【SS/絵】とある花屋の心境【モブ視点】

11/5 ◆CkgutIW.EIYz24/07/11(木) 00:23:24

(ドリジャ＋のんびりポジティブ♀トレ)

「いらっしゃいま、せー……！」

　三女神様、感謝致します。

「わ……落ち着いた雰囲気で、素敵だね……」
「ええ。プリザーブドフラワーのアレンジメントも、どれも美しいですね」

　ドリームジャーニー様とトレーナー様が自分の店に来てくれるなんて！

　……ごほん。私、細々と花屋を営んでおります、モブ店長と申します。常日頃、トゥインクルシリーズを駆け抜けるウマ娘ちゃんを応援したり、その担当トレーナー様との関係性を勝手に推したりして活力をチャージしている、一介のしがないオタクでございます。

　そんな私の中で今！最高にホットなのが！ジャーニー様とその担当トレーナー様なのです！

　小柄さを感じさせない落ち着いた顔立ちに漆黒の勝負服がよくお似合いになるジャーニー様。後方からの鋭い追い込みスタイルにいつもドキドキさせていただいております！
　そしてジャーニー様と同じく小柄ながらクールな雰囲気と振る舞いがかっこいいトレーナー様！ですが、今は柔らかな表情に人懐っこい雰囲気のような……もしやこちらが素なのでしょうか？

22/5 ◆CkgutIW.EIYz24/07/11(木) 00:24:08

「わぁ……」

　トレーナー様が目を留めたのは……小ぶりな紫陽花たちですか！淡い色合いの紫や青、くすみピンクに柔らかな黄緑色から真っ白なものまで、どれも私が気合を入れて選んだお花ちゃん達です！

　……というか！推し様達とお花ちゃんのコラボなんて！！こんな幸せがあっていいの！？ねぇ！？

「紫陽花って綺麗だよねぇ」
「ええ、とても美しいです」

　ピャッ……！！キラキラと目を輝かせるトレーナー様と彼女に柔らかい視線を向けるジャーニー様……！！え、絵になりすぎるわ！誰か！誰か神絵師さまをここへ！！私だけが独り占めしてはいけないわ！！このビューティフルな空間を後世に伝えなければ！！
　……っとと、いけない……今の私はオタクではなく店長……店長なんだから……っ！！

「そう言えば……初めてジャーニーに会った時に、目が紫陽花みたいな色で綺麗だなって思ったんだっけ」
「あのレース場で、ですか？」
「そうそう。雨も降ってたからかな？」

　ちょっ、エッ、そんなエモい出会いのエピソードが……待っ……え……私めが聞いてもよろしいので！？これ初出エピソードじゃないの！？えっ！？待って一人じゃ耐えきれない！！周知の事実にしてください！！一刻も早く！お願いします！！！

「あの、すみません。花束を作っていただけますかか？」
「私も、よろしいでしょうか」
「はいっ！よろこんで！」

33/5 ◆CkgutIW.EIYz24/07/11(木) 00:24:44

「ありがとうございましたー……！」

　お二人がドアを閉めて歩いていく姿を確認し、その場に崩れるようにしてしゃがみ込む。仕方ないじゃない、尊さが限界突破して立っていられないのよ……ッ！！

　トレーナー様ご注文の花束は淡い紫と青、そして白がマーブル模様になっている紫陽花をクリーム色のペーパーと黒いリボンでラッピングしたもの。
　ジャーニー様ご注文の花束は淡い黄緑色の紫陽花を薄いグレーのペーパーと黒いリボンでラッピングしたもの。

　……これってお互いをイメージした花束ってことじゃないの！！！！？ねぇ！？そうでしょ！？そうよね！？気付いた瞬間、奇声を発して倒れ込むところだったわ！よくぞ耐えたわ私！！

　そして！出来上がった花束を渡したところでジャーニー様の花束の色合いに気付き照れくさそうに微笑むトレーナー様！を愛おしそうな表情で見るジャーニー様！！

　こんなの、オーバーキルもいいところだわ……！！

「ジャーニー様とトレーナー様、推せる……っ！！」

　三女神様、本当にありがとうございます！ですが……万が一にも次があれば、もう少しお手柔らかに……！！

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おわり？

44/5 ◆CkgutIW.EIYz24/07/11(木) 00:25:21

「……お店の人、ジャーニーのファンだったのかな？」
「そうですね……私だけ、というよりは……」

　私達が店内に入った瞬間、くるくると表情が変わっていた店長さん。自分のお店に応援している人が来たらびっくりするよねぇ……最後なんて顔が真っ赤だったし……。

「紫陽花のこととか、色々教えてもらえて助かったなぁ」
「ええ。『家族』や『団欒』のような花言葉もあるとは……思わぬ収穫でした」
「ねー。今度実家に贈ろうかな」

　小さな花がたくさん集まって咲いているように見えるので……と教えてくれた花言葉から、母の日や父の日に贈る人もいるみたい。今年はどちらも過ぎてしまったけれど、贈り物はいつしてもいいもんね。

「生花もいいですが、プリザーブドフラワーを使ったものもいいかもしれませんね」
「たしかに、水を替えたりしなくていいから贈りやすいかも……」
「紫陽花のものもいくつかありましたし、また後日伺ってみませんか？私も両親にプレゼントしたいので」
「うん、ぜひぜひ」

55/5 ◆CkgutIW.EIYz24/07/11(木) 00:26:00

　握り締めないように抱えている花束と、合わせて買ったシンプルな花瓶を見下ろす。トレーナー室に飾って、疲れた時や頑張りたい時に眺めて元気をもらうつもりだ。

「ジャーニーの花は委員会の部屋に？」
「いえ、寮の部屋に飾ろうかと。この穏やかな緑色ならオルも癒されるでしょうし」
「た、しかに緑色は癒し効果ありそうだけど、えーと……」
「ふふッ……オルもトレーナーさんのことを気に入っていますから、問題はないかと」
「そう……かなー！？や、最近は前より話せてるかも？とは思うんだけど、私がそう思ってるだけかなって……あ、でも、そもそも目の色だって気付かな……いや、オルフェちゃんなら気付きそう……すぐ察しそう……」

　あわあわと言葉を重ね最終的には独り言になったけらど、ジャーニーはにっこりと笑ったままで。……自惚れないようにしよう……うん！

　数日後再びあの花屋さんを訪れたところ、ジャーニーの顔を見た瞬間に店長さんが声にならない声を上げて……人が崩れ落ちるところ、初めて見たかもしれない。

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おわり

6◆CkgutIW.EIYz24/07/11(木) 00:26:32

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