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- 3二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 12:53:13
一巻のこれ
地獄の底から、引きずり上げてやるしか、ねえよな - 4二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 12:55:57
- 5二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 12:56:05
- 6二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 12:59:45
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- 16二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 13:46:16
- 17二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 13:49:07
「…私の、名前は……『未元物質』を操る学園都市第二位の超能力者、垣根帝督です」
- 18二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 13:52:34
「我らは『黄金』。長らく続いてきた悪習を取り除き、真に豊かな叡智と生活を授ける魔術結社なり!! 邪なる力に晒されし民が目の前にいる。私はここに皆を編む、誰もが想う身近な誰かを守れる術式 the Hermetic Order of the Golden Dawnとなれッ!!」
長文だけどカッコいい - 19二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:06:01
「だけどとうまは助けた」
「とうまなら絶対そうする。だったら私だってそうするんだよ」 - 20二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:15:02
- 21二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:29:51
- 22二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:33:06
「所詮は浅ましき傭兵崩れのごろつき。お堅い騎士に比べて自由奔放に戦う身ではあるが」
たった一人で、傭兵はポツリと呟いた。
「・・・・・・生憎と、古き友を斬る刃までは持ち合わせがないのである」
彼にしては珍しい、無駄口だった。 - 23二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:33:39
『私は、先生以外には触れてほしくない』
罰当たりかな、と老人は思った。
たとえ正しい答えだとしても、この信頼を突っぱねてしまうのは。
『愛情表現』
「レディバード君、瞳をキラキラさせるのはいい。だが口の端のよだれはやめておきなさい」
組み立てられた少女は精巧も精巧だった。
ただしお利口過ぎるが故に、少女の世界はあまりに狭い。 - 24二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:34:18
ハッピーバースデー、ヘルカリア。
曖昧な状況証拠じゃない。
唯一無二の、幸せの物証だった。 - 25二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:35:00
泣きじゃくる少女との約束を果たす時が来た。
後は難敵を倒すだけで良い。たったそれだけで問答無用のハッピーエンドが待っている。 - 26二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:35:12
暗い暗い、地の底だった。
そこは誰にも知られていない学園都市の奥底だった。
囁く声があった。いいやそれは本当に声だったのだろうか。低い唸りのような、均一なノイズを長く聞いているとそこに意味が生まれてくるような錯覚にも似ている。
『君は弱い、だから周りに余計な負担を強いる』
ばぢっ‼︎ と。物理的な衝撃すら交え、幼い少女の脳裏に多くの顔が浮かんでは消える。
・・・・・・下水道で出会ったわんちゃんは、その後一度も見ていない。
筋肉だらけの大男から自分を守ってくれたはずのヴィヴァーナ=オニグマは、のちの報道で死亡したという話を耳にした。
・・・・・・目の前で銃弾に倒れたドレンチャー=木原=レパトリは言うに及ばず。
・・・・・・暗い地下から自分とソダテちゃんを地上まで運んでくれた不良のお兄さんも、大人から鉄砲で撃たれてそれっきりだった。
『これからもこんな事は続く』
小さな両手で頭を抱えてうずくまる少女は、聞こえていない。
もう一つ。力負けはしているものの、少女に向けて放たれている女性の声が届いていない。
ガリガリという無骨な音が確かな救いを遠ざける。それは歯車と歯車を結び、鎖を回す音。
『これ以上の犠牲を許したくなければ、自分を変えるしかない。リサコ君、君が自分で自分を強くするしかないのじゃよ』
それは一見すれば心地のいい響きかもしれない。
だけど、だからこそ警戒すべきなのだ。何しろ心地のいい響きとやらは、だからこそ多少筋が通っていなくても感情的に跳ね除けるのが難しくなるのだから。
『だからわしを使え。この木原がこれより君を「暗部」でも最強の存在にしてやる』
天然か人工かはさておいて、幽霊はいる。
皮肉にも、それは幼い少女を守ろうとするフリルサンド#G自身が証明してしまっている。
つまり。
本当に本物の悪人は、たかが死んだ程度で活動を停止するとは限らない。 - 27二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:35:30
- 28二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:35:56
だけどまだ、魔女の物語は終わらない。
赤い薔薇の少女は今も前へ歩いている。 - 29二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:36:09
世界の平和を守り、人々の笑顔を作り、完璧に立ち振る舞う神へ抗う者に与えられる称号は。
きっと。
どうしようもなく。
「ああ」
ベンチに腰掛けたまま、上条はその両手で自らの顔を覆った。
「悪と断じられるのは、やっぱり俺の方だったんだ」 - 30二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:36:24
「本当に・・・・・・ひどい一撃だな。ちくしょう」
- 31二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:36:35
「我らが女教皇様から得た教えは?」
天草式十字凄教は意を揃えて大声で答えた。
「救われぬ者に救いの手を‼︎」 - 32二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:36:55
それは居並ぶ騎士達を薙ぎ倒し、騎士団長の持つ処刑用の斧を粉々に打ち砕いた。
その瞬間。
吹き飛ばされた騎士の中の数名が、呆然とした調子で呟いた。
「・・・・・・戻ったか」
その瞬間。
馬上にいた第二王女キャーリサはカーテナ=オリジナルを手にしたまま、余裕の態度を崩さずにこう言った。
「戻ったか」
その瞬間。
砕けた斧の柄を適当に放り捨て、正面を睨みつける騎士団長は、目の前に現れた強敵に対し、笑みすら浮かべて大声を張り上げた。
「戻ったかッ!」
そして複数の方が同時に動いた。
誰かが、あるいは、誰もがその名を告げたのだ。
「「「ウィリアム=オルウェル‼︎」」」 - 33二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:37:23
少女は世界の誰からも好かれる純正の聖女であり、
けれど、少女は聖女であるが故に、世界でただ一人の主人公にしか好意を向けない。
たったそれだけの、しかしどこまでも冷徹な純正がここに牙を剝く。
『私は完璧なはずだ。どうしてそれほどの余裕がある、私に何か落ち度でもあるのか』
不意に、上条は自分が倒した影武者の言葉思い出した。
あれは粗悪な劣化コピーではなかった。真実、アウレオルス=イザードという男の本質を映した鏡像そのものだったのだ。
「く、─────────」
もはや、アウレオルス=イザードは声すらも出なかった。
ただ笑い・・・硬直したように顔を歪ませ、しゃっくりで喉が詰まったように息が洩れる。
インデックスの頭上で、アウレオルスの腕が振り上げられた。
まるで弾頭台の刃物が落ちるような構え。インデックスはそれでも上条から目を離さない。
それが余計に錬金術師の心を炙る。振り上げられた腕に力がこもる。
「インデックス・・・・・・ッ!」
上条はとっさにインデックスの元へ走ろうとする。焦りでどちらの足を動かすべきかも分からなくなる。錬金術師は狂いに笑う。今の上条の、いかにも主人公らしい姿を見て。
上条は右手を伸ばす。だが遠い。間に合わない。錬金術師の腕が、勢い良く、
振り下ろされない。
上条は、思わず立ち止まっていた。
「う、───────」
ぶるぶる、と。アウレオルスは断頭台の刃のようにインデックスの頭上で腕を構えたまま。
「う、ぅぅうううううううううううううううッ‼︎」
それでも、動けなかった。 - 34二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:37:47
「・・・・・・やはり囚人達と一緒にここで待って、大勢の警備員に保護してもらうのが一番では?」
「何言ってんだ、俺は俺をいくら使い倒したって良いんだよ」
「・・・・・・何となくですが、この言い草が全ての歪みの中心なように見えてくるのはわたくしだけですの・・・・・・???」 - 35二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:37:52
- 36二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:38:17
そんなもの、叶わないなんて知っている。
とっくの昔に終わってしまった話を、いつまでも引きずっているだけなのだと。
でも。
だけど。
少女は今も一人、最も近い世界の果てで小さな奇跡を待っている。 - 37二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:38:57
「・・・・・・もしも貴様が家族の温かさを知り、その価値を理解して、魂を自ら築いた安定の座に置いていれば、その心はそこまで揺らがなかっただろう。スコットランド方面への執着も忘れ、『黄金』内での立ち場が脅かされているなどという妄執に憑かれる事もなかった。大悪魔コロンゾン。あんなものを呼び出して、私や家族を狙う事もなかったはずだ」
「貴様には、分からない」
「運命に抗っても、ブライスロードの戦いを制しても、結局私には永遠に手に入らなかったものだ。故に貴様が許せない、どうあっても。どうして踏み躙れた、何があったら最愛の命を二の次になどできた⁉︎ メぇイザぁぁぁース‼︎」 - 38二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:39:13
ややあって、だ。
最後にカエル顔の医者がゆっくりと首を振った。
『・・・・・・一月六日、午後一一時五八分』
横に。
その動きが全てだった。
決して諦めない医者が、ここだけはそれでも言った。
『搬送された患者の死亡を確認。すでに死んでしまった人間だけは、どうにもならない』 - 39二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:39:29
さあ戦え。
たった一人の少女の命と笑顔を守るために、右の拳を握り締めて。 - 40二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:39:43
『悪党は善人にはなれない、なんて考えで子供の道を諦めてしまった事じゃんよ。・・・・・・もがいてもがいて苦しみ抜いて、そういう道から自力で脱した怪物、私は一人知っている』
- 41二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:40:08
自分から呼び出した。
人生でたった一度だけ、思い切り反則をしよう。
この瞬間、ありふれた高校生はただの無能力者である事をやめた。 - 42二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:46:30
「やりたい事を言ってみろ」
「俺の体で叶えてやる。だから今さら恥ずかしがってんじゃあねえよ!!そんな姿になってもこの世界にしがみついてるって事は、未練たらたらで忘れられないんだろ。だったら言ってみろ、言え!!叶えるならここだ!!」
『夢を守りたい。この世界に、挫折や諦念の涙なんかいらない!!』 - 43二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 14:53:00
- 44二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 15:09:33
- 45二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 15:16:06
この辺りで良いだろう。
魔術サイドや科学サイドなんて大きな話はどうでも良い。
いい加減に、地の底に落ちた姫君を救い出せ。
もう一度、全力で。 - 46二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 15:23:41
「…ヒーローなんか必要ねえだろ」
「俺みたいな無能力者が、そんなご大層な人間に見えるのか!?善人?悪人?ふざけるんじゃねえ。そんな位置に立ってなきゃ、誰も助けちゃいけないのか!!目の前で泣いて欲しくない人が泣いているんだ!助けてくれって一言を言うこともできずに、唇を噛んで耐えている人がいるんだ!!それだけで十分だろ!!立ち上がったって良いだろ!!特別なポジションも理由もいらねえ!!それだけあれば、もう盾になるように立ち塞がったって構わねえだろうがよ!!」
「お前が選べよ…」
「このままお前の手で守り続けるのか、他人に全部預けて逃げるのか、それともオレの手を借りて協力して欲しいのか!!」
「傲慢だろうが何だろうが、お前自身が胸を張れるものを自分で選んでみろよ!!」 - 47二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 16:53:48
それでもアンタはそんな世界と向き合うって決めたんだろう、オティヌス!
『普通』にも『平凡』にもなってやるって決めたんだろ!! - 48二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 17:56:19
「笑えよ。どォやら俺は、この期に及ンでまだ救いが欲しいみてェだぜ。」
「ええ、それはそれは大いに笑って差し上げましょう。 キミの中にまだそんな感情が残っているとすれば、それは笑みをもって祝福すべき事よ。だから安心して証明しなさいな。 キミの力は、大切な誰かを守れるという事を。」 - 49二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 18:28:07
「結局テメェは俺と同じだ。誰も守れやしない」
- 50二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 19:33:51
「この病院は聖域だ。まずはここから広げて、方法論を確立し、学園都市全域を守り切る。あの甘っちょろい人間のためにも、必ずな」
「分かってるんだよ!」
故にこれは戦いであった。
場所は違っても、種類は異なっていても、少女達もまた上条当麻と共に死力を尽くしている。 - 51二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 19:40:23
- 52二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 19:48:31
「お前は、滝壺を選んだじゃないか」
処刑人の弱音までが長かった - 53二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 20:07:23
ふざけやがって、そんなつまんねえ事はどうでも良い!
理屈も理論もいらねえ、たった一つだけ答えろ魔術師!!
テメェは、インデックスを助けたくないのかよ?
テメェら、ずっと待ってたんだろ?
インデックスの記憶を奪わなくて済む、インデックスの敵に回らなくても済む、そんな誰もが笑って誰もが望む最っ高に最っ高な幸福な結末ってヤツを!
ずっと、待ち焦がれてたんだろ、こんな展開を!
英雄がやってくるまでの場つなぎじゃねえ!
主人公が登場するまでの時間稼ぎじゃねえ!
他の何者でもなく他の何物でもなく!
テメェのその手で、たった一人の女の子を助けてみせるって誓ったんじゃねえのかよ!?
ずっとずっと主人公になりたかったんだろ!
絵本みてえに映画みてえに、命を賭けてたった一人の女の子を守る、そんな魔術師になりたかったんだろ!
だったらそれは全然終わってねえ!!
始まってすらいねえ!!
ちっとぐらい長いプロローグで絶望してんじゃねえよ!!
手を伸ばせば届くんだ。いい加減に始めようぜ、魔術師! - 54二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 20:19:33
新約9巻より
上条は、その名を呟く。
「……青髪ピアス……」 - 55二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 20:21:02
旧約22巻ラストで『神の力』に挑む前の1〜22巻おさらいナレーション大好き
- 56二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 20:24:33
「・・・・それで良いんです。私は、化け物で良い。・・・私は、化け物だったから・・・あの石像に何度殴られても、死にませんでした。私が・・・化け物だからこそ、私はあの石像に立ち向かえます。───私は・・・私の力で、大切な人を守ります。だから、私は・・・化け物で幸せでした。」
- 57二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 20:54:51
「世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ」
一人の少女を守るために、掘み取った様々な技術がある。
その笑顔を踏みにじろうとする者と戦うために、それだけを目的に血を吐くような痛みと共に手に入れた、数々の炎の魔術が。己の背中を押す淡い感情の正体も分からぬまま、ただがむしゃらに手を伸ばした結果。
「それは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なり」
ステイル=マグヌスは知っている。
もはやこの術式には、何の価値もない事を。あの小さな少女の隣を歩いてくれる人間がきちんと存在し、そのために、この術式はすでに全て用済みである事も。
「それは穏やがな幸福を満たすと同時、冷たき闇を罰する凍える不幸なり」
それでも、この術式はきっとあの子以外の誰かを守れる。
例えば、大きな瞳に涙を溜めて、返り血で両手を真っ赤に染めて、全く意味のない拙い術式に全てを願ったあの小さな女性を。
例えば、魔術師でも何でもないのに、胸元の十字架一つで勘違いされ、血の海に沈んでしまった一人の少女を。
「その名は炎、その役は剣」
その行為は、おそらくステイルにとっては何の慰めにもならない。比喩するなら、大好きな人のために作ったケーキを、全くの他人が『美味しい美味しい』と食べてしまうようなものだ。
どれだけ褒められた所で、心の隙間が埋まる事はない。絶対に。
「顕現せよ」
それでも、彼女達を助ける事が、結果として一人の少女の笑顔を守る事になるのなら。
学園都市を守る事が、一つの幸せに繋がるというのなら。
ステイル=マグヌスは受領する。
全ての力を振るい、全くの別人を助けるために。
今もまだ残る淡い感情の下、ここにいる敵を倒す事を。
「我が身を喰らいて加と為せ『魔女狩りの王』‼︎」 - 58二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 22:31:14
「行くぞ」
「今さら言葉など。私と君の仲だろう?」 - 59二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 22:39:55
「異次元の果てに存在する管理人のお姉さんとやらが律儀に感情の爆発を口から出してくれる人だと良いわねえ?」
「こいつ自分の話は片付けられない奥さんくらい端から全部棚に上げておいてコノ」
「あア? やんのか愚鈍!!」
「───ッ!!」
「⁉︎」 - 60二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 22:44:47
「私のせいで死んだ……」
一度出してしまえば後は早かった。 決壊した。 半ば吼えるようにして『人間』は自分で自分を呪っていた。
「私が明らかに使い方を間違えた! 私がもっとしっかりしていれば、実力は足りずとも共に並んで戦っていれば、キングスフォードは死ぬ事もなかったかもしれなかったんだ!! 誰かが死ななきゃいけないにしても、彼女であった必然性はない。私が一歩前に踏み出してさえいれば、彼女が私を見捨てていれば、たったそれだけでアンナ=キングスフォードは今もここにいたはずなんだッッッ!!!!!!」
が。
ここで大型犬の木原脳幹は見てしまった。
アレイスターの死角。
完全に背後。
ものすごーく気まずそうな顔で笑っているアンナ=キングスフォードが。 - 61二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 22:54:10
「・・・・・・あのなあレディバード君、何か言う事は?」
『質問への回答を出力。ジジィちらちら横目で盗み見るくらいならちゃんと見たいって言えよ、というか自作のボディの細部を熱心に眺めて何が楽しいんだお盛んだな』
「ねえ誰! 今、人の心を無遠慮に抉った子⁉︎ 自分は歳を取らない機械じゃからってそんな何重にもザクザクと‼︎」 - 62二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 22:55:16
ようやっと。
じんわりと、嫌な予感というものが追い着いたらしい。
こんな真綿で首を絞めるような褒め方されるくらいなら、いっそ叱っていただきたい。
でっぷりとした脂肪だらけの全身をこれ以上ないくらいに強張らせるホレグレス=ミレーツに、一方通行はこう続けたのだ。
「今までず─────っとムシャクシャしてたけどよォ、ほれ、いくら何でも八つ当たりで相手殺しちまうってなァ気分が悪いだろ? 悪いよな? それくらいは俺だって考えるよォになったンだ。学習したろ、偉いって言ってくれよ? だからな、だからさァ・・・・・・」
「まっ、待っ、ゆるし」
「思う存分ぶっ飛ばしてもうっかり殺しちまう心配のねェ、しかも一ミリも罪悪感の湧かねェヤツってなァ、本当の本当に心の底から助かるンだよ‼︎ 感謝しかねェわありがとォございますゥくっそ野郎がァァァああああああああああああああああああああああ‼︎‼︎‼︎」
全力全開で。
それこそ核シェルターの正面大扉をぶち抜くような蹴りを叩き込んだ。 - 63二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 22:55:40
「何だ、この程度で思考停止のパンク状態か? 善人め、ピンとこないようならネット通販で冷凍牛肉の塊を六〇キロか七〇キロほど注文してみろ、骨つきでな。バスルームに引きずって、手袋、ゴーグル、マスク、帽子、レインコート、床や壁にはビニールシート、とにかく思いつく限りの方法でケアをしたら作業開始だ。使うのは包丁、ノコギリ、金槌、ジューサー、まあお好みで。肉も骨も全部分解して袋に小分けし、後はどこぞに捨てるだけで完全に消し去れるつもりになってから、鉄分に反応する試薬を霧吹きに詰めて壁や床に吹きつけてみると良い。ルミノール試薬なんてクリック一つ、一万円ちょっとで手に入るよ。・・・・・・作業が終わった頃には全身汗だくで疲労困憊、真面目にやったら翌日は普段使わない筋肉の悲鳴で筋肉痛の嵐だろう。そして自分では完璧だったつもりでも、たった一滴の血痕がどれだけ厄介で致命的かが良く分かるはずだ。シャワーで洗い流した程度で誤魔化せるだなんて思うなよ」
- 64二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 22:55:55
魔女。
そう呼ばれた少女にできない事はありませんでした。
『力』を手に入れた少女は指を小さく振るだけでご覧の通り。夜空に星々を広げて、また恵みの雨を降らし、あるいは病に伏せる者に無償で薬を調合してみすぼらしい女性に豪華なドレスを渡しました。
たくさんの人が少女を拝みました。
たくさんの人が少女に感謝しました。
たくさんの人が少女を目標としました。
少女は夢の中を泳いでいました。もう少女を苦しめるものはありません。そういった元凶を目の前から取り除き、己を慕ってくれる皆を支え導くだけの力を手に入れたのですから当然です。
みんなが笑っています。
みんなが幸せそうです。
だからこれは、間違ってなんかいない。少女にはそんな確信がありました。だから少女は自らの行いに躊躇する事はありませんでした。だってこれは正しい事。みんなを幸せにできる素晴らしい行いなのだから、推奨こそすれ出し惜しみをする理由がありません。
ストレスとは無縁の世界で生きていました。
朝起きて夜眠るまで、少女の毎日は光り輝いていました。
でも不思議。
どうしてこの子は魔女と呼ばれているのでしょう? - 65二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 22:56:10
上条は深夜〇時前にはまだ出しちゃいけない小さな上条当麻を慌てて意識の底へと押し戻す。こそこそ。
ちなみに流れていくのに飽きたのか、途中の梯子状タラップを半分登りながらインデックスが首をひねっていた。そこで立ち止まられるとツンツン頭の目の高さに濡れた水着に包まれたお尻がやってくるのには気づいてなさそう。おかげで意識の奥へと封印したはずのズルムケ(暴走機能付き試作実験式上条当麻)が危うく鳩時計みたいに再び飛び出そうとする始末。選ばれし思春期のツンツン頭は意識の中の魔王を徹底封印するために怒涛の脳内ビッグバンを決行。シナプスを走り回る電気信号があたかも特殊な印を組むように連続展開され、そして無の境地を獲得した学生賢者上条当麻は平常値の心拍数を維持したまま目の前の尻へ緩やかに説いた。 - 66二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 22:56:37
(・・・・・・い、一体誰なんだ、ここまで恵まれた娘に堂々と陳腐だなんて言い放つ大変グルメなクソ野郎は。何にしてもそんなヤツは地獄に落ちれば良い‼︎)
- 67二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 22:57:02
「・・・・・・ど う い う 事ですし?」
- 68二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 22:57:21
「ま、まずい、寒さで歯の根が合わなくなってきた。な、なあ、フランダースの犬ってどこの国の話だったっけ? まさに本場のヤツを喰らっていそうな気がするんだけど・・・・・・」
「心配するな。あれの舞台はベルギーだ」
「ホッ」
「デンマークはマッチ売りの少女の聖地だよ」
「やばい、悲惨度で言えば五〇歩一〇〇歩だ‼︎」 - 69二次元好きの匿名さん24/07/15(月) 22:57:33
「とうま、ネ───」
「ダメ」
────コ、とインデックスは続ける前に上条は割り込んだ。
「・・・・・・、とうま、私はまだ何も言ってないんだよ?」
「飼うのはダメ」
「何で何でどうしてどうしてスフィンクスを飼っちゃいけないの⁉︎」
「ウチ学生寮だしペット禁止だしお金はないしもう名前つけてんじゃねーよしかも何だスフィンクスってバリバリ日本産の三毛猫に付ける名前じゃねえっ‼︎」
「Why don't you keep a cat! Do as you are told!」
「??? ・・・・・・はっ! ええい英語でまくし立てれば何でも言う事聞くと思うなよ!」
「やだっ! 飼う飼う飼う飼う飼う飼う飼う飼う飼う飼う飼う飼うかーうーっ‼︎」
「そんな得体の知れないスタンド攻撃みたいに叫んでもダメなものはダメっ! っていうか野良猫びびって裏路地に逃げちまったじゃねーか!」
「とうまのせいっ!」
「俺かよっ‼︎」 - 70二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 09:01:01
「言ったろ、もう終わりだ」
いつかどこかで。本来だったら、こうすべきだった事を - 71二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 09:12:06
理由なんてなかった。
ただ自分の右手には世界を救えるだけの力があった。 - 72二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 09:17:11
脳幹「木原端数いまのお前にはロマンが欠片もない」
これを見たとき唯一の気持ちがわかった気がする - 73二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 16:09:21
「暗部の能力者用に調整されたグロテスクを、あんな超小さな女の子に見せるつもりですか?そもそも超一番懐かれているのはあなたです!あなたには、その信頼に超応える義理がある!!応えてあげれば、きっとあの子は私達が超見てきたものを見なくても済む!!」
過酷な幼少期を過ごした元暗部組織の子からこんな言葉が出るとは思わなかった
新約7巻は土御門とかアイテムとか、元暗部の人達のカッコいいシーンが多いと思う - 74二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 18:08:32
上インの聖典来たな
- 75二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 18:53:00
「何だ、止めないのか」
「できないわよ。十分前のアンタだったら楽勝だったけど……今ここにいるアンタには、逆立ちしたって勝てる気がしないし」
直前のレスバも好きだけど一番はここ
美琴の返答が「できない」なのが世界を敵に回すなんて無茶を本当はして欲しくないって点は変わらないって感じで好き - 76二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 18:54:40
- 77二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 20:38:48
メイザース「ミナ=メイザースそれがなにか?」
- 78二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 20:53:21
- 79二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 20:55:33
- 80二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 21:00:13
……あるいは生まれて一〇年くらいの雲川鞠亜辺りの目線からすれば単純に高校卒業以上は全員同じワゴンにぶっこんでジジイババアと雑にジャッジしている可能性もあるが、ちょっと悲しくなってきたので木原加群はその辺りで思考を止めておいた。
- 81二次元好きの匿名さん24/07/16(火) 23:06:27
- 82二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 09:45:14
- 83二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 16:17:21
- 84二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 16:31:50
敵役のも字面がカッコいいのは読んでて気持ちがいいよね
ビアージオ
「――十字架は悪性の拒絶を示す」
「――ならば、その悪性は我が十字架が拒絶する」
マリアン
「ギリシア式オリンポス斬獲(ざんかく)。巨呪人(きょじゅじん)ティターン請来」etc
〇〇斬獲。〇〇請来構文は規模のデカさにワクワクする - 85二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 17:14:38
- 86二次元好きの匿名さん24/07/17(水) 19:40:04
「どうすんだ、本当にどうすんだ俺の出席日数!? あとどれくらい残ってるんだっていう事件じゃなくてもうすでにマイナスの借金状態なんだけど何をどれだけ頑張ったらリカバリーできるのかももう計算できないし全体的にどうするべきか……ッ!!」
「んー」
上里翔流はさして深く考えもしなかった。
ただ言った。
「クラスの誰かに代返でも頼めば?」
……………………………………………………
上条当麻の中で小さな宇宙が弾けた。
そして彼は天に向けて今さらのように咆哮していた。
「まァァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ッッッ!!」