【クロス注意】ペルソナ1〜5クロスオーバー妄想スレ2

  • 1二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 18:35:30

    ペルソナ1〜5のクロスオーバーを妄想するスレ
    噂現実化現象によって色々あって全キャラ集結した〜って感じで
    掛け合いとか合体コンタクトとかオリペルソナとかオリ合体魔法とか設定とか敵とか
    あらゆる妄想を語り合いたい

    元々は5(無印)をベースに全部クロスのSSを長年考えてたんだけど
    俺の力量じゃまとめきれなくて、そのうち外伝や追加要素がどんどん出てきてお手上げ状態になったので
    書いた設定やネタの供養をしたかった理由。5は無印しかやってないので矛盾があったらごめんね
    レス稼ぎと参考ついでに色々設定とか供養ネタとか理由付け落としてます
    これから整合性が取れてなかったり飛び飛びのシーンも多くなってくると思います
    クロスについて語ってくれるでも感想や批評をくれるでもしてくれるととても嬉しい

    3、4はやったのがかなり前なのもあってうろ覚え気味で、どうしても描写が少なくなるのと
    追加要素や番外系はやってない作品の方が多いので、その辺の話題も補ってくれるととても助かります

  • 2二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 18:36:07
  • 3二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 18:39:26

    レス稼ぎついでに

    スレ主SS(未完成)の基本的な設定とQ&A

    Q.主人公の名前は?

    初代「藤堂 尚也」2罪「周防 達哉」罰「天野 舞耶」3主「有里 湊」4主「鳴上 悠」5主「来栖 暁」
    あくまでスレ主のSS内の設定なので、その辺は自由で。

    Q.時間軸と舞台は?
    時間軸はは「5」の騒動終了後、主人公帰ってきた後の長期休み。
    1、2(罰)、3、4も事件終了後。

    Q.どうしてこうなった?
    噂の現実化のせい。
    原因の原因はいつものニャルフィレの実験と試練。

  • 4二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 18:41:12

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  • 5二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 18:41:55

    Q.主人公たちのステータス(魅力とか)は?
    全員マックス。

    Q.3主人公は?
    (湊に無断で)エリザベスが封印の身代わりになっている状態。
    あと、双子の姉(ハム子)「奏」がいたけど両親ともども『3』の十年前の事故で亡くなってます。

    Q.ベルベットルームはどうなってる?
    出入り口は一般人には認知されず、疑問も持たれない。
    2仕様で実体があり、ペルソナ使いと一緒なら牧村みたいに一般人も認識できる。
    今回は人数が多いので、劇場のホール。住民もエリザベス以外全員揃ってる。

    Q.コミュは?
    5主がところどころ中途半端に終わっている。少なくとも千早コミュが完遂できていない
    ちなみに恋愛については第三の選択肢「考えさせてほしい」を選んでるので、主人公たちは誰ともくっついてない

  • 6二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 18:42:23

    Q.『罪』メンバーは?

    『罰』達哉以外全員思い出しててペルソナも使える

    達哉だけは『罪』世界から出張してるので『罰』世界の達哉と共存してる状態。


    舞耶「待って。じゃあ世界のリセットも無効になるんじゃ…」

    達哉「リセットの条件は全員が思い出すことだ。一人だけ思い出していない…いや、思い出せない奴がいる」

    うらら「マーヤに、栄吉クンに、リサちゃんに、淳クン、そんで周防弟。これで全員じゃないの?」

    達哉「違う…俺は今回、<向こう側>の身体ごとこっちに来ている。<こちら側>の俺は別にいるんだ」

    リサ「つまり、達哉が二人いるってこと?」

    達哉「ああ。<向こう側>の記憶は俺が全部持ち帰っているから、<こちら側>の俺は何をしようと思い出さない」

    リサ「まっさかぁ。ドッペルゲンガーやシャドウじゃないんだから」

    克也「おっと、すまない。電話だ」

    パオフゥ「こういう時くらい電源切っとけよ…」

    克也「はい、周防です。…達哉!?」

    パオフゥ「(あんまり驚くな。不審がられる)」

    克也「(わ、わかっているから足を踏むな!)い、いや。お前から電話なんて珍しいと…それで、何か用か?」

    うらら「へー、本当みたい…」

  • 7二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 18:42:50

    克也「ほう、吉栄くんに勉強を見てもらうのか」
    リサ「むっ」
    栄吉「(おい淳、ギンコ抑えとけ!)」
    淳「え?なんで…」
    克也「それはいい。きちんとお礼を言っておくんだぞ。
       僕は用事でしばらく家を空けるから、戸締りや食事は…なに? 泊まる? 吉栄くんの家に?」
    パオフゥ「(芹沢)」
    うらら「(あいよー)」
    克也「待て待てそれは一体どういうことだ!?未成年の男女が一つ屋根の下で過ご(ドスっ)おぉぉぉ!?」
    パオフゥ「少し寝てろ」
    うらら「あー、ごめんごめん。達哉くん? 私よ私。芹沢うらら。…そそ、おにーさんの友達の。
        でさ、お兄さんってば興奮しすぎて気絶しちゃって。あー大丈夫大丈夫。後の処理はやっとくから」
    リサ「待った待ったあいつに達哉は渡さなーーむぐぐ」
    淳「リサ、抑えて!」
    栄吉「向こう側とこっち側のタッちゃんが会ったら面倒だろが…!」
    うらら「おにーさんの方はコッチで説得しとくから、達哉くんは勉強頑張ってねー。じゃ、バァイ」
    達哉「…こういうことだ」

    舞耶「なるほど…」
    パオフゥ「(記憶を戻して再会させて、別れも辛くさせるってか。相変わらず、趣味の悪い野郎だぜ…!)」

  • 8二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 18:46:49

    Q.現在の状況
    2017年の春休み、新生セベクの開発したニュー・デヴァ・システムが暴走。
    ペルソナ使い達が色んな場所に転移した。
    エルミン学園で双葉、南条、ブラウン、パオフゥ、美鶴、完二が合流。
    門番のX-1を誘導して学園から脱出

  • 9二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 18:47:26

    ーーside 真

    真は混乱していた。
    地震が起きて、気が付いたら病院のような場所にいたのだ。
    しかも、人に声をかけようとしたらそれはゾンビで。
    驚いている隙をつかれて組み付かれそうになった、その瞬間。
    「女の子相手に何やってんのよこの変態ゾンビ!」
    自分と同じ年頃の、金髪碧眼の女の子がそのゾンビの頭を殴り飛ばしたのだ。
    「まったく、死んでもチカンするとかほんっとサイテー! しかもキタナイ! …あ。え、えっと…大丈夫?」
    どこか、仲間の杏に似ている気がすると思いながらも礼を言う。
    「え、ええ…ありがとう、助かったわ。私、新島真。あなたは?」
    「リサ。リサ・シルバーマン。よろしくね」

  • 10二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 18:47:56

    「…じゃあ、貴方も気付いたらここに?」
    「うん。ペルソナ能力戻ってたのは救いだけど…!」
    「…?」
    「あ、あはは。何でもない。でさ、真もペルソナ使いなの?」
    一瞬だけ苦々しげに顔を歪めたが、悟られたくなかったのか何事もなかったかのように笑うリサ。
    「私“も”?」
    そうして連れて来られたナースステーションに集まっていたのは4人のペルソナ使いだった。

    聖エルミン学園の城戸玲司、七姉妹学園のリサ・シルバーマン
    月光館学園の真田明彦、八十神高校の里中千枝。

    「ーーそして私、秀尽学園の新島真…か」
    全員、地震が起きて気がついたらここに居たという。
    シャドウ…悪魔の跋扈する病院で目が覚めて避難誘導をしていたところ、真を見つけたのだとか。
    「どうした、新島」
    「ちょっと状況の整理をと…」


    とりあえず埋めたのでここまで。

  • 11二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 22:23:27

    「アチョー!」
    「ハチャー!」
    「千枝、行くよ!」
    「オッケー!」
    「「友情のコンビネーションアターック!」」
    「「どどーん!」」

    「やるな、あいつら…」
    「あの体のキレ…有望だ」
    見事なコンビネーションで悪魔をなぎ倒していくリサと千枝を見て、玲司と明彦が感心の声をあげた。
    「楽勝、楽勝!」
    「いきなり変なところに放り込まれて焦ったけど、これなら余裕だね!」
    「油断は禁物よ…また来るわ!」
    「ン、ありゃあ…」
    「あれもシャド…悪魔なの? 羽の生えた女の子にしか…」
    「モーショボーじゃん。こんなの楽勝だって」
    「おい、待て。あいつは油断すると…」

    【 バ イ ナ ル ス ト ラ イ ク 】 !


    「え?」

  • 12二次元好きの匿名さん24/07/14(日) 22:25:57

    ――

    「しくじったな…」
    「ああ…とんでもない攻撃が来たもんだ…」
    あの戦闘からどうにか生き延びられたのは、明彦と玲司の二人だった。
    とはいえ、体はもうボロボロだった。
    戦闘不能者を体に括り付け、ふらつきながら歩いていく。
    「あいつらの得意技だ…アレには何度もやられた」
    「そう…か…」
    「おい真田…まだ気絶すんじゃねえぞ…」
    「わかってる…ここで倒れたら、終わりだからな…お前こそ、倒れるなよ」
    互いに体力は限界。回復手段もない。
    倒れそうになる体を引きずり、時には気絶しかけた相方を助け上げながらゆっくりと進む。
    「舐めんな…だが、こうして喋ってでもいないと…寝ちまいそうだぜ…」
    「寝るには…早いぞ…」
    「わかってる…こんな場所でやられてたまるか…!」
    明彦が扉に手を伸ばした。ドアノブを回して扉を開いてーーそのまま二人は倒れた。

    「ちょっとぉ、入ってくるならちゃんと入って…あれ、ひょっとしてかなりDANGERな感じ?」
    少女の声が、妙に遠く聞こえた気がして。二人はついに意識を手放した。


    今日はここまで

  • 13二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 09:30:33

    「お金持ってないなんて聞いてないよー!」
    「非常事態だったんだからしょうがねえだろ!」
    「そ、そうそう。危ないとこ助けてくれて本当にありがとー…って、感謝の気持ちじゃ…ダメ?」
    怒る妖精トリッシュを玲司とリサが宥めようとするが、効果はない。
    「ダメに決まってんじゃん! あー、なんで助けちゃったかなあ!」
    「だからさ、初めてのお客さんもいるんだし…ちょっとサービスとか…」
    「No! 絶対にNo! ボクは妥協しないよ! 全員の回復料二十万円、耳そろえて払ってもらうからね!」
    提示された法外な金額に、玲司とリサは目を剥いた。
    「にじゅ…っ!?」
    「前はこんなに取らなかったろうが!」
    「世の中不景気で物価も命の価値もどんどんUp! 時代が変われば値段もChange!」
    「あれから一年も経ってねえだろ!」

    「とーにーかーくー、ボクはびた一文まけないからね! 
     お金足りないなら外で悪魔でも狩ってきなよ! じゃなきゃこの建物から出さないからね!
     お金のない者生きるべからず! Life is Money! No Money No Live!」

  • 14二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 09:31:45

    叩き出されるように出てきた二人を、外で待機していたメンバー達が出迎える。
    「それで、どうなったの?」
    真が聞く。玲司とリサの顔を見て結果は察していたが。
    「全力で金稼ぎだ」
    「にじゅーまんえん払わなきゃここから出さないって…」
    「二十万円!?」
    「あいつ、いったい何者なの?」
    他のメンバーと一緒に驚きつつ、千枝が聞いた。
    「トリッシュっていう守銭奴の妖精…回復してくれるんだけど、メチャクチャなお金取るんだよ」
    「どこかで聞いたような話だな」
    「同じく…」
    明彦と千枝が同意する。
    「全員意識がなかったからとりあえず回復したけれど、私たちが大してお金を持っていなかったから怒ってるってこと?」
    「うん…」
    真の言葉に、リサが首肯した。
    「悪魔狩ってでも金を調達しろとさ」
    「こんなことしてる場合じゃないのに…」
    一刻も早く外の状況が知りたいのに、こんなところで足止めを食っている暇はない。
    「仕方ないよ。交渉でもなんでもやって、お金稼ご…」

    そして、自由を手にするための戦いが始まった…!

    つづく。

  • 15二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 20:38:27

    番外『街で流れる噂話』

    ーー辰巳ポートアイランド駅前

    『ーーよって、この世界は間違っているのです! この間違った世界を捨て、ミフネに乗り新たな世界へ!』
    『さあ皆さま、暗黒の王…そして彼の寵愛を受けし我らの教祖JOKER様を讃えましょう!』

    「…なにアレ」
    「見ちゃダメ。頭おかしい変質者だよ」
    「最近有名だぜ。服も肌も全部真っ黒だわ、いってる意味もわかんねーわ…デンパ系ってやつ?」

    『最近、肌も礼服も真っ黒な神父が布教をして回っているらしい』

    『くとぅるふ・ふたぐん にゃるらとてっぷ・つがー しゃめっしゅ しゃめっしゅ
     にゃるらとてっぷ・つがー くとぅるふ・ふたぐん! 』

    ーー八十稲葉市

    「なあ、知ってるか? 『最近の連続猟奇殺人事件にJOKER様が関わってるらしい』って!
     現場で警官がババがどうのって話してたの、聞いたんだ。ありゃあJOKERを指す隠語に違いない…」
    「嘘くせー」
    「だいたい、殺人事件起き始めたのは一ヶ月くらい前からだろ?占い師のJOKERが出たのは最近だ」
    「それが、『もう警察は秘密裏に捜査を始めてるらしい』ぜ」
    「…実は、俺の親父が昔、珠閒瑠ってとこの警察署で働いてたんだけど…その時JOKERって連続猟奇殺人鬼が出たらしいんだ。
     で、そのJOKERを指す符牒もババだったんだって…」
    「まさか、『その殺人鬼が復活して活動してる』とか!?
    「まあ、そうでもないと説明がつかない状況だったみたいだし…もしかしたらマジかも?」

    『最近の連続猟奇殺人事件の犯人は、復活した殺人鬼JOKER!?』

  • 16二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 01:39:21

    ーー本編開始一ヶ月前、八十稲葉市、某所
    「そういえばさぁ、久保って覚えてるか?久保光雄。あいつ、『精神病院から脱走してたらしい』ぜ」
    「マジ!?」
    「逮捕されたんじゃなかったのか?」
    「なんか事件後にショクブツジョータイ?になってて、精神病院で入院してんだとさ」
    「へぇ…」
    「あいつ、何するかわかんねーよな…いっつも挙動不審でブキミだったし…」
    「わかる」

  • 17二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 08:04:06

    「金よこすか命よこすか、どっちか選びな…」
    「お、老い先短い年寄りになんちゅうことを言うんじゃあ!?」
    脅し
    「千枝、演武行くよ!」
    「応!」
    「すごい、かっこいー!」
    「ところで君…お金、持ってない?」
    「お姉さんたちすごく困ってて…」
    「楽しかったし、あげるよー」
    演武をし
    「俺はもっと強い奴に会いに行きたい…!」
    「アニキって呼ばせてくれ!」
    「そこで…なんだが。路銀がないんだ」
    「おう、少ねえけど持っていってくれ!」
    強さを語り
    「…この投資は、あなたにとっても私にとってもメリットのあるものと認識しています」
    「投資…人間も面白いことを考えつくものです」
    説得する。

  • 18二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 08:06:02

    「ウガー! オレサマ、オマエラ、マルカジリ!」

    「僕もう怒ったぞ!」

    「そんなら力ずくで奪ってみやがれー!」

    「無礼者どもめ! この私自ら罰を下しましょう!」

    失敗したら

    「Go! <ブレス>!」

    【ツインスラッシュ】!

    「<ヴィーナス>!」

    【マハアクダイン】!

    「<カエサル>!」

    【ソニックパンチ】!

    「<トモエ>!」

    【ヒートウェイブ】!

    「<ヨハンナ>!」

    【マハフレイダイン】!


    「「ガァァァー!」」

    ぶっ飛ばす。

    そんなこんなを続けて、数時間。


    「はぁ、疲れる…」

    「ハイ回復するよー…<ヴィーナス>!」

    【メディアラハン】!

    「ありがと、リサ」

    「そういえば…城戸くんと真田くんは?」

    「階段の踊り場で反復横跳びしてる」

    真の質問に、千枝は疲れた顔で階段の踊り場を指さした。

    「は?」

    「あれやるとSP回復できるんだってさ。真田さんはなんか対抗意識燃やして一緒にやってるみたい」

    「反復横跳びで回復って一体どういう仕組み…?」

  • 19二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 18:49:48

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  • 20二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 22:05:44

    保守兼番外『勇者JOKER』

    ーー本編開始の一ヶ月前。八十稲葉市、某精神病院

    『ミツオよ。我が声が聞こえるな』
    「………」
    『我はニャルラトホテプ。意識と無意識の狭間、その影に潜む者。
     影を受容も拒絶もしなかった者よ、お前に力を与える』
    「……?」
    『これはJOKER。お前は選ばれた。これは間違ったこの世を救い、リセットするための力だ』
    「この世は…間違ってる…?」
    『そうだ。この世界は一度、ある者たちによって自分達の理想の世界へと作り変えられた、間違った世界なのだ。
     JOKERの囁くままに暴れ、この世界のリセットボタンを押せ。勇者ミツオ』
    「僕は…勇者…勇者!!」

  • 21二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 22:07:33

    森本医師は憂鬱だった。須藤竜蔵に大金と汚職の証拠を餌に気狂いの息子の世話をさせられ
    その挙句、自分の病院と職員を台無しにしやがったのだ。
    遺族の対応だの何だのに追われようやくこの田舎で一息つけると思った矢先、また妙な患者を押し付けられたのである。
    「久保光雄だったか?何をしても反応がない犯罪者の世話なんぞ、なんで私が…」
    「遺族の方の意向ですから…」
    「これも仕事か…」

    「久保さーん、失礼しますよー」
    病室に入る。
    森本の悲鳴が聞こえたのは、それからすぐのことだった。

    「も、森本先生!?」
    警備員と共に看護師が駆け付けた時。
    病室には森本の死体が転がり、その側には。

    「久保さん…!」
    「ヒャ、ヒャーハハハ!!聞こえる、聞こえるよォ、神様の声がァァァァ!
     『この世界のリセットボタンを押せ』って!『殺せ』って!
     そう、僕が、僕がぁ…勇者JOKERだぁ!」
    狂ったように笑って、少年はその場から消えた。

  • 22二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 22:15:30

    『お前は勇者ジョーカー…殺せ…殺せ…』
    影の囁くがまま、空虚の男は動く。
    2009年の八十稲葉市で、新たな連続猟奇殺人事件が発生するのは、それからすぐのことである。

    光指す場所に影あり。影が差さぬ場所に光なし。
    では、光も影もない場所に影を置けば? 影と同化し、彼の化身と同様の存在と堕ちるのだ。


    『電波が俺を呼び戻しやがったかァ…ヒャハ…ヒャーッハッハッハ!!』
    全ては、伝説の殺人鬼復活のために。

  • 23二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 08:43:14

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  • 24二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 20:00:36

    保守

  • 25二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 22:42:20

    保守感謝! こういう日もあるので保守はとてもありがたいです…

    「こんなの…帰るに帰れねえあの時の苦労に比べりゃ…」
    友人と共に異常事態を解決したあの経験は、城戸玲司という男を更に強くしていた。
    花子さんやブキミちゃんに命懸けの交渉をしたり
    安全地帯であるアガスティアの木が見つからないままダンジョンを進み、精神力ーーSPが枯渇したり。
    時にはペルソナの召喚に失敗して体が動かなくなり、泣く泣く仕切り直しとなった事もあった。
    「反復横跳びもなかなか奥が深いな、城戸!」
    「好きでやってるわけじゃねえぞ!」
    この反復横跳びだって友人であり当時のリーダーでもあった藤堂尚也の閃きと発案によるものだ。
    悪魔たちにもナワバリ意識があるのか踊り場に寄ってこないことと、歩くことでSPが自然回復することに気付いたのである。
    最初に彼が言い出した時は正気を疑ったものだ。
    「おい、お前たちも混ざらないか?」

    「え、遠慮しときまーす…」
    「そんなことより、今どれくらいたまってるの?」
    「約十九万…あともう少しね」
    「あと一万円くらいかぁ…」
    「もうひと頑張りよ、頑張りましょう」

  • 26二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 22:51:45

    「金出せ。さもなきゃぶっ潰す…!」
    「あと一万円なのよ…一万円!」
    「体もいい感じに温まってきたところだ。試してみるか?」
    「悪いけど、今すっごくイライラしてるの…うだうだ言わずに言うこと聞いてよ」
    「私がまだ理性を保っている間に…言うことを聞きなさい。いいわね!?」
    究極の五人合体交渉、拳で語るフォーエヴァー。
    「わ、わかったわよ…そんな怖い顔しなくたっていいじゃない…」
    「2380円…?」
    「あなたの命の価値はその程度なの…まだ出せるでしょう!?」
    「ひぃぃ! わかったわよ、これでいいでしょ! これで全部! これ以上は出せったって出せないわよ!」
    「…そう。ありがとう。とても助かったわ」
    「人間怖いわ…ほんっと怖いわ…」

    「はいはい、毎度あり。今度はちゃんとお金持ってくるんだよ」
    「祝・完・済!」
    「「いえー!」」
    積まれたお金を数えて満足げなトリッシュの言葉。
    長時間の苦労が報われたことで、全員キャラを忘れて自由を取り戻した喜びに沸いた。
    「…ところでトリッシュ、ちょっと見ない間に筋肉ついた?」
    「Shut up!誰のせいだと…!」

  • 27二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 01:07:06

    「さあ、脱出しましょう。外が気になるし!」
    「御影町じゃねえのか?」
    「みかげ…?」
    「じゃあ、やっぱり貴方…あの城戸さん!?」
    「どの城戸だよ…お?」
    「あなた達…」
    病院から出た先には、6人分の人影。
    「…助太刀にと思ったが、余計な世話だったな、城戸」
    「やっぱり無事だったか!さっすがオレ様の親友!」
    「南条に上杉…お前らと先に会うとはな」
    「こいつがあの城戸って…嘘だろ…!?」
    「あのオジサン…どこかで見たような…」
    「明彦、お前もここにいたのか」
    「美鶴!」
    「うおおお、里中先輩!!会えてめっちゃ嬉しいッス!俺、俺…!もう疲れました…!」
    「完二くん!?どしたのそんなに泣いちゃって…」
    「ぴぇ、不良増えてる…って、真…先輩?」
    「双葉!無事で良かったわ!」
    それぞれの反応を見て、何かを悟ったらしいメンバー達が口を開いた。
    「…どうやら」
    「皆さん、お知り合いの様子で…」
    「まずは、情報交換…だな?」

    御影病院編、完

  • 28二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 09:05:00

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  • 29二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 09:37:38

    小話『御影病院のボス』

    偽暁「さて、ここの番人は…巨大シャドウか。怪談を使った噂操作は意外といかないのか?」
    メッセージ『怪談や口伝の類はとにかく変化しやすいんだよ』
    巨大シャドウ(クチビル)「BeroBeroooooo!!」
    偽暁「菅原や杉本を期待してたけど、次の機会だな。…ま、足止めくらいできるだろ。頼むぜ」


    ・・・

    『ヒホォ…あれがサイキョーの元締めトリッシュ…』
    『最近ここらで暴れてる人間ども、あいつに上納金を納めるために暴れてるらしいぜ…』
    『き、きっと『トリッシュはとんでもなく強い』んだホー!』
    『うおお…それは茶色い赤…沈みゆく海ィィ…『筋肉モリモリ、マッチョマンの変態』ィィィィ…!』
    『逆らっちゃいけないわ…『トリッシュには勝てない』のよ…!』
    『あいつ、『たまに借金の督促のために外に出てくるらしい』よ…』

    トリッシュ「Very Shit!あいつら、また変な噂流したな!
          んー?見慣れない悪魔じゃん…ちょうどいい。なんか強くなったしウサ晴らしだ!!」
    クチビルくん『Berooooo!?』
    トリッシュ「ショバ代よこせオラー!」

    ・ ・ ・

    南条「ここは番人が居ないのか…」
    完二「…なんか、悪魔が妙に怯えてるっスね」

  • 30二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 14:45:46

    小話『ペルソナ召喚』

    明彦「ずっと気になっていたんだが…なぜ城戸とリサは召喚器無しでペルソナを出せるんだ?」
    千枝「ショーカンキがあれば出せるのも十分すごいと思いますけど…絵面さえなんとかなれば」
    リサ「最初見た時はいきなり拳銃自殺したと思って驚いたよ…」
    真「真田さん以外が使っても効果が無かったのよね」
    明彦「その辺りは美鶴が説明していた気がするんだが、よく覚えてなくてな」
    玲司「ペルソナ召喚の方法っつっても…そりゃ気合いとしか言いようがねえよ」
    リサ「なんか『出ろーっ』って感じに気合い入れて念じると出ますよね」
    千枝「そんなもの?」
    真「そんなんでペルソナ出せたら苦労しない…でも出してるし…」
    リサ「そもそもさ、この歳で『ペルソナーっ!』って叫んで何も無かったら恥ずかしいじゃん?」
    真「そこ触れていいの!?」

    明彦「気合…なるほど、試してみるか」
    真「やるんですか!?」

    明彦「行くぞ…ペルソナァァァァーッ!」
    出た。とても役立ってくれたのは、すぐ後の話。

  • 31二次元好きの匿名さん24/07/18(木) 22:24:09

    保守

  • 32二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 08:25:10

    このレスは削除されています

  • 33二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 18:21:07

    小話『お買い物』

    双葉「ーー前回(エルミン学園最終話)、カッコつけてリベンジを誓ったパオじろーですが」
    「申し訳ありません、当店は武具専門店でございまして…コインや古銭の取り扱いは…」
    南条「武器屋にパオフゥさん向けの装備が売っていないとはな…」
    双葉「リベンジはだいぶ先になりそーだなパオじろー」
    パオフゥ「うっせえ…」
    ブラウン「ま、しばらくは南条の一番コインとペルソナでどーにかなるでしょ」
    南条「やめんか妙な名前を付けるのは」
    美鶴「驚いた…全て本物か」
    南条「とりあえず、当座を凌げるものがあれば良い。店主、最も良いものを」
    「畏まりました」

    チャリーン

  • 34二次元好きの匿名さん24/07/19(金) 18:27:41

    ブラウン「いやあ懐かしいぜ、この重さ!」
    南条「やはり日用品とは違うな」
    完二「いやいやツッコミましょうよ先輩がた!
       なんで店員がガスマスク!?なんで街のど真ん中に武器屋!?しかも本物!
       ブラウン先輩と南条先輩は銃まで…!」
    南条「エルミンが異界化していたし、街が変わっててもおかしくない…という事で寄ったんだが」
    ブラウン「お見事大当たりってな!…あ、カンちゃんも武器売ってなかった勢?」
    完二「代わりにできそうなもんは買いましたけど…」
    南条「本命があるなら早く切り替えておけ」
    完二「ウッス」
    美鶴「さて、装備も整えて回復もしたし、次は…」
    パオフゥ「あそこだな。…ペルソナ使いがいるぜ」
    指差したのは、御影病院。セベク・スキャンダルの、全ての始まりの場所だ。
    南条「皮肉な…」

    そして、御影病院組との合流へ

  • 35二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 01:27:51

    保守

  • 36二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 10:15:27

    ほっしゅ

  • 37二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 19:55:29

    天野舞耶は迷っていた。
    「…どこかしら、ここ」
    見たところ学校の教室のように見えるが、春日山高校とも七姉妹学園とも違う。
    「昨日は何してたんだっけ…?」
    さて、こんな状況になるようなことをしただろうか。寝る前のことを思い出す。昨日は仕事して普通に家に帰り、普通に寝た。…それだけのはずだ。
    逆に、こんな状況になりえることは何か。うらら達とお酒飲んだ? 違う、うららはマンサーチャーの仕事で家にいなかった。
    カフェイン錠や栄養ドリンクの飲みすぎ? たぶん違う。――修羅場だった三日前ならともかく。
    夢遊病? でも、ここどこ? あの事件で町中走り回って、だいたいの建物に出入りしたけど、こんなところは知らない。

    「ともあれ、レッツ・ポジティブ・シンキング!良いネタになりそうだわ!」
    少なくとも三日前よりずっと健康だ。とはいえ、原因は気になる。
    イッツシンキンタイム。脳内で木魚を連打してーー閃いた。

    「やっぱり、食あたりかしら…!」
    昨日食べたカニ缶、賞味期限切れてたかも。やはり毒消し代わりにハチミツを入れたのがまずかったか。
    それとも酔っ払った克也さんに貰った極彩色の生クリームとの相乗効果…?
    ぶつぶつ呟きながら歩いていると、落ち着かない様子でキョロキョロと周囲を見ている少女が見えた。
    金髪で、どこかリサに似ている気がした
    「チャオ! あなた、ここの人?」
    「ひ、人…?」
    「ええ!私は天野舞耶!頭のテッペンからからつま先まで100パーセント人間よ!」

  • 38二次元好きの匿名さん24/07/20(土) 19:57:28

    「た、助かったぁ…いきなり一人にされて本当に心細くて…!」
    「よしよし、怖かったわよね。でも、こういう時こそレッツ・ポジティブ・シンキング!」
    「ポジティブに…そうだよね、頑張らないと! それで、ここはどこなんですか?」
    「んー…それが、私にもよくわからないのよね…寝てて、地震だーって思ったらここに。あなたは?」
    「私も地震があって、気づいたら…」
    「そっか…その地震が怪し…ん?」
    ぞわり、と。背筋に悪寒が走った。懐かしい気配。悪魔だ。
    顔をたくさん貼り付け、地面から手を伸ばしてくる小さな黒い影。
    見たことはないーーが、憎たらしいあいつに似ていた。
    「あれは…」
    「悪魔?」「シャドウ?」
    「「え?」」
    同時に口を開き、同時に向き直る。
    「…色々聞きたいけど、時間無いから細かいことは後ね! あなたの名前だけ教えてくれる?」
    「杏、高巻杏です」
    「杏ちゃんね。さ…ちょっと下がってて、後は私がやる…なんてね!」
    異世界から来たヒーローの言葉を借りて、自信たっぷりに舞耶が笑った。

  • 39二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 05:36:27

    保守

  • 40二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 17:23:28

    保守

  • 41二次元好きの匿名さん24/07/21(日) 22:15:59

    保守感謝。もうしばらくお待ちを…

  • 42二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 09:01:41

    保守

  • 43二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 09:22:28

    小話『寿司天帝の噂2』


    「やあ、君か。今度はお友達も一緒かい? 最近の噂、教えてあげよう」

    「『占い師JOKERの教団の教主が反対派に襲われた』らしいよ。ただ、『槍を持った親衛隊のおかげで無事だった』みたいだね」

    「…あとは、やっぱり『殺人鬼のJOKER』! 君たちは知らないだろうけど、昔も同じような事件があってね
     『殺人鬼の亡霊が甦った』ってもっぱらの噂! …怖くないのかって?怖いけど…エンガワ神が僕を守ってくれるさ」

    「それで、やっぱり名前が同じだっていうから、『殺人鬼JOKERと占い師JOKERは関係がある』っていう噂だね
     『殺しを願ったら殺人鬼が殺してくれる』とか、『占い師の邪魔をする人間を排除する』とか…物騒だね、ほんと」

    「ジョーカーって言えば、ちょっと前に話題になった『心の怪盗団のリーダーも、そう呼ばれてる』って噂があったね
     彼も関係があるのかな…?」

    「そして、メジエド! 占い師JOKERに積極的に協力しているから、『実は占い師の傘下組織なんじゃないか』って噂だ
     いやはや、怖い世の中だよねまったく」

    「…今日はこんなところかな。また来てよ。僕はここでエンガワ食べてるからね」



    「『槍を持った親衛隊』、『複数のJOKER』…」
    「達哉、親衛隊の話を聞いてからずっと焦ってるね。何か心当たりでもあるの?」
    「ああ…おそらく、まずいことになってる。…急ぐぞ、手遅れになる前に!」

  • 44二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 14:47:13

    舞耶&杏視点

    「さあ、私はここよーーアルテミス!」
    【ブフ―ラ】!
    「一体撃破。こいつは大したことなさそうね!」
    「それ、ペルソナ…?」
    「ペルソナを知ってるの?」
    「なんだかわからないけど…ここ認知の世界なの?だったら――踊れ、カルメン!」
    【アギダイン】!
    「で、出た…!」
    「ナイス!やるわね、杏ちゃん」
    「舞耶さんこそ!」
    熱気と冷気で影を一掃し一息ついたところで、舞耶が口を開いた、
    「さて、お邪魔虫を退治したところで聞きたいんだけど…ここってどこかわかる?」
    「え。舞耶さんも知らないんですか?」
    「そうなのよー。地震があったと思ったらここに居て…」
    「私と同じだ…」
    「そうなの?」
    「はい、私も地震で…」
    「なるほど…でも、わからないものは仕方ないわね!とりあえず行きましょ!」
    「行くってどこに…」
    立ち上がった舞耶に尋ねると、舞耶は笑顔でこう返した。
    「レッツ・ポジティブ!建物なんだし出口は絶対どこかにあるわ!」
    「…そうですね、行きましょう!」
    舞耶の勢いに乗るように、杏もまた歩み出した。

  • 45二次元好きの匿名さん24/07/22(月) 21:00:45

    このレスは削除されています

  • 46二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 07:32:55

    ――同時刻。
    岳羽ゆかりとアイギスもまた迷っていた。

    「ねえアイギス…ここ月光館だよね?」
    迷路のようになってしまっているが、装飾などはそのまま。
    自分たちの知っている学校にそっくりだ。アイギスは首肯する。
    「はい、おそらくは」
    「…なんだか気味悪いなぁ」
    なんとなく、タルタロスを想起させるような雰囲気だった。
    歩かねば始まらないということで歩いているが、完全に迷路のようになっている。
    本当に出られるのか不安になってきたところに、2つの人影を見つけた。
    「(アイギス)」
    「(…警戒しましょう)」
    一応、美鶴のボディガードも兼ねていて武器も内蔵しているアイギスはともかく
    ゆかりの武器はその辺で拾ったモップだ。頼りはペルソナのみ。緊張で息を呑む。

    「杏ちゃん!見つけたわよ、人!」
    「やったね、舞耶さん!」
    それは杞憂であり、二人が非常に友好的であると知ったのはすぐ後の話である。

  • 47二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 10:06:14

    「だ、誰?」
    「チャオ!私、クーレストの記者をしてる天野舞耶! 貴女達、ここがどこか知らない?」
    「私は秀尽学園の高巻杏!よろしく!」
    「ちゃーおー、であります。私はアイギスで、彼女は岳羽ゆかりさんです」
    二人の挨拶にアイギスが返す。
    「紹介しちゃうの!?」
    「(ゆかりさん、彼女達はペルソナ使いです。それに…)」
    「(それに?)」
    「(何でもありません。ここは協力した方が良いかと)」
    「あ、ああ…えっと、私は岳羽ゆかり。月光館学園の生徒で…ここがその月光館だと思うんですけど…」
    「迷路のようになっているので困っているのです」
    「あ、やっぱり異界化してるのね」
    「イカイカ」
    どこからか焼きイカを二つ取り出すアイギス。
    「そのイカ二つどっから出したの?」
    「私も似たような体験を何度かしてるの!任せて!」
    胸を叩く舞耶に、ゆかりは怪訝な視線を向け、小声でアイギスに囁いた。
    「(大人ってペルソナ使いになれないんじゃなかったの?)」
    「(美鶴さんはそう言っていましたが、ペルソナの反応はあります。
     彼女は特別なのかもしれません…彼のように)」
    「彼…」

  • 48二次元好きの匿名さん24/07/23(火) 21:02:14

    ゆかりがこの世を去った少年を想っていると、突然アイギスが警戒体勢に入った。
    「アイギス?」
    「皆さん、気をつけて。何かがこの部屋に来ます…」
    言うが早いか、勢いよく扉が開いて、二つの人影が現れる。
    そのうちの片方の男が、警察手帳を手にこう叫んだ。
    「警察だ!全員動くな!」
    「…周防刑事、何度も言いますけどここでそういう事をする必要は…」
    もう片方の人影にツッコミを入れられた男に、舞耶は見覚えがあった。
    「やっぱり、克也さん!」
    「天野くん。なぜここに」
    彼は周防克也、舞耶の戦友である。
    「…貴方は、知り合いじゃない感じ?」
    「…白鐘直斗です。周防刑事とは道中で知り合いました」
    ゆかりに尋ねられ、ちょっとだけ拗ねた様子で直斗が名乗った。

    その後、互いに害意がないことと、克也と舞耶が知り合いということでスムーズ合流し
    一同はダンジョンを進んでいく。
    「…えー、つまり、舞耶さんのカレシ?の周防克也刑事と」
    「元探偵王子の白鐘直斗!?…にしては、ちっちゃいような…」
    「ちっちゃいって…誰と比較してるんですか」
    「カレ…!?私と天野くんはまだそういう関係では…!」
    「え、違うの?」
    「天野くん!乗っかるのはやめてーー」
    「…待ってください。あの扉の向こうに何かいます」
    話をしながら進む一行を、アイギスが引き留めた。
    「また仲間かな?」
    「いえ、これは…戦闘音です!」
    一同の雰囲気が一変する。
    「みんな、急ぎましょう!」
    舞耶の声に応えるように、一行は駆け出した

  • 49二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 06:40:08

    扉を開けた先では、航空機を模した人型の機械のようなものが、槍を手にエルミンの制服を着た女生徒を追い詰めていた。

    機械の胸元部分には8の文字が刻まれている。

    「くそっ…」

    『クフハハハハ!まさか再び会えるとは!運命に感謝せねばな…!』

    エルミンの生徒ーーゆきのの体はボロボロで、機械の方はほとんど無傷。

    至る所にある攻撃の跡が激戦を物語っていた。

    「意味のわからないこと言って…気色悪いんだよ、ロボットが…!」

    『変わらぬ女よ。星を掴むも、一人で私に挑むも、貴様の夢も、全て無謀!諦め地に這いつくばるが運命よ!』

    「冗談じゃないね…人の夢まで笑いやがって…死んでたまるかぁ!」

    『ふ、ペルソナも出せぬお前にはもう何も出来ん…これまでだ、この世から去ねぃ!「させるか!」ぬぅ!?』


    「警察だ!そこの機械、暴行の現行犯で逮捕する!」

    「その人から離れなさい!ペルソナ<イシス>!」

    【ガルダイン】!

    銃撃とペルソナの風撃が機械を襲い、機械を吹き飛ばした

    「相変わらず弱い者イジメが好きみたいね、ロンギヌス!」

    舞耶の言葉を受けながら、機械ーーロンギヌス8が立ち上がる。

    『来たか、フロイライン…しかしこの程度。我ら聖槍騎士団、対ペルソナ用の特殊装備で身を固めている事、忘れてはおるまい?』

  • 50二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 06:41:27

    「ロンギヌス…あれはX-1じゃないのか?」

    「ええ。一応、パワードスーツ着てるドイツの人みたい…えっと…ラスト…ラスバ…オバタ…」

    「ラストバタリオンか!?」

    「それそれ!」

    「なんですか、それ」

    「ラストバタリオン…最後の大隊。WW2でヒトラーが演説で言及していたという、謎の軍隊だ。

     真のハーケンクロイツの日にユダヤを倒し世界を支配すると言われているが…」

    杏の質問に克也が答えると、ゆかりが怪訝な顔をする。

    「なんでそんなものがここに?」

    「僕もわからない…天野くん、もしや“向こう側”の敵か?」

    「うん…それが、みんながトンデモ本の内容を鵜呑みにしちゃってヒトラーが復活して、文字通りトンデモないことに…」

    「えええええ…」

    道中でこれまでの事を簡潔に話していたため、噂のぶっ飛んだ効果を実感した一同が引いた。

    『ふ、我らは今や<運命の教団>の親衛隊!聖槍騎士団ロンギヌス13!教主JOKERの命により、貴様らを排除する!』

    「…みんな、疑問はいっぱいあるかもしれないけど後にして!まずはこいつをぶっ飛ばすわよ!」

    「「「了解!」」」であります」

    舞耶の言葉に仲間たちが同調。

    「天野くん…ぶっ飛ばすは流石に…とはいえ!未成年者への傷害の現行犯だ!逮捕する!」

    「周防刑事…」

    ツッコミながらなおボケる克也を、直斗が呆れた顔で見つめていた。

  • 51二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 14:16:09

    このレスは削除されています

  • 52二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 21:52:34

    『【ガイスティブブリッツ】!』

    ロンギヌス8の槍から放たれた雷が舞耶達を穿った。

    『話をしている場合か? 愚か者!ここは戦場だ!』

    「か、体が痺れて…!」

    『グーテンナハト(おやすみ)…』

    【ロンギヌスコピー】

    動きを止めたゆかりの身体をロンギヌス8の槍が突き刺す。

    「ゆかりさん!」

    「あ、あれ。何ともない…なら反撃…<イシス>!…あれ?」

    傷も異常もない自分の体を認識してペルソナを呼び出そうとしたが、何も起きない。

    「ペルソナが出ない!?」

    「ゆかりちゃん、動けるわね? いったん下がって!

     みんな、あの槍に刺されちゃダメよ!しばらくペルソナが使えなくなる!」

    「致命的じゃん!」

    「なるほど…似ていると思ったらそういう意図が…!」

    ゆかりをペルソナと銃撃でフォローしながら、舞耶と杏は距離を取った

    直斗と克也とアイギスは接近する形で後衛組のカバーに入る

    『距離をとっても無駄なことよ!』

    【MG 34】!

    ロンギヌス8のマシンガンが火を噴き、後衛たちを狙う。

    「マシンガン撃ってきた!」

    「ゆかりさん下がってください、私が盾になります!」

    「僕の相手をしてもらおうか!」

    アイギスが盾になり、克也が発砲するが、銃弾はパワードスーツに阻まれる。

  • 53二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 22:01:11

    このレスは削除されています

  • 54二次元好きの匿名さん24/07/24(水) 22:02:17

    『そのような豆鉄砲が通じるものか!』

    【マハアクエス】!

    「ちィ!」

    「今よ、<アルテミス>!【クレセントミラー】!」

    水撃魔法で反撃される克也だが、そこに隙を見出した舞耶がロンギヌス8に一撃を叩き込む。

    怯んだ隙を突いて、克也が杏に目配せする。

    「杏くん、アレをやる!タイミングを合わせてくれ!」

    「了解です!」

    【アギダイン】→【マハラギダイン】

    「合体魔法…!」

    【 灼 熱 獄 炎 】 !

    『侮ったか…だが、お前は…く、ククク…!』

    合体魔法の強烈な火炎に包まれながらも、アイギスを見てロンギヌスが嘲笑った。

    「ゆかりさん曰く、こういう時はこう言えば良いそうですね。ーー『こっち見んな、ヘンタイ』」

    「正解よ、アイギス」


    「なんかよくわかんないんだけどさ…あたしのペルソナから伝言だ。

     ーー『しつこいし気持ち悪いんだよ!とっとと闇に帰りやがれ、このストーカー野郎』!」

    【マハジオダイン】!

    『そして刻は繰り返す…』

    ダメージから立ち直ったゆきののペルソナによる雷撃が炎の中でのたうち回るロンギヌス8を撃ち据えると

    末期の言葉を残してロンギヌス8は雷光の中に消滅した。

  • 55二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 07:31:11

    激戦を終え、一同は肩で息をしながら思い想いに休み始めた
    「ふーっ…」
    「君、大丈夫か?」
    「ああ…ありがとう、助かった。私は黛ゆきの。あんた達は…」
    「黛ゆきのって…貴女、ユッキー!?」
    「…また舞耶ちゃんの知り合い?」
    「そうみたいね…」
    杏の言葉に、ゆかりが少し呆れ気味に頷いた
    「ゆっき…?な、何、なんですか!?」
    「でも、あちらは天野さんを知らないようですが」
    直斗の指摘の通り、ゆきのは戸惑っているようだった。
    「そんな! 私、私だよ!貴女の相棒の天野舞耶!舞耶ちゃん!マーヤ!覚えてない!?」
    「でも知らないものは知らないし…!」
    「ユッキー、私達の友情はどこに行ったの!?あの漫才の日々を思い出すのよユッキー!」
    「まんざ…何言ってんですか、あんた…」
    その様子を見て、何となく何かを察した克也が声をかける。
    「落ち着け天野くん。…あー、黛ゆきのくん、君はエルミンの生徒だね。学年は?」
    「あ、ハイ…今は三年で…」
    「外見も少し若く見えるし…彼女は天野くんと知り合う前の黛くんなのではないかな」
    「…なるほど、確かによく見ると…でもどうして…」
    克也の囁きに、舞耶が頷いていると、部屋にあったもう一つの扉ーー出口の方から声が聞こえた。
    「それは我々がお答えします」

  • 56二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 07:39:20

    「その声は…」
    「南条…と…これまた随分な大所帯だね」
    南条の背後にいる大勢のペルソナ使いを見て、ゆきのが苦笑する。
    そして、一行の中に舞耶と克也の姿を認めたパオフゥとうららが前に出てきた。
    「とりあえずはタイムスリップって認識しとけ。細かい違いは後で話す。
     あんまり混乱させんなよ、天野」
    「メンバーはもうほとんど揃ってるっぽいけどねー」
    「嵯峨、芹沢くん…」

    「あと居ないのは誰だ?」
    「うちの仲間は暁…リーダーとモルガナって猫が」
    「園村が居ないな」
    「淳と…たっちゃんか?でも忘れたまんまの可能性も高いし…」
    「我々のところは山岸が居ない」
    「リーダーの鳴上先輩と、クマって着ぐるみが居ないっすね」
    パオフゥの問いに、それぞれ竜司、尚也、美鶴、完二がそれぞれ答える
    「…最後はそいつらか。電車で行ける場所はだいたい回ったはずだが…」
    「東京がまだだな。多分そこだ」
    「今までのパターンからして、居場所は縁のある学校かどこかだと思うのですが…」
    「ということは…」
    「秀尽学園!」
    次の行き先が決まり、一同は再び動き出した


    ごめんね竜司チーム…君たちのパートは作ってなかったんだ…
    八十稲羽に飛ばされたチームとの合流シーンは次書きます

  • 57二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 16:46:35

    動向ーー春と祐介


    「行くぜっ!<セイメンコンゴウ>!」

    【マハーガル】!

    「Come here、<ニケ>!」

    【ハマ】!

    「やっちゃいなー、<アステリア>!」

    【マグナス】!

    「ペルソナッ!<カーラ・ネミ>!」

    【ジオンガ】!

    「ペールーソーナー!<ミラディ>!」

    【マハサイオ】!

    「ペルソナ、<ゴエモン>!」

    【ブフダイン】!

    「敵の全滅を確認。みんな、お疲れ様!」


    「ふいー、疲れるわー」

    「お疲れ、うららちゃん」

    「りせちゃんも、的確なサポートありがとね」

    「藤堂先輩の指示がすごいんですよ。まるでセンパイみたい」

    「お、出たねウワサのセンパイ! こーんな可愛い子を夢中にさせるなんて、どんな色男なのかしら? いっぺん見てみたいわ~」

    「あ、うららちゃんには渡さないよ!」

    「あの子…ひょっとしてアイドルの久慈川りせ…?」

    「後でモデルになってもらえないものか」

    「ヌードはダメだよ」

    呟く祐介に、春が釘を刺した。

  • 58二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 21:09:02

    「こんなことでいいのかな…」
    「いいんじゃないか」
    人の輪から離れて呟く乾に、尚也が答えた
    「藤堂さん」
    「ずっと深刻な顔してても疲れるだけだ」
    「でも…ふざけすぎですよ。状況もよくわかってないのに…少しは考えましょうよ!」
    「急ぎすぎ。考えるのは状況が落ち着いてからだ」
    「Naoya」
    諭す尚也に、桐島絵里子ーーエリーが声をかけた。
    「エリー。何かあった?」
    「Riseからこの八十稲羽のMapを頂いたので確認をと思ったのですが…お邪魔でした?」
    「大丈夫。あと、天田」
    にっこりとした笑顔。しかし迫力は圧倒的。乾の背筋に悪寒が走った
    「反復横跳び、まだ終わってないよな?」
    踊り場反復横跳び。合流し、リーダーシップを発揮している尚也からの唯一の『おねがい』だった。
    戦闘したらSPを回復するために反復横跳びをしろというのだ。最初はエリー以外の全員が反対したのだが。
    「な、ナンセンスですよ…反復横跳びで回復なんt」
    「ペルソナは俺たちの命綱だ。わかってるよな?」
    彼らが出会った八十神高校は異界化して長い長い迷路となっていた。
    そんな中ろくな武器がなくペルソナだけが頼りの状況でのSP切れという恐怖。
    それは反復横跳びをさせるに十分な動機となった。
    「でも、もう学校は抜けて…」
    「逃げるな」
    有無を言わさぬ迫力。後ずさりすると、次はエリーに肩を掴まれた。
    「大丈夫、すぐに慣れますわ。…私たちもやったのだから」
    よくよく見れば、消耗していないりせ以外のメンバーが反復横跳びをしている。
    彼女から有無を言わさぬ迫力を感じ、乾も諦めて反復横跳びに勤しむことになる

  • 59二次元好きの匿名さん24/07/25(木) 23:08:06

  • 60二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 08:18:38

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  • 61二次元好きの匿名さん24/07/26(金) 18:09:52

    番外『不在の番人』
    うらら「番人!そんなの居たの?」
    舞耶「うららのところには居なかったの?」
    春「そういう敵とは戦ってなかったと思います」
    りせ「もしかして、アレのことかな…最初、ダンジョンを探った時に強い反応が4つあったの。
       気が付いたら消えちゃってたんだけど…」
    克也「まさか、他の誰かが倒したのか…?」

    竜司「俺たちのところにも居なかったよな」
    順平「おう。迷路が長かっただけだ」
    マーク「おかげで、最後まで交渉で乗り切れたもんな」
    栄吉「どうせ、このミッシェル様に恐れをなして逃げたんだろうさ…ホォォォォウ!」
    雪子「フッ!…ククッ…!」
    陽介「また天城が動けなくなるからやめろ…」
    千枝「…どういう交渉だったの?」

    ーー???

    「貴様…命令違反とは、どういうつもりだ!」
    「うるさいなぁ。私は私の好きに動く。そんだけ。あいつのパシリが命令しないで」
    「キィィィ!暗黒の王の使者よ!彼女をいかに罰すれば…!」
    「別に良いだろ。彼女はタイミングってやつを知ってるんだ。…そろそろ出かけるんだろ?」
    「もちろん。今こそバッチリなタイミングってやつだよ。役者も揃った。
     あの子の居場所がわかればもっとよかったんだけど」
    「あの二人は独自に動いてるからね…でも、こっちの準備も終わった。
     さあ、SHOWTIMEといこうか!」

  • 62二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 01:32:59

    ほしゅ

  • 63二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 09:55:58

    このレスは削除されています

  • 64二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 16:37:29

    次の投下までしばらくかかるかも、ということで保守

  • 65二次元好きの匿名さん24/07/27(土) 23:11:29

    保守

  • 66二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 09:27:39

    小話『探索風景』
    ーー御影駅
    南条「…新宿、八十稲葉、辰巳ポートアイランド、蓮華台、御影町…」
    パオフゥ「お前らの地元にはこんな路線が走ってんのかい、地元民?」
    玲司「そんなわけねえだろ」
    美鶴「あの、パオフゥさん。そういう言い方は…」
    双葉「パオじろーはワルぶってるだけだと思うぞ。そういうトコもそーじろーに似てる」
    パオフゥ「だからソージローじゃねえって…」
    明彦「蓮華台というのは…」
    リサ「珠閒瑠市の区画だよ」
    南条「完全に時空が歪んでいますね…」
    パオフゥ「電車の移動した先はまた別の時代かもな…」
    南条「仮にそれぞれの時代に通じているのなら、我々は未来へ行くことになるわけですか」
    ブラウン「ちょっとドキドキするなぁ、それ」


    パオフゥ「佐倉…ソージロー…俺と声が似てる…まさかな…」

  • 67二次元好きの匿名さん24/07/28(日) 20:19:17

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  • 68二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 06:46:47

    保守

  • 69二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 14:08:56

    秀尽学園。

    暁とモルガナは、先に目を覚まして彼らを介抱していた橿原淳に案内され
    教室の一角に集まっていた。長期休みということもあって人はいない。集まったのは、合計7人だ。
    「秀尽学園の来栖暁、八十神高校の鳴上悠、月光館学園の山岸風花、春日山高校の橿原淳、聖エルミン学園の園村麻希…」
    「見事にバラバラだな。一致してるのは年頃くらいだ」
    「一応、猫のモルガナと着ぐるみ?のクマもいるぞ」
    「ワガハイは猫じゃねえ!」
    「クマはクマだよ?」
    「そうだ。モナは車だ」
    「そうだ。クマはクマだ」
    「クルマでもねーよ!」
    「センセイ…!」
    「…悠くんと暁くんって、実は結構似たものどうし?」
    「そうかも…」
    「それで…モルガナはなんでその格好に?」
    暁が聞く。
    猫そのものだったモルガナが、両足で立つ2頭身のマスコットのような姿ーーメメントスや認知の世界での世界に変わっていた。
    「ワガハイ、元々こういう姿だからな? 目覚めたらこうなってたんだ。念じればまた猫に戻れるが、車になれるかは試してない」

    わちゃわちゃと話すメンバーの中、淳が静かに口を開いた
    「ーーもう一つの共通点は、みんなペルソナ使いってところだね」
    「淳」
    「自己紹介も終わった事だし、どういう経緯でここに来たのか、話さないか?」

  • 70二次元好きの匿名さん24/07/29(月) 20:50:32

    「みんなも、あの地震で飛ばされてきたのか?」
    「あの地震ってのが何を指してるかはわからないけど、多分」
    「はい…急に大きな地震があって、気がついたら…」
    「ここに居た、ってわけか…」
    「モナ、やっぱり原因は…」
    「アレだろうな。ニュー・デヴァ・システムとかいう機械。JOKERって奴も相当怪しいぜ」
    「デヴァ・システム!?」
    「「JOKER!?」」
    がたんと音を立てて、麻希と淳、悠が立ち上がった。
    風花とクマは音に驚いたのか固まっている。
    「お、おいおいなんだよみんなで…」
    「…どうやら、これまでの経緯をもっと詳しく話す必要がありそうだね」


    数十分後。
    「精神世界、噂の現実化と世界の破滅と再生、影時間、テレビの中の世界に、認知の世界か…」
    各々の事情を聞いて驚き驚かせを繰り返しつつも、まとめるように、淳が呟いた。
    「噂の現実化…おい、アキラ!」
    「ああ…フィレモンが言ってたな」
    「フィレモンに会ったのかい?」
    「あ、ああ。今日、夢で…」
    「マキチャン、俯いてどうしたクマ?」
    「やっぱり、デヴァ・システム…それに鷹取って…」
    その時。教室の扉が破壊され、大きな3つの影が飛び込んできた。
    乱入者の姿を見て、淳が驚愕する。
    「ロンギヌス13…!?」
    航空機を模したような3体の機械の兵隊…聖槍騎士団ロンギヌス13。
    それらの胸元にはそれぞれ10、11、13と書かれていた。

  • 71二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 06:43:51

    『愚かなマリオネッテが4人、抜け殻が2匹…ようやく見つけたぞ!』
    「な、なんだ、ロボット…!?」
    「ロンギヌス!なぜお前たちがここにいる!?」
    戸惑う一同の中で淳が問いかけるが、ロンギヌスは相手にすることなく槍を掲げた。
    『JOKERは新たな世界にお前たちは要らぬとの仰せだ!ここで朽ち果てるが良い!』
    「占い師がなんで…!」
    「殺人鬼の手下…?」
    「バカな、JOKERはもう居ないはず…!」
    「「「???」」」
    回答のズレに、暁と悠と淳がお互いを見返す。
    『口を動かしている暇があるのか、愚か者!ここは戦場だ!』
    「くっ…装備がない…みんな逃げて!こいつらと戦うのは危険だ!」
    『笑止!我らから逃げられると思っているのか!』

    そして、戦闘が始まった。

  • 72二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 15:34:33

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  • 73二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 15:52:31

    機械の兵隊3体を相手に、3人の少年と2匹のマスコットが戦闘を繰り広げていた。

    『【ガイスティブブリッツ】!』

    ロンギヌス10から槍から放たれる雷が少年たちを打ち据える。

    「大丈夫か、悠!」

    『私を目の前にして味方の心配とは、甘いな…愚か者!ここは戦場だ!』

    「アキラ、ロボが来てるぞ!」

    「わかってる! ペルソナ、<アルセーヌ>!」

    【シングルショット】!

    『ふん、この程度…』

    「淳!隙は作ったぞ!」

    暁に迫るロンギヌス11を銃撃し、少しだけよろめかせると

    その隙を逃すまいと淳が大技を叩き込む。

    「助かったよ、暁!<クロノス>!」

    【クロスフォーチューン】!

    『ぬおお!?』

    魔法の旋風がロンギヌス10と11をまとめて吹き飛ばす。

    「このまま園村たちが戻るまで粘るぞ!」

    「「おう!」」


    一方、モルガナとクマは残るもう一体、ロンギヌス13を相手にしていた。

    『私の相手は抜け殻2匹か…つまらんな』

    「抜け殻とは失敬クマ! クマのふつくしいボディを見せてやるクマ!」

    「そういう問題じゃねーだろクマキチ!」

    「だーれがクマキチじゃーい! この妖怪バケネコ!」

    『ええい、この愚か者! ここは戦場だ! 貴様らまとめて普遍的無意識の海へ帰してくれる!』

  • 74二次元好きの匿名さん24/07/30(火) 20:42:05

    暁たちに逃された麻希と風花は、外から感じた味方の気配を追って走っていた。

    「風花ちゃん、次の道は?」

    「左! ここを抜ければ昇降口です!」

    二人の目の前に現れたのは、先ほどと同じ機械の兵隊。胸元には12と書かれていた。

    『最初のマリオネッテ…あの男に逃げるなと言われただろうに、忘れたのか?』

    「まずい…風花ちゃん、先に行って!」

    「は、はい!」

    『私が見逃すと思っているのか…訓練ではないのだぞ、この愚か者! ここは戦場だ!』

    「私たちを助けて、<ヤヌス>!」

    【永遠の白】!

    ペルソナから放たれた光がロンギヌス12を飲み込み、風花の逃げる隙を作る。

    「あなたの相手は私だよ、ロボット!」

    『小癪なマリオネッテめ!』


    正門前。

    「みんなーっ!」

    無事に学校を抜け出せた風花は、見慣れた仲間達の姿のもとへ駆け寄った。

    「風花!」

    「風花さん!」

    「山岸、無事か!」

    「私は何とか…でもみんなが危険なんです!」

    S.E.E.Sの仲間達の言葉に、風花が息を切らしながら答える。

    それを聞いて、その場の全員が顔を見合わせて頷いた。

  • 75二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 07:13:48

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  • 76二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 07:30:48

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  • 77二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 07:35:44

    一方、麻希はペルソナを封じられ、壁際に追い詰められていた。

    「く…う…!」

    『無駄な抵抗だったな、マリオネッテ…しかし命をかけ無力の仲間を逃したその姿勢には敬意を表し、一撃で楽にして…』

    「<アメン・ラー>!」

    【ヒエロスグリュペイン】!

    その言葉と共に、力尽きた麻希に槍を向けるロンギヌス12を強烈な衝撃が襲った。

    『ぐあっ!』

    聞き覚えのある、今もっとも求めていた人の声を聞いて麻希は安堵の表情を浮かべた。

    「あれは尚也くんの…来てくれた…!」

    「園村、助けに来たぞ!」

    「麻希ちゃん!」

    藤堂尚也と、エルミン学園の仲間達を含むペルソナ使い達を引き連れた風花が、麻希に駆け寄る。

    「風花ちゃんも…良かった…早く、2階のみんなのところに…」

    その瞬間、ガラスの割れる音と共に重い落下音が鳴り響いた。

    「今の音は…!」

    「校庭の方だ!」


    教室にいた暁たちは困惑していた。

    二人の少年が戦闘に介入し、ロンギヌスたちを中庭に叩き落としたのだ。

    「…た、達哉…!?」

    その乱入者に声をかけようとした淳だが、彼は振り返ることなく校庭に降りていく。

    「オイ、ここ2階だぞ!?」

    「ペルソナの力をうまく制御できれば、あれくらいできる…らしいよ

     俺たちも行くぞ。…徒歩で」

    驚くモルガナに同調するようにもう一人の少年が言って、暁たちを急かしつつ校庭へと駆けていった。


    >>72

    ごめん、もっと複雑になる予定。この章で味方は全員集結するはずなので、終わったら少しまとめます。

  • 78二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 16:04:51

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  • 79二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 18:45:25

    ーー校庭。
    暁たちが辿り着いた時には、すでに多くのペルソナ使いがロンギヌス3体を相手に戦っていた。
    「まるで戦場だな…」
    モルガナの呟きが聞こえたのか、数人のペルソナ使いが暁たちに気付いて駆け寄ってきた。
    「暁、無事だったか!」
    「無事といえば無事だけど、ボロボロだな…」
    「相棒!それにクマも居たか!」
    「陽介! みんなも居るんだな!」
    「ああ!」
    「そういえば、フーカチャンはどーしたクマ?」
    「そうだ、風花は…」
    風花の姿を探すと、すぐに見つかった。こちらをーー湊を見て涙を流していた。
    「…うそ…リーダー…?」
    「…あー、えっと。ただいま、かな。風花」
    居心地が悪そうに湊が頭を掻くが、すぐに意識を戦闘に向けた。
    「…細かい説明は後だ。あいつらを倒すよ」
    「ーーはい!」

  • 80二次元好きの匿名さん24/07/31(水) 18:48:16

    ・ ・ ・


    「行くぜ、<アメン・ラー>!」

    【ガルダイン】!

    「ペルソナ…<アポロ>…!」

    【アギダイン】!

    「<タナトス>!」

    【ブレイブザッパー】!

    「<イザナギ>!」

    【ジオダイン】!

    「<アルセーヌ>!」

    【エイガオン】!

    元々少なくないダメージを受けていたロンギヌス達は、熟練のペルソナ使いたちの猛攻を受け間もなく沈黙した。

    『ここで朽ちておけば良いものを…』

    『不公平という言葉を心に刻め…』

    『過去はお前を逃がさない…』

    湊、悠、暁にそれぞれ不気味な言葉を言い残して。

  • 81二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 01:56:10

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  • 82二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 08:44:00

    一戦を終え、軽い休憩と自己紹介を済ませた後。
    「えっと…“向こう側”の達哉クン…だよね?」
    「湊も、一体なにがあったの!?」
    「………」
    「私が教えてあげるよ」
    舞耶とゆかりに聞かれ苦い顔で俯く二人の代わりに、少女の声が答える。
    その声の主を見て、湊が驚愕に目を見開いた。
    「え…」
    以前、湊の夢でニャルラトホテプが化けていたものと全く同じ、月光館の制服を着た明るい茶髪の少女。
    「あなた…」
    ゆかりが問う前に、呆然とした様子の湊が口を開いた。
    「かなで…おねえ…ちゃん…?」
    「え?」
    「はいはーい、あなたの奏お姉ちゃんだよー」
    少女ーー奏は人懐っこく笑って手を振った。
    「なぜ…なぜ!?」
    「おい美鶴、彼女は…」
    「資料で見たことがある…有里奏…湊の、双子の姉の名前だ」
    動揺する湊にただならぬ物を感じた明彦の問いに美鶴が答える。
    「ちょっ!」
    「湊の…お姉さん?」
    「しかし、有里奏は十年前の事故で両親とともに亡くなったはず…」

  • 83二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 08:52:41

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  • 84二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 08:54:44

    「…ヤツの手先か?」

    美鶴の言葉を受けて、達哉が日本刀を構えた。他のメンバーもそれに倣う。

    「やだなー、みんな怖い顔しちゃって。私は貸したものを返しに来てもらっただけだよ」

    「貸したもの、だと?」

    硬直している湊に、奏は笑顔で近づいた。

    「湊、元気にしてた?」

    「…うん」

    「よかった。じゃあ、今こそ貸してるもの…命を返してもらうわね。来て、<タナトス>」

    言葉と共に現れたのは、筋骨隆々の男の姿をしたペルソナ。

    「タナトスって…湊と同じペルソナ!?」

    「でも見た目が違う!」

    「Yukino…あれは…」

    「タナトスの塔のペルソナじゃないか…一体どうして…!」

    「有里、伏せろ!<カエサル>!」

    【ジオダイン】!

    攻撃の気配を察した明彦のペルソナが雷を放つが、奏は後ろに跳んで回避する。

    「ああ、こわい。邪魔しないでくださいよ、真田センパイ」

    「なぜ俺の名を知っている?」

    「それはヒミツです。…そこの日本刀クンの言う通り、今の私は運命の教団に協力してる。

     目的は…不出来な弟の命をもらうこと」

    「なぜ有里の姉が有里の命を狙う!?」

    「運命の教団…一体なんなんだ、それは!」

    美鶴と暁に問われるが、奏は美鶴を睨み返した。

    「なんで私と両親を殺した桐条の人間に教えてあげなきゃいけないのよ。

     教団については…本人に直接聞けばいいでしょ。ねえ、JOKER様?」

    奏の言葉に呼応するように。空間が歪み、ヴェールを被った女性と、その側に控える男が現れる。

    「私はJOKER。運命を操る者。運命に悩む者すべての者の"切り札"であり、"最後のカード"である…」

    男はフードを目深に被っていて顔が伺えないが、JOKERの顔に暁は見覚えがあった。

    「ち、千早…?」

    その名は御船千早。ヤルダバオトの騒動の際に暁を助けた者の一人だった。

  • 85二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 16:38:07

    このレスは削除されています

  • 86二次元好きの匿名さん24/08/01(木) 22:03:07

    保守

  • 87二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 08:36:04

    保守

  • 88二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 09:43:52

    「え?」
    「知ってるのか?」
    「チハヤ…アキラの知り合いの占い師だ…!」
    呆然としている暁を、占い師JOKERーー千早が冷徹な目で見つめる
    「運命を破壊する愚か者たちよ。私はお前たちを許さない」
    「千早、お前に一体なにが…」
    「馴れ馴れしく話しかけるな、運命の破壊者め。…後は任せましたよ。暁」
    「アキ…!?」
    「わかったよ、JOKER様…いや、チハヤ」
    「ま、待て!」
    「させねえよ?」
    忌々しげに吐き捨てる千早を引き止めようとする暁の前に、千早の側に控えていたフードの男が立ち塞がる
    それを見届け、千早はまた空間を歪ませて去っていった。
    「さて、楽しい対話の時間だな?」
    「お前は一体…」
    「俺? 俺は…」
    男がフードを外すと、一同にが驚愕した。
    「俺はお前だよ、来栖暁」
    フードの下には、金と赤のオッドアイをした暁の顔があった。

  • 89二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 14:24:33

    「あ、暁の…シャドウ?」
    「アキラのシャドウが暁のフリして活動してたってのか!?」
    「フリとは失礼だな。そこの無責任な男の代わりを務めてやったんだから感謝して欲しいくらいだ」
    「俺の代わり?」
    「お前は彼女に希望を植え付けた。運命は変えられると。でも、それきりお前は彼女の前に現れなくなった」
    その言葉に、暁が口ごもった。
    千早の様子も気になってはいたのだが、当時の暁はとても多忙で、会う時間がなかったのだ。
    「だから、お前の代わりに"続き"をしてやったんだ。彼女の望む最高のパートナーとしてな」
    「違う…仕方なかった…仕方なかったんだ…!」
    「違う? 仕方ない? 言い訳だな! お前が焚き付けて失敗した千早の姿…無惨なものだったぜ!
     希望を囁いておいて、最後まで責任を取ることなく消える! お前たちの言う腐った大人どもの行いと何が違うんだ!?」
    「だが、千早にあんな力を与えて、教団まで作らせる必要は…!」
    気圧されつつも暁は言い返したが、偽暁は呆れた様子で口を開いた。
    「彼女が運命を変える力を欲したから与えてやったんだ。教団を作ったのも、周囲の人間どもだ。
     俺はみんなの願いを叶えてやったに過ぎない。そもそも、お前が最後まで付いていてやれば良かったんだ。
     お前の無責任と怠慢が彼女をJOKERに変えたんだよ!」
    この混乱の大元が自分であると突き付けられて愕然とする暁を見て、偽暁が嘲笑する。
    「まあ、今回は顔見せだ。次はこうはいかない。千早という過去から目を逸らしたお前の『罪』は
     影の下す大いなる『罰』によって贖ってもらう。…忘れるな、来栖暁。お前に逃げ道はない」
    「腑抜けちゃった湊から命を返してもらっても面白くないし…私も今回は見逃してあげる。
     あと…桐条センパイ…いや、桐条美鶴! 私はみんなを不幸にした桐条の人間を絶対に許さないから…!」
    そう言い残して、偽暁は奏と共に何処かへと消えていく。
    「千早…俺のせいで…」
    「お姉ちゃん…」
    「有里の姉…桐条の罪…か…」
    打ちのめされた3人は、それを呆然と見送ることしかできなかった。

  • 90二次元好きの匿名さん24/08/02(金) 23:20:26

    保守

  • 91二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 08:03:05

    「それにしても、面倒なことになったな…」
    「チハヤがJOKERで、アキラのシャドウがその側近…余計に放っておけなくなったぞ」
    「………こりゃ、今すぐお話って雰囲気じゃなさそうだ。どこか落ち着けるところに行こうぜ」
    茫然自失となっている暁と湊を見て、パオフゥが提案する。
    「この大所帯を収容できる場所ですか…」
    「それなら、良いところがあるぜ」
    考え込む一同に、栄吉が声をあげた。

    ーー珠閒瑠市「スマル・プリズン」

    「おお、広い!」
    「こんなところがあったんだ」
    「俺たちの溜まり場だ。あとは布団やら椅子やら持ってこねえと…」
    「手分けして、色々必要そうなモン持って来ようぜ」
    「ガキの頃作ったヒミツ基地みたいで、なんか楽しそうだな!」
    「みんな、理想の秘密基地を作るわよー!」
    「「おー!」」

    克也をはじめとする一部のメンバーが暁、湊、美鶴の3人のメンタルケアを行っている間に
    各々が拠点にさまざまな物資が持ち込んだり、破損箇所を修復するなどして、数時間後には立派な拠点が完成した。

    「湊くん、桐条先輩…大丈夫ですか?」
    「…ああ、大丈夫だ」
    「私も問題はない。…ずっと、覚悟はしているつもりだったんだ」
    「アキラ、辛いだろうけど腑抜けてる場合じゃねえ、チハヤとお前のシャドウを止めるんだ」
    「…わかってる。今度こそ千早を助けるんだ…」
    風花とモルガナの問いに3人が応えたところを見て、パオフゥが改めてメンバーを見渡した。
    「さて、拠点も出来たところで、今度こそ情報の共有といきたいんだが…」

  • 92二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 08:05:59

    「本当に惣治郎さんそっくりの声をしてる…」
    「でしょ!? やっぱ生き別れのキョーダイかなにか――」
    「違うっつってんだろ!」
    「うっわ、南条くんもエリーちゃんも若い!」
    「ポニテのエリーちゃんもリボンの麻希ちゃんもショートのユッキーも、みんなかわいー!」
    「おい、あれアイドルのりせちーじゃねえか!? ペルソナ使いだったのかよ!」
    「探偵王子まで!」
    「上杉秀彦…って、芸能人のブラウンじゃない!?」
    「モデルの桐島絵里子まで居る!」
    「園村麻希…あの『楽園の扉』の作者か! あと、誰かそこにあるじゃがりこを取ってくれないか」
    「おお、おおお…アレルギーが出ない! 素晴らしいぞモルガナくん!」
    「す、周防サン、次は俺にも…」
    「離せ! ワガハイは男に触られる趣味はねえ!」
    「そんなことよりじゃがりこを」
    「うるっせえ!」

    「…どうした、妙な顔をして」
    混沌としている状況をパオフゥが一喝しているのを眺めながら、南条が美鶴に聞いた
    「…あの南条の総帥がこのような顔をして話している、というのは…なんというか、意外だと思ってな」
    「お前が俺をどういう目で見ているのかは知らんが…俺も一人の人間だ。怒りもすれば笑いもする」
    「そうか…そういうもの、だな…」
    「お前こそ、あの父君にべったりだった少女と同一人物と思えん」
    「物心つく前の話だろう!?」

    さらにその様子を、杏や竜司が見つめていた。
    「どうした、アン殿?」
    「…なんていうかさ。私たちよりもずっとずっと大人だと思ってた人たちも…こういう時があったんだって思って」
    「あー…それな…なんか、すっげーわかる。南条や桐条なんて、俺とは違う世界に生きてる世界の人間だと思ってたのに
     学生の頃は俺たちとそんなに変わんなかったんだよな…」

  • 93二次元好きの匿名さん24/08/03(土) 18:27:29

    保守

  • 94二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 04:02:38

    保守

  • 95二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 10:26:43

    と、そんなこともあって。
    「…というわけで、あの人数じゃ話がまとまらないからグループごとに代表と補佐を用意して話し合うことになった」
    「一理ある」
    「無関係そーな顔してるけど、場を引っ掻き回したのはお前も同じだからな?」
    頷く祐介に竜司が突っ込んだ。
    「代表はやっぱ、リーダー…暁だよな」
    「異論はない。他のみんなも同じだろう。あと問題は…補佐を誰が行うかだ」
    「とりあえずリュージ、ユースケは除外だな」
    「なんで!?」
    「おイナリは変態、リュージは頭悪すぎるからだろ?」
    「とことん失敬な。俺のどこが変態だ!」
    「…ま、まあそれはともかく。なら残りは…」
    「あ、私はパス…書記とかそういうのちょっと苦手だし」
    「パスオッケーなら私も外してくれ! 見知らぬ人と会議なんて無理だ!」
    「これでアン殿とフタバも除外か。残りはハルとマコトだけど…どうする、アキラ」
    杏と双葉がそれぞれ辞退し、モルガナが暁を見返す。
    「真に頼みたい。あとモナも猫状態でカバンに入って着いてきてくれ」
    「わかった」
    「ワガハイも了解だ。ハルも、それでいいか?」
    「あ、うん…私よりマコちゃんの方が向いてそうだもんね」
    「それじゃ、決定だな!」

  • 96二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 20:51:58

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  • 97二次元好きの匿名さん24/08/04(日) 23:57:33

    保守

  • 98二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 06:51:01

    小話『拠点談義』
    舞耶「雪子ちゃんのところの旅館にみんなで泊まるっていうのは?」
    直斗「お金はどうするんです?」
    舞耶「旅館買い取れる程度には持ってるから心配ないわ」
    千枝「意外とお金持ち!?」
    舞耶「事件であっちこっち駆けずり回ってるうちにお金が貯まっちゃって…もちろん普段は使わないわ」
    パオフゥ「…若女将さんよ、高校生を大勢引き連れた大人が長期間泊まるなんて言ってきたらどう思う?」
    雪子「…さすがに、断るかも…」
    克也「それに天野くん、違う時代で我々の貨幣は使えるのか?」
    パオフゥ「下手すりゃ偽札扱いでしょっ引かれるかもな」
    舞耶「…良いアイデアだと思ったのに」

  • 99二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 13:13:30

    本編続き


    数十分後、6組がスマル・プリズンの舞台の上に置かれたテーブルと椅子に腰掛けていた。

    尚也と南条、達哉と淳、舞耶と克也、湊と美鶴、悠と陽介、暁と真とモルガナだ。

    他のメンバーは舞台の下からその様子を眺めている。

    「天野くんの補佐兼、今回進行役を務めさせてもらう、周防克也だ。よろしく頼む。

     …まず、これまでの経緯を簡単にまとめよう」

    切り出したのは克也だ。ホワイトボードを引っ張り出して、ペンで<これまでの経緯>と書き込んだ。

    「まずは、杏くんや暁くんから聞き取った情報をもとに時系列を整理する。

     異変の始まりは2017年。君たち…怪盗団に、フィレモンが警告をした。ここまでは良いね?」

    「はい」

    「そして、君たちの集めた噂…『運命を操る占い師のJOKER』『セベクの新製品』『メジエド創始者の復帰』。

     この事態を引き起こしたのは、おそらくこの3つの噂が原因だろう」

    克也が『占い師』、『ネオデヴァシステム』、『メジエド』とホワイトボードに書き込んでいく。

    「占い師にセベクの佐伯社長が何かを願い、ネオ・デヴァ・システムが完成。それが暴走して、時空が歪んだ…といったところか」

    「俺たちがまとまって集められたのは偶然なんでしょうか?」

    「…いや、おそらくは意図的なものだ。俺と湊が奴に呼び出されてから、そう時間が経たずにこうなった。

     装置の暴走だって怪しい。鷹取…いや神取が何か仕組んでいたとしてもおかしくない」

    悠の疑問に達哉が答えた。

    「私たちはそれぞれ、バラバラな場所に飛ばされたが…少なくとも一つの時代につき一人は必ず飛ばされている。

     これにも意図的なものを感じるな」

  • 100二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 13:28:48

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  • 101二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 13:30:01

    「様々な意味での例外が、<向こう側>からやってきた達哉と…生き返ったという有里くんだ。

     …事情を話してくれるか?」

    克也が問うと、達哉と湊が頷き、事の経緯を話した。

    「そんなことがあったのか…」

    「奴は、こちらで大きな催しを行うと言っていた。この事件と無関係とは思えない。

     湊が生き返る前に聞いたという声も奴のものだろう」

    「俺が生き返ってるのも、エリザベスが代わりに封印を引き受けたからなんだ。

     彼女に接触できる人間なんて、それこそ数えるくらいしか居ないはず」

    「なるほどな…話を戻そう。我々が飛ばされた先は全て異界化して、迷路…ダンジョンになっていた

     今のところ、悪魔…シャドウとも言うらしいが、奴らが街の人を襲っている様子はない

     …尚也くんの言う、悪魔たちのナワバリ意識も影響しているのかもしれないな」

    「どこのダンジョンも出入り口を強敵が守ってたんだっけ?」

    「七姉妹学園と八十神学園には居なかったらしいが…」

    「セブンス…七姉妹学園はわからないが、八十神学園の敵は俺と湊が倒した」

    「X-1とかいう機械が4体も居たよ。ペルソナ封じをしてくるから、装備の足りない尚也達じゃ危なかったかも」

    その言葉に南条と美鶴が反応した。

    「あの機械が4体も居たのか…!」

    「よく倒せたな…」

    「俺たちは装備が整っていたからね」

    「俺たちのところにも来たのか?」

    陽介の問いに、達哉と湊は首を横に振った

    「ええええ…楽で良かったけど、なんかフクザツ…」


    「とにかく。一番早く動くことができた我々が各地を回ってメンバーを集めて、今に至る…と」

    そう南条が締めて、この議題は一区切りとなった。

  • 102二次元好きの匿名さん24/08/05(月) 20:49:11

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  • 103二次元好きの匿名さん24/08/06(火) 07:03:21

    小話『ティータイム』

    ーー東京、ピースダイナー
    神取「こういった昼食も、たまには良いものだろう?ボディガード…明智くん」
    明智「悪くないですね。鷹取…いえ、神取さんもよく来るんですか?」
    神取「いいや。あまりこういうところには縁が無かった。そういう意味では、少し楽しいな」
    明智「前から思っていたんですが…世紀の大悪党だと思ってたのに、意外と気さくな方なんですね」
    神取「重荷が消えたからかな。奴との付き合いにも慣れてきた」
    明智「…奴は、今度は教祖に何をさせてるんです?」
    神取「『メー』の取材を受けるという話だな」
    明智「オカルト雑誌じゃないですか。なんでそんなもの…」
    神取「それが意外とバカにならないようでね…」

    明智「さて…本題は?」
    神取「…君のスタンスが知りたくてね。私はもはや影の傀儡だが…君は光がまだ少しだけ残っている」
    明智「僕は僕ですよ、神取さん。強いて言えば…今度こそ、トリックスターになりたい。
       …しかし、なぜ僕には光が残っているんでしょうね」
    神取「ヤルダバオトは、奴と奴の半身が力を折半して作った舞台装置だそうだ。
       そのせいだろうな。…トリックスターか、道は険しいぞ?」
    明智「承知の上ですよ」

  • 104二次元好きの匿名さん24/08/06(火) 14:43:26

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  • 105二次元好きの匿名さん24/08/06(火) 19:26:54

    保守

  • 106二次元好きの匿名さん24/08/06(火) 22:11:34

    本編つづき


    「さて、次の議題は…目下の我々の敵対者…この異変を引き起こしている者についてだ」

    <敵対者について>

    克也が次の議題をホワイトボードに書き込んだ。

    「まずは、御船千早と言ったか…彼女とその側近、来栖くんのシャドウが率いる、『運命の教団』」

    「千早は騙されているだけなんだ…」

    「…大丈夫だよ。僕らはみんなわかってるから」

    悔恨を滲ませて俯く暁に、淳が声をかけた。似た境遇にあったために気持ちがわかるのだろう

    「<向こう側>の仮面党にあたる組織が、運命の教団だろう。やり口もそっくりだ」

    「願いを叶える者を首魁に、悪意ある周囲がそれを崇め、利用する…そうね…」

    達哉の言葉に舞耶が同意する。

    「その構成員と見られるのが…首魁である御船千早、シャドウ暁、そして有里奏」

    克也がホワイトボードに『運命の教団』『構成員』『教祖、占い師JOKER=御船千早』

    『元凶? シャドウ暁』『有里奏』と次々と書き込んでいく。

    「お姉ちゃん…」

    「桐条くん、彼女が有里くんを狙う理由に心当たりは?」

    「ありません。私を狙うのはわかるのですが、弟の湊まで狙う理由は…」

    「これは今考えても答えは出ないか…」

    克也がホワイトボードの奏の名前の隣に、『目的不明』と付け加えた。


    続きは明日の朝に投下予定

  • 107二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 07:46:40

    「他に協力したり、所属している可能性の高い人間は2人…鷹取博士と、メジエドの創始者だ」
    「待ってくれ、メジエドの創始者は双葉で、もう活動もやめてるんだ」
    暁の言葉に、達哉が反応した。
    「…噂だな」
    「噂?」
    「双葉がメジエドと名乗って表に出てきた事はあるか?」
    達哉が舞台下の双葉に目をやると、双葉は顔と両手をぶんぶんと横に振った
    「出るわけない!出られたら今頃こんなんになってないし!」
    双葉の返答を聞いて達哉は頷き、再び暁に向き直る。
    「おそらく、噂されている『メジエドの創始者のイメージ』が形をとって、それが活動しているんだ」
    「どういうことだ?」
    「お前達は双葉がメジエド創始者と知っているが、大衆にとってメジエド創始者は正体不明の謎の存在だ。
     大衆にとって、存在しているのは『想像の中のメジエド創始者』で、それが佐倉双葉かどうかなんてどうでもいいんだ」
    「認知の力に通じるものがあるわね…」
    「んじゃ、フタバが今から真実を明かすのは…」
    「やめろ。双葉の人格が噂の中のメジエドに乗っ取られる危険がある」
    「うへぇ…」
    「またメンドくせえことになってんなぁ…」
    長引いてきた話を、克也が咳払いして止めた
    「さて、次は鷹取博士についてだが…佐倉くんの動画は見たね?」
    「…あれは神取です。藤堂も城戸も…というか、俺たち全員がそう感じました」
    「わかりやすい偽名だもんね…」
    「そもそも、奴でなければデヴァ・システムなど作れませんよ」
    「奴は一度、同じく噂の力で今回の真の黒幕と見られるニャルラトホテプが復活させている。その時と同じだろう」

    「現状、正体がわかっているのはこのくらいか…」
    「これ以外にも普通の構成員や、まだ我々が知らない幹部も居ると思われる。用心していこう」
    克也がそう締め、次の議題へと移った

  • 108二次元好きの匿名さん24/08/07(水) 18:20:22

    保守

  • 109二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 00:52:01

    「兄さん、ペンを貸してくれ」

    「達哉?」

    克也からペンを受け取り、達哉はこう書き込んだ。


    <噂について>


    「これまでに流れた噂を整理しよう。今後の行動の指針になるかもしれない」

    「と言っても、俺たちの知ってる噂はさっき大体出てきたけどな…」

    「確か…四つあったわよね?」

    暁と真がこれまで知った噂を書いていく。

    『占い師JOKER』

    『新生セベクの新製品』

    『メジエド創始者の帰還』

    『占い師のおかげで就任した?日本初の女性総理大臣、岡村真夜』

    「岡村真夜…イデアル先生か!?」

    「知り合い?」

    「七姉妹学園の教師だ。<こちら側>では普通の教師のはずなんだが…」

    「それが占い師の力で総理大臣…何があったのかしら」

    「八十稲羽は…殺人鬼の噂が話題になってたよな?」

    「ああ…たしか昔の殺人鬼の亡霊…で…」

    そこまで言って、悠と陽介が固まった。

    「どうした?」

    「八十稲羽でも噂されてたんだ、JOKERが!」

    「どういうこと?」

    「八十稲羽で連続猟奇殺人が起こってて、その犯人がJOKERっていう噂が流れてたんです」

    「殺人鬼JOKER…あの寿司屋の寿司天帝も言ってたね、達哉。たしか怪盗団のリーダーも関係あるかもって…」

    「ああ。忘れていた…」

  • 110二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 00:55:12

    「誰も彼もJOKER…ねえ、JOKERっていう名前に何か意味があるの?」

    「<向こう側>では願いを叶える怪人…<こちら側>では依頼を受けて殺人を行う殺人鬼…両方とも、奴が裏で力を与えていた」

    「ってことは、あれか? その…黒幕のニャルなんたらの力を受けた誰かが八十稲羽で殺しをやってるってのか?」

    「…おそらくは」

    「じゃあ、早く止めねえと…!」

    「待ちたまえ。珠閒瑠市の殺人鬼JOKERは警察に一度も尻尾を掴ませなかった。闇雲に追っても無駄だ」

    慌てる陽介を、克也が戒めた。達哉がホワイトボードに『殺人鬼JOKER』と書き足す。

    「俺たちが聞いた噂では、殺人鬼JOKERと占い師JOKERとの関係性が語られていたんだ。

     占い師にとって不都合な人間や、殺しを依頼されると現れる…とも」

    「同時に…心の怪盗団のリーダーのジョーカーとも、何か関係があるんじゃないかって言っていた」

    「わざとうちのジョーカーと関連付けさせようとしてるとしか思えねえな…!」

    達哉の説明に湊が補足を入れる。それを聞いて、モルガナが憤りとともに吐き捨てた。

    「達哉、他に噂は聞いたか?」

    達哉は頷いて、ホワイトボードに書き込んでいく。

    『明智という探偵が戻ってきたが、悪の秘密組織と戦って大怪我を負ったらしい』

    『占い師JOKERには槍を持った親衛隊がいる』

    『殺人鬼JOKERが復活した』

    『メジエドが運命の教団の傘下組織らしい』

    「明智…?!」

    「知ってるのか?」

    暁たちの反応を見て、達哉が聞いた。

    「お、おう…なんというか、フクザツな関係なんだが…」

    「槍を持った親衛隊はロンギヌス…復活した殺人鬼は…須藤か!」

    「多分、奴らを復活させるために噂を流したんだ」

    どう説明しようかと苦慮するモルガナをよそに、達哉が答えた。

    「須藤って言うのは?」

    「須藤竜也…2000年に現れた、殺しを請け負う殺人鬼のJOKERだ…我々警察はババという符牒で呼んでいた」

    「今度は殺人鬼…噂って本当に怖いね」

    「混乱が加速してからじゃ遅い。なるべく早く動くぞ」

    新たに岡村真夜、殺人鬼JOKER、明智という情報を新たに頭に入れ、最後の議題へと移る。

  • 111二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 09:37:26

    「これである程度、現状は知れたと思う。最後の議題は、今後の目標だ」

    克也がホワイトボードに<今後の目標>と書き込んだ。

    「噂を追っていくだけじゃダメなんですか?」

    「そのやり方だと、対応が後手になる。一度軌道に乗ってしまえば、崩壊はすぐだ…」

    「僕らは先んじることができたからな…しかし…」

    「私たちも結局は達哉クンや南条クン達を追ってたようなものだし…どうしたものかしら」

    「教団なんて名乗っているんだし、どこかに本拠地があるんじゃ?」

    「フタバが調べたところによると…新宿の新セベクビルに本部があるらしい」

    「新セベクビルって、ネオ・デヴァ・システムのデモンストレーションをやった場所?」

    「ええ。デモンストレーションで起きた騒ぎで、セベクがまた倒産して…佐伯社長も行方不明みたい」

    「それで売りに出されたビルを引き取ったわけか…」

    「しかし教団の本部だろう。警備も厳重なはずだ」

    「実際、噂が流れてるらしいんだよな…『ネオ・デヴァのせいで時空が歪んでいて、怪物が出てくる』って…」

    「そんな所、よく本部にしようと思ったな…」

    「来栖、お前ら怪盗団なんだろ?なんかこう、ぱぱーっと鮮やかに潜入できないのか?」

    「あれは認知の世界限定だから…」

    陽介に聞かれ、困ったように暁が視線を泳がせると、猫状態のモルガナに目を止めた。

    「アキラ、どうしかしたか?」

    「何か閃いたの?」

    「怪盗団『ファントム』、ショウタイム!」

    問いに答える前に暁が高らかに声を上げた。

    すると、怪盗団全員が怪盗としての姿に変化した。


    続きは夜に

  • 112二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 19:37:49

    「おお!?」
    「変身した!」
    「思った通りだ…」
    「何が『思った通り』なのかしら…?」
    自分の姿を見て納得する暁に、勝手に変身させられ少し怒った様子で真が聞いた。
    「モナが認知の世界限定の人型に変身できただろ?だったら、俺たちもいけるんじゃないかと思ったんだ」
    「なるほど…」
    「身体能力に変化はあるのか?」
    克也に問われた瞬間、怪盗団全員が部屋中を素早く駆け回り、元の場所に戻った。
    「すごい速さだな…目で追うのがやっとだ」
    「これなら潜入出来そうじゃない?」
    「セキュリティ厳重で怪物もいるけど…大丈夫でしょうか」
    「レッツ・ポジティブ! いけるいける!」
    「SPが尽きても大丈夫。反復横跳びを信じろ」
    舞耶の言葉に鼓舞され、尚也の言葉に一部のメンバーが視線を逸らした。

    「作戦…というほどのものでもないが、我々が騒ぎを起こして警備員の注意を逸らす。
     怪盗団はその間にビルに潜入して、教祖を奪回するかシャドウ暁を倒すんだ」
    克也の言葉に、怪盗団の面々が頷いた。
    「陽動にそれほど人数は要らないだろうから、残りのメンバーは情報収集や連絡役、八十稲羽に回そう」

  • 113二次元好きの匿名さん24/08/08(木) 19:38:25

    「八十稲羽…殺人鬼JOKERか…!」
    「噂の出所が八十稲羽だとすれば、ここに出没する可能性も高いはずだ」
    それを聞き、八十稲羽のペルソナ使い達が頷きあう。
    「後は噂の収集と、こちらに有利な噂の流布だな…嵯峨、いけるか」
    「この事件の間はパオフゥで通せって言っただろうが。…佐倉にある程度やり方は聞いた。やれると思うぜ」
    「よし…それでは諸君、健闘を祈る!」
    その言葉とともに、会議は終了した。

    「でも今日はもう遅いし、みんなも疲れてるだろうから今日はもう休んで決行は明日にしましょ!」
    舞耶の言葉に、引き締まっていた空気が一気に緩んだ。
    「言っていることは正しいが、天野くん…」
    「ほんっと締まらねえ奴…」

    つづく。しばらく小話が続くかも?質疑応答の場面は小話でやる予定

  • 114二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 07:01:29

    保守

  • 115二次元好きの匿名さん24/08/09(金) 18:23:42

    保守

  • 116二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 00:49:44

    保守

  • 117二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 10:20:30

    難航中…遅くなるかも。保守

  • 118二次元好きの匿名さん24/08/10(土) 21:06:23

    楽しみに待ってます

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