはずだよ
そらだってこの前孫と曾孫に囲まれて送られてたのにさ」
【そして、月見酒が見送ってきた人達だった。月見酒の人生―蛇生かもしれない―はそれほど劇的というものではない。山の中の卵から生まれ、何の拍子か化身して平和な猪鹿町で約300年、暮らしてきた】
【国が滅ぶことも、誰かに裏切られて全てを失うこともなく何がしかの運命を背負ったりもしなかった。世に語られるようなものはない比較的平穏な――それでも人と妖かしが共に生きる場所で300年分の喪失はやはり人並みに経験してきたのだ。】
『会いたかったからだよ?酒子ちゃんは会いたくなかったの?』
【そう言う夢に月見酒は微笑んで頷いた】
「もちろん嬉しいよ?あたしは置いていかれるのにもそろそろ慣れてたけど、慣れただけで気持ちは変わったわけじゃないからね。
でもね、キミたちが立派に生きて、それを見届け送ったことをナシにするのはちょいと不義理だと思うんだー」
【喪失を恐れるならば、人里になど降りる必要はなかった。人に化けて関わることもなかっただろう
それでも人が暮らす里で自分も生きると決めたのは、その痛みも受け入れてなお共にありたいと思ったからで】
「だからまあ、悪いね
いい思いだけさせてもらってこの辺にしておくよ、幸福さん?
さあ――みんな、久しぶりにあたしの剣を見せてあげよう」
【握られた刀が、"夢"を斬り裂いた】 - 171亡国女王's◆UwIgwzgB6.24/07/09(火) 11:20:08
やばい安価を忘れた……
『まやかしは貴様らの方じゃ!死人の葛藤を、人生を───』
【偽物の家族に指を突きつける。景色が変わり、病死しなかった場合の己に切り替わる】
【父が、母が、義弟が……そして恋人が。己の功績を称え、努力を褒め、口々に褒め言葉を高らかに叫ぶ】
「すまなかった、アドラ……私達は最愛の娘になんてことを…」「ごめんね、アドラ……それでもあなたを愛していたの。信じておくれ…」
「本当にごめん、姉さん……俺…姉さんに嫉妬してたんだ。謝るから…一緒に暮らそう?」
【玉座から降り、紅いカーペットが敷かれた長い階段を飛び降りるとまた景色が変わる】【あの世からやってきた両親と義弟が謝罪し、涙ながらに己を抱きしめようと手を広げる】
『踏みにじるで──』
【それらはまやかしでは意味をなさない。紛れもない本人から聞きたいから】
【逆方向へと走り出す。呼び込める声を、縋り付く手を、追いかけようとする足音を置き去りに】
「──ないわァァァ!!!」
【現実へと意識が浮かぶ。空中に張った機蟲の糸を踏んで《幸福》へと距離を詰め】
「幸…福ゥゥゥゥゥ!!!!!!」
【いつか二人の冒険者たちと義弟を殴り飛ばしたように、その端正な顔へと────義弟の逆恨みと野望と暴走で亡国となりしルカネステの元女王は、全力の右拳を放った】
- 172亡国女王's◆UwIgwzgB6.24/07/09(火) 11:29:56
あっ、トドメまででしたね…
「『一・網ぅぅぅ!!!"打"…尽んんんんッ!』」
【一度攻撃をした者に対して、全魔力と全呪力を消費し放てる切り札《一網"堕"尽》。通常なら上から圧殺するように迫るその不可視のエネルギーが】
【拳を基点に圧縮され、インパクトと同時に『幸福』の顔面をえぐり抜いた】
- 173月見酒24/07/09(火) 11:30:13
【そうして夢は破れて花吹雪と散る中で、人の姿になった月見酒が立ち上がる】
「なんでって顔してる?いやあキミが失敗したわけじゃないよ
あたしの見た夢は確かに幸せだったさー」
「ま、それでも幸せな夢って覚めてああよかったなってところまでが風情なんだよね
キミのほうにその持ち合わせがなかったみたいだからセルフサービスさせてもらっただけなんだ」
【そのまま取り出した盃をくいとあおる。与えられなくても幸福はこの世にあるし、人生から苦味を抜かれても物足りない。求めるものが全て最初から思い通りにあるなんて、なにもないのとそうかわらないだろう】
「そういうわけだから、まだちょっと早かったかな?人生子供舌ちゃん
華札流――『月見酒』」
【そうして満月の輝きを宿す斬撃が、幸福を斬り裂いた】
- 174偽悪神◆.uMqg7EH5s24/07/09(火) 12:21:14
「……さて、戻ったの」
【倒れ伏した身体を起こし、前を見据える
過去に。権能に。意志に。夢に縛られ―――けど
縛られている己を肯定し、前に進む
己は己、進んだ道は変わることもなく、これから歩む道を刻み続ける】
「故に今、ここに刻もう」
【ドス黒い悪の本流が、濁流が形を為す…
ダメージは無いそれは、眼の前の『幸福』に――『悪』を、今この場において敗れし者の運命を刻む!】
「この場において!敗れし悪は貴様じゃ、『幸福』!
〘悪性付与――悪の濁流〙!!」 - 175GM◆4RtBX/LaMY24/07/09(火) 12:29:58
- 176二次元好きの匿名さん24/07/09(火) 12:33:12
- 177暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/09(火) 12:52:39
ちなみに私のはなんか剣ビームです。金ピカビームぶっぱ剣
- 178GM◆4RtBX/LaMY24/07/09(火) 13:00:33
- 179声無し24/07/09(火) 13:02:54
殺意も敵意もなく穏やかな心でやっただけで普通の横切りです、剣が良いやつじゃなかったら樹木の身体を断てなかったレベルで普通の横切り
近距離火力がへなちょこ - 180亡国女王's◆UwIgwzgB6.24/07/09(火) 13:06:12
立て乙です!!!
コイツのは右ストレートで顔をぶん殴る→同時に拳に発生させた螺旋状の衝撃波でえぐり抜くの殺意高めコンボですね - 181偽悪神◆.uMqg7EH5s24/07/09(火) 14:28:00
- 182暁の炎◆BuOGBplkzY24/07/09(火) 14:54:47
汝は悪!
- 183偽悪神◆.uMqg7EH5s24/07/09(火) 15:02:56
- 184重鎧剛蛇◆tzxenNZQbg24/07/09(火) 15:06:59
【目が覚めると私は…小さな農村に立ち尽くしていた】
「ここは……そうだ…私は…帰らなくては…家に…」 - 185GM◆4RtBX/LaMY24/07/09(火) 16:26:57
- 186ラピス24/07/09(火) 16:44:17
【激しい怒りを抱いていたはずの人の形をした石は…】
「……ぅ」
【穏やかな顔で、眠りについていた】
【先ほどまでの怒りなど全くなかったかのように静かで美しい寝顔】
「ここ、は…?」
【目が覚めると、覚えのない場所にいた】
【コンクリートの大壁、巨大な機械仕掛けの門、厚手の服装、履き慣れない靴…その全てが不気味であった】
「⬛︎⬛︎さん」
【聞き慣れた声が知らない名前を発している】 - 187ラピス24/07/09(火) 17:09:28
「⬛︎⬛︎さん?どうしたんですか…?」
「誰…?」
【ラピスは困惑した、声がした方に振り返れば弟によく似た男がいたのだから】
【容姿は極めてロンズデイに酷似している】
【差異があるとすれば…髪や目は深みのある黒色、肌は木材の断面に似た薄橙、爪は肌とおおよそ同じ色】
「僕ですよ…?忘れちゃいました?」
【男は優しい声色で話を続ける】
「ぜんぜん知らないや…ごめんね…?」
【ラピスは本当になにも知らない、幸福の見せている夢についての記憶は何一つとしてない…】
【それでも男は笑って許してくれた】
【それからしばらく、微妙に噛み合わない雑談を続けた】
「好きだって言ってたお菓子を取り寄せたんです、一緒に食べませんか?」
「ん、食べる…………おいしい」
【見たことのない菓子を口に入れる、不思議と好みの味だ】
「おすすめされた本を読んでました、ちょっと僕には難しいみたいです…でもとっても面白かったです!」
「そうなの、よかったね」
【違和感がまとわりついたまま、穏やかな空気が2人の間に流れる】 - 188ラピス24/07/09(火) 17:16:11
「そろそろ行かなくちゃ…」
【寄りかかっていたコンクリートの壁から離れ、歩き出す】
「ちょっ…ちょっと!どこに!?」
【男は焦って追いかけて捕まえる】
「外だよ、しないといけないことがあるからね」
「しないといけないことなんてありませんよ!もうあなたの仕事は終わったんですから!!」
【男は大きな声で否定してくる】
「知らない人に言われる筋合いはない、あなたは帰ってて」
【少し苛立った声で言いつける】
「えぇ、あの…僕……」
【男はオドオドと焦り出す】
「知らない人だけど、楽しかったよ」
【ラピスは男をギュッ…と優しく抱きしめ、遠く遠くへ走り去った】
……… - 189ラピス24/07/09(火) 17:22:25
【心から祈り作られた偶像には本物と同じ力が宿る、それは世界が本物と偶像を見間違え、同じ存在と認識することが原因だという説がある】
「さて……」
【ラピスは穏やかに目を覚ました】
【と同時に激流の槍を身体全体を駆使した巧みな遠投で幸福へと投げ飛ばした】
【その速度は人体ならば勢いを殺すことなく削り取るだろう】 - 190ラピス24/07/09(火) 17:30:12
常時ピーピングとおっしゃっていましたので世界が誤認するレベルのそっくりさんの心を読ませる…ってのは大丈夫ですかねぇ!(事後報告)
- 191火陛24/07/09(火) 17:36:41
※ちょっと時間遡ってます
【圧倒的な快楽と多幸感が脳を襲う】
【すべき事を残した上での昼寝、深夜に食べる高カロリーな料理。背徳感は時に快楽への最高のスパイスだと例えられる】
【仲間を残して敵を前に快楽に意識を委ねて眠る、それはもう至上のスパイス】
【ましてやその快楽は幸せの権化『幸福』によってもたらされたもの】
【母の抱擁による安心感、親友と分かち合った成功による達成感、当たり前のように存在する日常をふと改まり感じる充足感、脳細胞を焼き切ってしまうような暴力的快楽を与える違法薬物、そのどれもを内包しそのどれもを超える幸せ】
【恐̶怖̶に̶殺̶意̶に̶期̶待̶に̶信̶頼̶、そのどれもを上から塗り潰す幸福の塊】
【意識が快楽の底へと沈んで───】
【───耳を炸裂音が貫く】
【そして身体が動く】
【外部に『追火』を模した人工精霊がいることが可能にした、火陛の意識が消えかけるその瞬間を発動条件とした耳元への追火の発射】
【脳が活動を止めるその瞬間最後まで残る感覚は聴覚であり、熱を身体が避けようとする脊髄反射は睡眠中にも行われるという】
【それらを利用し火陛の原始的な感覚を呼び覚まし、そこから芋づる式に意思を快楽から引き上げる】
「対火」
【意識の全てを塗り潰す快楽をその上から燃焼による激痛で塗り潰し続ける荒技】
【気絶と痛みによる覚醒を数回続けようやく意識を安定させる】
- 192火陛24/07/09(火) 17:37:32
【彼女にとって、難敵からの強大な攻撃は後に獲る勝利と賞賛の声へのスパイス】
【ましてやその難敵は文明敵対種『幸福』、火陛は知っている】
【ここで決めるのが最高にカッコイイと】
【その期待感は幸福を上から塗り潰した痛みを乗り越え身体を突き動かす】
【黒く焦がした指を向け唱える】
「追火」
- 193GM◆4RtBX/LaMY24/07/09(火) 17:43:22
- 194ラピス24/07/09(火) 18:03:53
- 195GM◆4RtBX/LaMY24/07/09(火) 18:07:16
いえこっちが読解力ないのが悪いので……
ただ本スレでも注釈しましたが「そこにいない死者の記憶を読み反応する」を幸福の基本性能にしてしまうと問題があるのでそこはラピスさん側の原因ということになります。ご了承ください - 196 24/07/09(火) 18:16:22
◇◇◇
【微風が頬を撫でる感触に、はっとして目を覚ます】
【木陰に座って待っている間に、少し微睡んでしまったのだろう。慌てて顔を上げて周りを見渡し、"彼"がまだ居ないことを確認した】
【手鏡を取り出して、もう何度目かも解らない確認をする】
【……大丈夫。涎は出てないし、朝早く起きてセットした髪もメイクも崩れてはいない。私の100%がそこにはある】
【薄く引かれたアイシャドウも、新しく買ったルージュのリップも不自然な色合いではない筈だし、洋服も夏に合わせた涼し気なサマードレスで、少なくとも場違いには見えない筈だ】
【そんな風に心の中で自分に言い聞かせるのを自覚して、少し苦笑する】
【彼は気にしないだろう。どんな化粧でも服でも、私が好きで選んだものなら「似合ってるよ」と心の底から言う人だ】
【ちょっと変な色合いになったとしても、私が本気で選んだのならば、そこまで想ってくれたことが嬉しいと喜んでくれる人だから】
【そんな事は良くわかっているのだ】
【それでも、ちょっとでも彼に綺麗だと思って欲しくて、何度も何度も鏡を見てしまう】
【彼の足音が聞こえたから、呼びかけられるまでそっちを向かないように気を付けた】
【何となくといった様子で腕時計を確認すれば、時計の針は集合時間の30分前丁度を示している】
【早く来過ぎじゃないだろうか。楽しみにしてくれたのだろうか。そうだと良いな】
「……ん? おぉ、すまん。遅れてしまったか」
【違う。自分が早く来過ぎたのだ】
【ただでさえ朝集合だというのに、あまり寝られなくて速く起きてしまって、支度を済ませてここに着いたのが2時間前】
【おかげで寝不足気味になってしまった。隈はなかったし、顔色も悪くないとは思うが、毛先は荒れていないだろうか】
【「私も今来たばかりですよ」と言葉を返しながら、駆け足で寄ってきた彼に向き直る】
「ははは! そうか! 良かった!」
【──彼は珍しく素顔で。だからか笑顔を直視してしまって。結論から言うと駄目だった】 - 197 24/07/09(火) 18:17:17
【慌てて俯いた私に、よくわかってない雰囲気の彼が「大丈夫か?」と言ってくるのが聞こえる。大丈夫じゃないです】
【初手でちょっとテンションが上がり過ぎて駄目かもしれないという気持ちと、今日一日こんな感じだと折角の思い出が台無し過ぎる……!という気持ちが沸々と湧き上がるのを抑える様に、慌てて深呼吸をした】
【……よし。大丈夫。もう大丈夫】
【そういう風に心に構えを作っておけば大丈夫だ。さっきのは不意を打たれただけで、不意じゃなければ耐えられる】
【そう心の中で身構えながら、「大丈夫ですから」と顔を上げて彼を見た】
「……? うむ!」
「――え? あっ……」
【――思わず見つめてしまっていたらしい。それを不思議に思ったのか、或いは「速く行こう」と催促されていると思ったのか】
【「分かったとも!」なんて声が聞こえてきそうな頷きの笑みが返って来て、私の手を引いて歩き始めた】
【硬い革の手袋に包まれた手は、伝わる筈もない体温を感じさせた。夏の暑さで手袋も温められたのだろう。その筈だ】
【力強くて、それでいて此方を気遣うように歩幅を合わせて。時折こちらを振り返ってはいつもの笑顔を見せて来る】
【相変わらずその顔で笑いかけられると、色々考えていたのが、もうどうでも良くなってしまいそうで、困る】 - 198 24/07/09(火) 18:21:19
◇
【この世界の夏は暑い。だいたいの夏は暑いものだが、ここも例に漏れず日差しは強かった】
【風が吹けば涼しいのが救いだろう。温いを越して熱い風が吹く夏もあるのだから】
【顔にバッテンのような火傷痕を持つ彼も、心なしか暑そうだ。普段と同じようでマフラー以外は新品になったくらいの恰好だからか、健康的で筋肉質な首筋を汗が伝っている】
【手を引かれて最初に来たのは映画館だ。ラインナップは、正直なところを言うと】
【あまり興味を惹かれないコメディ映画と、彼が好きそうなアクション映画と、一昔前からタイムスリップしたようなラブコメディのポスター達が並んでいる】
「それにしても、集合時間より30分も早くに来たのか?」
【青年と私がジャンケンで見たい映画を争い、敗北した青年がついでにポップコーンを買って帰って来ると、そんな事を聞いて来た】
【……何と答えようか。彼が差し出したジュースを一口飲みながら考える】【
【素直に早く来た理由を言うのは、気恥ずかしい気がするけど……いや、折角二人きりで出掛けるのだから、彼をからかってみるのも良いかもしれない】
【いつもと変わらぬ様子の彼と比べて、こちらは狼狽え続けているのだ。不公平である】
【大人のお姉さんとしての威信をかけた勝負で、勝ちをもぎ取るのだ】
【「今日が楽しみで、少しでも長く貴方と居たかったから……」と、気恥ずかしそうに答える】
【どうだ、という気持ちで青年を見ると、青年は頭の裏を掻きながら照れ混じりの笑顔で】
「……実は俺もなんだ」
【――照れさせたから、私の勝ちで良いだろう】 - 199 24/07/09(火) 18:26:34
◇
【上の空の気分で彼の顔を眺めていたら、映画はいつの間にか終わっていた】
【内容はあまり覚えていない。感動シーンでもあったのか、涙ながらに小さく拍手する彼の顔はよく覚えているけれども】
【美味しそうにファストフードを頬張る彼を見る】
【だいたい何でも美味しそうに食べる彼は、見てるだけでもお腹がいっぱいになってくる程だ】
【まぁ、気持ちでお腹は膨れないし、お腹が鳴るのを聞かれるのも恥ずかしいから、私もフライドポテトを口に運んだ】
【周囲の席は学生や昼食時のサラリーマンで賑わっている】
【皆思い思いの一時を過ごしていて、あまりこちらを注目はしていなかった】
【……気の迷いで、手に持っていたフライドポテトを彼に差し出す】
【彼は一瞬「……?」と疑問を浮かべていたが、意図を理解すると、躊躇いも恥じらいも無くポテトを口で咥えた】
【流石にビックリした。サメか何かの速度でポテトは食べ終えられた】
【逆にこっちが狼狽えてしまって、だからだろう。彼がお返しというように、差し出したポテトに反応出来なかったのは】
【仕方ない。仕方なく、口を開いてポテトを咥えに行く】
「…………ん、ん……」
【──やる側となると、想像以上に恥ずかしいというのが、最初に思った事だ】
【目線が合ったままだと恥ずかしいからと、目を閉じたのは失敗だったかもしれない。いつ来るのかという不安が湧いている】
【……流石に遅くないだろうか、と思った辺りでフライドポテトが来たので咀嚼する】
【食べつつ目を開けると、目線を逸らして申し訳なさそうにする彼の顔】
【何事だろう、と思っていると、彼の後ろの席に座っていた女子高生と目が合った】
【……"目が合った"……?】
【嫌な予感を抱えながらチラりと周囲を盗み見ると、周りがそそくさと視線を逸らした】
【──もしや、公衆の面前で「あーん」するバカップルだと思われてしまったの……!?】 - 200 24/07/09(火) 18:31:52
◇
【昼食をそそくさと急いで食べ終え、何となく近くにあったショッピングモールに寄る】
【季節物の服でも見て行こうと思ったのだ】
【彼はファッションに対して興味がないので、どちらかというと道中の登山店に置いてあった複雑な形の多機能ガジェットに目を惹かれていたが】
【私と一緒に出掛けているというのに、ガジェットの方が気になるというのだろうか】
【そんな目で見つめていたら、「すまん」と笑いながら謝られた】
【謝られたなら許すしかないだろう。埋め合わせという事で、腕を組んで歩く事になったからでは、決してないのだ】
【組んだ彼の腕は、逞しくて暖かい】
【半袖の下に伺える肌には、無数の傷跡が大小問わずに刻まれている】
【その一つ一つが何処で付いたのかを、私は知らない】
【だけど、それらがどうして付いたのは良く知っていて】
【この小さな傷たちが、いつか彼の命に届くかもしれないと考えると、強く腕を組んでしまう】
【彼は頭の後ろを掻くだけで、何か声を返すでもなく、一緒に歩き続けていた】